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特開2025-140045通信装置、通信方法、プログラム及び通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025140045
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】通信装置、通信方法、プログラム及び通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/18 20090101AFI20250919BHJP
   H04W 76/14 20180101ALI20250919BHJP
   H04W 92/18 20090101ALI20250919BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20250919BHJP
   H04B 7/08 20060101ALI20250919BHJP
   H04B 7/0456 20170101ALI20250919BHJP
【FI】
H04W28/18 110
H04W76/14
H04W92/18
H04B7/06 956
H04B7/08 800
H04B7/0456 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024039193
(22)【出願日】2024-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120167
【弁理士】
【氏名又は名称】木田 博
(74)【代理人】
【識別番号】100144244
【弁理士】
【氏名又は名称】成毛 敏明
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】葛城 哲也
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA23
5K067DD11
5K067EE02
(57)【要約】
【課題】端末間で双方向にプリコーディング動作を行うことを可能とする仕組みを提供すること。
【解決手段】通信相手の端末との間で通信する通信装置であって、前記通信相手の端末との間でプリコーディングされた無線信号を送受信するとともに、伝搬路情報レポートの送信を指示する送信指示を、前記通信相手の端末に送信する通信部と、
前記通信相手の端末から受信した伝搬路情報レポートに基づいて、前記通信相手の端末に送信する無線信号に対するプリコーディングの設定を行う設定部と、
を有する通信装置。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信相手の端末との間で通信する通信装置であって、
前記通信相手の端末との間でプリコーディングされた無線信号を送受信するとともに、伝搬路情報レポートの送信を指示する送信指示を、前記通信相手の端末に送信する通信部と、
前記通信相手の端末から受信した伝搬路情報レポートに基づいて、前記通信相手の端末に送信する無線信号に対するプリコーディングの設定を行う設定部と、
を有する通信装置。
【請求項2】
前記通信部は、伝搬路情報レポートの送信を指示する送信指示を前記通信相手の端末から受信した場合、前記通信相手の端末に伝搬路情報レポートを送信する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記通信部は、前記通信相手の端末から受信した伝搬路情報レポートに基づいて、プリコーディングの設定を行う場合において、現在設定されているプリコーディングの設定値を変更する場合、プリコーディング設定変更通知を前記通信相手の端末に送信する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信部は、前記通信相手の端末から受信した伝搬路情報レポートに基づいて、プリコーディングの設定を行う場合において、現在設定されているプリコーディングの設定値を変更しない場合、プリコーディング設定変更通知を前記通信相手の端末に送信しない、
請求項1記載の通信装置。
【請求項5】
前記通信部は、SCI(Sidelink Control Information)を用いて、前記プリコーディング設定変更通知を送信する、
請求項3に記載の通信装置。
【請求項6】
前記通信部は、RRC(Radio Resource Control)メッセージを用いて、前記プリコーディング設定変更通知を送信する、
請求項3に記載の通信装置。
【請求項7】
前記通信部は、前記プリコーディング設定変更通知に加えて、前記通信相手の端末に伝搬路情報レポートを送信する、
請求項3に記載の通信装置。
【請求項8】
通信相手の端末との間で通信する通信装置が実行する通信方法であって、
前記通信相手の端末との間でプリコーディングされた無線信号を送受信するとともに、伝搬路情報レポートの送信を指示する送信指示を、前記通信相手の端末に送信する工程と、
前記通信相手の端末から受信した伝搬路情報レポートに基づいて、前記通信相手の端末に送信する無線信号に対するプリコーディングの設定を行う工程と、
を含む通信方法。
【請求項9】
通信相手の端末との間で通信する通信装置に、
前記通信相手の端末との間でプリコーディングされた無線信号を送受信するとともに、伝搬路情報レポートの送信を指示する送信指示を、前記通信相手の端末に送信する工程と、
前記通信相手の端末から受信した伝搬路情報レポートに基づいて、前記通信相手の端末に送信する無線信号に対するプリコーディングの設定を行う工程と、
を実行させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項1記載の通信装置を複数含む通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信方法、プログラム及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、3GPP(3rd Generation Partnership Project)(登録商標)ではLTE(Long Term Evolution)や5G NR(5th Generation New Radio)の仕様策定が進められている。
また、無線通信において、伝送効率向上のために送信側で現在の伝搬路情報を加味した信号を生成するプリコーディング技術がある。
3GPPで策定する標準規格に準拠する基地局及び端末間でプリコーディングを実施する際、基地局は、端末との間の通信状況に応じて、端末への指示内容を決定したのち、参照信号及び報告指示を送信する。また、端末は、当該指示に基づく構成で伝搬路情報を基地局に報告する。基地局は、端末から報告された伝搬路情報に基づき、プリコーディングしたデータを送信する。
一方、3GPPでは基地局を介さないSidelink通信(以後、Sidelink)と呼ばれる標準仕様が策定されており、この仕様はデータを基地局やコアネットワークを介さずに、端末(UE:User Equipment)間でPC5と呼ばれるインターフェースを用いて直接無線通信を実現する。特許文献1では、Sidelinkにおいて、参照信号に基づいて、参照信号を送信した端末に伝搬路情報を返送する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2022-526741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
Sidelink通信の場合、双方の端末が移動するため、固定された基地局と端末間の通信と比較して伝搬路状況の変動が大きいと想定される。そのため、端末間で双方向にプリコーディング処理を施すことで、安定した通信を行うことが望ましい。
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも1つを鑑みなされたものである。本発明の1つの側面としては、端末間で双方向にプリコーディング動作を行うことを可能とする仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの側面としての通信装置は、通信相手の端末との間で通信する通信装置であって、前記通信相手の端末との間でプリコーディングされた無線信号を送受信するとともに、伝搬路情報レポートの送信を指示する送信指示を、前記通信相手の端末に送信する通信部と、前記通信相手の端末から受信した伝搬路情報レポートに基づいて、前記通信相手の端末に送信する無線信号に対するプリコーディングの設定を行う設定部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、端末間で双方向にプリコーディング動作を行うことで、端末間の通信状況が変動した際であっても安定した通信を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態における通信システムの構成の一例を示す図。
図2】本実施形態における端末の機能構成の一例を示すブロック図。
図3】第1の実施形態のシーケンス図。
図4】第1の実施形態のフローチャート。
図5】第1の実施形態のフローチャート。
図6】第2の実施形態のシーケンス図。
図7】第2の実施形態のフローチャート。
図8】第2の実施形態のプリコーディング変更通知の一例を示すメッセージフォーマット。
図9】第2の実施形態のプリコーディング変更通知の一例を示すメッセージフォーマット。
図10】第3の実施形態のシーケンス図。
図11】第3の実施形態のフローチャート。
図12】第4の実施形態のシーケンス図。
図13】第4の実施形態のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一又は同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
[第1の実施形態]
【0011】
(システム構成)
図1は、本実施形態に係る通信装置のシステム構成例を示す図である。図1に示すシステムは、端末A101と端末B102とを含む。図1では、端末間でSidelink通信のための接続処理が完了し、端末A101と端末B102間でSidelink通信が可能な状態であるものとする。
【0012】
(通信装置の機能構成)
続いて、本実施形態に係る通信装置の機能構成について説明する。なお、以下で説明する機能ブロックの構成は一例にすぎない。
【0013】
機能ブロックの一部又は全部は、同様の機能を果たす他の機能ブロックと置き換えられてもよいし、一部の機能ブロックが省略されてもよいし、さらなる機能ブロックが追加されてもよい。また、以下の説明で示される1つの機能ブロックが複数の機能ブロックに分割されてもよいし、複数の機能ブロックが1つの機能ブロックに統合されてもよい。また、機能ブロックのうちの一部のみがハードウェアで構成され、その他の機能がソフトウェアで構成されていてもよい。機能ブロックをソフトウェアで構成する場合、後述の制御部201を構成するプロセッサーが後述の記憶部202に記憶されている機能を実現するための制御プログラムを実行する。これにより、当該機能ブロックとしての機能を提供する。
【0014】
図2は、本実施形態における端末A101及び端末B102の機能構成例を示す機能ブロック図である。図2において、制御部201は、端末の動作を制御する。記憶部202は、制御部201が制御に用いる情報や通信に関わる情報を保存する。
【0015】
受信品質測定部203は、通信相手の端末に送信するCSI(Channel State Information)レポートを生成するための受信品質を、通信相手の端末から送信された無線信号に含まれる参照信号を用いて測定する。また、受信品質測定部203は、測定した受信品質に基づいて、通信相手の端末に送信するCSIレポートを生成する。なお、CSIレポートは、伝搬路情報レポートと呼ばれてもよい。
【0016】
プリコーディング設定部204は、CSIレポートの情報から、プリコーディングの動作に関する判断と動作の設定を行う。また、プリコーディング設定部204は、通信相手の端末から受信したCSIレポートに基づいて、通信相手の端末に送信する無線信号に対するプリコーディングの設定を行う。
【0017】
メッセージ生成部205は、通信相手の端末に送信する、CSIレポートの送信を指示する送信指示(CSIレポート送信指示)や、プリコーディング設定変更通知などのメッセージを生成する。メッセージ解析部206は、通信相手の端末から受信したCSIレポート送信指示やプリコーディング設定変更通知などのメッセージを解析する。なお、CSIレポート送信指示は、伝搬路情報レポート送信指示と呼ばれてもよい。
【0018】
無線通信部207は、通信相手の端末とSidelink通信で無線信号を送受信する。また、無線通信部207は、メッセージ生成部205で生成されたCSIレポート送信指示を、通信相手の端末に送信する。また、無線通信部207は、通信相手の端末との間で、プリコーディングされた無線信号を送受信する。また、無線通信部207は、CSIレポート送信指示を通信相手の端末から受信した場合、通信相手の端末に、受信品質測定部203で生成されたCSIレポートを送信する。
【0019】
また、通信相手の端末から受信したCSIレポートに基づいてプリコーディングの設定を行う場合において、現在設定されているプリコーディングの設定値を変更する場合、無線通信部207は、プリコーディング設定変更通知を通信相手の端末に送信する。
【0020】
また、通信相手の端末から受信したCSIレポートに基づいてプリコーディングの設定を行う場合において、現在設定されているプリコーディングの設定値を変更しない場合、無線通信部207は、プリコーディング設定変更通知を通信相手の端末に送信しない。
【0021】
通信状況判断部208は、通信相手の端末との間のSidelinkによる通信状況を判断する。
【0022】
受信品質測定部203は、測定部の一例である。プリコーディング設定部204は、設定部の一例である。無線通信部207は、通信部の一例である。メッセージ生成部205は、生成部の一例である。通信状況判断部208は、判断部の一例である。
【0023】
(処理例)
図3に示す動作シーケンス図、及び図4図5に示すフローチャートを用いて、第1の実施形態の動作を説明する。
【0024】
図3は、第1の実施形態における端末A101と端末B102の間で双方向にプリコーディングを行いながらSidelink通信を行う処理手順を示すシーケンスの一例である。また、図4及び図5は、図3のシーケンス図の内容を、端末A101及び端末B102の動作を示すフローチャートにしたものである。
【0025】
端末A101及び端末B102は、図2に示す制御部201が記憶部202に記憶されている制御プログラムを実行することで、図4及び図5のフローチャートに示す各処理を実現する。なお、一部の処理は前述したハードウェアや機能部と協働して実現されるものとする。
【0026】
図3において、端末A101と端末B102は、それぞれの無線通信部207を介してSidelink通信で接続している(F301)。
端末A101は、端末B102との通信状況を判断する(F302、S401)。例えば、端末A101は、F301の処理手順において端末B102から受信する無線信号の受信品質を測定し、測定した受信品質に基づいて、端末B102との間の通信状況を判断するようにしてもよい。また、端末A101は、受信品質が所定閾値以下である場合、プリコーディング情報の見直しが必要であると判断するようにしてもよい。又は、端末A101は、前回プリコーディング情報の設定をした位置から所定距離以上移動した場合に、プリコーディング情報の見直しが必要であると判断するようにしてもよい。F302及びS401において、端末A101は、自端末の送信に用いるプリコーディングの見直しが必要だと判断すると、端末B102にCSIレポート送信指示メッセージを送信する(F303、S402)。CSIレポート送信指示メッセージには、pmi-FormatIndicatorが含まれていてもよい。pmi-FormatIndicatorは、端末B102が、ワイドバンド(wideband)に対応するPMIをCSIレポートに含めるのか、サブバンド(subband)ごとのPMIをCSIレポートに含めるのかを指示する。
【0027】
また、端末A101は、端末B102に対して参照信号を送信する(F304)。参照信号は、例えば、CSI-RS(Channel State Information Reference Signal)であってもよい。
【0028】
端末B102は、S405の処理手順でCSIレポート送信指示メッセージを受信すると、端末A101から送信された参照信号(F304)の受信品質を測定する(S406)。端末B102は、測定した受信品質の情報からCSIレポートを生成し、端末A101へ送信する(F305、S407)。なお、CSIレポートを送信することは、CSIフィードバックと呼ばれてもよい。F305及びS403で、端末A101はCSIレポートを受信すると、受信したCSIレポートを用いて、プリコーディング情報を算出して設定する(F306、S404)。CSIレポートには、例えば、CQI(Channel Quality Indicator)、PMI(Precoding Matrix Indicator)、RI(Rank Indicator)等が含まれていてもよい。また、端末A101は、PMIに基づいて、プリコーディング情報を算出することとしてもよい。
【0029】
その後、端末A101は設定されたプリコーディング情報を用いて端末B102へ無線信号を送信する(F307)。なお、プリコーディング情報を用いて無線信号を送信することは、例えば、プリコーディング情報(プリコーディング行列)を乗算した無線信号を送信することを意味する。
【0030】
同様に、端末B102は、端末A101との通信状況を判断する(F308、S501)。通信状況の判断は、F302及びS401の処理手順で説明した端末A101が行う判断方法と同一であってもよい。F308及びS501において、端末B102は、自端末の送信に用いるプリコーディングの見直しが必要だと判断すると、端末A101にCSIレポート送信指示メッセージを送信する(F309、S502)。また、端末B102は、端末A101に対して参照信号を送信する(F310)。参照信号は、例えば、CSI-RSであってもよい。
【0031】
端末A101は、S505の処理手順でCSIレポート送信指示メッセージを受信すると、端末B102から送信された参照信号(F310)の受信品質を測定する(S506)。端末A101は、測定した受信品質の情報からCSIレポートを生成し、端末B102へ送信する(F311、S507)。F312及びS503で端末B102は、CSIレポートを受信すると、受信したCSIレポートを用いて、プリコーディング情報を算出して設定する(F312、S504)。CSIレポートには、例えば、CQI、PMI、RI等が含まれていてもよい。また、端末B102は、PMIに基づいて、プリコーディング情報を算出することとしてもよい。
【0032】
その後、端末B102は、設定されたプリコーディング情報を用いて端末A101に信号を送信する(F313)。
【0033】
以上説明した第1の実施形態によれば、端末A101及び端末B102は、双方向にプリコーディングを行うようにした。これにより、端末間の通信状況が変動した際であっても安定した通信をすることが可能となる。
【0034】
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係るシステム構成及び装置の機能構成は、第1の実施形態と同様である。図6に示す動作シーケンス図、及び図7に示すフローチャートを用いて、第2の実施形態の動作を説明する。
【0035】
図6は、端末A101及び端末B102の間で双方向にプリコーディングを行いながらSidelink通信を行う処理手順を示すシーケンスの一例である。また、図7は、図6のシーケンスの内容を、端末A101及び端末B102の動作を示すフローチャートにしたものである。
【0036】
端末A101及び端末B102は、図2の制御部201が記憶部202に記憶されている制御プログラムを実行することでフローチャートに示す各処理を実現する。なお、一部の処理は前述したハードウェアや機能部と協働して実現されるものとする。
【0037】
図6において、端末A101と端末B102は、それぞれの無線通信部207を介してSidelink通信で接続している(F601)。
端末A101は、端末B102との通信状況を判断する(F602、S701)。通信状況の判断は、第1の実施形態で説明した判断方法と同一であってもよい。F602及びS701において、端末A101は、自端末の送信に用いるプリコーディングの見直しが必要だと判断すると、端末B102にCSIレポート送信指示メッセージを送信する(F603、S702)。また、端末A101は、端末B102に対して参照信号を送信する(F604)。参照信号は、例えば、CSI-RSであってもよい。
【0038】
端末B102は、CSIレポート送信指示メッセージを受信すると、端末A101から送信された参照信号(F604)の受信品質を測定する。端末B102は、測定した受信品質の情報からCSIレポートを端末A101へ送信する(F605)。F605及びS703で、端末A101はCSIレポートを受信すると、受信したCSIレポートを用いて、プリコーディング情報を算出して設定する(F606、S704)。CSIレポートには、例えば、CQI、PMI、RI等が含まれていてもよい。また、端末A101は、PMIに基づいて、プリコーディング情報を算出することとしてもよい。端末A101は、F606及びS704の処理手順において、設定済みのプリコーディング情報を変更した場合(S705)、端末A101は、端末B102に対し、プリコーディング変更通知メッセージを送信する(F607、S706)。
【0039】
F607で端末B102は、端末A101からのプリコーディング変更通知メッセージを受信すると(S707)、端末A101にCSIレポート送信指示メッセージを送信する(F608、S708)。また、端末B102は、端末A101に参照信号を送信する(F609)。参照信号は、例えば、CSI-RSであってもよい。
【0040】
端末A101は、S608でCSIレポート送信指示メッセージを受信すると、端末B102から受信した参照信号の受信品質を測定する。端末A101は、測定した受信品質の情報からCSIレポートを生成し、端末B102へ送信する(F610)。F610及びS709で、端末B102は、CSIレポートを受信すると、受信したCSIレポートを用いて、プリコーディング情報を算出して設定する(F611、S710)。CSIレポートには、例えば、CQI、PMI、RI等が含まれていてもよい。また、端末B102は、PMIに基づいて、プリコーディング情報を算出することとしてもよい。
【0041】
その後、端末A101は、設定されたプリコーディング情報を用いて端末B102に信号を送信する(F612)。また、端末B102は、設定されたプリコーディング情報を用いて端末A101に信号を送信する(F613)。
【0042】
以上説明した第2の実施形態では、端末A101は、プリコーディング情報を変更する場合(すなわち、通信状況が変化したことにより、プリコーディング情報を変更した場合)、端末B102にプリコーディング変更通知メッセージF607を送信するようにした。また、プリコーディング変更通知メッセージを受信した端末B102は、自身のプリコーディング設定を見直すため、端末A101に対し、CSIレポートを送信するように端末A101に要求するようにした(F608)。
【0043】
これにより、端末A101のプリコーディング設定に変更が生じた場合、速やかに端末B102のプリコーディング設定を見直すことが可能になる。また、これより、端末A101及び端末B102は双方向に速やかに同期したプリコーディング動作を行うことが可能になるため、第1の実施形態よりもさらに安定した通信を実現することが可能となる。
【0044】
図8は、プリコーディング変更通知メッセージをSCI(Sidelink Control Information)で通知する場合のメッセージフォーマットの実施例を示している。SCIにおいて、Precoding reportを設定することでプリコーディング設定変更通知を行うことが可能となる。なお、第2の実施形態では2bitsのフィールドを設定した一例を示しているが、1bitでも3bitsでもかまわない。
【0045】
図9は、プリコーディング変更通知メッセージをRRC(Radio Resource Control)で通知する場合のメッセージフォーマットの実施例を示している。RRCメッセージのReportConfigNR-SLメッセージにおいて、reportPrecoding-r16を設定することで、プリコーディング設定変更通知を行うことが可能となる。
【0046】
[第3の実施形態]
第3の実施形態に係るシステム構成及び装置の機能構成は、第1の実施形態と同様である。
【0047】
図10に示す動作シーケンス図、及び図11に示すフローチャートを用いて、第3の実施形態の動作を説明する。
【0048】
図10は、端末A101及び端末B102の間で双方向にプリコーディングを行いながらSidelink通信を行う処理手順を示すシーケンスの一例である。また、図11は、図10のシーケンスの内容を、端末A101及び端末B102の動作を示すフローチャートにしたものである。
【0049】
端末A101及び端末B102は、図2の制御部201が記憶部202に記憶されている制御プログラムを実行することでフローチャートに示す各処理を実現する。なお、一部の処理は前述したハードウェアや機能部と協働して実現されるものとする。
【0050】
図10において、端末A101と端末B102はそれぞれの無線通信部207を介してSidelink通信で接続している(F1001)。
【0051】
端末A101は、端末B102との通信状況を判断する(F1002、S1101)。通信状況の判断は、第1の実施形態で説明した判断方法と同一であってもよい。F1002及びS1101において、端末A101は、自端末の送信に用いるプリコーディングの見直しが必要だと判断すると、端末B102にCSIレポート送信指示メッセージを送信する(F1003、S1102)。また、端末A101は、端末B102に対して参照信号を送信する(F1004)。参照信号は、例えば、CSI-RSであってもよい。
【0052】
端末B102はCSIレポート送信指示メッセージを受信すると、端末A101から受信した参照信号(F1004)の受信品質を測定する。端末B102は、測定した受信品質の情報からCSIレポートを生成し、端末A101へ送信する(F1005)。また、端末B102は、CSIレポートを送信した後、端末A101に対して参照信号を送信する(F1007)。参照信号は、例えば、CSI-RSであってもよい。
【0053】
F1005及びS1103で、端末A101は、CSIレポートを受信すると、受信したCSIレポートを使用して、プリコーディング情報を算出して設定する(F1006、S1104)。CSIレポートには、例えば、CQI、PMI、RI等が含まれていてもよい。また、端末A101は、PMIに基づいて、プリコーディング情報を算出することとしてもよい。
【0054】
端末A101は、F1006及びS1104の処理手順において、設定済みのプリコーディング情報を変更した場合(S1105)、端末A101は、端末B102から受信した参照信号(F1007)の受信品質を測定する。また、端末A101は、測定した受信品質に基づいてCSIレポートを作成し、作成したCSIレポートをプリコーディング変更通知メッセージとともに端末B102に送信する(F1008、S1106)。F1108及びS1107で端末B102は、端末A101からのプリコーディング変更通知メッセージとCSIレポートを受信すると、受信したCSIレポートを使用して、プリコーディング情報を算出して設定する(F1009、S1108)。CSIレポートには、例えば、CQI、PMI、RI等が含まれていてもよい。また、端末B102は、PMIに基づいて、プリコーディング情報を算出することとしてもよい。その後、端末A101は、設定されたプリコーディング情報を用いて端末B102へ信号を送信する(F1010)。また、端末B102は設定されたプリコーディング情報を用いて端末A101へ信号を送信する(F1011)。
【0055】
以上説明した第3の実施形態では、端末B102は、端末A101にCSIレポートを送信した後(F1005)、続けて参照信号も送信するようにした(F1007)。また、端末A101は、受信したCSIレポートに基づいてプリコーディング情報の設定を変更した場合、端末A101から送信された参照信号(F1007)を測定し、プリコーディング変更通知及びCSIレポートの両方を端末B102に送信するようにした(F1008)。
【0056】
これにより、端末Aのプリコーディング設定に変更が生じた場合、第2の実施形態よりもさらに速やかに端末B102のプリコーディング設定を見直すことが可能になる。また、これにより、端末A101及び端末B102は双方向により速やかに同期したプリコーディング動作を行うことが可能になるので、第2実施形態よりもさらに安定した通信をすることが可能となる。
【0057】
[第4の実施形態]
第4の実施形態に係るシステム構成及び装置の機能構成は、第1の実施形態と同様である。
【0058】
図12に示す動作シーケンス図、及び図13に示すフローチャートを用いて、第4の実施形態の動作を説明する。
【0059】
図12は、端末A101及び端末B102の間で双方向にプリコーディングを行いながらSidelink通信を行う処理手順を示すシーケンスの一例である。また、図13は、図11のシーケンスの内容を、端末A101及び端末B102の動作を示すフローチャートにしたものである。
【0060】
端末A101及び端末B102は、図2の制御部201が記憶部202に記憶されている制御プログラムを実行することでフローチャートに示す各処理を実現する。なお、一部の処理は前述したハードウェアや機能部と協働して実現されるものとする。
【0061】
図12において、端末A101と端末B102はそれぞれの無線通信部207を介してSidelink通信で接続している(F1201)。
端末A101は、端末B102との通信状況を判断する(F1202、S1301)。通信状況の判断は、第1の実施形態で説明した判断方法と同一であってもよい。F1202及びS1301において、端末A101は、自端末の送信に用いるプリコーディングの見直しが必要だと判断すると、端末B102にCSIレポート送信指示メッセージを送信する(F1203、S1302)。また、端末A101は、端末B102に対して参照信号を送信する(F1204)。参照信号は、例えば、CSI-RSであってもよい。
【0062】
端末B102はCSIレポート送信指示メッセージ(F1203、S1307)を受信すると、端末A101から受信した参照信号(F1204)の受信品質を測定する(S1308)。続いて、端末B102は、測定した受信品質の情報からCSIレポートを生成し、端末A101へ送信する(F1205、S1309)。また、端末B102は、CSIレポートを送信後、プリコーディング設定の見直しを完了する前に(つまり、図12のF1209の処理手順を完了する前に)、端末A101に対して参照信号を送信する(F1206)。参照信号は、例えば、CSI-RSであってもよい。
【0063】
一方、端末A101は、端末B102から送信された参照信号(F1206)の受信品質を測定し(S1305)、測定した受信品質の情報からCSIレポートを生成し、端末B102へ送信する(F1207、S1306)。
【0064】
端末A101は、F1205及びS1303で受信したCSIレポートを使用して、プリコーディング情報を算出して設定する(F1208、S1304)。当該CSIレポートには、例えば、CQI、PMI、RI等が含まれていてもよい。また、端末A101は、PMIに基づいて、プリコーディング情報を算出することとしてもよい。
なお、図12の例では、F1208の処理手順は、F1207の処理手順の後に実行されるように図示されているが、これに限定されない。端末A101は、図10と同様、F1208の処理手順を、端末B102からCSIレポートを受信した後(すなわちF1205の処理手順の後)に実行することも可能である。
【0065】
同様に、端末B102は、F1207及びS1310で受信したCSIレポートを使用して、プリコーディング情報を算出して設定する(F1209、S1311)。当該CSIレポートには、例えば、CQI、PMI、RI等が含まれていてもよい。また、端末B102は、PMIに基づいて、プリコーディング情報を算出することとしてもよい。その後、端末A101は設定されたプリコーディング情報を用いて端末B102に信号を送信する(F1210)。また、端末B102は設定されたプリコーディング情報を用いて端末A101へ信号を送信する(F1211)。
【0066】
以上説明した第4の実施形態では、端末B102は、端末A101にCSIレポートを送信した後(F1205)、続けて参照信号も送信するようにした(F1206)。また、端末A101は、端末B102から送信された参照信号(F1206)を測定し、CSIレポートを端末B102に送信するようにした(F1207)。
【0067】
第4の実施形態は、端末A101から端末B102に対して、プリコーディング変更通知の送信を行わないようにしたため、端末A101の処理負荷を軽減させることが可能になる。これにより、端末A101及び端末B102は双方向により速やかに同期したプリコーディング動作を行うことが可能になるので、第2実施形態よりもさらに安定した通信をすることが可能となる。
【0068】
[その他の実施形態]
本発明は、上述の第1~第4の実施形態のうち1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給する。そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0069】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【0070】
なお、以上の実施例に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0071】
(付記1)
通信相手の端末との間で通信する通信装置であって、
前記通信相手の端末との間でプリコーディングされた無線信号を送受信するとともに、伝搬路情報レポートの送信を指示する送信指示を、前記通信相手の端末に送信する通信部と、
前記通信相手の端末から受信した伝搬路情報レポートに基づいて、前記通信相手の端末に送信する無線信号に対するプリコーディングの設定を行う設定部と、
を有する通信装置。
【0072】
(付記2)
前記通信部は、伝搬路情報レポートの送信を指示する送信指示を前記通信相手の端末から受信した場合、前記通信相手の端末に伝搬路情報レポートを送信する、
付記1に記載の通信装置。
【0073】
(付記3)
前記通信部は、前記通信相手の端末から受信した伝搬路情報レポートに基づいて、プリコーディングの設定を行う場合において、現在設定されているプリコーディングの設定値を変更する場合、プリコーディング設定変更通知を前記通信相手の端末に送信する、
付記1又は2に記載の通信装置。
【0074】
(付記4)
前記通信部は、前記通信相手の端末から受信した伝搬路情報レポートに基づいて、プリコーディングの設定を行う場合において、現在設定されているプリコーディングの設定値を変更しない場合、プリコーディング設定変更通知を前記通信相手の端末に送信しない、付記1乃至3のいずれか一項に記載の通信装置。
【0075】
(付記5)
前記通信部は、SCI(Sidelink Control Information)を用いて、前記プリコーディング設定変更通知を送信する、
付記3又は4に記載の通信装置。
【0076】
(付記6)
前記通信部は、RRC(Radio Resource Control)メッセージを用いて、前記プリコーディング設定変更通知を送信する、
付記3又は4に記載の通信装置。
【0077】
(付記7)
前記通信部は、前記プリコーディング設定変更通知に加えて、前記通信相手の端末に伝搬路情報レポートを送信する、
付記3又は4に記載の通信装置。
【0078】
(付記8)
通信相手の端末との間で通信する通信装置が実行する通信方法であって、
前記通信相手の端末との間でプリコーディングされた無線信号を送受信するとともに、伝搬路情報レポートの送信を指示する送信指示を、前記通信相手の端末に送信する工程と、
前記通信相手の端末から受信した伝搬路情報レポートに基づいて、前記通信相手の端末に送信する無線信号に対するプリコーディングの設定を行う工程と、
を含む通信方法。
【0079】
(付記9)
通信相手の端末との間で通信する通信装置に、
前記通信相手の端末との間でプリコーディングされた無線信号を送受信するとともに、伝搬路情報レポートの送信を指示する送信指示を、前記通信相手の端末に送信する工程と、
前記通信相手の端末から受信した伝搬路情報レポートに基づいて、前記通信相手の端末に送信する無線信号に対するプリコーディングの設定を行う工程と、
を実行させるためのプログラム。
【0080】
(付記10)
付記1記載の通信装置を複数含む通信システム。
【符号の説明】
【0081】
101 端末A
102 端末B
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13