(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025139936
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
D06F 33/65 20200101AFI20250919BHJP
D06F 33/50 20200101ALI20250919BHJP
D06F 33/52 20200101ALI20250919BHJP
D06F 33/63 20200101ALI20250919BHJP
D06F 33/72 20200101ALI20250919BHJP
D06F 34/00 20200101ALI20250919BHJP
D06F 34/08 20200101ALI20250919BHJP
D06F 34/28 20200101ALI20250919BHJP
D06F 58/38 20200101ALI20250919BHJP
【FI】
D06F33/65
D06F33/50
D06F33/52
D06F33/63
D06F33/72
D06F34/00
D06F34/08
D06F34/28
D06F58/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024039035
(22)【出願日】2024-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】金田 至功
(72)【発明者】
【氏名】濱野 風海
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA02
3B167AA04
3B167AB23
3B167AB30
3B167AE01
3B167AE04
3B167AE05
3B167AE07
3B167AE12
3B167BA47
3B167BA55
3B167BA64
3B167BA82
3B167FB01
3B167JA41
3B167JA45
3B167JA66
3B167JA67
3B167JB02
3B167KA32
3B167KA36
3B167KB02
3B167LA23
3B167LA36
3B167LA38
3B167LC02
3B167LC15
3B167LC19
3B167LC20
3B167LE06
(57)【要約】
【課題】省エネルギーに配慮しつつ衣類のしわ付きを改善できる衣類処理装置を提供する。
【解決手段】衣類処理装置は、外箱と、外箱内に設けられ、空気入口を有し、内部に衣類を収容する衣類収容槽と、外箱内に設けられて空気入口に接続される風路と、風路内に配置され表面から水分を気化する加湿促進部材と、衣類収容槽に送風する送風装置と、加湿促進部材に外箱外部の給水源からの水を供給する給水経路と、給水経路を開閉する給水弁と、送風装置の動作と、加湿促進部材の温度と、給水弁の開閉とを制御して衣類に対して加湿してしわを軽減するしわ取り運転を実行する制御装置と、を備える。制御装置は、しわ取り運転において、給水弁を開放して加湿促進部材に水を供給する準備工程と、衣類収容槽に送風せずに加湿促進部材の温度を高くする気化工程と、送風装置を駆動して気化工程により発生した蒸気を衣類収容槽に送る加湿工程と、を実行する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、
前記外箱内に設けられ、空気入口を有し、内部に衣類を収容する衣類収容槽と、
前記外箱内に設けられて前記空気入口に接続される風路と、
前記風路内に配置され表面から水分を気化する加湿促進部材と、
前記衣類収容槽に送風する送風装置と、
前記加湿促進部材に前記外箱外部の給水源からの水を供給する給水経路と、
前記給水経路を開閉する給水弁と、
前記送風装置の動作と、前記加湿促進部材の温度と、前記給水弁の開閉とを制御して前記衣類に対して加湿してしわを軽減するしわ取り運転を実行する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記しわ取り運転において、前記給水弁を開放して前記加湿促進部材に前記水を供給する準備工程と、前記衣類収容槽に送風せずに前記加湿促進部材の温度を高くする気化工程と、前記送風装置を駆動して前記気化工程により発生した蒸気を前記衣類収容槽に送る加湿工程と、を実行する、
衣類処理装置。
【請求項2】
圧縮機と凝縮器と蒸発器とを有するヒートポンプ機構を備え、
前記加湿促進部材は、前記凝縮器及び又は前記蒸発器であって、
前記制御装置は、前記気化工程において前記圧縮機を駆動する、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記凝縮器は、前記蒸発器に隣接して前記風路内における空気の流れる方向に関して前記蒸発器の下流側に配置され、
前記給水経路は、前記蒸発器に対して上方から臨んで設けられた給水部を有し、
前記制御装置は、前記準備工程において前記送風装置を駆動する、
請求項2に記載の衣類処理装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記加湿工程において前記圧縮機の駆動を停止する、
請求項3に記載の衣類処理装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記しわ取り運転において、前記準備工程、前記気化工程、及び前記加湿工程を1セットとして繰り返し複数セット実行する、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項6】
前記凝縮器の温度を検知する凝縮器温度検知部を備え、
前記制御装置は、前記凝縮器温度検知部の検知温度が所定の閾値以上となったことに基づいて前記気化工程を終了する、
請求項2又は3に記載の衣類処理装置。
【請求項7】
前記圧縮機の温度を検知する圧縮機温度検知部を備え、
前記制御装置は、前記圧縮機温度検知部の検知温度が所定の閾値以上となったことに基づいて前記気化工程を終了する、
請求項2又は3に記載の衣類処理装置。
【請求項8】
前記衣類収容槽の内部に向けて紫外線を照射する紫外線照射装置を備え、
前記制御装置は、前記準備工程、前記気化工程、及び前記加湿工程のうち少なくともいずれか一工程の実行中に、前記紫外線照射装置を駆動する、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯機能と乾燥機能とを備えた洗濯乾燥機が知られている。また、そのような洗濯乾燥機の中には、衣類のしわを伸ばして取り除く機能を有する洗濯乾燥機が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、内槽であるドラムの底部と外槽との間に、ヒータである加熱部と、加熱部の周囲に水を一時的に溜めておくための水受け部と、が設けられており、ドラムに衣類を入れた状態で加熱部においてスチームを発生させ衣類を湿らせ、その後送風ファンでドラムの内部に空気を送り衣類を乾燥させることで、衣類のしわをとりのぞくことができる洗濯乾燥機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヒータを用いてしわを取り除くのに十分な量の蒸気を発生させるためには、例えば1000Wの程度電力が必要となることがある。また、加熱部の周囲に一定程度の水量をためる必要がある。したがって、しわ取り機能を備える洗濯乾燥機について省エネルギーの観点から検討の余地があった。
【0006】
そこで、本発明の本実施形態は、省エネルギーに配慮しつつ衣類のしわ付きを改善できる衣類処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の衣類処理装置は、外箱と、前記外箱内に設けられ、空気入口を有し、内部に衣類を収容する衣類収容槽と、前記外箱内に設けられて前記空気入口に接続される風路と、前記風路内に配置され表面から水分を気化する加湿促進部材と、前記衣類収容槽に送風する送風装置と、前記加湿促進部材に前記外箱外部の給水源からの水を供給する給水経路と、前記給水経路を開閉する給水弁と、前記送風装置の動作と、前記加湿促進部材の温度と、前記給水弁の開閉とを制御して前記衣類に対して加湿してしわを軽減するしわ取り運転を実行する制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記しわ取り運転において、前記給水弁を開放して前記加湿促進部材に前記水を供給する準備工程と、前記衣類収容槽に送風せずに前記加湿促進部材の温度を高くする気化工程と、前記送風装置を駆動して前記気化工程により発生した蒸気を前記衣類収容槽に送る加湿工程と、を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した一例について概略構成を示す縦断側面図
【
図2】第1実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した一例について概略構成を示す縦断背面図
【
図3】第1実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した一例について風路と乾燥ユニットと送風装置の概略構成を示す図
【
図4】第1実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した一例について加湿促進部材としての熱交換器周辺の構成を示す斜視図
【
図5】第1実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した一例について加湿促進部材としての熱交換器周辺の構成を
図4の矢印Vの方向から示す概略図
【
図6】第1実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した一例について電気的構成を概略的に示すブロック図
【
図7】第1実施形態のしわ取り運転における制御装置による各構成の動作の制御内容を示すタイミングチャート
【
図8】第1実施形態の洗濯乾燥機の準備工程における制御装置による処理を示すフローチャート
【
図9】第1実施形態の洗濯乾燥機の気化工程における制御装置による処理を示すフローチャート
【
図10】第1実施形態の洗濯乾燥機の制御装置によるしわ取り運転の処理を示すフローチャート
【
図11】第2実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した一例について電気的構成を概略的に示すブロック図
【
図12】第2実施形態の洗濯乾燥機の気化工程における制御装置による処理を示すフローチャート
【
図13】第3実施形態のしわ取り運転の内容を示すチャート
【
図14】第3実施形態の洗濯乾燥機の準備工程における制御装置による処理を示すフローチャート
【
図15】第4実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した一例について概略構成を示す縦断側面図
【
図16】第4実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した一例について電気的構成を概略的に示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、複数の実施形態について実質的に同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
図1から
図10を参照して、第1実施形態について説明する。
図1及び
図2に示す洗濯乾燥機10は、乾燥機能を備えた横軸または斜め軸型のドラム式洗濯機である。
【0011】
図1及び
図2に示すように、洗濯乾燥機10は、外箱11、扉12、外槽13、ベローズ14、回転槽15、回転槽モータ16、給水機構17、及び排水機構18を備えている。なお、本実施形態において、外箱11に対して扉11側つまり
図1の紙面左側を洗濯乾燥機10の前側とする。外箱11は、例えばステンレス鋼板等によって矩形の中空箱状を形成しており、洗濯乾燥機10の外郭を構成している。外箱11は、前側部分に外箱11の内部と外部とを連通する衣類出入口111を有している。
【0012】
扉12は、外箱11の前部に設けられており、衣類出入口111を開閉可能に構成されている。ユーザは、扉12を開いた状態で、衣類出入口111を通じて衣類を回転槽15に投入し、又は取り出すことができる。
【0013】
外槽13は、前側に開口部131を有した有底円筒状に形成されている。本実施形態の場合、外槽13は、内部に水を貯留することができ、この場合外槽として機能する。外槽13は、空気出口132及び空気入口133を有している。空気出口132は、例えば外槽13の筒状部分を構成する周壁の上部前寄り部分にあって、外槽13の左右方向の中心つまり外槽13の筒状の外周面の最頂部から左右方向へ離れた位置に設けられている。空気入口133は、例えば外槽13の底部において底部の上下方向の中心よりやや上寄り部分に設けられている。空気出口132及び空気入口133は、外槽13の内部と外部とを連通している。
【0014】
ベローズ14は、外箱11の衣類出入口111及び外槽13の開口部131の周囲に設けられている。ベローズ14は、例えば円筒形の蛇腹状に形成されており、衣類出入口111と開口部131とを連通した状態で外箱11と外槽13とを弾性的に接続している。
【0015】
回転槽15は、衣類を収容可能な有底円筒状に形成されており、外槽13の内部に回転可能に収容されている。回転槽15の回転軸は、外槽13の中心軸に重なっている。回転槽15は、複数の連通口151を有している。連通口151は、回転槽15の内部と外部とを連通している。連通口151は、回転槽15の円筒状の筒状部分を構成する周壁及び回転槽15の底部の全域に形成されている。連通口151は、洗濯運転時及び脱水運転時には、主に水が出入りする通水孔として機能し、乾燥運転時には空気が出入りする通風孔として機能する。外槽13と回転槽15とは、洗濯乾燥機の運転時に内部に衣類を収容する衣類収容槽として機能する。
【0016】
図1及び
図3に示すように、回転槽15には、筒状部分の内側に複数のバッフル152が設けられている。バッフル152は、回転槽15が回転すると、回転槽15の内側に収容された衣類を撹拌する。
【0017】
回転槽モータ16は、例えば外槽13の底部外側に設けられている。回転槽モータ16の軸部161の先端側は、外槽13の内部に突出して回転槽15に接続されている。回転槽モータ16は、例えばアウタロータ型のダイレクトドライブモータを用いることができる。回転槽モータ16の軸部161は、外槽13の底部を貫いて外槽13の内側へ突出し、回転槽15の底部に固定されている。回転槽モータ16は、外槽13に対して回転槽15を相対的に回転させる。この場合、回転槽モータ16の軸部161、外槽13の中心軸、及び回転槽15の回転軸は、それぞれ一致している。
【0018】
給水機構17は、例えば水道などの外部の水源から供給される水を、外槽13内に注水するための装置である。給水機構17は、例えば外箱11内において外槽13の左右一方寄りの上方に設けられている。給水機構17は、第1給水弁171、第1給水経路172、及び注水ケース173を備えている。
【0019】
第1給水弁171は、電磁駆動式の液体用の開閉弁であり、図示しない水道などの外部の水源と接続されている。第1給水弁171は、第1給水経路172を開閉する。第1給水経路172は、外部の水源から外槽13内に至る経路である。注水ケース173は、第1給水経路172において第1給水弁171の下流側に設けられている。注水ケース173は、内部に洗剤や仕上げ剤等の洗濯処理剤を収容可能に構成されている。
【0020】
第1給水弁171が開放されると、外部の水源からの水は、注水ケース173を介して外槽13内に注水される。注水ケース173内に洗濯処理剤が貯留されていると、その注水の際、注水ケース173内の洗濯処理剤は第1給水経路172を流れる水に乗って外槽13内に流し落とされる。なお、洗濯乾燥機10は、必ずしも注水ケース173を備えていなくても良い。すなわち、洗濯乾燥機10は、ユーザが外槽13内に洗濯処理剤を直接投入する構成であっても良い。
【0021】
排水機構18は、外槽13の内部に貯留された水を、洗濯乾燥機10の機外へ排出する機能を有する。排水機構18は、排水弁181と排水経路182とを含んで構成されている。排水弁181は、電磁駆動式の液体用の開閉弁である。排水弁181は、排水経路182を開閉する。排水経路182は、外槽13内から機外に至る経路である。
【0022】
また、洗濯乾燥機10は、乾燥機能を備えている。洗濯乾燥機10は、風路20及び乾燥ユニット30を備えている。風路20は、空気出口132及び又は空気入口133に接続されるダクトを含んで構成される。本実施形態の場合、風路20は、外槽13の外側において、空気出口132と空気入口133とを繋いでいる。すなわち、風路20と外槽13及び回転槽15は循環風路を形成している。乾燥ユニット30は、外槽13内の空気を空気出口132から風路20内に取り込み、温風にした後、生成した温風を空気入口133から外槽13及び回転槽15内へ供給する機能を有する。
【0023】
風路20は、例えば排気ダクト21、フィルタ装置22、接続ダクト23、熱交換部24、及び給気ダクト25を有して構成することができる。排気ダクト21、フィルタ装置22、接続ダクト23、熱交換部24、及び給気ダクト25は、風路20を流れる空気の流れに沿って順に配置されている。排気ダクト21、接続ダクト23、熱交換部24、及び給気ダクト25は、内部に空気を通して風路を形成するダクトとして機能する。空気は風路20内を
図3の矢印Aの方向に流れる。
【0024】
排気ダクト21は、外槽13の空気出口132とフィルタ装置22とを繋ぐダクトである。フィルタ装置22は、内部に図示しないフィルタが設けられており、風路20内を流れる空気に含まれるリントや異物を捕集する。接続ダクト23は、フィルタ装置22と熱交換部24とを繋ぐダクトである。熱交換部24は、外箱11の内側下部でかつ外槽13及び回転槽15の下方に設けられている。外槽13から風路20に取り込まれた空気は、熱交換部24を通過する際に除湿及び加熱されて乾燥した温風となる。給気ダクト25は、熱交換部24と外槽13の空気入口133とを繋ぐダクトである。
【0025】
風路20には、排気口26と、開閉装置27とが設けられている。排気口26は、風路20内と機外とを連通しており、外槽13から出た排気を機外に排出する。開閉装置27は、排気口26を開放又は閉鎖する。
【0026】
乾燥ユニット30は、回転槽15内の衣類の乾燥用の温風を生成しその温風を空気入口133から外槽13内へ供給する温風供給装置として機能する。乾燥ユニット30は、例えばヒートポンプ式やヒータ式の加熱装置を含んで構成することができる。本実施形態の場合、乾燥ユニット30は、ヒートポンプ式の加熱装置を含んで構成されており、
図3に示すように、蒸発器31、凝縮器32、圧縮機33、絞り装置34、及び冷媒流路35を有している。さらに、洗濯乾燥機10は、送風装置36を備えている。
【0027】
蒸発器31及び凝縮器32は、熱交換部24内に設けられている。蒸発器31は、乾燥運転時における熱交換部24内の空気の流れに対して、凝縮器32よりも上流側に設けられている。蒸発器31及び凝縮器32は、熱交換部24の外側に設けられた圧縮機33、絞り装置34、及び各構成を順に繋ぐ冷媒流路35とともに、ヒートポンプ機構すなわち冷凍サイクルを構成する。冷媒は、
図3の矢印Bで示す方向に流れる。熱交換部24内を通る空気は、蒸発器31によって冷却され、これにより除湿される。蒸発器31によって除湿された空気は、その後、凝縮器32によって加熱されて温風になる。
【0028】
熱交換部24の下流側は、給気ダクト25によって外槽13の空気入口133に接続されている。また、乾燥ユニット30は、送風装置36を含んでいる。送風装置36は、例えば熱交換部24と給気ダクト25との接続部分に設けられており、例えばシロッコファンやプロペラファンなどで構成することができる。送風装置36は、熱交換部24内の空気を吸い込み、給気ダクト25側へ吐出する。これにより、熱交換部24で除湿及び加熱された温風は、送風装置36の送風作用によって、空気入口133から外槽13、さらには回転槽15内へ供給される。
【0029】
洗濯乾燥機10は、加湿機構40を備える。加湿機構40は、衣類収容槽つまり外槽13及び回転槽15内部、ひいては衣類収容槽に収容された衣類に与える水分を含む空気を発生する。加湿機構40は、加湿促進部材400、第2給水弁41、第2給水経路42、及び給水部43を含んで構成される。
【0030】
加湿促進部材400は、その表面が濡れ、当該表面から水分を気化させることで、空気に湿度を与える機能を有する。加湿促進部材400は、風路20内に配置されている。加湿促進部材400は、加湿促進部材400と同一の体積を有する物体よりも表面積が大きくなるような構造、または形状をしていることが好ましい。例えば、加湿促進部材400は、多孔質の部材で構成してもよいし、多数のフィンやピンを有する構造体であってもよい。本実施形態では、加湿促進部材400として、蒸発器31及び凝縮器32を含む熱交換器を利用する。蒸発器31及び凝縮器32は、熱交換効率を向上するために多数のフィンを有しているため、表面積が同一の体積の物体よりも大きくなるように設計されている。
【0031】
また、加湿促進部材400は、その表面温度を高くすることができる。例えば、加湿促進部材400は、ヒータなどの熱源によって加熱されてもよいし、ヒートポンプ機構の機能によって加熱されてもよい。
【0032】
第2給水弁41は、例えば電磁駆動式の液体用の開閉弁であり、図示しない水道などの外部の水源と接続されている。第2給水弁41は、第2給水経路42を開閉する。第2給水経路42は、外部の水源と給水部43とを接続する経路である。給水部43は、加湿促進部材400に対して給水する機能を有する。給水部43は、加湿促進部材400に対面する面に、一又は複数の給水口431を有する。本実施形態では、
図4、5に示すように、蒸発器31の上方に給水部43が設けられている。複数の給水口431は、給水部43の下面つまり蒸発器31の上面に対面する面に形成されている。
【0033】
第2給水弁41が開放されると、第2給水経路42を介して外部の水源からの水が給水部43に供給される。給水部43に到達した水は、給水口431から加湿促進部材400としての蒸発器31に供給される。
【0034】
第2給水弁41が開放され加湿促進部材400の表面が濡れた状態で送風装置36が駆動されると、加湿促進部材400の表面から水分が気化し、蒸気が発生し、風路20内の湿度が上昇する。また、生成した蒸気は、送風装置36の働きによって衣類収容槽に運ばれる。
【0035】
さらに、加湿促進部材400を風路20内の空気の流れる方向に沿って複数並べて配置することができる。この場合、風上側の加湿促進部材400に供給された水の一部は、気化されない状態で風によって風下側に飛ばされて、風下側の加湿促進部材400の表面を濡らすことができる。風下側の加湿促進部材400の表面に付着した水は、送風装置36の働きによって気化し、やはり衣類収容槽に運ばれる。
【0036】
本実施形態では、加湿促進部材400としての蒸発器31と凝縮器32とは、熱交換部24内の空気の流れる方向に沿って並べて配置されている。そのため、蒸発器31に供給された水の一部は、気化されない状態で風によって風下側に飛ばされて、凝縮器32の表面を濡らすことができる。凝縮器32の表面に付着した水は、送風装置36の働きによって気化し、衣類収容槽に運ばれる。
【0037】
さらに、本実施形態では、給水口531は、加湿促進部材400の上面と対向する位置に設けられているが、給水口531は、加湿促進部材400の上面と対向する位置に設けられていなくてもよく、加湿促進部材の風上の領域に対抗する位置に設けられていてもよい。この場合、給水口から水が供給される際に、送風装置36が駆動していれば、空気の流れによって水が加湿促進部材400まで運ばれ、加湿促進部材400を濡らすことができる。
【0038】
また、洗濯乾燥機10は、
図6に示すように、制御装置50を備えている。制御装置50は、CPU501や、ROM、RAM、不揮発性メモリなどの記憶領域502を有するマイクロコンピュータを主体として構成されている。制御装置50は、洗濯乾燥機10全体の動作を管理する機能を有する。回転槽モータ16、第1給水弁171、排水弁181、開閉装置27、圧縮機33、送風装置36、及び第2給水弁41は、制御装置50に電気的に接続されており、制御装置50の制御を受けて動作する。
【0039】
制御装置50は、回転槽モータ16、第1給水弁171、排水弁181、開閉装置27、圧縮機33、送風装置36、及び第2給水弁41を必要に応じて動作させることにより、洗濯運転と、乾燥運転と、洗濯乾燥運転と、しわ取り運転と、を選択的に実行することができる。なお、本実施形態において、洗濯運転、乾燥運転、洗濯乾燥運転、またはしわ取り運転における「運転」とは、一以上の工程を含む概念であり、ユーザが選択可能な単位である。
【0040】
洗濯乾燥機10は、温度検知部51、湿度検知部52、及び凝縮器温度検知部53を備える。温度検知部51は、洗濯乾燥機10の設置された環境温度を検知する。湿度検知部52は、空気出口132から排出された排気の湿度を検知する。本実施形態では、温度検知部51及び湿度検知部52は、風路20において排気ダクト21及びフィルタ装置22の下流側に配置されている。凝縮器温度検知部53は、凝縮器32の温度を検知する機能を有する。
【0041】
図7に示すように、しわ取り運転は、準備工程、気化工程、加湿工程を含む。しわ取り運転は、更に乾燥工程を含んでいてもよい。準備工程は、加湿促進部材に水を供給して、衣類収容槽13、15内を加湿するための準備をする工程である。気化工程は、準備工程で加湿促進部材に供給した水分を気化する工程である。加湿工程は、気化工程で生成した水分を含むつまり湿り気を帯びた空気を衣類収容槽13、15に供給することで、衣類に適度な水分を与えて衣類の繊維を伸ばし、衣類についたしわを取り除く工程である。乾燥工程は、衣類収容槽13、15に送風し衣類を乾燥させ、加湿工程で衣類に供給された余分な水分を除去する工程である。
【0042】
図7に示すように、制御装置50は、送風装置36、第2給水弁41、圧縮機33、及び回転槽モータ16を動作させて、準備工程、気化工程、加湿工程、及び乾燥工程の各工程を実行する。
【0043】
準備工程において、制御装置50は給水動作を実行する。給水動作は、第2給水弁41を開状態にする動作である。これにより、第2給水経路42を介して加湿促進部材400に水が供給される。また、本実施形態では、制御装置50は、準備工程において送風装置36を駆動する。これにより、蒸発器31に対して供給された水が、送風装置36の働きにより蒸発器31の風下に配置された凝縮器32に運ばれる。
【0044】
準備工程における送風装置36の送風量は、加湿工程及び又は乾燥工程における送風装置36の送風量よりも小さく設定されている。これにより、準備工程において気化していない状態例えば水滴の状態で水が衣類収容槽13、15まで到達し、衣類を局地的に必要以上に濡らしてしまうことを抑制する。また、乾燥工程においては、衣類を迅速に乾燥することができる。例えば、制御装置50は、準備工程における送風装置36の回転速度を、加湿工程及び又は乾燥工程における送風装置36の回転速度よりも小さく設定する。準備工程における送風装置36の回転速度の下限は、例えば加湿促進部材400の表面の水を気化するのに十分な風量を確保する一方、加湿促進部材400の表面、特に下流側の凝縮器32の表面の水を吹き飛ばし水滴を含んだ空気が回転槽15に到達することや、風路20を水滴が循環しフィルタ装置22のフィルタ部を濡らしてしまうことを回避するように設定される。
【0045】
準備工程における送風装置36の駆動回転数R1は、例えば風路の断面積や送風装置36のファンの形状によっても変わるが、例えば2000rpm~4500rpmの範囲内に設定することができる。本実施形態では、準備工程における送風装置36の駆動回転数R1は3000rpmに設定されている。
【0046】
準備工程において、制御装置50は、回転槽モータ16を駆動して回転槽15を例えば正逆方向に周期的に低~中速で回転駆動する。これにより、制御装置50は、回転槽15内に収容された衣類を穏やかに攪拌する。例えば、回転槽モータ16の回転数は、約40rpm~約50rpmの範囲内に設定することができる。準備工程において、制御装置50は、圧縮機33を駆動しない。これにより、圧縮機33を駆動することでヒートポンプの働きにより蒸発器31の温度が下がり、給水動作により蒸発器31に供給された水が除湿されたり凍結したりすることを回避する。
【0047】
準備工程における給水動作の期間T1は、加湿促進部材の表面全体に水を供給するのに十分な期間に設定されている。期間T1は、加湿促進部材の形状や表面積、第2給水経路42を流れる水の流量にもよるが、例えば期間T1は約5秒~10秒の範囲内に設定することができる。また、給水動作終了後、気化工程開始までの期間T2は、蒸発器31に対して供給された水が、凝縮器32に運ばれるのに十分な期間に設定されている。期間T2は、期間T1と概ね同程度に設定することができる。送風装置36は、少なくとも期間T1、T2の間駆動されている。本実施形態では、送風装置36は、準備工程の全期間にわたって駆動されている。
【0048】
衣類に対する加湿量を増加したい場合には、給水動作による給水量を増加することができる。給水動作による給水量は、流量、給水期間T1、又はその両方を適宜調整して増減することができる。例えば、制御装置50は、外気湿度が所定の湿度未満の場合や、衣類収容槽13、15に収容されている衣類の重量が所定の重量以上の場合には給水期間T1を増加し、外気湿度が所定の湿度以上の場合や、衣類収容槽13、15に収容されている衣類が所定の重量未満の場合には給水期間T1を低減することができる。
【0049】
気化工程において、制御装置50は、加湿促進部材400の温度、この場合凝縮器32の温度を高くする。具体的には、気化工程において、制御装置50は圧縮機33を駆動し、送風装置36の駆動を停止する。圧縮機33を駆動することで、制御装置50は、凝縮器32の表面温度を上げ、準備工程で凝縮器32の表面に供給された水を気化させる。また、圧縮機33と送風装置36とを同時に駆動しないことで、加湿促進部材400の表面から気化した蒸気がヒートポンプの働きによって除湿されることを抑制する。なお、送風装置36の駆動を停止する代わりに送風装置36の駆動回転数を低下し、気化した水分が風路20及び衣類収容槽13、15を循環して蒸発器31に到達し、蒸発器31によって除湿されることを極力抑えることで、実質的に送風装置36の駆動を停止するのと同様の効果を奏する場合も送風装置36の駆動を停止することに含まれる。
【0050】
気化工程において、制御装置50は第2給水弁41を閉状態とする。すなわち、制御装置50は気化工程において給水動作を行わない。また、気化工程において、制御装置50は、回転槽モータ16を駆動して回転槽15を例えば正逆方向に周期的に低~中速で回転駆動する。これにより、制御装置50は、回転槽15内に収容された衣類を穏やかに攪拌する。例えば、回転槽モータ16の回転数は、約40rpm~約50rpmの範囲内に設定することができる。
【0051】
制御装置50は、十分な蒸気が生成される段階になると気化工程を終了する。制御装置50は、例えば加湿促進部材400の周囲の空気の温度又は湿度を直接または間接的に検知し、検知温度又は湿度が閾値以上であったら気化工程を終了することができる。本実施形態では、凝縮器温度検知部53の検知温度が閾値t1以上である場合、制御装置50は気化工程を終了する。閾値t1は、例えば約75℃から約85℃の範囲内に設定することができる。本実施形態では、閾値t1は80℃に設定されている。
【0052】
加湿工程において、制御装置50は送風装置36を駆動し、加湿促進部材400この場合凝縮器32の表面から気化して発生した蒸気を送風装置36の送風機能によって衣類収容槽13、15内に送り込む。加湿工程における送風装置36の駆動回転数R2は、準備工程における送風装置36の駆動回転数R1よりも高く設定されている。これにより、衣類収容槽13、15内に収容された衣類に対して強く蒸気を当てることで、蒸気の浸透を促すことができる。加湿工程における送風装置36の駆動回転数R2は、例えば4000rpm~5500rpmの範囲内に設定することができる。本実施形態では、加湿工程における送風装置36の駆動回転数R2は5000rpmに設定されている。
【0053】
加湿工程において、制御装置50は圧縮機33の駆動を停止する。これにより、送風装置36によって風路20及び衣類収容槽13、15を循環する空気が、ヒートポンプの働きにより除湿されることを回避する。
【0054】
加湿工程において、制御装置50は回転槽モータ16を駆動する。回転槽15が回転することにより、回転槽15内に収容された衣類も回転する。加湿工程における回転槽モータ16の回転数は、衣類が回転槽15と共に回転槽の上部まで上昇してから剥がれ落ちる程度の所定の速度に設定されている。衣類間の相対移動が起こるため、衣類全体が攪拌されて、衣類全体に水分を含む空気が当たりやすくなる。そのため、衣類全体のしわが伸びやすくなる。例えば、回転槽モータ16の回転数は、約40rpm~約50rpmの範囲内に設定することができる。なお、制御装置50は、回転槽モータ16を正逆反転させて回転させてもよい。
【0055】
加湿工程において、制御装置50は給水動作を実行してもよい。本実施形態では、制御装置50は、給水動作を断続的つまり非連続的に複数回実行する。例えば、
図7に示すように、制御装置50は、所定の期間T3の間、第2給水弁41を開放し、所定の期間T4の間、第2給水弁41を閉鎖するサイクルを繰り返すことができる。衣類に対する加湿量を増加したい場合には、給水動作による給水量の総計を増加することができる。給水動作による給水量の総計は1回あたりの給水動作による給水量を増やしてもよいし、給水動作の頻度を増やしてもよいし、その両方を行ってもよい。さらに、1回あたりの給水動作による給水量は、流量、給水期間、又はその両方を調整して増減することができる。
【0056】
所定の給水期間T3は、例えば0.5秒から3秒の範囲内に設定することができる。所定の無給水期間T4は、例えば30秒から60秒の範囲内に設定することができる。本実施形態では、給水期間T3は2秒に設定されている。また、無給水期間T4は60秒に設定されている。
【0057】
なお本実施形態において、加湿工程における給水動作は、準備工程における給水動作では水分の供給が不十分である場合に補助的に行うものであり、加湿工程において衣類収容槽13、15に供給される空気の湿度が十分確保できていれば実行しなくてもよい。例えば、外気湿度が低い場合や、衣類収容槽13、15に収容されている衣類が多い場合には、加湿工程において衣類収容槽13、15に供給される空気の湿度が十分でない場合がある。
【0058】
この場合、例えば期間T4毎に検知した湿度検知部52の検知温度が所定の閾値湿度H0以上であるか否かによって、給水動作の有無を決定することができる。湿度検知部52の検知温度が所定の閾値湿度H0以上であれば、制御装置50は給水動作を行わない。湿度検知部52の検知温度が所定の閾値湿度H0未満であれば、制御装置50は給水動作を実行する。
【0059】
図7に示すように、制御装置50は、準備工程及び加湿工程において、圧縮機33を駆動しない。つまり、給水動作は、圧縮機33を駆動していない状態で実行される。これにより、低温となった蒸発器31によって加湿された空気が瞬時に除湿されてしまうことを抑制できる。なお、本明細書において圧縮機33を駆動しないことには、圧縮機33を停止することだけでなく、凝縮器32によって有意に除湿が実行されない程度に圧縮機33の駆動回転数を低下させることで実質的にヒートポンプ機構の機能を発揮させないことが含まれる。
【0060】
乾燥工程において、制御装置50は、送風装置36と圧縮機33とを駆動する。送風装置36の駆動回転数は、準備工程における駆動回転数R1よりも高い回転数R2に設定されている。また、制御装置50は、乾燥工程において、回転槽モータ16を駆動して回転槽15を回転させる。乾燥工程においても、回転槽モータ16の回転数は、衣類が回転槽15と共に回転槽の上部まで上昇してから剥がれ落ちる程度の所定の速度に設定されている。衣類間の相対移動が起こるため、衣類全体が攪拌されて、衣類全体に温かい空気が当たりやすくなる。そのため、衣類全体が均一に乾燥しやすくなる。例えば、回転槽モータ16の回転数は、約40rpm~約50rpmの範囲内に設定することができる。なお、制御装置50は、回転槽モータ16を正逆反転させて回転させてもよい。
【0061】
図8から
図10に示すフローチャートも参照して、しわ取り運転における制御装置50の処理について説明する。
図8のスタート時において、洗濯乾燥機10の電源は入っており、ユーザによる図示しない操作パネルなどへの操作により、しわ取り運転が選択されているものとする。
【0062】
しわ取り運転が実行されると(スタート)、制御装置50は、ステップS11において準備工程を実行する。準備工程の詳細内容は
図9に示されている。準備工程が実行されると、ステップS21において、制御装置50は送風装置36を駆動する。ステップS22において、制御装置50は回転槽モータ16を駆動する。ステップS23において、制御装置50は第2給水弁41を開放して加湿促進部材400この場合蒸発器31に給水する。
【0063】
ステップS24において、制御装置50は第2給水弁41を開放してから期間T1が経過したか否かを判定する。期間T1が経過していない場合(ステップS24でNo)、制御装置50はステップS24の処理を繰り返す。期間T1が経過している場合(ステップS24でYes)、制御装置50は処理をステップS25に進める。
【0064】
ステップS25において、制御装置50は第2給水弁41を閉鎖して加湿促進部材400への給水を終了する。ステップS26において、制御装置50は第2給水弁41を閉鎖してから期間T2が経過したか否かを判定する。期間T2が経過していない場合(ステップS26でNo)、制御装置50はステップS26の処理を繰り返す。期間T2が経過している場合(ステップS26でYes)、制御装置50は処理をステップS27に進める。ステップS27において、制御装置50は送風装置36の駆動を停止する。その後、制御装置50は処理を
図8のフローチャートに戻す(リターン)。
【0065】
図8に戻り、制御装置50はステップS12において気化工程を実行する。気化工程の詳細な内容は
図10に示されている。気化工程が実行されると、制御装置50はステップS31において圧縮機33を駆動する。これにより、加湿促進部材400この場合凝縮器32の表面温度が高くなり、凝縮器32の表面の水が温められて気化する。
【0066】
ステップS32において、制御装置50は凝縮器温度検知部53の検知温度が閾値t1以上であるか否かを判定する。凝縮器温度検知部53の検知温度が閾値t1未満である場合(ステップS32でNo)、制御装置50はステップS32の処理を繰り返す。凝縮器温度検知部53の検知温度が閾値t1以上である場合(ステップS32でYes)、制御装置50は処理をステップS33に進める。ステップS33において、制御装置50は圧縮機33の駆動を停止する。その後、制御装置50は処理を
図8のフローチャートに戻す(リターン)。
【0067】
図8に戻り、制御装置50はステップS13において加湿工程を実行する。また、制御装置50はステップS14において送風工程を実行する。その後、制御装置50はしわ取り運転の処理を終了する(エンド)。このようにして、制御装置50はしわ取り運転を実行する。
【0068】
以上説明した本実施形態によれば、衣類処理装置としての洗濯乾燥機10は、外箱11と、衣類収容槽13としての外槽13及び回転槽15と、風路20と、加湿促進部材400、31、32と、送風装置36と、給水経路としての第2給水経路42と、給水弁としての第2給水弁41と、制御装置50と、を備える。外槽13及び回転槽15は、空気入口133を有し、内部に衣類を収容する。風路20は、外箱11内に設けられて空気入口133に接続される。加湿促進部材400、この場合蒸発器31及び凝縮器32は、風路20内に配置されて表面から水分を気化する。送風装置36は、衣類収容槽に送風する。第2給水経路42は、加湿促進部材400、31、32に外箱11外部の給水源からの水を供給する。第2給水弁41は、第2給水経路42を開閉する。制御装置50は、送風装置36の動作と、加湿促進部材400、31、32の温度と、第2給水弁41の開閉とを制御して衣類に対して加湿してしわを軽減するしわ取り運転を実行する。制御装置50は、しわ取り運転において、準備工程と、気化工程と、加湿工程と、を実行する。準備工程は、第2給水弁41を開放して加湿促進部材400、31、32に水を供給する工程である。気化工程は、衣類収容槽13、15に送風せずに加湿促進部材400、31、32の温度を高くする工程である。加湿工程は、送風装置36を駆動して気化工程により発生した蒸気を衣類収容槽13、15に送る工程である。
【0069】
これによれば、気化工程において加湿促進部材400、31、32の表面から気化した蒸気は風路20内に滞留させた上で、加湿工程において一度に衣類収容槽13、15内に送風することで、長期間、しわ取りに十分な程度に高く衣類収容槽13、15内の湿度を維持することができる。これにより、省エネルギーながら十分なしわ取り性能を有する衣類処理装置が提供される。
【0070】
本実施形態の衣類処理装置としての洗濯乾燥機10は、圧縮機33と凝縮器32と蒸発器31とを有するヒートポンプ機構を備える。加湿促進部材400は、凝縮器32及び又は蒸発器31である。制御装置50は、気化工程において圧縮機33を駆動する。
【0071】
これにより、圧縮機の駆動により高温となった凝縮器32の表面から水分を気化させることで、衣類のしわ取りに適する高温蒸気を効率的に発生させることができる。したがって、更に省エネルギーながら十分なしわ取り性能を有する衣類処理装置が提供される。
【0072】
ここで、蒸発器31は凝縮器32の上流側にあるので、蒸発器31の上流側面にリントが付きやすい。そのため、蒸発器31の特に上流側面を洗い流すために、洗浄用の給水経路及び給水部を配置することがある。洗浄用の給水経路及び給水部と、加湿用の給水経路及び給水部とを別々に設けることも考えられるが、機内のスペースは限られており、また、部品点数が増えることは製造コストの面から好ましくない。
【0073】
一方、ヒートポンプ機構の機能によって、蒸発器31の表面は冷却されるため、洗浄用の給水経路をそのまま用いても高温の蒸気を生成することはできない。
【0074】
これに対し、凝縮器32は、蒸発器31に隣接して風路20内における空気の流れる方向に関して蒸発器31の下流側に配置されている。第2給水経路42は、蒸発器31に対して上方から臨んで設けられた給水部43を有する。制御装置50は、準備工程において送風装置36を駆動する。
【0075】
これによれば、蒸発器31に対して給水した後、送風装置36の機能により蒸発器31表面の水を下流側の凝縮器32に飛ばし、凝縮器32の表面を濡らすことができる。凝縮器32の表面はヒートポンプ機構の機能により加熱されるので、追加の給水構成を設けなくとも、凝縮器32の表面から高温の蒸気を発生させることができる。したがって、機内スペースを有効活用し、製造コストを抑えつつ、省エネルギーながら十分なしわ取り性能を有する衣類処理装置を提供することができる。
【0076】
制御装置50は、加湿工程において圧縮機33の駆動を停止する。
【0077】
これにより、気化工程において発生した蒸気が、ヒートポンプの機能により蒸発器によって除湿されることを抑制する。よって、衣類に対する十分な蒸気の供給が一層確実となり、衣類処理装置によるしわ取り性能が向上する。
【0078】
本実施形態の衣類処理装置としての洗濯乾燥機10は、凝縮器32の温度を検知する凝縮器温度検知部53を備える。制御装置50は、凝縮器温度検知部53の検知温度が所定の閾値t1以上となったことに基づいて気化工程を終了する。
【0079】
これによれば、凝縮器32の表面温度が、高温蒸気が生成される所定の閾値t1以上となれば、風路20内部に高温蒸気が十分に滞留していることが想定できる。そのため、適時に気化工程を終了し、必要以上に凝縮器32を加熱することが抑制される。また、凝縮器32の温度が過度に高温となると、熱交換器31、32の許容圧力を超えてしまう虞がある。そのため、所定の閾値t1を超えたら圧縮機33の駆動を停止させることで、安全性に配慮しつつ、しわ改善を可能にする衣類処理装置を提供することができる。
【0080】
(第2実施形態)
図11及び
図12を参照して、第2実施形態について説明する。本実施形態では、制御装置50は、圧縮機33の温度に基づいて気化工程を終了する。
【0081】
図11に示すように、洗濯乾燥機10は、圧縮機温度検知部54を備える。圧縮機温度検知部54は、圧縮機33の温度を検知する機能を有する。制御装置50は、圧縮機温度検知部54の検知温度を取得する。圧縮機温度検知部54の検知温度が閾値t2以上である場合、制御装置50は気化工程を終了する。閾値t2は、例えば約115℃~約125℃の範囲内に設定することができる。本実施形態では、閾値t2は約120℃に設定されている。
【0082】
本実施においてしわ取り運転が実行されると、制御装置50は気化工程を除いて上記第1実施形態と同様に処理を実行する。
図12に示す気化工程において、制御装置50はステップS32に替えてステップS41を実行する。
【0083】
ステップS41において、制御装置50は、圧縮機温度検知部54の検知温度が閾値t2以上であるか否かを判定する。圧縮機温度検知部54の検知温度が閾値t2未満である場合(ステップS41でNo)、制御装置50はステップS41の処理を繰り返す。圧縮機温度検知部54の検知温度が閾値t2以上である場合(ステップS41でYes)、制御装置50は処理をステップS33に進める。
【0084】
本実施形態によっても、上記実施形態と同様の効果が奏される。
【0085】
本実施形態の衣類処理装置としての洗濯乾燥機10は、圧縮機33の温度を検知する圧縮機温度検知部54を備える。制御装置50は、圧縮機温度検知部54の検知温度が所定の閾値t2以上となったことに基づいて気化工程を終了する。
【0086】
これによれば、圧縮機33の温度が、所定の閾値t2以上となれば、風路20内部に高温蒸気が十分に滞留していることが想定できる。そのため、適時に気化工程を終了し、必要以上に凝縮器32を加熱することを抑制することができる衣類処理装置が提供される。また、圧縮機33の温度が過度に高温となると、圧縮機33の許容圧力を超えてしまう虞がある。そのため、所定の閾値t2を超えたら圧縮機33の駆動を停止させることで、安全性に配慮しつつ、しわ改善を可能にする衣類処理装置を提供することができる。
【0087】
(第3実施形態)
図13及び
図14を参照して、第3実施形態について説明する。本実施形態では、1回のしわ取り運転において、準備工程、気化工程、及び加湿工程を1セットとして、複数セットが繰り返し実行される。これにより、衣類に供給する蒸気の総量を増やし、しわ取り効果を一層高めることができる。
【0088】
図13に示すように、制御装置50は、1回のしわ取り運転において、準備工程、気化工程、及び加湿工程を最大セット数Nmaxは、ユーザによる図示しない操作パネル等への操作によって設定されてもよいし、温度検知部51の検知温度、湿度検知部52の検知湿度、回転槽15に収容された衣類の重量及び又は布質のいずれか1つ以上に基づいて制御装置50が設定してもよい。最大セット数Nmaxは、2~3回に設定することができる。例えば、温度検知部51の検知温度、又は湿度検知部52の検知湿度が所定の閾値未満の場合、所定の閾値以上である場合よりも最大セット数Nmaxを増やすことができる。また、回転槽15に収容された衣類の重量が所定の閾値以上である場合、所定の閾値未満である場合よりも最大セット数Nmaxを増やすことができる。さらに、回転槽15に収容された衣類の布質が、水分を吸収し易い綿系である場合、水分を吸収し難い化繊系である場合よりも最大セット数Nmaxを増やすことができる。
【0089】
図14に本実施形態におけるしわ取り運転のフローチャートを示す。しわ取り運転が実行されると、制御装置50はステップS51において、セット数のカウントをN=1に設定する。そして、制御装置50は準備工程(ステップS11)、気化工程(ステップS12)、及び加湿工程(ステップS13)を順に実行する。
【0090】
ステップS52において、制御装置50は、セット数のカウントNが最大セット数Nmax以上であるか否かを判定する。セット数のカウントNがNmax未満である場合(ステップS52でNo)、制御装置50は、処理をステップS53に進める。ステップS53において、制御装置50は、セット数のカウントN=N+1に設定する。その後、制御装置50は処理をステップS11に戻す。
【0091】
セット数のカウントNがNmax以上である場合(ステップS52でYes)、制御装置50は、処理をステップS14に進める。ステップS14において制御装置50は送風工程を実行する。このようにして、制御装置50は本実施形態におけるしわ取り運転を実行する。
【0092】
本実施形態によっても、上記各実施形態と同様の効果が奏される。
【0093】
本実施形態によれば、制御装置50は、しわ取り運転において、準備工程、気化工程、及び加湿工程を1セットとして繰り返し複数セット実行する。
【0094】
これにより、高温高湿の蒸気を衣類収容槽13、15に大量に供給することができるので、衣類に吸湿させる水分の総量が増加し、しわ改善効果が向上する。
【0095】
(第4実施形態)
図15及び
図16を参照して、第4実施形態について説明する。本実施形態では、洗濯乾燥機10は、紫外線照射装置60を備える。紫外線照射装置60は、回転槽15内に収容された衣類に対して紫外線を照射し、衣類に対して除菌・消臭効果を発揮する。
【0096】
図15に示すように、紫外線照射装置60は外槽13及び回転槽15の前面開口を介して回転槽15内部に対して紫外線を照射できるように配置されている。具体的には、紫外線照射装置60は外槽13の外槽カバーの上部に取り付けられている。紫外線照射装置60から照射された紫外線は、回転槽15の前部から奥部の回転槽端板に亘るまで、広範囲に照射される。
図16に示すように、紫外線照射装置60は制御装置50に電気的に接続されており、制御装置50の制御を受けて紫外線を照射する。
【0097】
制御装置50は、準備工程、気化工程、加湿工程のうち1以上の工程において紫外線照射装置60を駆動する。また、制御装置50は、乾燥工程において紫外線照射装置60を駆動してもよい。さらに、制御装置50は各工程の全期間に亘って紫外線照射装置60を駆動してもよいし、一部の期間において紫外線照射装置60を駆動してもよい。
【0098】
本実施形態によっても、上記各実施形態と同様の効果が奏される。
【0099】
本実施形態の衣類処理装置としての洗濯乾燥機10は、衣類収容槽13、15の内部に向けて紫外線を照射する紫外線照射装置60を備える。制御装置50は、準備工程、気化工程、及び加湿工程のうち少なくともいずれか一工程の実行中に、紫外線照射装置60を駆動する。
【0100】
これによれば、衣類に対してしわ改善効果を発揮すると同時に、除菌・消臭効果を発揮する衣類処理装置が提供される。とりわけ準備工程及び気化工程の実行期間は、衣類収容槽13、15内に収容された衣類に対して直接的な処理がなされている期間ではない。そのため、これらの期間において紫外線照射装置60を駆動することで、しわ取り運転の運転時間を有効活用することができる。
【0101】
(その他の実施形態)
以上説明した各実施形態では、給水部43は蒸発器31の上方に配置されているが、蒸発器31に加えて凝縮器32の上方に給水部43が配置されていてもよいし、蒸発器31に替えて凝縮器32の上方に給水部43が配置されていてもよい。圧縮機33の動作後に加湿機構40が動作する場合には、高温となっている凝縮器32によって、気化が促進され得る。蒸発器31に替えて凝縮器32の上方に給水部43が配置される場合、準備工程において送風装置36を駆動しなくてもよい。
【0102】
更に別の実施形態では、制御装置50は、しわ取り運転以外の運転、例えば、洗濯運転、乾燥運転又は洗濯乾燥運転を、準備工程、気化工程、及び加湿工程を含まない通常コースと、準備工程、気化工程、及び加湿工程を含むしわ改善コースとから選択的に実行可能としてもよい。しわ取りコースを実行する場合、制御装置50は、例えば、洗濯乾燥運転のプリヒート脱水工程の実行後、乾燥運転若しくは洗濯乾燥運転の乾燥工程の実行後、洗濯運転若しくは洗濯乾燥運転の最終の脱水工程の実行後、又は、乾燥運転の乾燥工程の実行後に、準備工程、気化工程、及び加湿工程を実行することができる。なお、乾燥工程後に準備工程、気化工程、及び加湿工程を実行する場合、制御装置50は加湿工程後にさらに乾燥工程を実行してもよい。
【0103】
なお、上記各実施形態の構成は、発明の要旨を変更しない範囲内で互いに組み合わせて実行することができる。
【0104】
本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0105】
10…洗濯機、13…外槽(衣類収容槽)、133…空気入口、15…回転槽(衣類収容槽)、20…風路、30…乾燥ユニット(ヒートポンプ)、31…蒸発器(熱交換器、加湿促進部材)、32…凝縮器(熱交換器、加湿促進部材)、33…圧縮機、36…送風装置、41…第2給水弁(給水弁)、42…第2給水経路(給水経路)、50…制御装置、53…凝縮器温度検知部、54…圧縮機温度検知部、60…紫外線照射装置