(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025140178
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20250919BHJP
【FI】
G03G21/00 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024039386
(22)【出願日】2024-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 泰尚
【テーマコード(参考)】
2H270
【Fターム(参考)】
2H270LA53
2H270LA54
2H270LA62
2H270LA70
2H270MC52
2H270MC53
2H270MF21
2H270MF22
2H270MF25
2H270MH03
2H270NB10
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】不要なイニシャライズ動作を低減する。
【解決手段】画像形成装置は、装置本体と、開閉部材と、第1位置と第1位置から退避した第2位置との間で移動可能な定着装置と、ユニットと、検知手段と、制御部と、を備える。制御部は、開閉部材が閉位置から開位置に移動されてから開閉部材が開位置から閉位置に移動されるまでの期間中に、定着装置の第1位置から第2位置への移動を検知手段が検知した場合、開閉部材が閉位置に移動されたことに基づいて、ユニットを画像形成動作に使用可能な状態とするための所定のイニシャライズ動作を実行し、上記期間中に定着装置の第1位置から第2位置への移動を検知手段が検知しない場合、開閉部材が閉位置に移動されたことに基づいて所定のイニシャライズ動作を実行しない。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する装置本体と、
前記開口部を閉鎖する閉位置と前記開口部を開放する開位置との間で移動可能な開閉部材と、
画像を記録材に定着させる時の位置である第1位置と、前記第1位置から退避した第2位置と、の間で移動可能な定着装置と、
記録材に画像を形成する画像形成動作に使用されるユニットであって、前記開閉部材が前記開位置にあり且つ前記定着装置が前記第2位置にある状態において、前記開口部を通じて前記装置本体に対して着脱されることが許容されるユニットと、
前記定着装置の前記第1位置から前記第2位置への移動を検知可能な検知手段と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記開閉部材が前記閉位置から前記開位置に移動されてから前記開閉部材が前記開位置から前記閉位置に移動されるまでの期間中に、前記定着装置の前記第1位置から前記第2位置への移動を前記検知手段が検知した場合、前記開閉部材が前記閉位置に移動されたことに基づいて、前記ユニットを前記画像形成動作に使用可能な状態とするための所定のイニシャライズ動作を実行し、
前記期間中に前記定着装置の前記第1位置から前記第2位置への移動を前記検知手段が検知しない場合、前記開閉部材が前記閉位置に移動されたことに基づいて前記所定のイニシャライズ動作を実行しない、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記定着装置の位置に応じた信号を出力するセンサを更に備え、
前記検知手段は、前記センサの前記信号に基づいて前記定着装置の前記第1位置から前記第2位置への移動を検知する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記装置本体に配置され、前記制御部と電気的に接続された第1コネクタと、
前記定着装置に配置され、前記定着装置が前記第1位置にある場合に前記第1コネクタと接続され、前記ユニットが前記第2位置にある場合に前記第1コネクタとの接続が外れる第2コネクタと、を更に備え、
前記検知手段は、前記第1コネクタと前記第2コネクタの接続が外れたことを検知するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記定着装置を前記第1位置から前記第2位置へ退避させる退避手段を更に備え、
前記退避手段は、前記開閉部材が前記開位置にある状態において、ユーザからの指示に基づいて前記定着装置を退避させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ユニットを支持する支持部材を更に備え、
前記支持部材は、前記ユニットが前記装置本体の内側に収容される内側位置と、前記支持部材に対する前記ユニットの着脱が許容されるように前記装置本体の外側に引き出された外側位置と、に移動可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記定着装置が前記第1位置にある場合、前記定着装置の少なくとも一部は、前記支持部材が前記内側位置から前記外側位置まで移動する移動空間の内側に位置し、
前記定着装置が前記第2位置にある場合、前記定着装置の全体は、前記移動空間の外側に位置する、
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記開閉部材が前記開位置から前記閉位置に移動されてから前記所定のイニシャライズ動作が実行されることなく前記画像形成装置が前記画像形成動作を開始可能になるまでの時間は、前記開閉部材が前記開位置から前記閉位置に移動されてから前記所定のイニシャライズ動作が実行され、前記画像形成装置が前記画像形成動作を開始可能になるまでの時間よりも短い、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記開閉部材の開閉を検知する開閉検知手段を更に備え、
前記制御部は、記憶部を有し、
前記制御部は、
前記開閉部材が前記開位置にあることを前記開閉検知手段が検知している状態において前記定着装置の前記第1位置から前記第2位置への移動を前記検知手段が検知した場合に、前記記憶部に前記ユニットが交換された可能性があることを示す情報を記憶させ、
前記開閉部材が前記開位置から前記閉位置に移動されたことを前記開閉検知手段が検知した場合に、前記記憶部における前記情報を参照して前記所定のイニシャライズ動作の実行を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ユニットは、感光ドラムと、前記感光ドラムを帯電させる帯電部材と、前記感光ドラムに現像剤を供給して現像を行う現像部材と、前記感光ドラムの表面に付着したトナーを除去するクリーニング部材と、を含む群から選択される少なくとも1つの部材を有するカートリッジである、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記カートリッジは、前記帯電部材を有し、
前記所定のイニシャライズ動作は、前記帯電部材をクリーニングする動作である、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記所定のイニシャライズ動作は、前記カートリッジの有無を検知する動作である、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記カートリッジは、前記感光ドラムを有し、
前記所定のイニシャライズ動作は、前記装置本体に配置された駆動源から前記感光ドラムへの駆動伝達を可能とするために前記装置本体のカップリングと前記カートリッジのカップリングとを係合させる動作である、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記ユニットは、感光ドラムから一次転写されたトナー像を記録材に二次転写するために担持する中間転写体を含む、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記所定のイニシャライズ動作は、前記中間転写体をクリーニングする動作、又は前記ユニットが新品であるか否かを検知する動作である、
ことを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記ユニットは、感光ドラム又は中間転写体から回収された廃トナーを収容する回収ユニットである、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記所定のイニシャライズ動作は、前記回収ユニットが新品であるか否かを検知する動作である、
ことを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像形成装置前面のカバーを開放してジャム処理を行うことや、支持部材を装置前面に引き出して現像剤カートリッジや現像装置の交換を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置の装置本体に対して着脱可能なユニットが交換された場合又は交換された可能性がある場合、ユニットを画像形成動作に使用可能な状態とするためのイニシャライズ動作が実行される。しかし、実際にはユニットが交換されていないのに、開閉部材が開閉される度にイニシャライズ動作を実行すると、画像形成動作を実行できない期間(ダウンタイム)が長くなり、或いは消耗品の消耗が早まるという不都合が生じ得る。
【0005】
そこで、本発明は、不要なイニシャライズ動作を低減可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、開口部を有する装置本体と、前記開口部を閉鎖する閉位置と前記開口部を開放する開位置との間で移動可能な開閉部材と、画像を記録材に定着させる時の位置である第1位置と、前記第1位置から退避した第2位置と、の間で移動可能な定着装置と、記録材に画像を形成する画像形成動作に使用されるユニットであって、前記開閉部材が前記開位置にあり且つ前記定着装置が前記第2位置にある状態において、前記開口部を通じて前記装置本体に対して着脱されることが許容されるユニットと、前記定着装置の前記第1位置から前記第2位置への移動を検知可能な検知手段と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記開閉部材が前記閉位置から前記開位置に移動されてから前記開閉部材が前記開位置から前記閉位置に移動されるまでの期間中に、前記定着装置の前記第1位置から前記第2位置への移動を前記検知手段が検知した場合、前記開閉部材が前記閉位置に移動されたことに基づいて、前記ユニットを前記画像形成動作に使用可能な状態とするための所定のイニシャライズ動作を実行し、前記期間中に前記定着装置の前記第1位置から前記第2位置への移動を前記検知手段が検知しない場合、前記開閉部材が前記閉位置に移動されたことに基づいて前記所定のイニシャライズ動作を実行しない、ことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、不要なイニシャライズ動作を低減可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】実施例1に係る画像形成装置のハードウェア構成。
【
図5】実施例1に係る画像形成装置の機能ブロック図。
【
図6】実施例1に係る画像形成装置におけるカートリッジ交換の説明図(a~c)。
【
図8】実施例2に係る画像形成装置の機能ブロック図。
【
図10】実施例2に係る制御を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
本開示において、「画像形成装置」は、記録材(記録媒体)に画像を形成する機能を備えた装置一般を指す。画像形成装置は、単機能プリンタ、複写機、又は複合機であってよい。画像形成装置は、主にカラー画像を形成する装置であってもよいし、主にモノクロ画像を形成する装置であってもよい。また、画像形成装置は、記録材に画像を形成する画像形成装置本体に、画像形成装置本体と一体に使用される付属機器が接続されたシステム(画像形成システム)であってもよい。付属機器の例は、画像を形成されたシートに綴じ処理等の処理を施すシート処理装置(フィニッシャ)や、画像形成装置本体から他の装置にシートを搬送する搬送装置、画像形成装置本体に向けてシートを給送する給送装置(オプションフィーダ)である。
【0011】
《実施例1》
本実施例に係る画像形成装置としてのプリンタ1について、
図1を用いて説明する。
図1は、プリンタ1の断面構成を示す概略図である。プリンタ1は、記録材としてのシートSに画像を形成する、電子写真方式のカラーレーザービームプリンタである。シートSとしては、普通紙及び厚紙等の紙、コート紙のような表面処理が施されたシート材、封筒やインデックス紙等の特殊形状のシート材、プラスチックフィルム、布等、サイズ及び材質の異なる多様なシート材を使用可能である。
【0012】
以下の説明及び図面において、プリンタ1が水平面に設置された時の鉛直方向を上下方向と呼び、上下の矢印Vで図示する。プリンタ1が水平面に設置された時の水平方向であって、プリンタ1が備える感光ドラム61の回転軸方向と直交する方向を、水平方向と呼び、左右の矢印Hで図示する。水平方向の一方側(ドア20が配置された側、
図1において右側)を「前」又は「前方」と呼び、水平方向の他方側を「後」又は「後方」と呼ぶ。
【0013】
プリンタ1は、装置本体1Aと、露光装置としてのスキャナ2と、開閉部材としてのドア20と、シート給送部30と、転写ユニット40と、カートリッジトレイユニット50と、定着装置80と、を有する。
【0014】
本実施例において、装置本体1Aは、プリンタ1からドア20、スキャナ2、シート給送部30、転写ユニット40、カートリッジトレイユニット50、及び定着装置80を除いた部分を指す。装置本体1Aは、プリンタ1の枠体を構成するフレーム部材(金属フレーム)と、プリンタ1の外装面を形成するカバー部材と、を含む筐体である。装置本体1Aは、スキャナ2、シート給送部30、転写ユニット40、カートリッジトレイユニット50、定着装置80を収容する。
【0015】
ドア20は、装置本体1Aに対して開閉可能に設けられたか開閉部材である。装置本体1Aには、開口1A1(開口部)が設けられている。ドア20は、開口1A1を閉鎖する閉位置と、開口1A1を開放する開位置と、の間で移動可能である。ドア20が閉位置にあるとき、ドア20の外側面は、装置本体1Aの外面と共にプリンタ1の外装面を形成する。ドア20は、略直方体状であるプリンタ1の前側の外装面を形成する。
【0016】
装置本体1Aには、ドア20の開閉を検知するためのドアセンサ91が配置されている。ドアセンサ91は、ドア20が閉位置にある状態とドア20が開位置にある状態とで、ドアセンサ91の出力信号が異なるように構成される。
【0017】
シート給送部30は、シートSが積載される積載トレイ31(シート収納部、カセット)と、給送部材としての給送ローラ32と、給送ローラ32との間に分離ニップを形成する分離ローラと、を有する。積載トレイ31は、装置本体1Aから前方に引き出し可能である。ユーザは、積載トレイ31を装置本体1Aから引き出した状態で、積載トレイ31にシートSを補充することが可能である。積載トレイ31の引き出しは、ドア20が閉じたままで行ってよい。
【0018】
カートリッジトレイユニット50は、トレイ51と、カートリッジPY、PM、PC、PKとを有する。トレイ51は、カートリッジPY~PKを支持する支持部材である。また、トレイ51は、装置本体1Aに対して引き出し可能に挿入されるドロワユニットである。
【0019】
カートリッジPY、PM、PC、PKは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のトナー(現像剤)を収容する。カートリッジPY、PM、PC、PKは、収容するトナーの色が異なること以外は同じ構成である。そのため、カートリッジPY、PM、PC、PKのいずれか一つについて構成及び動作を説明し、その他については説明を省略する場合がある。また、カートリッジPY、PM、PC、PKを区別する必要がないときに、カートリッジPY、PM、PC、PKの任意の1つを、単にカートリッジPと呼ぶ場合がある。
【0020】
カートリッジトレイユニット50は、像担持体としての4つの感光ドラム61、帯電部材としての4つの帯電ローラ62、現像剤担持体又は現像部材としての4つの現像ローラ71を有する。カートリッジトレイユニット50は、クリーニング部材としての4つのクリーニングブレードを有する。感光ドラム61の回転軸線方向、現像ローラ71の回転軸線方向、帯電ローラ62の回転軸線方向は、平行である。
【0021】
感光ドラム61、帯電ローラ62、現像ローラ71、クリーニング部材は、カートリッジPかトレイ51のいずれかに備えられていればよい。つまり、感光ドラム61と、帯電ローラ62(帯電部材)と、現像ローラ71(現像部材)と、クリーニング部材と、を含む群から選択される少なくとも1つの部材を有するカートリッジPは、本開示における「ユニット」の例である。本実施例においては、カートリッジPY、PM、PC、PKの各々が、1つの感光ドラム61、1つの帯電ローラ62、1つの現像ローラ71、及び1つのクリーニング部材を有する。
【0022】
転写ユニット40は、中間転写体としての転写ベルト41と、4本の一次転写ローラ42と、清掃部43と、転写ベルト41を駆動する駆動ローラ46と、テンションローラ(被駆動ローラ)47とを有する。また、本実施例におけるプリンタ1は、転写ベルト41に転写されたトナー像を検知する光学センサ44を備える。本実施例において、転写ベルト41は4つの感光ドラム61の下方に配置され、感光ドラム61との間に一次転写部が形成されるように感光ドラム61に当接する。
【0023】
また、プリンタ1は、二次転写部が形成されるように転写ベルト41に当接する二次転写ローラ45を有する。一次転写ローラ42の回転軸線方向、駆動ローラ46の回転軸線方向、テンションローラ47の回転軸線方向、二次転写ローラ45の回転軸線方向は平行である。二次転写部の手前(シート搬送方向において上流側)には、レジストレーションローラ対4が配置されている。
【0024】
定着装置80は、定着部81と、反転部5と、を有する。定着部81は、シートSを挟持して搬送する回転体対と、シートS上のトナー像を加熱するための加熱部と、を有する。本実施例において、回転体対は、加熱ローラ(定着ローラ)と加圧ローラからなるローラ対であり、加熱部は加熱ローラを加熱するハロゲンランプである。回転体対を構成する回転体としては、筒状のフィルムや、複数のローラに張架された無端状のベルトを用いてもよい。また、加熱部は、セラミック製の基板上に発熱体のパターンが印刷されたヒータ基板や、誘導加熱により加熱ローラ内又はフィルム内の導電層を発熱させるためのコイルユニットであってもよい。反転部5は、両面印刷を行うためにシートSの反転搬送を行う反転ローラ対と、定着部81を通過したシートSを排出ローラ対又は反転ローラ対に案内するガイド部と、を含む。
【0025】
(カートリッジトレイユニットと定着装置の関係)
次に、本実施例におけるカートリッジトレイユニット50の移動について
図1を用いて説明する。カートリッジトレイユニット50は、装置本体1Aの内部から外部に向かって移動可能である。装置本体1Aは、開口1A1が備えられた第1端部1b1(前端)と、第1端部1b1と反対の第2端部1b2(後端)と、を有する。カートリッジトレイユニット50は、開口1A1を通じて、装置本体1Aの内側に収容される内側位置と、装置本体1Aの外側に突出する外側位置と、に移動可能である。内側位置は、プリンタ1が画像形成動作を実行する時のカートリッジトレイユニット50の位置である。外側位置は、トレイ51に対するカートリッジPの着脱が許容されるカートリッジトレイユニット50の位置である。本実施例のカートリッジトレイユニット50は、水平方向(H)について、プリンタ1の前方側に向かって取り出し可能、且つプリンタ1の後方側に向かって取り付け可能である。
【0026】
カートリッジトレイユニット50が内側位置から外側位置に移動する方向を、トレイ取り出し方向Dd1と呼び、トレイ取り出し方向Dd1の反対方向を、トレイ取り付け方向Da1と呼ぶ。トレイ取り出し方向Dd1は、第2端部1b2から第1端部1b1に向かう方向ということができる。水平方向において、装置本体1Aの一端側(第1端部1b1が配置された側)に定着装置80が配置される。
【0027】
また、転写ユニット40は、装置本体1Aの内部から外部に向かって移動可能である。転写ユニット40は、開口1A1を通じて、装置本体1Aの内側に収容される内側位置と、装置本体1Aの外側に突出する外側位置と、に移動可能である。内側位置は、プリンタ1が画像形成動作を実行する時の転写ユニット40の位置である。転写ユニット40が内側位置から外側位置に移動する方向を、転写取り出し方向Dd2と呼び、転写取り出し方向Dd2の反対方向を、転写取り付け方向Da2と呼ぶ。転写取り出し方向Dd2は、第2端部1b2から第1端部1b1に向かう方向ということができる。
【0028】
(画像形成動作)
次に、本実施例におけるプリンタ1の画像形成動作について
図1を用いて説明する。画像形成動作は、プリンタ1がシートSを1枚ずつ搬送しながらシートS上に画像を形成する一連の動作である。
【0029】
プリンタ1は、ビデオコントローラ204及びエンジンコントローラ203を有する(
図4)。ビデオコントローラ204は、外部のホスト装置から受け取った画像情報に基づいて、エンジンコントローラ203に画像形成動作の実行を指示する。ホスト装置は、例えばパーソナルコンピュータ、イメージリーダ、ファクシミリである。エンジンコントローラ203は、トナー像の作成やシートSの搬送に関与する各種ユニットを制御して画像形成動作を実行する。
【0030】
画像形成動作では、各感光ドラム61及び転写ベルト41が回転駆動される。帯電ローラ62は、帯電電圧を印加され、対応する感光ドラム61の表面を一様に帯電させる。スキャナ2は、画像情報に対応したレーザ光を各感光ドラム61に照射し、各感光ドラム61の表面を露光する。これにより、各感光ドラム61の表面に、画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0031】
現像ローラ71はトナーを担持して対応する感光ドラム61に供給する。現像ローラ71には現像電圧が印加され、対応する感光ドラム61に形成された静電潜像が現像ローラ71から供給されたトナーによって現像される。これにより、各感光ドラム61の表面にトナー像が形成される。本実施例では、現像ローラ71が対応する感光ドラム61に当接した状態で現像が行われる接触現像方式を用いるが、現像ローラ71と対応する感光ドラム61の間に隙間がある状態で現像が行われるジャンピング現像方式を用いてもよい。
【0032】
フルカラー画像が形成されるとき、それぞれの感光ドラム61に、各色のトナー像が形成される。それぞれの感光ドラム61に形成された各色のトナー像は、対応する一次転写ローラ42により転写ベルト41上に転写され、転写ベルト41と二次転写ローラ45との間に形成される二次転写部に向けて搬送される。転写ベルト41に転写されなかったトナーは、クリーニング部材によって感光ドラム61から取り除かれる。
【0033】
一方、シート給送部30において、積載トレイ31に積載されているシートSの束から給送ローラ32及び分離ローラにより1枚のシートSが給送され、二次転写部に向けて搬送される。二次転写部において、転写ベルト41からシートSにトナー像が転写(二次転写)される。シートSに転写されなかったトナーは、清掃部43内に設けられたクリーニング部材としてのクリーニングブレード43Aによって転写ベルト41から取り除かれる。
【0034】
二次転写部においてトナー像が転写されたシートSは、定着装置80に搬送される。定着部81は、回転体対のニップ部(定着ニップ)でシートSを挟持して搬送しながら、シートS上のトナー像を加熱及び加圧してシートSに定着させる。定着ニップを抜けたシートSは、反転部5の排出ローラ対によって、装置本体1Aの上面に設けられた排出トレイ10に排出される。
【0035】
シートSの両面に画像を形成する両面印刷の場合、第1面に画像が形成された状態で定着ニップを抜けたシートSは、反転部5の反転ローラ対に案内される。更に、シートSは反転ローラ対によってスイッチバックされ、ドア20の内部に形成された両面搬送路を経由して再び二次転写部に向けて搬送される。そして、二次転写部及び転写ニップを2回目に通過する間にシートSの第2面に画像が形成された後、シートSは排出ローラ対によって排出トレイ10に排出される。
【0036】
(イニシャライズ動作)
次に、本実施例におけるプリンタ1のイニシャライズ動作について説明する。イニシャライズ動作とは、プリンタ1を、画像形成動作を実行可能な状態(初期状態、スタンバイ状態)にする動作である。イニシャライズ動作は、装置本体1Aに取り付けられたドア20が開位置から閉位置に移動された時に実行される。本実施例では、ジャム処理時や、装置本体1Aに対して着脱可能なユニット・消耗品であるカートリッジP、定着装置80又は転写ユニット40を交換する際に、開放状態のドア20が閉じられたことに基づいてイニシャライズ動作が実行される。ただし、後述するように、イニシャライズ動作において実行する動作の内容は、カートリッジ交換の有無等の条件によって異なる場合がある。
【0037】
(カートリッジトレイユニットと定着装置の関係)
次に、本実施例におけるカートリッジトレイユニット50、定着装置80の位置関係について
図2を用いて説明する。
図2は、
図1にカートリッジトレイユニット50及び転写ユニット40の移動空間を併記したものである。
【0038】
カートリッジトレイユニット50は、内側位置から外側位置に移動する際、所定の空間を通過する。この所定の空間を、カートリッジトレイユニット50の移動空間又は移動軌跡と呼ぶ。また、転写ユニット40が内側位置から外側位置に移動する際に通過する空間を、転写ユニット40の移動空間又は移動軌跡と呼ぶ。
【0039】
また、
図3に示すように、定着装置80は、使用位置(第1位置)と退避位置(第2位置)との間で装置本体1Aに対して移動可能である。
図3は、
図2に定着装置80の移動空間を併記し、且つドア20が開位置にある状態を図示したものである。使用位置は、プリンタ1が画像形成動作を実行する時、つまり定着装置80が画像を記録材に定着させる定着動作を行う時の定着装置80の位置である。退避位置は、定着装置80が使用位置から上方に退避した位置である。
【0040】
図2に示すように、定着装置80の使用位置は、カートリッジトレイユニット50の移動空間とオーバーラップしている。つまり、定着装置80が使用位置にある場合、定着装置80の少なくとも一部は、カートリッジトレイユニット50の移動空間の内側にある。このため、定着装置80が使用位置にある状態では、カートリッジトレイユニット50の内側位置から外側位置への移動が妨げられる。つまり、定着装置80が使用位置にある状態において、装置本体1Aに対するカートリッジPの着脱ができない。
【0041】
定着装置80が退避位置にある場合、定着装置80の全体がカートリッジトレイユニット50の移動空間の外側にある。このため、定着装置80が使用位置にある状態では、カートリッジトレイユニット50の内側位置から外側位置への移動が許容される。つまり、ドア20が開位置にあり且つ定着装置80が退避位置(第2位置)にある状態において、装置本体1Aに対するカートリッジP(ユニット)の着脱が許容される。
【0042】
定着装置80は、定着部81を支持する定着枠体80aを有する。定着装置80が使用位置から退避位置へ移動する際、定着枠体80aは、定着部81を支持した状態で、装置本体1Aに対して変位する。また、定着枠体80aは、定着装置80の外形面を形成しており、定着装置80が使用位置と退避位置との間で移動する時の移動空間は、定着枠体80aの移動軌跡と概ね同じである。
【0043】
(定着装置の退避機構)
次に、本実施例における定着装置80の退避機構について
図3を用いて説明する。カートリッジトレイユニット50を装置本体1Aの外側に引き出すには、まず、
図3に示すようにドア20を開位置に移動する。次に、定着装置80をカートリッジトレイユニット50の移動空間の外側の退避位置に移動する。
【0044】
プリンタ1は、装置本体1Aに対して移動可能に連結された連結部材85(定着連結部材、定着リンク)を有する。定着装置80は、連結部材85を介して装置本体1Aに連結されている。連結部材85は、回転中心85Aを中心に回転可能である。カートリッジトレイユニット50を装置本体1Aの外側に引き出す際には、連結部材85はカートリッジトレイユニット50の移動空間の外側に移動される。定着装置80は、連結部材85に支持された状態で、カートリッジトレイユニット50の移動に伴って、使用位置から退避位置に移動可能、また退避位置から使用位置に移動可能である。
【0045】
本実施例において定着装置80の退避位置への移動は、操作部としての操作レバー92のユーザ操作により開始される。操作レバー92の操作によりユーザからの指示を受けた場合、後述の退避手段300(
図5)が連結部材85を回転させ、定着装置80を使用位置から退避位置に移動させ、又は、退避位置から使用位置に移動させる。操作レバー92及び退避手段300は、装置本体1Aに配置される。退避手段300は、例えば連結部材85と接続されたモータを駆動して連結部材85を回転させることにより、定着装置80を移動させる。このモータは、定着装置80を移動させるためのアクチュエータ(駆動部)として機能する。
【0046】
なお、退避機構が定着装置80を移動させるトリガーは、操作レバー92のユーザ操作に限らない。例えば、ユーザによる操作表示部205のボタン操作に応じて退避機構が定着装置80を移動させてもよい。また、制御部1Cと通信可能に接続された外部のホスト装置における操作画面(ドライバ画面)に対するユーザ操作を、制御部1Cがホスト装置から受信した場合に、退避機構が定着装置80を移動させてもよい。
【0047】
また、定着装置80の退避機構の機械的構成は、上述のものに限らない。例えば定着装置80を上下にスライド可能なスライド部材に取り付け、スライド部材のラック部に噛み合うピニオンギアをモータで回転駆動する退避機構を用いてもよい。また、定着装置80が装置本体1Aのレールに沿って所定方向にスライド移動可能な態様で支持され、ユーザが手動で定着装置80を所定方向に移動させる構成としてもよい。
【0048】
本実施例における定着装置80の位置は、装置本体1Aに設けられた退避センサ90によって検知される。退避センサ90は、定着装置80が使用位置にある状態と退避位置にある状態とで出力信号が異なるように構成される。つまり、退避センサ90は、定着装置80の位置に応じた信号を出力するセンサである。
【0049】
以上説明したように、本実施例では、定着装置80を使用位置から退避位置に退避させた状態で、カートリッジトレイユニット50の取り出し及びカートリッジPの交換が行われる。
【0050】
なお、本実施例では、転写ユニット40の移動軌跡は、使用位置にある定着装置80とオーバーラップしない。しかし、定着装置80を使用位置から退避位置に退避させた状態で、転写ユニット40の取り出し及び転写ユニット40の交換又はメンテナンスが行われてよい。また、転写ユニット40の移動軌跡は、使用位置にある定着装置80とオーバーラップする構成としてもよい。
【0051】
また、定着装置80が退避位置にある状態、即ち装置本体1Aに装着されたままの状態でカートリッジPの交換等が行われる構成に代えて、定着装置80が装置本体1Aから取り外された状態でカートリッジPの交換等が行われてもよい。
【0052】
(ハードウェア構成)
次に本実施例におけるハードウェア構成について
図4を用いて説明する。プリンタ1は、操作表示部205と、ビデオコントローラ204と、エンジンコントローラ203と、を含む制御部1Cを備える。制御部1Cは、画像形成装置の動作を制御する制御手段(制御回路)として機能する。
【0053】
ビデオコントローラ204は、エンジンコントローラ203から受信したプリンタ1の状態を操作表示部205に送信する。操作表示部205は、液晶パネル等の表示部と、物理ボタン又は液晶パネルのタッチパネル機能等の入力部と、を含む。操作表示部205は、ビデオコントローラ204から受信したプリンタ1の状態に基づいて、表示部の表示内容を切り替える。また、ビデオコントローラ204は、外部のホスト装置から受信した画像情報やプリント指示をエンジンコントローラ203に送信する。
【0054】
エンジンコントローラ203は、CPU207とROM208とRAM209とを有する。CPU207は、プログラム及び各種データをROM208にロードし、RAM209を作業領域としてプログラムを実行する。ROM208は、コンピュータで読み取り可能な非一過性記憶媒体の例である。RAM209は、プリンタ1の制御に用いられる情報(例えば、後述する退避履歴情報又は接続解除履歴情報)を記憶する記憶部の例である。
【0055】
上述した要素(203、204、205)は、双方向にアクセス可能なシステムバス210を介して互いに接続されると共に、I/Oポート211へアクセス可能である。各I/Oポート211には、不図示のアクチュエータが接続されており、I/Oポート211を介して画像形成動作やイニシャライズ動作を実現する各アクチュエータを制御する。アクチュエータには、感光ドラム61や転写ベルト41を回転駆動するためのモータや、給送ローラ32を回転駆動するためのモータが含まれる。
【0056】
また、各I/Oポート211には、ドアセンサ91や退避センサ90も接続されている。CPU207は、I/Oポートを介してドア20の開閉状態(開位置と閉位置)や定着装置80の位置(使用位置と退避位置)を検知することができる。ドアセンサ91及び退避センサ90は、例えば、検知対象(ドア20と定着装置80)との接触を検知する接触式スイッチであってもよく、又は、発光素子及び受光素子を有し検知対象の一部を光学的に検知する光学センサであってもよい。
【0057】
(機能ブロック)
次に、本実施例における制御部1Cを機能達成手段毎にブロック分けすると、
図5のようになる。制御部1Cは、退避手段300と、開閉検知手段301と、退避検知手段302と、イニシャライズ制御部303と、を含む。
【0058】
退避手段300は、操作レバー92のユーザ操作に応じて定着装置80を使用位置から退避位置に移動させ、また定着装置80を退避位置から使用位置へ移動させる。開閉検知手段301は、装置本体1Aのドア20が開位置と閉位置のいずれにあるかを、ドアセンサ91の検知信号に基づいて検知する。退避検知手段302は、退避手段300によって移動させる定着装置80が使用位置と退避位置のいずれにあるかを、退避センサ90の検知信号に基づいて検知する。退避検知手段302は、定着装置80の使用位置(第1位置)から退避位置(第2位置)への移動を検知可能な検知手段の例である。
【0059】
イニシャライズ制御部303は、イニシャライズ動作決定手段(以下、動作決定手段304と呼ぶ)と、イニシャライズ動作実行手段(以下、動作実行手段305と呼ぶ)と、を有する。
【0060】
動作決定手段304は、開閉検知手段301からのドア開閉情報と退避検知手段302からの定着装置80の位置情報に基づいて、実行すべきイニシャライズ動作の内容を決定する。動作実行手段305は、動作決定手段304が決定したイニシャライズ動作の内容に基づいて、イニシャライズ動作を実行する。本実施例の動作実行手段305は、例えばカートリッジPの交換が行われた場合に、帯電クリーニング動作、カートリッジ有無検知動作、及びカップリング係合動作を含むイニシャライズ動作を実行する。
【0061】
以下、帯電クリーニング動作、カートリッジ有無検知動作、及びカップリング係合動作を含むイニシャライズ動作を、「カートリッジ交換に伴うイニシャライズ動作」と呼ぶ。帯電クリーニング動作、カートリッジ有無検知動作、及びカップリング係合動作のそれぞれは、「ユニット」の例であるカートリッジPが交換された可能性がある場合に行われる
所定のイニシャライズ動作の例である。
【0062】
イニシャライズ制御部303は、「カートリッジ交換に伴うイニシャライズ動作」以外のイニシャライズ動作を実行可能であってよい。例えば、ドア20が開いている期間中にジャム処理が行われたことを検知した場合、イニシャライズ動作として、転写ベルト41を回転駆動することで転写ベルト41上に付着している可能性のある異物を清掃部43に除去させる動作を行ってもよい。
【0063】
帯電クリーニング手段306は、帯電ローラ62をクリーニングする帯電クリーニング動作を実行する。帯電クリーニング動作では、帯電ローラ62への電圧印加と停止を交互に繰り返して、カートリッジ交換の際に飛散して帯電ローラ62に付着した可能性のあるトナーをクリーニングする。具体的には、感光ドラム61及び帯電ローラ62を回転駆動させている状態で、帯電ローラ62に電圧印加と停止を交互に繰り返すことで、帯電ローラ62に付着している可能性のあるトナーを感光ドラム61に移行させる。本実施例では、500msの電圧印加と500msの電圧停止を1セットの動作として、1回の帯電クリーニング動作において10セットの動作を繰り返す。
【0064】
なお、帯電クリーニング動作の方法はこれに限定されない。例えば、帯電ローラ62をクリーニングするための清掃部材を設置しても良い。この場合、帯電クリーニング動作は、帯電ローラ62を所定期間に亘って回転駆動する動作であってよい。
【0065】
カートリッジ有無検知手段307は、カートリッジPY、PM、PC、PKの有無を検知するカートリッジ有無検知動作を実行する。カートリッジ有無検知動作では、カートリッジPY、PM、PC、PKを用いて転写ベルト41上に形成させたトナーパターン(パッチ画像)を光学センサ44で検知することで、各カートリッジの有無を検知する。
【0066】
カートリッジ有無検知動作の方法はこれに限定されない。例えば、カートリッジPにメモリを装着し、制御部1Cがメモリから情報を読み取ることでカートリッジPの有無を判断しても良い。
【0067】
カップリング係合手段308は、カートリッジPに設けられたカップリングと、装置本体1Aに設けられたカップリングと、を係合させるカップリング係合動作を実行する。カップリング同士の係合により、装置本体1A内のモータ(駆動源)から感光ドラム61への駆動伝達が可能となる。具体的には、モータにより感光ドラム61を300msの正転駆動→300msの逆転駆動→300msの正転駆動の順で駆動する。これにより、カートリッジ側のカップリングと装置本体側のカップリングとが所定の相対回転角において係合可能なる構成(例えばドッグクラッチ)において、カップリング同士が係合される。
【0068】
(カートリッジ交換の手順)
次に、本実施例におけるカートリッジ交換の手順について
図6(a)~(c)を用いて説明する。
図6(a)は、ドア20が開かれた状態のプリンタ1の断面図である。
図6(b)は、
図6(a)の状態から定着装置80が使用位置から退避位置に退避した状態のプリンタ1の断面図である。
図6(c)は、
図6(b)の状態からカートリッジトレイユニットを引き出した状態のプリンタ1の断面図である。
【0069】
カートリッジPの交換を行う場合、まず、ユーザは
図6(a)に示すようにドア20を閉位置から開位置に移動させる。開閉検知手段301はドア20が閉位置から開位置に移動したことをドアセンサ91の信号に基づいて検知する。
【0070】
次に、ユーザが操作レバー92を操作すると、
図6(b)に示すように退避手段300は定着装置80を使用位置から退避位置へ移動させる。退避検知手段302は、定着装置80が使用位置から退避位置に移動したことを退避センサ90の信号に基づいて検知する。
【0071】
次に、
図6(c)に示すようにユーザはカートリッジトレイユニット50を装置本体1Aの内側位置から外側位置に引き出す。ユーザは、カートリッジトレイユニット50の任意のカートリッジPを交換する。カートリッジPの交換が終わると、ユーザはカートリッジトレイユニット50を外側位置から内側位置に押し戻す(
図6(b))。
【0072】
カートリッジトレイユニット50を押し戻した後、ユーザは操作レバー92を操作する。退避手段300は定着装置80を退避位置から使用位置へ移動させる(
図6(a))。退避検知手段302は、定着装置80が退避位置から使用位置に移動したことを退避センサ90の信号に基づいて検知する。
【0073】
最後に、ユーザはドア20を開位置から閉位置に移動させる。開閉検知手段301はドア20が開位置から閉位置に移動したことをドアセンサ91の信号に基づいて検知する。以上により、カートリッジPの交換作業が完了する。
【0074】
(カートリッジ交換に伴うイニシャライズ動作)
ドア20の開閉が行われた場合において1つ以上のカートリッジPが交換された可能性があるとき、制御部1Cはプリンタ1を画像形成可能な状態にするために、カートリッジ交換に伴うイニシャライズ動作を実行する。
【0075】
本実施例では、ドア20の開閉が検知され且つドア20が開いている期間中に定着装置80の退避位置への移動が検知された場合に、動作決定手段304は1つ以上のカートリッジPが交換された可能性があると判断する。この場合、動作決定手段は、上記の期間中に定着装置80の退避があったことを表す情報をRAM207に記憶させる。
【0076】
以下、ドア20が開いている期間中に定着装置80の退避位置への移動があったか否かに関する情報を「退避履歴情報」と呼ぶ。定着装置80の退避位置への移動があったことを表す退避履歴情報を、退避履歴「有」とする。定着装置80の退避位置への移動がなかったことを表す退避履歴情報を、退避履歴「無」とする。
【0077】
動作実行手段305は、ドア20が開位置から閉位置に移動されたことに基づいて、退避履歴情報に応じて予め決定されるイニシャライズ動作を実行する。具体的に、本実施例の動作実行手段305は、退避履歴「有」の場合に、カートリッジ交換に伴うイニシャライズ動作を実行する。一方、本実施例の動作実行手段305は、退避履歴「無」の場合に、カートリッジ交換に伴うイニシャライズ動作を実行しない。この場合、動作実行手段305は、予め設定された他のイニシャライズ動作を実行してもよい。
【0078】
(制御フロー)
次に、本実施例におけるイニシャライズ動作の制御フローについて
図7を用いて説明する。
図7に示すフローチャートは、画像形成動作が完了すると開始される。つまり、本フローは、プリンタ1の主電源が投入され且つプリンタ1が画像形成動作を実行していない期間中(非画像形成時)は継続的に実行される。本フローの各ステップは、制御部1Cのいずれかの機能ブロックによって実行される。
【0079】
動作決定手段304は、開閉検知手段301及び退避検知手段302の検知結果に基づいて、ドア20の開放中における定着装置80の退避の有無を監視する(S1~S3)。即ち、開閉検知手段301は、装置本体1Aのドア20が開位置にあるか否かをドアセンサ91の信号に基づいて検知する(S1)。退避検知手段302は、定着装置80を使用位置から退避位置に移動したか否かを退避センサ90の信号に基づいて検知する(S2)。
【0080】
動作決定手段304は、開閉検知手段301がドア20の開放を検知している状態で退避検知手段302が定着装置80の退避位置への移動を検知した場合(S1Yes→S2Yes)、カートリッジPが交換された可能性があると判断する。この場合、動作決定手段304は、退避履歴情報として退避履歴「有」をRAM209に記憶させる(S3)。言い換えると、制御部1Cは、開閉部材が開位置にあることを開閉検知手段が検知している状態において定着装置の第1位置から第2位置への移動を検知手段が検知した場合に、記憶部にユニットが交換された可能性があることを示す情報を記憶させる。なお、ドア20が開かれた時点では、退避履歴情報は初期値である退避履歴「無」であるものとする。
【0081】
動作実行手段305は、ドア20が閉じられたことに基づいて、動作決定手段304が決定した退避履歴情報に応じて、カートリッジ交換に伴うイニシャライズ動作を実行し、又は実行しない(S4~S8)。即ち、開閉検知手段301は、ドア20が開位置から閉位置に移動されたことをドアセンサ91の信号に基づいて検知する(S4)。
【0082】
ドア20が閉位置に移動された場合、動作実行手段305はRAM209にアクセスして退避履歴情報を確認する(S5)。退避履歴「有」の場合、動作実行手段305は、カートリッジ交換に伴うイニシャライズ動作を実行する(S6)。言い換えると、制御部1Cは、開閉部材が開位置から閉位置に移動されたことを開閉検知手段が検知した場合に、記憶部における情報(退避履歴情報)を参照して所定のイニシャライズ動作の実行を決定する。退避履歴「無」の場合、動作実行手段305は、カートリッジ交換に伴うイニシャライズ動作を実行しない(S7)。ドア20が閉じられてからカートリッジ交換に伴うイニシャライズ動作が実行されずにプリンタ1が画像形成動作を開始可能となるまでの時間は、ドア20が閉じられてからカートリッジ交換に伴うイニシャライズ動作が実行され、プリンタ1が画像形成動作を開始可能となるまでの時間よりも短い。
【0083】
カートリッジ交換に伴うイニシャライズ動作の有無に関わらず、ドア20が閉じられた後に、動作決定手段304は退避履歴情報をクリアする(S8)。つまり、退避履歴情報は、退避履歴「無」に初期化される。なお、ドア20の開位置から閉位置への移動が検知されていない場合(S4No)、退避履歴情報をクリアすることなく、最初に戻って上記の処理が継続される。
【0084】
このように、本実施例の制御部1Cは、ドア20が開放されている期間中に定着装置80の退避位置への移動が検知された場合に、ドア20の閉鎖に基づいてカートリッジ交換に伴うイニシャライズ動作を実行する。一方、制御部1Cは、ドア20が開放されている期間中に定着装置80の退避位置への移動が検知されなかった場合に、ドア20の閉鎖に基づいてカートリッジ交換に伴うイニシャライズ動作を実行しない。言い換えると、本実施例の制御部は、開閉部材が閉位置から開位置に移動されてから開閉部材が開位置から閉位置に移動されるまでの期間中に、定着装置の第1位置から第2位置への移動を検知手段が検知した場合、開閉部材が閉位置に移動されたことに基づいて、ユニットを画像形成動作に使用可能な状態とするための所定のイニシャライズ動作を実行する。一方、本実施例の制御部は、上記の期間中に定着装置の第1位置から第2位置への移動を検知手段が検知しない場合、開閉部材が閉位置に移動されたことに基づいて所定のイニシャライズ動作を実行しない。
【0085】
ドア20が開放されている期間中に定着装置80の退避位置への移動が検知されなかった場合は、カートリッジPの交換が行われなかった可能性が高い。したがって、この場合にはドア20の閉鎖に基づいてカートリッジ交換に伴うイニシャライズ動作を実行しないことで、本来は必要のないイニシャライズ動作が実行されるケースを抑制することができる。そして、ドア20を閉じてからプリンタ1が画像形成動作を開始可能となるまでの期間(ダウンタイム)が不要なイニシャライズ動作の実行によって長くなることを抑制することができる。
【0086】
また、カートリッジPは、内部に収容するトナーがトナー像の作成によって消耗する消耗品であり、カートリッジ交換に伴うイニシャライズ動作ではカートリッジ有無検知動作でトナーパターンを作成するためにトナーが消費される。また、カートリッジP、定着装置80及び転写ユニット40は、例えば感光ドラム61、転写ベルト41又は加熱ローラの累積回転量を基準とした寿命が設定されている場合があり、不要なイニシャライズ動作によって累積回転量が徒に増える場合がある。本実施例によれば、不要なイニシャライズ動作の実行によって消耗品の消耗が早まることを抑制できる。
【0087】
このように、本実施例によれば、不要なイニシャライズ動作を低減可能な画像形成装置を提供することができる。
【0088】
《実施例2》
実施例1では、定着装置80の移動を検知する退避センサ90の検知結果に基づいてイニシャライズ動作の実行可否を決定する例について説明した。実施例2では、より安価な構成で定着装置80の使用位置から退避位置への移動を検出する例について説明する。以下、実施例1と共通の参照符号を付した要素は、特に説明しない場合は実施例1で説明したものと基本的に同じ構成及び作用を有するものとし、実施例1と異なる部分を主に説明する。
【0089】
(機能ブロック)
次に、実施例2における制御部1Cの機能ブロックについて
図8を用いて説明する。制御部1Cは、退避手段300と、開閉検知手段301と、挿抜検知手段309と、イニシャライズ制御部303と、を有する。
【0090】
プリンタ1は、挿抜検知システム310を有する。挿抜検知システム310は、定着装置80と、定着装置80に電力を供給する電源装置320と、電源装置320と接続された本体側コネクタ102と、定着装置80に設けられた定着側コネクタ107と、制御部1Cの挿抜検知手段309と、を含む。挿抜検知システム310の詳細は後述する。
【0091】
本体側コネクタ102と定着側コネクタ107は、挿抜可能なコネクタユニットCn1である。定着装置80は、定着側コネクタ107及び本体側コネクタ102を介して、電源装置320及び制御部1Cと電気的に接続される。
【0092】
また、定着装置80は、発熱体RH1と、サーミスタTH1、TH2と、中継基板PCB1と、を有する(
図9)。発熱体RH1は、通電によりジュール熱を発する発熱抵抗体である。サーミスタTH1、TH2は、発熱体RH1の温度を検知するための温度検知素子である。
【0093】
本体側コネクタ102及び定着側コネクタ107の一方はレセプタクル型であり、本体側コネクタ102及び定着側コネクタ107の他方はプラグ型である。また、本実施例において、本体側コネクタ102と定着側コネクタ107は、所謂ドロワコネクタである。ドロワコネクタとは、例えば接点部材(端子)の外側に設けられたガイド用の樹脂ハウジングと、コネクタ間の位置ずれを吸収するフローティング機構とを有し、頻繁に挿抜される場合でも安定した接続を可能とするコネクタユニットである。
【0094】
本実施例では、定着装置80が使用位置から退避位置へ移動する際に本体側コネクタ102と定着側コネクタ107の接続が外れるように構成されている。挿抜検知手段309は、定着装置80の使用位置(第1位置)から退避位置(第2位置)への移動を検知可能な検知手段の例である。挿抜検知手段309は、本体側コネクタ102と定着側コネクタ107が接続されている(接続状態、嵌合状態)か、接続が外れている(非接続状態、抜去状態)かを検知するように構成される。つまり、挿抜検知手段309は、本体側コネクタ102(第1コネクタ)と定着側コネクタ107(第2コネクタ)の接続が外れたことを検知するように構成される。
【0095】
実施例2では、定着装置80の使用位置から退避位置への移動を挿抜検知手段309の検知結果に基づいて判断する。そのため、実施例2では、実施例1のような退避センサ90を追加する必要がなく、より安価な構成での不要なイニシャライズ動作を低減することができる。
【0096】
(挿抜検知システム)
挿抜検知システム310について
図9を用いて説明する。挿抜検知システム310は、ケーブル100を有する。前述の本体側コネクタ102は、ケーブル100の一端に設けられている。また、ケーブル100は、ACコネクタ105と、DCコネクタ101と、AC線HACL、AC線HACNと、DC束線103と、を含む。
【0097】
本体側コネクタ102は、交流電圧を供給するためのACコネクタ部102Aと、直流電圧又は直流信号を伝達するためのDCコネクタ部102Dと、が一体化されたコネクタである。ACコネクタ105は、交流用のコネクタであり、DCコネクタ101は、直流電圧や接地電位、直流信号を伝達するためのコネクタである。ACコネクタ105及びDCコネクタ101は、ケーブル100の本体側コネクタ102とは反対側の端部に設けられている。ACコネクタ105は、電源装置320のACコネクタ106と接続される。DCコネクタ101は、制御部35のDCコネクタ108と接続される。
【0098】
AC線HACL及びAC線HACNは、交流用のワイヤである。AC線HACLの一端及びAC線HACNの一端は、本体側コネクタ102のACコネクタ部102Aに接続されている。AC線HACLの他端及びAC線HACNの他端は、ACコネクタ105に接続されている。AC線HACLは、本体側コネクタ102と定着側コネクタ107を経由して、発熱体RH1の一端と電気的に接続されている。AC線HACNは、本体側コネクタ102と定着側コネクタ107を経由して、発熱体RH1の他端と電気的に接続されている。AC線HACL、HACNは、定着装置80の発熱体RH1へ電力供給をするための電力供給線である。
【0099】
DC束線103は、直流用のワイヤである。DC束線103の一端は本体側コネクタ102のDCコネクタ部102Dに接続され、DC束線103の他端はDCコネクタ101に接続されている。DC束線103は、複数のワイヤで構成されている。複数のワイヤは、信号線STH1、STH2、LP、LPR、SIG、接地線TGND、SGNDを含む。
【0100】
信号線STH1、STH2、接地線TGND、SGNDは、本体側コネクタ102と定着側コネクタ107を経由して、中継基板PCB1と電気的に接続されている。サーミスタTH1とサーミスタTH2も、中継基板PCB1と接続されている。中継基板PCB1内では、サーミスタTH1とサーミスタTH2のグランドを1つにまとめている。1つにまとめられたグランドは、DC束線103の接地線TGNDと電気的に接続されている。
【0101】
CPU207は、DCコネクタ108、信号線STH1、STH2、接地線TGND、本体側コネクタ102のDCコネクタ部102D、定着側コネクタ107、及び中継基板PCB1を介して、サーミスタTH1、TH2と電気的に接続されている。このため、CPU207は、サーミスタTH1、TH2の出力信号を取得し、発熱体RH1の温度を検知することができる。画像形成時には、CPU207は、サーミスタTH1、TH2の信号に基づいて発熱体RH1への電力供給を制御し、定着ニップを画像の定着に適した目標温度(定着温度)で維持する。
【0102】
信号線LPは、本体側コネクタ102と定着側コネクタ107を経由して、信号線LPRと電気的に接続されている。定着側コネクタ107の複数の端子のうち信号線LP、LPRと対応する端子同士は、短絡線107Sによって短絡されている。
【0103】
信号線SIGは、本体側コネクタ102と定着側コネクタ107を経由して、中継基板PCB1と電気的に接続され、さらに中継基板PCB1内をスルーして、接地線SGNDと接続されている。
【0104】
次に、挿抜検知システム310について説明する。挿抜検知システム310は、CPU207の入力端子LPINと、抵抗R10(プルアップ抵抗)と、抵抗R20と、接地部GNDと、を含む。また、挿抜検知システム310は、DC束線103の信号線LP、LPRと、定着装置80の短絡線107Sと、DCコネクタ101、108と、本体側コネクタ102と、を含む。CPU207の入力端子LPINは、抵抗R10の一端及び抵抗R20の一端に接続されている。抵抗R10の他端は、3.3Vの直流電源と接続されている。抵抗R20の他端は、DCコネクタ101、108を介して信号線LPと電気的に接続されている。信号線LPRは、DCコネクタ101、108を介して接地部GNDと電気的に接続(接地)されている。
【0105】
定着装置80の短絡線107Sは、挿抜検知システム310の回路を開閉するスイッチとして機能する。つまり、本体側コネクタ102と定着側コネクタ107が接続されている場合、回路は閉状態となり、CPU207の入力端子LPINにはLowレベルの電圧が入力される。本体側コネクタ102と定着側コネクタ107の接続が外れている場合、回路は開状態となり、CPU207の入力端子LPINにはHighレベルの電圧が入力される。
【0106】
以下、ドア20が開いている期間中にコネクタユニットCn1が非接続状態となったか否かに関する情報を「接続解除履歴情報」と呼ぶ。コネクタユニットCn1が非接続状態となったことを表す接続解除履歴情報を、接続解除履歴「有」とする。コネクタユニットCn1が非接続状態とならなかったことを表す接続解除履歴情報を、接続解除履歴「無」とする。
【0107】
(制御フロー)
次に、本実施例におけるイニシャライズ動作の制御フローについて
図10を用いて説明する。
図10に示すフローチャートは、画像形成動作が完了すると開始される。つまり、本フローは、プリンタ1の主電源が投入され且つプリンタ1が画像形成動作を実行していない期間中(非画像形成時)は継続的に実行される。本フローの各ステップは、制御部1Cのいずれかの機能ブロックによって実行される。
【0108】
動作決定手段304は、開閉検知手段301及び挿抜検知手段309の検知結果に基づいて、ドア20の開放中における定着装置80の退避の有無を監視する(S11~S13)。即ち、開閉検知手段301は、装置本体1Aのドア20が開位置にあるか否かをドアセンサ91の信号に基づいて検知する(S11)。挿抜検知手段309は、コネクタユニットCn1の接続が外れたか否かを、CPU207の入力端子LPINへの入力信号に基づいて検知する(S12)。挿抜検知手段309は、入力端子LPINにHighレベルの入力信号が入力された場合に、コネクタユニットCn1の接続が外れた(非接続状態)と判断する。動作決定手段304は、開閉検知手段301がドア20の開放を検知している状態で挿抜検知手段309がコネクタユニットCn1の非接続状態を検知した場合(S11Yes→S12Yes)、カートリッジPが交換された可能性があると判断する。この場合、動作決定手段304は、接続解除履歴情報として接続解除履歴「有」をRAM209に記憶させる(S13)。なお、ドア20が開かれた時点では、接続解除履歴情報は、初期値である接続解除履歴「無」である。
【0109】
動作実行手段305は、ドア20が閉じられたことに基づいて、動作決定手段304が決定した接続解除履歴情報に応じてイニシャライズ動作を実行する(S14~S18)。即ち、開閉検知手段301は、ドア20が開位置から閉位置に移動されたことをドアセンサ91の信号に基づいて検知する(S14)。ドア20が閉位置に移動された場合、動作実行手段305はRAM209にアクセスして接続解除履歴情報を確認する(S15)。接続解除履歴「有」の場合、動作実行手段305は、カートリッジ交換に伴うイニシャライズ動作を実行する(S16)。接続解除履歴「無」の場合、動作実行手段305は、カートリッジ交換に伴うイニシャライズ動作を実行しない(S17)。
【0110】
カートリッジ交換に伴うイニシャライズ動作の有無に関わらず、ドア20が閉じられた後に、動作決定手段304は接続解除履歴情報をクリアする(S18)。つまり、接続解除履歴情報は、接続解除履歴「無」に初期化される。なお、ドア20の開位置から閉位置への移動が検知されていない場合(S14No)、接続解除履歴情報をクリアすることなく、最初に戻って上記の処理が継続される。
【0111】
このように、本実施例の制御部1Cは、ドア20が開放されている期間中に定着装置80の退避位置への移動が検知された場合に、ドア20の閉鎖に基づいてカートリッジ交換に伴うイニシャライズ動作を実行する。一方、制御部1Cは、ドア20が開放されている期間中に定着装置80の退避位置への移動が検知されなかった場合に、ドア20の閉鎖に基づいてカートリッジ交換に伴うイニシャライズ動作を実行しない。
【0112】
従って、実施例1と同様に本実施例によれば、不要なイニシャライズ動作を低減可能な画像形成装置を提供することができる。
【0113】
また、本実施例によれば、コネクタユニットCn1の非接続状態を検知することで、定着装置80の使用位置から退避位置への移動を検知する。このため、実施例1よりも簡易な構成で、不要なイニシャライズ動作の低減を実現することができる。
【0114】
(他の実施例)
上述した実施例では、定着装置80を退避位置に移動させた状態でカートリッジPの着脱が許容され、定着装置80が使用位置にある場合はカートリッジPの着脱ができない構成について説明した。本開示は、これに限定するものでなく、定着装置80を退避位置に移動させた状態で装置本体1Aに対して着脱されるユニット(交換ユニット)は、例えば転写ユニット40又は廃トナーの回収ユニットであってもよい。
【0115】
上記交換ユニットが転写ユニット40である場合の所定のイニシャライズ動作は、転写ベルト41のクリーニング動作、及び/又は、転写ユニット40が新品であるか否かを検知する新品検知動作であってよい。上記交換ユニットが廃トナーの回収ユニットである場合の所定のイニシャライズ動作は、回収ユニットが新品であるか否かを検知する新品検知動作であってよい。転写ベルト41のクリーニング動作は、転写ベルト41を所定時間の間、回転駆動することで、清掃部43等から転写ベルト41の表面に飛散した可能性のあるトナーをクリーニングする動作である。新品検知動作は、例えば転写ユニット40又は回収ユニットに装着されたメモリから制御部1Cが情報を読み取ることで、転写ユニット40又は回収ユニットが新品であるか否かを検知する動作である。
【0116】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0117】
《本開示のまとめ》
本開示には、少なくとも以下の内容が含まれる。
(構成1)
開口部を有する装置本体と、
前記開口部を閉鎖する閉位置と前記開口部を開放する開位置との間で移動可能な開閉部材と、
画像を記録材に定着させる時の位置である第1位置と、前記第1位置から退避した第2位置と、の間で移動可能な定着装置と、
記録材に画像を形成する画像形成動作に使用されるユニットであって、前記開閉部材が前記開位置にあり且つ前記定着装置が前記第2位置にある状態において、前記開口部を通じて前記装置本体に対して着脱されることが許容されるユニットと、
前記定着装置の前記第1位置から前記第2位置への移動を検知可能な検知手段と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記開閉部材が前記閉位置から前記開位置に移動されてから前記開閉部材が前記開位置から前記閉位置に移動されるまでの期間中に、前記定着装置の前記第1位置から前記第2位置への移動を前記検知手段が検知した場合、前記開閉部材が前記閉位置に移動されたことに基づいて、前記ユニットを前記画像形成動作に使用可能な状態とするための所定のイニシャライズ動作を実行し、
前記期間中に前記定着装置の前記第1位置から前記第2位置への移動を前記検知手段が検知しない場合、前記開閉部材が前記閉位置に移動されたことに基づいて前記所定のイニシャライズ動作を実行しない、
ことを特徴とする画像形成装置。
(構成2)
前記定着装置の位置に応じた信号を出力するセンサを更に備え、
前記検知手段は、前記センサの前記信号に基づいて前記定着装置の前記第1位置から前記第2位置への移動を検知する、
ことを特徴とする構成1に記載の画像形成装置。
(構成3)
前記装置本体に配置され、前記制御部と電気的に接続された第1コネクタと、
前記定着装置に配置され、前記定着装置が前記第1位置にある場合に前記第1コネクタと接続され、前記ユニットが前記第2位置にある場合に前記第1コネクタとの接続が外れる第2コネクタと、を更に備え、
前記検知手段は、前記第1コネクタと前記第2コネクタの接続が外れたことを検知するように構成されている、
ことを特徴とする構成1に記載の画像形成装置。
(構成4)
前記定着装置を前記第1位置から前記第2位置へ退避させる退避手段を更に備え、
前記退避手段は、前記開閉部材が前記開位置にある状態において、ユーザからの指示に基づいて前記定着装置を退避させる、
ことを特徴とする構成1から3のいずれか1つに記載の画像形成装置。
(構成5)
前記ユニットを支持する支持部材を更に備え、
前記支持部材は、前記ユニットが前記装置本体の内側に収容される内側位置と、前記支持部材に対する前記ユニットの着脱が許容されるように前記装置本体の外側に引き出された外側位置と、に移動可能である、
ことを特徴とする構成1から4のいずれか1つに記載の画像形成装置。
(構成6)
前記定着装置が前記第1位置にある場合、前記定着装置の少なくとも一部は、前記支持部材が前記内側位置から前記外側位置まで移動する移動空間の内側に位置し、
前記定着装置が前記第2位置にある場合、前記定着装置の全体は、前記移動空間の外側に位置する、
ことを特徴とする構成5に記載の画像形成装置。
(構成7)
前記開閉部材が前記開位置から前記閉位置に移動されてから前記所定のイニシャライズ動作が実行されることなく前記画像形成装置が前記画像形成動作を開始可能になるまでの時間は、前記開閉部材が前記開位置から前記閉位置に移動されてから前記所定のイニシャライズ動作が実行され、前記画像形成装置が前記画像形成動作を開始可能になるまでの時間よりも短い、
ことを特徴とする構成1から6のいずれか1つに記載の画像形成装置。
(構成8)
前記開閉部材の開閉を検知する開閉検知手段を更に備え、
前記制御部は、記憶部を有し、
前記制御部は、
前記開閉部材が前記開位置にあることを前記開閉検知手段が検知している状態において前記定着装置の前記第1位置から前記第2位置への移動を前記検知手段が検知した場合に、前記記憶部に前記ユニットが交換された可能性があることを示す情報を記憶させ、
前記開閉部材が前記開位置から前記閉位置に移動されたことを前記開閉検知手段が検知した場合に、前記記憶部における前記情報を参照して前記所定のイニシャライズ動作の実行を決定する、
ことを特徴とする構成1から7のいずれか1つに記載の画像形成装置。
(構成9)
前記ユニットは、感光ドラムと、前記感光ドラムを帯電させる帯電部材と、前記感光ドラムに現像剤を供給して現像を行う現像部材と、前記感光ドラムの表面に付着したトナーを除去するクリーニング部材と、を含む群から選択される少なくとも1つの部材を有するカートリッジである、
ことを特徴とする構成1から8のいずれか1つに記載の画像形成装置。
(構成10)
前記カートリッジは、前記帯電部材を有し、
前記所定のイニシャライズ動作は、前記帯電部材をクリーニングする動作である、
ことを特徴とする構成9に記載の画像形成装置。
(構成11)
前記所定のイニシャライズ動作は、前記カートリッジの有無を検知する動作である、
ことを特徴とする構成9又は10に記載の画像形成装置。
(構成12)
前記カートリッジは、前記感光ドラムを有し、
前記所定のイニシャライズ動作は、前記装置本体に配置された駆動源から前記感光ドラムへの駆動伝達を可能とするために前記装置本体のカップリングと前記カートリッジのカップリングとを係合させる動作である、
ことを特徴とする構成9から11のいずれか1つに記載の画像形成装置。
(構成13)
前記ユニットは、感光ドラムから一次転写されたトナー像を記録材に二次転写するために担持する中間転写体を含む、
ことを特徴とする構成1から8のいずれか1つに記載の画像形成装置。
(構成14)
前記所定のイニシャライズ動作は、前記中間転写体をクリーニングする動作、又は前記ユニットが新品であるか否かを検知する動作である、
ことを特徴とする構成13に記載の画像形成装置。
(構成15)
前記ユニットは、感光ドラム又は中間転写体から回収された廃トナーを収容する回収ユニットである、
ことを特徴とする構成1から8のいずれか1つに記載の画像形成装置。
(構成16)
前記所定のイニシャライズ動作は、前記回収ユニットが新品であるか否かを検知する動作である、
ことを特徴とする構成15に記載の画像形成装置。
【符号の説明】
【0118】
1A…装置本体/1C…制御部/20…開閉部材(ドア)/80…定着装置/302、309…検知手段(退避検知手段、挿抜検知手段)/P…ユニット(カートリッジ)