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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014010
(43)【公開日】2025-01-28
(54)【発明の名称】呼吸を可能とするマスク
(51)【国際特許分類】
   B63C 11/16 20060101AFI20250121BHJP
【FI】
B63C11/16
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024189458
(22)【出願日】2024-10-29
(62)【分割の表示】P 2023006318の分割
【原出願日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/304,383
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/356,237
(32)【優先日】2022-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508126022
【氏名又は名称】誠加興業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】薛志誠
(57)【要約】      (修正有)
【課題】使用者の鼻がマスク内で自由に呼吸可能であり、且つ、吸い込まれた新鮮な空気と吐き出された汚れた空気の気流を分離するマスクを提供する。
【解決手段】呼吸を可能とするマスクは、本体及びシュノーケルを含み、メインフレーム、メインフレームに嵌合するレンズ、及び防水密封スカートを含む。防水密封スカートは、スペーサーで、目を覆う上室と鼻を覆う下室に本体の内部を分けるとともに、互いに独立した吸気通路及び排気通路が配置されており、吸い込まれた新鮮な空気と吐き出された汚れた空気を分流する。また、排水弁を有する鼻連通部を提供して、下室との間で流体を通過させる。さらに、互いに流体を通過させる鼻連通部、口連通部及び排水部を有し、鼻連通部と前記下室とを流体が通過し、使用者が呼吸を可能とするマスクを装着するとき、使用者の口に口連通部を適切にくわえさせることが可能な三方管680が提供される。
【選択図】図8A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸を可能とするマスクであって、本体及びシュノーケルを含み、前記シュノーケルと前記本体の内部は流体が通過可能となっており、前記シュノーケルは、吸気管と、前記吸気管に隣接する排気管とを含み、前記本体は、使用者の目及び鼻を覆っているが口を覆っておらず、メインフレームと、前記メインフレーム内に嵌合するレンズと、一部が前記メインフレーム及び前記レンズに嵌合し、前記使用者の顔部に適切に密着可能な防水密封スカートと、を含み、前記防水密封スカートは、前記本体の内部を上室と下室に分割するスペーサーを有し、前記使用者が緊締装置を用いて前記呼吸を可能とするマスクを装着した場合、前記スペーサーは前記使用者の鼻に位置し、前記使用者の目は前記上室内に収容され、前記使用者の鼻は前記下室内に収容される呼吸を可能とするマスクにおいて、
前記本体は、更に、
前記吸気管と前記下室の間に形成される吸気通路であって、第1逆止弁が設けられており、前記第1逆止弁が、外部から進入した新鮮な空気を前記吸気通路を通じて前記下室内に進入させることにのみ用いられる吸気通路と、
前記排気管と前記下室の間に形成される排気通路であって、前記使用者が吐き出した汚れた空気を前記排気通路を通じて外部に排出することにのみ用いられる排気通路と、
一端と前記下室とを流体が通過し、他端に排水弁が設けられている鼻連通部と、を含むことを特徴とし前記防水密封スカートは、更に、前記スペーサーとともに前記下室を規定する鼻マスク部を含み、前記鼻マスク部は、突出領域及び底部領域を有し、前記底部領域は、適切に前記使用者の鼻孔に対応可能であることを特徴とする呼吸を可能とするマスク。
【請求項2】
更に、第2逆止弁を含み、前記吸気通路は前記上室及び前記第1逆止弁により規定され、前記排気通路は前記第2逆止弁及び排気トンネルにより規定され、前記排気トンネルは、前記防水密封スカートと前記レンズの周縁により共同で形成される請求項1に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項3】
前記第1逆止弁は前記排気トンネルの入口の側壁に設けられ、第2逆止弁は前記排気トンネルの入口の内側に設けられ、前記使用者が吸気する際には、新鮮な空気が適切に前記吸気管から前記上室を経由し、前記第1逆止弁を通過して前記排気トンネルの入口を通り、前記下室に進入可能であり、これにより前記使用者の鼻に吸気させ、前記使用者の鼻が排気する際には、一部の汚れた空気が適切に前記第2逆止弁を通過して前記排気トンネルを経由し、前記排気管に進入して排出可能となる請求項2に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項4】
前記鼻連通部と前記下室は、前記底部領域を通じて流体を通過させる請求項1に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項5】
前記底部領域には第3逆止弁が設けられており、流体が前記下室から前記第3逆止弁を通過して前記鼻連通部に進入することのみを許容し、前記使用者の鼻が排気する際には、一部の汚れた空気が適切に前記第3逆止弁を通過し、前記鼻連通部の排水弁を経由して排出可能となる請求項4に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項6】
前記鼻マスク部及び鼻連通部は、いずれも、ポリカーボネート(Polycarbonate,PC)、ポリプロピレン(Polypropylene,PP)、ポリエチレン(Polyethylene,PE)、ポリ塩化ビニル(Polyvinylchloride,PVC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(Acrylonitrile Butadiene Styrene,ABS)の材料又はそれらの組み合わせから選択される硬質材料で製造され、ショアD(Shore D)硬度50~90を有する請求項1に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項7】
前記鼻マスク部は、軟質材料で製造され、ショアA(Shore A)硬度30~95を有し、前記突出領域は、前記メインフレームの後縁から前方へ次第に隆起して、単一の山頂を有する断面形状をなす請求項1に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項8】
前記単一の山頂の断面形状は、最大高さ(Nh)が20~35mmの間である請求項7に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項9】
前記突出領域が前記メインフレームの後縁から前方へ隆起して前記メインフレームの下方の外縁を超える最大度合(Nt)は、5~20mmの間である請求項7に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項10】
呼吸を可能とするマスクであって、本体及びシュノーケルを含み、前記シュノーケルと前記本体の内部は流体が通過可能となっており、前記シュノーケルは、吸気管と、前記吸気管に隣接する排気管とを含み、前記本体は、使用者の目及び鼻を覆っているが口を覆っておらず、メインフレームと、前記メインフレーム内に嵌合するレンズと、一部が前記メインフレーム及び前記レンズに嵌合し、前記使用者の顔部に適切に密着可能な防水密封スカートと、を含み、前記防水密封スカートは、前記本体の内部を上室と下室に分割するスペーサーを有し、前記使用者が緊締装置を用いて前記呼吸を可能とするマスクを装着した場合、前記スペーサーは前記使用者の鼻に位置し、前記使用者の目は前記上室内に収容され、前記使用者の鼻は前記下室内に収容される呼吸を可能とするマスクにおいて、
前記本体は、更に、
前記吸気管と前記下室の間に形成される吸気通路であって、第1逆止弁が設けられており、前記第1逆止弁が前記スペーサー上に設けられ、前記第1逆止弁が、外部から進入した新鮮な空気を前記吸気通路を通じて前記下室内に進入させることにのみ用いられる吸気通路と、
前記排気管と前記下室の間に形成される排気通路であって、前記使用者が吐き出した汚れた空気を前記排気通路を通じて外部に排出することにのみ用いられる排気通路と、
互いに流体を通過させる鼻連通部、口連通部及び排水部を有し、前記鼻連通部と前記下室とを流体が通過し、前記使用者が前記呼吸を可能とするマスクを装着するとき、前記使用者の口に前記口連通部を適切にくわえさせることが可能な三方管と、を含むことを特徴とし、前記防水密封スカートは、更に、前記スペーサーとともに前記下室を規定する鼻マスク部を含み、前記鼻マスク部は、突出領域及び底部領域を有し、前記底部領域は、適切に前記使用者の鼻孔に対応可能であることを特徴とする呼吸を可能とするマスク。
【請求項11】
前記排水部は下前方に向かって排水及び排気する請求項10に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項12】
更に、第2逆止弁を含み、前記吸気通路は前記上室及び前記第1逆止弁により規定され、前記排気通路は前記第2逆止弁及び排気トンネルにより規定され、前記排気トンネルは、前記防水密封スカートと前記レンズの周縁により共同で形成される請求項10に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項13】
前記第1逆止弁は前記スペーサー上に設けられ、前記第2逆止弁は前記排気トンネルの入口に設けられ、前記使用者の鼻が吸気する際には、新鮮な空気が適切に前記吸気管から前記上室を経由し、前記第1逆止弁を通過して前記下室に進入可能であり、これにより前記使用者の鼻に吸気させ、前記使用者の鼻が排気する際には、一部の汚れた空気が適切に前記第2逆止弁を通過して前記排気トンネルを経由し、前記排気管に進入して排出可能となる請求項12に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項14】
前記鼻連通部と前記下室は、前記底部領域を通じて流体を通過させる請求項10に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項15】
前記三方管の可動範囲が広がるよう、前記鼻連通部と前記底部領域の間には可撓性部が設けられている請求項14に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項16】
前記底部領域には、第3逆止弁が設けられており、流体が前記下室から前記第3逆止弁を通過して前記鼻連通部に進入することのみを許容し、前記使用者の口が吸気する際には、新鮮な空気が適切に前記第3逆止弁及び口連通部を通過して前記使用者に供給可能となり、前記使用者の鼻が排気する際には、汚れた空気が適切に前記第3逆止弁を通過して前記鼻連通部を経由し、前記排水部に到達して排出可能となり、前記使用者の口が排気する際には、汚れた空気が適切に前記排水部へと直接向かい、三方管内の溜水と一緒に排出される請求項15に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項17】
前記排水部は、下側に向かって排水及び排気する請求項10に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項18】
更に、第2逆止弁を含み、前記吸気通路は前記上室及び前記第1逆止弁により規定され、前記排気通路は前記第2逆止弁及び排気トンネルにより規定され、前記排気トンネルは、前記防水密封スカートと前記レンズの周縁により共同で形成される請求項10に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項19】
前記排水部は、前記鼻連通部から下方に延伸するベースを含み、前記ベースは、第1接続部と、前記第1接続部と対向する第2接続部とを有し、前記第1接続部は、適切に排水弁を収容して内部に固定可能であり、前記口連通部は、前記第2接続部及びマウスピースにより共同で規定される請求項17に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項20】
前記排水部は遮断プレートを更に含み、前記遮断プレート、前記排水弁及び前記第1接続部により共同で前記排水部が規定され、前記遮断プレートは、前記鼻連通部から下方に延伸して前記排水弁に面しており、且つ、前記遮断プレートと前記排水弁は、フックで接続されて隙間を形成しており、前記使用者が排気する際には、汚れた空気又は溜水を前記隙間経由で側方から排出可能である請求項19に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項21】
前記鼻マスク部は、ポリカーボネート(Polycarbonate,PC)、ポリプロピレン(Polypropylene,PP)、ポリエチレン(Polyethylene,PE)、ポリ塩化ビニル(Polyvinylchloride,PVC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(Acrylonitrile Butadiene Styrene,ABS)の材料又はそれらの組み合わせから選択される硬質材料で製造され、ショアD(Shore D)硬度50~90を有する請求項10に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項22】
前記鼻マスク部は、軟質材料で製造され、ショアA(Shore A)硬度30~95を有し、前記突出領域は、前記メインフレームの後縁から前方へ次第に隆起して、単一の山頂を有する断面形状をなす請求項10に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項23】
前記単一の山頂の断面形状は、最大高さ(Nh)が20~35mmの間である請求項22に記載の呼吸を可能とするマスク。
【請求項24】
前記突出領域が前記メインフレームの後縁から前方へ隆起して前記メインフレームの下方の外縁を超える最大度合(Nt)は、5~20mmの間である請求項22に記載の呼吸を可能とするマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォーターアクティビティ用のマスクに関し、特に、鼻部又は鼻部と口部の双方で呼吸可能なシュノーケリング用のマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、現在のシュノーケリングアクティビティでは、大多数が目と鼻を覆うマスク1を使用し、シュノーケル2を組み合わせている。この場合、使用者は鼻で呼吸することが全くできず、シュノーケル2を通じて口で呼吸するしかない。また、シュノーケル2はマスク1の一方の側から延伸しているため、使用時に決してバランスがよくない。そのほか、シュノーケル2はマスク1と接続せねばならず、接続位置は一般的にマスク1のヘッドバンド3付近を通過する。しかし、ヘッドバンド3には頭髪が絡まりやすいため、このようなシュノーケリング装置は使用者が装着する際の面倒が増加する。また、人間は、空気中ではやはり鼻で呼吸する習慣がある。よって、このような装置を使用する場合には、使用者に口呼吸を強いることになり、使用者の自然な呼吸方式に反している。
【0003】
上記の欠点に基づいて、業界では、フルフェイスマスク(Full Face Snorkel Mask,FFSM)の上部に固定されるシュノーケル4を従来型のダイビングマスク5にそのまま転用し、マスク5の内部と連通させることで、使用者に鼻呼吸を可能とすることを想定し始めている。つまり、図1のような従来のマウスピース型のシュノーケル2を図2Aのような設計に変更している。当然ながら、これはフルフェイス式のシュノーケルマスク(Full face snorkel mask,FFSM)よりも体積が小さく、顔部と良好な密着度を維持することも可能である。しかし、このような設計のシュノーケル4は、トンネル6を通じてマスク5内部の鼻バッグ7と連通し、鼻で呼吸させる(図2Bを合わせて参照する)。こうした設計では、吸気と呼気の気流が分けられていないため、呼吸中に清潔な空気と汚れた空気がマスク5の鼻バッグ7内で急速に混合されて、マスク5内の二酸化炭素濃度が急激に上昇する。そのため、使用者は、短時間のうちに無自覚に酸欠となりやすく、大変危険である。また、使用者は、具合が悪くなったとしても口呼吸に変えることができない。そのほか、こうした設計の鼻マスク部8は、形状及び材質の使用が不適切な場合、実際の使用テストにおいて、水圧Pにより「自動的に鼻が挟まれる」との結果が生じ(図2C参照)、鼻呼吸が妨げられるため、危険発生の機会がより高くなる。更に、マスク5内の溜水は鼻マスク部8の内側の鼻バッグ7内に集中し、使用者の鼻孔に非常に近付いてしまう。よって、この溜水が使用者に不快感をもたらし、ひいては水でむせてしまう。
【0004】
且つ、このようなマスク5は、目と鼻しか覆えず、使用者の口は水中に露出している。そのため、うっかり水を飲まないよう無意識に口をきつく閉じることになり、非常に安心感に欠ける。
【0005】
そこで、上記の課題を部分的又は全面的に解決する設計を提供することが極めて大きなブレークスルーとなり、且つ業界が全力で追及する目標となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする課題は、使用者の鼻がマスク内で自由に呼吸可能でない点、又は、吸い込まれた新鮮な空気と吐き出された汚れた空気の気流が分離されないことによる、マスク内の二酸化炭素濃度の上昇という点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決する本発明の第一の手段として、本体及びシュノーケルを含む呼吸を可能とするマスクを提供する。前記シュノーケルと前記本体の内部は流体が通過可能となっている。前記シュノーケルは、吸気管と、当該吸気管に隣接する排気管を含む。前記本体は、メインフレームと、当該メインフレーム内に嵌合するレンズと、一部が前記メインフレーム及び前記レンズに嵌合し、使用者の顔部に適切に密着可能な防水密封スカート、を含む。前記防水密封スカートは、前記本体の内部を上室と下室に分割するスペーサーを有する。前記使用者が緊締装置を用いて前記呼吸を可能とするマスクを装着した場合、前記スペーサーは前記使用者の鼻に位置し、前記使用者の目は前記上室内に収容され、前記使用者の鼻は前記下室内に収容される。特徴として、前記本体は、更に、前記吸気管と前記下室の間に形成される吸気通路であって、第1逆止弁が設けられており、当該第1逆止弁が前記スペーサー上に設けられ、当該第1逆止弁が、外部から進入した新鮮な空気を当該吸気通路を通じて前記下室内に進入させることにのみ用いられる吸気通路と、前記排気管と前記下室の間に形成される排気通路であって、前記使用者が吐き出した汚れた空気を当該排気通路を通じて外部に排出することにのみ用いられる排気通路、を含む。前記吸気通路と前記排気通路の間では流体が隔離される。
【0008】
また、課題を解決する第二の手段として、マスクの下方に、外側に向かって鼻連通部を延伸させて、排水弁を設けることで、マスク内の溜水を蓄積し、溜水を鼻孔から遠ざけるとともに、排水弁を通じて効果的に排出可能とする。本発明は、主に、本体及びシュノーケルを含む呼吸を可能とするマスクを提供する。前記シュノーケルと前記本体の内部は流体が通過可能となっている。前記シュノーケルは、吸気管と、当該吸気管に隣接する排気管を含む。前記本体は、メインフレームと、当該メインフレーム内に嵌合するレンズと、一部が前記メインフレーム及び前記レンズに嵌合し、使用者の顔部に適切に密着可能な防水密封スカート、を含む。前記防水密封スカートは、前記本体の内部を上室と下室に分割するスペーサーを有する。前記使用者が緊締装置を用いて前記呼吸を可能とするマスクを装着した場合、前記スペーサーは前記使用者の鼻に位置し、前記使用者の目は前記上室内に収容され、前記使用者の鼻は前記下室内に収容される。特徴として、前記本体は、更に、前記吸気管と前記下室の間に形成される吸気通路であって、第1逆止弁が設けられており、当該第1逆止弁が、外部から進入した新鮮な空気を当該吸気通路を通じて前記下室内に進入させることにのみ用いられる吸気通路と、前記排気管と前記下室の間に形成される排気通路であって、前記使用者が吐き出した汚れた空気を当該排気通路を通じて外部に排出することにのみ用いられる排気通路と、一端と前記下室とを流体が通過し、他端に排水弁が設けられている鼻連通部、を含む。
【0009】
また、課題を解決する第三の手段として、マスクの下方に、外側に向かって三方管を延伸させる。三方管の1つは鼻マスク部に接続し、1つには排水弁を設ける。これにより、マスク内の溜水を蓄積し、溜水を鼻孔から遠ざけるとともに、排水弁を通じて効果的に排出可能とする。また、三方管の1つに、使用者の口にくわえさせるマウスピースを接続する。これにより、マスク装着時の安定性を向上可能とするほか、使用者が鼻で吸排気できるだけでなく、口で呼吸することも可能とする。本発明の呼吸を可能とするマスクは、本体及びシュノーケルを含む。前記シュノーケルと前記本体の内部は流体が通過可能となっている。前記シュノーケルは、吸気管と、当該吸気管に隣接する排気管を含む。前記本体は、メインフレームと、当該メインフレーム内に嵌合するレンズと、一部が前記メインフレーム及び前記レンズに嵌合し、使用者の顔部に適切に密着可能な防水密封スカート、を含む。前記防水密封スカートは、前記本体の内部を上室と下室に分割するスペーサーを有する。前記使用者が緊締装置を用いて前記呼吸を可能とするマスクを装着した場合、前記スペーサーは前記使用者の鼻に位置し、前記使用者の目は前記上室内に収容され、前記使用者の鼻は前記下室内に収容される。特徴として、前記本体は、更に、前記吸気管と前記下室の間に形成される吸気通路であって、第1逆止弁が設けられており、当該第1逆止弁が、外部から進入した新鮮な空気を当該吸気通路を通じて前記下室内に進入させることにのみ用いられる吸気通路と、前記排気管と前記下室の間に形成される排気通路であって、前記使用者が吐き出した汚れた空気を当該排気通路を通じて外部に排出することにのみ用いられる排気通路と、互いに流体を通過させる鼻連通部、口連通部及び排水部を有し、前記鼻連通部と前記下室とを流体が通過し、前記使用者が前記呼吸を可能とするマスクを装着するとき、当該使用者の口に前記口連通部を適切にくわえさせることが可能な三方管、を含む。
【0010】
上記3つの目的と合わせて実現すべく、本発明の鼻マスク部は、特定の硬度の材質又は特定形状の設計を採用すればよい。これにより、更に、使用時に水圧を受けて鼻の正常な呼吸に影響を及ぼすこともなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、使用者が従来技術のシュノーケリング装備を装着した場合の概略図である。
図2A図2Aは、別の従来技術におけるシュノーケルマスクの概略図である。
図2B図2Bは、図2Aの部分的概略背面図であり、吸気及び排気の気流を示している。
図2C図2Cは、図2Aの部分的概略正面図であり、鼻バッグが水圧(P)に押圧されて変形した状況を示している。
図3A図3Aは、本発明の第1実施例の背面斜視図である。
図3B図3Bは、図3Aにおける3B-3B線に沿って得た矢状面の断面図である。
図3C図3Cは、図3Aにおける3C-3C線に沿って得た冠状面の断面図であり、吸気気流を示している。
図3D図3Dは、図3Cと同様であるが、排気気流を示している。
図3E図3Eは、図3Aにおける3E-3E線に沿って得た横断面の断面図であり、鼻マスク部の断面形状を示している。
図4A図4Aは、本発明の第2実施例の正面斜視図である。
図4B図4Bは、図4Aの背面斜視図である。
図4C図4Cは、図4Aにおける4C-4C線に沿って得た冠状面の断面図であり、吸気気流を示している。
図4D図4Dは、図4Cと同様であるが、排気気流を示している。
図4E図4Eは、図4Aにおける4E-4E線に沿って得た矢状面の断面図である。
図4F図4Fは、図4Aにおける4F-4F線に沿って得た横断面の断面図である。
図5A図5Aは、本発明の第3実施例の正面斜視図である。
図5B図5Bは、図5Aの背面斜視図である。
図5C図5Cは、図5Aにおける5C-5C線に沿って得た矢状面の断面図であり、吸気気流を示している。
図5D図5Dは、図5Aにおける5D-5D線に沿って得た冠状面の断面図であり、排気気流を示している。
図6図6は、本発明の第3実施例における三方管の変形態様である。
図7図7は、本発明の第3実施例における三方管の別の変形態様である。
図8A図8Aは、本発明の第3実施例における三方管の更なる拡張的な変形態様である。
図8B図8Bは、図8Aの背面斜視図である。
図8C図8Cは、図8Aにおける8C-8C線に沿って得た矢状面の断面図であり、吸気気流を示している。
図8D図8Dは、図8Aにおける8D-8D線に沿って得た冠状面の断面図であり、排気気流を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1実施例では、主に、使用者の鼻がマスク内で自由に呼吸可能であり、且つ、吸い込まれた新鮮な空気と吐き出された汚れた空気の気流を分離する使用者の目と鼻を覆う呼吸を可能とするマスクを提供する。
【0013】
図3A図3Eに示すように、呼吸を可能とするマスク10は、本体11及びシュノーケル12を含む。当該シュノーケル12と当該本体11の内部は流体が通過可能となっている。前記シュノーケル12は、吸気管121と、当該吸気管121に隣接する排気管122を含む。好ましくは、シュノーケル12は硬質材料で製造される。また、排気管122は2本存在し、それぞれが吸気管121の左右両側に位置して、吸気管121とともに前記シュノーケル12内に形成される。本体11は、メインフレーム13と、当該メインフレーム13内に嵌合するレンズ14と、一部が前記メインフレーム13及び前記レンズ14に嵌合し、使用者の顔部に適切に密着可能な防水密封スカート15、を含む。前記防水密封スカート15は、前記本体の内部を上室17と下室18に分割するスペーサー16を有する。前記使用者が緊締装置(即ち、弾性ヘッドバンド。図示しない)を用いて前記呼吸を可能とするマスク10を装着した場合、前記スペーサー16は前記使用者の鼻に位置し、前記使用者の目は前記上室17内に収容され、前記使用者の鼻は前記下室18内に収容される。特徴として、前記本体11は、更に、前記吸気管121と前記下室18の間に形成される吸気通路であって、第1逆止弁161が設けられており、当該第1逆止弁161が前記スペーサー16上に設けられ、当該第1逆止弁161が、外部から進入した新鮮な空気を当該吸気通路を通じて前記下室18内に進入させることにのみ用いられる吸気通路と、前記排気管122と前記下室18の間に形成される排気通路であって、前記使用者が吐き出した汚れた空気を当該排気通路を通じて外部に排出することにのみ用いられる排気通路、を含む。前記吸気通路と前記排気通路の間では流体が隔離される。
【0014】
排気通路内の少量の汚れた空気が下室18に逆流し、使用者が次の呼吸循環で吸い込んだ新鮮な空気と混ざり合うことでマスク内に少量の二酸化炭素が蓄積されることのないよう、第2逆止弁162を別途設けてもよい。前記吸気通路は前記上室17及び前記第1逆止弁161により規定され、前記排気通路は前記第2逆止弁162及び排気トンネル19により規定される。図3A図3Cに示すように、前記排気トンネル19は、前記防水密封スカート15と前記レンズ14の周縁141により共同で形成される。また、図3Cに示すように、前記第2逆止弁162は、前記スペーサー16上に設けられ、前記第1逆止弁161の下方に位置する。前記使用者の鼻(N)が吸気する際には、新鮮な空気が適切に前記吸気管121から前記上室17を経由し、前記第1逆止弁161を通過して前記下室18に進入可能であり、これにより当該使用者の鼻に吸気させる。また、図3Dに示すように、前記使用者の鼻(N)が排気する際には、汚れた空気が適切に前記第2逆止弁162を通過して前記排気トンネル19を経由し、前記排気管122に進入して排出可能となる。
【0015】
前記防水密封スカート15は、更に、前記スペーサー16とともに前記下室18を規定する鼻マスク部151を含む。図3Bに示すように、当該鼻マスク部151は、突出領域152及び底部領域153を有する。当該底部領域153は、適切に前記使用者の鼻孔に対応可能である。鼻マスク部151が水圧の影響を受けて変形しないよう、鼻マスク部151は、最適には、ポリカーボネート(Polycarbonate,PC)、ポリプロピレン(Polypropylene,PP)、ポリエチレン(Polyethylene,PE)、ポリ塩化ビニル(Polyvinylchloride,PVC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(Acrylonitrile Butadiene Styrene,ABS)の材料又はそれらの組み合わせから選択される硬質材料で製造され、且つショアD(Shore D)硬度50~90を有する。また、図3B及び図3Eに示すように、鼻マスク部151は、比較的軟質の材料で製造し、ショアA(Shore A)硬度30~95を有してもよく、且つ、特定の形状で構成される。詳述すると、前記突出領域152は、前記メインフレーム13の後縁から前方へ次第に隆起して、単一の山頂を有する断面形状をなす。前記単一の山頂の断面形状の最大高さ(Nh)は20~35mmの間である。或いは、前記突出領域152が前記メインフレーム13の後縁から前方へ隆起して当該メインフレーム13の下方の外縁を超える最大度合(Nt)は、5~20mmの間である。
【0016】
本発明の第2実施例は、第1実施例と主に以下の点において異なっている。即ち、第2実施例では、マスクの下室において、流体が更に鼻連通部を通過する。鼻連通部には排水弁が設けられている。これにより、マスク内の溜水は蓄積空間を有し得るとともに、排水弁を経由して排出可能となる。また、鼻から吐き出されたガスについても、一部を排水弁から排出可能となる。よって、排水及び排気の双方がいっそう円滑となる。
【0017】
具体的には、図4A図4Fに示すように、呼吸を可能とするマスク20は、本体21及びシュノーケル22を含む。当該シュノーケル22と当該本体21の内部は流体が通過可能となっている。前記シュノーケル22は、吸気管221と、当該吸気管221に隣接する排気管222を含む。前記本体21は、メインフレーム23と、前記メインフレーム23内に嵌合するレンズ24と、一部が前記メインフレーム23及び前記レンズ24に嵌合し、使用者の顔部に適切に密着可能な防水密封スカート25、を含む。当該防水密封スカート25は、前記本体21の内部を上室27と下室28に分割するスペーサー26を有する。前記使用者が緊締装置(即ち、弾性ヘッドバンド。図示しない)を用いて前記呼吸を可能とするマスク20を装着した場合、前記スペーサー26は前記使用者の鼻に位置し、前記使用者の目は前記上室27内に収容され、前記使用者の鼻は前記下室28内に収容される。特徴として、前記本体21は、更に、前記吸気管221と前記下室28の間に形成される吸気通路であって、第1逆止弁261が設けられており、当該第1逆止弁261が、外部から進入した新鮮な空気を当該吸気通路を通じて前記下室28内に進入させることにのみ用いられる吸気通路と、前記排気管222と前記下室28の間に形成される排気通路であって、前記使用者が吐き出した汚れた空気を当該排気通路を通じて外部に排出することにのみ用いられる排気通路と、一端と前記下室28とを流体が通過し、他端に排水弁284が設けられている鼻連通部280、を含む。
【0018】
好ましくは、図4C及び図4Dに示すように、呼吸を可能とするマスク20は、更に、第2逆止弁262を含む。前記吸気通路は前記上室27及び前記第1逆止弁261により規定され、前記排気通路は前記第2逆止弁262及び排気トンネル29により規定される。前記排気トンネル29は、前記防水密封スカート25と前記レンズ24の周縁241により共同で形成される。本実施例において、第1逆止弁261は前記排気トンネル29の入口291の側壁292に設けられ、第2逆止弁262は前記排気トンネル29の入口291の内側に設けられる。図4Cに示すように、前記使用者が吸気する際には、新鮮な空気が適切に前記吸気管221から前記上室27を経由し、前記第1逆止弁261を通過して前記排気トンネル29の入口291を通り、前記下室28に進入可能であり、これにより当該使用者の鼻(N)に吸気させる。また、図4Dに示すように、前記使用者の鼻(N)が排気する際には、一部の汚れた空気が適切に前記第2逆止弁262を通過して前記排気トンネル29を経由し、前記排気管222に進入して排出可能となる。
【0019】
また、図4D及び図4Eを参照する。防水密封スカート25は、更に、前記スペーサー26とともに前記下室28を規定する鼻マスク部251を含む。当該鼻マスク部251は、突出領域252及び底部領域253を有する。当該底部領域253は、適切に前記使用者の鼻孔に対応可能である。鼻連通部280と前記下室28は、前記底部領域253を通じて流体を通過させる。汚れた空気及び溜水が下室28に戻ることなく鼻連通部280の底部に保持され得るよう確実に保証するために、より好ましくは、前記底部領域に第3逆止弁263を設け、流体が前記下室28から当該第3逆止弁263を通過して前記鼻連通部280に進入することのみを許容する。前記使用者の鼻が排気する際には、一部の汚れた空気が適切に前記第3逆止弁263を通過し、前記鼻連通部280の排水弁284を経由して排出可能となる。
【0020】
鼻マスク部251及び鼻連通部280は、いずれも、ポリカーボネート(Polycarbonate,PC)、ポリプロピレン(Polypropylene,PP)、ポリエチレン(Polyethylene,PE)、ポリ塩化ビニル(Polyvinylchloride,PVC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(Acrylonitrile Butadiene Styrene,ABS)の材料又はそれらの組み合わせから選択される硬質材料で製造され、ショアD(Shore D)硬度50~90を有する。また、図4Fに示すように、前記鼻マスク部251及び鼻連通部280は、軟質材料で製造し、ショアA(Shore A)硬度30~95を有してもよい。また、前記突出領域252は、前記メインフレーム23の後縁から前方へ次第に隆起して、単一の山頂を有する断面形状をなす。前記単一の山頂の断面形状は、最大高さ(Nh)が20~35mmの間である。或いは、前記突出領域252が前記メインフレーム23の後縁から前方へ隆起して当該メインフレーム23の下方の外縁を超える最大度合(Nt)は、5~20mmの間である。
【0021】
本発明の第3実施例は、第1実施例と主に以下の点において異なっている。即ち、第3実施例では、マスクの下室において、流体が更に三方管を通過する。三方管にはマウスピース及び排水弁が設けられている。これにより、使用者は口でマウスピースをくわえることでより多くの安心感を得られるだけでなく、マスク内の溜水が蓄積空間を有し得るとともに、排水弁を経由して排出可能となる。また、鼻から吐き出されたガスについても、一部を排水弁から排出可能となる。よって、排水及び排気の双方がいっそう円滑となる。
【0022】
具体的には、図5A図5Dに示すように、呼吸を可能とするマスク30は、本体31及びシュノーケル32を含む。当該シュノーケル32と当該本体31の内部は流体が通過可能となっている。前記シュノーケル32は、吸気管321と、当該吸気管321に隣接する排気管322を含む。前記本体31は、メインフレーム33と、当該メインフレーム33内に嵌合するレンズ34と、一部が前記メインフレーム33及び前記レンズ34に嵌合し、使用者の顔部に適切に密着可能な防水密封スカート35、を含む。前記防水密封スカート35は、前記本体31の内部を上室37と下室38に分割するスペーサー36を有する。前記使用者が緊締装置(即ち、弾性ヘッドバンド。図示しない)を用いて前記呼吸を可能とするマスクを装着した場合、前記スペーサー36は前記使用者の鼻に位置し、前記使用者の目は前記上室37内に収容され、前記使用者の鼻は前記下室38内に収容される。特徴として、前記本体31は、更に、前記吸気管321と前記下室38の間に形成される吸気通路であって、第1逆止弁361が設けられており、当該第1逆止弁361が、外部から進入した新鮮な空気を当該吸気通路を通じて前記下室38内に進入させることにのみ用いられる吸気通路と、前記排気管322と前記下室38の間に形成される排気通路であって、前記使用者が吐き出した汚れた空気を当該排気通路を通じて外部に排出することにのみ用いられる排気通路と、互いに流体を通過させる鼻連通部381、口連通部382及び排水部383を有し、前記鼻連通部381と前記下室38とを流体が通過し、前記使用者が前記呼吸を可能とするマスク30を装着するとき、前記口連通部382に設けられるマウスピース398を適切に当該使用者の口にくわえさせることが可能な三方管380、を含む。そのほか、前記排水部383は下前方に向かって排水及び排気する。汚れた空気をより効果的に隔離するために、本実施例では、第2逆止弁362を増設してもよい。前記吸気通路は前記上室37及び前記第1逆止弁361により規定され、前記排気通路は前記第2逆止弁362及び排気トンネル39により規定される。前記排気トンネル39は、前記防水密封スカート35と前記レンズ34の周縁341により共同で形成される。
【0023】
好ましくは、図5B図5Dに示すように、第1逆止弁361は前記スペーサー36上に設けられ、前記第2逆止弁362は前記排気トンネル39の入口391に設けられる。前記使用者の鼻(N)が吸気する際には(図5C)、新鮮な空気が適切に前記吸気管321から前記上室37を経由し、前記第1逆止弁361を通過して前記下室38に進入可能であり、これにより当該使用者の鼻に吸気させる。また、前記使用者の鼻(N)が排気する際には(図5D)、一部の汚れた空気が適切に前記第2逆止弁362を通過して前記排気トンネル39を経由し、前記排気管322に進入して排出可能となる。防水密封スカート35は、更に、前記スペーサー36とともに前記下室38を規定する鼻マスク部351を含む。当該鼻マスク部351は、突出領域352及び底部領域353を有する。当該底部領域353は、適切に前記使用者の鼻孔に対応可能である。前記鼻連通部381と前記下室38は、前記底部領域353を通じて流体を通過させる。より好ましくは、鼻マスク部351は、ポリカーボネート(Polycarbonate,PC)、ポリプロピレン(Polypropylene,PP)、ポリエチレン(Polyethylene,PE)、ポリ塩化ビニル(Polyvinylchloride,PVC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(Acrylonitrile Butadiene Styrene,ABS)の材料又はそれらの組み合わせから選択される硬質材料で製造され、ショアD(Shore D)硬度50~90を有する。また、図5Cに示すように、前記鼻マスク部351は、軟質材料で製造し、ショアA(Shore A)硬度30~95を有してもよい。また、前記突出領域352は、前記メインフレーム33の後縁から前方へ次第に隆起して、単一の山頂を有する断面形状をなす。前記単一の山頂の断面形状は、最大高さ(Nh)が20~35mmの間である。或いは、前記突出領域352が前記メインフレーム33の後縁から前方へ隆起して当該メインフレーム33の下方の外縁を超える最大度合(Nt)は、5~20mmの間である。
【0024】
使用者の顔型の違いに更に適応可能とし、且つより快適に使用者に装着させるために、前記三方管の可動範囲が広がるよう、鼻連通部381と前記底部領域353の間には可撓性部385が設けられている。また、底部領域には、第3逆止弁363が設けられており、流体が前記下室38から当該第3逆止弁363を通過して前記鼻連通部381に進入することのみを許容する。前記使用者の口(M)が吸気する際には(図5C)、新鮮な空気が適切に前記第3逆止弁363及び口連通部382を通過して当該使用者に供給可能となる。また、前記使用者の鼻(N)が排気する際には(図5D)、汚れた空気が適切に前記第3逆止弁363を通過して前記鼻連通部381を経由し、前記排水部383に到達して排出可能となる。また、前記使用者の口(M)が排気する際には(図5D)、汚れた空気が適切に前記排水部383へと直接向かい、三方管380内(通常は、主に排水部383内に集中する)の溜水と一緒に排水弁384から排出可能となる。且つ、口から吐き出された汚れた空気及び溜水は、前記第3逆止弁363に阻まれるため、下室38内に逆噴射されることがない。
【0025】
可撓性部385の設計は上記に限らず、図6に示すように、長めに設計するとともに、プリーツ部486を有する独立した可撓性ジョイント485とすることで、三方管480の可動範囲を更に拡大可能となる。また、三方管の設計も上記に限らず、図7に示すように、三方管580内の排水部583の内部空間を拡大することで、マスク内に進入したより多くの溜水を蓄積可能としてもよい。この場合、排水部583は、下側に向かって排水及び排気する。
【0026】
本発明の第3実施例を拡張して、三方管の設計を図8A図8Dに示すような態様に変形してもよい。この場合、使用者が水中で排気する際に、排水及び排気時の気泡の方向を上方に向けることなく、使用者の顔部の両側に向けられるため、使用者が水中の景物を観賞する際の視線が妨げられない。
【0027】
図8A図8Dに示すように、呼吸を可能とするマスク60は、本体61及びシュノーケル62を含む。当該シュノーケル62と当該本体61の内部は流体が通過可能となっている。前記シュノーケル62は、吸気管621と、当該吸気管621に隣接する排気管622を含む。前記本体61は、メインフレーム63と、前記メインフレーム63内に嵌合するレンズ64と、一部が前記メインフレーム63及び前記レンズ64に嵌合し、使用者の顔部に適切に密着可能な防水密封スカート65、を含む。前記防水密封スカート65は、前記本体61の内部を上室67と下室68に分割するスペーサー66を有する。前記使用者が緊締装置(即ち、弾性ヘッドバンド。図示しない)を用いて前記呼吸を可能とするマスク60を装着した場合、前記スペーサー66は前記使用者の鼻に位置し、前記使用者の目は前記上室67内に収容され、前記使用者の鼻は前記下室68内に収容される。特徴として、前記本体61は、更に、前記吸気管621と前記下室68の間に形成される吸気通路であって、第1逆止弁661が設けられており、当該第1逆止弁661が、外部から進入した新鮮な空気を当該吸気通路を通じて前記下室68内に進入させることにのみ用いられる吸気通路と、前記排気管622と前記下室68の間に形成される排気通路であって、前記使用者が吐き出した汚れた空気を当該排気通路を通じて外部に排出することにのみ用いられる排気通路と、互いに流体を通過させる鼻連通部681、口連通部682及び排水部683を有し、前記鼻連通部681と前記下室68とを流体が通過し、前記使用者が前記呼吸を可能とするマスク60を装着するとき、当該使用者の口に前記口連通部682を適切にくわえさせることが可能な三方管680、を含む。そのほか、前記排水部683は下前方に向かって排水及び排気する。吸気通路は前記上室67及び前記第1逆止弁661により規定され、前記排気通路は第2逆止弁662及び排気トンネル69により規定される。前記排気トンネル69は、前記防水密封スカート65と前記レンズ64の周縁641により共同で形成される。
【0028】
上記の手段は、図5A図5Dの実施例とほぼ同じであるが、この拡張的な第3実施例では、三方管680の一部のみが変化している。具体的に、三方管680の排水部683は、鼻連通部681から下方に延伸するベース685を含む。当該ベース685は、第1接続部687と、当該第1接続部687と対向する第2接続部688を有する。前記第1接続部687は、適切に排水弁684を収容して内部に固定可能である。前記口連通部682は、前記第2接続部688及びマウスピース698により共同で規定される。前記排水部683は、遮断プレート690を更に含む。当該遮断プレート690、前記排水弁684及び前記第1接続部687により共同で前記排水部683が規定される。前記遮断プレート690は、前記鼻連通部から下方に延伸して、前記排水弁684に面している。且つ、前記遮断プレート690と前記排水弁684は、フック691で接続されて隙間692を形成している。前記使用者が排気する際には、汚れた空気又は溜水を前記隙間692経由で側方から排出可能である。より好ましくは、遮断プレート690の両側に、排水及び排気を補助して所望の方向に向かわせる導流羽根695を増設してもよい。これにより、気泡が直接上方に向かうのを阻止する効果がより良好となる。
【0029】
以下は、吸排気の流れについての更なる説明である。第1逆止弁661は前記スペーサー66上に設けられる。前記使用者の鼻(N)が吸気する際には(図8C)、新鮮な空気が適切に前記吸気管621から前記上室67を経由し、前記第1逆止弁661を通過して前記下室68に進入可能であり、これにより当該使用者の鼻に吸気させる。また、前記使用者の鼻(N)が排気する際には(図8D)、一部の汚れた空気が、排気トンネル69の入口に設けられた第2逆止弁662を適切に通過して当該排気トンネル69を経由し、前記排気管622に進入して排出可能となる。防水密封スカート65は、更に、前記スペーサー66とともに前記下室68を規定する鼻マスク部651を含む。当該鼻マスク部651は、突出領域652及び底部領域653を有する。当該底部領域653は、適切に前記使用者の鼻孔に対応可能である。前記鼻連通部681と前記下室68は、前記底部領域653を通じて流体を通過させる。
【0030】
より好ましくは、底部領域には第3逆止弁663が設けられており、流体が前記下室68から当該第3逆止弁663を通過して前記鼻連通部681に進入することのみを許容する。前記使用者の口(M)が吸気する際には(図8C)、新鮮な空気が適切に前記第3逆止弁663及び口連通部682を通過して当該使用者に供給可能となる。また、前記使用者の鼻(N)が排気する際には(図8D)、汚れた空気が適切に前記第3逆止弁663を通過して前記鼻連通部681を経由し、前記排水部683に到達して排出可能となる。また、前記使用者の口(M)が排気する際には(図8D)、汚れた空気が適切に前記排水部683へと直接向かい、三方管680内(通常は、主に排水部683内に集中する)の溜水と一緒に前記排水部683から排出可能となる。排水部683から排出された空気及び溜水は、いずれも、まず前記遮断プレート690と衝突したあと、両側の導流羽根695に沿って下方及び外側に向かって排出される。且つ、口から吐き出された汚れた空気及び溜水は、前記第3逆止弁663に阻まれるため、下室68内に逆噴射されることがない。
【0031】
この拡張的な第3実施例における鼻マスク部651の材料選択及び横断面形状の範囲は、いずれも上記いくつかの実施例と類似している。具体的に、鼻マスク部651は、硬質材料で製造され、ショアD(Shore D)硬度50~90を有する場合、ポリカーボネート(Polycarbonate,PC)、ポリプロピレン(Polypropylene,PP)、ポリエチレン(Polyethylene,PE)、ポリ塩化ビニル(Polyvinylchloride,PVC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(Acrylonitrile Butadiene Styrene,ABS)の材料又はそれらの組み合わせから選択される。また、鼻マスク部651が軟質材料で製造され、ショアA(Shore A)硬度30~95を有する場合、前記突出領域652は、前記メインフレーム63の後縁から前方へ次第に隆起して、単一の山頂を有する断面形状をなす。且つ、前記単一の山頂の断面形状は、最大高さ(Nh)が20~35mmの間である。或いは、突出領域652が前記メインフレーム63の後縁から前方へ隆起して当該メインフレーム63の下方の外縁を超える最大度合(Nt)は、5~20mmの間である。
【0032】
上記の好ましい実施例では、本発明の技術手段を実現する構造及び動作方式について詳細に記載したが、以下では、本発明の均等範囲をより明確とすべく、変換可能な様式について別途列挙する。ただし、依然として、これにより末尾の特許請求の範囲による主張を制限すべきではない。
【0033】
例えば、第1逆止弁、第2逆止弁、吸気通路、排気通路、排気トンネル、排気管といった上記各実施例における吸排気機構は、いずれもマスク内に対称に設置するのが最適な形態である。よって、一方のみを選択して説明しているのは便宜上の観点からであって、数を制限するとの意図ではない。
【0034】
前記シュノーケルは、水面上では先端部により外部と空気交換可能であるが、水面下では外部との空気交換が遮断される。例えば、ドライシュノーケルが最適な選択となるが、形式も位置も特に制限はしない。
【0035】
前記ヘッドバンドは、いずれも図2Aに示したものと類似しているが、形式は制限しない。また、説明の妨げとならないよう、本発明の図面にはいずれも表示していない。
【0036】
前記2つの第1逆止弁は、最適にはスペーサー上又はスペーサーの両側に対称に設けられる。また、第2逆止弁を装設するのは、吸排気をより完全に分流可能とすることで、使用者の呼吸時に排気通路内に累積された少量の汚れた空気が次の吸気循環中に清潔な空気と混ざり合わないようにすることが目的であるが、必須ではない。
【0037】
前記メインフレーム及びレンズは、使用者の目のみを覆うものに限らず、使用者の目と鼻を同時に覆う変形態様としてもよい。また、目のみを覆うレンズは、左右がつながった単一のレンズに限らず、左右それぞれが独立した2枚のレンズとしてもよい。
【0038】
前記第3逆止弁は、底部領域に設ける場合に限らず、鼻連通部の任意の位置に設けてもよく、鼻連通部の流体が下室に逆流するのを阻止可能な手段であればよい。また、第3逆止弁の装設は必須ではない。
【0039】
前記三方管、遮断プレートはどのような形式にも限定しない。
【0040】
前記第1、第2、第3逆止弁はどのような形式にも限定せず、マッシュルーム型(円形)、枢動型(多くが四角形である)、又は一方向にのみ流体を通過可能とするその他の弁装置のいずれであってもよい。
【0041】
防水密封スカートは、必ずしも一体的に成形しなくともよい。例えば、鼻マスク部の突出領域及び底部領域を分離部材としてもよいし、三方管及び鼻マスク部も分離部材としてもよく、組み立て後に相応の度合の防水性を備えていればよい。
【0042】
前記軟質材料で製造される鼻マスク部は、主に、使用者が鼻をつまんで耳抜きを行える(例えば、フレンツェルイコライジング)機能を追加するものである。
【符号の説明】
【0043】
1、5、10、20、30、60 マスク
2、4、12、22、32、62 シュノーケル
3 ヘッドバンド
6 トンネル
7 鼻バッグ
8、151、251、351、651 鼻マスク部
11、21、31、61 本体
121、221、321、621 吸気管
122、222、322、622 排気管
13、23、33、63 メインフレーム
14、24、34、64 レンズ
141、241、341、641 周縁
15、25、35、65 防水密封スカート
152、252、352、652 突出領域
153、253、353、653 底部領域
16、26、36、66 スペーサー
161、261、361、661 第1逆止弁
162、262、362、662 第2逆止弁
263、363、663 第3逆止弁
17、27、37、67 上室
18、28、38、68 下室
19、29、39、69 排気トンネル
280、381、681 鼻連通部
284、384、684 排水弁
291、391 入口
292 側壁
380、480、580、680 三方管
382、682 口連通部
383、583、683 排水部
385 可撓性部
485 可撓性ジョイント
486 プリーツ部
685 ベース
687 第1接続部
688 第2接続部
690 遮断プレート
691 フック
692 隙間
695 導流羽根
398、698 マウスピース
(N) 使用者の鼻(鼻孔)
(M) 使用者の口
(P) 水圧
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D