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特開2025-1400153次元地質モデル修正装置、方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025140015
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】3次元地質モデル修正装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/00 20060101AFI20250919BHJP
   E21B 47/00 20120101ALI20250919BHJP
【FI】
E21D9/00 C
E21D9/00 Z
E21B47/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024039151
(22)【出願日】2024-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】591284601
【氏名又は名称】株式会社演算工房
(74)【代理人】
【識別番号】110000822
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル知財
(72)【発明者】
【氏名】林 稔
(72)【発明者】
【氏名】松村 匡樹
(72)【発明者】
【氏名】土本 真史
(57)【要約】
【課題】切羽観察から得られる地層情報を用いて迅速かつ効果的に3次元地質モデルを修正できる3次元地質モデル修正装置、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】事前に取得した施工対象の地層情報に基づいて、3次元座標及び3次元地層境界データを含む施工対象の3次元地質モデルを生成する3次元地質モデル生成手段30と、既掘削範囲の切羽画像を取得する切羽画像取得手段21と、切羽画像の3次元座標を取得する切羽座標取得手段22と、切羽画像から2次元地層境界データを抽出する2次元地層境界データ抽出手段23と、3次元地層境界データを構成する境界線と、2次元地層境界データを構成する境界線の3次元座標の近接性を基準として、同一の境界線を抽出する同一境界抽出手段40と、抽出された同一境界に関する2次元地層境界データを基準として、3次元地層境界データを修正する3次元地層境界データ修正手段50を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
事前に取得した施工対象の地層情報に基づいて、3次元座標及び3次元地層境界データを含む前記施工対象の3次元地質モデルを生成する3次元地質モデル生成手段と、
既掘削範囲の切羽画像を取得する切羽画像取得手段と、
前記切羽画像の3次元座標を取得する切羽座標取得手段と、
前記切羽画像から2次元地層境界データを抽出する2次元地層境界データ抽出手段と、
前記3次元地層境界データを構成する境界線と、前記2次元地層境界データを構成する境界線の3次元座標の近接性を基準として、同一の境界線を抽出する同一境界抽出手段と、
抽出された同一境界に関する前記2次元地層境界データを基準として、前記3次元地層境界データを修正する3次元地層境界データ修正手段、
を備え、トンネル掘削部分の硬軟を想定し、実際に掘削する切羽面の地質の差異をその都度修正することを特徴とする3次元地質モデル修正装置。
【請求項2】
前記同一境界抽出手段は、所定閾値より大きい近接性を有する境界線が複数抽出される場合、又は、所定閾値より大きい近接性を有する境界線が抽出されない場合に、2次元地層境界データの手動入力をユーザに対して促すことを特徴とする請求項1に記載の3次元地質モデル修正装置。
【請求項3】
前記切羽画像から地質属性データを抽出する2次元地質属性データ抽出手段を更に備え、
前記3次元地質モデル生成手段は、地質属性データが含まれる3次元地質モデルを生成し、
前記同一境界抽出手段は、前記地質属性データを比較して同一の境界線を抽出することを特徴とする請求項1に記載の3次元地質モデル修正装置。
【請求項4】
前記3次元地層境界データ修正手段が修正した前記3次元地層境界データから特定のエリアをさらに推定し、支保パターンの継続または変更のガイダンスを出力するガイダンス出力手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の3次元地質モデル修正装置。
【請求項5】
前記3次元地層境界データ修正手段が修正した前記3次元地層境界データから小土被り区間での施工における地表面の沈下対策またはトンネル掘削時での影響範囲を推定し、施工の安全性に関するガイダンスを出力するガイダンス出力手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の3次元地質モデル修正装置。
【請求項6】
前記3次元地層境界データ修正手段が修正した前記3次元地層境界データから、展開図データ、横断図データ、縦断図データの少なくとも何れかを取り出し、切羽観察記録簿を出力する帳票出力手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の3次元地質モデル修正装置。
【請求項7】
前記3次元地層境界データ修正手段が修正した前記3次元地層境界データから、展開図データ、横断図データ、縦断図データの少なくとも何れかを取り出し、過去に保存されている同種のデータとの間で、同一の境界線を比較する比較手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の3次元地質モデル修正装置。
【請求項8】
前記3次元地質モデルは、地層の属性情報が与えられたポリゴンメッシュソリッドによって表現されたソリッドモデルであることを特徴とする請求項1~7の何れかに記載の3次元地質モデル修正装置。
【請求項9】
事前に取得した施工対象の地層情報に基づいて、3次元座標及び3次元地層境界データを含む前記施工対象の3次元地質モデルを生成する3次元地質モデル生成ステップと、
既掘削範囲の切羽画像を取得する切羽画像取得ステップと、
前記切羽画像の3次元座標を取得する切羽座標取得ステップと、
前記切羽画像から2次元地層境界データを抽出する2次元地層境界データ抽出ステップと、
前記3次元地層境界データを構成する境界線と、前記2次元地層境界データを構成する境界線の3次元座標の近接性を基準として、同一の境界線を抽出する同一境界抽出ステップと、
抽出された同一境界に関する前記2次元地層境界データを基準として、前記3次元地層境界データを修正する3次元地層境界データ修正ステップ、
を備えることを特徴とする3次元地質モデル修正方法。
【請求項10】
請求項9の3次元地質モデル修正方法の各ステップを、コンピュータに実行させる3次元地質モデル修正プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル工事において、前方地山を予測する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トンネル工事において不確かな前方地山を予測することは非常に難解である。既存の弾性波探査や既往ボーリング情報等で各種推定を行うのが一般的である。
そこで、ボーリングデータなどを用いて事前に3次元地質モデルを生成し、施工中に得られた情報を用いて、当該3次元地質モデルを更新する情報処理装置が知られている(特許文献1を参照)。特許文献1に開示された装置は、施工対象を施工する前に得られた施工対象の地質情報に基づいて、施工対象の3次元地質モデルを作成するモデル作成部と、施工中に探査された施工対象の情報である探査情報に基づいて、3次元地質モデルを更新するモデル更新部を備え、施工対象の状態をより正確に逐次把握することができるものである。
【0003】
そして、特許文献1には、既掘削範囲の切羽観察から得られる地層に基づいて、3次元地質モデルを更新することが記載されている。しかしながら、特許文献1の記載においては、既掘削範囲の切羽観察から得られる地層をどのように用いて、どのような手法により3次元地質モデルを更新するかについて詳細な内容は開示されていない。
また、既掘削範囲の切羽観察から得られる地層に基づいて、3次元地質モデルを更新するに当たっては、探査情報に基づいて3次元地質モデルにおける地層境界もしくは地山硬軟の境界位置を特定することが前提とされているが、ここでの探査情報は、先進ボーリングもしくは発破弾性波探査によって得られた弾性波速度の情報、先進ボーリングによる岩相区分、強度試験による物性区分、及び弾性波の反射面の情報が含まれる。すなわち、これらの探査情報と、既掘削範囲の切羽観察から得られる地層の情報を併用して、3次元地質モデルを更新することが必須となっているが、既掘削範囲の切羽観察から得られる地層情報だけでは3次元地質モデルを更新できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-141080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる状況に鑑みて、本発明は、切羽観察から得られる地層情報を用いて迅速かつ効果的に3次元地質モデルを修正できる3次元地質モデル修正装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明の3次元地質モデル修正装置は、事前に取得した施工対象の地層情報に基づいて、3次元座標及び3次元地層境界データを含む施工対象の3次元地質モデルを生成する3次元地質モデル生成手段と、既掘削範囲の切羽画像を取得する切羽画像取得手段と、切羽画像の3次元座標を取得する切羽座標取得手段と、切羽画像から2次元地層境界データを抽出する2次元地層境界データ抽出手段と、3次元地層境界データを構成する境界線と、2次元地層境界データを構成する境界線の3次元座標の近接性を基準として、同一の境界線を抽出する同一境界抽出手段と、抽出された同一境界に関する2次元地層境界データを基準として、3次元地層境界データを修正する3次元地層境界データ修正手段、を備え、トンネル掘削部分の硬軟を想定し、実際に掘削する切羽面の地質の差異をその都度修正する。
【0007】
地質モデルを特定する事前情報から3次元地質モデルを生成し、トンネル部分を切り抜くことにより、トンネル掘削部分の硬軟を想定し、実際に掘削する切羽面の地質の差異をその都度修正することが可能となり、曖昧な情報をより正確性を追求できる。
3次元地質モデルから広域な地層ブロックを推定し、トンネル設計における線形を重ね合わせることにより、例えば道路トンネルにおいて過去に施工した1期線情報から4車線化の2期線トンネル施工においてより正確な地質情報により、施工の確実性を追求することが可能になる。
また、3次元地質モデルから脆弱な地質を特定し、トンネル補助工法の採用を3次元的に評価することが可能となる。例えばトンネル掘削箇所は通常1mもしくは1.2m程度掘削するがある程度上記の地層修正モデルを活用し、先受け工の妥当性を追求することが可能となる。
3次元地質モデル生成手段において、事前に取得した施工対象の地層情報は、ボーリングデータであることが好ましい。
【0008】
本発明の3次元地質モデル修正装置において、同一境界抽出手段は、所定閾値より大きい近接性を有する境界線が複数抽出される場合、又は、所定閾値より大きい近接性を有する境界線が抽出されない場合に、2次元地層境界データの手動入力をユーザに対して促すことでもよい。所定閾値より大きい近接性を有する境界線が複数抽出される場合や、所定閾値より大きい近接性を有する境界線が抽出されない場合は、誤った境界線を抽出し或いは境界線が不抽出となる可能性が高いことから、ユーザの手動入力を促すことでより正確な3次元地質モデルの修正が可能となる。
【0009】
本発明の3次元地質モデル修正装置は、切羽画像から地質属性データを抽出する2次元地質属性データ抽出手段を更に備え、3次元地質モデル生成手段は、地質属性データが含まれる3次元地質モデルを生成し、同一境界抽出手段は、地質属性データを比較して同一の境界線を抽出することが好ましい。境界線だけではなく、地質属性データを利用することにより、より高精度で同一の境界線の抽出が可能となる。地質属性データとは、例えば、表土、粘土、シルト層、砂層、砂礫層や、これらを示す土質や色調などのことである。
【0010】
本発明の3次元地質モデル修正装置は、3次元地層境界データ修正手段が修正した3次元地層境界データから特定のエリアをさらに推定し、支保パターンの継続または変更のガイダンスを出力するガイダンス出力手段を更に備えることでもよい。これにより、トンネル工事における安全かつ円滑な施工に寄与する。
【0011】
本発明の3次元地質モデル修正装置は、3次元地層境界データ修正手段が修正した3次元地層境界データから小土被り区間での施工における地表面の沈下対策またはトンネル掘削時での影響範囲を推定し、施工の安全性に関するガイダンスを出力するガイダンス出力手段を更に備えることでもよい。これにより、トンネル工事における安全かつ円滑な施工に寄与する。
【0012】
本発明の3次元地質モデル修正装置は、3次元地層境界データ修正手段が修正した3次元地層境界データから、展開図データ、横断図データ、縦断図データの少なくとも何れかを取り出し、切羽観察記録簿を出力する帳票出力手段を更に備えることでもよい。
3次元地質モデルから展開図データ、横断図データ、縦断図データを自動で切り出しデータを取り出すことにより、従来の、発注者に提出すべき切羽観察記録簿をほぼ自動で作成することにより、業務の効率化が図れる。
【0013】
本発明の3次元地質モデル修正装置は、3次元地層境界データ修正手段が修正した3次元地層境界データから、展開図データ、横断図データ、縦断図データの少なくとも何れかを取り出し、過去に保存されている同種のデータとの間で、同一の境界線を比較する比較手段を備えることでもよい。これにより、2次元の表現における平面図、縦断図、及び横断図を用いて、過去のデータと並べて表示し、それらを比較することができる。そして、これらの比較がグラフィカルユーザーインターフェースを介して視覚的に表示され、2次元の表現がユーザによる選択に基づき自動的に生成され、さらに平面図、縦断図、及び横断図を時間軸上に配置し、時系列に基づいて比較することができる。また、比較結果から得られる差異を自動的に検出し、ユーザに報告する機能を備えてもよい。
【0014】
本発明の3次元地質モデル修正装置において、3次元地質モデルは、地層の属性情報が与えられたポリゴンメッシュソリッドによって表現されたソリッドモデルであることが好ましい。ボクセルモデルではなく、ポリゴンメッシュソリッドによって表現されたソリッドモデルであることにより、より滑らかで正確な3次元モデルを生成することができる。
【0015】
次に、本発明の3次元地質モデル修正方法について説明する。
本発明の3次元地質モデル修正方法は、事前に取得した施工対象の地層情報に基づいて、3次元座標及び3次元地層境界データを含む施工対象の3次元地質モデルを生成する3次元地質モデル生成ステップと、既掘削範囲の切羽画像を取得する切羽画像取得ステップと、切羽画像の3次元座標を取得する切羽座標取得ステップと、切羽画像から2次元地層境界データを抽出する2次元地層境界データ抽出ステップと、3次元地層境界データを構成する境界線と、2次元地層境界データを構成する境界線の3次元座標の近接性を基準として、同一の境界線を抽出する同一境界抽出ステップと、抽出された同一境界に関する2次元地層境界データを基準として、3次元地層境界データを修正する3次元地層境界データ修正ステップを備える。
これにより、トンネル掘削部分の硬軟を想定し、実際に掘削する切羽面の地質の差異をその都度修正することができる。
【0016】
本発明の3次元地質モデル修正プログラムは、上記の3次元地質モデル修正方法の各ステップを、コンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、切羽観察から得られる地層情報を用いて迅速かつ効果的に3次元地質モデルを修正できるといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例1の3次元地質モデル修正装置の機能ブロック図
図2】実施例1の3次元地質モデル修正方法の概略フロー図
図3】3次元地質モデルの生成イメージ図
図4】切羽画像のイメージ図
図5】境界線付与イメージ図
図6】3次元地質モデルと切羽画像のイメージ図
図7】3次元地質モデルのイメージ図
図8】同一境界線抽出手法の説明図
図9】同一境界線抽出フロー図
図10】同一境界線抽出イメージ図(1)
図11】同一境界線抽出イメージ図(2)
図12】同一境界線抽出イメージ図(3)
図13】3次元地質モデル修正イメージ図(1)
図14】3次元地質モデル修正イメージ図(2)
図15】同一境界線抽出フロー図(実施例2)
図16】同一境界線抽出の説明図(実施例2)
図17】3次元地質モデル修正装置の機能ブロック図(実施例3)
図18】境界線付与イメージ図(実施例3)
図19】3次元地質モデル修正イメージ図(実施例3)
図20】帳票出力手段の説明図1(実施例3)
図21】帳票出力手段の説明図2(実施例3)
図22】比較手段の説明図(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
【実施例0020】
3次元地質モデル修正装置の一実施形態を説明する。
図1は、3次元地質モデル修正装置の機能ブロック図を示している。3次元地質モデル修正装置1は、3次元地質モデル生成手段30、2次元地層データ生成手段20、同一境界抽出手段40及び3次元地層境界データ修正手段50で構成される。
3次元地質モデル生成手段30は、事前に取得した施工対象の地層情報に基づいて、3次元座標及び3次元地層境界データを含む施工対象の3次元地質モデルを生成する。
また、2次元地層データ生成手段20は、既掘削範囲の切羽画像を、3次元地質モデルの修正に利用するための2次元地層データに加工するものであり、切羽画像取得手段21、切羽座標取得手段22及び2次元地層境界データ抽出手段23を備える。切羽画像取得手段21は、既掘削範囲の切羽画像を取得し、切羽座標取得手段22は、切羽画像の3次元座標を取得する。2次元地層境界データ抽出手段23は、切羽画像から2次元地層境界データを抽出する。
そして、同一境界抽出手段40は、3次元地層境界データを構成する境界線と、2次元地層境界データを構成する境界線の3次元座標の近接性を基準として、同一の境界線を抽出するものである。3次元地層境界データ修正手段50は、抽出された同一境界に関する2次元地層境界データを基準として、3次元地層境界データを修正する。
【0021】
図2は、3次元地質モデル修正方法の概略フロー図を示している。まず、事前に取得した施工対象の地層情報に基づき、施工対象の3次元地質モデルを生成する(ステップS01)。事前に取得した施工対象の地層情報としては、ここでは複数のボーリングデータを利用する。使用するデータベースとしては、「国土地盤情報検索サイトKuniJiban」において公開されているボーリング柱状図を好適に用いることができる。
図3は、3次元地質モデルの生成イメージ図の一例を示している。図3に示すように、複数のボーリングデータ(5a~5c)を基に3次元地質モデル300を生成する。ボーリングデータ(5a~5c)には、それぞれ3次元座標や、地層境界、地質情報が記録されているため、これらのデータに基づき、各ボーリングデータの付近のデータや、ボーリングデータ相互間のデータを推定することで、滑らかな境界線が付与された3次元地質モデル300を生成する。
なお、3次元地質モデル300は、地層の属性情報が与えられたポリゴンメッシュソリッドによって表現されたソリッドモデルである。ボクセルモデルではなく、ポリゴンメッシュソリッドによって表現されたソリッドモデルであることにより、より滑らかで正確な3次元地質モデルを生成できる。
【0022】
次に、図2に示すように、既掘削範囲の切羽画像を取得する(ステップS02)。図4は、切羽画像のイメージ図の一例を示している。図4に示すように、トンネル工事における既掘削範囲の切羽面を撮影した撮像画像200を取得し、撮像画像200から切羽面を切り抜いた切羽画像2を取得する。切羽画像取得手段21は、撮像画像200の入力を受け付け、入力された撮像画像200から切羽画像2を自動的に切り抜くが、自動的に切り抜くのではなく、ユーザによる手動での切り抜き(トリミング)を受け付けてもよい。
【0023】
切羽画像2を取得した後に、切羽座標取得手段22を用いて切羽画像2の3次元座標を取得する(ステップS03)。3次元座標の取得は、撮像画像200を撮影したカメラや、3Dレーザースキャナ、トータルステーションなどを用いて取得する。取得にはプリズムなどのターゲットを用いてもよい。
また、2次元地層境界データ抽出手段23を用いて、切羽画像2から2次元地層境界データを抽出する(ステップS04)。図5に示す境界線付与イメージ図では、切羽画像2中に境界線(2a~2c)が描かれている。2次元地層境界データ抽出手段23は、切羽画像2から地層の境界線を自動的に抽出するが、ユーザによる手動での抽出操作を受け付けてもよい。なお、2次元地層境界データの抽出(ステップS04)は、3次元座標の取得(ステップS03)の前に行ってもよい。
【0024】
切羽画像2につき、3次元座標の取得及び2次元地層境界データの抽出が行われたデータをここでは、2次元地層データと呼ぶ。このように、2次元地層データ生成手段20は、切羽画像取得手段21、切羽座標取得手段22及び2次元地層境界データ抽出手段23により、2次元地層データを生成する。生成された2次元地層データを用いて、前述の3次元地質モデルのデータを修正する。修正のためには、3次元地質モデル中の境界線と同一性を有する2次元地層データ中の境界線を抽出する必要がある。そこで、3次元地層境界データを構成する境界線と、2次元地層境界データを構成する境界線の3次元座標の近接性を基準として、同一の境界線を抽出する(ステップS05)。
【0025】
図6は、3次元地質モデルと切羽画像のイメージ図を示している。図6に示すように、生成された3次元地質モデル3は、3次元地質属性データ30cとして地層(4a~4g)、3次元地層境界データ30bとして境界線(3a~3f)に関するデータを有している。3次元地質属性データ30cとは、表土、粘土、シルト層、砂層、砂礫層や、これらを示す土質や色調などのデータのことである。また、3次元座標データ30aについては、ボーリング柱状図から得られる3次元座標データを参照する。なお、図6に示す3次元地質モデル3では便宜上、地層(4d~4g)の隠線を消去している。
かかる3次元地質モデル3に切羽画像2に関する2次元地層境界データを当てはめ、切羽画像2に関する2次元地層境界データを“正”として修正を行う。3次元地質モデル3と切羽画像2とのすり合わせは、それぞれの3次元座標のすり合わせにより行う。
【0026】
図7は、3次元地質モデルのイメージ図を示している。図7に示す3次元地質モデル3は、説明の便宜上、切羽画像2に対応する部位を2次元で表現したものであるが、実際には図6に示すような3次元モデルである。図7に示すように、3次元地質モデル3には、地層(4b~4e)及び境界線(3b~3d)が表示されている。
【0027】
ここで、同一境界線の抽出手法について説明する。図8は、同一境界線抽出手法の説明図を示している。図8に示す例では、切羽画像に関する境界線200bの垂直方向に、上下2つの3次元地質モデル301の境界線(300c,300d)が表示されている。境界線200bの上下に存在する境界線(300c,300d)との垂直方向の距離を算出し、所定の距離Dを超える近接性を有する境界線を同一境界線として抽出する。距離の算出は3次元座標に基づき行う。
ここで、例えば、境界線200b上の地点Pにおいては、下方に存在する境界線300dとの距離Dについては、距離Dよりも距離が長く、距離Dを超える近接性を有する境界線とはいえない。これに対して、上方に存在する境界線300cとの距離Dについては、距離Dよりも距離が短く、距離Dを超える近接性を有する境界線といえる。また同様に、境界線200b上の地点Pにおいても、下方に存在する境界線300dとの距離Dについては、距離Dよりも距離が長く、距離Dを超える近接性を有する境界線とはいえないが、上方に存在する境界線300cとの距離Dについては、距離Dよりも距離が短く、距離Dを超える近接性を有する境界線といえる。
ここでは地点(P,P)だけを取り上げているが、実際には境界線200bと境界線(300c,300d)の全ての画素について比較を行い、平均値を算出して、判定を行う。このことは以下の説明においても同様である。
【0028】
図9は、同一境界線抽出フロー図を示している。また、図10図12は、同一境界線抽出イメージ図であり、図10は境界線2aの同一境界線抽出イメージ、図11は境界線2bの同一境界線抽出イメージ、図12は境界線2cの同一境界線抽出イメージを示している。
図9に示すように、同一の境界線の抽出(ステップS05)において、3次元座標データに基づき、2次元地層境界線の垂直方向に存在する上下2つの3次元地層境界線を抽出する(ステップS51)。
まず、境界線2aについて、図10では3次元地層境界線として境界線(3b~3d)が表示されている。境界線2aの垂直方向に存在する上下2つの3次元地層境界線として、例えば、地点Pについては、境界線2aの上方に存在する境界線3bと、境界線2aの下方に存在する境界線3cが抽出される。境界線3dも、境界線2aの下方に存在するが、地点Pにより近い境界線3cが優先的に抽出される。同様に、地点(P,P)についても、境界線2aの上方に存在する境界線3bと、境界線2aの下方に存在する境界線3cが抽出される。
次に、境界線2bについて、図11に示すように、地点Pについては、境界線2bの上方に存在する境界線3cと、境界線2bの下方に存在する境界線3dが抽出される。これに対して、地点(P,P)については、境界線2bの上方に存在する境界線3bと、境界線2bの下方に存在する境界線3cが抽出される。
また、境界線2cについて、図12に示すように、地点(P9,10,P11)については、境界線2cの上方に存在する境界線3cと、境界線2cの下方に存在する境界線3dが抽出される。
【0029】
次に、2つの3次元地層境界線につき、2次元地層境界線との近接性を判定する(ステップS52)。ここでは、前述の同一境界線の抽出手法により判定を行う。
ここで、図10に示すように、境界線2aは、地点(P3,,P)において、下方に存在する境界線3cとの距離について、所定の距離Dよりも距離が長く、距離Dを超える近接性を有する境界線とはいえないが、上方に存在する境界線3bとの距離については、距離Dよりも距離が短く、距離Dを超える近接性を有する境界線といえる。
また、図11に示すように、境界線2bは、地点Pにおいて、下方に存在する境界線3dとの距離について、距離Dよりも距離が長く、距離Dを超える近接性を有する境界線とはいえないが、上方に存在する境界線3cとの距離については、距離Dよりも距離が短く、距離Dを超える近接性を有する境界線といえる。また、境界線2bは、地点(P,P)において、上方に存在する境界線3bとの距離について、距離Dよりも距離が長く、距離Dを超える近接性を有する境界線とはいえないが、下方に存在する境界線3cとの距離については、距離Dよりも距離が短く、距離Dを超える近接性を有する境界線といえる。
さらに、図12に示すように、境界線2cは、地点(P9,10,P11)において、上方に存在する境界線3cとの距離について、距離Dよりも距離が長く、距離Dを超える近接性を有する境界線とはいえないが、下方に存在する境界線3dとの距離については、距離Dよりも距離が短く、距離Dを超える近接性を有する境界線といえる。
【0030】
そして、近接性が認められた3次元地層境界線を2次元地層境界線と同一の境界線として抽出する(ステップS53)。このように、境界線(3b~3d)と境界線(2a~2c)の近接性から、境界線3bと境界線2a、境界線3cと境界線2b、又は境界線3dと境界線2cが、同一の境界線として抽出される。
【0031】
抽出された同一境界に関する2次元地層境界データを基準として、3次元地層境界データを修正する(ステップS06)。図13及び図14は、実施例1の3次元地質モデル修正イメージ図を示している。図13に示すように、切羽画像2の境界線2aを正とした上で、切羽画像2の境界線2aに合わせてスムージング処理を行い、境界線3bを修正する。同様に、切羽画像2の境界線(2b,2c)を正とした上で、境界線(2b,2c)に合わせてスムージング処理を行い、境界線(3c,3d)を修正する。図14は、切羽画像2が除かれた修正後の3次元地質モデル31を示している。ここでは2次元で示しているが、実際には、図6に示すような3次元的な境界線(3b~3d)についても修正が反映される。
【実施例0032】
次に、同一境界線の抽出手法について説明する。同一境界線を抽出するステップS05以外のステップについては、図2に示す実施例1の3次元地質モデル修正方法のフローと同様である。図15は、実施例2の同一境界線抽出フロー図を示している。
図2に示す同一境界線を抽出するステップ(ステップS05)について、図15に示すように、まず3次元座標データに基づき、2次元地層境界線の垂直方向に存在する上下2つの3次元地層境界線を抽出する(ステップS501)。何れか一方の3次元地層境界線について、所定の閾値より大きい近接性が認められるかの判定(ステップS502)を行い、何れか一方の3次元地層境界線について所定の閾値より大きい近接性が認められる場合には、近接性が認められた3次元地層境界線を2次元地層境界線と同一の境界線として抽出する(ステップS503)。かかる処理は、実施例1の3次元地質モデル修正方法のフローと同様である。
これに対して、何れか一方の3次元地層境界線について、所定の閾値より大きい近接性が認められるかの判定(ステップS502)を行った結果、所定閾値より大きい近接性を有する境界線が複数抽出される場合、又は、所定閾値より大きい近接性を有する境界線が抽出されない場合には、2次元地層境界線と同一の境界線として抽出する3次元地層境界線の手動入力をユーザに対して促す(ステップS504)。
【0033】
図16は、実施例2の同一境界線抽出の説明図であり、(1)は所定閾値より大きい近接性を有する境界線が複数抽出される場合、(2)は所定閾値より大きい近接性を有する境界線が抽出されない場合を示している。図16(1)に示す3次元地質モデル301中の境界線(3g,3h)と境界線2dを比較すると、境界線2dは、地点(P12~P14)において、上方に存在する境界線3gとの距離(D,D,D)について、所定の距離Dよりも距離が短く、距離Dを超える近接性を有する境界線といえる。また、下方に存在する境界線3hとの距離(D,D,D10)についても、距離Dよりも距離が短く、距離Dを超える近接性を有する境界線といえる。このように、所定閾値より大きい近接性を有する境界線が複数抽出される場合は、誤った境界線を抽出する可能性が高くなることから、ユーザの手動入力を促すことでより正確な3次元地質モデルの修正が可能となる。
【0034】
また、図16(2)に示す3次元地質モデル302中の境界線(3i,3j)と境界線2dを比較すると、境界線2dは、地点(P15~P17)において、上方に存在する境界線3iとの距離(D11,D13,D15)について、所定の距離Dよりも距離が長く、距離Dを超える近接性を有する境界線とはいえない。また、下方に存在する境界線3jとの距離(D12,D14,D16)についても、距離Dよりも距離が長く、距離Dを超える近接性を有する境界線とはいえない。このように、所定閾値より大きい近接性を有する境界線が抽出されない場合は、境界線が不抽出となる可能性が高いことから、ユーザの手動入力を促すことでより正確な3次元地質モデルの修正が可能となる。
【実施例0035】
3次元地質モデル修正装置の他の実施形態を説明する。
図17は、本実施例の3次元地質モデル修正装置の機能ブロック図を示している。図17に示すように、3次元地質モデル修正装置10は、実施例1の3次元地質モデル修正装置1と異なり、2次元地質属性データ抽出手段24、ガイダンス手段60、帳票出力手段70及び比較手段80を更に備える。その他の構成については、実施例1の3次元地質モデル修正装置1と同様である。
2次元地質属性データ抽出手段24は、切羽画像から地質属性データを抽出するものである。ここでの地質属性データ(2次元地質属性データ)とは、表土、粘土、シルト層、砂層、砂礫層や、これらを示す土質や色調などのデータのことである。実施例1と同様に、3次元地質モデル生成手段30は、地質属性データが含まれる3次元地質モデルを生成することが可能であるので、同一境界抽出手段40は、地質属性データを比較して同一の境界線を抽出する。境界線だけではなく、地質属性データを利用することにより、より高精度で同一の境界線の抽出が可能となる。
【0036】
図18は、本実施例の境界線付与イメージ図を示している。図18に示すように、実施例1の境界線付与イメージ図(図5を参照)とは異なり、切羽画像201中に境界線(2a~2c)だけではなく、地層(4b~4e)が表示されている。
図19は、本実施例の3次元地質モデル修正イメージ図を示している。3次元地質モデル32は、3次元地質属性データ30cとして地層(4b~4e)、3次元地層境界データ30bとして境界線(3b~3d)に関するデータを少なくとも有している。また、2次元地質属性データ抽出手段24は、2次元地質属性データとして地層(4b~4e)に関するデータを抽出し、2次元地層境界データ抽出手段23は、2次元地層境界データとして境界線(2a~2c)に関するデータを抽出している。
そこで、2次元地層境界データと3次元地層境界データ30bの同一境界線の抽出に際し、当該境界線の直上及び直下の地質属性データの同一性を基準として、同一境界線と判定し、抽出を行う。具体的には、境界線2aの直上及び直下の地層(4b,4c)と、境界線3bの直上及び直下の地層(4b,4c)が共通することから、これらを手掛かりに同一境界線を抽出できる。同様に、境界線2bの直上及び直下の地層(4c,4d)と、境界線3cの直上及び直下の地層(4c,4d)が共通し、また、境界線2cの直上及び直下の地層(4d,4e)と、境界線3dの直上及び直下の地層(4d,4e)が共通することから、これらを手掛かりに同一境界線を抽出できる。このように、境界線の3次元座標の近接性を基準として、同一の境界線を抽出するだけではなく、地質属性データの同一性を基準として同一の境界線を抽出することにより、より正確な3次元地質モデルの修正が可能となる。
【0037】
ガイダンス手段60は、3次元地層境界データ修正手段50が修正した3次元地層境界データ30bから特定のエリアをさらに推定し、支保パターンの継続または変更のガイダンスを出力する。これにより、トンネル工事における安全かつ円滑な施工に寄与する。また、ガイダンス手段60は、3次元地層境界データ修正手段50が修正した3次元地層境界データ30bから小土被り区間での施工における地表面の沈下対策またはトンネル掘削時での影響範囲を推定し、施工の安全性に関するガイダンスを出力する。これにより、トンネル工事における安全かつ円滑な施工に寄与する。
【0038】
帳票出力手段70は、3次元地層境界データ修正手段50が修正した3次元地層境界データ30bから、展開図データ、横断図データ、縦断図データの何れか又は全てを取り出し、切羽観察記録簿を出力するものである。3次元地質モデルから展開図データ、横断図データ、縦断図データを自動で切り出しデータを取り出すことにより、従来の、発注者に提出すべき切羽観察記録簿をほぼ自動で作成することにより、業務の効率化が図れる。
【0039】
図20及び図21は、帳票出力手段70の説明図を示している。図20(1)は、切羽画像201を示している。3次元地質モデル33(図21参照)中の切羽画像201に対応する部位に関して、図20(2)は、展開図とする部位81aを示している。図20(3)は縦断図とする部位のイメージを部位81bで示している。また図20(4)は横断図とする部位のイメージを部位81cで示している。なお、説明の便宜上図示を省略しているが、図20(2)に示す部位81aは、切羽画像201の曲線部分よりも外側に幅を持たせて切り取り、展開図としてディスプレイ(図示せず)上に表示する。また、縦断図や横断図について、縦断図データや横断図データとして取り出す部位は、図20(3)又は(4)に示す部位に限られず、図20(3)に示す部位81bを左右に移動させてもよいし、図20(4)に示す部位81cを上下に移動させてもよい。
図21に示す3次元地質モデル33は、切羽画像201を用いて、3次元地層境界データ修正手段50により修正された3次元地層境界データ30bが反映された3次元地質モデルである。切羽画像201に対応する部位の3次元座標から、図20に示す展開図データや、横断図データ、縦断図データを取り出すことが可能である。
【0040】
図17に示す比較手段80は、3次元地層境界データ修正手段50が修正した3次元地層境界データ30bから、展開図データ、横断図データ、縦断図データの少なくとも何れかを取り出し、過去に保存されている同種のデータとの間で、同一の境界線を比較するものである。
図22は、比較手段80の説明図を示している。図22に示すように、切羽画像201に関して、部位81aの展開図が表示画像810aとして表示される。また、部位81bの縦断図が表示画像810bとして、部位81cの横断図が表示画像810cとして表示される。そして、切羽画像(201a~201d)に示すように、掘削工事の進展に伴い、切羽観察から得られた画像についても切羽画像201と同様に、展開図データや、横断図データ、縦断図データを切り出し、過去に保存されている同種のデータとの間で、同一の境界線を比較する。
このように、本実施例の3次元地質モデル修正装置10は、2次元の表現における平面図、縦断図、及び横断図を用いて、過去のデータと並べて表示し、それらを比較可能にする機能を有するものである。これらの比較がグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を介して視覚的に表示され、2次元の表現がユーザによる選択に基づき自動的に生成され、さらに平面図、縦断図、及び横断図を時間軸上に配置し、時系列に基づいて比較することができる。また、比較結果から得られる差異を自動的に検出し、ユーザに報告する機能を備えてもよい。
【0041】
なお、3次元地層境界データ修正手段50は、3次元地層境界データ30bだけではなく、3次元地質属性データ30cについても修正がなされるため、修正後の3次元地質属性データ30cをガイダンス手段60や、帳票出力手段70又は比較手段80に利用してもよい。
【0042】
(その他の実施例)
実施例1に示す同一境界線抽出手法とは異なり、図8に示す境界線200bの上下に存在する境界線(300c,300d)との垂直方向の距離を算出し、境界線200bから境界線300cまでの距離と、境界線200bから境界線300dまでの距離を比較して近接性を判定してもよい。かかる場合、例えば、境界線200bと境界線(300c,300d)の全ての画素について距離の比較を行い、平均値を算出して、判定を行う。また、実施例1又は2に示す同一境界線抽出手法や、2次元地質属性データを利用する実施例3の同一境界線抽出手法と、かかる距離を比較する手法を併用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、トンネル工事における前方地山の地盤を予測するのに有用である。
【符号の説明】
【0044】
1,10 3次元地質モデル修正装置
2,201,201a~201d 切羽画像
2a~2d,3a~3h,200a,200b,300a,300b 境界線
3,31~33,300~302 3次元地質モデル
4a~4g,400a~400c 地層
5a~5c ボーリングデータ
20 2次元地層データ生成手段
21 切羽画像取得手段
22 切羽座標取得手段
23 2次元地層境界データ抽出手段
24 2次元地質属性データ抽出手段
30 3次元地質モデル生成手段
30a 3次元座標データ
30b 3次元地層境界データ
30c 3次元地質属性データ
40 同一境界抽出手段
50 3次元地層境界データ修正手段
60 ガイダンス出力手段
70 帳票出力手段
80 比較手段
81a~81c 部位
200 撮像画像
810a~810c 表示画像
D,D~D16 距離
~P15 地点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
図11
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図22