(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013808
(43)【公開日】2025-01-28
(54)【発明の名称】日焼け止め組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20250121BHJP
A61K 8/27 20060101ALI20250121BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/27
A61Q17/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024173156
(22)【出願日】2024-10-02
(62)【分割の表示】P 2018563115の分割
【原出願日】2017-06-01
(31)【優先権主張番号】62/344,795
(32)【優先日】2016-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510270764
【氏名又は名称】コボ プロダクツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュロスマン,デーヴィット
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,ユン
(72)【発明者】
【氏名】ファシーナ,ルナ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】有用な日焼け止め成分であるビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BEMT)および酸化亜鉛の両方を、有用な製剤に最良に使用するための日焼け止め組成物を提供する。
【解決手段】UV保護において相乗効果が得られる比で、非ナノZnOおよびビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BEMT)を含む、日焼け止め組成物が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
UV保護において相乗効果が得られる比で、非ナノZnOおよびビス-エチルヘキシル
オキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BEMT)を含む、日焼け止め組成物。
【請求項2】
前記相乗効果が、対応する数学的に計算されたSPF値および/またはPFA値と比較
して、増加した日焼け止め指数(SPF)値、増加したUVA保護係数(PFA)値、ま
たはその両方を含む、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項3】
少なくとも15のSPF値もしくは少なくとも8のPFA値、またはその両方を有する
、請求項1または2に記載の日焼け止め組成物。
【請求項4】
少なくとも16のSPF値もしくは少なくとも10のPFA値、またはその両方を有す
る、請求項1または2に記載の日焼け止め組成物。
【請求項5】
少なくとも20のSPF値もしくは少なくとも12のPFA値、またはその両方を有す
る、請求項1または2に記載の日焼け止め組成物。
【請求項6】
少なくとも25のSPF値もしくは少なくとも15のPFA値、またはその両方を有す
る、請求項1または2に記載の日焼け止め組成物。
【請求項7】
前記非ナノZnOは、約100nm~約300nmのメジアン一次粒子径(median pri
mary particle size)を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物
。
【請求項8】
前記ナノZnOは、粒子径100nm以下の粒子を1.5%未満有する、請求項1~7
のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項9】
前記非ナノZnOが被覆されていない、請求項1~8のいずれか1項に記載の日焼け止
め組成物。
【請求項10】
前記非ナノZnOが異なる酸化物化合物で被覆されている、請求項1~8のいずれか1
項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項11】
前記異なる酸化物化合物がシリカである、請求項10に記載の日焼け止め組成物。
【請求項12】
前記非ナノZnOが、シラン類、シリコーン類、有機チタネート類、脂肪酸類、金属石
鹸類、ポリオール類、ジメチコン類、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され
る有機材料でさらに被覆されている、請求項1~11のいずれか1項に記載の日焼け止め
組成物。
【請求項13】
約0.1重量%および約25重量%の間のレベルで非ナノZnOを含む、請求項1~1
2のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項14】
非ナノZnOが約1重量%および約20重量%の間のレベルである、請求項13に記載
の日焼け止め組成物。
【請求項15】
非ナノZnOが約2重量%および約15重量%の間のレベルである、請求項13に記載
の日焼け止め組成物。
【請求項16】
非ナノZnOが約3重量%および約10重量%の間のレベルである、請求項13に記載
の日焼け止め組成物。
【請求項17】
ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BEMT)を約
0.1重量%および約2重量%の間のレベルで含む、請求項1~13のいずれか1項に記
載の日焼け止め組成物。
【請求項18】
BEMTが約0.2重量%および1.8重量%の間のレベルである、請求項13に記載
の日焼け止め組成物。
【請求項19】
BEMTが約0.5重量%および1.5重量%の間のレベルである、請求項13に記載
の日焼け止め組成物。
【請求項20】
皮膚、毛髪または爪のケアのために無着色(unpigmented)である、請求項1~17の
いずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項21】
ローションまたはクリームである、請求項1~20のいずれか1項に記載の日焼け止め
組成物。
【請求項22】
ファンデーション、口紅、マニキュア、およびプレストパウダー(pressed powder)か
らなる群より選択される色彩化粧料(color cosmetic)である、請求項1~17のいずれ
か1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項23】
有機または無機UVフィルターをさらに含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の
日焼け止め組成物。
【請求項24】
前記無機UVフィルターは、二酸化チタン、酸化鉄、およびシリカである、請求項23
に記載の日焼け止め組成物。
【請求項25】
前記有機UVフィルターが、ベンゾフェノン-3(BP3)およびベンゾフェノン-4
(BP4)などのベンゾフェノン類;ホモサレート(HMS)、2-エチルヘキシルサリ
チレート(EHS)などのサリチル酸塩類;エチルヘキシルジメチルPABA(OD-P
ABA)、4-p-アミノ安息香酸(PABA)などのp-アミノ安息香酸(PABA)
および誘導体;フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(PMDSA)、フェニルジベン
ズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム(ビスジスチリゾール二ナトリウム)など
のベンズイミダゾール誘導体;エチルヘキシルトリアゾン(OT)、ジエチルヘキシルブ
タミドトリアゾン(DBT)、ベンゾトリアゾール類、ドロメトリゾールトリシロキサン
(DRT)、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノ(ビスコトリ
アゾール)(MBP)などのトリアジン類;ブチルメトキシジベンゾイルメタン(BM-
DBM)などのジベンゾイルメタン誘導体類;エチルヘキシルメトキシシンナメート(O
MC)、イソアミルp-メトキシシンナメート(IMC)などのケイ皮酸エステル類;な
らびにテレフタリデンジカンファースルホン酸(PDSA)、3-ベンジリデンカンファ
ー(3BC)、ベンジリデンカンファースルホン酸(BCSA)、4-メチルベンジリデ
ンカンファー(4-MBC)、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー(PB
C)、およびカンファーベンザルコニウムメトサルフェート(CBM)などのカンファー
誘導体類からなる群より選択される、請求項23に記載の日焼け止め組成物。
【請求項26】
前記有機UVフィルターが、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタ
ン、2-メチルジベンゾイルメタン、4-メチル-ジベンゾイル-エタン、4-イソプロ
ピルジベンゾイル-メタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチ
ルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’-ジイソプロピ
ル-ジベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4’-メトキシジベンゾイル
メタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4’-メトキシ-ジベンゾイルメタン、2
,4-ジメチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、および2,6-ジメチル-4-t
ert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンからなる群より選択されるジベンゾ
イルメタン誘導体である、請求項23に記載の日焼け止め組成物。
【請求項27】
サンレスタンニング剤、抗菌剤、脱色素剤、老化防止剤、抗真菌剤、防虫剤、およびこ
れらの組み合わせからなる群より選択される局所活性剤をさらに含む、請求項1~23の
いずれか1項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項28】
表1に実質的に記載されおよび示される、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項29】
請求項1および28のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物を含む化粧料またはパー
ソナルケア製剤。
【請求項30】
請求項1および28のいずれか1項に記載の日焼け止め組成物を含む物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、35 U.S.C. §109(e)の下、2016年6月2日に出願さ
れた米国仮出願第62/344,795号の優先権を主張するものであり、その全体の内
容が本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
(本発明の技術分野)
本発明は、化粧用の日焼け止め組成物および原料用途の技術分野に属し、特に、ビス-
エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BEMT)および非ナノ
酸化亜鉛を含有する広域スペクトル日焼け止め組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
太陽放射は、約5%の紫外線(UV)放射を含み、これは200nm~400nmの範
囲の波長を有し、3つの領域に分類することができる:320~400nm(UV-A)
、290~320nm(UV-B)、200~290nm(UV-C)。大部分のUVC
はオゾン層に吸収されて地球上には到達しないが、UVAおよびUVBの両方は大気圏を
貫通しうる。かつてはUVBのみが懸念されると考えられていたが、UVAによって引き
起こされうる人体へのダメージについての行われた研究や得られた知識の増加に伴い、U
VAおよびUVBの両方がさまざまな健康関連の問題を引き起こすことが認識された。短
時間のUV-AおよびUV-Bへの曝露は皮膚の赤みおよび刺激を引き起こし、長時間の
曝露は日焼け、早期の皮膚老化、髪の損傷、眼の損傷(白内障を含む)、ならびに黒色腫
および他の皮膚癌を引き起こす可能性がある。したがって、大量のUV-AおよびUV-
B照射からの保護は、パーソナルケアの重要な部分である。
【0004】
UV照射からの保護における安全な使用のために、多くのUV-B日焼け止め剤が知ら
れ、承認されている一方、UVA照射から保護する新たな方法の探索は、UV-A照射お
よびUV-B照射の両方から保護することができる広域スペクトルのサンケア製品を開発
することを目標として、この分野における重要な試みであることが明らかになった。日焼
け止め指数(SPF)およびUVA保護係数(PFA)は、一般的に測定される光防護組
成物の性質であり、UV-B照射およびUV-A照射の両方の曝露から皮膚が受けるそれ
ぞれの保護を示す。
【0005】
酸化亜鉛は、不活性であり、敏感肌の消費者にアレルギーまたは刺痛を引き起こさない
ため、世界的に認可された日焼け止め活性成分であり、日焼け止め製剤に広く使用されて
いる。酸化亜鉛は、主にUVAを吸収するUVA日焼け止め成分であることが認められて
いる。研究によれば、マイクロZnOは、インビボでの持続型即時黒化(persistent pig
ment darkening)法によって測定されるPFA値によって示されるように、十分なUVA
保護を提供することができる。しかしながら、ZnOは弱いUVB保護しか提供できない
(D.SchlossmanおよびY.Shao、「Sunscreens:Regul
ations and Commercial Development、第3版、N.
Saath、TaylorおよびFrancis、2005年3月」の「無機紫外線フィ
ルター」)。特に、非ナノ領域(D50>100nm)のように、ZnOの一次サイズが
大きくなると、UVA領域およびUVB領域の両方における保護効果は、ナノZnO相当
物よりも効果が小さくなる。したがって、広域スペクトル保護を備えたSPF30以上の
性能要求を満たすために、ZnOは、他の有機日焼け止め剤および/または二酸化チタン
と共にしばしば使用される。
【0006】
Tinosorb(登録商標)Sの商品名でのビス-エチルヘキシルオキシフェノール
メトキシフェニルトリアジン(BEMT)は、日焼け止め製剤におけるUVA保護のため
にBASF(旧称Ciba)によって製造されている。しかしながら、BASFの科学者
による研究(Uli Osterwalderら、2007年4月17-19日、パリ、
In-Cosmetics、新規のUVA保護基準を達成する方法)において、BEMT
の性能は、以下のように平凡なものであった:
アクティブ:BEMT 4%
SPF インビボ=7.3±1.2
UVA-PF インビボ=7.6±2.2。
【0007】
したがって、BEMTおよび酸化亜鉛の両方が日焼け止め製品の日焼け止め活性成分と
して使用されてきたという事実にもかかわらず、これら二つの一般的に有用な日焼け止め
成分を有用な製剤にいかに最良に使用するかは、特にZnOのサイズが大きい場合におい
て、依然として課題となっている。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、UVA照射およびUVB照射の両方に対する保護における、BEMTおよび
非ナノZnOの間の相乗効果の驚くべき発見に基づく。BEMTの使用レベルが2重量%
を超えない場合、その組み合わせは広スペクトルかつ高いUV保護を提供する。特に、本
発明は、BEMTの100nmを超えるメディアン一次粒子径を有する非ナノZnOとの
使用を提供し、非ナノZnOのレベルは25重量%以下である。
【0009】
したがって、一態様において、本発明は、非ナノZnOおよびビス-エチルヘキシルオ
キシフェノールメトキシフェニルトリアジン、および任意に他の有機または無機UVフィ
ルターを含む日焼け止め組成物を提供する。
【0010】
別の態様において、本発明の組成物は、本明細書に開示される、いずれかの実施形態に
係る日焼け止め組成物、またはその組み合わせを含む化粧料またはパーソナルケア製剤を
提供する。
【0011】
別の態様において、本発明の組成物は、本明細書に開示される、いずれかの実施形態に
係る日焼け止め組成物またはその組み合わせを含む物品を提供する。
【0012】
本発明の他の態様または利点は、以下に記載する詳細な説明および特許請求の範囲にお
いてより良く理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
通常、大粒径のZnOは、効果の低いUV保護を提供するという従来の考えとは対照的
に、非ナノZnOがBMETと組み合わされたときに相乗効果が存在することが発見され
た。本発明の日焼け止め組成物は、ZnO、特にメディアン一次粒子径が100nmを超
える非ナノZnOと、BEMTとを含有する。
【0014】
非ナノZnOを25重量%まで、およびBEMTを2重量%まで使用した場合において
、驚くべきことにZnOおよびBEMTの高い相乗効果が発見された。上記文献に報告さ
れている性能データによれば、計算されたSPFおよびPFAは、それぞれ15未満およ
び8未満であると予想される。このようなSPFを有する日焼け止め製品は、パッケージ
上に警告ラベルを付けることが要求され、したがって市場性に影響を及ぼす。対照的に、
本発明の非ナノZnOおよびBEMTの組み合わせは、それぞれ、SPFが35より高く
PFAが25より高くなるよう試験された。
【0015】
したがって、一態様において、本発明は、日焼け止め組成物を製造するためのZnOお
よびBEMTの組み合わせの適用を目的としている。
【0016】
一態様において、本発明は、UV保護において相乗効果が得られる比で、非ナノZnO
およびBEMTを含む日焼け止め組成物を提供する。
【0017】
一実施形態において、相乗効果は、2つの個々の成分の値に基づく、対応する数学的に
計算されたSPF値および/またはPFA値と比較して、インビボで測定される、増加し
た日焼け止め指数(SPF)値、増加したUVA保護係数(PFA)値、または両方で表
される。
【0018】
いくつかの実施形態において、増加したSPF値は、少なくとも15、少なくとも16
、少なくとも18、少なくとも20である。いくつかの実施形態において、SPF値は少
なくとも25、少なくとも30、または少なくとも35である。
【0019】
いくつかの実施形態において、増加したPFA値は、少なくとも8、少なくとも10、
少なくとも12、または少なくとも15である。いくつかの実施形態において、PFA値
は、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも22、または少なくとも24である。
【0020】
当業者は、本開示に基づいて、所望のSPF値およびPFA値の組み合わせを達成する
ために、非ナノZnOおよびBMETの量および割合を調節することができるであろう。
【0021】
一実施形態において、ZnOは、約20~300nmの範囲のメディアン一次粒子径(
median primary particle size)を有する。
【0022】
別の実施形態において、ZnOは、約20~100nmの範囲のメディアン一次粒子径
を有する。
【0023】
別の実施形態において、ZnOは、メディアン一次粒子径が約100nm以上(「非ナ
ノZnO」)である。
【0024】
別の実施形態において、ZnOは、約100~300nmの範囲のメディアン一次粒子
径を有する。
【0025】
別の実施形態において、ZnOは、約100~200nmの範囲のメディアン一次粒子
径を有する。
【0026】
別の実施形態において、ZnOは、約200~300nmの範囲のメディアン一次粒子
径を有する。
【0027】
一実施形態において、ZnOは被覆されていない。
【0028】
別の実施形態において、ZnOは異なる酸化物化合物で被覆されている。
【0029】
別の実施形態において、前記異なる酸化物化合物はシリカである。
【0030】
別の実施形態において、ZnOは、シラン類、シリコーン類、有機チタネート類、脂肪
酸類、金属石鹸類、ポリオール類、ジメチコン類、およびこれらの組み合わせからなる群
より選択される有機材料でさらに被覆されている。
【0031】
別の実施形態において、ZnO含量は約25重量%以下のレベルである。
【0032】
別の実施形態において、ZnO含量は、約0.1重量%~約25重量%の範囲のレベル
である。
【0033】
別の実施形態において、ZnO含量は、約1重量%~約20重量%の範囲のレベルであ
る。
【0034】
別の実施形態において、ZnO含量は、約2重量%~約15重量%の範囲のレベルであ
る。
【0035】
別の実施形態において、ZnO含量は、約3重量%~約10重量%の範囲のレベルであ
る。
【0036】
別の実施形態において、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリ
アジン(BEMT)含量は、約2重量%以下のレベルである。
【0037】
別の実施形態において、BEMT含量は、約0.1重量%~約2重量%の範囲のレベル
である。
【0038】
別の実施形態において、BEMT含量は、約0.2重量%~約1.8重量%の範囲のレ
ベルである。
【0039】
別の実施形態において、BEMT含量は、約0.3重量%~約1.6重量%の範囲のレ
ベルである。
【0040】
別の実施形態において、BEMT含量は、約0.5重量%~約1.5重量%の範囲のレ
ベルである。
【0041】
別の実施形態において、日焼け止め組成物は、皮膚、毛髪または爪のケアのために無着
色(unpigmented)である。
【0042】
別の実施形態において、日焼け止め組成物は、ファンデーション、口紅、マニキュア、
およびプレストパウダー(pressed powder)などからなる群より選択される色彩化粧料(
a color cosmetic)である。
【0043】
別の実施形態において、日焼け止め組成物は、追加の有機または無機UVフィルターを
さらに含む。
【0044】
いくつかの実施形態において、日焼け止め組成物は、サンレスタンニング剤、抗菌剤、
脱色素剤、老化防止剤、抗真菌剤、防虫剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選
択される局所活性剤をさらに含む。
【0045】
別の態様において、本発明は、表1に記載されるように、特に一実施形態において、実
質的に記載されおよび示された日焼け止め組成物を提供する。
【0046】
別の態様において、本発明の組成物は、本明細書に開示される、いずれかの実施形態に
係る日焼け止め組成物またはその組み合わせを含む化粧料またはパーソナルケア製剤を提
供する。
【0047】
別の態様において、本発明の組成物は、本明細書に開示される、いずれかの実施形態に
係る日焼け止め組成物またはその組み合わせを含む物品を提供する。物品は、特に制限さ
れないが、チューブ、ボトル、ケース、ボックス、バッグ、噴霧装置などの、日焼け止め
組成物の容器の形態であってもよく、いかなる形状、スタイル、または色であってもよく
、日焼け止め組成物を収容するのに適したいかなる材料で製造されてもよい。
【0048】
別の態様において、本発明の組成物は、本明細書に開示される、いずれかの実施形態に
係る日焼け止め組成物、またはその組み合わせの用途を提供する。
【0049】
別の態様において、本発明は、15より高いSPFを得るための、本発明の第1の態様
の組成物を提供する。SPFは、好ましくは20より高く、より好ましくは25より高く
、さらにより好ましくは30より高い。実施例の表1で調製される組成物は、38の高い
SPF値を示した。
【0050】
したがって、本発明は、比較的少量の日焼け止め化合物および低コスト材料を含む高S
PF日焼け止め組成物を提供し、ゆえに低コストで全体の利益を達成する。
【0051】
本発明の日焼け止め製剤は、当業者が理解するように、非ナノZnOおよびBEMTの
相乗効果が保持される限り、1以上の他の有機または無機UVフィルターを含むことがで
きる。
【0052】
無機UVフィルターは、二酸化チタン(TiO2)、酸化鉄(例えば、Fe2O3)、
およびシリカなどを含むことができるが、これらに限定されない。
【0053】
数多くの有機UVフィルターが化粧品分野で報告されている。これらに限定されないが
、ベンゾフェノン-3(BP3)およびベンゾフェノン-4(BP4)などのベンゾフェ
ノン類;ホモサレート(HMS)、2-エチルヘキシルサリチレート(EHS)などのサ
リチル酸塩類;エチルヘキシルジメチルPABA(OD-PABA)、4-p-アミノ安
息香酸(PABA)などのp-アミノ安息香酸(PABA)および誘導体;フェニルベン
ズイミダゾールスルホン酸(PMDSA)、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホ
ン酸二ナトリウム(ビスジスチリゾール二ナトリウム)などのベンズイミダゾール誘導体
;エチルヘキシルトリアゾン(OT)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(DBT)
、ベンゾトリアゾール類、ドロメトリゾールトリシロキサン(DRT)、メチレンビス-
ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノ(ビスコトリアゾール)(MBP)などの
トリアジン類;ブチルメトキシジベンゾイルメタン(BM-DBM)などのジベンゾイル
メタン誘導体類;エチルヘキシルメトキシシンナメート(OMC)、イソアミルp-メト
キシシンナメート(IMC)などのケイ皮酸エステル類;ならびにテレフタリデンジカン
ファースルホン酸(PDSA)、3-ベンジリデンカンファー(3BC)、ベンジリデン
カンファースルホン酸(BCSA)、4-メチルベンジリデンカンファー(4-MBC)
、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー(PBC)、カンファーベンザルコ
ニウムメトサルフェート(CBM)などのカンファー誘導体類などが挙げられる。
【0054】
有機UVフィルターの中でも、特に有用なジベンゾイルメタンクラスの化合物が存在し
、以下に限定されないが、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、
2-メチルジベンゾイルメタン、4-メチル-ジベンゾイル-エタン、4-イソプロピル
ジベンゾイル-メタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジ
ベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’-ジイソプロピル-
ジベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4’-メトキシジベンゾイルメタ
ン、2-メチル-5-tert-ブチル-4’-メトキシ-ジベンゾイルメタン、2,4
-ジメチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2,6-ジメチル-4-tert-ブ
チル-4’-メトキシ-ジベンゾイルメタンなどが挙げられる。
【0055】
本発明では、所望のUV保護効果をさらに高めるまたは調節するために、上記の有機U
Vフィルターなどの全てを用いることができる。
【0056】
また、日焼け止め製剤は、美容のために許容される基剤、界面活性剤、希釈剤、および
その他の任意の成分など、当業者に一般的に知られ、パーソナルケアおよび化粧品産業に
よって受け入れられるような様々な他の成分を含むことができる。例えば、国際公開第9
6/41614号、米国特許出願公開第2013/0266527号、および米国特許第
9649263号を参照されたい。これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に組
み込まれる。
【0057】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明の日焼け止め製剤は、表1に列挙した成
分、またはそれらの機能的等価物および/または変異体を含有する。
【0058】
本発明の日焼け止め製剤は、限定しようとするものではないが、好ましくは、使用され
る基剤に応じて、クリーム、ローション、ゲルまたはエマルションの形態で調製される。
組成物の好ましい固体形態は、クリームまたはローションである。クリームは、典型的に
は、逆さまにした際に、25℃で容器から流出しない組成物として定義される。一方、ロ
ーションは、逆さまにした際に、25℃で容器から流出する組成物である(例えば、Br
ummer,R.;化粧品および食品エマルションのレオロジーエッセンシャル,Spr
inger-Verlag Berline Heidelberg,81-83(20
06)参照)。
【0059】
本発明の日焼け止め組成物は、抗酸化剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、着色剤、
増粘剤、ポリマー、収斂剤、香料、湿潤剤、乳白剤、コンディショナー、ピーリング剤、
pH調整剤、防腐剤、天然抽出物、精油、皮膚感覚物質(skin sensate)、皮膚鎮静剤、
皮膚治癒剤など、広範囲の他の任意成分を含んでもよい。例えば、本発明の組成物に使用
するのに適した、スキンケア産業において一般的に使用される様々な非限定的な化粧品お
よび医薬品成分を記載している、CTFA Cosmetic Ingredient
Handbook、第2版、1992年を参照されたい。
【0060】
本明細書で使用される「非ナノZnO」という用語は、ZnOのメディアン一次粒子径
(median primary particle size)が100nmよりも大きいことを意味する。粒子径は
、透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡を用いて得られた写真の粒子を測定すること
によって算出される。適用可能な場合、最短次元の数加重分布が、本願でのサイズ分析お
よび議論に使用される。
【0061】
本明細書で使用する「約」という用語は、数が最大±20%、好ましくは±10%以内
、より好ましくは±5%以内で変化し得ることを意味する。範囲の前に使用する「約」は
、範囲の上限と下限の両方に適用される。本明細書で使用される用語「a」、「an」ま
たは「the」は、単数形および複数形の両方を表す。一般に、名詞の単数形または複数
形のいずれかが使用される場合、名詞の単数形および複数形の両方を意味する。
【0062】
以下の非限定的な実施例は、本発明の特定の態様をさらに説明する。
【実施例0063】
驚くべきことに、インビボで試験された7.15%の非ナノZnOおよび1.4%のB
EMTを含む表1に例示された処方は、38.89のSPF(表2)、25.27のPF
Aおよび377nmの臨界波長を示した(表3)。このような日焼け止め製剤は、高いS
PF30+であり、すなわち、FDAおよびCosmetic Europeの規定に従
った広スペクトルのUV保護、および日本の規定による++++ UVA保護等級を有す
る。
【0064】
【0065】
手順:
1.パート1および2を混合し、80℃に加熱した
2.パート3の成分をスラリー状にし、混合しながらパート1および2に加えた
3.パート4の成分を混合し、80℃に加熱した
4.ホモジナイズしながら、パート1~3の混合物とパート4の混合物を混合した
5.50℃に冷却し、パート1~4の混合物にパート5を加えた。
【0066】
試験結果の要約:
【0067】
【0068】
【0069】
前述の実施例または好ましい実施形態は、例示のために提供されたものであり、本発明
を限定するものではない。上記の特徴を有する数多くのバリエーションおよび組み合わせ
は、特許請求の範囲に記載された本発明から逸脱せずに、利用することができる。引用さ
れた全ての文献は、全ての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる
。
UV保護において相乗効果が得られる比で、非ナノZnOおよびビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BEMT)を含む、日焼け止め組成物。