(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013680
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】管穿孔装置
(51)【国際特許分類】
F16L 55/00 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
F16L55/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024198007
(22)【出願日】2024-11-13
(62)【分割の表示】P 2023112765の分割
【原出願日】2020-10-05
(31)【優先権主張番号】P 2019187832
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000105556
【氏名又は名称】コスモ工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】中里 謙介
(57)【要約】
【課題】首部内面に形成された凹状弁座部が、穿孔により生じた切り粉の進入で不具合を生じることなく、清浄な状態で作業弁体と接触し、高い密封性を維持することができる管穿孔装置を提供すること。
【解決手段】流体管101を密封状に外嵌する分割構造の筐体105と、筐体105の首部105d内に設けられた凹状弁座部105iに接離する作業弁体131を備え首部105dに着脱可能に構成された作業弁103と、筐体105内に挿入され流体管101を不断流状態で穿孔する切断刃を有するカッタ172及びカッタ172を進退させる進退機構173を備えた穿孔機107と、を少なくとも有する管穿孔装置であって、首部105dに、筐体105内の流体とともに切り粉を排出する吸引管280が設けられている。
【選択図】
図30
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管を密封状に外嵌する分割構造の筐体と、前記筐体の首部内に設けられた凹状弁座部に接離する作業弁体を備え前記首部に着脱可能に構成された作業弁と、前記筐体内に挿入され前記流体管を不断流状態で穿孔する切断刃を有するカッタ及び該カッタを進退させる進退機構を備えた穿孔機と、を少なくとも有する管穿孔装置であって、
前記首部に、前記筐体内の流体とともに切り粉を排出する吸引管が設けられていることを特徴とする管穿孔装置。
【請求項2】
前記吸引管は、前記首部内に挿入されていることを特徴とする請求項1に記載の管穿孔装置。
【請求項3】
前記吸引管は、前記凹状弁座部に沿って移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の管穿孔装置。
【請求項4】
前記吸引管は、前記凹状弁座部の開口に沿って被覆可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載の管穿孔装置。
【請求項5】
前記吸引管に、該吸引管内を開閉可能なバルブが設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の管穿孔装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体管を密封状に外嵌する分割構造の筐体と、この筐体の内部を開閉する作業弁体を備えた作業弁と、この筐体内にて不断流状態で流体管を穿孔、切削若しくは切断する穿孔機と、を有する管穿孔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の管穿孔装置は、既設の流体管に分割構造の筐体(割T字管)を密封状に外嵌し、この筐体を構成する首部の開放端部に穿孔機を接続して、この穿孔機によって筐体内部の流体管を穿孔した後、この筐体に設けられた作業弁によって、筐体の首部内を一時的に密封状に閉塞し、穿孔後の穿孔機に替えて管接続部材を筐体の開放端部に接続するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-28058号公報(第3頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあっては、穿孔機により流体管の管壁を穿孔する際に発生する切り粉が、筐体の首部内に進入し、当該首部を開閉するための作業弁体に接する首部内面の弁座部に滞留してしまい、当該切り粉が作業弁体と弁座部との接触部分に干渉することで、作業弁による密封性を維持できない等の不具合の問題があった。特に、作業弁体との高い密着性を得るべく、首部の内面に作業弁体の周縁部を挿入可能な凹形状の弁座部を形成する場合があり、このような凹形状の弁座部には切り粉が滞留し易く、密封性を損なう虞が高まっていた。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、首部内面に形成された凹状弁座部が、穿孔により生じた切り粉の進入で不具合を生じることなく、清浄な状態で作業弁体と接触し、高い密封性を維持することができる管穿孔装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の管穿孔装置は、
流体管を密封状に外嵌する分割構造の筐体と、前記筐体の首部内に設けられた凹状弁座部に接離する作業弁体を備えた作業弁と、前記筐体内に挿入され前記流体管を不断流状態で穿孔するカッタを備えた穿孔機と、を少なくとも有する管穿孔装置であって、
前記首部内の前記凹状弁座部の開口を開閉可能に移動する筒状部を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、筐体の首部内の凹状弁座部の開口を筒状部により閉塞することで、筐体内の流体管の穿孔により生じる切り粉が凹状弁座部内に進入することを防止できるため、この筒状部を開放した清浄な凹状弁座部に作業弁体を接触させることができ、筐体を密封することができる。
【0007】
前記筒状部は、前記首部の内面に沿ってスライド可能に配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、筒状部を首部の内面に沿ってスライドさせることで、この筒状部の移動の精度を向上させ、凹状弁座部を確実に開閉できる。
【0008】
前記凹状弁座部よりも前記流体管側とは反対側の前記筒状部の外周部に、前記首部の内面との間をシールする密封材が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、筒状部の外周部と首部の内面との隙間を密封材によりシールすることで、不断流状態での穿孔を行うことができる。
【0009】
前記筒状部の開口端近傍の内周部に、内径方向に突出した突出部が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、筒状部の内周部に滞留した切り粉を落下させることなく、突出部によって滞留させることができる。
【0010】
前記穿孔機は、前記カッタを収容するとともに前記筐体の前記首部に着脱される収容筒を有し、該収容筒の先端部が前記筒状部であることを特徴としている。
この特徴によれば、首部に収容筒を着脱すると同時に、その先端の筒状部によって凹状弁座部の開口を開閉することができる。
【0011】
前記筒状部よりも前記流体管側の前記首部に、前記筐体内の流体とともに切り粉を排出する排出口が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、穿孔の際に発生する切り粉が凹状弁座部に近づくことなく、この凹状弁座部よりも上流である基端部側に形成された排出口を介し切り粉を外部に排出することができる。
【0012】
前記筒状部に、前記筐体内の流体とともに切り粉を排出する排出口に連通する連通口が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、筒状部内に進入した切り粉を、連通口及び排出口を介して滞りなく外部に排出することができる。
【0013】
前記筒状部に、前記カッタとの連結若しくは解除を可能とする係合部が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、カッタを移動させるだけで、このカッタと筒状部とを容易に連結若しくは解除することができる。
【0014】
前記筒状部に、該筒状部の移動に伴い前記凹状弁座部内に出入する掃き出し部が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、凹状弁座部の内部に切り粉等の異物が進入しても、当該異物を凹状弁座部外に排出することができる。
【0015】
前記筒状部は、前記カッタを構成するホールソーであることを特徴としている。
この特徴によれば、カッタの一部であるホールソーを利用することで、筒状部の構成を簡略化することができる。
【0016】
前記筒状部は、前記筐体の内外を開閉可能に連通する吸引管であることを特徴としている。
この特徴によれば、筐体の内外に通じる吸引管により、筐体内の切り粉等の異物を外部に排出することができる。
【0017】
前記凹状弁座部を構成する内側面は、該凹状弁座部の開口に向けて開放されたテーパ面に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、凹状弁座部内の流体の流動性を高めることができるため、凹状弁座部内の切り粉を滞留させることなく、テーパ面に沿って凹状弁座部の外部に流出させることができる。
【0018】
前記凹状弁座部を構成する内側面は、鉛直方向に対し傾斜して形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、凹状弁座部内の流体の流動性を高めることができるため、凹状弁座部内の切り粉を滞留させることなく、傾斜した内側面に沿って凹状弁座部の外部に流出させることができる。
【0019】
前記作業弁は、前記作業弁体を収容可能に略鉛直下方に向けて延設された作業弁筐体を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、切り粉を凹状弁座部内に滞留させることなく作業弁筐体の内部に降下させて導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施例1における管穿孔装置を構成する筐体を示す正面断面図である。
【
図3】(a)は作業弁の収容部材を示す側面断面図であり、(b)は作業弁の取付部材を示す側面断面図である。
【
図4】筐体に組付けた穿孔機を示す一部断面平面図である。
【
図6】穿孔機による穿孔後の状況を示す一部断面平面図である。
【
図7】変形例における穿孔機の取付フランジ筒を示す正面断面図である。
【
図8】制流弁の設置前の状況を示す一部断面平面図である。
【
図9】制流弁の設置後の状況を示す一部断面平面図である。
【
図11】(a)は実施例2における管穿孔装置を構成する筐体を示す一部断面正面図であり、(b)は同じく一部断面平面図である。
【
図12】穿孔機により穿孔している状況を示す一部断面平面図である。
【
図13】穿孔機による穿孔後の状況を示す一部断面平面図である。
【
図14】制流弁の設置前の状況を示す平面断面図である。
【
図15】(a)~(c)は挿入機を制流弁から取り外す手順を示す、
図14の鎖線囲い部の拡大断面図である。
【
図16】制流弁の設置後の状況を示す平面断面図である。
【
図18】実施例3における管穿孔装置を構成する筐体を示す正面断面図である。
【
図19】筐体に組付けた穿孔機を示す一部断面平面図である。
【
図20】(a)は穿孔機により穿孔している状況を示す一部断面正面図であり、(b)は
図19のA-A断面図である。
【
図21】穿孔機による穿孔後の状況を示す一部断面平面図である。
【
図22】制流弁の設置後の状況を示す一部断面平面図である。
【
図24】変形例1における管穿孔装置により穿孔している状況を示す一部断面平面図である。
【
図26】変形例2における管穿孔装置により穿孔している状況を示す一部断面平面図である。
【
図28】変形例3における管穿孔装置により穿孔している状況を示す一部断面正面図である。
【
図29】変形例4における管穿孔装置により穿孔している状況を示す一部断面正面図である。
【
図31】変形例5における管穿孔装置の筐体を示す一部断面平面図である。
【
図32】変形例6における管穿孔装置により穿孔している状況を示す一部断面正面図である。
【
図33】変形例7における管穿孔装置により穿孔している状況を示す一部断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る管穿孔装置を実施するための形態を実施例1~3及び変形例1~7に基づいて以下に説明する。
【実施例0022】
実施例1に係る管穿孔装置及びその設置方法につき、
図1から
図10を参照して説明する。
図4~7に示されるように、本発明に係る管穿孔装置は、既設の流体管1を外嵌する筐体5と、この筐体5の内部を開閉する作業弁3と、筐体5内にて流体管1を穿孔する穿孔機7と、から主として構成されている。本実施例においては、管穿孔装置及びその設置方法として、不断流状態で、管路構成部材である既設の流体管1の所定箇所に筐体5内にて穿孔した後、筐体5内に制流弁10を設置するまでの一連の流れを説明する。尚、流体管1内の流体は、本実施例では上水であるが、例えば、工業用水、農業用水、下水等の他、水以外の液体でも良いし、ガスやガスと液体との気液混合体であっても構わない。
【0023】
本実施例の流体管1は、ダクタイル鋳鉄管であって、
図1,2に示されるように、断面視略円形状の直管に形成されている。本実施例では、流体管1は図示しない浅層の地中に埋設され、その管路方向は略水平方向に配設されている。尚、本発明に係る流体管は、その他鋳鉄、鋼等の金属製、あるいはコンクリート製、塩化ビニール製、ポリエチレン製若しくはポリオレフィン製等であってもよい。さらに尚、流体管の内周面はエポキシ樹脂層、モルタル、めっき等により被覆されてもよく、若しくは適宜の材料を粉体塗装により流体管の内周面に被覆してもよい。また、流体管1は露出されていてもよく、その管路方向は略垂直方向でも良いし、傾斜しても構わない。
【0024】
ここで本発明の流体管とは、本実施例のように直管に限られず、例えば異形管で構成されてもよい。ここで異形管とは、例えば曲管部や、分岐部、十字部、異径部、継ぎ輪部、短管部、排水部等の様々な異形部を少なくとも一部に有する管を総称するものである。
【0025】
先ず、
図1及び
図2に示されるように、本発明に係る管穿孔装置の取付箇所となる流体管1の外面を清掃した後、この流体管1の後述する穿孔部分を密封するためのシール部材4を介し、管穿孔装置を構成する筐体5を密封状に外嵌する。本実施例の筐体5は、水平方向に分割された複数分割構造であり、本実施例では、一方の側部を構成する第1分割体51と、他方の側部を構成する第2分割体52とから主に構成されている。尚、筐体5の分割構造は、本実施例に限らず例えば、上下方向に分割されてもよいし、また、分割数も3分割以上の所定数に分割されてもよい。また、分割筐体同士は、本実施例では、ボルト・ナットからなる締結部材2により密封状態で接合されるものであるが、これに限らず例えば、溶接接合であっても構わない。
【0026】
図1~
図3に示されるように、筐体5の第1分割体51は、流体管1に沿って管路方向に延設される管路筐体部5aと、管路筐体部5aの略中央で水平方向、つまり実際の現場において上下方向ではなく横方向に分岐して延設され、分岐方向に開口する開放端部5c、及び側方に開口する開口部5bを有する筒状の首部5dとから構成され、平面視略T字状に形成されている。
【0027】
更に
図2に示されるように、首部5dは、流体管1の管路方向に向けて一対に外径方向に突出したフランジ状の鍔部5e、5eと、この鍔部5eの周方向の中央位置にて内径方向に凹設された係合部としての切欠部5f、5fとを有している。
【0028】
この首部5dは、その筒状の周側部に、外面が径方向に突出した管厚部5gを備え、この管厚部5gに、流体管1の管路方向の一方に向けて開口する開口部5bを有している。
図1に示されるように、開口部5bは側面視で縦長の略長方形に開口しており、後述するように作業弁3の作業弁体31が挿通可能に形成されている。
【0029】
また
図1に示されるように、首部5dの内周部は、側面視略円形の曲面且つ水平方向に直線状に形成された内周面5hと、首部5dの軸方向に開口部5bと同じ位置にて、周方向に沿って外径方向に凹設された凹状弁座部としての凹設部5iと、この凹設部5iよりも首部5dの基端側に形成され、首部5dの先端側の内周面5hと略面一に形成された内周面5jと、この内周面5jの基端側にて内径方向に突出した段部5kとを備えている。
【0030】
次に、
図3及び
図4に示されるように、この首部5dの開口部5bに対し作業弁3を密封状に接続する。作業弁3は、筐体5内を開閉可能にスライドする作業弁体31と、この作業弁体31を水平方向にスライド可能に収容する収容内部32a、及びその側方の一端が開放された開放部32bを有する作業弁筐体としての収容部材32と、この収容部材32とともに首部5dに外嵌可能に、曲面状の内周面を有する取付部材33とから主として構成される。
【0031】
図3,
図4及び
図6に示されるように、収容部材32は、回転可能で且つ進退不能に枢支され、水平方向に延設された軸部材34を備え、この軸部材34に作業弁体31が螺合しており、この収容部材32の外方に突出した軸部材34の先端部34aに取り付けた操作部材35を回転操作することで、作業弁体31が収容部材32に対しスライド可能に構成されている。また収容部材32の側面及び取付部材33の側面には、後述する押圧部80及び液圧ロッド60を支持するための支持部36,36が設けられている。
【0032】
また
図6に示されるように、作業弁体31の分岐方向を向く側面には板状のシール部材31aが被覆されており、このシール部材31aの周縁部が凹設部5iの側壁5rに面当接することによって、筐体5内を密封状に閉塞可能に構成される。このように、首部5dの内面に凹状弁座部としての凹設部5iを設けることで、流体管1内の圧力を利用してこの凹設部5iの側壁5rに作業弁体31の周縁部を面当接させることができるため、密封性を向上させることができる。更に上記したように、首部5dの内面に形成した凹設部5iに作業弁体31の周縁部を面当接させることで、作業弁体31を薄板状に形成できるため、筐体5の分岐方向の延長すなわち穿孔機7のストロークを短く構成することができ、穿孔機7が偏芯することなく、穿孔の精度を高めることが可能となる。また、作業弁体31の薄板状化により、当該作業弁体31や筐体5の小型化によるコストダウンを達成でき、更に穿孔の精度が高いため、後述する制御弁10の栓体11の挿入が適切に行われ、止水性、流体の制御性を向上させることができる。
【0033】
作業弁3の取付手順について詳しくは、先ず収容部材32を、その開放部32bが首部5dの開口部5bに連通する位置にて首部5dの外面に配置する。このとき
図2及び
図3(b)に示されるように、首部5dの管厚部5gは、開口部5bの幅方向に一対に突出した位置決め部としての突出部5mを有しており、この突出部5mに、収容部材32の開放部32bの上下一対に形成された側面視略L字状で且つ管軸方向視略U字状の係合部32cの内周が係合することで、収容部材32は、その開放部32bと首部5dの開口部5bとが連通した配置位置で位置決めされている。このように、突出部5mにより作業弁3を開口部5bに対し正確に取り付けることができるため、作業弁3による筐体5内の開閉機能を維持することができる。
【0034】
次に取付部材33を、首部5dを挟んで収容部材32の反対側の位置にて首部5dの外面に配置する。このとき
図2及び
図3(a)に示されるように、首部5dの管厚部5gに、取付部材33に形成された側面視略U字状の係合部33aの内周が係合することで、取付部材33は、首部5dを挟んで収容部材32の反対側の配置位置で位置決めされている。
【0035】
このように、開口部5bに取り付ける作業弁3を、流体管1の管路方向に延設させることができるため、流体管1の側方領域を作業弁3の取付領域として利用することができ、当該領域を確保しやすい。
【0036】
次にこれら収容部材32及び取付部材33を締結する。
図3(a)、(b)に示されるように、取付部材33の両端部にボルト37の基端37aがヒンジ状に接続されており、当該ボルト37を収容部材32に向けて回動して、収容部材32の係合部33aの外周部に形成された隙間部に挿入し、更にこのボルト37の先端にナット38を螺合することで締結している。
【0037】
また、収容部材32は開放部32bの周囲を囲むようにシール部材39が配設されており、上記した締結部材の締結によって、このシール部材39が開口部5bの周縁に密接することで、これら開口部5b及び開放部32bは密封されている。このように、作業弁3が、首部5dに設けられた開口部5bに設置されることで、後述する穿孔機7の取付位置を極力、流体管1に近づけることができるため、これら穿孔機7が流体管1にアプローチする伸長ストロークを短縮化できる結果、穿孔機7を小型化、軽量化、コストダウンすることができる(
図4参照)。
【0038】
次に
図4に示されるように、首部5dの開放端部5cに対し穿孔機7を密封状に接続する。穿孔機7は、収容筒としての取付フランジ筒71と、流体管1を穿孔するためのカッタ72と、取付フランジ筒71内においてカッタ72を回転させるための駆動モータ74と、カッタ72を水平方向に進行・退避させるための進退機構73と、から主に構成されている。本実施例のカッタ72は、流体管1よりも小径の有底筒状に形成され、その先端に周方向に沿って切断刃を備えたホールソー72aと、該ホールソー72aの回転軸と同軸に配設され切断刃よりも先方に突出したセンタードリル72bとから構成されている。尚、カッタ72は、筐体5の首部5dの開放端部5cと同心円状に配設され、開放端部5c側から筐体5の首部5d内に挿入され、少なくとも流体管1の管壁を貫通する位置まで進行可能となっている。
【0039】
この穿孔機7の取付けに先立ち、
図4及び
図6に示されるように、まず作業弁3の支持部36,36に、穿孔機7を筐体5に挿入するための挿入手段として、押圧部80を取付ける。押圧部80は、作業弁3の支持部36に接続される支持プレート81と、この支持プレート81に固定支持された雄ネジ部82と、この雄ネジ部82に挿通された押圧片83と、この押圧片83を挟持するように雄ネジ部82に螺合する雌ネジ部84とから主として構成されている。押圧部80は、雌ネジ部84を螺挿することで押圧片83を雄ネジ部82の軸方向に移動させ、この押圧片83に嵌合された穿孔機7の取付フランジ筒71を筐体5の首部5dに対し取付け、若しくは取外し可能となっている。また、雄ネジ部82の先端側に、取付フランジ筒71の移動を規制するキャップ90を取付けて、取付フランジ筒71を引抜き側に移動する際の位置決めをすると好ましい。このキャップ90は断面視コ字状でもよいし、内面に雌ネジを有するものでもよく、押圧部80を構成する一部であってもよい。
【0040】
穿孔機7の取付手順について説明すると、上記した押圧部80によって穿孔機7の取付フランジ筒71を首部5d内に挿入し、取付フランジ筒71の先端に形成された凹状部75を、首部5dの開放端部5cに嵌合する。より詳しくは、取付フランジ筒71の凹状部75は、開放端部5cの側壁に内嵌される内壁部75aと、開放端部5cの側壁に外嵌される外壁部75bと、これら内壁部75a及び外壁部75bの基端部を構成する内底部75cとを備えており、内壁部75a及び外壁部75bにより開放端部5cの側壁を挟持するとともに、内底部75cを開放端部5cの端面に当接させることで、穿孔機7の取付フランジ筒71を首部5dの開放端部5cに位置決めされた状態で嵌合する。また内壁部75aは、取付フランジ筒71の先端部を構成し、首部5dの内周面5h、5jよりも僅かに小径の外周面を有する略筒状に形成されており、凹設部5iの開口を被覆する位置まで首部5d内に挿嵌されるようになっている。すなわち穿孔機7が備える取付フランジ筒71の内壁部75aは、本発明の筒状部を構成している。
【0041】
更に、内壁部75aは、首部5dの内周面5h、5jに沿ってスライド可能に配置されていることで、この内壁部75aの移動の精度を向上させ、凹設部5iを確実に閉塞若しくは開放できる。
【0042】
また、内壁部75aの外周面には水平方向に離間した環状のシール部材76a,76bが設けられており、これらのシール部材76a,76bが、首部5dの軸方向に凹設部5iを跨いで首部5dの内周面5h,5jにそれぞれ密接することで、この嵌合状態で凹設部5iへの異物進入が防止されるとともに、穿孔機7の取付フランジ筒71及び筐体5の首部5dは密封されている。ここで凹設部5iよりも流体管1側とは反対側に設けられたシール部材76bは、本発明の密封材を構成する。
【0043】
さらにこの嵌合状態で、外壁部75bの外周に沿って、この外壁部75bに係合する断面視略U字状の内周部を備えた分割構造の係合部材77を組み付ける。なお、係合部材77は必ずしも用いなくてもよい。
【0044】
なお、首部5dの開口部5bに対する作業弁3の接続作業と、首部5dの開放端部5cに対する穿孔機7の接続作業とは、必ずしも上記した順序に限られず、穿孔機7の接続作業を行った後に作業弁3の接続作業を行ってもよいし、又はこれらの接続作業を同時並行に行っても構わない。
【0045】
次に、
図4及び
図5に示されるように、穿孔機7による流体管1の穿孔工程を説明すると、先ず、作業弁3の作業弁体31を収容部材32の収容内部32aに配置させ筐体5内を開放した状態において、穿孔機7の駆動モータ74によりカッタ72を回転させるとともに、進退機構73を構成するハンドル73aを回転操作することでカッタ72を先方に進行させ、流体管1の管壁を不断流状態で穿孔する。
【0046】
このとき、特に本実施例のように水平方向の分岐では、穿孔の際に発生する流体管1の切り粉の一部が首部5d内に進入するが、凹設部5iよりも流体管1側の内壁部75aの外周部に、首部5dの内面との間を周方向に亘り密封するシール部材76aが設けられているため、内壁部75aと首部5dとの隙間を介し凹設部5iに向かう切り粉の進入を遮断することができる。首部5d内に進入した切り粉は、この凹設部5iを被覆する内壁部75aの内面に堆積や付着することになる。また、凹設部5iよりも流体管1側とは反対側の内壁部75aの外周部に、密封材としてのシール部材76bが設けられているため、穿孔の際は勿論、穿孔後の内壁部75aの引き込み動作の際にも、シール部材76bによりシールすることができ、不断流状態での穿孔を行うことができる。
【0047】
また、内壁部75aの先端部には、内径側に突出する突出部75dが形成されていることで、穿孔の際は勿論、穿孔後に取付フランジ筒71を首部5dから取り外す際にも、内壁部75aの内面に堆積や付着している切り粉が首部5dの内周面5h,5j、凹設部5iに落下することなく、内壁部75aの内面に滞留させることができる。
【0048】
なお、本実施例の内壁部75aの先端面75eは平坦状に形成されており、この先端面75eの一部が筐体5の首部5d内の基端側に周方向に湾曲形成された段部5kに接するとともに、上記した内底部75cが開放端部5cに接することで、内壁部75aの挿入が完了するようになっている。
【0049】
また、このとき、例えば筐体5の内外に連通する排出口として、筐体5の凹設部5iよりも流体管1側、すなわち首部5dの基端側に雌ネジ孔5pが形成されている。この雌ネジ孔5pを開閉可能に設けられた図示しないボールバルブを設置して、穿孔の際に発生する切り粉を流体とともに外部へ排出する。このようにすることで、穿孔の際に発生する切り粉が凹設部5i側に近づくことなく、この凹設部5iよりも上流である首部5dの基端部側に形成された雌ネジ孔5pを介し切り粉を外部に排出することができる。上記したボールバルブは、穿孔後に不断流状態で取外し、これに替えて
図10のような開閉ボルト5nにて密封する。
【0050】
なお、切り粉の排出口は上記に限られず、例えば本実施例の変形例として
図7に示されるように、内壁部75aに、雌ネジ孔5pに連通する連通口75pが形成されてもよい。このようにすることで、首部5d内に進入した切り粉は、連通口75p及び雌ネジ孔5pを通じて排出される。また本変形例の内壁部75aの先端面75fは、首部5d内の基端側に周方向に湾曲形成された段部5kに沿うように湾曲形成されており、すなわち先端面75fは全周にわたり段部5kに接するようになっている。このようにすることで、内壁部75aが、凹設部5iを閉塞する個所に安定的に位置決めされる。
【0051】
また、
図6に示されるように、カッタ72により流体管1が切断されると、流体管1から分断された切片1aがホールソー72a内に保持された状態となる。そして、カッタ72を切片1aとともに取付フランジ筒71の内部に引き込み、更に内壁部75aを凹設部5iよりも後方に引き下げて、作業弁3の作業弁体31により筐体5内部を閉塞することで、流体管1の穿孔作業が完了する。上記したように、筐体5の首部5d内の凹設部5iの開口を内壁部75aにより閉塞することで、筐体5内の流体管1の穿孔により生じる切り粉が凹設部5i内に進入することを防止できるため、この内壁部75aを開放した清浄な凹設部5iに作業弁体31を接触させることができ、筐体5を密封することができる。この際、穿孔機7の取付位置が流体管1に近く、取付フランジ筒71の内壁部75aと首部5dの内周面5h,5jとを受挿嵌合して穿孔作業を行うため、穿孔機7が筐体5に対して極力同芯で位置決めされ、穿孔機7本体の取付フランジと取付フランジ筒71の接続面の平行度のずれが生じても、穿孔部分への影響が極小化され穿孔ずれが抑制される。特に凹設部5iの嵌合により、作業弁体31の幅を薄くすることで、コストを抑え、且つ穿孔機7の流体管1からの距離が近くなり、穿孔の芯ずれを極小化し、流路の乱れを抑えることができ、この穿孔により、後述する制御弁10の栓体11(弁体)を挿入する際にも芯ずれのない穿孔で理想的な流体制御ができるような孔部1bを形成することができる。
【0052】
次に、作業弁3の作業弁体31により筐体5内部を密封状に閉塞した状態で、穿孔機7の撤去作業を行う。なお、この穿孔機7に替えて首部5dの開放端部5cに、穿孔の際に生じた切り粉を排出するための図示しない排出機を接続し、当該排出機によって筐体5や流体管1の内部に残留した切り粉を外部に排出すると好ましい。排出機は、特に図示しないが、例えば一端が筐体5の内部を移動可能に開口するとともに、他端が筐体5の外部に連通する筒状部と、該筒状体の内部を開閉可能な開閉弁部と、から構成されるものを適用し得る。
【0053】
次に、作業弁3の作業弁体31により筐体5内部を閉塞した状態で、排出機の撤去作業を行い、この排出機に替えて首部5dの開放端部5cに、管内流体を制御するための制流弁10を接続する。
【0054】
図8に示されるように、制流弁10は、流体管1の穿孔された孔部1bを通過し管内を開閉可能に水平方向に移動する栓体11(弁体)と、この栓体11を水平方向に移動可能に収容し、且つ先端が開放された周側部13を有する弁筐体12とから主として構成される。弁筐体12は、回転可能で且つ進退不能に枢支された状態で水平方向に延設された軸部材14を備え、この軸部材14に栓体11が螺合しており、この弁筐体12の外方に突出した軸部材14の端部の操作部14aを回転操作することで、栓体11が弁筐体12に対し軸部材14の軸方向に移動可能に構成されている。
【0055】
より詳しくは栓体11は、軸部材14に螺合した雌ネジを備えた雌ネジ片11aと、この雌ネジ片11aに係合して追従動作する芯部11bと、この芯部11bの全外面に亘って被覆した弾性材からなる栓部11cと、から主として構成されている。栓体11は、上記した軸部材14の回転により流体管1の孔部1bを通じて管内に移動して、栓部11cが流体管1の孔部1bと内周面1cに全周に亘って密接することで、管内の流路を完全に遮断し、または栓部11cの移動量に応じて管内の流路を一部遮断して流量を制御可能に構成されている。
【0056】
また制流弁10の弁筐体12は、その端部側に周側部13を上方に貫通し、常時は閉状態の開閉プラグ15が螺合する雌ネジ部を備えた空気抜き孔13aが形成されるとともに、周側部13の先端側の外周面に全周に亘る凹部13b、13bが、水平方向に離間して2条形成され、それぞれの凹部13bに密封部材21、22が設けられている。以下、弁筐体12の先端側を第1の密封部材21と称し、この第1の密封部材21よりも基端側を第2の密封部材22と称して説明する。
【0057】
図8に示されるように、本実施例の第1の密封部材21及び第2の密封部材22は、それぞれ環状に一体形成された弾性材からなり、同一の形状である。第1の密封部材21は、凹部13b内に保持される基端側の保持部21aと、この保持部21aに連なり弾性変形を許容する変形部21bとから構成されており、これらの密封部材21,22は、その弾性変形前の自然状態では、変形部21bの最外径が首部5dの内径よりも大径に形成されている。なお、第2の密封部材22は、上記した第1の密封部材21と同一の形状であるため、説明を省略する。
【0058】
また第1の密封部材21と第2の密封部材22との水平方向の離間距離は、首部5dの開口部5bの水平方向の開口幅よりも大きく構成されている。
【0059】
次に、制流弁10の設置工程について説明すると、先ず上記した押圧部80に代えて、作業弁3の支持部36,36に、制流弁10を筐体5に挿入するための挿入手段として、一対の液圧ロッド60を上下方向に立設する。液圧ロッド60は、作業弁3の支持部36に接続される支持プレート61と、この支持プレート61に固定支持された内空構造のシリンダ62と、このシリンダ62内に一端が嵌挿されたピストン63とから主として構成されている。液圧ロッド60は、このシリンダ62の内部に供給口62a,62aに接続される図示しない作動液ホースを介し、油等の作動液を供給ポンプ等により供給することで、その液圧によりピストン63を水平方向に押圧しながら伸縮可能となっている。また一対の液圧ロッド60、60は、それぞれのピストン63,63が同期して伸縮し、その上端が常に同じ位置に配置されるように構成されている。
【0060】
図8に示されるように、液圧ロッド60のピストン63,63を伸長させるとともに、これらの先端に制流弁10を押圧するための押圧部材64を架設し、ナット65で締結する。更に、この押圧部材64の略中央に貫通形成された嵌合部64aに、制流弁10の弁筐体12の端部周縁を嵌合させた状態とし、ピストン63,63を液圧により流体管1側に作動させることで、押圧部材64の底面である押圧面64bを介して制流弁10に流体管1側に押圧力を付与し、この制流弁10を首部5d内にて漸次流体管1側に移動させる。
【0061】
液圧ロッド60により首部5d内に挿入された制流弁10は、少なくとも密封部材21が首部5dの開口部5bよりも外側方の内周面5hに密接することで密封状態が保たれる。この密封状態にて、作業弁3の作業弁体31を開放する。
【0062】
制流弁10が流体管1側に移動するに際し、首部5dの内周面5hを密封していた第1の密封部材21が開口部5bを通過するとき、首部5dの内周面5hから離間するため一時的に密封状態を維持できなくなるが、このとき基端側の第2の密封部材22が首部5dの内周面5hを密封している。すなわち水平方向に離間したこれら第1の密封部材21及び第2の密封部材22により、制流弁10を設置するまで密封状態は常に維持され、流体漏洩を防止することができる。
【0063】
制流弁10は、第1の密封部材21が開口部5bよりも内側方(流体管1側)に超えて首部5dの内周面5jに密接し、且つ第2の密封部材22が開口部5bよりも外側方の内周面5hに密接する設置位置まで押圧される(
図9,10参照)。この設置位置にて、弁筐体12の周側部13の外径側に張り出し更に内側方に延びる鉤部13e,13eが、筐体5の首部5dの開放端部5cに形成された係合部としての切欠部5fに嵌合され、制流弁10は筐体5に対し周方向の移動を規制できるため、制流弁10が管内流体の流動により動いてしまう虞を回避できる。
【0064】
次に、
図9,10に示されるように、筐体5の開放端部5cの鍔部5e、及びこれに重合した制流弁10の張出部13dを、断面視略U字状に形成された分割構造の嵌合部材19によって嵌合することで、制流弁10は筐体5に対し外側方の抜け出しが規制される。
【0065】
また、制流弁10の設置位置にて、開閉プラグ15を螺出して空気抜き孔13aを開状態とすることで、密封状態の制流弁10の弁筐体12内に残留する空気を外部に放出する。
【0066】
上記したように制流弁10を設置した後、
図9,10に示されるように、この制流弁10に組付けていた押圧部材64及び液圧ロッド60を取外し、さらに筐体5の開口部5bに取り付けていた作業弁3を順次取外す。このとき、首部5dの開口部5bよりも下方の内周面5jを第1の密封部材21が密封しているため、開口部5bを開放しても内部流体の漏洩は防止されている。そのため栓体11による密封を行うことなく作業弁3を取外すことができ、作業弁3の老朽化の虞もない。
図9に示されるように、作業弁3を取外した後の開口部5bに閉塞蓋9を密封状に取付ける。
筐体105の第1分割体151は、流体管101に沿って管路方向に延設される管路筐体部105aと、管路筐体部105aの略中央で水平方向に分岐して延設され、分岐方向に開口する開放端部105c、及び側方に開口する開口部105bを有する筒状の首部105dとから構成され、平面視略T字状に形成されている。
更に首部105dの開放端部105cは、流体管101の管路方向に向けて一対に外径方向に突出したフランジ部105eと、このフランジ部105eの周方向に沿って形成された複数の貫通孔に挿通可能に構成された複数の押しボルト105fとを有している。
収容部材132は、回転可能で且つ進退不能に枢支され、水平方向に延設された軸部材134を備え、この軸部材134に作業弁体131が螺合しており、この収容部材132の外方に突出した軸部材134の先端部に取り付けた操作部材135を回転操作することで、作業弁体131が収容部材132に対しスライド可能に構成されている。
また、作業弁体131の両側面の辺部に沿って、無端状のシール部材131aが設置あるいは被覆されており、このシール部材131aの周縁部が凹設部105iの側壁105rに面当接することによって筐体105内を密封状に閉塞可能に構成される。このように、首部105dの内面に凹状弁座部としての凹設部105iを設けることで、流体管101内の圧力を利用してこの凹設部105iの側壁105rに作業弁体131の周縁部を面当接させることができるため、密封性を向上させることができる。更に上記したように、首部105dの内面に形成した凹設部105iに作業弁体131の周縁部を面当接させることで、作業弁体131を薄板状に形成できるため、筐体105の分岐方向の延長すなわち穿孔機107のストロークを短く構成することができ、穿孔機107が偏芯することなく、穿孔の精度を高めることが可能となる。また、作業弁体131の薄板状化により、当該作業弁体131や筐体105の小型化によるコストダウンを達成でき、更に穿孔の精度が高いため、後述する制御弁110の栓体111の挿入が適切に行われ、止水性、流体の制御性を向上させることができる。
作業弁103の取付手順について詳しくは、先ず収容部材132を、その開放部132bが首部105dの開口部105bに連通する位置にて首部105dの外面に配置する。
次に、この収容部材132を首部105dに対し締結する。本実施例では、収容部材132の開放部132bを囲むように複数形成された貫通孔と、首部105dの開口部105bを囲むように複数形成された雌ネジ孔とに架けて締結部材を螺合することで締結している。
また、取付フランジ筒171の内部には、カッタ172を移動可能に外嵌する筒状体178が、この取付フランジ筒171に対し水平方向に移動可能に設けられている。この筒状体178は、首部105dの内周面105h、105jよりも僅かに小径の外周面を有する略筒状に形成されており、この筒状体178は、その基端側に固定されるとともに取付フランジ筒171の外方に密封状態で延設された操作部179を押し引き操作することで、凹設部105iの開口を被覆する位置まで首部105d内に挿嵌されるようになっている。すなわち穿孔機107が備える筒状体178は、本発明の筒状部を構成している。また筒状体178は、取付フランジ筒171に螺挿された固定ねじ179aにより操作部179を固定することで、凹設部105iの開口を被覆する所定位置にて位置決めされる。なお位置決めは、固定ねじ179aによるものに限られず、例えば操作部179の頭部を押さえる機構としてもよい。
更に、筒状体178は、首部105dの内周面105h、105jに沿ってスライド可能に配置されていることで、この筒状体178の移動の精度を向上させ、凹設部105iを確実に閉塞若しくは開放できる。
また筒状体178の外周面は、首部105dの内周面105h、105jに近接して配置されており、このようにすることで、凹設部105iへの異物進入が防止される。
穿孔機107の取付手順について説明すると、取付フランジ筒171の先端に形成されたフランジ部175を、首部105dの開放端部105cのフランジ部105eに、周方向に複数の締結部材177によって密封状に締結する。
このとき、特に本実施例のように水平方向の分岐では、穿孔の際に発生する流体管101の切り粉の一部が首部105d内に進入するが、凹設部105iの開口を筒状体178が閉塞しているため、凹設部105iに向かう切り粉の進入を防止することができる。首部105d内に進入した切り粉は、この凹設部105iを被覆する筒状体178の内面に堆積や付着することになる。この際、例えば筒状体178の外周部に弾性体を接着ないし加硫して、内周面105h,105j、及び凹設部105iとの隙間、あるいは、それぞれの任意の箇所のみとの隙間を無くすようにしてもよい。
また、筒状体178の先端部には、内径側に突出する突出部178dが形成されていることで、穿孔の際は勿論、穿孔後に取付フランジ筒171及び筒状体178を首部105dから取り外す際にも、筒状体178の内面に堆積や付着している切り粉が首部105dの内周面105h,105j、凹設部105iに落下することなく、筒状体178の内面に滞留させることができる。
なお、本実施例の筒状体178の先端面178eは平坦状に形成されており、この先端面178eが筐体105の首部105d内に形成された段部105kに接することで、筒状体178の挿入が完了するようになっている。
次に、作業弁103の作業弁体131により筐体105内部を密封状に閉塞した状態で、穿孔機107の撤去作業を行う。この穿孔機107に替えて首部105dの開放端部105cに、穿孔の際に生じた切り粉を排出するための図示しない排出機を接続し、当該排出機によって筐体105や流体管101の内部に残留した切り粉を外部に排出すると好ましい。
次に、作業弁103の作業弁体131により筐体105内部を閉塞した状態で、排出機の撤去作業を行い、この排出機に替えて首部105dの開放端部105cに、管内流体を制御するための制流弁110を接続する。
収容筒116の内部には、制流弁110を筐体105に挿入するための挿入手段として、制流弁110を収容筒116の外方から水平方向に移動操作可能で且つ着脱可能に組み付けた挿入機160が設けられている。挿入機160は、収容筒116の基端部の中心を水平方向に貫くように延設されており、その中心側から順に、延設棒161、操作杆162、そして挿入筒163が主として構成されている。
また、この挿入筒163の先端部163aには、側面断面視で略方形状の貫通孔163cが形成されており、この貫通孔163cを補完するように側面視で略方形状に突設された取付治具126の突端部126aが貫通孔163cに内嵌している。このようにすることで、取付治具126を取付けた制流弁110が、挿入筒163に対し周方向に移動を規制される。なお、挿入筒163の貫通孔163c及びこれを補完する取付治具126の突端部126aの側面視形状は、略方形状に限られず、長方形状や楕円形状、小判形状など、非円形状であればよい。
上記したように挿入機160を操作し、制流弁110から切離した後、収容筒116内に導入した管内流体を図示しないドレン部により排出して、収容筒116を挿入機160とともに筐体105から取り外す。