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特開2025-139285制御装置、制御方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025139285
(43)【公開日】2025-09-26
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/695 20230101AFI20250918BHJP
   H04N 23/63 20230101ALI20250918BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20250918BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20250918BHJP
【FI】
H04N23/695
H04N23/63 100
G03B15/00 P
G03B17/56 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024038131
(22)【出願日】2024-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】金子 成悟
【テーマコード(参考)】
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H105AA06
2H105AA09
2H105AA12
5C122EA42
5C122EA63
5C122EA66
5C122EA67
5C122FE02
5C122FH04
5C122FK25
5C122FK27
5C122FK37
5C122FK38
5C122FK39
5C122FK40
5C122FK42
5C122GD06
5C122HA13
5C122HA35
5C122HA82
5C122HA88
5C122HB01
5C122HB05
5C122HB10
(57)【要約】
【課題】ユーザが画像の回転の角度を意識することなく所望の撮影方向へ直感的に操作できるようにする。
【解決手段】制御装置は、撮像部で撮像されて表示された画像に対してユーザにより指示された移動方向を取得する方向取得手段と、撮像部または撮像部の撮像素子の結像光学系の光軸回りの回転による回転角度と、表示された画像の画像中心回りの回転による回転角度との少なくとも一つを取得する角度取得手段と、撮像部の撮影方向を第1の方向に移動させる第1の駆動手段と第1の方向とは異なる第2の方向に移動させる第2の駆動手段とを制御する制御手段と、を有する。制御手段は、回転角度に基づいて、撮像部による撮影方向が、ユーザの指示による移動方向に合うように、第1の駆動手段と第2の駆動手段による撮像部の撮影方向の移動を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部で撮像されて表示された画像に対してユーザにより指示された移動方向を取得する方向取得手段と、
前記撮像部または前記撮像部の撮像素子の結像光学系の光軸回りの回転による回転角度と、表示された前記画像の画像中心回りの回転による回転角度との少なくとも一つを取得する角度取得手段と、
前記撮像部の撮影方向を第1の方向に移動させる第1の駆動手段と、前記撮像部の撮影方向を前記第1の方向とは異なる第2の方向に移動させる第2の駆動手段とを制御する制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記回転角度に基づいて、前記撮像部による撮影方向が、前記ユーザの指示による前記移動方向に合うように、前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段による前記撮像部の撮影方向の移動を制御することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記撮像部または前記撮像部の撮像素子を、結像光学系の光軸回りに回転させる回転手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記撮像部で撮像された画像を、画像中心回りに回転させる画像処理を行う画像処理手段を有し、
前記制御手段は、前記画像処理手段による前記画像を画像中心回りに回転させる画像処理を制御することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記角度取得手段は、前記撮像部または前記撮像部の撮像素子の結像光学系の光軸回りの回転と、前記撮像部で撮像されて表示される画像の画像中心回りの回転とに基づいて、前記回転角度を算出することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記撮像部で撮像されて表示された画像に対して前記ユーザが前記移動方向を指示するためのユーザーインターフェースのデータ、または、画像内に映る被写体の移動方向を示すユーザーインターフェースのデータを、生成する画像処理手段を有することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記撮像部で撮像されて表示された画像に対して前記ユーザが前記移動方向を指示するためのユーザーインターフェースと、前記画像内に映る被写体の移動方向を示すユーザーインターフェースとは、正反対の方向を示すユーザーインターフェースであることを示す請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記回転角度に基づいて、前記第1の駆動手段による前記第1の方向と前記第2の駆動手段による前記第2の方向との合成ベクトルを算出し、前記合成ベクトルに基づいて、前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段とによる駆動の比率を決定することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記合成ベクトルに基づいて、前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段の駆動量を決定することを特徴とする請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記第1の駆動手段は複数の前記撮像部ごとの前記撮影方向を個々に前記第1の方向に移動させる複数の第1の駆動手段からなり、
前記第2の駆動手段は前記複数の撮像部ごとの前記撮影方向を個々に前記第2の方向に移動させる複数の第2の駆動手段からなり、
前記複数の撮像部または前記撮像部ごとの撮像素子を結像光学系の光軸回りに回転させる複数の回転手段をさらに有し、
前記方向取得手段は、前記複数の撮像部の中からユーザにより選択された一つ以上の撮像部で撮像されて表示される画像に対してユーザにより指示された前記移動方向を取得し、
前記制御手段は、前記複数の第1の駆動手段と前記複数の第2の駆動手段と前記複数の回転手段とを制御することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項10】
複数の前記移動方向をユーザが指示するためのユーザーインターフェースのデータを生成する画像処理手段を有し、
前記複数の撮像部の中からユーザにより複数の撮像部が選択された場合、前記画像処理手段は、ユーザによる前記ユーザーインターフェースへの操作を不可とする表示または前記ユーザーインターフェースを非表示にすることを特徴とする請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記第1の方向は前記撮像部の撮影方向を水平方向に移動させる方向であり、
前記第2の方向は前記撮像部の撮影方向を垂直方向に移動させる方向であり、
前記制御手段は、前記第2の方向へ移動させた前記撮像部の撮影方向が、前記水平方向に対して所定の角度範囲内である場合には、前記第1の駆動手段または前記回転手段を駆動しないように制御することを特徴とする請求項9に記載の制御装置。
【請求項12】
複数の前記移動方向をユーザが指示するためのユーザーインターフェースのデータを生成する画像処理手段を有し、
前記制御手段が前記第1の駆動手段または前記回転手段を駆動しないように制御した場合、前記画像処理手段は、ユーザによる前記ユーザーインターフェースへの操作を不可とする表示または前記ユーザーインターフェースを非表示にすることを特徴とする請求項11に記載の制御装置。
【請求項13】
前記第2の方向へ移動させた前記撮像部の撮影方向が、前記水平方向に対して所定の角度範囲内である場合には、前記撮像部の撮影方向を前記水平方向にする方向を表すユーザーインターフェースのデータを生成する画像処理手段を有することを特徴とする請求項11に記載の制御装置。
【請求項14】
前記撮像部で撮像された画像をミラー反転させる画像処理手段を有し、
前記制御手段は、前記画像処理手段によって前記ミラー反転が行われた場合には、前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段による前記撮影方向の移動方向を反転することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項15】
撮像部で撮像されて表示された画像に対してユーザにより指示された移動方向を取得する方向取得工程と、
前記撮像部または前記撮像部の撮像素子の結像光学系の光軸回りの回転による回転角度と、表示された前記画像の画像中心回りの回転による回転角度との少なくとも一つを取得する角度取得工程と、
前記撮像部の撮影方向を第1の方向に移動させる第1の駆動手段と、前記撮像部の撮影方向を前記第1の方向とは異なる第2の方向に移動させる第2の駆動手段とを制御する制御工程と、
を有し、
前記制御工程は、前記回転角度に基づいて、前記撮像部による撮影方向が、前記ユーザの指示による前記移動方向に合うように、前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段による前記撮像部の撮影方向の移動を制御することを特徴とする制御方法。
【請求項16】
コンピュータを、
撮像部で撮像されて表示された画像に対してユーザにより指示された移動方向を取得する方向取得手段と、
前記撮像部または前記撮像部の撮像素子の結像光学系の光軸回りの回転による回転角度と、表示された前記画像の画像中心回りの回転による回転角度との少なくとも一つを取得する角度取得手段と、
前記撮像部の撮影方向を第1の方向に移動させる第1の駆動手段と、前記撮像部の撮影方向を前記第1の方向とは異なる第2の方向に移動させる第2の駆動手段とを制御する制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記回転角度に基づいて、前記撮像部による撮影方向が、前記ユーザの指示による前記移動方向に合うように、前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段による前記撮像部の撮影方向の移動を制御する制御装置として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置をパン駆動部とチルト駆動部を備えた雲台に搭載し、それらパン駆動部やチルト駆動部を駆動することによって、撮像装置の撮影方向を変更することが行われている。さらに近年は、撮像素子を光軸回りに回転駆動可能なローテーション駆動部を備えた撮像装置がある。また、撮像装置において、撮像素子によって撮像された画像のアスペクト比は、撮像面上の横方向画素数と縦方向画素数との比率で決まる。ローテーション駆動部を備えた撮像装置では、撮像面が水平方向に対して横長の状態であった撮像素子を、ローテーション駆動部により光軸回りに90度回転駆動することで、縦長の画像を得ることができる。
【0003】
また、特許文献1には、雲台のパン駆動およびチルト駆動、ならびに撮像装置または撮像素子を光軸回りに回転させるローテーション駆動を可能とする技術が開示されている。特許文献1では、パン駆動およびチルト駆動を制御する雲台操作モードと、ローテーション駆動を制御するローテーション操作モードとを選択可能となっている。ユーザは、ローテーション操作モードにおいて撮像装置または撮像素子を光軸回りに任意のローテーション角度に回転させる操作を行うことができ、また、雲台操作モードにおいて雲台を任意のパン角度やチルト角度にする操作を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-114503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に開示された技術では、操作性の向上を図ることを目的として、パン駆動およびチルト駆動とローテーション駆動とを別々に制御するようにしている。しかしながら、ローテーション駆動によって画像が任意の角度に回転された場合、ユーザは、雲台操作モード時に雲台のパン・チルト方向をどの程度操作すれば撮像装置を所望の撮影方向に向けられるかを、直感的に認識することが難しくなることがある。
【0006】
そこで本発明は、ユーザが画像の回転の角度を意識することなく所望の撮影方向へ直感的に操作できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の制御装置は、撮像部で撮像されて表示された画像に対してユーザにより指示された移動方向を取得する方向取得手段と、前記撮像部または前記撮像部の撮像素子の結像光学系の光軸回りの回転による回転角度と、表示された前記画像の画像中心回りの回転による回転角度との少なくとも一つを取得する角度取得手段と、前記撮像部の撮影方向を第1の方向に移動させる第1の駆動手段と、前記撮像部の撮影方向を前記第1の方向とは異なる第2の方向に移動させる第2の駆動手段とを制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記回転角度に基づいて、前記撮像部による撮影方向が、前記ユーザの指示による前記移動方向に合うように、前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段による前記撮像部の撮影方向の移動を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザが画像の回転の角度を意識することなく所望の撮影方向へ直感的に操作できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態の撮像システムの機能構成例を示す図である。
図2】複数の撮像部の円周上におけるパン駆動の説明図である。
図3】一つの撮像部のチルト駆動の説明図である。
図4】撮像素子のローテーション駆動の説明図である。
図5】円周上の各撮像部における捻じれ駆動の説明図である。
図6】撮像システムの概略構成例を示す図である。
図7】第1の実施形態の撮像システムのハードウェア構成例を示す図である。
図8】ローテーション駆動と被写体との関係説明に用いる図である。
図9】横撮り状態の画像と縦撮り状態の画像の例を示す図である。
図10】ローテーション時のパン駆動による画像の変化を示す図である。
図11】ローテーション角度θ=0度のGUI例を示す図である。
図12】ローテーション角度θ=+90度のGUI例を示す図である。
図13】ローテーション角度θ=+45度のGUI例を示す図である。
図14】合成ベクトルの説明図である。
図15】ローテーション角度に応じたパン・チルト制御のフローチャートである。
図16】駆動量選択ボタンの例を示す図である。
図17】ローテーション角度φ=+90度のGUI例を示す図である。
図18】ローテーション角度φ=+45度のGUI例を示す図である。
図19】ローテーション角度φ=+90度、θ=-90度のGUI例を示す図である。
図20】複数の撮像部が選択された際のGUI例を示す図である。
図21】第4の実施形態の撮像システムの機能構成例を示す図である。
図22】第4の実施形態の撮像システムのハードウェア構成例を示す図である。
図23】第4の実施形態の撮像装置の外観構成例を示す図である。
図24】チルト角度+90時のローテーション駆動の説明図である。
図25】チルト角度が+90度のGUI例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。実施形態の構成は、本発明が適用される装置の仕様や各種条件(使用条件、使用環境等)によって適宜修正又は変更され得る。また、以降の各実施形態において、同一もしくは同様の構成や処理工程には同じ参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
<<第1の実施形態>>
<撮像システム>
以下、図1を参照して、第1の実施形態による撮像システムの構成及び機能について説明する。図1は、第1の実施形態に係る撮像システムの機能構成例を示した図であり、カメラ100の機能構成を、情報処理装置の一例であるクライアント装置200とともに示している。カメラ100は、ネットワーク170を介してクライアント装置200と接続されている。カメラ100は、撮影した画像データをクライアント装置200に送信し、また、クライアント装置200から制御信号を受信する。
【0012】
カメラ100は、四つの撮像部、撮像部ごとに独立して設けられている駆動部、画像処理部151、制御部152、通信部153、および記憶部154を有して構成されている。四つの撮像部は、第1の撮像部110、第2の撮像部120、第3の撮像部130、および第4の撮像部140からなる。第1~第4の撮像部110~140にそれぞれ対応した駆動部は、第1の駆動部113、第2の駆動部123、第3の駆動部133、および第4の駆動部143からなる。
【0013】
<第1~第4の撮像部>
第1の撮像部110は、第1の結像光学系(レンズ)111と第1の撮像素子112とを有する撮像装置である。同様に、第2の撮像部120は第2の結像光学系121と第2の撮像素子122を、第3の撮像部130は第3の結像光学系131と第3の撮像素子132を、第4の撮像部140は第4の結像光学系141と第4の撮像素子142を有する撮像装置である。すなわち本実施形態のカメラ100は、四つの撮像装置を有する多眼カメラである。
【0014】
第1の結像光学系111は、光軸方向に駆動可能なフォーカスレンズおよびズームレンズを有している。同様に、第2の結像光学系121、第3の結像光学系131、および第4の結像光学系141は、それぞれフォーカスレンズおよびズームレンズを有している。
【0015】
第1の結像光学系111は、透過した光を第1の撮像素子112上に結像させ、第1の撮像素子112はその結像光を電気信号に変換して画像処理部151に出力する。同様に、第2の結像光学系121と第2の撮像素子122、第3の結像光学系131と第3の撮像素子132、および第4の結像光学系141と第4の撮像素子142によって得られた信号は、画像処理部151に送られる。
また、第1の撮像素子112は結像光学系111の光軸回りに回転可能に構成されている。同様に、第2の撮像素子122、第3の撮像素子132、および第4の撮像素子142は、それぞれが光軸回りに回転可能に構成されている。
【0016】
<第1~第4の駆動部>
第1の駆動部113は、第1のパン駆動部114、第1のチルト駆動部116、第1のローテーション駆動部117、第1の捻じれ駆動部119、第1のフォーカス駆動部118、および第1のズーム駆動部115を備えている。第2の駆動部123は、第2のパン駆動部124、第2のチルト駆動部126、第2のローテーション駆動部127、第2の捻じれ駆動部129、第2のフォーカス駆動部128、および第2のズーム駆動部125を備えている。第3の駆動部133は、第3のパン駆動部134、第3のチルト駆動部136、第3のローテーション駆動部137、第3の捻じれ駆動部139、第3のフォーカス駆動部138、および第3のズーム駆動部135を備えている。第4の駆動部143は、第4のパン駆動部144、第4のチルト駆動部146、第4のローテーション駆動部147、第4の捻じれ駆動部149、第4のフォーカス駆動部148、および第4のズーム駆動部145を備えている。
【0017】
<制御部>
制御部152は、制御プログラムの実行によって、第1の撮像部110~第4の撮像部140、第1の駆動部113~第4の駆動部143、画像処理部151、通信部153、および記憶部154を統括的に制御する。制御部152は、CPU(Central Processing Unit)などによって構成されている。
【0018】
制御部152は、第1のパン駆動部114と第1のチルト駆動部116の駆動方向と駆動量を決定して、第1の撮像部110の撮影方向、つまり第1の結像光学系111と第1の撮像素子112とで決まる撮影画角の方向を制御する。また、制御部152は、第1のズーム駆動部115を制御して第1の結像光学系111のズームレンズを駆動させることで、第1の撮像部110の撮影範囲(つまり撮影画角)を制御する。また、制御部152は、第1のフォーカス駆動部118を制御して第1の結像光学系111のフォーカスレンズを駆動させることで、第1の撮像部110のフォーカス位置を制御する。また、制御部152は、第1のローテーション駆動部117を制御することで、第1の撮像素子112の光軸回りの回転角であるローテーション角度を制御する。同様に、制御部152は、第2の撮像部120および第2の駆動部123を制御することで、第2の撮像部110の撮影方向(撮影画角の方向)、撮影範囲(撮影画角)、フォーカス位置、およびローテーション角度を制御する。また制御部152は、第3の撮像部130と第3の駆動部133、第4の撮像部140と第4の駆動部143を同様に制御することで、第3の撮像部130と第4の撮像部140の撮影方向、撮影範囲、フォーカス位置、およびローテーション角度を制御する。
なお、制御部152によるこれらの各機能の全てまたは一部は、後述するクライアント装置200の制御部202により実現されてもよい。
【0019】
<第1~第4のパン駆動部および第1~第4のチルト駆動部>
第1のパン駆動部114には第1の撮像部110が搭載されている。同様に、第2のパン駆動部124には第2の撮像部120が、第3のパン駆動部134には第3の撮像部130が、第4のパン駆動部144には第4の撮像部140がそれぞれ搭載されている。第1~第4のパン駆動部114~144は、それぞれ対応した第1~第4の撮像部110~140の撮像方向を、第1の方向である水平方向に移動させる。本実施形態の場合、第1~第4のパン駆動部114~144は、それぞれ対応した第1~第4の撮像部110~140を、同一の回転軸を有した同一円周上で移動させるようなパン駆動を行う。
【0020】
図2は、本実施形態のカメラ100の第1の撮像部110~第4の撮像部140の同一円周上の配置および移動例を示す模式図である。図2では、時計回り方向を+方向とし、反時計回りを-方向としており、同一円周上に位置している第1の撮像部110~第4の撮像部140を上側(+Z軸側)から見た状態を示している。第1~第4の撮像部110~140はそれぞれ対応した第1~第4のパン駆動部114~144に搭載されており、第1~第4のパン駆動部114~144は、それら第1~第4の撮像部110~140を同一円周上で移動させる。
【0021】
第1のパン駆動部114はモータとギアを備えており、そのモータの駆動電力が制御部152により制御される。第1のパン駆動部114は、制御部152によるモータの駆動電力制御の下、軸101を回転軸とする点線で示される円周102上において、第1の撮像部110を矢印220に示すパン方向に移動させる。同様に、第2~第4のパン駆動部124~144は、それぞれモータとギアを備えており、それそれのモータの駆動電力が制御部152により制御される。第2~第4のパン駆動部124~144は、制御部152によるモータの駆動電力制御の下、軸101を回転軸とする円周102上において、第2~第4の撮像部120~140を矢印220に示すパン方向に移動させる。
【0022】
第1~第4のパン駆動部114~144はそれぞれ独立した駆動が可能であり、制御部152は、第1~第4のパン駆動部114~144の一つまたは複数を同時に駆動制御することができる。第1~第4のパン駆動部114~144は、フォトインタラプタやホール素子等のセンサを備えており、制御部152は、それらセンサの出力値を基に、第1~第4のパン駆動部114~144のそれぞれのパン位置を取得可能である。
【0023】
また、第1~第4のパン駆動部114~144は、それぞれ対応した第1~第4の撮像部110~140を共通の円周102上で矢印220の方向に移動させるが、それら第1~第4の撮像部110~140の位置関係が入れ替わることはない。また、第1~第4のパン駆動部114~144によって第1~第4の撮像部110~140がそれぞれ円周102上を移動する場合であっても、駆動端106を超えることはない。すなわち、第1~第4の撮像部110~140は、駆動端106を含まない円周102上のみを移動する。なお、駆動端106は、ハードウェアによる物理的な駆動端であってもよく、ソフトウェア上でユーザが指示てきない駆動端であってもよい。
【0024】
図3は、第1の撮像部110と、第1の撮像部110の撮影方向(撮影画角の方向)をチルト方向に変更可能な第1のチルト駆動部116とを示した模式図である。図3では、第1の撮像部110と第1の駆動部113を例に挙げて説明するが、第2~第4の撮像部120~140と第2~第4の駆動部123~143でも同様であるため、それらの説明は適宜省略する。
【0025】
図3では、上方向を+方向、下方向を-方向としており、第1の撮像部110を側面(-X軸側)から見た状態が示されている。なお、軸101は図2に示した回転軸である。第1のチルト駆動部116は、軸103を回転軸として第1の撮像部110を矢印330で示す方向に回転可能な構成となっている。また、第1のチルト駆動部116は、水平方向を0度の基準とし、軸103を回転軸として0度から+90度の範囲で駆動が可能であるとする。
【0026】
第1のチルト駆動部116はモータとギアを備えており、そのモータの駆動電力が制御部152により制御される。第1のチルト駆動部116は、制御部152によるモータの駆動電力制御の下、第1の撮像部110の撮影方向(撮影画角の方向)をチルト方向に変更することができる。図示は省略するが、同様に第2~第4のチルト駆動部126~146は、それぞれモータとギアを備えており、それそれのモータの駆動電力が制御部152により制御される。第2~第4のチルト駆動部126~146は、制御部152によるモータの駆動電力制御の下、軸103を回転軸として第2~第4の撮像部120~140を矢印330に示すチルト方向に回転可能となっている。すなわち第1~第4のチルト駆動部116~164は、それぞれ対応した第1~第4の撮像部110~140の撮像方向を、第2の方向である垂直方向に移動させる。
【0027】
また、第1~第4のチルト駆動部116~146はそれぞれ独立して駆動可能であり、制御部152は、第1~第4のチルト駆動部116~146の一つまたは複数を同時に駆動制御することができる。また、第1~第4のチルト駆動部116~146はフォトインタラプタやホール素子等のセンサを備え、制御部152は、それらセンサの出力値を基に、第1~第4のチルト駆動部116~146のそれぞれのチルト位置を取得可能である。
【0028】
なお、第1~第4のチルト駆動部116~146の場合、前述した第1~第4のパン駆動部114~144の場合とは異なり物理的に干渉することはないため、第1~第4の撮像部110~140もチルト方向において物理的に干渉することはない。前述した第1~第4のズーム駆動部115~145、第1~第4のフォーカス駆動部118~148、および第1~第4のローテーション駆動部117~147の場合も同様であり物理的に干渉することはない。
【0029】
また、図3には、ドーム104と固定部105も示されている。ドーム104は、第1~第4の撮像部110~140、第1~第4のパン駆動部114~144、および第1~第4のチルト駆動部116~146を覆って内部に収納する。ドーム104は透明なプラスチックやガラスなどの部材によって構成されており、したがって第1の撮像部110~第4の撮像部140は透明なドーム104を介して周囲を撮像可能である。固定部105は天井や床、壁等に取り付けられる固定部材である。すなわち、ドーム104と軸101、第1~第4の撮像部110~140、第1~第4のパン駆動部114~144、および第1~第4のチルト駆動部116~146は、固定部105介して天井や床、壁等に取り付けられる。
【0030】
<ズーム駆動部とフォーカス駆動部>
第1のズーム駆動部115は、モータとギアを備え、制御部152からのモータ駆動電力制御によって、第1の結像光学系111のズームレンズを駆動する。同様に、第2~第4のズーム駆動部125~145はそれぞれモータとギアを備え、制御部152からのモータ駆動電力制御によって、それぞれ対応した第2~第4の結像光学系121~141のズームレンズを駆動する。これにより、第1~第4の撮像部110~140の撮影範囲(撮影画角、ズーム倍率)がそれぞれ変更される。なお、本実施形態では、ズームレンズの駆動による望遠端方向を+方向、広角端方向を-方向とする。第1~第4の結像光学系121~141はそれぞれフォトインタラプタやホール素子等のセンサを備えており、制御部152はそれらセンサの出力値を基に、第1~第4の結像光学系111~141のズームレンズの位置をそれぞれ取得可能である。また、第1~第4のズーム駆動部115~145はそれぞれ独立した駆動が可能であり、制御部152は、第1~第4のズーム駆動部115~145の一つまたは複数を同時に駆動制御することができる。
【0031】
第1のフォーカス駆動部118は、モータとギアを備え、制御部152からのモータ駆動電力制御によって、第1の結像光学系111のフォーカスレンズを駆動する。同様に、第2~第4のフォーカス駆動部128~148はそれぞれモータとギアを備え、制御部152からのモータ駆動電力制御によって、それぞれ対応した第2~第4の結像光学系121~141のフォーカスレンズを駆動する。これにより、第1~第4の撮像部110~140のフォーカス位置がそれぞれ変更される。なお、本実施形態では、フォーカスレンズの駆動による遠方方向を+方向、近接方向を-方向とする。第1~第4の結像光学系121~141はそれぞれフォトインタラプタやホール素子等のセンサを備えており、制御部152はそれらセンサの出力値を基に、第1~第4の結像光学系111~141のフォーカスレンズの位置をそれぞれ取得可能である。また、第1~第4のフォーカス駆動部118~148はそれぞれ独立した駆動が可能であり、制御部152は、第1~第4のフォーカス駆動部118~148の一つまたは複数を同時に駆動制御することができる。
【0032】
<ローテーション駆動部>
第1のローテーション駆動部117は、モータとギアを備え、制御部152からのモータ駆動電力制御によって、第1の撮像素子112を光軸回り方向に回転駆動する。同様に、第2~第4のローテーション駆動部127~147はそれぞれモータとギアを備え、制御部152からのモータ駆動電力制御によって、それぞれ対応した第2~第4の撮像素子122~142を光軸回り方向に回転駆動する。これにより、第1~第4の撮像素子112~~142の光軸回り方向のローテーション角度がそれぞれ変更される。また、第1~第4の撮像素子112~142はそれぞれフォトインタラプタやホール素子等のセンサを備えており、制御部152はそれらのセンサ出力値を基に、第1~第4の撮像素子112~142の光軸回り方向のローテーション角度を取得可能である。また、第1~第4のローテーション駆動部117~147はそれぞれ独立した駆動が可能であり、制御部152は、第1~第4のローテーション駆動部117~147の一つまたは複数を同時に駆動制御することができる。
【0033】
ここで、撮像素子によって撮像された撮像画像のアスペクト比は、水平方向の画素数と垂直方向の画素数との比率により決まる。本実施形態では、例えば撮像素子にて撮像される撮像画像が水平方向に対して横長のアスペクト比になる状態のローテーション角度を基準角度の0°とし、光軸回りの回転方向の時計回りを+方向、反時計周りを-方向とする。また、本実施形態の第1~第4のローテーション駆動部117~147は、光軸回り方向のローテーション角度として、-180度~+180度の回転駆動が可能であるとする。例えば、第1の撮像素子112の撮像画像が横長のアスペクト比の状態から、第1のローテーション駆動部117が第1の撮像素子112を光軸回りに+90度だけ回転駆動した場合、第1の撮像素子112の撮像画像は縦長のアスペクト比となる。
【0034】
図4は、第1の撮像部110を第1の結像光学系111の正面側から見た模式図であり、説明をわかり易くするために、第1の結像光学系111と第1の撮像素子112を重ねて(透視して)示した図である。また、図4には固定部105も示されているが、第1の撮像部110を搭載する雲台の図示は省略している。軸107は第1のローテーション駆動部117の回転軸を示しており、第1のローテーション駆動部117は軸107を回転中心として第1の撮像素子112を矢印440に示す方向に回転駆動する。第1のローテーション駆動部117の軸107(回転軸)は、第1の結像光学系111の光軸中心にあることが望ましい。なお、図4では、第1の撮像部110と第1の駆動部113を例に挙げて説明するが、第2~第4の撮像部120~140と第2~第4の駆動部123~143でも同様であるため、それらの説明は適宜省略する。
【0035】
また、本実施形態では、第1の撮像素子112をローテーション駆動させる例を挙げているが、第1の撮像部110自体を、第1の結像光学系111の光軸回りに回転させるようなローテーションを行ってもよい。同様に、第2~第4の撮像部120~140自体を、それぞれ対応した第2~第4の結像光学系121~141の光軸回りに回転させるローテーションを行ってもよい。これらの場合でも、第1~第4の撮像部110~140から出力される撮像画像は光軸回りに回転した画像となり、第1~第4の撮像素子112~142を光軸回りに回転させた場合と同様の撮像画像が得られる。
【0036】
<捻じれ駆動部>
第1の捻じれ駆動部119は、前述した第1のパン駆動部114とは独立して第1の撮像部110をパン方向に回転駆動する駆動部である。同様に、第2~第4の捻じれ駆動部129~149は、それぞれ対応した第2~第4の撮像部120~140を、前述した第1~第4のパン駆動部124~144とは独立してパン方向に回転駆動する駆動部である。第1~第4の捻じれ駆動部119~149は、それぞれモータとギアを備え、制御部152からのモータ駆動電力制御により、それぞれ対応した第1~第4の撮像部110~140を独立してパン方向に回転駆動する。これにより、第1~第4の撮像部110~140のそれぞれの撮影方向がパン方向に変更される。
【0037】
ここで、第1~第4の捻じれ駆動部119~149において、第1~第4のパン駆動部114~144との違いは回転軸にある。すなわち、第1~第4のパン駆動部114~144の回転軸は、図2に示したようにカメラ100の中心(あるいは中心近辺)に共通の軸101であるため、第1~第4の撮像部110~140は前述した同一の円周102上を移動する。これに対し、第1~第4の捻じれ駆動部119~149の回転軸は、第1~第4の撮像部110~140ごとに独立した回転軸である。第1~第4の捻じれ駆動部119~149はそれぞれフォトインタラプタやホール素子等のセンサを備えており、制御部152はそれらのセンサ出力値を基に、第1~第4の捻じれ駆動部119~149ごとの回転角(パン位置)を取得可能である。また、第1~第4の捻じれ駆動部119~149はそれぞれ独立した駆動が可能であり、制御部152は、第1~第4の捻じれ駆動部119~149の一つまたは複数を同時に駆動制御することができる。
【0038】
図5は、第1~第4の捻じれ駆動部119~149による第1~第4の撮像部110~140ごとの独立したパン方向の回転駆動の例の説明に用いる図である。図5では、時計回り方向を+方向とし、反時計回りを-方向としており、前述した図2と同様に同一の円周102上の第1~第4の撮像部110~140を上側(+Z軸側)から見た状態を示している。なお、第1~第4の撮像部110~140のチルト角度は0度であるとする。軸161は第1の撮像部110に対応した第1の捻じれ駆動部119の回転軸を示しており、第1の捻じれ駆動部119は第1の撮像部110の向きを矢印541の方向に変更可能である。また、第1の捻じれ駆動部119は、軸101と軸161とを通る点線108で示す方向を正面方向(基準方向)の0度とし、第1の撮像部110の撮影方向を-30度から+30度の範囲で変更可能である。同様に、軸162~164はそれぞれが第2~第4の撮像部120~140に対応した第2~第4の捻じれ駆動部129~149の回転軸を示している。したがって、第2~第4の捻じれ駆動部129~149は、第2~第4の撮像部120~140の撮影方向をそれぞれ矢印542~544の方向に変更可能である。また、第2~第4の捻じれ駆動部129~149は、軸101からそれぞれ対応した軸162~164を通る方向をそれぞれ正面方向(基準方向)の0度とし、第2~第4の撮像部120~140の向きをそれぞれ-30度~+30度の範囲で変更可能である。
【0039】
<回転軸の補足>
前述したように第1~第4のパン駆動部114~144は、第1~第4の撮像部110~140で共通した回転軸(軸101)を有している。これに対し、第1~第4のチルト駆動部116~146は、それぞれ対応した第1~第4の撮像部110~140ごとに独立した回転軸(軸103)を有する。同様に、第1~第4の捻じれ駆動部119~149は、それぞれ対応した第1~第4の撮像部110~140ごとに独立した回転軸(軸161~164)を有する。同様に、第1~第4のローテーション駆動部117~147は、それぞれ対応した第1~第4の撮像部110~140ごとに独立した回転軸(軸107)を有する。
【0040】
<画像処理部>
画像処理部151は、第1の撮像部110、第2の撮像部120、第3の撮像部130、および第4の撮像部140から入力された撮像信号に所定の画像処理を行って撮像画像データを生成し、それら各撮像画像データを通信部153へ出力する。例えば、画像処理部151は、第1~第4の撮像部110~140のそれぞれの撮像信号を所定の表示フォーマットに則って現像処理(演算)することで各撮像画像データを生成する。
【0041】
また、画像処理部151は、イベント検出部171を備えている。イベント検出部171は、第1~第4の撮像部110~140の撮像画像から所定のイベントを検出する。例えば、撮像画像内の動体の被写体をイベントとして検出する場合、イベント検出部171は、撮像画像のフレーム間の輝度の差を算出して輝度の変化を求め、輝度に変化があった場合には動体の被写体を検出したと判定する。イベント検出部171が検出する所定のイベントは、後述するクライアント装置200のユーザが指示部204を介して指示することも可能である。
【0042】
さらに本実施形態の画像処理部151は、第1~第4の撮像部110~140の撮像画像に対して、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)に用いられるOSD(On-screen display)表示(重畳表示)データをも生成する。本実施形態の場合、OSD表示によるGUIは、後述するクライアント装置200においてユーザが操作可能なUI(ユーザーインターフェース)として使用される。本実施形態において、OSD表示によるGUIは、クライアント装置200のユーザが第1~第4の駆動部113~143を操作したり、第1~第4の撮像部110~140の撮影方向や位置関係を視認可能にしたりするために用いられる。また、OSD表示データには、第1~第4の撮像部110~140の撮影方向や位置関係を表すシンボルも含まれる。
【0043】
また、例えば第1~第4の撮像部110~140による複数の撮像画像を同一画面上に表示する用途の場合、画像処理部151は、それら複数の撮像画像が縦横に配置、或いは横一列や縦一に配置した画像を生成する。
その他にも、画像処理部151は、撮像画像の反転や回転などの画像処理を行うことも可能である。
なお、画像処理部151によるこれらの各機能の全てまたは一部は、後述するクライアント装置200の制御部202により実現されてもよい。
【0044】
<通信部>
通信部153は、画像処理部151から送られてきた画像データやOSD表示データを、有線LANあるいは無線LANなどのネットワーク170を介して、クライアント装置200に転送する。また、クライアント装置200からの指示を受け付ける。
<記録部>
記憶部154は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)によって構成され、制御部152が実行する制御プログラムを含む各種プログラムを記憶する。また、記憶部154は、画像データの一時的な記憶領域としても用いられる。
【0045】
<クライアント装置>
クライアント装置200は、通信部201、制御部202、表示部203、指示部204、および記録部205を有して構成されている。クライアント装置200は、例えばパーソナルコンピューターなどの機器である。
通信部201は、ネットワーク170を介してカメラ100と通信する。また、クライアント装置200は、ネットワーク170を介して、カメラ100に電源を供給する構成を含んでいてもよい。
表示部203は、表示装置の表示画面上に、カメラ100から送信された画像等や前述したOSD表示に基づくGUI等を表示させる。
指示部204は、UIを有し、ユーザによるマウス(ポインティングデバイス)やキーボード、タッチパネルへの操作情報を受け付る。タッチパネルは、例えば表示装置の画面に設けられており、ユーザは、タッチパネルへの操作を通じた操作指示を行うことができる。
記録部205は、RAMやROMによって構成され、コンピュータプログラムの一時的な記憶や、制御部202がクライアント装置200を統括的に制御するためのプログラム等の記憶を行う。
【0046】
制御部202は、CPUの機能を含み、記録部205に記録されているプログラムの実行によって、クライアント装置200の統括的な制御を行う。本実施形態の場合、制御部202は、指示部204を介してユーザから入力された、GUI等に対する指示に応じて、カメラ100を制御する制御信号を生成する。本実施形態の場合、制御信号とは、カメラ100の制御部152による制御を通じて、第1~第4の撮像部110~140や第1~第4の駆動部113~143を制御するための信号である。すなわち、ユーザは、クライアント装置200の指示部204を介したGUIへの操作を通じて、カメラ100の第1~第4の撮像部110~140や第1~第4の駆動部113~143の操作(操作に応じた制御)を行うことができる。なお、前述したように、前述したカメラ100の制御部152や画像処理部151の一部もしくは全ての機能は、クライアント装置200の制御部202が実現してもよい。
【0047】
図6は、本実施形態のカメラ100とクライアント装置200を有する撮像システムの概略構成例を示す図である。
カメラ100は、クライアント装置200とネットワーク170を介して接続される。図6では、クライアント装置200と表示装置260が別構成であるデスクトップパソコンの例を示したが、クライアント装置200はディスプレイが一体化されたノートパソコンやタブレット端末などであってもよい。
【0048】
図7は、カメラ100とクライアント装置200のハードウェア構成例を示した図である。
カメラ100は、前述した第1~第4の撮像部110~140、第1~第4の駆動部113~143、ネットワークI/F183、CPU180、RAM181、およびROM182を有する。
【0049】
ROM182は、CPU180がカメラ100を統括的に制御するための制御プログラムを記憶する。
RAM181は、CPU180が実行する制御プログラムを一時的に記憶する。また、RAM181は、CPU180が制御や処理を実行する際に用いるワークエリアを提供する。また、RAM181は、フレームメモリとして機能したり、バッファメモリとして機能したりする。
CPU180は、カメラ100を統括制御する中央処理装置である。また、CPU180は、ROM182からRAM181に展開された制御プログラムを実行することにより、前述した制御部152、画像処理部151、通信部153の各機能部の動作を実現する。
【0050】
ネットワークI/F183は、CPU180が画像処理部151の機能に係る処理を実行して得られた画像およびOSD表示データを、ネットワーク170を介してクライアント装置200へ送信する。なお、第1~第4の撮像部110~140による撮像画像データは、RAM181等の内部記憶装置や、SDカードのような着脱可能な不図示の記憶媒体に記憶されてもよい。
【0051】
クライアント装置200は、CPU280、RAM281、ROM282、入力I/F284、出力I/F285、およびネットワークI/F283を有する情報処理装置である。
RAM281は、CPU280がデータ処理を実行する際に用いるワークエリアを提供する。また、RAM281は、フレームメモリとして機能したり、バッファメモリとして機能したりする。
ROM282は、CPU280がクライアント装置200を制御するためのプログラムなどを記憶する。
CPU280は、中央処理装置であり、ROM282からRAM281に展開されたプログラムを実行する。これにより、CPU280は、クライアント装置200の統括制御と、カメラ100の制御部152を介した第1~第4の撮像部110~140や第1~第4の駆動部113~143の制御を行う。
【0052】
入力I/F284は、指示部204と接続しており、指示部204を介してクライアント装置200に入力されたユーザ指示を受け付けるためのインターフェースである。また、入力I/F284は、指示部204を介して入力されたカメラ100に対するユーザ指示に応じた操作情報も同様に受け付ける。このように、クライアント装置200は、入力I/F284を介して、カメラ100の第1~第4の撮像部110~140や第1~第4の駆動部113~143に対するユーザ指示を取得することができる。
【0053】
出力I/F285は、表示部203と接続しており、カメラ100から送られてきた画像およびOSD表示によるGUIを、表示部203の画面上に表示させるためのインターフェースである。
ネットワークI/F283は、ネットワーク170を介してカメラ100と接続する。ネットワークI/F283は、入力I/F284を通じて入力されたカメラ100に対する操作情報を基にCPU280が生成した制御信号の送信、およびカメラ100から送られてきた画像データやOSD表示データ等を受信するためのインターフェースである。
【0054】
<ローテーション駆動部の駆動による画像と被写体の傾き方の説明>
前述したように、本実施形態のカメラ100は、ローテーション駆動部によって撮像素子を光軸回りに回転駆動することができる。以下、第1の撮像部110の第1の撮像素子112を、第1のローテーション駆動部117が光軸回りに回転駆動する場合を例に挙げて説明する。
図8図9図10は、第1のローテーション駆動部117によって第1の撮像素子112を光軸回りに回転駆動した場合の、第1の撮像素子112の撮像面と被写体の傾き方の説明に用いる図である。本実施形態では、第1のローテーション駆動部117による光軸回りのローテーション角度をθとして説明する。なお、制御部152は、前述したように第1の撮像素子112に配されているフォトインタラプタやホール素子等のセンサの出力値に基づいて、第1の撮像素子112の光軸回り方向のローテーション角度θを取得可能である。
【0055】
まず図8を参照して、第1のローテーション駆動部117によって光軸回りへ回転駆動した際の第1の撮像素子112の撮像画像と被写体との関係について説明する。
図8(a)は、第1のローテーション駆動部117によるローテーション角度θが0度の状態を示している。ローテーション角度が0度の状態とは、第1の撮像素子112の撮像面が水平方向に対して横長になる状態であるとし、以下、この状態を横撮り状態と呼ぶことにする。図8(a)は、横撮り状態で第1の撮像素子112により被写体301を撮像している様子を表している。なお、第1の撮像素子112上に結像される被写体301は、図8(a)に示すように第1の結像光学系111のレンズによって上下、左右が反転した像となる。図8(a)では、説明のために、第1の撮像素子112の撮像面のうち左上の画素の位置に印302を付与している。
【0056】
図8(b)は、第1のローテーション駆動部117によるローテーション角度θが+90度の状態(図4で示した+方向に90度回転した状態)を示している。ローテーション角度が+90度の状態では、第1の撮像素子112の撮像面が水平方向に対して縦長の状態になり、以下、この状態を縦撮り状態と呼ぶことにする。図8(b)は、縦撮り状態で第1の撮像素子112により被写体301を撮像している様子を表している。図8(b)においても、第1の撮像素子112上に結像される被写体301は、第1の結像光学系111のレンズによって上下、左右が反転した像となる。また図8(b)でも、説明のために、第1の撮像素子112の撮像面のうち左上の画素の位置に印302を付与している。
【0057】
次に図9を参照して、横撮り状態の撮像により得られる画像と縦撮り状態の撮像により得られる画像の表示例を説明する。なお、図9でも、説明のために、第1の撮像素子112で撮像された画像のうち左上の画素の位置に印302を付与している。
図9(a)は、図8(a)に示したような横撮り状態で撮像されて現像された画像401を、水平方向に対して横長のアスペクト比で画面上に表示した場合の表示例を示している。図8(a)で示したように、被写体301の像は結像光学系111のレンズにより上下、左右が反転して撮像されているため、図9(a)では、撮像画像を見やすいように180度回転させた画像(現像後の画像)が表示される。
【0058】
図9(b)は、図8(b)に示した縦撮り状態で撮像されて現像された画像402を、水平方向に対して横長のアスペクト比で画面上に表示した場合の表示例を示している。図8(b)で示したように、被写体301の像は結像光学系111のレンズにより上下、左右が反転して撮像されているため、図9(b)でも、撮像画像を見やすいように180度回転させた画像(現像後の画像)が表示される。
【0059】
これら図9(a)と図9(b)の表示例を比べると、図9(a)に示した横撮り状態の画像401の場合、画面上では横長のアスペクト比で被写体301が正立した状態に表示される。これに対し、図9(b)に示した縦撮り状態の画像402では、画面上では横長のアスペクト比で被写体301が90度傾いた状態で表示される。つまり、ローテーション角度θによっては、被写体301が傾いて表示される場合がある。
【0060】
次に図10を参照して、図8(a)に示した横撮り状態と、図8(b)に示した縦撮り状態とで、例えば第1の撮像部110を第1のパン駆動部114によりパン駆動した場合に表示画像の見え方の変化について説明する。
図10(a)は、図8(a)の横撮り状態で撮像している際に第1の撮像部110を、第1のパン駆動部114によりX軸の+方向(紙面上では右方向)にパン駆動した時に表示される画像410の変化例を示している。図10(a)の画像410内に映る被写体301aはパン駆動前の被写体を示し、被写体303bはパン駆動後の被写体を示している。すなわち、横撮り状態において第1の撮像部110をX軸の+方向にパン駆動した場合、第1の撮像部110の撮影方向がX軸の+方向(紙面上の右方向)に移動することで、被写体301は第1の撮像部110に対して相対的に-方向(左方向)に移動する。したがって、表示画面上では、パン駆動前の被写体301aは、パン駆動後には被写体303bの位置に移動する。
【0061】
図10(b)は、図8(b)の縦撮り状態で撮像している際に第1の撮像部110を、第1のパン駆動部114によりX軸の+方向(紙面上では下方向となる)にパン駆動させた時に表示される画像420の変化例を示している。図10(b)の画像420内に映る被写体301aはパン駆動前の被写体を示し、被写体303bはパン駆動後の被写体を示している。すなわち、縦撮り状態で第1の撮像部110をX軸の+方向にパン駆動した場合、第1の撮像部110の撮影方向がX軸の+方向(紙面上の下方向)に移動することで、被写体301は第1の撮像部110に対して相対的に-方向(紙面上では上方向)に移動する。したがって、表示画面上では、パン駆動前の被写体301aは、パン駆動後には被写体303bの位置に移動する。
【0062】
このように、横撮り状態と縦撮り状態とでは、第1の撮像部110を同じ方向にパン駆動した場合であっても、第1の撮像部110のローテーション角度が異なっていれば、表示画像上ではパン駆動に伴う被写体の位置の変化の見え方が異なることがわかる。なお、図8図10の例では、第1の撮像部110のパン駆動を例に挙げたが、他の第2~第4の撮像部120~140の場合も同様に、ローテーション角度が異なれば、パン駆動に伴う被写体の位置の変化の見え方は異なる。
【0063】
また、図10の例では、第1のパン駆動部114による第1の撮像部110のパン駆動の例を挙げたが、第1の捻じれ駆動部119により第1の撮像部110をパン駆動する場合も同様に、ローテーション角度が異なれば被写体位置の移動の見え方も異なる。このことは、第2~第4の撮像部120~140をそれぞれ第2~第4の捻じれ駆動部129~149でパン駆動する場合も同様である。
また、本実施形態では、カメラ100が第1~第4の撮像部110~140の四つの撮像部を備える例を挙げたが、撮像部が一つのみである場合も前述同様に、ローテーション角度が異なれば、パン駆動に伴う被写体の位置の変化の見え方は異なる。
【0064】
このため、ローテーション角度が異なる場合、ユーザは、第1~第4の撮像部110~140の何れかを所望の撮影方向へ移動させるように指示する際に、その時点でのローテーション角度を考慮しながら撮影方向を操作しなければならない。つまり、ローテーション角度が異なっている場合、ユーザは、所望の撮影方向へ直感的に操作することが難しい。
【0065】
そこで、本実施形態では、ローテーション角度θが異なる場合であっても、撮像部の撮影方向の移動に伴う表示画面上での被写体の位置の変化の見え方が、ユーザによる所望の方向への指示操作と同一になるように制御する。すなわち、本実施形態では、ユーザの直感的な操作を可能とする。
以下、図11図12、および図13を参照して、ローテーション角度θが異なるときのGUIと、第1~第4の駆動部113~143の駆動制御例について説明する。
【0066】
図11(b)は、ローテーション角度θが0度(θ=0)の時に、カメラ100の画像処理部151で生成されたOSD表示データによってクライアント装置200の表示装置の画面上に表示されるGUI500の一例を示した図である。なお、図11(b)はクライアント装置200の表示部203により表示されるGUI500を示しているが、GUI500の元になるOSD表示データは、前述したようにカメラ100の画像処理部151により生成されたデータである。また、ローテーション角度θが0度とは、前述した図8(a)のような横撮り状態の場合である。
【0067】
GUI500には、画像表示領域600と操作領域601とが配されている。
画像表示領域600には、第1~第4の撮像部110~140のいずれかで撮像されて現像された画像が表示される。なおここでは、第1の撮像部110で撮像された前述の図9(a)と同じ画像401が画像表示領域600に表示されている例を挙げているが、他の第2~第4の撮像部120~140のいずれかによる画像が表示されてもよい。なお、具体的な表示例については後述するが、画像表示領域600には、第1~第4の撮像部110~140のうち二つ以上の撮像部によって撮像された二つ以上の画像が表示されてもよい。
【0068】
操作領域601は、クライアント装置200のユーザが、カメラ100を操作するための操作用のGUIが表示される領域である。操作領域601には、例えば、撮像部位置表示UI602、撮像部操作UI603、撮像部選択UI604、および操作ボタン605が表示される。
【0069】
撮像部選択UI604は、第1~第4の駆動部113~143のうちユーザによる操作の対象となる撮像部を選択するためのUIである。撮像部選択UI604には、第1~第4の撮像部110~140のそれぞれの撮像部に対応したボタンA~Dが表示される。例えば、ボタンAは第1の撮像部110に対応し、ボタンBは第2の撮像部120に、ボタンCは第3の撮像部130に、ボタンDは第4の撮像部140に対応している。ユーザは、これらのボタンA~Bから所望のボタンをクリックやタッチ等により選択することで、駆動操作の対象となる撮像部を選択したり、逆に駆動操作の対象から解除したりすることができる。ボタンA~Dは、一つだけでなく複数選択することも可能であり、複数のボタンが選択された場合、それら選択されたボタンに対応した複数の撮像部が駆動操作の対象として設定される。また、画像表示領域600内に表示される画像上には、撮像部選択UI604で選択されたボタンに対応した番号が重畳表示されてもよい。図11(a)は、第1の撮像部110のみが選択された場合を例示しており、本実施形態では、撮像部選択UI604内の第1の撮像部110に対応したボタンAが選択されたことを斜線で表している。また、画像表示領域600内に表示された画像401上には、ボタンAを示す番号「A」が重畳表示されている。
【0070】
撮像部位置表示UI602は、カメラ100の第1~第4のパン駆動部114~144の位置、つまり図2で説明した円周102上の第1~第4の撮像部110~140の位置を模擬したシンボルが表示される。撮像部位置表示UI602では、第1~第4のパン駆動部114~144の駆動によって第1~第4の撮像部110~140の位置が変更された場合、それら各撮像部を模したシンボルの位置が変更される。図11(a)では、シンボル621が第1の撮像部110に対応したシンボルであり、同様に、シンボル622が第2の撮像部120に、シンボル623が第3の撮像部130に、シンボル624が第4の撮像部140に対応している。また、撮像部位置表示UI602には、前述の図2に示された駆動端106に対応したシンボル625も表示される。そして、撮像部位置表示UI602では、撮像部選択UI604における撮像部の選択と連動して、その選択されている撮像部に対応したシンボルの表示状態が変更される。図11(a)は、撮像部選択UI604において第1の撮像部110が選択された例が示されているため、撮像部位置表示UI602では第1の撮像部110に対応したシンボル621が例えば特定色の塗りつぶし表示状態に変更された例を示している。
【0071】
撮像部操作UI603は、撮像部選択UI604で選択された撮像部にて撮像されて画像表示領域600内に表示されている画像401を見ながら、ユーザが撮像部の撮影方向を移動させる際の移動方向を指示するためのGUIである。撮像部操作UI603には、画像表示領域600内の画像401を見ながら、ユーザが撮像部の撮影方向を移動させる指示を行うための、パンチルトボタン701,702,703,704,705,706,707,および708が用意されている。パンチルトボタン701~708はそれぞれが三角形などの方向を視認可能とする形状のボタンになっており、ユーザは、パンチルトボタン701~708のいずれかを選択することで、そのボタンの形状で示される移動方向を指示することができる。図11(a)の例の場合、撮像部選択UI604では第1の撮像部110に対応したボタンAが選択されている。このため、図11(a)の場合の撮像部操作UI603は、第1の撮像部110で撮像されて表示されている画像401を見ながら、ユーザが第1の撮像部110の撮影方向を移動させる際の移動方向を指示するためのGUIとなる。
【0072】
パンチルトボタン701~708のうち、パンチルトボタン701は、画像表示領域600内に表示されている画像401に対して右側に、撮影方向を移動させる移動方向をユーザが指示する際にクリック操作されるボタンである。ユーザがパンチルトボタン701をクリックした場合、クライアント装置200の指示部204はそのユーザ指示を制御部202に送り、制御部202はそのユーザ指示に基づく制御信号を、通信部201からカメラ100に送信する。
【0073】
カメラ100の通信部153は受信した制御信号を制御部152に送り、制御部152は、その制御信号、つまりユーザのパンチルトボタン701へのクリック操作に応じてクライアント装置200で生成された制御信号を取得する。このように、制御部152は、画像表示領域600内の画像401に対してユーザが撮像部の撮影方向を移動させるように指示した移動方向を取得する方向取得機能を有する。そして、制御部152は、その制御信号に基づいて、第1の駆動部113を駆動制御する。
【0074】
ここで、図11(b)では、第1の撮像部110のローテーション角度θが0度(θ=0)である場合のGUI500を例に挙げている。また、図11(a)は、第1の撮像部110のローテーション角度θが0度である場合において、パンチルトボタン701が1クリックされたときの第1の駆動部113の駆動量を示している。すなわち第1の撮像部110のローテーション角度θが0度であるときにパンチルトボタン701が1クリックされた場合、制御部152は、第1のパン駆動部114を制御して、第1の撮像部110の撮影方向を所定量αだけ右方向にパン駆動させる。本実施形態では例えばα=10度とする。なお、第1の撮像部110のローテーション角度θが0度のときにパンチルトボタン701がクリックされた場合、制御部152は、第1のチルト駆動部116については駆動しない(つまりチルト方向は0度駆動とする)。
【0075】
また、パンチルトボタン701~708のうち、パンチルトボタン702は、画像表示領域600内に表示されている画像401に対して左側に、撮影方向を移動させる移動方向をユーザが指示する際にクリック操作されるボタンである。ユーザがパンチルトボタン702をクリックした場合、クライアント装置200はそのユーザ指示に基づく制御信号をカメラ100に送信し、カメラ100の制御部152はその制御信号を基に第1の駆動部113を駆動制御する。例えば第1の撮像部110のローテーション角度θが0度のときにパンチルトボタン702が1クリックされた場合、制御部152は、第1のパン駆動部114を制御して、第1の撮像部110の撮影方向を所定量α(10度)だけ左方向にパン駆動させる。なお、第1の撮像部110のローテーション角度θが0度であるときにパンチルトボタン702がクリックされた場合も、制御部152は、第1のチルト駆動部116については駆動しない。
【0076】
また、パンチルトボタン701~708のうち、パンチルトボタン703は、画像表示領域600内に表示されている画像401に対して上側に、撮影方向を移動させる移動方向をユーザが指示する際にクリック操作されるボタンである。ユーザがパンチルトボタン703をクリックした場合、クライアント装置200からはそのユーザ指示に基づく制御信号がカメラ100に送信され、カメラ100の制御部152はその制御信号を基に第1の駆動部113を駆動制御する。例えば第1の撮像部110のローテーション角度θが0度のときにパンチルトボタン703が1クリックされた場合、制御部152は、第1のチルト駆動部116を制御して、第1の撮像部110を所定量α(10度)だけ上方向にチルト駆動させる。なお、第1の撮像部110のローテーション角度θが0度であるときにパンチルトボタン703がクリックされた場合、制御部152は、第1のパン駆動部114については駆動しない。
【0077】
また、パンチルトボタン701~708のうち、パンチルトボタン704は、画像表示領域600内に表示されている画像401に対して下側に、撮影方向を移動させる移動方向をユーザが指示する際にクリック操作されるボタンである。ユーザがパンチルトボタン704をクリックした場合、クライアント装置200からはそのユーザ指示に基づく制御信号がカメラ100に送信され、カメラ100の制御部152はその制御信号を基に第1の駆動部113を駆動制御する。例えば第1の撮像部110のローテーション角度θが0度のときにパンチルトボタン704が1クリックされた場合、制御部152は、第1のチルト駆動部116を制御して、第1の撮像部110を所定量α(10度)だけ下方向にチルト駆動させる。第1の撮像部110のローテーション角度θが0度であるときにパンチルトボタン704がクリックされた場合も、制御部152は、第1のパン駆動部114については駆動しない。
【0078】
以下同様に、パンチルトボタン705は右上方向、パンチルトボタン706は左上方向、パンチルトボタン707は左下方向、パンチルトボタン708は右下方向に、撮影方向を移動させる移動方向をユーザが指示する際に操作されるボタンである。そして、第1の撮像部110のローテーション角度θが0度である場合、制御部152では、パンチルトボタン705~708のいずれかのクリックされたボタンに応じた方向に第1の撮像部110の撮影方向を移動させるように第1の駆動部113を制御する。このように、右上方向、左上方向、左下方向、右下方向などの斜めの方向に第1の撮像部110の撮影方向を移動させる場合、第1のパン駆動部114と第1のチルト駆動部116を同時(又は)順次駆動する。これら斜め方向へ駆動する場合、制御部152は、パン方向とチルト方向の合成ベクトルの駆動量が所定量αになるように算出する。合成ベクトルの算出方法については後述する。
【0079】
なお、図11では、パンチルトボタン701~708を45度間隔で配置した例を示したが、各パンチルトボタンを配置する角度は45度に限定されず、パンチルトボタンごとに異なる角度の間隔であってもよい。また、前述した説明ではパンチルトボタンをクリックする例を挙げたが、例えばパンチルトボタンが長押しされ続けた場合、制御部152は、その方向に第1のパン駆動部114または第1のチルト駆動部116を駆動可能な範囲で駆動し続けてもよい。また、図11では、第1の撮像部110と第1の駆動部113を例に挙げたが、撮像部選択UI604で第2~第4の撮像部120~140のいずれかが選択された場合、制御部152は、その選択された撮像部と駆動部についても同様に制御する。
【0080】
ジョイスティックボタン709は、撮像部選択UI604で選択された撮像部により撮像されて画像表示領域600内に表示されている画像401に対して任意の方向に、撮影方向を移動させる移動方向をユーザが指示する際にドラッグ操作されるボタンである。ジョイスティックボタン709は、いわゆるジョイスティックが搭載されたコントローラを模擬したシンボル712内に表示される。ローテーション角度θが0度である場合、ジョイスティックボタン709が右方向(パンチルトボタン701の方向)にドラッグ操作された場合、カメラ100の制御部152では前述したパンチルトボタン701が操作された場合と同様の駆動制御が行われる。ジョイスティックボタン709が左方向、上方向、下方向、右上方向、左上方向、左下方向、或いは右下方向に操作された場合も、制御部152では前述したパンチルトボタン702~708が操作された場合と同様に駆動制御が行われる。なお、ジョイスティックボタン709の場合、パンチルトボタン701~708で示される8方向以外の駆動制御も可能となる。また、ジョイスティックボタン709が操作されていない場合、ジョイスティックボタン709はシンボル712の中心に位置し、このときカメラ100の制御部152による駆動制御は行われない。
【0081】
また、クライアント装置200の制御部202は、シンボル712の中心からのジョイスティックボタン709の操作量に応じた制御信号をカメラ100に送るようにしてもよい。この場合、カメラ100の制御部152は、シンボル712の中心からのジョイスティックボタン709の操作量に応じて、駆動部(パン駆動部及びチルト駆動部)の駆動速度を変更してもよい。また、ジョイスティックボタン709の位置は、パンチルトボタン701~708に対するクリック操作に連動して、シンボル712内での位置が変更されてもよい。
【0082】
ローテーションボタン710は、撮像部選択UI604で選択された撮像部に対応したローテーション駆動部を、ユーザが+方向に回転駆動させる際にクリック操作されるボタンである。ローテーションボタン710が例えば一度のクリック操作された場合、ローテーション駆動部は+15度ずつローテーション角度を変更する。一方、ローテーションボタン711はローテーション駆動部を-方向に回転駆動するボタンであり、例えば一度のクリック操作に応じて、ローテーション駆動部は-15度ずつローテーション角度を変更する。
【0083】
操作ボタン605は、その他の設定画面を呼び出すメニューボタンや、録画を開始する録画ボタン、表示変更ボタンなどにより構成されている。表示変更ボタンには、後述する第2の実施形態に係る表示ローテーションボタンや、後述する第3の実施形態に係る複数画像表示ボタンなどが含まれる。
【0084】
図12(b)は、ローテーション角度θが+90度(θ=+90)の時に、カメラ100の画像処理部151で生成されたOSD表示データによってクライアント装置200の表示装置に表示されるGUI500の一例を示した図である。図11(b)と同様に、図12(b)はクライアント装置200の表示装置に表示されるGUI500を示しているが、GUI500の元になるOSD表示データはカメラ100の画像処理部151にて生成されたデータである。また、ローテーション角度θが+90度とは、前述した図8(b)のような横撮り状態の場合である。なお、図12(b)でも、撮像部選択UI604では、ボタンAの選択により第1の撮像部110が選択されている例を挙げて説明する。また、図12(a)は、第1のパン駆動部114の軸と第1のチルト駆動部116の軸が、第1のローテーション駆動部117のローテーション駆動に応じて+90度回転している様子を示している。
【0085】
ここで、ローテーション角度θが+90度の時に、例えば第1の撮像部110の第1のパン駆動部114を右(+)方向に駆動させると、図10(b)で説明したように第1の撮像部110の撮影方向をX軸の+方向(紙面上の下方向)に移動させることになる。そして、この場合、画像表示領域600内の画像は被写体301が上方向に移動するように表示されることになる。このため、撮像部操作UI603内のパンチルトボタンをパン駆動部とチルト駆動部の駆動方向を表すボタンにした場合、ローテーション角度に依っては、パンチルトボタンで指示された移動方向と画像表示領域600内の画像の移動方向とが異なるようになる。すなわち、画像表示領域600内の表示画像を見ながらユーザが操作することを想定した場合、ユーザは、現在のローテーション角度とパン駆動部およびチルト駆動部の駆動方向とを考慮しながら、パンチルトボタンの選択を行わなければならなくなる。したがって、ユーザは、画像表示領域600内の表示画像を見ながら直感的な操作を行うことが難しくなる。
【0086】
このため、本実施形態において、GUI500の撮像部操作UI603は、画像表示領域600内の表示画像に対して、ユーザが撮像部の撮影方向を移動させる際の移動方向を指示するためのGUIとなっている。そして、カメラ100の制御部152では、ローテーション角度に基づいて、撮像部操作UI603の画像を見ながらユーザが指示した移動方向と同一の方向に、撮像部の撮影方向を移動させるように、パン駆動部とチルト駆動部の駆動制御を行う。
【0087】
このようなパン駆動部とチルト駆動部の駆動制御を実現するために、制御部152は、まず、撮像部選択UI604で選択されている撮像部に対応したローテーション駆動部によるローテーション角度θを取得する。すなわち制御部152は、表示画面上のGUI500の画像表示領域600に対する画像の回転角度を取得する角度取得処理を行う。なお、以降の説明でも撮像部選択UI604では第1の撮像部110が選択されている場合を例に挙げる。この場合、制御部152は、角度取得処理として、第1のローテーション駆動部117による第1の撮像素子112のローテーション角度θを取得する。
【0088】
そして、制御部152は、そのローテーション角度θに基づいて、パンチルトボタン701の選択によってユーザにより指示された移動方向と同一方向に、第1の撮像部110の撮影方向が移動するように、第1の駆動部113を制御する。すなわち、制御部152は、ユーザにて選択されたパンチルトボタン701が示す方向と同一方向に、第1の撮像部110の撮影方向が移動するように、第1のパン駆動部114と第1のチルト駆動部116の少なくともいずれかを駆動制御する。
【0089】
例えば、ローテーション角度θが0度である時にパンチルトボタン701が選択された場合、制御部152は、図11で説明したのと同様に、第1の撮像部110の撮影方向が右方向に移動するように第1のパン駆動部114を右方向にパン駆動する。またこのとき、制御部152は、第1のチルト駆動部116については駆動しないように制御する。
【0090】
また例えば、ローテーション角度θが+90度の時にパンチルトボタン701が選択された場合、制御部152は、第1のパン駆動部114ではなく、第1のチルト駆動部116を上(+)方向に駆動量αだけ駆動させるように制御する。これにより、第1の撮像部110の撮影方向は右(+)方向に移動し、図12(b)の画像表示領域600内には、画像401に対して右側の画像が映ることになる。すなわち、ユーザは、ローテーション角度を意識しなくても直感的に操作を行えることになる。
【0091】
また例えば、ローテーション角度θが+90度である時に、パンチルトボタン702が選択された場合、制御部152は、第1のチルト駆動部116を下(-)方向に駆動量αだけ駆動させるように制御する。この場合、画像表示領域600内の表示画像に対して、第1の撮像部110の撮影方向は左(-)方向に移動する。これにより、図12(b)の画像表示領域600には画像401に対して左(-)側の画像が映ることになり、パンチルトボタン702の選択によってユーザにより指示された左側への移動方向と一致する。
【0092】
図13(b)は、ローテーション角度θが+45度(θ=+45)の時に、カメラ100の画像処理部151で生成されたOSD表示データによってクライアント装置200の表示装置に表示されるGUI500の一例を示した図である。なお、図13(b)の例も、撮像部選択UI604では、ボタンAの選択により第1の撮像部110が選択されている例を挙げている。図13(a)は、第1のパン駆動部114の軸と第1のチルト駆動部116の軸が、第1のローテーション駆動部117のローテーション駆動によって+45度回転している様子を示している。
【0093】
ローテーション角度θが+45度の時にパンチルトボタン701が選択された場合、制御部152は、第1の撮像部110の撮影方向を、画像表示領域600内の画像401に対して右方向に移動するように、第1の駆動部113を駆動制御する。このときの制御部152は、第1のパン駆動部114によるパン方向と第1のチルト駆動部116によるチルト方向との合成ベクトルが駆動量αとなるように駆動制御する。これにより、第1の撮像部110の撮影方向は右(+)方向に移動し、図13(b)の画像表示領域600内には画像401に対して右(+)側の画像が映ることになる。
【0094】
このようにカメラ100の制御部152は、第1のローテーション駆動部117のローテーション角度に基づいて、パンチルトボタンの操作に応じて制御する第1のパン駆動部114と第1のチルト駆動部116の駆動や駆動比率を変更する。これにより、ユーザは、ローテーション駆動部のローテーション角度を意識することなく、表示されている画像を見ながら直感的に、撮像部の撮影方向を移動させる移動方向の変更指示(操作)を行うことが可能となる。
【0095】
図14は、前述した合成ベクトルの算出方法の説明に用いる図である。
図14では、パンチルトボタン701が操作された場合を例に挙げて説明するが、他の方向を示すパンチルトボタンが操作された場合も同様に合成ベクトルの算出が可能である。図14でも撮像部選択UI604において第1の撮像部110が選択されている場合を例に挙げて説明する。
【0096】
第1の撮像部110に対応する第1の駆動部113の第1のパン駆動部114と第1のチルト駆動部116に対する駆動量の比率は、ローテーション角度θと合成ベクトル801の大きさで示される駆動量αとから算出することができる。第1のパン駆動部114のパン駆動量をPとし、第1のチルト駆動部116のチルト駆動量をTとすると、それらパン駆動量Pとチルト駆動量Tは、三角関数よって以下の式(1)および式(2)で表される。
【0097】
P=α*cosθ 式(1)
T=α*sinθ 式(2)
【0098】
第1のパン駆動部114をパン駆動量Pで駆動し、第1のチルト駆動部116をチルト駆動量Tで駆動することにより、第1の撮像部110の撮影方向を合成ベクトル801の方向および駆動量に制御することができる。
なお、前述の例では、パン駆動量Pとチルト駆動量Tを合成ベクトル801から算出したが、ユーザ指示による移動方向と画像401に対する移動方向とが合っていれば、ユーザは直感的な操作が行えることになる。そのため、式(1)および式(2)で算出される比率と同じ結果が得られるのであればよく、例えば式(1)および式(2)に同一の係数を掛けてもよい。また、実際には、第1の駆動部113(第1のパン駆動部114と第1のチルト駆動部116)には駆動制御の限界(駆動量の設定の最小値や設定間隔)があるため、駆動制御が可能な範囲内で最も近い駆動量に調整して制御をすることが望ましい。
【0099】
図15は、制御部152が前述した制御を行う際の制御処理のフローチャートである。
制御部152は、クライアント装置200から送信されてくる制御信号に、ローテーション角度の変更指示が含まれていた場合に、図15のフローチャートの処理を行う。
まず、ステップS901の処理として、制御部152は、クライアント装置200から送られてくる制御信号を取得する。制御部152は、その制御信号にユーザ指示に撮像素子のローテーション角度の変更指示が含まれているかを判断し、含まれている場合には当該ローテーション角度の情報を読み込む。
次に、ステップS902の処理として、制御部152は、その読み込んだローテーション角度と、制御信号に含まれる各パンチルトボタンの操作情報とから、そのパンチルトボタンの操作情報に応じたパン駆動部とチルト駆動部の駆動量(比率)を算出する。このときの駆動量(比率)は、前述したように合成ベクトルから随時算出してもよいし、事前に計算されたテーブルから読み出してもよい。そして、制御部152は、その算出したパン駆動部とチルト駆動部の駆動量(比率)に応じてパン駆動部とチルト駆動部を駆動制御する。
【0100】
<パンチルトボタンの補足>
本実施形態では、ローテーション角度に依存せずに、GUI500上でのユーザ指示による移動方向に対して、撮像部の撮影方向の移動方向が同じ方向になればよいため、UIの種類や形状はパンチルトボタンに限定されず、様々な種類や形状であってもよい。例えば、右+30度(パンチルトボタン701と対応)と記載されたボタンや、ジョイスティックボタン709、後述する駆動量選択ボタンなどであってもよい。また、パンチルトボタンは、三角形や矢印などの方向が分かるシンボルや、「左」「右」「上」「下」などの方向がわかる文字にしてもよく、この場合、ユーザはより直感的な操作が行える可能性がある。また、表示画像に対して例えば右側の方向を示すボタンは右側に配置するなど、ボタンの配置と移動方向とを紐づけることで、ユーザが直感的な操作が行えるようにしてもよい。
【0101】
<駆動量選択ボタン>
図16は、駆動量選択ボタン730の一例を示した図である。
駆動量選択ボタン730は、例えば操作領域601内にUIとして表示される。図16では、駆動量選択ボタン730の例として、左右駆動量選択ボタン731と上下駆動量選択ボタン732とを示している。左右駆動量選択ボタン731は、六つのボタンにより構成され、左端から-30度、-20度、-10度、+10度、+20度、+30度だけ、パン駆動部による現在のパン駆動位置からパン駆動量を操作するためのボタンである。パン駆動部は、左右駆動量選択ボタン731の-30度のボタンが選択された場合には左(-)方向に30度だけパン駆動位置を変更し、+30度のボタンが選択された場合には右(+)方向に30度だけパン駆動位置を変更する。上下駆動量選択ボタン732も同様に、六つのボタンにより構成され、左端から-30度、-20度、-10度、+10度、+20度、+30度だけ、チルト駆動部による現在のチルト駆動位置からチルト駆動量を操作するためのボタンである。チルト駆動部は、上下駆動量選択ボタン732の-30度のボタンが選択された場合には下(-)方向に30度だけチルト駆動位置を変更し、+30度のボタンが選択された場合には上(+)方向に30度だけチルト駆動位置を変更する。
【0102】
前述した本実施形態の制御部152は、このような駆動量選択ボタン730についても、前述したパンチルトボタンと同様に扱うことができる。例えば、左右駆動量選択ボタン731の右から3番目のボタン(+10度)はパンチルトボタン701と同様に扱われるとともに、当該3番目のボタンが選択された場合には、駆動量が3倍(3*α)の30度に決定される。
【0103】
また、パンチルトボタン701~708や駆動量選択ボタン730とは別に、パン駆動部だけを駆動するボタンや、チルト駆動部だけを駆動するUIがあっても良い。これらのボタンが操作された場合は、ローテーション角度によって、表示画像に対する撮影方向の移動方向が異なる。そのため、これらのUIを使用する場合は、操作領域601内の領域を、前述した撮像部操作UI603と分けるなどして、それらUIを同時に操作できないようにすることが望ましい。また、ユーザが表示画像に対して移動方向を指定したいのか、あるいは駆動部を指定したいのかで、モードの切り替えが設定できるように、カメラ100が異なる二つモードを保有していてもよい。
また、本実施形態では、表示画像に対する撮影方向の移動方向を、パンチルトボタン701~708で表される方向としたが、これに限定されない。例えば表示画像に対する撮影方向の移動方向ではなく、被写体が画面内で移動する方向としてもよい。画面内における被写体の移動方向とした場合には、パンチルトボタン701~708で示される方向は、表示画像に対する撮影方向の移動方向の場合とは正反対(180度回転)の方向となる。すなわち、パンチルトボタンのような表示画像に対する撮影方向の移動方向をユーザが指示するためのUIと、画像内に映る被写体の移動方向を示すUIとは、正反対の方向を示すUIとなる。
【0104】
<<第2の実施形態>>
第1の実施形態ではローテーション駆動部によって撮像素子(あるいは撮像部)をローテーション駆動する例を説明した。これに対し、第2の実施形態では、撮像素子(あるいは撮像部)のローテーション駆動だけでなく、表示画像をその画像中心を回転軸として回転させることによるローテーション駆動も行われる場合の例を説明する。
図17図18は、前述した図11図13と同様のGUI500において、画像表示領域600内の画像を、その画像中心回りで回転させるようにローテーションした例を示す図である。図17および図18においても、撮像部選択UI604において第1の撮像部110が選択されている場合を例に挙げて説明する。
【0105】
第2の実施形態のように、画像表示領域600内の画像401をローテーションする場合、ユーザは操作ボタン605内に設けられる不図示の表示ローテーションボタンを操作する。そして、クライアント装置200は、そのユーザ指示に応じた操作情報を含む制御信号をカメラ100に送る。表示ローテーションボタンの図示は省略するが、表示画像をローテーションする回転角度として、例えばパンチルトボタン701~708と同様に45度ごとのローテーション角度を指定するための8個のボタンなどであってもよい。また例えば、表示ローテーションボタンではなく、表示画像のローテーション角度を数値として入力するテキストボックスなどでもよい。
【0106】
カメラ100の制御部152は、操作ボタン605を通じたユーザ指示により選択されたローテーション角度の操作情報を含む制御信号に基づいて、画像処理部151に対して画像をローテーションするような画像処理を行わせる。そして、そのローテーションされた画像がクライアント装置200に送信されることで、GUI500の画像表示領域600内にはローテーションされた画像401が表示される。
【0107】
図17を参照して、表示画像のローテーション角度φが+90度(φ=+90度)の場合について説明する。ここでは、ローテーション駆動部によるローテーション角度θと、表示画像のローテーション角度φとを用いて説明するが、θとφは同一の次元の値であり、合算することが可能である。ローテーション駆動部によるローテーション角度θと表示画像のローテーション角度φとの和が、第2の実施形態におけるローテーション角度ψであり、式(3)で表すことができる。なお、第1の実施形態の場合は、表示画像のローテーション角度φが0度(φ=0度)であるため、合算されたローテーション角度ψはローテーション駆動部によるローテーション角度θと同一(ψ=θ)である。
【0108】
θ+φ=ψ 式(3)
【0109】
図17は、前述した図11の例に対し、画像401を時計回りに90度回転(ローテーション)した様子を示しており、画像401が水平方向に対して縦長の状態になっていることが分かる。このときのローテーション角度φを+90度とする。なお、ローテーション駆動部によるローテーション角度θは0度であるとする。そのため、合算したローテーション角度ψは+90度となる。またこの図17の例において合算したローテーション角度ψは、図12のローテーション角度θと一致(θ=ψ=+90度)する。すなわち図17に示すように、画像401内に映る被写体301は、図12の例の場合と同様に+90度傾いている。このため、図17のGUI500において例えばパンチルトボタン701が選択された場合も、制御部152は、前述した図12の例でパンチルトボタン701が選択された場合と同じパン駆動部およびチルト駆動部の制御を行えばよい。
【0110】
次に図18を参照して、表示画像のローテーション角度φが+45度(φ=+45度)の場合について説明する。すなわち図18は、前述の図11の例に対して、画像401を時計回りに45度回転(ローテーション)した様子を示しており、画像401が斜めになっていることが分かる。このとき、図18の合算したローテーション角度ψは、図13のローテーション角度θと一致(θ=ψ=+45度)する。すなわち、図18に示すように、画像401内に映る被写体301は、図13の例と同様のローテーションの傾きとなる。このため、図18のGUI500の例においても、制御部152は、前述した図13の例と同じパン駆動部およびチルト駆動部の制御を行えばよい。
【0111】
次に図19を参照して、第1の実施形態のようにローテーション駆動部によるローテーション角度θと、表示画像のローテーション角度φとを組み合わせる場合について説明する。図19の例は、表示画像のローテーション角度φが+90度でかつローテーション駆動部によるローテーション角度θが0度の状態から、ローテーション駆動部のローテーション角度θを-90度だけ駆動した状態を示している。この場合、画像401は、水平方向に対して縦長の画像になり、また画像内の被写体301は正立した状態となる。またこのときの合算のローテーション角度ψは0度となり、図11に示したローテーション角度θと一致(θ=ψ=0度)する。すなわち、図19の場合の合算のローテーション角度ψは、図11の例と同様のローテーション角度となる。したがってこの例の場合、制御部152は、図11で示した駆動部の制御と同様の制御を行えばよいことがわかる。
【0112】
これら図17図19からわかるように、第2の実施形態の場合、表示画像のローテーション角度とローテーション駆動部によるローテーション角度との合算のローテーション角度に基づいて、第1の実施形態の例と同様の制御を行うことができる。すなわち、第2の実施形態においても、表示画像のローテーション角度に依らずに、ユーザは表示画像を見ながら、表示画像の移動方向の変更指示(操作)を直感的に行うことが可能となる。
なお、画像の表示を例えばミラー反転(左右だけ反転または上下だけ反転)する場合には、駆動方向(算出する合成ベクトル)も反転させることが望ましい。これにより、ユーザは、ミラー反転やローテーションを意識しなくても直感的に操作を行えるようになる。
【0113】
なお、第2の実施形態においては、図15のフローチャートの処理のステップS901の処理として、制御部152は、クライアント装置200から送られてくる制御信号を取得する。制御部152は、その制御信号のユーザ指示に、ローテーション角度の変更指示、もしくは、表示画像のローテーション角度の変更指示が含まれているかを判断する。そして、制御部152は、当該変更指示が含まれている場合には当該ローテーション角度の情報を読み込む。
次に、ステップS902の処理として、制御部152は、その読み込んだローテーション角度と、制御信号に含まれる各パンチルトボタンの操作情報とから、そのパンチルトボタンの操作情報に応じたパン駆動部とチルト駆動部の駆動量(比率)を算出する。このときの駆動量(比率)は、前述したように合成ベクトルから随時算出してもよいし、事前に計算されたテーブルから読み出してもよい。そして、制御部152は、その算出したパン駆動部とチルト駆動部の駆動量(比率)に応じてパン駆動部とチルト駆動部を駆動制御する。
【0114】
<<第3の実施形態>>
次に第3の実施形態では、ユーザが複数の撮像部を選択した場合について説明する。
図20は、撮像部選択UI604においてユーザがボタンA~Dを全て選択した場合、つまり第1~第4のすべての撮像部110~140が選択された場合のGUI500を示している。
【0115】
ユーザは、撮像部選択UI604への操作を通じて、複数の撮像部を選択することができ、さらに例えば操作ボタン605内に設けられた不図示の複数画像表示ボタンを選択することで、画像表示領域600内に複数の画像の表示を指示することができる。このように、ユーザにより撮像部選択UI604を通じて複数の撮像部が選択され、さらに複数画像表示ボタンにより複数の画像の表示が指示された場合、それら選択および指示の情報を含む制御信号が、クライアント装置200からカメラ100に送られる。
【0116】
カメラ100の制御部152は、複数の撮像部の選択と複数の画像の表示の指示を含む制御信号に基づいて、複数の撮像部で撮像された複数の画像を配置した画像を生成する画像処理を画像処理部151に行わせる。複数の画像の配置例としては、前述したように縦横の配置や、横一列あるいは縦一の配置などが想定される。そして、画像処理部151により配置された複数の画像が、カメラ100からクライアント装置200に送られて表示される。
【0117】
図20は、第1~第4の撮像部110~140で撮像された四つの画像401~404が縦横に配置されて画像表示領域600に表示されたGUI500の例を示している。画像401は第1の撮像部110により撮像された画像であり、また、画像402は第2の撮像部120、画像403は第3の撮像部130、画像404は第4の撮像部140により撮像された画像であるとする。第1~第4の撮像部110~140で撮像された四つの画像401~404には、撮像部選択UI604で選択されたそれぞれのボタンに対応した番号「A」~「D」がそれぞれ重畳表示されている。これにより、ユーザは、画像表示領域600に表示された画像401~404が、第1~第4の撮像部110~140のいずれに対応した画像であるかを認識できる。
【0118】
また、第1~第4の撮像部110~140は、それぞれが異なる撮影方向になっており、また、第1~第4の撮像部110~140または表示画像はそれぞれが異なるローテーション角度になっているとする。なお、画像表示領域600に表示されている画像401内の被写体311、画像402内の被写体321、画像403内の被写体331、画像404内の被写体341はそれぞれ異なる被写体であるが、図示の簡略化のために、便宜上同じ被写体を示している。
【0119】
なお、図20の例の場合、第1の撮像部110のローテーション角度(ψ=φ+θ)は前述した図11の例と同じ状態であるとする。第2の撮像部120のローテーション角度(ψ=φ+θ)は、図12の例と同じ状態であるとする。第3の撮像部130のローテーション角度(ψ=φ+θ)は、図17の例と同じ状態であるとする。第4の撮像部140のローテーション角度(ψ=φ+θ)は、図19と同じ状態の画像であるとする。
【0120】
ここで、ユーザが例えばパンチルトボタン701を選択して、それに応じた制御信号がカメラ100に送信されたとする。この場合、カメラ100の制御部152は、第1~第4の撮像部110~140のそれぞれのローテーション角度(ψ=φ+θ)に基づいて、前述同様に第1~第4の駆動部113~143に対するパン・チルト駆動制御を行う。すなわち制御部152は、第1の撮像部110に対応した第1の駆動部113については図11で説明したのと同様にパン・チルト駆動制御を行う。また、制御部152は、第2の撮像部120に対応した第2の駆動部123については図12で説明したのと同様にパン・チルト駆動制御を行う。同様に、制御部152は、第3の撮像部130に対応した第3の駆動部133については図17で説明したのと同様にパン・チルト駆動制御を行う。同様に、制御ぶ 152は、第4の撮像部140に対応した第4の駆動部143については図19で説明したのと同様にパン・チルト駆動制御を行う。
【0121】
このように、第3の実施形態によれば、複数の撮像部が選択されている場合であっても、ユーザは表示されている画像を見ながら、それぞれの撮像部の撮影方向の変更指示(操作)を直感的に行うことが可能となる。
【0122】
なお、図20では、撮像部位置表示UI602内のすべての撮像部のシンボルが選択されているため、それらが全て特定色で塗りつぶされている。また、撮像部位置表示UI602に表示されいるシンボルは、第1~第4のパン駆動部114~144の位置関係を示しており、第1~第4の撮像部110~140の撮影方向(撮影画角の方向)はそれぞれ異なっている。このため、複数の撮像部が選択された場合、撮像部位置表示UI602はグレーアウト表示(図20では斜線で表現)あるいは非表示にするなど、ユーザから強調して見えないようにすることが望ましい。これにより、ユーザは画像表示領域600内の画像を見ながらの操作に集中できることになり、誤操作の発生を抑制することができる。また、複数の撮像部が選択された場合、撮像部位置表示UI602を同様にグレーアウト表示にして、ユーザによる操作を受け付けない操作不可の設定にすることが望ましい。
【0123】
<<第4の実施形態>>
第1の実施形態および第2の実施形態では、カメラ100が複数の撮像部を有する多眼カメラである例に挙げたが、第4の実施形態では単一の撮像部を有する単眼カメラである場合について説明する。
図21は、単一の撮像部および駆動部を有するカメラ100と、クライアント装置200とが、ネットワーク170を介して接続された第4の実施形態に係る撮像システムの機能構成例を示した図である。図21では、単一の撮像部および駆動部として、前述した第1の撮像部110および第1の駆動部113を例に挙げており、第4の実施形態では撮像部110および駆動部113として説明する。本実施形態のように、カメラ100が一つの撮像部110のみを有する場合、前述した実施形態のようにパン駆動部と捻じれ駆動部とを分ける必要がなくなるため、駆動部113ではパン駆動部114として統合している。なお、カメラ100が一つの撮像部110および駆動部113を有すること以外は、前述した図1の構成と概ね同様であるため、それら同様の構成の説明は省略する。
【0124】
図22は、第4の実施形態の撮像システムのハードウェア構成例を示した図である。図22の場合、前述した図7とは異なり、カメラ100は一つの撮像部110および駆動部113を有している。図22においても、カメラ100が一つの撮像部110および駆動部113を有すること以外は、前述した図7の構成と概ね同様であるため、それら同様の構成の説明は省略する。
【0125】
図23は、第4の実施形態に係るカメラ100の概略的な外観構成例を示した図である。第4の実施形態のカメラ100は、第1の実施形態で図示した多眼カメラとは異なり、単一の撮像部110を有する単眼カメラである。図23(a)と図23(b)は、それぞれデザインが異なる2種類のカメラ100の例を示している。図23(a)と図23(b)のいずれのカメラ100も固定部105によって壁や天井等に設置され、撮像部110は駆動部113によりパン・チルト方向に駆動される。
【0126】
第4の実施形態のような単一の撮像部110と駆動部113を有するカメラ100の場合も、前述の実施形態と同様、ユーザは、ローテーション角度を意識することなく、表示画像を見ながら直感的に撮影方向の変更指示(操作)を行うことができる。なお、本実施形態のカメラ100のように、撮像部110が一つの単眼カメラ構成である場合、前述したGUI500の撮像部選択UI604は不要となる。
【0127】
<<第5の実施形態>>
第5の実施形態では、特にチルト角度が所定の閾値の角度範囲内である場合について説明する。本実施形態では、チルト角度における所定の閾値の角度範囲の一例として+90度(水平方向に対して+90度)を例に挙げて説明する。第5の実施形態のカメラ100は、第1~第4の撮像部110~140および第1~第4の駆動部113~143を有し、カメラ100とクライアント装置200の機能構成やハードウェア構成は第1~第3の実施形態と同様であり、それらの説明は省略する。第5の実施形態でも、前述した同様に、第1の撮像部110と第1の駆動部113を代表例として説明する。
【0128】
図24(a)は、第1のチルト駆動部116のチルト角度が+90度になっている状態で、第1の撮像部110が第1のパン駆動部114によりパン駆動された場合に、第1の撮像部110が見かけ上ローテーションしてしまうことを示す図である。図24(a)は、前述した図3と同様に示された図であるが、図3の例とは異なり、第1の撮像部110のチルト角度が+90度になっている。なお、図24(a)では、第1の撮像部110の撮影方向をわかり易く表すために、結像光学系111のレンズも描かれている。
【0129】
図24(b)は、第1のパン駆動部114によって第1の撮像部110を円周102上で移動させた場合の、第1の撮像部110の各位置の例を示した図である。図24(b)は、図2と同様に示された図であるが、特に第1のパン駆動部114によってパン駆動が行われた場合の第1の撮像部110にのみ着目した模式図であり、第1の撮像部110を除く第2~第4の撮像部120~140の図示は省略している。すなわち図24(b)は、第1のパン駆動部114によって第1の撮像部110を円周102上で90度ごとに移動させたときの各位置911~914上の第1の撮像部110を示している。図24(b)に示された位置911は、第1のパン駆動部114によるパン駆動時の初期位置(0度)における第1の撮像部110の位置を示しているとする。図24(b)の位置912は第1の撮像部110が初期位置から+90度分パン駆動された位置を示し、以下同様に、位置912は初期位置から+180度分パン駆動された位置、位置914は初期位置から+270度分パン駆動された位置を示している。
【0130】
また、図24(b)では、第1のパン駆動部114によって円周102上を移動することで第1の撮像部110が見かけ上ローテーションしてしまうことをわかり易く示すために、第1の撮像部110を正面から見た時の右上の固定位置に印304を描いている。ここで、撮影される被写体側(紙面手前側)から第1の撮像部110の印304を見ている場合において、第1の撮像部110が+方向にパン駆動されると、印304は第1の撮像部110を中心として時計回りに回転するように見えることが分かる。この場合、第1の撮像部110から見た被写体は、図9で説明したのと同様の方向(第1のローテーション駆動部117の+方向)に回転、つまり時計回りに回転して見えることになる。このことから、第1の撮像部110のチルト角度が+90度である場合、第1のパン駆動部114によるパン駆動を行わないようにするが望ましい。つまり、第1の撮像部110のチルト角度が+90度である場合には、第1のパン駆動部114は駆動させないようにすることで、不要なローテーションが生じた状態の画像が撮像されてしまうことを抑制することができる。あるいは、第1の撮像部110のチルト角度が+90度である場合には、第1の撮像部110によるパン駆動によって見かけ上生じるローテーションを相殺する回転方向に、第1のローテーション駆動部117をローテーション駆動してもよい。
【0131】
また、第1の撮像部110のチルト角度が+90度の状態である場合、ユーザが第1の撮像部110の撮影方向を水平方向に移動させたいと思ったとしても、ユーザはどのように操作すればよいかが分からなくなることが想定される。そしてこの場合、ユーザは、第1の撮像部110のチルト角度を0度方向にするように第1のチルト駆動部116を操作しようとすると想定される。しかしながら、前述したGUI500のパンチルトボタン701~708は、第1のチルト駆動部116を直接指定して駆動するボタンではないため、ユーザは、チルト角度が+90度の状態を解消する方法が分からなくなってしまうことが想定される。
【0132】
そこで、第5の実施形態の場合、チルト角度が+90度の状態を解消する方法をユーザに通知するために、チルト角度が0度になる方向をGUI500内に表示する。
図25は、例えば第1の撮像部110のチルト角度が+90度である場合において、チルト角度を0度にする方向を示す矢印305を表示したGUI500の一例を示す図である。この場合、例えばユーザが操作できないパンチルトボタンをグレーアウト表示(或いは特定色の塗りつぶし)して操作不可であることを示したり、パンチルトボタンそのものを非表示にしたりすることで、ユーザに対して操作可能な駆動方向のみを明示してもよい。このように、撮像部のチルト角度が+90度である場合、駆動可能な方向に合わせてGUI500の表示を変更することで、ユーザは直感的な操作を行えるようになる。
【0133】
第5の実施形態では、チルト角度が+90度である時には、パン駆動部を駆動させないようにすることで画像の不要な回転を抑制することができるとしたが、パン駆動部ではなく、ローテーション駆動部を駆動させないようしてもよい。この場合、GUI500上では、パンチルトボタンのグレーアウトや非表示ではなく、ローテーションボタン710及び711をグレーアウト表示あるいは非表示にしてもよい。
【0134】
第5の実施形態では、チルト角度の+90度を閾値の角度範囲とした例を挙げたが、閾値の角度範囲は+90度には限定されない。例えば+80度から+100度のチルト角度の範囲を閾値の角度範囲内としてもよい。なお、閾値の角度範囲を+80度~+100度よりさらに拡大してもよいが、閾値の角度範囲を拡大する場合の最大の角度範囲は、+45度から+135度の角度範囲までとする。これは、チルト角度が+45度以下の場合、撮像部では水平方向も撮像されることにはり、パン駆動部によるパン駆動が回転ではなく移動に見えるためである。
【0135】
また、本実施形態では、チルト駆動部の可動範囲を0度から+90度としたが、これに限定されずに適宜変更が可能である。また、本実施形態は、チルト角度が-90度の場合にも同様に適用が可能である。
また、第5の実施形態では、第1~第3の実施形態のような複数の撮像部を有する撮像装置の例を用いて説明したが、第4の実施形態で示したような単一の撮像部のみを有する撮像装置にも同様に適用可能である。
【0136】
なお、図24(b)で示したように、第1のパン駆動部114のパン駆動によって、第1の撮像部110は円周102上を移動する。円周102上を逐次移動した際の第1の撮像部110の各位置は厳密にはそれぞれ異なった位置になり、そのため、各位置における第1の撮像部110の撮影範囲も厳密には移動することになる。一方で、第1の撮像部110の位置と円周102の軸101との間の距離が小さくなるほど、第1の撮像部110は移動ではなく回転しているように見えることになる。例えば撮像部が一つのみの単眼カメラの場合、多眼カメラのように複数の撮像部で共通の回転軸を持つ必要がなく、回転軸と撮像部の位置が近くなるため、回転しているように見えるやすくなる。また例えば、撮像部の結像光学系が広角になるほど、撮像部と回転軸の距離の画角に対する影響は小さくなるため、この場合も回転しているように見えやすくなる。
【0137】
<<その他の実施形態>>
本発明は、上述した実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける一つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
上述の各実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明は、その技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0138】
本実施形態の開示は、以下の構成、方法、およびプログラムを含む。
(構成1)
撮像部で撮像されて表示された画像に対してユーザにより指示された移動方向を取得する方向取得手段と、
前記撮像部または前記撮像部の撮像素子の結像光学系の光軸回りの回転による回転角度と、表示された前記画像の画像中心回りの回転による回転角度との少なくとも一つを取得する角度取得手段と、
前記撮像部の撮影方向を第1の方向に移動させる第1の駆動手段と、前記撮像部の撮影方向を前記第1の方向とは異なる第2の方向に移動させる第2の駆動手段とを制御する制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記回転角度に基づいて、前記撮像部による撮影方向が、前記ユーザの指示による前記移動方向に合うように、前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段による前記撮像部の撮影方向の移動を制御することを特徴とする制御装置。
(構成2)
前記制御手段は、前記撮像部または前記撮像部の撮像素子を、結像光学系の光軸回りに回転させる回転手段を制御することを特徴とする構成1に記載の制御装置。
(構成3)
前記撮像部で撮像された画像を、画像中心回りに回転させる画像処理を行う画像処理手段を有し、
前記制御手段は、前記画像処理手段による前記画像を画像中心回りに回転させる画像処理を制御することを特徴とする構成1または2に記載の制御装置。
(構成4)
前記角度取得手段は、前記撮像部または前記撮像部の撮像素子の結像光学系の光軸回りの回転と、前記撮像部で撮像されて表示される画像の画像中心回りの回転とに基づいて、前記回転角度を算出することを特徴とする構成1乃至3のいずれか1構成に記載の制御装置。
(構成5)
前記撮像部で撮像されて表示された画像に対して前記ユーザが前記移動方向を指示するためのユーザーインターフェースのデータ、または、画像内に映る被写体の移動方向を示すユーザーインターフェースのデータを、生成する画像処理手段を有することを特徴とする構成1乃至4のいずれか1構成に記載の制御装置。
(構成6)
前記撮像部で撮像されて表示された画像に対して前記ユーザが前記移動方向を指示するためのユーザーインターフェースと、前記画像内に映る被写体の移動方向を示すユーザーインターフェースとは、正反対の方向を示すユーザーインターフェースであることを示す構成5に記載の制御装置。
(構成7)
前記制御手段は、前記回転角度に基づいて、前記第1の駆動手段による前記第1の方向と前記第2の駆動手段による前記第2の方向との合成ベクトルを算出し、前記合成ベクトルに基づいて、前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段とによる駆動の比率を決定することを特徴とする構成1乃至6のいずれか1構成に記載の制御装置。
(構成8)
前記制御手段は、前記合成ベクトルに基づいて、前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段の駆動量を決定することを特徴とする構成7に記載の制御装置。
(構成9)
前記第1の駆動手段は複数の前記撮像部ごとの前記撮影方向を個々に前記第1の方向に移動させる複数の第1の駆動手段からなり、
前記第2の駆動手段は前記複数の撮像部ごとの前記撮影方向を個々に前記第2の方向に移動させる複数の第2の駆動手段からなり、
前記複数の撮像部または前記撮像部ごとの撮像素子を結像光学系の光軸回りに回転させる複数の回転手段をさらに有し、
前記方向取得手段は、前記複数の撮像部の中からユーザにより選択された一つ以上の撮像部で撮像されて表示される画像に対してユーザにより指示された前記移動方向を取得し、
前記制御手段は、前記複数の第1の駆動手段と前記複数の第2の駆動手段と前記複数の回転手段とを制御することを特徴とする構成1乃至8のいずれか1構成に記載の制御装置。
(構成10)
複数の前記移動方向をユーザが指示するためのユーザーインターフェースのデータを生成する画像処理手段を有し、
前記複数の撮像部の中からユーザにより複数の撮像部が選択された場合、前記画像処理手段は、ユーザによる前記ユーザーインターフェースへの操作を不可とする表示または前記ユーザーインターフェースを非表示にすることを特徴とする構成9に記載の制御装置。
(構成11)
前記第1の方向は前記撮像部の撮影方向を水平方向に移動させる方向であり、
前記第2の方向は前記撮像部の撮影方向を垂直方向に移動させる方向であり、
前記制御手段は、前記第2の方向へ移動させた前記撮像部の撮影方向が、前記水平方向に対して所定の角度範囲内である場合には、前記第1の駆動手段または前記回転手段を駆動しないように制御することを特徴とする構成9または10に記載の制御装置。
(構成12)
複数の前記移動方向をユーザが指示するためのユーザーインターフェースのデータを生成する画像処理手段を有し、
前記制御手段が前記第1の駆動手段または前記回転手段を駆動しないように制御した場合、前記画像処理手段は、ユーザによる前記ユーザーインターフェースへの操作を不可とする表示または前記ユーザーインターフェースを非表示にすることを特徴とする構成11に記載の制御装置。
(構成13)
前記第2の方向へ移動させた前記撮像部の撮影方向が、前記水平方向に対して所定の角度範囲内である場合には、前記撮像部の撮影方向を前記水平方向にする方向を表すユーザーインターフェースのデータを生成する画像処理手段を有することを特徴とする構成11に記載の制御装置。
(構成14)
前記撮像部で撮像された画像をミラー反転させる画像処理手段を有し、
前記制御手段は、前記画像処理手段によって前記ミラー反転が行われた場合には、前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段による前記撮影方向の移動方向を反転することを特徴とする構成1乃至13のいずれか1構成に記載の制御装置。
(方法1)
撮像部で撮像されて表示された画像に対してユーザにより指示された移動方向を取得する方向取得工程と、
前記撮像部または前記撮像部の撮像素子の結像光学系の光軸回りの回転による回転角度と、表示された前記画像の画像中心回りの回転による回転角度との少なくとも一つを取得する角度取得工程と、
前記撮像部の撮影方向を第1の方向に移動させる第1の駆動手段と、前記撮像部の撮影方向を前記第1の方向とは異なる第2の方向に移動させる第2の駆動手段とを制御する制御工程と、
を有し、
前記制御工程は、前記回転角度に基づいて、前記撮像部による撮影方向が、前記ユーザの指示による前記移動方向に合うように、前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段による前記撮像部の撮影方向の移動を制御することを特徴とする制御方法。
(プログラム1)
コンピュータを、構成1乃至14のいずれか1構成に記載の制御装置として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0139】
100:撮像装置、110~140:第1~第4の撮像部、113~143:第1~第4の駆動部、114~144:第1~第4のパン駆動部、115~145:第1~第4のズーム駆動部、116~146:第1~第4のチルト駆動部、117~147:第1~第4のローテーション駆動部、118~148:第1~第4のフォーカス駆動部、119~149:第1~第4の捻じれ駆動部、151:画像処理部、152:制御部、153:通信部、154:記録部、200:クライアント装置
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