(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025013885
(43)【公開日】2025-01-28
(54)【発明の名称】OT-R活性に関する疾患を治療するための方法に有用な結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2’-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシム
(51)【国際特許分類】
C07D 207/22 20060101AFI20250121BHJP
A61K 31/40 20060101ALI20250121BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250121BHJP
A61P 15/06 20060101ALI20250121BHJP
A61P 15/08 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
C07D207/22 CSP
A61K31/40
A61P43/00 111
A61P15/06
A61P15/08
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024182585
(22)【出願日】2024-10-18
(62)【分割の表示】P 2022184804の分割
【原出願日】2015-06-10
(31)【優先権主張番号】62/020,076
(32)【優先日】2014-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516058551
【氏名又は名称】オブセヴァ エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショレ、アンドレ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】OT-R活性に関する疾病、特に早期分娩の治療のための効率的かつ経口で選択可能なOT-Rアンタゴニストを提供する。
【解決手段】結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オンO-メチルオキシムが開示される。その結晶化合物を含有する医薬組成物と、その結晶化合物を投与する段階を備える、早期分娩などのOT-R活性に関する複数の疾患を治療するため、及び、胚移植中の哺乳類の胚着床率を増加するための複数の方法も開示される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年7月2日に出願された米国仮特許出願第62/020,076号の利益を主張する。前述の出願の内容は、その全体が参照として、本明細書に組み込まれている。この開示は、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシム及びそれを用いる複数の方法に関する。加えて、この開示は、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムを含む医薬組成物、それを生成する複数の方法、及び、特に早期分娩などのOT-R活性に関する複数の疾患を、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムを用いて治療する複数の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オキシトシン(OT)は、アルギニンバソプレシン受容体に類似するGタンパク質共役型受容体の分類に属する細胞膜受容体であるオキシトシン受容体(OT-R)の活性化を通して、自体の生理的作用を媒介する周期的ノナペプチドである。その本体における他の役割のうち、OTは、分娩中に哺乳類の子宮の収縮を引き起こす。子宮の繰り返される協調した規則的な収縮が、子宮頸部の拡張及び胎膜の破裂を引き起こし、胎児の排出をもたらす。早産とは、これらの収縮が、妊娠の正常な出産予定日の前に発生する場合をいう。子宮活性の早期増加が、早期分娩の最も一般的な兆候である。
【0003】
早産は、望ましくない未熟児出産を引き起こし、それが依然として、周産期死亡率と重大な罹患率、特に、満期産児よりも早産児においてはるかに多くみられる呼吸窮迫症候群、脳室内出血、気管支肺異形成症、及び壊死性腸炎の主要な原因となっている深刻な健康問題となっている。脳性小児まひ、視力障害及び聴覚障害のような長期障害もまた、早産児にはより多くみられる。今日、先進諸国では、早産は依然として、胎児死亡率及び罹患率の主要原因となっている。早産児の新生児集中治療は、非常にコストがかかる。呼吸窮迫症候群、心臓病、脳性小児まひ、てんかん、及び重度の学習障害などの早産関連病のヘルスケアの提供を考慮する場合、実際の費用は、社会にとってずっと高いものとなる。こうして、産科学分野において、早期分娩の管理が、重要な課題である。
【0004】
OT/OT-R系は、哺乳類において、特にヒトにおいて、分娩の開始に重要な役割を果たしている。OT-Rの密度は、分娩の開始前及びその最中に、子宮筋層において著しく増加する。また、ヒトにおいて、局所的なOTペプチドホルモンの濃度が、出産前に著しく増加すると考えられる。プロゲステロンの高血中濃度が、子宮静止化を引き起こす一方、子宮は、収縮能を得る。出産予定日の直前に、血漿プロゲステロン濃度が落ち、子宮におけるOT-R発現が増加し、OTが放出され、子宮収縮活動が増加する。分娩日には、収縮は次第に強くなり、2つの相互作用するポジティブフィ-ドバックル-プの結果として、出産という結果に至る。1つ目は、局所的な子宮ル-プであり、子宮自体内において、OTと子宮収縮とに応答し、収縮性のプロスタグランジンが生成されて放出される。これらのプロスタグランジンは、子宮頸管の成熟及び胎膜の弱化において更なる役割を果たし得る。2つ目のル-プは、視床下部に関与し、子宮収縮と、膣及び子宮頸管の膨張とに応答し、視床下部における巨細胞性オキシトシンニュ-ロンが、それらの活性を増加させ、脳下垂体後葉にあるそれらの軸索末端からOTの放出をもたらす。放出されたOTは、子宮に対して作用し、プロスタグランジンの更なる生成へ刺激すると共に、及び子宮の収縮へ更に寄与する。
【0005】
OT-Rと拮抗する別の可能な利点が、生殖補助医療(ART)の分野にある。過去数十年間にわたって、生殖補助の結果を改善しようと多くの努力がさなれてきたが、体外受精(IVF)技術における全体的な有効性がまだ相変わらず制限されている。様々な要因がIVF後の成功率に影響を与え得る。胚の移植が、不妊治療の結果に影響を与える重要な要因である。ARTはまず、いくつかの卵胞の成長を刺激するために制御された卵巣過剰刺激(COH)を実施することを含み、IVFのためのいくつかの卵胞細胞の回復を可能にする。COHは、上生理的な卵胞ホルモンレベルに関連し、IVF患者において、自然に起こる生理周期と比較して、胚移植のときに子宮収縮活動が増加することが示されている。
【0006】
子宮の収縮活動が胚着床において重要な役割を果たしているので、子宮収縮は、子宮受容能の最も基本の要素のうちの1つとみなされる。過度の子宮収縮は、収縮活動によって胚を子宮から排出し得るので、IVF周期において胚着床率を減少させ得る。これまで、ベ-タアゴニスト又は非ステロイド性抗炎症薬の使用など、胚移植前の子宮収縮を低減させるために用いられている複数の治療策は、十分な利益を提供していなかった。
【0007】
加えて、OTの全身及び子宮内膜レベル、並びにOT-R発現が、例えば、非妊娠中の女性において、OT-Rの発現の最も高いレベルが、中間生理周期及び妊娠女性の臨月において観察されるなど、卵胞ホルモンにより強く影響を受ける。
【0008】
少なくともこれらの理由から、OT-R及び/又はV1aアンタゴニストの投与により、胚移植のときにおける子宮収縮の低減は、胚着床率、そしてARTにおける妊娠率を増加し得ることが考えられる。
【0009】
それにより、OT-Rに拮抗することによってOTの影響を阻止することは、OT-R活性、特に子宮収縮に起因する早期分娩及び胚移植失敗に関する複数の疾病の治療にとっては、魅力的な療法となり得る。
【0010】
子宮収縮抑制剤、すなわち、子宮弛緩剤が、早期分娩の医薬的治療のための臨床研究に用いられている。これらの薬剤のほとんどは、適応外に用いられている。これらは、あったとしても長期在胎において非常に制限された有効性を示し、新生児結果の改善についてのいかなる明白な証拠も示していない。加えて、多くの子宮収縮抑制剤は、多くの場合において、女性、胎児、又は新生児に望ましくない悪影響に関連する。そのような子宮収縮抑制剤は、ベ-タ-2-アドレナリンアゴニスト、プロスタグランジン合成抑制剤、硫酸マグネシウム、硝酸供与体、及びカルシウムチャネル遮断薬を含む。リトドリンやテルブタリンのようなベ-タ-2-アドレナリンアゴニストは、母体頻脈、動悸、低血圧、甲状腺機能の変化、及び胎児と新生児の血糖低下、頻脈を含む多数の心血管系と代謝系の副作用をもたらす。
【0011】
カルシウムチャネル遮断薬であるニフェジピンもまた、収縮を止める試みに用いられる。この薬によるいくつかの可能な副作用は、顔面紅潮、頭痛、吐き気、動悸、及び立ちくらみを含む。総プロスタグランジン合成抑制剤(NSAID)インドメタシンも用いられてきたが、これもまた、例えば、動脈管収縮、肺性高血圧、羊水過少を伴う腎機能低減、脳室内出血、高ビリルビン血症、壊死性腸炎など、胎児に深刻な影響を与え得、母親に対してもまた、例えば、腹部不快感、吐き気、嘔吐、うつ病、及びめまい発作などの副作用をもたらす。別のNSAIDであるスリンダクが、インドメタシンと同様の副作用プロファイルを持つ。硫酸マグネシウムについて、実施されたメタ分析は、それを子宮収縮抑制剤として支持するものにではなかった。女性たちは、紅潮、無気力、頭痛、筋力低下、肺水腫、及び心拍停止などの副作用を報告した。更に、硫酸マグネシウムにさらされた新生児は、無気力、低血圧症、呼吸抑制、骨の問題、骨減少症、及び骨折を示し得る。FDAは現在、ヘルスケアの専門家に、早期分娩を止めるべく、女性に5から7日より長く硫酸マグネシウム注射を使用しないようにアドバイスしている。
【0012】
バソプレシンV1a受容体及びOT-Rの双方に対するアンタゴニストである別の医薬のアトシバンは、欧州において販売され、収縮を止めて数日分だけ早期出産を遅らせるために用いられている。アトシバンは、経口で生物利用可能ではなく、非経口的に投与されなければならないペプチドである。それは、循環中に酵素により急速に分解され、その使用が最大48時間までに制限されている。
【0013】
OT-Rのために選択可能な、経口活性小分子であるアンタゴニストが、これらの問題を克服するための試みにおいて開発されている。特に、非ペプチドのOT-Rアンタゴニストが、複数のピロリジン誘導体のように開発された(国際公開番号第01/72705号、国際公開番号第02/102799号、国際公開番号第2002/074741号、国際公開番号第2004/005249号)。
【0014】
異性体の混合物などのピロリジン誘導体は、オキシトシン アンタゴニストとしての使用のために開示された(国際公開番号第2004/005249号)。純粋な(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシム又は粗製の異性体混合物の結晶化の適した状態が、そこに報告されていなかった。
【0015】
OT-R活性に関する疾病、特に早期分娩の治療のための効率的かつ経口で選択可能なOT-Rアンタゴニストに対して、著しい未だ対処されていない需要が、依然として存在している。特に、迅速に吸収され、1日当たりの一度の投与に対応するのに十分に長い半減期を有し、かつ、妊娠の終了までの数週間にわたる長期的な維持治療において、母親と胎児にとって安全な、経口投与可能な医薬的に有効な製品に対する需要が存在する。
【発明の概要】
【0016】
一実施形態が、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムに関する。その複数の実施形態において、結晶化合物は、本質的に
図1に示されるXRPDパタ-ン、本質的に
図6又は
図7に示されるDSC曲線、又は本質的に
図8又は
図9に示されるTGA曲線を有し得る。
【0017】
別の実施形態が、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムと、医薬的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物である。また別の実施形態が、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムの治療上有効な量を、対象に投与する段階を備える、OT-R活性に関する疾患を治療するための方法である。OT-R活性に関する疾患は、早期分娩、未熟児出産、月経困難症、早漏、性的不全、子宮内膜症、子宮収縮に起因する胚着床不全、不妊、良性前立腺過形成、神経精神障害、自閉症、社会的行動障害、心理社会的ストレス、及び心血管障害から成る群から選択され得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】合成後の結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムに対するX線粉末回折(XRPD)分析を示す。
【0019】
【
図2】酢酸エチル結晶化により調製された結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシム(一番上の線)、20時間にわたって周囲温度で小規模で真空乾燥された、ジエチルエ-テル結晶化により調製された結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシム(真ん中の線)、及び20時間にわたって周囲温度で小規模で真空乾燥されて更に65時間にわたって45℃で真空乾燥された、ジエチルエ-テル結晶化により調製された結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシム(一番下の線)についての比較XRPD分析を示す。
【0020】
【
図3】Triads
TMv2.0を用いてされた出力で20時間にわたって周囲温度で真空乾燥された、小規模のジエチルエ-テル結晶化により調製された結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムの複数の観察されたピ-クを示す。
【0021】
【
図4】24時間にわたってpH7のリン酸塩緩衝液において撹拌した後の結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムのXRPDパタ-ンと比較する、合成後の結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムのXRPDパタ-ンを示す。
【0022】
【
図5】24時間にわたってpH7のリン酸塩緩衝液において撹拌した後の非晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムのXRPDパタ-ンと比較する、合成後の非晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムのXRPDパタ-ンを示す。
【0023】
【
図6】ジエチルエ-テルからの結晶化により調製された結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムの示差走査熱量測定(DSC)曲線である。
【0024】
【
図7】酢酸エチルからの結晶化により調製された結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムのDSC曲線である。
【0025】
【
図8】小規模のジエチルエ-テルからの結晶化により調製された結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムの熱重量分析(TGA)曲線である。
【0026】
【
図9】酢酸エチルからの結晶化により調製された結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムのTGA曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[結晶形] 新規な結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムが本明細書にて開示される。(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムの結晶化に対する最初の試みが失敗した。その後、120回以上の多形スクリ-ニング実験が実施された。その半分より多くが、更なる特徴付けに適した固形材料を生成せず、およそ三分の一が非晶形を生成した。多くの実験及び発見後に、発明者らは、医薬組成物における医薬的活性成分として用いられ得る(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムの安定した結晶形を得た。本開示は、この新規な結晶形をどう生成するか、及びその複数の利益を教示する。
【0028】
本発明の一実施形態が、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムである。
【0029】
本発明の結晶化合物は、本質的に純粋な結晶化合物である。本質的に純粋な結晶化合物が、主に単一結晶相から成り、好ましくは約85重量%を超え、より好ましくは約90重量%を超え、より好ましくは約95重量%を超え、更により好ましくは約98重量%を超え、最も好ましくは約100重量%の単一結晶相から成る。別の実施形態において、結晶化合物には、本質的に非晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムが含まれない。好ましくは、約8重量%未満の非晶形が存在し、より好ましくは、約5重量%未満の非晶形が存在し、更により好ましくは、約3重量%未満の非晶形が存在する。
【0030】
本明細書において用いられている「結晶質」という用語は、結晶の原子、イオン、又は分子の特性の周期的で反復する3次元内部配置を有する、固形状態にある化合物を指す。結晶質という用語は、その化合物が、肉眼で結晶の外観を有することを必ずしも意味せず、それが、この結晶様の内部構造配置を有することを意味する。本明細書において用いられている「非晶質」という用語は、結晶質の構造が欠け、反復パタ-ンなしで、短範囲のみの順序を有し、広く乱れた化合物を指す。
【0031】
結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムは、(エチルエ-テルとしても称される)ジエチルエ-テル又は酢酸エチルという溶媒を用いて、好ましくはジエチルエ-テルを用いて、生成され得る。本発明の特定の実施形態において、結晶化後に存在するジエチルエ-テル残留量が、約6重量%未満であり、好ましくは約4重量%未満で、より好ましくは約2重量%未満である。結晶化合物におけるジエチルエ-テル残留量を低減し、また固体を溶融することを回避するために、固体は、少なくとも約50時間の期間にわたって、好ましくは、少なくとも約100時間にわたって、より好ましくは、少なくとも約130時間にわたって、約35℃と約60℃との間、好ましくは約40℃と約55℃との間、より好ましくは約40℃と約50℃との間、最も好ましくは約45℃の温度で真空乾燥され得る。特定の実施形態において、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムは、ジエチルエ-テル結晶化を用いて調製され、その結果として得られた固体は、残留のエ-テルを除去するために、約133時間にわたって約45℃で真空乾燥される。好ましくは、乾燥を助けるために固体の少しの処置が必要とされる。
【0032】
結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムは、OT-R活性に関する疾患を治療、予防、又はそうでなければ、改善するために用いられ得る。
【0033】
OT-R活性に関する疾患は、早期分娩、未熟児出産、月経困難症、早漏、性的不全、子宮内膜症、子宮収縮に起因する胚着床不全、不妊、良性前立腺過形成、神経精神障害、自閉症、社会的行動障害、心理社会的ストレス、及び心血管障害を含む。
【0034】
早産も指す「早期分娩」という用語は、妊娠の正常終了前に、子宮から生存可能な胎児を排出すること、又はより具体的には、妊娠の第37週の前に子宮頸部の展退と拡張を伴う分娩の開始を意味するべきである。膣からの出血又は破膜とは関連してよく、しなくてもよい。
【0035】
「月経困難症」という用語は、排卵周期中の月経に関連する周期的疼痛により特徴付けられた疾患を指す。疼痛は、子宮収縮及び虚血に起因すると考えられる。
【0036】
「性的不全」という用語は、興奮段階、平坦段階、オ-ガスム段階、及び消退段階という、人間の性反応を特徴付ける4つの段階におけるいずれかの障害又は変異を指す。
【0037】
本明細書において用いられている「神経精神障害」という用語は、例えば、うつ病、強迫性障害及び他の神経系の疾病に起因する精神障害を指す。
【0038】
本明細書において用いられている「社会的行動障害」という用語は、情緒障害、不適切な種類の行動又は感情、蔓延する不幸感又はうつ状態、及び満足のゆく対人関係を築く又は維持することに対して知覚される様々な困難性の範囲を指す。
【0039】
本明細書において用いられる「心理社会的ストレス」という用語は、社会的地位、社会的尊重、自尊心、集団内での敬意または受け入れに対する知覚された脅威に起因し、体内におけるストレス反応の進行及び身体症状の発達に至る疾患を指す。
【0040】
胚着床におけるその使用について、世界中で約10%の人間の男女のペアに影響を与える不妊は、体外受精及び胚移植(IVF-ET)により、又はそれほど複雑ではない場合は人工受精により、治療され得る。通常、胚移植の成功は、適切な着床及び胚発達を司る最適な状態を提供する子宮能力として定義されるエンティティである子宮受容能に依存する。子宮受容能の基本的な要素は、子宮収縮活動及び子宮内膜の疾患である。胚移植中に発生する子宮収縮は、子宮から膣又は卵管に向けて胚を排出する場合があり、このことは、不成功に終わった治療の原因であり得、又は、後に深刻で潜在的に生命を脅かす合併症である子宮外妊娠の原因であり得る。こうして、結晶化合物は、生殖補助に用いられ得、より具体的には、子宮収縮に起因する胚着床不全を低減することによる使用のためであり得る。
【0041】
結晶形を分析するための一般的な方法には、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、及び熱重量分析(TGA)による結晶分析が含まれる。
【0042】
本明細書において開示されているXRPD分析は、Inel XRG-3000回折計又はPANalytical X'Pert PRO MPD回折計上で収集された。
【0043】
Inel XRG-3000回折計は、120°の2シ-タ範囲を有する曲線状の位置敏感型検出器に装備された。リアルタイムのデ-タが、0.03°2シ-タの分解能で、およそ4°2シ-タに開始したCuKα放射を用いて収集された。管電圧及び電流量がそれぞれ、40kV及び30mAに設定された。複数の試料が、それらを薄肉ガラスキャピラリ内に詰めることによって、分析用に調製された。各キャピラリは、デ-タ取得中にキャピラリの回転を可能にするように電動化される角度計ヘッド部に設置される。計器較正が、シリコン製の参照標準を用いて1日当たり実施される。この機械は、
図2の一番上の線として示され、すなわち、酢酸エチル結晶化により生成された結晶化合物のXRPDパタ-ンの収集に用いられた。
【0044】
PANalytical X'Pert PRO MPD 回折計は、ロングファインフォ-カスソ-スとニッケルフィルタとを用いて生成されたCuKα放射の入射ビ-ムを伴って、又はOptiXロングファインフォ-カスソ-スを用いて生成されたCu放射の入射ビ-ムを伴って、用いられた。
【0045】
ロングファインフォ-カスソ-スとニッケルフィルタとを用いて生成されたCuKαアルファ放射の入射ビ-ムを用いる前者の場合において、回折計は、対称的なBragg-Brentano幾何学を用いて構成される。分析の前に、シリコン検体(NIST SRM640d)が、Si111ピ-クの観察された位置がNIST認定位置に一致したことを検証するために分析された。検体試料が、シリコン製のゼロバックグラウンドの基板上に集中され、又はバックフィルホルダに詰められた薄い円形層として調製された。複数の反散乱スリット(SS)が、空気により生成されたバックグラウンドを最小限にするために用いられた。入射及び回折ビ-ムのための複数のソ-ラスリットが、軸分散からの広がりを最小限にするために用いられた。複数の回折パタ-ンが、試料及びデ-タコレクタソフトウェア v.2.2bから240mmのところに配置された走査位置敏感型検出器(X'Celerator)を用いて収集された。各パタ-ンのデ-タ取得パラメ-タは、発散スリット(DS)及び入射ビ-ム(SS)を含むデ-タセクションの画像の上に表示された。この機械は、
図2の一番下の線で示され、すなわち、20時間にわたって周囲温度で小規模の真空乾燥を行って更に65時間にわたって45℃で真空乾燥を行ったジエチルエ-テル結晶化により生成された結晶化合物のXRPDパタ-ンを収集するために用いられた。
【0046】
Optixロングファインフォ-カスソ-スを用いて生成されたCu放射の入射ビ-ムを用いる後者の場合において、楕円形に段階的な多層ミラ-が、検体を介して検出器上にCuKαX線を集光するために用いられた。分析の前に、シリコン検体(NIST SRM640d)が、Si111ピ-クの観察された位置がNIST認定位置に一致したことを検証するために分析された。検体試料が、厚さが3μmの膜の間に挟まれ、透過幾何学において分析された。ビ-ムストップ、短反散乱拡張、及び反散乱ナイフエッジが、空気により生成されたバックグラウンドを最小限にするために用いられた。入射及び回折ビ-ムの複数のソ-ラスリットが、軸分散からの広がりを最小限にするために用いられた。複数の回折パタ-ンが、検体及びデ-タコレクタソフトウェアv.2.2bから240mmのところに配置された走査位置敏感型検出器(X'Celerator)を用いて収集された。各パタ-ンのデ-タ取得パラメ-タは、ミラ-の前の、発散スリット(DS)を含むデ-タセクションの画像の上に表示された。この機械は、
図1、3、4、5に示され、及び
図2の真ん中の線で示されたXRPDパタ-ンを収集するために用いられた。
【0047】
複数の特定の実施形態において、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムは、本質的に
図1に示された結晶化後のXRPDパタ-ンを有する。別の実施形態において、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムは、本質的に
図3に示されたXRPDパタ-ンを有する。
【0048】
本明細書において用いられている「XRPDパタ-ン」という用語は、XRPD分析により収集されたデ-タのグラフィカル表現を指す。XRPD分析は、多結晶又は粉末固体試料における結晶学的な構造、サイズ、及び好ましい向きを特徴付けるために用いられる技術である。この回折はまた、存在する複数の結晶化合物の百分率を判断するべく、異質な固体混合物を特徴付けるために用いられ、複数の未知の材料に対して構造情報を提供することができる。
【0049】
XPRDパタ-ンに関連して本明細書において用いられている「本質的に」及び「約」という用語は、列挙されたピ-クが、所与の2シ-タ値の0.1度2シ-タを含み、0.2度2シ-タ内に現れるXPRDパタ-ンを指す。
【0050】
「結晶化後」は、固体の調製及び約45℃までの周囲温度での乾燥後を意味する。例えば、
図2に示されたように、約20時間にわたって周囲温度で乾燥された試料、及び約65時間にわたって約45℃で更に真空乾燥された試料のXRPDパタ-ンは、同じである。こうして、約65時間にわたって約45℃での真空乾燥は、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムの固体形態を変えない。
【0051】
好ましい実施形態において、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムは、少なくとも、XRPDにより測定される約7.05、約13.13、及び約23.34での回折角度2シ-タ度に現れる特徴的なピ-クを有する。より好ましい実施形態において、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムは、少なくとも、XRPDにより測定される約7.05、約13.13、約16.54、約21.84、及び約23.34での回折角度2シ-タ度に現れる特徴的なピ-クを有し、更により好ましくは、少なくとも、XRPDにより測定される約7.05、約12.25、約13.13、約16.54、約18.00、約21.84、及び約23.34での回折角度2シ-タ度に現れる特徴的なピ-クを有する。
【0052】
本明細書において用いられている「特徴的なピ-ク」という用語は、ベ-スラインノイズより少なくとも20%、好ましくは30%大きい強度を有するXRPDパタ-ンにおけるピ-クを指す。
【0053】
別の実施形態において、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムは、表1に記載され、例えば、
図3に示されている、XRPDにより測定される複数のピ-クを有する。表1:XRPD分析により観察されたピ-ク
【表1】
【0054】
TGA及びDSC分析は、熱挙動を測定するために用いられ、多形体を区別するために用いられ得る。1つの多形体が、非晶質材料又は別の多形体の熱挙動と異なる熱挙動を示し得る。
【0055】
DSCは、試料の温度を増加するために必要とされる熱の量と基準との差異が、温度の関数として測定される熱分析技術である。DSCは、試料の特徴的な性質の数を測定するために用いられ得、結晶化事象の観察を可能にする。特に、DSCを用いると、固体から液晶へ、及び液晶から等方性液体への物質転移として生じる小さなエネルギ変化を観察することが可能となる。DSC曲線における事象の存在は、化合物の安定性、並びに溶媒和化合物又は水化物の存在を評価するために用いられ得る。
【0056】
本明細書において開示されているDSC分析は、示差走査熱量計2920であるTA計器上で収集された。計器は、インジウムを用いてエネルギ及び温度に対して較正された。試料は、非圧着リッド構成で標準アルミニウム製DSC皿に配置され、重量が正確に記録された。試料セルが、25℃において平衡化され、10℃/分の速度の窒素パ-ジ下で、最終温度が最高350℃まで加熱された。ガラス転移判断のために調製された複数の試料が、循環実験において、20℃/分で加熱された。循環実験は、材料を、120℃又は145℃の何れかまで加熱する段階と、10℃まで冷却する段階と、再びその温度に戻るまで加熱する段階と、10℃まで冷却する段階と、次に350℃の最終温度まで加熱する段階とから成る。
【0057】
TGAは、温度の変化に関連する重量の変化を判断するために用いられ、化合物の劣化及び溶媒和化合物又は水化物の存在を明らかにし得る。本明細書において開示されているTGA分析は、TA計器2050熱重量分析計上で収集された。温度は、Alumel
TM及びニッケルを用いて較正された。各試料は、プラチナ製皿に配置され、TG炉内に挿入された。炉は、窒素パ-ジ下で加熱された。複数のデ-タ取得パラメ-タは、各サ-モグラムに対して表示された。
図8に示されたTGA曲線を有する試料は、10℃/分で、周囲温度から350℃まで加熱された。
図9に示されたTGA曲線を有する試料はまず、25℃において平衡化され、次に、10℃/分で350℃まで加熱された。
【0058】
特定の実施形態において、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムは、本質的に
図6又は
図7に示されているDSC曲線を示す。別の実施形態において、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムは、約70℃から約77度前後におけるシグナル最大値を含む吸熱、約122℃から約130℃におけるベ-スラインシフト、及び、おそらく分解に起因する、約230℃から235℃のシグナル最大値を含む大きな放熱を伴うDSC曲線を示す。酢酸エチルを用いて調製された結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムは、約71℃と約72℃との間、好ましくは約71.67℃におけるシグナル最大値を含む小さくて広範囲の吸熱、約126℃と約127℃との間、好ましくは約127.46℃におけるベ-スラインシフト、及び約231℃と約232℃との間、好ましくは約231.50℃におけるシグナル最大値を含む大きな放熱を伴うDSC曲線を示し得る。ジエチルエ-テルを用いて調製された結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムは、約76℃におけるシグナル最大値を含む吸熱、約124℃におけるベ-スラインシフト、及び約233℃のシグナル最大値を含む大きな放熱を伴うDSC曲線を示し得る。
【0059】
本明細書においてDSC曲線に関連して用いられている「本質的に」という用語は、所与の温度の0.5℃内を含み、1℃内に一のピ-クを示すDSC曲線を意味する。
【0060】
特定の実施形態において、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムは、本質的に
図8又は
図9に示されたTGA曲線を示す。好ましくは、TGAにより分析された結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムは、約25℃から約200℃における約2%から約7%の重量減少、より好ましくは、約25℃から約200℃における約3%から約6%の重量減少を示す。特定の実施形態において、ジエチルエ-テルを用いた結晶化後に、TGAにより分析された結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムは、約25℃から約200℃において、約4.5%から約5.8%の重量減少、より好ましくは、約5.1%から約5.6%の重量減少を示す。
【0061】
本明細書においてTGA曲線に関連して用いられている「本質的に」という用語は、温度変化に関連する所与の値の0.5%内を含み、1%内の重量減少の百分率を示す曲線を意味する。
【0062】
別の実施形態において、錠剤又はカプセルに製剤化された結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムは、少なくとも6ヶ月にわたって、約25℃及び約60%の相対湿度において、好ましくは、少なくとも12ヶ月にわたって、約25℃及び約60%の相対湿度において、より好ましくは、少なくとも12ヶ月にわたって、約2℃から約8℃及び周囲湿度において、保存中に安定している。本明細書において用いられているように、保存中の安定性は、結晶化合物の少なくとも95%が、保存期間の開始から変化していないこと、好ましくは、結晶化合物の少なくとも96%が、保存期間の開始から変化していないこと、最も好ましくは、結晶化合物の少なくとも97%が、保存期間の開始から変化していないことを意味する。
【0063】
本明細書において用いられている「安定」及び「安定性」という用語は、結晶化合物の物理形態及び化学純度の両方を指す。本明細書において用いられている「結晶化合物」は、本発明の開示されている結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムを指す。物理的安定性は、XPRDにより測定され得る。
【0064】
本明細書において用いられている複数の周囲状態は、約20℃から約25℃の温度、及び約40%の相対湿度(RH)を意味する。 [医薬組成物]
【0065】
本発明の1つの実施形態が、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムと、医薬的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0066】
本発明の医薬組成物は、結晶化合物の有効量と医薬的に許容可能な賦形剤とを含み、いくつかの実施形態においては、それはまた1つ又は複数の追加の活性成分を含有し得る。本発明の医薬組成物における結晶化合物の内容物は、他の変数のうち、投与対象、投与経路、及び目標疾病に依存して変動する。本発明の医薬組成物は、経口で、局所的に(例えば、経皮でなど)、膣経由で、直腸経由で、又は非経口的に(例えば、静脈経由など)、投与され得る。一実施形態において、医薬組成物は、経口投与される。
【0067】
医薬組成物の局所的投与の複数の例には、経皮、頬又は舌下投与が含まれる。局所的投与について、医薬組成物は、ゲル、軟膏、ロ-ション、又はクリ-ムなどの薬学的に不活性な局部キャリアに好適に混合されることができる。そのような薬学的に不活性な局部キャリアは、水、グリセロ-ル、アルコ-ル、プロピレン グリコ-ル、脂肪アルコ-ル、トリグリセライド、脂肪酸エステル、又はミネラルオイルを含む。他の可能な薬学的に不活性な局部キャリアは、液体ワセリン、イソプロピルパルミテ-ト、ポリエチレン グリコ-ル、エタノ-ル95%、ポリオキシエチレン モノラウリン酸5%の水溶液、硫酸ラウリルナトリウム5%の水溶液、及び同様のものである。加えて、抗酸化剤、保水剤、粘度スタビライザ、及び同様のものなどの複数の材料もまた追加され得る。
【0068】
経口投与について、結晶化合物は、カプセル、錠剤、又は顆粒として投与され得る。錠剤は、でんぷん質(好ましくは、コ-ン、ポテト又はタピオカでんぷん質)、アルギン酸、及び特定のケイ酸塩錯体などの様々な崩壊剤に加え、ポリビニルピロリドン、スクロ-ス、ゼラチン及びアカシアのような造粒結合剤と共に、微結晶性セルロ-ス、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム及びグリシンなどの様々な賦形剤を含有し得る。特定の実施形態において、錠剤は、被膜されてよい。加えて、ステアリン酸マグネシウム、硫酸ラウリルナトリウム及びタルクのような潤滑剤は、多くの場合には錠剤用に非常に有用である。複数の他の固体組成物はまた、ゼラチンカプセルにおける充填剤として使用され得る。この関連において好ましい材料はまた、ラクト-ス又は乳糖、並びに高分子重量のポリエチレン グリコ-ルを含む。経口投与において水性懸濁液及び/又はエリキシル剤が望ましい場合、結晶化合物は、様々な甘味料又は着香料、着色物質又は染料と混ぜ合わされ得、所望の場合には、水、エタノ-ル、プロピレン グリコ-ル、グリセリンのような希釈剤及びそれらの様々な類似の組み合わせと共に、薬剤を乳状にし、及び/又は懸濁させ得る。医薬組成物は、製剤化されてよく、これにより、結晶化合物は、投与後の期間にわたって放出される。
【0069】
医薬的に許容可能な賦形剤及び任意的に追加の活性成分に加えて結晶化合物を含む医薬組成物は、当技術分野に知られている任意の従来の技術により調製され得る。
【0070】
一実施形態において、医薬組成物に存在する結晶化合物の量は、組成物全体に対して、約0.01重量%から約90重量%である。結晶化合物の適した治療上の有効量は通常、1日当たり体重の約0.01mg/kgから約1g/kgの範囲にあり、別の実施形態において、1日当たり体重の約1mg/kgから約600mg/kgの範囲であり、別の実施形態において、1日当たり体重の約1mg/kgから約250mg/kgの範囲であり、別の実施形態において、1日当たり体重の約10mg/kgから約400mg/kgの範囲であり、別の実施形態において、1日当たり体重の約10mg/kgから約200mg/kgの範囲であり、別の実施形態において、1日当たり体重の約10mg/kgから約100mg/kgの範囲であり、1つの実施形態において、1日当たり体重の約10mg/kgから約25mg/kgの範囲であり、別の実施形態において、1日当たり体重の約1mg/kgから約10mg/kgの範囲であり、別の実施形態において、1日当たり体重の約0.001mg/kgから約100mg/kgの範囲であり、別の実施形態において、1日当たり体重の約0.001mg/kgから約10mg/kgの範囲であり、別の実施形態において、1日当たり体重の約0.001mg/kgから約1mg/kgの範囲である。特定の実施形態において、本明細書において説明されている医薬組成物が経口投与される場合、結晶化合物の適した治療上の有効量は、1日当たり、受容者の体重のキログラム毎に約0.01から約100ミリグラムであり、好ましくは、1日当たり、受容者の体重のキログラム毎に約0.1から約50ミリグラムであり、より好ましくは、1日当たり、受容者の体重のキログラム毎に約0.1から約20ミリグラムである。所望の投与量は、1日当たり一度、又は、一日を通して適切な間隔で、もしくは他の適切なスケジュ-ルで、例えば、2から5回の細分された投与量などのいくつかの細分された投与量により、投与され得る。
【0071】
本明細書において用いられている「医薬的に許容可能な賦形剤」という用語は、ポリマ、樹脂、可塑剤、充填剤、潤滑剤、希釈剤、結合剤、崩壊剤、溶媒、共溶媒、界面活性剤、緩衝液系、防腐剤、甘味料剤、着香料、医薬品グレ-ドの染料又は色素、キレ-ト剤、粘性改良剤、及びそれらの組み合わせのうちの1つ又は複数を含むが、これらに限定されない。医薬的に許容可能な賦形剤は、剤形、すなわち、コア錠剤又は被膜を製造するための任意の成分に用いられ得る。本明細書において有用なもののうちの着香料及び染料並びに色素は、医薬的賦形剤のハンドブック(Pharmaceutical Press第4版、2003年)に説明されているものを含むが、それらに限定されない。適した共溶媒は、エタノ-ル、イソプロパノ-ル、アセトン、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。適した界面活性剤は、ポリオキシエチレン ソルビタン 脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン モノアルキル エ-テル、スクロ-ス モノエステル、シメチコン エムルシオン、硫酸ラウリルナトリウム、Tween(登録商標)80、及びラノリン エステル、エ-テル、並びにそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。適した防腐剤は、フェノ-ル、パラヒドロキシ安息香酸のアルキル エステル、安息香酸及びその塩類、ホウ酸及びその塩類、ソルビン酸及びその塩類、クロルブタノ-ル、ベンジルアルコ-ル、チメロサ-ル、フェニル第二水銀酢酸塩、及び硝酸、ニトロメルソ-ル、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、メチル パラベン、プロピル パラベン、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。適した充填剤は、でんぷん質、ラクト-ス、スクロ-ス、マルトデキストリン、及び微結晶性セルロ-スを含むが、これらに限定されない。適した可塑剤は、クエン酸トリエチル、ポリエチレン グリコ-ル、プロピレン グリコ-ル、ジブチル フタレ-ト、キャスタ油、アセチル化モノグリセリド、トリアセチン、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。適したポリマは、エチルセルロ-ス、セルロ-ス アセテ-ト トリメリタト、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロ-ス、酢酸フタル酸セルロ-ス、酢酸フタル酸ポリビニル、及びEudragit(登録商標)L30-D、Eudragit(登録商標)L100-55、Eudragit(登録商標)F530D、及びEudragit(登録商標)S100(Rohm Pharma GmbH and Co.KG,Darmstadt,ドイツ)、Acryl-EZE(登録商標)及びSureteric(登録商標)(Colorcon,Inc.West Point, Pa.)、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。適した潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0072】
本明細書において用いられている「追加の活性成分」という用語は、医薬組成物により治療される疾患の症状を治療、予防、又は低減するための、当技術分野に知られている任意の薬剤を含む。そのような薬剤は、カルシウムチャネル遮断薬、硫酸マグネシウム、選択可能なプロスタグランジンモジュレ-タ、ベ-タ-2-アドレナリンアゴニスト、ベ-タ-3-アドレナリン受容体アゴニスト、コルチコステロイド、及びそれらの混合物など、子宮収縮又は早期分娩を治療、予防、又は低減するための既知の薬剤を含むが、これらに限定されない。
【0073】
あるいは、結晶化合物は、(ニフェジピンなどの)カルシウムチャネル遮断薬、硫酸マグネシウム、(EP1、EP2、EP3、EP4、又はFP受容体の何れかのアゴニスト又はアンタゴニストなどの)プロスタグランジン受容体モジュレ-タ、(インドメタシン、ニメスリド、スリンダク、ロフェコキシブ、セレコキシブなどの)プロスタグランジン合成抑制剤、(リトドリン、テルブタリン、サルブタモ-ルなどの)ベ-タ-2-アドレナリンアゴニスト、ベ-タ-3-アドレナリン受容体アゴニスト、(硝酸グリセリンなどの)一酸化窒素供与体、(デキサメタゾン、ベタメタゾンなどの)コルチコステロイド、及びそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1つの化合物と併用して、又は別々に投与され得る。本明細書において用いられているように、「併用」は、少なくとも1つの化合物の投与が後に直ちに進められ又は続く、結晶化合物の投与を指す。本明細書において用いられているように、「別々に」は、連続的な又は引き続いての投与を包含し、中止期間をはさんだ後に少なくとも1つの化合物の投与が続く、結晶化合物の投与を指す。
【0074】
医薬組成物は、OT-R活性に関する疾患を治療するために用いられ得る。特定の実施形態が、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムと、早期分娩治療に使用のための医薬的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物に関する。[使用方法]
【0075】
本発明の1つの実施形態が、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムの治療上の有効量を、対象に投与する段階を備える、OT-R活性に関する疾患を治療するための方法に関する。1つの実施形態において、本発明は、早期分娩を治療する方法に関する。
【0076】
本明細書において用いられている「治療」という用語は、OT-R活性に関する疾患の、治療上の及び/又は予防治療を含む。治療は、OT-R活性に関する疾患に関連する少なくとも1つの症状、又は本明細書において説明されている別の疾患に関連する少なくとも1つの症状の減弱又は軽減を含む。
【0077】
本明細書において用いられている「治療上の有効量」という用語は、治療されるべき症状及び/又は疾患を著しくポジティブに緩和させるのに十分に高いが、確実な医療判断の範囲内に(合理的なリスク/利益比において)深刻な副作用を回避するのに十分に低い化合物又は組成物の量を意味する。結晶化合物の治療上の有効量は、患者の種類、人種、年齢、体重、性別、及び健康状態、治療されるべき疾患の深刻度、投与経路、患者の腎機能及び肝機能を含む様々な要因に従って選択される。当業者である医師は、疾患の進行を防ぎ、対抗、又は停止するのに必要とされる薬の有効量を容易に判断し、処方することができる。
【0078】
本明細書において用いられている「対象」という用語は、動物である。「対象」は、ヒト、マウス、ラット、モルモット、犬、猫、馬、牛、豚、猿、チンパンジ、ヒヒ、又はアカゲザルを含むが、これらに限定されない。1つの実施形態において、「対象」は哺乳類である。別の実施形態において、「対象」は、ヒトであり、好ましくは、ヒトの女性、より好ましくは、出産適齢期のヒトの女性である。
【0079】
一実施形態において、結晶化合物の治療上の有効量は、単回投与量で投与され、その単回投与量は、約10mgと約1000mgとの間であり、好ましくは、約50mgと約900mgとの間であり、より好ましくは、約100mgと約600mgとの間である。結晶化合物は、少なくとも週に一度、2週間に一度、1日当たり、又は1日につき複数回にわたって投与され得る。単回投与量で投与されてよく、又は、1日当たり2、3、又は4回の細分された投与量で合計の投与量が投与されてよい。
【0080】
一実施形態において、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムは、経口で、局所的に、膣経由で、直腸経由で、又は非経口的に投与され、それは好ましくは、静脈内で又は経口投与され得、より好ましくは、それは経口投与され得る。
【0081】
早期分娩治療に対して、結晶化合物は、その投与に続いて約2分から約30分間、好ましくは、その投与に続いて約5分から約20分間、子宮収縮の周波数を迅速に低減し、停止し得る。
【0082】
本発明の別の実施形態が、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムの治療上の有効量を、対象に投与する段階と備える、胚移植中のメスの哺乳類における胚着床率を増加するための方法に関する。それらの好ましい実施形態において、哺乳類は、ヒトであり、より好ましくは、出産適齢期のヒトの女性である。
【0083】
「胚着床率」は、生殖補助医療(ART)を用いて生じた受精後の哺乳類の子宮内膜に粘着する胚の数に関する。高胚着床率は、子宮へと移された場合の胚が、子宮環境に着床され得、生存可能な胎児に至る高い可能性を指す。
【0084】
胚移植は、ARTに関連されるものとして理解される。それは、受容体メス又は別個の供与体メスの卵を用いた受精、及び次に受容体メス哺乳類の子宮への移植によって、胚が実験室において生成される、生殖技術である。
【0085】
他の実施形態に対する上にて開示されているその定義及び好ましい実施形態は、本実施形態と同じである。
【0086】
本発明の更なる実施形態は、1)酢酸エチル及びジエチルエ-テルから成る群から選択される溶媒で、本質的に純粋なZ体の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムを溶解する段階と、2)結晶を形成させる段階と、3)形成された結晶を提供するべく、溶媒を除去し、溶液を乾燥まで濃縮させる段階を備える、(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムの結晶化合物を調製するための方法に関する。
【0087】
本質的に純粋Z体の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムが酢酸エチルに接触された場合、その懸濁液は次に、1)約60分間、周囲浴において音波処理され、透明溶液を提供し、その透明溶液は、約10分間、更に音波処理され冷却され、2)約4日間にわたって-15℃と-25℃との間の温度で結晶の形成が許容され、3)溶媒である酢酸エチルは次に、デカンテ-ションにより除去され、その固体がヘキサンで洗浄され、約30分間窒素フロ-下で乾燥される。
【0088】
本質的に純粋なZ体の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムがジエチルエ-テルに接触される場合、固体は次に、回旋により溶解され、透明溶液が18~23℃における状態で残され、2)約20時間にわたって約18℃から23℃において結晶の形成が許容され、3)結晶は、濾過により単離され、溶媒であるジエチルエ-テルを除去するように、約4時間にわたって約18℃から23℃において窒素下で乾燥される。
【0089】
複数の以下の実施例は、複数の好ましい実施形態のうちのいくつかにおいて、本発明の実施を示す。当業者には、特許請求の範囲内の複数の他の実施形態が明らかであろう。
【0090】
[実施例]
以下の実施例は、本明細書において説明されている複数の化合物の合成を示す。(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシム(非晶形)の合成及び精製
【化1】
【0091】
(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムの合成及び精製は、欧州特許出願第13183723.9号に記載され、その内容はその全体が参照として本明細書に組み込まれている。1.1 (3Z/E,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムの合成
【0092】
(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムは、(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムと、(3E,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムとを含む粗製の異性体混合物として、得られる。本発明の複数の化合物の合成経路は、例えば、国際公開番号第2004/005249号及び国際公開番号第2005/082848号において説明されているものである。
【0093】
「(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシム」はまた、用いられる学名によって、「(4Z,2S)-2-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル-カルボニル)]ピロリジン-4-オン О-メチルオキシム-」として画定される。
【0094】
例えば、本発明の(3Z/E,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムの化合物はまた、以下において説明されるステ-ジ1から7に従って調製され得る。
【0095】
ステ-ジ1:4-(2-メチルフェニル)安息香酸の調製
【化2】
【0096】
炭酸カリウム(0.908Kg、6.57モル、2.06重量)の水溶液(2.20L、5.0容積)が、15℃から25℃で4-ブロモ安息香酸(0.441Kg、2.19モル、1.0重量)の水溶液(4.41L、15.0容積)のスラリに充填された。結果として得られたスラリは、15℃から25℃で撹拌され、真空-窒素パ-ジサイクルを用いて3回脱気された。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.022Kg、0.019モル、0.05重量)が充填され、真空-窒素パ-ジサイクルが繰り返された。o-トリルボロン酸(0.313Kg、2.30モル、0.707重量)のメタノ-ル溶液(3.53L、8.0容積)が、真空-窒素パ-ジサイクルを用いて3回脱気され、次に、15℃から25℃で4-ブロモ安息香酸のスラリに充填された。1H NMR分析(d6-DMSO)により判断されるように、通常1.5時間から2.5時間である反応完了(95%の転化率で反応が完了したとみなされる)まで、反応混合物は還流(71℃から78℃)まで加熱され、その温度に維持された。反応混合物は、40℃から45℃において真空下で15容積まで濃縮された。トルエン(4.41L、10.0容積)及びテトラヒドロフラン(4.41L、10.0容積)が残留物に加えられ、結果として得られた混合物は勢いよく撹拌され、塩酸(6M、2.00L、4.5容積)でpH1まで酸性化された。内容物は、30分から60分間勢いよく撹拌され、複数の層が分離された。トルエン(2.20L、5.0容積)とテトラヒドロフラン(2.20L、5.0容積)が水相に加えられ、その混合物は5分から10分間撹拌された。複数の層が分離され、混ぜ合わされた有機相は濾過され、35℃から40℃において真空下で10.0容積まで濃縮された。トルエン(4.41L、10.0容積)がその残留物に加えられ、その反応生成物は35℃から40℃において真空下で濃縮された。結果として得られたスラリのテトラヒドロフラン内容物は、1H NMR分析(d6-DMSO)により判断された(パスレベル:トルエンに対して1.0%w/w以下のテトラヒドロフラン)。スラリは30分から60分間0℃から5℃まで冷却され、熟成され、固体は濾過により収集され、濾過ケ-クはトルエン(2.20L、5.0容積)で洗浄された。固体は35℃から40℃において真空オ-ブン内で乾燥され、淡黄色の固体としての4-(2-メチルフェニル)安息香酸[0.438Kg、94.1%th、99.3%w/w、1H NMR(d6-DMSO)で構造と一致]を得た。
【0097】
ステ-ジ2:4-(2-メチルフェニル)塩化ベンゾイルの調製
【化3】
【0098】
塩化チオニル(0.300L、4.11モル、0.685容積)が、10℃から25℃で、4-(2-メチルフェニル)安息香酸(0.435Kg、2.05モル、1.0重量)のトルエン溶液(4.35L、10.0容積)のスラリに加えられ、その混合物は、1H NMR分析(d6-ベンゼン)により完了されるまで、通常4時間から5時間にわたって、75℃から80℃まで加熱されてその温度に維持された。反応完了は、濁りのある溶液の形成を伴った。反応生成物は、35℃から45℃において減圧下で、トルエンの除去により、5.0容積まで濃縮された。トルエン(2.18L、5.0容積)が濃縮物に加えられ、その混合物は35℃から45℃において減圧下で、トルエンの除去により、4.0容積まで濃縮された。反応生成物は、ガラス繊維紙を通して濾過され、濾過ケ-クは、トルエン(0.44L、1.0容積)で洗浄された。4-(2-メチルフェニル)塩化ベンゾイル[0.439Kg、92.8%th、100.9%w/w、1H NMR(d6-ベンゼン)で構造と一致]のトルエン溶液が、ステ-ジ3において直接用いられた。
【0099】
ステ-ジ3:(4R)-4-ヒドロキシ-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4イル)-カルボニル]-L-プロリンの調製
【化4】
【0100】
炭酸カリウム(0.526Kg、3.81モル、1.2重量)の水溶液(0.57L、1.3容積)が、15℃から25℃で、テトラヒドロフラン(2.20L、5.0容積)及び水(0.44L、1.0容積)中の、4-ヒドロキシ-L-プロリン(0.274Kg、2.09モル、0.625重量)の溶液に充填された後に、水(0.44L、1.0容積)のラインリンス(line rinse)が続いた。混合物は、迅速に撹拌されつつ0℃から5℃まで冷却され、4-(2-メチルフェニル)塩化ベンゾイル(0.438Kg、1.90モル、1.0重量)のトルエン(2.19L、5.0容積)溶液が、その温度で充填された後に、トルエン(0.44L、1.0容積)のラインリンスが続いた。反応混合物は、1時間から2時間にわたって、15℃から25℃まで温められ、TLC分析により完了が判断されるまで、この温度において撹拌された。水(2.20L、5.0容積)が15℃から25℃で反応混合物に充填され、複数の層が分離された。水相は、15℃から25℃で、塩酸の水溶液(6M、0.66L、1.5容積)でpH5から6に酸性化され、次に、塩酸の水溶液(2M、0.88L、2.0容積)でpH1に酸性化された。混合物は、30分から60分間、0℃から5℃まで冷却されて熟成され、沈殿した固体は、濾過により収集され、濾過ケ-クは、水(2×1.75L、2×4.0容積)とトルエン(0.88L、2.0容積)とで洗浄され、12時間から24時間にわたって、フィルタ上で吸引乾燥された。収集された固体は、KFによる含水量が0.2%w/w以下になるまで、40℃から45℃において真空下で乾燥され、わずかに灰色がかった白色の固体としての(4R)-4-ヒドロキシ-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]-L-プロリン[0.599Kg、97.0%th、136.8%w/w、1H NMR(d6-DMSO)で構造と一致]を得た。
【0101】
ステ-ジ4:1-(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル-4-オキソ-L-プロリンの調製
【化5】
【0102】
トリエチルアミン(1.80L、13.56モル、3.0容積)が、15℃から20℃で、(4R)-4-ヒドロキシ-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]-L-プロリン(0.598Kg、1.84モル、1.0重量)のジメチル スルホキシド(4.42L、7.4容積)溶液に充填された。ピリジン-硫黄 三酸化物錯体(0.879Kg、5.52モル、1.47重量)が、15℃から25℃で一部ずつ充填され、反応混合物は、TLC分析により判断されたように、反応完了となるまで、その温度で撹拌された(通常1から3時間にわたる)。7 反応は、0℃から30℃において、塩酸の水溶液(3M、4.80L、8.0容積)で和らげられ、テトラヒドロフラン(3.00L、5.0容積)及びヘプタン(0.60L、1.0容積)が充填され、複数の層が分離され、水相がテトラヒドロフラン(2x3.00L、2x5.0容積)で抽出された。混ぜ合わされた有機相は、塩酸(1M、2x1.20L、2x2.0容積)の水溶液と飽和塩化ナトリウム溶液(2x1.20L、2x2.0容積)とで洗浄され、その水性洗浄液は、テトラヒドロフラン(2x0.60L、2x1.0容積)と混ぜ合わされ逆抽出された。混ぜ合わされた有機物は、硫酸マグネシウム(1.794Kg、3.0重量)上で乾燥され、濾過され、濾過ケ-クは、テトラヒドロフラン(0.60L、1.0容積)で洗浄され、その濾過液は、40℃から45℃において真空下で濃縮され、薄茶色の泡状物質を得た。酢酸エチル(6.00L、10.0容積)がその泡状物質に充填され、その内容物は、溶解に至るまで5分から10分間撹拌され、溶媒は、40℃から45℃において真空下で除去された。このことは、テトラヒドロフランが1H NMR分析(d6-DMSO)により検出されなくなるまで、酢酸エチル(6.00L、5.0容積)を用いて繰り返された。残留物は、酢酸エチル(4.80L、8.0容積)においてスラリ状にされ、活性炭(0.084Kg、0.14重量)が加えられた後、酢酸エチル(3.00L、5.0容積)のラインリンスが続き、反応生成物は、20分から30分間70℃から80℃まで加熱されて維持され、40℃から55℃まで冷却され、ガラス繊維紙を通して濾過された。濾過ケ-クは、酢酸エチル(1.50L、2.5容積)で洗浄され、混ぜ合わされた濾過液及び洗浄液は、40℃から45℃において真空下で2.5容積から3.5容積に濃縮された。
【0103】
濃縮中に結晶化が開始した。濃縮物は、酢酸エチル(0.30L、0.5容積)のラインリンスと共に、適した容器に移され、70℃から80℃まで加熱された。溶解を達成するべく、必要に応じて追加の酢酸エチル(0.30L、0.5容積)が加えられた。ヘプタン(1.80L、3.0容積)が70℃から80℃において加えられ、その内容物が、1時間から2時間にわたって15℃と25℃との間になるまで冷却されることが許容された。そのスラリは更に、2時間から3時間にわたって、0℃から5℃まで冷却されて熟成され、濾過され、濾過ケ-クは、0℃から5℃で酢酸エチル:ヘプタン(1:1、0.60L、1.0容積)で洗浄された後、引き続き、ヘプタン(3.0L、2.5容積)で洗浄された。収集された固体は、40℃から45℃において真空下で乾燥され、わずかに灰色がかった白色の固体としての1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]-4-オキソ-L-プロリン[0.444Kg、74.7%th、74.2%w/w、1H NMR(d6-DMSO)で構造と一致]を得た。
【0104】
ステ-ジ5:(4Z/E)-4-メトキシイミノ-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]-L-プロリンの調製
【化6】
【0105】
トリエチルアミン(0.40L、2.85モル、0.92容積)が、10℃から25℃で、1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]-4-オキソ-L-プロリン(0.434Kg、1.34モル、1.0重量)のジクロロメタン(4.40L、10.0容積)溶液に加えられた後、ジクロロメタン(0.43L、1.0容積)のラインリンスが続いた。メトキシルアミン塩酸塩(0.130Kg、1.56モル、0.30重量)が10℃から25℃で一部ずつ加えられた後、ジクロロメタン(0.43L、1.0容積)のラインリンスが続き、その反応混合物は、TLC分析(通常3時間から5時間にわたり、TLC溶出液:ジクロロメタン:メタノ-ル:酢酸(90:10:1);紫外線による視覚化)により判断されたように、反応完了まで、10℃から25℃で撹拌された。溶媒は、35℃から40℃において真空下で除去され、反応生成物は、酢酸エチル(4.40L、10.0容積)において溶解され、塩酸(1M、2x2.20L、2x5.0容積)の水溶液で洗浄された。酸性洗浄液は、酢酸エチル(2.20L、5.0容積)で逆抽出され、その混ぜ合わされた有機相は、飽和塩化ナトリウム溶液(3.10L、7.0容積)水溶液で洗浄され、硫酸マグネシウム(0.300Kg、0.69重量)下で乾燥され、濾過され、濾過ケ-クは、酢酸エチル(2.20L、5.0容積)で洗浄された。濾過液及び洗浄液は、混ぜ合わされ、35℃から40℃において真空下で濃縮され、わずかに灰色がかった白色の固体としての4-メトキシイミノ-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]-L-プロリン[0.476Kg、100.6%th、109.6%w/w、1H NMR(CDCl3)で構造と一致]を得た。
【0106】
ステ-ジ6:(4Z/E,2S)-メチル-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)-カルボニル]-4-メトキシイミノ ピロリジン-2-カルボキシラ-トの調製
【化7】
【0107】
炭酸カリウム(0.476Kg、3.44モル、1.0重量)が、4-メトキシイミノ-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]-L-プロリン(0.475Kg、1.35モル、1.0重量)のアセトン(4.75L、10.0容積)溶液に加えられ、その混合物は、0℃から10℃まで冷却された。硫酸ジメチル(0.128L、1.35モル、0.27容積)が0℃から15℃で加えられ、その混合物は、TLC分析により判断され、通常3時間から16時間にわたる反応完了まで、15℃から25℃で撹拌された。溶媒は、40℃から45℃において真空下で除去され、反応生成物は、酢酸エチル(3.80L、8.0容積)と水(3.80L、8.0容積)との間で分離された。複数の層が分離され、有機相は、飽和塩化ナトリウム溶液(2.85L、6.0容積)水溶液で洗浄され、硫酸ナトリウム下(0.953Kg、2.0重量)で乾燥され、濾過された。濾過ケ-クは、酢酸エチル(0.48L、1.0容積)で洗浄され、混ぜ合わされた濾過液及び洗浄液は、40℃から45℃において真空下で濃縮された。余分な酢酸エチルは、40~45℃において真空下で、テトラヒドロフラン(2x0.95L、2x2.0容積)との共沸蒸留により除去され、粘性のある褐色油としての(4Z/E、2S)-メチル-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)-カルボニル]-4-メトキシイミノピロリジン-2-カルボン酸塩[0.492Kg、99.6%th、103.6%w/w、1H NMR(CDCl3)で構造と一致]を得た。
【0108】
ステ-ジ7:(3Z/E,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムの調製
【化8】
【0109】
水素化ホウ素リチウム(0.049Kg、2.26モル、0.1重量)が、0℃から30℃において窒素下で、テトラヒドロフラン(2.31L、4.7容積)及びメタノ-ル(2.31L、4.7容積)中の、(4Z/E、2S)-メチル-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)-カルボニル]-4-メトキシイミノピロリジン-2-カルボン酸塩(0.492Kg、1.34モル、1.0重量)の撹拌溶液に、一部ずつ加えられた。混合物は、通常2時間から6時間にわたり、TLC分析(溶出液:酢酸エチル、発色試薬:ニンヒドリン)により判断されるように反応完了まで、15℃から25℃で撹拌された。反応混合物は、15~25℃において水(0.40L、0.8容積)で和らげられ、16時間から20時間にわたって15℃から25℃で撹拌された。反応生成物は、40℃から45℃において真空下で濃縮され、その残留物は、水(2.46L、5.0容積)と酢酸エチル(4.92L、10.0容積)との間で分離された。複数の層が分離され、有機相は、塩酸(1M、2.46L、5.0容積)水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2.46L、5.0容積)水溶液、及び飽和塩化ナトリウム溶液(2.46L、5.0容積)水溶液で連続して洗浄された。有機相は、硫酸マグネシウム(0.985Kg、2.0重量)上で乾燥され、濾過され、その濾過ケ-クは、酢酸エチル(0.50L、1.0容積)で洗浄された。混ぜ合わされた濾過液及び洗浄液は、真空下で濃縮され、粘性のある褐色油としての(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムと、(3E,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン O-メチルオキシム[0.395Kg、86.9%th、80.3%w/w、1H NMR(CDCl3)で構造と一致、HPLCによる82.0%面積、71.4:28.6のZ/E比]とを含む粗製の異性体混合物を得た。その油状物は、トルエン(生成物の重量に対して0.40L、1.0容積)において溶解され、必要となるまで保存された。1.2 本質的に純粋な形態の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシム1.2.1 小規模精製
【0110】
(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムの本質的に純粋な形態における単離工程は、(実施例1のステ-ジ7の)オキシムエステルの還元後に単離された粗製の異性体混合物の、バイオタ-ジシステム(Biotage AB、SE-751 03 ウプサラ、スウェ-デン)を用いるクロマトグラフィにより、実施された。
【0111】
粗製の異性体混合物の5つの別個のバッチ(No.020、180、062、068、076)が、バイオタ-ジ クロマトグラフィにより、精製された。更に、異なる状態が、バッチNo.068及び076に関して用いられた。精製は、オキシムメチルエステルの5%w/wのスパイクが加えられ(No.068)、オ-バ-ロ-ドされたバイオタ-ジカラム(No.076)で、実施された。
【0112】
各クロマトグラフィは、トルエンで事前に洗い流されたバイオタ-ジ40Mカ-トリッジ(40gのシリカ)を用いて実施された。トルエン:MeOH(99:1 v/v)が次に、溶出されて100mlの画分(総容積4L)で収集され、続いてトルエン:MeOH(96:4 v/v)で洗い流された。
【0113】
画分は、TLC(溶出液:酢酸エチル)で分析され、どの画分を廃棄でき、どの画分がZ異性体を含有しているかが判断された。これらのZ画分は次に、HPLCにより分析された。画分に対する判定基準は、96%超のZ異性体かつ1.2%未満のE異性体というものだった。
【0114】
驚くことに、バイオタ-ジ クロマトグラフィを介する様々なバッチの精製は、非常に効率的で、本質的に純粋な形態の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムは、99.4%(バッチNo.020、No.062、No.068)及び99.2%(バッチNo.180、No.076)で精製される。特に、オキシムエステルの存在下でのバイオタ-ジ クロマトグラフィは、回収率や品質を損なうことなく、5%w/wのオキシムエステルを除去し(バッチNo.068)、バイオタ-ジカラムの25%過充填は、収率や品質の低減を引き起こさない(バッチNo.076)。表2:バイオタ-ジ クロマトグラフィの効率
【表2】
【0115】
1.2.2 大規模精製 粗製の(3Z/E,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン O-メチルオキシム(0.392kg、1.16モル、1.0重量)の様々なバッチが、およそ50%w/wのトルエン溶液としてバイオタ-ジ150L SIMユニットに充填され、1%メタノ-ルのトルエン溶液(150L)を用いて、続いて2%メタノ-ルのトルエン溶液(50L)を用いて、画分サイズ5.0Lにて精製された。収集された画分は、適切にTLC15及びHPLC分析により分析された。きれいな(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシム(基準:Z異性体が96.00%面積以上、E異性体が1.20%面積以下)を含有すると考えられる画分は、混ぜ合わされ、40℃から45℃において真空下で濃縮された。無水エタノ-ル(2x2L)が残留物に追加され、その溶液は、泡状の固体が操作され得るまで、40℃から45℃において真空下で濃縮された。所望の生成物である(3Z,5S)-1-[(ビフェニル-4-イル-カルボニル)-5-ヒドロキシ-メチル]ピロリジン-3-オン-О-メチルオキシム(0.089Kg、22.7%w/w、
1H NMR(CDCl
3)で構造と一致、HPLCによる99.3%面積、98.4:0.9のZ/E比)が、わずかに灰色がかった白色から薄茶色の固体として、得られた。表3:本質的に純粋な形態における(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムの異なるバッチ精製のまとめ
【表3】
【0116】
バイオタ-ジ クロマトグラフィにより単離された(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシム(2.713kg、1.0重量)の適切なバッチが混ぜ合わされ、15℃から25℃で無水エタノ-ル(5.16L、2.0容積)において溶解され、ガラス繊維紙を介する濾過により浄化され、無水エタノ-ル洗浄(0.50L、0.2容積)がそのフィルタに適用された。混ぜ合わされた濾過液は、40℃から45℃において真空下で、一部ずつ濃縮された。反応生成物は、乾燥トレイに移され、30℃において真空下で24時間にわたって乾燥された。オ-ブン温度が次に、80時間にわたって30℃から40℃まで徐々に増加された。残留溶媒のレベルは1H NMR分析(CDCl3)により判断され、それが1.0%w/w未満であると判明した場合、その固体は、500μmの開口ふるいを通された。その固体は、オ-ブンに戻されて、溶媒レベルが0.40%w/w以下となって非晶形における(3Z,5S)-1-[(ビフェニル-4-イル-カルボニル)-5-ヒドロキシ-メチル]-ピロリジン-3-オン-O-メチルオキシム(2.633Kg、97.1%w/w、1H NMR(CDCl3)で構造と一致、HPLCによる98.65%面積)が得られるまで、40℃から42℃で乾燥された。
【0117】
組み合わせ工程は、以下にてまとめられる。 インプット:2.713kgアウトプット:2.633kg収率:97.1%w/w 結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムの合成(「結晶化合物」)
【0118】
成功した結晶化が達成する前に、一連の実験が実施された。失敗した結晶化の試みは、他の溶媒のうち、アセトン、ACN、CH2CL2、1,4-ジオキサン、エタノ-ル、ヘキサン、IPA、メタノ-ル、MEK、TFE、THF、トルエン、及び水の使用を含んだ。これらの実験のそれぞれの後に、結果として得られた固体が検査され、XRPD分析が、非晶形となる化合物を示した。2.1 酢酸エチルを用いる結晶化
【0119】
酢酸エチルが、非晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムに追加された。その懸濁液は、透明溶液を提供するよう、60分間周囲浴において音波処理され、その透明溶液は、更に10分間音波処理され冷却された。透明溶液は、4日にわたって冷凍室に配置された。溶媒は、デカントされ、固体は、ヘキサンで洗浄され、次に30分間窒素フロ-下で乾燥された。結果として得られた固体は、XRPDにより分析され、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムとなることが確認された。
図7及び
図9はそれぞれ、DSC及びTGA曲線であり、この試料を検査することにより得られた。特徴デ-タが表4にて提示される。表4:酢酸エチルからの結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムの特徴デ-タ
【表4】
【0120】
2.2 ジエチルエ-テルを用いる結晶化 ジエチルエ-テル(40mL)が、非晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシム(4.0g)に追加された。固体は、回旋することによって溶解され、その透明溶液は、18℃から23℃における状態で残された。自然に起こる核形成が、約10分から15分後に発生し、結晶化容器及び内容物は、20時間にわたって18℃から23℃において乱されない状態におけることが許容された。結晶は濾過により単離され、4時間にわたって18℃から23℃において窒素下で乾燥された。収率が3.38g(84%)で、白い結晶であり、化学純度99.43%であった。
【0121】
結果として得られた固体は、XRPDにより分析され、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムとなることが確認された。
図6及び
図8はそれぞれ、DSC及びTGA曲線であり、この試料を検査することにより得られた。特徴デ-タは表5にて提示される。表5:ジエチルエ-テルからの結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムの特徴デ-タ
【表5】
【0122】
2.3 ジエチルエ-テルを用いる他の結晶化の試み 表6に記載されているように、ジエチルエ-テルを用いた結晶化合物の調製に対する多数の試みが実施された。表6:ジエチルエ-テルを用いて非晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムからの結晶調製の試み
【表6】
【0123】
1つのそのような調製では、0.897mlのジエチルエ-テルを240mgの非晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムに追加することを伴い、その混合物は、約24時間にわたって周囲温度で残された。液体は、デカントされ、その固体は、5時間にわたって空気乾燥されるように、乾燥容器に移された。固体は次に、周囲温度で20時間にわたって真空乾燥された。結果として得られた固体がXRPDにより分析され、結晶化合物となることが確認された。この試料からのXRPDパタ-ンが
図1に示されている。
【0124】
23mgの固体は次に、更に45℃で、更なる65時間にわたって真空乾燥された。結果として得られた固体は、XRPDにより分析され、結晶化合物となることが確認された。特徴デ-タは表7に提示される。表7:ジエチルエ-テルからの結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムの特徴デ-タ
【表7】
【0125】
検査
固体圧力実験 結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシム及び非晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムに対して固体圧力実験が実施され、その結果は以下の表8及び表9に示される。XRPDにより確認され、結果は、3日間75%RHで材料を加圧した後に、結晶形が変化されずに維持されたことを示した。同じ時間において97%RHでの圧力は、材料を溶解させた。試料がまた、10,000psiで1分間加圧され、XRPDは、それが結晶形に維持されたことを示した。しかしながら、XRPDにより示されたように、1分間の手での研削が、結晶化合物と非晶質化合物との混合物を生成した。表8:結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムに対する固体圧力調査
【表8】
表9:非晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムの固体圧力調査
【表9】
【0126】
溶液圧力実験 溶液圧力実験はまた実施され、その結果は表10に提示される。表10:結晶化溶液圧力実験
【表10】
【0127】
酢酸エチルの例における音波処理は、光顕微鏡法によれば群化したブレ-ドとして現れた材料をもたらした。ヘキサンで洗浄して窒素下で乾燥した後に、材料は、不規則なかたまりとして現れた。試料はXRPDにより分析され、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムとして発見された。ジエチルエ-テルを用いた別の例において、その混合物は、結晶形を生成するために混合して窒素下で乾燥する前に、凍結された。
【0128】
他の全てのスラリは、いかなる固形材料も生成しなかった。安定性の比較調査
【0129】
結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシム及び非晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムのスラリは、100mgの結晶又は非晶質材料のバイアル内において直接秤量によって調製された。約3mlのpH7のリン酸塩緩衝液 USPがそれぞれの試料に追加された。スラリのそれぞれの試料は、pH7のリン酸塩緩衝液(USP)において、25℃で24時間にわたって撹拌された。24時間の末、溶媒は、外へピペットすることによって試料から除去され、固体は、通気室において、一晩中空気乾燥されることが許容された。固体は次に、XRPD分析のために提出された。試料の観察が様々な時間の間隔で行われ、表11にて提供される。両試料とも最初は白色粉末として現れた。試料の画像は、pH7のリン酸塩緩衝液を加えた後に、5分、15分、1時間、3時間、及び24時間に対応する時間点において撮像された。表11:25℃でpH7のリン酸塩緩衝液において撹拌された試料の観察
【表11】
【0130】
非晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムは、約15分後には、不透明な粘着材に変わった。約1時間後、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムのスラリは、白い粘着材の形態を示した。XPRDパタ-ンの分析は、24時間にわたって非晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムを撹拌した後の非晶質相の存在を示した。比較のため、
図5は、合成後の非晶形のXRPDパタ-ンと、24時間にわたってpH7の緩衝液において撹拌された後の非晶形のXPRDパタ-ンとを示している。
図4は、合成後の結晶化合物のXRPDパタ-ンと、24時間にわたってpH7の緩衝液において撹拌された後の結晶化合物のXPRDパタ-ンとを示している。緩衝液において結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムを撹拌された上で得た固体のXPRDパタ-ンは、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムの粉末パタ-ンにおいて見られるそれらと一致している複数のピ-クを示している(
図4)。結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムの試料の前後のXRPDパタ-ンを比較する場合、わずかなピ-クのシフトが、2シ-タ角度より高い角度に見られている。いくつかの拡散された散乱もまた、結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシムのスラリから得られた固体の粉末パタ-ンにおいて見られている。
【0131】
当業者であれば、本明細書において開示されている好ましい実施形態の多数の変更、修正、変形が明らかであり、それらは全て、請求されている発明の趣旨及び範囲内に予想され考慮される。例えば、複数の具体的な実施形態が詳細に説明されているが、当業者は、複数の先の実施形態及び変形例は、様々な種類の代用、追加、又は代替的な材料を組み込むように修正され得ることを理解するであろう。従って、たとえ本発明の少数の変形例のみが本明細書において説明されているとしても、そのような追加の修正及び変形例並びにそれらの均等物の実施は、以下の特許請求の範囲に画定されているような本発明の趣旨及び範囲内に含まれることが、理解されたい。本明細書に引用されている全ての特許出願、特許、及び、他の公報は、それらの全体が参照として組み込まれる。
ここで、本実施形態に係る発明の例を項目として記載する。
[項目1]
結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン О-メチルオキシム。
[項目2]
本質的に
図1に示されるXRPDパタ-ンを有する項目1に記載の結晶化合物。
[項目3]
少なくとも、XRPDにより測定される約7.05、約12.25、約13.13、約16.54、約18.00、約21.84、及び約23.34での回折角度(2シ-タ度)に現れる複数の特徴的なピ-クを有する項目1に記載の結晶化合物。
[項目4]
少なくとも、XRPDにより測定される約23.34、約13.13及び約7.05での回折角度(2シ-タ度)に現れる特徴的なピ-クを有する項目3に記載の結晶化合物。
[項目5]
本質的に
図6又は
図7に示されるDSC曲線を有する項目1から4のいずれか一項に記載の結晶化合物。
[項目6]
約70℃から約77℃前後におけるシグナル最大値を含む吸熱と、約122℃から約130℃におけるベ-スラインシフトと、約230℃から235℃におけるシグナル最大値を含む大きな放熱とを伴うDSC曲線を有する項目1から4のいずれか一項に記載の結晶化合物。
[項目7]
約71℃と約72℃との間、好ましくは約71.67℃におけるシグナル最大値を含む小さくて広範囲の吸熱と、約126℃と約127℃との間、好ましくは約127.46℃におけるベ-スラインシフトと、約231℃と約232℃との間、好ましくは約231.50℃におけるシグナル最大値を含む大きな放熱とを伴うDSC曲線を有する項目6に記載の結晶化合物。
[項目8]
約76℃におけるシグナル最大値を含む吸熱と、約124℃におけるベ-スラインシフトと、約233℃におけるシグナル最大値を含む大きな放熱とを伴うDSC曲線を有する項目6に記載の結晶化合物。
[項目9]
本質的に
図8又は
図9に示されるTGA曲線を有する項目1から8のいずれか1項に記載の結晶化合物。
[項目10]
TGAにより分析される約25℃から約200℃において約2%から約7%の重量減少、より好ましくは、約25℃から約200℃において約3%から約6%の重量減少を示す項目1から8のいずれか1項に記載の結晶化合物。
[項目11]
TGAにより分析される約25℃から約200℃において、約4.5%から約5.8%、より好ましくは、約5.1%から約5.6%の重量減少を示す項目10に記載の結晶化合物。
[項目12]
項目1から11のいずれか一項に記載の結晶化合物と、医薬的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
[項目13]
OT-R活性に関する疾患の治療に用いられるための項目12に記載の医薬組成物。
[項目14]
前記疾患は、早期分娩、未熟児出産、月経困難症、早漏、性的不全、子宮内膜症、子宮収縮に起因する胚着床不全、不妊、良性前立腺過形成、神経精神障害、自閉症、社会的行動障害、心理社会的ストレス、及び心血管障害を含む群から選択される、項目13に記載の医薬組成物。
[項目15]
前記疾患は早期分娩である、項目14に記載の医薬組成物。
[項目16]
項目1から11のいずれか一項に記載の結晶化合物の治療上の有効量を、対象に投与する段階を備える、OT-R活性に関する疾患を治療するための方法。
[項目17]
前記疾患は、早期分娩、未熟児出産、月経困難症、早漏、性的不全、子宮内膜症、子宮収縮に起因する胚着床不全、不妊、良性前立腺過形成、神経精神障害、自閉症、社会的行動障害、心理社会的ストレス、及び心血管障害を含む群から選択される、項目16に記載の方法。
[項目18]
前記対象はヒトである、項目16又は17に記載の方法。
[項目19]
項目1から11のいずれか一項に記載の結晶化合物の治療上の有効量を、対象に投与する段階を備える、早期分娩を治療するための方法。
[項目20]
前記結晶化合物は、約10mgから約1000mgの単回投与量で投与される、項目19に記載の方法。
[項目21]
前記単回投与量は、約50mgから約900mgである、項目20に記載の方法。
[項目22]
前記対象はヒトである、項目19から21のいずれか一項に記載の方法。
[項目23]
前記対象はヒトの女性である、項目22に記載の方法。
[項目24]
結晶質の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン O-メチルオキシムの治療上の有効量を、対象に投与する段階を備える、胚移植中の対象の胚着床率を増加するための方法。
[項目25]
前記対象はヒトである、項目24に記載の方法。
[項目26]
前記対象はヒトの女性である、項目25に記載の方法。
[項目27]
本質的に純粋なZ体の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン O-メチルオキシムの結晶化合物を調製するための方法であって、
1)酢酸エチル及びジエチルエ-テルを含む群から選択される溶媒を用いて、(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン O-メチルオキシムを溶解する段階と、
2)複数の前記結晶を形成させる段階と、
3)形成された複数の前記結晶を提供するべく、前記溶媒を除去し、溶液を乾燥するまで濃縮する段階と
を備える
方法。
[項目28]
1)前記本質的に純粋なZ体の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン O-メチルオキシムは、酢酸エチルに接触され、該懸濁液は、周囲浴において約60分間音波処理され、透明溶液が提供され、前記透明溶液は、約10分にわたって更に音波処理及び冷却され、2)複数の前記結晶は、約-15℃と-25℃との間の温度で約4日間にわたって形成されることが許容され、3)前記溶媒である酢酸エチルは次に、デカンテ-ションにより除去され、固体は、ヘキサンを用いて洗浄され、約30分間窒素フロ-で乾燥される、項目27に記載の方法。
[項目29]
1)前記本質的に純粋なZ体の(3Z,5S)-5-(ヒドロキシメチル)-1-[(2'-メチル-1,1'-ビフェニル-4-イル)カルボニル]ピロリジン-3-オン O-メチルオキシムは、ジエチルエ-テルに接触され、前記固体は次に、回旋することによって溶解され、透明溶液は、18℃から23℃における状態で残され、2)複数の前記結晶は、約18℃から23℃で約20時間にわたって形成されることが許容され、及び3)、複数の前記結晶は、前記溶媒であるジエチルエ-テルを除去するべく、約18℃から23℃で約4時間にわたって、濾過により単離され、窒素下で乾燥される、項目27に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-11-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の化合物。
【外国語明細書】