(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025139508
(43)【公開日】2025-09-26
(54)【発明の名称】水素ガス供給システム
(51)【国際特許分類】
F17C 5/06 20060101AFI20250918BHJP
F17C 13/00 20060101ALI20250918BHJP
【FI】
F17C5/06
F17C13/00 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024038490
(22)【出願日】2024-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】水下 佳紀
(72)【発明者】
【氏名】沈 浩
(72)【発明者】
【氏名】竹井 力
(72)【発明者】
【氏名】山浦 潔
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB05
3E172BB13
3E172BD03
3E172DA90
3E172EA02
3E172EA22
3E172EA23
3E172EA35
3E172KA03
3E172KA22
3E172KA23
(57)【要約】
【課題】ユーザが、水素ガスを充填する水素タンク、又は水素ガスを放出する水素タンクを自由に選択することができる水素ガス供給システムを提供する。
【解決手段】水素ガス供給システムは、制御装置に電気的に接続され、水素タンクごとに、前記水素タンクの水素ガス充填量、前記水素タンクの内部圧力、及び前記水素タンクの内部温度を表示するモニタと、前記制御装置に電気的に接続され、前記水素ガスの充填時に前記水素ガスを充填する前記水素タンクを選択し、前記水素ガスの放出時に前記水素ガスを放出する前記水素タンクを選択する選択スイッチと、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二以上の水素タンクと、
前記水素タンクごとに設けられた充填口同士を互いに接続する充填用配管と、
前記充填用配管に前記充填口ごとに設けられ、水素ガスの充填時に開放される充填バルブと、
前記水素タンクごとに設けられた放出口同士を互いに接続する放出用配管と、
前記放出用配管に前記放出口ごとに設けられ、前記水素ガスの放出時に開放される放出バルブと、
前記水素タンクごとに設けられ、前記水素タンクごとに前記水素タンクの内部圧力を計測する圧力センサと、
前記水素タンクごとに設けられ、前記水素タンクごとに前記水素タンクの内部温度を計測する温度センサと、
前記水素タンクの内部圧力、前記水素タンクの内部温度、及び前記水素タンクの容量に基づいて前記水素タンクごとに前記水素タンクの水素ガス充填量を算出するとともに、前記水素ガスの充填時に前記水素ガスの充填が選択された前記水素タンクの前記充填バルブを開放し、前記水素ガスの放出時に前記水素ガスの放出が選択された前記水素タンクの前記放出バルブを開放する制御装置と、
を備えた水素ガス供給システムであって、
前記制御装置に電気的に接続され、前記水素タンクごとに、前記水素ガス充填量、前記内部圧力、及び前記内部温度を表示するモニタと、
前記制御装置に電気的に接続され、前記水素ガスの充填時に前記水素ガスを充填する前記水素タンクを選択し、前記水素ガスの放出時に前記水素ガスを放出する前記水素タンクを選択する選択スイッチと、
を備えた水素ガス供給システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記選択スイッチから前記水素ガスを充填する前記水素タンクが二以上選択された場合に予め定められた充填ルールにしたがって前記水素ガスを充填する前記水素タンクを順番に選択し、前記選択スイッチから前記水素ガスを放出する前記水素タンクが二以上選択された場合に予め定められた放出ルールにしたがって前記水素ガスを放出する前記水素タンクを順番に選択する請求項1に記載の水素ガス供給システム。
【請求項3】
前記充填用配管が接続された充填用共通配管と、
前記充填用共通配管に設けられた充填用共通バルブと、
を備え、
前記選択スイッチは、前記二以上の水素タンクの前記水素ガスの圧力均等化時に前記水素ガスの圧力均等化を実行する少なくとも二以上の前記水素タンクを選択し、
前記制御装置は、前記二以上の水素タンクの前記水素ガスの圧力均等時に、前記充填用共通バルブを閉鎖するとともに、前記水素ガスの圧力均等化が選択された前記少なくとも二以上の前記水素タンクの前記充填バルブを開放する、請求項1又は2に記載の水素ガス供給システム。
【請求項4】
前記放出用配管に接続された放出用共通配管と、
前記放出用共通配管に設けられた放出用共通バルブと、
を備え、
前記選択スイッチは、前記二以上の水素タンクの前記水素ガスの圧力均等化時に前記水素ガスの圧力均等化を実行する少なくとも二以上の前記水素タンクを選択し、
前記制御装置は、前記二以上の水素タンクの前記水素ガスの圧力均等時に、前記放出用共通バルブを閉鎖するとともに、前記水素ガスの圧力均等化が選択された前記少なくとも二以上の前記水素タンクの前記放出バルブを開放する、請求項1又は2に記載の水素ガス供給システム。
【請求項5】
前記充填用配管が接続された充填用共通配管と、
前記充填用共通配管に設けられた充填用共通バルブと、
前記放出用配管に接続された放出用共通配管と、
前記充填用共通配管に設けられた放出用共通バルブと、
前記充填用配管と前記放出用配管とに接続された圧力均等化用配管と、
を備え、
前記選択スイッチは、前記二以上の水素タンクの前記水素ガスの圧力均等化時に前記水素ガスの圧力均等化を実行する少なくとも二以上の前記水素タンクを選択し、
前記制御装置は、前記二以上の水素タンクの前記水素ガスの圧力均等時に、前記充填用共通バルブと前記放出用共通バルブを閉鎖するとともに、前記水素ガスの圧力均等化が選択された前記少なくとも二以上の前記水素タンクの前記充填バルブ、又は前記放出バルブを開放する、請求項1又は2に記載の水素ガス供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水素ガス供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水素ガス供給装置が開示されている。かかる水素ガス供給装置は、複数の水素タンクと、水素タンクごとに接続された充填バルブと、水素タンクごとに接続された放出バルブと、充填バルブ間に接続された充填配管と、放出バルブ間に接続された放出配管と、水素タンクごとの温度を検出する複数の温度センサと、水素タンクごとの圧力を検出する複数の圧力センサと、これら温度センサ及び圧力センサの検出結果に基づいて、充填バルブ及び放出バルブを制御する制御ユニットと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、水素タンクごとに容量が異なる場合には、水素ガスの充填量にムラが発生しやすくなり、水素ガスの充填速度を制限する必要が生じる。一方、水素ガスの消費予定がわかっている場合には、複数の水素タンクの全てに水素ガスを充填する必要がなく、その消費予定に合わせて水素タンクを選んで水素ガスを充填するほうが効率的である。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された水素ガス供給装置では、制御ユニットは、温度センサ及び圧力センサの検出結果に基づいて、充填バルブ及び放出バルブを制御するので、ユーザは、水素ガスを充填する水素タンクや水素ガスを放出する水素タンクを自由に選択することはできない。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、ユーザが、水素ガスを充填する水素タンク、又は水素ガスを放出する水素タンクを自由に選択することができる水素ガス供給システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る水素ガス供給システムは、二以上の水素タンクと、前記水素タンクごとに設けられた充填口同士を互いに接続する充填用配管と、前記充填用配管に前記充填口ごとに設けられ、水素ガスの充填時に開放される充填バルブと、前記水素タンクごとに設けられた放出口同士を互いに接続する放出用配管と、前記放出用配管に前記放出口ごとに設けられ、前記水素ガスの放出時に開放される放出バルブと、前記水素タンクごとに設けられ、前記水素タンクごとに前記水素タンクの内部圧力を計測する圧力センサと、前記水素タンクごとに設けられ、前記水素タンクごとに前記水素タンクの内部温度を計測する温度センサと、前記水素タンクの内部圧力、前記水素タンクの内部温度、及び前記水素タンクの容量に基づいて前記水素タンクごとに前記水素タンクの水素ガス充填量を算出するとともに、前記水素ガスの充填時に前記水素ガスの充填が選択された前記水素タンクの前記充填バルブを開放し、前記水素ガスの放出時に前記水素ガスの放出が選択された前記水素タンクの前記放出バルブを開放する制御装置と、を備えた水素ガス供給システムであって、前記制御装置に電気的に接続され、前記水素タンクごとに、前記水素ガス充填量、前記内部圧力、及び前記内部温度を表示するモニタと、前記制御装置に電気的に接続され、前記水素ガスの充填時に前記水素ガスを充填する前記水素タンクを選択し、前記水素ガスの放出時に前記水素ガスを放出する前記水素タンクを選択する選択スイッチと、を備える。尚、前記充填口は、前記放出口を兼ねるとともに、前記充填用配管は、前記放出口を兼ね、前記充填バルブは、前記放出バルブを兼ねてもよい。
【0008】
上記(1)の構成によれば、水素タンクの水素ガス充填量(水素ガス残量)、水素タンクの内部圧力、及び水素タンクの内部温度が水素タンクごとにモニタに表示され、選択スイッチから水素ガスを充填する水素タンク、又は水素ガスを放出する水素タンクを選択することができる。これにより、ユーザは、水素タンクの水素ガス残量、水素タンクの内部圧力、及び水素タンクの内部温度を、水素タンクごとに確認し、水素ガスを充填する水素タンク、又は水素ガスを放出する水素タンクを自由に選択することができる。
【0009】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、前記制御装置は、前記選択スイッチから前記水素ガスを充填する前記水素タンクが二以上選択された場合に予め定められた充填ルールにしたがって前記水素ガスを充填する前記水素タンクを順番に選択し、前記選択スイッチから前記水素ガスを放出する前記水素タンクが二以上選択された場合に予め定められた放出ルールにしたがって前記水素ガスを放出する前記水素タンクを順番に選択する。
【0010】
上記(2)の構成によれば、選択スイッチから水素ガスを充填する水素タンクが二以上選択された場合に予め定められた充填ルールにしたがって水素ガスを充填する水素タンクが順番に選択され、選択スイッチから水素ガスを放出する水素タンクが二以上選択された場合に予め定められた放出ルールにしたがって水素ガスを放出する水素タンクが順番に選択される。これにより、ユーザは、選択スイッチから水素ガスを充填する水素タンクを二以上選択することができ、選択スイッチから水素ガスを放出する水素タンクを二以上選択することができる。
【0011】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、前記充填用配管が接続された充填用共通配管と、前記充填用共通配管に設けられた充填用共通バルブと、を備え、前記選択スイッチは、前記二以上の水素タンクの前記水素ガスの圧力均等化時に前記水素ガスの圧力均等化を実行する少なくとも二以上の前記水素タンクを選択し、前記制御装置は、前記二以上の水素タンクの前記水素ガスの圧力均等時に、前記充填用共通バルブを閉鎖するとともに、前記水素ガスの圧力均等化が選択された前記少なくとも二以上の前記水素タンクの前記充填バルブを開放する。
【0012】
上記(3)の構成によれば、二以上の水素タンクの水素ガスの圧力均等化時に水素ガスの圧力均等化を実行する少なくとも二以上の水素タンクを選択することができる。
【0013】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、前記放出用配管に接続された放出用共通配管と、前記放出用共通配管に設けられた放出用共通バルブと、を備え、前記選択スイッチは、前記二以上の水素タンクの前記水素ガスの圧力均等化時に前記水素ガスの圧力均等化を実行する少なくとも二以上の前記水素タンクを選択し、前記制御装置は、前記二以上の水素タンクの前記水素ガスの圧力均等時に、前記放出用共通バルブを閉鎖するとともに、前記水素ガスの圧力均等化が選択された前記少なくとも二以上の前記水素タンクの前記放出バルブを開放する。
【0014】
上記(4)の構成によれば、二以上の水素タンクの水素ガスの圧力均等化時に水素ガスの圧力均等化を実行する少なくとも二以上の水素タンクを選択することができる。
【0015】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、前記充填用配管が接続された充填用共通配管と、前記充填用共通配管に設けられた充填用共通バルブと、前記放出用配管に接続された放出用共通配管と、前記充填用共通配管に設けられた放出用共通バルブと、前記充填用配管と前記放出用配管とに接続された圧力均等化用配管と、を備え、前記選択スイッチは、前記二以上の水素タンクの前記水素ガスの圧力均等化時に前記水素ガスの圧力均等化を実行する少なくとも二以上の前記水素タンクを選択し、前記制御装置は、前記二以上の水素タンクの前記水素ガスの圧力均等時に、前記充填用共通バルブと前記放出用共通バルブを閉鎖するとともに、前記水素ガスの圧力均等化が選択された前記少なくとも二以上の前記水素タンクの前記充填バルブ、又は前記放出バルブを開放する。
【0016】
上記(5)の構成によれば、二以上の水素タンクの水素ガスの圧力均等化時に水素ガスの圧力均等化を実行する少なくとも二以上の水素タンクを選択することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、ユーザは、水素タンクの水素ガス充填量、水素タンクの内部圧力、及び水素タンクの内部圧力を、水素タンクごとに確認し、水素ガスを充填する水素タンク、又は水素ガスを放出する水素タンクを自由に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態に係る水素ガス供給システムが搭載された燃料電池車両(FCV)の構成を概略的に示す図である。
【
図2】
図1に示したガス供給システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【
図3】水素タンクの水素ガス充填量、水素タンクの内部圧力、及び水素タンクの内部温度を表示するとともに、選択スイッチが表示されたモニタを示す図である。
【
図4】二以上の水素タンクの水素ガスの圧力均等化を可能とする流体回路(例1)を概略的に示す図である。
【
図5】二以上の水素タンクの水素ガスの圧力均等化を可能とする流体回路(例2)を概略的に示す図である。
【
図6】二以上の水素タンクの水素ガスの圧力均等化を可能とする流体回路(例3)を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0020】
[燃料電池車両]
図1は、実施に係る水素ガス供給システム1が搭載された燃料電池車両(FCV(Fuel Cell Vehicle))100の構成を概略的に示す図である。燃料電池車両100は、燃料電池(FC(Fuel Cell)システム)110で発電し、駆動用モータ120の動力で走行する電動車両である。
図1に示すように、実施形態に係る水素ガス供給システム1が搭載された燃料電池車両100は、実施形態に係る水素ガス供給システム1のほか、FCシステム(燃料電池)110、駆動用モータ120、空気導入システム130、水素再循環システム140、駆動用バッテリ150、及び車両制御装置(ECU(Electronic Control Unit))160を備えている。燃料電池車両100は、停車中に外部機器(例えば、急速充電器)から充電(外部充電)可能なプラグインハイブリッド車両(PHV,PHEV)であり、停車中に外部機器(例えば、一般家庭)に給電(外部給電)可能である。
【0021】
[水素ガス供給システムの構成]
実施形態に係る水素ガス供給システム1は、二以上の水素タンク2A~2Dと、水素タンク2A,2B,2C,2Dごとに設けられた充填口同士を互いに接続する充填用配管3と、充填用配管3に充填口ごとに設けられ、水素ガスの充填時に開放される充填バルブ4A~4Dと、水素タンク2A,2B,2C,2Dごとに設けられた放出口同士を互いに接続する放出用配管5と、放出用配管5に放出口ごとに設けられ、水素ガスの放出時に開放される放出バルブ6A~6Dと、を備えている。尚、充填口は、放出口を兼ねるとともに、充填用配管3は、放出用配管を兼ね、充填バルブ4A~4Dは、放出バルブを兼ねてもよい。
【0022】
二以上の水素タンク2A~2Dは、容量の異なる水素タンクであり、例えば、四本の水素タンク2A,2B,2C,2Dで構成されるが、これに限られるものではなく、容量が同一の水素タンクであってもよく、二以上であれば、四本未満の水素タンクで構成されてもよいし、四本以上の水素タンクで構成されてもよい。充填用配管3には、充填用共通配管7が接続され、水素ガスの充填時には、充填用共通配管7に水素インジェクタIJが接続される。放出用配管5には、放出用共通配管8が接続され、放出用共通配管の他端には、FCシステム110が接続されている。
【0023】
図2は、
図1に示した水素ガス供給システム1の構成を概略的に示すブロック図である。
図2に示すように、実施形態に係る水素ガス供給システム1は、水素タンク2A,2B,2C,2Dごとに設けられ、水素タンク2A,2B,2C,2Dごとに水素タンク2A~2Dの内部圧力を計測する圧力センサ9A~9Dと、水素タンク2A,2B,2C,2Dごとに設けられ、水素タンク2A,2B,2C,2Dごとに水素タンク2A~2Dの内部温度を計測する温度センサ10A~10Dと、水素タンク2A~2Dの内部圧力、水素タンク2A~2Dの内部温度、及び水素タンク2A~2Dの容量に基づいて水素タンク2A,2B,2C,2Dごとに水素タンク2A~2Dの水素ガス充填量(水素ガス残量)を算出するとともに、水素ガスの充填時に水素ガスの充填が選択された水素タンク2A~2Dの充填バルブ4A~4Dを開放し、水素ガスの放出時に水素ガスの放出が選択された水素タンク2A~2Dの放出バルブ6A~6Dを開放する制御装置11と、を備えている。
【0024】
また、実施形態に係る水素ガス供給システム1は、制御装置11に電気的に接続され、水素タンク2A,2B,2C,2Dごとに、水素タンク2A~2Dの水素ガス充填量(水素ガス残量)、水素タンク2A~2Dの内部圧力、及び水素タンク2A~2Dの内部温度を表示するモニタ12と、制御装置11に電気的に接続され、水素ガスの充填時に水素ガスを充填する水素タンク2A~2Dを選択し、水素ガスの放出時に水素ガスを放出する水素タンク2A~2Dを選択する選択スイッチ13と、を備えている。モニタ12及び選択スイッチ13は、ナビゲーションシステムのディスプレイやインストルメントパネルに設けられたディスプレイを兼用することができるが、これに限られるものではない。
【0025】
[モニタ及び選択スイッチ]
図3は、水素タンクの水素ガス充填量、水素タンクの内部圧力、及び水素タンクの内部温度を表示するとともに、選択スイッチ13が表示されたモニタ12を示す図である。
図3に示すように、モニタ12には、二以上の水素タンク2A,2B,2C,2Dが水素タンク2A,2B,2C,2Dごとに模式的に表示される。モニタ12に表示される水素タンク2A,2B,2C,2Dの表示2As,2Bs,2Cs,2Dsは、水素タンク2A~2Dの容量に対応するように表示され、水素タンク2A~2Dの水素ガス充填量(水素ガス残量)が一目でわかるように、水素ガス充填量と空き容量とが塗り分けて表示される。モニタ12には、水素タンク2A,2B,2C,2Dごとに、「残量」「圧力」及び「温度」を選択するスイッチが設けられている。「残量」は水素ガスの充填量(残量)を表示させるスイッチであり、「圧力」は水素タンクの内部圧力を表示させるスイッチである。また、「温度」は水素タンクの内部温度を表示させるスイッチである。
【0026】
また、モニタ12には、充填用配管3、充填バルブ4A~4D、放出用配管5、放出バルブ6A~6D、及びFCシステム110が模式的に表示される。充填バルブ4A~4D及び放出バルブ6A~6Dは、水素タンク2A,2B,2C,2Dごとに表示され、水素タンク2A~2Dの表示2As~2Ds、充填バルブ4A~4Dの表示4As~4Ds、及び放出バルブ6A~6Dの表示6As~6Dsは、スイッチを構成する。したがって、水素ガスの充填時に、水素ガスを充填する水素タンク2A~2Dの表示2As~2Dsをタッチすると、水素ガスを充填する水素タンク2A~2Dが選択される。また、水素ガスの放出時に、水素ガスを放出する水素タンク2A~2Dの表示2As~2Dsをタッチすると、水素ガスを放出する水素タンク2A~2Dが選択される。水素ガスの充填時であるか否かは、充填用共通配管7に水素インジェクタIJが接続されるか否かで判定することができるが、これに限られるものではない。また、水素タンク2A,2B,2C,2Dごとに設けられた充填バルブ4A~4Dの表示4As~4Dsをタッチすることで、水素ガスの充填を宣言するとともに、水素ガスを充填する水素タンク2A~2Dを選択することもできる。同様に、水素タンク2A,2B,2C,2Dごとに設けられた放出バルブ6A~6Dの表示6As~6Dsをタッチすることで、水素ガスの放出を宣言するとともに、水素ガスを放出する水素タンク2A~2Dを選択することもできる。
【0027】
[水素ガス供給システムの効果]
実施形態に係る水素ガス供給システム1によれば、水素タンク2A~2Dの水素ガス充填量(水素ガス残量)、水素タンク2A~2Dの内部圧力、及び水素タンク2A~2Dの内部温度が水素タンク2A,2B,2C,2Dごとにモニタ12に表示され、選択スイッチ13から水素ガスを充填する水素タンク2A~2D、又は水素ガスを放出する水素タンク2A~2Dを選択することができる。これにより、ユーザは、水素ガス残量、水素タンク2A~2Dの内部圧力、及び水素タンク2A~2Dの内部温度を、水素タンク2A,2B,2C,2Dごとに確認し、水素ガスを充填する水素タンク2A~2D、又は水素ガスを放出する水素タンク2A~2Dを自由に選択することができる。
【0028】
[水素ガスの充填時に水素タンクが二以上選択された場合]
また、実施形態に係る水素ガス供給システム1では、制御装置11は、選択スイッチ13(モニタ12に表示された水素タンク2A~2Dの表示2As~2Ds、充填バルブ4A~4Dの表示4As~4Ds、及び放出バルブ6A~6Dの表示6As~6Ds)から水素ガスを充填する水素タンク2A~2Dが二以上選択された場合に予め定められた充填ルールにしたがって水素ガスを充填する水素タンク2A~2Dを順番に選択するものとしてもよい。
【0029】
充填ルールは、任意に定めることができる。充填ルールは、水素タンク2A~2Dの内部圧力が最も低い圧力の水素タンク2A~2Dから順番に充填するものとしてもよいし、水素タンク2A~2Dの内部温度が最も高い温度の水素タンク2A~2Dから順番に充填するものとしてもよい。また、選択された二以上の水素タンク2A~2Dに同時に水素ガスを充填するものとしてもよい。
【0030】
実施形態に係る水素ガス供給システム1によれば、水素ガスの充填時に、選択スイッチ13から二以上の水素タンク2A~2Dが選択された場合に予め定められた充填ルールにしたがって水素ガスを充填する水素タンク2A~2Dが順番に選択される。これにより、ユーザは、水素ガスの充填時に、選択スイッチ13から二以上の水素タンク2A~2Dを選択することができる。
【0031】
[水素ガスの放出時に水素タンクが二以上選択された場合]
また、実施形態に係る水素ガス供給システム1では、制御装置11は、選択スイッチ13(モニタ12に表示された水素タンク2A~2Dの表示2As~2Ds、充填バルブ4A~4Dの表示4As~4Ds、及び放出バルブ6A~6Dの表示6As~6Ds)から水素ガスを放出する水素タンク2A~2Dが二以上選択された場合に予め定められた放出ルールにしたがって水素ガスを充填する水素タンク2A~2Dを順番に選択するものとしてもよい。
【0032】
放出ルールは、任意に定めることができる。放出ルールは、水素タンク2A~2Dの内部圧力が最も高い圧力の水素タンク2A~2Dから順番に放出するものとしてもよいし、水素タンク2A~2Dの内部圧力が最も低い圧力の水素タンク2A~2Dから順番に放出するものとしてもよい。また、水素タンク2A~2Dの内部温度が最も低い水素タンク2A~2Dから順番に放出するものとしてもよいし、選択された二以上の水素タンク2A~2Dから同時に水素ガスを放出するものとしてもよい。
【0033】
実施形態に係る水素ガス供給システム1によれば、水素の放出時に、選択スイッチ13から二以上の水素タンク2A~2Dが選択された場合に予め定められた放出ルールにしたがって水素ガスを放出する水素タンク2A~2Dが順番に選択される。これにより、ユーザは、水素ガスの放出時に、選択スイッチ13から二以上の水素タンク2A~2Dを選択することができる。
【0034】
[二以上の水素タンクの水素ガスの圧力均等化(例1)]
また、実施形態に係る水素ガス供給システム1(例1)では、内部圧力の異なる二以上の水素タンク2A~2Dにおいて水素ガスの圧力均等化が可能である。水素ガスの圧力均等化を可能にする水素ガス供給システム1では、例えば、充填用共通配管7に充填用共通バルブ14(元栓)が設けられている。そして、充填用共通バルブ14を閉鎖し、水素ガスの圧力均等化を実行する少なくとも二以上の水素タンク2A~2Dに対応する充填バルブ4A~4Dを開放することで、水素ガスの圧力均等化が実行される。
【0035】
図4は、充填用共通配管7及び充填用共通バルブ14が模式的に表示されたモニタ12を示す図である。
図4に示すように、モニタ12は、上述した実施形態と同じもののほかに、充填用共通配管7及び充填用共通バルブ14が模式的に表示され、充填用共通バルブ14の表示14sはスイッチを構成する。したがって、水素ガスの圧力均等化時に圧力均等化を実行する少なくとも二以上の水素タンク2A~2Dの表示2As~2Dsをタッチすると、水素ガスの圧力均等化を実行する水素タンク2A~2Dが選択される。水素ガスの圧力均等化時であるか否かは、例えば、充填用共通バルブ14の表示14s、及び少なくとも二以上の水素タンク2A~2Dの表示2As~2Dsをタッチすることで確定するが、これに限られるものではない。
【0036】
水素ガスの圧力均等時に少なくとも二以上の水素タンク2A~2Dが選択されると、制御装置11は、充填用共通バルブ14を閉鎖するとともに、水素ガスの圧力均等化が選択された少なくとも二以上の水素タンク2A~2Dの充填バルブ4A~4Dを開放する。これにより、選択された少なくとも二以上の水素タンク2A~2Dにおいて内部圧力が高い水素タンク2A~2Dから内部圧力が低い水素タンク2A~2Dに水素ガスが供給され、選択された少なくとも二以上の水素タンク2A~2Dにおいて内部圧力が均衡する。
【0037】
実施形態に係る水素ガス供給システム1(例1)によれば、二以上の水素タンク2A~2Dの水素ガスの圧力均等化時に水素ガスの圧力均等化を実行する少なくとも二以上の水素タンク2A~2Dを選択することができる。
【0038】
[二以上の水素タンクの水素ガスの圧力均等化(例2)]
例1と同じように、実施形態に係る水素ガス供給システム1(例2)では、内部圧力の異なる二以上の水素タンク2A~2Dにおいて水素ガスの圧力均等化が可能である。水素ガスの圧力均等化を可能にする水素ガス供給システム1では、例えば、放出用共通配管8に放出用共通バルブ15が設けられている。そして、放出用共通バルブ15を閉鎖し、水素ガスの圧力均等化を実行する少なくとも二以上の水素タンク2A~2Dに対応する放出バルブ6A~6Dを開放することで、水素ガスの圧力均等化が実行される。
【0039】
図5は、放出用共通バルブ15が模式的に表示されたモニタ12を示す図である。
図5に示すように、モニタ12は、上述した実施形態と同じもののほかに、放出用共通バルブ15が模式的に表示され、放出用共通バルブ15の表示15sはスイッチを構成する。したがって、水素ガスの圧力均等化時に圧力均等化を実行する少なくとも二以上の水素タンク2A~2Dの表示2As~2Dsをタッチすると、水素ガスの圧力均等化を実行する水素タンク2A~2Dが選択される。水素ガスの圧力均等化時であるか否かは、例えば、放出用共通バルブ15の表示15s、及び少なくとも二以上の水素タンク2A~2Dの表示2As~2Dsをタッチすることで確定するが、これに限られるものではない。
【0040】
水素ガスの圧力均等時に少なくとも二以上の水素タンク2A~2Dが選択されると、制御装置11は、放出用共通バルブ15を閉鎖するとともに、水素ガスの圧力均等化が選択された少なくとも二以上の水素タンク2A~2Dの放出バルブ6A~6Dを開放する。これにより、選択された少なくとも二以上の水素タンク2A~2Dにおいて内部圧力が高い水素タンク2A~2Dから内部圧力が低い水素タンク2A~2Dに水素ガスが供給され、選択された少なくとも二以上の水素タンク2A~2Dにおいて内部圧力が均衡する。
【0041】
実施形態に係る水素ガス供給システム1(例2)によれば、二以上の水素タンク2A~2Dの水素ガスの圧力均等化時に水素ガスの圧力均等化を実行する少なくとも二以上の水素タンク2A~2Dを選択することができる。
【0042】
[二以上の水素タンクの水素ガスの圧力均等化(例3)]
例1及び例2と同じように、実施形態に係る水素ガス供給システム1(例3)では、内部圧力の異なる二以上の水素タンク2A~2Dにおいて水素ガスの圧力均等化が可能である。水素ガスの圧力均等化を可能にする水素ガス供給システム1では、例えば、充填用共通配管7に充填用共通バルブ14が設けられ、放出用共通配管8に放出用共通バルブ15が設けられるとともに、充填用配管3と放出用配管5とに接続された圧力均等化配管16が設けられている。そして、充填用共通バルブ14及び放出用共通バルブ15を閉鎖し、水素ガスの圧力均等化を実行する少なくとも二以上の水素タンク2A~2Dの充填バルブ4A~4D又は放出バルブ6A~6Dを開放することで、水素ガスの圧力均等化が実行される。
【0043】
図6は、充填用共通配管7、充填用共通バルブ14、放出用共通バルブ15、及び圧力均等化配管16が模式的に表示されたモニタ12を示す図である。
図6に示すように、モニタ12は、上述した実施形態と同じもののほかに、充填用共通バルブ14、放出用共通バルブ15、及び圧力均等化配管16が模式的に表示され、充填用共通バルブ14の表示14s、及び放出用共通バルブ15の表示15sはそれぞれスイッチを構成する。したがって、水素ガスの圧力均等化時に圧力均等化を実行する少なくとも二以上の水素タンク2A~2Dの表示2As~2Dsをタッチすると、水素ガスの圧力均等化を実行する水素タンク2A~2Dが選択される。水素ガスの圧力均等化時であるか否かは、例えば、充填用共通バルブ14、及び放出用共通バルブ15の表示14s,15s、並びに少なくとも二以上の水素タンク2A~2Dの表示をタッチすることで確定するが、これに限られるものではない。
【0044】
水素ガスの圧力均等時に少なくとも二以上の水素タンク2A~2Dが選択されると、制御装置11は、充填用共通バルブ14、及び放出用共通バルブ15を閉鎖するとともに、水素ガスの圧力均等化が選択された少なくとも二以上の水素タンク2A~2Dの充填バルブ4A~4D又は放出バルブ6A~6Dを開放する。これにより、選択された少なくとも二以上の水素タンク2A~2Dにおいて内部圧力が高い水素タンク2A~2Dから内部圧力が低い水素タンク2A~2Dに水素ガスが供給され、選択された少なくとも二以上の水素タンク2A~2Dにおいて内部圧力が均衡する。
【0045】
実施形態に係る水素ガス供給システム1(例3)によれば、二以上の水素タンク2A~2Dの水素ガスの圧力均等化時に水素ガスの圧力均等化を実行する少なくとも二以上の水素タンク2A~2Dを選択することができる。
【0046】
本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態を含む。
【0047】
上述した実施形態では、燃料電池車両に搭載される水素ガス供給システム1について説明したが、水素ガス供給システムは、燃料電池車両に搭載される水素ガス供給システム1に限られるものではなく、例えば、水電解水素製造プラントに設置される水素ガス供給システムにも適用可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 ガス供給システム
2A~2D 水素タンク
2As~2Ds 水素タンクの表示
3 充填用配管
4A~4D 充填バルブ
4As~4Ds 充填バルブの表示
5 放出用配管
6A~6D 放出バルブ
6As~6Ds 放出バルブの表示
7 充填用共通配管
8 放出用共通配管
9A~9D 圧力センサ
10A~10D 温度センサ
11 制御装置
12 モニタ
13 選択スイッチ
14 充填用共通バルブ
14s 充填用共通バルブの表示
15 放出用共通バルブ
15s 放出用共通バルブの表示
16 圧力均等化配管
100 燃料電池車両
110 FCシステム(燃料電池)
120 駆動用モータ
130 空気導入システム
140 水素再循環システム
150 駆動用バッテリ
160 車両制御装置(ECU)
IJ 水素インジェクタ