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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025139463
(43)【公開日】2025-09-26
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20250918BHJP
【FI】
F25D23/02 304C
F25D23/02 304A
F25D23/02 306D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024038416
(22)【出願日】2024-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中谷 遼
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102KB05
3L102KE01
3L102KE02
3L102KE04
3L102KE07
(57)【要約】
【課題】扉面材に生じる不所望な変形を抑えつつ、端部部材に扉面材を取り付けることができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】実施形態の冷蔵庫は、貯蔵室を内部に有する冷蔵庫本体11と、冷蔵庫本体11に設けられた扉40とを備えた冷蔵庫において、扉40は、庫外側の前面を形成する扉面材50と、扉面材50の端部に取り付けられた端部部材60、80とを備え、扉面材50は、上辺部又は下辺部から後方に突出した取付面54、55と、取付面54、55に設けられた被係止部57、58と、を備え、端部部材60、80は、取付面54、55が差し込まれる溝部62、82と、溝部62、82内へ突出し被係止部57、58に差し込まれる係止部71、91とを備える、冷蔵庫。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を内部に有する冷蔵庫本体と、前記冷蔵庫本体に設けられた扉とを備えた冷蔵庫において、
前記扉は、庫外側の前面を形成する扉面材と、前記扉面材の端部に取り付けられた端部部材とを備え、
前記扉面材は、上辺部又は下辺部から後方に突出した取付面と、前記取付面に設けられた被係止部と、を備え、
前記端部部材は、前記取付面が差し込まれる溝部と、前記溝部内へ突出し前記被係止部に差し込まれる係止部とを備える、冷蔵庫。
【請求項2】
前記端部部材は、前記扉の外部側を構成する外側壁と、前記外側壁と間隔をあけて設けられ前記外側壁との間で前記溝部を形成する内側壁とを備え、前記係止部が前記外側壁から前記内側壁へ向けて突出する、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記取付面は、幅広領域と、前記幅広領域よりも後方への突出量が小さい幅狭領域とを備え、前記幅広領域に前記被係止部が設けられている、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記端部部材は前記扉内部側へ凹んだ凹部を備え、前記被係止部は前記扉の幅方向において前記凹部を避けた位置に設けられている、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記端部部材は、前記冷蔵庫本体に設けられた回動軸を回動可能に支持する軸受部を備え、前記被係止部は前記扉の幅方向において前記軸受部を避けた位置に設けられている、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記取付面は、前記扉の幅方向に間隔をあけて複数の前記被係止部を備え、前記被係止部の間に前記幅狭領域が設けられている、請求項3に記載の冷蔵庫。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の扉は、冷蔵庫の庫外側の前面を形成する扉面材と、庫内側の後面を形成する扉内板と、扉の上下両端を形成する端部部材とが組み合わさり、その内部に発泡断熱材が充填されている(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
このような扉では、扉面材の端部を扉の内側に向かって折り曲げた折曲げ部を端部部材に設けた溝部に差し込むようにして端部部材を扉面材に取り付けることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6392144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献の扉では、溝部の上側溝壁と、下側溝壁から上側溝壁に向けて突出する嵌合リブと、の間で扉面材の折曲げ部を挟持するため、折曲げ部の差し込み量にバラツキが生じやすく、扉面材が変形して取り付けられるおそれがある。
【0006】
そこで本発明は、歪みの発生を抑えつつ端部部材に扉面材を取り付けることができる冷蔵庫を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態による冷蔵庫は、貯蔵室を内部に有する冷蔵庫本体と、前記冷蔵庫本体に設けられた扉とを備えた冷蔵庫において、前記扉は、庫外側の前面を形成する扉面材と、前記扉面材の端部に取り付けられた端部部材とを備え、前記扉面材は、上辺部又は下辺部から後方に突出した取付面と、前記取付面に設けられた被係止部と、を備え、前記端部部材は、前記取付面が差し込まれる溝部と、前記溝部内へ突出し前記被係止部に差し込まれる係止部とを備えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】冷蔵庫の縦断面図
図2】冷蔵庫の正面図
図3】扉、上扉支持部及び下扉支持部を分解した状態を斜め前下方から示す斜視図
図4】扉、上扉支持部及び下扉支持部を分解した状態を斜め後上方から示す斜視図
図5】扉の断面図
図6図5の要部拡大図
図7】扉前板を斜め後上方から示す斜視図
図8】扉前板の平面図
図9】上側の端部部材を斜め前下方から示す斜視図
図10図9の要部拡大図
図11】下側の端部部材を斜め前上方から示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態について図面に基づき説明する。
【0010】
(1)冷蔵庫10の構成
図1及び図2に実施形態の冷蔵庫10を示す。冷蔵庫10の筐体を構成する冷蔵庫本体11は、冷蔵庫10の外郭を形成する外箱12と、外箱12と組み合わされる内箱13と、外箱12と内箱13との間の断熱部14とを有している。断熱部14には断熱材が充填されている。その断熱材を、外箱12と内箱13が挟んでいる。
【0011】
冷蔵庫本体11の内側は断熱仕切壁21によって上下に仕切られている。断熱仕切壁21より上は冷蔵空間である。冷蔵空間は冷蔵保存に適した温度である冷蔵温度に維持される。また、断熱仕切壁21より下は冷凍空間である。冷凍空間は冷凍保存に適した温度である冷凍温度に維持される。
【0012】
冷蔵空間及び冷凍空間には、食品を貯蔵する複数の貯蔵室がそれぞれ設けられている。各貯蔵室は前方に開口部を有し、利用者はその開口部から食品を出し入れできる。
【0013】
冷蔵空間には上から順に貯蔵室としての冷蔵室20及び野菜室22が設けられている。冷蔵室20内には複数の載置棚24が設けられている。冷蔵室20内の載置棚24の周囲は、冷蔵温度の範囲内の例えば2~5℃に維持される。冷蔵室20内の下部にはチルド室26が設けられている。チルド室26は冷蔵室20の内部でも特に低温に維持される場所で、例えば0~3℃に維持される。
【0014】
冷蔵室20の前方開口部は、冷蔵室扉40で開閉される。冷蔵室扉40は、冷蔵庫本体11の左右いずれか一方側の上部が上扉支持部材16により冷蔵庫本体11に回動可能に支持され、左端下部が下扉支持部材17により冷蔵庫本体11に回動可能に支持されている。
【0015】
図3及び図4に示すように、上扉支持部材16は、金属板、例えば鋼板を所定形状に成形したもので、冷蔵室扉40の上部を上側回動軸16aの周りに回動可能に支持する。上扉支持部材16は、冷蔵庫本体11の右前端部にネジなどによって固定される固定部16bと、固定部16bから前方に突出し冷蔵室扉40の上面に配置される突出部16cとを備える。突出部16cは、固定部16bから前方に延びた後、幅方向外側(右側)へ直角に折れ曲がる形状をなしている。突出部16cの先端部には、下方へ突出する上側回動軸16aが設けられている。上側回動軸16aは、冷蔵室扉40の上面に設けられた軸受部66に回動可能に挿入される円筒状をなしている。
【0016】
下扉支持部材17は、金属板、例えば鋼板を所定形状に成形したもので、冷蔵室扉40の下部を下側回動軸17aの周りに回動可能に支持する。下扉支持部材17は、冷蔵室20と野菜室22との間にある仕切壁の前端部20aにネジなどによって固定される固定部17bと、固定部17bから前方へ略水平に突出するように折れ曲がった軸支持部17cとを備える。軸支持部17cには上方へ突出する下側回動軸17aが固定されている。
【0017】
下側回動軸17aは、冷蔵室扉40の下面に設けられた軸受部86に回動可能に挿入される円筒状をなしている。下側回動軸17aは、上扉支持部材16に設けられた上側回動軸16aと上下に同軸状に配置され、上側回動軸16aとともに冷蔵室扉40の回転中心を構成する。また、軸支持部17cには、閉扉装置18と係合する係合フック17dが前方へ水平に突出している。冷蔵庫本体11に対する冷蔵室扉40の開き角度が所定角度以下になると、閉扉装置18が係合フック17dを引き込んで冷蔵室扉40を閉じる。
【0018】
冷蔵室扉40には操作パネル15が設けられている。操作パネル15は、利用者が冷蔵庫10の操作をする部分であり、利用者に対し必要な情報を表示する部分でもある。冷蔵室扉40の庫内側の面には、複数の収納ポケット29が取り付けられている。
【0019】
野菜室22は冷蔵温度の範囲内の例えば4~7℃に維持される。野菜室22には引き出し式の収納容器が収納されている。野菜室22の前方開口部は、引き出し式の野菜室扉42で開閉される。
【0020】
冷凍空間の上部左側には製氷室(図示省略)が設けられている。また、冷凍空間の上部右側(製氷室の右側)には小冷凍室27が設けられている。製氷室及び小冷凍室27の下には冷凍室28が設けられている。製氷室、小冷凍室27及び冷凍室28にはそれぞれ引き出し式の収納容器が収納されている。製氷室、小冷凍室27及び冷凍室28の内部は、通常運転時は、冷凍温度の範囲内の例えば-20~-18℃に維持される。
【0021】
製氷室の前方開口部は引き出し式の製氷室扉43で開閉される。また、小冷凍室27の前方開口部は引き出し式の小冷凍室扉44で開閉される。また、冷凍室28の前方開口部は引き出し式の冷凍室扉45で開閉される。
【0022】
冷蔵空間の背後には第1冷却室35が設けられている。第1冷却室35は、冷蔵庫本体11の内箱13と、貯蔵室の奥面を構成する壁19との間に形成された空間である。この第1冷却室35に、冷気を発生させる第1冷却器30と、発生した冷気を循環させる送風装置としての第1ファン32が設けられている。第1冷却器30で発生した冷気は、第1冷却器30から上方へ向かって延びるダクト31を通って冷蔵空間へ吹き出て冷蔵空間を循環する。冷蔵空間を循環した冷気は第1冷却器30の場所へ戻る。
【0023】
また、冷凍空間の背後には、冷気を発生させる第2冷却器33と、発生した冷気を循環させる送風装置としての第2ファン34とが設けられている。第2冷却器33で発生した冷気は、冷凍空間へ吹き出て冷凍空間を循環した後、第2冷却器33の場所へ戻る。
【0024】
冷蔵庫10の下部後方には機械室36が設けられている。機械室36には圧縮機37や凝縮器(不図示)等が収納されている。圧縮機37、凝縮器、第1冷却器30、第2冷却器33等は周知の冷凍サイクル装置を構成している。圧縮機37で圧縮された冷媒が第1冷却器30及び第2冷却器33に交互に流れることにより、第1冷却器30及び第2冷却器33で交互に冷気が発生する。
【0025】
(2)冷蔵室扉40の構造
次に、本実施形態の冷蔵室扉40(以下、単に「扉40」ということもある)の構造について説明する。
【0026】
以下の説明において、左右、前後、上下とは、冷蔵庫10を前方から見たときの表現である。そして、扉40における左右方向の中心側のことを「幅方向内側」とする。また、扉40における左右方向の端部側のことを「幅方向外側」とする。また、扉40における上下方向の中心側のことを「扉上下方向内側」とする。また、扉40における上下方向の端部側のことを「扉上下方向外側」とする。
【0027】
図3図6に示すように、扉40は、前方の扉面材50と、後方の扉内板100と、上下それぞれの端部部材60、80と、扉面材50と扉内板100と上下の端部部材60、80との間に設けられた発泡ウレタン等の断熱材120とを備えている。
【0028】
(3)扉面材50
扉面材50は鋼板などの金属板を折り曲げて形成されたものであり、扉40の正面、側面及び背面の左右側縁部を構成する。
【0029】
具体的には、図7及び図8に示すように、扉面材50には、扉40の前面を構成する部分であって上端辺と下端辺と左端辺と右端辺とに囲われた略矩形状の前面部51と、前面部51の左右の端辺から後方に突出した左右一対の側面部52と、側面部52の後端辺から幅方向内側へ突出した後面部53と、を備える。前面部51は、平面状であってもよく、また、幅方向の断面形状が幅方向中央部において前方に膨らむように湾曲する湾曲面等の曲面状であってもよい。
【0030】
さらに、扉面材50は、前面部51の上端辺から後方へ突出する上取付面54と、前面部51の下端部から後方へ突出する下取付面55と、左右の側面部52の下端部から扉幅方向内側へ突出する横取付面56とを備える。
【0031】
上取付面54は、前面部51から後方への突出量が扉40の幅方向で変化しており、突出量が大きい幅広領域54aと、幅広領域54aよりも突出量が小さい幅狭領域54bとを備える。幅広領域54aは扉40の幅方向に間隔をあけて複数設けられている。上取付面54の幅広領域54aにはそれぞれ被係止部57が設けられている。被係止部57は、上下方向に上取付面54を貫通する孔部あるいは上取付面54に設けられた凹部からなり後述する係止部71と係止する。本実施形態では、被係止部57が設けられた幅広領域54aの間に幅狭領域54bが設けられている。
【0032】
なお、上取付面54の幅広領域54a及び被係止部57は、扉40の幅方向の任意の位置に設けることができるが、軸受部66や後述する軸収納凹部67や機器収納凹部68等の扉上下方向内側に凹んだ凹部を避けた位置に設けることが好ましい。
【0033】
また、上取付面54は、扉面材50の前面部51から水平方向に突出してもよいが、扉面材50の前面部51から離れるほど、つまり、後方に行くほど、扉上下方向外側へ傾斜していてもよい。
【0034】
下取付面55は、上取付面54と同様、前面部51から後方への突出量が扉40の幅方向で変化しており、突出量が大きい幅広領域55aと、幅広領域55aよりも突出量が小さい幅狭領域55bとを備える。幅広領域55aは扉40の幅方向に間隔をあけて複数設けられている。下取付面55の幅広領域55aにはそれぞれ被係止部58が設けられている。被係止部58は、上下方向に下取付面55を貫通する孔部あるいは下取付面55に設けられた凹部からなり後述する係止部91と係止する。本実施形態では、被係止部58が設けられた幅広領域55aの間に幅狭領域55bが設けられている。
【0035】
なお、下取付面55の幅広領域55a及び被係止部58は、扉40の幅方向の任意の位置に設けることができるが、軸受部86や後述する軸収納凹部87や手掛け凹部88や凹部99等の扉上下方向内側に凹んだ凹部を避けた位置に設けることが好ましい。
【0036】
また、下取付面55は、扉面材50の前面部51から水平方向に突出してもよいが、扉面材50の前面部51から離れるほど、つまり、後方に行くほど、扉上下方向外側へ向かうように傾斜していてもよい。
【0037】
(4)扉内板100
扉内板100は、合成樹脂の成形品である。図4図6に示すように、扉内板100は扉42における庫内側の面を構成する。扉内板100の周縁部には、上下辺部及び左右辺部に沿って後方へ膨らんだ膨出部101が設けられている。
【0038】
扉内板100の周縁部には、膨出部101の外側を取り囲むように取付部102が設けられている。取付部102にはガスケットと呼ばれる不図示の封止部材が取り付けられている。封止部材は、野菜室22の前面開口部の周縁と前後方向に対向する位置に設けられ、封止部材内部に配した磁石の磁力により冷蔵庫本体11の開口部周縁に密着することで、扉40と冷蔵室20の前面開口部との間を閉じる。
【0039】
(5)上側端部部材60
上側端部部材60は、合成樹脂の成形品からなり、扉面材50及び扉内板100の上端部と接合され扉40における上端の面を構成する。
【0040】
図4図6及び図9に示すように、上側端部部材60は、外面部61と、前溝部62と、左右の横溝部63と、後部壁65とを備える。
【0041】
外面部61は、扉面材50の扉上下方向外側に配置され、扉40の外部側を構成する部分である。図4及び図9に示すように、外面部61の左右両端部には扉上下方向内側に凹んだ軸収納凹部67が設けられている。軸収納凹部67の底面部には更に扉上下方向内側に凹んだ軸受部66が設けられている。
【0042】
また、外面部61における左右の軸収納凹部67の間には扉上下方向内側に凹んだ機器収納凹部68が設けられている。機器収納凹部68には不図示のスピーカーや庫外温度センサなどの機器が収納されている。
【0043】
図6図9及び図10に示すように、前溝部62は上側端部部材60の前端部に設けられた前方に開口する溝である。前溝部62は、上側端部部材60の左右方向全体にわたって設けられ、扉面材50の上取付面54を収容する。
【0044】
前溝部62は、外面部61の前端部からなる外側壁61aと、外側壁61aから扉上下方向内側に間隔をあけて設けられた左右方向に延びる平板状の内側壁69との間に形成されている。前溝部62内には溝内突起70と係止部71が設けられている。
【0045】
溝内突起70は、内側壁69から外側壁61aに向けて前溝部62内に突出する突起である。溝内突起70の先端は外側壁61aと上下方向に間隔をあけて対向する。溝内突起70の先端と外側壁61aとの上下方向の間隔は上取付面54の板厚以上に設定されている。本実施形態では、複数の溝内突起70が左右方向に間隔をあけて設けられている。図6及び図10に示すように、溝内突起70の前側には前方に行くにしたがって内側壁69に近づくように傾斜する傾斜部70aが設けられている。
【0046】
係止部71は外側壁61aから内側壁69に向けて前溝部62内に突出する爪状の突起である。係止部71は扉面材50の上取付面54に設けられた被係止部57に対応する位置に設けられており、上側端部部材60を扉面材50に取り付けた状態において上取付面54に設けられた被係止部57に係止部71が差し込まれ係止する。また、係止部71の前側には前方に行くにしたがって外側壁61aに近づくように傾斜する傾斜部71aが設けられている。内側壁69における係止部71と上下に対向する位置には、内側壁69を貫通する貫通孔69aが設けられている。
【0047】
横溝部63は上側端部部材60の左右両側端部に設けられた前方及び下方に開口する溝である。横溝部63の前端は前溝部62の左右両端と繋がっている。上側端部部材60を扉面材50に取り付けた状態において、横溝部63には扉面材50の側面部52の上端部が収容されている。
【0048】
後部壁65は外面部61の後端から扉上下方向内側へ突出し左右方向に延びる平板状の突起である。後部壁65は扉内板100における扉内部側の面が接触する。
【0049】
(6)下側端部部材80
下側端部部材80は、合成樹脂の成形品からなり、扉面材50及び扉内板100の下端部と接合され扉40における下端の面を構成する。
【0050】
図3図5及び図11に示すように、下側端部部材80は、上側端部部材60と同様、外面部81と、前溝部82と、左右の横溝部83と、後部壁85とを備える。
【0051】
外面部81は、扉面材50の扉上下方向外側に配置され、扉40の外部側を構成する部分である。図4及び図9に示すように、外面部81の左右一方の端部には扉上下方向内側に凹んだ軸収納凹部87が設けられている。軸収納凹部87の底面部には更に扉上下方向内側に凹んだ軸受部86や閉扉装置18の回り止め軸が挿入される凹部99が設けられている。また、外面部81の左右他方の端部には、扉40の手掛け部として機能する扉上下方向内側に凹んだ凹部88が形成されている。
【0052】
前溝部82は、下側端部部材80に設けられた前溝部62と同様、外面部81の前端部からなる外側壁81aと、外側壁81aから扉上下方向内側に間隔をあけて設けられた左右方向に延びる平板状の内側壁89との間に形成された前方に開口する溝である。前溝部82は、下側端部部材80の左右方向全体にわたって設けられ、扉面材50の下取付面55を収容する。
【0053】
前溝部82内には、内側壁69から外側壁61aに向けて前溝部62内に突出する溝内突起90と、外側壁61aから内側壁69に向けて前溝部62内に突出する係止部91とが設けられている。
【0054】
溝内突起90の先端は外側壁81aと上下方向に間隔をあけて対向する。溝内突起90の先端と外側壁81aとの上下方向の間隔は下取付面55の板厚以上に設定されている。本実施形態では、複数の溝内突起90が左右方向に間隔をあけて設けられている。図11に示すように、溝内突起90の前側には前方に行くにしたがって内側壁89に近づくように傾斜する傾斜部90aが設けられている。
【0055】
係止部91は扉面材50の下取付面55に設けられた被係止部58に対応する位置に設けられており、下側端部部材80を扉面材50に取り付けた状態において下取付面55に設けられた被係止部58に係止部91が差し込まれる。また、係止部91の前側には前方に行くにしたがって外側壁81aに近づくように傾斜する傾斜部91aが設けられている。内側壁89における係止部91と上下に対向する位置には、内側壁69を貫通する貫通孔69aが設けられている。
【0056】
横溝部83は下側端部部材80の左右両側端部に設けられた側方に開口する溝である。横溝部83の前端は前溝部82の左右両端と繋がっている。下側端部部材80を扉面材50に取り付けた状態において、横溝部83には扉面材50の横取付面56が収容されている。
【0057】
後部壁85は外面部81の後端から扉上下方向内側へ突出し左右方向に延びる平板状の突起である。後部壁85は扉内板100における扉内部側の面が接触する。
【0058】
(7)扉40の製造方法
次に上記した扉40の製造方法について説明する。扉40の製造工程において、まず、作業者が、上側端部部材60、下側端部部材80、及び扉面材50を組み立てる。
【0059】
具体的には、作業者は、上側端部部材60を扉面材50の上端で前方へスライドさせて、前溝部62に扉面材50の上取付面54を差し込むとともに、横溝部63に扉面材50の横取付面56を差し込む。
【0060】
前溝部62へ差し込まれた上取付面54は、溝内突起70の傾斜部70aに案内されて溝内突起70と外側壁61aとの間に挿入される。その際、上取付面54の幅広領域54aが係止部71の傾斜部71aに案内されて溝内突起70と外側壁61aとの間に挿入され、幅広領域54aに設けられた被係止部57に係止部71が差し込まれる。
【0061】
また、作業者は、下側端部部材80を扉面材50の下端で前方へスライドさせて、前溝部82に扉面材50の下取付面55を差し込むとともに、横溝部83に扉面材50の横取付面56を差し込む。
【0062】
前溝部82へ差し込まれた下取付面55は、溝内突起90の傾斜部90aに案内されて溝内突起90と外側壁81aとの間に挿入される。その際、下取付面55の幅広領域55aが係止部91の傾斜部91aに案内されて溝内突起90と外側壁81aとの間に挿入され、幅広領域55aに設けられた被係止部58に係止部91が差し込まれる。
【0063】
上側端部部材60及び下側端部部材80を扉面材50へ取り付けると、扉40が組み立て状態となり、扉面材50、端部部材60、80により背面が開口する空間が形成する。
【0064】
このようにして組み立て状態になると、作業者が、背面の開口から、扉40の内部空間にウレタンフォーム等の流動性のある発泡樹脂原液を注入し、その後、扉内板100で扉40の背面を閉じる。発泡樹脂原液は、発泡により膨張して扉40の内部空間を流動し、扉40の内部空間に充填された後に固化して扉40が完成する。
【0065】
作業者は、他の扉も、冷蔵室扉40と同様の工程で製造する。そして、作業者は、完成したそれぞれの扉や、各種機器類を冷蔵庫本体11に取り付け、冷蔵庫10として完成させる。
【0066】
(8)効果
本実施形態では、端部部材60、80の前溝部62、82に係止部71、91が設けられており、扉面材50の取付面54、55が前溝部62、82に差し込まれると、扉面材50の取付面54、55に設けられた被係止部57、58に係止部71、91が差し込まれる。作業者は、係止部71、91が被係止部57、58に差し込まれた時に手応えを感じ取りやすく、取付面54、55が前溝部62、82の所定位置に差し込まれたことを容易に判別することができる。そのため、歪みを抑えて端部部材60、80に扉面材50を取り付けることができる。
【0067】
特に、取付面54、55が扉面材50の前面部51から離れるほど扉上下方向外側へ向かうように傾斜している場合、係止部71、91が被係止部57、58に差し込まれるまで、取付面54、55の幅広領域54a、55aの先端が扉上下方向内側へ向けて傾斜するように弾性変形し、その後、被係止部57、58に係止部71、91が差し込まれると、取付面54、55の幅広領域54a、55aにおける変形が解除され元の形状に戻る。そのため、作業者は、係止部71が被係止部57に差し込まれた時に手応えを更に感じ取りやすくなり、取付面54、55を前溝部62、82の所定位置に差し込むことができる。
【0068】
本実施形態のように係止部71、91が外側壁61a、81aに設けられている場合、扉40の外観に影響を与えることなく、前溝部62、82内へ突出する係止部71、91を端部部材60、80の他の部分とともに一体に成形することができる。
【0069】
本実施形態のように被係止部57を取付面54の幅広領域54aに設ける場合、取付面54の強度を確保しつつ被係止部57を設けることができるとともに、被係止部57が設けられていない箇所に幅広領域54aよりも突出量の小さい幅狭領域54bを設けることで、取付面54の折り曲げ加工によって扉面材50の前面部51に発生する歪みを抑えることができる。また、被係止部57は幅広領域54aの前後方向における中央部分に設けると、被係止部57周囲の強度を確保しやすい。
【0070】
同じく被係止部58を取付面55の幅広領域55aに設ける場合、取付面55の強度を確保しつつ被係止部58を設けることができるとともに、被係止部58が設けられていない箇所に幅広領域55aよりも突出量の小さい幅狭領域55bを設けることで、取付面55の折り曲げ加工によって扉面材50の前面部51に発生する歪みを抑えることができる。また、被係止部58は幅広領域55aの前後方向における中央部分に設けると、被係止部58周囲の強度を確保しやすい。幅広領域55aの前後方向における中央部分に設けるとよい。
【0071】
本実施形態のように、被係止部57、58が扉40の幅方向において扉上下方向内側に凹んだ凹部66~68、86~88、99を避けた位置に設けられている場合、被係止部57、58を設ける位置における取付面54、55の突出量を確保しやすくなる。
【0072】
(9)変更例
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0073】
上記した実施形態では、冷蔵室扉40を例にして説明したが、野菜室扉42や冷凍室扉45など他の扉に本発明を適用してもよい。
【0074】
また、上記した実施形態では、端部部材60に係止部71を設け、扉面材50の上取付面54に係止部71が係止する被係止部57を設けたが、扉面材50の上取付面54に係止部を設け、上取付面54に設けた係止部が係止する被係止部を端部部材60に設けてもよい。また、上記した実施形態では、端部部材80に係止部91を設け、扉面材50の下取付面55に係止部91が係止する被係止部58を設けたが、扉面材50の下取付面55に係止部を設け、下取付面55に設けた係止部が係止する被係止部を端部部材80に設けてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10…冷蔵庫、11…冷蔵庫本体、20…冷蔵室、22…野菜室、26…チルド室、27…小冷凍室、28…冷凍室、40…冷蔵室扉、42…野菜室扉、43…製氷室扉、44…小冷凍室扉、45…冷凍室扉、50…扉面材、51…前面部、54…上取付面、54a…幅広領域、54b…幅狭領域、55…下取付面、55a…幅広領域、55b…幅狭領域、57…被係止部、58…被係止部、60…上側端部部材、61…外面部、61a…外側壁、62…前溝部、63…横溝部、65…後部壁、66…軸受部、67…軸収納凹部、68…機器収納凹部、69…内側壁、69a…貫通孔、70…溝内突起、70a…傾斜部、71…係止部、71a…傾斜部、80…下側端部部材、81…外面部、81a…外側壁、82…前溝部、83…横溝部、85…後部壁、86…軸受部、87…軸収納凹部、88…手掛け凹部、89…内側壁、90…溝内突起、90a…傾斜部、91…係止部、91a…傾斜部、99…凹部、100…扉内板、P…突出量
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