(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025139663
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20250919BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20250919BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20250919BHJP
【FI】
H04N23/60
H04N23/56
G03B17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024038619
(22)【出願日】2024-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 亮則
【テーマコード(参考)】
5C122
【Fターム(参考)】
5C122DA04
5C122EA06
5C122GE01
5C122GE07
5C122GF04
5C122GG03
5C122GG22
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】電子機器において、部品が取り外されたこと容易に検出する。
【解決手段】電子機器100は、第1の部品104と、第1の部品が締結部材301aによって固定される第2の部品105と、情報をメモリ201に記録させる制御手段203とを有いる。第2の部材には、第1および第2の部材とは電気的に接続されず、締結部材を介して互いに電気的に接続され、締結部材が取り外されることで互いの電気的な接続が切断される第1の導電部107および第2の導電部108が設けられている。制御手段は、上記電気的な接続の切断に応じて上記情報を変化させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部品と、
前記第1の部品が締結部材によって固定される第2の部品と、
情報をメモリに記録させる制御手段とを有し、
前記第2の部材には、前記第1および第2の部材とは電気的に接続されず、前記締結部材を介して互いに電気的に接続され、前記締結部材が取り外されることで互いの電気的な接続が切断される第1の導電部および第2の導電部が設けられており、
前記制御手段は、前記電気的な接続の切断に応じて前記情報を変化させることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記情報は、前記電気的な接続の有無を示す数値情報、前記電気的な接続のオンとオフを示す情報または前記電気的な接続が切断された日時を示す情報のうちいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1および前記第2の部材は、非導電性の材料により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1および第2の導電部のうち少なくとも一方が、前記第2の部品にインサート成形されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第1および第第2の導電部のうち少なくとも一方が、前記第2の部品における配線により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記締結部材は、前記第2の部材に締め込まれるビス部と、前記第1および第2の導電部に接触する接触部とを有することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第1および第2の導電部が、前記締結部材が締め込まれる被締結部を形成していることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第1の部品は、前記電子機器の外観を構成する外装カバーであることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
前記第1の部品は、前記電子機器の分解に際して最初に取り外される部品であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項10】
前記締結部材は、前記第1の部品を前記第2の部品から取り外す際に最初に取り外される締結部材であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項11】
前記締結部材の外面を覆うように前記第1の部品に固定される非導電性の第3の部品を有することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項12】
発光部をさらに有し、
前記制御手段は、前記電気的な接続の切断に応じて前記発光部を発光させることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項13】
前記制御手段は、前記電気的な接続が切断された状態において、前記発光部を発光させるための電力を充電させる信号または前記発光部を発光させる信号のうち少なくとも一方の出力を停止することを特徴とする請求項12に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器内に保存されている機密情報の保護や違法改造に対する対策として、電子機器が分解されたことを判定する方法が用いられる。特許文献1には、電子回路を搭載したプリント基板とケース部品との間に電気的な接触部を設け、接触部が離間することでプリント基板に対してケース部品が取り外されたことを検出する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の方法が使用できるのは、電気的な接触部を設けることができる部品(プリント基板と導電性のケース部品)間に限られる。例えば、非導電性の樹脂部品であるケース部材間には電気的な接触部を設けることができないため、これらのケース部品が分解されたことを検出することができない。
【0005】
本発明は、部品が取り外されたこと容易に検出できるようにした電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての電子機器は、第1の部品と、第1の部品が締結部材によって固定される第2の部品と、情報をメモリに記録させる制御手段とを有する。第2の部材には、第1および第2の部材とは電気的に接続されず、締結部材を介して互いに電気的に接続され、締結部材が取り外されることで互いの電気的な接続が切断される第1の導電部および第2の導電部が設けられている。制御手段は、上記電気的な接続の切断に応じて上記情報を変化させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子機器において、部品が取り外されたことを容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】実施例1の撮像装置において締結部材によって側面カバーが本体部材に締結された状態を示す断面図。
【
図5】実施例2の撮像装置において発光部がポップアップした状態を示す外観斜視図。
【
図7】実施例2の撮像装置において締結部材によって背面カバーが本体部材に締結された状態を示す断面図。
【
図8】実施例1における処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例0010】
図1は、本発明の実施例1である電子機器としての撮像装置(レンズ交換式デジタルカメラ)100の外観を示している。
図2は、撮像装置100の構成を示している。なお、電子機器には、撮像装置100に限らず、様々なものが含まれる。
【0011】
撮像装置100は、
図1に示すように、それぞれ樹脂等で形成された正面カバー101、上面カバー102、背面カバー103および側面カバー104を含む外装カバー(外装部品)を有する。本実施例の側面カバー104は、非導電性材料により形成されており、第1の部品に相当する。側面カバー104は、撮像装置100を分解する際に外装カバーの中で最初に取り外される部品である。
【0012】
撮像装置100の前面には、不図示の交換レンズユニットが着脱されるマウント部180が設けられている。以下の説明では、撮像装置100の左右方向(幅方向)をX方向とし、高さ方向をY方向とし、交換レンズユニットが装着された場合の光軸方向をZ方向とする。
【0013】
図3は、撮像装置100を分解した状態を示している。側面カバー104は、締結部材301aによって本体部材105に対して固定される部材である。締結部材301aは、側面カバー104を撮像装置100から取り外す際に最初に取り外される締結部材である。側面カバー104は、締結部材301aの他にも不図示の複数の締結部材によって本体部材105に対して固定される。締結部材301aは、鉄等の導電性を有する金属製のビスである。本体部材105は、本実施例での第2の部品に相当する。
【0014】
本体部材105には、プリント基板としての制御基板200が不図示の締結手段によって固定される。制御基板200には、メモリ201と内蔵電池202とCPU203等で構成される電子回路が実装されている。メモリ201は、EEPROM等の不揮発性メモリであり、電気的に情報を記録・消去可能である。メモリ201は、本実施例におけるカウント手段に相当する。
【0015】
内蔵電池202は、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池である。内蔵電池202は、メモリ202への情報の記録やメモリ202に記録された情報の保持のための電源として用いられる。制御手段としてのCPU203は、撮像装置100の動作を制御する。制御基板200には、図示はしないが、さらにチップ抵抗、セラミックコンデンサ、インダクタ、トランジスタ等、様々な電子部品が実装されている。
【0016】
図4(a)は、側面カバー104が締結部材301aによって本体部材105に固定されている状態を、締結部材301aの締結方向(X方向)から見て示している。
図4(b)は、
図4(a)に示す矢印A方向から見た締結部材301aおよびその周辺の断面を示している。
【0017】
図4(b)に示すように、側面カバー104は締結部材301aによって本体部材105に固定されている。締結部材301aは、頭部302と、頭部302よりも外径が小さい中間部(接触部)303と、中間部303より外径が小さいビス(雄ネジ)部304とを有する。頭部302の底面は側面カバー104にX方向にて当接し、中間部303の底面は本体部材105(後述する第1の導電部と第2の導電部)にX方向にて当接している。本体部材105は、ビス部304が締め込まれるビス下穴(雌ネジ)が設けられた被締結部106を有する。被締結部106にビス部304が締め込まれることによって、側面カバー104が本体部材105に対して固定される。締結部材301aとしては、セルフタップビス等を用いることができる。
【0018】
本体部材105は、例えばポリカーボネート等の非導電性の樹脂材料で成形されている。本体部材105における締結部材301aにおける中間部303が当接する部分には、第1の導電部107と第2の導電部108が設けられている。第1の導電部107と第2の導電部108は、SUS等の導電性を有する金属板が本体部材105にインサート成形されることで本体部材105の一部として形成されている。ただし、第1の導電部107と第2の導電部108は、金属板のインサート成形に限らず、例えば本体部材105の表面に配線を設けることで形成されてもよい。また第1の導電部107と第2の導電部108のうち一方を本体部材105にインサート成形し、他方を本体部材105の表面への配線により形成してもよい。
【0019】
なお、被締結部106を本体部材105のうち樹脂部分ではなく、第1の導電部107と第2の導電部108に設けてもよい。
【0020】
締結部材301a(ビス部304)が被締結部106に締め込まれていない状態では、第1の導電部107と第2の導電部108は互いに電気的に接続されていない。締結部材301aが被締結部106に締め込まれると、中間部303の底面が第1の導電部107と第2の導電部108に接触することで、締結部材301aを介して第1の導電部107と第2の導電部108が互いに電気的に接続される。
第1の導電部107と第2の導電部108はそれぞれ、不図示のフレキシブル基板または導電性の板金やガスケット等を介して、メモリ201、内蔵電池202およびCPU203に電気的に接続されている。被締結部106に締め込まれた締結部材301a、メモリ201、内蔵電池202、CPU203、第1の導電部107および第2の導電部108によって電気的な閉ループ回路が形成されている。
【0021】
図4(c)は、
図4(b)に示した状態から締結部材301aが取り外された状態を示している。締結部材301aが取り外されたことによって、第1の導電部107と第2の導電部108の電気的な接続が切断される。この電気的な接続の切断(つまりは締結部材301aの取り外し)を検出したCPU203は、メモリ201内に記録されている情報を変化させる。この情報は、第1の導電部107と第2の導電部108の電気的な接続の有無を示す数値等の情報である。例えば電気的な接続の切断を検出したCPU203は、電気的な接続があることを示す数値情報「0」を「1」に変化させる。
【0022】
メモリ201に記録された数値情報を後に読み出したり変化の回数をカウントしたりすることで、締結部材301aが取り外されたか否かや取り外された回数が何回かを確認することができる。すなわち、側面カバー104が本体部材105から取り外されて撮像装置100が分解されたか否かや何回分解されたかを確認することができる。
【0023】
図8は、コンピュータとしてのCPU203がプログラムに従って実行する処理を示している。ステップS101では、CPU203は、第1の導電部107と第2の導電部108の電気的な接続の有無を判定する。第1の導電部107と第2の導電部108の電気的な接続がある場合はステップS102に進み、電気的な接続がない場合はステップS103に進む。
【0024】
ステップS102では、CPU203は、メモリ201に数値情報を「0」を記録する。ステップS103では、CPU203は、メモリ201に数値情報を「1」を記録する。そして本処理を終了する(ステップS101に戻る)。
【0025】
撮像装置100が生産工場から出荷される際や撮像装置100の正規の修理やメンテナンスのために分解された際には、メモリ201に記録されている情報を初期値(例えば数値情報を「0」)に戻すことも可能である。またメモリ201内の情報は、数値情報に限らず、第1の導電部107と第2の導電部108の電気的な接続のオンとオフを示す情報でもよいし、締結部材301aが取り外された日時の情報を付加してもよい。さらにメモリ201内の情報をWEB上(クラウド上)にアップロードすることを可能にしてもよい。
【0026】
本実施例では撮像装置100の分解に際して外装カバーのうち最初に取り外される側面カバー104(締結部材301a)の取り外しを検出する場合について説明したが、外装カバーのうち2番目以降に取り外される背面カバー103等の取り外しを検出してもよい。
【0027】
また本実施例では撮像装置100から側面カバー104を取り外す際に最初に取り外される締結部材301aの取り外しを検出する場合について説明したが、側面側カバー104を取り外す際に2番目以降に取り外される締結部材の取り外しを検出してもよい。
【0028】
また本実施例では、各外装カバーが本体部材105に固定されている場合について説明したが、外装カバー同士が締結部材により固定されていてもよい。この場合、被締結部を形成する外装カバーに第1の導電部107と第2の導電部108を設ける。
【0029】
さらに本実施例では、撮像装置100の外観を構成する外装カバーが取り外される場合について説明したが、撮像装置100の外観に露出していない内部構成部品の分解(取り外し)を検出するように構成してもよい。
本実施例の撮像装置100Aは、上面カバー102に対してポップアップすることが可能な発光部204を有する。発光部204は、ストロボ等であり、不図示の被写体に照明光を照射する。発光部204の内部には、不図示のトリガーコイルとキセノン管と反射傘とが配置され、不図示のリード線を用いて後述する蓄電部205と接続されている。
本実施例における第1の部材としての背面カバー103には、第3の部材としてのグリップ部材206が固定される。グリップ部材206は、ゴム等の軟質材料かつ非導電性材料で形成され、接着剤によって背面カバー103に接着される。背面カバー103は、締結部材301bによって第2の部材としての本体部材105に対して固定されている。締結部材301bは、グリップ部材206が背面カバー103に接着された状態では撮像装置100Aの外観に露出しない位置に設けられている。つまりは背面カバー103は、締結部材301bの外面(頭部)を覆うように背面カバー103に接着されている。このため、締結部材301bを外して背面カバー103を本体部材105から取り外す際は、グリップ部材206を背面カバー103から剥がす必要がある。
このように本実施例では、背面カバー103が本体部材105から取り外されて蓄電部205が露出している状態では蓄電部205内の電力が空の状態となり、ユーザが蓄電部205に触れて感電することを防止できる。