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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025139949
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20250919BHJP
【FI】
G03G21/16 120
G03G21/16 176
G03G21/16 171
G03G21/16 180
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024039053
(22)【出願日】2024-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】門脇 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】操 洋二
【テーマコード(参考)】
2H171
【Fターム(参考)】
2H171FA02
2H171FA03
2H171FA10
2H171HA06
2H171HA23
2H171HA24
2H171JA03
2H171JA23
2H171JA39
2H171KA05
2H171KA06
2H171KA17
2H171QA04
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB03
2H171QB32
2H171QC01
2H171QC03
2H171QC09
2H171SA11
2H171SA14
2H171SA15
2H171SA19
2H171SA22
2H171SA26
(57)【要約】
【課題】異物混入に起因する画像不良の発生を抑制する。
【解決手段】装置本体と、感光ドラムを備えた第1のユニットであって、前記感光ドラムの回転軸線方向における一端部に備えられた第1の壁面を有し、前記装置本体の内部と外部との間を移動可能な第1のユニットと、前記感光ドラムと当接可能なベルトを備えた第2のユニットであって、前記装置本体の内部と外部との間を移動可能な第2のユニットと、を備え、前記第1のユニットと前記第2のユニットとは互いに連結し、一体的に前記装置本体の外部に移動可能であって、前記第1のユニットと前記第2のユニットが互いに連結した状態において、前記第1の壁面は、前記回転軸線方向において前記ベルトの外側に位置し、鉛直方向における前記第1の壁面の下方端部が、前記ベルトの前記感光ドラムと当接する当接面の下方に位置する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
感光ドラムを備えた第1のユニットであって、前記感光ドラムの回転軸線方向における一端部に備えられた第1の壁面を有し、前記装置本体の内部と外部との間を移動可能な第1のユニットと、
前記感光ドラムと当接可能なベルトを備えた第2のユニットであって、前記装置本体の内部と外部との間を移動可能な第2のユニットと、
を備え、
前記第1のユニットと前記第2のユニットとは互いに連結し、一体的に前記装置本体の外部に移動可能であって、
前記第1のユニットと前記第2のユニットが互いに連結した状態において、前記第1の壁面は、前記回転軸線方向において前記ベルトの外側に位置し、鉛直方向における前記第1の壁面の下方端部が、前記ベルトの前記感光ドラムと当接する当接面の下方に位置することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2のユニットは、一次転写ローラを更に有し、
前記第1のユニットと前記第2のユニットが互いに連結した状態において、前記第1の壁面は、前記回転軸線方向に見て前記一次転写ローラの少なくとも一部と重なることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1のユニットと前記第2のユニットが互いに連結した状態において、前記回転軸線方向に見たときに、前記鉛直方向における前記一次転写ローラの下方端部が、前記第1の壁面の前記下方端部の下方に位置することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2のユニットは、前記ベルトが前記感光ドラムから離間するように前記一次転写ローラが移動可能に構成され、
前記第1のユニットと前記第2のユニットが互いに連結し、前記ベルトが前記感光ドラムから離間した状態で、前記第1の壁面の前記下方端部は前記当接面の下方に位置することを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2のユニットは、前記回転軸線方向における前記ベルトの端部を覆う第2の壁面を有し、
前記第1のユニットと前記第2のユニットが互いに連結した状態において、前記鉛直方向における前記第2の壁面の上方端部が、前記第1の壁面の前記下方端部の上方に位置することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1のユニットと前記第2のユニットが互いに連結した状態において、前記第2の壁面は、前記回転軸線方向において前記第1の壁面と前記ベルトの間に位置し、前記鉛直方向における前記第2の壁面の前記上方端部が、前記ベルトの前記当接面の上方に位置することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1のユニットと前記第2のユニットが互いに連結した状態において、前記鉛直方向における前記第2の壁面の前記上方端部は、前記ベルトの前記当接面の下方に位置することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ベルトは、前記当接面の反対の反対面を有し、
前記第1のユニットと前記第2のユニットが互いに連結した状態において、前記第1の壁面の前記下方端部は、前記鉛直方向において前記反対面の下方に位置することを特徴と
する請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1の壁面は、前記回転軸線方向において前記感光ドラムの両端側にそれぞれ設けられ、
前記第2の壁面は、前記回転軸線方向において前記ベルトの両端側にそれぞれ設けられることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1のユニットは、カートリッジと、前記カートリッジが取り外し可能に装着されるトレイとを含み、前記装置本体の内部と外部との間を移動可能なトレイユニットであり、
前記感光ドラムは、前記カートリッジと前記トレイのいずれか一方に備えられることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第1のユニットが前記装置本体の内部から外部に移動するとき、前記第2のユニットも前記装置本体の内部から外部に移動することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、複合機等の画像形成装置には、装置本体の内部と外部の間を移動するトレイにカートリッジを取り外し可能に装着するものがある。
【0003】
特許文献1には、カートリッジが取り外し可能に装着されたトレイと、定着装置とを備えた画像形成装置が開示される。トレイは複数の開口を通じて画像形成装置の装置本体の外に移動可能である。
【0004】
また、特許文献2には、カートリッジが取り外し可能に装着されたトレイと、転写ユニットと、定着装置とを備えた画像形成装置が開示される。特許文献2において、トレイと転写ユニットは、画像形成装置の内側から外側に移動可能である。具体的には、定着装置は画像形成装置の装置本体の一端側に配置され、転写ユニットが装置本体の外側に移動する際、転写ユニットは装置本体の他端側から一端側に向かう方向に移動する。一方、トレイが装置本体の外側に移動する際、トレイは装置本体の一端側から他端側に向かう方向に移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-244018号公報
【特許文献2】特開2015-206897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の技術をさらに発展させたものである。すなわち、カートリッジユニットと転写ユニットを装置本体から取り外し可能な画像形成装置において、異物混入に起因する画像不良の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明における画像形成装置は、
装置本体と、
感光ドラムを備えた第1のユニットであって、前記感光ドラムの回転軸線方向における一端部に備えられた第1の壁面を有し、前記装置本体の内部と外部との間を移動可能な第1のユニットと、
前記感光ドラムと当接可能なベルトを備えた第2のユニットであって、前記装置本体の内部と外部との間を移動可能な第2のユニットと、
を備え、
前記第1のユニットと前記第2のユニットとは互いに連結し、一体的に前記装置本体の外部に移動可能であって、
前記第1のユニットと前記第2のユニットが互いに連結した状態において、前記第1の壁面は、前記回転軸線方向において前記ベルトの外側に位置し、鉛直方向における前記第1の壁面の下方端部が、前記ベルトの前記感光ドラムと当接する当接面の下方に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来の技術をさらに発展させ、異物混入に起因する画像不良の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】プリンタの全体構成を説明する図
図2】ドアを開いた状態のプリンタを示す図
図3】定着装置が移動した状態のプリンタを示す図
図4】転写ユニットとトレイユニットが引き出されたときのプリンタを示す図
図5】転写ユニットが単独で引き出された状態のプリンタを示す図
図6】転写ユニットとトレイユニットの移動を説明する図
図7】転写ユニットとトレイユニットの移動を説明する図
図8】トレイユニットのトレイと転写ユニットを連結する連結部材を示す図
図9】トレイユニットのトレイと転写ユニットを連結する連結部材を示す図
図10】トレイユニットのトレイと転写ユニットを連結する連結部材を示す図
図11】実施例1の転写ユニットとトレイユニットが引き出されたときの側面図
図12】実施例1の転写ユニットとトレイユニットが引き出されたときの断面図
図13】変形例1の転写ユニットとトレイユニットが引き出されたときの側面図
図14】変形例1の転写ユニットとトレイユニットが引き出されたときの断面図
図15】変形例2の転写ユニットとトレイユニットが引き出されたときの側面図
図16】変形例2の転写ユニットとトレイユニットが引き出されたときの断面図
図17】変形例3のトレイユニットの説明図
図18】実施例2の転写ユニットとトレイユニットが引き出されたときの側面図
図19】実施例2の転写ユニットとトレイユニットが引き出されたときの断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。なお、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0011】
(実施例1)
[全体構成]
図1は、本実施例に係るプリンタ1の全体構成を説明する図である。図1を用いて、画像形成装置としてのプリンタ1について説明する。本実施形態において、プリンタ1は、記録材としてのシートSに画像を形成する、電子写真方式のカラーレーザービームプリンタである。
【0012】
プリンタ1は、装置本体1A、スキャナ2、制御部3、装置本体1Aに対して開閉可能なドア20を有する。さらに、プリンタ1は、シート給送部30と、転写装置としての転写ユニット40と、引き出しユニットとしてのトレイユニット50と、定着装置80とを有する。装置本体1Aとドア20を含む部分を、メインフレーム100と呼ぶこともできる。メインフレーム100は、プリンタ1の外装部を含む。
【0013】
装置本体1Aは、スキャナ2、制御部3、シート給送部30、転写ユニット40、トレイユニット50、定着装置80を収容する。
【0014】
シート給送部30は、シートSを積載する積載トレイ31、供給ローラ32を有する。積載トレイ31は、ドア20の方向に引き出して、シートSを補充することが可能である
【0015】
第1のユニットとしてのトレイユニット50は、支持部材としてのトレイ51と、カートリッジPY、PM、PC、PKを有し、トレイ51はトレイハンドル52を有する。カートリッジPY、PM、PC、PKは、トレイ51に対して取り外し可能に装着されている。
【0016】
カートリッジPY、PM、PC、PKのそれぞれは、互いに対して独立してトレイ51に対して着脱可能である。カートリッジPY、PM、PC、PKは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のトナー(現像剤)を収容する。カートリッジPY、PM、PC、PKは、収容するトナーの色が異なること以外は同じ構成である。そのため、カートリッジPY、PM、PC、PKのいずれか一つについて構成及び動作を説明し、その他については説明を省略する場合がある。また、カートリッジPY、PM、PC、PKを区別する必要がないときに、カートリッジPY、PM、PC、PKを、単にカートリッジPと呼ぶ場合もある。トレイユニット50は、複数のカートリッジPと、複数のカートリッジPが取り外し可能に装着されるトレイ51とを有するということができる。
【0017】
本実施例において、トレイユニット50は、複数の感光ドラム(像担持体)61、複数の帯電ローラ62(帯電部材)、複数の現像ローラ(現像剤担持体)71を有する。具体的には、トレイユニット50は、4つの感光ドラム61、4つの帯電ローラ62、4つの現像ローラ71を有する。感光ドラム61の回転軸線方向、現像ローラ71の回転軸線方向、帯電ローラ62の回転軸線方向は、平行である。
【0018】
ブラック(K)の画像を形成する部分をブラックステーション(第1ステーション)と呼び、第1ステーションの感光ドラム61を第1感光ドラム、現像ローラ71を第1現像ローラ、帯電ローラ62を第1帯電ローラと呼ぶ。
【0019】
シアン(C)の画像を形成する部分をシアンステーション(第2ステーション)と呼び、第2ステーションの感光ドラム61を第2感光ドラム、現像ローラ71を第2現像ローラ、帯電ローラ62を第2帯電ローラと呼ぶ。
【0020】
マゼンタ(M)の画像を形成する部分をマゼンタステーション(第3ステーション)と呼び、第3ステーションの感光ドラム61を第3感光ドラム、現像ローラ71を第3現像ローラ、帯電ローラ62を第3帯電ローラと呼ぶ。
【0021】
イエロー(Y)の画像を形成する部分をイエローステーション(第4ステーション)と呼び、第4ステーションの感光ドラム61を第4感光ドラム、現像ローラ71を第4現像ローラ、帯電ローラ62を第4帯電ローラと呼ぶ。
【0022】
カートリッジPKはブラックステーションに、カートリッジPCはシアンステーションに、カートリッジPMはマゼンタステーションに、カートリッジPYはイエローステーションに、それぞれ装着される。本実施形態では、カートリッジPKを第1カートリッジ、カートリッジPCを第2カートリッジ、カートリッジPMを第3カートリッジ、カートリッジPYを第4カートリッジと呼ぶ。なお、第1、第2、第3、第4といった番号は、説明上便宜的に用いられるものである。
【0023】
感光ドラム61、帯電ローラ62、現像ローラ71は、カートリッジPかトレイ51のいずれかに備えられていればよい。本実施例においては、カートリッジPが感光ドラム61、帯電ローラ62、現像ローラ71を有する。
【0024】
第2のユニットとしての転写ユニット40は、ベルト41、一次転写ローラ42、清掃部43、ベルト41を駆動する第1ローラとしての駆動ローラ46、第2ローラとしてのテンションローラ(被駆動ローラ)47を有する。本実施例におけるプリンタ1には、ベルト41に転写されたトナー像を検知する光学センサ44が配置されている。本実施例において、ベルト41は感光ドラム61の下方に配置され、ベルト41と感光ドラム61の間に一次転写部が形成されるように、感光ドラム61に当接可能である。複数の一次転写ローラ42が、ベルト41を介して複数の感光ドラム61のそれぞれと対向する位置に設けられている。また、プリンタ1は、二次転写部が形成されるようにベルト41に当接する二次転写ローラ45を有する。二次転写部はベルト41と二次転写ローラ45の間に形成される。一次転写ローラ42の回転軸線方向、駆動ローラ46の回転軸線方向、テンションローラ47の回転軸線方向、二次転写ローラ45の回転軸線方向は平行である。二次転写部の手前には、レジストレーションローラ対4が配置されている。
【0025】
定着装置80は、定着部81、フラッパ5を有する。シートSに対する画像形成動作が行われるとき、定着装置80は使用位置にある。定着装置80は、使用位置にある状態で装置本体1Aの内部(内側)に収納されている。また、定着装置80は、使用位置にある状態でシートSを加熱するように構成されている。本実施形態において、定着部81は、ヒータを含む加熱部(加熱ローラ)と、加圧部(加圧ローラ)を含む。
【0026】
図1図2図3図4図5を用いて、転写ユニット40とトレイユニット50の移動について説明する。図2は、ドア20を開いた状態のプリンタ1を示す図である。図3は定着装置80が移動した状態のプリンタ1を示す図である。図4は、転写ユニット40とトレイユニット50が引き出された状態のプリンタ1を示す図である。図5は、転写ユニット40が単独で引き出された状態のプリンタ1を示す図である。
【0027】
転写ユニット40とトレイユニット50は、装置本体1Aの内部から外部に移動可能である。水平方向Hにおいて、装置本体1Aは、開口1A1が備えられた第1端部1b1と、第1端部1b1と反対の第2端部1b2を有している。トレイユニット50は、開口1A1を通じて、装置本体1Aの内側の第1内側位置と、装置本体1Aの外側の第1外側位置に移動可能である。転写ユニット40は、開口1A1を通じて、装置本体1Aの内側の第2内側位置と、装置本体1Aの外側の第2外側位置に移動可能である。開口1A1は、トレイユニット50が通過する開口と、転写ユニット40が通過する開口を含んでいてもよい。なお、転写ユニット40が第2内側位置から第2外側位置に移動する際には、少なくともベルト41が移動され、ベルト41の少なくとも一部が、装置本体1Aの外側に向けて、装置本体1Aから突出する。
【0028】
トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動する方向を、トレイ取り出し方向Dd1(第1取り出し方向)と呼び、トレイ取り出し方向Dd1の反対方向を、トレイ取り付け方向Da1(第1取り付け方向)と呼ぶ。トレイ取り出し方向Dd1は、第2端部1b2から第1端部1b1に向かう方向ということができる。
【0029】
転写ユニット40が第2内側位置から第2外側位置に移動する方向を、転写取り出し方向Dd2(第2取り出し方向)と呼び、転写取り出し方向Dd2の反対方向を、転写取り付け方向Da2(第2取り付け方向)と呼ぶ。転写取り出し方向Dd2は、第2端部1b2から第1端部1b1に向かう方向ということができる。
【0030】
トレイ取り出し方向Dd1、トレイ取り付け方向Da1は、感光ドラム61の回転軸線方向に交差する方向(好ましくは直交方向)である。転写取り出し方向Dd2、転写取り付け方向Da2は、駆動ローラ46の回転軸線方向に交差する方向(好ましくは直交方向
)である。駆動ローラ46の回転軸線方向は、感光ドラム61の回転軸線方向と平行である。
【0031】
水平方向Hにおいて、装置本体1Aの一端側(第1端部1b1が配置された側)には、定着装置80が配置される。
【0032】
装置本体1Aに取り付けられたドア20は、閉位置と開位置の間を移動可能である。図1に示すように、ドア20が閉位置にある状態(ドア20の閉じた状態)では、ドア20は開口1A1を覆う。図2に示すように、ドア20が開位置にある状態(ドア20の開き状態)では、開口1A1が露出される。
【0033】
図1に示すように、ドア20が閉位置にある状態では、ドア20は装置本体1Aに取り付けられた定着装置80を覆っている。より具体的には、ドア20が閉位置にある状態では、ドア20の上カバー部20bが、定着装置80の上方に位置する。ドア20の上カバー部20bは、外装部の一部としての機能を有する。
【0034】
ドア20は、定着装置80が装置本体1Aに支持された状態で、開位置と閉位置とに移動することができる。言い換えれば、ドア20は、装置本体1Aに支持された定着装置から離れるように、閉位置から開位置に移動する。したがって、図2に示すように、ドア20が開位置にある状態では、ドア20は、装置本体1Aに支持された定着装置80から離れている。
【0035】
後述するように、定着装置80は、開口1A1が広く露出されるように、図2の状態から図3の状態に移動可能である。ドア20と定着装置80が移動した状態(図3)で、転写ユニット40とトレイユニット50は、開口1A1を通じて、装置本体1Aの内部から外部に移動可能であり、移動後は図4の状態になる。
【0036】
トレイユニット50が装置本体1Aの外部に移動された状態(図4)で、トレイ51からカートリッジPY、PM、PC、PKを取り外すこと、およびトレイ51にカートリッジPY、PM、PC、PKを取り付けることが許容される。これにより、カートリッジPY、PM、PC、PKを、新しいカートリッジPY、PM、PC、PKに交換することができる。本実施例において、カートリッジPは、トレイ51に対して感光ドラム61の回転軸線に交差する方向(好ましくは直交方向)に着脱可能である。
【0037】
カートリッジPY、PM、PC、PKは、トレイ51に対して転写ユニット40から遠ざかる方向に移動することで、トレイ51から取り外される。言い換えれば、カートリッジPY、PM、PC、PKは、トレイ51に対して転写ユニット40とは反対側に向けて移動して、トレイ51から取り外される。本実施形態において、転写ユニット40はトレイユニット50の下方に配置されている。したがって、カートリッジPY、PM、PC、PKは、トレイ51に対して上方に移動して、トレイ51から取り外される。
【0038】
さらに、転写ユニット40はトレイユニット50に対して独立して装置本体1Aから取り外し可能であり、新しい転写ユニット40に交換することができる。
【0039】
[画像形成動作]
図1を用いて、プリンタ1の画像形成動作について説明する。プリンタ1の制御部3は、外部ホスト装置400から受け取った画像信号に基づいて、シートSへの画像形成動作を開始する。外部ホスト装置400は、例えばパーソナルコンピュータ、イメージリーダ及びファクシミリ等である。
【0040】
シートSへの画像形成が行われるとき、定着装置80は使用位置に位置し、トレイユニット50は第1内側位置に位置し、転写ユニット40は第2内側位置に位置し、ドア20は閉位置に位置する。転写ユニット40が第2内側位置にある状態で、ベルト41は感光ドラム61に当接可能である。このとき、トレイユニット50は転写ユニット40の上方に位置している。
【0041】
帯電ローラ62に帯電電圧が印可され、感光ドラム61が回転する。画像情報に対応したレーザがスキャナ2から感光ドラム61に照射され、帯電ローラ62によって帯電された感光ドラム61の表面が露光される。これにより、感光ドラム61の表面に、画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0042】
現像ローラ71はトナーを担持する。現像ローラ71には現像電圧が印可され、感光ドラム61に形成された静電潜像が現像ローラ71から供給されたトナーによって現像され、感光ドラム61の表面にトナー像が形成される。本実施例において、現像ローラ71は感光ドラム61に当接した状態で静電潜像を現像するが、現像ローラ71と感光ドラム61の間に隙間がある状態で、現像ローラ71が静電潜像を現像してもよい。
【0043】
フルカラー画像が形成されるとき、それぞれの感光ドラム61に、各色のトナー像が形成される。
【0044】
なお、本実施例において、トレイユニット50が第1内側位置にある状態で、現像ローラ71は、感光ドラム61に当接する当接位置と感光ドラム61から離間した離間位置との間を移動可能である。具体的には、装置本体1Aに備えられた切替装置によって、現像ローラ71が当接位置にある状態と、現像ローラ71が離間位置にある状態とが切り替えられる。これにより、画像形成動作が行われない状態では、現像ローラ71を感光ドラム61から離間させておくことができる。
【0045】
また、プリンタ1は、カートリッジPKに対応する現像ローラ71と感光ドラム61が当接し、カートリッジPY、PM、PCのそれぞれに対応する現像ローラ71と感光ドラム61離間した状態で、モノカラー印刷を行うことができる。また、プリンタ1は、カートリッジPY、PM、PC、PKに対応する感光ドラム61とベルト41が当接した状態で、フルカラー印刷を行うことができる。
【0046】
それぞれの感光ドラム61に形成されたトナー像は、一次転写部において、一次転写ローラ42によりベルト41上に転写され、ベルト41と二次転写ローラ45によって形成される二次転写部に向けて搬送される。
【0047】
一方、装置本体1Aには、定着装置80に向かうシートSが通過する搬送路(第1経路、第1搬送路)1cが形成されている。また、ドア20には、定着装置80を通過したシートSが通過する両面搬送路(第2経路、第2搬送路)20aが形成される。ドア20は、閉じ状態において搬送路1cを覆っている。ドア20が開かれることで、搬送路1cと、両面搬送路20aが露出される(図2)。
【0048】
シート給送部30において、積載トレイ31に積載されているシートSから、所定のタイミングで供給ローラ32により1枚のシートSが分離給紙され、搬送路1cを通って二次転写部および定着装置80に向けて搬送される。
【0049】
二次転写部において、ベルト41からシートSにトナー像が転写される。シートSに転写されなかったトナーは、清掃部43内に設けられたクリーニングブレード(清掃部材)43Aによってベルト41から取り除かれる。
【0050】
二次転写部においてトナー像が転写されたシートSは、定着装置80に向けて搬送される。定着装置80において、シートSは定着部81で加熱・加圧され、トナー像がシートSに定着される。トナー像が定着されたシートSは経路切替部としてのフラッパ5に向けて搬送される。
【0051】
フラッパ5は、定着装置80を通過したシートSを排紙路1dに向けて案内する排紙位置と、反転路1eに向けて案内する反転位置とに移動可能である。
【0052】
シートSの片面に画像が形成される片面印刷が行われる場合、シートSはフラッパ5によって排紙路1dに案内され、装置本体1Aの上部に形成された排出トレイ1fに排出される。
【0053】
一方、シートSの片面および裏面に画像が印刷される両面印刷が行われる場合、シートSはフラッパ5によって反転路1eに案内される。反転路1eにシートSが案内された後、シートSの搬送方向が反転し、シートSはドア20に形成された両面搬送路20aを通って、二次転写部に向けて搬送される。二次転写部において、シートSの裏面にトナー像が転写された後、シートSは定着装置80を通過し、フラッパ5によって排紙路1dに案内され、装置本体1Aの排出トレイ1fに排出される。
【0054】
[トレイユニットと転写ユニットの取り出しと定着装置の配置]
図1図2図3図4図5を用いて、装置本体1Aからのトレイユニット50および転写ユニット40の取り外しと、定着装置80の配置について説明する。
【0055】
上述したように、プリンタ1の定着装置80は、水平方向Hで装置本体1Aの一端側に配置されている。また、転写ユニット40とトレイユニット50は、装置本体1Aの一端側から、開口1A1を通じて装置本体1Aの外部に移動する。
【0056】
言い換えれば、水平方向Hにおいて、定着装置80は第2端部1b2よりも第1端部1b1に対して近い。つまり、水平方向Hにおいて、定着装置80と第1端部1b1の距離は、定着装置80と第2端部1b2の距離よりも短い。定着装置80は、水平方向Hにおける装置本体1Aの中央よりも、第1端部1b1に近い位置に配置されており、水平方向Hにおける第1端部1b1と定着装置80の距離は、第1端部1b1と装置本体1Aの中央の距離よりも短いということができる。
【0057】
また、上述したように、トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動するとき、トレイユニット50の移動方向は感光ドラム61の回転軸線に交差する方向である。このときトレイユニット50は、第2端部1b2から遠ざかるように移動する。
【0058】
上述したように、転写ユニット40が第2内側位置から第2外側位置に移動するとき、転写ユニット40の移動方向は駆動ローラ46の回転軸線に交差する方向である。このとき転写ユニット40は、第2端部1b2から遠ざかるように移動する。
【0059】
上述したように、本実施例のドア20は、閉じ状態で開口1A1を覆うと共に、シートSの搬送路1cの少なくとも一部を覆う。また、ドア20は両面搬送路20aを備える。シートSの詰まり(以下、ジャムと呼ぶ)が起きた場合、プリンタ1の使用者は、装置本体1Aの一端側からシートSを取り除き、ジャムを解消することができる。具体的には、ドア20を開位置に移動して装置本体1Aの内部にアクセスしてシートSを取り除くことができる。また、定着装置80を通過したシートSの一部が装置本体1Aの外部に露出している場合は、ドア20を開くことなくシートSを装置本体1Aの外部から引っ張って、
シートSを取り除くことができる。
【0060】
さらに、プリンタ1の使用者は、装置本体1Aの一端側から転写ユニット40とトレイユニット50を装置本体1Aの外部に移動して、転写ユニット40やカートリッジPの状態の確認、メンテナンス、交換などの作業を行うことができる。
【0061】
つまり、プリンタ1は、定着装置80が装置本体1Aの一端側に配置されつつ、装置本体1Aの一端側を通じて転写ユニット40とトレイユニット50を装置本体1Aの内外に移動可能とされている。その結果、使用者は、ジャムの解消や、定着装置80へのアクセス、転写ユニット40とトレイユニット50の操作を一方向から行うことができる。
【0062】
本実施形態ではプリンタ1はドア20側を正面と定義している。したがって、ジャムの解消や、転写ユニット40とトレイユニット50の操作などの作業をプリンタ1の正面から行うためのスペースが確保されていればよい。一方で、これらの作業をプリンタ1の左面、右面、背面、上面から行うためのスペースを確保する必要がない。したがって、プリンタ1を省スペースで設置することができる。
【0063】
仮に、転写ユニット40またはトレイユニット50が装置本体1Aの他端側から引き出される場合、ジャムの解消と転写ユニット40またはトレイユニット50の引き出しのために、使用者は装置本体1Aの両端側にアクセスする必要がある。また、転写ユニット40とトレイユニット50の一方が装置本体1Aの一端側から引き出され、転写ユニット40とトレイユニット50の他方が他端側から引き出される場合にも、使用者は装置本体1Aの両端側にアクセスする必要がある。そのため、装置本体1Aの正面だけでなく背面から作業するためのスペースが必要となり、プリンタ1を設置するために必要となる面積が増えてしまう。しかし、本実施例では、上述のように転写ユニット40とトレイユニット50の操作を装置本体1Aの正面(ドア20側)から行うので、プリンタ1を省スペースで設置することができる。
【0064】
さらに、本実施例では、シートSの補充も装置本体1Aの一端側から行うことができる。したがって、プリンタ1の正面からシートSの補充を行うスペースが確保されていればよく、プリンタ1を省スペースで設置することができる。
【0065】
[トレイユニットと定着装置の関係]
図1図2図3図4図6図7を用いて、トレイユニット50、定着装置80の関係について説明する。図6図7は、転写ユニット40とトレイユニット50の移動を説明する図である。
【0066】
トレイユニット50は、シートSに対する画像形成動作が行われる第1内側位置と、カートリッジPの交換が許容される第1外側位置とに移動する際、所定の空間を通過する。このように、トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動する際に通過する空間を、第1空間(トレイユニット50の移動空間)と呼ぶ。第1空間は、トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動する際に通過する経路もしくは軌跡(第1移動経路、第1移動軌跡)と呼ぶこともできる。
【0067】
転写ユニット40は、シートSに対する画像形成動作が行われる第2内側位置と、第2外側位置とに移動する際、所定の空間を通過する。このように、転写ユニット40が第2内側位置から第2外側位置に移動する際に通過する空間を、第2空間(転写ユニット40の移動空間)と呼ぶ。第2空間は、転写ユニット40が第2内側位置から第2外側位置に移動する際に通過する経路もしくは軌跡(第2移動経路、第2移動軌跡)と呼ぶこともできる。
【0068】
シートSに対する画像形成動作が行われる際の定着装置80の位置(使用位置)と、第1空間、第2空間とは、以下のような関係を有する。
【0069】
すなわち、図6図7に示すように、使用位置にある定着装置80の少なくとも一部は、第1空間と重なっている。言い換えれば、定着装置80が使用位置にある状態で、定着装置80の少なくとも一部は、第1空間の内側にある。
【0070】
本実施例においては、定着装置80の少なくとも一部は、トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動する際、カートリッジPが通過する空間と重なっているが、トレイ51が通過する空間と重なるように配置されていてもよい。
【0071】
これにより、使用位置にある定着装置80が、第1空間の外側に位置する構成と比較して、装置本体1Aを小型化することができる。
【0072】
なお、図6に示すように、本実施形態においては、ドア20が閉じ状態にあるとき、両面搬送路20aの少なくとも一部は、第1空間と重なっている。すなわち、ドア20が閉じ状態にあるとき、両面搬送路20aの少なくとも一部は、第1空間の内側にある。
【0073】
上述したように、使用位置にある定着装置80の少なくとも一部は、第1空間の内側にある。したがって、定着装置80が使用位置にある状態では、トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動することが規制される。一方、定着装置80は使用位置から退避可能に構成されている。定着装置80が使用位置から退避した状態では、トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動することが許容される。トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動するとき、トレイユニット50は定着装置80の下方を通過する。なお、定着装置80は、使用位置と退避位置において、第2空間の外側にある。したがって、定着装置80が使用位置にある状態および定着装置80が退避位置にある状態の両方において、転写ユニット40は第2内側位置から第2外側位置に移動することができる。転写ユニット40が第2内側位置から第2外側位置に移動するとき、転写ユニット40は定着装置80の下方を通過する。
【0074】
定着装置80は、定着部81を支持する定着枠体80aを有する。定着装置80が使用位置から退避する際、定着枠体80aは、定着部81を支持した状態で、装置本体1Aに対して変位する。
【0075】
トレイユニット50を装置本体1Aの外側に引き出す際には、まず、図2のようにドア20を開位置に移動する。本実施例において、定着装置80が使用位置に位置された状態で、ドア20は開位置と閉位置に移動することができる。そして、ドア20が開位置にある状態で、図3のように定着装置80を第1空間の外側に移動するように、使用位置から退避位置に移動させる。
【0076】
本実施例のプリンタ1においては、定着装置80は、装置本体1Aに取り付けられた状態で、使用位置と、使用位置から退避した退避位置の間を移動可能である。本実施形態において、定着装置80が退避位置にあるとき、定着装置80の全体が第1空間の外側に位置される。
【0077】
定着装置80は、使用位置から持ち上げられて、使用位置の上方の退避位置に移動する。言い換えれば、定着装置80は、使用位置よりも高い位置にある退避位置に移動する。図7に示すように、定着装置80が退避位置にあるとき、定着装置80の少なくとも一部は、装置本体1Aの外側に向けて、装置本体1Aから突出した位置にある。さらに、定着
装置80が退避位置にあるとき、定着装置80の少なくとも一部の位置は、閉位置にあるドア20の上カバー部20bの位置よりも高い。これにより、鉛直方向Vについて、定着装置80が使用位置にあるときのプリンタ1のサイズを小さく維持しつつ、定着装置80が退避位置に移動することで、トレイユニット50が移動するための空間を確保することができる。なお、定着装置80が退避位置にある状態では、ドア20は閉位置を取ることが制限される。
【0078】
具体的には、プリンタ1は、装置本体1Aに対して移動可能に連結された連結部材(定着連結部材、定着リンク、アーム)85を有する。定着装置80は、連結部材85を介して装置本体1Aに連結されている。
【0079】
連結部材85は、回転中心85Aを中心に回転可能であり、トレイユニット50を装置本体1Aの外側に引き出す際には、連結部材85は第1空間の外側に移動する。連結部材85の一端には定着装置80が回動可能に接続されており、連結部材85の他端は、回転中心85Aを中心に回転可能に装置本体1Aに接続されている。定着装置80は、連結部材85に支持された状態(連結部材85を介して装置本体1Aに連結された状態)で、使用位置から退避位置に移動可能、また退避位置から使用位置に移動可能である。連結部材85は、装置本体1Aおよび定着装置80に対して移動可能(揺動可能)に構成されている。つまり、定着装置80が連結部材85を介して装置本体1Aに接続されている。その結果、定着装置80が装置本体1Aに直接接続されている構成と比較して、定着装置80が退避位置と使用位置との間で移動するときの定着装置80の移動量を大きくすることができる。
【0080】
図7に示すように、トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動する時、トレイユニット50の移動方向と水平方向Hのなす角は、トレイユニット50の移動方向と鉛直方向Vのなす角よりも小さい。さらに、定着装置80が使用位置から退避位置に移動する時、鉛直方向Vについての定着装置80の移動量は、水平方向Hにおける定着装置80の移動量よりも大きい。言い換えれば、定着装置80が使用位置から退避位置に移動する時、トレイユニット50の移動方向と垂直な方向における定着装置80の移動量は、トレイユニット50の移動方向と平行な方向における定着装置80の移動量よりも大きい。
【0081】
さらに、定着装置80が、装置本体1Aに固定されたガイドを介して装置本体1Aに取り付けられた状態で、使用位置と退避位置に移動するものであってもよい。この場合、ガイドの形状は任意である。
【0082】
ただし、定着装置80を第1空間の外側に移動するための方法は、これに限られない。例えば、定着装置80を使用位置から退避するように装置本体1Aから取り外し可能として、定着装置80を第1空間の外側に移動してもよい。つまり、定着装置80を装置本体1Aおよびドア20から分離(メインフレーム100から分離)することで、定着装置80を第1空間の外側に位置させてもよい。また、定着装置80がドア20に連結されており、ドア20を開くことで、定着装置80を第1空間の外側に移動してもよい。
【0083】
[トレイユニットと転写ユニットの関係]
図1図2図3図4図5図6図7を用いて、トレイユニット50、転写ユニット40の関係について説明する。
【0084】
図3で示すように、定着装置80が第1空間の外側に位置した状態で、トレイユニット50は使用者がトレイハンドル52を掴んで、装置本体1Aの外側に向けて移動する。
【0085】
図6図7で示すように、シートSに対する画像形成動作が行われる際の転写ユニット40の位置と、第1空間とは、以下のような関係を有する。
【0086】
すなわち、シートSに対する画像形成動作が行われる際、転写ユニット40は第2内側位置にある。図6図7に示すように、第2内側位置にある転写ユニット40の少なくとも一部は、第1空間と重なっている。言い換えれば、転写ユニット40が第2内側位置にある状態で、転写ユニット40の少なくとも一部は、第1空間の内側にある。
【0087】
本実施例においては、転写ユニット40の少なくとも一部は、トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動する際、トレイ51が通過する空間と重なっているが、カートリッジPが通過する空間と重なるように配置されていてもよい。
【0088】
これにより、第2内側位置にある転写ユニット40が、第1空間の外側に位置する構成と比較して、装置本体1Aを小型化することができる。
【0089】
なお、本実施例におけるプリンタ1では、第1空間に重なる転写ユニット40の一部とは、清掃部材43Aを収容する清掃部43である。しかし、転写ユニット40の他の部分が第1空間に重なっていてもよい。また、本実施例においては第2内側位置にある転写ユニット40の清掃部材43Aも、第1空間と重なっている。
【0090】
トレイユニット50と転写ユニット40は、以下の関係を満たすということができる。トレイユニット50が第1内側位置にあり、転写ユニット40が第2内側位置にある状態で、トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動する移動方向において、転写ユニット40の一部(清掃部43)はトレイユニット50の下流にある。また、鉛直方向Vにおいて、転写ユニット40の一部(清掃部43)が配置される領域(範囲)が、トレイユニット50が配置される領域(範囲)と少なくとも部分的に重なる。
【0091】
なお、本実施形態においては、ドア20が閉じ状態にあるとき、両面搬送路20aの少なくとも一部は、転写ユニット40が第2内側位置から第2外側位置に移動する際に通過する第2空間と重なっている。すなわち、ドア20が閉じ状態にあるとき、両面搬送路20aの少なくとも一部は、第2空間の内側にある。
【0092】
上述のように、転写ユニット40が第2内側位置にある状態で、転写ユニット40の少なくとも一部は、第1空間の内側にある。そのため、本実施例では、使用者がトレイユニット50を装置本体1Aに対して第1内側位置から第1外側位置に移動する際に、転写ユニット40も装置本体1Aに対して第2内側位置から第2外側位置に移動する。つまり、転写ユニット40とトレイユニット50が一体化された状態で、トレイユニットが装置本体の内部である第1内側位置から装置本体の外部である第1外側位置に移動する。そのとき、転写ユニット40も装置本体の内部である第2内側位置から装置本体の外部である第2外側位置に移動する。
【0093】
トレイユニット50と転写ユニット40を一体的に移動することで、トレイユニット50が第1外側位置に移動する際に、感光ドラム61が露出されることを抑制し、感光ドラム61に傷や汚れが付くことを抑制できる。
【0094】
図7に示すように、ドア20が開かれ、トレイユニット50が第1外側位置にあり、転写ユニット40が第2外側位置にある状態では、転写ユニット40がトレイユニット50の下方からトレイユニット50を支持している。さらに、本実施形態においては、ドア20が転写ユニット40を支持する。つまり、ドア20に支持された転写ユニット40がトレイユニット50を支持している。この状態は、ドア20が転写ユニット40を介してト
レイユニット50を支持しているとも言える。
【0095】
トレイユニット50と転写ユニット40を一体的に移動するための構成について、図8図9図10を用いて説明する。図8図9図10は、トレイユニット50のトレイ51と転写ユニット40を連結する連結部材(レバー、ストッパ、ロック部材)53について説明する図である。
【0096】
本実施例に係るプリンタ1は、ロック部材53を有する。本実施例において、ロック部材53はトレイユニット50のトレイ51に設けられている。ロック部材53は、転写ロック部53Aを有し、回転中心53Bの周りに回転可能である。
【0097】
トレイ51は転写連結部51Aを備えている。転写ユニット40は、駆動ローラ46、テンションローラ47、一次転写ローラ42を支持する転写フレーム48を備え、転写フレーム48にはトレイ連結溝48Aと、ロック連結部48Bが設けられている。
【0098】
ロック部材53は、回転中心53Bの周りに回転することで、転写ロック部53Aがロック連結部48Bに係合し、転写ユニット40とトレイユニット50が連結される連結位置と、連結位置から退避した解除位置に移動可能である。
【0099】
トレイ連結溝48Aに転写連結部51Aが係合することで、トレイユニット50は、転写ユニット40に対して、トレイ取り出し方向Dd1と、トレイ取り出し方向Dd1に直交する方向に移動することが規制される。一方、転写ユニット40は、トレイユニット50に対して、転写取り付け方向Da2と、転写取り付け方向Da2に直交する方向に移動することが規制される。
【0100】
これと類似の構成は、テンションローラ47の回転軸線方向におけるテンションローラ47の両端部付近、駆動ローラ46の回転軸線方向における駆動ローラ46の両端部付近の合計4か所に設けられている。
【0101】
連結位置にあるロック部材53の転写ロック部53Aがロック連結部48Bに係合すると、トレイユニット50は転写ユニット40に対してトレイ取り付け方向Da1に移動することが規制される。一方、転写ユニット40はトレイユニット50に対して転写取り出し方向Dd2に移動することが規制される。
【0102】
ロック部材53およびロック連結部48Bも、テンションローラ47の回転軸線方向において、転写ユニット40の両端部に設けてもよい。
【0103】
つまり、トレイ連結溝48Aに転写連結部51Aが係合し、連結位置にあるロック部材53がロック連結部48Bと係合した状態では、転写ユニット40とトレイユニット50は互いに対して移動することが規制される。なお、この状態で、転写ユニット40とトレイユニット50の間に遊びがあってもよい。
【0104】
つまり、転写連結部51Aとロック部材53はトレイ側連結装置としての機能を有し、トレイ連結溝48Aとロック連結部48Bは転写側連結装置としての機能を有するということができる。トレイ側連結装置と、転写側連結装置が連結することにより、トレイユニット50と転写ユニット40が互いに連結され、トレイユニット50と転写ユニット40は一体的に移動する。
【0105】
一方、図10に示すように、装置本体1Aは、ロック解除部1Bを有している。トレイユニット50が第1内側位置にあり、転写ユニット40が第2内側位置にある状態では、
ロック部材53はロック解除部1Bと接触し、解除位置にある。この状態では、転写ロック部53Aがロック連結部48Bから離れている。
【0106】
ロック部材53が解除位置にある状態で、トレイユニット50をトレイ取り出し方向Dd1に移動すると、転写連結部51Aによって転写ユニット40が転写取り出し方向Dd2に向けて押される。その結果、転写ユニット40もトレイユニット50と一体的に転写取り出し方向Dd2に向けて移動される。トレイユニット50がトレイ取り出し方向Dd1に所定距離移動すると、ロック部材53がロック解除部1Bから離れ、連結位置に移動し、ロック連結部48Bに係合する。ロック部材53が連結位置にあり、ロック連結部48Bに係合した状態で、トレイユニット50は第1外側位置に、転写ユニット40は第2外側位置に移動される。すなわち、トレイユニット50と転写ユニット40は互いに連結し、一体的に装置本体1Aの外部へ移動する。
【0107】
ロック部材53がロック連結部48Bに係合した状態で、トレイユニット50をトレイ取り付け方向Da1に移動すると、ロック部材53によって転写ユニット40が転写取り付け方向Da2に向けて押される。その結果、転写ユニット40もトレイユニット50と一体的に転写取り付け方向Da2に向けて移動される。
【0108】
ロック部材53がロック連結部48Bに係合した状態で、転写ユニット40を転写取り付け方向Da2に移動すると、転写ユニット40が転写連結部51Aを押し、トレイユニット50がトレイ取り付け方向Da1に向けて押される。その結果、トレイユニット50も転写ユニット40と一体的にトレイ取り付け方向Da1に向けて移動される。
【0109】
トレイユニット50と転写ユニット40を一体的に装置本体1Aの内側に向けて移動する場合、ロック解除部1Bによってロック部材53が解除位置に移動される。この状態では、トレイユニット50をトレイ取り付け方向Da1に移動させても、転写ユニット40は移動しない。そのため、ドア20を閉じる過程で、二次転写ローラ45が転写ユニット40と接触する力によって、転写ユニット40は転写取り付け方向Da2に向けて押され、装置本体1Aの奥(第2内側位置)まで押し込まれる。つまり、転写ユニット40が第2内側位置に位置するように、ドア20は転写ユニット40を押すことができる。また、トレイユニット50が第1内側位置に位置するように、ドア20はトレイユニット50を押してもよい。
【0110】
一方、ロック部材53が解除位置にあり、トレイユニット50が第1内側位置にある状態で、転写ユニット40を転写取り出し方向Dd2に移動する。転写ユニット40はトレイユニット50から独立して、第2内側位置から第2外側位置に移動できる。本実施例におけるプリンタ1では、図5で示すように、トレイユニット50が装置本体1Aの内側(第1内側位置)に位置された状態で、転写ユニット40を装置本体1Aの外側(第2外側位置)に移動することができる。転写ユニット40は装置本体1Aから取り外し可能であり、新しい転写ユニット40に交換することができる。
【0111】
本実施例では、トレイユニット50が第1内側位置にある状態では、トレイユニット50は転写ユニット40から独立して装置本体1Aに対して位置決めされる。また、転写ユニット40が第2内側位置にある状態では、転写ユニット40はトレイユニット50から独立して装置本体1Aに対して位置決めされる。これは、転写ユニット40とトレイユニット50のそれぞれを装置本体1Aに対して精度よく位置決めすることを優先しているためである。そのため、トレイユニット50が第1内側位置にあり、転写ユニット40が第2内側位置にある状態では、トレイ連結溝48Aと転写連結部51Aの間には、若干のクリアランスが設けられている。
【0112】
トレイユニット50が第1内側位置にあり、転写ユニット40が第2内側位置にある状態で、トレイユニット50と転写ユニット40が互いに位置決めできるように、トレイ連結溝48Aと転写連結部51Aの間のクリアランスをなくしてもよい。この場合は、転写ユニット40とトレイユニット50を互いに対して精度よく位置決めすることができる。
【0113】
[トレイユニットと転写ユニットの移動]
図1図6図7で示すように、トレイユニット50と転写ユニット40は、装置本体1Aに装着されている状態では、水平方向Hに対して傾いている。
【0114】
より具体的には、トレイユニット50が第1内側位置にある状態では、第1端部1b1に近い感光ドラム61の回転軸線は、第1端部1b1から遠い感光ドラム61の回転軸線よりも、鉛直方向Vで上方に位置する。
【0115】
つまり、トレイユニット50が第1内側位置にある状態で、第2感光ドラムは第1感光ドラムよりも第1端部1b1に近く、かつ第2感光ドラムの回転軸線は、第1感光ドラムの回転軸線よりも鉛直方向Vで上方に位置する。同様に、第3感光ドラムは第2感光ドラムよりも第1端部1b1に近く、かつ第3感光ドラムの回転軸線は、第2感光ドラムの回転軸線よりも鉛直方向Vで上方に位置する。第4感光ドラムは第3感光ドラムよりも第1端部1b1に近く、かつ第4感光ドラムの回転軸線は、第3感光ドラムの回転軸線よりも鉛直方向Vで上方に位置する。
【0116】
ここで、各感光ドラム61の中心を結ぶ直線を直線LDとする。本実施例においては、トレイユニット50が第1内側位置にあるときは、直線LDは、第1端部1b1から遠い側から、第1端部1b1に近い側に向けて、水平方向Hに対して上方に傾斜している。
【0117】
さらに、第1感光ドラム、第2感光ドラム、第3感光ドラム、第4感光ドラムに当接するベルト41の当接面は、第1端部1b1から遠い側から、第1端部1b1に近い側に向けて、上方に傾斜する。
【0118】
トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動する時、トレイユニット50は水平方向Hに対して傾斜した方向(本実施形態においては、水平方向Hに対して上方に傾斜した方向)に移動する。つまりトレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動する時、トレイユニット50は斜め上方に向けて移動する。
【0119】
トレイユニット50が第1内側位置から第1外側位置に移動する時、トレイユニット50の移動方向は、斜め上方に移動した後、下方に向けて移動するように変化する。トレイユニット50の移動方向は、水平方向Hと平行な方向、あるいは水平方向Hに対して斜め下方を含んでいてもよい。
【0120】
直線LDと水平方向Hのなす角は、トレイユニット50が第1内側位置にあるときよりもトレイユニット50が第1外側位置にあるときのほうが小さい。本実施例において、トレイユニット50が第1外側位置にあるとき、直線LDと水平方向Hは平行であるが、直線LDが水平方向Hに対して、下方または上方に傾斜していてもよい。
【0121】
同様に、転写ユニット40が第2内側位置から第2外側位置に移動する時、転写ユニット40の移動方向も、斜め上方に移動した後、下方に向けて移動するように変化する。転写ユニット40の移動方向は、水平方向Hと平行な方向、あるいは水平方向Hに対して斜め下方を含んでいてもよい。
【0122】
ベルト41の当接面と水平方向Hのなす角は、転写ユニット40が第2内側位置にある
ときよりも転写ユニット40が第2外側位置にあるときのほうが小さい。本実施例において、転写ユニット40が第2外側位置にあるとき、ベルト41の当接面と水平方向Hは平行であるが、ベルト41の当接面が水平方向Hに対して、下方または上方に傾斜していてもよい。
【0123】
トレイユニット50を第1外側位置から第1内側位置に移動する場合、トレイユニット50は、水平方向Hに移動した後に、途中から斜め下方に移動する。転写ユニット40を第2外側位置から第2内側位置に移動する場合、転写ユニット40は、水平方向Hに移動した後に、途中から斜め下方に移動する。この構成によれば、トレイユニット50および転写ユニット40を装置本体1Aに挿入する際、トレイユニット50および転写ユニット40の自重を利用することができる。
【0124】
[トレイユニット側壁とベルト側端の位置関係]
トレイユニット側壁とベルト側端の位置関係について、図11及び図12を用いて説明する。
【0125】
図11(a)は、転写ユニット40が第2外側位置にあるときの側面図である。ここで、側面図とは、水平方向H及び鉛直方向Vと垂直な方向(以下、左右方向Dと呼称する)から見た図のことであり、転写ユニット40を真横から見た図である。左右方向Dは、感光ドラム61の回転軸線方向と平行である。尚、図11(a)において、構成要素の相対的な位置関係を示すために、点線を用いて、一部構成要素の見えない部分の形状を表している。このような図の記載の仕方は以降の実施例でも同様である。転写ユニット40は第2側壁としての転写フレーム側壁48Cを備える。ここで、転写フレーム側壁48Cの上方端部のうち、ベルト41が感光ドラム61と接触しながら移動する方向において、一次転写ローラ42が配置された領域にある部分を、以下、単に、転写フレーム側壁48Cの上方端部と呼ぶ。図11(a)において、一点鎖線LCは、転写フレーム側壁48Cの上方端部の位置を示している。ベルト41の側端部の一部は、転写フレーム側壁48Cの上方端部の上方に位置している。ベルト41の側端部の一部は転写フレーム側壁48Cから露出している。ベルト41の側端部のうち、転写フレーム側壁48Cの上方端部よりも上方に位置する部分を、以下、上方側端部と呼称する。
【0126】
図11(b)は、トレイユニット50と転写ユニット40が一体化された状態で、それぞれ第1外側位置、第2外側位置にあるときの側面図である。図11(b)に示したように、トレイユニット50は第1の壁面としてのトレイ側壁51Bを有する。より具体的には、トレイ51はトレイ側壁51Bを有する。トレイ側壁51Bは、感光ドラム61の回転軸線方向におけるトレイユニット50の両端側(トレイユニット50の一端部と他端部)にそれぞれ設けられている。トレイ側壁51Bは、複数の一次転写ローラ42の一部と重なり転写ユニット40の側面を覆うように配置されている。ここで、鉛直方向Vにおける、ベルト41と感光ドラム61の接触位置(ベルト41が感光ドラム61と当接する当接面(第1張架面)の位置)を一点鎖線LAで示す。また、トレイ側壁51Bの下方端部の位置を一点鎖線LBで示す。本実施例では、トレイユニット50と転写ユニット40が互いに連結した状態において、鉛直方向Vにおいて一点鎖線LBは、一点鎖線LAよりも下方に位置する。すなわち、トレイ側壁51Bの下方端部の位置は、ベルト41が感光ドラム61と当接する当接面の位置よりも下方に位置する。
【0127】
また、トレイ側壁51Bの下方端部の位置は、転写フレーム側壁48Cの上方端部よりも上方に位置する。ここで、ベルト41が感光ドラム61と接触しながら移動する方向を、ベルト移動方向とする。ベルト移動方向で一次転写ローラ42が配置された領域において、転写フレーム側壁48Cの上方端部の位置は、トレイ側壁51Bの下方端部の位置よりも高い。
【0128】
図12は、図11(b)の一体化された状態のトレイユニット50と転写ユニット40を二点鎖線Aで切断したときの断面図であり、各構成要素の左右方向Dの位置関係を示した図である。尚、図12は、図11(b)の水平方向Hにおいて矢印HAの向きから見た断面図となっており、両端の拡大図を示している。左右方向Dにおいて、トレイ側壁51Bをベルト41の外側に配置し、鉛直方向Vにおいて、トレイ側壁51Bの下方端部である下端の位置(一点鎖線LB)がベルト面(当接面)の位置(一点鎖線LA)よりも下になるように配置している。この時、一次転写ローラ42の下方端部は、トレイ側壁51Bの下端の下方に位置している。このようにトレイ側壁51Bを配置することで、ベルト41の上方側端部をトレイ側壁51Bにより保護することが可能となる。
【0129】
ベルト41の側端部のうち、一点鎖線LCよりも下方に位置する部分を、以下、下方側端部と呼称する。尚、本実施例において、図11及び図12に示すように、ベルト41の下方側端部は、第2の壁面である転写フレーム側壁48Cによって覆われることで保護される。左右方向Dにおいて、転写フレーム側壁48Cがベルト41の両端側でかつ、ベルト41よりも外側に配置される。鉛直方向Vにおいて、転写フレーム側壁48Cの上方端部がベルト41の当接面の下方、転写フレーム側壁48Cの下方端部がベルト41の当接面の反対側の反対面よりも下方に配置される。
【0130】
以上説明したように、本実施例によれば、ベルト41の上方側端部をトレイ側壁51Bにより保護することが可能になる。これにより、使用者がカートリッジ交換などでトレイユニット50を引き出す場合に、トレイユニット50と一体となって移動する転写ユニット40のベルト側端部への接触や、ほこりなどの異物のベルト側端部から転写ユニット40内部への侵入を抑制できる。その結果、ベルト41の汚染や破損を抑制できる。
【0131】
(変形例1)
転写フレーム側壁48Cの上方端部の位置(一点鎖線LC)は、ベルト41と感光ドラム61の接触位置(一点鎖線LA)よりも上方であってもよい。
【0132】
図13は、本実施例の変形例1において、トレイユニット50と転写ユニット40が一体化されて、装置本体1Aの第一外側位置、第二外側位置へ移動した後の状態を示した側面図である。一点鎖線LCで示される、転写フレーム側壁48Cの上方端部の位置は、鉛直方向Vにおいて、一点鎖線LAで示される、ベルト41と感光ドラム61の接触位置よりも上方にある。すなわち、転写フレーム側壁48Cの上方端部は、ベルト41が感光ドラム61と当接する当接面の上方に配置される。
【0133】
図14は、図13の二点鎖線Bにおける断面を矢印HAの向きから見た断面図であり、両端を拡大した図である。左右方向Dにおいて、転写フレーム側壁48Cは、トレイ側壁51Bよりも内側に配置されている。鉛直方向Vにおいて、転写フレーム側壁48Cの上方端部の位置(一点鎖線LC)は、ベルト41と感光ドラム61の接触位置(一点鎖線LA)よりも上方にある。トレイ側壁51Bの下方端部の位置(一点鎖線LB)は、ベルト41と感光ドラム61の接触位置(一点鎖線LA)よりも下方にある。つまり、ベルト41の側端部は、左右方向Dの外側部分で転写フレーム側壁48Cとトレイ側壁51Bにより2重で覆われた状態で保護されている。
【0134】
図14に示したように、トレイ側壁51Bと転写フレーム側壁48Cの間にはわずかなギャップGが生じ得る。そのため、ギャップGからほこりなどの異物が侵入し、さらに、この異物が転写ユニット40の上方側端部から転写ユニット40の内部に侵入する可能性がある。これに対して、本変形例では、ベルト41の側端部を、転写フレーム側壁48Cとトレイ側壁51Bにより2重で保護している。これにより、転写フレーム側壁48Cと
トレイ側壁51Bの間にギャップGが生じた場合においても、転写ユニット40の上方側端部からの異物の侵入をより効果的に抑制可能となる。
【0135】
(変形例2)
また、トレイ側壁51Bを鉛直方向Vの下方側へ延長して、ベルト41の下方側端部を保護するようにしてもよい。
【0136】
図15(a)は、本実施例の変形例2における転写ユニット40が第2外側位置にあるときの側面図である。ここで、鉛直方向Vにおけるベルト41の下方側端部の位置を一点鎖線LFで示し、転写フレーム側壁48Cの上方端部の位置を一点鎖線LGで示す。本変形例のように、ベルト41の上方側端部、及び、下方側端部が転写フレーム側壁48Cから露出していてもよい。つまり、ベルト41の側端部が、鉛直方向Vにおいて、一点鎖線LCより上方の部分と、一点鎖線LGより下方の部分とを含み、これらの部分が転写フレーム側壁48Cから露出していてもよい。
【0137】
図15(b)は、本実施例の変形例2におけるトレイユニット50と転写ユニット40が一体化された状態で、それぞれ第1外側位置、第2外側位置にあるときの側面図である。図15(b)に示したように、トレイ側壁51Bは、転写フレーム側壁48Cから露出したベルト41の上方側端部、及び、下方側端部を覆うように配置されている。つまり、鉛直方向Vにおいて、トレイ側壁51Bが、ベルト41の感光ドラム61との当接面から当接面の反対側の反対面までを覆うように配置されている。そして、一点鎖線LBで示したトレイ側壁51Bの下方端部の位置は、一点鎖線LFで示したベルト41の下方側端部よりも下方にあり、ベルト41の反対面の下方にある。
【0138】
図16は、図15(b)の一体化された状態のトレイユニット50と転写ユニット40を二点鎖線Cで切断したときの断面図であり、各構成要素の左右方向Dの位置関係を示した図である。トレイ側壁51Bは、左右方向Dにおいて、ベルト41よりも外側に配置されている。また、鉛直方向Vにおいて、トレイ側壁51Bの下方端部の位置(一点鎖線LB)は、ベルト41の下方側端部の位置(一点鎖線LF)よりも下方にある。このようにトレイ側壁51Bを配置することで、ベルト41の側端部をトレイ側壁51Bだけで保護することが可能となる。
【0139】
本変形例では、図15(a)に示すように、転写ユニット40単体では、ベルト41の側端部が転写フレーム側壁48Cから露出した状態である。しかし、図15(b)、図16に示すように転写ユニット40とトレイユニット50と一体化させることによって、ベルト41の側端部をトレイ側壁51Bによって保護することができる。
【0140】
本発明のように、トレイユニット50と転写ユニット40を一体化して装置本体1Aの外へ移動される構成においては、前述したように、トレイ側壁51Bと転写フレーム側壁48Cの間のギャップGが生じ得る。そのため、ギャップGから侵入した異物が転写ユニット40の中に入り込むことによって画像不良が発生する可能性があった。これに対応するため、変形例2の構成では、トレイ側壁51Bを下方に延長することで、転写ユニット40の側端部全域を保護することにより、転写ユニット40の側端部から異物が侵入するのを抑制する。したがって、異物の侵入に起因する画像不良の発生を抑制することができる。
【0141】
(変形例3)
上述したように、感光ドラム61、帯電ローラ62、現像ローラ71は、カートリッジPかトレイ51のいずれか一方に備えられていればよい。これについて、図17を用いて説明する。図17(a)~図17(d)は、変形例に係るトレイユニット50を示す図で
ある。
【0142】
例えば、図17(a)に示すように、トレイ51が感光ドラム61、帯電ローラ62を有し、カートリッジPが現像ローラ71を有していてもよい。
【0143】
ここで、感光ドラム61、帯電ローラ62を有するドラムカートリッジをP1とし、現像ローラ71を有する現像カートリッジをP2とする。図17(b)に示すように、カートリッジPが、ドラムカートリッジP1と、現像カートリッジP2を含んでいてもよい。つまり、カートリッジPが、ドラムカートリッジP1と現像カートリッジP2とに分離可能であってもよい。この場合、ドラムカートリッジP1と現像カートリッジP2は、互いに独立してトレイ51に着脱可能であることが好ましい。
【0144】
また、図17(c)では、感光ドラム61、帯電ローラ62、現像ローラ71を有するカートリッジをPRとし、カートリッジPRに補給するためのトナーを有するカートリッジをPTとしている。この図17(c)に示すように、カートリッジPが、カートリッジPRと、カートリッジPTを含んでいてもよい。また、カートリッジPが、カートリッジPRとカートリッジPTに分離可能であってもよい。
【0145】
また、図17(d)に示すように、カートリッジPが、ドラムカートリッジP1と、現像カートリッジP2と、現像カートリッジP2に補給するためのトナーを有するカートリッジPTを含んでいてもよい。また図17(c)と同様に、カートリッジPが、ドラムカートリッジP1と、現像カートリッジP2と、カートリッジPTに分離可能であってもよい。
【0146】
(実施例2)
次に、本発明に係る画像形成装置の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成および動作は、実施例1の画像形成装置と同じである。従って、実施例1の画像形成装置のものと同一またはそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して詳しい説明は省略し、本実施例にて特徴的な点について説明する。
【0147】
本実施例では、一次転写ローラ42が当接位置と離間位置との間を移動可能である点が実施例1とは異なる。具体的には、本実施例では、一次転写ローラ42がベルト41を押圧して、感光ドラム61とベルト41が接触する一次転写部を形成するため位置を当接位置としている。また、一次転写ローラ42によるベルト41の押圧を解除して、感光ドラム61とベルト41が離間した状態にするための位置を離間位置としている。本実施例の一次転写ローラ42は、上述の当接位置と離間位置との間を移動する。そして、装置本体1Aに備えられた切替装置によって、一次転写ローラ42が当接位置にある状態と、一次転写ローラ42が離間位置にある状態とが切り替えられる。これにより、画像形成動作が行われない状態では、ベルト41を感光ドラム61から離間させておくことができる。
【0148】
本実施例では、カートリッジPの交換時など、使用者によって、トレイユニット50と転写ユニット40が一体化された状態で装置本体1Aの内部から外部に移動する際、一次転写ローラ42は離間位置にある。そのため、ベルト41と感光ドラム61は離間した状態になっている。また外部に移動した後も、一次転写ローラ42は離間位置にあり、ベルト41と感光ドラム61は離間した状態を保っている。感光ドラム61がベルト41と摺擦することにより、感光ドラム61及びベルト41の表面に摺擦傷が発生したり、感光ドラム61の表面が摺擦帯電して画像不良が発生することがある。これらの感光ドラム61がベルト41と摺擦することによる傷や画像不良を抑制するために、本実施例では、ベルト41と感光ドラム61を離間させる構成としている。
【0149】
トレイユニット50と転写ユニット40が連結された状態において、トレイユニット50と転写ユニット40の間に遊びがある場合、装置本体1Aの外部に移動する際に、移動時の振動によりトレイユニット50と転写ユニット40は互いに微小移動する。このとき、一次転写ローラ42が当接位置にある場合、ベルト41と感光ドラム61は接触状態にあるため、感光ドラム61とベルト41の間には摺擦が発生する。これにより、感光ドラム61及びベルト41の表面に摺擦傷が発生したり、感光ドラム61の表面が摺擦帯電したりする場合がある。この影響が顕著な場合、摺擦傷跡が画像不良として発生したり、感光ドラム61の摺擦帯電部が帯電ムラになり、感光ドラムの周期で帯状の画像不良が発生したりする可能性がある。
【0150】
本実施例では、このような画像不良が発生するのを抑制するために、トレイユニット50と転写ユニット40が一体化された状態で、装置本体1Aの内部から外部に移動する際に一次転写ローラ42を離間位置に移動する。
【0151】
図18は、本実施例において、トレイユニット50と転写ユニット40が一体化されて、装置本体1Aの第一外側位置、第二外側位置へ移動した後の状態を示した側面図であり、一次転写ローラ42が離間位置にある状態を示した図である。一点鎖線LEは、第1張架面としての、駆動ローラ46とテンションローラ47によって張架された状態におけるベルト41の張架面の位置を示している。この一点鎖線LEの位置に対して、トレイ側壁51Bの下方端部の位置(一点鎖線LB)は、鉛直方向Vにおいて下方にある。すなわち、つまり、ベルト41が感光ドラム61から離間した状態でも、トレイ側壁51Bの下方端部がベルト41の当接面の下方となるように配置される。
【0152】
図19は、図18の一体化された状態のトレイユニット50と転写ユニット40を、二点鎖線Eで切断し、矢印HAの向きから見た断面図であり、両端を拡大した図である。左右方向Dにおいて、トレイ側壁51Bをベルト41の外側に配置し、鉛直方向Vにおいて、トレイ側壁51Bの下方端部の位置(一点鎖線LB)がベルト41の張架面の位置(一点鎖線LE)よりも下にある。本実施例では、このようにトレイ側壁51Bを配置することにより、ベルト41の上方側端部を保護している。
【0153】
以上説明したように、本実施例によれば、一次転写ローラ42が離間位置にある場合でも、ベルト41の上方側端部をトレイ側壁51Bにより保護することが可能になる。
【0154】
尚、上述した本発明に係る実施例では、図4に示したように、ベルト41の一部が装置本体1Aの外側に引き出された状態において、ベルト41の側端部全域がトレイ側壁51Bまたは転写フレーム側壁48Cによって保護される配置としている。しかしながら、本実施形態はこれに限られるものではない。すなわち、ベルト41の側端部全域のうち装置本体1Aの外側に出た領域のみが、トレイ側壁51Bまたは転写フレーム側壁48Cによって部分的に保護されるような構成としてもよい。
【0155】
本実施形態の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)
装置本体と、
感光ドラムを備えた第1のユニットであって、前記感光ドラムの回転軸線方向における一端部に備えられた第1の壁面を有し、前記装置本体の内部と外部との間を移動可能な第1のユニットと、
前記感光ドラムと当接可能なベルトを備えた第2のユニットであって、前記装置本体の内部と外部との間を移動可能な第2のユニットと、
を備え、
前記第1のユニットと前記第2のユニットとは互いに連結し、一体的に前記装置本体の
外部に移動可能であって、
前記第1のユニットと前記第2のユニットが互いに連結した状態において、前記第1の壁面は、前記回転軸線方向において前記ベルトの外側に位置し、鉛直方向における前記第1の壁面の下方端部が、前記ベルトの前記感光ドラムと当接する当接面の下方に位置することを特徴とする画像形成装置。
(構成2)
前記第2のユニットは、一次転写ローラを更に有し、
前記第1のユニットと前記第2のユニットが互いに連結した状態において、前記第1の壁面は、前記回転軸線方向に見て前記一次転写ローラの少なくとも一部と重なることを特徴とする構成1に記載の画像形成装置。
(構成3)
前記第1のユニットと前記第2のユニットが互いに連結した状態において、前記回転軸線方向に見たときに、前記鉛直方向における前記一次転写ローラの下方端部が、前記第1の壁面の前記下方端部の下方に位置することを特徴とする構成2に記載の画像形成装置。(構成4)
前記第2のユニットは、前記ベルトが前記感光ドラムから離間するように前記一次転写ローラが移動可能に構成され、
前記第1のユニットと前記第2のユニットが互いに連結し、前記ベルトが前記感光ドラムから離間した状態で、前記第1の壁面の前記下方端部は前記当接面の下方に位置することを特徴とする構成2または3に記載の画像形成装置。
(構成5)
前記第2のユニットは、前記回転軸線方向における前記ベルトの端部を覆う第2の壁面を有し、
前記第1のユニットと前記第2のユニットが互いに連結した状態において、前記鉛直方向における前記第2の壁面の上方端部が、前記第1の壁面の前記下方端部の上方に位置することを特徴とする構成1~4のいずれか1の構成に記載の画像形成装置。
(構成6)
前記第1のユニットと前記第2のユニットが互いに連結した状態において、前記第2の壁面は、前記回転軸線方向において前記第1の壁面と前記ベルトの間に位置し、前記鉛直方向における前記第2の壁面の前記上方端部が、前記ベルトの前記当接面の上方に位置することを特徴とする構成5に記載の画像形成装置。
(構成7)
前記第1のユニットと前記第2のユニットが互いに連結した状態において、前記鉛直方向における前記第2の壁面の前記上方端部は、前記ベルトの前記当接面の下方に位置することを特徴とする構成5または6に記載の画像形成装置。
(構成8)
前記ベルトは、前記当接面の反対の反対面を有し、
前記第1のユニットと前記第2のユニットが互いに連結した状態において、前記第1の壁面の前記下方端部は、前記鉛直方向において前記反対面の下方に位置することを特徴とする構成1または2に記載の画像形成装置。
(構成9)
前記第1の壁面は、前記回転軸線方向において前記感光ドラムの両端側にそれぞれ設けられ、
前記第2の壁面は、前記回転軸線方向において前記ベルトの両端側にそれぞれ設けられることを特徴とする構成5に記載の画像形成装置。
(構成10)
前記第1のユニットは、カートリッジと、前記カートリッジが取り外し可能に装着されるトレイとを含み、前記装置本体の内部と外部との間を移動可能なトレイユニットであり、
前記感光ドラムは、前記カートリッジと前記トレイのいずれか一方に備えられることを
特徴とする構成1~10のいずれか1の構成に記載の画像形成装置。
(構成11)
前記第1のユニットが前記装置本体の内部から外部に移動するとき、前記第2のユニットも前記装置本体の内部から外部に移動することを特徴とする構成1~11のいずれか1の構成に記載の画像形成装置。
【符号の説明】
【0156】
1‥‥プリンタ、1A‥‥装置本体(筐体)、40‥‥転写ユニット、41‥‥ベルト、48C‥‥転写フレーム側壁、50‥‥トレイユニット(トレイユニット、移動ユニット、支持ユニット)、51B‥‥トレイ側壁、61‥‥感光ドラム(像担持体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19