(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001396
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】電磁波対策器具
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20241225BHJP
【FI】
H05K9/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100952
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】507084464
【氏名又は名称】株式会社スプレンダーISO
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(74)【代理人】
【識別番号】100227455
【弁理士】
【氏名又は名称】莊司 英史
(72)【発明者】
【氏名】磯 雄太郎
(72)【発明者】
【氏名】平田 敬一
【テーマコード(参考)】
5E321
【Fターム(参考)】
5E321BB33
5E321BB53
5E321CC16
5E321GG01
5E321GG05
(57)【要約】
【課題】簡便に所望とする箇所に電磁波対策を施すことが可能な電磁波対策器具を提供する。
【解決手段】本発明は、電磁波対策器具10であって、テラヘルツ鉱石粉末を含む樹脂材料製の基材100と、前記基材100に対して、磁力線が垂直に入射するように配される円柱状マグネット200と、前記基材100に対して積層されるように配されるアルミニウムシート基材305と、前記基材100と前記円柱状マグネット200と前記アルミニウムシート基材305とを対象物に貼付するシール300と、有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テラヘルツ鉱石粉末を含む樹脂材料製の基材と、
前記基材に対して、磁力線が垂直に入射するように配されるマグネットと、
前記基材に対して積層されるように配されるアルミニウムシートと、
前記基材と前記マグネットと前記アルミニウムシートとを対象物に貼付するシールと、有することを特徴とする電磁波対策器具。
【請求項2】
前記テラヘルツ鉱石粉末がケイ素粉末であることを特徴とする請求項1に記載の電磁波対策器具。
【請求項3】
前記マグネットがマンガンアルミ磁石であることを特徴とする請求項1に記載の電磁波対策器具。
【請求項4】
前記マグネットが前記基材に埋設されることを特徴とする請求項1に記載の電磁波対策器具。
【請求項5】
前記マグネットが前記基材とは異なるマグネットホルダーに装着されることを特徴とする請求項1に記載の電磁波対策器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波による人体への影響を軽減する電磁波対策器具に関する。
【背景技術】
【0002】
稼働中の電気製品や、通電状態の電線からは電磁波が放射されている。近年、このような電磁波による人体への影響が問題視されている。WHO(世界保健機関)は、1996年より国際電磁界プロジェクトとして、電磁波による健康リスクについて評価を行っている。
【0003】
電磁波対策のための提案がなされており、このような提案の一つして、例えば、特許文献1(特許第7117050号公報)には、配線用差込接続器が埋め込まれた家具に対して、電磁波対策を行うための化粧板が記載されている。
【特許文献1】特許第7117050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の従来技術は、家具などの比較的大きな物品に対して電磁波対策を行うものであり、所望する箇所における電磁波対策を簡便に行うことができない、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決するものであって、本発明に係る電磁波対策器具は、テラヘルツ鉱石粉末を含む樹脂材料製の基材と、前記基材に対して、磁力線が垂直に入射するように配されるマグネットと、前記基材に対して積層されるように配されるアルミニウムシートと、前記基材と前記マグネットと前記アルミニウムシートとを対象物に貼付するシールと、有することを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る電磁波対策器具は、前記テラヘルツ鉱石粉末がケイ素粉末であることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る電磁波対策器具は、前記マグネットがマンガンアルミ磁石であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る電磁波対策器具は、前記マグネットが前記基材に埋設されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る電磁波対策器具は、前記マグネットが前記基材とは異なるマグネットホルダーに装着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る電磁波対策器具は、テラヘルツ鉱石粉末を含む樹脂材料製の基材と、前記基材に対して、磁力線が垂直に入射するように配されるマグネットと、前記基材に対して積層されるように配されるアルミニウムシートと、前記基材と前記マグネットと前記アルミニウムシートとを対象物に貼付するシールと、有するものであり、このような本発明に係る電磁波対策器具によれば、スマートフォンなどの電気製品等に貼着させることが可能で、簡便に所望とする箇所に電磁波対策を施すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る電磁波対策器具10を説明する図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る電磁波対策器具10の分解図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る電磁波対策器具10を示す図である。
【
図5】本発明の第3実施形態に係る電磁波対策器具10の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る電磁波対策器具10を説明する図である。
図1において、(A)は電磁波対策器具10の斜視図であり、(B)はX-X’の断面図である。
図2は本発明の第1実施形態に係る電磁波対策器具10の分解図である。また、
図3はシール300の断面模式図である。
【0013】
本発明に係る電磁波対策器具10は、コイン程度の大きさを有するものであり、例えば、スマートフォンに貼り付けることで、スマートフォンから放射される電磁波を軽減して、人体への影響を抑制することが想定されるものである。なお、本発明に係る電磁波対策器具10は、スマートフォンに限らず、その他の電気製品や、電気製品の電源プラグを差し込む際の、コンセント差し込み口に貼り付けて用いることでもできる。
【0014】
図1の視点EPから、電磁波対策器具10を見た時を平面視とすると、本発明に係る電磁波対策器具10の平面視は、円をなすものである。電磁波対策器具10の主要構成部材である基材100は、テラヘルツ鉱石粉末が3.0質量%以上8.0質量%以下含まれる合成樹脂材料製の部材である。
【0015】
ここで、テラヘルツ鉱石粉末としては、ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ、ジルコニア、シリカ等からなる高純度(例えば、純度が99.9999%以上(6N以上))のセラミックスや各種の鉱石等を用いることができる。
【0016】
合成樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの汎用樹脂、及びこれら樹脂の組み合わせなどを用いることができる。テラヘルツ鉱石粉末が合成樹脂材料に対して3.0質量%未満である場合には、テラヘルツ鉱石粉末による効能が低くなる可能性がある。また、テラヘルツ鉱石粉末が合成樹脂材料に対して8.0質量%より多いと、テラヘルツ鉱石粉末が、基材100から粉を吹くようになってしまうので、テラヘルツ鉱石粉末の合成樹脂材料への配合量は、3.0質量%以上8.0質量%以下とすることが好ましい。
【0017】
テラヘルツ鉱石粉末で発生する振動は、人体の細胞に浸透して作用することで、細胞を活性化して新陳代謝を促し、コリ、炎症等を軽減することが期待されており、テラヘルツ鉱石粉末を基材100に混入させることで、電磁波による人体への影響がより軽減されることが期待できる。
【0018】
基材100は、第1主面110と、この第1主面110と表裏の関係にある第2主面120とを有しており、第1主面110側には、3つのマグネット用陥没部130が設けられており、マグネット用陥没部130に円柱状マグネット200が埋設されるようにして取り付けられている。基材100に設ける円柱状マグネット200の数は、任意である。円柱状マグネット200の磁力線は、基材100に対して垂直に入射するレイアウトとされている。
【0019】
円柱状マグネット200は、希土類磁石・フェライト磁石・超高密度希土類ボンド磁石・鉄クロムコバルト金属磁石などの磁石を用いることができる。また、円柱状マグネット200は、最大磁束密度が200mT以上230mT以下であるものを用いることが好ましい。
【0020】
特に、本発明に係る電磁波対策器具10に用いる円柱状マグネット200としては、特許3138192号公報に記載されたトルマリン等の遠赤外線放射材料が混合された無バインダーのマンガンアルミ磁石を用いることが好適である。
【0021】
基材100の厚さDは1.5mm程度であり、円柱状マグネット200の厚さdは0.7mm程度であり、基材100の平面視は、直径が25mmの円である。また、円柱状マグネット200を、基材100に取り付けられた状態で平面視すると、直径が3mm程度である。なお、このような寸法関係は一例に過ぎず、本発明の概念がこれら寸法に拘束されるものではない。
【0022】
図2の分解斜視図におけるN、Sに示されるように円柱状マグネット200は着磁されており、この図に示す通りに、3つの円柱状マグネット200が基材100に埋設されるようにして取り付けられている。すなわち、基材100の外側に円柱状マグネット200のN極がくるようになっている。すなわち、本発明に係る電磁波対策器具10においては、基材100の第1主面110から磁力線が出て、基材100の第2主面120に磁力線が入るようになっている。
【0023】
本発明に係る電磁波対策器具10においては、上記のような磁力線が電磁波対策器具10の周囲に発生することで、電磁波対策器具10に入射しようとする電磁波の入射方向を変更させることで、電磁波の軽減を図るものである。
【0024】
基材100の第2主面120側には、シール用陥没部140が設けられており、このシール用陥没部140にシール300が貼り付けられている。
図3に示されるようにシール300は、アルミニウムシート基材305と、このアルミニウムシート基材305の一方の主面に設けられる第1貼着層310と、アルミニウムシート基材305の他方の主面に設けられる第2貼着層320と、第2貼着層320に剥離可能に貼着されている剥離シート330とから構成されている。本発明に係る電磁波対策器具10は、電磁波遮蔽に効果的であるアルミニウムシート基材305がシール300にも用いられているので、より効果的な電磁波対策を実施することができる。
【0025】
シール用陥没部140側には、シール300の第1貼着層310が貼着される。本発明に係る電磁波対策器具10を、スマートフォンなどの電気製品に貼り付ける際には、剥離シート330が剥がされて、第2貼着層320の粘着力により電磁波対策器具10がスマートフォンなどの電気製品に取り付けられる。
【0026】
シール300は、テラヘルツ鉱石粉末が混入されている基材100と、円柱状マグネット200と、アルミニウムシート基材305とを、対象物に貼付する役割を果たす。
【0027】
本発明に係る電磁波対策器具10は、テラヘルツ鉱石粉末を含む樹脂材料製の基材100と、前記基材100に対して、磁力線が垂直に入射するように配される円柱状マグネット200と、前記基材100に対して積層されるように配されるアルミニウムシート基材305と、前記基材100と前記円柱状マグネット200と前記アルミニウムシート基材305とを対象物に貼付するシール300と、を有するものであり、このような本発明に係る電磁波対策器具10によれば、スマートフォンなどの電気製品等に貼着させることが可能で、簡便に所望とする箇所に電磁波対策を施すことが可能となる。
【0028】
以上のように構成される第1実施形態に係る電磁波対策器具10の効果について検証した。電磁波の測定のための計測機器としては、EMF-390V2(GQ Electronics社製)を用いた。また、電磁波発生源としてはiPhone7(Apple社製)を用いた。まず、電磁波発生源のない場所で、バックグランドとなる電磁波のレベルを同計測機器で計測したところ、10nW/cm2~20nW/cm2であった。なお、同計測機器による測定周波数帯域は、1~10GHzとした。
【0029】
次に、計測機器から5cm離間したところに、電磁波発生源を載置して、計測機器で計測したところ、15μW/cm2~25μW/cm2であった。すなわち、バックグランドの電磁波レベルから10の3乗レベル上昇した電磁波が計測されることが確認できた。次に、電磁波発生源であるiPhone7の画面とは反対の面に対して第1実施形態に係る電磁波対策器具10を貼付して、先と同様に、電磁波発生源から5cm離れたところで、同計測機器により計測を行ったところ、3μW/cm2~4μW/cm2という測定結果を得た。以上から、第1実施形態に係る電磁波対策器具10によれば、スマートフォンなどの電気製品に伴う電磁波を、およそ8割程度削減することができる可能性があることが確認できた。
【0030】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
図4は本発明の第2実施形態に係る電磁波対策器具10を示す図である。
図4は第2実施形態に係る電磁波対策器具10を平面視で見た図である。第2実施形態に係る電磁波対策器具10は、平面視で略三角形をなす点が、先の実施形態と相違するのみである。第2実施形態に係る電磁波対策器具10では、略三角形の3つの角の部分が、曲面部11となるように設計されている。このような第2実施形態に係る電磁波対策器具10によれば、先の実施形態と同様の効果を得られると共に、曲面部11を有するために手触り感などが柔らかい特徴を有している。
【0031】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。これまで説明した実施形態においては、基材100はテラヘルツ鉱石粉末が混練されたものであり、さらに、この基材100に円柱状マグネット200が埋設される構成であった。これに対して、第3実施形態に係る電磁波対策器具10は、テラヘルツ鉱石粉末が混練された基材100は、円柱状マグネット200を埋設する部材とは別構成とされている点で先の実施形態と相違している。
【0032】
図5は本発明の第3実施形態に係る電磁波対策器具10の分解斜視図である。
図5は、第3実施形態に係る電磁波対策器具10の積層構造を分解して示した図である。第3実施形態に係る電磁波対策器具10は、
図5で見て上から順に、アルミニウムシート基材305、マグネットホルダー150、基材100、シール300が適宜接着剤などに一体とされている。
【0033】
アルミニウムシート基材305は、電磁波遮蔽に有効に寄与することができるものであり、第3実施形態に係る電磁波対策器具10による電磁波対策をより効果的なものとする。マグネットホルダー150は、円柱状マグネット200を保持するポリエチレンやポリプロピレン製の部材である。このようなマグネットホルダー150は、板状の基板を打ち抜きにより製造することができ、製造製がよい。円柱状マグネット200としては、先の実施形態と同様のものを用いることができる。
【0034】
基材100は、テラヘルツ鉱石粉末が3.0質量%以上8.0質量%以下含まれる合成樹脂材料製の部材である。この基材100に対しては、マグネットホルダー150に保持された円柱状マグネット200の磁力線が垂直に入射するようになっている。
【0035】
シール300は、少なくとも粘着層と剥離シートとを有し、積層されたアルミニウムシート基材305、マグネットホルダー150、基材100を、対象物に貼付可能とするものであり、積層構成は
図3と同様のものである必要はない。
【0036】
以上のような第3実施形態に係る電磁波対策器具10は、これまで説明した実施形態と同様の効果を享受することができると共に、マグネットホルダー150が利用されるために製造が容易である、というメリットを有する。
【符号の説明】
【0037】
10・・・電磁波対策器具
11・・・曲面部
100・・・基材
110・・・第1主面
120・・・第2主面
130・・・マグネット用陥没部
140・・・シール用陥没部
150・・・マグネットホルダー
200・・・円柱状マグネット
300・・・シール
305・・・アルミニウムシート基材
310・・・第1貼着層
320・・・第2貼着層
330・・・剥離シート