(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025139526
(43)【公開日】2025-09-26
(54)【発明の名称】靴のための気候制御システム及び関連する靴底
(51)【国際特許分類】
A43B 7/06 20060101AFI20250918BHJP
A43B 13/20 20060101ALI20250918BHJP
【FI】
A43B7/06
A43B13/20 Z
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024063740
(22)【出願日】2024-04-11
(31)【優先権主張番号】18/602,045
(32)【優先日】2024-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517389207
【氏名又は名称】立兆股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】楊 士聖
(72)【発明者】
【氏名】陳 志宏
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BA33
4F050DA04
4F050DA10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】通気性と放熱性とが改善された靴のための気候制御システム及び関連する靴底を提供する。
【解決手段】靴のための気候制御システムはポンピング組立体1111と、排出端組立体1112と、吸引端組立体1113とを備えている。ポンピング組立体は1ピースの構造で形成され、第1層構造と、第2層構造と、複数の支持構造とを含む。複数の支持構造は第1層構造1111Aと第2層構造1111Bとの間に形成されたチャンバの中に配置され、第1層構造と第2層構造との間に一体的に接続されている。ポンピング組立体が強制的に弾力的に圧縮された場合に、ポンピング組立体の中の空気は排出端組立体に向かって流れるように駆動され、排出端組立体から複数の通気開口1112Aを通って靴の内部へ流出する。ポンピング組立体が弾力的に復元するように解放された場合に、周囲の空気が吸引端組立体を通ってポンピング組立体に向かって流れるように駆動される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴のための気候制御システムであって、
前記靴の靴底のアウター靴底部とインナー靴底部との間に配置され、1ピースの構造で形成され、第1層構造と、第2層構造と、複数の支持構造とを含むポンピング組立体であり、前記第1層構造の周辺部分と前記第2層構造の周辺部分とは、前記第1層構造と前記第2層構造との間にチャンバを形成するように、一体的に互いに接続され、複数の前記支持構造は、前記チャンバの中に配置され、前記第1層構造と前記第2層構造との間に一体的に接続されている、ポンピング組立体と、
前記靴の前記靴底の前記アウター靴底部と前記インナー靴底部との間に配置され、前記ポンピング組立体と連通する排出端組立体であり、複数の通気開口を含む排出端組立体と、
前記ポンピング組立体と連通する吸引端組立体とを備え、
前記ポンピング組立体が強制的に弾力的に圧縮された場合に、前記ポンピング組立体の中の空気は、前記排出端組立体に向かって流れるように駆動され、その後、複数の前記通気開口を通って前記排出端組立体から流出し、
前記ポンピング組立体が弾力的に回復するように解放された場合に、周囲の空気は、前記吸引端組立体を通って前記ポンピング組立体に向かって流れるように駆動される、気候制御システム。
【請求項2】
前記排出端組立体はさらに、複数の前記通気開口と連通する排出端空気通路を含む、請求項1記載の気候制御システム。
【請求項3】
前記排出端組立体はさらに、排出端エアバッグと逆止弁とを含み、前記排出端空気通路と複数の前記通気開口とは、前記排出端エアバッグに形成され、
前記逆止弁は、前記排出端空気通路と前記ポンピング組立体との間に配置され、前記ポンピング組立体の中の空気が前記排出端組立体に向かって一方向にのみ流れることを可能にするように構成されている、請求項2記載の気候制御システム。
【請求項4】
前記吸引端組立体は、フィルタリング装置と、前記フィルタリング装置と前記ポンピング組立体との間で連通する吸引端空気通路とを含む、請求項3記載の気候制御システム。
【請求項5】
前記吸引端組立体はさらに、吸引端エアバッグとチェックバルブとを含み、前記吸引端空気通路は、前記吸引端エアバッグに形成され、
前記チェックバルブは、前記吸引端空気通路と前記ポンピング組立体との間に配置され、周囲の空気が前記吸引端組立体を通って前記ポンピング組立体に向かって一方向にのみ流れることを可能にするように構成されている、請求項4記載の気候制御システム。
【請求項6】
さらに、前記逆止弁と、前記チェックバルブと、前記ポンピング組立体との間で連通する三方継手を備えている、請求項5記載の気候制御システム。
【請求項7】
前記吸引端組立体は、フィルタリング装置と、前記フィルタリング装置と前記ポンピング組立体との間で連通する吸引端空気通路とを含む、請求項1記載の気候制御システム。
【請求項8】
前記吸引端組立体はさらに、吸引端エアバッグとチェックバルブとを含み、前記吸引端空気通路は、前記吸引端エアバッグに形成され、
前記チェックバルブは、前記吸引端空気通路と前記ポンピング組立体との間に配置され、周囲の空気が前記吸引端組立体を通って前記ポンピング組立体に向かって一方向にのみ流れることを可能にするように構成されている、請求項7記載の気候制御システム。
【請求項9】
複数の前記支持構造のそれぞれが、X字形の支持構造である、請求項1記載の気候制御システム。
【請求項10】
アウター靴底部と、
インナー靴底部と、
気候制御システムとを備え、
前記気候制御システムは、
前記アウター靴底部と前記インナー靴底部との間に配置され、1ピースの構造で形成され、第1層構造と、第2層構造と、複数の支持構造とを含むポンピング組立体であり、前記第1層構造の周辺部分と前記第2層構造の周辺部分とは、前記第1層構造と前記第2層構造との間にチャンバを形成するように、一体的に互いに接続され、複数の前記支持構造は、前記チャンバの中に配置され、前記第1層構造と前記第2層構造との間に一体的に接続されている、ポンピング組立体と、
前記アウター靴底部と前記インナー靴底部との間に配置され、前記ポンピング組立体と連通する排出端組立体であり、複数の通気開口を含む排出端組立体と、
前記ポンピング組立体と連通する吸引端組立体とを含み、
前記ポンピング組立体が強制的に弾力的に圧縮された場合に、前記ポンピング組立体の中の空気は、前記排出端組立体に向かって流れるように駆動され、その後、複数の前記通気開口を通って前記排出端組立体から流出し、
前記ポンピング組立体が弾力的に回復するように解放された場合に、周囲の空気は、前記吸引端組立体を通って前記ポンピング組立体に向かって流れるように駆動される、
靴底。
【請求項11】
前記排出端組立体はさらに、複数の前記通気開口と連通する排出端空気通路を含む、請求項10記載の靴底。
【請求項12】
前記排出端組立体はさらに、排出端エアバッグと逆止弁とを含み、前記排出端空気通路と複数の前記通気開口とは、前記排出端エアバッグに形成され、
前記逆止弁は、前記排出端空気通路と前記ポンピング組立体との間に配置され、前記ポンピング組立体の中の空気が前記排出端組立体に向かって一方向にのみ流れることを可能にするように構成されている、請求項11記載の靴底。
【請求項13】
前記吸引端組立体は、フィルタリング装置と、前記フィルタリング装置と前記ポンピング組立体との間で連通する吸引端空気通路とを含む、請求項12記載の靴底。
【請求項14】
前記吸引端組立体はさらに、吸引端エアバッグとチェックバルブとを含み、前記吸引端空気通路は、前記吸引端エアバッグに形成され、
前記チェックバルブは、前記吸引端空気通路と前記ポンピング組立体との間に配置され、周囲の空気が前記吸引端組立体を通って前記ポンピング組立体に向かって一方向にのみ流れることを可能にするように構成されている、請求項13記載の靴底。
【請求項15】
前記気候制御システムはさらに、前記逆止弁と、前記チェックバルブと、前記ポンピング組立体との間で連通する三方継手を含む、請求項14記載の靴底。
【請求項16】
前記吸引端組立体は、フィルタリング装置と、前記フィルタリング装置と前記ポンピング組立体との間で連通する吸引端空気通路とを含む、請求項10記載の靴底。
【請求項17】
前記吸引端組立体はさらに、吸引端エアバッグとチェックバルブとを含み、前記吸引端空気通路は、前記吸引端エアバッグに形成され、
前記チェックバルブは、前記吸引端空気通路と前記ポンピング組立体との間に配置され、周囲の空気が前記吸引端組立体を通って前記ポンピング組立体に向かって一方向にのみ流れることを可能にするように構成されている、請求項16記載の靴底。
【請求項18】
複数の前記支持構造のそれぞれが、X字形の支持構造である、請求項10記載の靴底。
【請求項19】
複数の空気連通孔が、前記インナー靴底部に形成され、複数の前記通気開口に対応する位置に配置されている、請求項10記載の靴底。
【請求項20】
突出構造が、前記インナー靴底部に形成され、前記ポンピング組立体に対応する位置に配置されている、請求項10記載の靴底。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴の付属品に関し、さらに具体的には、靴のための気候制御システム及び関連する靴底に関する。
【背景技術】
【0002】
靴底は、衝撃吸収のために靴の底部を形成する重要な部品である。しかし、従来の靴底には、通気性が悪く、放熱性が悪いために不快感を与えるものがある。そのため、改善が早急に必要とされている。
【0003】
本発明の目的は、前述の問題を解決するために、靴のための気候制御システム及び関連する靴底を提供することである。
【発明の概要】
【0004】
上述の目的を達成するために、本発明は、靴のための気候制御システムを開示する。靴のための気候制御システムは、靴の靴底のアウター靴底部とインナー靴底部との間に配置され、1ピースの構造で形成され、第1層構造と、第2層構造と、複数の支持構造とを含むポンピング組立体であり、第1層構造の周辺部分と第2層構造の周辺部分とは、第1層構造と第2層構造との間にチャンバを形成するように、一体的に互いに接続され、複数の支持構造は、チャンバの中に配置され、第1層構造と第2層構造との間に一体的に接続されている、ポンピング組立体と;靴の靴底のアウター靴底部とインナー靴底部との間に配置され、ポンピング組立体と連通する排出端組立体であり、複数の通気開口を含む排出端組立体と;ポンピング組立体と連通する吸引端組立体とを備え;ポンピング組立体が強制的に弾力的に圧縮された場合に、ポンピング組立体の中の空気は、排出端組立体に向かって流れるように駆動され、その後、複数の通気開口を通って排出端組立体から流出し;ポンピング組立体が弾力的に回復するように解放された場合に、周囲の空気は、吸引端組立体を通ってポンピング組立体に向かって流れるように駆動される。
【0005】
本発明の実施形態によれば、排出端組立体はさらに、複数の通気開口と連通する排出端空気通路を含む。
【0006】
本発明の実施形態によれば、排出端組立体はさらに、排出端エアバッグと逆止弁とを含み、排出端空気通路と複数の通気開口とは、排出端エアバッグに形成され、逆止弁は、排出端空気通路とポンピング組立体との間に配置され、ポンピング組立体の中の空気が排出端組立体に向かって一方向にのみ流れることを可能にするように構成されている。
【0007】
本発明の実施形態によれば、吸引端組立体は、フィルタリング装置と、フィルタリング装置とポンピング組立体との間で連通する吸引端空気通路とを含む。
【0008】
本発明の実施形態によれば、吸引端組立体はさらに、吸引端エアバッグとチェックバルブとを含み、吸引端空気通路は、吸引端エアバッグに形成され、チェックバルブは、吸引端空気通路とポンピング組立体との間に配置され、周囲の空気が吸引端組立体を通ってポンピング組立体に向かって一方向にのみ流れることを可能にするように構成されている。
【0009】
本発明の実施形態によれば、さらに、逆止弁と、チェックバルブと、ポンピング組立体との間で連通する三方継手を備えている。
【0010】
本発明の実施形態によれば、吸引端組立体は、フィルタリング装置と、フィルタリング装置とポンピング組立体との間で連通する吸引端空気通路とを含む。
【0011】
本発明の実施形態によれば、吸引端組立体はさらに、吸引端エアバッグとチェックバルブとを含み、吸引端空気通路は、吸引端エアバッグに形成され、チェックバルブは、吸引端空気通路とポンピング組立体との間に配置され、周囲の空気が吸引端組立体を通ってポンピング組立体に向かって一方向にのみ流れることを可能にするように構成されている。
【0012】
本発明の実施形態によれば、複数の支持構造のそれぞれが、X字形の支持構造である。
【0013】
上述の目的を達成するために、本発明はさらに、靴底を開示する。靴底は、アウター靴底部と;インナー靴底部と;気候制御システムとを備え;気候制御システムは、アウター靴底部とインナー靴底部との間に配置され、1ピースの構造で形成され、第1層構造と、第2層構造と、複数の支持構造とを含むポンピング組立体であり、第1層構造の周辺部分と第2層構造の周辺部分とは、第1層構造と第2層構造との間にチャンバを形成するように、一体的に互いに接続され、複数の支持構造は、チャンバの中に配置され、第1層構造と第2層構造との間に一体的に接続されている、ポンピング組立体と;アウター靴底部とインナー靴底部との間に配置され、ポンピング組立体と連通する排出端組立体であり、複数の通気開口を含む排出端組立体と;ポンピング組立体と連通する吸引端組立体とを含み;ポンピング組立体が強制的に弾力的に圧縮された場合に、ポンピング組立体の中の空気は、排出端組立体に向かって流れるように駆動され、その後、複数の通気開口を通って排出端組立体から流出し;ポンピング組立体が弾力的に回復するように解放された場合に、周囲の空気は、吸引端組立体を通ってポンピング組立体に向かって流れるように駆動される。
【0014】
本発明の実施形態によれば、排出端組立体はさらに、複数の通気開口と連通する排出端空気通路を含む。
【0015】
本発明の実施形態によれば、排出端組立体はさらに、排出端エアバッグと逆止弁とを含み、排出端空気通路と複数の通気開口とは、排出端エアバッグに形成され、逆止弁は、排出端空気通路とポンピング組立体との間に配置され、ポンピング組立体の中の空気が排出端組立体に向かって一方向にのみ流れることを可能にするように構成されている。
【0016】
本発明の実施形態によれば、吸引端組立体は、フィルタリング装置と、フィルタリング装置とポンピング組立体との間で連通する吸引端空気通路とを含む。
【0017】
本発明の実施形態によれば、吸引端組立体はさらに、吸引端エアバッグとチェックバルブとを含み、吸引端空気通路は、吸引端エアバッグに形成され、チェックバルブは、吸引端空気通路とポンピング組立体との間に配置され、周囲の空気が吸引端組立体を通ってポンピング組立体に向かって一方向にのみ流れることを可能にするように構成されている。
【0018】
本発明の実施形態によれば、気候制御システムはさらに、逆止弁と、チェックバルブと、ポンピング組立体との間で連通する三方継手を含む。
【0019】
本発明の実施形態によれば、吸引端組立体は、フィルタリング装置と、フィルタリング装置とポンピング組立体との間で連通する吸引端空気通路とを含む。
【0020】
本発明の実施形態によれば、吸引端組立体はさらに、吸引端エアバッグとチェックバルブとを含み、吸引端空気通路は、吸引端エアバッグに形成され、チェックバルブは、吸引端空気通路とポンピング組立体との間に配置され、周囲の空気が吸引端組立体を通ってポンピング組立体に向かって一方向にのみ流れることを可能にするように構成されている。
【0021】
本発明の実施形態によれば、複数の支持構造のそれぞれが、X字形の支持構造である。
【0022】
本発明の実施形態によれば、複数の空気連通孔が、インナー靴底部に形成され、複数の通気開口に対応する位置に配置されている。
【0023】
本発明の実施形態によれば、突出構造が、インナー靴底部に形成され、ポンピング組立体に対応する位置に配置されている。
【0024】
要約すると、本発明では、ポンピング組立体が弾力的に圧縮するように強制された場合に、ポンピング組立体の中の空気が排出端組立体に向かって流れるように駆動され、複数の通気開口を通って排出端組立体から流出する。ポンピング組立体が弾力的に回復するように解放された場合に、周囲の空気が吸引端組立体を通ってポンピング組立体に向かって流れるように駆動される。従って、本発明は、熱及び/又は発汗による不快感を抑止するために、改善された熱及び湿気の放散能力を提供することができる。
【0025】
本発明のこれらの目的及び他の目的は、様々な図及び図面に示される好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明を読めば、当業者には疑いなく明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図3】本発明の実施形態による靴底の異なる図での分解図である。
【
図4】本発明の実施形態による靴底の異なる図での分解図である。
【
図5】本発明の実施形態による靴底の断面図である。
【
図6】本発明の実施形態による靴底の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書の一部を構成し、本発明が実施可能である具体的な実施形態が例示として示される添付図面を、以下の好ましい実施形態の詳細な説明の中で参照する。これに関して、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」などの方向に関する用語は、記載される図の向きを参照して使用される。本発明の構成要素は、多数の異なる方向に配置されてよい。そのため、方向に関する用語は、説明の目的で使用され、決して限定するものではない。従って、図面と記載とは、本質的に例示的なものとみなされ、制限的なものとはみなされない。また、特定されない場合、「接続する」という用語は、間接的又は直接的な電気的/機械的な接続のいずれかを意味することが意図される。従って、第1装置が第2装置に結合された場合、その接続は、直接的な電気的/機械的な接続を介してであってよく、又は、他の装置と接続とを介して間接的な電気的/機械的な接続を介してであってよい。
【0028】
図1ないし6を参照するものとする。
図1は、本発明の実施形態による靴1の図である。
図2は、本発明の実施形態による靴底11の図である。
図3及び
図4は、本発明の実施形態による靴底11の異なる図での分解図である。
図5は、本発明の実施形態による靴底11の断面図である。
図6は、本発明の実施形態による靴底11の上面図である。
図1に示すように、靴1は、靴底11と上部組立体12とを含む。靴底11は、上部組立体12の底部に取り付けられてよく、靴底11と上部組立体12とは、足を収容する靴1の内部空間を協働して定義してよい。上部組立体12は、足を覆うためのものである。靴底11は、足を支えるためのものである。さらに、
図1ないし6に示すように、靴底11は、気候制御システム111と、アウター靴底部112と、インナー靴底部113とを含む。気候制御システム111は、ポンピング組立体1111(吸排気組立体1111)と、排出端組立体1112と、吸引端組立体1113とを含む。ポンピング組立体1111と排出端組立体1112とは、アウター靴底部112とインナー靴底部113との間に配置され、互いに連通する。吸引端組立体1113は、ポンピング組立体1111と連通し、靴1の外面で部分的に露出している。ポンピング組立体1111は、弾力的に圧縮可能な構成になっている。ポンピング組立体1111が強制的に弾力的に圧縮された場合に、ポンピング組立体1111の中の空気は、排出端組立体1112に向かって流れるように駆動され、排出端組立体1112から靴1の内部空間へ流出する。ポンピング組立体1111が弾力的に復元するように解放された場合に、ポンピング組立体1111の中の負圧により、周囲の空気は、吸引端組立体1113を通ってポンピング組立体1111に向かって流れるように駆動される。ポンピング組立体1111の弾力的な変形と回復の繰り返しの間、本発明は靴1の内部空間に周囲の空気を導入し続けることができ、靴1の中の足を取り巻く気候を制御する。
【0029】
好ましくは、
図3に示すように、この実施形態では、ポンピング組立体1111と、排出端組立体1112と、吸引端組立体1113とを位置決めするように、凹部1121が、ポンピング組立体1111と、排出端組立体1112と、吸引端組立体1113とを少なくとも部分的に受容するために、アウター靴底部112に形成されてよい。
【0030】
図3ないし5に示すように、弾力的な変形と回復との繰り返しのサイクルのために、費用対効果に優れ、構造的及び機能的に持続可能なポンピング組立体1111の特性を達成するように、ポンピング組立体1111は、1ピースの構造で形成され、プラスチック材料で作られてよい。ポンピング組立体1111は、第1層構造1111Aと、第2層構造1111Bと、複数の支持構造1111Cとを含む。第1層構造1111Aの周辺部分と第2層構造1111Bの周辺部分とは、第1層構造1111Aと第2層構造1111Bとの間にチャンバを形成するように、一体的に互いに接続されている。複数の支持構造1111Cは、チャンバの中に位置し、第1層構造1111Aと第2層構造1111Bとの間に一体的に接続されている。好ましくは、
図5に示すように、本実施形態では、複数の支持構造1111Cのそれぞれが、X字型の支持構造である。
【0031】
さらに、
図2、
図3及び
図5に示すように、突出構造1131は、外力、例えば足によって与えられる踏む力を、ポンピング組立体1111に効果的に伝達するために、インナー靴底部113に形成され、ポンピング組立体1111に対応する位置に配置され、これにより、ポンピング組立体1111の弾力的な変形を容易にする。好ましくは、突出構造1131は、ポンピング組立体1111から離れたインナー靴底部113の上側1132に形成されてよい。
【0032】
図3ないし6に示すように、排出端組立体1112は、複数の換気開口1112Aと、排出端空気通路1112B(排出端流路1112B)とを含む。排出端空気通路1112Bは、複数の通気開口1112Aと連通し、空気が複数の通気開口1112Aに向かって流れることを可能にする。複数の通気開口1112Aは、空気が排出端組立体1112から流出することを可能にするためのものである。この実施形態では、排出端組立体1112は、排出端エアバッグ1112Cを含み、これは、プラスチック材料からなる多層構造であってよい。排出端空気通路1112Bと複数の通気開口1112Aとは、排出端エアバッグ1112Cに形成されている。排出端空気通路1112Bは排出端エアバッグ1112Cでのチャンネルであってよく、通気開口1112Aは排出端エアバッグ1112Cでの孔であってよい。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。例えば、別の実施形態では、排出端組立体は排出端チューブを含んでよく、排出端空気通路と通気開口とはそれぞれ、排出端チューブでのチャンネルと、排出端チューブでの孔とであってよい。
【0033】
好ましくは、
図4及び
図6に示すように、排出端組立体1112はさらに、逆止弁1112Dを含み、逆止弁1112Dは、排出端空気通路1112Bとポンピング組立体1111との間に配置され、任意の逆流を防止するために、ポンピング組立体1111の中の空気が排出端組立体1112に向かって一方向にのみ流れることを可能にするように構成されている。
【0034】
その上、
図2ないし5に示すように、複数の空気連通孔1133がインナー靴底部113に形成され、複数の通気開口1112Aに対応する位置に配置され、靴1の内部空間に空気が容易にアクセスできるようになっている。
【0035】
さらに、
図1ないし4に示すように、吸引端組立体1113は、周囲の空気をフィルタリングするように、例えば、周囲の空気から粒子又は塵埃を除去するように構成されているフィルタリング装置1113Aと、フィルタリング装置1113Aとポンピング組立体1111との間で連通する吸引端空気通路1113B(吸引端流路1113B)とを含む。この実施形態では、吸引端組立体1113は、吸引端エアバッグ1113Cを含み、これは、プラスチック材料からなる多層構造であってよい。吸引端空気通路1113Bは、吸引端エアバッグ1113Cに形成される。吸引端空気通路1113Bは、吸引端エアバッグ1113Cでのチャンネルであってよい。しかし、本発明はこの実施形態に限定されない。例えば、別の実施形態では、吸引端組立体は、吸引端チューブを含んでよく、吸引端空気通路は、吸引端チューブでのチャンネルであってよい。
【0036】
好ましくは、
図4及び
図6に示すように、吸引端組立体1113はさらに、チェックバルブ1113Dを含み、チェックバルブ1113Dは、吸引端空気通路1113Bとポンピング組立体1111との間に配置され、任意の逆流を防止するために、周囲の空気が吸引端組立体1113を通ってポンピング組立体1111に向かって一方向にのみ流れることを可能にするように構成されている。
【0037】
さらに、
図3、
図4及び
図6に示すように、ポンピング組立体1111と、排出端組立体1112と、吸引端組立体1113との間の接続を実現するために、気候制御システム111はさらに、逆止弁1112Dと、チェックバルブ1113Dと、ポンピング組立体1111との間で、連通する三方継手1114(three-way fitting 1114)を含む。
【0038】
背景技術とは対照的に、本発明では、ポンピング組立体が弾力的に圧縮するように強制された場合に、ポンピング組立体の中の空気が排出端組立体に向かって流れるように駆動され、複数の通気開口を通って排出端組立体から流出する。ポンピング組立体が弾力的に回復するように解放された場合に、周囲の空気が吸引端組立体を通ってポンピング組立体に向かって流れるように駆動される。従って、本発明は、熱及び/又は発汗による不快感を抑止するために、改善された熱及び湿気の放散能力を提供することができる。
【0039】
本発明の教示を保持しつつ、装置及び方法の多数の修正と変更とが行われてよいことを、当業者であれば容易に理解することである。従って、上記の開示は、添付の請求項の範囲によってのみ限定されると解釈されるものとする。
【手続補正書】
【提出日】2025-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴のための気候制御システムであって、
前記靴の靴底のアウター靴底部とインナー靴底部との間に配置され、1ピースの構造で形成され、第1層構造と、第2層構造と、複数の支持構造とを含むポンピング組立体であり、前記第1層構造の周辺部分と前記第2層構造の周辺部分とは、前記第1層構造と前記第2層構造との間にチャンバを形成するように、一体的に互いに接続され、複数の前記支持構造は、前記チャンバの中に配置され、前記第1層構造と前記第2層構造との間に一体的に接続されている、ポンピング組立体と、
前記靴の前記靴底の前記アウター靴底部と前記インナー靴底部との間に配置され、前記ポンピング組立体と連通する排出端組立体であり、複数の通気開口を含む排出端組立体と、
前記ポンピング組立体と連通する吸引端組立体とを備え、
前記ポンピング組立体が強制的に弾力的に圧縮された場合に、前記ポンピング組立体の中の空気は、前記排出端組立体に向かって流れるように駆動され、その後、複数の前記通気開口を通って前記排出端組立体から流出し、
前記ポンピング組立体が弾力的に回復するように解放された場合に、周囲の空気は、前記吸引端組立体を通って前記ポンピング組立体に向かって流れるように駆動され、
前記吸引端組立体は、
前記ポンピング組立体から、靴底長手方向に交差する横断方向に延びて配置されている第1通路区間と、
前記第1通路区間に接続され、前記横断方向に交差する上側方向に延びて配置されている第2通路区間と、
前記第2通路区間に接続され、周囲の空気をフィルタリングするように構成されているフィルタリング装置とを含む、気候制御システム。
【請求項2】
前記排出端組立体はさらに、複数の前記通気開口と連通する排出端空気通路を含む、請求項1記載の気候制御システム。
【請求項3】
前記排出端組立体はさらに、排出端エアバッグと逆止弁とを含み、前記排出端空気通路と複数の前記通気開口とは、前記排出端エアバッグに形成され、
前記逆止弁は、前記排出端空気通路と前記ポンピング組立体との間に配置され、前記ポンピング組立体の中の空気が前記排出端組立体に向かって一方向にのみ流れることを可能にするように構成されている、請求項2記載の気候制御システム。
【請求項4】
前記吸引端組立体はさらに、吸引端エアバッグとチェックバルブとを含み、前記第2通路区間は、前記吸引端エアバッグに形成され、
前記チェックバルブは、前記第1通路区間と前記ポンピング組立体との間に配置され、周囲の空気が前記吸引端組立体を通って前記ポンピング組立体に向かって一方向にのみ流れることを可能にするように構成されている、請求項3記載の気候制御システム。
【請求項5】
さらに、前記逆止弁と、前記チェックバルブと、前記ポンピング組立体との間で連通する三方継手を備えている、請求項4記載の気候制御システム。
【請求項6】
前記吸引端組立体はさらに、吸引端エアバッグとチェックバルブとを含み、前記第2通路区間は、前記吸引端エアバッグに形成され、
前記チェックバルブは、前記第1通路区間と前記ポンピング組立体との間に配置され、周囲の空気が前記吸引端組立体を通って前記ポンピング組立体に向かって一方向にのみ流れることを可能にするように構成されている、請求項1記載の気候制御システム。
【請求項7】
複数の前記支持構造のそれぞれが、X字形の支持構造である、請求項1記載の気候制御システム。
【請求項8】
アウター靴底部と、
インナー靴底部と、
気候制御システムとを備え、
前記気候制御システムは、
前記アウター靴底部と前記インナー靴底部との間に配置され、1ピースの構造で形成され、第1層構造と、第2層構造と、複数の支持構造とを含むポンピング組立体であり、前記第1層構造の周辺部分と前記第2層構造の周辺部分とは、前記第1層構造と前記第2層構造との間にチャンバを形成するように、一体的に互いに接続され、複数の前記支持構造は、前記チャンバの中に配置され、前記第1層構造と前記第2層構造との間に一体的に接続されている、ポンピング組立体と、
前記アウター靴底部と前記インナー靴底部との間に配置され、前記ポンピング組立体と連通する排出端組立体であり、複数の通気開口を含む排出端組立体と、
前記ポンピング組立体と連通する吸引端組立体とを含み、
前記ポンピング組立体が強制的に弾力的に圧縮された場合に、前記ポンピング組立体の中の空気は、前記排出端組立体に向かって流れるように駆動され、その後、複数の前記通気開口を通って前記排出端組立体から流出し、
前記ポンピング組立体が弾力的に回復するように解放された場合に、周囲の空気は、前記吸引端組立体を通って前記ポンピング組立体に向かって流れるように駆動され、
前記吸引端組立体は、
前記ポンピング組立体から、靴底長手方向に交差する横断方向に延びて配置されている第1通路区間と、
前記第1通路区間に接続され、前記横断方向に交差する上側方向に延びて配置されている第2通路区間と、
前記第2通路区間に接続され、周囲の空気をフィルタリングするように構成されているフィルタリング装置とを含む、
靴底。
【請求項9】
前記排出端組立体はさらに、複数の前記通気開口と連通する排出端空気通路を含む、請求項8記載の靴底。
【請求項10】
前記排出端組立体はさらに、排出端エアバッグと逆止弁とを含み、前記排出端空気通路と複数の前記通気開口とは、前記排出端エアバッグに形成され、
前記逆止弁は、前記排出端空気通路と前記ポンピング組立体との間に配置され、前記ポンピング組立体の中の空気が前記排出端組立体に向かって一方向にのみ流れることを可能にするように構成されている、請求項9記載の靴底。
【請求項11】
前記吸引端組立体はさらに、吸引端エアバッグとチェックバルブとを含み、前記第2通路区間は、前記吸引端エアバッグに形成され、
前記チェックバルブは、前記第1通路区間と前記ポンピング組立体との間に配置され、周囲の空気が前記吸引端組立体を通って前記ポンピング組立体に向かって一方向にのみ流れることを可能にするように構成されている、請求項10記載の靴底。
【請求項12】
前記気候制御システムはさらに、前記逆止弁と、前記チェックバルブと、前記ポンピング組立体との間で連通する三方継手を含む、請求項11記載の靴底。
【請求項13】
前記吸引端組立体はさらに、吸引端エアバッグとチェックバルブとを含み、前記第2通路区間は、前記吸引端エアバッグに形成され、
前記チェックバルブは、前記第1通路区間と前記ポンピング組立体との間に配置され、周囲の空気が前記吸引端組立体を通って前記ポンピング組立体に向かって一方向にのみ流れることを可能にするように構成されている、請求項8記載の靴底。
【請求項14】
複数の前記支持構造のそれぞれが、X字形の支持構造である、請求項8記載の靴底。
【請求項15】
複数の空気連通孔が、前記インナー靴底部に形成され、複数の前記通気開口に対応する位置に配置されている、請求項8記載の靴底。
【請求項16】
突出構造が、前記インナー靴底部に形成され、前記ポンピング組立体に対応する位置に配置されている、請求項8記載の靴底。