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特開2025-13801画像内での構造又は物質セグメンテーションに基づいた機械学習分類のための方法及びシステム
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  • 特開-画像内での構造又は物質セグメンテーションに基づいた機械学習分類のための方法及びシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013801
(43)【公開日】2025-01-28
(54)【発明の名称】画像内での構造又は物質セグメンテーションに基づいた機械学習分類のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20250121BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20250121BHJP
【FI】
A61B6/03 560J
G06T7/00 612
A61B6/03 560T
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024172513
(22)【出願日】2024-10-01
(62)【分割の表示】P 2020101138の分割
【原出願日】2020-06-10
(31)【優先権主張番号】16/448,474
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512062121
【氏名又は名称】カーブビーム エーアイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】ユー ペン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】被験者の画像内の構造又は物質を分類するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】セグメンタであって、画像内の構造又は物質についての1つ以上のセグメンテーションを形成し、また、前記セグメンテーションから前記画像についての1つ以上のセグメンテーションマップであって1つ以上の各予め定義されたカテゴリのセットから割り当てられた前記セグメンテーションマップの画素又はヴォクセルのカテゴリゼーションを含むセグメンテーションマップを生成する、セグメンタと、訓練済み分類機械学習モデルであって、前記セグメンテーションマップに基づいて1つ以上の分類を生成し、また、前記構造若しくは物質又は前記被験者が前記各分類に該当する蓋然性を示す各スコアを前記分類に対して割り当てるように構成された訓練済み分類機械学習モデルを実装する分類器と、前記分類及びスコアを示す結果を出力するための出力。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の画像内の構造又は物質を分類するための分類機械学習モデルを訓練するための
コンピュータ実装方法であって、該方法は、
アノテーション済みセグメンテーションマップ及びアノテーション済み非画像データを
、訓練セット及び試験セットに分割するステップであって、前記アノテーション済みセグ
メンテーションマップは1つ以上の画像をセグメントすることによって取得されたもので
ある、ステップと、
(a)分類機械学習モデルを実装するステップであって、該ステップは前記分類機械学
習モデルのパラメータの初期化を含む、ステップと、
(b)学習アルゴリズムを前記訓練データに対して実行することによって前記分類機械
学習モデルのパラメータを更新するステップと、
(c)前記試験データに対して前記分類機械学習モデルで試験を行うステップと、
(d)前記分類機械学習モデルが十分な性能を有しているかを評価するステップと、
ステップ(d)において性能が不十分とされた場合にステップ(a)乃至(d)を反復
するステップと、
前記分類機械学習モデルを訓練済み分類機械学習モデルとして展開のために出力するか
、又は、前記分類機械学習モデルを訓練済み分類機械学習モデルとしてフラグ付けするス
テップとを含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、性能が不十分とされた場合、前記分類機械学習モデル
を訓練するためにより多くの画像及び非画像データを収集するステップを含む、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、前記分類機械学習モデルは人工ニューロンを備
える複数の層を有するニューラルネットワークを備えており、
前記パラメータには層数、ニューロン数、ニューロン重み付け値、及びニューロン機能
のパラメータが含まれ、
前記分類機械学習モデルについて試験することは、前記分類機械学習モデルを前記試験
データで試験することを含む、方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の方法において、前記アノテーション済みセグメ
ンテーションマップ及び前記アノテーション済み非画像データを訓練セットと開発セット
と試験セットとに分割し、また、学習手順を調べるため及び前記パラメータをチューニン
グするために前記開発データを用いるステップを含む、方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に従って訓練された分類機械学習モデル。
【請求項6】
被験者の画像内の構造又は物質を分類するための分類機械学習モデルを訓練するための
システムであって、該システムはプロセッサを備え、該プロセッサは、
アノテーション済みセグメンテーションマップ及びアノテーション済み非画像データを
、訓練セット及び試験セットに分割するステップであって、前記アノテーション済みセグ
メンテーションマップは1つ以上の画像をセグメントすることによって取得されたもので
ある、ステップと、
(a)分類機械学習モデルを実装するステップであって、該ステップは前記分類機械学
習モデルのパラメータの初期化を含む、ステップと、
(b)学習アルゴリズムを前記訓練データに対して実行することによって前記分類機械
学習モデルのパラメータを更新するステップと、
(c)前記試験データに対して前記分類機械学習モデルで試験を行うステップと、
(d)前記分類機械学習モデルが十分な性能を有しているかを評価するステップと、
ステップ(d)において性能が不十分とされた場合にステップ(a)乃至(d)を反復
するステップと、
前記分類機械学習モデルを訓練済み分類機械学習モデルとして展開のために出力するか
、又は、前記分類機械学習モデルを訓練済み分類機械学習モデルとしてフラグ付けするス
テップとを行うように構成されている、システム。
【請求項7】
被験者の画像内の構造又は物質を分類するためのシステムであって、該システムは、
セグメンタであって、画像内の構造又は物質についての1つ以上のセグメンテーション
を形成し、前記セグメンテーションから前記画像についての1つ以上のセグメンテーショ
ンマップであって1つ以上の各予め定義されたカテゴリのセットから割り当てられた前記
セグメンテーションマップの画素又はヴォクセルのカテゴリゼーションを含むセグメンテ
ーションマップを生成する、セグメンタと、
訓練済み分類機械学習モデルであって、前記セグメンテーションマップに基づいて1つ
以上の分類を生成し、前記構造若しくは物質又は前記被験者が前記各分類に該当する蓋然
性を示す各スコアを前記分類に対して割り当てるように構成された訓練済み分類機械学習
モデルを実装する分類器と、
前記分類及びスコアを示す結果を出力するための出力部とを備える、システム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムにおいて、前記分類器は、前記被験者に関する前記セグメン
テーションマップ及び非画像データに基づいて前記1つ以上の分類を生成する、システム
【請求項9】
請求項7又は8に記載のシステムにおいて、前記セグメンタは、
i)予め定義された構造カテゴリセットから割り当てられた前記画素又はヴォクセルに
ついてのカテゴリゼーションを含む構造セグメンテーションマップを生成するように構成
された構造セグメンタ、
ii)予め定義された物質カテゴリセットから割り当てられた前記画素又はヴォクセル
についてのカテゴリゼーションを含む物質セグメンテーションマップを生成するように構
成された物質セグメンタ、及び/又は
iii)予め定義された異常/正常カテゴリセットから割り当てられた前記画素又はヴ
ォクセルについてのカテゴリゼーションを含む異常セグメンテーションマップを生成する
ように構成された異常セグメンタを備える、システム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムにおいて、前記構造セグメンタは構造セグメンテーション機
械学習モデルを用いて前記構造セグメンテーションマップを生成するように構成されてお
り、前記物質セグメンタは物質セグメンテーション機械学習モデルを用いて前記物質セグ
メンテーションマップを生成するように構成されており、前記異常セグメンタは異常セグ
メンテーションモデルを用いて前記異常セグメンテーションマップを生成するように構成
されている、システム。
【請求項11】
請求項7乃至10のいずれか1つに記載のシステムにおいて、前記セグメンテーション
マップが前記分類器によって入力される前に前記セグメンテーションマップをダウンサン
プル又は他の態様で処理するように構成されたセグメンテーションマッププロセッサをさ
らに備える、システム。
【請求項12】
請求項7乃至11のいずれか1つに記載のシステムにおいて、前記分類機械学習モデル
は、
(a)ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、及び/若しくは決定ツリー
、又は
(b)畳み込みニューラルネットワーク層及び完全接続ニューラルネットワーク層を含
むニューラルネットワークを含む、システム。
【請求項13】
請求項7乃至12のいずれか1つに記載のシステムにおいて、前記画像は医療画像であ
り、また、前記分類は、
(i)前記構造若しくは物質又は被験者がそれぞれの期間内において特定の状態や症状
に陥ることとなる確率、
(ii)前記構造若しくは物質又は被験者がそれぞれの期間内において特定の状態や症
状に陥ることとなる確率であって、該期間は、短期期間、長期期間、並びに、前記短期期
間及び前記長期期間の間の少なくとも1つの中期期間を含む、確率、
(iii)前記構造若しくは物質又は被験者がそれぞれの状態や症状に陥ることとなる
確率、
(iv)疾患又は病状の進行のそれぞれの速さについての確率、
(v)疾患又は病状の進行のそれぞれの速さについての確率であって、前記分類は、安
定、軽度劣化、及び加速劣化のいずれか1つ以上を含む、確率、
(vi)それぞれの治療選択肢の有効性についての確率、
(vi)それぞれの治療選択肢の有効性についての確率であって、前記治療選択肢は再
吸収阻害薬及び/又は同化剤療法を含む、確率、
(viii)それぞれの医学的状態、及び/又は
(ix)骨軟化症、腫瘍、骨壊死及び感染のいずれか1つ以上を含む、それぞれの医学
的状態
に対応する、システム。
【請求項14】
請求項7乃至13のいずれか1つに記載のシステムにおいて、前記訓練済み分類機械学
習モデルは、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の方法によって訓練されたモデルであ
る、システム。
【請求項15】
被験者の画像内の構造又は物質を分類するためのコンピュータ実装方法であって、該方
法は、
画像内の構造又は物質について1つ以上のセグメンテーションを形成するステップと、
前記セグメンテーションから、前記画像についての1つ以上のセグメンテーションマッ
プであって各予め定義された構造/物質カテゴリのセットから割り当てられた前記セグメ
ンテーションマップの画素又はヴォクセルのカテゴリゼーションを含むセグメンテーショ
ンマップを生成するステップと、
訓練済み分類機械学習モデルを用いて、前記セグメンテーションマップに基づいて1つ
以上の分類を生成し、前記構造若しくは物質又は前記被験者が前記各分類に該当する蓋然
性を示す各スコアを前記分類に対して割り当てるステップと、
前記分類及びスコアを示す結果を出力するステップとを含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、前記訓練済み分類機械学習モデルは、(i)前記被
験者に関する前記セグメンテーションマップ及び非画像データに基づいて前記1つ以上の
分類を生成し、及び/又は(ii)前記被験者に関連する画像データ及び非画像データに
基づいて、訓練被験者に関連する画像データ及び非画像データにより訓練済みの各スコア
を生成する、方法。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の方法において、前記1つ以上のセグメンテーションを形成
するステップは、
i)予め定義された構造カテゴリセットから割り当てられた前記画素又はヴォクセルに
ついてのカテゴリゼーションを含む構造セグメンテーションマップを生成するステップ、
ii)予め定義された物質カテゴリセットから割り当てられた前記画素又はヴォクセル
についてのカテゴリゼーションを含む物質セグメンテーションマップを生成するステップ
、及び/又は
iii)予め定義された異常/正常カテゴリセットから割り当てられた前記画素又はヴ
ォクセルについてのカテゴリゼーションを含む異常セグメンテーションマップを生成する
ステップを含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、構造セグメンテーション機械学習モデルを用いて前
記構造セグメンテーションマップを生成するステップと、物質セグメンテーション機械学
習モデルを用いて前記物質セグメンテーションマップを生成するステップと、異常セグメ
ンテーションモデルを用いて前記異常セグメンテーションマップを生成するステップとを
含む、方法。
【請求項19】
請求項15乃至18のいずれか1つに記載の方法において、前記訓練済み分類機械学習
モデルは、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の方法によって訓練されたモデルである
、方法。
【請求項20】
請求項15乃至19のいずれか1つに記載の方法に従って生成された、被験者について
の画像内の構造又は物質についての分類。
【請求項21】
1つ以上のコンピューティング装置によって実行されると、請求項1乃至4及び15乃
至19のいずれか1つに記載の方法を実施するように構成されたコンピュータプログラム
コードを備えるコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造又は物質セグメンテーションに基づいて画像(例えば医療画像)を分類
(及びその変化を監視)するための、機械学習殊に深層ニューラルネットワークを用いる
、コンピュータビジョンシステム及び方法に関する。可能な医療撮像用途を挙げるに、コ
ンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴(MR)、超音波、HRpQCT(High-Resolution p
eripheral Quantitative Computed Tomography(高解像度末梢骨用定量的CT))、及び
病変スキャナ撮像等が含まれる。
【0002】
本願は、米国特許出願第16/448,474号(出願日:2019年6月21日)に
基づいておりまたその優先権を主張しており、出願時にかかる内容の全体は参照によって
取り込まれる。
【背景技術】
【0003】
コンピュータビジョン及び画像処理手法は、医療画像分析に応用されてきた。一部のコ
ンピュータ支援型システムは次の2つのステップを伴って分析を実現する:即ち、セグメ
ンテーション及び定量的演算。セグメンテーションとは、画像内の画素(2D画像)又は
ヴォクセル(3D画像)を区別することによって医療画像等の画像内の構造又は物体をそ
れぞれセグメント(或いは区別)する処理のことをいう。セグメンテーションに基づいて
、容積、形状、及び密度等の定量的特徴が算出される。例えば、脳CTやMRIスキャン等
で病変部がセグメントされた後に、病変の大きさや形状が算出されるのであり;腰部DX
A(dual-energy x-ray absorptiometry(二重エネルギーX線吸収測定法))スキャンで
大腿骨頸部がセグメントされた後に骨塩密度を算出できる。そのような算出値を健康な参
照データと比較した後に、医師は、診断又は治療決定を出すことができる。
【0004】
例えば、Tスコアは、若年の正常な参照用平均と比較した際の患者の骨塩密度に与えら
れる標準的スコアである。WHO(世界保健機関)は、骨粗鬆症を-2.5以下のTスコ
アとして定義しており、即ち、30歳の健康な男/女の平均を2.5標準偏差下回る骨密
度がこれにあたる。
【0005】
セグメンテーションは、手動、準手動、又は自動で達成され得る。手動セグメンテーシ
ョンの例を挙げるに、ユーザはコンピュータを操作して四角形状のボックスを腰部DXA
スキャンの上に動かして、それによって大腿骨頸部の領域を選択する。
【0006】
準手動セグメンテーションは、ユーザの初期化所為又は入力を活用する画像処理プログ
ラムによって行われ得る。例えば、ユーザはコンピュータを操作して近似的骨境界を手首
CTスキャン上に書き込むことができるのであって、そして、プログラムは周囲の組織か
ら骨をセグメントする輪郭へと近似的境界を調整する。
【0007】
自動セグメンテーションは、興味対象物体の特徴(例えば、信号強度値やエッジや形状
等)を活用することによって行われ得る。既存例を1つ挙げるに、ヴォクセルベースドな
閾値手法を用いてCTスキャンで周辺組織から骨をセグメントできる。幾つかの他のプロ
グラムは機械学習アルゴリズムを用いて、医療画像の異常組織をセグメントするように分
類器を訓練する。例えば、腫瘍画像及び正常画像を訓練データとして用いることによって
、特徴ベースドな機械学習アルゴリズム(例えば、サポートベクタマシン(SVM)や決
定ツリー)を分類器として用い得る。訓練済み分類器は、「ウィンドウ」毎に新規画像中
を走査して有腫瘍な任意の画像領域をセグメントする。
【0008】
機械学習アルゴリズムは、この分野において見込みのある精度及び効率を見せている。
もっとも、十分な訓練データを収集すること及び訓練データにアノテーションを施すこと
の両方は相当な困難と言えよう。訓練画像は専門家によってアノテーションを施されなけ
ればならなく、これは面倒かつ時間浪費的な処理である。また、一部の用途においては、
たとえ専門家であっても、訓練画像に正確にアノテーションを施すことが極めて困難か殆
ど無理であるかもしれないことに留意されたい。例えば、骨質評価においては、皮質骨及
び骨梁の両方で構成される遷移ゾーンがどんなサンプルにも存在する。遷移ゾーンは、髄
管と隣り合う内皮質と、皮質にくっ付いており皮質内表面と隣接している骨梁とで構成さ
れる。遷移ゾーンでは活発な骨再形成がなされている。骨微細構造評価に際してはこの領
域を識別及びセグメントすることが枢要であるも、画像解像度の制約により、専門家でさ
えもこの領域について正確且つ一貫的にアノテーションを施すことは実質的に無理な注文
である。アノテーション済み画像が訓練データとして存しなければ、セグメンテーション
モデルを訓練できない。
【0009】
過去数年において、機械学習又は深層ニューラルネットワークは、自然画像分類等の多
くの視覚的認識タスクにおいて人間の性能を凌駕してきた。例示的なCNN(Convolutio
nal Neural Network(畳み込みニューラルネットワーク))実施形態では、ネットワーク
は入力層と隠れ層と出力層とを備える。入力層を介して画像をネットワーク内へと入れる
。画像をサンプリングして、畳み込み演算を適用して隠れ層を生成する。各層の出力は、
ネットワーク内の次の層の入力として用いられる。出力層は終端で完全に接続されており
、分類結果が出力されることになる。訓練データは、分類ラベルが付された画像である。
訓練プロセスは、ニューラルネットワークのパラメータを取得する。訓練が終了した後、
取得済みパラメータを伴って新たな画像がニューラルネットワークによって処理されて分
類結果が生成される。例えば、OCT(Optical Coherence Tomography(光干渉断層撮像
法))画像から糖尿病性網膜症の状態(例えば、無し、軽度、中度、重度等)を決定する
ことに関してモデルを訓練するために、深層学習ニューラルネットワークアルゴリズムを
用いることができる。
【0010】
もっとも、このエンドツーエンドなソリューションは臨床診療に2つの問題をもたらす
。第1に、エンドツーエンドなソリューションはブラックボックスとなっているというこ
とである:即ち、入力が医療画像であり、出力が疾患又は状態の分類である。ニューラル
ネットワークが決定に至るプロセスを解釈することが困難である故に、分類結果の信頼性
についてユーザが評価を下すことが困難となる。第2に、このソリューションは相当な量
の訓練データを必要としている。上述のように、医療用途においては、訓練データにアノ
テーションを施したりラベル付けをしたりすることは骨の折れるかつ時間浪費的な作業で
ある。したがって、各分類結果お各タイプについて十分な訓練データを収集することは、
相当な試練となろう。
【発明の概要】
【0011】
本発明の第1の態様によれば、被験者の画像内の構造又は物質を分類するためのシステ
ムを提供するのであって、該システムは:
セグメンタであって、(例えば医療画像を含む)画像内の構造又は物質についての1つ
以上のセグメンテーションを形成し、また、セグメンテーションから画像についての1つ
以上のセグメンテーションマップであって1つ以上の各予め定義されたカテゴリのセット
から割り当てられた セグメンテーションマップの画素又はヴォクセルのカテゴリゼーシ
ョン(categorization)を含むセグメンテーションマップを生成する、セグメンタと、
訓練済み分類機械学習モデルであって、セグメンテーションマップに基づいて1つ以上
の分類(classification)を生成し、また、構造若しくは物質又は被験者が各分類に該当
する蓋然性を示す各スコアを分類に対して割り当てるように構成された訓練済み分類機械
学習モデルを実装する分類器と、
分類及びスコアを示す結果を出力するための出力部とを備える。
【0012】
実施形態では、分類器は、被験者に関するセグメンテーションマップ及び非画像データ
に基づいて1つ以上の分類を生成する、システム。
【0013】
システムは、分類機械学習モデルを訓練するように構成されていることができる。
【0014】
実施形態では、セグメンタは:
i)予め定義された構造カテゴリセットから割り当てられた画素又はヴォクセルについ
てのカテゴリゼーションを含む構造セグメンテーションマップを生成するように構成され
た構造セグメンタ、
ii)予め定義された物質カテゴリセットから割り当てられた画素又はヴォクセルにつ
いてのカテゴリゼーションを含む物質セグメンテーションマップを生成するように構成さ
れた物質セグメンタ、及び/又は
iii)予め定義された異常/正常カテゴリセットから割り当てられた画素又はヴォク
セルについてのカテゴリゼーションを含む異常セグメンテーションマップを生成するよう
に構成された異常セグメンタを備える。
【0015】
例を挙げるに、構造セグメンタは構造セグメンテーション機械学習モデルを用いて構造
セグメンテーションマップを生成するように構成されており、物質セグメンタは物質セグ
メンテーション機械学習モデルを用いて物質セグメンテーションマップを生成するように
構成されており、異常セグメンタは異常セグメンテーションモデルを用いて異常セグメン
テーションマップを生成するように構成されている。構造セグメンタは構造セグメンテー
ション機械学習モデルを訓練するように構成されていることができ、物質セグメンタは物
質セグメンテーション機械学習モデルを訓練するように構成されていることができ、異常
セグメンタは異常セグメンテーション機械学習モデルを訓練するように構成されているこ
とができる。
【0016】
実施形態では、システムは、セグメンテーションマップが分類器によって入力される前
にセグメンテーションマップを処理するように構成されたセグメンテーションマッププロ
セッサをさらに備える。例を挙げるに、セグメンテーションマッププロセッサは、セグメ
ンテーションマップをダウンサンプルするように構成されている。
【0017】
実施形態では、分類機械学習モデルは、ニューラルネットワーク、サポートベクターマ
シン(SVM)、決定ツリー、又はこれらの組み合わせを含む。例えば、分類機械学習モ
デルは、畳み込みニューラルネットワーク及び完全接続ニューラルネットワーク層を含む
ニューラルネットワークを含み得る。
【0018】
実施形態では、画像は医療画像であり、また、分類は、構造若しくは物質又は被験者が
それぞれの期間内において特定の状態や症状に陥ることとなる確率に対応する。例を挙げ
るに、期間は、短期期間、長期期間、並びに、短期期間及び長期期間の間に置かれる少な
くとも1つの中期期間を含む。別の例では、状態又は症状は骨折である。
【0019】
実施形態では、画像は医療画像であり、また、分類は、構造若しくは物質又は被験者が
それぞれの状態や症状に陥ることとなる確率に対応する。例を挙げるに、状態又は症状は
骨関連状態である。
【0020】
実施形態では、画像は医療画像であり、また、分類は、疾患又は病状の進行についての
それぞれの速さについての確率に対応する。例えば、分類は、安定、軽度劣化、及び加速
劣化のいずれか1つ以上に対応する分類を含み得る。
【0021】
実施形態では、画像は医療画像であり、また、分類は、それぞれの治療選択肢の有効性
についての確率に対応する。例えば、治療選択肢は再吸収阻害薬及び/又は同化剤療法を
含み得る。
【0022】
実施形態では、画像は医療画像であり、また、分類は、それぞれの医学的状態に対応す
る。例えば、医学的状態は、骨軟化症、腫瘍、骨壊死及び感染のいずれか1つ以上を含み
得る。
【0023】
実施形態では、分類機械学習モデルは、訓練被験者に関連する画像データ及び非画像デ
ータを伴って訓練されたモデルであり、被験者に関連する(典型的には1つ以上の画像を
含む)画像データ及び非画像データに基づいて各スコアを生成する。
【0024】
本発明の第2の態様によれば、被験者の画像内の構造又は物質を分類するためのコンピ
ュータ実装方法を提供するのであって、該方法は:
画像内の構造又は物質について1つ以上のセグメンテーションを形成するステップと、
セグメンテーションから、画像についての1つ以上のセグメンテーションマップであっ
て各予め定義された構造/物質カテゴリのセットから割り当てられた セグメンテーショ
ンマップの画素又はヴォクセルのカテゴリゼーションを含むセグメンテーションマップを
生成するステップと、
訓練済み分類機械学習モデルを用いて、セグメンテーションマップに基づいて1つ以上
の分類を生成し、また、構造若しくは物質又は被験者が各分類に該当する蓋然性を示す各
スコアを分類に対して割り当てるステップと、
分類及びスコアを示す結果を出力するステップとを含む。
【0025】
実施形態では、分類機械学習モデルを用いて、被験者に関するセグメンテーションマッ
プ及び非画像データに基づいて1つ以上の分類を生成する。
【0026】
方法は、分類機械学習モデルを訓練するステップを含み得る。
【0027】
実施形態では、1つ以上のセグメンテーションを形成するステップは:
i)予め定義された構造カテゴリセットから割り当てられた画素又はヴォクセルについ
てのカテゴリゼーションを含む構造セグメンテーションマップを生成するステップ、
ii)予め定義された物質カテゴリセットから割り当てられた画素又はヴォクセルにつ
いてのカテゴリゼーションを含む物質セグメンテーションマップを生成するステップ、及
び/又は
iii)予め定義された異常/正常カテゴリセットから割り当てられた画素又はヴォク
セルについてのカテゴリゼーションを含む異常セグメンテーションマップを生成するステ
ップを含む。
【0028】
例えば、方法は、構造セグメンテーション機械学習モデルを用いて構造セグメンテーシ
ョンマップを生成するステップと、物質セグメンテーション機械学習モデルを用いて物質
セグメンテーションマップを生成するステップと、異常セグメンテーションモデルを用い
て異常セグメンテーションマップを生成するステップとを含み得る。特に、方法は、構造
セグメンテーション機械学習モデル、物質セグメンテーション機械学習モデル、及び/又
は異常セグメンテーション機械学習モデルを訓練することを含み得る。
【0029】
本発明の第3の態様によれば、コンピュータ実装診断方法を提供するのであって、該方
法は第2の態様の方法を含む。
【0030】
本発明の第4の態様によれば、被験者の画像内の構造又は物質を分類するための分類機
械学習モデルを訓練するためのコンピュータ実装方法を提供するのであって、該方法は:
アノテーション済みセグメンテーションマップ及びアノテーション済み非画像データを
、訓練セット及び試験セットに分割するステップであって(その結果、訓練セット及び試
験セットの各々が幾らかのアノテーション済みセグメンテーションマップ及び幾らかの非
画像データを含むこととなる)、アノテーション済みセグメンテーションマップは1つ以
上の画像をセグメントすることによって取得されたものである、ステップと、
(a)分類機械学習モデルを実装するステップであって、該ステップは分類機械学習モ
デルのパラメータの初期化を含む、ステップと、
(b)学習アルゴリズムを訓練データに対して実行することによって分類機械学習モデ
ルのパラメータを更新するステップと、
(c)試験データに対して分類機械学習モデルで試験を行うステップと、
(d)分類機械学習モデルが十分な性能を有しているかを評価するステップと、
ステップ(d)において性能が不十分とされた場合にステップ(a)乃至(d)を反復
するステップと、
分類機械学習モデルを訓練済み分類機械学習モデルとして展開のために出力するか、又
は、分類機械学習モデルを訓練済み分類機械学習モデルとしてフラグ付けするステップと
を含む。
【0031】
この態様は、第2の態様と併せて又は組み合わせて(又はその一部として)用い得るの
であり、例えば第2の態様の分類機械学習モデルを訓練するために用い得る。
【0032】
方法は、(例えばアノテーション済みセグメンテーションマップを生成するに際して)
1つ以上の画像をセグメントすることを含み得る。
【0033】
実施形態において方法は、ステップ(d)での性能が不十分であるとされた場合、分類
機械学習モデルを訓練するために画像データ及び非画像データをより多く受信及び使用す
ることを含む。
【0034】
分類モデルは様々な機械学習アルゴリズムを用いて訓練できるのであり、故に、例えば
、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン(SVM)、決定ツリー、又はこれ
らの組み合わせを含み得る。
【0035】
したがって、1つの実施形態において分類機械学習モデルは、人工ニューロンを備える
複数の層を有するニューラルネットワークを備えており、パラメータは層数、ニューロン
数、ニューロン重み付け値、及びニューロン機能のパラメータを含む。また、分類機械学
習モデルについて試験することは、分類機械学習モデルを試験データで試験することを含
む。
【0036】
実施形態では、パラメータを更新することには喪失関数の傾斜を決定することが含まれ
る。
【0037】
実施形態では、画像は医療画像であり非画像データは診療記録を含む。
【0038】
実施形態では、方法は、アノテーション済みセグメンテーションマップ及びアノテーシ
ョン済み画像データを訓練セットと開発セットと試験セットとに分割すること、及び、学
習手順を調べるため及びパラメータをチューニングするために開発データを用いることが
含まれる(また、分類機械学習モデルがニューラルネットワークを備える場合、層のチュ
ーニングも含まれる)。
【0039】
この態様によれば、被験者の画像内の構造又は物質を分類するための分類機械学習モデ
ルを訓練するためのシステムが提供されるのであって、該システムはプロセッサを備えて
おり、該プロセッサは:
アノテーション済みセグメンテーションマップ及びアノテーション済み非画像データを
、訓練セット及び試験セットに分割するステップであって、アノテーション済みセグメン
テーションマップは1つ以上の画像をセグメントすることによって取得されたものである
、ステップと、
(a)分類機械学習モデルを実装するステップであって、該ステップは分類機械学習モ
デルのパラメータの初期化を含む、ステップと、
(b)学習アルゴリズムを訓練データに対して実行することによって分類機械学習モデ
ルのパラメータを更新するステップと、
(c)試験データに対して分類機械学習モデルで試験を行うステップと、
(d)分類機械学習モデルが十分な性能を有しているかを評価するステップと、
ステップ(d)において性能が不十分とされた場合にステップ(a)乃至(d)を反復
するステップと、
分類機械学習モデルを訓練済み分類機械学習モデルとして展開のために出力するか、又
は、分類機械学習モデルを訓練済み分類機械学習モデルとしてフラグ付けするステップと
を行うように構成されている。
【0040】
第5の態様によれば、本発明は、1つ以上のコンピューティング装置によって実行され
ると第2態様乃至第4態様のいずれか1つ以上を実施するように構成されたプログラムコ
ードを備えるコンピュータプログラムが提供される。この態様においては、そのようなコ
ンピュータプログラムを備えるコンピュータ可読媒体も提供される。
【0041】
本発明の上述の態様の各々についての様々な個々の特徴の任意のもの、並びに、特許請
求の範囲を含む本明細書にて説明した実施形態についての様々な個々の特徴の任意のもの
に関しては、適切且つ所望の態様で組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本発明をより明確に確定できるようにするために、添付の図面を参照して例示的に実施
形態について以下説明する。
【0043】
図1】本発明の実施形態による、分類システムについての概略図である。
図2】被験者の骨折危険性を医療画像スキャンから算出するに際しての図1の分類システムの動作について示す高レベル概略図である。
図3図1の分類システムのセグメンタの動作について示す概略図である。
図4図1の分類システムの分類器の動作について示す概略図である。
図5図1の分類システムの分類ニューラルネットワークの訓練について示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、本発明の実施形態による、医療画像内の構造又は物質を(構造及び物質セグメ
ンテーションに基づいて)分類するための分類システム10についての概略図である。
【0045】
図1を参照するに、システム10は、分類コントローラ12と、(GUI16を含む)
ユーザインタフェース14とを備える。ユーザインタフェース14は、情報をユーザに表
すため及びユーザから入力(含むフィードバック)を受信するために、提供されるのであ
り;典型的には、1つ以上のディスプレイ(1つ以上のGUI16を表示していることが
できる)と、ウェブブラウザと、キーボード及びマウスと、随意的にはプリンタとを備え
る。分類コントローラ12は、少なくとも1つのプロセッサ18とメモリ20とを含む。
システム10は、例えば、コンピュータ上でソフトウェア及びハードウェアの組合せとし
て(例えば、パソコンやモバイルコンピューティング装置として)実装されるか、専用の
画像セグメンテーションシステムとして実装されることができる。システム10は随意的
には分散型とされていることができ;例えば、メモリ20の全部又は一部のコンポーネン
トは、プロセッサ18からリモートな場所に配置されていることができ;ユーザインタフ
ェース14はメモリ20及び/又はプロセッサ18からリモートな場所に配置されている
ことができる。例えば、システム10は、サービス指向型アーキテクチャ内にて実装され
得るのであり、そのコンポーネントは例えばLANやWANやインターネット等の通信ネ
ットワークを介して相互通信していることができる。システム10は、クラウド内に展開
されることができ、異なる場所に居るユーザによってその使用を共有できる。
【0046】
特定の他の実施形態では、システム10は、(ソフトウェア及びハードウェアについて
の)スタンドアロン型システムとして実装されるか、又はコンピュータによって実行可能
なスタンドアロン型ソフトウェアとして実装され得るのであり、1つの場所に展開できる
。例えば、システム10は、病院や医療クリニックや他の臨床場所で展開できる。
【0047】
メモリ20はプロセッサ18とデータ通信を行えるのであり、また、典型的には揮発性
及び不揮発性メモリの両方を備えるのであり(また、各メモリタイプについて1つ以上の
ものを含み得るのであり)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM、及び1つ以上
のマスストレージ装置が含まれる。
【0048】
以下において詳述するように、プロセッサ18は、セグメンタ22(これは、構造セグメンタ24aと、物質セグメンタ24bと、異常物質セグメンタ24cとしての異常セグメンタとを含む)と、セグメンテーションマッププロセッサ26と、非画像データプロセッサ28とを含む。プロセッサ18は、分類器30、I/Oインタフェース32及び結果出力34をも含む。
【0049】
メモリ20は、プログラムコード36と、画像データ38と、非画像データ40と、セグメンテーションモデル42( この例では、構造セグメンテーションモデル44と、物質セグメンテーションモデル46と、異常物質セグメンテーションモデル48としての異常セグメンテーションモデルとを含む)と、セグメンテーションマップ50(この例では、構造セグメンテーションマップ52と、物質セグメンテーションマップ54と、異常物質セグメンテーションマップ56としての異常セグメンテーションマップとを含む)とを含む。構造セグメンタ24aと物質セグメンタ24bと異常物質セグメンタ24cとは、各々のセグメンテーションモデル44,46,48を訓練して、セグメンテーションモデル44,46,48を用いて着信画像に対してセグメンテーションを行って、それぞれ構造セグメンテーションマップ52、物質セグメンテーションマップ54、及び異常物質セグメンテーションマップ56を生成する。
【0050】
メモリ20は、分類ニューラルネットワーク58としての分類機械学習モデルをも含み
、これを訓練して、分類器30がこれとセグメンテーションマップ50及び非画像データ
40とを用いて分類を行う。分類コントローラ12は、少なくとも部分的には(一部の実
施形態では、完全に)、メモリ20からのプログラムコード36を実行しているプロセッ
サ18によって、実装されている。
【0051】
なお、この実施形態は医療画像内の構造及び/又は物質の分類に関するため、異常物質
セグメンタ24cは異常組織セグメンタとも称され得るのであり、また、異常物質セグメ
ンテーションマップ56は異常組織セグメンテーションマップとも称され得る。
【0052】
大局的に述べるに、I/Oインタフェース32は、被検者に関する画像データ及び非画
像データを読み取り又は受信し、また、これらのデータを画像データ38及び非画像デー
タ40としてメモリ20に処理のため格納するように構成されている。この実施形態では
、画像データ38は、典型的には、医療画像の形式を有しており、例えばそれは被験者の
人体の或る領域に関する。非画像データ40は、典型的には、様々な構造化及び非構造化
データ源からの被験物又は患者情報を含むのであって、被験者の診察時、治療時、及びフ
ォローアップ診察をわたって収集される。被験者構造化データは、次の事項を含み得る:
例えば性別、年齢、体重、身長等の被験者基礎情報;例えば血液検査結果やDNA検査結
果等の臨床検査結果;例えば薬物タイプや投与量等の治療データ;及び例えば喫煙歴や飲
酒歴や骨折歴等の問診データ。被験者非構造化データは、臨床検査結果のテキストドキュ
メントや医師のメモや放射線報告等を含み得る。非画像データ40は、例えば数値データ
やテキストや音声や動画等様々な形式でもたらされ得る。
【0053】
セグメンタ22は(1つ以上医療画像を構成する)画像データ38を処理して、構造セ
グメンテーションモデル44と物質セグメンテーションモデル46と異常物質セグメンテ
ーションモデル48とを用いて、画像データ38から、構造セグメンテーションマップ5
2と物質セグメンテーションマップ54と異常物質セグメンテーションマップ56とをそ
れぞれ生成するのであり、これらは画像データ38を異なる方法で特徴付ける。そして、
分類器30は結果としてもたらされたセグメンテーションマップ50と非画像データ40
とを入力して、そこから結果を分類出力として生成する。この実施形態では、分類出力は
、ユーザに提示されるか、さらなる分析のために用いられるのであり、それはI/Oイン
タフェース32を介してなされ、それは結果出力34及び/又はユーザインタフェース1
4にてなされる。
【0054】
(この実施形態では分類ニューラルネットワーク58をもって生成された)分類器30
の分類出力は、1つ以上の分類の各々について(また、好適には、複数の可能な分類の各
々について)のそれぞれの状態スコアを備える。各スコアは、被験者が対応する分類に該
当することになると予測される蓋然性を表す。骨脆弱性評価に関してのこの実施形態では
、分類は次の通り:「無視可能な骨折危険性」、「差し迫った骨折危険性」、「中期的な
骨折危険性」、及び「長期的な骨折危険性」。分類出力については以下詳述する。
【0055】
代替的な実施形態では、分類器は、1つ以上の状態進行段階の各々についてのそれぞれ
の疾患進行スコアを、出力する。各スコアは、現在の状態が別の状態へと進行すると予想
される蓋然性を表す。例えば、骨脆弱性評価に際しては、疾患進行度合いは「安定」、「
軽度劣化」、及び「加速劣化」を含み得る。
【0056】
さらに別の実施形態では、分類器は、複数の治療選択肢の各々についてそれぞれの治療
スコアを出力する。各スコアは、治療法が患者にとって最高に効率的であると予想される
蓋然性を表す。例えば、骨脆弱性評価においては、治療選択肢としては「再吸収阻害薬」
、「同化剤療法」、及び「再吸収阻害薬プラス同化剤療法」が含まれ得る。
【0057】
さらなる実施形態では、分類出力は、既知の医学的状態又は病状に対応する1つ以上の可能な分類の各々についてのスコアを含む。例えば、骨脆弱性評価においては、これらの分類としては次のものを挙げることができる:「骨軟化症」、「腫瘍」、「骨壊死」、及び「感染症」。このような実施形態では、結果として得られたスコアは、被験者のサンプル(例えば骨)がその分類/状態に合致する度合いを表す。1つの分類のみが顕著なスコアを有する場合、又は、1つの分類が他の全てのスコアより顕著に大きなスコアを有する場合、その分類を、対応する状態又は病状についての診断又は示唆される診断として見做せるであろう。
【0058】
特定の実施形態では、分類出力は、(先述の例又は他の例から選択された)そのような
スコアのセットを2つ以上含む。
【0059】
図1に戻るに、そして当業者が分かっているように、1つ以上の医療画像画像を備える
画像データ38は様々な医療撮像モダリティ(例えば、HRpQCT即ちHigh-Resolutio
n peripheral Quantitative Computed Tomography(高解像度末梢骨用定量的CT)等)
の1つ以上によって生成されたデータを含むのであり、これは1つ以上の医療撮像装置(
例えばHRpQCTスキャナ)によって実装される。これらの装置の各々は(生体であれ
インビトロであれ)サンプルを走査して、一般的には被検体の内側の部分についての視覚
表示を作成する。医療画像は例えば、人体の一部又は被験体の全体(例えば脳、腰部、又
は手首)を表し得る。医療画像は、同じサンプル又は人体部位を異なる撮像モダリティを
もってスキャンすることによって取得し得るのであり、異なる撮像モダリティが同じサン
プル又は人体部位の異なる特性を露見させ得る。異なる人体部位について同じ撮像モダリ
ティを用いて医療画像を取得することができるのであり、同じ患者の異なる人体部位が異
なる着眼点をもたらして疾患や状態についてより良い診断に近づき得る。例えば、骨脆弱
性評価に際しては、患者の手首及び脚部の両方をHRpQCTスキャナで走査して(なお
、異なる撮像モダリティを用いて異なるサンプルや人体部位についてスキャンをしての取
得もあり得る。)、被験者の骨質を評価するための情報を提供できる。
【0060】
画像データ38は、画素についての2次元配列として表され得る2D(2次元)画像又
はヴォクセルについての3次元配列として表され得る3D(3次元)画像を含み得る。便
宜のため、後述の医療画像はヴォクセルについての3D配列として表され得る3D画像で
ある。
【0061】
上述のように、画像データ38内に格納された1つ以上の受信医療画像は、訓練済みセグメンテーションモデル42を用いてセグメンタ22によって各々のセグメンテーションマップ50へとセグメントされる。各セグメンテーションマップ52,54,56は、各々の医療画像を異なる態様で特徴付ける。構造セグメンテーションマップ52は、医療画像を、予め定義された構造セットからの1つ以上の異なる解剖学的構造として表す。例えば、手首CTスキャンは、密皮質、遷移ゾーン、及び骨梁領域へとセグメントされることができる。物質セグメンテーションマップは、医療画像を、予め定義された物質セットからの複数の異なる物質で表す。例えば、手首CTスキャンは、石灰化物質、完全石灰化物質、骨梁領域における赤色骨髄、及び骨梁領域における黄色骨髄とセグメントされ得る。異常物質セグメンテーションマップ56は、正常物質と異常物質とを用いて(この例では正常組織と異常組織とを用いて)医療画像を表す。例えば、手首CTスキャンから、腫瘍又は骨折をセグメントでき、異常物質セグメンテーションマップ56内にて「異常」として表され得る。
【0062】
セグメンテーションマップ50を、非画像データ40と組み合わせて分類器30に入力
する。分類器30は、セグメンテーションマップ50及び非画像データ40に基づいて1
つ以上の分類出力を生成する。分類器30の入力データは一般的に多次元である故に、分
類器30は、例えばニューラルネットワークやサポートベクターマシンや決定ツリーやそ
れらの組合せ等の機械学習アルゴリズムを用いて、実装される。
【0063】
この実施形態では、分類器30は、分類ニューラルネットワーク58を用いるか分類ニ
ューラルネットワーク58として実装されるのであり、この例では畳み込みニューラルネ
ットワーク層及び完全接続ニューラルネットワーク層が含まれる(他の実施形態では、他
の機械学習アルゴリズムもあり得る)。分類ニューラルネットワーク58は、後述のよう
に、訓練データで訓練される。
【0064】
上述のように、終局的な分類出力は、システム10によって、結果出力34又はユーザ
インタフェース14を介してユーザへと出力される。分類出力は、随意的には、1つ以上
の対応するセグメンテーションマップ50についての視覚的表現を含み得る。例えば結果
の信頼性を評価する場合のようにユーザによる分類出力解釈に役立つ場合に、セグメンテ
ーションマップ50を提示することができる。
【0065】
図2は、医療用撮像スキャン(この例では手首HRpQCTスキャン62(そのネガ像
62'も示してある))をもって被験者の骨折危険性を算出するに関してのシステム10
の動作について示す高レベル概略図50である。図2に示すように、システム10は複数
のスライスを含む手首HRpQCTスキャン62を受信する。(当業者であれば分かるよ
うにHRpQCTスキャンは100以上のスライスを有していることがあるが、簡略化の
ために4スライスだけが図示してあることを了承されたい。)
【0066】
セグメンタ22はスキャン62を構造セグメンテーションマップ52にセグメントする
のであり、スキャンは密皮質、外側遷移ゾーン、内側遷移ゾーン、及び骨梁領域へとセグ
メントされる。セグメンタ22はスキャン62を物質セグメンテーションマップ54にセ
グメントするのであり、スキャン62は周辺筋肉、周辺脂肪、黄色骨髄過脂肪状態箇所、
赤色骨髄過脂肪状態箇所へとセグメントされる。セグメンテーションマップ52,54と
異常物質セグメンテーションマップ56と非画像データ40(例えば性別や年齢を含む臨
床学的因子)とを含むデータ64は、訓練済み分類器30によって処理されて分類出力を
生成する。分類出力は、セグメンテーションマップ52,54並びに表又は報告66を含
む。表又は報告66は、骨折危険性に関しての次の各カテゴリにおける骨折確率を数値的
及び/又は図案的態様で含む:差し迫った骨折危険性68a(2年以内に骨折:t<2y
)、中期的な骨折危険性68b(2年から5年以内での骨折:2≦t≦5y)、長期的な
骨折危険性68c(5年から10年以内での骨折:5≦t≦10y)、及び無視可能な骨
折危険性68d。図示の例では、次のような確率がみられる:2年以内の手首骨折の危険
性が95.6%、2~5年での手首骨折の危険性が2.4%、5~10年での手首骨折の
危険性が1.6%、及び手首骨折危険性が無視可能な場合が0.3%。換言するに、(手
首骨折危険性が無視可能である場合と長期的な骨折危険性がある場合を合わせると)向こ
う5年間で被験者が手首骨折を経験しない確率はたったの4.4%である。表又は報告6
6は(被験者が骨軟化症を患っているとの)診断を含まないも、これらの確率は大変価値
が高いものであることを理解されたいのであり、例えば診察や相談を受けることによって
診断を求めるように促し得るということも含まれる。
【0067】
図3はセグメンタ22の動作に居着いての概略図70である。セグメンタ22は、(画
像データ38からの)1つ以上の医療画像を含む入力を受信して、画像を処理して、セグ
メンテーションマップ50を生成するように構成されている。医療画像は、同じ撮像モダ
リティを用いて患者の異なる人体部位をスキャンすることによって取得できる。例えば、
骨質を評価する一部の用途においては、評価のために、HRpQCTスキャナで患者の手
首及び脚部の両方をスキャンできる。医療画像は、異なる撮像モダリティを用いて患者の
同じ又は異なる人体部位をスキャンすることによって取得できる。例えば、骨質評価の一
部の用途においては、評価のために患者の手首HRpQCTスキャン及び腰部DXAスキ
ャンの両方取得する(ここでも想起されたいが、他の撮像モダリティを用いて異なるサン
プル又は人体部位をスキャンすることによって医療画像を取得できる。)。
【0068】
図3を参照するに、セグメンタ22は、被験者の医療画像1~n(38,...,3
とラベル付けされている)に対応する1つ以上の処理分枝1~n(図中において72
,...,72とラベル付けされている)を、実装する。複数の処理分枝がある場合
、医療画像38,...,38は、例えば異なる撮像モダリティ(74,...,
74とラベル付けされている)によって発生しているかもしれず、図示の例の場合のよ
うに、異なる人体部位、単一の人体部位についての異なるスキャン、又はこれらの2つ以
上の組合せもあり得る。各々のセグメンテーション分枝72,...,72は、画像
を受信して、画像タイプに従って(例えば異なるプログラムコード36を伴って)画像を
セグメントして、分枝出力を生成するように構成されている(入力画像のセグメンテーシ
ョンマップ50を構成する)。
【0069】
各々の入力医療画像を処理するために、セグメンタ22は、初めに、入力画像のタイプ
に従って処理分枝1~nから処理分枝を選択するように構成されている。セグメンタ22
は、次の事項に従って画像タイプを確定する:サンプル(例えばスキャンされた人体部位
)及び撮像モダリティ、各々の画像から決定され得る情報であって医療画像のヘッダファ
イル内に格納されたメタデータ及び/又はファイルタイプから導出できること。例えば、
被スキャン人体部位及び撮像モダリティについての情報は、メタデータからアクセス可能
である。
【0070】
各入力医療画像1~nは3つのセグメンテーションプログラム(即ち、構造セグメンタ
24a、物質セグメンタ24b、及び異常物質セグメンタ24c)の1つ以上によって処
理されて対応するセグメンテーションマップ52,54,56に転じる。したがって、セ
グメンタ22はセグメンタ24a,24b,24c(それぞれ、24a,...,24
、24b,...,24b、及び24c,...,24cとラベル付けされ
ている)について最大でn個のインスタンスを並列又はシーケンシャル態様で用いるので
あるも、各セグメンタ24a,24b,24c(各場合において0からnまでで変動)に
ついてのインスタンス数は異なり得る。
【0071】
構造セグメンタ24a、物質セグメンタ24b、及び異常物質セグメンタ24cは、各
処理分枝72,...,72において各々のセグメンテーションマップを生成できる
。例えば、図3では、構造セグメンタ24a、物質セグメンタ24b、及び異常物質セグ
メンタ24cは、医療撮像モダリティ1~nに対応する各々のセグメンテーションマップ
を生成するのであり、結果として生じる構造セグメンテーションマップ、物質セグメンテ
ーションマップ、及び異常組織セグメンテーションマップは、対応する形で構造セグメン
テーションマップ52,...,52、物質セグメンテーションマップ54,..
.,54、及び異常組織セグメンテーションマップ56,...,56とラベル付
けされている。もっとも、一部の用途では、全3種のセグメンテーションマップを生成す
ることができなかったり、そうすることが望ましくなかったりすることに留意されたい。
これは、例えば、画像、撮像モダリティ、又はセグメンタ24a,24b,24cの制限
に起因しているかもしれない(例えば、セグメンタ訓練データの制約に起因する場合)。
【0072】
構造セグメンタ24a、物質セグメンタ24b、及び異常物質セグメンタ24cは、こ
れらのセグメンテーションマップ50の各ヴォクセルに、各々の既定のタイプ(又はカテ
ゴリ)のセットから1つ以上の「タイプ」(又は「カテゴリ」)を割り当てる。したがっ
て、この実施形態では、構造セグメンタ24aは、(予め定義された構造タイプのセット
から)各々の構造タイプをスキャン内の各ヴォクセルに割り当てる。例えば、手首HRp
QCTスキャンは構造セグメンテーションマップ52にセグメントされるのであって、ス
キャン内の各ヴォクセルには次のものからなるセットからの構造タイプ(又はカテゴリ)
が割り当てられる:「周辺組織」、「密皮質」、「遷移ゾーン」、及び「骨梁領域」。
【0073】
物質セグメンタ24bは、(予め定義された物質タイプのセットから)各々の物質タイ
プを各ヴォクセルに割り当てる。例えば、この実施形態では、物質セグメンタ24bは手
首HRpQCTスキャンを物質セグメンテーションマップ54にセグメントするのであり
、スキャン内の各ヴォクセルには次のものからなるセットからの物質タイプが割り当てら
れる:「石灰化物質」、「完全石灰化物質」、「赤色骨髄過脂肪状態物質」、及び「黄色
骨髄過脂肪状態物質」。
【0074】
異常物質セグメンタ24cは、各ヴォクセルに各々の異常/正常タイプを(「正常」及
び「異常」を含むセット等の予め定義された異常/正常タイプについてのセットから)割
り当てる。例えば、この実施形態では、異常物質セグメンタ24cは、手首HRpQCT
スキャンを異常組織セグメンテーションマップ54にセグメントするのであり、スキャン
内の各ヴォクセルには「正常」又は「異常」が割り当てられる。随意的には、特定の他の
実施形態では、異常物質セグメンタ24cは異なるタイプの異常性を区別でき、予め定義
された異常/正常タイプのセットは、(「正常」に加えて、)検討下のサンプルタイプに
固有な具体的な1つ以上の異常性を含み得るのであり、サンプルが骨ならば、これらには
例えば「骨折クラック」や「骨腫瘍」が含まれ得る。このような実施形態では、異常物質
セグメンタ24cが具体的な異常性タイプを決定できない場合の為の「異常」が、セット
に随意的に含まれていることができる。
【0075】
一部の実施形態では、構造セグメンタ24a、物質セグメンタ24b、及び異常物質セ
グメンタ24cは、医療画像内の各ヴォクセルに、信頼限界又は確率を伴う各々のタイプ
を、割り当てる。一部の他の実施形態では、構造セグメンタ24a、物質セグメンタ24
b、及び異常物質セグメンタ24cは、医療画像内の各ヴォクセルに、(随意的に各々は
信頼限界又は確率を伴っている)複数のタイプを割り当てることができる。例えば、構造
セグメンタ24aは、手首HRpQCTスキャンをセグメントするに際して、曖昧なヴォ
クセルには「遷移ゾーン」及び「骨梁領域」の両方のタイプを割り当てることができ、(
典型的には異なる)各々の信頼限界又は確率を付した上でこれがなされる。
【0076】
セグメンタ22は訓練済みセグメンテーションモデル42(これには、構造セグメンテ
ーションモデル、物質セグメンテーションモデル、及び異常物質セグメンテーションモデ
ルが含まれる)を用いてセグメンテーションマップ50を生成する。セグメンテーション
モデルは(例えば、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン(SVM)、決定
ツリー、又はこれらの組み合わせを含み得る。)機械学習アルゴリズムを用いて訓練され
る。これらの実施形態では、セグメンテーションモデルは複数の層を有する深層学習ニュ
ーラルネットワークを用いて訓練されるのであり、次のものが含まれる:畳み込みニュー
ラルネットワーク層、完全接続ニューラルネットワーク層、正規化層、及び乗算層。
【0077】
セグメンタ22は加えて(又は代替的に)、非機械学習系手法を用いてセグメンテーシ
ョンをなし得るのであり、例えば、エッジ、角、及び過渡的傾斜の位置に基づいて方法、
又は、画像のヒストグラムや輝度値等の広域的な特徴に基づいた方法が挙げられる。例え
ば、米国特許公開公報第2012/0232375号(「選択された組織構造の画像分析
用の方法及びシステム」)は、手首CTスキャンにおいて密皮質と骨梁領域との間の遷移
ゾーンを、骨の局所的及び広域的な特徴に基づいてセグメントする方法を開示しているの
であって、多くの用途では、セグメンタ22でこの手法を用いることが適切となろう。
【0078】
図4は、分類器30の動作80についての概略図である。分類器30は、(セグメンタ
22によって生成された)セグメンテーションマップ50と非画像被験者データ40とを
含む入力を受信し、その入力を処理して1つ以上の分類結果を生成するように構成されて
いる。
【0079】
もっとも、セグメンテーションマップ50及び非画像被験者データ40の両方は、分類
器30に渡される前に、それぞれセグメンテーションマッププロセッサ26及び非画像デ
ータプロセッサ28によって処理される。例えば、一部の実施形態では、分類器30でよ
り高速な画像処理を可能とするために、セグメンテーションマップ50をダウンサンプル
して低解像度マップにする方が好都合かもしれないのであり、そのような処理が所望され
るか必要とされる場合、それはセグメンテーションマッププロセッサ26によって行われ
る。一部の実施形態では、セグメンテーションマッププロセッサ26は、(典型的には異
なる信頼限界又は確率を伴って)1つより多くのタイプが割り当てられた(特定のセグメ
ンテーションマップ内の)任意のヴォクセルのタイプを、設定するのであり、例えばより
高いか最も高い確率を有するタイプをヴォクセルに割り当てることによってこれをなす。
【0080】
非画像データは構造化データ及び非構造化データを含み得る。非画像データプロセッサ
28は、任意の構造化データを処理するために様々な手法を動員するように構成されてお
り、そこから特徴を抽出することによってそれがなされるのであって、各々の場合におい
てデータの構造及び形式に従ってことがなされる。例えば、典型的には、構造化データは
、データベーステーブルや.jsonファイルや.xmlファイルや.csvファイル等
の構造化データ記憶内にて格納及び維持されている。非画像データプロセッサ28は、必
要となるパラメータ及び属性をデータの各源泉からクエリすることによって構造化データ
から特徴を抽出する。
【0081】
非画像データプロセッサ28は次の2ステップで非構造化データを処理する:第1に、
それを構造化データに変換すること、そして、変換済みデータから特徴を抽出すること。
非画像データプロセッサ28によって用いられる変換方法は各源泉に対して固有である。
例えば、医師メモを構造化データに変換するためには、非画像データプロセッサ28は、
訓練済みの光学式文字読み取り(OCR)を用いることによって、メモを、コンピュータ
によって認識可能なテキストに変換することができる。そして、非画像データプロセッサ
28は、変換済みテキストに対して、この例では、「骨折」や「痛み」や「転倒」等のキ
ーワードを用いて構文解析を行う。一旦非構造化データが構造化データに変換されたらば
、その後、非画像データプロセッサ28は、現在構造化されたデータから特徴を抽出する
【0082】
処理済み非画像データ40及びセグメンテーションマップ22は、分類器30に渡され
、該分類器はこれらの入力を用いて、分類スコア(例えば、疾患状態スコア82、疾患進
行スコア84、及び/又は治療スコア86)を有する分類出力を生成する。
【0083】
図5は、本発明の実施形態による、深層ニューラルネットワークを伴う分類器30の分
類ニューラルネットワーク58の訓練についての流れ図90を示している。図中に示すよ
うに、S92では、医療画像データ及び非画像データを含むデータが、訓練及び試験のた
めに収集又は入力される。S94では、収集された画像はセグメンタ22によってセグメ
ントされてセグメンテーションマップが生成される(上述)。
【0084】
S96では、画像データ38及び非画像データ40に対してラベルを伴ってアノテーシ
ョンがドメイン知識を有する適格な専門家らによって施される。医療用途では、訓練分類
出力は、被験者臨床記録に基づいて決定され得る。例えば、分類出力が骨折確率スコアを
含むべき場合、訓練出力は骨折の(スキャン後の)タイミングであり、これは被験者の病
歴から求められるのであり、骨折が明らかでない場合、「無視可能な危険性」(又は何ら
かの等価な指称)として記録される。分類出力が既知の病状に対応するカテゴリについて
のスコアを含むべき場合、訓練出力は被験者の実際の病状であり、これも被験者の臨床記
録から求められる。
【0085】
S98では、(セグメンテーションマップ50及び非画像データ40を含む)データは
、訓練セットと、開発セットと(略してDevセット、一部の実施形態では省略可能)、試
験セットとに分割されるのであって、各々は異なる用途に供される。訓練セットとは学習
アルゴリズムを実行すべきデータであり;Devセットとはパラメータチューニングに用い
るデータであり;試験セットとは訓練済みモデルを評価するために用いるべきデータであ
る。
【0086】
S100では、深層学習ニューラルネットワークの層を実装する。各層は人工ニューロ
ンからなる。人工ニューロンとは、1つ以上の入力を受信してそれらに対して合算して出
力をもたらす数学的な関数である。通常は、各入力に対して個別的に重み付けをなして、
サムは非線形関数を通されることになる。ニューラルネットワークが学習するにつれて、
モデルの重み付け値は調整されるのであって、調整はもたらされる誤差(ネットワーク出
力とアノテーションの相違)に応じてなされるのであって、誤差をこれ以上低減できなく
なるまで調整がなされる。
【0087】
S102では、層数、ニューロン数、ニューロン重み付け値、及びニューロン機能のパ
ラメータ等を含む分類ニューラルネットワーク58のパラメータを、初期化する。S10
4では、訓練データセットに対して学習アルゴリズムが実行されて分類ニューラルネット
ワーク58のパラメータが更新される。例えば、喪失関数の傾斜を決定することによって
パラメータを更新し得る。喪失関数は、ラベル付けされた分類出力及び分類ニューラルネ
ットワーク58によって生成された出力によって、算出される。開発データは、学習手順
について探って層及びパラメータをチューニングするために用い得る。
【0088】
S106では、分類ニューラルネットワーク58と共に提供された分類器30は、試験
データで試験される。S108では、分類器30の性能が十分であるかについての評価が
なされる。性能が不十分である場合、処理はステップ92へと戻り、より多くの訓練デー
タが収集される。
【0089】
S108で性能が十分とされた場合、処理はS110へと続き、そこでは訓練済み分類
器30は出力されるか展開のためにフラグ付けされるか又は使用のためにリリースされる
。そして処理は終わる。
【0090】
当業者ならば、本発明の範疇から逸脱せずに多くの変更を加えることができることを悟
るはずであり、特に、本発明の実施形態の特定の特徴を用いてさらなる実施形態をもたら
し得ることに留意されたい。
【0091】
仮に、先行技術についての参照が本明細書中にあったとしても、そのような参照は、任
意の国においてその先行技術が周知技術の一部をなすとの自白を形成しないことに留意さ
れたい。
【0092】
添付の特許請求の範囲及び先述の発明の詳細な説明においては、明文又は必然的黙示に
よって文脈が別段の解釈を要求しない限り、「備える」との用語や「備える」(三人称単
数現在形)や「備えている」等の用語は包括的な意味合いで(即ち、宣言された特徴の存
在を指定する意味で)用いられておるが、本発明の様々な実施形態にさらなる特徴が存在
していたり追加されていたりすることを阻却するものではない。
【符号の説明】
【0093】
12 分類コントローラ
14 ユーザインタフェース
16 GUI
18 プロセッサ
20 メモリ
30 分類器
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-10-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の画像内の構造又は物質を分類するためのシステムであって、該システムは、
セグメンタであって、画像内の構造又は物質についての1つ以上のセグメンテーションを形成し、前記セグメンテーションから前記画像についての1つ以上のセグメンテーションマップであって1つ以上の各予め定義されたカテゴリのセットから割り当てられた前記セグメンテーションマップの画素又はヴォクセルのカテゴリゼーションを含むセグメンテーションマップを生成する、セグメンタと、
訓練済み分類機械学習モデルであって、前記セグメンテーションマップに基づいて1つ以上の分類を生成し、前記構造若しくは物質又は前記被験者が前記各分類に該当する蓋然性を示す各スコアを前記分類に対して割り当てるように構成された訓練済み分類機械学習モデルを実装する分類器と、
前記分類及びスコアを示す結果を出力するための出力部とを備える、システム。
【請求項2】
請求項に記載のシステムにおいて、前記分類器は、前記被験者に関する前記セグメンテーションマップ及び非画像データに基づいて前記1つ以上の分類を生成する、システム。
【請求項3】
請求項又はに記載のシステムにおいて、前記セグメンタは、
i)予め定義された構造カテゴリセットから割り当てられた前記画素又はヴォクセルについてのカテゴリゼーションを含む構造セグメンテーションマップを生成するように構成された構造セグメンタ、
ii)予め定義された物質カテゴリセットから割り当てられた前記画素又はヴォクセルについてのカテゴリゼーションを含む物質セグメンテーションマップを生成するように構成された物質セグメンタ、及び/又は
iii)予め定義された異常/正常カテゴリセットから割り当てられた前記画素又はヴォクセルについてのカテゴリゼーションを含む異常セグメンテーションマップを生成するように構成された異常セグメンタを備える、システム。
【請求項4】
請求項に記載のシステムにおいて、前記構造セグメンタは構造セグメンテーション機械学習モデルを用いて前記構造セグメンテーションマップを生成するように構成されており、前記物質セグメンタは物質セグメンテーション機械学習モデルを用いて前記物質セグメンテーションマップを生成するように構成されており、前記異常セグメンタは異常セグメンテーションモデルを用いて前記異常セグメンテーションマップを生成するように構成されている、システム。
【請求項5】
請求項乃至のいずれか1つに記載のシステムにおいて、前記セグメンテーションマップが前記分類器によって入力される前に前記セグメンテーションマップをダウンサンプル又は他の態様で処理するように構成されたセグメンテーションマッププロセッサをさらに備える、システム。
【請求項6】
請求項乃至のいずれか1つに記載のシステムにおいて、前記分類機械学習モデルは、
(a)ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、及び/若しくは決定ツリー、又は
(b)畳み込みニューラルネットワーク層及び完全接続ニューラルネットワーク層を含むニューラルネットワークを含む、システム。
【請求項7】
請求項乃至のいずれか1つに記載のシステムにおいて、前記画像は医療画像であり、また、前記分類は、
(i)前記構造若しくは物質又は被験者がそれぞれの期間内において特定の状態や症状に陥ることとなる確率、
(ii)前記構造若しくは物質又は被験者がそれぞれの期間内において特定の状態や症状に陥ることとなる確率であって、該期間は、短期期間、長期期間、並びに、前記短期期間及び前記長期期間の間の少なくとも1つの中期期間を含む、確率、
(iii)前記構造若しくは物質又は被験者がそれぞれの状態や症状に陥ることとなる確率、
(iv)疾患又は病状の進行のそれぞれの速さについての確率、
(v)疾患又は病状の進行のそれぞれの速さについての確率であって、前記分類は、安定、軽度劣化、及び加速劣化のいずれか1つ以上を含む、確率、
(vi)それぞれの治療選択肢の有効性についての確率、
(vi)それぞれの治療選択肢の有効性についての確率であって、前記治療選択肢は再吸収阻害薬及び/又は同化剤療法を含む、確率、
(viii)それぞれの医学的状態、及び/又は
(ix)骨軟化症、腫瘍、骨壊死及び感染のいずれか1つ以上を含む、それぞれの医学的状態
に対応する、システム。
【請求項8】
請求項乃至のいずれか1つに記載のシステムにおいて、前記訓練済み分類機械学習モデルは、以下の方法によって訓練された分類機械学習モデルであって該方法は、
アノテーション済みセグメンテーションマップ及びアノテーション済み非画像データを、訓練セット及び試験セットに分割するステップであって、前記アノテーション済みセグメンテーションマップは1以上の被験者の1つ以上の画像をセグメントすることによって取得されたものであり、前記アノテーション済み非画像データは前記1以上の被験者の各々に関連したものである、ステップと、
(a)分類機械学習モデルを実装するステップであって、該ステップは前記分類機械学習モデルのパラメータの初期化を含む、ステップと、
(b)学習アルゴリズムを前記訓練セットに対して実行することによって前記分類機械学習モデルのパラメータを更新するステップと、
(c)前記試験セットに対して前記分類機械学習モデルで試験を行うステップと、
(d)前記分類機械学習モデルが十分な性能を有しているかを評価するステップと、
ステップ(d)において性能が不十分とされた場合にステップ(a)乃至(d)を反復するか、又は、ステップ(d)において性能が十分とされた場合に前記分類機械学習モデルを展開のために出力するステップとを含む、システム。
【請求項9】
被験者の画像内の構造又は物質を分類するためのコンピュータ実装方法であって、該方法は、
画像内の構造又は物質について1つ以上のセグメンテーションを形成するステップと、
前記セグメンテーションから、前記画像についての1つ以上のセグメンテーションマップであって各予め定義された構造/物質カテゴリのセットから割り当てられた前記セグメンテーションマップの画素又はヴォクセルのカテゴリゼーションを含むセグメンテーションマップを生成するステップと、
訓練済み分類機械学習モデルを用いて、前記セグメンテーションマップに基づいて1つ以上の分類を生成し、前記構造若しくは物質又は前記被験者が前記各分類に該当する蓋然性を示す各スコアを前記分類に対して割り当てるステップと、
前記分類及びスコアを示す結果を出力するステップとを含む、方法。
【請求項10】
請求項に記載の方法において、前記訓練済み分類機械学習モデルは、(i)前記被験者に関する前記セグメンテーションマップ及び非画像データに基づいて前記1つ以上の分類を生成し、及び/又は(ii)前記被験者に関連する画像データ及び非画像データに基づいて、訓練被験者に関連する画像データ及び非画像データにより訓練済みの各スコアを生成する、方法。
【請求項11】
請求項又は10に記載の方法において、前記1つ以上のセグメンテーションを形成するステップは、
i)予め定義された構造カテゴリセットから割り当てられた前記画素又はヴォクセルについてのカテゴリゼーションを含む構造セグメンテーションマップを生成するステップ、
ii)予め定義された物質カテゴリセットから割り当てられた前記画素又はヴォクセルについてのカテゴリゼーションを含む物質セグメンテーションマップを生成するステップ、及び/又は
iii)予め定義された異常/正常カテゴリセットから割り当てられた前記画素又はヴォクセルについてのカテゴリゼーションを含む異常セグメンテーションマップを生成するステップを含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、構造セグメンテーション機械学習モデルを用いて前記構造セグメンテーションマップを生成するステップと、物質セグメンテーション機械学習モデルを用いて前記物質セグメンテーションマップを生成するステップと、異常セグメンテーションモデルを用いて前記異常セグメンテーションマップを生成するステップとを含む、方法。
【請求項13】
請求項乃至12のいずれか1つに記載の方法において、前記訓練済み分類機械学習モデルは、以下の方法によって訓練された分類機械学習モデルであって該方法は、
アノテーション済みセグメンテーションマップ及びアノテーション済み非画像データを、訓練セット及び試験セットに分割するステップであって、前記アノテーション済みセグメンテーションマップは1以上の被験者の1つ以上の画像をセグメントすることによって取得されたものであり、前記アノテーション済み非画像データは前記1以上の被験者の各々に関連したものである、ステップと、
(a)分類機械学習モデルを実装するステップであって、該ステップは前記分類機械学習モデルのパラメータの初期化を含む、ステップと、
(b)学習アルゴリズムを前記訓練セットに対して実行することによって前記分類機械学習モデルのパラメータを更新するステップと、
(c)前記試験セットに対して前記分類機械学習モデルで試験を行うステップと、
(d)前記分類機械学習モデルが十分な性能を有しているかを評価するステップと、
ステップ(d)において性能が不十分とされた場合にステップ(a)乃至(d)を反復するか、又は、ステップ(d)において性能が十分とされた場合に前記分類機械学習モデルを展開のために出力するステップとを含む、方法。
【請求項14】
請求項乃至13のいずれか1つに記載の方法に従って生成された、被験者についての画像内の構造又は物質についての分類を含む、コンピュータ可読媒体
【請求項15】
1つ以上のコンピューティング装置によって実行されると、請求項乃至13のいずれか1つに記載の方法を実施するように構成されたコンピュータプログラム。
【請求項16】
請求項15に記載のコンピュータプログラムを備えるコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
分類機械学習モデルを含むコンピュータプログラムであって、該分類機械学習モデルは、
1つ以上のセグメンテーションマップに基づいて1つ以上の分類を生成するステップであって、前記1つ以上のセグメンテーションマップは、各予め定義された構造/物質カテゴリと1つ以上の分類とのセットから割り当てられた前記セグメンテーションマップの画素又はヴォクセルのカテゴリゼーションを含み、画像内の前記構造若しくは物質のセグメンテーションから生成されるものであるステップと、
前記構造若しくは物質又は被験者が前記各分類に該当する蓋然性を示す各スコアを前記分類に対して割り当てるステップと、
前記分類及びスコアを示す結果を出力するステップと、によって訓練されたものである、コンピュータプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
本発明の第4の態様によれば、被験者の画像内の構造又は物質を分類するための分類機械学習モデルを訓練するためのコンピュータ実装方法を提供するのであって、該方法は:
アノテーション済みセグメンテーションマップ及びアノテーション済み非画像データを、訓練セット及び試験セットに分割するステップであって(その結果、訓練セット及び試験セットの各々が幾らかのアノテーション済みセグメンテーションマップ及び幾らかの非画像データを含むこととなる)、アノテーション済みセグメンテーションマップは1つ以上の画像をセグメントすることによって取得されたものである、ステップと、
(a)分類機械学習モデルを実装するステップであって、該ステップは分類機械学習モデルのパラメータの初期化を含む、ステップと、
(b)学習アルゴリズムを訓練セットに対して実行することによって分類機械学習モデルのパラメータを更新するステップと、
(c)試験セットに対して分類機械学習モデルで試験を行うステップと、
(d)分類機械学習モデルが十分な性能を有しているかを評価するステップと、
ステップ(d)において性能が不十分とされた場合にステップ(a)乃至(d)を反復するステップと、
分類機械学習モデルを訓練済み分類機械学習モデルとして展開のために出力するか、又は、分類機械学習モデルを訓練済み分類機械学習モデルとしてフラグ付けするステップとを含む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
したがって、1つの実施形態において分類機械学習モデルは、人工ニューロンを備える複数の層を有するニューラルネットワークを備えており、パラメータは層数、ニューロン数、ニューロン重み付け値、及びニューロン機能のパラメータを含む。また、分類機械学習モデルについて試験することは、分類機械学習モデルを試験セットで試験することを含む。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
実施形態では、方法は、アノテーション済みセグメンテーションマップ及びアノテーション済み画像データを訓練セットと開発セットと試験セットとに分割すること、及び、学習手順を調べるため及びパラメータをチューニングするために開発セットを用いることが含まれる(また、分類機械学習モデルがニューラルネットワークを備える場合、層のチューニングも含まれる)。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
この態様によれば、被験者の画像内の構造又は物質を分類するための分類機械学習モデルを訓練するためのシステムが提供されるのであって、該システムはプロセッサを備えており、該プロセッサは:
アノテーション済みセグメンテーションマップ及びアノテーション済み非画像データを、訓練セット及び試験セットに分割するステップであって、アノテーション済みセグメンテーションマップは1つ以上の画像をセグメントすることによって取得されたものである、ステップと、
(a)分類機械学習モデルを実装するステップであって、該ステップは分類機械学習モデルのパラメータの初期化を含む、ステップと、
(b)学習アルゴリズムを訓練セットに対して実行することによって分類機械学習モデルのパラメータを更新するステップと、
(c)試験セットに対して分類機械学習モデルで試験を行うステップと、
(d)分類機械学習モデルが十分な性能を有しているかを評価するステップと、
ステップ(d)において性能が不十分とされた場合にステップ(a)乃至(d)を反復するステップと、
分類機械学習モデルを訓練済み分類機械学習モデルとして展開のために出力するか、又は、分類機械学習モデルを訓練済み分類機械学習モデルとしてフラグ付けするステップとを行うように構成されている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
上述のように、画像データ38内に格納された1つ以上の受信医療画像は、訓練済みセグメンテーションモデル42を用いてセグメンタ22によって各々のセグメンテーションマップ50へとセグメントされる。各セグメンテーションマップ52,54,56は、各々の医療画像を異なる態様で特徴付ける。構造セグメンテーションマップ52は、医療画像を、予め定義された構造セットからの1つ以上の異なる解剖学的構造として表す。例えば、手首CTスキャンは、密皮質、遷移ゾーン、及び骨梁領域へとセグメントされることができる。物質セグメンテーションマップ54は、医療画像を、予め定義された物質セットからの複数の異なる物質で表す。例えば、手首CTスキャンは、石灰化物質、完全石灰化物質、骨梁領域における赤色骨髄、及び骨梁領域における黄色骨髄とセグメントされ得る。異常物質セグメンテーションマップ56は、正常物質と異常物質とを用いて(この例では正常組織と異常組織とを用いて)医療画像を表す。例えば、手首CTスキャンから、腫瘍又は骨折をセグメントでき、異常物質セグメンテーションマップ56内にて「異常」として表され得る。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
図2は、医療用撮像スキャン(この例では手首HRpQCTスキャン62(そのネガ像62'も示してある))をもって被験者の骨折危険性を算出するに関してのシステム10の動作について示す高レベル概略図60である。図2に示すように、システム10は複数のスライスを含む手首HRpQCTスキャン62を受信する。(当業者であれば分かるようにHRpQCTスキャンは100以上のスライスを有していることがあるが、簡略化のために4スライスだけが図示してあることを了承されたい。)
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
異常物質セグメンタ24cは、各ヴォクセルに各々の異常/正常タイプを(「正常」及び「異常」を含むセット等の予め定義された異常/正常タイプについてのセットから)割り当てる。例えば、この実施形態では、異常物質セグメンタ24cは、手首HRpQCTスキャンを異常組織セグメンテーションマップ56にセグメントするのであり、スキャン内の各ヴォクセルには「正常」又は「異常」が割り当てられる。随意的には、特定の他の実施形態では、異常物質セグメンタ24cは異なるタイプの異常性を区別でき、予め定義された異常/正常タイプのセットは、(「正常」に加えて、)検討下のサンプルタイプに固有な具体的な1つ以上の異常性を含み得るのであり、サンプルが骨ならば、これらには例えば「骨折クラック」や「骨腫瘍」が含まれ得る。このような実施形態では、異常物質セグメンタ24cが具体的な異常性タイプを決定できない場合の為の「異常」が、セットに随意的に含まれていることができる。
【外国語明細書】