(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025139461
(43)【公開日】2025-09-26
(54)【発明の名称】照明装置、照明光学系、露光装置及び物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20250918BHJP
G02B 19/00 20060101ALI20250918BHJP
G02B 3/00 20060101ALN20250918BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
G02B19/00
G02B3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024038413
(22)【出願日】2024-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水谷 将樹
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 凛平
【テーマコード(参考)】
2H052
2H197
【Fターム(参考)】
2H052BA02
2H052BA09
2H052BA12
2H197AA05
2H197BA10
2H197CA13
2H197CA17
2H197CB16
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
2H197HA10
(57)【要約】
【課題】被照明面を照明するのに有利な技術を提供する。
【解決手段】被照明面を照明する照明装置であって、複数の固体光源が平面上に配列された第1光源部と、前記第1光源部とは異なる第2光源部と、前記第1光源部からの光と前記第2光源部からの光とを合成する光学素子と、前記被照明面を照明する、前記光学素子からの光を均一化するホモジナイザー素子と、前記第2光源部と前記光学素子を像と瞳の関係にする第1光学系と、前記複数の固体光源と前記ホモジナイザー素子の入射面を像と瞳の関係にする第2光学系と、を有する、ことを特徴とする照明装置を提供する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照明面を照明する照明装置であって、
複数の固体光源が平面上に配列された第1光源部と、
前記第1光源部とは異なる第2光源部と、
前記第1光源部からの光と前記第2光源部からの光とを合成する光学素子と、
前記被照明面を照明する、前記光学素子からの光を均一化するホモジナイザー素子と、
前記第2光源部と前記光学素子を像と瞳の関係にする第1光学系と、
前記複数の固体光源と前記ホモジナイザー素子の入射面を像と瞳の関係にする第2光学系と、
を有する、ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記第2光源部は、発散光源と、前記発散光源からの光を集光する楕円ミラーと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記ホモジナイザー素子は、複数の光学要素に分割され、前記複数の光学要素のそれぞれからの光を前記被照明面に重畳する波面分割型のホモジナイザー素子である、ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光学要素は、レンズを含む、ことを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記ホモジナイザー素子は、前記光学素子と前記被照明面との間に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項6】
前記光学素子は、
前記第1光源部からの光を反射する反射領域と、前記第2光源部からの光を透過させる透過領域と、を含み、
前記反射領域で反射した光と、前記透過領域を透過した光とを合成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項7】
前記反射領域は、前記光学素子の中心領域に設けられ、
前記透過領域は、前記光学素子の前記中心領域を囲む周辺領域に設けられている、
ことを特徴とする請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記光学素子は、
前記第1光源部からの光を透過させる透過領域と、前記第2光源部からの光を反射する反射領域と、を含み、
前記透過領域で透過した光と、前記反射領域で反射した光とを合成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項9】
前記透過領域は、前記光学素子の中心領域に設けられ、
前記反射領域は、前記光学素子の前記中心領域を囲む周辺領域に設けられている、
ことを特徴とする請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記固体光源は、LED及びLDの少なくとも一方を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項11】
複数の固体光源が平面上に配列された第1光源部と、前記第1光源部とは異なる第2光源部と、を用いて被照明面を照明する照明光学系であって、
前記第1光源部からの光と前記第2光源部からの光とを合成する光学素子と、
前記被照明面を照明する、前記光学素子からの光を均一化するホモジナイザー素子と、
前記第2光源部と前記光学素子を像と瞳の関係にする第1光学系と、
前記複数の固体光源と前記ホモジナイザー素子の入射面を像と瞳の関係にする第2光学系と、
を有する、ことを特徴とする照明光学系。
【請求項12】
原版を介して基板を露光する露光装置であって、
被照明面に配置された前記原版を照明する請求項1乃至10のうちいずれか1項に記載の照明装置と、
前記原版のパターンを前記基板に投影する投影光学系と、
を有することを特徴とする露光装置。
【請求項13】
原版を介して基板を露光する露光装置であって、
被照明面に配置された前記原版を照明する請求項11に記載の照明光学系と、
前記原版のパターンを前記基板に投影する投影光学系と、
を有することを特徴とする露光装置。
【請求項14】
請求項12に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、
露光した前記基板を現像する工程と、
現像された前記基板から物品を製造する工程と、
を有することを特徴とする物品の製造方法。
【請求項15】
請求項13に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、
露光した前記基板を現像する工程と、
現像された前記基板から物品を製造する工程と、
を有することを特徴とする物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、照明光学系、露光装置及び物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デバイス(半導体デバイス、磁気記憶媒体、液晶表示素子など)、カラーフィルタ又はハードディスクなどの製造において、基板(ガラスプレート、ウエハなど)を露光する露光装置が用いられている。露光装置は、光源からの光でパターンが形成された原版(レチクル又はマスク)を照明し、投影光学系を介して原版からの光を基板に投影することで、原版のパターンを基板に転写する。この際、良好なパターンを高い生産性で得るためには、光源からの光の輝度(発光輝度)を大きく、且つ、光源からの光で原版を均一に照明する必要がある。
【0003】
露光装置では、光源として、超高圧水銀ランプなどが従来から用いられている。但し、超高圧水銀ランプには、寿命が短く、エネルギー使用量が多いなどの課題がある。一方、近年、高輝度のLEDやLDを含む固体光源に関する技術が進歩し、露光装置において、光源として固体光源を用いることが検討されているが、LEDなどの固体光源は、超高圧水銀ランプと比べて、発光輝度が小さい。そこで、複数のLED素子をアレイ状に並べて光源ユニットとする技術が提案されている。
【0004】
また、基板を露光して良好なパターン形状を得るためには、特に、光源からの光で原版を均一に照明することが重要となる。露光装置では、原版を均一に照明するために、ホモジナイザー素子として、レンズアレイ(フライアイレンズ(ハエの目レンズ))が従来から用いられている。
【0005】
このような状況において、特許文献1及び2には、高い照明輝度を得るために複数のLED素子を用い、且つ、複数のLED素子からの光をホモジナイザー素子に入射させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-002212号公報
【特許文献2】特許第6529809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、複数のLED素子を並べた場合には、LED素子の発光点(発光箇所)が離散的になり、面光源にはならない。離散的な照度分布でホモジナイザー素子を照明した場合、ホモジナイザー素子による照度均一効果が低減してしまう。
【0008】
特許文献1では、LED発光面とホモジナイザー素子との間にオプティカルロッドを配置し、実質的に、LED発光面の照度分布をぼかしてホモジナイザー素子を照明することで、ホモジナイザー素子による照度均一効果の低下を抑制している。但し、特許文献1において、面光源に近い分布を形成するためには、オプティカルロッドを長くする必要があり、照明光学系が大型化してしまう。
【0009】
特許文献2には、LED発光面とホモジナイザー素子との間に、もう1つのホモジナイザー素子(レンズアレイ)と、コリメータレンズとを配置する構成が開示されている。かかる構成によれば、各LED発光面がレンズアレイの入射面に重畳されるため、面光源を形成することができるが、もう1つのホモジナイザー素子(レンズアレイユニット)が必要となり、構成の複雑化やコストの増加を招いてしまう。
【0010】
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされ、被照明面を照明するのに有利な技術を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての照明装置は、被照明面を照明する照明装置であって、複数の固体光源が平面上に配列された第1光源部と、前記第1光源部とは異なる第2光源部と、前記第1光源部からの光と前記第2光源部からの光とを合成する光学素子と、前記被照明面を照明する、前記光学素子からの光を均一化するホモジナイザー素子と、前記第2光源部と前記光学素子を像と瞳の関係にする第1光学系と、前記複数の固体光源と前記ホモジナイザー素子の入射面を像と瞳の関係にする第2光学系と、を有する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される実施形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、例えば、被照明面を照明するのに有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一側面としての露光装置の構成を示す概略図である。
【
図2】ホモジナイザー素子の入射面における照度分布と、視野絞りが配置された面における照度分布との関係を示す図である。
【
図4】光源部における照度分布を、ホモジナイザー素子に略共役となる関係で照明した状態を示す図である。
【
図5】ホモジナイザー素子の入射面における照度分布と、視野絞りが配置された面における照度分布との関係を示す図である。
【
図6】第1実施形態としての露光装置における照明装置の構成の一部を示す図である。
【
図8】ホモジナイザー素子の入射面における照度分布を示す図である。
【
図9】ホモジナイザー素子の入射面における照度分布と、視野絞りが配置された面における照度分布との関係を示す図である。
【
図10】第2実施形態としての露光装置の構成の一部を示す概略図である。
【
図12】ホモジナイザー素子の入射面における照度分布と、視野絞りが配置された面における照度分布との関係を示す図である。
【
図13】第3実施形態としての露光装置の構成の一部を示す概略図である。
【
図15】ホモジナイザー素子の入射面における照度分布と、視野絞りが配置された面における照度分布との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。更に、添付図面においては、同一もしくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0016】
図1は、本発明の一側面としての露光装置100の構成を示す概略図である。露光装置100は、例えば、半導体デバイスなどの製造工程であるリソグラフィ工程に用いられ、基板上にパターンを形成するリソグラフィ装置である。露光装置100は、原版107(レチクル又はマスク)を介して基板109を露光し、原版107のパターンを基板109に転写する。
【0017】
露光装置100は、
図1に示すように、光源部101と、リレー光学系102と、ホモジナイザー素子103と、コンデンサレンズ104と、視野絞り105と、リレーレンズ106と、投影光学系108と、基板ステージ111と、を有する。
【0018】
本実施形態において、光源部101、リレー光学系102、ホモジナイザー素子103、コンデンサレンズ104、視野絞り105及びリレーレンズ106は、被照明面を照明する照明装置を構成する。また、リレー光学系102、ホモジナイザー素子103、コンデンサレンズ104、視野絞り105及びリレーレンズ106は、光源部101を用いて、被照明面を照明する照明光学系を構成する。なお、本実施形態において、被照明面とは、典型的には、原版107が配置される面であるが、原版107が配置される面と共役な面(被照明面の共役面)も含む。
【0019】
本明細書及び添付図面では、基板が配置される面に平行な方向をXY平面とするXYZ座標系で方向を示す。XYZ座標系におけるX軸、Y軸及びZ軸のそれぞれに平行な方向をX方向、Y方向及びZ方向とし、X軸周りの回転、Y軸周りの回転及びZ軸周りの回転のそれぞれをθX、θY及びθZとする。
【0020】
光源部101は、複数のLEDをアレイ状に並べたユニットである。但し、光源部101は、複数の固体光源が平面上に配列されたユニットであればよく、例えば、LEDは、LDに置換することも可能である。このように、固体光源は、LED及びLDの少なくとも一方を含む。光源部101からの光は、リレー光学系102に導かれる。リレー光学系102を通過(透過)した光は、ホモジナイザー素子103を通過(透過)し、コンデンサレンズ104を介して、視野絞り105に照射される。視野絞り105によって所望の照明領域(形状)に形成された光は、リレーレンズ106を介して、原版107を照明する。
【0021】
原版107を通過した光は、原版107のパターンを基板109に投影する投影光学系108を介して、基板109に照射されて基板109を露光する。基板109は、基板チャック110を介して、基板109を位置決めする基板ステージ111によって保持される。
【0022】
ここで、ホモジナイザー素子103の効果について説明する。
図2は、ホモジナイザー素子103の入射面における照度分布と、視野絞り105が配置された面における照度分布との関係を示す図である。
図2では、ホモジナイザー素子103は、複数の光学要素として3つのレンズ21、22及び23に分割された波面分割型のホモジナイザー素子である。換言すれば、ホモジナイザー素子103は、3つのレンズ21、22及び23で構成されている。ホモジナイザー素子103は、レンズ21、22及び23のそれぞれからの光を視野絞り105が配置された面に重畳する。
【0023】
図2に示すように、ホモジナイザー素子103の入射面、具体的には、レンズ21の入射面における照度分布を21a、レンズ22の入射面における照度分布を22a、レンズ23の入射面における照度分布を23cとする。ここでは、レンズ21、22及び23のそれぞれの入射面における照度分布21a、22a及び23aは、互いに異なる照度分布であるものとする。
【0024】
ホモジナイザー素子103、即ち、レンズ21、22及び23のそれぞれの入射面に入射した光は、コンデンサレンズ104を介して、視野絞り105に重畳されて視野絞り105を照明する。レンズ21の入射面における照度分布21aは、視野絞り105では、照度分布21bとなる。同様に、レンズ22の入射面における照度分布22aは、視野絞り105では、照度分布22bとなり、レンズ23の入射面における照度分布23aは、視野絞り105では、照度分布23bとなる。
【0025】
図2に示すように、ホモジナイザー素子103の入射面における照度分布21a、22a及び23aは、視野絞り105において、照度分布21b、22b及び23bとして重畳される。従って、ホモジナイザー素子103の入射面において、照度分布に不均一性がある場合であっても、ホモジナイザー素子103及びコンデンサレンズ104を用いることで、視野絞り105(が配置された面)において、均一な照度分布を得ることができる。
【0026】
図3は、光源部101の構成を示す図である。光源部101は、LEDチップ31(LED素子)をアレイ状に配列して構成され、
図3では、LEDチップ31を5×5で配列して構成されている。但し、光源部101におけるLEDチップ31の配列や個数については限定されるものでない。
図3には、LEDチップ31における発光箇所を発光点32として示している。各LEDチップ31における発光点32は、LEDチップ31に対して小さいため、光源部101の全体において、発光点32は離散的となる。
【0027】
図4は、光源部101における照度分布(発光点32)を、ホモジナイザー素子103に略共役となる関係で照明した状態を示す図である。
図4では、ホモジナイザー素子103は、アレイ状に配列された複数のレンズ41で構成されている。ここでは、ホモジナイザー素子103の効果が理解しやすいように、ホモジナイザー素子103におけるレンズ41の配列を、光源部101におけるLEDチップ31の配列(5×5)と同じ配列にしている。
図4を参照するに、LEDチップ31における発光点32は、ホモジナイザー素子103の各レンズ41の中心部42を照明する。
【0028】
図5は、ホモジナイザー素子103の入射面における照度分布と、視野絞り105が配置された面における照度分布との関係を示す図である。
図5では、ホモジナイザー素子103の各レンズ41の入射面における照度分布を42a、42b、42c、42d及び42eとする。各レンズ41の入射面における照度分布42a乃至42eは、ホモジナイザー素子103及びコンデンサレンズ104を用いることで、視野絞り105(が配置された面)に重畳される。具体的には、各レンズ41の入射面における照度分布42a乃至42eは、照度分布43a、43b、43c、43d及び43eとして、視野絞り105の中心部に重なって照射される。従って、視野絞り105の全体における照度分布にばらつきが発生してしまう。
【0029】
<第1実施形態>
図6は、第1実施形態としての露光装置100における照明装置の構成の一部を示す図である。本実施形態において、照明装置は、
図6に示すように、光源部101からの光の角度分布を、リレー光学系102を介して、照度分布に変換し、ホモジナイザー素子103の入射面を照明する。
【0030】
図7は、LEDチップ31を配列して構成された光源部101の配光分布を示す図である。
図7に示すように、一般的に、LEDから発光される光は、垂直方向(0°)が最も高く、高角度になるにつれて光強度が低くなる傾向にある。
【0031】
図8は、ホモジナイザー素子103の入射面における照度分布81を示す図である。
図8を参照するに、本実施形態では、光源部101(詳細には、複数のLEDチップ31の発光点32)とホモジナイザー素子103の入射面を、リレー光学系102を用いて、像と瞳の関係で照明している。換言すれば、リレー光学系102は、光源部101とホモジナイザー素子103の入射面を像と瞳の関係にする光学系として機能する。これにより、光源部101からの光の角度分布がホモジナイザー素子103の入射面に照明されるため、照度分布81は、ホモジナイザー素子103の全体の中心部で照度が最も高く、中心部から周辺部に向かうにつれて照度が徐々に低下する。従って、本実施形態において、ホモジナイザー素子103の入射面における照度分布81は、
図8に示すように、入射面の全体では変化がみられるが、各レンズ41では徐々に変化しており、
図4に示す照度分布のように、局所的には変化してない。
【0032】
図9は、ホモジナイザー素子103の入射面における照度分布と、視野絞り105が配置された面における照度分布との関係を示す図である。
図9を参照するに、ホモジナイザー素子103の各レンズ41の入射面における照度分布81は、ホモジナイザー素子103及びコンデンサレンズ104を用いることで、視野絞り105(が配置された面)に重畳される。ホモジナイザー素子103の入射面の全体では、照度分布81に変化が存在しているが、各レンズ41における照度分布81の変化はなだらかである。従って、視野絞り105の全体における照度分布91は、各レンズ41で照度分布81の平均化効果が得られることによって、均一な状態となる。
【0033】
視野絞り105を均一に照明する光は、後段のリレーレンズ106を介して、原版107を照明し、原版107のパターンは、投影光学系108を介して、基板109に投影される。この際、原版107は均一に照明されているため、基板109の面内で均一なパターンが形成(転写)される。
【0034】
<第2実施形態>
図10を参照して、第2実施形態としての露光装置200について説明する。
図10は、第2実施形態としての露光装置200の構成の一部を示す概略図である。露光装置200は、露光装置100と同様な構成を有するが、例えば、原版107などの被照明面で高照度を実現するために、第1光源部LS1からの光と、第2光源部LS2からの光とを合成して原版107を照明する点が異なる。
【0035】
露光装置200は、
図10に示すように、第1光源部LS1と、第2光源部LS2と、コリメータレンズ206と、光学素子208と、コリメータレンズ210と、を有する。また、露光装置200は、リレー光学系211と、ホモジナイザー素子212と、コンデンサレンズ213と、視野絞り214と、を更に有する。なお、視野絞り214よりも後段の構成については、露光装置100と同様であるため、
図10では、図示を省略している。
【0036】
本実施形態において、第1光源部LS1、第2光源部LS2、コリメータレンズ206及び210、光学素子208、リレー光学系211、ホモジナイザー素子212、コンデンサレンズ213及び視野絞り214は、被照明面を照明する照明装置を構成する。また、コリメータレンズ206及び210、光学素子208、リレー光学系211、ホモジナイザー素子212、コンデンサレンズ213及び視野絞り214は、第1光源部LS1及び第2光源部LS2を用いて、被照明面を照明する照明光学系を構成する。
【0037】
第2光源部LS2は、第1光源部LS1とは(種類が)異なる光源であって、発散光源としてのランプ201と、ランプ201からの光を集光する楕円ミラー202と、を含む。ランプ201の発光部は、楕円ミラー202の第1焦点の位置に配置されている。ランプ201の発光部からの光は、楕円ミラー202で反射され、楕円ミラー202の第2焦点203に結像する。第2焦点203に結像する光の角度分布の中心部は、楕円ミラー202で反射された後にランプ201で遮光される。従って、第2焦点203よりも後段(の光)では、光が存在しない領域204と、光が存在する領域205と、が存在する。第2焦点203からの光の角度分布は、コリメータレンズ206を介して、照度分布に変換され、光合成位置207に配置された光学素子208を照明する。
【0038】
また、本実施形態では、第2光源部LS2(ランプ201)と光学素子208(光合成位置207)を、コリメータレンズ206を用いて、像と瞳の関係で照明している。換言すれば、コリメータレンズ206は、第2光源部LS2と光学素子208を像と瞳の関係にする光学系(第1光学系)として機能する。
【0039】
第1光源部LS1は、第2光源部LS2とは(種類が)異なる光源であって、複数のLEDチップ(固体光源)がアレイ状(平面上)に配列されたLEDアレイ209を含む。LEDアレイ209からの光は、コリメータレンズ210を介して、ランプ201の発光部に対して光合成位置207に配置された光学素子208を照明する。
【0040】
図11は、光合成位置207に配置された光学素子208の構成を示す図である。上述したように、ランプ201からの光には、光が存在しない領域204が存在する。ランプ201からの光が存在する領域205は、光学素子208においては、光学素子208の中心領域を囲む周辺領域に対応する。換言すれば、ランプ201からの光は、コリメータレンズ206を介して、光学素子208の周辺領域を照明する。光学素子208の周辺領域には、ランプ201(第2光源部LS2)からの光を透過させる透過領域215及び216が形成されている。透過領域215及び216は、例えば、光学素子208の周辺領域のガラス面に、光を透過する低反射膜を設けることによって形成される。
【0041】
LEDアレイ209からの光は、コリメータレンズ210を介して、像と瞳の関係で光学素子208の中心領域を照明する。光学素子208の中心領域には、LEDアレイ209(第1光源部LS1)からの光を反射する反射領域217が形成されている。反射領域217は、例えば、光学素子208の中心領域のガラス面に、光を反射する高反射膜を設けることによって形成される。なお、高反射膜は、光学素子208の中心領域において、ガラス面の両面に形成してもよいし、どちらか一方の面に形成してもよい。従って、LEDアレイ209からの光は、光学素子208の反射領域217(中心領域)で反射されることになる。
【0042】
光学素子208において、ランプ201からの光(透過領域215及び216を透過した光)とLEDアレイ209からの光(反射領域217で反射した光)とが合成される。光学素子208で合成された光は、後段のリレー光学系211を介して、光学素子208と視野絞り214又は原版107(被照明面)との間に配置されたホモジナイザー素子212を照明する。
【0043】
図12は、ホモジナイザー素子212の入射面における照度分布と、視野絞り214が配置された面における照度分布との関係を示す図である。LEDアレイ209とホモジナイザー素子212の入射面は、コリメータレンズ210及びリレー光学系211を介して、像と瞳の関係になる。換言すれば、コリメータレンズ210及びリレー光学系211は、LEDアレイ209とホモジナイザー素子212の入射面を像と瞳の関係にする光学系(第2光学系)として機能する。ここでは、
図12に示すように、LEDアレイ209からの光は、ホモジナイザー素子212の中心領域218を照明する。従って、LEDアレイ209からの光の配光分布がホモジナイザー素子212の中心領域218に照度分布として照明される。また、ランプ201からの光は、ホモジナイザー素子212の周辺領域219を照明する。
【0044】
図12を参照するに、本実施形態では、ホモジナイザー素子212の入射面において、
図5に示すようなLEDアレイ209の発光点に対応する局所的な照度分布が形成されることがないため、ホモジナイザー素子212は、なだらかに照明される。従って、コンデンサレンズ213を介して視野絞り214が配置された面に形成(重畳)される照度分布220は、ホモジナイザー素子212の各レンズで平均化効果が得られることによって、均一化されることになる。
【0045】
視野絞り214を均一に照明する光は、後段のリレーレンズ106を介して、原版107を照明し、原版107のパターンは、投影光学系108を介して、基板109に投影される。この際、原版107は均一に照明されているため、基板109の面内で均一なパターンが形成(転写)される。
【0046】
<第3実施形態>
図13を参照して、第3実施形態としての露光装置300について説明する。
図13は、第3実施形態としての露光装置300の構成の一部を示す概略図である。露光装置300は、露光装置100と同様な構成を有するが、例えば、原版107などの被照明面で高照度を実現するために、第1光源部LS1からの光と、第2光源部LS2からの光とを合成して原版107を照明する点が異なる。
【0047】
露光装置300は、
図13に示すように、第1光源部LS1と、第2光源部LS2と、コリメータレンズ306と、光学素子308と、コリメータレンズ310と、を有する。また、露光装置300は、リレー光学系311と、ホモジナイザー素子312と、コンデンサレンズ313と、視野絞り314と、を更に有する。なお、視野絞り314よりも後段の構成については、露光装置100と同様であるため、
図13では、図示を省略している。
【0048】
本実施形態において、第1光源部LS1、第2光源部LS2、コリメータレンズ306及び310、光学素子308、リレー光学系311、ホモジナイザー素子312、コンデンサレンズ313及び視野絞り314は、被照明面を照明する照明装置を構成する。また、コリメータレンズ306及び310、光学素子308、リレー光学系311、ホモジナイザー素子312、コンデンサレンズ313及び視野絞り314は、第1光源部LS1及び第2光源部LS2を用いて、被照明面を照明する照明光学系を構成する。
【0049】
第2光源部LS2は、第1光源部LS1とは(種類が)異なる光源であって、発散光源としてのランプ301と、ランプ301からの光を集光する楕円ミラー302と、を含む。ランプ301の発光部は、楕円ミラー302の第1焦点の位置に配置されている。ランプ301の発光部からの光は、楕円ミラー302で反射され、楕円ミラー302の第2焦点303に結像する。第2焦点303に結像する光の角度分布の中心部は、楕円ミラー302で反射された後にランプ301で遮光される。従って、第2焦点303よりも後段(の光)では、光が存在しない領域304と、光が存在する領域305と、が存在する。第2焦点303からの光の角度分布は、コリメータレンズ306を介して、照度分布に変換され、光合成位置307に配置された光学素子308を照明する。
【0050】
また、本実施形態では、第2光源部LS2(ランプ301)と光学素子308(光合成位置307)を、コリメータレンズ306を用いて、像と瞳の関係で照明している。換言すれば、コリメータレンズ306は、第2光源部LS2と光学素子308を像と瞳の関係にする光学系(第1光学系)として機能する。
【0051】
第1光源部LS1は、第2光源部LS2とは(種類が)異なる光源であって、複数のLEDチップ(固体光源)がアレイ状(平面上)に配列されたLEDアレイ309を含む。LEDアレイ309からの光は、コリメータレンズ310を介して、ランプ301の発光部に対して光合成位置307に配置された光学素子308を照明する。
【0052】
図14は、光合成位置307に配置された光学素子308の構成を示す図である。上述したように、ランプ301からの光には、光が存在しない領域304が存在する。ランプ301からの光が存在する領域305は、光学素子308においては、光学素子308の中心領域を囲む周辺領域に対応する。換言すれば、ランプ301からの光は、コリメータレンズ306を介して、光学素子308の周辺領域を照明する。光学素子308の周辺領域には、ランプ301(第2光源部LS2)からの光を反射する反射領域315及び316が形成されている。反射領域315及び316は、例えば、光学素子308の周辺領域のガラス面に、光を反射する高反射膜を設けることによって形成される。なお、高反射膜は、光学素子308の周辺領域において、ガラス面の両面に形成してもよいし、どちらか一方の面に形成してもよい。従って、ランプ301からの光は、光学素子308の反射領域315及び316で反射されることになる。
【0053】
LEDアレイ309からの光は、コリメータレンズ310を介して、像と瞳の関係で光学素子308の中心領域を照明する。光学素子308の中心領域には、LEDアレイ309(第1光源部LS1)からの光を透過させる透過領域317が形成されている。透過領域317は、例えば、光学素子308の中心領域のガラス面に、光を透過する低反射膜を設けることによって形成される。従って、LEDアレイ309からの光は、光学素子308の透過領域317を透過することになる。
【0054】
光学素子308において、ランプ301からの光(反射領域315及び316で反射した光)とLEDアレイ309からの光(透過領域317を透過した光)とが合成される。光学素子308で合成された光は、後段のリレー光学系311を介して、光学素子308と視野絞り314又は原版107(被照明面)との間に配置されたホモジナイザー素子312を照明する。
【0055】
図15は、ホモジナイザー素子312の入射面における照度分布と、視野絞り314が配置された面における照度分布との関係を示す図である。LEDアレイ309とホモジナイザー素子312の入射面は、コリメータレンズ310及びリレー光学系311を介して、像と瞳の関係になる。換言すれば、コリメータレンズ310及びリレー光学系311は、LEDアレイ309とホモジナイザー素子312の入射面を像と瞳の関係にする光学系(第2光学系)として機能する。ここでは、
図13に示すように、LEDアレイ209からの光は、ホモジナイザー素子312の中心領域318を照明する。従って、LEDアレイ309からの光の配光分布がホモジナイザー素子312の中心領域318に照度分布として照明される。また、ランプ301からの光は、ホモジナイザー素子312の周辺領域319を照明する。
【0056】
図15を参照するに、本実施形態では、ホモジナイザー素子312の入射面において、
図5に示すようなLEDアレイ209の発光点に対応する局所的な照度分布が形成されることがないため、ホモジナイザー素子312は、なだらかに照明される。従って、コンデンサレンズ313を介して視野絞り314が配置された面に形成(重畳)される照度分布320は、ホモジナイザー素子312の各レンズで平均化効果が得られることによって、均一化されることになる。
【0057】
視野絞り314を均一に照明する光は、後段のリレーレンズ106を介して、原版107を照明し、原版107のパターンは、投影光学系108を介して、基板109に投影される。この際、原版107は均一に照明されているため、基板109の面内で均一なパターンが形成(転写)される。
【0058】
<第4実施形態>
本発明の実施形態における物品の製造方法は、例えば、半導体素子、フラットパネルディスプレイ、液晶表示素子、MEMSなどの物品を製造するのに好適である。かかる製造方法は、上述した露光装置100、200又は300を用いて感光剤が塗布された基板を露光する工程と、露光された感光剤を現像する工程とを含む。また、現像された感光剤のパターンをマスクとして基板に対してエッチング工程やイオン注入工程などを行い、基板上に回路パターンが形成される。これらの露光、現像、エッチングなどの工程を繰り返して、基板上に複数の層からなる回路パターンを形成する。後工程で、回路パターンが形成された基板に対してダイシング(加工)を行い、チップのマウンティング、ボンディング、検査工程を行う。また、かかる製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、レジスト剥離など)を含みうる。本実施形態における物品の製造方法は、従来に比べて、物品の性能、品質、生産性及び生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
【0059】
本明細書の開示は、以下の照明装置、照明光学系、露光装置及び物品の製造方法を含む。
【0060】
(項目1)
被照明面を照明する照明装置であって、
複数の固体光源が平面上に配列された第1光源部と、
前記第1光源部とは異なる第2光源部と、
前記第1光源部からの光と前記第2光源部からの光とを合成する光学素子と、
前記被照明面を照明する、前記光学素子からの光を均一化するホモジナイザー素子と、
前記第2光源部と前記光学素子を像と瞳の関係にする第1光学系と、
前記複数の固体光源と前記ホモジナイザー素子の入射面を像と瞳の関係にする第2光学系と、
を有する、ことを特徴とする照明装置。
【0061】
(項目2)
前記第2光源部は、発散光源と、前記発散光源からの光を集光する楕円ミラーと、を含む、ことを特徴とする項目1に記載の照明装置。
【0062】
(項目3)
前記ホモジナイザー素子は、複数の光学要素に分割され、前記複数の光学要素のそれぞれからの光を前記被照明面に重畳する波面分割型のホモジナイザー素子である、ことを特徴とする項目1又は2に記載の照明装置。
【0063】
(項目4)
前記光学要素は、レンズを含む、ことを特徴とする項目3に記載の照明装置。
【0064】
(項目5)
前記ホモジナイザー素子は、前記光学素子と前記被照明面との間に配置されている、ことを特徴とする項目1乃至4のうちいずれか1項に記載の照明装置。
【0065】
(項目6)
前記光学素子は、
前記第1光源部からの光を反射する反射領域と、前記第2光源部からの光を透過させる透過領域と、を含み、
前記反射領域で反射した光と、前記透過領域を透過した光とを合成する、
ことを特徴とする項目1乃至5のうちいずれか1項目に記載の照明装置。
【0066】
(項目7)
前記反射領域は、前記光学素子の中心領域に設けられ、
前記透過領域は、前記光学素子の前記中心領域を囲む周辺領域に設けられている、
ことを特徴とする項目6に記載の照明装置。
【0067】
(項目8)
前記光学素子は、
前記第1光源部からの光を透過させる透過領域と、前記第2光源部からの光を反射する反射領域と、を含み、
前記透過領域で透過した光と、前記反射領域で反射した光とを合成する、
ことを特徴とする項目1乃至5のうちいずれか1項目に記載の照明装置。
【0068】
(項目9)
前記透過領域は、前記光学素子の中心領域に設けられ、
前記反射領域は、前記光学素子の前記中心領域を囲む周辺領域に設けられている、
ことを特徴とする項目8に記載の照明装置。
【0069】
(項目10)
前記固体光源は、LED及びLDの少なくとも一方を含む、ことを特徴とする項目1乃至9のうちいずれか1項目に記載の照明装置。
【0070】
(項目11)
複数の固体光源が平面上に配列された第1光源部と、前記第1光源部とは異なる第2光源部と、を用いて被照明面を照明する照明光学系であって、
前記第1光源部からの光と前記第2光源部からの光とを合成する光学素子と、
前記被照明面を照明する、前記光学素子からの光を均一化するホモジナイザー素子と、
前記第2光源部と前記光学素子を像と瞳の関係にする第1光学系と、
前記複数の固体光源と前記ホモジナイザー素子の入射面を像と瞳の関係にする第2光学系と、
を有する、ことを特徴とする照明光学系。
【0071】
(項目12)
原版を介して基板を露光する露光装置であって、
被照明面に配置された前記原版を照明する項目1乃至10のうちいずれか1項目に記載の照明装置と、
前記原版のパターンを前記基板に投影する投影光学系と、
を有することを特徴とする露光装置。
【0072】
(項目13)
原版を介して基板を露光する露光装置であって、
被照明面に配置された前記原版を照明する項目11に記載の照明光学系と、
前記原版のパターンを前記基板に投影する投影光学系と、
を有することを特徴とする露光装置。
【0073】
(項目14)
項目12に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、
露光した前記基板を現像する工程と、
現像された前記基板から物品を製造する工程と、
を有することを特徴とする物品の製造方法。
【0074】
(項目15)
項目13に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、
露光した前記基板を現像する工程と、
現像された前記基板から物品を製造する工程と、
を有することを特徴とする物品の製造方法。
【0075】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0076】
100、200、300:露光装置 102、211、311:リレー光学系 103、212、312:ホモジナイザー素子 201、301:ランプ 205、305:コリメータレンズ 208、308:光学素子 209、309:LEDアレイ LS1:第1光源部 LS2:第2光源部