(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013822
(43)【公開日】2025-01-28
(54)【発明の名称】腫瘍内アルファ放射体放射と細胞内病原体に対する細胞質プラズマセンサーの活性化
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20250121BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20250121BHJP
A61K 35/768 20150101ALI20250121BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20250121BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20250121BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20250121BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20250121BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20250121BHJP
A61K 9/127 20250101ALI20250121BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250121BHJP
A61K 51/00 20060101ALI20250121BHJP
A61K 47/30 20060101ALI20250121BHJP
A61K 31/711 20060101ALI20250121BHJP
A61K 9/1273 20250101ALI20250121BHJP
【FI】
A61K45/06
A61P35/00
A61K35/768
A61K48/00
A61K31/7105
A61K47/44
A61K9/51
A61K9/107
A61K9/127
A61P43/00 121
A61K51/00 100
A61K47/30
A61K31/711
A61P43/00 107
A61K9/1273
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024174991
(22)【出願日】2024-10-04
(62)【分割の表示】P 2021518633の分割
【原出願日】2019-10-31
(31)【優先権主張番号】62/753,930
(32)【優先日】2018-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519371231
【氏名又は名称】アルファ タウ メディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100137626
【弁理士】
【氏名又は名称】田代 玄
(72)【発明者】
【氏名】ドマンケヴィッチ、ヴェレッド
(72)【発明者】
【氏名】ケイサリ、ヨナ
(72)【発明者】
【氏名】ケルソン、イザーク
(57)【要約】
【課題】腫瘍治療、特に腫瘍内アルファ放射体放射と細胞内病原体に対する細胞質センサーの活性化の組み合わせの提供。
【解決手段】腫瘍を有する患者を治療する方法、およびそのような治療のためのキット(200)。この方法は、腫瘍内の細胞内病原体に対する細胞質センサーを活性化する物質(204)を患者に投与するステップと、腫瘍内の細胞内病原体に対する細胞質センサーを活性化する物質を投与してから2週間以内に腫瘍内アルファ放射体放射線療法で腫瘍を治療するステップと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍内の細胞内病原体に対する細胞質センサーを活性化する物質を患者に投与するステップと;
前記腫瘍内の細胞内病原体に対する前記細胞質センサーを活性化する物質を投与してから2週間以内に腫瘍内アルファ放射体放射線療法で前記腫瘍を治療するステップと;
を有する、腫瘍を有する患者を治療する方法。
【請求項2】
前記物質を投与するステップは、前記細胞内病原体に対する前記細胞質センサーを刺激する分子の細胞内での産生を誘導する薬剤を投与するステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記薬剤を投与するステップは、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)阻害剤を投与するステップを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)阻害剤を投与するステップは、デシタビンを投与するステップを有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)阻害剤を投与するステップは、アザシチジンを投与するステップを有する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)阻害剤を投与するステップは、グアデシタビンを投与するステップを有する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記薬剤を投与するステップは、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を投与するステップを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を投与するステップは、エンチノスタットを投与するステップを有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を投与することは、ボリノスタットを投与するステップを有する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記物質を投与するステップは、病原体模倣物の細胞質送達に適した送達剤と共に前記病原体模倣物を投与するステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記病原体模倣物を前記送達剤と共に投与するステップは、単一用量の細胞内病原体模倣物を単一のセッションで投与するステップを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記病原体模倣物を送達剤と共に投与するステップは、それぞれの別個のセッションで少なくとも3用量の細胞内病原体模倣物を投与するステップを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記物質を投与するステップは、標的化送達に適した送達剤と共に前記物質を投与するステップを有する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記送達剤が脂質ベースの送達剤を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記送達剤が、ポリマーベースの送達剤を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記送達剤が、カチオン性ポリマー複合体またはカチオン性脂質を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記送達剤がリポソームまたはリポプレックスを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記送達剤がポリマーミセルを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記送達剤がデンドリマーを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記送達剤が固体ナノ粒子を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記送達剤が、固体脂質ナノ粒子または固体ポリマーナノ粒子を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記送達剤が、金属ベースのナノ粒子システムを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記送達剤がポリエチレンイミン(PEI)を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
前記病原体模倣物を投与するステップは、細菌模倣物を投与するステップを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項25】
前記病原体模倣物を投与するステップは、ウイルス模倣物を投与するステップを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項26】
前記ウイルス模倣物を投与するステップは、二本鎖RNA(dsRNA)を投与するステップを有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記dsRNAを投与するステップは、polyICを投与するステップを有する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記送達剤がポリエチレンイミン(PEI)を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ウイルス模倣物を投与するステップは、BO-112を投与するステップを有する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記dsRNAを投与するステップは、5´ppp-dsRNAを投与するステップを有する、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記dsRNAを投与するステップは、3p-hpRNAを投与するステップを有する、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記dsRNAを投与するステップは、ポリ(dA:dT)を投与するステップを有する、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記dsRNAを投与するステップは、polyICLCを投与するステップを有する、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記dsRNAを投与するステップは、ポリ(A:U)を投与するステップを有する、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
前記dsRNAを投与するステップは、CpGリッチRNAを投与するステップを有する、請求項26に記載の方法。
【請求項36】
前記病原体模倣物を投与するステップは、細胞内受容体によって非自己として認識される病原体模倣物を投与するステップを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項37】
前記細胞内病原体に対する細胞質センサーを活性化する物質を投与するステップは、細胞内病原体に対する細胞質センサーを活性化する複数の異なる物質を投与するステップを有する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記細胞内病原体に対する細胞質センサーを活性化する複数の異なる物質を投与するステップは、前記細胞内病原体に対する細胞質センサーを刺激する分子の細胞内での産生を誘導する第1の薬剤および、病原体模倣物の細胞質送達に適した送達剤を備える前記病原体模倣物を有する第2の薬剤を投与するステップを有する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
シクロホスファミドの支持的治療薬を患者に追加投与するステップをさらに有する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
アルファ線放射性核種を運ぶ近接照射療法源を腫瘍に挿入するステップを有する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
小線源治療源が、腫瘍に挿入されたときに、1日あたり、前記線源上のアルファ放出放射性核種の25%未満の速度でアルファ放出放射性核種を放出する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記小線源治療源がラジウム源を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
アルファ放射体放射線療法による腫瘍の治療が、前記物質の投与を完了した後にのみ実行される、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記物質を投与するステップは、前記物質を腫瘍に向けるナノゴーストと共に投与するステップを有する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
前記物質を投与するステップは、少なくとも12時間互いに隔てられた少なくとも2つの別個のセッションで1つまたは複数の物質を投与するステップを有する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記1つまたは複数の物質を投与するステップは、少なくとも20時間互いに隔てられた少なくとも3つの別個のセッションで投与するステップを有する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記患者の原発腫瘍を特定するステップを有し、前記物質を投与するステップは、前記特定された原発腫瘍に前記物質を投与するステップを有する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
前記アルファ放射体放射線療法で腫瘍を治療するステップは、前記物質の最後の用量を投与してから80時間以内にアルファ放射体放射線療法で治療するステップを有する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
前記アルファ放射体放射線療法で腫瘍を治療するステップは、前記物質の最後の用量を投与してから60時間以内にアルファ放射体放射線療法で治療するステップを有する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
前記アルファ放射体放射線療法で腫瘍を治療するステップは、前記物質の最後の用量を投与してから少なくとも12時間後にアルファ放射体放射線療法で治療するステップを有する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
前記アルファ放射体放射線療法で腫瘍を治療するステップは、前記物質の最後の用量を投与してから少なくとも24時間後にアルファ放射体放射線療法で治療するステップを有する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
前記アルファ放射体放射線療法によって誘発された加速された組織修復に対抗する支持的治療薬を患者に追加投与するステップをさらに有する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
炎症をダウンレギュレートする支持的治療薬を患者に追加投与するステップをさらに有する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
チェックポイント発現をダウンレギュレートする支持的治療薬を患者に追加投与するステップをさらに有する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
シクロホスファミドの支持的治療薬を患者に追加投与するステップをさらに有する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
ポマリドマイドの支持的治療薬を患者にさらに投与するステップをさらに有する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
ベルゾセルチブの支持的治療薬を患者に追加投与するステップをさらに有する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
チェックポイント遮断の支持的治療薬を患者に追加投与するステップをさらに有する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
抗PD-1の支持的治療薬を患者に追加投与するステップをさらに有する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
抗PD-L1の支持的治療薬を患者に追加投与するステップをさらに有する、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
抗CTLA4の支持的治療薬を患者に追加投与するステップをさらに有する、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
1つまたは複数のTLRアゴニストの支持的治療薬を患者に追加投与するステップをさらに有する、請求項58に記載の方法。
【請求項63】
1つまたは複数のMSDC阻害剤の支持的治療薬を患者に追加投与するステップをさらに有する、請求項58に記載の方法。
【請求項64】
1つまたは複数のTreg阻害剤の支持的治療薬を患者に追加投与するステップをさらに有する、請求項58に記載の方法。
【請求項65】
1つまたは複数のDNA修復阻害剤の支持的治療薬を患者に追加投与するステップをさらに有する、請求項58に記載の方法。
【請求項66】
1つまたは複数の抗血管新生因子の支持的治療薬を患者に追加投与するステップをさらに有する、請求項58に記載の方法。
【請求項67】
アルファ線放射療法による腫瘍の治療を開始してから少なくとも1週間後に、前記腫瘍を除去するための外科手術を実施するステップをさらに有する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
腫瘍内アルファ放射体放射線療法で腫瘍を治療するステップは、前記腫瘍内の細胞内病原体に対する細胞質センサーを活性化する物質を投与してから1週間以内に前記腫瘍を腫瘍内アルファ放射体放射線療法で治療するステップを有する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
対象の身体に少なくとも部分的に導入され、その上にアルファ放出原子が取り付けられている少なくとも1つの線源と;
細胞内病原体に対する細胞質センサーを活性化する少なくとも1つの物質と;
前記少なくとも1つの線源と前記少なくとも1つの物質を含む無菌パッケージと;
を有する、患者の治療のためのキット。
【請求項70】
アルファ放出原子またはそれらの娘放射性核種の線源からの制御可能な放出を可能にする態様で、アルファ放出原子が線源に取り付けられている、請求項69に記載のキット。
【請求項71】
前記アルファ放出原子はラジウム原子を含む、請求項69に記載のキット。
【請求項72】
前記少なくとも1つの物質がDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)阻害剤を含む、請求項69~71のいずれかに記載のキット。
【請求項73】
前記DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)阻害剤がデシタビンを含む、請求項72に記載のキット。
【請求項74】
前記少なくとも1つの物質が、病原体模倣物の細胞質送達に適した送達剤を伴う病原体模倣物をさらに含む、請求項72に記載のキット。
【請求項75】
前記少なくとも1つの物質が、病原体模倣物の細胞質送達に適した送達剤を伴う病原体模倣物を含む、請求項69~71のいずれかに記載のキット。
【請求項76】
アルファ放射体放射線療法によって誘発される加速された組織修復に対抗する支持的治療薬をさらに前記無菌パッケージに含む、請求項69~71のいずれかに記載のキット。
【請求項77】
前記支持的治療薬が、炎症をダウンレギュレートする薬剤を含む、請求項76に記載のキット。
【請求項78】
患者の腫瘍に投与するための薬剤の製造におけるpolyICPEIの使用であって、前記薬剤の投与パターンは、治療有効量のpolyICPEIを1回以上のセッションで腫瘍に投与し、続いてpolyICPEI投与後1週間以内に腫瘍内アルファ放射体放射線療法を行って腫瘍を治療することを含むpolyICPEIの使用。
【請求項79】
患者の腫瘍に投与するための薬剤の製造におけるDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)阻害剤の使用であって、薬剤の投与パターンは、治療有効量のDNMT阻害剤を投与することを含むDNMT阻害剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、腫瘍治療、特に腫瘍内アルファ放射体放射と細胞内病原体に対する細胞質センサーの活性化(以下、「ACSIP」)の組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
がんは、世界中の多くの国で主な死因である。そのため、がんなどの腫瘍の治療に膨大なリソースが費やされており、そのような治療法は多種多様であることが示唆されている。
【0003】
腫瘍治療の1つのクラスは、腫瘍細胞を生体内で殺すための腫瘍切除である。生体内で細胞を殺すことに加えて、場合によっては、切除は、残存する遠隔の腫瘍細胞を排除するための抗腫瘍免疫応答を誘導する。これは、腫瘍抗原の分散と、死んだおよび/または死にかけている腫瘍細胞から放出される危険信号が原因で発生する。腫瘍抗原は、抗原提示細胞によって捕捉され、次に抗原提示細胞は、例えば、中山正文氏著「MHCを纏った細胞による抗原提示」免疫学のフロンティア(Frontiers in immunology)5(2015):672(非特許文献1)に記載されているように、交差提示経路を介してそれらをT細胞に提示する。
【0004】
熱、マイクロ波、レーザー、電気、光力学、化学的(例えば、反応性酸素種(ROS)を使用)、および放射性切除などの複数の切除方法が提案されている。放射性切除は外部から(例えば、外部ビーム放射線療法)または内部的に(例えば、近接照射療法)適用でき、そしてアルファ線、ベータ線、ガンマ線などのさまざまな種類の放射線を含めうる。これらの方法の議論は、例えば、Keisari,Yona氏著「物理化学的腫瘍切除による腫瘍の廃止と抗腫瘍免疫刺激」Front Biosci 22(2017):310-347(非特許文献2)に記載されている。特定の患者に使用される切除方法は、一般に、腫瘍のタイプ、その位置、その病期、および/または腫瘍の他のパラメータに従って選択される。
【0005】
免疫療法と呼ばれる別のクラスの腫瘍療法には、腫瘍細胞に対する患者の免疫応答の増強が含まれる。チェックポイント阻害剤、Toll様受容体(TLR)アゴニスト(CpGなど)、局所遺伝子治療、サイトカイン療法、特定のタンパク質標的に対する抗体、CAR-T細胞療法、樹状細胞ワクチン、腫瘍浸潤リンパ球の養子移入と腫瘍溶解性ウイルス療法など、多くの免疫療法法が提案されている。これらの方法は、例えば、Papaioannou,Nikos E.氏他著「癌治療を改善するために免疫系を利用する」トランスレーショナル医療年報4.14(2016)(非特許文献3)において議論されている。免疫療法戦略には、Aznar,M.Angela氏他著「免疫療法の腫瘍内送達は局所的に作用し、グローバルに考える」 Journal of Immunology 198.1(2017):31-39 (非特許文献4)に記載されている局所療法が含まれる場合がある。一般的に、各患者に使用される特定の方法は、腫瘍の種類またはその病期に応じて選択される。上記の治療法の種類の複数の組み合わせは、たとえば、上記のAznar氏の文献の表1に記載されているように、前臨床試験と臨床試験でテストされた。
【0006】
Salazar氏の米国特許出願公開2009/0088401(特許文献1)は、1つまたは複数の標的腫瘍部位での免疫原性細胞死の誘導とそれに続く同じ腫瘍部位でのdsRNAの注射からなる自動ワクチン接種方法を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開2009/0088401
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】中山正文氏著「MHCを纏った細胞による抗原提示」免疫学のフロンティア(Frontiers in immunology)5(2015):672
【非特許文献2】Keisari, Yona氏著「物理化学的腫瘍切除による腫瘍の廃止と抗腫瘍免疫刺激」 Front Biosci 22(2017):310-347
【非特許文献3】Papaioannou,Nikos E.氏他著「癌治療を改善するために免疫系を利用する」トランスレーショナル医療年報4.14(2016)
【非特許文献4】Aznar,M.Angela氏他著「免疫療法の腫瘍内送達は局所的に作用し、グローバルに考える」 Journal of Immunology 198.1(2017):31-39
【発明の概要】
【0009】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、細胞内病原体に対する細胞質センサーの活性化(ACSIP)と腫瘍内アルファ放射体放射線療法との間の相乗効果に基づく腫瘍治療に関している。
【0010】
本発明の実施形態によれば、腫瘍内の細胞内病原体に対する細胞質センサーを活性化する物質を患者に投与するステップと;腫瘍内の細胞内病原体に対する細胞質センサーを活性化する物質を投与してから2週間以内に腫瘍内アルファ放射体放射線療法で腫瘍を治療するステップと;を有する、腫瘍を有する患者を治療する方法が提供される。
【0011】
選択肢として物質を投与するステップは、細胞内病原体に対する細胞質センサーを刺激する分子の細胞内での産生を誘導する薬剤を投与するステップを有する。選択肢として薬剤を投与するステップは、デシタビン、アザシチジン、および/またはグアデシタビンなどのDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)阻害剤を投与するステップを有する。代替的または追加的に、薬剤を投与するステップは、例えばエンチノスタットおよび/またはボリノスタットなどのヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を投与するステップを有する。選択肢として物質を投与するステップは、病原体模倣物の細胞質送達に適した送達剤と共に病原体模倣物を投与するステップを有する。選択肢として病原体模倣物を送達剤と一緒に投与するステップは、単一用量の細胞内病原体模倣物を単一のセッションまたは2回のセッションで投与するステップを有する。幾つかの実施形態では、病原体模倣物を送達剤と一緒に投与するステップは、それぞれの別個のセッションで少なくとも3用量の細胞内病原体模倣物を投与するステップを有する。選択肢として物質を投与するステップは、標的化送達に適した送達剤と共に物質を投与するステップを有する。選択肢として送達剤が脂質ベースの送達剤、ポリマーベースの送達剤、カチオン性ポリマー複合体またはカチオン性脂質、リポソームまたはリポプレックス、ポリマーミセルおよび/またはデンドリマーの送達剤を含む。代替的または追加的に、送達剤が固体ナノ粒子、例えば、固体脂質ナノ粒子または固体ポリマーナノ粒子を含む。さらに代替的または追加的に、送達剤が、金属ベースのナノ粒子システムを含む。幾つかの実施形態では、送達剤がポリエチレンイミン(PEI)を含む。
【0012】
幾つかの実施形態では、病原体模倣物を投与するステップは、細菌模倣物を投与するステップおよび/またはウイルス模倣物を投与するステップを有する。選択肢としてウイルス模倣物を投与するステップは、二本鎖RNA(dsRNA)を投与するステップを有する。選択肢としてdsRNAを投与するステップは、polyICを投与するステップを有する。幾つかの実施形態では、polyICは例えばBO-112を投与することによりポリエチレンイミン(PEI)で運ばれる。代替的または追加的に、dsRNAを投与するステップは、5´ppp-dsRNA、3p-hpRNA、ポリ(dA:dT)、poly-ICLC、ポリ(A:U)および/またはCpGリッチRNAを投与するステップを有する。選択肢として病原体模倣物を投与するステップは、細胞内受容体によって非自己として認識される病原体模倣物を投与するステップを有する。選択肢として細胞内病原体に対する細胞質センサーを活性化する物質を投与するステップは、細胞内病原体に対する細胞質センサーを活性化する複数の異なる物質を投与するステップを有する。
【0013】
選択肢として細胞内病原体に対する細胞質センサーを活性化する複数の異なる物質を投与するステップは、細胞内病原体に対する細胞質センサーを刺激する分子の細胞内での産生を誘導する第1の薬剤および、病原体模倣物の細胞質送達に適した送達剤を備える病原体模倣物を有する第2の薬剤を投与するステップを有する。選択肢として方法は、シクロホスファミドの支持的治療薬を患者に追加投与するステップをさらに有する。選択肢としてアルファ放射体放射線治療で腫瘍を治療するステップは、アルファ線放射性核種を運ぶ近接照射療法源を腫瘍に挿入するステップを有する。選択肢として小線源治療源が、腫瘍に挿入されたときに、1日あたり、線源上のアルファ放出放射性核種の25%未満の速度でアルファ放出放射性核種を放出する。選択肢として小線源治療源がラジウム源を含む。選択肢としてアルファ放射体放射線療法による腫瘍の治療が、物質の投与を完了した後にのみ実行される。選択肢として物質を投与するステップは、物質を腫瘍に向けるナノゴーストと共に投与するステップを有する。選択肢として物質を投与するステップは、少なくとも12時間互いに隔てられた少なくとも2つの別個のセッションで1つまたは複数の物質を投与するステップを有する。選択肢として1つまたは複数の物質を投与するステップは、少なくとも20時間互いに隔てられた少なくとも3つの別個のセッションで投与するステップを有する。選択肢として方法は、患者の原発腫瘍を特定するステップを有し、物質を投与するステップは、特定された原発腫瘍に物質を投与するステップを有する。選択肢としてアルファ放射体放射線療法で腫瘍を治療するステップは、物質の最後の用量を投与してから80時間以内にアルファ放射体放射線療法で治療するステップを有する。選択肢としてアルファ放射体放射線療法で腫瘍を治療するステップは、物質の最後の用量を投与してから60時間以内にアルファ放射体放射線療法で治療するステップを有する。選択肢としてアルファ放射体放射線療法で腫瘍を治療するステップは、物質の最後の用量を投与してから少なくとも12時間後にアルファ放射体放射線療法で治療するステップを有する。
【0014】
選択肢として、方法はアルファ放射体放射線療法によって誘発された加速された組織修復に対抗する支持的治療薬を患者に追加投与するステップ、例えば、炎症をダウンレギュレートする支持的治療薬を患者に追加投与するステップおよび/またはチェックポイント発現をダウンレギュレートする支持的治療薬を患者に追加投与するステップ、をさらに有する。幾つかの実施形態では、支持的治療薬は、シクロホスファミド、ポマリドマイドおよび/またはベルゾセルチブを含む。代替的または追加的に、支持的治療はチェックポイント遮断を含む。選択肢として、支持的治療は、抗PD-1、抗PD-L1および/または抗CTLA4を含む。幾つかの実施形態では、支持的治療薬は、1つまたは複数のTLRアゴニスト、1つまたは複数のMSDC阻害剤、1つまたは複数のTreg阻害剤、1つまたは複数のDNA修復阻害剤および/または1つまたは複数の抗血管新生因子を含む。幾つかの実施形態では、方法はアルファ線放射療法による腫瘍の治療を開始してから少なくとも1週間後に、腫瘍を除去するための外科手術を実施するステップをさらに有する。選択肢として、腫瘍内アルファ放射体放射線療法で腫瘍を治療するステップは、腫瘍内の細胞内病原体に対する細胞質センサーを活性化する物質を投与してから1週間以内に腫瘍を腫瘍内アルファ放射体放射線療法で治療するステップを有する。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、対象の身体に少なくとも部分的に導入され、その上にアルファ放出原子が取り付けられている少なくとも1つの線源と;細胞内病原体に対する細胞質センサーを活性化する少なくとも1つの物質と;少なくとも1つの線源と少なくとも1つの物質を含む無菌パッケージと;を有する、患者の治療のためのキットが提供される。
【0016】
選択肢としてアルファ放出原子またはそれらの娘放射性核種の線源からの制御可能な放出を可能にする態様で、アルファ放出原子が線源に取り付けられている。選択肢としてアルファ放出原子はラジウム原子を含む。選択肢として少なくとも1つの物質がDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)阻害剤を含む。選択肢としてDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)阻害剤がデシタビンを含む。選択肢として少なくとも1つの物質が、病原体模倣物の細胞質送達に適した送達剤を伴う病原体模倣物をさらに含む。選択肢として少なくとも1つの物質が、病原体模倣物の細胞質送達に適した送達剤を伴う病原体模倣物を含む。選択肢としてアルファ放射体放射線療法によって誘発される加速された組織修復に対抗する支持的治療薬をさらに無菌パッケージに含む。選択肢として支持的治療薬が、炎症をダウンレギュレートする薬剤を含む。
【0017】
本発明の実施形態によれば、さらに、患者の腫瘍に投与するための薬剤の製造におけるpolyICPEIの使用であって、薬剤の投与パターンは、治療有効量のpolyICPEIを1回以上のセッションで腫瘍に投与し、続いてpolyICPEI投与後1週間以内に腫瘍内アルファ放射体放射線療法を行って腫瘍を治療することを含むpolyICPEIの使用が提供される。
【0018】
本発明の実施形態によれば、さらに患者の腫瘍に投与するための薬剤の製造におけるDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)阻害剤の使用であって、薬剤の投与パターンは、治療有効量のDNMT阻害剤を投与することを含むDNMT阻害剤の使用が提供される。
【0019】
上記のさまざまな選択肢および代替案は、選択肢が特に矛盾する場合を除いて、代替案で使用することも、任意の適切な組み合わせで一緒に使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態による治療方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の一実施形態による、アルファ放射とACSIPを組み合わせたキットの概略図である。
【
図3】本発明の実施形態による、乳癌腫瘍発生に対するアルファ放射とACSIPの組み合わせ治療の効果を試験する実験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のいくつかの実施形態の一側面は、患者の腫瘍における細胞内病原体に対する細胞質センサーの活性化(ACSIP)、およびACSIPを誘発する治療の12~90時間後に腫瘍にアルファ放射体放射線を適用することを含む、複合腫瘍治療に関する。出願人は、ACSIPを誘発する特定の免疫療法とそれに続くアルファ線放出体放射線を適用する特定の腫瘍切除との組み合わせが、それぞれの治療を別々に行うよりも実質的に大きな治療効果を有することを見出した。
【0022】
本出願の出願人は、腫瘍細胞でのMHC1分子の発現を増加させるACSIPは、腫瘍内アルファ放射体放射線によって誘発される細胞死の前に、腫瘍細胞によるまだ提示されていない腫瘍抗原の提示の可能性も増加させると考えている。広範囲の腫瘍抗原の提示に続くアルファ放射体放射線による腫瘍細胞死の誘導は、ダメージ関連分子パターン(DAMP)シグナルを放出することにより、抗原提示細胞の動員と活性化を促進する。抗原提示細胞は特定のT細胞応答を活性化するため、より多くの抗原特異的T細胞が活性化されて、より広範囲の腫瘍抗原を認識し、より広範囲の腫瘍抗原に対するより強力で長期的な全身および特異的適応免疫応答をもたらす。さらに、ACSIPを誘発する因子を含む腫瘍細胞の死滅は、病原体関連分子パターン(PAMP)、および免疫応答の動員と活性化を促進するサイトカインの放出にもつながる。アルファ放射とACSIP誘導は一緒に、腫瘍細胞の死滅を増加させる雪玉効果を生成する可能性があり、それは免疫応答を増加させ、さらに腫瘍細胞の死滅などを増加させる。アルファ線放射療法とACSIPを組み合わせた肯定的な結果は、アルファ線放射原子の放出が遅いためである可能性がある。これにより、放射線療法の効果が時間とともに分散され、ACSIPとの相乗効果が得られる。放射線療法の前に提供されたACSIPは、腫瘍細胞のDNAを凝縮解除し、腫瘍細胞を放射線療法に対してより敏感にする可能性がある。したがって、アルファ放射体の放射線とACSIPの誘導を組み合わせることで、最小限の期間で、最小限の悪影響と効率の向上を伴って、局所的および全身的な重大な腫瘍の死滅がもたらされる。
【0023】
いくつかの実施形態において、ACSIPの誘導は、細胞質送達に適した送達剤を使用して腫瘍細胞の細胞質に病原体模倣物を投与することによって実施される。病原体模倣物の細胞質内投与の代わりに、ACSIP誘導は、内因性細胞内病原体を刺激することによって、および/または腫瘍の細胞の細胞質内病原体センサーのプロモーターを活性化することによって、例えば、デシタビンなどのDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)阻害剤を投与することによって達成される。
【0024】
(治療法)
図1は、本発明の実施形態による、治療方法100のフローチャートである。患者の腫瘍を識別するステップ(102)に加えて、治療方法100は、1つまたは複数のセッションで患者にACSIPを誘導するステップ(104)から始まる。ACSIP誘導(104)後の限られた期間(106)で、腫瘍のアルファ放射体放射線治療(本明細書ではアルファ放射体放射線療法とも呼ばれる)が開始される(108)。
【0025】
いくつかの実施形態では、アルファ放射体放射線治療が提供される間に、および/またはアルファ放射体放射線治療が完了した後に、1つまたは複数の支持的免疫調節治療が、ACSIPの誘導前および/または誘導中に提供され(114)る。いくつかの実施形態では、アルファ線放射治療が完了した後、治療の効果が評価される(110)。いくつかの実施形態では、評価に続いて、残存する原発腫瘍を除去するための手術(112)が実施される。いくつかの実施形態では、手術は、放射線治療の開始または完了後、少なくとも1週間、または少なくとも14日でさえ経った後に実施される。癌性腫瘍を除去するための手術は一般にできるだけ早く行われるが、本願出願人は、ACSIPと放射線療法の併用治療を適用した後、治療が有効になるまで待ってから腫瘍を除去する方がよいことを発見した。あるいは、手術は他の適切な時期に行われるか、不必要または実行不可能と見なされた場合はまったく行われない。さらに代替的または追加的に、評価は実行されない。
【0026】
(腫瘍の種類)
治療法100は、癌性腫瘍、良性新生物、生体内新生物(前悪性)、悪性新生物(癌)、および不確実または未知の挙動の新生物を含む、任意の腫瘍タイプの治療に使用することができる。いくつかの実施形態では、
図1の方法は、乳癌、腎臓癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、結腸癌、卵巣癌、膀胱癌、および前立腺癌などの比較的固形の腫瘍を治療するために使用される。他の実施形態では、
図1の方法は、非固形腫瘍を治療するために使用される。
図1の方法は、一次成長と二次成長の両方に使用できる。
【0027】
図1の方法で治療できる例示的な腫瘍には以下が含まれる:消化管の腫瘍(結腸癌腫、直腸癌腫、結腸直腸癌腫、結腸直腸癌、結腸直腸腺腫、遺伝性非ポリポーシス1型、遺伝性非ポリポーシス2型、遺伝性非ポリポーシス3型、遺伝性非ポリポーシス6型;結腸直腸癌、遺伝性非ポリポーシス7型、小腸癌および/または大腸癌、食道癌、食道癌を伴うタイロシス、胃癌腫、膵臓癌腫、膵臓内分泌腫瘍)、子宮内膜癌、隆起皮膚線維肉腫、胆嚢癌、胆道腫瘍、前立腺癌、前立腺腺癌、腎癌(例、ウィルムス腫瘍2型または1型)、肝癌(例、肝芽細胞腫、肝細胞癌腫、肝細胞癌)、膀胱癌、胚性横紋筋肉腫、胚細胞腫瘍、栄養芽細胞腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣の未熟な奇形腫、子宮、上皮性卵巣、仙尾骨腫瘍、絨毛癌、胎盤部位栄養芽細胞腫瘍、上皮性成人腫瘍、卵巣癌、漿液性卵巣癌、卵巣性索腫瘍、子宮頸癌、子宮頸癌、小細胞および非小細胞肺癌、鼻咽頭、乳癌腫(例、乳管がん、浸潤性乳管内がん;乳がん、乳がんへの感受性、4型乳がん、乳がん-1、乳がん-3;乳がん)、扁平上皮がん(例、頭頸部)、神経原性腫瘍、星状細胞腫、神経節芽細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、腺がん、副腎腫瘍、遺伝性副腎皮質がん、脳悪性腫瘍(腫瘍)、その他のさまざまながん(例、気管支原性大細胞、管、エーリッヒーレトル星状細胞腫、表皮、大細胞、ルイス肺、髄質、粘膜類表皮、オート麦細胞、小細胞、紡錘細胞、脊髄細胞、移行細胞、未分化、癌肉腫、絨毛癌、嚢胞腺癌)、表皮芽細胞腫、上皮赤白血病(例、フレンド、リンパ芽球)、線維肉腫、巨細胞腫瘍、グリア腫瘍、神経膠芽腫(例、多形、星状細胞腫)、神経膠腫肝腫、ヘテロハイブリッド腫、ヘテロ骨髄腫、組織球腫、ハイブリドーマ(例、B細胞)、高腎腫、インスリン腫、膵島腫瘍、角膜腫、平滑筋芽細胞腫、平滑筋肉腫、リンパ肉腫、黒色腫、乳腺腫瘍、星状細胞腫、髄芽細胞腫、中皮腫、転移性腫瘍、単球腫瘍、複数骨髄腫、骨髄異形成症候群、骨髄腫、腎芽細胞腫、神経組織グリア腫瘍、神経組織神経腫瘍、神経腫、神経芽細胞腫、乏突起膠腫、骨軟骨腫、骨髄腫、骨肉腫(例、ユーイング)、乳頭腫、移行細胞、フェオクロモサイトーマ、下垂体腫瘍(浸潤性)、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫(例、ユーイング、組織球細胞、ジェンセン、骨肉腫、網状細胞)、神経鞘腫、皮下腫瘍、奇形腫(例えば、多能性)、奇形腫、精巣腫瘍、胸腺腫および毛包上皮腫、胃癌、線維肉腫、多形性膠芽腫;多発性膠芽腫、Li-Fraumeni症候群、脂肪肉腫、リンチ癌ファミリー症候群II、男性生殖細胞腫瘍、甲状腺髄様癌、多発性髄膜腫、内分泌腫瘍性粘液肉腫、傍神経節腫、家族性非色素性、毛包腫、乳頭状、家族性および散発性、ラブドイド素因症候群、ラブドイド腫瘍、軟部肉腫、および膠芽腫を伴うターコット症候群。
【0028】
いくつかの実施形態では、
図1の方法は、それ自体がアルファ線放射によって実質的に影響を受けることが知られている腫瘍に適用される。他の実施形態では、
図1の方法は、それ自体がアルファ線放射によって実質的に影響を受けない、例えば、サイズがまったく縮小しないか、またはサイズが5%または10%以上縮小しないタイプの腫瘍に適用される。出願人が行った実験では、
図1の方法に従って、ACSIPとアルファ線放射の組み合わせの標的となると、それ自体がアルファ線またはACSIPの影響をほとんど受けない腫瘍でも劇的にサイズが小さくなることが示されている。
【0029】
(病原体模倣)
いくつかの実施形態において、ACSIP(104)の誘導は、病原体模倣物を腫瘍細胞に送達することによって実施される。送達された病原体模倣物は、いくつかの実施形態において、ウイルス模倣物を含む。他の実施形態では、細胞内細菌模倣物は、ウイルス模倣物の代わりに、またはそれに加えて、腫瘍細胞に送達される。いくつかの実施形態において、病原体模倣物は、細胞内受容体によって非自己として認識される細胞内病原体模倣物を含む。
【0030】
病原体模倣物がウイルス模倣物を含む実施形態において、ウイルス模倣物は、DNAウイルス模倣物またはRNAウイルス模倣物、例えば、ssRNAウイルス模倣物またはdsRNAウイルス模倣物を含み得る。dsRNAは、例えば、PCT公開WO2017/085228、タイトル「二本鎖ポリリボヌクレオチドとポリアルキレンイミンの複合体を含む粒子を含む新医薬組成物」に記載されているように、ポリイノシン酸:ポリシチジル酸(polyIC)分子などのRIG-I様受容体(RLR)アゴニストを任意に含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、polyICは、高分子量(HMW)、例えば、1.2kbを超える、1.5kbを超える、2.5kbを超える、または4kbを超える分子量を有する。しかしながら、polyICウイルス模倣物はまた、1kb未満または0.8kb未満の分子量の低分子量(LMW)polyICを含み得ることに留意されたい。選択肢として、polyICの分子量は腫瘍のタイプに従って選択される。
【0032】
あるいは、参照により本明細書に組み込まれる、PCT公開WO 2017/085228に記載されている他のウイルス模倣物のいずれかを使用することができる。他の実施形態では、送達されるウイルス模倣物は、5´三リン酸二本鎖RNA(5´ppp-dsRNA)、5´三リン酸ヘアピンRNA(3p-hpRNA)および/またはポリ(3p-hpRNA)および/またはPoly(dA:dT)、poly-ICLC、poly(A:U)、および/またはCpGリッチRNAのうちの1つ以上などの他の適切なウイルス模倣物を含む。
【0033】
他の実施形態では、CDSまたはSTINGリガンドを含むDNAウイルス模倣物、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、https://www.invivogen.com/dsdnaおよび/またはhttps://www.invivogen.com/cyclic-dinucleotideにリストされているもののいずれかが使用される。一実施形態では、CpG ODNウイルス模倣物が使用される。
【0034】
RNA模倣物の使用には、ACSIP誘導(104)が、一般に細胞のDNAを標的とするアルファ放射体放射線療法とは異なる経路を介して機能するという利点がある。
【0035】
病原体模倣物を使用してACSIPを誘導する代わりに、またはそれに加えて、腫瘍溶解性ウイルスをACSIP誘導に使用する。
【0036】
(投与経路)
いくつかの実施形態において、腫瘍の同定(102)は、1つ以上の主要な腫瘍、例えば、原発性癌性腫瘍および/または1つ以上の続発性および/または転移の同定を含む。送達(104)は、1つまたは複数の同定された腫瘍への直接腫瘍内注射によって、生体内で行われる。
【0037】
他の実施形態では、腫瘍および/または転移への送達は、標的化送達の任意の適切な方法を使用して、例えば、米国特許出願公開第2017/0224618号、タイトル:「リポソーム組成物およびその使用」に記載されているようなナノゴーストによる送達を使用して、全身投与によって行われ、この文献は参照により本明細書に組み込まれる。選択肢として、病原体模倣物は、腫瘍を標的とする特定の腫瘍マーカーとともに送達され、その結果、腫瘍マーカーは、模倣物と共に、腫瘍細胞に付着する。標的化は、たとえば、米国特許出願公開2018/0346596、タイトル「DSRNAを標的化するためのキメラタンパク質」またはAlexander Levitzki氏著、「ポリイノシン/シトシン(PolyIC )を担持する化学受容体ホーミングベクターを使用して癌制圧のために免疫システムを標的化する」腫瘍学のフロンティア、2012年、に記載されるように実施され、それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0038】
選択肢として、病原体模倣物を患者に投与する前に、腫瘍および/または転移のサイズが推定され、それに応じて、投与されるべき病原体模倣物の量が選択される。
【0039】
いくつかの実施形態において、病原体模倣物は、病原体模倣物を腫瘍の細胞に導く送達剤(例えば、試薬)と共に患者に投与される。選択肢として、送達剤は、エンドソーム/TL3受容体などの膜および/またはエンドソーム受容体をバイパスすることができるものである。選択肢として、病原体模倣物および送達剤は、単回投与として一緒に投与される。選択肢として、送達剤は、病原体模倣物をカプセル化および/または複合体化する。例えば、1つの特定の実施形態において、高分子量polyIC病原体模倣物は、6から8の間の核酸/ポリマーの比率でポリエチレンイミン(PEI)と共にインキュベートされて、複合体(以下、polyICPEIと呼ばれる)を形成する。別の実施形態では、PCT公開WO 2017/085228に記載されているBO-112が使用される。この複合体は、(腫瘍の体積に応じて)20~70 mgのpolyICの用量で腫瘍内に注射される
【0040】
選択肢として、送達剤はポリエチレンイミン(PEI)を含む。あるいは、送達剤は、脂質ベース、ポリマーベース、または例えば、Lee、Hung-Yen、Kamal A. Mohammed、およびNajmunnisaNasreen著「肺がんに対するナノ粒子ベースの標的遺伝子治療」American Journal of Cancer Research 6.5(2016):1118に記載の他の適切なナノ粒子に基づいており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、送達剤は、カチオン性ポリマー複合体またはカチオン性脂質を含む。代替的または追加的に、送達剤は、リポソーム、リポプレックス、デンドリマー、またはポリマーミセルを含む。さらに代替的または追加的に、送達剤は、固体脂質ナノ粒子または固体ポリマーナノ粒子などの固体ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態では、送達剤は、金属ベースのナノ粒子システムを含む。
【0041】
送達は、Langut、Yael、氏他著「PSMAホーミングdsRNAキメラタンパク質ベクターは、前立腺癌細胞を殺し、抗腫瘍バイスタンダー応答を活性化する」 Oncotarget 8.15(2017):24046および/またはDuewell P氏他著「RIG-I様ヘリカーゼは膵臓癌細胞の免疫原性細胞死を誘発し、CD8+T細胞による殺傷に対して腫瘍を感作する」細胞死および分化21.12(2014):1825に記載されている方法のいずれかなど、当技術分野で知られている任意の適切な方法を使用して実行される。それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0042】
(内因性病原体の刺激)
いくつかの実施形態において、ACSIPは、腫瘍細胞においてエピジェネティックな変化を刺激することによって、例えば、内在性レトロウイルスなどの内因性病原体を刺激することによって、および/またはエピジェネティックな変化によってこれらのセンサーのプロモーターを活性化する細胞質病原体センサーの活性化を刺激することによって誘導される(104)。エピジェネティックな変化は、エピジェネティックな薬剤によって引き起こされる。いくつかの実施形態において、エピジェネティック剤は、デシタビン、アザシチジンおよび/またはグアデシタビンなどのDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)阻害剤を含む。刺激は、https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(15)00848-Xから入手可能な、Chiappinelli氏他著「内在性レトロウイルスを含むdsRNAを介して癌においてDNAメチル化を阻害するとインターフェロン応答を引き起こす」、Cell、Volume 162、Issue 5、2015年8月27日に記載されている方法など、当技術分野で知られている任意の適切な方法を使用して実行される。その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。他の実施形態では、エピジェネティック剤は、エンチノスタットまたはボリノスタットなどのヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を含む。
【0043】
選択肢として、エピジェネティック剤は全身投与される。他の実施形態では、エピジェネティック剤は、標的化送達を使用して、例えば、エピジェネティック剤を腫瘍に、そしておそらく転移にも向けるナノゴーストを使用して投与される。さらに代替的に、エピジェネティック剤は、標的腫瘍への直接注射によって局所的に送達される
【0044】
(複数の治療セッション)
いくつかの実施形態では、ACSIP誘導(104)は、単一のセッションで、アルファ放射体放射線療法の前に1回実行される。あるいは、ACSIP誘導(104)は、少なくとも24時間離れて、複数のセッション、おそらく少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのセッションで実行される。ACSIP誘導(104)後の限られた期間(106)は、この代替案に従って、最後のACSIP誘導セッションからカウントされる。複数のセッションは、選択肢で同じACSIP誘導方式を使用する。または、セッションが異なれば、ACSIP誘導方法も異なる。さらに他の実施形態では、2つ以上のACSIP誘導が、同じセッションで同時に、または互いに1時間未満以内に実行される。
【0045】
特に有望な結果を提供することがわかった1つの実施形態には、腫瘍細胞のエピジェネティックな変化を刺激する最初のACSIP誘導セッション、24時間後の、腫瘍細胞のエピジェネティックな変化を刺激することと病原体模倣物を送達することの両方の2番目のセッション、腫瘍細胞のエピジェネティックな変化の刺激を含む2番目のセッションの24時間後の3番目のセッション、および3番目のセッションの24時間後の、腫瘍細胞のエピジェネティックな変化の刺激と病原体模倣物の送達の両方の4番目のセッションが含まれる。
【0046】
この実施形態の1つの特定の実施において、ACSIP誘導(104)は、アルファ放射の前に、24時間ごとに、デシタビンに基づく4つのセッションと、PEIを伴うまたは伴わないアルファ放射の前72時間および24時間前の2回のpolyICの上記の送達剤の1つを使用した投与と、の組み合わせを含む。アルファ線放射は、選択肢で最後のセッションの1日後にアクティブ化される。
【0047】
(アルファ線放射)
アルファ放射体放射線治療は、選択肢で、ラジウム-224またはラジウム-223などのアルファ放射原子を運ぶシードを腫瘍に挿入することによる近接照射療法を含む。選択肢として、アルファ放出原子は、原子がシードを離れないようにシードに付着するが、放射性核種が崩壊すると、娘の放射性核種がシードを離れる。小線源治療シードは、選択肢で、24時間ごとに、シードに結合された放射性核種原子の数の少なくとも0.1%、0.5%、または少なくとも1%の割合で娘放射性核種原子を放出する。いくつかの実施形態では、娘放射性核種原子は、24時間あたり、シードに結合された放射性核種原子の25%未満、10%未満、5%未満、または3%未満の割合で、シードからゆっくりと放出される。
【0048】
放射性核種の崩壊なしに原子がシードを離れないようにアルファ放出原子をシードに付着させる代わりに、例えば、参照により本明細書に組み込まれる「放射性核種の制御放出」と題されたPCT公開WO 2020/193464に記載されているように、放射性核種崩壊以外の方法において、24時間あたり少なくとも0.1%の速度で原子が制御可能にシードを離れる態様で、アルファ放出原子はシードに付着する。
【0049】
いくつかの実施形態では、アルファ放射体放射線は、拡散アルファ放射体放射線療法(DaRT)を含む。アルファ放射体放射線療法は、選択肢として、米国特許第8,834,837号、米国特許出願公開第2009/0136422号、2019年10月10日出願の米国特許仮出願第62/913,184号および/またはPCT公開WO2018/207105に記載されている方法および/または装置のいずれかを使用して実施される。これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
アルファ放射体放射線治療は、選択肢として、シードの外面にアルファ放出原子を含む1つまたは複数の短距離療法シードを腫瘍に挿入することによって開始される(108)。あるいは、アルファ放射体放射線療法は、アルファ放出原子を運ぶ、以前に挿入されたシードを活性化することによって開始される。選択肢として、この代替案に従って、シードは、アルファ線および/または娘放射性核種がシードを離れることを防ぐ生体吸収性コーティングで患者に挿入される。生体吸収性コーティングは、選択肢として、コーティングの所望の吸収速度を達成するように調整された、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、またはPLAとPGAのコポリマーを含む。代替的または追加的に、コーティングは、コポリ乳酸/グリコール酸(PLGA)を含む。コーティングのポリマーは、選択肢として、5,000から100,000の範囲の分子量を有する。コーティングの材料は、超音波エネルギー、体温との反応、および/または体液との反応のうちの1つまたは複数など、当技術分野で知られている方法のいずれかによって患者に溶解する。所望の吸収速度を調整した後、本発明の実施形態に従って使用することができる生体吸収性ポリマーの追加の議論は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,821,364号および米国特許出願公開第2002/555666号に記載されている。いくつかの実施形態では、開始(108)は、コーティングを溶解し、したがってアルファ線および/または娘放射性核種がシードを離れることを可能にする刺激を適用することを含む。他の実施形態では、開始(108)は、さらなる医師の開始なしに、腫瘍の組織との接触によるコーティングの溶解によって達成される。
【0051】
アルファ放射体放射線療法は、選択肢で、少なくとも24時間、少なくとも5日間、さらには少なくとも10日間患者に適用される。いくつかの実施形態では、小線源治療シードは、指定された治療期間の後に患者から除去される。例えば、シードは、腫瘍の除去のための手術中に選択肢として除去される。または、シードは除去されない。いくつかの実施形態では、シードは生分解性材料を含む。
【0052】
選択肢として、アルファ放射体放射線療法はACSIPの誘発が完了した後にのみ開始される。選択肢でアルファ放射体放射線療法の手術中、ACSIPを誘発する物質は患者に提供されない。いくつかの実施形態では、ACSIPを誘発する物質は、アルファ線源放射線療法の完了後、例えば、小線源治療源または使用される線源の除去後、少なくとも24時間または少なくとも1週間患者に提供されない。他の実施形態では、1つまたは複数のACSIP誘導物質が、アルファ放射体放射線療法が実施されている間に提供される。
【0053】
ACSIP誘導(104)とアルファ放射体放射線療法の開始(108)の間の限られた期間(106)は、ACSIP誘導を有効にするために選択される。例えば、ACSIPが細胞内ウイルス模倣物によって誘導される場合、限られた期間(106)は、病原体模倣物のために、腫瘍細胞の膜上のMHC1発現のアップレギュレーションを可能にするのに適した緩衝期間として機能するように選択される。代替的または追加的に、期間の長さ(106)は、腫瘍細胞が送達された模倣物に応答するための時間を可能にするために十分であるように選択される。
【0054】
期間(106)は、選択肢として、少なくとも6時間、少なくとも9時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、または少なくとも36時間であり、その結果、細胞内病原体認識の活性化は、アルファ放射体放射線療法が適用される前に効力を発し始める。選択肢として、限られた期間(106)は、2週間より短く、10日より短く、1週間より短く、120時間より短く、96時間より短く、72時間より短く、または48時間よりさらに短く、その結果、細胞内病原体認識の活性化の効果は、アルファ放射体放射線療法が適用された場合でも有効である。いくつかの実施形態において、限定された期間(106)は、例えば、多数の血管を有する腫瘍において、またはさもなければACSIPに対してより迅速に反応する場合、30時間より短いか、または20時間よりさらに短い。ACSIPが複数の別個のセッションで提供される場合、期間(106)は、選択肢として、放射線療法中の患者に対するACSIP治療の最大の効果を可能にするように選択される。選択肢として、ACSIP治療の期間は、10日未満、1週間未満、または5日以下でさえあり、その結果、最初のACSIP治療セッションからの期間は、所望の最大待機時間より長くない(例えば、最初のACSIP治療セッションと放射線療法の間の10日)、および最後のACSIP治療セッションと放射線療法の間の時間は、最小の望ましい待機時間(例えば、12時間)より短くない。
【0055】
上記の説明は、ACSIP治療後のアルファ放射体放射線療法の適用に関するものであるが、本発明のいくつかの実施形態では、アルファ放射体放射線療法は、ACSIP治療と実質的に同時に、またはACSIP治療の前でさえも提供される。アルファ放射体放射線療法は、ACSIP治療の前後の所与の時間(例えば、2週間)内に患者に提供され、所与の時間は、治療の予想される効果の時間枠に従って選択される。
【0056】
いくつかの実施形態では、細胞内病原体認識の活性化後、アルファ放射体放射線療法を適用するのに最も適した時点を決定するために、腫瘍の1つまたは複数のパラメータが監視される。監視には、細胞内病原体認識の活性化により腫瘍がいつ変化し始めるかを特定するために、適切なモダリティ(X線、超音波、PET-CT、MRI、CTなど)を使用して腫瘍を画像化することが選択肢で含まれる。あるいは、モニタリングには、属性のレベルを特定するための血液検査の実行が含まれる。しかしながら、いくつかの実施形態では、ACSIPの影響が検出可能になる前に、DaRT放射線が適用されることに留意されたい。
【0057】
(追加治療)
支持的治療を提供すること(114)は、いくつかの実施形態において、放射線療法および/またはACSIP誘導(104)の望ましくない副作用に対抗する1つ以上の治療を提供することを含む。選択肢として、支持的治療は、アルファ放射体放射線療法によって誘発される加速組織修復に対抗する1つまたは複数の治療を含む。そのような加速組織修復は、残存腫瘍細胞を支持し、腫瘍再発を促進するからである。代替的または追加的に、支持的治療は、放射線療法および/またはACSIPによって引き起こされる組織損傷後の炎症をダウンレギュレートする1つまたは複数の抗炎症治療を含む。さらに代替的または追加的に、支持的治療は、放射線療法および/またはACSIPによって引き起こされるチェックポイント発現(例えば、PD-L1発現)をダウンレギュレートする1つまたは複数の治療を含む。いくつかの実施形態において、支持的治療は、放射線療法によって損傷を受けた腫瘍細胞のDNAを修復しようとする患者の体の試みを妨害するように、DNA修復を防止する1つ以上の治療を含む。他の実施形態では、支持療法は、ACSIPのウイルス攻撃を刺激する1つまたは複数の治療を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、支持療法は、上記の効果のうちの2つまたは3つさえも有する治療を含む。たとえば、ポマリドマイド投与の支持療法を提供することは、組織修復に対抗し、炎症をダウンレギュレートし、PD-L1発現をダウンレギュレートする効果がある。ベルゾセルチブは、DNA修復の防止とPD-L1発現のダウンレギュレーションの両方に使用できる薬剤のもう1つの例である。
【0059】
他の実施形態では、支持療法は、複数の異なる治療、例えば、腫瘍細胞の外側からACSIPを刺激するTLR3アゴニストと一緒のチェックポイント遮断(例えば、抗PD-1および/またはCTLA4)を含む。
【0060】
いくつかの実施形態において、支持的治療は、支持的免疫調節、例えば、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)および/またはTreg阻害剤(例えば、シクロホスファミド)および/またはTLR経路の活性化(TLRアゴニスト)を含む。MDSC阻害剤には、例えば、エパカドスタットなどのインドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO1)阻害剤、ガルニセルチブなどのTGFb阻害剤、シルデナフィルなどのPDE5阻害剤および/またはエトドラクなどのCox2阻害剤を含む。
【0061】
代替的または追加的に、追加の治療を提供すること(114)は、免疫療法治療を提供することを含む。免疫療法治療は、選択肢として、1つまたは複数の抗PD-1、抗PD-L1、抗CTLA4、抗TIGIT、抗LAG-3、抗TIM-3、抗CD134および/または抗CD137などのチェックポイント遮断剤の投与を含む。代替的または追加的に、免疫療法治療は、TLR7,8(例えば、MEDI9197、イミキモド)、TLR9(例えば、MGN1703、SD-101、TLR4、GSK1795091、G100、GLA-SE)、TLR3(例、Poly-ICLC)および/またはSTING(例、MIW815)などの1つまたは複数のパターン認識受容体および/またはアゴニストを投与することを含む。
【0062】
代替的または追加的に、追加の治療は、アルファ放射性放射線療法によって誘発される免疫応答を増加させる、影響を与えない、または最小限にしか妨害しないことが見出されたタイプのDNA修復阻害剤を投与することを含む。いくつかの実施形態において、投与されるDNA修復阻害剤は、ATR阻害剤、例えば、ベルゾセルチブ、AZD6738、および/またはNU6027を含む。代替的または追加的に、DNA修復阻害剤には、KU-55933、KU-60019および/またはEPT-46464などのATM/ATR阻害剤、DNA-PK阻害剤(例えば、6-ニトロベラトルアルデヒド、NU7441)、Wee1阻害剤(例えば、アダボセルチブ)、Hsp90阻害剤(例えば、タネスピマイシン)および/またはPARP阻害剤(例えば、オラパリブ、タラゾパリブ)を含む。
【0063】
代替的または追加的に、追加の治療は、アルファ放射性放射線療法および/またはACSIPによって誘発される免疫応答に影響を及ぼさないか、または最小限にしか妨害しないことが見出されたタイプの抗血管新生因子を含む。いくつかの実施形態では、追加の治療は、iMiD、例えばポマリドマイド、サリドマイド、レナリドマイドおよび/またはアプレミラストを含む。
【0064】
さらに代替的または追加的に、追加の治療は、アルファ線および/またはACSIPおよび/またはDaRT放射線に対する免疫応答を妨害しないことが見出されたタイプの局所または全身化学療法治療を含む。選択肢として、化学療法治療は、シクロホスファミド(CP)、ドキソルビシン、ミトキサントロン、ゲムシタビン、オキサリプラチンおよび/またはシスプラチンのうちの1つまたは複数を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、追加の治療は、例えばポマリドマイド(IMiD)および/またはベルゾセルチブ(ATR阻害剤)などの、チェックポイント分子の発現をダウンレギュレートする1つまたは複数の薬剤または薬物によるチェックポイント阻害を含む。
【0066】
代替的または追加的に、いくつかの実施形態では、追加の治療はNSAID、例えば、Cox2阻害剤などの抗炎症薬を含む。
【0067】
さらに代替的または追加的に、追加の治療は、DNMT阻害剤(例えば、デシタビン、アザシチジン、グアデシタビン)および/またはHDAC阻害剤(例えば、エンチノスタット、ボリノスタット)などの1つまたは複数のエピジェネティック薬物の投与を含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、アルファ線放射が提供されている間に、追加の治療が提供される(114)。他の実施形態では、追加の治療は、アルファ線源放射線療法が完了した後、例えば、近接照射療法シード中の放射性核種の大部分が核反応を受けた後、および/または近接照射療法シードが患者から除去された後に提供される(114)。さらに他の実施形態では、アルファ放射体放射線療法の前に追加の治療が提供される(114)。
【0069】
いくつかの実施形態では、支持療法は、ACSIPセッションおよび/または放射線療法治療の1つから72時間未満、48時間未満、または32時間未満でさえ提供される。
【0070】
追加治療を提供するタイミングは、追加治療の特定のタイプに応じて任意に選択される。例えば、チェックポイント阻害剤は、提供される場合、アルファ放射体放射線療法中または後に、おそらくアルファ放射体放射線療法の開始後3日または1週間でさえ、および/またはアルファ放射体放射線療法の完了後に投与される。
【0071】
選択肢として、腫瘍の種類に応じて追加の治療が提供される(114)。
【0072】
(処置キット)
図2は、
図1の方法に従って患者を治療するためのキット200の概略図である。キット200は、腫瘍に挿入するための1つまたは複数のアルファ放射体放射線療法シード204を含む無菌パッケージ202およびACSIP誘導のための薬剤の1つ以上の用量216(204)を含む。
【0073】
選択肢として、シード204は、放射線がケーシングから出るのを防ぐバイアルまたは他のケーシング206内に提供される。いくつかの実施形態では、ケーシングは、「放射線治療シードおよびアプリケータ」と題されたPCT出願PCT/IB2019/ 051834に記載されているように、放射線がケーシング206から逃げるのを防ぐグリセリンなどの粘性液体で満たされている。本文献は参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、キット200は、PCT出願PCT/IB2019/ 051834に記載されているように、シード204を患者に導入するために使用されるシードアプリケータ208をさらに含む。選択肢として、アプリケータ208は、その中に1つまたは複数のシード204が事前に装填されて提供される。この選択肢に従って、ケーシング206内の別個のシード204は、事前に装填されたシードの数より多くが必要とされる場合のために供給される。あるいは、ケーシング206内のシード204はキット200には提供されず、アプリケータ208内のシードのみがキット200に含まれる。
【0074】
示されるように、ACSIPの用量216は、1つまたは複数の針210に事前に装填されて提供される。他の実施形態では、用量216は、1つまたは複数の容器またはバイアルに提供され、針は、滅菌パッケージ202内に別々に提供されるか、またはキット200では、まったく提供されない。
【0075】
いくつかの実施形態では、キット200は、支持的免疫調節治療(114)に必要な1つまたは複数の薬物220をさらに含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、キット200は、異なる温度での保管を必要とする物質のために、適切な断熱材によって分離された複数の別個の区画を含む。例えば、第1の区画は、第1の区画内の物質を約-20℃に保つドライアイスを含み得、一方、第2の区画は、第2の区画内の物質を約4℃に保つ氷を含み得る。
【0077】
(実験)
図3は、
図1の方法をテストするために出願人が実施した実験の結果を示している。実験では、高分子量(HMW)PolyIC dsRNAウイルス模倣物(20μg/40μl)が、約40mm
3の体積の4T1トリプルネガティブ乳がん腫瘍を有するマウスにおいて、送達剤PEIを使用して生体内で原発腫瘍細胞の細胞質に送達された。 PolyICは、核酸/ポリマー =6の比率でPEIと複合体を形成した。ウイルス模倣送達は2回実行され、2回目の送達は最初の送達の48時間後に実行された。2回目の模倣物の送達と近接照射療法によるアルファ放射体放射線治療の開始との間の待機時間(106)は24時間であった。アルファ放射体放射線治療は、長さ8mmのラジウム-224の70kBq(キロベクレル)シードによって実行された。マウスの対照群は、ラジウム-224を含まない不活性源を投与された。
【0078】
図3は、X軸の治療後の日数の関数として、Y軸の治療開始29日後のマウスの平均腫瘍体積を示している。
図3に見られるように、細胞内ウイルス模倣物の送達は、腫瘍サイズを最大約20%縮小する。アルファ線放射治療は、それ自体で腫瘍のサイズを最大約34%縮小する。アルファ放射体治療と送達試薬が提供されていない裸のウイルス模倣物との組み合わせは、腫瘍サイズを最大約64%縮小させる。アルファ放射体放射線療法と細胞内ウイルス模倣送達の組み合わせにより、腫瘍サイズが82%以上減少し、これは、各治療で個別に予想されるよりも大幅に大きい。
【0079】
次の表は、肺転移を有するマウスのパーセントについて、2つの画像化法を使用して
図1の方法の効果を示している。
【表1】
【0080】
この表は、最初のウイルス模倣物の送達から29日後に、CTまたはM-Cherry蛍光画像化によって測定された
図3に記載された実験に参加したマウスの結果をまとめたものである。表中の数値は、肺転移が陽性であったマウスの割合を示している。別々の治療を受けたグループ、またはDaRTと組み合わせたPEIなしのPolyICと比較して、アルファ放射と細胞内ウイルス模倣送達治療の組み合わせを受けたグループ(77%の転移なし)では、有意に多くのマウスが肺転移に対して陰性であった。
【0081】
長期免疫応答に対する
図1の方法の効果をテストするために、別の実験が行われた。 4T1腫瘍(30mm
3)を有するマウスは、アルファ放射体放射線療法と細胞内ウイルス模倣送達治療の組み合わせで治療された(
図3に記載されているのと同じ治療プロトコル、シードデータ:7mm、80 kBq;20μg/40μl polyIC
PEI)。腫瘍細胞接種の24日後に残存腫瘍を切除し、動物の長期生存(転移関連死)を観察し、長期免疫記憶について調べた。マウスの25%(16匹中4匹)が接種後9か月間生存し、転移の除去を示している。一方、不活性シードと腫瘍内PBSで処理したのと同じ数の腫瘍細胞を100%接種したマウスは、この時点(17日目)より前に腫瘍を切除し、すでに肺転移を発症していた。生存している(治癒した)マウスの脾臓を採取し、脾臓細胞を腫瘍細胞と100:1の比率で混合した(脾臓細胞:腫瘍細胞)。混合懸濁液をナイーブマウスに接種した。ナイーブマウスの脾細胞は対照として役立った。DaRTおよびpolyIC
PEIで処理されたマウスの脾細胞は、ナイーブマウスの脾細胞と比較して腫瘍の発生を有意に遅らせた。脾細胞と腫瘍細胞の同時接種から最大48%の腫瘍遅延が最大19日間続き、この治療が9か月後でも効率的な長期免疫記憶を誘導したことを示している。
【0082】
さらなる実験では、出願人は、低用量のシクロホスファミド(100 mg/kg、治療開始の1日前、すなわち最初のpolyIC
PEI注入)を使用して、T制御性細胞を阻害する追加の免疫調節治療と組み合わせた
図1の方法をテストした。実験は、6.5mmおよび65kBqのDaRTシードと30μg/60μl polyIC
PEIのACSIPを備えた4T1腫瘍(25 mm
3)を持つマウスで実行された。T制御性細胞阻害を追加すると、polyIC
PEI治療によるDaRTと比較して腫瘍の発生がさらに最大43%遅延する。さらに、腫瘍切除後(腫瘍接種の24日後)、CPによる追加治療は長期生存率を低下させなかった。これは実験終了時(DaRT後180日)の両方のグループで71%であった。しかし、それは生存期間を30%延長し、たとえばDaRT後85日から145日の期間中、DaRT、polyIC
PEI、およびCPで治療したグループでは100%のマウスが生存していたのに対し、DaRTとpolyIC
PEIで治療されたグループでは71%のマウスが生存した。さらに、DaRT + polyIC
PEIによる治療とDaRT + polyIC
PEIにシクロホスファミドを追加投与した治療の両方共、ナイーブマウスと比較して、治療(治癒)マウスにおいて長期免疫記憶を誘導し、腫瘍再チャレンジの発生を遅らせた。さらに、出願人は、ネオアジュバント設定下でシクロホスファミドと組み合わせた
図1の方法をテストするために追加の実験を行った。これにより、併用治療後の長期生存率を、その個別要素の長期生存率と比較できた:DaRT単独およびCPによる免疫調節とpolyIC
PEI単独。4T1腫瘍(23 mm
3)を有するマウスをCPで治療した後、上記のように30μg/60 μlのpolyIC
PEIを2回投与し、6.5 mm、85 Kbq DaRTシードを挿入した。DaRTの14日後(腫瘍接種から24日後)に残存腫瘍を切除した。不活性シードとビヒクル注射が対照として役立った。
図1の治療は、ネオアジュバント治療として使用した場合、シクロホスファミドと組み合わせて、75%のマウスで転移形成を防ぎ、マウスを治癒させたが、DaRTのみを使用して治癒したのは33%のみで、polyIC
PEI + CP +不活性シードを使用して治癒したのは25%であった。不活性シードとビヒクル注射を使用して12%が治癒した。マウスの治癒は、接種から155日以上の生存と定義された。
【0083】
さらに、出願人は、低用量デシタビンを使用した内因性病原体の刺激によるACSIPの誘導による
図1の方法をテストし、腫瘍の発生に対するこの治療の効果をウイルス模倣送達polyIC
PEIの効果と比較した。SQ2(扁平上皮癌)-ベアリングマウスは、DaRTまたはデシタビンの1 mg/kg i.p.の4日間、毎日の投与の72時間前および24時間前に、85 Kbq DaRTシードおよび25μg/50 μl polyIC
PEIで治療された。デシタビンと組み合わせたアルファ放射体放射線治療は、polyIC
PEI送達と組み合わせたアルファ放射体放射線治療と同様に腫瘍の発生を遅らせた。どちらの治療も、DaRT単独と比較して腫瘍の発生を約66%遅らせた。さらに、同じ数の腫瘍細胞を接種したナイーブマウスと比較して、治療および腫瘍切除マウスにおいて約82%の再チャレンジ腫瘍発生の遅延の改善で示されるように、治療は長期免疫記憶を誘導する能力を維持した。
【0084】
4T1乳がんマウスモデル(大きな腫瘍)で低用量デシタビンを使用した内因性病原体の刺激によるACSIPの誘導による
図1の方法をテストするために、出願人は2つの追加実験を実施した。マウスは、DaRTの72時間前に75 kBq DaRTシードと30μg/60 μl polyIC
PEIで、DaRTまたはデシタビンの24時間前に50μg/100 μl polyIC
PEIで1mg/kgi.p.の用量でDaRTの4日前に毎日処理された。デシタビンと組み合わせたアルファ放射体放射線治療は、DaRT単独と比較して、4T1乳房マウスモデルでもpolyIC
PEIと同様に腫瘍の発生を64%遅らせる。さらに、DaRTをデシタビンとpolyIC
PEIの両方と組み合わせると、非放射性シードを使用した同じ処理と比較して効果が2倍になり、DaRT単独と比較して4倍になることが示された。さらに、この癌モデルでは、デシタビンとDaRTに加えて、TLR3アゴニスト「裸の」polyIC(PEIなし)によってTLR3経路を活性化すると、同じRIG-1経路をデシタビンとpolyIC
PEIとDaRTを組み合わせて活性化する場合と比較して結果を41%改善することが示されている。
【0085】
最後に、
図1の方法をマウス膵臓腫瘍モデルPanc02でテストする実験が出願人によって行われた。さらに、このモデルでは、iMiD薬のポマリドマイド(POM)と組み合わせて治療をテストした。
【0086】
接種の11日後、22 mm3の体積の腫瘍に、30 μg/ 60 μlの用量でpolyICPEIの最初の腫瘍内注射を行い、48時間後に2回目の投与を行った。最後のpolyICPEI注射の24時間後に、DaRTシード(6.5 mm 75 kBq)を腫瘍に挿入した。4日後、25mg/kgのPOMをDaRT後4日目から始まって5日間、1日おきに300 μlの容量で腹腔内注射した。
【0087】
polyICPEIと組み合わせたアルファ放射体放射線治療は、マウスの30%で膵臓腫瘍を排除した。iMiD薬ポマリドマイドを追加すると拒絶率が50%に増加したが、DaRT単独またはDaRT +ポマリドマイドまたは不活性シード+ポマリドマイド+ polyICPEIで治療したグループでは腫瘍拒絶反応は観察されなかった。
【0088】
(結論)
上記の方法および装置は、装置を使用する方法および方法を実行するための装置を含むものとして解釈されるべきであることが理解されよう。一実施形態に関して説明された特徴および/またはステップは、他の実施形態とともに使用され得る場合があり、本発明のすべての実施形態が、特定の実施形態の1つ、特定の図に示されている、または以下に関して説明されている特徴および/またはステップのすべてを有するわけではないことを理解されたい。タスクは、必ずしも説明されている正確な順序で実行されるとは限らない。
【0089】
上記の実施形態のいくつかは、本発明に必須ではない可能性があり、例として記載されている構造、行為または構造および行為の詳細を含み得ることに留意されたい。本明細書に記載の構造および行為は、当技術分野で知られているように、構造または行為が異なっていても、同じ機能を実行する同等物と交換可能である。上記の実施形態は、例として引用されており、本発明は、上記で特に示され、説明されたものに限定されない。むしろ、本発明の範囲は、上記の様々な特徴の組み合わせおよびサブ組合せの両方、ならびに前述の説明を読んだときに当業者に想起される、先行技術に開示されていないその変形および修正を含む。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲で使用される要素および制限によってのみ制限され、「含む」、「含む」、「有する」およびそれらのコンジュゲートという用語は、特許請求の範囲で使用される場合、「含む」を意味するものとする。しかし、必ずしもそれに限定されるわけではない。
【手続補正書】
【提出日】2024-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞内病原体に対する細胞質センサーを活性化する物質を含む、患者の腫瘍の治療のための医薬品であって、前記医薬品の投与パターンは、1回以上のセッションで治療的に有効な量の前記物質を前記腫瘍に投与するステップと;前記物質の最後の用量の投与から2週間以内に腫瘍内アルファ放射体放射線療法で前記腫瘍を処置するステップと;を含み、前記物質は、
脂質ベースまたはポリマーベースの送達剤を伴うDNAまたはRNAウイルス模倣物、
poly-ICLC、および
腫瘍溶解性ウイルス
の群から選択される、医薬品。
【請求項2】
前記物質は、脂質ベースまたはポリマーベースの送達剤を伴うDNAまたはRNAウイルス模倣物を含む、請求項1に記載の医薬品。
【請求項3】
前記ウイルス模倣物は、polyIC、5´三リン酸二本鎖RNA(5´ppp-dsRNA)、5´三リン酸ヘアピンRNA(3p-hpRNA)、Poly(dA:dT)、poly(A:U)、CpGリッチRNAまたはpoly-ICLCを含む、請求項2に記載の医薬品。
【請求項4】
前記送達剤は、カチオン性ポリマー複合体、固体脂質ナノ粒子またはポリマーミセルを含む、請求項2に記載の医薬品。
【請求項5】
前記送達剤は、固体ポリマーナノ粒子、カチオン性脂質、リポソームまたはリポプレックスを含む、請求項2に記載の医薬品。
【請求項6】
前記物質はポリエチレンイミン(PEI)を備えるpolyICを含む、請求項2に記載の医薬品。
【請求項7】
前記物質はpolyICLCを含む、請求項1に記載の医薬品。
【請求項8】
前記物質は腫瘍溶解性ウイルスを含む、請求項1に記載の医薬品。
【請求項9】
前記医薬品の投与経路は、直接腫瘍内注射による投与を含む、請求項1-8のいずれかに記載の医薬品。
【請求項10】
前記物質は、少なくとも12時間互いに隔てられた少なくとも2つの別個のセッションで投与される、請求項1-8のいずれかに記載の医薬品。
【請求項11】
前記医薬品の投与パターンは、抗PD-1、抗PD-L1、抗CTLA4、抗TIGIT、抗LAG-3、抗TIM-3、抗CD134、抗CD137、シクロホスファミド、TLRアゴニスト、エパカドスタット、ガルニセルチブ、シルデナフィルおよびエトドラクの群からの支持的治療薬を投与するステップをさらに含む、請求項1-8のいずれかに記載の医薬品。
【請求項12】
前記医薬品の投与パターンは、ベルゾセルチブ、AZD6738、NU6027、KU-55933、KU-60019、EPT-46464、6-ニトロベラトルアルデヒド、NU7441、アダボセルチブ、タネスピマイシン、オラパリブおよびタラゾパリブの群からの支持的治療薬を投与するステップをさらに含む、請求項1-8のいずれかに記載の医薬品。
【請求項13】
前記腫瘍内アルファ放射体放射線療法はラジウム原子を担持する線源により提供される、請求項1-8のいずれかに記載の医薬品。
【請求項14】
前記腫瘍内アルファ放射体放射線療法は、アルファ放出原子またはそれらの娘放射性核種の線源からの制御可能な放出を可能にする態様で搭載される、アルファ放出原子を担持する線源により提供される、請求項1-8のいずれかに記載の医薬品。
【請求項15】
対象の身体に少なくとも部分的に導入され、その上にアルファ放出原子が取り付けられている少なくとも1つの線源と;
脂質ベースまたはポリマーベースの送達剤を伴うDNAまたはRNAウイルス模倣物、poly-ICLC、または腫瘍溶解性ウイルスを含む少なくとも1つの物質と;
前記少なくとも1つの線源と前記少なくとも1つの物質を含む無菌パッケージと;
を含む、患者の腫瘍の治療のためのキット。
【請求項16】
アルファ放出原子またはそれらの娘放射性核種の線源からの制御可能な放出を可能にする態様で、アルファ放出原子が線源に取り付けられている、請求項15に記載のキット。
【外国語明細書】