(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025139569
(43)【公開日】2025-09-26
(54)【発明の名称】検出器ヘッド、側縁検出器及び製造装置
(51)【国際特許分類】
B65H 7/02 20060101AFI20250918BHJP
B29C 55/12 20060101ALI20250918BHJP
【FI】
B65H7/02
B29C55/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2025037901
(22)【出願日】2025-03-11
(31)【優先権主張番号】10 2024 107 021.8
(32)【優先日】2024-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510331593
【氏名又は名称】ブリュックナー・マシーネンバウ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100082049
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敬一
(74)【代理人】
【識別番号】100220711
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 朗
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン・ソラッチャー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ロット
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ヘグラウアー
【テーマコード(参考)】
3F048
4F210
【Fターム(参考)】
3F048AA00
3F048AB06
3F048AC02
3F048BB10
3F048CA10
3F048CC05
3F048DC20
3F048EB24
4F210AJ08
4F210AP06
4F210AQ05
4F210QC05
4F210QL16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】長尺材の側縁位置を正確に決定する検出器ヘッド、側縁検出器及び長尺材を製造する製造装置を提供する。
【解決手段】長尺材、例えば薄膜材の側縁(K)の位置を検出する空圧式側縁検出器の検出器ヘッド(32)は、頭部(38)と検出域(40)とを有する。検出器ヘッド(32)の第1の顎(42)と第2の顎(44)は、何れも開口(54)を有する流体口(46)、導管(48)及び検出域(40)を形成する検出端(50)を備える。検出域(40)は、対応する第1の顎(42)と第2の顎(44)の複数の開口(54)と複数の導管(48)とにより第1の顎(42)と第2の顎(44)の流体口(46)に流体接続される。側縁検出器と装置も開示される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺材(B)の側縁位置を検出する検出域(40)と、頭部(38)とを有する空圧式側縁検出器(28)の検出器ヘッドにおいて、
頭部(38)は、第1の顎(42)と、第2の顎(44)と、第1の顎(42)と第2の顎(44)との間に形成される検出域(40)とを備え、
第1の顎(42)と第2の顎(44)は、何れも流体口(46)と、複数の導管(48)と、複数の開口(54)が形成される検出端(50)とを備え、
第1の顎(42)と第2の顎(44)の検出端(50)は、検出域(40)を形成し、
検出域(40)は、第1の顎(42)に形成される流体口(46)と、第1の顎(42)に形成される複数の導管(48)と、第1の顎(42)に形成される少なくとも複数の開口(54)とに流体接続され、
検出域(40)は、第2の顎(44)に形成される流体口(46)と、第2の顎(44)に形成される複数の導管(48)と、第2の顎(44)に形成される少なくとも複数の開口(54)とに流体接続されることを特徴とする検出器ヘッド。
【請求項2】
長尺材(B)は、薄膜材である請求項1に記載の検出器ヘッド。
【請求項3】
複数の導管(48)の各々は、対応する第1の顎(42)と第2の顎(44)の検出端(50)の複数の開口(54)の1つに開放する請求項1に記載の検出器ヘッド。
【請求項4】
複数の導管(48)は、少なくとも部分的に円弧状を形成する請求項1に記載の検出器ヘッド。
【請求項5】
円弧状を形成する複数の導管(48)の円弧角度は、80°と100°との間の角度範囲である請求項4に記載の検出器ヘッド。
【請求項6】
複数の導管(48)は、5mmを超える長さ、10mmを超える長さ及び/又は複数の開口(54)の1つの開口幅の3倍を超える長さを有する請求項1に記載の検出器ヘッド。
【請求項7】
第1の顎(42)及び/又は第2の顎(44)の流体口(46)の開口方向は、角度を有する請求項1に記載の検出器ヘッド。
【請求項8】
第1の顎(42)及び/又は第2の顎(44)の流体口(46)の開口方向は、第1の顎(42)及び/又は第2の顎(44)の流体口(46)の検出端(50)の開口(54)の開口方向に対し、直角である請求項7に記載の検出器ヘッド。
【請求項9】
第1の顎(42)及び/又は第2の顎(44)の検出端(50)は、互いに反対側に配置される請求項1に記載の検出器ヘッド。
【請求項10】
第1の顎(42)及び/又は第2の顎(44)の検出端(50)は、互いに平行である請求項9に記載の検出器ヘッド。
【請求項11】
検出端(50)は、平坦でありかつ/又は対応する第1の顎(42)又は第2の顎(44)の片側にのみ設けられる請求項1に記載の検出器ヘッド。
【請求項12】
第1の顎(42)及び第2の顎(44)の検出端(50)は、検出器ヘッド(32)の垂直方向(H)に互いに間隔を空けて離間し、
第1の顎(42)及び/又は第2の顎(44)の検出端(50)の複数の開口(54)は、長さ方向(L)及び/又は横方向(Q)に互いに隣接して配置される請求項1に記載の検出器ヘッド。
【請求項13】
第1の顎(42)及び/又は第2の顎(44)の検出端(50)の複数の開口(54)は、少なくとも列状に配置される請求項1に記載の検出器ヘッド。
【請求項14】
少なくとも2列の複数の開口(54)は、横方向(Q)に互いに隣接して配置される請求項13に記載の検出器ヘッド。
【請求項15】
第1の顎(42)及び第2の顎(44)の検出端(50)の複数の開口(54)は、互いに同軸上に配置される請求項1に記載の検出器ヘッド。
【請求項16】
第1の顎(42)及び第2の顎(44)は、単一物として構成される請求項1に記載の検出器ヘッド。
【請求項17】
第1の顎(42)及び/又は第2の顎(44)の流体口(46)と導管(48)は、第1の顎(42)及び/又は第2の顎(44)に設けられる拡張室(52)に開放する請求項1に記載の検出器ヘッド。
【請求項18】
流体口(46)と導管(48)は、対向する側で拡張室(52)に開放する請求項17に記載の検出器ヘッド。
【請求項19】
請求項1に記載する検出器ヘッド(32)と、圧縮空気源(34)と、圧力検出器(36)とを備える長尺材(B)の側縁(K)の位置を検出する側縁検出器において、
圧縮空気源(34)と圧力検出器(36)は、検出器ヘッド(32)の異なる流体口(46)に流体接続されることを特徴とする側縁検出器。
【請求項20】
請求項19に記載の側縁検出器(28)を備えることを特徴とする長尺材(B)の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空圧式側縁検出器、検出器ヘッド及び長尺材を製造する製造装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
複数の製造工程に従って案内される長尺材を製造する製造装置は、公知である。製造目的で、長尺材の側縁を把持しかつ移動する種々の異なる案内装置も公知である。尤も、長尺材の位置及び長尺材の側縁位置は、製造装置の稼働間に絶えず変化するので、長尺材の側縁の位置を常に測定する必要がある。測定する目的で、検出器ヘッドにより、移動する長尺材の側縁検出域を検出する空圧式側縁検出器は、公知である。
【0003】
長尺材の側縁を検出する空圧式側縁検出器の検出域の片側、即ち長尺材の上側に圧縮空気を検出域に導入して、検出域の反対側、即ち検出域の反対側で空気圧力を測定する公知の検出器ヘッドでは、検出域の一部のみを実際に使用するが、長尺材の側縁位置で測定する空気圧力が直線状に変化しないので、従来の空圧式側縁検出器では、正しい空気圧力を測定する側縁位置の正確な決定は、困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の目的は、長尺材の側縁位置を正確に決定する検出器ヘッド、側縁検出器及び長尺材を製造する製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、頭部と検出域とを備えかつ長尺材、即ち薄膜材の側縁位置を検出する空圧式側縁検出器の検出器ヘッドにより達成される。検出器ヘッドの頭部は、第1の顎と、第2の顎と、第1の顎と第2の顎との間に設けられる検出域とを備える。第1の顎と第2の顎は、何れも流体口と、複数の導管と、複数の開口を有する検出域とを備える。第1の顎と第2の顎に形成される検出端は、第1の顎の流体口に接流体接される検出域を形成する。第1の顎の検出域の複数の開口と導管は、第1の顎の流体口に接流体接され、第2の顎の検出域の複数の開口と導管は、第2の顎の流体口に流体接続される。
【0006】
検出器ヘッドの検出域の複数の導管と対応する開口を使用して、圧縮空気は、検出域に導入されかつ対象となる複数の導管から広領域の検出域に沿って圧縮空気が噴出される。検出域に噴出される圧縮空気流は、検出域に均質な流れを同時に形成し対向する開口と導管に流入する。
【0007】
このように、広領域の検出域を利用して長尺材の側縁位置の有無を測定にするので、長尺材の側縁位置に対し大きな間隙の検出域を利用できる。同時に、長尺材の側縁位置の変位又は変更に伴う圧力低下の直線性が改善されて、より正確な測定が顕著に可能になる。
【0008】
樹脂(プラスチック)薄膜、紙材、繊維材又は他の編物繊維若しくは延伸可能な材料で長尺材を構成できる。例えば、複数の導管の各々は、対応する顎の検出域の開口の1つに開放するので、対応する第1の顎と第2の顎の間に形成される検出域内を通過する空気流が完全に流体連結される。
【0009】
複数の導管は、開口に向かって先細(テーパ状)となり、開口の流体口に向かう端部で例えば大きな開口幅を備える。このように、流動特性は、更に改善される。本発明の実施の形態では、複数の導管は、例えば角度80°~100°間、例えば90°を形成する少なくとも部分的に円弧状に形成されるので、湾曲する流体接続の場合に測定値の品質を損なう乱流も確実に回避できる。
【0010】
更に乱流を低減して、測定値の品質を改善するため、5mmを超え、例えば10mmを超える長さかつ/又は複数の開口の1つの開口幅の3倍を超える長さの導管が設けられる。
【0011】
本発明の実施の形態では、第1の顎及び/又は第2の顎の流体口の開口方向は、一定の角度で変更され、例えば、第1の顎及び/又は第2の顎の検出域の開口の開口方向に対し直角である。このように、検出器ヘッドの第1の顎と第2の顎の検出域の開口を単純に流体連結できる。長さ方向、横方向又は直角方向に、流体口の開口方向を延伸できる。例えば、第1の顎及び第2の顎の流体口の開放方向は、互い対向して平行に延伸する。
【0012】
本発明の実施の形態では、第1の顎及び第2の顎の検出域は、互いに対向し、例えば互いに平行に配置される。このように、検出域を介して直線状の空気流路を形成して、圧力測定値の精度又は品質をより改善できる。例えば直線状の空気流路のため、平坦かつ/又は対応する第1の顎と第2の顎の一方の片側にのみ検出域を設けることができる。
【0013】
本発明の実施の形態では、第1の顎及び第2の顎の検出域は、検出器ヘッドの垂直方向に互い一定間隔離間する。第1の顎及び/又は第2の顎の検出域の開口は、長さ方向及び/横方向に互いに隣接して配置されるので、第1の顎と第2の顎との間に形成される検出域を横断する均一な空気流を形成できる。
【0014】
例えば、第1の顎及び/又は第2の顎の検出域の複数の開口は、延伸する少なくとも1つの列、例えば長さ方向に配置される。このため、検出域を通る空気流は、例えば、長さ方向に均一であり、測定値の直線性は、更に改善され又は増加する。
【0015】
本発明の実施の形態では、少なくとも2列の開口は、横方向に互いに隣接しかつ中心点が規則正しい格子状に配置される。他列の使用を通じて測定精度を更に増加できる。例えば、隣接する2列の開口は、互いにずれて配置されて、極力完全な検出領域を形成する。
【0016】
例えば、各5つの開口を有する2列の開口は、各検出域に設けられる。5つの開口より多く又は少ない開口を有する2列の各々に、それ以上又はそれ以下の数の開口も設けることができる。本発明の実施の形態では、第1の顎と第2の顎の検出域の開口は、互いに同軸上(一直線上)に配置されて、乱流を更に減少し、測定値の精度又は品質を更に向上する。
【0017】
本発明の実施の形態では、例えば、第1の顎と第2の顎は、単一体として設けられ、全検出器ヘッドが単一体となるため、検出域の開口は、如何なる調整も必要なく、互いに正確に整合配置される。
【0018】
例えば、検出器ヘッドの頭部は、3次元印刷等の付加的製造工程により樹脂材で製造される。例えば、3次元印刷により製造する材料として、ポリアミド12(PA12)が適切でありかつ/又は例えば製造工程としてマルチ・ジェット・フュージョン法を適切に使用することができる。
【0019】
ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)、ポリエーテル・ケトン・ケトン(PEKK)、アルミニウム又は鋼鉄を使用して、3次元印刷法により頭部の製造を検討できる。80℃を超える温度の耐熱性のある他の材料も使用できる。同様に、光造形法(SLA)又は選択的レーザ焼結法(SLS)の使用も検討できる。
【0020】
例えば、側方から観察してC型を有する頭部のC型形状を形成する2顎間の検出域に長尺材の側縁を案内できれば、C型以外の頭部形状も使用できる。
【0021】
本発明の実施の形態では、第1の顎及び/又は第2の顎に形成される拡張室に対し、対応する顎の流体口及び開口の導管を開放できる。全導管又は全導管に連結される付加的導管に、拡張室を通じて圧縮空気流を均等にかつ互いに導管同志の影響を与えずに分配できる。例えば、拡張室と導管により流体連結が構成される。
【0022】
本発明の目的は、長尺材、例えば薄膜材の側縁位置を検出する側縁検出器により達成される。側縁検出器は、検出器ヘッドと、圧縮空気源と、圧力検出器とを備え、圧縮空気源と圧力検出器は、検出器ヘッドの異なる複数の開口に流体接続される。検出器ヘッドに関する特徴と利点は、側縁検出器にも等しく適用され、逆に側縁検出器の特徴と利点は、検出器ヘッドに等しく適用される。
【0023】
例えば、配管及び/又は導管等の流体管路により、流体接続が形成される。また、第1の顎と第2の顎との間に形成される検出域に挿入される側縁の長尺材を製造する装置、例えば薄膜製造装置により本発明の目的が達成される。検出器ヘッド及び/又は側縁検出器の特徴と利点は、薄膜製造装置にも等しく適用され、逆に薄膜製造装置の特徴と利点は、検出器ヘッドにも等しく適用される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の他の特徴と利点は、添付図面に関する下記説明から明らかとなろう。添付図面は、下記を示す。
【
図1】本発明の実施の形態による検出器ヘッドを有する側縁検出器を備える長尺材製造装置の斜視図
【
図2】加熱炉の左右入口領域に配置される
図1の一対の側縁検出器の側面図
【
図3】
図2に示す側縁検出器の検出器ヘッドの斜視図
【
図4】
図3に示す側縁検出器の検出器ヘッドの断面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、複数の異なる関連装置を備える長尺材Bの製造装置10の斜視図を示す。本発明を例示的に説明する製造装置10の図示の例は、本発明の保護範囲を限定しない薄膜製造装置を示す。
【0026】
本実施の形態では、長尺材Bは、樹脂薄膜である。紙材、織物、編物又は他の材料で作られかつ延伸可能な材料を長尺材Bとして使用できる。図示の例では、製造装置10は、押出装置12、注型圧延装置14、例えば、機械方向配向器16(MDO)、横方向配向器18(TDO)により構成される少なくとも1つ延伸装置、引張ローラ装置及び/又は側縁処理装置20及び巻取装置22を備える。
【0027】
製造装置10で製造する薄膜は、例えば二軸配向ポリプロピレン(BOPP)、二軸配向ポリエチレン・テレフタレート(BOPET)、二軸配向ポリアミド薄膜(BOPA)、二軸配向ポリエチレン薄膜(BOPE)、二軸配向ポリ乳酸薄膜(BOPLA)、二軸蓄電池薄膜(BOPP-C)又は蓄電池分離薄膜(BSF)等の二軸延伸薄膜である。
【0028】
押出装置12から押し出される薄膜を注型圧延装置14の冷却ロールで薄膜を製造して樹脂薄膜が製造される。製造の目的で、粒状材料の出発物質を冷却ロールに供給して薄膜に形成される樹脂溶湯が押出装置12で生成される。
【0029】
薄膜は、注型圧延装置14から長尺材Bとして機械方向配向器16に搬送される。機械方向配向器16では、薄膜は、機械方向に延伸されてより薄い薄膜に形成される。機械方向配向器16では、薄膜は、複数の加熱ロールを通過して、薄膜の延伸に適する温度に加熱される。
【0030】
機械方向配向器16に設けられる少なくとも2つのローラ間に挟持される薄膜は、機械方向、即ち引張方向に延伸されて、延伸薄膜となる。得られる薄膜は、機械方向配向器16から横方向配向器18に搬送されて、横方向配向器18では、横方向に延伸される。横方向配向器18は、薄膜を処理する製造装置10の引張方向に沿う異なる処理領域を備える加熱炉26を備える。
【0031】
予熱領域と呼ばれる第1の領域では、薄膜は、加熱炉26により加熱される。次の第2の領域(「延伸領域」では、薄膜は、横方向に延伸されるので、第2の領域の端部では、薄膜の横幅は、第2の領域の入口より増加し、薄膜の厚さは減少する。
【0032】
延伸工程が完了すると、薄膜は、第3の領域と更に後続の領域(例えば、薄膜の内部応力を高温で除去する「熱処理領域」、「再加熱領域」及び/又は「アニール領域」)を通過する。更に、薄膜は、最終領域で薄膜を冷却する付加領域(「冷却領域」)を通過する。
【0033】
複数の領域を分離する機能を有する中立領域が設けられる。中立領域は、例えば、換気機能のない空虚空間である。横方向配向器18の複数の領域は、異なる形態に分割されかつ/又は異なる長さに設定される。例えば、少ない又は短い中立領域が設けられ又は他の点でも付加的に中立領域を配置し、残余領域に変更を加えることもできる。
【0034】
横方向配向器18に続き、引張ローラ装置及び/又は側縁処理装置20を通じて二軸延伸される薄膜を搬送し、巻取装置22に薄膜を巻き取ることができる。また、例えば、機械方向配向器16及び/又は横方向配向器18に加えて又はそれらに代えて、延伸装置として加熱炉26を有する同時延伸装置19を備える他の方法の製造装置10を設けることができる。この方法で、製造装置10に設けられる複数の側縁検出器28に製造装置10の長尺材Bを案内することができる。
【0035】
製造装置10の異なる位置に複数の側縁検出器28を配置して、長尺材Bの側縁位置を側縁検出器28の位置に決定することができる。例えば、巻取装置22で長尺材Bを巻き取るとき又は横方向配向器18の加熱炉26内に長尺材Bを導入するとき、側縁検出器28の位置決定は、重要である。例えば、長尺材Bの側縁位置を正確に検出して、側縁処理装置20を位置決めするため、側縁処理装置20の位置決めは重要である。
【0036】
図2は、加熱炉26への横方向配向器18の入口領域を立体的に例示する。横方向配向器18は、互いに一定間隔離間して間隙をもって配置されかつ長尺材Bの側縁を案内する2つの案内装置29を備える。
【0037】
移動装置30により複数の案内装置29の各々を長尺材Bに対し進退自在に横方向に移動することができる。また、各案内装置29は、長尺材Bの側縁位置を検出する側縁検出器32を備える。長尺材Bの側縁位置を検出する側縁検出器32の検出信号は、移動装置30により案内装置29の位置を調整する可変信号として使用される。
【0038】
図示の側縁検出器28は、検出器ヘッド32と、圧縮空気源34と、圧力検出器36とを備える。各側縁検出器28は、少なくとも1つの検出器ヘッド32と1つの圧縮検出器36とを備える。複数の側縁検出器28は、共用圧縮空気源34を備える。
【0039】
圧縮空気源34は、配管及び/又は導管等の流体管路により検出器ヘッド32に接続される。検出器ヘッド32は、更に流体管路により圧力検出器36に接続される。
図3に図式で示す2列の開口54を備える検出器ヘッド32を
図4に断面で示す。検出器ヘッド32は、頭部38と、頭部38により形成される検出域40を備える。頭部38は、第1の区画、即ち第1の顎42と、第2の区画、即ち第2の顎44とを備え、即ち第1のセコンド42と、第2の顎44とを備える。
【0040】
図示の実施の形態では、第1の顎42と第2の顎44は、単一体、例えば全検出器ヘッド32が単一体で形成される。頭部38、第1の顎42及び第2の顎44は、例えば樹脂で製造され、例えば3次元印刷法等の付加的製造工程により製造される。ポリアミド12(PA12)は、3次元印刷法及び/又はマルチ・ジェット・フュージョン製造法に適する。
【0041】
ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)、ポリエーテル・ケトン・ケトン(PEKK)、アルミニウム又は鋼鉄を使用して、3次元印刷法による頭部の製造法を検討できる。80℃を超える温度の耐熱性のある他の材料も使用できる。
【0042】
同様に、光造形法(SLA)又は選択的レーザ焼結法(SLS)の使用も頭部38の製造に検討できる。同様に、樹脂注型法又は金属鋳造法により頭部を製造できる。別部品で製造する第1の顎42と第2の顎44とを互いに固着・連結して頭部38を製造できる。
【0043】
検出器ヘッド32は、縦方向L、横方向Q及び垂直方向Hを有する。縦方向Lと横方向Qとに延伸する長尺材Bは、横方向Qに移動する。従って、長尺材Bの側縁Kは、横方向Qにも移動する。第1の顎42及び第2の顎44は、垂直方向Hに互いに離間する。例えば、頭部38は、側方観察で横方向にC型形状を有する。
【0044】
第1の顎42及び第2の顎44は、流体口46と、複数の導管48と、検出端50と、任意の拡張室52とを備える。頭部38の長さ方向Lに長尺材Bの反対側側面に複数の流体口46が設けられる。複数の流体口46が開放する方向は、頭部38の長さ方向Lである。尤も、横方向Q又は垂直方向Hに流体口46の開放方向を設けてもよい。同様に、頭部38の長さ方向Lのみでなく、付加的に横方向Q及び/又は垂直方向Hに流体口46を開放させてもよい。
【0045】
図示の例では、複数の流体口46の開放方向は、互いに平行に延伸する。また、複数の流体口46の開放方向は、互いに平行に延伸しなくてもよい。頭部38の端部では、第1の顎42と第2の顎44は、長尺材Bから離間する夫々1つの検出端50を形成する。複数の検出端50は、夫々複数の開口54を有する。
【0046】
図示の実施の形態では、第1の顎42及び第2の顎44の検出端50は、長尺材Bまで横方向Qかつ長さ方向Lに互いに平行に延伸する。例えば、第1の顎42及び第2の顎44の少なくとも1つの開口54から噴出する空気流の有無を検出する検出端50は、平坦面に形成される。図示の実施の形態では、検出端50は、対応する第1の顎42又は第2の顎44の片側にのみ配置され、反対側には、延伸しない。
【0047】
図示の実施の形態では、複数の検出端50は、垂直方向Hに互いに一定間隔離間して、検出域40の反対側に設けられる。一対の検出端50間に垂直方向Hに設けられる検出域40は、長さ方向Lと横方向Qとに開放する。検出域40の大きさと方向は、長さ方向Lと横方向Qの検出端50の寸法、例えば、複数の開口54を有する検出端50の領域の長さにより決定される。
【0048】
対応する第1の顎42及び第2の領域44の導管48としての多くの開口54を正に備える検出端50に、複数の開口54が設けられる。図示の実施の形態では、複数の開口54は、例えば検出端50で垂直方向に開放する。
【0049】
図3に示す各検出端50の複数の開口54は、長さ方向Lに延伸する複数列の複数の開口54として配置される。図示の実施の形態では、各5個の開口54が1列に設けられる。図示の実施の形態では、横方向Qに複数の列、即ち2列の開口54が設けられる。
【0050】
図示の実施の形態では、各検出端50は、定型的格子状に配置される10個の開口54を有する。複数の開口54は、互いに隣接して配置される。長さ方向Lにずら(偏移)して、隣接する列の開口54を配置できる。複数の開口54のずれる間隔は、1列の2開口54間の間隙(中点から中点まで)の半分に相当する。
【0051】
図4に示すように、第1の顎42と第2の顎44の各検出端50は、相当する開口54を有する。第1の顎42と第2の顎44の相互に相当する開口54は、互いに整列する。拡張室52と導管48により第1の顎42と第2の顎44の各流体口46と検出域40の開口54とは、流体連結される。各流体口46の孔は、拡張室52に開放する。拡張室52は、第1の顎42又は第2の顎44内の空洞である。
【0052】
第1の顎42と第2の顎44の導管48は、第1の顎42と第2の顎44の拡張室52に接続される。例えば、導管48は、流体口46の反対側の拡張室52側から延伸する。導管48は、相当する第1の顎42と第2の顎44の開口54に開放する。拡張室52から延伸する導管48は、最初に長さ方向Lに互いに平行に延伸し、その後、検出端50に向かって円弧状に湾曲する。
【0053】
第1の顎42と第2の顎44の検出端50と開口54を垂直方向Hに離間して配置する変形実施の形態では、非円弧状に導管48を延伸できる。図示の実施の形態では、導管48を角度90°で延伸するが、角度80°と100°との間の検出端50でもよい。
【0054】
導管48は、互いに平行に延伸する開口54の領域を備える。第1の顎42と第2の顎44の導管48の湾曲部は、異なる角度の湾曲形態でもよい。導管48の長さは、開口54の1つの開口幅の3倍より大きい。別法として又は付加的に、導管48の長さは、5mmより大きく、例えば10mmより大きい。
【0055】
開口54に対し導管48を先細状(テーパ状)に傾斜させられる。例えば、拡張室52に向かって導管48の直径は、導管48の開口54での直径より大きい開口幅を有する。このように、第1の顎42では、流体口46及び先細断面の導管48により拡張室52から検出域40まで完全に流体接続される。
【0056】
同様に、第2の顎44の流体口46から導管48を通り検出域40まで第2の顎44内に延伸する流体連結路が形成される。例えば、流体連結路は、拡張室52と第2の顎44の導管48とを備える。検出器ヘッド32は、例えば、流体連結路の流路により、圧縮空気源34及び圧力検出器36に流体接続され、導管48の開口54で受ける空気圧力により、長尺材Bの側縁Kの位置を測定しかつ検出する。
【0057】
例えば、第1の顎42の流体口46は、流体配管により圧縮空気源34に流体接続され、第2の顎44の流体口42は、流体配管より圧力検出器36に流体接続される。圧縮空気は、第1の顎42の流体口46、拡張室52、導管48及び開口54を通じて、検出域40に導入されると同時に、第1の顎42の開口54から検出域40に排出する空気圧力は、第2の顎44の開口54、導管48、拡張室52、第2の顎44の流体口46を通じて圧力検出器36に供給され、圧力検出器36は、第2の顎44の検出端50の圧力値を決定する。
【0058】
このように、第2の顎44の流体口46は、圧縮空気源34に流体接続され、第1の顎42の圧力口46も、圧力検出器36に流体接続される。長尺材B、例えば長尺材Bの側縁Kは、
図4に示す検出域40に案内され、検出域40に対して長尺材Bの側縁Kの位置により、圧力検出器36で測定し検出する圧力値が変化する。
【0059】
それにより、複数の開口54を覆う長尺材Bの側縁Kの位置により、第2の顎44(又は第1の顎42)の開口54から噴出する圧縮空気は、第2の顎44(又は第1の顎42)の検出端50の相当する開口54に到達しない。長尺材Bの側縁Kが検出域40に配置されない場合は、圧力検出器36が決定する圧力は、側縁Kが検出域40に配置される場合よりも小さく、圧力検出器36が決定する圧力が低いとき、長尺材Bの側縁Kは、検出域40に配置される。
【0060】
圧力検出器36により測定する圧力値を使用して、検出域40内の長尺材Bの側縁Kの位置を判断でき、圧力検出器36の圧力値が低いとき、長尺材Bの側縁Kは、検出域40内に向かって横方向Qに更に移動される。
【0061】
例えば精密な検出器ヘッド32と精密な側縁検出器28が導管48の使用を通じて設けられる。複数の導管48を通じて、均一な空気流が検出域40に発生し、検出域40内の側縁Kの位置と検出域40を流れる空気流量との良好な直線特性を達成できる。複数の導管48又は複数の開口54に案内される複数の空気流は、互いに影響されない。
【外国語明細書】