(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013734
(43)【公開日】2025-01-27
(54)【発明の名称】レボドパ脂肪酸誘導体、その製剤、及びパーキンソン病の治療のためのそれらの使用
(51)【国際特許分類】
C07C 229/36 20060101AFI20250120BHJP
A61K 31/223 20060101ALI20250120BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20250120BHJP
A61K 9/127 20250101ALI20250120BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20250120BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20250120BHJP
【FI】
C07C229/36 CSP
A61K31/223
A61P25/16
A61K9/127
A61K9/107
A61K47/14
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024101091
(22)【出願日】2024-06-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2025-01-17
(31)【優先権主張番号】18/218,372
(32)【優先日】2023-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】524239449
【氏名又は名称】ダイナミック バイオロジクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デベン パテル
(72)【発明者】
【氏名】マノイ ケイ. ミシュラ
(72)【発明者】
【氏名】エイチ. ラジャン シャルマ
(72)【発明者】
【氏名】レーマ レディ ペッダレディ ガリ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4C076AA17
4C076AA19
4C076BB01
4C076BB11
4C076BB21
4C076BB31
4C076CC01
4C076DD46
4C076FF02
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA03
4C206FA56
4C206KA01
4C206KA17
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA42
4C206MA44
4C206MA72
4C206MA76
4C206MA83
4C206MA86
4C206NA12
4C206NA15
4C206ZA22
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB20
4H006BJ50
4H006BT12
4H006BT16
(57)【要約】
【課題】化合物又はその医薬的に許容される塩、水和物及び/もしくは溶媒和物を包含するレボドパ誘導体であって、前記化合物は、全体として、他の炭素原子又は水素原子のいずれかにのみ結合している少なくとも6個の炭素原子を含有する置換基を包含する、レボドパ誘導体を提供する。
【解決手段】レボドパ誘導体は、1種又は複数種の医薬的に許容される担体又は賦形剤を包含する組成物として製剤化され得る。レボドパ誘導体は、レボドパ誘導体が医薬的に許容されるポリマーにカプセル化されている微粒子又はナノ粒子を包含する医薬組成物の一部であり得る。レボドパ誘導体は、パーキンソン病を治療するのに十分な量を哺乳類に投与することによってパーキンソン病を治療するために使用することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物又はその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を含むレボドパ誘導体であって、前記化合物は、全体として、他の炭素原子又は水素原子のいずれかにのみ結合している少なくとも6個の炭素原子を含有する置換基を含む、レボドパ誘導体。
【請求項2】
全体として、他の炭素原子又は水素原子のいずれかにのみ結合する8~100個の炭素原子を含む置換基を含む、請求項1に記載のレボドパ誘導体。
【請求項3】
式Iの化合物又はその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を含み、
【化1】
式中、R
1は、飽和又は不飽和脂肪アルコールから誘導される分岐鎖又は直鎖のC4~34基を含み、このC4~34基は、カルボニルに直接的又は間接的に連結されて、エステル、アミド又は無水物構造を形成し、
R
3は、飽和又は不飽和脂肪酸から誘導される分岐鎖又は直鎖のC4~34基を含み、R
3は、酸素に直接的又は間接的に連結されて、エステル、カルボナート又はカルバマート構造を形成し、
R
4は、飽和又は不飽和脂肪酸から誘導される分岐鎖又は直鎖のC4~34基を含み、R
4は、酸素に直接的又は間接的に連結されて、エステル、カルボナート又はカルバマート構造を形成し、
R
2は、水素又は(C=O)R
5(式中、R
5は、C
1~3直鎖又は分岐鎖アルキル基である)を含む、請求項1に記載のレボドパ誘導体。
【請求項4】
式IIの化合物又はその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を含み、
【化2】
式中、R
6は、飽和又は不飽和脂肪アルコールの誘導体を含み、
式中、R
7は飽和又は不飽和脂肪酸の誘導体を含み、
式中、R
8は飽和又は不飽和脂肪酸の誘導体を含み、
R
2は、水素又は(C=O)R
5(式中、R
5は、C
1~3直鎖又は分岐鎖アルキル基である)である、請求項1に記載のレボドパ誘導体。
【請求項5】
式IIの化合物又はその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を含み、
【化3】
式中、R
6は、
(a)-O-R9(式中、R9は、4~34個の炭素原子を含み、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基を含む)、又は
(b)NH-R10(式中、R10は、4~34個の炭素原子を含み、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基を含む)、又は
(c)-O-C=O-R11(式中、R11は、4~34個の炭素原子を含み、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基を含む)
を含み、
式中、R7は、
(a)4~34個の炭素原子を含み、分岐鎖もしくは直鎖、置換もしくは非置換であるアルキルもしくはアルケニル基、又は
(b)-NH-R12(式中、R12は、4~34個の炭素原子を含み、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基を含む)、又は
(c)-O-R13(式中、R13は、4~34個の炭素原子を含み、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基を含む)
を含み、
式中、R
8は、
(a)4~34個の炭素原子を含み、分岐鎖もしくは直鎖、置換もしくは非置換であるアルキルもしくはアルケニル基、又は
(b)-NH-R14(式中、R14は、4~34個の炭素原子を含み、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基を含む)、又は
(c)-O-R15(式中、R15は、4~34個の炭素原子を含み、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基である)
を含み、
式中、R
2は、水素又は(C=O)R
5(式中、R
5はC
1~3直鎖又は分岐鎖アルキル基である)である、請求項1に記載のレボドパ誘導体。
【請求項6】
R6が、(CH3)3CO-、CH3CH2C(CH3)2O-、CH3CH2CCH3(O-)CH2CH3、CH3(CH2)6O-、CH3(CH2)7O-、CH3(CH2)8O-、CH3(CH2)8CH2O-、CH3(CH2)10CH2O-、CH3(CH2)11CH2O-、CH3(CH2)12CH2O-、CH3(CH2)13CH2O-、CH3(CH2)14CH2O-、CH3(CH2)5CH=CH(CH2)7CH2O-、CH3(CH2)15CH2O-、CH3(CH2)16CH2O-、CH3(CH2)7CH=CH(CH2)8O-、CH3(CH2)17CH2O-、CH3(CH2)18CH2O-、CH3(CH2)19CH2O-、CH3(CH2)20CH2O-、CH3(CH2)7CH=CH(CH2)11CH2O-、CH3(CH2)22CH2O-、CH3(CH2)24CH2O-、CH3(CH2)25CH2O-、CH3(CH2)26CH2O-、CH3(CH2)27CH2O-、CH3(CH2)28CH2O-、CH3(CH2)30CH2O-、CH3(CH2)32CH2O-、CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7CH2O-、及びCH3(CH2)4CH=CHCH2CH=CH(CH2)7CH2O-からなる群から選択される、請求項4に記載のレボドパ誘導体。
【請求項7】
R6が、CH3(CH2)3CH=CH(CH2)7CH2O-、CH3(CH2)8CH=CH(CH2)4CH2O-、CH3(CH2)5CH=CH(CH2)9CH2O-、CH3CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)7CH2O-、CH3(CH2)4CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)3CH2O-、CH3CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)3CH2O-、CH3(CH2)7CH=CH(CH2)11CH2O-、及びCH3CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)2CH2O-からなる群から選択される、請求項4に記載のレボドパ誘導体。
【請求項8】
R7及び/又はR8が、CH3(CH2)6-、CH3(CH2)8-、CH3(CH2)10-、CH3(CH2)12-、CH3(CH2)14-、CH3(CH2)16-、CH3(CH2)18-、CH3(CH2)20-、CH3(CH2)22-、CH3(CH2)24-、CH3(CH2)3CH=CH(CH2)7-、CH3(CH2)5CH=CH(CH2)7-、CH3(CH2)8CH=CH(CH2)4-、CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7-、CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7-、CH3(CH2)5CH=CH(CH2)9-、CH3(CH2)4CH=CHCH2CH=CH(CH2)7-(cis、cis)、CH3(CH2)4CH=CHCH2CH=CH(CH2)7-(trans、trans)、CH3CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)7-、CH3(CH2)4CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)3-、CH3CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)3-、CH3(CH2)7CH=CH(CH2)11-、及びCH3CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)2-からなる群から独立して選択される、請求項4に記載のレボドパ誘導体。
【請求項9】
【化4】
である、請求項4に記載のレボドパ誘導体。
【請求項10】
以下の化学式を有するHCl塩である、請求項4に記載のレボドパ誘導体。
【化5】
【請求項11】
薬学的有効量の請求項1に記載のレボドパ誘導体及び1種又は複数種の医薬的に許容される担体もしくは賦形剤を含む組成物。
【請求項12】
注射可能、吸入可能、経口摂取可能、又は局所用である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
リポソーム又はミセルの形態である、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
医薬的に許容される担体が、ヒマシ油又はその誘導体である、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
薬学的有効量の請求項1に記載のレボドパ誘導体及び医薬的に許容されるポリマーを含む微粒子又はナノ粒子を含む医薬組成物であって、請求項1に記載の前記レボドパ誘導体が前記医薬的に許容されるポリマー中にカプセル化されている医薬組成物。
【請求項16】
医薬的に許容されるポリマーが、ポリエチレングリコール、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(乳酸)-ブタノール、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(L-リジン)、ポリ(L-グルタミン酸)、ポリ((N-ヒドロキシアルキル)グルタミン)、デキストリン、ヒドロキシエチルデンプン、ポリシアル酸、ポリアセタール、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドコポリマー、ポリ(アミドアミン)デンドリマー、ならびにそれらの混合物、組合せ及びコポリマーからなる群から選択される、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
組成物が、1種又は複数種の医薬的に許容される担体又は賦形剤をさらに含む、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
注射可能、吸入可能、経口摂取可能、又は局所用である、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
パーキンソン病を治療するのに十分な量の請求項1に記載のレボドパ誘導体を哺乳類に投与することを含む、パーキンソン病の治療方法。
【請求項20】
パーキンソン病を治療するのに十分な量の請求項11に記載の組成物を哺乳類に投与することを含む、パーキンソン病の治療方法。
【請求項21】
組成物が、静脈内、筋肉内、腹腔内、経口、又は皮下投与される、請求項20に記載のパーキンソン病の治療方法。
【請求項22】
組成物が、カルビドパ及び/又はCOMT阻害薬と同時投与される、請求項20に記載のパーキンソン病の治療方法。
【請求項23】
組成物が、カルビドパ及び/又はエンタカポンと同時投与される、請求項20に記載のパーキンソン病の治療方法。
【請求項24】
組成物が1日1回投与される、請求項20に記載のパーキンソン病の治療方法。
【請求項25】
組成物が最大で週に2回又は3回投与される、請求項20に記載のパーキンソン病の治療方法。
【請求項26】
組成物が週又は隔週に1回投与される、請求項20に記載のパーキンソン病の治療方法。
【請求項27】
組成物が月に1回投与される、請求項20に記載のパーキンソン病の治療方法。
【請求項28】
パーキンソン病を治療するのに十分な量の請求項15に記載の組成物を哺乳類に投与することを含む、パーキンソン病の治療方法。
【請求項29】
組成物がカルビドパ及び/又はCOMT阻害薬と同時投与される、請求項28に記載のパーキンソン病の治療方法。
【請求項30】
組成物がカルビドパ及び/又はエンタカポンと同時投与される、請求項28に記載のパーキンソン病の治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レボドパの脂肪酸及び/又は脂肪アルコール誘導体ならびにレボドパ誘導体のポリマーナノ粒子/微粒子製剤に関する。これらの化合物及び組成物は、パーキンソン病の治療に有用である。
【0002】
背景技術
レボドパ(別様にL-DOPAと呼ばれる)は、以下に示すように、(S)-2-アミノ-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロパン酸の一般名である。
【化1】
【0003】
レボドパは、ドーパミンの主な供給源である芳香族アミノ酸誘導体である。ヒト及び他の動物では、レボドパはアミノ酸のL-チロシンから合成され、まとめてカテコールアミンとして知られる神経伝達物質であるドーパミン、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)及びエピネフリン(アドレナリン)の合成における前駆体として機能する。
【0004】
パーキンソン病(PD)は、60歳を超える人口の約1~2%が罹患する進行性の神経変性疾患である。症状には、黒質におけるドーパミン作動性ニューロンの選択的変性の結果、黒質線条体経路の破壊及び線条体ドーパミンレベルの低下によって引き起こされる静止時振戦、硬直、運動の緩慢さ、及び姿勢不安定性が挙げられる。Olanowら、Neurology.2009;72(21 Suppl 4):S1-136。
【0005】
PDの治療における高用量レボドパ(3~16g/日)の有効性は、1969年に最初に報告された(Cotziasら、N.Engl.J.Med.1969;280(7):337-345;Yahrら、Arch.Neurol.1969;21(4):343-354)。米国食品医薬品局(「FDA」)は1970年にレボドパをPDの治療に承認した。レボドパは、ドーパミンとは異なり、血液脳関門(BBB)を通過することができ、中枢神経系ならびに末梢循環(末梢循環はBBBを通過する前の循環である)でドーパミンに変換される。最も一般的には、レボドパは、PDの治療のためのドーパミン補充剤として使用され、PDで明らかな徐脈性症状を制御するのに特に有効である。レボドパは、パーキンソン病の全病期の対症療法に推奨され、経口経路で毎日複数回投与される。レボドパは、末梢でドーパミンに変換されるレボドパの量を減少させるために、ドーパミン脱炭酸酵素阻害薬であるカルビドパと共に一般的に投与され、そのため、より多くのレボドパがBBBを通過してドーパミンに変換される。したがって、この併用療法は、より多くのレボドパがBBBを通過することを可能にする。ドーパミンに変換されると、シナプス後ドーパミン作動性受容体を活性化し、内因性ドーパミンの減少を補償する。
【0006】
レボドパは小腸に吸収され、投与された経口用量の95%が、胃、腸、腎臓及び肝臓の内腔の芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)によって事前に全身的にドーパミンに脱炭酸される。レボドパはまた、肝臓カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)酵素系によって3-Oメチルドパ(3-OMD)にメトキシ化され得、これは中枢ドーパミンに変換することができない。したがって、レボドパの経口用量のごく一部がBBBを横切って中枢神経系(CNS)に輸送され、そこで脳のAADC酵素によって神経伝達物質のドーパミンに変換される。ドーパミンは、様々な代謝プロセスを介して硫酸化又はグルクロン酸化代謝産物及びホモバニリン酸にさらに変換される。レボドパの一次代謝産物は、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸(13~47%)及びホモバニリン酸(23~39%)である。
【0007】
胃のAADC酵素及びCOMT酵素はレボドパを分解するため、薬物レボドパは、以下の薬剤と共に投与されてもよい:i)末梢ドーパミン脱炭酸酵素阻害薬(カルビドパ)(当該薬剤の非存在下では、レボドパの90%が腸壁で代謝される)、及びii)COMT阻害薬(エンタカポン);脳内のレボドパのバイオアベイラビリティをさらに改善するため、COMT阻害薬。例えば以下を参照されたい:Hauser RA.「Levodopa:past,present,and future」.Eur Neurol.2009;62(1):1-8.doi:10.1159/000215875.Epub 2008 Sep 9.PMID:19407449;及びTambasco N、Romoli M、Calabresi P.「Levodopa in Parkinson’s Disease:Current Status and Future Developments」.Curr Neuropharmacol.2018;16(8):1239-1252.doi:10.2174/1570159X15666170510143821.PMID:28494719;PMCID:PMC6187751。
【0008】
AADC阻害薬及びCOMTの阻害薬は、胃及び末梢におけるレボドパの脱炭酸を阻害し、より多くのレボドパをBBBを通過する輸送に利用可能にして脳のドーパミン含有量を増加させる。カルビドパは、レボドパと共に投与した場合、所定の応答をもたらすのに必要なレボドパの量を75%減少させる。レボドパ/カルビドパと同時投与した場合、200mg用量のエンタカポンはレボドパ血漿曝露を35~40%増加させる。
【0009】
レボドパ単独の血漿中半減期は約50分である。カルビドパ(Sinemet(登録商標)及びSinemet(登録商標)CR 50-200)と一緒に投与した場合、その半減期は1.5時間に増加する(Sinemet(登録商標)ラベル、NDA17555)。ピーク血漿濃度に達する時間(Tmax)は、Sinemet(登録商標)では約0.5時間、Sinemet(登録商標)CRでは2時間であり、ピーク血漿濃度(Cmax)は、Sinemet(登録商標)対Sinemet(登録商標)CR(Sinemet(登録商標)CRラベル、NDA 019856)では1151ng/mL対3256ng/mLであった。Stalevo(登録商標)(カルビドパ、レボドパ及びエンタカポンの組合せ、37.5/150/200mg)の投与後、tmaxは約1.5時間であり、Cmaxは1270±329ng/mL(STALEVO(登録商標)ラベル、NDA 21485)である。
【0010】
レボドパの一般的な副作用には、悪心、嘔吐、口の乾き、食欲不振、胸やけ、下痢、便秘、めまい、筋肉痛、しびれ又は刺痛及び睡眠障害が挙げられる。重篤な副作用には、気分変化、瞬目/単収縮の増加、及び不随意運動/痙攣の悪化が挙げられる。運動変動(ジスキネジア及び異常な不随意運動を包含する)は、レボドパの薬物動態、その不規則な取り込み、短い半減期、低いバイオアベイラビリティ及び血漿濃度の著しい変動と密接に関連している。LeWitt,Mov.Disord.2015;30(1):64-72;Tambascoら、Curr Neuropharmacol.2018;16(8):1239-1252。
【0011】
低用量のレボドパを使用し、一定のドーパミンレベルを維持することによって、ジスキネジアの発症を回避することができる。継続的なドーパミン作動性刺激を達成するためのレボドパの送達経路を見出すための研究が進行中である。Abbvie(Duopa(登録商標))によって開発された空腸内注入は、進行したパーキンソン病患者の運動症状の変動の治療のために連続注入によって行われ、2015年にFDAによって承認された。Acorda Therapeutics,Inc.によるレボドパ吸入粉末Inbrija(登録商標)は、2018年にFDAによって承認された。ABBV-951(Abbvie)及びND6012(Neuroderm/田辺三菱)などの連続皮下(SC)注入のためのいくつかの他の製剤が開発中である。
【0012】
レボドパは、より良好な脳取り込みのために水溶性エステル及びアミド誘導体に修飾されている。In levodopa、Di Stefano A、Sozio P、Cerasa LS、Iannitelli A.「L-Dopa prodrugs:an overview of trends for improving Parkinson’s disease treatment」.Curr Pharm Des.2011;17(32):3482-93.doi:10.2174/138161211798194495.PMID:22074421を参照されたい。
【0013】
レボドパでは、ベンゼン環の3,4位に2つのベンジルヒドロキシル基、アルキル鎖の2位に1つのアミン基、及びアルキル鎖の末端に1つの活性カルボキシル基が存在する。レボドパの2つのヒドロキシル基は、エステル誘導体に修飾することができる。レボドパのメチルエステル(Levomet(登録商標))は既に市場に出ている。しかしながら、エチルエステル誘導体(エチレボドパ、TV-1203)は、第III相臨床試験においてレボドパよりも有効性が低いことが分かった。
【0014】
国際公開第2020/264460号パンフレットは、レボドパの早期反応を減少させる方法を開示している。本発明は、国際公開第2020/264460号パンフレットの本発明を改良する。国際公開第2020/264460号パンフレットの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0015】
レボドパ(又はそのプロドラッグ)を利用する現在の治療では、PDの治療のために、レボドパは非常に短い血漿半減期を有するため、顕著な血漿薬物濃度変動をもたらし、これによりBBBを通過するレボドパの量が変動し、脳内のドーパミンレベルが一貫しないものとなる。血漿濃度のこれらの変動は、疾患の進行に伴い治療応答の変動として反映される。安定したレベルの血漿レボドパ濃度を提供し、より長期間にわたって安定したBBBを通過する量をもたらす治療が必要である。本発明は、これらすべての必要性に応えるものであ。
【0016】
発明の概要
【0017】
一態様では、本発明は、化合物又はその医薬的に許容される塩、水和物及び/もしくは溶媒和物を包含するレボドパ誘導体であって、全体として、他の炭素原子又は水素原子のいずれかにのみ結合している少なくとも6個の炭素原子を含有する置換基を含むレボドパ誘導体に関する。レボドパ誘導体は、全体として、他の炭素原子又は水素原子のいずれかにのみ結合する8~100個の炭素原子を含む置換基を包含し得る。
【0018】
本発明の一側面では、本レボドパ誘導体は式Iの化合物又はその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を包含し、
【化2】
式中、R
1は、飽和又は不飽和脂肪アルコールから誘導される分岐鎖又は直鎖のC4~34基であり得、このC4~34基は、カルボニルに直接的又は間接的に連結されて、エステル、アミド又は無水物構造を形成する。R
3は、飽和又は不飽和脂肪酸から誘導される分岐鎖又は直鎖のC4~34基であり得、R
3は、酸素に直接的又は間接的に連結されて、エステル、カルボナート又はカルバマート構造を形成する。R
4は、飽和又は不飽和脂肪酸から誘導される分岐鎖又は直鎖のC4~34基であり得、R
4は、酸素に直接的又は間接的に連結されて、エステル、カルボナート又はカルバマート構造を形成する。R
2は、水素又は(C=O)R
5(式中、R
5は、C
1~3直鎖又は分岐鎖アルキル基である)であり得る。
【0019】
別の態様では、本レボドパ誘導体は、式IIの化合物又はその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を包含し、
【化3】
式中、R
6は、飽和又は不飽和脂肪アルコールの誘導体であり得、
式中、R7は飽和又は不飽和脂肪酸の誘導体であり得、
式中、R
8は飽和又は不飽和脂肪酸の誘導体であり得、
R
2は、水素又は(C=O)R
5(式中、R
5は、C
1~3直鎖又は分岐鎖アルキル基である)である。
【0020】
さらに別の態様では、レボドパ誘導体が、式IIの化合物又はその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を包含し、
【化4】
式中、R
6は、
(a)-O-R9(式中、R9は、4~34個の炭素原子を包含してもよく、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基であり得る)、又は
(b)NH-R10(式中、R10は、4~34個の炭素原子を包含してもよく、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基であり得る)、又は
(c)-O-C=O-R11(式中、R11は、4~34個の炭素原子を包含してもよく、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基であり得る)であり得、
式中、R7は、
(a)4~34個の炭素原子を包含してもよく、分岐鎖もしくは直鎖、置換もしくは非置換であるアルキルもしくはアルケニル基、又は
(b)-NH-R12(式中、R12は、4~34個の炭素原子を包含してもよく、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基であり得る)、又は
(c)-O-R13(式中、R13は、4~34個の炭素原子を包含してもよく、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基を包含する)であり得、
式中、R
8は、
(a)4~34個の炭素原子を包含してもよく、分岐鎖もしくは直鎖、置換もしくは非置換であるアルキルもしくはアルケニル基、又は
(b)-NH-R14(式中、R14は、4~34個の炭素原子を包含してもよく、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基であり得る)、又は
(c)-O-R15(式中、R15は、4~34個の炭素原子を包含してもよく、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基であり得る)であり得、
式中、R
2は、水素又は(C=O)R
5(式中、R
5は、C
1~3直鎖又は分岐鎖アルキル基である)である。
【0021】
本発明の一側面では、式IIにおいて、R6は、(CH3)3CO-、CH3CH2C(CH3)2O-、CH3CH2CCH3(O-)CH2CH3、CH3(CH2)6O-、CH3(CH2)7O-、CH3(CH2)8O-、CH3(CH2)8CH2O-、CH3(CH2)10CH2O-、CH3(CH2)11CH2O-、CH3(CH2)12CH2O-、CH3(CH2)13CH2O-、CH3(CH2)14CH2O-、CH3(CH2)5CH=CH(CH2)7CH2O-、CH3(CH2)15CH2O-、CH3(CH2)16CH2O-、CH3(CH2)7-CH=CH-(CH2)8O-、CH3(CH2)17CH2O-、CH3(CH2)18CH2O-、CH3(CH2)19CH2O-、CH3(CH2)20CH2O-、CH3(CH2)7CH=CH(CH2)11CH2O-、CH3(CH2)22CH2O-、CH3(CH2)24CH2O-、CH3(CH2)25CH2O-、CH3(CH2)26CH2O-、CH3(CH2)27CH2O-、CH3(CH2)28CH2O-、CH3(CH2)30CH2O-、CH3(CH2)32CH2O-,CH3(CH2)3CH=CH(CH2)7CH2O-、CH3(CH2)8CH=CH(CH2)4CH2O-、CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7CH2O-、CH3(CH2)5CH=CH(CH2)9CH2O-、CH3(CH2)4CH=CHCH2CH=CH(CH2)7CH2O-、CH3CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)7CH2O-、CH3(CH2)4CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)3CH2O-、CH3CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)3CH2O-、CH3(CH2)7CH=CH(CH2)11CH2O-、及びCH3CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)2CH2O-からなる群から選択される。
【0022】
式IIにおいて、R7及び/又はR8は、CH3(CH2)6-、CH3(CH2)8-、CH3(CH2)10-、CH3(CH2)12-、CH3(CH2)14-、CH3(CH2)16-、CH3(CH2)18-、CH3(CH2)20-、CH3(CH2)22-、CH3(CH2)24-、CH3(CH2)3CH=CH(CH2)7-、CH3(CH2)5CH=CH(CH2)7-、CH3(CH2)8CH=CH(CH2)4-、CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7-、CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7-、CH3(CH2)5CH=CH(CH2)9-、CH3(CH2)4CH=CHCH2CH=CH(CH2)7-(cis、cis)、CH3(CH2)4CH=CHCH2CH=CH(CH2)7-(trans、trans)、CH3CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)7-、CH3(CH2)4CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)3-、CH3CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)3-、CH3(CH2)7CH=CH(CH2)11-、及びCH3CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)2-からなる群から独立して選択され得る。
【0023】
本発明の別の態様では、本レボドパ誘導体は、式IIの化合物又はその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物であってもよく、
【化5】
式中、R
6は、
(a)-O-R9(式中、R9は、4~34個の炭素原子を包含し、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基であり得る)、又は
(b)NH-R10(式中、R10は、4~34個の炭素原子を包含し、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基であり得る)、又は
(c)-O-C=O-R11(式中、R11は、4~34個の炭素原子を包含し、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基であり得る)であってもよく、
式中、R7は、
(a)4~34個の炭素原子を包含し、分岐鎖もしくは直鎖、置換もしくは非置換であるアルキルもしくはアルケニル基、又は
(b)-NH-R12(式中、R12は、4~34個の炭素原子を包含し、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基であり得る)、又は
(c)-O-R13(式中、R13は、4~34個の炭素原子を包含し、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基であり得る)を包含してもよく、
式中、R
8は、
(a)4~34個の炭素原子を包含し、分岐鎖もしくは直鎖、置換もしくは非置換であるアルキルもしくはアルケニル基、又は
(b)-NH-R14(式中、R14は、4~34個の炭素原子を包含し、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基であり得る)、又は
(c)-O-R15(式中、R15は、4~34個の炭素原子を包含し、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基であり得る)であってもよく、
式中、R
2は水素又は(C=O)R
5(式中、R
5はC
1~3直鎖又は分岐鎖アルキル基である)である。
【0024】
本発明において、本レボドパ誘導体は、(S)-4-(2-アミノ-3-(ドデシルオキシ)-3-オキソプロピル)-1,2-フェニレンジドデカノアートであり得、これは例においてDB104として特定され、化学式はC
45H
79NO
6、分子量は730.13である。本レボドパ誘導体(DB104)は、以下の分子構造を有し得る。
【化6】
加えて本発明では、他の脂肪酸又は脂肪アルコールで修飾されたレボドパも想起され提供される。
【0025】
別の態様では、本レボドパ誘導体は、以下の化学式を有するHCl塩である。
【化7】
【0026】
本発明は、薬学的有効量の本発明のレボドパ誘導体及び1種又は複数種の医薬的に許容される担体又は賦形剤を含有する組成物を対象とし得る。そのような組成物は、注射可能、吸入可能、経口摂取可能、又は局所用であり得る。そのような組成物は、リポソーム又はミセルの形態であり得る。本レボドパ誘導体の医薬的に許容される担体は、ヒマシ油又はその誘導体であり得る。
【0027】
さらに別の態様では、本発明は、薬学的有効量の本レボドパ誘導体及び医薬的に許容されるポリマーを包含する微粒子又はナノ粒子を含有する医薬組成物であって、本レボドパ誘導体が医薬的に許容されるポリマー中にカプセル化されている医薬組成物を対象とし得る。医薬的に許容されるポリマーは、ポリエチレングリコール、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(乳酸)-ブタノール、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(L-リジン)、ポリ(L-グルタミン酸)、ポリ((N-ヒドロキシアルキル)グルタミン)、デキストリン、ヒドロキシエチルデンプン、ポリシアル酸、ポリアセタール、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドコポリマー、ポリ(アミドアミン)デンドリマー、ならびにそれらの混合物、組合せ及びコポリマーからなる群から選択され得る。
【0028】
さらに別の態様では、本発明は、パーキンソン病を治療するのに十分な量の本レボドパ誘導体を哺乳類に投与することを包含する、パーキンソン病の治療方法を対象とし得る。本レボドパ誘導体は、静脈内、筋肉内、腹腔内、経口、又は皮下投与され得る組成物の形態であり得る。
【0029】
本レボドパ誘導体を含有する組成物は、パーキンソン病の治療のためにカルビドパ及び/又はエンタカポンと同時投与され得る。
【0030】
別の態様では、本レボドパ誘導体を含有する組成物を使用して、パーキンソン病患者に1日1回投与することによってパーキンソン病を治療することができる。別の態様では、組成物は、最大で週に2回又は3回投与され得る。さらに別の態様では、組成物は、週又は隔週に1回投与され得る。組成物は、月1回投与され得る。
【0031】
一態様では、本レボドパ誘導体を含有する組成物は、薬学的有効量の本レボドパ誘導体及び医薬的に許容されるポリマーを含有する微粒子又はナノ粒子を含む医薬組成物であり得、パーキンソン病を治療するためにカルビドパ及び/又はエンタカポンと同時投与され得る。このような組成物は、静脈内、筋肉内、腹腔内、経口、又は皮下投与され得る。投与は、1日1回、最大で週に2回又は3回、週又は隔週に1回、又は月に1回であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に記載される詳細な説明は、主題技術の構成のすべてではなく一部の説明として意図され、網羅的なリストを表すことを意図するものではない。詳細な説明は、本発明及び主題技術の完全な理解を提供する目的のための特定の詳細を包含する。本発明及び技術は、本明細書に記載の特定の詳細に限定されず、これらの特定の詳細なしで実施され得る。他の例では、本開示を不明瞭にしないように、周知の構造及び技術は詳細に示されていない。例示的な態様は、以下で詳細に説明することができる。特定の例示的な態様を説明することができるが、これは例示のみを目的として行われることを理解されたい。例示的な態様を説明及び例示する際に、明確にするために特定の用語を使用することができる。しかしながら、態様は、そのように選択された特定の専門用語に限定されることを意図しない。当業者は、態様の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の構成要素及び構成が使用され得ることを認識するであろう。各特定の要素は、同様の目的を達成するために同様の方法で動作するすべての技術的等価物を包含することを理解されたい。本明細書に記載の例及び態様は、非限定的な例である。
【0033】
本明細書で引用されるすべての刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で使用される場合、「a」という用語は、1つ以上を指す。「包含する(including)」、「例えば(for example)」、「など(such as)」、「例えば(e.g.)」、「であってもよい(may be)」などの用語は、列挙された例を含むが、これらに限定されないことを意味する。
【0034】
「一態様」、「態様」、「例示的な態様」、「様々な態様」などへの言及は、そのように記載された本発明の態様が特定の特徴、構造、又は特性を包含することができるが、必ずしもすべての態様がその特定の特徴、構造、又は特性を包含するとは限らないことを示すことができる。
【0035】
さらに、「一態様では」又は「例示的な態様では」という語句の繰り返しの使用は、必ずしも同じ態様を指すとは限らないが、同じ態様を指してもよい。本明細書に記載の様々な態様を組み合わせることができ、かつ/又は態様の特徴を組み合わせて新しい態様を形成することができる。
【0036】
本発明の様々な態様を本明細書で説明してきたが、これは例としてのみ提示されており、限定するものではないことを理解されたい。したがって、本発明の幅及び範囲は、記載された例示的な態様のいずれによっても限定されるべきではない。説明されている本発明の態様は、追加の態様を導出するために、説明されている態様の間で除去又は組み合わせることができる特徴を含むことができる。本明細書に開示される任意の範囲は、そのような開示された範囲内の任意の範囲を開示及び開示することを意図している。
【0037】
見出し及び小見出しがある場合、それらは便宜上使用されているにすぎず、本発明を限定するものではない。
【0038】
「態様」などの語句は、そのような態様が主題技術に必須であること、又はそのような態様が主題技術のすべての構成に適用されることを意味しない。態様に関する開示は、すべての構成に適用されてもよく、又は1つもしくは複数の構成に適用されてもよい。1つの態様などの語句は、1つ又は複数の態様を指すことができ、その逆も可能である。「態様」などの語句は、そのような態様が主題技術に必須であること、又はそのような態様が主題技術のすべての構成に適用されることを意味しない。態様に関する開示は、すべての態様、又は1つもしくは複数の態様に適用することができる。そのような態様という語句は、1つ又は複数の態様を指してもよく、その逆であってもよい。
【0039】
当業者に知られている、又は後に当業者に知られるようになる、本開示を通して説明される様々な態様の要素に対するすべての構造的及び機能的等価物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、特許請求の範囲に包含されることが意図される。さらに、本明細書に開示されたものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、一般向けを意図していない。さらに、「包含する(include)」、「有する(have)」などの用語が明細書又は特許請求の範囲で使用される限り、このような用語は、「備える、含む(comprise)」が特許請求の範囲における移行語として使用される場合に解釈されるように、「備える、含む」という用語と同様に包括的であることを意図している。
【0040】
レボドパは、パーキンソン病を治療するために単独で利用される場合、BBBを通過してドーパミンレベルを適切に増加させる機会を得る前に大部分が分解される。本発明の一部として、早期分解からレボドパを保護するために本レボドパ誘導体の一部として「脂肪」型の構造を付加することによって、より多くのレボドパがBBBを通過するために利用可能になることが見出された。したがって、患者はより良い結果を得るために活性成分をより少なく消費することができ、これはまた、活性成分のBBBへの持続的な通過をもたらし、そのため脳内に一定のレベルのドーパミンが存在する。
【0041】
これらの「脂肪」型の構造は、分子のレボドパ活性部分の保護を助ける。さらに、これらの「脂肪」型の構造は、より「脂肪が多く」、したがってBBBを通過するための所望の特性である脂質に可溶性であるため、BBBを通過することがより可能になると考えられる。分子の「脂肪」部分が小さすぎる場合、レボドパ活性部分の早期分解からの保護が不十分である可能性があり、レボドパ誘導体がBBBを通過するのに有効でない可能性がある。あるいは、「脂肪」部分が大きすぎると、レボドパ誘導体を分解して使用可能な形態にすることが困難になりすぎる可能性があり、これもまた、BBBを容易に通過することを困難にする可能性がある。本発明は、以下により完全に記載されるように、新しい化学構造及び組成物によるこれらの課題のすべてに対処する。
【0042】
本質的に、本発明の化合物は、より低い用量でのバイオアベイラビリティの増加、各投与後の規定期間にわたる予測可能な薬物放出プロファイル、患者コンプライアンスの向上、塗布容易性、初回通過代謝の回避による全身利用可能性の改善、治療の有効性を損なうことのない投与頻度の減少、副作用発生率の低下、より良好なBBB輸送、及び医療の全体的なコスト削減を含むいくつかの利点を有する。
【0043】
一態様では、本発明は、特定の化合物ならびにそのような化合物の医薬的に許容される塩、水和物及び/又は溶媒和物を包含するレボドパ誘導体を対象とする。化合物ならびにそのような化合物の医薬的に許容される塩、水和物及び/又は溶媒和物を包含するレボドパ誘導体は、まとめて「誘導体」又は「レボドパ誘導体」として同定される。誘導体は、全体として、他の炭素原子又は水素原子のいずれかにのみ結合している少なくとも6個の炭素原子を含有する置換基を包含し得る。これは、本発明における分子の「脂肪」部分の一部である。誘導体は、全体として、他の炭素原子又は水素原子のいずれかにのみ結合している少なくとも8~100個の炭素原子を含む置換基を包含し得る。他の態様では、他の炭素原子又は水素原子のいずれかにのみ結合している炭素の数は、15~90、25~80、30~50、32~40であり、これらの範囲内の任意の範囲、例えば8~100個の炭素原子の任意の範囲が本発明において想定される。本発明はレボドパに「脂肪」保護基を付加しようとするものであるので、誘導体は脂肪酸及び脂肪アルコールを使用して合成することができ、これを以下でさらに説明する。また、どのタイプの分子が誘導体の一部であり得るかに関するさらなる詳細も記載する。
【0044】
レボドパのフェニル環及び/又はカルボン酸基中の反応性ヒドロキシル基の一方又は両方を脂肪型構造でマスクすることは、本発明を実施する1つの方法である。レボドパのアミン基もマスクすることができる。「脂肪」型構造を分子に付加するために、脂肪酸誘導体をレボドパのフェニル環中のヒドロキシル基と反応させることができる。レボドパ中のカルボン酸基を脂肪アルコール誘導体と反応させて、そのような「脂肪」型構造をさらに付加することができる。脂肪基は、例えば、エステル基の形成によってヒドロキシル基又はカルボニル基に結合することができる。これらのエステル基は、ドーパミンを産生するために遊離レボドパが必要であるので、体内で反応して最終的に遊離レボドパとなることができるように、インビボで切断可能な結合を含有する。レボドパ中のアミンは、一旦マスクされると反応して遊離レボドパをもたらすこともできる。本発明のマスキングはまた、AADC及びCOMT酵素によるレボドパのドーパミンへの末梢分解の機会を減少させ、それによって脳におけるレボドパのその後の利用可能性を向上させる。誘導体は、レボドパの持続的な血漿レベルを提供し、脳へのレボドパの送達が増加し、その結果、有効性が改善される。
【0045】
本発明の一側面では、誘導体が式Iの化合物又はその医薬的に許容される塩、水和物及び/もしくは溶媒和物を包含し、
【化8】
式中、R
1は、飽和又は不飽和脂肪アルコールから誘導される分岐鎖又は直鎖のC4~34基であり得、このC4~34基は、カルボニルに直接的又は間接的に連結されて、エステル、アミド又は無水物構造を形成する。R
3は、飽和又は不飽和脂肪酸から誘導される分岐鎖又は直鎖のC4~34基であり得、R
3は、酸素に直接的又は間接的に連結されて、エステル、カルボナート又はカルバマート構造を形成する。R
4は、飽和又は不飽和脂肪酸から誘導される分岐鎖又は直鎖のC4~34基であり得、R
4は、酸素に直接的又は間接的に連結されて、エステル、カルボナート又はカルバマート構造を形成する。R
2は水素、又は(C=O)R
5(式中、R
5は、置換又は非置換であり得るC
1~3直鎖又は分岐鎖アルキル基であり得る)であり得る。R1、R3及びR4について上記で同定された炭素の数は4~34であるが、様々な他の範囲も可能である。他の範囲は、C4~C26、C6~C30、C8~C25、C10~C20、及びC11~C15、及びC12を包含し得る。C4~34の範囲内のどの範囲も想定される。R1、R3及びR4の炭素数は同じでも異なっていてもよい。
【0046】
別の態様では、誘導体は、式IIの化合物又はその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を包含し、
【化9】
式中、R
6は、飽和又は不飽和脂肪アルコールの誘導体であり得、
式中、R
7は飽和又は不飽和脂肪酸の誘導体であり得、
式中、R
8は飽和又は不飽和脂肪酸の誘導体であり得、
R
2は、水素又は(C=O)R
5(式中、R
5は、置換又は非置換のC
1~3直鎖又は分岐鎖アルキル基である)である。
【0047】
さらに別の態様では、誘導体が、式IIの化合物又はその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を包含し、
【化10】
式中、R
6は、
(a)-O-R9(式中、R9は、4~34個の炭素原子を包含してもよく、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基であり得る)、又は
(b)NH-R10(式中、R10は、4~34個の炭素原子を包含してもよく、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基であり得る)、又は
(c)-O-C=O-R11(式中、R11は、4~34個の炭素原子を包含してもよく、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基であり得る)であり得、
式中、R
7は、
(a)4~34個の炭素原子を包含してもよく、分岐鎖もしくは直鎖、置換もしくは非置換であるアルキルもしくはアルケニル基、又は
(b)-NH-R12(式中、R12は、4~34個の炭素原子を包含してもよく、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基であり得る)、又は
(c)-O-R13(式中、R13は、4~34個の炭素原子を包含してもよく、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基であり得る)であり得、
式中、R
8は、
(a)4~34個の炭素原子を包含してもよく、分岐鎖もしくは直鎖、置換もしくは非置換であるアルキルもしくはアルケニル基、又は
(b)-NH-R14(式中、R14は、4~34個の炭素原子を包含してもよく、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基であり得る)、又は
(c)-O-R15(式中、R15は、4~34個の炭素原子を包含してもよく、分岐鎖又は直鎖、置換又は非置換であるアルキル又はアルケニル基であり得る)であり得、
式中、R
2は、水素又は(C=O)R
5(式中、R
5はC
1~3直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、これは置換又は非置換であり得る)である。
【0048】
R9、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、独立して、4~34個の炭素原子を含み得る。しかしながら、それらは、独立して、他の範囲の炭素原子を含むことができる。他の範囲は、C6~C30、C8~C25、C10~C20、及びC11~C15、及びC12を包含することができる。C4~34の範囲内のどの範囲も想定される。R9、R10、R11、R12、R13、R14及びR15の炭素数は同じでも異なっていてもよい。
【0049】
本発明の一側面では、式IIのR6は、(CH3)3CO-、CH3CH2C(CH3)2O-、CH3CH2CCH3(O-)CH2CH3、CH3(CH2)6O-、CH3(CH2)7O-、CH3(CH2)8O-、CH3(CH2)8CH2O-、CH3(CH2)10CH2O-、CH3(CH2)11CH2O-、CH3(CH2)12CH2O-、CH3(CH2)13CH2O-、CH3(CH2)14CH2O-、CH3(CH2)5CH=CH(CH2)7CH2O-、CH3(CH2)15CH2O-、CH3(CH2)16CH2O-、CH3(CH2)7CH=CH(CH2)8O-、CH3(CH2)17CH2O-、CH3(CH2)18CH2O-、CH3(CH2)19CH2O-、CH3(CH2)20CH2O-、CH3(CH2)7CH=CH(CH2)11CH2O-、CH3(CH2)22CH2O-、CH3(CH2)24CH2O-、CH3(CH2)25CH2O-、CH3(CH2)26CH2O-、CH3(CH2)27CH2O-、CH3(CH2)28CH2O-、CH3(CH2)30CH2O-、CH3(CH2)32CH2O-,CH3(CH2)3CH=CH(CH2)7CH2O-、CH3(CH2)8CH=CH(CH2)4CH2O-、CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7CH2O-、CH3(CH2)5CH=CH(CH2)9CH2O-、CH3(CH2)4CH=CHCH2CH=CH(CH2)7CH2O-、CH3CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)7CH2O-、CH3(CH2)4CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)3CH2O-、CH3CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)3CH2O-、CH3(CH2)7CH=CH(CH2)11CH2O-、及びCH3CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)2CH2O-からなる群から選択される。
【0050】
式IIにおいて、R7及び/又はR8は、CH3(CH2)6-、CH3(CH2)8-、CH3(CH2)10-、CH3(CH2)12-、CH3(CH2)14-、CH3(CH2)16-、CH3(CH2)18-、CH3(CH2)20-、CH3(CH2)22-、CH3(CH2)24-、CH3(CH2)3CH=CH(CH2)7-、CH3(CH2)5CH=CH(CH2)7-、CH3(CH2)8CH=CH(CH2)4-、CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7-、CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7-、CH3(CH2)5CH=CH(CH2)9-、CH3(CH2)4CH=CHCH2CH=CH(CH2)7-(cis、cis)、CH3(CH2)4CH=CHCH2CH=CH(CH2)7-(trans、trans)、CH3CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)7-、CH3(CH2)4CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)3-、CH3CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)3-、CH3(CH2)7CH=CH(CH2)11-、及びCH3CH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH(CH2)2-からなる群から独立して選択され得る。
式IIの構造を作製する1つの方法は、レボドパ又はその誘導体を脂肪アルコール又は脂肪酸と直接反応させることである。別の方法は、最初に脂肪アルコール又は脂肪酸を別の官能基(アミン官能基など)で誘導体化し、次いでこれをレボドパ又はその誘導体と反応させることができる。例えば、脂肪アルコールをアミン官能基で誘導体化し、次いで脂肪アルコールを式IIの右側のカルボニル基と反応させる場合、上記で説明したように、R6はNH-R10であり得る。
【0051】
本発明において、本レボドパ誘導体は、(S)-4-(2-アミノ-3-(ドデシルオキシ)-3-オキソプロピル)-1,2-フェニレンジドデカノアートであり得、これは、以下の例においてDB104としても同定される。化学式はC
45H
79NO
6であり、分子量は730.13である。本発明のレボドパ誘導体(DB104)は、以下の分子構造を有し得る。
【化11】
【0052】
別の態様では、本レボドパ誘導体は、以下の化学式を有するHCl塩である。
【化12】
【0053】
本発明は、薬学的有効量の本発明の1種又は複数種の誘導体及び1種又は複数種の医薬的に許容される担体もしくは賦形剤を含有する組成物を対象とし得る。そのような組成物は、注射可能、吸入可能、経口摂取可能、又は局所用であり得る。そのような組成物は、リポソーム又はミセルの形態であり得る。1種又は複数種の誘導体の医薬的に許容される担体は、ヒマシ油又はその誘導体であり得る。様々な担体及び賦形剤、ならびに組成物を注射可能、吸入可能、経口摂取可能、又は局所用にする方法が当技術分野で公知である。リポソーム又はミセルの形成は、製薬技術分野でも知られている。したがって、さらなる精緻化は必要とされない。
【0054】
いくつかの態様では、本発明の組成物の剤形は、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内又は皮内注射を包含する、患者への非経口投与に適合される。他の態様では、組成物はデポーとして投与され得る。誘導体を非経口注射すると、酵素的切断が起こり、レボドパが生成され得る。
【0055】
さらに別の態様では、本発明は、薬学的有効量の1種又は複数種の誘導体及び医薬的に許容されるポリマーを含む微粒子又はナノ粒子を含有する医薬組成物であって、1種又は複数種の誘導体が医薬的に許容されるポリマー中にカプセル化されている医薬組成物を対象とし得る。医薬的に許容されるポリマーは、ポリエチレングリコール、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(乳酸)-ブタノール、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(L-リジン)、ポリ(L-グルタミン酸)、ポリ((N-ヒドロキシアルキル)グルタミン)、デキストリン、ヒドロキシエチルデンプン、ポリシアル酸、ポリアセタール、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドコポリマー、ポリ(アミドアミン)デンドリマー、ならびにそれらの混合物、組合せ及びコポリマーからなる群から選択され得る。これらのポリマーは当技術分野で公知であり、さらなる精緻化は必要ではない。いくつかの態様では、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)及びPLGAとポリ(ラクチド)(PLA)、ポリグリコリド(PGA)及びポリビニルアルコール(PVA)などの他のポリマーとの混合物を異なる比で使用して、本発明の化合物をカプセル化して微粒子又はナノ粒子を形成する。その優れた生体適合性のために、PLGAは、親水性及び疎水性小分子薬物、DNA、及びタンパク質を包含する広範囲の治療薬のカプセル化に広く使用されている医薬的に許容される生分解性ポリマーである。ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(オルトエステル)、キトサン、アルギナート、コーヒー酸、ヒアルロン酸などの他の添加剤を使用して、PLGA微粒子における薬物負荷及び効率を高めることができる。PLGAは、PLA中の20~80%のPGA及びその逆の比、ならびにこれらの範囲内の任意の範囲を有するPLA及びPGAの様々な組成物であり得る。
【0056】
ポリマーカプセル化微粒子/ナノ粒子は、当技術分野で公知の方法によって調製され得る。例えば、Hanら、Front Pharmacol.2016;7:185;Qutachiら、Acta Biomater.2014;10(12):5090-5098を参照されたい。誘導体の微粒子の調製は、以下のようにして行うことができる。ナノ沈殿技術をレボドパ微粒子の調製に使用してもよい。手短に言えば、誘導体及びポリマー(例えば、PLGA)を適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)に異なる比率で溶解し、混合物を5~10分間超音波処理に供して、必要に応じて溶解を達成する。Pluronic F127などの親水性非イオン性界面活性剤(例えば、トリブロックコポリマー)の50mLの脱イオン水への溶解を実施してもよく、様々な速度で撹拌しながら、1mL/10分の流量のシリンジを用いて誘導体/PLGA溶液を滴下してもよい。凍結防止剤(例えば、2%スクロース)を用いた、得られたナノ懸濁物の遠心分離及び凍結乾燥を行うことができる。得られた粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)、示差走査熱量測定(DSC)及びX線回折(XRD)による特性評価を行うことができる。
【0057】
本発明の文脈における「カプセル化された」という用語は、誘導体の少なくとも約20%がポリマーによって取り囲まれ/被覆され/コーティングされるように、「~によってコーティングされる」、「~によって被覆される」、又は「~によって囲まれる」ことを意味する。好ましくは、誘導体の約20%~約80%が取り囲まれ/被覆され/コーティングされる。取り囲みは、誘導体を完全に囲む必要はないが、少なくとも30%であるべきである。したがって、好ましくは、微粒子/ナノ粒子の形態である誘導体の少なくとも約20%が被覆され、そのような被覆率は表面の少なくとも30%である。好ましくは、表面の最大80%が被覆されるが、表面の100%を粒子の少なくとも一部で被覆することも可能である。
【0058】
1種又は複数種の誘導体を含有する医薬組成物は、1種又は複数種の医薬的に許容される担体又は賦形剤をさらに包含し得る。そのような組成物は、上述したように、注射可能、吸入可能、経口摂取可能、又は局所用であり得る。非経口投与に適した医薬組成物には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び製剤を意図するレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る水性及び非水性滅菌注射液、ならびに懸濁化剤及び増粘剤を包含し得る水性及び非水性滅菌懸濁液が挙げられる。組成物は、単位用量又は複数用量の容器、例えば、密封されたアンプル及びバイアルで提供され得る。
【0059】
組成物は、単位用量又は複数用量容器、例えば密封されたアンプル及びバイアルで提供されてもよく、使用直前に滅菌液体担体、例えば注射用水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存されてもよい。即時注射液及び懸濁液は、滅菌粉末、顆粒及び錠剤から調製され得る。
【0060】
さらに別の態様では、本発明は、パーキンソン病を治療するのに十分な量の1種又は複数種の誘導体を哺乳類に投与することを包含する、パーキンソン病の治療方法を対象とし得る。1種又は複数種の誘導体は、静脈内、筋肉内、腹腔内、経口、又は皮下投与され得る組成物の形態であり得る。
【0061】
1種又は複数種の誘導体を含有する組成物は、パーキンソン病の治療のためにカルビドパ及び/又はエンタカポンと同時投与され得る。上述のように、カルビドパはレボドパの早期分解を減少させるのに役立つので、たとえ本発明の誘導体が「脂肪」部分の一部を失ったとしても、カルビドパは依然として、分解されてドーパミンの形成に利用できない活性成分の量を減少させるのに役立ち得る。
【0062】
いくつかの態様では、本発明の組成物中の誘導体の化合物の量は、1日1回投与されるレボドパの100mg~2000mg当量の範囲である。10~200mgのカルビドパ及び/又は200~1600mgのエンタカポン(又は他のCOMT阻害薬)を含む組成物を、PDの治療のために本発明の組成物と組み合わせて使用することができる。したがって、本発明の組成物は、誘導体の化合物に加えて、カルビドパ及び/又はエンタカポンを包含し得る。誘導体と同時投与されるカルビドパの量は、誘導体の量及び/又は誘導体中の等価レボドパの量に対して1:10~1:4の比であり得る。トルカポン、オピカポン、及び/又はエンタカポンなどのCOMT阻害薬は、200mg以上の用量で誘導体と同時投与され得、必要に応じて反復投与され得、カルビドパも同時投与されてもされなくてもよい。10mg~200mg/日の量のカルビドパ及び/又は200mg~1600mg/日の量のエンタカポン(又は別のCOMT阻害薬)を本発明の化合物又は組成物と同時投与することができる。
【0063】
別の態様では、1種又は複数種の誘導体を含有する組成物を使用して、パーキンソン病患者に1日1回投与することによってパーキンソン病を治療することができる。別の態様では、組成物は、最大で週に2回又は3回投与され得る。さらに別の態様では、組成物は、週又は隔週に1回投与され得る。組成物は、月1回投与され得る。
【0064】
一態様では、1種又は複数種の誘導体を含有する組成物は、薬学的有効量の1種又は複数種の誘導体及び医薬的に許容されるポリマーを含有する微粒子又はナノ粒子を含む医薬組成物であり得、パーキンソン病を治療するためにカルビドパ及び/又はエンタカポン(又は別のCOMT阻害薬)と同時投与され得る。このような組成物は、静脈内、筋肉内、腹腔内、経口、又は皮下投与され得る。投与は、1日1回、最大で週に2回又は3回、週又は隔週に1回、又は月に1回であり得る。
【0065】
以下の例1は、本発明の誘導体が有効成分の保護をもたらし、その結果、レボドパの早期分解が少なくなり、BBBを通過した後に、より多くのレボドパが利用可能になってドーパミンが形成されることを示す。
【0066】
例1
【0067】
10μMのDB104(DB104は上記で同定され、本発明の誘導体の1つである)を新鮮血漿及びリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で、複数のアリコートでインキュベートし、各アリコートを0時間、1時間、2時間、4時間、6時間、24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、144時間、168時間、192時間、216時間、240時間及び264時間及び264時間の時点で2等分にした。半分を1%ギ酸を含有するACN:MeOHでクエンチし、高分解能質量分析法(HRMS)で分析して、DB104及び他のあらゆる可能な中間体を検出した。ラベタロールを内部標準(IS)として使用した。もう半分を過塩素酸でクエンチし、AB Sciex 7500質量分析計で分析してL-DOPAを検出した。ドーパミン-d4をISとして使用する。
【0068】
上記ステップからの可能な中間体構造は以下の通りである。
【化13】
【0069】
DB104は、ヒト血漿及びPBSに完全に可溶化するのにそれぞれ約4時間及び1~4時間かかった。これは、ピーク面積の初期増加とそれに続く分解によって明らかであった。すべてのピーク面積比を、観察された最大ピーク面積比値に対して正規化した。DB104M3及びDB104M4、ならびにL-DOPAは、ヒト血漿及びPBSにおいて観察された。DB104M1はPBSのみで観察された。DB104M2は、ヒト血漿又はPBSのいずれにおいても観察されなかった。ヒト血漿中のDB104のインビトロ半減期は13.1±1.4時間であり、これは有意である。PBS中のDB104のインビトロ半減期は12.4±2.6時間であり、これも有意である。
【0070】
上記の試験は、ヒト血漿及びPBSの両方において約12時間と推定されるDB104のインビトロ半減期をもたらした。L-DOPAは、ヒト血漿及びPBSの両方において72時間まで検出可能な量で形成され、これは、より少ない末梢分解、及びより多くのL-DOPAがBBBを通過するために利用可能であることを実証した。DB104M4はPBS中で主要な分解物であった。DB104はまた、BBBを通過し得、L-DOPAは、誘導体によるBBBの通過後に形成され得ると仮定される。
【0071】
誘導体は、脂肪酸及び脂肪アルコールを使用することによって生成することができる。例えば、上記の式IIにおいて、R6は脂肪アルコールを使用することによって作製することができ、R7及びR8は脂肪酸を使用することによって作製することができる。
【0072】
レボドパの誘導体を作製するために使用され得る脂肪アルコールとしては、tert-ブチルアルコール、tert-アミルアルコール、3-メチル-3-ペンタノール、1-ヘプタノール(エナントアルコール)、1-オクタノール(カプリルアルコール)、ペラルゴンアルコール(1-ノナノール)、1-デカノール(デシルアルコール、カプリン酸アルコール)、ウンデシルアルコール(1-ウンデカノール、ウンデカノール、ヘンデカノール)、ラウリルアルコール(ドデカノール、1-ドデカノール)、トリデシルアルコール(1-トリデカノール、トリデカノール、イソトリデカノール)、ミリスチルアルコール(1-テトラデカノール)、ペンタデシルアルコール(1-ペンタデカノール、ペンタデカノール)、セチルアルコール(1-ヘキサデカノール)、パルミトレイルアルコール(cis-9-ヘキサデセン-1-オール)、ヘプタデシルアルコール(1-n-ヘプタデカノール、ヘプタデカノール)、ステアリルアルコール(1-オクタデカノール)、オレイルアルコール(1-オクタデセノール)、ノナデシルアルコール(1-ノナデカノール)、アラキジルアルコール(1-エイコサノール)、ヘネイコシルアルコール(1-ヘネイコサノール)、ベヘニルアルコール(1-ドコサノール)、エルシルアルコール(cis-13-ドコセン-1-オール)、リグノセリルアルコール(1-テトラコサノール)、セリルアルコール(1-ヘキサコサノール)、1-ヘプタコサノール、モンタニルアルコール、クリチルアルコール、又は1-オクタコサノール、1-ノナコサノール、ミリシルアルコール、メリシルアルコール、又は1-トリアコンタノール、1-ドトリアコンタノール(ラセリルアルコール)、ゲジルアルコール(1-テトラトリアコンタノール)、trans-9-オクタデセノール、及びcis,cis-9,12-オクタデカジエン-1-オールが挙げられるが、これらに限定されない。他の脂肪アルコールも使用することができる。
【0073】
レボドパの誘導体を作製するために使用され得る脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、ワクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸が挙げられるが、これらに限定されない。他の脂肪酸も使用することができる。
【0074】
以下の例2は、本発明による誘導体の特定の例を形成するためのレボドパの使用を示す。
【0075】
例2
ジラウロキシルレボドパドデシルエステルHCl塩の調製:
目的とした分子:
【化14】
【0076】
実験手順:
N-(tert-ブチルオキシカルボニル)-3,4-ジヒドロキシ-L-フェニルアラニン(Boc-レボドパ)の調製:レボドパ(25gm、0.126mol)を、ジオキサン(150mL)、水(100mL)、1M NaOH(100mL)の混合物中、窒素雰囲気下、室温で30分間撹拌した。tert-ブチルジカルボナート(35gm、0.160mol)を室温でゆっくり添加し、反応物を20時間撹拌した。反応の完了後、溶媒を真空下で蒸発させて体積を半分に減少させた。有機材料を酢酸エチル(3×100mL)を用いて抽出した。合わせた有機層を水(100mL)、引き続いて食塩水(50mL)で洗浄し、最終有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた。有機層を55℃未満の温度で真空下で濃縮して、褐色の泡状固形物を得た。得られた粗生成物を、溶離液系としてジクロロメタン及びメタノール(6:4)を使用するシリカゲル(100~200メッシュ)のカラムクロマトグラフィーにより精製して、Boc-レボドパ(収量:10.5gm、30%)を得た。
【0077】
Boc-レボドパ-ドデシルエステルの調製:Boc-レボドパ(20gm)を、窒素雰囲気下、丸底フラスコ中で室温にてDMF(100mL)と撹拌した。Na2CO3を反応混合物に添加した後、1-ブロモドデカン(脂肪アルコールドデカノールから誘導することができる)を添加し、16時間撹拌して反応を完了させた。反応混合物を濾過し、濾液を真空下、55℃未満で濃縮して、溶媒を完全に除去した。水(100mL)を残渣に添加し、6N HCl(8.3mL)を用いてpHを酸性側に合わせて調整し、有機混合物を酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を水(50mL)、引き続いて食塩水(50mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させた。最後に、有機層を真空下で濃縮して、褐色の濃厚な液状物を得た。得られた残渣を、酢酸エチルとn-ヘキサンの混合物(6:4)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し、純粋な生成物を得た(収率:9.2gm、28%)。
【0078】
ジラウロキシル-Boc-レボドパドデシルエステルの調製:Boc-レボドパ-ドデシルエステル(8.5gm)を、窒素下、丸底フラスコ中でDCM(10mL)と共に室温で撹拌した。反応混合物を、温度を0~5℃に維持することによって氷浴中で冷却した。塩化ラウロイル(2.85gm)を含むDCM(15mL)を反応混合物に滴下した。塩化ラウロイルは、脂肪酸であるラウリン酸の酸塩化物である。10分間撹拌した後、反応混合物を室温で撹拌して、反応を完了させた。反応塊をDI水(4×50mL)で洗浄し、有機層を無水Na2SO4上で乾燥させた。得られたDCM層を真空下で濃縮して、橙色の濃厚な残渣を得た。残渣を、溶離液として酢酸エチル及びn-ヘキサンの混合物(6:4)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、純粋な生成物を得た(収率:2.75gm、19%)。
【0079】
ジラウロキシル-レボドパ-ドデシルエステルHCl塩の調製:ジラウロキシル-Boc-レボドパ-ドデシルエステル(2.5gm)及びHCl/ジオキサン(2N、80mL)の混合物を25~30℃で2~3時間撹拌した。反応の完了後、溶媒を真空下、30~35℃で完全に除去した。HCl塩である得られた残渣を、25~30℃の新しいジオキサン(25mL)中で2時間さらに撹拌した。固形物を濾過し、デシケーター中、真空下で8~10時間乾燥させて、純粋な標的生成物を得た(収率:1.6gm、62%)。HPLC純度:98.69;質量(M+1):730.59;1H-NMR(DMSO-d6):δ0.83-0.86(9H,t,-CH3)、1.10-1.40(52H,m,CH2脂肪族プロトン)、1.58-1.61(4H,m,CH2脂肪族プロトン)、2.50-2.54(4H,m,CH2-CO)、3.00(1H,dd,ベンジルCH2)、3.20(1H,dd,ベンジルCH2)、3.98-4.01(2H,m,OCH2)、4.27-4.30(1H,m,CH-NH)、7.13-7.22(3H,m,芳香族プロトン)、8.55(3H,ブロードな一重線,NHプロトン)。したがって、ジラウロキシル-レボドパ-ドデシルエステルHCl塩(Di-lauroyoxil-levodopa-dodecylester HCl salt)が産物として生成され、パーキンソン病を治療するために利用することができる。誘導体の一部として異なる鎖を反応させるために、上記で使用したものの代わりに異なる脂肪アルコール及び脂肪酸を使用することも可能である。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IIの化合物、又は該化合物の、医薬的に許容される
塩、水和物、もしくは溶媒和物、
【化1】
上記式中、
R
2
はHであり、
R
6
CH
3
(CH
2
)
10
CH
2
O-であり、そして
R
7
及びR
8
はCH
3
(CH
2
)
10
である。
【請求項2】
下記の化合物である、請求項1に記載の
化合物:
【化2】
【請求項3】
下記式を有する塩酸塩である、請求項
1に記載の
化合物:
【化3】
【請求項4】
医薬的に有効な量の請求項1に記載の化合物及び1つ又は2つ以上の医薬的に許容される担体又は賦形剤を含む組成物。
【請求項5】
注射可能であるか、吸入可能であるか、経口摂取可能であるか、又は局所用である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
リポソームの形態又はミセルの形態である、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
医薬的に許容される担体がヒマシ油又はその誘導体である、請求項4に記載の組成物。
【手続補正書】
【提出日】2024-11-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IIの化合物、又は該化合物の、医薬的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物、
【化1】
上記式中、
R
2はHであり、
R
6
はCH
3(CH
2)
10CH
2O-であり、そして
R
7及びR
8はCH
3(CH
2)
10である。
【請求項2】
下記の化合物である、請求項1に記載の化合物:
【化2】
【請求項3】
下記式を有する塩酸塩である、請求項1に記載の化合物:
【化3】
【請求項4】
医薬的に有効な量の請求項1に記載の化合物及び1つ又は2つ以上の医薬的に許容される担体又は賦形剤を含む組成物。
【請求項5】
注射可能であるか、吸入可能であるか、経口摂取可能であるか、又は局所用である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
リポソームの形態又はミセルの形態である、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
医薬的に許容される担体がヒマシ油又はその誘導体である、請求項4に記載の組成物。
【外国語明細書】