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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025139070
(43)【公開日】2025-09-26
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20250918BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20250918BHJP
【FI】
G03G21/16 180
G03G15/16
G03G21/16 133
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024037806
(22)【出願日】2024-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下村 正樹
(72)【発明者】
【氏名】門脇 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】仕田 知経
(72)【発明者】
【氏名】操 洋二
【テーマコード(参考)】
2H171
2H200
【Fターム(参考)】
2H171FA02
2H171FA03
2H171FA10
2H171FA22
2H171FA28
2H171GA06
2H171GA11
2H171HA23
2H171JA03
2H171JA23
2H171JA29
2H171KA05
2H171KA17
2H171KA22
2H171KA25
2H171KA27
2H171QA03
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB32
2H171QC03
2H171SA11
2H171SA14
2H171SA19
2H171SA22
2H171SA26
2H171WA02
2H171WA03
2H171WA21
2H200FA08
2H200GA12
2H200GA23
2H200GB41
2H200JC04
2H200LA01
2H200LA11
(57)【要約】
【課題】転写ユニットを内側から外側へ引き出すことが可能な画像形成装置において部品の汚れを抑制する。
【解決手段】画像形成装置は、感光ドラムを収容し、開口を備える装置本体と、記装置本体に連結され、開口を閉鎖する閉鎖位置と開口を解放する開き位置に移動可能なドアユニットと、感光ドラムと当接可能なベルトを有し、ドアユニットが開いた状態で、開口を通じて装置本体の内側と、装置本体の外側との間で移動可能なベルトユニットを備え、ベルトユニットが装置本体の外側にあるとき、ベルトの上端は、ドアユニットの上端よりも、鉛直方向において下方に位置する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光ドラムを収容し、開口を備える装置本体と、
前記装置本体に連結され、前記開口を閉鎖する閉鎖位置と前記開口を解放する開き位置に移動可能なドアユニットと、
前記感光ドラムと当接可能なベルトを有し、前記ドアユニットが開いた状態で、前記開口を通じて前記装置本体の内側と、前記装置本体の外側との間で移動可能なベルトユニットと、
を備え、
前記ベルトユニットが前記装置本体の外側にあるとき、前記ベルトの上端は、前記ドアユニットの上端よりも、鉛直方向において下方に位置する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ドアユニットは、前記開き位置にある状態で、前記装置本体の外側にある前記ベルトユニットを支持するように構成され、
前記ベルトユニットが前記装置本体の外側にあり、かつ前記開き位置にある前記ドアユニットに支持されたとき、前記ベルトユニットの前記ベルトの上端は、前記ドアユニットの上端よりも、前記鉛直方向において下方に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ドアユニットは、前記装置本体の側面の少なくとも一部を覆う側面カバー部と、前記装置本体の上面の少なくとも一部を覆う上面カバー部と、を含み、前記鉛直方向において前記開口の下方に位置する回転軸線の周りに回転して前記閉鎖位置と前記開き位置に移動可能であり、
前記ベルトユニットが前記装置本体の外側にあるとき、前記ベルトの上端は、前記上面カバー部の上端よりも、前記鉛直方向において下方に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
定着装置をさらに含み、
前記ドアユニットが前記閉鎖位置にあるとき、前記上面カバー部は前記定着装置を覆い、前記ドアユニットが前記開き位置にあるとき、前記定着装置が露出される、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ベルトユニットが前記装置本体の内側から外側へ移動する方向において前記ベルトのうち上流側の部分を前記ベルトの前面とすると、前記ドアユニットが前記開き位置にあるとき、前記上面カバー部は、常に、前記ベルトの前面よりも前記方向において上流側に位置する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ベルトユニットが前記装置本体の内側から前記装置本体の外側に移動するとき、前記ベルトユニットの前記ベルトの上端は、常に、前記ドアユニットの上端よりも、方向において下に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ドアユニットが前記開き位置にある状態で、前記開口を通じて、前記装置本体の内側と、前記装置本体の外側とに移動可能なトレイユニットであって、カートリッジと、前記カートリッジが取り外し可能に装着されるトレイとを含み、前記カートリッジと前記トレイの一方が前記感光ドラムを有するトレイユニットをさらに有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記トレイユニットが前記装置本体の内側から前記装置本体の外側に移動するとき、前記ベルトユニットも前記装置本体の内側から前記装置本体の外側に移動する
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、複合機等の画像形成装置には、転写ユニットが取り外し可能に装着されているものがある。転写ユニットだけでなく、画像形成装置の内部と外部の間を移動するトレイにカートリッジを取り外し可能に装着されているものもある。
【0003】
特許文献1には、カートリッジが取り外し可能に装着されたトレイと、定着装置とを備えた画像形成装置が開示される。トレイは複数の開口を通じて画像形成装置の装置本体の外に移動可能である。
【0004】
また、特許文献2には、カートリッジが取り外し可能に装着されたトレイと、転写ユニットと、定着装置とを備えた画像形成装置が開示される。特許文献2において、トレイと転写ユニットは、画像形成装置の内側から外側に移動可能である。具体的には、定着装置は画像形成装置の装置本体の一端側に配置され、転写ユニットが装置本体の外側に移動する際、転写ユニットは装置本体の他端側から一端側に向かう方向に移動する。一方、トレイが装置本体の外側に移動する際、トレイは装置本体の一端側から他端側に向かう方向に移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-244018号公報
【特許文献2】特開2015-206897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カートリッジトレイに加え、転写ユニットも画像形成装置の内側から外側へ引き出すことが可能な構成においては、ユーザが転写ユニットに含まれる部品(典型的には中間転写ベルトや静電搬送ベルトなどの転写材)に触れる可能性がある。このようなユーザによる接触は、部品が汚れる等の不都合を起こすおそれがあるため、抑制されることが好ましい。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、転写ユニットを内側から外側へ引き出すことが可能な画像形成装置において部品の汚れを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、
感光ドラムを収容し、開口を備える装置本体と、
前記装置本体に連結され、前記開口を閉鎖する閉鎖位置と前記開口を解放する開き位置に移動可能なドアユニットと、
前記感光ドラムと当接可能なベルトを有し、前記ドアユニットが開いた状態で、前記開口を通じて前記装置本体の内側と、前記装置本体の外側との間で移動可能なベルトユニットと、
を備え、
前記ベルトユニットが前記装置本体の外側にあるとき、前記ベルトの上端は、前記ドアユニットの上端よりも、鉛直方向において下方に位置する、
ことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、転写ユニットを内側から外側へ引き出すことが可能な画像形成装置において部品の汚れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1のプリンタの全体構成を説明する図
図2】実施例1のドアユニットを開いた状態のプリンタを示す図
図3】実施例1のトレイユニットが引き出された様子を示す図
図4】実施例1の転写ユニットが引き出された様子を示す図
図5】実施例1の転写ユニットが引き出された様子を別方向から見た図
図6】実施例2のドアユニットを開いた状態のプリンタを示す図
図7】実施例2の転写ユニットとトレイユニットが引き出されたとき図
図8】実施例2のトレイと転写ユニットの連結部材を示す図
図9】実施例2のトレイと転写ユニットの連結部材を示す図
図10】実施例2のトレイと転写ユニットの連結部材を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。なお、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置等は、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0012】
[実施例1]
[全体構成]
図1を用いて、画像形成装置としてのプリンタ301について説明する。図1は、本実施例に係るプリンタ301の全体構成を説明する図である。本実施形態において、プリンタ301は、記録材としてのシートSに画像を形成する、電子写真方式のカラーレーザービームプリンタである。
【0013】
プリンタ301は、装置本体(筐体)301A、スキャナ(露光装置)2、制御部3、装置本体301Aに対して開閉可能なドアユニット(開閉部材)20を有する。さらに、プリンタ301は、シート給送部30と、転写ユニット40と、トレイユニット(移動ユニット、支持ユニット)50と、定着装置80とを有する。装置本体301Aと、それに連結されたドアユニット20を含む部分を「メインフレーム」と呼ぶこともできる。メインフレームは、プリンタ301の外装部を含む。
【0014】
装置本体301Aは、スキャナ2、制御部3、シート給送部30、転写ユニット40、トレイユニット50、定着装置80を収容する。
【0015】
シート給送部30は、記録材としてのシートSを積載する積載トレイ31、供給ローラ32を有する。積載トレイ31は、ドアユニット20の方向に引き出して、シートSを補充することが可能である。
【0016】
トレイユニット50は、トレイ(支持部材、ドロワ)51と、カートリッジPY、PM、PC、PKを有する、トレイ51はトレイハンドル52を有する。カートリッジPY、PM、PC、PKは、トレイ51に対して取り外し可能に装着されている。
【0017】
カートリッジPY、PM、PC、PKのそれぞれは、互いに対して独立してトレイ51に対して着脱可能である。カートリッジPY、PM、PC、PKは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のトナー(現像剤)を収容する。カートリッジPY、PM、PC、PKは、収容するトナーの色が異なること以外は同じ構成である。そのため、カートリッジPY、PM、PC、PKのいずれか一つについて構成及び動作を説明し、その他については説明を省略する場合がある。また、カートリッジPY、PM、PC、PKを区別する必要がないときに、カートリッジPY、PM、PC、PKを、単にカートリッジPと呼ぶ場合もある。トレイユニット50は、複数のカートリッジPと、複数のカートリッジPが取り外し可能に装着されるトレイ51とを有するということができる。
【0018】
本実施例において、トレイユニット50は、複数の感光ドラム(像担持体)61、複数の帯電ローラ62(帯電部材)、複数の現像ローラ(現像剤担持体)71を有する。具体的には、トレイユニット50は、4つの感光ドラム61、4つの帯電ローラ62、4つの現像ローラ71を有する。感光ドラム61の回転軸線方向、現像ローラ71の回転軸線方向、帯電ローラ62の回転軸線方向は、互いに平行である。
【0019】
ブラック(K)の画像を形成する部分をブラックステーション(第1ステーション)と呼び、第1ステーションの感光ドラム61を第1感光ドラム、現像ローラ71を第1現像ローラ、帯電ローラ62を第1帯電ローラと呼ぶ。
【0020】
シアン(C)の画像を形成する部分をシアンステーション(第2ステーション)と呼び、第2ステーションの感光ドラム61を第2感光ドラム、現像ローラ71を第2現像ローラ、帯電ローラ62を第2帯電ローラと呼ぶ。
【0021】
マゼンタ(M)の画像を形成する部分をマゼンタステーション(第3ステーション)と呼び、第3ステーションの感光ドラム61を第3感光ドラム、現像ローラ71を第3現像ローラ、帯電ローラ62を第3帯電ローラと呼ぶ。
【0022】
イエロー(Y)の画像を形成する部分をイエローステーション(第4ステーション)と呼び、第4ステーションの感光ドラム61を第4感光ドラム、現像ローラ71を第4現像ローラ、帯電ローラ62を第4帯電ローラと呼ぶ。
【0023】
カートリッジPKはブラックステーションに、カートリッジPCはシアンステーションに、カートリッジPMはマゼンタステーションに、カートリッジPYはイエローステーションに、それぞれ装着される。本実施形態では、カートリッジPKを第1カートリッジ、カートリッジPCを第2カートリッジ、カートリッジPMを第3カートリッジ、カートリッジPYを第4カートリッジと呼ぶ。なお、第1、第2、第3、第4といった番号は、説明上便宜的に用いられるものである。
【0024】
感光ドラム61、帯電ローラ62、現像ローラ71は、カートリッジPかトレイ51のいずれかに備えられていればよい。本実施例においては、カートリッジPが感光ドラム61、帯電ローラ62、現像ローラ71を有する。
【0025】
転写ユニット40は、ベルト41、一次転写ローラ42、清掃部43、ベルト41を駆動する駆動ローラ46、テンションローラ(被駆動ローラ)47を有するベルトユニットである。本実施例におけるプリンタ301には、ベルト41に転写されたトナー像を検知する光学センサ44が配置されている。本実施例において、ベルト41は感光ドラム61の下方に配置され、一次転写ローラ42に支えられ、ベルト41と感光ドラム61の間に一次転写部が形成されるように、感光ドラム61に当接可能である。
【0026】
また、プリンタ301は、二次転写部が形成されるようにベルト41に当接する二次転写ローラ45を有する。二次転写部は駆動ローラ46に支えられたベルト41と二次転写ローラ45の間に形成される。一次転写ローラ42の回転軸線方向、駆動ローラ46の回転軸線方向、テンションローラ47の回転軸線方向、二次転写ローラ45の回転軸線方向は互いに平行である。二次転写部のシートS搬送方向手前には、レジストレーションローラ対4が配置されている。
【0027】
定着装置80は、定着部81、フラッパ5を有する。定着装置80はシートSを加熱するように構成されている。本実施形態において、定着部81は、ヒータを含む加熱部(加熱ローラ)と、加圧部(加圧ローラ)を含む。シートSを搬送する部分を、シート搬送部と呼ぶことができる。供給ローラ32、レジストレーションローラ対4、ベルト41、二次転写ローラ45、定着部81のそれぞれは、シート搬送部の例である。これらの部材の回転軸線の方向は、シートSの搬送方向と直交する幅方向と呼ぶことができる。
【0028】
図1図2図3図4を用いて、転写ユニット40とトレイユニット50の移動について説明する。図2は、ドアユニット20を開いた状態のプリンタ301を示す図である。図3はトレイユニット50が単独で引き出された状態のプリンタ301を示す図である。図4は、転写ユニット40が単独で引き出された状態のプリンタ301を示す図である。
【0029】
転写ユニット40とトレイユニット50は、装置本体301Aの内部から外部に移動可能である。水平方向Hについて、装置本体301Aは、開口301A1が備えられた第1端部1b1と、第1端部1b1と反対の第2端部1b2を有している。
【0030】
トレイユニット50は、開口301A1を通じて、装置本体301Aの内側の第1内側位置と、装置本体301Aの外側の第1外側位置に移動可能である。転写ユニット40は、開口301A1を通じて、装置本体301Aの内側の第2内側位置と、装置本体301Aの外側の第2外側位置に移動可能である。開口301A1は、トレイユニット50が通過する開口と、転写ユニット40が通過する開口を含んでいてもよい。なお、転写ユニット40が第2内側位置から第2外側位置に移動する際には、少なくともベルト41が移動され、ベルト41の少なくとも一部が、装置本体301Aの外側に向けて、装置本体301Aから突出する。
【0031】
トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動する方向を、トレイ引き出し方向Dd1(第1引き出し方向)と呼び、トレイ引き出し方向Dd1の反対方向を、トレイ装着方向Da1(第1装着方向)と呼ぶ。トレイ引き出し方向Dd1は、第2端部1b2から第1端部1b1に向かう方向ということができる。
【0032】
転写ユニット40が第2内側位置から第2外側位置に移動する方向を、転写引き出し方向Dd2(第2引き出し方向)と呼び、転写引き出し方向Dd2の反対方向を、転写装着方向Da2(第2装着方向)と呼ぶ。転写引き出し方向Dd2において、駆動ローラ46はテンションローラ47の下流側に配置される。転写引き出し方向Dd2は、第2端部1b2から第1端部1b1に向かう方向ということができる。
【0033】
トレイ引き出し方向Dd1、トレイ装着方向Da1は、感光ドラム61の回転軸線方向に交差する方向(好ましくは直交方向)である。転写引き出し方向Dd2、転写装着方向Da2は、駆動ローラ46の回転軸線方向に交差する方向(好ましくは直交方向)である。駆動ローラ46の回転軸線方向は、感光ドラム61の回転軸線方向と平行である。
【0034】
装置本体301Aに取り付けられたドアユニット20は、閉位置と開位置の間を移動可能である。図1に示すように、ドアユニット20が閉位置にある状態(ドアユニット20の閉じ状態)では、ドアユニット20は開口301A1を覆う。図2に示すように、ドアユニット20が開位置にある状態(ドアユニット20の開き状態)では、開口301A1が露出される。ドアユニット20の閉位置は、開口を閉鎖する閉鎖位置であり、開位置は、開口を開放する開き位置である。ドアユニット20は、鉛直方向において開口301A1より下方に位置する回転軸線20dの周りに回転して、閉鎖位置と開き位置の間を移動可能である。
【0035】
図1に示すように、ドアユニット20が閉位置にある状態では、ドアユニット20は装置本体301Aに取り付けられた定着装置80を覆っている。より具体的には、ドアユニット20が閉位置にある状態では、ドアユニット20の点線で囲まれた上カバー部20bが、定着装置80の上方に位置する。ドアユニット20の上カバー部20bは、外装部の一部としての機能を有し、本発明の特徴である、ドアユニット20が開位置にある状態でベルト41を保護する機能も有する。詳細は後述する。ドアユニット20は、装置本体の上面301A3の少なくとも一部を覆う上面カバー部としての上カバー部20bと、装置本体の側面301A4の少なくとも一部を覆う側面カバー部20cを含む。
【0036】
ドアユニット20は、定着装置80が装置本体301Aに支持された状態で、開位置と閉位置に移動することができる。言い換えれば、ドアユニット20は、装置本体301Aに支持された定着装置から離れるように、閉位置から開位置に移動する。したがって、図2に示すように、ドアユニット20が開位置にある状態では、ドアユニット20は、装置本体301Aに支持された定着装置80から離れている。転写ユニット40とトレイユニット50は、開口301A1を通じて、装置本体301Aの内部から外部に移動可能であり、移動後は図3、及び図4の状態になる。
【0037】
トレイユニット50が装置本体301Aの外部に移動された状態(図3)で、トレイ51からカートリッジPY、PM、PC、PKを取り外すこと、およびトレイ51にカートリッジPY、PM、PC、PKを取り付けることが許容される。これにより、カートリッジPY、PM、PC、PKを、新しいカートリッジPY、PM、PC、PKに交換することができる。本実施例において、カートリッジPは、トレイ51に対して感光ドラム61の回転軸線に交差する方向(好ましくは直交方向)に着脱可能である。
【0038】
カートリッジPY、PM、PC、PKは、トレイ51に対して転写ユニット40とは反対側に向けて移動して、トレイ51から取り外される。本実施形態において、転写ユニット40はトレイユニット50の下方に配置されている。したがって、カートリッジPY、PM、PC、PKは、トレイ51に対して上方に移動して、トレイ51から取り外される。
【0039】
さらに、転写ユニット40はトレイユニット50に対して独立して装置本体301Aから取り外し可能であり、新しい転写ユニット40に交換することができる。
【0040】
[画像形成動作]
図1を用いて、プリンタ301の画像形成動作について説明する。プリンタ301の制御部3は、外部ホスト装置400から受け取った画像信号に基づいて、シートSへの画像形成動作を開始する。外部ホスト装置400は、例えばパーソナルコンピュータ、イメージリーダ及びファクシミリ等である。
【0041】
シートSへの画像形成が行われるとき、トレイユニット50は第1内側位置に位置し、転写ユニット40は第2内側位置に位置し、ドアユニット20は閉位置に位置する。転写
ユニット40が第2内側位置にある状態で、ベルト41は感光ドラム61に当接可能である。このとき、トレイユニット50は転写ユニット40の上方に位置している。
【0042】
帯電ローラ62に帯電電圧を印加し、感光ドラム61を回転させる。画像情報に対応したレーザがスキャナ2から感光ドラム61に照射され、帯電ローラ62によって帯電された感光ドラム61の表面が露光される。これにより、感光ドラム61の表面に、画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0043】
現像ローラ71はトナーを担持する。現像ローラ71には現像電圧が印可され、感光ドラム61に形成された静電潜像が現像ローラ71から供給されたトナーによって現像され、感光ドラム61の表面にトナー像が形成される。本実施例において、現像ローラ71は感光ドラム61に当接した状態で静電潜像を現像するが、現像ローラ71と感光ドラム61の間に隙間がある状態で、現像ローラ71が静電潜像を現像してもよい。フルカラー画像が形成されるとき、それぞれの感光ドラム61に、各色のトナー像が形成される。
【0044】
なお、本実施例において、トレイユニット50が第1内側位置にある状態で、現像ローラ71は、感光ドラム61に当接する当接位置と感光ドラム61から離間した離間位置との間を移動可能である。具体的には、装置本体301Aに備えられた不図示の切り替え装置によって、現像ローラ71が当接位置にある状態と、現像ローラ71が離間位置にある状態とが切り替えられる。これにより、画像形成動作が行われない状態では、現像ローラ71を感光ドラム61から離間させておくことができる。
【0045】
また、プリンタ301は、カートリッジPKに対応する現像ローラ71と感光ドラム61が当接し、カートリッジPY、PM、PCのそれぞれに対応する現像ローラ71と感光ドラム61離間した状態で、モノクロ印刷を行うことができる。また、プリンタ301は、カートリッジPY、PM、PC、PKに対応する感光ドラム61とベルト41が当接した状態で、フルカラー印刷を行うことができる。
【0046】
それぞれの感光ドラム61に形成されたトナー像は、一次転写部において、一次転写ローラ42によりベルト41上に転写され、ベルト41と二次転写ローラ45によって形成される二次転写部に向けて搬送される。
【0047】
一方、装置本体301Aには、定着装置80に向かうシートSが通過する搬送路301cが形成されている。ドアユニット20には、斜線で示した転写ユニット支え部材602が備えられる。図1に示すように、幅方向(図1の奥行方向)に見て、搬送路301cと転写ユニット支え部材602は重なっている。しかし、幅方向について、シートSが通過する搬送路の位置と、転写ユニット支え部材602の位置とが重なっていないため、転写ユニット支え部材602はシートSの搬送を妨げない。また、ドアユニット20には、定着装置80を通過したシートSが通過する両面搬送路20aが形成される。ドアユニット20は、閉位置において搬送路301cを覆っている。ドアユニット20が開かれることで、搬送路301cと、両面搬送路20aが露出される。また、転写ユニット支え部材602は、ドアユニット20が開かれることで、図2に示すように転写ユニット支え部材602も露出される。
【0048】
シート給送部30において、積載トレイ31に積載されているシートSから、所定のタイミングで供給ローラ32により1枚のシートSが分離給紙され、レジストレーションローラ対4を通って二次転写部および定着装置80に向けて搬送される。
【0049】
二次転写部において、ベルト41からシートSにトナー像が転写される。シートSに転写されなかったトナーは、清掃部43内に設けられたクリーニングブレード(清掃部材)
43Aによってベルト41から取り除かれる。
【0050】
二次転写部においてトナー像が転写されたシートSは、定着装置80に向けて搬送される。定着装置80において、シートSは定着部81で加熱・加圧され、トナー像がシートSに定着される。トナー像が定着されたシートSは経路切り替え部としてのフラッパ5に向けて搬送される。
【0051】
フラッパ5は、定着装置80を通過したシートSを排紙路301dに向けて案内する排紙位置と、反転路301eに向けて案内する反転位置を移動可能である。
【0052】
シートSの片面に画像が形成される片面印刷が行われる場合、シートSはフラッパ5によって排紙路301dに案内され、装置本体301Aの上部に形成された排出トレイ1fに排出される。
【0053】
一方、シートSの片面および裏面に画像が印刷される両面印刷が行われる場合、シートSはフラッパ5によって反転路301eに案内される。反転路301eにシートSが案内された後、反転ローラ対49によってシートSの搬送方向が反転し、シートSはドアユニット20に形成された両面搬送路20aを通って、二次転写部に向けて搬送される。二次転写部において、シートSの裏面にトナー像が転写された後、シートSは定着装置80を通過し、フラッパ5によって排紙路301dに案内され、装置本体301Aの排出トレイ1fに排出される。
【0054】
[トレイユニットと転写ユニットを移動するための構成と効果]
図1図2図3図4を用いてトレイユニット50と転写ユニット40を取り出す構成と効果について説明する。
【0055】
図1に示すように、トレイユニット50が第1内側位置にあり、転写ユニット40が第2内側位置にある状態で、トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動する移動方向(Dd1)について、転写ユニット40の一部(本実施例では清掃部43)はトレイユニット50の水平方向Hの下流にある。また、鉛直方向Vについて、トレイユニット50の下流にある転写ユニット40の一部(清掃部43)が配置される領域がトレイユニット50が配置される領域と少なくとも部分的に重なる。そのため、装置本体301Aの外部にトレイユニット50を引き出すには、清掃部43と干渉しないように逃がす必要がある。
【0056】
トレイユニット50が装置本体301Aの外部に移動する軌跡について説明する。図2で示すように、ドアユニット20を開く動作に連動して、トレイユニット50は転写ユニット40から離れる側に持ち上げられる。この時のトレイユニット50の位置を、第1中間位置と呼ぶ。なお、この状態でドアユニット20が閉じられると、トレイユニット50が下降して、第1内側位置に移動する。トレイユニット50が第1中間位置にある状態では、ベルト41は感光ドラム61から離れている。
【0057】
その後、使用者がトレイハンドル52を掴んで、トレイユニット50を装置本体301Aの外側に向けて移動させる。図3に示すように、トレイユニット50は、転写ユニット40と定着装置80の間の開口301A1を通って装置本体301Aの外部に移動する。
【0058】
次に本発明の特徴である、転写ユニット40の引き出し構成について説明する。本実施例におけるプリンタ301では、図4で示すように、転写ユニット40を装置本体301Aの外側(第2外側位置)に移動することができる。転写ユニット40は装置本体301Aから取り外し可能であり、新しい転写ユニット40に交換することができる。交換の際
に傷つきやすい転写ユニット40のベルト41の保護と、引き出した転写ユニット40の止め位置が使用者に直感的にわかりやすくなるように、ドアユニット20の上カバー部20bの上端20b_upperがベルト41の感光ドラム61と接する面より高くなっている。ドアユニット20が開位置にある状態で、鉛直方向Vにおけるドアユニット20の高さを高さHdと呼ぶ。本実施形態において、高さHdは、閉位置にあるドアユニット20の上カバー部20bの高さと同じである。
【0059】
図2図4図5を用いて詳細に説明する。まず、図2においては転写ユニット40が第2内側位置にある。第2内側位置に位置した状態でベルト41が感光ドラム61と接するベルト面(図中、「ベルト面90」)は、ドアユニット20の上カバー部20bの高さHdよりも下にある。斜線で示した転写ユニット突き当て部材601は転写ユニット40の奥行方向の端部に位置しており、第2内側位置から引き出す際は他の部材と干渉せずに第2外側位置に移動することができる。転写ユニット突き当て部材601が接触するのは転写ユニット支え部材602となる。転写ユニット40を第2内側位置から第2外側位置に移動させる際は、転写ユニット40を水平に移動させることができ、常にベルト41はドアユニット20の上カバー部20bの高さHdよりも下にある。
【0060】
次に図4においては、転写ユニット40が第2外側位置にある。第2外側位置に位置した状態でベルト41の感光ドラム61と接するベルト面90は、ドアユニット20の上カバー部20bの高さHdよりも下にあり、ベルト41の前面を覆い保護している。前面の定義は後述する図5で説明する。転写ユニット40を引き出す際は、斜線で示した転写ユニット突き当て部材601と、同じく斜線で示した転写ユニット支え部材602が接触し、ストッパとなる。ドアユニット20の上カバー部20bの高さHdがベルト41の感光ドラム61と接する面より高くなっていることで、転写ユニット40が上カバー部20bよりも手前で止まることを使用者が直感的にわかりやすくなる。
【0061】
最後に図5を用いて、ベルト41の前面の保護について説明する。図5は、図4と同じく、ドアユニット20を開いて、転写ユニット40が単独で引き出された状態のプリンタ301を示す図であるが、図4とは視点が異なり、ドアユニット20を開いた側から見ている図となっている。図5は、水平方向Hに見た図であり、プリンタ301を第1端部1b1から第2端部1b2に向かう方向に見た図である。図5において、矢印Dで示す方向が幅方向Dである。前述した図4で説明した通り、転写ユニット40を引き出した状態で、転写ユニット40のベルト41の感光ドラム61と接するベルト面90が、ドアユニット20の上カバー部20bの上端20b_upper(高さHd)よりも下になっている。この構成であれば、使用者が転写ユニット40を引き出す際に、ベルト41の前面92(格子線が画かれた面)よりも手前に上カバー部20bがある。このため、使用者がベルト41の前面に接触するリスクを減らすことができ、意図しないベルト41の前面の損傷を抑制することができる。なお、ここで前面とは、転写ユニット40を装置本体301Aの内側から外側に移動させる方向において、ベルト41のうち最も上流側にある部分を指す。
【0062】
図5に示すように、幅方向Dにおいて、上カバー部20bの上端20b_upperの長さは、ベルト面90の長さより長い。また、幅方向Dにおいて、上端20b_upperの一端と他端は、ベルト面90の外側に位置する。言い換えれば、幅方向Dにおいて、上端20b_upperの一端と他端の間に、ベルト面90が位置されている。したがって、ベルト面90をより確実に保護することができる。また、清掃部43の上端の位置は、上カバー部20bの上端20b_upperの位置よりも高い。したがって、清掃部43により、ベルト面90をより確実に保護することができる。
【0063】
本実施例においてはカラー印刷を行う画像形成装置について詳細に説明したが、これに
限定する趣旨のものでは無く、モノクロ印刷を行う画像形成装置でも良い。
【0064】
[実施例2]
実施例2について説明する。実施例2においては、上述の各実施例において説明した構成と同様の構成については、各実施例で用いられた符号と同一の符号を用いて示す。また、各実施例と同様の構成については、説明を省略する場合がある。
【0065】
本実施例が実施例1と異なるのは、トレイユニット750を引き出す際に、転写ユニット740も同時に引き出される点になる。
【0066】
[トレイユニットと転写ユニットの関係]
図6図7を用いて、トレイユニット750、転写ユニット740の関係と転写ユニット740とトレイユニット750の移動を説明する。図6は、本実施例におけるプリンタ701において、ドアユニット20を開いた状態での全体図である。図7は、本実施例におけるプリンタ701において、トレイユニット750と転写ユニット740を同時に引き出した時の全体図である。
【0067】
トレイユニット750は、シートSに対する画像形成動作が行われる第1内側位置と、カートリッジPの交換が許容される第1外側位置とに移動する際、所定の空間を通過する。このように、トレイユニット750が第1内側位置から第1外側位置に移動する際に通過する空間を、第1空間780と呼ぶ。第1空間780は、トレイユニット750の移動空間である。
【0068】
転写ユニット740は、シートSに対する画像形成動作が行われる第2内側位置と、第2外側位置とに移動する際、所定の空間を通過する。このように、転写ユニット740が第2内側位置から第2外側位置に移動する際に通過する空間を、第2空間790と呼ぶ。第2空間790は、転写ユニット740の移動空間である。
【0069】
本実施例においては、転写ユニット740の少なくとも一部は、トレイユニット750が第1内側位置から第1外側位置に移動する際、トレイユニット750が通過する第1空間と重なっているが、カートリッジPが通過する空間と重なるように配置されていてもよい。これにより、第2内側位置にある転写ユニット740が、第1空間の外側に位置する構成と比較して、装置本体701Aを小型化することができる。
【0070】
なお、本実施例におけるプリンタ701では、第1空間に重なる転写ユニット740の一部とは、清掃部材43Aを収容する清掃部43である。しかし、転写ユニット740の他の部分が第1空間に重なっていてもよい。また、本実施例においては第2内側位置にある転写ユニット740の清掃部材43Aは、第1空間と重なっている。
【0071】
トレイユニット750と転写ユニット740は、以下の関係を満たすということができる。トレイユニット750が第1内側位置にあり、転写ユニット740が第2内側位置にある状態で、トレイユニット750が第1内側位置から第1外側位置に移動する移動方向について、転写ユニット740の一部(清掃部43)はトレイユニット750の水平方向Hの下流にある。また、鉛直方向Vについて、トレイユニット750の下流にある転写ユニット740の一部(清掃部43)が配置される領域(範囲)がトレイユニット750が配置される領域(範囲)と少なくとも部分的に重なる。
【0072】
上述のように、転写ユニット740が第2内側位置にある状態で、転写ユニット740の少なくとも一部は、第1空間の内側にある。そのため、本実施例では、使用者がトレイユニット750を装置本体701Aに対して第1内側位置から第1外側位置に移動する際
に、転写ユニット740も装置本体701Aに対して第2内側位置から第2外側位置に移動される。つまり、転写ユニット740とトレイユニット750が一体化された状態で、トレイユニット750が第1内側位置から第1外側位置に移動し、転写ユニット740が第2内側位置から第2外側位置に移動する。
【0073】
図7に示すように、ドアユニット20が開かれ、トレイユニット750が第1外側位置にあり、転写ユニット740が第2外側位置にある状態では、転写ユニット740がトレイユニット750の下方からトレイユニット750を支持している。さらに、本実施形態においては、ドアユニット20が転写ユニット740を支持する。つまり、ドアユニット20に支持された転写ユニット740がトレイユニット750を支持している。この状態は、ドアユニット20が転写ユニット740を介してトレイユニット750を支持しているということもできる。
【0074】
[トレイユニットと転写ユニットを一体的に移動するための構成]
トレイユニット750と転写ユニット740を一体的に移動するための構成について、図8図9図10を用いて説明する。図8図9図10は、トレイユニット50のトレイ51と転写ユニット740を連結する連結部材(レバー、ストッパ、ロック部材)53について説明する図である。
【0075】
本実施例に係るプリンタ701は、ロック部材53を有する。本実施例において、ロック部材53はトレイユニット750のトレイ751に設けられている。ロック部材53は、転写ロック部53Aを有し、回転中心53Bの周りに回転可能である。
【0076】
トレイ751は転写連結部51Aを備えている。転写ユニット40は、駆動ローラ46、テンションローラ47、一次転写ローラ42を支持する転写フレーム48を備え、転写フレーム48にはトレイ連結溝48Aと、ロック連結部48Bが設けられている。
【0077】
ロック部材53は、回転中心53Bの周りに回転することで、転写ロック部53Aがロック連結部48Bに係合し、転写ユニット740とトレイユニット750が連結される連結位置と、連結位置から退避した解除位置に移動可能である。
【0078】
トレイ連結溝48Aに転写連結部51Aが係合することで、トレイユニット750は、転写ユニット740に対して、第1引き出し方向Dd1と、第1引き出し方向Dd1に直交する方向に移動することが規制される。一方、転写ユニット740は、トレイユニット750に対して、第2装着方向Da2と、第2装着方向Da2に直交する方向に移動することが規制される。
【0079】
これと類似の構成は、テンションローラ47の回転軸線方向におけるテンションローラ47の両端部付近、駆動ローラ46の回転軸線方向における駆動ローラ46の両端部付近の合計4か所に設けられている。
【0080】
連結位置にあるロック部材53の転写ロック部53Aがロック連結部48Bに係合すると、トレイユニット750は転写ユニット740に対して第1装着方向Da1に移動することが規制される。一方、転写ユニット740はトレイユニット750に対して第2引き出し方向Dd2に移動することが規制される。
【0081】
ロック部材53およびロック連結部48Bも、テンションローラ47の回転軸線方向において、転写ユニット740の両端部に設けてもよい。
【0082】
つまり、トレイ連結溝48Aに転写連結部51Aが係合し、連結位置にあるロック部材
53がロック連結部48Bと係合した状態では、転写ユニット740とトレイユニット50は互いに対して移動することが規制される。なお、この状態で、転写ユニット740とトレイユニット750の間に遊びがあってもよい。
【0083】
つまり、転写連結部51Aとロック部材53はトレイ側連結装置としての機能を有し、トレイ連結溝48Aとロック連結部48Bは転写側連結装置としての機能を有するということができる。トレイ側連結装置と、転写側連結装置が連結することにより、トレイユニット750と転写ユニット740が連結され、トレイユニット750と転写ユニット740は一体的に移動する。
【0084】
一方、図10に示すように、装置本体701Aは、ロック解除部1Bを有している。トレイユニット750が第1内側位置にあり、転写ユニット740が第2内側位置にある状態では、ロック部材53はロック解除部1Bと接触し、解除位置にある。この状態では、転写ロック部53Aがロック連結部48Bから離れている。
【0085】
ロック部材53が解除位置にある状態で、トレイユニット750を第1引き出し方向Dd1に移動すると、転写連結部51Aによって転写ユニット740が第2引き出し方向Dd2に向けて押される。その結果、転写ユニット740もトレイユニット750と一体的に第2引き出し方向Dd2に向けて移動される。トレイユニット750が第1引き出し方向Dd1に所定距離移動すると、ロック部材53がロック解除部1Bから離れ、連結位置に移動し、ロック連結部48Bに係合する。ロック部材53が連結位置にあり、ロック連結部48Bに係合した状態で、トレイユニット750は第1外側位置に、転写ユニット740は第2外側位置に移動される。
【0086】
ロック部材53がロック連結部48Bに係合した状態で、トレイユニット750を第1装着方向Da1に移動すると、ロック部材53によって転写ユニット740が第2装着方向Da2に向けて押される。その結果、転写ユニット740もトレイユニット750と一体的に第2装着方向Da2に向けて移動される。
【0087】
ロック部材53がロック連結部48Bに係合した状態で、転写ユニット740を第2装着方向Da2に移動すると、転写ユニット740が転写連結部51Aを押し、トレイユニット750が第1装着方向Da1に向けて押される。その結果、トレイユニット750も転写ユニット740と一体的に第1装着方向Da1に向けて移動される。
【0088】
トレイユニット750と転写ユニット740を一体的に装置本体701Aの内側に向けて移動する場合、ロック解除部1Bによってロック部材53が解除位置に移動される。この状態では、トレイユニット750を第1装着方向Da1に移動させても、転写ユニット740は移動しない。そのため、ドアユニット20を閉じる過程で、二次転写ローラ45が転写ユニット740と接触する力によって、転写ユニット740は第2装着方向Da2に向けて押され、装置本体701Aの奥(第2内側位置)まで押し込まれる。つまり、転写ユニット740が第2内側位置に位置されるように、ドアユニット20は転写ユニット740を押すことができる。また、トレイユニット750が第1内側位置に位置されるように、ドアユニット20はトレイユニット750を押してもよい。
【0089】
一方、ロック部材53が解除位置にあり、トレイユニット750が第1内側位置にある状態で、転写ユニット740を第2引き出し方向Dd2に移動すると、転写ユニット740はトレイユニット750から独立して、第2内側位置から第2外側位置に移動することができる。本実施例におけるプリンタ701では、実施例1と同じくトレイユニット750が装置本体701Aの内側(第1内側位置)に位置された状態で、転写ユニット740を装置本体701Aの外側(第2外側位置)に移動することができる。転写ユニット74
0は装置本体701Aから取り外し可能であり、新しい転写ユニット740に交換することができる。
【0090】
本実施例では、トレイユニット750が第1内側位置にある状態では、トレイユニット750は転写ユニット740から独立して装置本体701Aに対して位置決めされる。また、転写ユニット740が第2内側位置にある状態では、転写ユニット740はトレイユニット750から独立して装置本体701Aに対して位置決めされる。これは、転写ユニット740とトレイユニット750のそれぞれを装置本体701Aに対して精度よく位置決めすることを優先しているためである。そのため、トレイユニット750が第1内側位置にあり、転写ユニット740が第2内側位置にある状態では、トレイ連結溝48Aと転写連結部51Aの間には、若干のクリアランスが設けられている。
【0091】
トレイユニット750が第1内側位置にあり、転写ユニット740が第2内側位置にある状態で、トレイユニット750と転写ユニット740が互いに位置決めできるように、トレイ連結溝48Aと転写連結部51Aの間のクリアランスをなくしてもよい。この場合は、転写ユニット740とトレイユニット750を互いに対して精度よく位置決めすることができる。
【0092】
[トレイユニットと転写ユニットを一体的に移動する場合の効果]
図6図7を用いてトレイユニット750と転写ユニット740を取り出す効果について説明する。
【0093】
本実施例の特徴である、トレイユニット750を引き出す際に転写ユニット740も同時に引き出される構成について説明する。
【0094】
図6に示すようにドアユニット20を開いた状態では実施例1と異なりトレイユニット750を第1中間位置に移動させる必要がないため、トレイユニット750は持ち上がっていない。
【0095】
前述した、トレイユニット750と転写ユニット740を一体化させた機構によって、使用者がトレイハンドル752を掴んで、トレイユニット750と転写ユニット740を装置本体701Aの外側に向けて移動できる。
【0096】
図7に示すように開口701A1を通って、トレイユニット750と転写ユニット740は装置本体701Aの外部に移動する。
【0097】
トレイユニット750と転写ユニット740を一体的に移動することで、トレイユニット750が第1外側位置に移動する際に、感光ドラム61が露出されることを抑制し、感光ドラム61に傷や汚れが付くことを抑制できる。さらにカートリッジ交換の際に傷つきやすいベルト41の感光ドラム61と接する面も保護できる。
【0098】
加えて、実施例1と同じく、ドアユニット20の上カバー部20bの高さHdがベルト41が感光ドラム61と接するベルト面90より高くなっていることによる効果も追加できる。
【0099】
図6図7を用いて詳細に説明する。まず、図6においてはトレイユニット750が第1内側位置にあり、転写ユニット740が第2内側位置にある。転写ユニット740は第2内側位置に位置した状態でベルト41の感光ドラム61と接する面はドアユニット20の上カバー部20bの高さHdよりも下にある。斜線で示した転写ユニット突き当て部材601は転写ユニット740の奥行方向の端部に位置しており、第2内側位置から引き出
す際は他の部材と干渉せずに第2外側位置に移動することができる。転写ユニット突き当て部材601が接触するのは転写ユニット支え部材602となる。
【0100】
トレイユニット750と転写ユニット740を第1、2内側位置から第1、2外側位置に移動させる際は、転写ユニット740を水平に移動させることができ、常にベルト41の感光ドラム61と接する面(ベルト面90)はドアユニット20の上カバー部20bの高さHdよりも下にある。
【0101】
次に図7においては、トレイユニット750と転写ユニット740が第1、2外側位置にある。転写ユニット740が第2外側位置に位置した状態でベルト41はドアユニット20の上カバー部20bの高さHdよりも下にあり、ベルト41の前面を覆い保護している。トレイユニット750と転写ユニット740を引き出す際は、斜線で示した転写ユニット突き当て部材601と、同じく斜線で示した転写ユニット支え部材602が接触し、ストッパとなる。ドアユニット20の上カバー部20bの高さHdがベルト41の感光ドラム61と接する面より高くなっていることで転写ユニット740が上カバー部20bよりも手前で止まることを使用者が直感的にわかりやすくなる。
【0102】
このようの本発明の各実施例によれば、ベルト41へのユーザの接触を防止する効果が得られるため、ベルト41の汚れや破損を抑制し、画像不良などの不具合を抑制することができる。
【0103】
なお、上記実施例の転写ユニットは、転写材として中間転写ベルトを用いる方式のものを採用した。ただし本発明はこれには限定されず、例えば静電搬送ベルトを用いる方式のベルトユニットに適用されてもよい。
【0104】
[構成1]
感光ドラムを収容し、開口を備える装置本体と、
前記装置本体に連結され、前記開口を閉鎖する閉鎖位置と前記開口を解放する開き位置に移動可能なドアユニットと、
前記感光ドラムと当接可能なベルトを有し、前記ドアユニットが開いた状態で、前記開口を通じて前記装置本体の内側と、前記装置本体の外側との間で移動可能なベルトユニットと、
を備え、
前記ベルトユニットが前記装置本体の外側にあるとき、前記ベルトの上端は、前記ドアユニットの上端よりも、鉛直方向において下方に位置する、
ことを特徴とする画像形成装置。
[構成2]
前記ドアユニットは、前記開き位置にある状態で、前記装置本体の外側にある前記ベルトユニットを支持するように構成され、
前記ベルトユニットが前記装置本体の外側にあり、かつ前記開き位置にある前記ドアユニットに支持されたとき、前記ベルトユニットの前記ベルトの上端は、前記ドアユニットの上端よりも、前記鉛直方向において下方に位置する、
ことを特徴とする構成1に記載の画像形成装置。
[構成3]
前記ドアユニットは、前記装置本体の側面の少なくとも一部を覆う側面カバー部と、前記装置本体の上面の少なくとも一部を覆う上面カバー部と、を含み、前記鉛直方向において前記開口の下方に位置する回転軸線の周りに回転して前記閉鎖位置と前記開き位置に移動可能であり、
前記ベルトユニットが前記装置本体の外側にあるとき、前記ベルトの上端は、前記上面カバー部の上端よりも、前記鉛直方向において下方に位置する、
ことを特徴とする構成1または2に記載の画像形成装置。
[構成4]
定着装置をさらに含み、
前記ドアユニットが前記閉鎖位置にあるとき、前記上面カバー部は前記定着装置を覆い、前記ドアユニットが前記開き位置にあるとき、前記定着装置が露出される、
ことを特徴とする構成3に記載の画像形成装置。
[構成5]
前記ベルトユニットが前記装置本体の内側から外側へ移動する方向において前記ベルトのうち上流側の部分を前記ベルトの前面とすると、前記ドアユニットが前記開き位置にあるとき、前記上面カバー部は、常に、前記ベルトの前面よりも前記方向において上流側に位置する
ことを特徴とする構成3または4に記載の画像形成装置。
[構成6]
前記ベルトユニットが前記装置本体の内側から前記装置本体の外側に移動するとき、前記ベルトユニットの前記ベルトの上端は、常に、前記ドアユニットの上端よりも、方向において下に位置する
ことを特徴とする構成1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
[構成7]
前記ドアユニットが前記開き位置にある状態で、前記開口を通じて、前記装置本体の内側と、前記装置本体の外側とに移動可能なトレイユニットであって、カートリッジと、前記カートリッジが取り外し可能に装着されるトレイとを含み、前記カートリッジと前記トレイの一方が前記感光ドラムを有するトレイユニットをさらに有することを特徴とする構成1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
[構成8]
前記トレイユニットが前記装置本体の内側から前記装置本体の外側に移動するとき、前記ベルトユニットも前記装置本体の内側から前記装置本体の外側に移動する
ことを特徴とする構成7に記載の画像形成装置。
【符号の説明】
【0105】
20:ドアユニット、40:転写ユニット、41:ベルト、301:プリンタ、301A:装置本体、301A1:開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10