(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025139120
(43)【公開日】2025-09-26
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20250918BHJP
【FI】
G03G21/16 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024037893
(22)【出願日】2024-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】操 洋二
【テーマコード(参考)】
2H171
【Fターム(参考)】
2H171FA01
2H171FA02
2H171FA03
2H171FA10
2H171FA19
2H171FA22
2H171GA11
2H171GA12
2H171HA23
2H171HA33
2H171JA03
2H171JA12
2H171JA16
2H171JA23
2H171JA29
2H171KA05
2H171KA17
2H171KA22
2H171KA27
2H171QA03
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB32
2H171QC36
2H171SA11
2H171SA14
2H171SA22
2H171SA26
2H171WA02
2H171WA03
2H171WA11
2H171WA21
(57)【要約】
【課題】従来の技術をさらに発展させる。
【解決手段】画像形成装置は、開口を有する装置本体と、開口を介して装置本体から引き出し可能に装置本体に装着された第1ユニットと、開口を介して装置本体から引き出し可能に装置本体に装着された第2ユニットであって、被係合部を有し、第1ユニットと共に装置本体から引き出し可能、且つ第1ユニットから独立して装置本体から引き出し可能に構成された第2ユニットと、第2ユニットが装置本体から引き出される場合に、被係合部と係合する係合部材であって、第1通路93Bと、第1通路93Bから分岐した第2通路92と、を有する係合部材90と、を備え、第2ユニットが第1ユニットと共に引き出される場合に、被係合部は第1通路93Bを通過し、第2ユニットが第1ユニットから独立して引き出される場合に、被係合部は第2通路92を通過する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する装置本体と、
前記開口を介して前記装置本体から引き出し可能に前記装置本体に装着された第1ユニットと、
前記開口を介して前記装置本体から引き出し可能に前記装置本体に装着された第2ユニットであって、被係合部を有し、前記第1ユニットと共に前記装置本体から引き出し可能、且つ前記第1ユニットから独立して前記装置本体から引き出し可能に構成された第2ユニットと、
前記第2ユニットが前記装置本体から引き出される場合に、前記被係合部と係合する係合部材であって、第1通路と、前記第1通路から分岐した第2通路と、を有する係合部材と、
を備え、
前記第2ユニットが前記第1ユニットと共に引き出される場合に、前記被係合部は前記第1通路を通過し、前記第2ユニットが前記第1ユニットから独立して引き出される場合に、前記被係合部は前記第2通路を通過する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1通路と前記第2通路は溝であり、
前記被係合部は、前記溝に入り込む突起であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2通路の方が、前記第1通路よりも前記装置本体の内部にある前記第1ユニットから遠いことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2ユニットが前記第1ユニットから独立して引き出される場合に、前記被係合部が前記第1通路に進入することを制限する制限部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記係合部材は、前記第1通路と前記第2通路とを隔てる仕切り部と、前記第1通路と前記第2通路とを接続する接続部と、を有し、
前記第2ユニットは、前記第2ユニットが前記第1ユニットから独立して引き出される場合に前記制限部に当接する当接部を有し、
前記当接部が前記制限部に当接したとき、前記第2ユニットが前記装置本体の外側に引き出される方向において、前記被係合部の位置は前記接続部の位置と重なることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制限部は、前記当接部が当接する傾斜面を有し、前記第2ユニットが前記装置本体の外側に引き出されるにつれて前記被係合部が前記第2通路に近づくように、前記傾斜面は前記当接部を案内することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記当接部が前記制限部に当接した状態において、前記第1ユニットが前記装置本体の外側に引き出されることを規制する規制構造を備えることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1ユニットが前記装置本体に装着されている状態で、前記第2ユニットが前記装置本体の内側に挿入される場合に、前記被係合部が前記第1通路を通過して前記第2ユニットが前記装置本体に装着される位置まで到達することを制限する制限部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第2ユニットが、前記第1ユニットと共に引き出されたときは第1位置に引き出され、前記第1ユニットから独立して引き出されたときは第2位置に引き出されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第2ユニットは、前記第2位置において、前記装置本体から取り外し可能であることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第2位置の方が、前記第1位置よりも、前記装置本体に近いことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記装置本体は、前記開口を開閉可能に構成された開閉部材を有し、
前記開閉部材が開かれた状態において、前記開閉部材は前記装置本体から引き出された前記第2ユニットを支持することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記第2ユニットの一部は、前記装置本体に装着された前記第1ユニットが引き出されるときに通過する空間の内部に位置することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記第1ユニットは少なくとも一つの感光体を有する画像形成ユニットであり、前記第2ユニットは、前記感光体に当接するベルトを含むベルトユニットであることを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記画像形成ユニットは、前記感光体に当接する現像ローラを含むカートリッジと、前記カートリッジを着脱可能に保持するトレイと、を有することを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記感光体から前記ベルトに転写された画像を記録材上に転写する転写ニップを前記ベルトと共に形成する転写ローラと、
前記転写ニップに記録材を給送する給送部と、
前記転写ニップで転写された画像を加熱して記録材に画像を定着させる定着装置と、
前記給送部から前記転写ニップを介して前記定着装置へと記録材を搬送する搬送部と、を備え、
前記給送部から前記定着装置まで搬送される記録材は、前記第1ユニットが前記装置本体に装着された状態から引き出される際に通過する空間、前記第2ユニットが前記装置本体に装着された状態から引き出される際に通過する空間を通過することを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項17】
記録材に転写された画像を加熱して記録材に画像を定着させる定着装置を備え、
前記定着装置は、記録材に画像を定着させる定着位置であって、前記第1ユニットが前記装置本体に装着された状態から引き出される際に通過する空間に重なる定着位置と、前記空間から退避する退避位置との間を移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項18】
記録材を収容し、前記装置本体に対して引き出し可能に構成された給紙カセットを備え、
鉛直方向に見たときに、前記給紙カセットが引き出される方向は、前記第1ユニットが前記装置本体から引き出される方向と同一の向きであることを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、複合機等の画像形成装置として、画像形成装置の装置本体の内部と外部の間を移動可能に構成されたトレイと、トレイに対して取り外し可能に装着されたカートリッジと、を備える構成が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、カートリッジが取り外し可能に装着されたトレイであって、画像形成装置の一端側と他端側の両側から引き出し可能に構成されたトレイを備える画像形成装置が開示されている。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、カートリッジが取り外し可能に装着されたトレイと、転写ユニットと、画像形成装置の一端側に設けられた定着装置とを備えた画像形成装置が開示されている。上述の構成においては、トレイは画像形成装置の一端側から引き出し可能に構成され、転写ユニットは画像形成装置の他端側から引き出し可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-244018号公報
【特許文献2】特開2015-206897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の技術をさらに発展させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、
開口を有する装置本体と、
前記開口を介して前記装置本体から引き出し可能に前記装置本体に装着された第1ユニットと、
前記開口を介して前記装置本体から引き出し可能に前記装置本体に装着された第2ユニットであって、被係合部を有し、前記第1ユニットと共に前記装置本体から引き出し可能、且つ前記第1ユニットから独立して前記装置本体から引き出し可能に構成された第2ユニットと、
前記第2ユニットが前記装置本体から引き出される場合に、前記被係合部と係合する係合部材であって、第1通路と、前記第1通路から分岐した第2通路と、を有する係合部材と、
を備え、
前記第2ユニットが前記第1ユニットと共に引き出される場合に、前記被係合部は前記第1通路を通過し、前記第2ユニットが前記第1ユニットから独立して引き出される場合に、前記被係合部は前記第2通路を通過する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来の技術をさらに発展させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1のプリンタの全体構成を説明する図である。
【
図2】実施例1のドアを開いた状態のプリンタを示す図である。
【
図3】実施例1の定着装置が退避位置にある状態のプリンタを示す図である。
【
図4】実施例1の2つのユニットが引き出された状態のプリンタを示す図である。
【
図5】実施例1の転写ユニットのみが引き出された状態のプリンタを示す図である。
【
図6】実施例1の転写ユニットとトレイユニットの移動を説明する図である。
【
図7】実施例1の転写ユニットとトレイユニットの移動を説明する図である。
【
図8】実施例1の2つのユニットの係合構成を説明する斜視図である。
【
図9】実施例1の2つのユニットの係合構成を説明する側面図である。
【
図10】実施例1の2つのユニットの係合構成を説明する斜視図である。
【
図11】実施例1のメインガイドの詳細を説明する図である。
【
図12】実施例1の転写ユニットの移動経路を説明する図である。
【
図13】実施例1の転写ユニットの移動経路を説明する図である。
【
図14】実施例1の転写ユニットの移動経路を説明する図である。
【
図15】実施例1の規制構造を説明する斜視図である。
【
図19】実施例2のプリンタの全体構成を説明する図である。
【
図20】実施例2の転写ユニットが引き出された状態のプリンタを示す図である。
【
図21】実施例2の2つのユニットが引き出された状態のプリンタを示す図である。
【
図22】実施例3のプリンタの全体構成を説明する図である。
【
図23】実施例3の転写ユニットが引き出された状態のプリンタを示す図である。
【
図24】実施例3の2つのユニットが引き出された状態のプリンタを示す図である。
【
図25】実施例3のメインガイドの詳細を説明する図である。
【
図26】実施例3の転写ユニットの移動経路を説明する図である。
【
図27】実施例3の転写ユニットの移動経路を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。なお、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置等は、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0011】
<実施例1>
[画像形成装置の構成]
まず、本発明に係る画像形成装置について説明する。ここで、一般に画像形成装置とは、電子写真プロセス、静電記録プロセス、磁気記録プロセスなどの公知の各種の画像形成原理・方式を用いて記録媒体に画像を形成する装置である。例えば複写機、プリンタ(例えばレーザープリンタ、LEDプリンタ等)、ファクシミリ装置、ワードプロセッサ、画像表示装置(電子黒板や電子白板)等が含まれる。記録媒体とは、画像形成装置によって画像が形成されるものであって、例えば、用紙、OHTシート、画像表示体などが含まれる。
【0012】
図1を用いて、実施例1に係る画像形成装置としてのプリンタ1について説明する。
図1は、プリンタ1の全体構成を示す模式的断面図である。プリンタ1は、記録材としてのシートSに画像を形成する、電子写真方式のカラーレーザービームプリンタである。
【0013】
プリンタ1は、装置本体(筐体)1A、スキャナ(露光装置)2、制御部3、装置本体1Aに対して開閉可能なドア(開閉部材)20を備える。さらに、プリンタ1は、シート給送部30、転写ユニット(転写装置)40、トレイユニット(移動ユニット、支持ユニット)50、定着装置80を備える。また、装置本体1Aとドア20を含む部分を、メインフレーム100と称する。メインフレーム100は、プリンタ1の外装部を含む。
【0014】
以下の説明において、プリンタ1に関して、前側(正面側)とはドア20が配設された側である。後側(背面側)とは、前側(正面側)の反対側である。前後方向とは、プリンタ1の後側から前側に向かう方向(前方向)と、その逆の方向(後方向)である。左右とはプリンタ1を前側から見たときの左と右である。左右方向とは、右から左に向かう方向(左方向)と、その逆の方向(右方向)である。上と下とは重力方向(鉛直方向)における上と下である。上方向とは下から上に向かう方向、下方向とは上から下に向かう方向である。
図1は、プリンタ1を左右方向に見た図であり、前後方向がH、上下方向がVとして示されている。
【0015】
装置本体1Aは、スキャナ2、制御部3、シート給送部30、第1ユニットとしてのトレイユニット50、第2ユニットとしての転写ユニット40、定着装置80を収容する。トレイユニット50と転写ユニット40は、それぞれ装置本体1Aから引き出し可能に装置本体1Aに装着されている。
【0016】
シート給送部30は、記録材としてのシートSを積載する積載トレイ31、供給ローラ32を有する給送部である。積載トレイ31は、装置本体1Aに対して前後方向に挿抜可能に構成されている給紙カセットである。プリンタ1の使用者は、積載トレイ31を装置本体1Aから前側に引き出して、シートSを補充することが可能である。すなわち、使用者は、装置本体1Aの前側から積載トレイ31の挿抜やドア20の開閉を行うことができる。
【0017】
トレイユニット50は、カートリッジPY、PM、PC、PKと、各カートリッジを着脱可能に保持するトレイ51を有する。トレイ51は、トレイハンドル52を有する。トレイハンドル52はトレイ51の前側の端部に設けられており、使用者はトレイハンドル52を把持してトレイユニット50を装置本体1Aから引き出すことができる。カートリッジPY、PM、PC、PKは、それぞれトレイ51に対して取り外し可能に装着されている。すなわち、トレイユニット50は、複数のカートリッジPと、複数のカートリッジPが取り外し可能に装着されるトレイ51とを有する。
【0018】
カートリッジPY、PM、PC、PKのそれぞれは、互いに独立してトレイ51に対して着脱可能である。カートリッジPYはイエロー(Y)、カートリッジPMはマゼンタ(M)、カートリッジPCはシアン(C)、カートリッジPKはブラック(K)のトナー(現像剤)を収容する。カートリッジPY、PM、PC、PKは、収容するトナーの色が異なること以外は同じ構成である。そのため、以下の説明において、カートリッジPY、PM、PC、PKのいずれか一つについて構成及び動作を説明し、その他については説明を省略する場合がある。また、カートリッジPY、PM、PC、PKを区別する必要がないときに、カートリッジPY、PM、PC、PKを、単にカートリッジPと呼ぶ場合もある。
【0019】
実施例1において、トレイユニット50は、複数の感光ドラム(像担持体)61、複数
の帯電ローラ62(帯電部材)、複数の現像ローラ(現像剤担持体)71を有する画像形成ユニットである。具体的には、トレイユニット50は、4つの感光ドラム61、4つの帯電ローラ62、4つの現像ローラ63を有する。感光ドラム61の回転軸線方向、現像ローラ63の回転軸線方向、帯電ローラ62の回転軸線方向は、プリンタ1の左右方向に平行である。
【0020】
ブラック(K)の画像を形成する部分をブラックステーション(第1ステーション)と呼び、第1ステーションの感光ドラム61を第1感光ドラム、現像ローラ63を第1現像ローラ、帯電ローラ62を第1帯電ローラと呼ぶ。
【0021】
シアン(C)の画像を形成する部分をシアンステーション(第2ステーション)と呼び、第2ステーションの感光ドラム61を第2感光ドラム、現像ローラ63を第2現像ローラ、帯電ローラ62を第2帯電ローラと呼ぶ。
【0022】
マゼンタ(M)の画像を形成する部分をマゼンタステーション(第3ステーション)と呼び、第3ステーションの感光ドラム61を第3感光ドラム、現像ローラ63を第3現像ローラ、帯電ローラ62を第3帯電ローラと呼ぶ。
【0023】
イエロー(Y)の画像を形成する部分をイエローステーション(第4ステーション)と呼び、第4ステーションの感光ドラム61を第4感光ドラム、現像ローラ63を第4現像ローラ、帯電ローラ62を第4帯電ローラと呼ぶ。
【0024】
カートリッジPKはブラックステーションに、カートリッジPCはシアンステーションに、カートリッジPMはマゼンタステーションに、カートリッジPYはイエローステーションに、それぞれ装着される。実施例1では、カートリッジPKを第1カートリッジ、カートリッジPCを第2カートリッジ、カートリッジPMを第3カートリッジ、カートリッジPYを第4カートリッジと呼ぶ。なお、第1、第2、第3、第4といった番号は、説明上便宜的に用いられるものである。
【0025】
実施例1において、カートリッジPは感光ドラム61、帯電ローラ62、現像ローラ63を有する。なお、感光ドラム61、帯電ローラ62、現像ローラ63は、カートリッジPではなくトレイ51に設けられていてもよい。
【0026】
転写ユニット40は、ベルト41、一次転写ローラ42、清掃部43、ベルト41を駆動する駆動ローラ46、テンションローラ(被駆動ローラ)47を有するベルトユニットである。実施例1におけるプリンタ1には、ベルト41に転写されたトナー像を検知する光学センサ44が配置されている。実施例1において、ベルト41は感光ドラム61の下方に配置されている。ベルト41と感光ドラム61の間に一次転写部(転写ニップ)が形成されるように、ベルト41は感光ドラム61に当接可能である。また、プリンタ1は、ベルト41に当接してベルト41との間に二次転写部(転写ニップ)を形成する二次転写ローラ45を有する。一次転写ローラ42の回転軸線方向、駆動ローラ46の回転軸線方向、テンションローラ47の回転軸線方向、二次転写ローラ45の回転軸線方向は、プリンタ1の左右方向に平行である。また、シートSの搬送方向において、二次転写部の手前(上流側)には、レジストレーションローラ対4が配置されている。
【0027】
定着装置80は定着部81とフラッパ5を有する。シートSに対する画像形成動作が行われるとき、定着装置80は定着位置にある。定着装置80は、定着位置にある状態で装置本体1Aの内部(内側)に収納され、シートSを加熱可能に構成されている。また、定着装置80は、定着位置と、トレイユニット50の引き出し動作を阻害しない退避位置との間を移動可能に構成されている。実施例1において、定着部81は、ヒータを有する加
熱部(加熱ローラ)と、加圧部(加圧ローラ)を含む。
【0028】
図1、
図2、
図3、
図4、
図5を用いて、転写ユニット40とトレイユニット50の移動動作について説明する。
図2は、ドア20が開いた状態のプリンタ1を示す図である。
図3は定着装置80が退避位置にある状態のプリンタ1を示す図である。
図4は、転写ユニット40とトレイユニット50が装置本体1Aから引き出された状態のプリンタ1を示す図である。
図5は、転写ユニット40が装置本体1Aから単独で引き出された状態のプリンタ1を示す図である。
図2、
図3、
図4、
図5はいずれもプリンタ1を左右方向に見たときの模式的断面図である。
【0029】
転写ユニット40とトレイユニット50は、それぞれ装置本体1Aの開口1A1を介して装置本体1Aから引き出し可能に装置本体1Aに装着されている。言い換えると、転写ユニット40とトレイユニット50は、装置本体1Aの内部から外部に移動可能に構成されている。前後方向Hについて、装置本体1Aは、開口1A1が備えられた前側の第1端部1b1と、第1端部1b1と反対の後ろ側の第2端部1b2を有する。トレイユニット50は、開口1A1を通じて、装置本体1Aの内側の第1内側位置と、装置本体1Aの外側の第1外側位置に移動可能である。転写ユニット40は、開口1A1を通じて、装置本体1Aの内側の第2内側位置と、装置本体1Aの外側の第2外側位置に移動可能である。実施例1ではトレイユニット50と転写ユニット40が移動するための共通の開口1A1が設けられているが、装置本体1Aにトレイユニット50が移動するための開口と転写ユニット40が通過するための開口が個別に設けられていてもよい。ここで、ユニット(転写ユニット40とトレイユニット50)が装置本体1Aの外部に位置するとは、少なくともユニットの一部が装置本体1Aの外部に位置することを指し、ユニット全体が装置本体1Aの外部に位置することを要しない。実施例1においては、転写ユニット40が第2外側位置に位置する状態において、ベルト41の少なくとも一部が、装置本体1Aから開口1A1を通じて前側に突出する。
【0030】
トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動する方向を、第1取り出し方向Dd1と呼び、第1取り出し方向Dd1の反対方向を、第1取り付け方向Da1と呼ぶ。第1取り出し方向Dd1は、第2端部1b2(後側)から第1端部1b1(前側)に向かう方向である。
【0031】
また、トレイユニット50が装置本体1Aに装着された状態においてプリンタ1の左右方向と平行な方向をトレイユニット50の幅方向とする。また、トレイユニット50の幅方向と交差するトレイ51の延伸方向をトレイユニット50の長手方向とする。実施例1において、第1内側位置でトレイユニット50が装置本体1Aに装着されている状態においてトレイユニット50の長手方向は前後方向Hと交差する。
【0032】
転写ユニット40が第2内側位置から第2外側位置に移動する方向を、第2取り出し方向Dd2と呼び、第2取り出し方向Dd2の反対方向を、第2取り付け方向Da2と呼ぶ。第2取り出し方向Dd2において、駆動ローラ46はテンションローラ47の下流側に位置される。第2取り出し方向Dd2は、第2端部1b2(後側)から第1端部1b1(前側)に向かう方向である。
【0033】
また、転写ユニット40が装置本体1Aに装着された状態においてプリンタ1の左右方向と平行な方向を転写ユニット40の幅方向とする。また、転写ユニット40の幅方向と交差する方向であって、駆動ローラ46の回転中心とテンションローラ47の回転中心を結ぶ線に平行な方向を転写ユニット40の長手方向とする。実施例1において、第2内側位置で転写ユニット40が装置本体1Aに装着されている状態において転写ユニット40の長手方向は前後方向Hと交差する。
【0034】
第1取り出し方向Dd1と第1取り付け方向Da1は、感光ドラム61の回転軸線方向に交差する方向(好ましくは直交する方向)である。第2取り出し方向Dd2と第2取り付け方向Da2は、駆動ローラ46の回転軸線方向に交差する方向(好ましくは直交する方向)である。駆動ローラ46の回転軸線方向は、感光ドラム61の回転軸線方向と平行である。
【0035】
前後方向Hにおいて、装置本体1Aの第1端部1b1側には、定着装置80が配置されている。定着装置80は、第1内側位置に位置するトレイユニット50に対して第1端部1b1側に位置する。
【0036】
装置本体1Aに取り付けられたドア20は、閉位置と開位置の間を移動可能である。
図1に示されるように、ドア20が閉位置にある状態(ドア20の閉じ状態)では、ドア20は開口1A1を覆う。
図2に示されるように、ドア20が開位置にある状態(ドア20の開き状態)では、開口1A1が露出される。
【0037】
図1に示されるように、ドア20が閉位置にある状態では、ドア20は装置本体1Aに取り付けられた定着装置80を覆う。より具体的には、ドア20が閉位置にある状態では、ドア20の上カバー部20bが、定着装置80の上方に位置し、定着装置80を上方から覆う。ドア20の上カバー部20bは、プリンタ1の外装部の一部としての機能を有する。
【0038】
ドア20は、定着装置80が装置本体1Aに支持された状態で、開位置と閉位置とに移動することができる。言い換えれば、ドア20は、装置本体1Aに支持された定着装置80から離れるように、閉位置から開位置に移動する。したがって、
図2に示されるように、ドア20が開位置にある状態では、ドア20は装置本体1Aに支持された定着装置80から離れている。
【0039】
定着装置80は、開口1A1が広く露出されるように、
図2に示される定着位置から
図3に示される退避位置へと移動可能である。定着装置80の移動機構については詳細を後述する。ドア20が開位置に位置し、定着装置80が退避位置に位置する状態(
図3の状態)で、転写ユニット40とトレイユニット50は、開口1A1を通じて、装置本体1Aの内部から外部に移動可能である。
図4には、転写ユニット40とトレイユニット50が装置本体1Aの外側に移動した(引き出された)状態が示されている。
【0040】
トレイユニット50が装置本体1Aの外部に移動された状態(
図4の状態)で、トレイ51からカートリッジPY、PM、PC、PKを取り外すこと、及びトレイ51にカートリッジPY、PM、PC、PKを取り付けることが許容される。これにより、カートリッジPY、PM、PC、PKを、新しいカートリッジPY、PM、PC、PKに交換することができる。実施例1において、カートリッジPは、トレイ51に対して感光ドラム61の回転軸線に交差する方向(好ましくは直交する方向)に着脱可能である。
【0041】
カートリッジPY、PM、PC、PKは、トレイ51に対して転写ユニット40から遠ざかる方向に移動することで、トレイ51から取り外される。言い換えれば、カートリッジPY、PM、PC、PKは、トレイ51に対して転写ユニット40側と反対側に向けて移動して、トレイ51から取り外される。実施例1において、転写ユニット40はトレイユニット50の下方に配置されている。したがって、カートリッジPY、PM、PC、PKは、トレイ51に対して上方に移動してトレイ51から取り外される。
【0042】
転写ユニット40はトレイユニット50と共に装置本体1Aから引き出し可能、且つト
レイユニット50から独立して装置本体1Aから引き出し可能に構成されている。すなわち、プリンタ1の使用者は転写ユニット40のみを移動させるか、又は転写ユニット40をトレイユニット50と共に引き出すかを選択することができる。転写ユニット40とトレイユニット50の引き出し方法については詳細を後述する。
【0043】
[画像形成動作]
図1を用いて、プリンタ1の画像形成動作について説明する。プリンタ1の制御部3は、外部ホスト装置400から受け取った画像信号に基づいて、シートSへの画像形成動作を開始する。外部ホスト装置400は、例えばパーソナルコンピュータ、イメージリーダ及びファクシミリ等である。
【0044】
シートSへの画像形成が行われるとき、定着装置80は定着位置に位置し、トレイユニット50は第1内側位置に位置し、転写ユニット40は第2内側位置に位置し、ドア20は閉位置に位置する。転写ユニット40が第2内側位置にある状態で、ベルト41は感光ドラム61に当接可能である。また、感光ドラム61をベルト41に対して当接離間させる当接離間機構が設けられていてもよい。このとき、トレイユニット50は転写ユニット40の上方に位置している。
【0045】
画像形成動作に際しては、帯電ローラ62に帯電電圧が印可され、感光ドラム61が回転する。そして、画像情報に対応したレーザがスキャナ2から感光ドラム61に照射され、帯電ローラ62によって帯電された感光ドラム61の表面が露光される。これにより、感光ドラム61の表面に、画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0046】
現像ローラ63はトナーを担持する。現像ローラ63には現像電圧が印可され、感光ドラム61に形成された静電潜像が現像ローラ63から供給されたトナーによって現像され、感光ドラム61の表面にトナー像が形成される。実施例1において、現像ローラ63は感光ドラム61に当接した状態で静電潜像を現像するが、現像ローラ63と感光ドラム61の間に隙間がある状態で、現像ローラ63が静電潜像を現像してもよい。
【0047】
シートSにフルカラー画像を形成するとき、各カートリッジPの感光ドラム61に各色のトナー像が形成される。
【0048】
なお、実施例1において、トレイユニット50が第1内側位置にある状態で、現像ローラ63は、感光ドラム61に当接する当接位置と感光ドラム61から離間した離間位置との間を移動可能である。具体的には、装置本体1Aに備えられた切替装置によって、現像ローラ63が当接位置にある状態と、現像ローラ63が離間位置にある状態とが切り替えられる。これにより、画像形成動作が行われない状態では、現像ローラ63を感光ドラム61から離間させておくことができる。
【0049】
プリンタ1は、カートリッジPKに対応する現像ローラ63と感光ドラム61が当接し、カートリッジPY、PM、PCのそれぞれに対応する現像ローラ63と感光ドラム61が離間した状態で、モノカラー印刷を行うことができる。また、プリンタ1は、カートリッジPY、PM、PC、PKに対応する感光ドラム61とベルト41が当接した状態で、フルカラー印刷を行うことができる。
【0050】
それぞれの感光ドラム61に形成されたトナー像は一次転写部においてベルト41上に転写され、ベルト41と二次転写ローラ45によって形成される二次転写部に向けて搬送される。
【0051】
装置本体1Aには、定着装置80に向かうシートSが通過する搬送路(第1経路、第1
搬送路)1cが形成されている。シートSは、シート給送部30から定着装置80まで、搬送路1cを通るように、複数のローラ等により構成される搬送部によって搬送される。また、ドア20には、定着装置80を通過したシートSが通過する両面搬送路(第2経路、第2搬送路)20aが形成されている。ドア20は、閉状態において搬送路1cを覆っている。また、ドア20は装置本体1Aと共に搬送路1cを形成する搬送路形成部としての機能を有すると言うこともできる。ドア20が開かれることで、
図2に示されるように、搬送路1cと、両面搬送路20aが露出される。
【0052】
シート給送部30において、シートSが積載されている積載トレイ31から、所定のタイミングで供給ローラ32により1枚のシートSが分離給紙され、搬送路1cを通って二次転写部及び定着装置80に向けてシートSが搬送される。そして、ベルト41に形成されたトナー像とシートSとがタイミングを合わせて二次転写部に到達する。
【0053】
二次転写部において、ベルト41からシートSにトナー像が転写される。シートSに転写されなかったトナーは、清掃部43内に設けられたクリーニングブレード(清掃部材)43Aによってベルト41から取り除かれる。清掃部43は、画像形成時のベルト41の回転方向において二次転写部の下流側、且つ一次転写部の上流側に配置されている。なお、画像形成時のベルト41の回転方向は、
図1において反時計回り方向である。
【0054】
二次転写部においてトナー像が転写されたシートSは、定着装置80に向けて搬送される。定着装置80において、シートSは定着部81で加熱及び加圧され、トナー像がシートSに定着される。トナー像が定着されたシートSは経路切替部としてのフラッパ5に向けて搬送される。
【0055】
フラッパ5は、定着装置80を通過したシートSを排紙路1dに向けて案内する排紙位置と、反転路1eに向けて案内する反転位置とに移動可能である。
【0056】
シートSの片面に画像が形成される片面印刷が行われる場合、シートSはフラッパ5によって排紙路1dに案内され、装置本体1Aの上部に形成された排出トレイ1fに排出される。
【0057】
一方、シートSの両面(表面及び裏面)に画像が印刷される両面印刷が行われる場合、シートSはフラッパ5によって反転路1eに案内される。反転路1eにシートSが案内された後、シートSの搬送方向が反転し、シートSはドア20に形成された両面搬送路20aを通って、二次転写部に向けて搬送される。二次転写部において、シートSの裏面にトナー像が転写された後、シートSは定着装置80を通過し、フラッパ5によって排紙路1dに案内され、装置本体1Aの排出トレイ1fに排出される。
【0058】
[各種ユニットの配置構成]
図1、
図2、
図3、
図4、
図5を用いて、装置本体1Aを構成するトレイユニット50や転写ユニット40、定着装置80といった各種ユニットの配置構成について説明する。特に、トレイユニット50及び転写ユニット40の装置本体1Aに対する引き出し時の移動空間(移動軌跡)と、定着装置80の配置位置について詳細に説明する。
【0059】
プリンタ1の定着装置80は、水平方向で装置本体1Aの第1端部1b1側に配置されている。また、転写ユニット40とトレイユニット50は、装置本体1Aの第1端部1b1側に設けられた開口1A1を通じて装置本体1Aの外部に移動する。
【0060】
実施例1においては、定着装置80は装置本体1Aの第2端部1b2よりも第1端部1b1に対して近い位置に配置されている。つまり、水平方向について、定着装置80と第
1端部1b1との距離は、定着装置80と第2端部1b2との距離よりも短い。定着装置80は、水平方向における装置本体1Aの中間点よりも、第1端部1b1に近い位置に配置されており、水平方向における第1端部1b1と定着装置80との距離は、第1端部1b1と装置本体1Aの中間点との距離よりも短い。
【0061】
トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動するとき、トレイユニット50の移動方向は感光ドラム61の回転軸線に交差する方向(第1取り出し方向Dd1)である。このときトレイユニット50は、第2端部1b2から遠ざかるように移動する。
【0062】
同様に、転写ユニット40が第2内側位置から第2外側位置に移動するとき、転写ユニット40の移動方向は駆動ローラ46の回転軸線に交差する方向(第2取り出し方向Dd2)である。このとき転写ユニット40は、第2端部1b2から遠ざかるように移動する。
【0063】
装置本体1Aの第1端部1b1側に設けられたドア20は、閉じ状態で開口1A1を覆うと共に、シートSの搬送路1cの少なくとも一部を覆う。また、ドア20は両面搬送路20aを備える。シートSの詰まり(以下、ジャムと呼ぶ)が起きた場合、プリンタ1の使用者は、装置本体1Aの第1端部1b1側からシートSを取り除き、ジャムを解消することができる。具体的には、ドア20を開位置に移動することで、使用者は装置本体1Aの内部の搬送路1cやドア20の両面搬送路20aにアクセスしてシートSを取り除くことができる。また、定着装置80を通過したシートSの一部が装置本体1Aの外部に露出している場合は、ドア20を開くことなくシートSを装置本体1Aの外部から引っ張って、シートSを取り除くことができる。
【0064】
さらに、プリンタ1の使用者は、装置本体1Aの第1端部1b1側から転写ユニット40とトレイユニット50を装置本体1Aから引き出して装置本体1Aの外部に移動させることができる。同様に、使用者は装置本体1Aの第1端部1b1側から転写ユニット40とトレイユニット50を装置本体1Aの内部に挿入して装置本体1Aの内部に移動させることができる。すなわち、使用者は装置本体1Aの第1端部1b1側から、転写ユニット40やカートリッジPの状態の確認、メンテナンス、交換などの作業を行うことができる。
【0065】
さらに、シートSが積載された積載トレイ31は装置本体1Aの第1端部1b1側から引き出し可能に構成されている。したがって、プリンタ1の使用者は、装置本体1Aの第1端部1b1側からシートSを補充できる。
【0066】
上述の通り、プリンタ1において、定着装置80やドア20は装置本体1Aの第1端部1b1側に配置されている。そして、転写ユニット40とトレイユニット50は装置本体1Aの第1端部1b1側の開口1A1を通じて装置本体1Aの内外に移動可能に構成され、積載トレイ31も装置本体1Aの第1端部1b1側から引き出される。このような構成により、使用者はジャムの解消、定着装置80へのアクセス、転写ユニット40とトレイユニット50の取り付け及び取り出し操作、シートSの補充を同一の方向(実施例1では前側)から行うことができる。
【0067】
実施例1では、プリンタ1はドア20が設けられた第1端部1b1側を正面とされている。したがって、プリンタ1を設置するにあたって、ジャムの解消や転写ユニット40とトレイユニット50の操作などの作業をプリンタ1の正面から行うためのスペースが確保されていればよい。一方で、これらの作業をプリンタ1の左面、右面、背面、上面から行うためのスペースを確保する必要はない。したがって、実施例1の構成によれば、プリンタ1を省スペースで設置することができる。
【0068】
仮に、転写ユニット40又はトレイユニット50が装置本体1Aの第2端部1b2側から引き出される場合、ジャムの解消と転写ユニット40やトレイユニット50の引き出しのために、使用者は装置本体1Aの両端側からアクセスする必要がある。また、転写ユニット40とトレイユニット50の一方が装置本体1Aの一端側から引き出され、他方が他端側から引き出される場合にも、使用者は装置本体1Aの両端側からアクセスする必要がある。そのため、装置本体1Aの正面だけでなく背面から作業するためのスペースが必要となり、プリンタ1を設置するために必要となる面積が増えてしまう。
【0069】
[トレイユニットと定着装置の位置関係]
図1、
図2、
図3、
図4、
図6、
図7を用いて、トレイユニット50と定着装置80の配置関係について説明する。
図6、
図7は、転写ユニット40とトレイユニット50の移動を説明する図であり、プリンタ1を左右方向に見たときの模式的断面図である。
図6にはドア20が閉状態のプリンタ1が示され、
図7にはドア20が開状態のプリンタ1が示されている。
【0070】
トレイユニット50は、シートSに対する画像形成動作が行われる第1内側位置と、カートリッジPの交換が許容される第1外側位置とに移動する際、所定の空間を通過する。以下、トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動する際に通過する空間(トレイユニット50の移動空間)を、第1空間Q1と呼ぶ。第1空間Q1は、トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動する際に通過する経路もしくは軌跡(第1移動経路、第1移動軌跡)と呼ぶこともできる。
図6、
図7には、第1外側位置と第1内側位置のトレイユニット50のそれぞれのおおよその外形線が破線で示され、第1空間Q1が点線で示されている。
【0071】
転写ユニット40は、シートSに対する画像形成動作が行われる第2内側位置と、第2外側位置とに移動する際、所定の空間を通過する。以下、転写ユニット40が第2内側位置から第2外側位置に移動する際に通過する空間(転写ユニット40の移動空間)を、第2空間Q2と呼ぶ。第2空間Q2は、転写ユニット40が第2内側位置から第2外側位置に移動する際に通過する経路もしくは軌跡(第2移動経路、第2移動軌跡)と呼ぶこともできる。
図6、
図7には、第2外側位置と第2内側位置の転写ユニット40のそれぞれのおおよその外形線が破線で示され、第2空間Q2が点線で示されている。
【0072】
シートSに対する画像形成動作が行われる際、定着装置80は
図6に示されるように定着位置に位置する。定着位置に位置する定着装置80は第1内側位置に位置するトレイユニット50に対して第1端部1b1側に位置し、その一部は第1空間Q1に重なっている。すなわち、定着装置80が定着位置にある状態で、定着装置80の少なくとも一部は第1空間Q1の内側にある。
【0073】
また、
図6に示されるように、実施例1においては、ドア20が閉じ状態にあるとき、ドア20に設けられた両面搬送路20aの少なくとも一部は、第1空間Q1と重なっている。すなわち、ドア20が閉じ状態にあるとき、両面搬送路20aの少なくとも一部は、第1空間Q1の内側にある。
【0074】
定着装置80が定着位置にある状態では、トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動しようとすると、トレイユニット50が定着装置80と干渉し、トレイユニット50の引き出しが規制される。そこで、定着装置80は定着位置から退避可能に構成されている。具体的には、定着装置80は定着位置と、定着位置から退避した退避位置との間を移動可能に構成されている。
図7には、退避位置と定着位置の定着装置80のそれぞれのおおよその外形線が破線で示されている。定着装置80が定着位置から退避した
退避位置に位置するとき、定着装置80の全体は第1空間Q1の外側に位置し、トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動することが許容される。
【0075】
トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動するとき、トレイユニット50は退避位置に位置する定着装置80の下方を通過する。なお、定着装置80は、定着位置と退避位置において、第2空間Q2の外側にある。したがって、定着装置80が定着位置にある状態及び定着装置80が退避位置にある状態の両方の状態において、転写ユニット40は第2内側位置から第2外側位置に移動することができる。したがって、転写ユニット40のみを装置本体1Aから引き出す場合には、定着装置80を移動させる必要がない。転写ユニット40が第2内側位置から第2外側位置に移動するとき、転写ユニット40は定着装置80の下方を通過する。
【0076】
このような構成により、定着位置にある定着装置80の一部が第1空間Q1に重なるように定着装置80を装置本体1Aに配置することができるため、定着装置80の全体を第1空間Q1の外側に位置する構成と比較して、装置本体1Aを小型化することができる。なお、実施例1においては、定着装置80の少なくとも一部は、トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動する際、カートリッジPが通過する空間と重なっているが、定着装置80はトレイ51が通過する空間と重なるように配置されていてもよい。
【0077】
トレイユニット50を装置本体1Aの外側に引き出す際には、まず、
図2のようにドア20を開位置に移動する。実施例1において、定着装置80が定着位置に位置された状態で、ドア20は開位置と閉位置に移動することができる。そして、ドア20が開位置にある状態で、
図3のように定着装置80を第1空間Q1の外側に移動するように、定着位置から退避位置に移動させることができる。
【0078】
また、定着装置80は、定着位置から持ち上げられることで定着位置の上方の退避位置に移動する。言い換えれば、退避位置は定着位置よりも高い位置である。
図7に示されるように、定着装置80が退避位置にあるとき、定着装置80の少なくとも一部は装置本体1Aの外側に向けて装置本体1Aから突出した位置にある。さらに、定着装置80が退避位置にあるとき、定着装置80の少なくとも一部は、閉位置にあるドア20の上カバー部20bの位置よりも高い位置に位置する。これにより、鉛直方向Vについて、定着装置80が定着位置にあるときのプリンタ1のサイズを小さく維持しつつ、定着装置80を退避位置に移動することでトレイユニット50が移動するための空間を確保することができる。使用者は、定着装置80が第1空間Q1の外側の退避位置に位置する状態で、トレイハンドル52を掴んで、トレイユニット50を装置本体1Aの外側に向けて移動させることができる。また、定着装置80が退避位置にある状態ではドア20は閉位置に移動することが制限されるため、定着装置80を定着位置に戻し忘れてドア20を閉めることが防止される。
【0079】
実施例1に係る定着装置80の移動機構について具体的に説明する。定着装置80は、定着部81を支持する定着枠体80aを有する。定着装置80が定着位置から退避する際、定着枠体80aは、定着部81を支持した状態で装置本体1Aに対して変位する。
【0080】
実施例1に係る定着装置80は、装置本体1Aに取り付けられた状態で定着位置と退避位置との間を移動可能である。定着装置80が退避位置にあるとき、定着装置80の全体が第1空間Q1の外側に位置される。
【0081】
プリンタ1は、装置本体1Aに対して移動可能に連結された連結部材(定着連結部材、定着リンク、アーム)85を有する。定着装置80は、連結部材85を介して装置本体1Aに連結されている。
【0082】
連結部材85は、回動中心85Aを中心に回動可能な回動部材である。連結部材85は、プリンタ1の左右方向に延びる回動軸線を中心に回動する。トレイユニット50を装置本体1Aの外側に引き出す際には、連結部材85は第1空間Q1の外側に移動される。連結部材85の一端部には定着装置80が接続されており、連結部材85の他端は装置本体1Aに接続されている。定着装置80は、連結部材85に支持された状態(連結部材85を介して装置本体1Aに連結された状態)で、定着位置から退避位置に移動可能、また退避位置から定着位置に移動可能である。また、連結部材85は定着装置80に対して回動可能に連結されており、定着装置80は定着位置にあるときの姿勢を保ったまま退避位置へと移動することができる。このように、定着装置80が連結部材85を介して装置本体1Aに接続される構成とすることで、定着装置80が退避位置と定着位置との間で移動するときの定着装置80の移動量を大きくすることができる。
【0083】
図7に示されるように、トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動するとき、トレイユニット50の移動方向と水平方向のなす角は、トレイユニット50の移動方向と鉛直方向Vのなす角よりも小さい。さらに、定着装置80が定着位置から退避位置に移動するとき、鉛直方向Vについての定着装置80の移動量は、水平方向についての定着装置80の移動量よりも大きい。言い換えれば、定着装置80が定着位置から退避位置に移動するとき、トレイユニット50の移動方向とおおよそ直交する方向の定着装置80の移動量は、トレイユニット50の移動方向と平行な方向の定着装置80の移動量よりも大きい。
【0084】
なお、定着装置80は、装置本体1Aに固定されたガイドを介して装置本体1Aに取り付けられた状態で定着位置と退避位置に移動するように構成されてもよい。また、定着装置80を第1空間Q1の外側に移動するための方法は、これに限られない。例えば、定着装置80を定着位置から退避するように装置本体1Aから取り外し可能として、定着装置80を第1空間Q1の外側に移動してもよい。つまり、定着装置80を装置本体1A及びドア20から分離(メインフレーム100から分離)することで、定着装置80を第1空間Q1の外側に位置させてもよい。また、定着装置80をドア20に連結し、ドア20を開くことで定着装置80が第1空間Q1の外側に移動する構成としてもよい。
【0085】
[トレイユニットと転写ユニットの位置関係]
図1、
図2、
図3、
図4、
図5、
図6、
図7を用いて、トレイユニット50と転写ユニット40の位置関係について説明する。
【0086】
シートSに対する画像形成動作が行われる際、転写ユニット40は第2内側位置に位置する。そして、
図6、
図7に示されるように、転写ユニット40の一部は、第1空間Q1の内側にある。より具体的には、転写ユニット40の一部である清掃部43は、トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動する際にトレイ51が通過する空間の内部に位置する。これにより、第2内側位置にある転写ユニット40の全体が第1空間Q1の外側に配置される構成と比較して、装置本体1Aを小型化することができる。なお、実施例1では、清掃部43はトレイ51が通過する空間に重なっているが、カートリッジPが通過する空間に重なっていてもよい。また、転写ユニット40の清掃部43以外の部分が第1空間Q1に重なっていてもよい。また、実施例1においては第2内側位置にある転写ユニット40の清掃部材43Aは第1空間Q1に重なっている。
【0087】
実施例1において、トレイユニット50が第1内側位置にあり、転写ユニット40が第2内側位置にある状態では、清掃部43はトレイユニット50に対して第1取り出し方向Dd1の下流側に位置する。また、鉛直方向Vについて、清掃部43が配置される領域(範囲)とトレイユニット50が配置される領域(範囲)は少なくとも部分的に重なる。ト
レイユニット50が装置本体1Aから引き出される際は、転写ユニット40も同時に引き出されるため、清掃部43がトレイユニット50の引き出し動作を阻害するおそれはない。また、トレイユニット50と転写ユニット40が一体的に移動することで、トレイユニット50が第1外側位置に移動する際に、感光ドラム61が露出されることを抑制し、感光ドラム61に傷や汚れが付くことを抑制できる。
【0088】
また、実施例1においては、搬送路1cは、第1空間Q1と第2空間Q2に重なっている。言い換えると、シートSは、第1空間Q1と第2空間Q2を通過してシート給送部30から定着装置80まで搬送される。また、ドア20が閉じ状態にあるとき、両面搬送路20aの少なくとも一部は、転写ユニット40が第2内側位置から第2外側位置に移動する際に通過する第2空間Q2に重なっている。すなわち、ドア20が閉じ状態にあるとき、両面搬送路20aの少なくとも一部は、第2空間Q2の内側にある。
【0089】
図4に示されるように、ドア20が開位置にあり、トレイユニット50が第1外側位置にあり、転写ユニット40が第2外側位置にある状態では、転写ユニット40がトレイユニット50の下方からトレイユニット50を支持する。さらに、実施例1においては、ドア20が転写ユニット40を支持する。つまり、ドア20に支持された転写ユニット40がトレイユニット50を支持する。この状態は、ドア20が転写ユニット40を介してトレイユニット50を支持しているということもできる。
【0090】
[トレイユニットと転写ユニットの係合構成]
図8、
図9、
図10を用いて、トレイユニット50と転写ユニット40の係合構成について説明する。
図8、
図9、
図10は、トレイユニット50と転写ユニット40とが互いに係合するための係合構成を説明する図である。
図8、
図10は、トレイユニット50と転写ユニット40の長手方向の一端部、且つ幅方向の一端部を示す斜視図である。
図9は、トレイユニット50と転写ユニット40の長手方向の一端部(テンションローラ47の近傍)を示す図であり、トレイユニット50(転写ユニット40)の幅方向から見た側面図である。
【0091】
トレイユニット50は、トレイ51に設けられているロック部材(連結部材、レバー、ストッパ)53を備える。ロック部材53は、転写ロック部53Aを有し、回動中心53Bの周りに回動可能な回動部材である。また、トレイ51は転写ユニット40と係合する係合部である転写連結部51Aを有する。転写連結部51Aは、トレイ51の長手方向及び幅方向の一端部に設けられ、幅方向の外側から内側に向かって突出するように形成されている。
【0092】
転写ユニット40は、駆動ローラ46と、テンションローラ47と、4つの一次転写ローラ42を支持する転写フレーム48とを備える。転写フレーム48は、トレイ連結溝48Aと、ロック連結部48Bとを有し、転写ユニット40の長手方向の一端部から他端部まで延びる支持部材である。トレイ連結溝48Aは、転写ユニット40の幅方向と第2取り付け方向Da2に開口し、転写連結部51Aと係合する被係合部である。ロック連結部48Bは、ロック部材53の回動軌跡上に位置し、ロック部材53と係合する被係合部である。
【0093】
トレイ連結溝48Aは、第2取り付け方向Da2を向く面と、当該面から第2取り付け方向Da2に向かって延びて互いに対向する2つの面とを有する。トレイユニット50が第1内側位置に位置し、転写ユニット40が第2内側位置に位置する状態において、
図9に示されるように、転写連結部51Aはトレイ連結溝48Aの内側に位置する。このとき、転写連結部51Aは、トレイ連結溝48Aを構成する3面に対して間隔を有して配置される。
【0094】
トレイ連結溝48Aと転写連結部51Aにより、トレイユニット50は転写ユニット40に対して第1取り出し方向Dd1と、第1取り出し方向Dd1に直交する方向に移動することが規制される。一方、転写ユニット40は、トレイユニット50に対して、第2取り付け方向Da2と、第2取り付け方向Da2に直交する方向に移動することが規制される。すなわち、トレイユニット50と転写ユニット40は、トレイ連結溝48Aと転写連結部51Aの間の間隔分以上、所定の方向に相対的に移動することを互いに規制する。
【0095】
なお、トレイ連結溝48Aと転写連結部51Aは、テンションローラ47の回転軸線方向におけるテンションローラ47の両端部付近、駆動ローラ46の回転軸線方向における駆動ローラ46の両端部付近の合計4か所に設けられている。すなわち、トレイユニット50や転写ユニット40の長手方向の両端部、且つ幅方向の両端部にトレイユニット50と転写ユニット40の係合構成は設けられている。したがって、転写連結部51Aが下方からトレイ連結溝48Aに当接することで、トレイユニット50は転写ユニット40を支持することが可能である。また、トレイ連結溝48Aが下方から転写連結部51Aに当接することで、転写ユニット40はトレイユニット50を支持することが可能である。
【0096】
ロック部材53は、回動中心53Bの周りに回転することで、転写ロック部53Aがロック連結部48Bに係合する連結位置と、転写ロック部53Aがロック連結部48Bから離れて係合しない解除位置との間を移動可能に構成されている。
【0097】
ロック連結部48Bは、第1取り出し方向Dd1を向く面と、当該面に対向して第1取り付け方向Da1を向く面とを有する溝形状に形成されている。ロック部材53が連結位置にあるとき、転写ロック部53Aが第1取り出し方向Dd1を向く面と、当該面に対向して第1取り付け方向Da1を向く面との間に位置する。したがって、ロック部材53が連結位置に位置するとき、トレイユニット50は転写ユニット40に対して第1取り出し方向Dd1に移動することが規制される。同様に、ロック部材53が連結位置に位置するとき、転写ユニット40はトレイユニット50に対して第2取り出し方向Dd2に移動することが規制される。ただし、ロック部材53が連結位置にある状態において、転写ロック部53Aとロック連結部48Bとの間に第1取り出し方向Dd1及び第1取り付け方向Da1に遊び(隙間)があってもよい。
【0098】
なお、ロック連結部48Bとロック部材53は、転写ユニット40とトレイユニット50のそれぞれの幅方向の端部に設けられていてもよい。すなわち、2以上のロック連結部48Bが転写ユニット40に設けられていてもよく、ロック連結部48Bと同数のロック部材53がトレイユニット50に設けられていてもよい。
【0099】
このように、転写連結部51Aとロック部材53はトレイ側連結装置としての機能を有し、トレイ連結溝48Aとロック連結部48Bは転写側連結装置としての機能を有するということができる。トレイ側連結装置と転写側連結装置とが連結(係合)することにより、トレイユニット50と転写ユニット40が連結(係合)され、トレイユニット50と転写ユニット40は一体的に移動することができる。
【0100】
また、
図10に示されるように、装置本体1Aはロック解除部1Bを有する。ロック解除部1Bは、ロック部材53を転写位置から解除位置に移動させる部分である。トレイユニット50が第1内側位置にあり、転写ユニット40が第2内側位置にある状態では、ロック解除部1Bはロック部材53をロック連結部48Bから持ちあげるようにロック部材53に接触し、ロック部材53は解除位置にある。この状態では、転写ロック部53Aはロック連結部48Bから離れ、転写ユニット40のトレイユニット50に対する第2取り出し方向Dd2の移動は規制されない。
【0101】
ロック部材53が解除位置にある状態でトレイユニット50を第1取り出し方向Dd1に移動すると、転写連結部51Aによって転写ユニット40(トレイ連結溝48A)が第2取り出し方向Dd2に向けて押される。その結果、転写ユニット40もトレイユニット50と一体的に第2取り出し方向Dd2に向けて移動される。トレイユニット50が第1取り出し方向Dd1に所定距離移動すると、ロック部材53がロック解除部1Bから離れ、連結位置に移動しロック連結部48Bに係合する。したがって、トレイユニット50を装置本体1Aから引き出す過程でロック部材53は解除位置から連結位置に移動する。そして、ロック部材53が連結位置にありロック連結部48Bに係合した状態で、トレイユニット50は第1外側位置に、転写ユニット40は第2外側位置に移動される。
【0102】
トレイユニット50が第1外側位置にあり、転写ユニット40が第2外側位置にある状態において、ロック部材53は連結位置にありロック連結部48Bに係合する。ロック部材53がロック連結部48Bに係合した状態で、トレイユニット50を第1取り付け方向Da1に移動すると、ロック部材53によって転写ユニット40(ロック連結部48B)が第2取り付け方向Da2に向けて押される。その結果、転写ユニット40もトレイユニット50と一体的に第2取り付け方向Da2に向けて移動される。
【0103】
ロック部材53がロック連結部48Bに係合した状態で、転写ユニット40を第2取り付け方向Da2に移動すると、トレイ連結溝48Aによってトレイユニット50(転写連結部51A)が第1取り付け方向Da1に向けて押される。その結果、トレイユニット50も転写ユニット40と一体的に第1取り付け方向Da1に向けて移動される。
【0104】
ロック解除部1Bは、第1取り出し方向Dd1の端部に、第1取り付け方向Da1に向かうにつれて上方に傾斜する斜面を有する。トレイユニット50が第1外側位置から第1内側位置に移動する過程でロック部材53は当該斜面に当接して、ロック連結部48Bから離れる方向に徐々に回動する。そして、ロック部材53は、ロック解除部1Bの斜面を乗り越えるとロック解除部1Bに支持されて解除位置に位置する。
【0105】
上述の通り、トレイユニット50と転写ユニット40を一体的に装置本体1Aの内側に向けて移動する場合、ロック解除部1Bによってロック部材53が解除位置に移動される。この状態では、トレイユニット50を第1取り付け方向Da1に移動させても、転写ユニット40は移動しない。一方、ドア20を閉じる過程で、二次転写ローラ45が転写ユニット40と接触する力によって、転写ユニット40は第2取り付け方向Da2に向けて押され、装置本体1Aの奥(第2内側位置)まで押し込まれる。つまり、転写ユニット40が第2内側位置に位置されるように、ドア20は転写ユニット40を押すことができる。同様に、トレイユニット50が第1内側位置に位置されるように、ドア20がトレイユニット50を押す構成としてもよい。
【0106】
一方、ロック部材53が解除位置にあり、トレイユニット50が第1内側位置にある状態で、転写ユニット40を第2取り出し方向Dd2に移動すると、転写ユニット40はトレイユニット50から独立して第2内側位置から第2外側位置に移動することができる。したがって、実施例1におけるプリンタ1においては、
図5に示されるように、トレイユニット50が装置本体1Aの内側(第1内側位置)に位置した状態で、転写ユニット40を装置本体1Aの外側(第2外側位置)に移動することができる。第2外側位置にある転写ユニット40は装置本体1Aから取り外し可能であり、使用者は新しい転写ユニット40に交換することができる。
【0107】
実施例1では、トレイユニット50が第1内側位置にある状態では、トレイユニット50は転写ユニット40から独立して装置本体1Aに対して位置決めされる。また、転写ユ
ニット40が第2内側位置にある状態では、転写ユニット40はトレイユニット50から独立して装置本体1Aに対して位置決めされる。このような構成とすることで、転写ユニット40とトレイユニット50のそれぞれを装置本体1Aに対して精度よく位置決めできる。そのため、トレイユニット50が第1内側位置にあり、転写ユニット40が第2内側位置にある状態では、トレイ連結溝48Aと転写連結部51Aの間にはクリアランスが設けられている。
【0108】
なお、トレイユニット50が第1内側位置にあり、転写ユニット40が第2内側位置にある状態で、トレイユニット50と転写ユニット40が互いに位置決めできるように、トレイ連結溝48Aと転写連結部51Aの間のクリアランスをなくしてもよい。この場合、転写ユニット40とトレイユニット50を互いに対して精度よく位置決めすることができる。
【0109】
[トレイユニットと転写ユニットの姿勢と移動方向]
次に、トレイユニット50と転写ユニット40の姿勢と移動方向について、詳細に説明する。
図1、
図6、
図7に示されるように、トレイユニット50と転写ユニット40は、装置本体1Aに装着されている状態では、水平方向(前後方向H)に対して傾いている。すなわち、トレイユニット50と転写ユニット40は、装置本体1Aに装着されている状態において、トレイユニット50の長手方向と転写ユニット40の長手方向は水平方向に対して交差する。
【0110】
トレイユニット50が第1内側位置にある状態では、第1端部1b1に最も近いカートリッジPYの感光ドラム61の回転軸線は、第1端部1b1から最も遠いカートリッジPKの感光ドラム61の回転軸線よりも、鉛直方向Vで上方に位置する。
【0111】
トレイユニット50が第1内側位置にある状態で、4つの感光ドラム61を第1端部1b1から遠いものから順に第1感光ドラム、第2感光ドラム、第3感光ドラム、第4感光ドラムと称して、より具体的に説明する。第2感光ドラムは第1感光ドラムよりも第1端部1b1に近く、かつ第2感光ドラムの回転軸線は、第1感光ドラムの回転軸線よりも鉛直方向Vで上方に位置する。同様に、第3感光ドラムは第2感光ドラムよりも第1端部1b1に近く、かつ第3感光ドラムの回転軸線は、第2感光ドラムの回転軸線よりも鉛直方向Vで上方に位置する。第4感光ドラムは第3感光ドラムよりも第1端部1b1に近く、かつ第4感光ドラムの回転軸線は、第3感光ドラムの回転軸線よりも鉛直方向Vで上方に位置する。
【0112】
ここで、各感光ドラム61の回転中心を結ぶ直線を直線LDとする。直線LDは、トレイユニット50の長手方向と平行な方向に延びる。実施例1においては、トレイユニット50が第1内側位置にあるとき、直線LDは第1端部1b1から遠い側から第1端部1b1に近い側に向けて、水平方向に対して上方に傾斜する。
【0113】
さらに、第1感光ドラム、第2感光ドラム、第3感光ドラム、第4感光ドラムに当接するベルト41の当接面は、第1端部1b1から遠い側から、第1端部1b1に近い側に向けて、上方に傾斜する。当該当接面は、転写ユニット40の長手方向と平行に延びる面であり、駆動ローラ46の回転中心とテンションローラ47の回転中心を結ぶ線と平行に延びる面である。
【0114】
トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動するとき、トレイユニット50は、まず水平方向に対して傾斜した方向(実施例1においては、水平方向に対して上方に傾斜した方向)に移動する。つまりトレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動するとき、トレイユニット50は斜め上方に向けて移動する。その後、トレイ
ユニット50の移動方向は、斜め上方から、下方に向けて変化する。実施例1においては、トレイユニット50の移動方向(第1取り出し方向Dd1)は斜め上方から水平方向に変化するが、このような構成には限られない。例えば、トレイユニット50の移動方向は、水平方向に対して斜め下方を含んでもよい。反対に、トレイユニット50の第1取り付け方向Da1は、水平方向から斜め下方に変化する。
【0115】
直線LDと水平方向のなす角は、トレイユニット50が第1内側位置にあるときよりもトレイユニット50が第1外側位置にあるときのほうが小さい。実施例1において、トレイユニット50が第1外側位置にあるとき、直線LDは水平方向と平行であるが、このような構成には限られない。例えば、トレイユニット50が第1外側位置にあるとき、直線LDは水平方向に対して傾斜してもよい。
【0116】
同様に、転写ユニット40が第2内側位置から第2外側位置に移動するとき、転写ユニット40の移動方向(第2取り出し方向Dd2)は、斜め上方から、下方に向けて変化する。実施例1においては、転写ユニット40の移動方向は斜め上方から水平方向に変化するが、このような構成には限られない。例えば、転写ユニット40の移動方向は、水平方向に対して斜め下方に向かう方向を含んでもよい。反対に、転写ユニット40の第2取り付け方向Da2は、水平方向から斜め下方に変化する。
【0117】
転写ユニット40の長手方向と水平方向のなす角は、転写ユニット40が第2内側位置にあるときよりも転写ユニット40が第2外側位置にあるときのほうが小さい。実施例1において、転写ユニット40が第2外側位置にあるとき、転写ユニット40の長手方向は水平方向と平行であるが、ベルト41の当接面が水平方向に対して下方又は上方に傾斜していてもよい。
【0118】
トレイユニット50を第1外側位置から第1内側位置に移動する場合、トレイユニット50は、水平方向に移動した後に、途中から斜め下方に移動する。転写ユニット40を第2外側位置から第2内側位置に移動する場合、転写ユニット40は、水平方向に移動した後に、途中から斜め下方に移動する。このような構成によれば、トレイユニット50及び転写ユニット40を装置本体1Aに挿入する際、トレイユニット50及び転写ユニット40の自重を利用することができる。
【0119】
[転写ユニットの移動経路]
次に、転写ユニット40の移動経路について、
図11、
図12、
図13(a)、(b)、
図14を用いてより詳細に説明する。
図4に示されるように、メインフレーム100にはメインガイド90が取り付けられている。メインガイド90は、転写ユニット40に係合する係合部材であり、転写ユニット40の移動方向を規制する。
【0120】
図11は、メインガイド90の構成を説明する図である。メインガイド90には、壁91によって上下に仕切られた上部ガイド領域93と、下部ガイド領域92とを有する。上部ガイド領域93と下部ガイド領域92は、メインガイド90に形成された左右方向に開口する溝である。
図8に示されるように、転写ユニット40には幅方向(第2取り出し方向Dd2と直交する方向)に延びる軸状の突起である転写軸49が設けられている。転写軸49は、溝状の上部ガイド領域93と下部ガイド領域92に入り込む突起であり、メインガイド90に係合する被係合部である。実施例1において、転写軸49は転写ユニット40の第2取り付け方向Da2の下流側の端部に設けられている。
【0121】
下部ガイド領域92は、上部ガイド領域93から分岐して、上部ガイド領域93に対して並列に延びる通路である。下部ガイド領域92は、上部ガイド領域93よりも装置本体1Aの内部にあるトレイユニット50から遠い位置に設けられている。実施例1において
は、上部ガイド領域93と下部ガイド領域92は略平行に延びているが、このような構成には限られず、下部ガイド領域92が上部ガイド領域93に対して傾斜して延びていてもよい。
【0122】
壁91の第2取り付け方向Da2の下流側(第2取り出し方向Dd2の上流側)には上部ガイド領域93と下部ガイド領域92を接続する開口として切り欠き部91Aが設けられている。また、壁91の第2取り出し方向Dd2の下流側には上部ガイド領域93と下部ガイド領域92を接続する開口として切り欠き部91Bが設けられている。切り欠き部91Aと切り欠き部91Bは、それぞれ上部ガイド領域93と下部ガイド領域92を接続する接続部として機能する。第2取り出し方向Dd2において、切り欠き部91Aは壁91の上流側に設けられ、切り欠き部91Bは壁91の下流側に設けられる。
【0123】
下部ガイド領域92の第2取り付け方向Da2の下流側端部には、第2取り付け方向Da2に向かうにつれて上方に向かって傾斜する斜面92Aが設けられている。また、下部ガイド領域92の第2取り出し方向Dd2の下流側端部には、第2取り出し方向Dd2と交差(好ましくは直交)する方向に延びるディテント部92Bが設けられている。
【0124】
上部ガイド領域93は、第2取り付け方向Da2の下流側端部の第1領域93Aと、下部ガイド領域92と並列に延びる第2領域93Bと、第2取り出し方向Dd2の下流側端部の第3領域93Cとを含む。第1領域93Aは、切り欠き部91Aに対して第2取り付け方向Da2の下流側に位置する部分を含む。第2領域93Bは、壁91によって下部ガイド領域92と隔てられ、切り欠き部91Aと切り欠き部91Bによって下部ガイド領域92と接続されている。第3領域93Cは、切り欠き部91Bに対して第2取り出し方向Dd2の下流側に位置する部分を含む。
【0125】
メインガイド90の上部には、トレイユニット支持部94が設けられている。トレイユニット支持部94は、トレイユニット50を下方から支持可能に構成されている。なお、トレイユニット50を支持及びガイドするための構成がトレイユニット支持部94とは独立して設けられていてもよい。
【0126】
上部ガイド領域93の第2領域93Bは、転写ユニット40がトレイユニット50と共に引き出される場合に、転写軸49が通過する第1通路として機能する。また、第2領域93Bから分岐した下部ガイド領域92は、転写ユニット40がトレイユニット50から独立して引き出される場合に、転写軸49が通過する第2通路として機能する。以下、転写ユニット40がトレイユニット50から独立して引き出される場合と、転写ユニット40がトレイユニット50と共に引き出される場合、それぞれの場合の転写ユニット40の移動経路について詳細に説明する。
【0127】
(転写ユニットがトレイユニットから独立して移動する場合の移動経路)
まず、転写ユニット40がトレイユニット50から独立して移動する場合の転写ユニット40の移動経路について詳細に説明する。
図12は、転写ユニット40の移動経路を説明する図であり、転写ユニット40がトレイユニット50から独立して第2内側位置から第2外側位置へと移動するときの転写軸49の経路(軌跡)を破線で示す。
【0128】
転写ユニット40が第2内側位置に位置するとき、転写軸49は上部ガイド領域93の第1領域93A内に位置する。転写ユニット40が単独で第2内側位置から第2外側位置に移動するとき、転写軸49は
図12に示されるようにメインガイド90の上部ガイド領域93の第1領域93Aから切り欠き部91Aを通って斜面92Aに沿って下部ガイド領域92に進入する。切り欠き部91Aは、転写ユニット40がトレイユニット50から独立して引き出される場合に、転写軸49が下部ガイド領域92に入るための入口として機
能する。そして、転写ユニット40は、転写軸49が下部ガイド領域92を通過するように、メインガイド90にガイドされながら第2取り出し方向Dd2に移動する。転写軸49がディテント部92Bに突き当たるまで移動した後、転写ユニット40を持ち上げると、転写軸49は切り欠き部91Bを通り、転写ユニット40を装置本体1Aから取り外すことができる。切り欠き部91Bは、転写ユニット40がトレイユニット50から独立して引き出される場合に、転写軸49が下部ガイド領域92から出るための出口として機能する。なお、転写ユニット40の第2外側位置とは、転写軸49がディテント部92Bに突き当たった位置である。
【0129】
トレイユニット50が装置本体1Aに装着された状態で転写ユニット40を第2内側位置へ移動させる際は、転写ユニット40は上述の移動軌跡を反対方向に通る。すなわち、転写軸49は、切り欠き部91Bから下部ガイド領域92に進入し、下部ガイド領域92をその延伸方向に沿って進み、斜面92aを上って上部ガイド領域93の第1領域93Aに到達する。
【0130】
図13(a)、(b)は、転写軸49の誤進入制限構造を説明する図である。
図13(a)は、メインガイド90の第2取り出し方向Dd2の上流側の端部を示す。
図13(b)は、メインガイド90の第2取り付け方向Da2の上流側の端部を示す。
【0131】
転写ユニット40が第2内側位置から第2外側位置に移動し始めるとき、転写ユニット40の自重によって転写軸49は上部ガイド領域93の第1領域93Aから切り欠き部91Aを通って斜面92Aに沿って移動する。しかし、転写ユニット40を持ちあげるように移動させた場合、転写軸49が上部ガイド領域93の第2領域93Bに進入する可能性もある。そこで、実施例1においては、転写ユニット40がトレイユニット50から独立して移動する場合に、転写軸49が第2領域93Bを通って第2外側位置に移動することを制限する制限部(第1制限部)として、トレイユニット50に防止壁51Bが設けられている。また、
図13(a)に示されるように、転写ユニット40には突き当て部48Cが設けられている。トレイユニット50が第1内側位置にある状態で転写軸49が第2領域93Bに進入しようとすると、突き当て部48Cはトレイユニット50の防止壁51Bに突き当たり、転写軸49が第2領域93Bに進入することが制限される。突き当て部48Cが防止壁51Bに当接したとき、第2取り出し方向Dd2において、転写軸49は壁91の上流側に位置している。より具体的には、第2取り出し方向Dd2において、突き当て部48Cが防止壁51Bに当接したとき、第2取り出し方向Dd2において、転写軸49の位置は、切り欠き部91Aの位置と重なる。突き当て部48Cが防止壁51Bに当接したとき、転写軸49が第2領域93Bと下部ガイド領域92の接続部である切り欠き部91Aに位置するように誤進入制限構造は構成されている。
【0132】
防止壁51Bは第1取り出し方向Dd1に向かうにつれて下部ガイド領域92に近づく方向に傾斜している傾斜面を有し、突き当て部48Cは当該傾斜面に当接する。したがって、突き当て部48Cが防止壁51Bに当接した状態で転写ユニット40を引き出そうとすると、転写ユニット40は突き当て部48Cを介して防止壁51Bから下部ガイド領域92に近づく方向に力を受ける。つまり、防止壁51Bの傾斜面は、転写ユニット40が装置本体1Aの外側に引き出されるにつれて、転写軸49が下部ガイド領域92に近づくように、突き当て部48Cを案内する。このような構成により、転写軸49が第2領域93Bを第2取り出し方向Dd2に進むことを制限しつつ、転写軸49を下部ガイド領域92に誘い込むことができる。
【0133】
さらに、実施例1に係るプリンタ1は、突き当て部48Cが防止壁51Bに当接した状態において、トレイユニット50が第1取り出し方向Dd1に移動して装置本体1Aの外側に引き出されることを規制する規制構造70を備える。規制構造70が設けられること
により、突き当て部48Cが防止壁51Bに当接した状態で転写ユニット40がトレイユニット50ごと引き出されることが防止される。規制構造70の詳細は後述する。
【0134】
さらに、壁91の第2取り出し方向Dd2の上流側端部には、第2取り出し方向Dd2に向かうにつれて下方に傾斜する下斜面部91Cが形成されている。第2取り出し方向Dd2に移動する転写軸49が下斜面部91Cに当接すると下方向の力を下斜面部91Cから受けるため、下斜面部91Cによって転写軸49は下部ガイド領域92に誘い込まれ易くなる。このような構成により、転写ユニット40が単独で装置本体1Aから引き出される場合に、転写軸49は確実に下部ガイド領域92を通過し、転写ユニット40は感光ドラム61に干渉することなく移動できる。
【0135】
転写ユニット40が第2外側位置に位置するとき、転写軸49はディテント部92Bに突き当たっている。このとき、転写ユニット40の第2取り出し方向Dd2の下流側の端部はドア20の支持部(不図示)により支持されており、転写ユニット40の重心G1(
図5参照)は転写軸49と当該端部の間に位置する。したがって、転写ユニット40が単独で第2外側位置から第2内側位置に移動するとき、転写軸49は下部ガイド領域92を通過する。そして、転写軸49は下部ガイド領域92に沿って移動し、斜面92Aを上って上部ガイド領域93に到達する。
【0136】
しかし、転写ユニット40の交換時などに、転写ユニット40を持ちあげながら装置本体1Aの内部に移動させた場合、転写軸49が上部ガイド領域93の第2領域93Bに進入する可能性もある。そこで、実施例1においては、トレイユニット50が第1内側位置にある状態で、転写ユニット40が単独で装置本体1Aの内側に移動する(挿入される)場合に、転写軸49が上部ガイド領域93の第2領域93Bを通過して転写ユニット40が第2内側位置まで到達することを制限する制限部(第2制限部)として、トレイユニット50に防止壁51Cが設けられている。また、
図13(b)に示されるように、転写ユニット40には突き当て部48Dが設けられている。転写軸49が第2領域93Bに進入すると、突き当て部48Dがトレイユニット50の防止壁51Cに突き当たり、転写ユニット40が第2取り付け方向Da2に移動することが制限される。実施例1においては、突き当て部48Cが防止壁51Bに当接したとき、転写軸49が第2領域93Bにあるが、突き当て部48Cが防止壁51Bと当接したとき、第2取り付け方向Da2の方向で、転写軸49の位置と、切り欠き部91Bの位置が重なっていてもよい。
【0137】
防止壁51Cは、第1取り付け方向Da1に向かうにつれて下部ガイド領域92に近づく方向に傾斜する傾斜面を有し、突き当て部48Dは当該傾斜面に当接する。したがって、突き当て部48Dが防止壁51Cに当接した状態で転写ユニット40を装置本体1Aの内部に押し込もうとすると、転写ユニット40が浮き上がる方向に移動することが防止される。
【0138】
さらに、壁91の第2取り付け方向Da2の上流側端部には、第2取り付け方向Da2に向かうにつれて下方に傾斜する下斜面部91Dと、第2取り付け方向Da2に向かうにつれて上方に傾斜する上斜面部91Eとが形成されている。下斜面部91Dは、転写軸49が下部ガイド領域92に誘い込まれやすくなるように設けられている。
【0139】
上述の通り、転写ユニット40がトレイユニット50から独立して移動する場合、転写軸49が下部ガイド領域92を通過する。したがって、転写ユニット40はトレイユニット50から下方向に離間した位置で第2取り出し方向Dd2や第2取り付け方向Da2に移動できる。このような構成により、転写ユニット40はベルト41等が感光ドラム61から離間した状態で、感光ドラム61を傷つけることなくスムーズに第2内側位置と第2外側位置の間を移動することができる。
【0140】
(転写ユニットがトレイユニットと共に移動する場合の移動経路)
次に、転写ユニット40がトレイユニット50と共に移動する場合の転写ユニット40の移動経路について詳細に説明する。
図14は、転写ユニット40の移動経路を説明する図であり、転写ユニット40がトレイユニット50と共に第2内側位置から装置本体1Aの外側へと移動するときの転写軸49の経路(軌跡)を破線で示す。
【0141】
トレイユニット50が転写ユニット40と連結しながら第1内側位置から第1外側位置に移動するとき、トレイユニット50の下面はトレイユニット支持部94に支持される。一方、転写ユニット40は、トレイユニット50の転写連結部51Aによって下方から支持されながらトレイユニット50と共に移動する。したがって、転写ユニット40がトレイユニット50と共に移動する場合、転写軸49は下部ガイド領域92に落ちることなく、第2領域93Bに進入して上部ガイド領域93に沿って移動する。なお、実施例1では、メインガイド90がトレイユニット50を支持する構成としたが、メインガイド90と異なる支持部材がトレイユニット50を支持する構成としてもよい。
【0142】
トレイユニット支持部94の第2取り出し方向Dd2側の端部には、回転可能な回転コロ94Aが設けられている。トレイユニット50は回転コロ94A上をスムーズに移動できるため、使用者がトレイユニット50を引き出す際の負荷が軽減される。
【0143】
トレイユニット50と転写ユニット40の重心G2(
図4参照)が回転コロ94Aよりも第2取り付け方向Da2の下流側にあるとき、トレイユニット50はトレイユニット支持部94に支持されながら移動する。このとき、トレイユニット50は、回転コロ94Aと回転コロ94Aより第2取り付け方向Da2の下流側の面94Bに支持されながら移動する。
【0144】
トレイユニット50と転写ユニット40の重心G2が回転コロ94Aよりも第2取り出し方向Dd2の下流側にあるとき、トレイユニット50の下面51Dはトレイユニット支持部94の面94Bから離れ、トレイユニット50は回転コロ94Aに支えられながら移動する。上部ガイド領域93の第2領域93Bの上面は、直線的に延びる平面部95と、壁91の第2取り出し方向Dd2の下流端から上方に向かって弧を描く曲面部96とを有する。転写軸49が上部ガイド領域93の第2領域93Bを通過する際、転写軸49が平面部95や曲面部96に当接することで、移動中のトレイユニット50と転写ユニット40の傾きが制限される。
【0145】
転写軸49が第2領域93Bに位置する状態からトレイユニット50と転写ユニット40をさらに引き出すと、転写軸49が曲面部96に摺接しながらトレイユニット50と転写ユニット40の姿勢は傾斜した状態から水平に遷移する。そして、転写ユニット40はドア20の支持部に支持され、トレイユニット50は転写ユニット40を介してドア20に支持される。このとき、転写ユニット40のトレイ連結溝48Aがトレイユニット50の転写連結部51Aを下方から支持する。トレイユニット50が転写ユニット40を介してドア20に支持され、カートリッジPやトレイユニット50を装置本体1Aから取り外し可能なトレイユニット50の位置が第1外側位置である。また、転写ユニット40がトレイユニット50と共に装置本体1Aから引き出されたとき、転写ユニット40は第2外側位置と異なる位置でドア20の支持部に支持される。すなわち、転写ユニット40がトレイユニット50と共に引き出されたときの位置(第1位置)と、トレイユニット50から独立して引き出されたときの位置(第2位置、第2外側位置)は異なる。実施例1においては、第2位置の方が、第1位置よりも、装置本体1Aに近い。
【0146】
転写ユニット40の下面は、転写ユニット40単独で装置本体の外側に引き出されたと
きと、トレイユニット50と連結して装置本体の外側に引き出されたときのいずれの場合においてもドア20の支持部によって支持される。そして、転写ユニット40は、第2外側位置(第2位置)において、装置本体1Aから取り外し可能である。
【0147】
上述の通り、トレイユニット50が転写ユニット40と共に第1外側位置から第1内側位置に移動するとき、転写ユニット40はトレイユニット50に下方から支持される。したがって、転写軸49は切り欠き部91Bを通って下部ガイド領域92に落ち込むことなく移動できる。さらに、メインガイド90の壁91の第1取り付け方向Da1の上流端には上斜面部91Eが設けられているため、転写軸49が壁91に引っかかることが防止される。
【0148】
トレイユニット50が転写ユニット40と共に第1外側位置から第1内側位置に移動するとき、転写軸49が曲面部96に接すると、回転コロ94Aを支点として転写軸49は下向きの力を受ける。すると、転写ユニット40を介してトレイユニット50はトレイハンドル52が持ち上がる方向の力を受ける。その結果、トレイユニット50と転写ユニット40は、曲面部96に合わせて姿勢が変化しながら移動する。そして、重心G2が回転コロ94Aよりも第2取り付け方向Da2の下流側に移動すると、トレイユニット50は自重によって第1内側位置に引き込まれる。
【0149】
上述の通り、転写ユニット40がトレイユニット50と共に移動する場合、転写軸49は上部ガイド領域93を通過し、トレイユニット50はスムーズに第1内側位置と第1外側位置の間を移動できる。
【0150】
なお、上述の説明においては、トレイユニット50と転写ユニット40の幅方向の一端側に設けられたメインガイド90について説明したが、トレイユニット50と転写ユニット40の幅方向の他端側にもメインガイド90と対称形状のガイド部材(係合部材)が設けられている。すなわち、転写ユニット40は幅方向の両端側で装置本体1Aに設けられた係合部材と係合しながら、装置本体1Aの内側と外側の間を移動する。
【0151】
また、上述の説明においては、転写ユニット40が複数の通路を通過可能に構成されていたが、このような構成には限られない。例えば、転写ユニット40やトレイユニット50とは異なる第1ユニットと第2ユニットが設けられていてもよい。このような場合でも、第2ユニットが第1ユニットと共に装置本体1Aから引き出される場合と、第2ユニットが第1ユニットから独立して装置本体1Aから引き出される場合で第2ユニットが異なる経路を通過するように構成することができる。また、この場合の第1ユニットや第2ユニットは、単独の部品や部材を指す場合もありうる。
【0152】
[トレイユニットの規制構造]
図15、
図16(a)~(c)、
図17を用いて、トレイユニット50の移動を規制する規制構造70について説明する。トレイユニット50は第1外側位置において、転写ユニット40を介してドア20に支持されるため、トレイユニット50が単独で第1外側位置に引き出されると適切に支持がされないおそれがある。つまり、転写ユニット40が第2外側位置にあるとき、或いは、第2外側位置への移動途中にあるとき、トレイユニット50は第1外側位置に移動できないように構成されることが望ましい。そこで、実施例1に係るプリンタ1には、トレイユニット50が単独で装置本体1Aの外側まで移動することを規制する規制構造70(
図5参照)が設けられている。
【0153】
図15は、規制構造70の構成を示す斜視図である。規制構造70は、転写ユニット40が第2内側位置から離れた位置にあるときにトレイユニット50が第1外側位置に移動することを規制する規制部材71と、規制部材71を保持する保持部材72と、規制部材
71を付勢するバネ73とを含む。規制部材71は、保持部材72に対して回動軸線71aを中心に回動可能に保持されている。規制部材71は、トレイユニット50の移動を規制しない非規制位置と、トレイユニット50の移動を規制する規制位置との間を回動可能に構成されている。回動軸線71aは、第1内側位置に位置するトレイユニット50の長手方向及び幅方向と交差(好ましくは直交)する方向に延びる。また、規制部材71は、保持部材72の位置決め部72aに係合(当接)して回動軸線71aと平行な方向の位置が決まる被位置決め部71bを有する。
【0154】
保持部材72は、プリンタ1のメインフレーム100のトレイユニット50を向く面と反対側の面に設置されている。すなわち、保持部材72や規制部材71の回動軸線71aと、トレイユニット50や転写ユニット40との間には、メインフレーム100が配置されている。
【0155】
規制部材71は、回動軸線71aを中心に回転する回動軸部71iと、回動軸部71iから回動軸線71aと交差する方向に延びる接続部71jと、接続部71jから接続部71jの延伸方向及び回動軸線71aと交差する方向に延びるトレイ規制部71c及び転写検知部71dと、を有する。接続部71jは、回動軸部71iの上部と下部から並列に延伸し、その延伸した先で上下につながっている。上述の被位置決め部71bは、接続部71jの一部である。
【0156】
トレイ規制部71cは、接続部71jの上部から延伸し、トレイユニット50のトレイロック部50aに当接してトレイユニット50の位置を規制する規制部(当接部)である。転写検知部71dは、接続部71jの下部からトレイ規制部71cの延伸方向と略平行に延伸し、転写ユニット40の転写側面40aに当接する当接部である。また、メインフレーム100には開口100aが設けられている。トレイ規制部71cと転写検知部71dは、回動軸線71a側からトレイユニット50(転写ユニット40)側まで開口100aをまたがるように配置されている。言い換えると、トレイ規制部71cと転写検知部71dの一部は、開口100aの内部に位置する。
【0157】
図16(a)、(b)、
図17は、規制構造70を上方から回動軸線71aと平行な方向に見た図である。
図16(c)は、規制構造70をプリンタ1の左右方向(トレイユニット50の幅方向)に見た図である。
図16(a)は、規制部材71が非規制位置に位置し、転写ユニット40に当接する様子を示す。転写ユニット40が第2内側位置、又はその近傍にあるとき、規制部材71の転写検知部71dは転写側面40aに当接する。このとき、規制部材71は、転写検知部71dが転写側面40aを押す方向にバネ73に付勢されているが、転写側面40aにより回動(移動)が制限されて姿勢が固定されている。また、このとき、トレイ規制部71cは、トレイユニット50の移動空間である第1空間Q1の外側に位置する。したがって、トレイユニット50は規制部材71により規制されることなく、第1内側位置と第1外側位置との間を移動できる。
【0158】
一方、転写ユニット40が第2外側位置にあるとき、又は第2外側位置へ移動中で第2内側位置から離れた位置にあるとき、転写検知部71dは転写ユニット40には当接しない。そして、規制部材71はバネ73に付勢されて矢印Dr方向に回動して、規制部材71のフレーム突き当て部71hがメインフレーム100の保持部材72側の面に突き当たる。
【0159】
図16(b)、(c)は、規制部材71が規制位置に位置し、トレイユニット50が規制部材71に当接する様子を示す。規制部材71が転写ユニット40に当接せず、メインフレーム100に当接するとき、トレイ規制部71cは第1空間Q1(トレイロック部50aの移動空間)の内側に位置する。より具体的には、トレイユニット50の幅方向の端
部から回動軸線71a側に突出するトレイロック部50aの移動軌跡50a1に重なる位置にトレイ規制部71cが位置する。したがって、規制部材71が転写ユニット40に当接せずにメインフレーム100に当接して位置決めされているとき、トレイロック部50aがトレイ規制部71cに当接してトレイユニット50の第1取り出し方向Dd1の移動が規制される。このとき、トレイロック部50aの面50a2がトレイ規制部71cの面71c1に当接して、規制部材71はトレイユニット50に押される。すると、トレイ規制部71cの面71c1と反対側を向く面71c2は、メインフレーム100の開口100aの縁部に当接する。
【0160】
実施例1においては、転写ユニット40が単独で第2取り出し方向Dd2に移動し、転写ユニット40の突き当て部48Cがトレイユニット50の防止壁51Bに当接したとき、トレイロック部50aが規制部材71に当接する。したがって、規制構造70は、転写ユニット40をトレイユニット50から独立して引き出そうとしたときに転写ユニット40がトレイユニット50を押した場合に、トレイユニット50が転写ユニット40と共に引き出されることを規制する。
【0161】
トレイ規制部71cの面71c1とトレイロック部50aの面50a2は、それぞれ第1内側位置に位置するトレイユニット50の長手方向と直交する面に対して傾斜している。具体的には、トレイ規制部71cの面71c1は、第1取り出し方向Dd1に向かうにつれて開口100aの上端部から離れる方向に傾斜している。同様に、トレイロック部50aの面50a2は、第1取り出し方向Dd1に向かうにつれて開口100aの上端部から離れる方向に傾斜している。したがって、トレイロック部50aがトレイ規制部71cを第1取り出し方向Dd1に押すと、トレイ規制部71cはトレイロック部50aから開口100aの上縁部に向かって押され、当該上端部に当接する。このような構成により、トレイユニットのトレイロック部50aがトレイ規制部71cを押す力をメインフレーム100に分散させることができるため、トレイ規制部71cの変形や破損を抑制し、トレイユニット50の移動をより確実に規制できる。
【0162】
また、トレイユニット50が第1外側位置から第1内側位置に移動する際、転写ユニット40もトレイユニット50と共に移動する。そして、転写側面40aの先端(転写ユニット40の第2取り付け方向Da2側の端部)が転写検知部71dの先端に形成された斜面71d1に当接する。すると、規制部材71は規制位置から非規制位置へと回転(移動)し、トレイ規制部71cがトレイロック部50aの移動軌跡50a1上から退避する。したがって、規制部材71はトレイユニット50の第1取り付け方向Da1への移動を規制しない。同様に、転写ユニット40が単体で第2外側位置から第2内側位置へと第2取り付け方向Da2に移動する際も、規制部材71は転写ユニット40に押されてバネ73の付勢力に反して回転する。したがって、規制部材71は転写ユニット40の第2取り付け方向Da2への移動を規制しない。
【0163】
以上より、実施例1においては、規制構造70により、転写ユニット40が第2内側位置から離れているとき、トレイユニット50の第1内側位置から第1外側位置への移動が規制される。
【0164】
なお、規制構造の構成は上述のものに限られない。例えば、付勢力を受ける回動部材の代わりに、規制位置と非規制位置との間を直動する部材が設けられた構造によりトレイユニット50の移動を規制してもよい。
【0165】
[変形例]
次に実施例1の変形例について説明する。実施例1においては、感光ドラム61、帯電ローラ62、現像ローラ63は、カートリッジPに設けられていたが、このような構成に
は限られない。そこで、変形例について
図18(a)~(d)を用いて例示的に説明する。
図18(a)~
図18(d)は、変形例に係るトレイユニット50を示す図である。
【0166】
例えば、
図18(a)に示されるように、トレイ51が感光ドラム61、帯電ローラ62を有し、カートリッジPが現像ローラ63を有していてもよい。
【0167】
また、例えば、
図18(b)に示されるように、カートリッジPが、感光ドラム61、帯電ローラ62を有するドラムカートリッジP1と、現像ローラ63を有する現像カートリッジP2を含んでいてもよい。つまり、カートリッジPが、ドラムカートリッジP1と現像カートリッジP2とに分離可能であってもよい。この場合、ドラムカートリッジP1と現像カートリッジP2は、互いに独立してトレイ51に着脱可能であることが好ましい。
【0168】
また、例えば、
図18(c)に示されるように、カートリッジPが、感光ドラム61、帯電ローラ62、現像ローラ63を有するカートリッジPRと、カートリッジPRに補給するためのトナーを有するカートリッジPTを含んでいてもよい。つまり、カートリッジPが、カートリッジPRとカートリッジPTに分離可能であってもよい。
【0169】
また、例えば、
図18(d)に示されるように、カートリッジPが、感光ドラム61、帯電ローラ62を有するドラムカートリッジP1と、現像ローラ63を有する現像カートリッジP2と、現像カートリッジP2に補給するためのトナーを有するカートリッジPTを含んでいてもよい。つまり、カートリッジPが、ドラムカートリッジP1と、現像カートリッジP2と、カートリッジPTに分離可能であってもよい。
【0170】
<実施例2>
次に、本発明に係る実施例2について、
図19、
図20、
図21を用いて説明する。以下の説明において、実施例2の構成のうち、実施例1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し、実施例2の特徴的な部分について主に説明を行う。
【0171】
[画像形成装置の構成]
図19は、実施例2に係る画像形成装置としてのプリンタ401の全体構成を説明する図である。実施例2に係る画像形成装置としてのプリンタ401は、開口401A1が形成された装置本体401Aと、ドア420と備える。プリンタ401は実施例1のプリンタ1、装置本体401Aは実施例1の装置本体1A、開口401A1は実施例1の開口1A1にそれぞれ対応する。
【0172】
実施例1では、感光ドラム61に形成されたトナー像は、転写ユニット40のベルト41に転写された後、二次転写部においてベルト41からシートSに転写される。つまり、実施例1に係る転写ユニット40は、所謂中間転写ユニットとしての機能を有する。一方、実施例2においては、プリンタ401は、実施例1と同様の第1ユニットとしてのトレイユニット50に加えて、装置本体401Aから引き出し可能に構成された第2ユニットとして転写ユニット440を備える。転写ユニット440は、シートSが感光ドラム61と接触して感光ドラム61からシートSにトナー像が転写されるように、シートSをベルト(搬送ベルト)441で搬送する。つまり、実施例2における転写ユニット440は、所謂搬送ベルトユニットとしての機能を有する。
【0173】
実施例2における画像形成装置としてのプリンタ401は、装置本体401A、シート給送部430、転写ユニット440を備える。また、実施例1と同様に、装置本体401Aの第1端部1b1側には定着装置80が配置されている。
【0174】
転写ユニット440は、シートSを搬送するベルト441、4つの一次転写ローラ442、駆動ローラ446、テンションローラ447を有する。実施例2におけるプリンタ401には、ベルト441に転写されたトナー像を検知する光学センサ44が配置されている。
【0175】
図20は、転写ユニット40が装置本体401Aから単独で引き出された状態のプリンタ401を示す図である。
図21は、転写ユニット440とトレイユニット50が装置本体401Aから引き出された状態のプリンタ401を示す図である。開口401A1は装置本体401Aの第1端部1b1側に設けられている。トレイユニット50や転写ユニット440は、開口401A1を介して装置本体401Aから引き出し可能に構成されている。ドア420は、開口401A1を覆う閉位置と、開口401A1が露出される開位置との間を移動可能である。開位置にあるドア420は、不図示の支持部によって、装置本体401Aの外側に引き出された転写ユニット440やトレイユニット50を支持する。また、実施例2においても、定着装置80は定着位置と退避位置との間を移動可能に構成され、トレイユニット50の引き出し時にトレイユニット50の移動空間(移動経路)上から退避する。
【0176】
[画像形成動作]
次に、実施例2に係るプリンタ401の画像形成動作について説明する。実施例2では、実施例1と比較して、シートSの移動経路とシートSへのトナー像の転写方法が異なる。
【0177】
画像形成動作に当たっては、実施例1と同様に、画像情報に基づいて感光ドラム61にトナー像が形成される。一方、シート給送部430から給紙されたシートSは、ベルト441を介して一次転写ローラ442と感光ドラム61とに挟まれながらベルト441に沿って搬送される。このとき、一次転写ローラ442には転写電圧が印可され、感光ドラム61からシートSにトナー像が転写される。また、実施例2における画像形成動作時のベルト441の移動方向や駆動ローラ446とテンションローラ447の回転方向は、実施例1と反対方向である。
【0178】
トナー像が転写されたシートSは、定着装置80に向けて搬送され、定着装置80によってトナー像がシートSに定着される。
【0179】
片面印刷が行われる場合、定着装置80を通過したシートSは、フラッパ5によって、装置本体401Aの上部に形成された排出トレイ401fに排出される。両面印刷が行われる場合、フラッパ5によって反転されたシートSは、ドア420の内部の両面搬送路420aからシート給送部430の上方に設けられた戻し搬送路を通って、再びベルト441に受け渡される。そして、シートSはベルト441によって感光ドラム61と当接する位置に再び搬送される。そして、感光ドラム61からシートSの裏面にトナー像が転写された後、シートSは定着装置80を通過し、排出トレイ401fに排出される。
【0180】
このように、実施例2に係るプリンタ401においては、二次転写部が形成されず、複数の感光ドラム61からシートSに対して直接的に異なる色のトナー像が重ねて転写される。
【0181】
転写ユニット440が一次転写ローラ442と感光ドラム61との間にシートSを搬送する点以外は、実施例2の転写ユニット440は実施例1の転写ユニット40と同様に構成されている。具体的には、転写ユニット440は装置本体401Aの第1端部1b1側から引き出し可能に構成されている。したがって、使用者はジャムの解消、定着装置80へのアクセス、転写ユニット440とトレイユニット50の取り付け及び取り出し操作、
シートSの補充をプリンタ401の第1端部1b1側から行うことができる。
【0182】
また、転写ユニット440はトレイユニット50と共に装置本体401Aから引き出し可能、且つトレイユニット50から独立して装置本体401Aから引き出し可能に構成されている。そして、転写ユニット440がトレイユニット50と共に引き出される場合、転写ユニット440の転写軸はメインガイド90の第1通路である上部ガイド領域93を通過する。また、転写ユニット440がトレイユニット50から独立して引き出される場合、転写ユニット440の転写軸はメインガイド90の第2通路である下部ガイド領域92の第2領域93Bを通過する。
【0183】
さらに、規制構造70によって、トレイユニット50は単独で装置本体401Aから引き出されることが規制される。一方、転写ユニット440は単独で装置本体401Aの内側と外側との間を規制構造70に規制されることなく移動可能である。
【0184】
<実施例3>
次に、本発明に係る実施例3について、
図22、
図23、
図24、
図25、
図26、
図27を用いて説明する。以下の説明において、実施例3の構成のうち、実施例1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し、実施例3の特徴的な部分について主に説明を行う。
【0185】
[画像形成装置の構成]
図22は、実施例3に係る画像形成装置としてのプリンタ301の全体構成を説明する図である。実施例3に係る画像形成装置としてのプリンタ301は、開口301A1が形成された装置本体301Aと、ドア320とを備える。プリンタ301は実施例1のプリンタ1、装置本体301Aは実施例1の装置本体1A、開口301A1は実施例1の開口1A1にそれぞれ対応する。
【0186】
実施例1では、トレイユニット50と転写ユニット40は長手方向が水平方向に対して傾斜するように装置本体1Aに装着されていた。一方、実施例3ではトレイユニット50と転写ユニット40は長手方向が水平方向に対して平行となるように装置本体1Aに装着される。
【0187】
図23は、転写ユニット40が装置本体301Aから単独で引き出された状態のプリンタ301を示す図である。
図24は、転写ユニット40とトレイユニット50が装置本体301Aから引き出された状態のプリンタ301を示す図である。開口301A1は装置本体301Aの第1端部1b1側に設けられている。
【0188】
トレイユニット50や転写ユニット40は、開口301A1を介して装置本体301Aから引き出し可能に構成されている。ドア420は、開口301A1を覆う閉位置と、開口301A1が露出される開位置との間を移動可能である。開位置にあるドア320は、不図示の支持部によって、装置本体301Aの外側に引き出された転写ユニット340やトレイユニット50を支持する。また、実施例3においても、定着装置80は定着位置と退避位置との間を移動可能に構成され、トレイユニット50の引き出し時にトレイユニット50の移動空間(移動経路)上から退避する。
【0189】
[転写ユニットの移動経路]
次に、転写ユニット40の移動経路について、
図25、
図26、
図27を用いてより詳細に説明する。実施例3では、トレイユニット50や転写ユニット40は、装置本体301Aから水平方向に引き出される。すなわち、トレイユニット50や転写ユニット40は、姿勢変化することなく、装置本体301Aの内側と外側との間を水平方向に移動する。
【0190】
図23、
図24に示されるように、メインフレーム100にはメインガイド900が取り付けられている。
図25は、メインガイド900の構成を説明する図である。実施例3に係るメインガイド900の構成は、実施例1に係るメインガイド90から曲面部96が削除されたものと概ね同様であるため、詳細な説明は割愛する。
【0191】
(転写ユニットがトレイユニットから独立して移動する場合の移動経路)
まず、転写ユニット40がトレイユニット50から独立して移動する場合の転写ユニット40の移動経路について詳細に説明する。
図26は、転写ユニット40の移動経路を説明する図であり、転写ユニット40がトレイユニット50から独立して第2内側位置から第2外側位置へと移動するときの転写軸49の経路(軌跡)を破線で示す。
【0192】
転写ユニット40が第2内側位置に位置するとき、転写軸49は上部ガイド領域93の第1領域93A内に位置する。転写ユニット40が単独で第2内側位置から第2外側位置に移動するとき、転写軸49は
図26に示されるようにメインガイド90の上部ガイド領域93の第1領域93Aから切り欠き部91Aを通って斜面92Aに沿って下部ガイド領域92に進入する。そして、転写ユニット40は、転写軸49が下部ガイド領域92を通過するように、メインガイド90にガイドされながら第2取り出し方向Dd2に移動する。転写軸49がディテント部92Bに突き当たるまで移動した後、転写ユニット40を持ち上げると、転写軸49は切り欠き部91Bを通り、転写ユニット40を装置本体1Aから取り外すことができる。なお、転写ユニット40の第2外側位置とは、転写軸49がディテント部92Bに突き当たった位置である。
【0193】
トレイユニット50が装置本体1Aに装着された状態で転写ユニット40を第2内側位置へ移動させる際は、転写ユニット40は上述の移動軌跡を反対方向に通る。すなわち、転写軸49は、切り欠き部91Bから下部ガイド領域92に進入し、下部ガイド領域92をその延伸方向に沿って進み、斜面92aを上って上部ガイド領域93の第1領域93Aに到達する。
【0194】
上述の通り、転写ユニット40がトレイユニット50から独立して移動する場合、転写軸49が下部ガイド領域92を通過する。したがって、転写ユニット40はトレイユニット50から下方向に離間した位置で第2取り出し方向Dd2や第2取り付け方向Da2に移動する。このような構成により、転写ユニット40は感光ドラム61を傷つけることなくスムーズに第2内側位置と第2外側位置の間を移動することができる。
【0195】
(転写ユニットがトレイユニットと共に移動する場合の移動経路)
次に、転写ユニット40がトレイユニット50と共に移動する場合の転写ユニット40の移動経路について詳細に説明する。
図27は、転写ユニット40の移動経路を説明する図であり、転写ユニット40がトレイユニット50と共に第2内側位置から装置本体1Aの外側へと移動するときの転写軸49の経路(軌跡)を破線で示す。
【0196】
トレイユニット50が転写ユニット40と連結しながら第1内側位置から第1外側位置に移動するとき、トレイユニット50の下面はトレイユニット支持部94に支持される。一方、転写ユニット40は、トレイユニット50の転写連結部51Aによって下方から支持されながらトレイユニット50と共に移動する。したがって、転写ユニット40がトレイユニット50と共に移動する場合、転写軸49は下部ガイド領域92に落ちることなく、第2領域93Bに進入して上部ガイド領域93に沿って移動する。
【0197】
トレイユニット支持部94の第2取り出し方向Dd2側の端部には、回転可能な回転コロ94Aが設けられている。トレイユニット50は回転コロ94A上をスムーズに移動で
きるため、使用者がトレイユニット50を引き出す際の負荷が軽減される。
【0198】
トレイユニット50と転写ユニット40の重心が回転コロ94Aよりも第2取り付け方向Da2の下流側にあるとき、トレイユニット50はトレイユニット支持部94に支持されながら移動する。このとき、トレイユニット50は、回転コロ94Aと回転コロ94Aより第2取り付け方向Da2の下流側の面94Bに支持されながら移動する。
【0199】
トレイユニット50と転写ユニット40の重心が回転コロ94Aよりも第2取り出し方向Dd2の下流側にあるとき、トレイユニット50の下面51Dはトレイユニット支持部94の面94Bから離れ、トレイユニット50は回転コロ94Aに支えられながら移動する。転写軸49が上部ガイド領域93の第2領域93Bの上面である平面部95に当接することで、移動中のトレイユニット50と転写ユニット40の傾きが制限される。
【0200】
転写軸49が第2領域93Bに位置する状態からトレイユニット50と転写ユニット40をさらに引き出すと、転写ユニット40はドア20の支持部に支持され、トレイユニット50は転写ユニット40を介してドア20に支持される。
【0201】
上述の通り、転写ユニット40がトレイユニット50と共に移動する場合、転写軸49は上部ガイド領域93を通過し、トレイユニット50はスムーズに第1内側位置と第1外側位置の間を移動できる。
【0202】
なお、上述の各実施例において示した構成は、必要に応じて適宜組み合わせることができる。
【0203】
本実施形態の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)
開口を有する装置本体と、
前記開口を介して前記装置本体から引き出し可能に前記装置本体に装着された第1ユニットと、
前記開口を介して前記装置本体から引き出し可能に前記装置本体に装着された第2ユニットであって、被係合部を有し、前記第1ユニットと共に前記装置本体から引き出し可能、且つ前記第1ユニットから独立して前記装置本体から引き出し可能に構成された第2ユニットと、
前記第2ユニットが前記装置本体から引き出される場合に、前記被係合部と係合する係合部材であって、第1通路と、前記第1通路から分岐した第2通路と、を有する係合部材と、
を備え、
前記第2ユニットが前記第1ユニットと共に引き出される場合に、前記被係合部は前記第1通路を通過し、前記第2ユニットが前記第1ユニットから独立して引き出される場合に、前記被係合部は前記第2通路を通過する、
ことを特徴とする画像形成装置。
(構成2)
前記第1通路と前記第2通路は溝であり、
前記被係合部は、前記溝に入り込む突起であることを特徴とする構成1に記載の画像形成装置。
(構成3)
前記第2通路の方が、前記第1通路よりも前記装置本体の内部にある前記第1ユニットから遠いことを特徴とする構成1又は2に記載の画像形成装置。
(構成4)
前記第2ユニットが前記第1ユニットから独立して引き出される場合に、前記被係合部
が前記第1通路に進入することを制限する制限部が設けられていることを特徴とする構成1~3のいずれか一の構成に記載の画像形成装置。
(構成5)
前記係合部材は、前記第1通路と前記第2通路とを隔てる仕切り部と、前記第1通路と前記第2通路とを接続する接続部と、を有し、
前記第2ユニットは、前記第2ユニットが前記第1ユニットから独立して引き出される場合に前記制限部に当接する当接部を有し、
前記当接部が前記制限部に当接したとき、前記第2ユニットが前記装置本体の外側に引き出される方向において、前記被係合部の位置は前記接続部の位置と重なることを特徴とする構成4に記載の画像形成装置。
(構成6)
前記制限部は、前記当接部が当接する傾斜面を有し、前記第2ユニットが前記装置本体の外側に引き出されるにつれて前記被係合部が前記第2通路に近づくように、前記傾斜面は前記当接部を案内することを特徴とする構成5に記載の画像形成装置。
(構成7)
前記当接部が前記制限部に当接した状態において、前記第1ユニットが前記装置本体の外側に引き出されることを規制する規制構造を備えることを特徴とする構成5又は6に記載の画像形成装置。
(構成8)
前記第1ユニットが前記装置本体に装着されている状態で、前記第2ユニットが前記装置本体の内側に挿入される場合に、前記被係合部が前記第1通路を通過して前記第2ユニットが前記装置本体に装着される位置まで到達することを制限する制限部が設けられていることを特徴とする構成1~7のいずれか一の構成に記載の画像形成装置。
(構成9)
前記第2ユニットが、前記第1ユニットと共に引き出されたときは第1位置に引き出され、前記第1ユニットから独立して引き出されたときは第2位置に引き出されることを特徴とする構成1~8のいずれか一の構成に記載の画像形成装置。
(構成10)
前記第2ユニットは、前記第2位置において、前記装置本体から取り外し可能であることを特徴とする構成9に記載の画像形成装置。
(構成11)
前記第2位置の方が、前記第1位置よりも、前記装置本体に近いことを特徴とする構成9又は10に記載の画像形成装置。
(構成12)
前記装置本体は、前記開口を開閉可能に構成された開閉部材を有し、
前記開閉部材が開かれた状態において、前記開閉部材は前記装置本体から引き出された前記第2ユニットを支持することを特徴とする構成1~11のいずれか一の構成に記載の画像形成装置。
(構成13)
前記第2ユニットの一部は、前記装置本体に装着された前記第1ユニットが引き出されるときに通過する空間の内部に位置することを特徴とする構成1~12のいずれか一の構成に記載の画像形成装置。
(構成14)
前記第1ユニットは少なくとも一つの感光体を有する画像形成ユニットであり、前記第2ユニットは、前記感光体に当接するベルトを含むベルトユニットであることを特徴とする構成1~13のいずれか一の構成に記載の画像形成装置。
(構成15)
前記画像形成ユニットは、前記感光体に当接する現像ローラを含むカートリッジと、前記カートリッジを着脱可能に保持するトレイと、を有することを特徴とする構成14に記載の画像形成装置。
(構成16)
前記感光体から前記ベルトに転写された画像を記録材上に転写する転写ニップを前記ベルトと共に形成する転写ローラと、
前記転写ニップに記録材を給送する給送部と、
前記転写ニップで転写された画像を加熱して記録材に画像を定着させる定着装置と、
前記給送部から前記転写ニップを介して前記定着装置へと記録材を搬送する搬送部と、を備え、
前記給送部から前記定着装置まで搬送される記録材は、前記第1ユニットが前記装置本体に装着された状態から引き出される際に通過する空間、前記第2ユニットが前記装置本体に装着された状態から引き出される際に通過する空間を通過することを特徴とする構成14又は15に記載の画像形成装置。
(構成17)
記録材に転写された画像を加熱して記録材に画像を定着させる定着装置を備え、
前記定着装置は、記録材に画像を定着させる定着位置であって、前記第1ユニットが前記装置本体に装着された状態から引き出される際に通過する空間に重なる定着位置と、前記空間から退避する退避位置との間を移動可能に構成されていることを特徴とする構成1~16のいずれか一の構成に記載の画像形成装置。
(構成18)
記録材を収容し、前記装置本体に対して引き出し可能に構成された給紙カセットを備え、
鉛直方向に見たときに、前記給紙カセットが引き出される方向は、前記第1ユニットが前記装置本体から引き出される方向と同一の向きであることを特徴とする構成1~17のいずれか一の構成に記載の画像形成装置。
【符号の説明】
【0204】
1…プリンタ(画像形成装置)、1A…装置本体、1A1…開口、40…転写ユニット(第2ユニット)、49…転写軸(被係合部)、50…トレイユニット(第1ユニット)、90…メインガイド(係合部材)、92…下部ガイド領域(第2通路)、93…上部ガイド領域(第1通路)