(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025139871
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】ひずみゲージ
(51)【国際特許分類】
G01B 7/16 20060101AFI20250919BHJP
【FI】
G01B7/16 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024038943
(22)【出願日】2024-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小笠 洋介
(72)【発明者】
【氏名】國府田 桂介
(72)【発明者】
【氏名】小野 彩
(72)【発明者】
【氏名】相澤 祐汰
(72)【発明者】
【氏名】樋上 智貴
【テーマコード(参考)】
2F063
【Fターム(参考)】
2F063AA25
2F063CA28
2F063EC03
2F063EC05
2F063EC20
(57)【要約】
【課題】ひずみゲージの配線及び/又はひずみ電極付近における応力集中を緩和する。
【解決手段】ひずみゲージは、可撓性を有する基材10と、当該基材10上に形成される抵抗体30と、基材10上に形成される電極50と、基材10上に形成され、抵抗体30と電極50とを接続する配線40と、を備え、配線40及び電極50の少なくとも一方は、抵抗体30と同一材料で形成される第1金属層41,51と、当該第1金属層41,51上に形成され、第1金属層41,51よりも低抵抗である第2金属層42,52と、第2金属層42,52の上面に形成される第3金属層43,53と、を有し、第3金属層43,53は、平面視において第2金属層42,52の周に接するように形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する基材と、
前記基材上に形成される抵抗体と、
前記基材上に形成される電極と、
前記基材上に形成され、前記抵抗体と前記電極とを接続する配線と、を備え、
前記配線及び前記電極の少なくとも一方は、
前記抵抗体と同一材料で形成される第1金属層と、
前記第1金属層上に形成され、前記第1金属層よりも低抵抗である第2金属層と、
前記第2金属層の上面に形成される第3金属層と、を有し、
前記第3金属層は、平面視において前記第2金属層の周に接するように形成される、ひずみゲージ。
【請求項2】
前記第3金属層は、前記平面視において、前記第2金属層の周の全てに接するように形成される、請求項1に記載のひずみゲージ。
【請求項3】
前記第3金属層は、前記第2金属層の上面の全面を覆うように形成される、請求項1に記載のひずみゲージ。
【請求項4】
前記第3金属層は、前記第2金属層の上面から、前記第2金属層の側面を介して前記第1金属層の上面まで延在するように形成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のひずみゲージ。
【請求項5】
可撓性を有する基材と、
前記基材上に形成される抵抗体と、
前記基材上に形成される電極と、
前記基材上に形成され、前記抵抗体と前記電極とを接続する配線と、を備え、
前記配線及び前記電極の少なくとも一方は、
前記抵抗体と同一材料で形成される第1金属層と、
前記第1金属層上に形成され、前記第1金属層よりも低抵抗である第2金属層と、
前記第1金属層の上面に、前記第2金属層の側面と隣接するように形成される第3金属層と、を有するひずみゲージ。
【請求項6】
前記第3金属層は、平面視において前記第2金属層の周の全てに接するように形成されている、請求項5に記載のひずみゲージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ひずみゲージに関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象物に貼り付けて、測定対象物のひずみを検出するひずみゲージが知られている。ひずみゲージは、例えば、平板状の基材と、基材上に形成された抵抗体とを備える。抵抗体は、測定対象物のひずみに応じて変形する。特許文献1に記載のひずみセンサは、センサ部と、端子部(すなわち、電極)と、センサ部及び端子部を接続する配線とを備える。前記配線は、抵抗層の上に形成された金属層を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のひずみゲージでは、端子部及び配線の一部に応力集中が起こることがある。端子部又は配線に応力集中が起こると、マイクロクラックが発生する可能性がある。
【0005】
本開示は、ひずみゲージの配線及び/又は電極付近における応力集中を緩和することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るひずみゲージは、可撓性を有する基材と、当該基材上に形成される抵抗体と、基材上に形成される電極と、基材上に形成され、抵抗体と電極とを接続する配線と、を備え、配線及び電極の少なくとも一方は、抵抗体と同一材料で形成される第1金属層と、当該第1金属層上に形成され、第1金属層よりも低抵抗である第2金属層と、第2金属層の上面に形成される第3金属層と、を有し、第3金属層は、平面視において第2金属層の周に接するように形成される。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、ひずみゲージの配線及び/又はひずみ電極付近における応力集中を緩和することが可能なひずみゲージを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るひずみゲージを例示する平面図である。
【
図2】第1実施形態に係るひずみゲージの配線の部分を例示する断面図であり、
図1中のII-II線に沿う断面を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係るひずみゲージの電極の部分を例示する断面図であり、
図1中のIII-III線に沿う断面を示す図である。
【
図4】第1実施形態の変形例1に係るひずみゲージを例示する断面図である。
【
図5】第1実施形態の変形例1に係るひずみゲージの配線の部分を例示する断面図であり、
図4中のV-V線に沿う断面を示す図である。
【
図6】第1実施形態の変形例2に係るひずみゲージを例示する断面図である。
【
図7】第1実施形態の変形例2に係るひずみゲージの配線の部分を例示する断面図であり、
図6中のVII-VII線に沿う断面を示す図である。
【
図8】第1実施形態の変形例3に係るひずみゲージを例示する断面図である。
【
図9】第1実施形態の変形例3に係るひずみゲージの配線の部分を例示する断面図であり、
図8中のIX-IX線に沿う断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るひずみゲージを例示する平面図である。
図2は、第1実施形態に係るひずみゲージの配線の部分を例示する断面図であり、
図1中のII-II線に沿う断面を示している。
図3は、第1実施形態に係るひずみゲージの電極の部分を例示する断面図であり、
図1中のIII-III線に沿う断面を示している。
【0011】
図1~
図3に示されるように、ひずみゲージ1は、基材10と、抵抗体30と、配線40と、電極50と、カバー層70とを有している。なお、
図1では、便宜上、カバー層70の外縁を破線で示している。また、カバー層70は必須の構成ではなく、必要に応じて設ければよい。
【0012】
図面には、説明の便宜のために、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸からなるXYZ直交座標系が設定される場合がある。なお、当該座標系は、説明のために定めるものであって、本実施形態に係るひずみゲージ1の姿勢について限定するものではない。
【0013】
X軸方向は、X軸正方向及びX軸負方向を含む。Y軸方向は、Y軸正方向及びY軸負方向を含む。Z軸方向は、Z軸正方向及びZ軸負方向を含む。また、断面図において、切断面に沿う方向をW軸方向として、W軸方向を示す矢印を図示している場合がある。
【0014】
なお、本実施形態では、便宜上、ひずみゲージ1において、基材10から見て抵抗体30が設けられている側と同じ方向の側(本明細書の各図ではZ軸の正方向側)を上側、基材10から見て抵抗体30が設けられていない側と同じ方向にある側(本明細書の各図ではZ軸の負方向側)を下側とする。また、各部位の上側の面を上面、下側の面を下面とする。ただし、ひずみゲージ1は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置できる。また、平面視とは対象物を基材10の上面10aの法線方向から見ることを指し、平面形状とは対象物を基材10の上面10aの法線方向から視た形状を指すものとする。
【0015】
[基材10]
基材10は、抵抗体30等を形成するためのベース層となる部材であり、可撓性を有する。基材10の厚さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。例えば、基材10の厚さは、5μm~500μm程度とすることができる。特に、基材10の厚さが5μm~200μmであると、接着層等を介して基材10の下面に接合される起歪体表面からの歪の伝達性、環境に対する寸法安定性の点で好ましく、10μm以上であると絶縁性の点で更に好ましい。
【0016】
基材10は、例えば、PI(ポリイミド)樹脂、エポキシ樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、LCP(液晶ポリマー)樹脂、ポリオレフィン樹脂等の絶縁樹脂フィルムから形成できる。なお、フィルムとは、厚さが500μm以下程度であり、可撓性を有する部材を指す。
【0017】
ここで、「絶縁樹脂フィルムから形成する」とは、基材10が絶縁樹脂フィルム中にフィラーや不純物等を含有することを妨げるものではない。基材10は、例えば、シリカやアルミナ等のフィラーを含有する絶縁樹脂フィルムから形成しても構わない。
【0018】
基材10の樹脂以外の材料としては、例えば、SiO2、ZrO2(YSZも含む)、Si、Si2N3、Al2O3(サファイヤも含む)、ZnO、ペロブスカイト系セラミックス(CaTiO3、BaTiO3)等の結晶性材料が挙げられ、更に、それ以外に非晶質のガラス等が挙げられる。また、基材10の材料として、アルミニウム、アルミニウム合金(ジュラルミン)、チタン等の金属を用いてもよい。この場合、金属製の基材10上に、例えば、絶縁膜が形成される。
【0019】
[抵抗体30]
抵抗体30は、ひずみを受けて抵抗変化を生じる。抵抗体30は、基材10上に所定のパターンとして形成される。抵抗体30は、基材10の上面10aに直接形成されてもよいし、基材10の上面10aに他の層を介して形成されてもよい。
【0020】
抵抗体30は、複数の細長状部を含んでいる。これら複数の細長状部は、例えば長手方向を同一方向(
図1ではX軸方向)に向けて所定間隔で配置され、隣接する細長状部の端部が互い違いに直列に接続されている。すなわち、抵抗体30は、全体としてジグザグに折り返す構造を有している。なお、複数の細長状部の長手方向がグリッド方向(X軸方向)であり、グリッド方向と垂直な方向がグリッド幅方向(Y軸方向)である。
【0021】
グリッド幅方向の最も外側に位置する2つの細長状部の長手方向の一端部は、グリッド幅方向に屈曲している。この屈曲部分、すなわち抵抗体30の両端にある終端は、配線40を介して、電極50と電気的に接続されている。言い換えれば、配線40は、抵抗体30と各々の電極50とを電気的に接続している。なお、
図1ではシングルゲージのひずみゲージを示しているが、ひずみゲージ1は2ゲージ及び/又は4ゲージのユニットであってもよい。この場合、各ゲージの抵抗体はそれぞれ、直接又は間接的に(例えば、他のゲージの抵抗体を介して)配線及び電極と接続される。
【0022】
抵抗体30は、例えば、Cr(クロム)を含む材料、Ni(ニッケル)を含む材料、又はCrとNiの両方を含む材料から形成できる。すなわち、抵抗体30は、CrとNiの少なくとも一方を含む材料から形成できる。Crを含む材料としては、例えば、Cr混相膜が挙げられる。Niを含む材料としては、例えば、Cu-Ni(銅ニッケル)が挙げられる。CrとNiの両方を含む材料としては、例えば、Ni-Cr(ニッケルクロム)が挙げられる。
【0023】
ここで、Cr混相膜とは、Cr、CrN、Cr2N等が混相した膜である。Cr混相膜は、酸化クロム等の不可避不純物を含んでもよい。
【0024】
抵抗体30の厚さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。例えば、抵抗体30の厚さは、0.05μm~2μm程度とすることができる。特に、抵抗体30の厚さが0.1μm以上であると、抵抗体30を構成する結晶の結晶性(例えば、α-Crの結晶性)が向上する点で好ましい。また、抵抗体30の厚さが1μm以下であると、抵抗体30を構成する膜の内部応力に起因する膜のクラックや基材10からの反りを低減できる点で更に好ましい。抵抗体30の幅は、抵抗値や横感度等の要求仕様に対して最適化し、かつ断線対策も考慮して、例えば、10μm~100μm程度とすることができる。
【0025】
例えば、抵抗体30がCr混相膜である場合、安定な結晶相であるα-Cr(アルファクロム)を主成分とすることで、ゲージ特性の安定性を向上できる。また、抵抗体30がα-Crを主成分とすることで、ひずみゲージ1のゲージ率を10以上、かつゲージ率温度係数TCS及び抵抗温度係数TCRを-1000ppm/℃~+1000ppm/℃の範囲内とすることができる。ここで、主成分とは、対象物質が抵抗体を構成する全物質の50重量%以上を占めることを意味するが、ゲージ特性を向上する観点から、抵抗体30はα-Crを80重量%以上含むことが好ましく、90重量%以上含むことが更に好ましい。なお、α-Crは、bcc構造(体心立方格子構造)のCrである。
【0026】
また、抵抗体30がCr混相膜である場合、Cr混相膜に含まれるCrN及びCr2Nは20重量%以下であることが好ましい。Cr混相膜に含まれるCrN及びCr2Nが20重量%以下であることで、ゲージ率の低下を抑制できる。
【0027】
また、CrN及びCr2N中のCr2Nの割合は80重量%以上90重量%未満であることが好ましく、90重量%以上95重量%未満であることが更に好ましい。CrN及びCr2N中のCr2Nの割合が90重量%以上95重量%未満であることで、半導体的な性質を有するCr2Nにより、TCRの低下(負のTCR)が一層顕著となる。更に、セラミックス化を低減することで、脆性破壊の低減がなされる。
【0028】
一方で、膜中に微量のN2もしくは原子状のNが混入、存在した場合、外的環境(例えば高温環境下)によりそれらが膜外へ抜け出ることで、膜応力の変化を生ずる。化学的に安定なCrNの創出により上記不安定なNを発生させることがなく、安定なひずみゲージを得ることができる。
【0029】
[配線40]
配線40は、基材10上に形成され、抵抗体30及び電極50と電気的に接続されている。配線40は、第1金属層41と、第1金属層41の上面41aに積層された第2金属層42と、第2金属層42の上面42aに積層された第3金属層43を有している。
【0030】
配線40は、例えば
図1のように平面視において略三角形を成すように形成されていてよい。この場合、配線40のうち抵抗体30に近い方の部分は、例えば鋭角を成すように形成されていてよい。また、配線40の形状は略三角形に限定されず、任意の形状であってよい。例えば、配線40は直線状であってもよい。配線40の構成要素である第1金属層41、第2金属層42、及び第3金属層43の詳細については後述する。
【0031】
[電極50]
電極50は、ひずみにより生じる抵抗体30の抵抗値の変化を外部に出力するための電極である。ひずみゲージ1は、抵抗体30の両端に配線40を介して接続される、一対の電極50を有する。電極50には、例えば、外部接続用のリード線等が接合される。電極50は、基材10上に形成され、配線40を介して抵抗体30と電気的に接続されている。
【0032】
なお、抵抗体30、配線40の第1金属層41、及び第1金属層51は便宜上別符号としているが、同一材料から成る層である。また、抵抗体30と第1金属層41と第1金属層51は、同一工程において同一材料により一体に形成できる。従って、抵抗体30と第1金属層41と第1金属層51は、厚さが略同一であってよい。
【0033】
また、第2金属層42と第2金属層52は、便宜上別符号としているが、同一材料から成る層である。また、第2金属層42と第2金属層52は、同一工程において同一材料により一体に形成できる。従って、第2金属層42と第2金属層52は、厚さが略同一であってよい。
【0034】
また、第3金属層43と第3金属層53は、便宜上別符号としているが、同一材料から成る層である。また、第3金属層43と第3金属層53は、同一工程において同一材料により一体に形成できる。従って、第3金属層43と第3金属層53は、厚さが略同一であってよい。
【0035】
電極50の形状は、平面視で略円形、略半円形、及び略矩形などの任意の形状であってよい。また、前述のように電極50が複数の層から成る場合、電極50の形状は各層で同一でもよいし、異なっていてもよい。
【0036】
本実施形態の各図では、一例として、電極50と配線40が連続して形成されている場合を示している。より具体的には、ひずみゲージ1では、平面視で電極50が略円形、且つ配線40が略三角形であり、配線40と電極50とが連続して形成されている。これにより、配線40と電極50は、全体として平面視で雫型の形状を成している。なお、
図1では便宜上、において、配線40と電極50の境界L1を二点鎖線によって示した。しかしながら、電極50の境界L1の位置及び形状は、必ずしも図示の位置に定められるものではなく、配線40及び電極50の形状によって間接的に定まるものである。したがって、境界L1は図示のような直線ではなく、曲線、又は直線と曲線の両方から成る場合もある。
【0037】
[第1金属層41及び51]
第1金属層41及び51は、抵抗体30と同一材料から成る層である。また、第1金属層41及び51の厚さは、抵抗体30と同一、又は抵抗体30の厚さと同様の観点から定められた所定の厚さであってよい。
【0038】
[第2金属層42及び52]
第2金属層42及び52は、抵抗体30(第1金属層41及び51)よりも低抵抗の材料で形成されている。例えば、抵抗体30がCr混相膜である場合、第2金属層42及び52の材料として、Cu、Ni、Al、Ag、Au、Pt等、又は、これら何れかの金属の合金、これら何れかの金属の化合物、あるいは、これら何れかの金属、合金、化合物を適宜積層した積層膜が挙げられる。第2金属層42、52、及び62の厚さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。例えば、第2金属層42、52、及び62の厚さはそれぞれ3μm~5μm程度とすることができる。
【0039】
第2金属層42は第1金属層41の上面41aの一部に形成されてもよいし、上面41aの全部に形成されてもよい。また、第2金属層52は、第1金属層51の上面51aの一部に形成されてもよいし、上面51aの全部に形成されてもよい。
【0040】
本実施形態に係るひずみゲージ1の配線40は、第1金属層41上に第2金属層42が積層されている。前述の通り、配線40の第2金属層42は抵抗体30よりも抵抗が低いため、第2金属層42の積層により配線40が抵抗体として機能してしまうことを抑制できる。言い換えれば、抵抗体30よりも低抵抗な配線40の第2金属層42を設けることで、ひずみゲージ1の実質的な受感部を抵抗体30が形成された局所領域に制限できる。その結果、ひずみゲージ1では、抵抗体30によるひずみ検出精度を向上できる。
【0041】
特に、抵抗体30としてCr混相膜等を用いた高感度(例えば、ゲージ率10以上)なひずみゲージにおいて、第2金属層42を抵抗体30よりも低抵抗化して実質的な受感部を抵抗体30が形成された局所領域に制限することは、ひずみ検出精度の向上に顕著な効果を発揮する。また、第2金属層42を抵抗体30よりも低抵抗化することは、横感度を低減する効果も奏する。
【0042】
[第3金属層43及び53]
図1~
図3に示すように、第3金属層43は、平面視において第2金属層42の周42cに接するように形成されている。また、
図1~
図3に示すように、第3金属層53は、平面視において第2金属層52の周52cに接するように形成されている。換言すれば、第2金属層42の周42cは第2金属層42の縁の部分であるとも言える。同様に、第2金属層52の周52cは、第2金属層52の縁の部分であるとも言える。なお、「第2金属層の周に接するように形成されている」とは、平面視において、周(例えば42c又は52c)の内側に配置されていることを含む。
【0043】
図1及び
図2に示す通り、第3金属層43は、平面視において第2金属層42の周42cの全てに接する(すなわち、周42cの全てに沿って連続する)ように形成される。
【0044】
また、
図1及び
図3に示す通り、第3金属層53は、平面視において、第2金属層52の周52cの全てに接する(すなわち、周52cの全てに沿って連続する)ように形成される。換言すると、第3金属層43は、第2金属層42を平面視したときの、第2金属層42の縁の部分を全て覆うように形成されている。第3金属層53も同様に、第2金属層52を平面視したときの第2金属層52の縁の部分を全て覆うように形成されている。
【0045】
なお、第3金属層43及び53のヤング率は、例えば第1金属層41及び51のヤング率の80%以上、120%以下であってよい。また、第3金属層43の厚さは、例えば第1金属層41の厚さの80%以上、120%以下であってよい。また、第3金属層53の厚さは、例えば第1金属層51の厚さの80%以上、120%以下であってよい。
【0046】
また、第3金属層43及び53の厚さは、例えば第2金属層42及び52の厚さの80%以上、120%以下であってよい。第2金属層42,52及び第3金属層43,53の厚さとは、Z軸方向に沿う厚さである。
【0047】
[カバー層70]
カバー層70(絶縁樹脂層)は、基材10上に形成され、抵抗体30、及び配線40を被覆する。電極50の少なくとも一部は、カバー層70から露出している。電極50のうち、このカバー層70に覆われていない部分(
図1における開口部70aの部分)は、ひずみゲージ1の外部に露出されている。この露出した開口部70aの部分に前述のリード線等を接合することができる。なお、配線40の一部もカバー層70から露出していてもよい。
【0048】
ひずみゲージ1では、抵抗体30、及び配線40を被覆するカバー層70を設けることで、抵抗体30、及び配線40に機械的な損傷等が生じることを防止できる。また、カバー層70を設けることで、抵抗体30、及び配線40を湿気等から保護できる。なお、カバー層70は、ひずみゲージ1のうち、電極50を除く部分の全体を覆うように形成されていてもよい。
【0049】
カバー層70は、例えば、PI樹脂、エポキシ樹脂、PEEK樹脂、PEN樹脂、PET樹脂、PPS樹脂、複合樹脂(例えば、シリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂)等の絶縁樹脂から形成できる。カバー層70は、フィラーや顔料を含有しても構わない。カバー層70の厚さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、2μm~30μm程度とすることができる。
【0050】
[ダミー配線80]
また、ひずみゲージ1は、配線40と同様に形成されるダミー配線80を有していてもよい。ダミー配線80は、例えば、第1金属層81と、第1金属層81の上面に積層された第2金属層82と、第2金属層82の上面82aに積層された第3金属層83を有していてもよい。第1金属層81は第1金属層41及び51と、第2金属層82は第2金属層42及び52と、第3金属層83は第3金属層43及び53と同様の材料及び厚さを有していてよい。また、ダミーゲージは上述のような3層構造とせず、単一の層から成るものであってもよい。
【0051】
[ひずみゲージ1の製造方法]
次に、本実施形態に係るひずみゲージ1の製造方法について説明する。はじめに、基材10の上面10aに金属層(便宜上、金属層Aとする)を形成する。金属層Aは、最終的にパターニングされて抵抗体30、第1金属層41、及び第1金属層51となる層である。したがって、金属層Aの材料や厚さは、前述の抵抗体30、第1金属層41、及び第1金属層51の材料や厚さと同様である。
【0052】
金属層Aは、例えば、金属層Aを形成可能な原料をターゲットとしたマグネトロンスパッタ法により成膜できる。金属層Aは、マグネトロンスパッタ法に代えて、反応性スパッタ法や蒸着法、アークイオンプレーティング法、パルスレーザー堆積法等を用いて成膜してもよい。
【0053】
ゲージ特性を安定化する観点から、金属層Aを成膜する前に、下地層として、基材10の上面10aに所定の膜厚の機能層を真空成膜することが好ましい。機能層は、例えば、コンベンショナルスパッタ法により成膜することができる。
【0054】
本件において、機能層とは、少なくとも上層である金属層A(抵抗体30)の結晶成長を促進する機能を有する層を指す。機能層は、更に、基材10に含まれる酸素や水分による金属層Aの酸化を防止する機能、及び/又は、基材10と金属層Aとの密着性を向上する機能を備えていることが好ましい。機能層は、更に、他の機能を備えていてもよい。
【0055】
基材10を構成する絶縁樹脂フィルムは酸素や水分を含むことがあり、また、Crは自己酸化膜を形成することがある。そのため、特に金属層AがCrを含む場合、金属層Aの酸化を防止する機能を有する機能層を成膜することが好ましい。このように、金属層Aの下層に機能層を設けることにより、金属層Aの結晶成長を促進可能となり、安定な結晶相からなる金属層Aを作製することができる。その結果、ひずみゲージ1において、ゲージ特性の安定性が向上する。又、機能層を構成する材料が金属層Aに拡散することにより、ひずみゲージ1において、ゲージ特性が向上する。
【0056】
機能層の材料は、少なくとも上層である金属層A(抵抗体30)の結晶成長を促進する機能を有する材料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。例えば、機能層の材料としては、Cr(クロム)、Ti(チタン)、V(バナジウム)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、Ni(ニッケル)、Y(イットリウム)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)、Si(シリコン)、C(炭素)、Zn(亜鉛)、Cu(銅)、Bi(ビスマス)、Fe(鉄)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Re(レニウム)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Au(金)、Co(コバルト)、Mn(マンガン)、Al(アルミニウム)からなる群から選択される1種又は複数種の金属、この群の何れかの金属の合金、又は、この群の何れかの金属の化合物が挙げられる。
【0057】
上記の合金としては、例えば、FeCr、TiAl、FeNi、NiCr、CrCu等が挙げられる。また、上記の化合物としては、例えば、TiN、TaN、Si3N4、TiO2、Ta2O5、SiO2等が挙げられる。
【0058】
機能層が金属又は合金のような導電材料から形成される場合には、機能層の膜厚は抵抗体の膜厚の1/20以下であることが好ましい。このような範囲であると、α-Crの結晶成長を促進できると共に、抵抗体に流れる電流の一部が機能層に流れて、ひずみの検出感度が低下することを防止できる。
【0059】
機能層が金属又は合金のような導電材料から形成される場合には、機能層の膜厚は抵抗体の膜厚の1/50以下であることがより好ましい。このような範囲であると、α-Crの結晶成長を促進できると共に、抵抗体に流れる電流の一部が機能層に流れて、ひずみの検出感度が低下することを更に防止できる。
【0060】
機能層が金属又は合金のような導電材料から形成される場合には、機能層の膜厚は抵抗体の膜厚の1/100以下であることが更に好ましい。このような範囲であると、抵抗体に流れる電流の一部が機能層に流れて、ひずみの検出感度が低下することを一層防止できる。
【0061】
機能層が酸化物や窒化物のような絶縁材料から形成される場合には、機能層の膜厚は、1nm~1μmとすることが好ましい。このような範囲であると、α-Crの結晶成長を促進できると共に、機能層にクラックが入ることなく容易に成膜できる。
【0062】
機能層が酸化物や窒化物のような絶縁材料から形成される場合には、機能層の膜厚は、1nm~0.8μmとすることがより好ましい。このような範囲であると、α-Crの結晶成長を促進できると共に、機能層にクラックが入ることなく更に容易に成膜できる。
【0063】
機能層が酸化物や窒化物のような絶縁材料から形成される場合には、機能層の膜厚は、1nm~0.5μmとすることが更に好ましい。このような範囲であると、α-Crの結晶成長を促進できると共に、機能層にクラックが入ることなく一層容易に成膜できる。
【0064】
機能層の平面形状は、例えば、
図1に示す抵抗体30の平面形状と略同一にパターニングされてよい。しかしながら、機能層の平面形状は、抵抗体の平面形状と略同一でなくてもよい。例えば、機能層が絶縁材料から形成される場合には、抵抗体の平面形状と異なる形状にパターニングしてもよい。この場合、機能層は少なくとも抵抗体30が形成されている領域にベタ状に形成されてもよい。あるいは、機能層は、基材10の上面全体にベタ状に形成されてもよい。
【0065】
また、機能層が絶縁材料から形成される場合に、機能層の厚さを50nm以上1μm以下となるように比較的厚く形成し、かつベタ状に形成することで、機能層の厚さと表面積が増加するため、抵抗体が発熱した際の熱を基材10側へ放熱できる。その結果、ひずみゲージ1において、抵抗体の自己発熱による測定精度の低下を抑制できる。
【0066】
機能層は、例えば、機能層を形成可能な原料をターゲットとし、チャンバ内にAr(アルゴン)ガスを導入したコンベンショナルスパッタ法により真空成膜できる。コンベンショナルスパッタ法を用いることにより、基材10の上面10aをArでエッチングしながら機能層が成膜されるため、機能層の成膜量を最小限にして密着性改善効果を得ることができる。
【0067】
ただし、これは、機能層の成膜方法の一例であり、他の方法により機能層を成膜してもよい。例えば、機能層の成膜の前にAr等を用いたプラズマ処理等により基材10の上面10aを活性化することで密着性改善効果を獲得し、その後マグネトロンスパッタ法により機能層を真空成膜する方法を用いてもよい。
【0068】
機能層の材料と金属層Aの材料との組み合わせは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、機能層としてTiを用い、金属層Aとしてα-Cr(アルファクロム)を主成分とするCr混相膜を成膜可能である。
【0069】
この場合、例えば、Cr混相膜を形成可能な原料をターゲットとし、チャンバ内にArガスを導入したマグネトロンスパッタ法により、金属層Aを成膜できる。あるいは、純Crをターゲットとし、チャンバ内にArガスと共に適量の窒素ガスを導入し、反応性スパッタ法により、金属層Aを成膜してもよい。この際、窒素ガスの導入量や圧力(窒素分圧)を変えることや加熱工程を設けて加熱温度を調整することで、Cr混相膜に含まれるCrN及びCr2Nの割合、並びにCrN及びCr2N中のCr2Nの割合を調整できる。
【0070】
これらの方法では、Tiからなる機能層がきっかけでCr混相膜の成長面が規定され、安定な結晶構造であるα-Crを主成分とするCr混相膜を成膜できる。また、機能層を構成するTiがCr混相膜中に拡散することにより、ゲージ特性が向上する。例えば、ひずみゲージ1のゲージ率を10以上、かつゲージ率温度係数TCS及び抵抗温度係数TCRを-1000ppm/℃~+1000ppm/℃の範囲内とすることができる。なお、機能層がTiから形成されている場合、Cr混相膜にTiやTiN(窒化チタン)が含まれる場合がある。
【0071】
なお、金属層AがCr混相膜である場合、Tiからなる機能層は、金属層Aの結晶成長を促進する機能、基材10に含まれる酸素や水分による金属層Aの酸化を防止する機能、及び基材10と金属層Aとの密着性を向上する機能の全てを備えている。機能層として、Tiに代えてTa、Si、Al、Feを用いた場合も同様である。
【0072】
このように、金属層Aの下層に機能層を設けることにより、金属層Aの結晶成長を促進可能となり、安定な結晶相からなる金属層Aを作製できる。その結果、ひずみゲージ1において、ゲージ特性の安定性を向上できる。また、機能層を構成する材料が金属層Aに拡散することにより、ひずみゲージ1において、ゲージ特性を向上できる。
【0073】
次に、金属層Aの上面(より具体的には、第1金属層41の上面41a及び第1金属層51の上面51a)に、第2金属層42及び第2金属層52を形成する。第2金属層42及び第2金属層52は、例えば、フォトリソグラフィ法により形成できる。
【0074】
具体的には、まず、金属層Aの上面を覆うように、例えば、スパッタ法や無電解めっき法等により、シード層を形成する。次に、シード層の上面の全面に感光性のレジストを形成し、露光及び現像して第2金属層42及び第2金属層52を形成する領域を露出する開口部を形成する。このとき、レジストの開口部の形状を調整することで、第2金属層42及び第2金属層52を任意の形状とすることができる。レジストとしては、例えば、ドライフィルムレジスト等を用いることができる。
【0075】
次に、例えば、シード層を給電経路とする電解めっき法により、開口部内に露出するシード層上に第2金属層42及び第2金属層52を形成する。電解めっき法は、タクトが高く、かつ、第2金属層42及び第2金属層52として低応力の電解めっき層を形成できる点で好適である。膜厚の厚い電解めっき層を低応力とすることで、ひずみゲージ1に反りが生じることを防止できる。なお、第2金属層42及び第2金属層52は無電解めっき法により形成してもよい。
【0076】
次に、レジストを除去する。レジストは、例えば、レジストの材料を溶解可能な溶液に浸漬することで除去できる。
【0077】
次に、シード層の上面の全面に感光性のレジストを形成し、露光及び現像して、
図1の抵抗体30、配線40、及び電極50と同様の平面形状にパターニングする。レジストとしては、例えば、ドライフィルムレジスト等を用いることができる。そして、レジストをエッチングマスクとし、レジストから露出する金属層A及びシード層を除去し、
図1の平面形状の抵抗体30、配線40、及び電極50を形成する。
【0078】
例えば、ウェットエッチングにより、金属層A及びシード層の不要な部分を除去できる。金属層Aの下層に機能層が形成されている場合には、エッチングによって機能層は抵抗体30、配線40、及び電極50と同様に
図1に示す平面形状にパターニングされる。なお、この時点では、抵抗体30、第1金属層41、及び第1金属層51上にシード層が形成されている。
【0079】
次に、第2金属層42及び第2金属層52をエッチングマスクとし、第2金属層42及び第2金属層52から露出する不要なシード層を除去することで、第2金属層42及び第2金属層52が形成される。なお、第2金属層42及び第2金属層52の直下のシード層は残存する。例えば、シード層がエッチングされ、機能層、抵抗体30、配線40、電極50、及び配線60がエッチングされないエッチング液を用いたウェットエッチングにより、不要なシード層を除去できる。
【0080】
次に、第2金属層42,52の上面42a,52aに、第3金属層43,53を形成する。第3金属層43,53は、例えば、上記の金属層Aと同様に、形成することができる。第3金属層43,53は、第3金属層43,53を形成可能な原料をターゲットとしたマグネトロンスパッタ法により成膜できる。第3金属層43,53は、マグネトロンスパッタ法に代えて、反応性スパッタ法や蒸着法、アークイオンプレーティング法、パルスレーザー堆積法等を用いて成膜してもよい。
【0081】
その後、必要に応じ、基材10の上面10aにカバー層70を設けてもよい。カバー層70は、例えば、基材10の上面10aに、抵抗体30、及び配線40を被覆し電極50を露出するように半硬化状態の熱硬化性の絶縁樹脂フィルムをラミネートし、加熱して硬化させて作製できる。カバー層70は、基材10の上面10aに、抵抗体30、及び配線40を被覆し電極50を露出するように液状又はペースト状の熱硬化性の絶縁樹脂を塗布し、加熱して硬化させて作製してもよい。開口部70aは、例えば、フォトリソグラフィ法により形成できる。
【0082】
[第1実施形態に係るひずみゲージ1の作用効果]
第1実施形態に係るひずみゲージ1は、可撓性を有する基材10と、基材10上に形成される抵抗体30と、基材10上に形成される電極50と、基材10上に形成され、抵抗体30と電極50とを接続する配線40と、を備え、配線40及び電極50の少なくとも一方は、抵抗体30と同一材料で形成される第1金属層41,51と、第1金属層41,51上に形成され、第1金属層41,51よりも低抵抗である第2金属層42,52と、第2金属層42,52の上面42a,52aに形成される第3金属層43,53と、を有し、第3金属層43,53は、平面視において第2金属層42,52の周42c,52cに接するように形成される。
【0083】
このようなひずみゲージ1によれば、第2金属層42,52の上面42a,52aに形成された第3金属層43,53が、第2金属層42,52の周42c,52cに接している。ひずみゲージ1では、第2金属層42,52の周42c,52cは、Z軸方向において、第1金属層41,51と第3金属層43,53とによって挟まれている。これにより、第2金属層42,52の周42c,52c付近における応力集中が緩和される。したがって、42c,52c近傍の第1金属層41,51におけるマイクロクラックの発生が抑制される。
【0084】
以上説明した通り、ひずみゲージ1は、配線40及び/又は電極50付近における応力集中を緩和することができる。その結果、ひずみゲージ1によれば、クラックの発生を抑制できるため、クラックによるひずみの検出精度の低下を抑制できる。したがって、ひずみゲージ1によれば、ひずみ測定の信頼性を向上させることができる。
【0085】
また、ひずみゲージ1において、第3金属層43,53は、平面視において、第2金属層42,52の周42c,52cの全てに接するように形成されている。このように、ひずみゲージ1では、周42c,52cの全てに、第3金属層43,53が形成されていることにより、周42c,52cbの一部分に応力が集中することを防ぐことができる。
【0086】
[第1実施形態の変形例1]
次に
図4及び
図5を参照して第1実施形態の変形例1に係るひずみゲージ1Bについて説明する。
図4は、第1実施形態の変形例1に係るひずみゲージ1Bを例示する断面図である。
図5は、第1実施形態の変形例1に係るひずみゲージ1Bの配線40Bの部分を例示する断面図である。
図5は、
図4中のV-V線に沿う断面を示している。変形例1に係るひずみゲージ1Bが、上記のひずみゲージ1と違う点は、第3金属層43B,53Bの配置が異なる点である。なお、ひずみゲージ1Bの説明において、上記のひずみゲージ1と同様の説明は省略する場合がある。
【0087】
ひずみゲージ1Bは、配線40Bを備える。配線40Bは、第1金属層41と、第2金属層42と、第3金属層43Bとを備える。第3金属層43Bは、第2金属層42の上面42aに形成されている。第3金属層43Bは、第2金属層42の上面42aの全面を覆うように形成されている。第2金属層42は、第3金属層43Bの下に形成されている。
図4において、符号42の引き出し線は破線で示されている。
【0088】
ひずみゲージ1Bは、電極50Bを備える。電極50Bは、第1金属層51と、第2金属層52と、第3金属層53Bとを備える。第3金属層53Bは、第2金属層52の上面52aに形成されている。第3金属層53Bは、第2金属層52の上面52aの全面を覆うように形成されている。第2金属層52は、第3金属層53Bの下に形成されている。
図4において、符号52の引き出し線は破線で示されている。
【0089】
ひずみゲージ1Bは、ダミー配線80Bを備えていてもよい。ダミー配線80Bは、第1金属層81と、第2金属層82と、第3金属層83Bとを備える。第3金属層83Bは、第2金属層82の上面に形成されている。第3金属層83Bは、第2金属層82の上面の全面を覆うように形成されている。第2金属層82は、第3金属層83Bの下に形成されている。
図4において、符号82の引き出し線は破線で示されている。
【0090】
このようにひずみゲージ1Bは、第2金属層42,52の全ての面を覆う第3金属層43B,53Bを備えていてもよい。これにより、第1実施形態に係るひずみゲージ1と比較して、配線及び/又は電極付近における応力集中をより緩和することができる。
【0091】
[第1実施形態の変形例2]
次に
図6及び
図7を参照して第1実施形態の変形例2に係るひずみゲージ1Cについて説明する。
図6は、第1実施形態の変形例2に係るひずみゲージ1Cを例示する断面図である。
図7は、第1実施形態の変形例2に係るひずみゲージ1Cの配線40Cの部分を例示する断面図である。
図7は、
図6中のVII-VII線に沿う断面を示している。変形例2に係るひずみゲージ1Cが、上記のひずみゲージ1と違う点は、第3金属層43C,53Cの配置が異なる点である。なお、ひずみゲージ1Cの説明において、上記のひずみゲージ1,1Bと同様の説明は省略する。
【0092】
ひずみゲージ1Cは、配線40Cを備える。配線40Cは、第1金属層41と、第2金属層42と、第3金属層43Cとを備える。第3金属層43Cは、第2金属層42の上面42a、側面42d、及び第1金属層41の上面41aに形成されている。第3金属層43Cは、第2金属層42の上面42aから、第2金属層42の側面42dを介して第1金属層41の上面41aまで延在するように形成される。第3金属層43Cは、第2金属層42の側面42dの全面を覆うように形成されている。第3金属層43Cは、第1金属層41の上面41aのうち、側面42dと隣接する部分を覆うように形成されている。
【0093】
ひずみゲージ1Cは、電極50Cを備える。電極50Cは、第1金属層51と、第2金属層52と、第3金属層53Cとを備える。第3金属層53Cは、第2金属層52の上面、側面、及び第1金属層51の上面に形成されている。第3金属層53Cは、第2金属層52の上面から、第2金属層52の側面を介して第1金属層51の上面まで延在するように形成される。第3金属層53Cは、第2金属層52の側面の全面を覆うように形成されている。第3金属層53Cは、第1金属層51の上面のうち、第2金属層52の側面と隣接する部分を覆うように形成されている。
【0094】
ひずみゲージ1Cは、ダミー配線80Cを備えていてもよい。ダミー配線80Cは、第1金属層81と、第2金属層82と、第3金属層83Cとを備える。第3金属層83Cは、第2金属層82の上面、側面、及び第1金属層81の上面に形成されている。第3金属層83Cは、第2金属層82の上面から、第2金属層82の側面を介して第1金属層81の上面まで延在するように形成される。第3金属層83Cは、第2金属層82の側面の全面を覆うように形成されている。第3金属層83Cは、第1金属層81の上面のうち、第2金属層82の側面と隣接する部分を覆うように形成されている。
【0095】
このようにひずみゲージ1Cの第3金属層43C,53Cは、第2金属層42,52の側面を覆うように形成されていてもよい。ひずみゲージ1Cの第3金属層43C,53Cは、第1金属層41,51の上面のうち、第2金属層42,52の側面に近い部分を覆うように形成されていてもよい。これにより、第1実施形態に係るひずみゲージ1と比較して、配線及び/又は電極付近における応力集中をより緩和することができる。
【0096】
[第1実施形態の変形例3]
次に
図8及び
図9を参照して第1実施形態の変形例3に係るひずみゲージ1Dについて説明する。
図8は、第1実施形態の変形例3に係るひずみゲージ1Dを例示する断面図である。
図9は、第1実施形態の変形例3に係るひずみゲージ1Dの配線40Dの部分を例示する断面図である。
図9は、
図8中のIX-IX線に沿う断面を示している。変形例3に係るひずみゲージ1Dが、上記のひずみゲージ1と違う点は、第3金属層43D,53Dの配置が異なる点である。なお、ひずみゲージ1Dの説明において、上記のひずみゲージ1,1B,1Cと同様の説明は省略する。
【0097】
ひずみゲージ1Dは、配線40Dを備える。配線40Dは、第1金属層41と、第2金属層42と、第3金属層43Dとを備える。第3金属層43Dが、第3金属層43Cと違う点は、第2金属層42の上面42aの全面を覆うように形成されている点である。第2金属層42は、第3金属層43Dの下に形成されている。
図8において、符号42の引き出し線は破線で示されている。第3金属層43Dは、第3金属層43Cと同様に、第2金属層42の側面42dの全面を覆う。また、第3金属層43Dは、第3金属層43Cと同様に、第1金属層41の上面41aのうち、側面42dと隣接する部分を覆うように形成されている。
【0098】
ひずみゲージ1Dは、電極50Dを備える。電極50Dは、第1金属層51と、第2金属層52と、第3金属層53Dとを備える。第3金属層53Dが、第3金属層53Cと違う点は、第2金属層52の上面の全面を覆うように形成されている点である。第2金属層52は、第3金属層53Dの下に形成されている。
図8において、符号52の引き出し線は破線で示されている。第3金属層53Dは、第3金属層53Cと同様に、第2金属層52の側面52dの全面を覆う。また、第3金属層53Dは、第3金属層53Cと同様に、第1金属層51の上面51aのうち、側面52dと隣接する部分を覆うように形成されている。
【0099】
ひずみゲージ1Dは、ダミー配線80Dを備えていてもよい。ダミー配線80Dは、第1金属層81と、第2金属層82と、第3金属層83Dとを備える。第3金属層83Dは、第2金属層82の上面、側面、及び第1金属層81の上面に形成されている。第3金属層83Dは、第2金属層82の上面から、第2金属層82の側面を介して第1金属層81の上面まで延在するように形成される。第3金属層83Dは、第2金属層82の側面の全面を覆うように形成されている。第3金属層83Dは、第1金属層81の上面のうち、第2金属層82の側面と隣接する部分を覆うように形成されている。
【0100】
このようにひずみゲージ1Dの第3金属層43D,53Dは、第2金属層42,52の上面の全てを覆うように形成されていてもよい。第3金属層43D,53Dは、第2金属層42,52の側面を覆うように形成されていてもよい。第3金属層43D,53Dは、第1金属層41,51の上面のうち、第2金属層42,52の側面に近い部分を覆うように形成されていてもよい。これにより、第1実施形態に係るひずみゲージ1と比較して、配線及び/又は電極付近における応力集中をより緩和することができる。
【0101】
なお、本明細書において開示された実施形態及び変形例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態及び変形例は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0102】
上記の実施形態及び変形例では、配線40に第3金属層43が形成され、かつ、電極50に第3金属層53が形成されているひずみゲージ1について説明した。しかしながら、上記実施形態及び変形例に係るひずみゲージはこの構成に限定されない。例えば、ひずみゲージ1は、配線40に第3金属層43が形成される一方、電極50には第3金属層53が形成されていない構成であってもよい。又、ひずみゲージ1は、電極50に第3金属層53が形成される一方、配線40には第3金属層43が形成されていない構成であってもよい。
【0103】
また、上記の実施形態及び変形例では、第3金属層が、第2金属層の周の全てに亘って連続するように形成されている例について示した。しかしながら、第3金属層は第2金属層の周の全てではなく一部分に沿って形成されていてもよい。
【0104】
なお、前述した「周の全て」の指すものには、配線40と電極50との境界L1が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。例えば、配線40のみに第3金属層43が形成され、電極50に第3金属層53が形成されない場合には、境界L1の配線40側に沿って、第3金属層43が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1,1B,1C,1D…ひずみゲージ、10…基材、30…抵抗体、40,40B,40C,40D…配線、41…第1金属層、41a…上面、42…第2金属層、42a…上面、42c…周、43,43B,43C,43D…第3金属層、50,50B,50C,50D…電極、51…第1金属層、51a…上面、52…第2金属層、52a…上面、52c…周、53,53B,53C,53D…第3金属層、X…X軸方向、Y…Y軸方向、Z…Z軸方向