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特開2025-139306自動送出ブラシおよびセグメントブラシ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025139306
(43)【公開日】2025-09-26
(54)【発明の名称】自動送出ブラシおよびセグメントブラシ
(51)【国際特許分類】
   B24B 29/00 20060101AFI20250918BHJP
   F16H 19/04 20060101ALI20250918BHJP
   B24D 13/14 20060101ALI20250918BHJP
   B24D 11/00 20060101ALI20250918BHJP
【FI】
B24B29/00 H
F16H19/04 E
B24D13/14 A
B24D11/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024038161
(22)【出願日】2024-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】308028186
【氏名又は名称】セイコーフューチャークリエーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】杉山 輝尚
(72)【発明者】
【氏名】大町 幸治
(72)【発明者】
【氏名】野中 準也
【テーマコード(参考)】
3C063
3C158
3J062
【Fターム(参考)】
3C063AA07
3C063AB05
3C063AB09
3C063BA17
3C063BG07
3C063BG10
3C063BH03
3C063BH18
3C158AA06
3C158AA09
3C158AA13
3C158AA14
3C158AA16
3C158CB03
3C158CB04
3J062AA60
3J062AB05
3J062AC07
3J062BA31
3J062BA35
3J062CA16
3J062CA17
3J062CA34
3J062CG72
3J062CG83
(57)【要約】
【課題】調整が容易となる自動送出ブラシおよびセグメントブラシを提供する。
【解決手段】自動送出ブラシ100は、第1中心軸C1の周りに回転することで被研磨物1を研磨するブラシ部10と、ブラシ部10を第1中心軸C1に沿う方向に案内する第1ガイド20と、ブラシ部10の回転に伴ってブラシ部10を第1ガイド20に沿って被研磨物1に近づく方向に変位させる第1位置調整機構30と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1中心軸の周りに回転することで被研磨物を研磨するブラシ部と、
前記ブラシ部を前記第1中心軸に沿う方向に案内する第1ガイドと、
前記ブラシ部の回転に伴って前記ブラシ部を前記第1ガイドに沿って前記被研磨物に近づく方向に変位させる第1位置調整機構と、
を備える、自動送出ブラシ。
【請求項2】
前記第1位置調整機構は、前記第1中心軸の周りの回転力を前記被研磨物に近づく方向の力に変換するギアを有する、
請求項1記載の自動送出ブラシ。
【請求項3】
前記第1位置調整機構は、
前記ブラシ部に形成されたブラシ側ネジと、
前記第1ガイドの内周面に形成され、前記ブラシ側ネジと螺合するガイド側ネジと、を有する、
請求項1記載の自動送出ブラシ。
【請求項4】
前記第1ガイドの外周側に設けられて前記第1ガイドを前記第1中心軸に沿う方向に案内する第2ガイドと、
前記ブラシ部の回転に伴って前記第1ガイドを前記第2ガイドに沿って前記被研磨物に近づく方向に変位させる第2位置調整機構と、
を備える、
請求項1記載の自動送出ブラシ。
【請求項5】
前記第1位置調整機構は、前記ブラシ部が一方の方向に回転するときのみ、前記ブラシ部を前記被研磨物に近づく方向に変位させる、
請求項1記載の自動送出ブラシ。
【請求項6】
請求項1記載の自動送出ブラシが複数組み込まれた、
セグメントブラシ。
【請求項7】
複数の前記自動送出ブラシは、第2中心軸から所定距離の範囲内にある前記自動送出ブラシを有する内周部と、前記範囲外にある前記自動送出ブラシを有する外周部とを含み、
前記外周部において前記ブラシ部が前記被研磨物に近づく方向に変位する速度は、前記内周部において前記ブラシ部が前記被研磨物に近づく方向に変位する速度より高い、
請求項6記載のセグメントブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動送出ブラシおよびセグメントブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブラシを用いて製品に研磨を行う研磨装置が用いられている。特許文献1に記載の研磨機用ブラシは、中心軸周りに回転(自転)しつつ被研磨物に押し当てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-50967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の研磨機用ブラシは、被研磨物との接触によりブラシの先端が摩耗することがある。そのため、前記研磨機用ブラシでは、手動でブラシの突出寸法の調整を行う必要があり、この調整に手間がかかっていた。
【0005】
本発明の一態様は、調整が容易となる自動送出ブラシおよびセグメントブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]第1中心軸の周りに回転することで被研磨物を研磨するブラシ部と、前記ブラシ部を前記第1中心軸に沿う方向に案内する第1ガイドと、前記ブラシ部の回転に伴って前記ブラシ部を前記第1ガイドに沿って前記被研磨物に近づく方向に変位させる第1位置調整機構と、を備える、自動送出ブラシ。
【0007】
前記自動送出ブラシによれば、ブラシ部は被研磨物に近づく方向に変位するため、被研磨物に対するブラシ部の接触圧の低下を抑えることができる。そのため、被研磨物に安定的に研磨を施すことができる。前記自動送出ブラシは、摩耗に応じたブラシ部の高さ位置調整の手間を省くことができるため、調整が容易である。
【0008】
[2]前記第1位置調整機構は、前記第1中心軸の周りの回転力を前記被研磨物に近づく方向の力に変換するギアを有する、[1]記載の自動送出ブラシ。
【0009】
前記自動送出ブラシによれば、ギアの減速比の設定によって、ブラシ部の変位速度を調整することができる。
【0010】
[3]前記第1位置調整機構は、前記ブラシ部に形成されたブラシ側ネジと、前記第1ガイドの内周面に形成され、前記ブラシ側ネジと螺合するガイド側ネジと、を有する、[1]記載の自動送出ブラシ。
【0011】
前記自動送出ブラシによれば、ネジのピッチ等の設定によって、ブラシ部の変位速度を調整することができる。
【0012】
[4]前記第1ガイドの外周側に設けられて前記第1ガイドを前記第1中心軸に沿う方向に案内する第2ガイドと、前記ブラシ部の回転に伴って前記第1ガイドを前記第2ガイドに沿って前記被研磨物に近づく方向に変位させる第2位置調整機構と、を備える、[1]~[3]のうちいずれか1つに記載の自動送出ブラシ。
【0013】
ブラシ部によって被研磨物の表面領域が削り取られることにより、被研磨物の表面の位置は低くなる場合がある。これに対し、前記自動送出ブラシによれば、第2位置調整機構によって第1ガイドが前記被研磨物に近づく方向に変位するため、第1ガイドの先端からのブラシ部の突出量(突出長さ)を一定に保つことができる。よって、被研磨物に安定的に研磨を施すことができる。
【0014】
[5]前記第1位置調整機構は、前記ブラシ部が一方の方向に回転するときのみ、前記ブラシ部を前記被研磨物に近づく方向に変位させる、[1]~[4]のうちいずれか1つに記載の自動送出ブラシ。
【0015】
前記自動送出ブラシによれば、ブラシ部が被研磨物から離間する方向に変位することを原因とする研磨性能の低下を抑制できる。
【0016】
[6][1]~[5]のうちいずれか1つに記載の自動送出ブラシが複数組み込まれた、セグメントブラシ。
【0017】
前記セグメントブラシによれば、複数の自動送出ブラシを備えるため、研磨性能を高めることができる。
【0018】
[7]複数の前記自動送出ブラシは、第2中心軸から所定距離の範囲内にある前記自動送出ブラシを有する内周部と、前記範囲外にある前記自動送出ブラシを有する外周部とを含み、前記外周部において前記ブラシ部が前記被研磨物に近づく方向に変位する速度は、前記内周部において前記ブラシ部が前記被研磨物に近づく方向に変位する速度より高い、[6]記載のセグメントブラシ。
【0019】
前記セグメントブラシによれば、外周部におけるブラシ部の変位速度は、内周部におけるブラシ部の変位速度より高速である。そのため、外周部においてブラシ部の摩耗が早く進行した場合でも、外周部における研磨性能の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、調整が容易となる自動送出ブラシおよびセグメントブラシを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態に係る自動送出ブラシを示す模式図である。
図2】第1実施形態に係る自動送出ブラシの動作を示す模式図である。
図3】第2実施形態に係る自動送出ブラシを示す模式図である。
図4】第3実施形態に係る自動送出ブラシを示す模式図である。
図5】第3実施形態に係る自動送出ブラシの動作を示す模式図である。
図6】第4実施形態に係る自動送出ブラシを示す模式図である。
図7】第1ラチェット機構の例を示す模式図である。
図8】第4実施形態に係る自動送出ブラシの動作を示す模式図である。
図9】第5実施形態に係る自動送出ブラシを示す模式図である。
図10】第5実施形態に係る自動送出ブラシの動作を示す模式図である。
図11】第6実施形態に係る自動送出ブラシを示す模式図である。
図12】第6実施形態に係る自動送出ブラシの動作を示す模式図である。
図13】実施形態に係るセグメントブラシを示す模式的な平面図である。
図14】実施形態に係るセグメントブラシを示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
[自動送出ブラシ](第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る自動送出ブラシ100を示す模式図である。図2は、自動送出ブラシ100の動作を示す模式図である。
【0024】
図1に即して自動送出ブラシ100の姿勢を仮に規定する。図1では、ブラシ部10は、先端を下に向けた姿勢をとる。ブラシ部10の中心軸C1は上下方向と平行である。ここで規定する自動送出ブラシ100の姿勢は、使用時の自動送出ブラシ100の姿勢を限定しない。ブラシ部10の中心軸C1に沿う方向は「軸方向」である。中心軸C1に直交する面において中心軸C1を通る方向は「径方向」である。
【0025】
図1に示すように、自動送出ブラシ100は、ブラシ部10と、第1ガイド20と、第1位置調整機構30と、回転駆動部40と、筐体50と、を備えている。
【0026】
ブラシ部10は、多数の線状体11と、ホルダ12とを備える。線状体11は、例えば、樹脂、金属、植物系材料、動物系材料などによって形成されている。樹脂としては、ナイロンなどが使用できる。金属としては、リン青銅、真鍮などが使用できる。植物系材料としては、パキンなどが使用できる。動物系材料としては、馬毛、豚毛などが使用できる。多数の線状体11の集合体は、中心軸C1と平行な方向から見て円形状となる。
【0027】
ホルダ12は、中心軸C1を有する円板状または円柱状に形成されている。ホルダ12は、例えば、樹脂、金属、木材などで形成されている。ホルダ12は、線状体11の基端部(上端部)を保持する。線状体11は、ホルダ12の下面から下方に延びる。
【0028】
ブラシ部10は、中心軸C1の周りに回転することで、被研磨物1を研磨する。中心軸C1(第1中心軸)はブラシ部10の中心軸である。ブラシ部10は、第1ガイド20に対して上下に移動可能である。
【0029】
第1ガイド20は、例えば、円筒状とされている。第1ガイド20の中心軸は、ブラシ部10の中心軸C1と一致する。第1ガイド20の内径は、ブラシ部10の最大外径より大きい。第1ガイド20は、樹脂、金属などで形成されている。第1ガイド20は、ブラシ部10を収容している。
【0030】
第1ガイド20には、第1スリット21および第2スリット22が形成されている。第1スリット21および第2スリット22は、第1ガイド20の長さ方向に沿って形成されている。第1スリット21と第2スリット22とは、第1ガイド20の中心軸に対して回転対称(180°対称)となる位置にある。第1スリット21および第2スリット22を「スリット21,22」ということがある。
【0031】
スリット21,22は、第1ガイド20に内周面から外周面にかけて形成された孔であってよい。スリット21,22は、第1ガイド20の内周面に形成された溝であってもよい。
【0032】
第1スリット21の内面には、第1走行路23が形成されている。第2スリット22の内面には、第2走行路24が形成されている。
第1ガイド20は、ブラシ部10を軸方向(ブラシ部10の中心軸C1に沿う方向)に案内する。
【0033】
回転駆動部40は、駆動源41と、駆動軸42と、を備える。駆動源41は、例えば、モータである。駆動軸42は、駆動源41から下方に延出する。駆動軸42は、上下方向に沿う回転軸である。駆動軸42の下端は、ホルダ12に連結されている。駆動源41は、駆動軸42を介してブラシ部10を中心軸C1の周りに回転させる。
【0034】
筐体50は、筐体主部51と、第1支持部52と、第2支持部53と、を備えている。
筐体主部51は、駆動源41を保持する。第1支持部52および第2支持部53は、筐体主部51の下面から下方に突出する。第1支持部52と第2支持部53とは、径方向に離れて形成されている。第1支持部52と第2支持部53とは、中心軸C1に対して回転対称(180°対称)となる位置にある。
本実施形態では、筐体50は2つの支持部52,53を有するが、支持部の数は特に限定されない。支持部の数は3以上であってもよい。
【0035】
第1支持部52には、径方向に沿って挿通孔52aが形成されている。挿通孔52aには第1伝達ギア部材32の第1シャフト62が挿通する。第1支持部52は、第1伝達ギア部材32を回転可能に保持する。
第2支持部53には、径方向に沿って挿通孔53aが形成されている。挿通孔53aには第2伝達ギア部材33の第2シャフト65が挿通する。第2支持部53は、第2伝達ギア部材33を回転可能に保持する。
【0036】
第1位置調整機構30は、駆動ギア部材31と、第1伝達ギア部材32と、第2伝達ギア部材33と、を備える。
駆動ギア部材31は、駆動軸42に設けられている。駆動ギア部材31は、駆動ギア34を有する。
【0037】
第1伝達ギア部材32は、第1ベベルギア61と、第1シャフト62と、第1走行車63とを備える。
第1ベベルギア61は、第1シャフト62の径方向の内側の端部に設けられている。第1ベベルギア61は、駆動ギア34と噛み合う。第1シャフト62は径方向に延びる。
【0038】
第1走行車63は、第1シャフト62の径方向の外側の端部に設けられている。第1走行車63は、第1ガイド20の第1走行路23を走行可能である。第1走行車63および第1走行路23には、例えば、いわゆるラック・ピニオン構造を採用することができる。第1走行車63は、歯車である。第1走行車63は、第1走行路23に形成されたラック歯(図示略)との噛み合いにより、第1走行路23を下方に走行する。ラック歯は、例えば、第1スリット21のいずれかの内側面に形成される。
【0039】
第2伝達ギア部材33は、第2ベベルギア64と、第2シャフト65と、第2走行車66とを備える。
第2ベベルギア64は、第2シャフト65の径方向の内側の端部に設けられている。第2ベベルギア64は、駆動ギア34と噛み合う。第2シャフト65は径方向に延びる。
【0040】
第2走行車66は、第2シャフト65の径方向の外側の端部に設けられている。第2走行車66は、第1ガイド20の第2走行路24を走行可能である。第2走行車66および第2走行路24には、例えば、いわゆるラック・ピニオン構造を採用することができる。第2走行車66は、歯車である。第2走行車66は、第2走行路24に形成されたラック歯(図示略)との噛み合いにより、第2走行路24を下方に走行する。ラック歯は、例えば、第2スリット22のいずれかの内側面に形成される。
【0041】
駆動ギア34、第1ベベルギア61および第2ベベルギア64は「ギア」の一例である。駆動ギア34、第1ベベルギア61および第2ベベルギア64は、中心軸C1周りの回転力を被研磨物1に近づく方向の力に変換する。
本実施形態では、第1位置調整機構30は、2つの伝達ギア部材32,33を備えるが、伝達ギア部材の数は特に限定されない。伝達ギア部材の数は3以上であってもよい。
【0042】
[自動送出ブラシの使用方法]
図2(A)に示すように、ブラシ部10は、線状体11の先端が被研磨物1の表面1aに接触する高さ位置に配置される。被研磨物1は、例えば、レンズである。
駆動源41によって駆動軸42を回転させ、駆動軸42を介してブラシ部10を中心軸C1の周りに回転させる。線状体11は、先端が被研磨物1の表面1aに接触しつつ移動することで、被研磨物1の表面領域を削り取る。これにより、ブラシ部10は、被研磨物1の表面1aに研磨を施す。
【0043】
線状体11が被研磨物1の表面1aを研磨する際には、線状体11の先端を含む部分は摩耗する。そのため、線状体11は、研磨の進行につれて短くなることがある。
【0044】
駆動源41によって駆動軸42を回転させると、駆動ギア部材31は回転する。駆動ギア部材31の回転によって駆動ギア34が回転すると、第1ベベルギア61を有する第1伝達ギア部材32は回転する。第2ベベルギア64を有する第2伝達ギア部材33も回転する。
【0045】
図2(B)に示すように、第1伝達ギア部材32が回転すると、第1走行車63は第1走行路23を下方に走行する。第2伝達ギア部材33が回転すると、第2走行車66は第2走行路24を下方に走行する。これにより、第1伝達ギア部材32および第2伝達ギア部材33は下方に移動する。
【0046】
第1伝達ギア部材32および第2伝達ギア部材33が下方に移動するのに伴い、筐体50、回転駆動部40およびブラシ部10も下方に移動する。このように、第1位置調整機構30は、ブラシ部10の回転に伴って、ブラシ部10を第1ガイド20に沿って被研磨物1に近づく方向(下方)に変位させる。
【0047】
[実施形態の自動送出ブラシが奏する効果]
自動送出ブラシ100は、第1位置調整機構30を備える。第1位置調整機構30は、ブラシ部10の回転に伴って、ブラシ部10を第1ガイド20に沿って被研磨物1に近づく方向に変位させる。
ブラシ部10の線状体11は、研磨の進行につれて摩耗により短くなることがある。しかし、ブラシ部10は被研磨物1に近づく方向に変位するため、被研磨物1に対する線状体11の接触圧の低下を抑えることができる。そのため、被研磨物1に安定的に研磨を施すことができる。このように、自動送出ブラシ100は、摩耗に応じたブラシ部10の高さ位置調整の手間を省くことができるため、調整が容易である。
【0048】
第1位置調整機構30は、中心軸C1周りの回転力を被研磨物1に近づく方向の力に変換するギア(駆動ギア34およびベベルギア61,64)を有する。第1位置調整機構30では、ギアの減速比の設定によって、ブラシ部10の変位速度(下方移動の速度)を調整することができる。
【0049】
[自動送出ブラシ](第2実施形態)
図3は、第2実施形態に係る自動送出ブラシ200を示す模式図である。第1実施形態に係る自動送出ブラシ100(図1参照)との共通構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0050】
図3に示すように、自動送出ブラシ200は、第1位置調整機構30に代えて第1位置調整機構130を備えている点で、第1実施形態の自動送出ブラシ100(図1参照)と異なる。
【0051】
第1位置調整機構130は、駆動ギア部材31と、第1伝達ギア部材32と、第2伝達ギア部材33と、第1調整ギア部材135と、第2調整ギア部材136と、を備える。第1位置調整機構130は、第1調整ギア部材135および第2調整ギア部材136を備える点で、第1位置調整機構30(図1参照)と異なる。
【0052】
第1調整ギア部材135は、第1伝達ギア部材32の回転を調整する第1調整機構である。例えば、第1調整ギア部材135は、第1伝達ギア部材32の回転を減速する第1減速機構である。第1調整ギア部材135は、第1伝達ギア部材32と第1走行路23との間に介在する。
【0053】
第1調整ギア部材135は、第1伝達車137と、第1走行車139とを備える。第1伝達車137は、第1伝達ギア部材32の第1走行車63と噛み合う。第1走行車139は、第1ガイド20の第1走行路23を下方に走行可能である。第1走行車139と第1伝達車137とは外径が異なる。例えば、第1走行車139の外径は、第1伝達車137の外径より小さい。そのため、第1走行車139の歯数は、第1伝達車137の歯数より少ない。
【0054】
第2調整ギア部材136は、第2伝達ギア部材33の回転を調整する第2調整機構である。例えば、第2調整ギア部材136は、第2伝達ギア部材33の回転を減速する第2減速機構である。第2調整ギア部材136は、第2伝達ギア部材33と第2走行路24との間に介在する。
【0055】
第2調整ギア部材136は、第2伝達車141と、第2走行車143とを備える。第2伝達車141は、第2伝達ギア部材33の第2走行車66と噛み合う。第2走行車143は、第1ガイド20の第2走行路24を下方に走行可能である。第2走行車143と第2伝達車141とは外径が異なる。例えば、第2走行車143の外径は、第2伝達車141の外径より小さい。第2走行車143の歯数は、第2伝達車141の歯数より少ない。
【0056】
自動送出ブラシ200では、駆動ギア部材31の回転によって駆動ギア34が回転すると、第1伝達ギア部材32および第2伝達ギア部材33が回転するのに伴って、第1調整ギア部材135および第2調整ギア部材136も回転する。第1走行車139は第1走行路23を下方に走行する。第2走行車143は第2走行路24を下方に走行する。これにより、ブラシ部10は下方に移動する。
【0057】
本実施形態では、調整ギア部材135,136は、第1ガイド20内に設けられているが、調整ギア部材の設置位置は第1ガイドの内部であってもよいし、第1ガイドの外部であってもよい(例えば、図11の調整ギア部材542,543参照)。調整ギア部材135,136の一部は、筐体50の内部に設けてもよい。
【0058】
[実施形態の自動送出ブラシが奏する効果]
自動送出ブラシ200は、第1位置調整機構130を備えるため、第1実施形態に係る自動送出ブラシ100と同様に、被研磨物1に安定的に研磨を施すことができる。そのため、摩耗に応じたブラシ部10の高さ位置調整の手間を省くことができる。よって、調整が容易である。
【0059】
自動送出ブラシ200では、第1位置調整機構130が調整ギア部材135,136を備える。第1走行車139と第1伝達車137とのギヤの減速比、および、第2走行車143と第2伝達車141とのギヤの減速比の設定によって、ブラシ部10の下方移動の速度を調整することができる。
【0060】
[自動送出ブラシ](第3実施形態)
図4は、第3実施形態に係る自動送出ブラシ300を示す模式図である。図5は、自動送出ブラシ300の動作を示す模式図である。他の実施形態に係る自動送出ブラシとの共通構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0061】
図4に示すように、自動送出ブラシ300は、ブラシ部10と、第1ガイド20と、第2ガイド220と、第1位置調整機構30と、第2位置調整機構230と、回転駆動部40と、筐体50と、を備えている。
自動送出ブラシ300は、第2ガイド220および第2位置調整機構230を備える点で、第1実施形態の自動送出ブラシ100(図1参照)と異なる。
【0062】
第2ガイド220は、例えば、円筒状とされている。第2ガイド220の中心軸は、ブラシ部10の中心軸C1と一致する。第2ガイド220の内径は、第1ガイド20の最大外径より大きい。第2ガイド220は、樹脂、金属などで形成されている。第2ガイド220は、第1ガイド20を上下に移動可能に収容している。第2ガイド220は、第1ガイド20の外周側に設けられている。
【0063】
第2ガイド220には、第1スリット221および第2スリット222が形成されている。第1スリット221および第2スリット222は、第2ガイド220の長さ方向に沿って形成されている。第1スリット221と第2スリット222とは、第2ガイド220の中心軸に対して回転対称(180°対称)となる位置にある。第1スリット221および第2スリット222を「スリット221,222」ということがある。
【0064】
スリット221,222は、第2ガイド220に内周面から外周面にかけて形成された孔であってよい。スリット221,222は、第2ガイド220の内周面に形成された溝であってもよい。
【0065】
第1スリット221の内面には、第1走行路223が形成されている。第2スリット222の内面には、第2走行路224が形成されている。
第2ガイド220は、第1ガイド20を軸方向に案内する。
【0066】
第2位置調整機構230は、第1伝達機構232と、第2伝達機構233と、を備える。
第1伝達機構232は、第1シャフト262と、第1走行車263とを備える。第1シャフト262は第1伝達ギア部材32から径方向の外側に延びる。第1走行車263は、第1シャフト262の径方向の外側の端部に設けられている。第1走行車263は、第2ガイド220の第1走行路223を走行可能である。第1走行車263と第1走行車63との外径比(すなわち、第1走行車263と第1走行車63とのギヤの減速比)は、ブラシ部10および被研磨物1の研磨レートに応じて定めることができる。
【0067】
第1伝達機構232は、第1伝達ギア部材32と一体に形成されている。第1伝達機構232は、第1伝達ギア部材32と一体的に回転する。
【0068】
第2伝達機構233は、第2シャフト265と、第2走行車266とを備える。第2シャフト265は第2伝達ギア部材33から径方向の外側に延びる。第2走行車266は、第2シャフト265の径方向の外側の端部に設けられている。第2走行車266は、第2ガイド220の第2走行路224を走行可能である。第2走行車266と第2走行車66との外径比(すなわち、第2走行車266と第2走行車66とのギヤの減速比)は、ブラシ部10および被研磨物1の研磨レートに応じて定めることができる。
【0069】
第2伝達機構233は、第2伝達ギア部材33と一体に形成されている。第2伝達機構233は、第2伝達ギア部材33と一体的に回転する。
【0070】
[自動送出ブラシの使用方法]
図5(A)に示すように、駆動源41によって駆動軸42を回転させ、ブラシ部10を中心軸C1の周りに回転させることによって、被研磨物1の表面1aに研磨を施す。
【0071】
駆動源41によって駆動軸42を回転させると、駆動ギア部材31は回転する。駆動ギア部材31の回転によって駆動ギア34が回転すると、伝達ギア部材32,33および伝達機構232,233は回転する。
【0072】
図5(B)に示すように、第1伝達ギア部材32の回転によって、第1走行車63は、第1ガイド20の第1走行路23を下方に走行する。第2伝達ギア部材33の回転によって、第2走行車66は、第1ガイド20の第2走行路24を下方に走行する。そのため、ブラシ部10は、中心軸C1の周りに回転するとともに、第1ガイド20に対して下方に移動する。
【0073】
第1伝達機構232の回転によって、第1走行車263は第2ガイド220の第1走行路223を下方に走行する。第2伝達機構233の回転によって、第2走行車266は第2ガイド220の第2走行路224を下方に走行する。そのため、第1ガイド20は、第2ガイド220に対して下方に移動する。このように、第2位置調整機構230は、ブラシ部10の回転に伴って、第1ガイド20を第2ガイド220に沿って被研磨物1に近づく方向(下方)に変位させる。第1ガイド20の変位速度は、例えば、ブラシ部10の変位速度より低い。
【0074】
第1ガイド20の変位速度と、ブラシ部10の変位速度とは、ブラシ部10の摩耗と被研磨物1の研磨の進行度に応じて、第1ガイド20の先端からの線状体11の突出量(突出長さ)が一定となるように調整可能である。例えば、ブラシ部10の摩耗が被研磨物1の研磨に比べて早く進行する場合、ブラシ部10の変位速度は第1ガイド20の変位速度に比べて高速であってよい。逆に、被研磨物1の研磨がブラシ部10の摩耗に比べて早く進行する場合、第1ガイド20の変位速度はブラシ部10の変位速度に比べて高速であってよい。
【0075】
[実施形態の自動送出ブラシが奏する効果]
自動送出ブラシ300は、第1実施形態に係る自動送出ブラシ100と同様に、被研磨物1に安定的に研磨を施すことができる。そのため、摩耗に応じたブラシ部10の高さ位置調整の手間を省くことができる。よって、調整が容易である。
【0076】
ブラシ部10によって被研磨物1の表面領域が削り取られることにより、表面1aの位置は低くなる場合がある。これに対し、自動送出ブラシ300では、第2位置調整機構230によって第1ガイド20が下方に移動するため、第1ガイド20の先端からの線状体11の突出量(突出長さ)を所定範囲に保つことができる。例えば、第1ガイド20の先端からの線状体11の突出量を一定に保つことができる。よって、被研磨物1に安定的に研磨を施すことができる。
【0077】
自動送出ブラシ300は、第1位置調整機構30および第2位置調整機構230におけるギアの減速比の設定によって、ブラシ部10および第1ガイド20の変位速度を調整することができる。
【0078】
[自動送出ブラシ](第4実施形態)
図6は、第4実施形態に係る自動送出ブラシ400を示す模式図である。図7は、第1ラチェット機構335の例を示す模式図である。図8は、自動送出ブラシ400の動作を示す模式図である。他の実施形態に係る自動送出ブラシとの共通構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0079】
図6に示すように、自動送出ブラシ400は、ブラシ部10と、第1ガイド20と、第1位置調整機構330と、回転駆動部40と、筐体50と、を備えている。
自動送出ブラシ400は、第1位置調整機構30に代えて第1位置調整機構330を備える点で、第1実施形態の自動送出ブラシ100(図1参照)と異なる。
【0080】
第1位置調整機構330は、駆動ギア部材31と、第1伝達ギア部材332と、第2伝達ギア部材333と、を備える。
第1伝達ギア部材332は、第1ベベルギア61と、第1シャフト362と、第1走行車63と、第1ラチェット機構335と、を備える。
第1走行車63は、第1シャフト362とは別体である。
【0081】
図7(A)に示すように、第1ラチェット機構335は、支持部334と、歯車336と、止め部337とを有する。歯車336の外周縁にはラチェット歯338が形成されている。ラチェット歯338は、傾斜面338aと端面338bとを有する。歯車336は、第1シャフト362の径方向の外側の端部に設けられている(図6参照)。支持部334は止め部337を回動可能に支持する。止め部337の先端には、係止爪339が形成されている。係止爪339は、ラチェット歯338の端面338bに係止可能である。
【0082】
歯車336が一方の方向(第1方向、例えば、右回り方向)に回転するとき、止め部337の係止爪339は、ラチェット歯338の端面338bに係止する。そのため、歯車336の右回りの回転力は、止め部337に伝達される。止め部337に伝達された回転力は、支持部334を介して第1走行車63に伝えられる(図6参照)。
【0083】
図7(B)に示すように、歯車336が他方の方向(第2方向、例えば、左回り方向)に回転する過程では、係止爪339は、ラチェット歯338の傾斜面338aによって持ち上げられる。そのため、止め部337がこの方向の歯車336の回転を規制する力は小さい。したがって、歯車336は、止め部337に対して相対的に左回り方向に回転できる。すなわち、歯車336は、止め部337に対して空回りする。よって、回転力は、第1走行車63に伝えられない(図6参照)。なお、第2方向は、第1方向と反対の方向である。
【0084】
第2伝達ギア部材333は、第2ベベルギア64と、第2シャフト365と、第2走行車66と、第2ラチェット機構340と、を備える。第2走行車66は、第2シャフト365とは別体である。第2伝達ギア部材333は、第1伝達ギア部材332と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0085】
図6に示すように、第1位置調整機構330は、駆動源41およびブラシ部10が一方の方向に回転するときのみ、第1走行車63および第2走行車66を回転させる。
【0086】
[自動送出ブラシの使用方法]
(第1工程:第1方向の回転の場合)
図8(A)に示すように、駆動源41によって駆動軸42を一方の方向に回転させ、ブラシ部10を回転させることによって、被研磨物1の表面1aに研磨を施す。駆動軸42の回転とともに、駆動ギア34は回転する。ベベルギア61,64およびシャフト62,65は、第1方向に回転する。
【0087】
図8(B)に示すように、伝達ギア部材332,333の回転によって、走行車63,66は、第1ガイド20の走行路23,24を下方に走行する。そのため、ブラシ部10は、中心軸C1の周りに回転するとともに、第1ガイド20に対して下方に移動する。
【0088】
(第2工程:第2方向の回転の場合)
図8(C)に示すように、駆動源41によって駆動軸42を他方の方向に回転させ、ブラシ部10を回転させることによって、被研磨物1の表面1aに研磨を施す。駆動軸42の回転とともに、駆動ギア34は回転する。ベベルギア61,64およびシャフト62,65は、第2方向に回転する。
【0089】
自動送出ブラシ400は、第1位置調整機構330を備えるため、第2工程において、シャフト62,65の回転力は、走行車63,66に伝えられない。そのため、ブラシ部10は上昇しない。ブラシ部10の高さ位置は変化しない。
【0090】
自動送出ブラシ400は、駆動源41を一方の方向に回転させる第1工程と、他方の方向に回転させる第2工程と、を交互に繰り返すことができる。
【0091】
[実施形態の自動送出ブラシが奏する効果]
自動送出ブラシ400は、第1実施形態に係る自動送出ブラシ100と同様に、被研磨物1に安定的に研磨を施すことができる。そのため、摩耗に応じたブラシ部10の高さ位置調整の手間を省くことができる。よって、調整が容易である。
【0092】
自動送出ブラシ400は、第1位置調整機構330を備えるため、駆動源41が一方の方向に回転するときのみ、走行車63,66を回転させる。よって、ブラシ部10が被研磨物1から離間する方向に変位することを原因とする研磨性能の低下を抑制できる。
【0093】
[自動送出ブラシ](第5実施形態)
図9は、第5実施形態に係る自動送出ブラシ500を示す模式図である。図10は、自動送出ブラシ500の動作を示す模式図である。他の実施形態に係る自動送出ブラシとの共通構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0094】
図9に示すように、自動送出ブラシ500は、ブラシ部410と、第1ガイド420と、第1位置調整機構430と、回転駆動部40と、筐体550と、を備えている。筐体550は、駆動源41を保持する。
自動送出ブラシ500は、第1位置調整機構30に代えて第1位置調整機構430を備える点で、第1実施形態の自動送出ブラシ100(図1参照)と異なる。
【0095】
第1位置調整機構430は、ブラシ側ネジ431と、ガイド側ネジ432と、を備えている。
ブラシ側ネジ431は、ブラシ部410のホルダ12の外周面に形成された雄ネジである。
ガイド側ネジ432は、第1ガイド420の内周面に形成された雌ネジである。ガイド側ネジ432は、ブラシ側ネジ431に螺合する。
【0096】
ブラシ部410は、第1ガイド420に収容されている。ブラシ部410のブラシ側ネジ431は、第1ガイド420のガイド側ネジ432に嵌合している。
【0097】
[自動送出ブラシの使用方法]
図10(A)に示すように、駆動源41によって駆動軸42を回転させ、ブラシ部410を回転させることによって、被研磨物1の表面1aに研磨を施す。
図10(B)に示すように、ブラシ部410の回転に伴って、ブラシ部410はガイド側ネジ432に従って下方に移動する。
【0098】
[実施形態の自動送出ブラシが奏する効果]
自動送出ブラシ500は、被研磨物1に安定的に研磨を施すことができる。そのため、摩耗に応じたブラシ部10の高さ位置調整の手間を省くことができる。よって、調整が容易である。
【0099】
自動送出ブラシ500は、ブラシ側ネジ431と、ガイド側ネジ432とを含む第1位置調整機構430を備える。第1位置調整機構430は、ネジ431,432のピッチ等の設定によって、ブラシ部10の変位速度を調整することができる。
【0100】
[自動送出ブラシ](第6実施形態)
図11は、第6実施形態に係る自動送出ブラシ600を示す模式図である。図12は、自動送出ブラシ600の動作を示す模式図である。他の実施形態に係る自動送出ブラシとの共通構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0101】
図11に示すように、自動送出ブラシ600は、ブラシ部10と、第1ガイド20と、第2ガイド220と、第1位置調整機構530と、第2位置調整機構540と、回転駆動部40と、筐体50と、を備えている。
【0102】
第1位置調整機構530は、駆動ギア部材31と、第1伝達ギア部材32と、第2伝達ギア部材33と、第1調整ギア部材532と、第2調整ギア部材533と、を備える。
【0103】
第1調整ギア部材532は、第1前段伝達車534と、第1走行車535と、第1後段伝達車536と、を備える。第1前段伝達車534は、第1伝達ギア部材32の第1走行車63(第1伝達車)と噛み合う。第1走行車535は、第1ガイド20の第1走行路23を下方に走行可能である。
【0104】
第2調整ギア部材533は、第2前段伝達車537と、第2走行車538と、第2後段伝達車539と、を備える。第2前段伝達車537は、第2伝達ギア部材33の第2走行車66(第2伝達車)と噛み合う。第2走行車538は、第1ガイド20の第2走行路24を下方に走行可能である。
【0105】
第2位置調整機構540は、第3調整ギア部材542と、第4調整ギア部材543と、を備える。
第3調整ギア部材542は、第1伝達車544と、第1走行車545と、を備える。第1伝達車544は、第1後段伝達車536と噛み合う。第1走行車545は、第2ガイド220の第1走行路223を走行可能である。
第4調整ギア部材543は、第2伝達車546と、第2走行車547と、を備える。第2伝達車546は、第2後段伝達車539と噛み合う。第2走行車547は、第2ガイド220の第2走行路224を走行可能である。
【0106】
図12(A)および図12(B)に示すように、駆動ギア部材31の回転によって駆動ギア34が回転すると、第1伝達ギア部材32および第2伝達ギア部材33が回転するのに伴って、第1調整ギア部材532および第2調整ギア部材533も回転する。
第1走行車535は第1走行路23を下方に走行する。第2走行車538は第2走行路24を下方に走行する。これにより、ブラシ部10は下方に移動する。
【0107】
第1調整ギア部材532の回転によって、第1走行車545は第2ガイド220の第1走行路223を下方に走行する。第2調整ギア部材533の回転によって、第2走行車547は第2ガイド220の第2走行路224を下方に走行する。そのため、第1ガイド20は、第2ガイド220に対して下方に移動する。このように、第2位置調整機構540は、第1ガイド20を第2ガイド220に沿って被研磨物1に近づく方向(下方)に変位させる。
【0108】
[実施形態の自動送出ブラシが奏する効果]
自動送出ブラシ600は、第1実施形態に係る自動送出ブラシ100と同様に、被研磨物1に安定的に研磨を施すことができる。そのため、摩耗に応じたブラシ部10の高さ位置調整の手間を省くことができる。よって、調整が容易である。
【0109】
自動送出ブラシ600では、第2位置調整機構540によって第1ガイド20が下方に移動するため、第1ガイド20の先端からの線状体11の突出量(突出長さ)を一定に保つことができる。よって、被研磨物1に安定的に研磨を施すことができる。
【0110】
自動送出ブラシ600では、走行車63,66と前段伝達車534,537とのギヤの減速比、および、後段伝達車536,539と伝達車544,546とのギヤの減速比の設定によって、ブラシ部10および第1ガイド20の下方移動の速度を調整することができる。
【0111】
走行車63,66と前段伝達車534,537とのギヤの減速比、および、後段伝達車536,539と伝達車544,546とのギヤの減速比は、ブラシ部10および被研磨物1の研磨レートに応じて定めることができる。
本実施形態では、ブラシ部10の摩耗量が大きいことを想定して、伝達車544,546の外径は、それぞれ後段伝達車536,539の外径より大きくされている。これにより、第1ガイド20の変位速度を比較的大きくできる。
【0112】
[セグメントブラシ]
図13は、実施形態に係るセグメントブラシ700を示す模式的な平面図である。図14は、セグメントブラシ700を示す模式的な断面図である。図14は、図13のI-I断面を示す。既出の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0113】
図13および図14に示すように、セグメントブラシ700は、基板部701と、複数の自動送出ブラシ100(図1参照)と、を備える。セグメントブラシ700は、複数の自動送出ブラシ100が組み込まれている。
【0114】
基板部701は、中心軸C1と平行な中心軸C2(第2中心軸)を有する円板状または円柱状に形成されている。
図14に示すように、複数の自動送出ブラシ100は、基板部701の下面に設けられている。自動送出ブラシ100は、ブラシ部10の先端を下に向けた姿勢をとる。
【0115】
図13に示すように、複数の自動送出ブラシ100は、内周部710と、外周部720とを有する。
内周部710は、1または複数の自動送出ブラシ100を含む。本実施形態では、内周部710は、複数の自動送出ブラシ100を含む自動送出ブラシ群である。
外周部720は、1または複数の自動送出ブラシ100を含む。本実施形態では、外周部720は、複数の自動送出ブラシ100を含む自動送出ブラシ群である。
【0116】
内周部710は、中心軸C2から距離L1の範囲R1内にある自動送出ブラシ100を有する。具体的には、内周部710は、範囲R1内にある4つの自動送出ブラシ100によって構成される。
【0117】
外周部720は、範囲R1の外にある自動送出ブラシ100を有する。具体的には、外周部720は、範囲R1の外にある8つの自動送出ブラシ100によって構成される。
【0118】
図14に示すように、外周部720においてブラシ部10が被研磨物1に近づく方向に変位する速度は、内周部710においてブラシ部10が被研磨物1に近づく方向に変位する速度より高い。言い換えれば、外周部720におけるブラシ部10の下方移動の速度は、内周部710におけるブラシ部10の下方移動の速度より高速である。
【0119】
ブラシ部10の下方移動の速度を調整するには、例えば、駆動源41の回転速度を調整すればよい。詳しくは、外周部720における駆動源41の回転速度を、内周部710における駆動源41の回転速度より高速とすれば、外周部720におけるブラシ部10の下方移動の速度を、内周部710におけるブラシ部10の下方移動の速度より高速とすることができる。
【0120】
[セグメントブラシの使用方法]
ブラシ部10を回転させることによって、被研磨物1の表面1aに研磨を施す。この際、セグメントブラシ700を中心軸C2の周りに回転させる。
【0121】
[実施形態のセグメントブラシが奏する効果]
セグメントブラシ700は、自動送出ブラシ100を有するため、被研磨物1に安定的に研磨を施すことができる。そのため、摩耗に応じたブラシ部10の高さ位置調整の手間を省くことができる。よって、調整が容易である。
【0122】
セグメントブラシ700は、複数の自動送出ブラシ100を備えるため、研磨性能を高めることができる。
【0123】
セグメントブラシ700は、中心軸C2の周りに回転する。外周部720を構成する自動送出ブラシ100は、内周部710を構成する自動送出ブラシ100に比べて移動距離が大きいため、ブラシ部10の線状体11が摩耗しやすい。
本実施形態では、外周部720におけるブラシ部10の下方移動の速度は、内周部710におけるブラシ部10の下方移動の速度より高速である。そのため、外周部720において線状体11の摩耗が早く進行した場合でも、外周部720における研磨性能の低下を抑制することができる。
【0124】
本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。例えば、図1等において、第1ガイド20は円筒状とされているが、第1ガイドの形状は特に限定されない。第1ガイドは、ブラシ部を被研磨物に近づく方向に案内できる構造であればよい。第1ガイドは、長板状であってもよい。第1ガイドは、複数の長板を組み合わせた構造体であってもよい。
【符号の説明】
【0125】
1…被研磨物、10,410…ブラシ部、20,420…第1ガイド、30,130,330,430…第1位置調整機構、34…駆動ギア(ギア)、61…第1ベベルギア(ギア)、64…第2ベベルギア(ギア)、100,200,300,400,500,600…自動送出ブラシ、220…第2ガイド、230…第2位置調整機構、431…ブラシ側ネジ、432…ガイド側ネジ、700…セグメントブラシ、710…内周部、720…外周部、C1…中心軸(第1中心軸)、C2…中心軸(第2中心軸)、R1…範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14