(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025139828
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】基板装置
(51)【国際特許分類】
H01R 12/58 20110101AFI20250919BHJP
H01R 12/73 20110101ALI20250919BHJP
【FI】
H01R12/58
H01R12/73
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024038878
(22)【出願日】2024-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 直哉
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB18
5E223BA27
5E223BB12
5E223CB22
5E223CB63
5E223CD01
5E223CD15
5E223DA05
5E223DB01
5E223DB08
5E223DB13
5E223DB25
(57)【要約】
【課題】回路基板のスルーホール内におけるプレスフィット部の傾きを抑制する。
【解決手段】基板装置は、互いに対向するように配置される一対の回路基板10,20と、一対の回路基板10,20に接続されるプレスフィット端子30とを備え、プレスフィット端子30の長さ方向の両端部には、一対の回路基板10,20のスルーホール11,21に対して弾性変形した状態で圧入される第1プレスフィット部32と第2プレスフィット部33が形成され、プレスフィット端子30には、プレスフィット部32,33がスルーホール11,21に圧入されている状態において、回路基板10,20に当接することによってスルーホール11,21内におけるプレスフィット部32,33の傾きを抑制する傾き規制部36,37が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向するように配置される一対の回路基板と、
前記一対の回路基板に接続されるプレスフィット端子とを備え、
前記プレスフィット端子の長さ方向の両端部には、前記一対の回路基板のスルーホールに対して弾性変形した状態で圧入される一対のプレスフィット部が形成され、
前記プレスフィット端子には、前記プレスフィット部が前記スルーホールに圧入されている状態において、前記回路基板に当接することによって前記スルーホール内における前記プレスフィット部の傾きを抑制する傾き規制部が形成されている基板装置。
【請求項2】
前記プレスフィット部は、互いに接近する方向に弾性変位することが可能であり、前記スルーホールの内周面を弾性的に押圧する一対の弾性撓み部を有し、
前記傾き規制部は、前記一対の弾性撓み部の弾性変位方向と平行な方向へ突出した形態である請求項1に記載の基板装置。
【請求項3】
前記プレスフィット端子は、金属板材からなり、
前記傾き規制部は、
前記プレスフィット端子の板面方向に延びた第1規制部と、
前記プレスフィット端子の板厚方向に延びた第2規制部とを有する請求項1又は請求項2に記載の基板装置。
【請求項4】
前記プレスフィット端子を前記回路基板の板厚方向と平行に視たときに、一対の前記傾き規制部が点対称な形状をなしている請求項3に記載の基板装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、互いに平行をなして対向する一般基板とエンド基板を、複数のプレスフィットタイプの基板間端子を介して接続する構造が開示されている。基板間端子の両端部には、幅狭となるように弾性変形することが可能な一対のプレスフィット部が形成されている。一対のプレスフィット部は、弾性変形した状態で、一対の基板のスルーホールに圧入されている。プレスフィット部と基板は、プレスフィット部の弾性変形に起因する摩擦力によって接続状態に保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般基板とエンド基板が、それらの板面と平行な方向へ相対変位した場合、基板間端子の姿勢が傾き、プレスフィット部もスルーホールの内部で姿勢を変化させる。プレスフィット部の姿勢がスルーホール内で変化すると、プレスフィット部の弾性変形量が変化することによって、プレスフィット部による保持力が低下したり、プレスフィット部とスルーホールの内周面との間の接触抵抗が変化したり、スルーホールの開口縁部が傷ついたりする等の不具合が懸念される。
【0005】
本開示の基板装置は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、回路基板のスルーホール内におけるプレスフィット部の傾きを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の基板装置は、
互いに対向するように配置される一対の回路基板と、
前記一対の回路基板に接続されるプレスフィット端子とを備え、
前記プレスフィット端子の長さ方向の両端部には、前記一対の回路基板のスルーホールに対して弾性変形した状態で圧入される一対のプレスフィット部が形成され、
前記プレスフィット端子には、前記プレスフィット部が前記スルーホールに圧入されている状態において、前記回路基板に当接することによって前記スルーホール内における前記プレスフィット部の傾きを抑制する傾き規制部が形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、回路基板のスルーホール内におけるプレスフィット部の傾きを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例1の基板装置において第1回路基板と第2回路基板を断面にした状態をあらわす正面図である。
【
図2】
図2は、基板装置において第1回路基板と第2回路基板を断面にした状態をあらわす側面図である。
【
図3】
図3は、プレスフィット端子の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。下記の複数の実施形態を、矛盾を生じない範囲で任意に組み合わせたものも、発明を実施するための形態に含まれる。
本開示の基板装置は、
(1)互いに対向するように配置される一対の回路基板と、前記一対の回路基板に接続されるプレスフィット端子とを備え、前記プレスフィット端子の長さ方向の両端部には、前記一対の回路基板のスルーホールに対して弾性変形した状態で圧入される一対のプレスフィット部が形成され、前記プレスフィット端子には、前記プレスフィット部が前記スルーホールに圧入されている状態において、前記回路基板に当接することによって前記スルーホール内における前記プレスフィット部の傾きを抑制する傾き規制部が形成されている。本開示の構成によれば、一対の回路基板のスルーホールに一対のプレスフィット部が圧入されている状態で、一対の回路基板が対向方向と交差する方向に相対変位すると、傾き規制部が回路基板に当接することによって、スルーホール内におけるプレスフィット部の傾きが抑制される。
【0010】
(2)前記プレスフィット部は、互いに接近する方向に弾性変位することが可能であり、前記スルーホールの内周面を弾性的に押圧する一対の弾性撓み部を有し、前記傾き規制部は、前記一対の弾性撓み部の弾性変位方向と平行な方向へ突出した形態であることが好ましい。この構成によれば、プレスフィット部が、一対の弾性撓み部の弾性変形量を変化させるように傾くことを確実に防止することができる。
【0011】
(3)(1)又は(2)において、前記プレスフィット端子は、金属板材からなり、前記傾き規制部は、前記プレスフィット端子の板面方向に延びた第1規制部と、前記プレスフィット端子の板厚方向に延びた第2規制部とを有することが好ましい。この構成によれば、一対の回路基板がどのような方向へ相対変位した場合でも、スルーホール内におけるプレスフィット部の傾きを抑制できる。
【0012】
(4)(3)において、前記プレスフィット端子を前記回路基板の板厚方向と平行に視たときに、一対の前記傾き規制部が点対称な形状をなしていることが好ましい。この構成によれば、一対の回路基板がどのような方向へ相対変位した場合であっても、スルーホール内におけるプレスフィット部の傾きを、安定して抑制することができる。
【0013】
[本開示の実施形態の詳細]
[実施例1]
本開示を具体化した実施例1の基板装置を、
図1~
図3を参照して説明する。本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。本実施例1において、前後の方向については、
図2,3におけるF方向を前方と定義する。上下の方向については、
図1~3におけるH方向を上方と定義する。左右の方向については、
図1,3におけるR方向を右方と定義する。
【0014】
本実施例1の基板装置は、
図1に示すように、一枚の第1回路基板10と、一枚の第2回路基板20と、複数本のプレスフィット端子30とを備えて構成されている。第1回路基板10の回路(図示省略)と第2回路基板20の回路(図示省略)は、複数のプレスフィット端子30を介すことによって接続されている。尚、
図1~
図3においては、便宜上、プレスフィット端子30の数は1本のみ表示している。
【0015】
第1回路基板10と第2回路基板20は、水平な向き(板厚方向を上下方向に向けた姿勢)で上下方向に対向するように配置されている。第2回路基板20は、第1回路基板10の上方に配置されている。第1回路基板10の上面10S(第1回路基板10における第2回路基板20との対向面)と、第2回路基板20の下面20S(第2回路基板20における第1回路基板10との対向面)は、互いに平行をなしている。
【0016】
第1回路基板10には、第1回路基板10を上下方向に貫通する複数の円形をなす第1スルーホール11が形成されている。第2回路基板20には、第2回路基板20を上下方向に貫通する複数の円形をなす第2スルーホール21が形成されている。第1回路基板10と第2回路基板20は、両回路基板10,20を上から視た平面視において、第1スルーホール11と第2スルーホール21が同じ位置に配置されるようになっている。
【0017】
プレスフィット端子30は、所定形状に打ち抜いた金属板材に、曲げ加工を施して成形した部材である。プレスフィット端子30は、端子本体部31と、第1プレスフィット部32と、第2プレスフィット部33と、一対の第1傾き規制部36と、一対の第2傾き規制部37とを有する単一部品である。プレスフィット端子30は、板厚方向を前後方向に向けた状態で、第1回路基板10と第2回路基板20に対して導通可能に取り付けられている。
【0018】
端子本体部31は、左右方向の幅寸法が一定であり、上下方向に細長い形状をなしている。第1プレスフィット部32は、端子本体部31の下端から下方へ突出した形態である。第2プレスフィット部33は、端子本体部31の上端から上方へ突出した形態である。第1プレスフィット部32は、左右対称な一対の弾性撓み部34を有する。第2プレスフィット部33も、第1プレスフィット部32と同様、左右対称な一対の弾性撓み部34を有する。プレスフィット端子30を前方から視た正面視において、一対の弾性撓み部34は左右対称な弓形をなしている。一対の弾性撓み部34の間には、弾性撓み部34が互いに接近するように弾性変形することを可能にする撓み許容空間35が確保されている。
【0019】
一対の第1傾き規制部36は、端子本体部31の下端部のうち第1プレスフィット部32の上端よりも上方の位置に配置された部位である。各第1傾き規制部36は、第1規制部38と第2規制部39とを有する。第1規制部38は、端子本体部31の左側縁と右側縁から幅方向外方へ突出した部位である。第1規制部38は、端子本体部31の板面(前面31F及び後面31R)と平行をなし、端子本体部31の板面に対して面一状に連なっている。第1規制部38の正面視形状は、方形である。
【0020】
一方の第1傾き規制部36の第2規制部39は、第1規制部38の延出端縁から前方へ直角に延出した部位である。他方の第1傾き規制部36の第2規制部39は、第1規制部38の延出端縁から後方へ直角に延出した部位である。第2規制部39は、端子本体部31の板厚方向と平行をなしている。平面視において、各第1傾き規制部36は、L字形に屈曲した形状をなしている。一対の第1傾き規制部36は、平面視において点対称な形状である。プレスフィット端子30を側方から視た側面視において、第2規制部39は、L字形に屈曲した形状をなしている。第1傾き規制部36(第1規制部38及び第2規制部39)の下端縁の高さは、第1プレスフィット部32(弾性撓み部34)の上端と同じ高さに設定されている。
【0021】
一対の第2傾き規制部37は、端子本体部31の上端部のうち第2プレスフィット部33の下端よりも下方の位置に配置された部位である。一対の第2傾き規制部37は、一対の第1傾き規制部36と上下対称な形状をなしている。各第2傾き規制部37は、第1傾き規制部36と同様、第1規制部38と第2規制部39とを有する。第2傾き規制部37の平面視形状は、第1傾き規制部36と同じくL字形に屈曲した形状である。一対の第2傾き規制部37は、第1傾き規制部36と同様、平面視において点対称な形状である。第2傾き規制部37(第1規制部38及び第2規制部39)の上端縁の高さは、第2プレスフィット部33(弾性撓み部34)の下端と同じ高さに設定されている。
【0022】
プレスフィット端子30を第1回路基板10と第2回路基板20に取り付ける際には、まず、第1回路基板10の第1スルーホール11に対し、プレスフィット端子30の第1プレスフィット部32を上方から圧入する。圧入の過程では、一対の弾性撓み部34が互いに接近するように弾性変形していく。第1プレスフィット部32の圧入が進み、一対の第1傾き規制部36(第1規制部38及び第2規制部39)の下端縁が第1回路基板10の上面10Sに当接すると、第1回路基板10に対するプレスフィット端子30の取付け(第1スルーホール11に対する第1プレスフィット部32の圧入)が完了する。
【0023】
この後、プレスフィット端子30と第2回路基板20との取付けを行う。この工程では、第2回路基板20を下降させながら、第2スルーホール21に第2プレスフィット部33を圧入させる。第2プレスフィット部33の圧入が進み、一対の第2傾き規制部37(第1規制部38及び第2規制部39)の上端縁が第2回路基板20の下面20Sに当接したところで、第2回路基板20に対するプレスフィット端子30の取付け(第2スルーホール21に対する第2プレスフィット部33の圧入)が完了する。
【0024】
第2プレスフィット部33が第2スルーホール21に圧入される過程では、第2プレスフィット部33の弾性撓み部34が、第2スルーホール21の開口縁に摺接しながら弾性変形するため、第2プレスフィット部33の弾性復元力によって、第2回路基板20からプレスフィット端子30に対して下向きの反力(押圧力)が作用する。プレスフィット端子30に作用する押圧力は、第1傾き規制部36を介して第1回路基板10の第1対向面(上面10S)が受け止めるので、プレスフィット端子30が第1回路基板10に対して下方へ相対変位することはない。したがって、第1スルーホール11に圧入されている第1プレスフィット部32が、第1スルーホール11を貫通するように下方へ変位する虞はない。
【0025】
第1プレスフィット部32を第1スルーホール11に圧入し、第2プレスフィット部33を第2スルーホール21に圧入した状態では、プレスフィット端子30と第1回路基板10及び第2回路基板20は、半田付けされていない。そのため、第1回路基板10と第2回路基板20が水平方向(両回路基板10,20の対向方向と交差する方向)に位置ずれした場合、第1プレスフィット部32が第1スルーホール11内で傾き、第2プレスフィット部33が第2スルーホール21内で傾くことが懸念される。プレスフィット部32,33がスルーホール11,21内で傾くと、プレスフィット部32,33の弾性変形量が変化することによって、プレスフィット部32,33による保持力が低下したり、プレスフィット部32,33とスルーホール11,21の内周面との間の接触抵抗が変化したり、スルーホール11,21の開口縁部が傷ついたりする等の不具合が懸念される。
【0026】
その対策として、本実施例1では、プレスフィット端子30に第1プレスフィット部32と隣り合うように一対の第1傾き規制部36を形成し、第1傾き規制部36の下端縁を第1回路基板10の上面10Sに当接させた。一対の第1傾き規制部36は、平面視において第1プレスフィット部32を左右両側及び前後両側から挟むように離隔した位置関係で、第1回路基板10に当接している。さらに、プレスフィット端子30の第2プレスフィット部33と隣り合う位置に一対の第2傾き規制部37を形成し、第2傾き規制部37の上端縁を第2回路基板20の下面20Sに当接させた。一対の第2傾き規制部37は、平面視において第2プレスフィット部33を左右両側及び前後両側から挟むように離隔した位置関係で、第2回路基板20に当接している。
【0027】
したがって、第1回路基板10と第2回路基板20が前後方向や左右方向へ相対変位しても、第1傾き規制部36が第1回路基板10に当接することによって、第1回路基板10(第1スルーホール11)に対する第1プレスフィット部32の傾きが防止される。また、第2傾き規制部37が第2回路基板20に当接することによって、第2回路基板20(第2スルーホール21)に対する第2プレスフィット部33の傾きも防止される。両回路基板10,20が相対変位したときにプレスフィット端子30が変形するのは、端子本体部31のうち第1傾き規制部36の上端に連なる部位と、第2傾き規制部37の下端に面なる部位である。
【0028】
本実施例1の基板装置は、一対の回路基板(第1回路基板10と第2回路基板20)と、複数のプレスフィット端子30とを備えている。第1回路基板10と第2回路基板20は、互いに平行をなして上下方向に対向するように配置される。プレスフィット端子30は、第1回路基板10と第2回路基板20とに接続される。プレスフィット端子30の長さ方向における上下両端部には、一対の回路基板(第1回路基板10と第2回路基板20)のスルーホール(第1スルーホール11と第2スルーホール21)に対して弾性変形した状態で圧入される一対のプレスフィット部(第1プレスフィット部32と第2プレスフィット部33)が形成されている。
【0029】
プレスフィット端子30の下端部(一方の端部)には、第1傾き規制部36が形成されている。第1傾き規制部36は、プレスフィット端子30の下端部に形成されている第1プレスフィット部32が第1スルーホール11に圧入されている状態において、第1回路基板10に突き当たることによって第1スルーホール11に対する第1プレスフィット部32の位置ずれを規制する。
【0030】
プレスフィット端子30は、金属板材からなる。第1傾き規制部36と第2傾き規制部37の第2規制部39は、プレスフィット端子30の板厚方向に延出した形状をなしている。この構成によれば、プレスフィット端子30が第2回路基板20から圧入時の反力を受けたときに、端子本体部31が板面(前面31Fと後面31R)を前後方向へ傾けるように変位する虞がない。よって、第1プレスフィット部32が第1スルーホール11内で前後方向へ傾くことを防止でき、第2プレスフィット部33が第2スルーホール21内で前後方向へ傾くことを防止できる。
【0031】
プレスフィット端子30を第1回路基板10及び第2回路基板20の板厚方向と平行に視たときに(平面視において)、第1傾き規制部36と第2傾き規制部37は、いずれも第1規制部38と第2規制部39とによってL字形に屈曲した形状をなしている。この構成によれば、第1傾き規制部36と第2傾き規制部37はL字形の屈曲形状にしたことよって剛性が高められているので、プレスフィット端子30が圧入時の反力を受けたときに、第1傾き規制部36と第2傾き規制部37が変形することを防止できる。
【0032】
プレスフィット端子30を第1回路基板10及び第2回路基板20の板厚方向と平行に視たときに、一対の第1傾き規制部36は点対称な形状及び配置となっており、一対の第2傾き規制部37も点対称な形状及び配置となっている。この構成によれば、プレスフィット端子30が圧入時の反力を受けたときに、プレスフィット端子30の上下両端部の姿勢が安定するので、プレスフィット端子30が傾くことを、より確実に防止することができる。
【0033】
プレスフィット端子30には、第1傾き規制部36と第2傾き規制部37が形成されている。第1傾き規制部36は、第1プレスフィット部32が第1スルーホール11に圧入されている状態において、第1回路基板10に当接することによって第1スルーホール11内における第1プレスフィット部32の傾きを抑制する。第2傾き規制部37は、第2プレスフィット部33が第2スルーホール21に圧入されている状態において、第2回路基板20に当接することによって第2スルーホール21内における第2プレスフィット部33の傾きを抑制する。
【0034】
第1プレスフィット部32は、互いに接近する方向に弾性変位することが可能であり、第1スルーホール11の内周面を弾性的に押圧する一対の弾性撓み部34を有する。第1傾き規制部36は、一対の弾性撓み部34の弾性変位方向と平行な左右方向へ突出した形態である。この構成によれば、第1プレスフィット部32が、一対の弾性撓み部34の弾性変形量を変化させるように傾くことを確実に防止することができる。
【0035】
第2プレスフィット部33は、互いに接近する方向に弾性変位することが可能であり、第2スルーホール21の内周面を弾性的に押圧する一対の弾性撓み部34を有する。第2傾き規制部37は、一対の弾性撓み部34の弾性変位方向と平行な左右方向へ突出した形態である。この構成によれば、第2プレスフィット部33が、一対の弾性撓み部34の弾性変形量を変化させるように傾くことを確実に防止することができる。
【0036】
プレスフィット端子30は、金属板材からなる。第1傾き規制部36と第2傾き規制部37は、夫々、第1規制部38と第2規制部39を有する。第1規制部38は、プレスフィット端子30の板面方向(前面31Fと後面31Rと平行)に延びている。第2規制部39は、プレスフィット端子30の板厚方向(前面31F及び後面31Rと直交する方向)に延びている。この構成によれば、プレスフィット端子30の板面方向及び板厚方向の両方向と平行な二次平面内において、第1回路基板10と第2回路基板20がどのような方向へ相対変位した場合でも、第1スルーホール11内における第1プレスフィット部32の傾きと、第2スルーホール21内における第2プレスフィット部33の傾きを抑制できる。
【0037】
プレスフィット端子30を第1回路基板10及び第2回路基板20の板厚方向(第1回路基板10と第2回路基板20の対向方向)と平行に視たときに、一対の第1傾き規制部36は点対称な形状をなし、一対の第2傾き規制部37も点対称な形状をなしている。この構成によれば、第1回路基板10と第2回路基板20の対向方向と直交する二次元平面内において、第1回路基板10と第2回路基板20がどのような方向へ相対変位した場合であっても、第1スルーホール11内における第1プレスフィット部32の傾きと第2スルーホール21内における第2プレスフィット部33の傾きを、安定して抑制することができる。
【0038】
[他の実施例]
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記の実施形態も含まれる。
プレスフィット端子の板厚方向に延びる第2規制部が端子本体部から延出し、プレスフィット部の板面方向に延びる第1規制部が、第2規制部の延出端から直角に延出する形態としてもよい。
一対の第1傾き規制部は、非点対称な形状であってもよい。
一対の第2傾き規制部は、非点対称な形状であってもよい。
第1傾き規制部は、端子本体部の一部を切り起こしたものでもよい。
第2傾き規制部は、端子本体部の一部を切り起こしたものでもよい。
プレスフィット部の一方の端部(下端部)に形成した第1傾き規制部と、プレスフィット部の他方の端部(上端部)に形成した第2傾き規制部は、互いに異なる形状であってもよい。
第1プレスフィット部を構成する一対の弾性撓み部は、左右非対称な形状であってもよい。
第2プレスフィット部を構成する一対の弾性撓み部は、左右非対称な形状であってもよい。
第1回路基板と第2回路基板は、その対向面同士が斜めに対向していてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10…第1回路基板(回路基板)
10S…第1回路基板の上面
11…第1スルーホール(スルーホール)
20…第2回路基板(回路基板)
20S…第2回路基板の下面
21…第2スルーホール(スルーホール)
30…プレスフィット端子
31…端子本体部
31F…端子本体部の前面(プレスフィット端子の板面)
31R…端子本体部の後面(プレスフィット端子の板面)
32…第1プレスフィット部(プレスフィット部)
33…第2プレスフィット部(プレスフィット部)
34…弾性撓み部
35…撓み許容空間
36…第1傾き規制部(傾き規制部)
37…第2傾き規制部(傾き規制部)
38…第1規制部
39…第2規制部