(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025139305
(43)【公開日】2025-09-26
(54)【発明の名称】弾性波フィルタ及び高周波モジュール
(51)【国際特許分類】
H03H 9/64 20060101AFI20250918BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20250918BHJP
【FI】
H03H9/64 Z
H05K9/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024038160
(22)【出願日】2024-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】黒▲柳▼ ▲琢▼真
【テーマコード(参考)】
5E321
5J097
【Fターム(参考)】
5E321AA02
5E321AA14
5E321AA23
5E321GG01
5J097AA01
5J097BB15
5J097CC04
5J097GG03
5J097GG04
5J097KK02
5J097KK09
(57)【要約】
【課題】通過特性及び減衰特性の劣化を抑制することができる弾性波フィルタを提供する。
【解決手段】弾性波フィルタ100は、圧電基板11aと、圧電基板11aに形成された直列腕共振子101及び103と、圧電基板11aに配置され、アンテナ接続端子201に接続される外部接続端子121と、圧電基板11aに配置され、増幅器に接続される外部接続端子122と、圧電基板11aに配置され、外部接続端子121を直列腕共振子101に電気的に接続する配線13と、圧電基板11aに配置され、外部接続端子122を直列腕共振子103に電気的に接続する配線14と、圧電基板11aの側面の一部を覆うシールド12と、を備え、シールド12は、圧電基板11aの側面のうち、配線14と対向する領域A2の少なくとも一部を覆っており、配線13と対向する領域A1を覆っていない。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に形成された第1直列腕共振子及び第2直列腕共振子と、
前記第1基板に配置され、アンテナ接続端子に接続される第1外部接続端子と、
前記第1基板に配置され、増幅器に接続される第2外部接続端子と、
前記第1基板に配置され、前記第1外部接続端子を前記第1直列腕共振子に電気的に接続する第1配線と、
前記第1基板に配置され、前記第2外部接続端子を前記第2直列腕共振子に電気的に接続する第2配線と、
前記第1基板の側面の一部を覆うシールドと、を備え、
前記シールドは、前記第1基板の側面のうち、前記第2配線と対向する第2領域の少なくとも一部を覆っており、前記第1配線と対向する第1領域を覆っていない、
弾性波フィルタ。
【請求項2】
前記シールドは、前記第1基板の側面のうち、前記第1直列腕共振子と対向する第3領域を覆っていない、
請求項1に記載の弾性波フィルタ。
【請求項3】
前記シールドは、前記第1基板の側面のうち、前記第2直列腕共振子と対向する第4領域の少なくとも一部を覆っている、
請求項1又は2に記載の弾性波フィルタ。
【請求項4】
前記弾性波フィルタは、さらに、第2基板を備え、
前記第1基板は、前記第2基板上に配置され、
前記シールドは、前記第2基板の側面のうち、前記第2配線と対向する第6領域の少なくとも一部を覆っており、前記第1配線と対向する第5領域を覆っていない、
請求項1又は2に記載の弾性波フィルタ。
【請求項5】
前記シールドは、前記第2基板の側面のうち、前記第1直列腕共振子と対向する第7領域を覆っていない、
請求項4に記載の弾性波フィルタ。
【請求項6】
前記シールドは、前記第2基板の側面のうち、前記第2直列腕共振子と対向する第8領域の少なくとも一部を覆っている、
請求項4に記載の弾性波フィルタ。
【請求項7】
前記弾性波フィルタは、第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有し、
前記増幅器は、低雑音増幅器である、
請求項1又は2に記載の弾性波フィルタ。
【請求項8】
前記弾性波フィルタは、第1バンドの送信帯域を含む通過帯域を有し、
前記増幅器は、電力増幅器である、
請求項1又は2に記載の弾性波フィルタ。
【請求項9】
前記弾性波フィルタは、弾性表面波フィルタ又はバルク弾性波フィルタである、
請求項1又は2に記載の弾性波フィルタ。
【請求項10】
モジュール基板と、
前記モジュール基板に配置された請求項1又は2に記載の弾性波フィルタと、
前記モジュール基板に配置され、前記弾性波フィルタの前記第1外部接続端子に電気的に接続されたインダクタと、備える、
高周波モジュール。
【請求項11】
前記インダクタは、前記第2領域よりも前記第1領域の近くに配置されている、
請求項10に記載の高周波モジュール。
【請求項12】
第1基板及び第2基板と、
前記第1基板に形成された第1直列腕共振子と、
前記第2基板に形成された第2直列腕共振子と、
前記第1基板に配置され、アンテナ接続端子に接続される第1外部接続端子と、
前記第2基板に配置され、増幅器に接続される第2外部接続端子と、
前記第1基板に配置され、前記第2基板に接続される第3外部接続端子と、
前記第2基板に配置され、前記第3外部接続端子に接続される第4外部接続端子と、
前記第2基板の側面の少なくとも一部を覆うシールドと、を備え、
前記第1基板の側面は、シールドで覆われていない、
弾性波フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性波フィルタ及び高周波モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、高周波フィルタをシールドするシールドケースの天井部分に穴を形成することが開示されている。これにより、高周波フィルタとシールドケースとの間の容量結合及び/又は誘導結合が抑制され、高周波フィルタの特性の劣化が抑制されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、弾性波フィルタと他の部品との間の結合による通過特性の劣化の抑制しつつ、シールドによる減衰特性の劣化を抑制することが難しい場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、通過特性及び減衰特性の劣化を抑制することができる弾性波フィルタ及び高周波モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る弾性波フィルタは、第1基板と、第1基板に形成された第1直列腕共振子及び第2直列腕共振子と、第1基板に配置され、アンテナ接続端子に接続される第1外部接続端子と、第1基板に配置され、増幅器に接続される第2外部接続端子と、第1基板に配置され、第1外部接続端子を第1直列腕共振子に電気的に接続する第1配線と、第1基板に配置され、第2外部接続端子を第2直列腕共振子に電気的に接続する第2配線と、第1基板の側面の一部を覆うシールドと、を備え、シールドは、第1基板の側面のうち、第2配線と対向する第2領域の少なくとも一部を覆っており、第1配線と対向する第1領域を覆っていない。
【0007】
本発明の一態様に係る弾性波フィルタは、第1基板及び第2基板と、第1基板に形成された第1直列腕共振子と、第2基板に形成された第2直列腕共振子と、第1基板に配置され、アンテナ接続端子に接続される第1外部接続端子と、第2基板に配置され、増幅器に接続される第2外部接続端子と、第1基板に配置され、第2基板に接続される第3外部接続端子と、第2基板に配置され、第3外部接続端子に接続される第4外部接続端子と、第2基板の側面の少なくとも一部を覆うシールドと、を備え、第1基板の側面は、シールドで覆われていない。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、弾性波フィルタの通過特性及び減衰特性の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る高周波モジュールの回路構成図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る高周波モジュールの平面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る高周波モジュールの断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る弾性波フィルタの断面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1に係る弾性波フィルタの断面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1に係る弾性波フィルタの正面図である。
【
図7】
図7は、実施の形態1に係る弾性波フィルタの左側面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態1に係る弾性波フィルタの右側面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態1に係る弾性波フィルタの背面図である。
【
図10】
図10は、シールドによる寄生容量の影響を説明するためのスミスチャートである。
【
図11】
図11は、実施の形態2に係る高周波モジュールの回路構成図である。
【
図12】
図12は、実施の形態2に係るフィルタモジュールの断面図である。
【
図13】
図13は、実施の形態3に係る高周波モジュールの回路構成図である。
【
図14】
図14は、実施の形態3に係るフィルタモジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。
【0011】
なお、各図は、本発明を示すために適宜強調、省略、又は比率の調整を行った模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではなく、実際の形状、位置関係、及び比率とは異なる場合がある。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡素化される場合がある。
【0012】
以下の各図において、x軸及びy軸は、基板の主面と平行な平面上で互いに直交する軸である。具体的には、平面視において基板が矩形状を有する場合、x軸は、モジュール基板の第1辺に平行であり、y軸は、基板の第1辺と直交する第2辺に平行である。また、z軸は、基板の主面に垂直な軸であり、その正方向は上方向を示し、その負方向は下方向を示す。
【0013】
以下の説明において、「接続される」とは、接続端子及び/又は配線導体で直接接続される場合だけでなく、他の回路素子を介して電気的に接続される場合も含む。「CがA及びBの間に接続される」とは、Cの一端がAに接続され、Cの他端がBに接続されることを意味し、CがA及びBの間を結ぶ経路に直列配置されることを意味する。「A及びBの間を結ぶ経路」とは、AをBに電気的に接続する導体で構成された経路を意味する。
【0014】
「端子」とは、要素内の導体が終了するポイントを意味する。なお、要素間の導体のインピーダンスが十分に低い場合には、端子は、単一のポイントだけでなく、要素間の導体上の任意のポイント又は導体全体と解釈される。
【0015】
「フィルタの通過帯域」とは、フィルタによって伝送される周波数スペクトルの部分であり、出力電力が最大出力電力よりも3dB以上減衰しない周波数帯域と定義される。したがって、バンドパスフィルタの通過帯域の高域端及び低域端は、出力電力が最大出力電力よりも3dB減衰する2つのポイントの高い方の周波数及び低い方の周波数として特定される。
【0016】
「送信帯域」とは、通信装置において送信に用いられる周波数バンドを意味し、「受信帯域」とは、通信装置において受信に用いられる周波数バンドを意味する。例えば、FDDバンドでは、送信帯域及び受信帯域として、互いに異なる周波数バンド(例えば、アップリンク帯域及びダウンリンク帯域)が用いられる。また例えば、時分割複信(TDD:Time Division Duplex)バンドでは、送信帯域及び受信帯域は、同一の周波数バンドが用いられる。
【0017】
「同時通信可能」とは、複数のバンドの信号を同時に送信、受信又は送受信することができることを意味する。同時通信可能なバンドコンビネーションは、標準化団体など(例えば3GPP(登録商標)(3rd Generation Partnership Project)及びIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)等)によって予め定義される。同時通信の例としては、CA(Carrier Aggregation)、EN-DC(E-UTRAN New Radio -Dual Connectivity)、NR-DC(New Radio - Dual Connectivity)、又は、NE-DC(New Radio E-UTRAN - Dual Connectivity)などが挙げられる。
【0018】
「部品が基板に配置される」とは、部品が基板の主面に配置されること、及び、部品が基板内に配置されることを含む。「部品が基板の主面に配置される」とは、部品が基板の主面に接触して配置されることに加えて、部品が主面と接触せずに当該主面の上方に配置されること(例えば、部品が主面と接触して配置された他の部品上に積層されること)を含む。また、「部品が基板の主面に配置される」は、主面に形成された凹部に部品が配置されることを含んでもよい。「部品が基板内に配置される」とは、部品がモジュール基板内にカプセル化されることに加えて、部品の全部が基板の両主面の間に配置されているが部品の一部が基板に覆われていないこと、及び、部品の一部のみが基板内に配置されていることを含む。
【0019】
「シールドが基板の側面を覆う」とは、基板の側面の法線方向から当該側面をみたときにシールドによって当該側面が遮られている状態を意味する。したがって、シールドは、必ずしも当該側面に接触している必要はない。
【0020】
「基板の側面のうち、部品(例えば、配線及び共振子など)に対向する領域」とは、平面視において、基板の互いに平行な2つの側面のうち部品により近い側面の領域であり、当該側面と平行な平面に部品を正投影して得られる領域を基板の主面の法線方向(z方向)に拡張した基板の側面上の領域を意味する。
【0021】
「平行」及び「垂直」などの要素間の関係性を示す用語、及び、「矩形」などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表すのではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の誤差をも含むことを意味する。
【0022】
(実施の形態1)
実施の形態1について説明する。本実施の形態に係る弾性波フィルタ100を含む高周波モジュール300は、無線接続を提供するための通信装置に使用することができる。例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ウェアラブル・デバイスなどのセルラーネットワーク(モバイルネットワークともいう)におけるユーザ端末(UE:User Equipment)に用いることができる。別の例では、IoT(Internet of Things)センサ・デバイス、医療/ヘルスケア・デバイス、車、無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)(いわゆるドローン)、無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)に無線接続を提供するための通信装置に用いることができる。さらに別の例では、無線アクセスポイント又は無線ホットスポットで無線接続を提供するための通信装置に用いることもできる。
【0023】
ここで、本実施の形態に係る高周波モジュール300の回路構成について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態に係る高周波モジュール300の回路構成図である。
【0024】
なお、
図1は、例示的な回路構成であり、高周波モジュール300及び弾性波フィルタ100は、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供される高周波モジュール300及び弾性波フィルタ100の説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0025】
[1.1 高周波モジュール300の回路構成]
高周波モジュール300は、弾性波フィルタ100と、インダクタ200と、アンテナ接続端子201と、を備える。弾性波フィルタ100の詳細な回路構成については、後述する。
【0026】
アンテナ接続端子201は、高周波モジュール300の外部接続端子である。アンテナ接続端子201は、高周波モジュール300外でアンテナ(図示せず)に接続され、高周波モジュール300内で弾性波フィルタ100に接続される。
【0027】
弾性波フィルタ100は、バンドAの受信帯域を含む通過帯域を有するバンドパスフィルタである。なお、弾性波フィルタ100は、バンドAの送信帯域を含む通過帯域を有するバンドパスフィルタであってよい。また、弾性波フィルタ100は、バンドパスフィルタに限定されない。弾性波フィルタ100としては、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)フィルタ、又は、バルク弾性波(BAW:Bulk Acoustic Wave)フィルタを用いることができる。
【0028】
バンドAは、第1バンドの一例であり、無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)を用いて構築される通信システムのための周波数バンドである。バンドAは、標準化団体など(例えば3GPP及びIEEE)によって予め定義される。通信システムの例としては、5GNR(5th Generation New Radio)システム、LTE(Long Term Evolution)システム及びWLAN(Wireless Local Area Network)システム等を挙げることができる。
【0029】
インダクタ200は、アンテナ接続端子201と弾性波フィルタ100との間を結ぶ経路とグランドとの間に接続される。インダクタ200は、例えばインピーダンス整合回路を構成する。なお、インピーダンス整合回路は、
図1の回路構成に限定されない。例えば、インピーダンス整合回路は、インダクタ200に加えて、又は、インダクタ200の代わりに、アンテナ接続端子201と弾性波フィルタ100との間に接続されたインダクタ及び/又はキャパシタを含んでもよく、アンテナ接続端子201と弾性波フィルタ100との間を結ぶ経路とグランドとの間に接続されたキャパシタを含んでもよい。
【0030】
なお、高周波モジュール300は、電力増幅器及び/又は低雑音増幅器を含んでもよく、複数の弾性波フィルタ100を含んでもよい。
【0031】
[1.2 弾性波フィルタ100の回路構成]
次に、弾性波フィルタ100の回路構成について
図1を参照しながら説明する。弾性波フィルタ100は、直列腕共振子101、102及び103と、並列腕共振子111、112及び113と、外部接続端子121、122及び123と、を備える。
【0032】
外部接続端子121は、第1外部接続端子の一例である。外部接続端子121は、弾性波フィルタ100の外部でアンテナ接続端子201に接続され、弾性波フィルタ100の内部で直列腕共振子101に接続される。
【0033】
外部接続端子122は、第2外部接続端子の一例である。外部接続端子122は、弾性波フィルタ100の外部で電力増幅器(図示せず)及び/又は低雑音増幅器(図示せず)に接続され、弾性波フィルタ100の内部で直列腕共振子103に接続される。
【0034】
外部接続端子123は、弾性波フィルタ100の外部でグランドに接続され、弾性波フィルタ100の内部で並列腕共振子111~113に接続される。
【0035】
直列腕共振子101~103は、外部接続端子121及び122の間に直列に接続される。具体的には、直列腕共振子101は、第1直列腕共振子の一例であり、外部接続端子121及び直列腕共振子102の間に接続される。直列腕共振子102は、直列腕共振子101及び103の間に接続される。直列腕共振子103は、第2直列腕共振子の一例であり、直列腕共振子102及び外部接続端子122の間に接続される。
【0036】
並列腕共振子111~113は、外部接続端子121及び122の間を結ぶ経路とグランドとの間に互いに並列に接続される。具体的には、並列腕共振子111は、直列腕共振子101及び102の間を結ぶ経路と外部接続端子123との間に接続される。並列腕共振子112は、直列腕共振子102及び103の間を結ぶ経路と外部接続端子123との間に接続される。並列腕共振子113は、直列腕共振子103及び外部接続端子122の間を結ぶ経路と外部接続端子123との間に接続される。
【0037】
なお、弾性波フィルタ100に含まれる直列腕共振子の数及び並列腕共振子の数は、
図1に示されている数に限定されない。例えば、弾性波フィルタ100に含まれる直列腕共振子の数及び並列腕共振子の数は、それぞれ1つであってもよい。つまり、弾性波フィルタ100において、第1直列腕共振子と第2直列腕共振子とが同一の1つの直列腕共振子であってもよい。
【0038】
[1.3 高周波モジュール300の実装例]
次に、高周波モジュール300の実装例について
図2及び
図3を参照しながら説明する。
図2は、本実施の形態に係る高周波モジュール300の平面図である。
図3は、本実施の形態に係る高周波モジュール300の断面図である。
【0039】
なお、
図2及び
図3は、例示的な図であり、高周波モジュール300は、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供される高周波モジュール300の説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0040】
高周波モジュール300は、モジュール基板301と、弾性波フィルタ100と、インダクタ200と、を備える。モジュール基板301の主面には、弾性波フィルタ100とインダクタ200とが配置されている。
【0041】
モジュール基板301としては、例えば、複数の誘電体層の積層構造を有する低温同時焼成セラミックス(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics)基板もしくは高温同時焼成セラミックス(HTCC:High Temperature Co-fired Ceramics)基板、部品内蔵基板、再配線層(RDL:Redistribution Layer)を有する基板、又は、プリント基板等を用いることができるが、これらに限定されない。
【0042】
弾性波フィルタ100は、基板11と、シールド12と、外部接続端子121~123と、を備える。外部接続端子121は、モジュール基板301上の配線302を介してインダクタ200に電気的に接続される。なお、弾性波フィルタ100の詳細については
図4~
図9を用いて後述する。
【0043】
インダクタ200は、チップインダクタとして実装されている。チップインダクタとは、インダクタを構成する表面実装デバイス(SMD:Surface Mount Device)を意味する。なお、インダクタ200の実装は、チップインダクタに限定されない。例えば、インダクタ200は、モジュール基板301に形成された配線パターンによって実装されてもよい。
【0044】
[1.4 弾性波フィルタ100の実装例]
次に、弾性波フィルタ100の実装例について
図4~
図9を参照しながら説明する。
図4及び
図5は、本実施の形態に係る弾性波フィルタ100の断面図である。
図4及び
図5における弾性波フィルタ100の断面は、
図3のiv-iv線及び
図4のv-v線における断面である。
図6~
図9は、本実施の形態に係る弾性波フィルタ100の正面図、左側面図、右側面図及び背面図である。
【0045】
なお、
図4~
図9は、例示的な図であり、弾性波フィルタ100は、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供される弾性波フィルタ100の説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0046】
図5に示すように、基板11は、圧電基板11aと支持基板11bとを含む。
【0047】
圧電基板11aは、第1基板の一例であり、支持基板11b上に配置される。圧電基板11aは、例えばタンタル酸リチウム(LiTaO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、窒化アルミニウム(AlN)、又は、酸化亜鉛(ZnO)の圧電単結晶又は圧電セラミックスで構成される。なお、圧電基板11aの材料は、これらに限定されない。
【0048】
圧電基板11aには、直列腕共振子101~103及び並列腕共振子111~113が形成される。直列腕共振子101~103及び並列腕共振子111~113は、例えば、圧電基板11aの表面上に形成されたIDT(Inter Digital Transducer)電極である。IDT電極は、表面弾性波(Surface Acoustic Wave)を発生及び検出することができる。
【0049】
さらに、圧電基板11aには、配線13、14及び15が形成されている。配線13は、直列腕共振子101を外部接続端子121に電気的に接続する。配線14は、直列腕共振子103を外部接続端子122に電気的に接続する。配線15は、並列腕共振子111~113を外部接続端子123に電気的に接続する。配線13~15は、IDT電極のバスバー電極を含んでもよい。
【0050】
支持基板11bは、第2基板の一例であり、圧電基板11aを支持する。支持基板11bは、例えばシリコン基板であり、直列腕共振子101~103及び並列腕共振子111~113と支持基板11bとの間に空間を形成するための凹部21を有する。また、支持基板11b内には、配線13~15と外部接続端子121~123をそれぞれ電気的に接続するビア導体が形成されている。
【0051】
シールド12は、例えばスパッタ法により形成された金属膜であり、グランドに接続される。シールド12は、弾性波フィルタ100内の部品と弾性波フィルタ100外の部品との間の容量結合(電界結合)及び/又は誘導結合(磁界結合)を抑制することができる。
【0052】
シールド12は、
図6~
図9に示すように圧電基板11a及び支持基板11bの側面を部分的に覆っている。より具体的には、シールド12は、圧電基板11a及び支持基板11bの側面のうち、少なくとも領域A1、A3、A5及びA7を覆っておらず、少なくとも領域A2、A4、A6及びA8を覆っている。なお、シールド12は、領域A2の少なくとも一部を覆えばよく、領域A4、A6及びA8を覆わなくてもよい。また、シールド12は、領域A3、A5及びA7を覆ってもよい。
【0053】
領域A1は、第1領域の一例であり、圧電基板11aの側面のうち、配線13に対向する領域である。領域A2は、第2領域の一例であり、圧電基板11aの側面のうち、配線14に対向する領域である。領域A3は、第3領域の一例であり、圧電基板11aの側面のうち、直列腕共振子101に対向する領域である。領域A4は、第4領域の一例であり、圧電基板11aの側面のうち、直列腕共振子103に対向する領域である。
【0054】
領域A5は、第5領域の一例であり、支持基板11bの側面のうち、配線13に対向する領域である。領域A6は、第6領域の一例であり、支持基板11bの側面のうち、配線14に対向する領域である。領域A7は、第7領域の一例であり、支持基板11bの側面のうち、直列腕共振子101に対向する領域である。領域A8は、第8領域の一例であり、支持基板11bの側面のうち、直列腕共振子103に対向する領域である。
【0055】
インダクタ200は、領域A2よりも領域A1の近くに配置されており、領域A4よりも領域A3の近くに配置されている。また、インダクタ200は、領域A6よりも領域A5の近くに配置されており、領域A8よりも領域A7の近くに配置されている。
【0056】
外部接続端子121~123は、支持基板11bの圧電基板11aとは反対側の主面(
図5における下面)に形成されている。外部接続端子121~123は、モジュール基板301の入出力端子及びグランド端子に電気的に接続される。外部接続端子121~123としては、例えば銅電極又ははんだ電極が用いられる。
【0057】
[1.5 シールド12による寄生容量の影響]
次に、シールド12による寄生容量の影響について
図10を参照しながら説明する。
図10は、シールド12による寄生容量の影響を説明するためのスミスチャートである。
図10において、インピーダンス401は、アンテナ接続端子201から、シールド12がない状態の弾性波フィルタ100をみたときのバンドAの受信帯域(弾性波フィルタ100の通過帯域)のインピーダンスを表す。インピーダンス402は、アンテナ接続端子201から、シールド12がある状態の弾性波フィルタ100をみたときのバンドAの受信帯域のインピーダンスを表す。インピーダンス403は、アンテナ接続端子201から、シールド12がない状態の弾性波フィルタ100をみたときの、バンドAと同時通信可能なバンドBの受信帯域のインピーダンスを表す。インピーダンス404は、アンテナ接続端子201から、シールド12がある状態の弾性波フィルタ100をみたときのバンドBの受信帯域のインピーダンスを表す。
【0058】
シールド12がある状態の弾性波フィルタ100では、配線及び共振子とシールド12との間で寄生容量が発生するため、インピーダンス401がインピーダンス402にずれる。インピーダンス402をインピーダンス整合させるためには、インダクタ200のインダクタンス値を小さくしなければならず通過帯域でのロスが増加する。
【0059】
なお、本実施の形態では、インダクタ200がアンテナ接続端子201と弾性波フィルタ100との間を結ぶ経路とグランドとの間に接続されている場合について説明したが、インダクタ200がアンテナ接続端子201と弾性波フィルタ100との間に接続される場合でも同様のことが言える。具体的には、弾性波フィルタ100における寄生容量の増加によってインダクタ200のインダクタンス値を大きくしなければならず、通過帯域でのロスが増加する。
【0060】
また、インピーダンス403がインピーダンス404にずれることで、バンドAと同時通信可能なバンドBの信号が弾性波フィルタ100の経路に漏洩しやすくなり、アイソレーションが劣化する。したがって、寄生容量の観点からは、弾性波フィルタ100においてシールド12によって覆われる領域は小さい方がよい。
【0061】
一方、弾性波フィルタ100にシールド12がなければ、インダクタ200などと弾性波フィルタ100との間で容量結合及び/又は誘導結合が発生し、弾性波フィルタ100の減衰特性が劣化する。したがって、容量結合及び/又は誘導結合の観点からは、弾性波フィルタ100においてシールド12によって覆われる領域は大きい方がよい。
【0062】
[1.6 まとめ]
以上のように、本実施の形態に係る弾性波フィルタ100は、圧電基板11aと、圧電基板11aに形成された直列腕共振子101及び103と、圧電基板11aに配置され、アンテナ接続端子201に接続される外部接続端子121と、圧電基板11aに配置され、増幅器に接続される外部接続端子122と、圧電基板11aに配置され、外部接続端子121を直列腕共振子101に電気的に接続する配線13と、圧電基板11aに配置され、外部接続端子122を直列腕共振子103に電気的に接続する配線14と、圧電基板11aの側面の一部を覆うシールド12と、を備え、シールド12は、圧電基板11aの側面のうち、配線14と対向する領域A2の少なくとも一部を覆っており、配線13と対向する領域A1を覆っていない。
【0063】
これによれば、シールド12によって配線14と対向する領域A2の少なくとも一部が覆われるので、他の部品(例えばインダクタ200)と配線14との間の結合を抑制することができ、減衰特性の劣化を抑制することができる。特に、インダクタ200と配線14とが結合すれば、弾性波フィルタ100の大部分がスキップされ減衰が大幅に低下するので、シールド12が領域A2を覆うことによる減衰特性の劣化抑制効果は大きい。一方、シールド12によって配線13と対向する領域A1が覆われないので、圧電基板11aの側面のすべてがシールド12で覆われる場合よりもシールド12と配線13との間に発生する寄生容量を抑制することができる。したがって、インピーダンス整合のためのインダクタ200のインダクタンス値の減少を抑制することができ、ロスの増加を抑制することができる。なお、インダクタ200と配線13とが結合したとしても、配線13と外部接続端子122との間の共振子で減衰を得ることができ、減衰特性の劣化への影響は小さい。以上のように、弾性波フィルタ100によれば、シールド12を圧電基板11aの側面に効果的に配置することで、通過特性及び減衰特性の劣化を抑制することができる。
【0064】
また例えば、本実施の形態に係る弾性波フィルタ100において、シールド12は、圧電基板11aの側面のうち、直列腕共振子101と対向する領域A3を覆っていなくてもよい。
【0065】
これによれば、シールド12によって直列腕共振子101と対向する領域A3が覆われないので、圧電基板11aの側面のすべてがシールド12で覆われる場合よりもシールド12と直列腕共振子101との間に発生する寄生容量を抑制することができる。したがって、インピーダンス整合のためのインダクタ200のインダクタンス値の減少を抑制することができ、ロスの増加を抑制することができる。なお、インダクタ200と直列腕共振子101とが結合したとしても、直列腕共振子101と外部接続端子122との間である程度の減衰を得ることができ、減衰特性の劣化への影響は低い。
【0066】
また例えば、本実施の形態に係る弾性波フィルタ100において、シールド12は、圧電基板11aの側面のうち、直列腕共振子103と対向する領域A4の少なくとも一部を覆ってもよい。
【0067】
これによれば、シールド12によって直列腕共振子103と対向する領域A4の少なくとも一部が覆われるので、他の部品(例えばインダクタ200)と直列腕共振子103との間の結合を抑制することができ、減衰特性の劣化を抑制することができる。特に、インダクタ200と直列腕共振子103とが結合すれば、弾性波フィルタ100の大部分がスキップされ減衰が大幅に低下するので、シールド12が領域A4を覆うことによる減衰特性の劣化抑制効果は大きい。シールド12が領域A4を覆うことによる減衰特性の劣化を抑制する効果は大きい。
【0068】
また例えば、本実施の形態に係る弾性波フィルタ100は、さらに、支持基板11bを備え、圧電基板11aは、支持基板11b上に配置され、シールド12は、支持基板11bの側面のうち、配線14と対向する領域A6の少なくとも一部を覆っており、配線13と対向する領域A5を覆っていなくてもよい。
【0069】
これによれば、シールド12によって配線14と対向する領域A6の少なくとも一部が覆われるので、他の部品(例えばインダクタ200)と配線14との間の結合を抑制することができ、減衰特性の劣化を抑制することができる。特に、インダクタ200と配線14とが結合すれば、弾性波フィルタ100の大部分がスキップされ減衰が大幅に低下するので、シールド12が領域A6を覆うことによる減衰特性の劣化抑制効果は大きい。シールド12が領域A6を覆うことによる減衰特性の劣化を抑制する効果は大きい。一方、シールド12によって配線13と対向する領域A5が覆われないので、圧電基板11aの側面のすべてがシールド12で覆われる場合よりもシールド12と配線13との間に発生する寄生容量を抑制することができる。したがって、インピーダンス整合のためのインダクタ200のインダクタンス値の減少を抑制することができ、ロスの増加を抑制することができる。なお、インダクタ200と配線13とが結合したとしても、配線13と外部接続端子122との間で減衰を得ることができ、減衰特性の劣化への影響は低い。以上のように、弾性波フィルタ100によれば、通過特性及び減衰特性の劣化を抑制することができる。
【0070】
また例えば、本実施の形態に係る弾性波フィルタ100において、シールド12は、支持基板11bの側面のうち、直列腕共振子101と対向する領域A7を覆っていなくてもよい。
【0071】
これによれば、シールド12によって直列腕共振子101と対向する領域A7が覆われないので、圧電基板11aの側面のすべてがシールド12で覆われる場合よりもシールド12と直列腕共振子101との間に発生する寄生容量を抑制することができる。したがって、インピーダンス整合のためのインダクタ200のインダクタンス値の減少を抑制することができ、ロスの増加を抑制することができる。なお、インダクタ200と直列腕共振子101とが結合したとしても、直列腕共振子101と外部接続端子122との間である程度の減衰を得ることができ、減衰特性の劣化への影響は低い。
【0072】
また例えば、本実施の形態に係る弾性波フィルタ100において、シールド12は、支持基板11bの側面のうち、直列腕共振子103と対向する領域A8の少なくとも一部を覆ってもよい。
【0073】
これによれば、シールド12によって直列腕共振子103と対向する領域A8の少なくとも一部が覆われるので、他の部品(例えばインダクタ200)と直列腕共振子103との間の結合を抑制することができ、減衰特性の劣化を抑制することができる。特に、インダクタ200と直列腕共振子103とが結合すれば、弾性波フィルタ100の大部分がスキップされ減衰が大幅に低下するので、シールド12が領域A8を覆うことによる減衰特性の劣化抑制効果は大きい。シールド12が領域A8を覆うことによる減衰特性の劣化を抑制する効果は大きい。
【0074】
また例えば、本実施の形態に係る弾性波フィルタ100は、バンドAの受信帯域を含む通過帯域を有してもよく、増幅器は、低雑音増幅器であってもよい。
【0075】
これによれば、弾性波フィルタ100を受信フィルタとして利用することができる。
【0076】
また例えば、本実施の形態に係る弾性波フィルタ100は、バンドAの送信帯域を含む通過帯域を有してもよく、増幅器は、電力増幅器であってもよい。
【0077】
これによれば、弾性波フィルタ100を送信フィルタとして利用することができる。
【0078】
また例えば、本実施の形態に係る弾性波フィルタ100は、弾性表面波フィルタ又はバルク弾性波フィルタであってもよい。
【0079】
これによれば、弾性表面波フィルタ又はバルク弾性波フィルタで上記効果を得ることができる。
【0080】
また、本実施の形態に係る高周波モジュール300は、モジュール基板301と、モジュール基板301に配置された弾性波フィルタ100と、モジュール基板301に配置され、弾性波フィルタ100の外部接続端子121に電気的に接続されたインダクタ200と、備える。
【0081】
これによれば、弾性波フィルタ100にインダクタ200が接続される高周波モジュール300において、上記弾性波フィルタ100の効果を実現することができる。
【0082】
また例えば、本実施の形態に係る高周波モジュール300において、インダクタ200は、領域A2よりも領域A1の近くに配置されてもよい。
【0083】
これによれば、インダクタ200と配線14との間の距離を、インダクタ200と配線13との間の距離よりも長くすることができ、インダクタ200と配線14との間の結合をさらに抑制することができる。
【0084】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態では、弾性波フィルタが別々の基板に分割して実装される点が上記実施の形態1と主として異なる。以下に、本実施の形態について、上記実施の形態1と異なる点を中心に図面を参照しながら説明する。
【0085】
[2.1 高周波モジュール300A及び弾性波フィルタ100Aの回路構成]
図11は、本実施の形態に係る高周波モジュール300Aの回路構成図である。なお、
図11は、例示的な回路構成であり、高周波モジュール300A及び弾性波フィルタ100Aは、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供される高周波モジュール300A及び弾性波フィルタ100Aの説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0086】
高周波モジュール300Aは、弾性波フィルタ100Aと、インダクタ200と、アンテナ接続端子201と、を備える。
【0087】
弾性波フィルタ100Aは、実施の形態1に係る弾性波フィルタ100と同様に、バンドAの受信帯域を含む通過帯域を有するバンドパスフィルタである。弾性波フィルタ100Aは、直列腕共振子101、102及び103と、並列腕共振子111、112及び113と、外部接続端子121、122及び123と、を備える。弾性波フィルタ100Aは、2つのフィルタモジュール1001A及びフィルタモジュール1002Aに分割して実装される。
【0088】
フィルタモジュール1001Aは、直列腕共振子101及び102と、並列腕共振子111と、外部接続端子121、123及び124と、を備える。
【0089】
外部接続端子124は、第3外部接続端子の一例であり、フィルタモジュール1001Aの外部でフィルタモジュール1002Aの外部接続端子125に接続され、フィルタモジュール1001Aの内部で直列腕共振子102に接続される。
【0090】
フィルタモジュール1002Aは、直列腕共振子103と、並列腕共振子112及び113と、外部接続端子122、123及び125と、を備える。
【0091】
外部接続端子125は、第4外部接続端子の一例であり、フィルタモジュール1002Aの外部でフィルタモジュール1001Aの外部接続端子124に接続され、フィルタモジュール1002Aの内部で直列腕共振子103に接続される。
【0092】
[2.2 弾性波フィルタ100Aの実装例]
次に、弾性波フィルタ100Aの実装例について
図12を参照しながら説明する。
図12は、本実施の形態に係るフィルタモジュール1001A及び1002Aの断面図である。なお、
図12は、例示的な図であり、弾性波フィルタ100Aは、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供されるフィルタモジュール1001A及び1002Aの説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0093】
フィルタモジュール1001Aは、第1基板の一例である基板11A1を含む。基板11A1には、直列腕共振子101及び102と、並列腕共振子111と、配線13、15及び16が形成される。配線16は、直列腕共振子102を外部接続端子124に電気的に接続する。なお、基板11A1の側面は、シールドで覆われていない。
【0094】
フィルタモジュール1002Aは、第2基板の一例である基板11A2を含む。基板11A2には、直列腕共振子103と、並列腕共振子112及び113と、配線14、15及び17と、が形成される。基板11A2の側面はシールド12Aで覆われている。配線17は、直列腕共振子103を外部接続端子125に電気的に接続する。なお、本実施の形態では、基板11A2の側面の全てがシールド12Aで覆われているが、基板11A2の側面の一部は、シールド12Aで覆われなくてもよい。
【0095】
フィルタモジュール1001A及びフィルタモジュール1002Aの各々に含まれる直列腕共振子の数及び並列腕共振子の数は、
図11に示されている数に限定されない。
【0096】
[2.3 まとめ]
以上のように、本実施の形態に係る弾性波フィルタ100Aは、基板11A1及び11A2と、基板11A1に形成された直列腕共振子101と、基板11A2に形成された直列腕共振子103と、基板11A1に配置され、アンテナ接続端子201に接続される外部接続端子121と、基板11A2に配置され、増幅器に接続される外部接続端子122と、基板11A1に配置され、基板11A2に接続される外部接続端子124と、基板11A2に配置され、外部接続端子124に接続される外部接続端子125と、基板11A2の側面の少なくとも一部を覆うシールド12Aと、を備え、基板11A1の側面は、シールドで覆われていない。
【0097】
これによれば、基板ごとに側面を覆う/覆わないを切り替えることができ、弾性波フィルタ100Aの製造工程を簡単化することができる。
【0098】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。本実施の形態では、高周波モジュールが、互いに異なる通過帯域を有する2つの弾性波フィルタを備える点が、上記実施の形態2と主として異なる。以下に、本実施の形態について、上記実施の形態2と異なる点を中心に図面を参照しながら説明する。
【0099】
[3.1 高周波モジュール300B及び弾性波フィルタ100Bの回路構成]
図13は、本実施の形態に係る高周波モジュール300Bの回路構成図である。なお、
図13は、例示的な回路構成であり、高周波モジュール300B並びに弾性波フィルタ100A及び100Bは、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供される高周波モジュール300B並びに弾性波フィルタ100A及び100Bの説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0100】
高周波モジュール300Bは、弾性波フィルタ100A及び100Bと、インダクタ200と、アンテナ接続端子201と、を備える。
【0101】
弾性波フィルタ100Bは、バンドAと同時通信可能なバンドBの受信帯域を含む通過帯域を有するバンドパスフィルタである。なお、弾性波フィルタ100Bは、バンドBの送信帯域を含む通過帯域を有するバンドパスフィルタであってよい。また、弾性波フィルタ100Bは、バンドパスフィルタに限定されない。バンドBは、第2バンドの一例であり、バンドAと同様にRATを用いて構築される通信システムのための周波数バンドであり、標準化団体などによって予め定義される。
【0102】
弾性波フィルタ100Bは、直列腕共振子104、105及び106と、並列腕共振子114、115及び116と、外部接続端子123及び128と、を備える。
【0103】
外部接続端子128は、弾性波フィルタ100Bの外部で電力増幅器(図示せず)及び/又は低雑音増幅器(図示せず)に接続され、弾性波フィルタ100Bの内部で直列腕共振子106に接続される。
【0104】
直列腕共振子104~106は、外部接続端子121及び128の間に直列に接続される。具体的には、直列腕共振子104は、外部接続端子121及び直列腕共振子105の間に接続される。直列腕共振子105は、直列腕共振子104及び106の間に接続される。直列腕共振子106は、直列腕共振子105及び外部接続端子128の間に接続される。
【0105】
並列腕共振子114~116は、外部接続端子121及び128の間を結ぶ経路とグランドとの間に互いに並列に接続される。具体的には、並列腕共振子114は、直列腕共振子104及び105の間を結ぶ経路と外部接続端子123との間に接続される。並列腕共振子115は、直列腕共振子105及び106の間を結ぶ経路と外部接続端子123との間に接続される。並列腕共振子116は、直列腕共振子106及び外部接続端子128の間を結ぶ経路と外部接続端子123との間に接続される。
【0106】
弾性波フィルタ100Aの一部及び弾性波フィルタ100Bの一部は、フィルタモジュール1001Bに実装され、弾性波フィルタ100Aの他部及び弾性波フィルタ100Bの他部は、フィルタモジュール1002Bに実装される。
【0107】
フィルタモジュール1001Bは、直列腕共振子101、102、104及び105と、並列腕共振子111及び114と、外部接続端子121、123、124及び126と、を備える。
【0108】
外部接続端子126は、フィルタモジュール1001Bの外部でフィルタモジュール1002Bの外部接続端子127に接続され、フィルタモジュール1001Bの内部で直列腕共振子105に接続される。
【0109】
フィルタモジュール1002Bは、直列腕共振子103及び106と、並列腕共振子112、113、115及び116と、外部接続端子122、123、125、127及び128と、を備える。
【0110】
外部接続端子127は、フィルタモジュール1002Bの外部でフィルタモジュール1001Bの外部接続端子126に接続され、フィルタモジュール1002Bの内部で直列腕共振子106に接続される。
【0111】
なお、弾性波フィルタ100A及び100Bの各々に含まれる直列腕共振子の数及び並列腕共振子の数は、
図13に示されている数に限定されない。
【0112】
[3.2 弾性波フィルタ100A及び100Bの実装例]
次に、弾性波フィルタ100A及び100Bの実装例について
図14を参照しながら説明する。
図14は、本実施の形態に係るフィルタモジュール1001B及び1002Bの断面図である。なお、
図14は、例示的な図であり、弾性波フィルタ100A及び100Bは、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供されるフィルタモジュール1001B及び1002Bの説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0113】
フィルタモジュール1001Bは、第1基板の一例である基板11B1を含む。基板11B1には、直列腕共振子101、102、104及び105と、並列腕共振子111及び114と、配線13、15、16及び18が形成される。配線13は、直列腕共振子101及び104を外部接続端子121に電気的に接続する。配線18は、直列腕共振子105を外部接続端子126に電気的に接続する。なお、基板11B1の側面は、シールドで覆われていない。
【0114】
フィルタモジュール1002Bは、第2基板の一例である基板11B2を含む。基板11B2には、直列腕共振子103と、並列腕共振子112及び113と、配線14、15、17、19及び20と、が形成される。配線19は、直列腕共振子106を外部接続端子127に電気的に接続する。配線20は、直列腕共振子106を外部接続端子128に電気的に接続する。基板11B2の側面はシールド12Bで覆われている。なお、本実施の形態では、基板11B2の側面の全てがシールド12Bで覆われているが、基板11B2の側面の一部は、シールド12Bで覆われなくてもよい。
【0115】
フィルタモジュール1001B及びフィルタモジュール1002Bの各々に含まれる直列腕共振子の数及び並列腕共振子の数は、
図14に示されている数に限定されない。
【0116】
(他の実施の形態)
以上、本発明に係る弾性波フィルタ及び高周波モジュールについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明に係る弾性波フィルタ及び高周波モジュールは、上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、上記実施の形態に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、上記弾性波フィルタ又は高周波モジュールを内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
【0117】
例えば、上記各実施の形態に係る各種回路の回路構成において、図面に開示された各回路素子及び信号経路を接続する経路の間に、別の回路素子及び配線などが挿入されてもよい。
【0118】
以下に、上記各実施の形態に基づいて説明した弾性波フィルタ及び高周波モジュールの特徴を示す。
【0119】
<1>
第1基板と、
前記第1基板に形成された第1直列腕共振子及び第2直列腕共振子と、
前記第1基板に配置され、アンテナ接続端子に接続される第1外部接続端子と、
前記第1基板に配置され、増幅器に接続される第2外部接続端子と、
前記第1基板に配置され、前記第1外部接続端子を前記第1直列腕共振子に電気的に接続する第1配線と、
前記第1基板に配置され、前記第2外部接続端子を前記第2直列腕共振子に電気的に接続する第2配線と、
前記第1基板の側面の一部を覆うシールドと、を備え、
前記シールドは、前記第1基板の側面のうち、前記第2配線と対向する第2領域の少なくとも一部を覆っており、前記第1配線と対向する第1領域を覆っていない、
弾性波フィルタ。
【0120】
<2>
前記シールドは、前記第1基板の側面のうち、前記第1直列腕共振子と対向する第3領域を覆っていない、
<1>に記載の弾性波フィルタ。
【0121】
<3>
前記シールドは、前記第1基板の側面のうち、前記第2直列腕共振子と対向する第4領域の少なくとも一部を覆っている、
<1>又は<2>に記載の弾性波フィルタ。
【0122】
<4>
前記弾性波フィルタは、さらに、第2基板を備え、
前記第1基板は、前記第2基板上に配置され、
前記シールドは、前記第2基板の側面のうち、前記第2配線と対向する第6領域の少なくとも一部を覆っており、前記第1配線と対向する第5領域を覆っていない、
<1>~<3>のいずれか1つに記載の弾性波フィルタ。
【0123】
<5>
前記シールドは、前記第2基板の側面のうち、前記第1直列腕共振子と対向する第7領域を覆っていない、
<4>に記載の弾性波フィルタ。
【0124】
<6>
前記シールドは、前記第2基板の側面のうち、前記第2直列腕共振子と対向する第8領域の少なくとも一部を覆っている、
<4>又は<5>に記載の弾性波フィルタ。
【0125】
<7>
前記弾性波フィルタは、第1バンドの受信帯域を含む通過帯域を有し、
前記増幅器は、低雑音増幅器である、
<1>~<6>のいずれか1つに記載の弾性波フィルタ。
【0126】
<8>
前記弾性波フィルタは、第1バンドの送信帯域を含む通過帯域を有し、
前記増幅器は、電力増幅器である、
<1>~<6>のいずれか1つに記載の弾性波フィルタ。
【0127】
<9>
前記弾性波フィルタは、弾性表面波フィルタ又はバルク弾性波フィルタである、
<1>~<8>のいずれか1つに記載の弾性波フィルタ。
【0128】
<10>
モジュール基板と、
前記モジュール基板に配置された<1>~<9>のいずれか1つに記載の弾性波フィルタと、
前記モジュール基板に配置され、前記弾性波フィルタの前記第1外部接続端子に電気的に接続されたインダクタと、備える、
高周波モジュール。
【0129】
<11>
前記インダクタは、前記第2領域よりも前記第1領域の近くに配置されている、
<10>に記載の高周波モジュール。
【0130】
<12>
第1基板及び第2基板と、
前記第1基板に形成された第1直列腕共振子と、
前記第2基板に形成された第2直列腕共振子と、
前記第1基板に配置され、アンテナ接続端子に接続される第1外部接続端子と、
前記第2基板に配置され、増幅器に接続される第2外部接続端子と、
前記第1基板に配置され、前記第2基板に接続される第3外部接続端子と、
前記第2基板に配置され、前記第3外部接続端子に接続される第4外部接続端子と、
前記第2基板の側面の少なくとも一部を覆うシールドと、を備え、
前記第1基板の側面は、シールドで覆われていない、
弾性波フィルタ。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明は、フロントエンド部に配置される高周波モジュールとして、携帯電話などの通信機器に広く利用できる。
【符号の説明】
【0132】
11、11A1、11A2、11B1、11B2 基板
11a 圧電基板
11b 支持基板
12、12A、12B シールド
13、14、15、16、17、18、19、20、302 配線
21 凹部
100、100A、100B 弾性波フィルタ
101、102、103、104、105、106 直列腕共振子
111、112、113、114、115、116 並列腕共振子
121、122、123、124、125、126、127、128 外部接続端子
200 インダクタ
201 アンテナ接続端子
300、300A、300B 高周波モジュール
301 モジュール基板
401、402、403、404 インピーダンス
1001A、1001B、1002A、1002B フィルタモジュール
A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8 領域