(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013707
(43)【公開日】2025-01-24
(54)【発明の名称】ドラム式洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 33/34 20200101AFI20250117BHJP
D06F 33/54 20200101ALI20250117BHJP
【FI】
D06F33/34
D06F33/54
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024198714
(22)【出願日】2024-11-14
(62)【分割の表示】P 2020211877の分割
【原出願日】2020-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】大久保 晴加
(72)【発明者】
【氏名】鳶 幸生
(72)【発明者】
【氏名】竹村 ゆい
(57)【要約】
【課題】ドラム内の洗濯物全体にオゾン水が早く浸透されやすくなることにより、オゾン洗い工程の時間を短くできるドラム式洗濯機を提供する。
【解決手段】ドラム式洗濯機1は、外槽20内に配置され、水平軸周りに回転可能なドラム23と、ドラム23を回転させるための駆動モータ30と、オゾン水を生成するオゾン水生成装置62と、外槽20内から排水を行う排水部40と、駆動モータ30、オゾン水生成装置62および排水部40の動作を制御する制御部と、外槽20内の水位を検出する水位センサと、を備える。制御部は、外槽20内にオゾン水生成装置62により生成されたオゾン水を溜め、洗濯物が収容されたドラム23を駆動モータ30により回転させるオゾン洗い工程を実行し、オゾン洗い工程では、外槽20内のオゾン水の水位がドラム23内にオゾン水が進入する水位となる前から、ドラム23の回転を開始する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配置された外槽と、
前記外槽内に配置され、水平軸または水平方向に対して傾斜する回転軸周りに回転可能なドラムと、
前記ドラムを回転させるための駆動モータと、
オゾン水を生成するオゾン水生成部と、
前記外槽内から排水を行う排水部と、
前記駆動モータ、前記オゾン水生成部および前記排水部の動作を制御する制御部と、
前記外槽内の水位を検出する水位センサと、を備え、
前記制御部は、
前記外槽内に前記オゾン水生成部により生成されたオゾン水を溜め、洗濯物が収容された前記ドラムを前記駆動モータにより回転させるオゾン洗い工程を実行し、
前記オゾン洗い工程では、前記外槽内のオゾン水の水位が前記ドラム内にオゾン水が進入する水位となる前から、前記ドラムの回転を開始する、
ことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載のドラム式洗濯機において、
前記制御部は、前記オゾン洗い工程において、前記ドラム内の洗濯物がタンブリングする回転数で前記ドラムを回転させる、
ことを特徴とするドラム式洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラム式洗濯機に関する。かかるドラム式洗濯機は、洗濯から乾燥まで連続的に行うものであっても良いし、洗濯は行うが乾燥は行わないものであっても良い。
【背景技術】
【0002】
外槽内に洗濯槽が配設された洗濯機において、殺菌等の作用を衣類に加えるために、洗い工程において、オゾン水生成装置により生成されたオゾン水を外槽内に供給するようにした構成が、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明は、ドラム内の洗濯物全体にオゾン水が早く浸透されやすくなることにより、オゾン洗い工程の時間を短くできるドラム式洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の主たる態様に係るドラム式洗濯機は、筐体内に配置された外槽と、前記外槽内に配置され、水平軸または水平方向に対して傾斜する回転軸周りに回転可能なドラムと、前記ドラムを回転させるための駆動モータと、オゾン水を生成するオゾン水生成部と、前記外槽内から排水を行う排水部と、前記駆動モータ、前記オゾン水生成部および前記排水部の動作を制御する制御部と、前記外槽内の水位を検出する水位センサと、を備える。ここで、前記制御部は、前記外槽内に前記オゾン水生成部により生成されたオゾン水を溜め、洗濯物が収容された前記ドラムを前記駆動モータにより回転させるオゾン洗い工程を実行し、前記オゾン洗い工程では、前記外槽内のオゾン水の水位が前記ドラム内にオゾン水が進入する水位となる前から、前記ドラムの回転を開始する。
【0006】
上記の構成によれば、オゾン洗い工程において、オゾン水が洗濯物の内部に吸収され、そのオゾン水が洗濯物の内部の細菌等に作用し、除菌が行われる。
【0007】
さらに、上記の構成によれば、ドラム内にオゾン水が進入し始めると、直ちに洗濯物に吸収され始める。よって、ドラム内の洗濯物全体にオゾン水が早く浸透されやすくなるので、オゾン洗い工程の時間を短くできる。
【0008】
本態様に係るドラム式洗濯機において、前記制御部は、前記オゾン洗い工程において、前記ドラム内の洗濯物がタンブリングする回転数で前記ドラムを回転させるような構成とされ得る。
【0009】
上記の構成によれば、洗濯物がドラムの内周面にたたきつけられ、洗濯物の内部の細菌等が洗濯物の外へ出やすくなって、洗濯物の周囲のオゾン水に接触しやすくなる。これにより、洗濯物の除菌効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ドラム内の洗濯物全体にオゾン水が早く浸透されやすくなることにより、オゾン洗い工程の時間を短くできるドラム式洗濯機を提供できる。
【0011】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る、ドラム式洗濯機の構成を示す側面断面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る、ドラム式洗濯機の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る、除菌コースの洗濯運転の制御処理を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る、除菌コースの洗濯運転に含まれるオゾン洗い工程の制御処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、変更例1に係る、オゾン洗い工程の制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のドラム式洗濯機の一実施形態である乾燥機能を有さないドラム式洗濯機について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、ドラム式洗濯機1の構成を示す側面断面図である。
【0015】
ドラム式洗濯機1は、方形状の筐体10を備える。筐体10の前面には、中央部に、洗濯物が投入される円形の投入口11が形成される。投入口11は、開閉自在なドア12により覆われる。
【0016】
筐体10内には、外槽20が、複数のダンパー21とスプリング22とにより弾性的に支持される。外槽20内には、ドラム23が回転自在に配置される。ドラム23は、水平軸周りに回転する。ドラム23は、前面に円形の開口部23aを有し、外槽20は、ドラム23の開口部23aの前方に円形の開口部20aを有する。
【0017】
外槽20の開口部20aの周縁部と筐体10の投入口11の周縁部が、弾性材料からなる環状のパッキン24により連結される。閉じられたドア12の周面がパッキン24に接触し、投入口11とドア12との間が水封される。
【0018】
ドラム23の内周面には、多数の脱水孔23bが形成される。また、ドラム23の内周面には、前部に環状のバランサ25が設けられるとともに、周方向に等しい間隔で、ほぼ三角柱形状を有する3つのバッフル26が設けられる。
【0019】
外槽20の後方には、ドラム23を回転させるためのトルクを発生させる駆動モータ30が配置される。駆動モータ30は、たとえば、アウターロータ型のDCブラシレスモータである。駆動モータ30は、洗い工程およびすすぎ工程時には、ドラム23を、ドラム23内の洗濯物に加わる遠心力が重力より小さくなる回転数で回転させる。一方、駆動モータ30は、脱水工程時には、ドラム23を、ドラム23内の洗濯物に加わる遠心力が重力よりはるかに大きくなる回転数で回転させる。
【0020】
外槽20の底部には、排水口部20bが形成される。排水口部20bには、排水バルブ41が設けられる。排水バルブ41は、たとえば、バルブと、バルブを開閉させるトルクモータとを含む。排水バルブ41は、排水ホース42に接続される。排水バルブ41と排水ホース42は、外槽20内から排水を行う排水部40を構成する。排水バルブ41が開放されると、外槽20内に溜められた水が排水ホース42を通じて機外に排出される。
【0021】
筐体10内の上部には、外槽20内へ給水するための給水部50が配置される。給水部50は、第1給水バルブ51と、洗剤ボックス52と、給水ホース53と、注水管54とを含む。第1給水バルブ51は、筐体10の後方上部に配置され、洗剤ボックス52は、筐体10の前方上部に配置される。洗剤ボックス52には、洗剤が収容される洗剤容器52aが前方から引き出し自在に収容される。給水ホース53は、一端が第1給水バルブ51に接続され、他端が洗剤ボックス52に接続される。注水管54は、一端が洗剤ボックス52に接続され、他端が外槽20の上部に接続される。
【0022】
第1給水バルブ51が開放されると、水道栓から水道水が、給水ホース53、洗剤ボックス52および注水管54を流れて外槽20内に供給される。この際、洗剤容器52aに洗剤が収容されていれば、当該洗剤が水に押し流れて外槽20内に供給される。
【0023】
筐体10内の後部には、外槽20内へオゾン水を給水するためのオゾン水供給部60が配置される。オゾン水供給部60は、第2給水バルブ61と、オゾン水を生成するためのオゾン水生成装置62と、導入管63と、導出管64を含む。第2給水バルブ61は、筐体10の後方上部に配置され、第1給水バルブ51とともに、2連電磁バルブによって構成される。オゾン水生成装置62は、本発明のオゾン水生成部に相当する。
【0024】
オゾン水生成装置62は、外槽20の上部に配置され、ケース65と、オゾン電極66とを含む。ケース65の内部に流路が形成され、その流路内にオゾン電極66が配置される。オゾン電極66は、丸棒状の陽極と、陽極の外周に螺旋状に巻かれた線状の陰極と、陽極と陰極との間に介在するイオン交換膜とを含む。たとえば、陽極にはダイヤモンド電極が使用され、陰極には白金電極が使用される。
【0025】
導入管63は、一端が第2給水バルブ61に接続され、他端がケース65の流入口に接続される。導出管64は、一端がケース65の流出口に接続され、他端が外槽20の下部に接続される。
【0026】
第2給水バルブ61が開放されると、水道栓から水道水が、導入管63を介してケース65内に流入し、流路を流れる。オゾン電極66に通電が行われ、流路を流れる水が電気分解されてオゾンが発生する。発生したオゾンが水に溶解し、オゾン水が生成される。オゾン水は、ケース65から流出し、導出管64を介して外槽20内に供給される。なお、ケース65内で水に溶解されなかったオゾンは、導出管64を流れる間に水に溶解する。
【0027】
図2は、ドラム式洗濯機1の構成を示すブロック図である。
【0028】
ドラム式洗濯機1は、上述した構成に加え、制御部101と、記憶部102と、操作部103と、水位センサ104と、モータ駆動部105と、給水駆動部106と、排水駆動部107と、電極通電部108とを備える。
【0029】
操作部103は、機器に対する電源の投入および遮断を行う電源ボタンと、運転を開始させるためのスタートボタンと、洗濯運転に係る複数の運転コースの中から任意の運転コースを選択するためのコース選択ボタンとを含む。操作部103は、ユーザに操作されたボタンに応じた入力信号を制御部101に出力する。
【0030】
水位センサ104は、外槽20内の水位を検出し、検出した水位に応じた水位信号を制御部101に出力する。
【0031】
モータ駆動部105は、制御部101からの制御信号に従って、駆動モータ30を駆動する。モータ駆動部105は、駆動モータ30の回転数を検出する回転センサ、インバータ回路等を含み、制御部101により設定された回転数で駆動モータ30が回転するよう、駆動電力を調整する。
【0032】
給水駆動部106は、制御部101からの制御信号に従って、第1給水バルブ51および第2給水バルブ61を駆動する。排水駆動部107は、制御部101からの制御信号に従って、排水バルブ41を駆動する。電極通電部108は、制御部101からの制御信号に従って、オゾン電極66に通電を行う。
【0033】
記憶部102は、EEPROM、RAM等を含む。記憶部102には、各種運転コースの洗濯運転を実行するためのプログラムが記憶される。また、記憶部102には、これらプログラムの実行に用いられる各種パラメータや各種制御フラグが記憶される。
【0034】
制御部101は、操作部103、水位センサ104等からの各信号に基づいて、記憶部102に記憶されたプログラムに従い、モータ駆動部105、給水駆動部106、排水駆動部107、電極通電部108等を制御する。この結果、制御部101は、駆動モータ30、排水部40、給水部50およびオゾン水生成装置62の動作を制御する。
【0035】
さて、ドラム式洗濯機1は、ユーザによる操作部103の操作に基づき、各種運転コースの洗濯運転を行う。
【0036】
運転コースには、標準コース等、洗剤を用いる運転コースが含まれる。これら運転コースでは、洗い工程において、ドラム23内の衣類の負荷量に応じた所定水位まで、外槽20内に洗剤を含む水が溜められ、その水の中に浸された衣類が、ドラム23の正回転および逆回転が繰り返されることによりタンブリングされる。衣類の内部まで洗剤を含む水が浸透し、洗剤の力とタンブリングによる機械力とにより衣類の表面や内部に付着した汚れが落とされる。
【0037】
洗い工程の後に、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順次行われる。なお、運転コースによっては、すすぎ工程と中間脱水工程とが2回以上行われる場合がある。
【0038】
すすぎ工程では、外槽20内に所定水位までの水が溜められた状態でドラム23が正回転および逆回転し、衣類がタンブリングされる。これにより、洗濯物に含まれた洗剤が水とともに排出され、洗濯物がすすがれる。
【0039】
中間脱水工程および最終脱水工程では、駆動モータ30が一方向に高速回転し、ドラム23が、ドラム23内の洗濯物に作用する遠心力が重力よりはるかに大きくなる回転数で一方向に回転する。遠心力の作用により、洗濯物が、ドラム23の内周面に押し付けられ、脱水される。中間脱水工程では、たとえば、600rpmでドラムが回転し、最終脱水工程では、中間脱水工程での回転数よりも高い回転数、たとえば、750rpmでドラム23が回転する。
【0040】
運転コースには、標準コース等、洗剤を用いて洗濯物を洗う運転コースの他に、オゾン水を用いて洗濯物を洗うことにより、洗濯物に含まれる細菌やウィルスを取り除く除菌コースが含まれる。除菌コースでは、除菌のほか、オレイン酸を主成分とする皮脂の汚れを除去でき、また、花粉アレルゲンを不活化できる。よって、除菌コースは、洗剤で洗った洗濯物を部屋干しする前に除菌したい場合や、ウィルスや花粉の付着が気になる衣類を洗濯したい場合、アトピー性皮膚炎等の疾患を予防するために洗剤を用いない洗濯を行いたい場合などに利用され得る。
【0041】
以下、除菌コースの洗濯運転について、詳細に説明する。
【0042】
図3は、除菌コースの洗濯運転の制御処理を示すフローチャートである。
図4は、除菌コースの洗濯運転に含まれるオゾン洗い工程の制御処理を示すフローチャートである。
【0043】
操作部103において、コース選択ボタンにより除菌コースが選択された後にスタートボタンが押されると、除菌コースの洗濯運転が開始される。
【0044】
図3を参照し、制御部101は、まず、オゾン洗い工程を行う(S1)。
【0045】
図4を参照し、オゾン洗い工程が開始されると、制御部101は、まず、排水バルブ41を閉鎖する(S101)。次に、制御部101は、第2給水バルブ61を開放した後に(S102)、オゾン電極66に通電する(S103)。オゾン水生成装置62により所定の濃度、たとえば、高い除菌力が得られる濃度0.4ppm~1.0ppm程度のオゾン水が生成される。生成されたオゾン水は、オゾン水供給部60から外槽20内に供給され、外槽20内に溜まっていく。なお、外槽20内へのオゾン水の供給流量は、たとえば、2リットル/分程度とされる。
【0046】
外槽20内へのオゾン水の供給が開始されると、制御部101は、駆動モータ30を回転させて、ドラム23を回転させる(S104)。この際、制御部101は、ドラム23を、停止を挟んで正回転および逆回転させる。たとえば、オン時間は20秒に設定され、オフ時間は0秒に設定される。即ち、ドラム23は、停止すると直ちに反対の方向へ回転する。ドラム23の回転数は、ドラム23内の洗濯物に加わる遠心力が重力より小さく、洗濯物がタンブリングする回転数、たとえば、45rpmに設定される。なお、1秒から数秒程度のオフ時間が設けられてもよい。
【0047】
外槽20内のオゾン水の水位が上昇し、ドラム23内にオゾン水が浸入すると、タンブリングする洗濯物にオゾン水が吸収される。これにより、洗濯物の内部に存在する細菌等にオゾン水が接触し、細菌等が死滅する。また、洗濯物の表面に付着した細菌等は、洗濯物の周囲のオゾン水が接触して死滅する。さらに、洗濯物の内部の細菌等の一部は、タンブリングにより洗濯物がドラム23の上部から落下してドラム23の内周面にたたき付けられることにより、洗濯物の外へたたき出され、洗濯物の周囲のオゾン水に接触して死滅する。
【0048】
制御部101は、水位センサ104により外槽20内のオゾン水の水位を検出し、当該水位が規定水位Lに達したか否かを判定する(S105)。規定水位Lは、たとえば、ドラム23内に洗濯物がない状態で給水されたときに、外槽20内に15リットル程度のオゾン水が溜められる水位に設定される。本実施の形態では、
図1に示すように、規定水位Lに達したとき、オゾン水は、ドア12を水封するパッキン24の下部の位置まで溜められる。
【0049】
外槽20内の水位が規定水位Lに達すると(S105:YES)、制御部101は、オゾン電極66への通電を停止し(S106)、その後、第2給水バルブ61を閉鎖する(S107)。オゾン水供給部60から外槽20へのオゾン水の供給が停止する。さらに、制御部101は、駆動モータ30を停止させて、ドラム23を停止させる(S108)。こうして、オゾン洗い工程が終了する。
【0050】
なお、本実施の形態では、オゾン水の供給開始とともに、即ち、外槽20内のオゾン水の水位がドラム23内にオゾン水が進入する水位となる前から、ドラム23が回転するため、ドラム23内にオゾン水が進入し始めると、直ちにタンブリングする洗濯物に吸収され始める。よって、ドラム23内の洗濯物全体にオゾン水が早く浸透されやすくなるので、オゾン洗い工程の時間を短くできる。
【0051】
図3に戻り、オゾン洗い工程が終了すると、制御部101は、排水部40の動作による排水工程を行う(S2)。即ち、制御部101は、排水バルブ41を開放する。外槽20内からオゾン水が排出される。オゾン水とともに、死滅した細菌等も外槽20内から流し出される。外槽20内からのオゾン水の排出が完了すると、排水工程が終了する。排水バルブ41は開放されたままとされる。
【0052】
次に、制御部101は、オゾン洗い工程が規定回数終了したか否かを判定する(S3)。規定回数は、2回以上の回数であり、たとえば、3回に設定される。
【0053】
オゾン洗い工程は、1回終了しただけであり、規定回数終了していないため(S3:NO)、制御部101は、脱水工程を行う(S4)。即ち、制御部101は、ドラム23を、ドラム23内の洗濯物に加わる遠心力が重力よりはるかに大きくなるように、高速で回転させる。このときのドラム23の回転数は、標準コース等、洗剤を用いる洗濯運転における中間脱水工程のときのドラム23の回転数よりも高い回転数に設定される。たとえば、750rpmなど、最終脱水工程でのドラム23の回転数と等しい回転数でドラム23を回転させることができる。ドラム23内の洗濯物から脱水が行われ、洗濯物の保水率が大幅に低下する。
【0054】
所定の脱水時間、たとえば、4分が経過すると、制御部101は、ドラム23を停止させる。こうして、脱水工程が終了する。
【0055】
次に、制御部101は、2回目のオゾン洗い工程を行う(S1)。このオゾン洗い工程の前に行われた脱水工程により、ドラム23内の洗濯物は十分に保水率が低下しており、このオゾン洗い工程で外槽20内に供給された新しいオゾン水が洗濯物に十分に吸収される。これにより、前回のオゾン洗い工程で死滅せずに洗濯物の内部に存在する細菌等が、オゾン水に接触して死滅する。
【0056】
2回目のオゾン洗い工程が終了すると、制御部101は、排水工程を行う(S2)。さらに、その後、オゾン洗い工程が規定回数に達していなければ(S3:NO)、制御部101は、脱水工程を行った後に(S4)、再度、オゾン洗い工程を行う(S1)。このオゾン洗い工程においても、外槽20内に供給された新しいオゾン水が洗濯物に十分に吸収され、前回のオゾン洗い工程で死滅せずに洗濯物の内部に存在する細菌等が、オゾン水に接触して死滅する。
【0057】
その後、制御部101は、規定回数のオゾン洗い工程が終了することにより、排水工程(S2)の後に、S3においてオゾン洗い工程が規定回数に達したと判定すると(S3:YES)、最終脱水工程を行う(S5)。
【0058】
最終脱水工程において、制御部101は、S4の脱水工程と同じ回転数でドラム23を高速回転させる。所定の最終脱水時間、たとえば、脱水時間と同じ時間(たとえば、4分)が経過すると、制御部101は、ドラム23を停止させる。こうして、最終脱水工程が終了し、除菌コースの洗濯運転が終了する。なお、最終脱水工程において、制御部101は、S4の脱水工程よりも高い回転数でドラム23を回転させるようにしてもよく、また、脱水時間よりも長い最終脱水時間、ドラム23を回転させるようにしてもよい。
【0059】
<実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、外槽20内にオゾン水を溜め、洗濯物が収容されたドラム23を回転させるオゾン洗い工程が、外槽20内からオゾン水を排出させる排水工程とドラム23を回転させてドラム23内の洗濯物の脱水を行う脱水工程とを挟んで、複数回実行される。これにより、洗濯物の内部に吸収されたオゾン水が細菌等に作用してオゾンが消耗した状態となったときに、そのオゾン水を洗濯物から排出させて新たなオゾン水を洗濯物に吸収させ、新たなオゾン水を洗濯物の内部の細菌等に作用させることができる。よって、洗濯物の除菌効果を高めることができる。
【0060】
また、本実施の形態によれば、オゾン洗い工程では、ドラム23内の洗濯物がタンブリングする回転数でドラム23が回転するので、洗濯物がドラム23の内周面にたたきつけられ、洗濯物の内部の細菌等が洗濯物の外へ出やすくなって、洗濯物の周囲のオゾン水に接触しやすくなる。これにより、洗濯物の除菌効果を一層高めることができる。
【0061】
さらに、本実施の形態によれば、脱水工程では、洗剤を用いた洗濯運転において洗い工程後に行われる中間脱水工程のときの回転数よりも高い回転数でドラム23が回転するので、洗濯物の保水率を十分に低下させることができ、その後のオゾン洗い工程での洗濯物のオゾン水の吸収率が高めることができる。これにより、洗濯物の除菌効果を一層高めることができる。
【0062】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0063】
<変更例1>
図5は、変更例1に係る、オゾン洗い工程の制御処理を示すフローチャートである。
【0064】
上記実施の形態では、外槽20内へのオゾン水の供給が開始されたときに、ドラム23の回転が開始された。
【0065】
これに対し、変更例1では、
図5に示すように、第2給水バルブ61の開放(S102)とオゾン電極66への通電(S103)により外槽20内へのオゾン水の供給が開始されると、制御部101は、外槽20内のオゾン水の水位が開始水位に達したか否かを判定する(S111)。開始水位は、オゾン水がドラム23内に浸入し始める水位、あるいは、それより少し低い水位、たとえばオゾン水がドラム23の外周面に接触する水位に設定される。
【0066】
外槽20内のオゾン水の水位が開始水位に達すると(S111:YES)、制御部101は、駆動モータ30を回転させて、ドラム23を回転させる(S104)。
【0067】
変更例1の構成では、外槽20内に溜められたオゾン水がドラム23内の洗濯物に接触し始めるタイミングでドラム23を回転させることができる。
【0068】
<その他の変更例>
上記実施の形態および上記変更例1では、外槽20内のオゾン水の水位が規定水位Lに到達したときに、オゾン電極66への通電の停止(S107)と、第2給水バルブ61の閉鎖(S107)と、ドラム23の停止(S108)とが行われた。しかしながら、外槽20内のオゾン水の水位が規定水位Lに到達したときに、オゾン電極66への通電の停止(S107)と、第2給水バルブ61の閉鎖(S107)とが行われ、その後、所定時間が経過したときに、ドラム23の停止(S108)が行われてもよい。
【0069】
また、上記実施の形態では、最後のオゾン洗い工程が行われた後は、最終脱水工程が行われた。しかしながら、最後のオゾン洗い工程が行われた後にも脱水工程が行われる構成が採られてもよい。この場合、S3のオゾン洗い工程が規定回数終了したか否かの判定は脱水工程が行われた後に行われ、規定回数終了に基づいて、除菌コースの洗濯運転が終了する。
【0070】
さらに、上記実施の形態において、オゾン水供給部60の導出管64が、1本の管あるいは複数本の管により、蛇行する形状に形成されてもよい。この場合に、導出管64が外槽20の外周面に沿わされてもよい。この構成では、導出管64を長くできるので、オゾン水生成装置62のケース65内で水に溶解されなかったオゾンが、導出管64を流れる間に水に溶解しやすくなる。
【0071】
さらに、上記実施の形態では、オゾン洗い工程において、ドラム23が、洗濯物がタンブリングするような回転数で回転した。しかしながら、ドラム23が、洗濯物がタンブリングせずにドラム23の内周面に張り付くような回転数、たとえば、80rpmで回転するような構成が採られてもよい。
【0072】
さらに、上記実施の形態では、脱水工程において、洗剤を用いた洗濯運転において洗い工程後に行われる中間脱水工程のときの回転数よりも高い回転数でドラム23が回転した。しかしながら、ドラム23が中間脱水工程のときの回転数以下の回転数で回転するような構成が採られてもよい。
【0073】
さらに、上記実施の形態において、1回目のオゾン洗い工程の前に、ドラム23内の洗濯物の負荷量が検出され、検出された負荷量に応じてオゾン洗い工程が行われる規定回数が決定されるようにしてもよい。この場合、負荷量が多いほど、規定回数が多くなる。
【0074】
さらに、上記実施の形態では、ドラム式洗濯機1は、ドラム23が水平軸周りに回転するような構成とされた。しかしながら、ドラム式洗濯機1は、ドラム23が水平方向に対して傾斜した回転軸周りに回転するような構成とされても良い。
【0075】
さらに、上記実施の形態のドラム式洗濯機1は、乾燥機能を備えていないが、本発明は、乾燥機能を備えたドラム式洗濯機、即ち、ドラム式洗濯乾燥機に適用することもできる。ドラム式洗濯乾燥機は、上記実施の形態のドラム式洗濯機1の構成に加え、外槽20の底部に設けられた導出口と外槽20の上部に設けられた導入口とを繋ぐ循環風路と、循環風路内に配置されたファンおよびヒータとからなる乾燥ユニットを含む。この場合、オゾン水供給部60の導出管64が循環風路に接続され、オゾン水が循環風路を流れて導出口から外槽20内に供給されてもよい。
【0076】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0077】
10 筐体
20 外槽
23 ドラム
30 駆動モータ
40 排水部
62 オゾン水生成装置(オゾン水生成部)
101 制御部