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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025140181
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20250919BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20250919BHJP
【FI】
G03G21/16 185
G03G21/16 138
G03G15/20 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024039389
(22)【出願日】2024-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾畑 征児
(72)【発明者】
【氏名】小山 智億
(72)【発明者】
【氏名】太田 英生
(72)【発明者】
【氏名】守屋 次郎
【テーマコード(参考)】
2H033
2H171
【Fターム(参考)】
2H033AA36
2H033BA02
2H033BA03
2H033BB12
2H033BB30
2H171FA02
2H171FA03
2H171FA19
2H171GA11
2H171HA23
2H171JA12
2H171JA21
2H171KA05
2H171KA22
2H171KA25
2H171KA26
2H171KA27
2H171KA29
2H171QA04
2H171QA08
2H171QA24
2H171QC03
2H171SA11
2H171SA15
2H171SA36
(57)【要約】
【課題】定着装置が支持部から脱落するのを抑制可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、開口部を有する装置本体と、閉位置と開位置との間で装置本体に対して開閉可能に支持される開閉部材と、開口部を介して装置本体に対して着脱可能に支持され、シートに熱及び圧力を付与することでトナー像をシートに定着させる定着装置と、装置本体に設けられ、定着装置を第1位置から第1位置とは異なる第2位置に向けて移動可能な移動ユニットと、を備える。定着装置は、開閉部材が閉位置に位置する状態で、第1位置から第2位置への移動が規制され、開閉部材が開位置に位置する状態で、移動ユニットによる第1位置から第2位置への移動が許容される。移動ユニットは、第2位置に位置する定着装置を着脱可能に支持する支持部と、支持部に支持された定着装置が支持部から脱落するのを規制する規制部と、を有する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートにトナー像を形成する画像形成装置において、
開口部を有する装置本体と、
前記開口部を覆う閉位置と、前記開口部を開放する開位置と、の間で前記装置本体に対して開閉可能に支持される開閉部材と、
前記開口部を介して前記装置本体に対して着脱可能に支持され、シートに熱及び圧力を付与することでトナー像をシートに定着させる定着装置と、
前記装置本体に設けられ、前記定着装置を第1位置から前記第1位置とは異なる第2位置に向けて移動可能な移動ユニットと、を備え、
前記定着装置は、前記開閉部材が前記閉位置に位置する状態で、前記第1位置から前記第2位置への移動が規制され、前記開閉部材が前記開位置に位置する状態で、前記移動ユニットによる前記第1位置から前記第2位置への移動が許容され、
前記移動ユニットは、前記第2位置に位置する前記定着装置を着脱可能に支持する支持部と、前記支持部に支持された前記定着装置が前記支持部から脱落するのを規制する規制部と、を有する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記支持部は、前記定着装置の長手方向に延び、前記定着装置を下方から支持する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1位置に位置する前記定着装置は、前記定着装置の長手方向に見て、前記閉位置に位置する前記開閉部材に重ならず、
前記第2位置に位置する前記定着装置は、前記定着装置の長手方向に見て、前記閉位置に位置する前記開閉部材に少なくとも一部が重なる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2位置は、前記第1位置よりも上方の位置である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記規制部は、前記定着装置が前記支持部から、前記開位置に位置する前記開閉部材に向けて脱落するのを規制する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記規制部は、前記定着装置の長手方向及び鉛直方向の両方に交差する交差方向において前記定着装置と対向する第1規制部材と、前記長手方向において前記第1規制部材とは異なる位置に配置され、前記交差方向において前記定着装置と対向する第2規制部材と、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記長手方向において、前記第1規制部材と前記第2規制部材との間の距離は、前記画像形成装置に使用可能な最大サイズのシートの幅よりも長い、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記定着装置は、開閉可能なカバーを有し、
前記規制部は、前記定着装置の長手方向において、前記カバーよりも外側に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記規制部は、前記支持部に回動可能に支持されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記移動ユニットは、前記開閉部材が前記閉位置に位置する際に位置する収納位置と、前記第2位置に位置する前記定着装置を支持可能な支持位置と、の間で移動可能であり、
前記移動ユニットが前記支持位置に位置し、かつ前記定着装置が前記移動ユニットの前記支持部から取り外された状態で、前記開閉部材が前記開位置から前記閉位置に移動されると、前記規制部は、前記開閉部材に押圧されることで回動する、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第2位置に位置する前記定着装置に対向する位置であって、前記支持部に支持された前記定着装置が前記支持部から脱落するのを規制する位置に向けて前記規制部を付勢する付勢部材を更に備える、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記移動ユニットは、前記開閉部材が前記閉位置に位置する際に位置する収納位置と、前記第2位置に位置する前記定着装置を支持可能な支持位置と、の間で移動可能であり、
前記規制部の少なくとも一部は、前記移動ユニットが前記支持位置に位置する際に、前記装置本体の上面よりも上方に位置している、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記移動ユニットは、前記開閉部材が前記閉位置に位置する際に位置する収納位置と、前記第2位置に位置する前記定着装置を支持可能な支持位置と、の間で移動可能であり、
前記定着装置は、シート上のトナー像を加熱可能な加熱ユニットと、前記加熱ユニットと共にシートを挟持する加圧ローラと、を有し、
前記規制部の少なくとも一部は、前記移動ユニットが前記支持位置に位置する際に、前記加圧ローラの上端よりも上方に位置している、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記移動ユニットは、前記支持部に支持された前記定着装置に係合することで、前記定着装置が前記支持部から取り外されることを規制する取外し規制部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記取外し規制部は、前記定着装置に係合して前記定着装置が前記支持部から取り外されることを規制する取外し規制位置と、前記定着装置から離間して前記定着装置が前記支持部から取り外されることを許容する取外し許容位置と、の間で移動可能である、
ことを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記取外し規制部は、前記開閉部材が前記開位置から前記閉位置に向けて移動する際に、前記開閉部材に押圧されることで前記取外し規制位置に移動する、
ことを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記取外し規制部は、前記支持部に回動可能に支持される、
ことを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記規制部及び前記取外し規制部は、同一の軸部材を中心に回動可能に支持される、
ことを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項19】
シートにトナー像を形成するための画像形成部を更に備え、
前記画像形成部は、前記移動ユニットによって前記定着装置が前記第2位置に移動した状態で、前記開口部を介して前記装置本体に対して着脱可能に構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートにトナー像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装置本体に回動可能に設けられる1対のアーム部材と、該アーム部材の先端部に保持される定着装置と、を備えた画像形成装置が提案されている(特許文献1参照)。定着装置は、1対のアーム部材を回動させることにより、内部装着位置と、内部装着位置よりも装置本体の開口部に近い一時保持位置と、の間で移動可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-047806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の定着装置は、定着装置に強い外力が作用すると、1対のアーム部材から脱落してしまう虞がある。例えば、定着装置に挟持された状態でジャムしたシートを処理する際には、ユーザがシートを引っ張ることで、定着装置がアーム部材から脱落してしまう虞がある。
【0005】
本発明は、定着装置が支持部から脱落するのを抑制可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シートにトナー像を形成する画像形成装置において、開口部を有する装置本体と、前記開口部を覆う閉位置と、前記開口部を開放する開位置と、の間で前記装置本体に対して開閉可能に支持される開閉部材と、前記開口部を介して前記装置本体に対して着脱可能に支持され、シートに熱及び圧力を付与することでトナー像をシートに定着させる定着装置と、前記装置本体に設けられ、前記定着装置を第1位置から前記第1位置とは異なる第2位置に向けて移動可能な移動ユニットと、を備え、前記定着装置は、前記開閉部材が前記閉位置に位置する状態で、前記第1位置から前記第2位置への移動が規制され、前記開閉部材が前記開位置に位置する状態で、前記移動ユニットによる前記第1位置から前記第2位置への移動が許容され、前記移動ユニットは、前記第2位置に位置する前記定着装置を着脱可能に支持する支持部と、前記支持部に支持された前記定着装置が前記支持部から脱落するのを規制する規制部と、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、定着装置が支持部から脱落するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像形成装置を示す断面図。
図2】移動ユニットから定着装置が取り外された状態を示す斜視図。
図3】ドアが開いた状態の画像形成装置を示す断面図。
図4】定着装置が第2位置まで上昇した状態の画像形成装置を示す断面図。
図5】転写ユニット及びトレイユニットが開口部から引き出された状態の画像形成装置を示す断面図。
図6】(a)はドアが開かれた状態の画像形成装置を示す斜視図、(b)は第2位置に位置する定着装置を示す斜視図。
図7】(a)は左側の規制部材及びロック部材を示す拡大斜視図、(b)は右側の規制部材、ロック部材及び解除レバーを示す拡大斜視図。
図8】ロック部材が取外し許容位置に移動した様子を示す斜視図。
図9】ドアの押圧リブがロック部材を押圧する様子を示す断面図。
図10】ドアの天面が規制部材を押圧する様子を示す断面図。
図11】定着装置に挟持された状態のシートをジャム処理する様子を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔全体構成〕
本実施の形態に係る画像形成装置1は、電子写真方式のフルカラーレーザビームプリンタである。図1は、画像形成装置1を示す断面図である。
【0010】
なお、画像形成装置とは、プリンタ、複写機、ファクシミリ、及び複合機を含み、外部PCから入力された画像情報や原稿から読取った画像情報に基づいて、記録媒体として用いられるシートに画像を形成する装置を指すものとする。また、画像形成装置は、画像形成機能を有する本体に加えて、オプションフィーダ、画像読取装置、シート処理装置等の付属機器が連結される場合があるが、このような付属機器が連結されたシステム全体も画像形成装置の一種である。また、シートは、用紙及び封筒等の紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート(OHP)等のプラスチックフィルム、布などを含む。
【0011】
画像形成装置1は、図1に示すように、開口部9を有する装置本体1Aと、開口部9を覆う閉位置と、開口部9を開放する開位置と、の間で装置本体1Aに対して開閉可能に支持される開閉部材としてのドア20と、を有している。ドア20は、回動軸20bを中心に回動可能に構成されている。なお、装置本体1Aのフレーム及び外装と、ドア20と、を合わせてメインフレーム10と呼ぶこともできる。
【0012】
装置本体1Aには、シートSに画像を形成する画像形成ユニット70と、給送ユニット30と、定着装置80と、排出ユニット130と、後述する移動ユニット140と、が収容されている。画像形成ユニット70は、転写ユニット40と、転写ユニット40の上方に配置されるトレイユニット50と、トレイユニット50の上方に配置されるスキャナ2と、を有している。
【0013】
トレイユニット50は、装置本体1Aに対して引き出し可能なトレイ51と、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー画像を形成する4つのプロセスカートリッジPY,PM,PC,PKと、を有している。4つのプロセスカートリッジPY,PM,PC,PKは、トレイ51に載置される。トレイ51は、ユーザが把持可能なトレイハンドル52を有している。
【0014】
なお、4つのプロセスカートリッジPY,PM,PC,PKは、形成する画像の色が異なること以外は同じ構成である。そのため、プロセスカートリッジPYの構成及び画像形成プロセスのみを説明し、プロセスカートリッジPM,PC,PKの説明は省略する。
【0015】
プロセスカートリッジPYは、感光ドラム61と、帯電ローラ62と、現像ローラ71と、を有している。感光ドラム61は、アルミシリンダの外周に有機光導電層を塗布して構成され、不図示の駆動モータによって回転する。感光ドラム61、現像ローラ71、及び帯電ローラ62のそれぞれの回転軸線の方向は、互いに平行である。
【0016】
転写ユニット40は、駆動ローラ46及びテンションローラ47と、駆動ローラ46及びテンションローラ47に巻き掛けられた中間転写ベルト41と、を有している。中間転写ベルト41の内側には、一次転写ローラ42Y,42M,42C,42Kが設けられている。また、中間転写ベルト41を挟むように、駆動ローラ46に対向して二次転写ローラ45が設けられており、中間転写ベルト41及び二次転写ローラ45は、搬送されるシートSに画像を転写する転写ニップを形成している。なお、画像形成ユニット70には、中間転写ベルト41に転写されたトナー像を検知する光学センサ44が配置されている。一次転写ローラ42Y,42M,42C,42K、駆動ローラ46、テンションローラ47及び二次転写ローラ45のそれぞれの回転軸線の方向は、互いに平行である。
【0017】
給送ユニット30は、画像形成装置1の下部に設けられ、シートSを積載するカセット31と、カセット31に支持されたシートSを給送するピックアップローラ32と、を有している。カセット31は、装置本体1Aに対して、開口部9と同じ側に着脱可能に構成されている。排出ユニット130は、排出ローラ対131と、排出ローラ対131によって排出されたシートSが積載される排出トレイ1fと、を有している。
【0018】
定着装置80は、シートに熱及び圧力を付与することでシート上のトナー像をシートに定着させる定着部81と、案内部材5と、反転ローラ対132と、を有している。定着部81は、不図示のヒータを内蔵する加熱ユニットとしての加熱ローラ83と、加圧ローラ84と、を有しており、これら加熱ローラ83及び加圧ローラ84によって、シートSを挟持する定着ニップが形成されている。案内部材5は、シートSを排出パス1dに向けて案内する排出位置と、シートSを反転パス1eに向けて案内する反転位置と、に回動可能に構成されている。
【0019】
次に、このように構成された画像形成装置1の画像形成動作について説明する。画像形成装置1は、外部ホスト装置110に接続する制御部3を有している。制御部3は、外部ホスト装置110や読取ユニットから受け取った画像信号に基づいて、画像信号に対応したレーザ光をプロセスカートリッジPYの感光ドラム61上に照射するようにスキャナ2を制御する。外部ホスト装置110は、例えば、パーソナルコンピュータ、イメージリーダ及びファクシミリである。
【0020】
このとき感光ドラム61は、帯電ローラ62により表面が予め所定の極性・電位に一様に帯電されており、スキャナ2からレーザ光が照射されることによって表面に静電潜像が形成される。感光ドラム61に形成された静電潜像は、現像ローラ71により現像され、感光ドラム61上にイエロー(Y)のトナー像が形成される。
【0021】
なお、現像ローラ71は、感光ドラム61に対して当接又は離間することができるように構成される。画像形成装置1が画像形成動作を行わない際には、現像ローラ71を感光ドラム61に対して離間させることで、感光ドラム61及び現像ローラ71を長寿命化することができる。
【0022】
同様にして、プロセスカートリッジPM,PC,PKの各感光ドラムにもスキャナ2からレーザ光が照射され、各感光ドラムにマゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のトナー像が形成される。各感光ドラム上に形成された各色のトナー像は、一次転写ローラ42Y,42M,42C,42Kにより中間転写ベルト41に転写され、駆動ローラ46によって回転する中間転写ベルト41により転写ニップまで搬送される。なお、各色の画像形成プロセスは、中間転写ベルト41上に一次転写された上流のトナー像に重ね合わせるタイミングで行われる。また、感光ドラム61に残った残トナーは、クリーニングブレードによって除去される。
【0023】
この画像形成プロセスに並行して、給送ユニット30のカセット31に収容されたシートSは、ピックアップローラ32により搬送パス1cに送り出される。そして、シートSは、搬送パス1cに設けられるレジストレーションローラ対4により斜行が補正され、転写ニップでの画像の転写タイミングに合わせて所定の搬送タイミングで搬送される。
【0024】
そして、シートSには、二次転写ローラ45に印加された二次転写バイアスによって、転写ニップにおいて中間転写ベルト41上のフルカラーのトナー像が転写される。また、中間転写ベルト41に残った残トナーは、清掃部43内に設けられたクリーニングブレード43Aによって除去される。トナー像が転写されたシートSは、定着装置80の加熱ローラ83及び加圧ローラ84によって所定の熱及び圧力が付与されて、トナーが溶融固着(定着)される。定着装置80を通過したシートSは、案内部材5によって排出パス1d又は反転パス1eに案内される。
【0025】
片面のみに画像を印刷する片面印刷ジョブが入力された際には、案内部材5は、排出位置に位置し、シートSは排出パス1dに案内される。排出パス1dに案内されたシートSは、排出ローラ対131によって機外に排出され、排出トレイ1fに積載される。
【0026】
シートSの両面に画像を形成する両面印刷ジョブが入力された際には、転写ニップによって第1面に画像が形成されたシートSは、反転位置に位置する案内部材5によって反転パス1eに案内される。反転パス1eに設けられた反転ローラ対132は、シートSの後端が案内部材5を通過した後に逆転し、シートSをスイッチバックさせる。この間に、案内部材5は排出位置に移動し、スイッチバックされたシートSは、案内部材5によって両面搬送パス20aに案内される。
【0027】
両面搬送パス20aに案内されたシートSは、複数の搬送ローラ対によって搬送パス1cに搬送され、転写ニップにおいて第2面に画像が形成される。そして、シートSは、上述したように定着装置80によってトナー像を定着された後、排出ローラ対131によって排出トレイ1fに排出される。
【0028】
[移動ユニットの概略構成]
次に、図2を用いて、移動ユニット140の概略構成について説明する。図2は、移動ユニット140から定着装置80が取り外された状態を示す斜視図である。
【0029】
移動ユニット140は、メインフレーム10の一部を構成する不図示の右側板及び左側板の間に配置され、図2に示すように、支持部90と、昇降部100と、を有している。昇降部100は、定着装置80の長手方向LDにおける一方側に配置されるアームユニットと、定着装置80の長手方向LDにおける他方側に配置されるアームユニットと、を有している。これら2つのアームユニットは、同様の構成を有しており、以下では、長手方向LDにおける定着装置80の一方側(右側)のアームユニットについてのみ説明する。なお、長手方向LDは、鉛直方向VDに直交し、かつ水平方向に沿った方向である。
【0030】
アームユニットは、図2及び図4に示すように、アーム101aR,101bR,101cRと、アーム101aR,101bR,101cRを付勢する付勢部材102aR,102bRと、を有している。アーム101aR,101bR,101cRは、リンク機構を構成している。なお、付勢部材102aR,102bRは、本実施の形態ではコイルバネから構成されているが、これに限定されない。例えば、付勢部材102aR,102bRは、板バネ等の他のバネから構成されてもよく、付勢部材102aR,102bRを複数種類のバネから構成してもよい。
【0031】
支持部90は、長手方向LDに延びる金属フレーム91及び軸部材92を有している。金属フレーム91は、平面視において略コ字状に形成されており、金属フレーム91が軸部材92に連結されることで、支持部90全体で矩形状に形成されている。これにより、支持部90の剛性を向上することができる。支持部90は、昇降部100に連結されており、昇降部100と共に昇降する。支持部90は、定着装置80の底面を支持する。言い換えれば、支持部90は、定着装置80を下方から着脱可能に支持する。
【0032】
定着装置80は、ドア20が閉位置に位置する状態では、図1に示すように、画像形成装置1の内部に収容され、画像形成動作の際にトナー像をシートSに定着可能な第1位置に位置している。移動ユニット140は、支持部90によって定着装置80を支持した状態で、図6(b)に示す第2位置まで定着装置80を移動させることができる。以下では、ドア20が閉位置に位置する際の移動ユニット140の位置を収納位置とし、第2位置に位置する定着装置80を支持可能な移動ユニット140の位置を支持位置とする。すなわち、移動ユニット140は、付勢部材102aR,102bR等の付勢力により、収納位置(図1に示す位置)から、支持位置(図2に示す位置)に上昇可能に構成されている。
【0033】
[転写ユニット及びトレイユニットの移動]
次に、図3乃至図5を用いて、転写ユニット40及びトレイユニット50の移動について説明する。図3は、ドア20が開いた状態の画像形成装置1を示す断面図である。図4は、定着装置80が第2位置まで上昇した状態の画像形成装置1を示す断面図である。図5は、転写ユニット40及びトレイユニット50が開口部9から引き出された状態の画像形成装置1を示す断面図である。
【0034】
図3に示すように、ドア20が開かれると、装置本体1Aの開口部9が開放される。ドア20が開位置に移動されると、開口部9を介して定着装置80が画像形成装置1の外部に露出する。特に、ドア20は、図1乃至図3に示すように、画像形成装置1の一側面を構成する側面20cと、画像形成装置1の天面の一部を構成する天面20dと、を有し、全体で略L字状に形成されている。すなわち、ドア20が開位置に移動されると、閉位置においてドア20の天面20dが覆っていた、定着装置80の上方の空間が開く。このため、定着装置80は、第1位置から第2位置に向けて上方に移動可能となる。言い換えれば、定着装置80は、ドア20が閉位置に位置する状態で、第1位置から第2位置への移動が規制され、ドア20が開位置に位置する状態で、第1位置から第2位置への移動が許容される。なお、本実施の形態では、第1位置に位置する定着装置80は、長手方向LDに見て、閉位置に位置するドア20に重ならず、第2位置に位置する定着装置80は、長手方向LDに見て、開位置に位置するドア20に少なくとも一部が重なっている。
【0035】
また、ドア20が閉位置から開位置に開かれることで、開口部9が開放され、搬送パス1c及び両面搬送パス20aが露出される。これによって、搬送パス1c又は両面搬送パス20aでジャムしたシートSを処理することができる。また、ドア20は、二次転写ローラ45を支持する二次転写フレーム25を回動可能に支持する。ドア20が開位置に位置する状態で二次転写フレーム25を回動させることで、両面搬送パス20aを大きく開くことができる。
【0036】
そして、図4に示すように、移動ユニット140が収納位置から支持位置まで上昇することで、定着装置80が第2位置まで移動すると、定着装置80の下方の空間が空く。これにより、開口部9及び定着装置80の下方の空間を介して、シートにトナー像を形成するための画像形成部としての転写ユニット40及びトレイユニット50は、装置本体1Aに対して着脱可能となる。
【0037】
転写ユニット40及びトレイユニット50は、移動ユニット140が支持位置まで上昇した状態であれば、定着装置80が支持部90に取り付けられた状態であっても、装置本体1Aに対して着脱できる。すなわち、定着装置80が第2位置に位置した状態では、転写ユニット40及びトレイユニット50は、開口部9を介して装置本体1Aに対して着脱可能に構成されている。転写ユニット40及びトレイユニット50は、装置本体1Aに対して、鉛直方向VD及び長手方向LDの両方に交差する交差方向IDに引き出し又は装着される。交差方向ID及び長手方向LDは、水平面に平行な方向である。
【0038】
図5に示すように、転写ユニット40及びトレイユニット50が装置本体1Aの外部に引き出された状態では、プロセスカートリッジPY,PM,PC,PKは、トレイ51に対して着脱可能である。よって、プロセスカートリッジPY,PM,PC,PKを交換することができる。また、転写ユニット40を交換することもできる。
【0039】
このように、定着装置80、転写ユニット40及びトレイユニット50は、いずれも画像形成装置1のドア20側から着脱可能に構成されている。よって、定着装置80、転写ユニット40及びトレイユニット50の着脱の際に、画像形成装置1の一方向側からアクセスでき、ユーザビリティを向上できると共に、画像形成装置1を設置する際の設置スペースを省スペース化できる。また、カセット31も、装置本体1Aに対して、開口部9と同じ側に着脱可能に構成されているため、ユーザビリティの向上及び省スペース化を図ることができる。
【0040】
一方で、第1位置に位置する定着装置80は、転写ユニット40及びトレイユニット50を装置本体1Aに対して着脱する際の移動軌跡に重なる。このため、画像形成装置1を小型化できる。なお、本実施の形態では、転写ユニット40及びトレイユニット50は、互いに独立して装置本体1Aに対して着脱可能に構成されているが、一体となって装置本体1Aに対して着脱可能に構成されてもよい。
【0041】
[定着装置の着脱動作]
次に、図2及び図6(a)乃至図10を用いて、定着装置80の着脱動作について説明する。図6(a)は、ドア20が開かれた状態の画像形成装置1を示す斜視図である。図6(b)は、第2位置に位置する定着装置80を示す斜視図である。図7(a)は、左側の規制部材111L及びロック部材112Lを示す拡大斜視図であり、図7(b)は、右側の規制部材111R、ロック部材112R及び解除レバー113を示す拡大斜視図である。図8は、ロック部材112L,112Rが取外し許容位置に移動した様子を示す斜視図である。図9は、ドア20の押圧リブ21がロック部材112L,112Rを押圧する様子を示す断面図である。図10は、ドア20の天面20dが規制部材111L,111Rを押圧する様子を示す断面図である。
【0042】
まず、定着装置80を移動ユニット140の支持部90から取り外す手順について説明する。図6(a)に示すように、ユーザは、まずドア20を閉位置から開位置に移動させる。ここで、定着装置80には、不図示の定着ロック部材が設けられており、該定着ロック部材が装置本体1Aに設けられる不図示の被ロック部に係合することで、定着装置80は第1位置で保持される。すなわち、定着装置80の定着ロック部材が装置本体1Aの被ロック部に係合した状態では、移動ユニット140は、収納位置から支持位置への上昇が規制される。例えば、搬送パス1cや両面搬送パス20aにおけるジャム処理を行う場合には、ユーザは、図6(a)の状態でジャム処理を行うことができる。
【0043】
図6(a)(b)及び図7(a)(b)に示すように、移動ユニット140の長手方向LDにおける一方側(左側)には、規制部材111L及びロック部材112Lが設けられている。移動ユニット140の長手方向LDにおける他方側(右側)には、規制部材111R、ロック部材112R及び解除レバー113が設けられている。これら規制部材111L,111R、ロック部材112L,112R及び解除レバー113は、軸部材92に対して回動可能に支持されている。すなわち、規制部材111L,111R、ロック部材112L,112R及び解除レバー113は、同一の軸である軸部材92を中心に、それぞれ相対的に回動可能である。
【0044】
規制部材111L,111Rは、それぞれロック部材112L,112Rを覆うような形状となっている。取外し規制部としてのロック部材112L,112Rの側面には、所定の力で弾性変形する係合爪112La,112Raがそれぞれ設けられている。規制部材111L,111Rには、所定の力で係合爪112La,112Raが乗り越えることが可能な突起111La,111Raがそれぞれ設けられている。係合爪112La,112Raが突起111La,111Raに係合した状態では、ロック部材112L,112Rは、それぞれ規制部材111L,111Rと連動して一体に回動する。
【0045】
一方でユーザがロック部材112L,112Rを回動操作することで、ロック部材112L,112Rは、係合爪112La,112Raと突起111La,111Raとの係合を解除しつつ、規制部材111L,111Rに対して相対的に回動することができる。規制部材111L,111Rの先端部には、図7(a)(b)及び図9に示すように、爪部115L,115Rがそれぞれ設けられている。また、定着装置80には、図2に示すように、爪部115L,115Rが係合可能な凹部116L,116Rが設けられている。爪部115L,115Rが凹部116L,116Rに係合することで、定着装置80の上方への移動が規制される。すなわち、爪部115L,115Rが凹部116L,116Rに係合した状態では、支持部90に支持された定着装置80は、支持部90から取り外されることが規制される。
【0046】
規制部材111L,111Rは、爪部115L,115Rが凹部116L,116Rに係合する取外し規制位置と、爪部115L,115Rが凹部116L,116Rから離間する取外し許容位置と、に移動可能である。すなわち、規制部材111L,111Rは、取外し規制位置において、定着装置80が支持部90から取り外されることを規制し、取外し許容位置において、定着装置80が支持部90から取り外されることを許容する。
【0047】
また、図7(a)に示すように、規制バネ114によって規制部材111Lは、起立した姿勢で保持される。例えば、付勢部材としての規制バネ114は、コイル部が軸部材92に支持されるねじりコイルバネから構成され、一端が規制部材111Lに係合し、他端が金属フレーム91に係合する。
【0048】
規制部材111Rも、同様に、不図示の規制バネによって起立した姿勢で保持される。なお、本実施の形態では、規制部材111L,111Rは、互いに独立して軸部材92を中心に回動可能に構成されているが、これに限定されない。例えば、規制部材111L,111Rは、一体に回動するように構成されてもよく、その場合、規制バネは1つあればよい。規制部材111L,111Rに外力が作用せず、規制バネ114によって規制部材111L,111Rが起立した姿勢で保持される位置を、ホーム位置とする。規制部材111L,111Rが該ホーム位置に位置し、かつ係合爪112La,112Raと突起111La,111Raとが係合した状態では、ロック部材112L,112Rは、取外し規制位置に位置している。
【0049】
ホーム位置に位置する規制部材111L,111Rは、支持部90に載置された定着装置80と交差方向IDにおいて対向し、定着装置80が支持部90から脱落するのを規制する。より詳しくは、規制部としての規制部材111L,111Rは、定着装置80が支持部90から、開位置に位置するドア20に向けて脱落するのを規制する。
【0050】
図4に示すように、移動ユニット140が支持位置に位置する際には、規制部材111L,111Rは、装置本体1Aの上面1gよりも上方に突出している。すなわち、規制部材111L,111Rの少なくとも一部は、移動ユニット140が支持位置に位置する際に、装置本体1Aの上面1gよりも上方に位置している。また、規制部材111L,111Rの少なくとも一部は、移動ユニット140が支持位置に位置する際に、加圧ローラ84の上端84aよりも上方に位置している。このように規制部材111L,111Rを構成することで、定着装置80に強い力がかかったとしても、定着装置80が支持部90から脱落するのを規制することができる。
【0051】
また、規制部材111L,111Rが装置本体1Aの上面1gよりも上方に突出しているため、後述するように定着装置80を支持部90に装着する際に、ユーザは定着装置80を装着する位置を直感的に認識することができる。これにより、定着装置80の着脱性及びユーザビリティを向上することができる。
【0052】
図7(b)に示すように、解除レバー113は、ユーザによって上下方向に回動可能に構成され、ユーザが解除レバー113を操作することで、定着装置80の上述した不図示の定着ロック部材を移動させることができる。定着ロック部材は、規制位置と、許容位置と、の間で定着装置80のフレーム部材に移動可能に支持され、不図示の付勢部材によって規制位置に付勢されている。
【0053】
定着ロック部材は、規制位置において、装置本体1Aの被ロック部に係合することで定着装置80の第1位置から第2位置への移動、すなわち移動ユニット140の上昇動作を規制可能である。また、定着ロック部材は、許容位置において、被ロック部との係合が解除されることで定着装置80の第1位置から第2位置への移動を許容する。ユーザが解除レバー113を操作することで、定着ロック部材は、規制位置から解除位置に移動する。
【0054】
図6(a)(b)に示すように、ドア20が閉位置から開位置に開けられ、解除レバー113がユーザによって操作されると、定着装置80の定着ロック部材が規制位置から許容位置に移動し、移動ユニット140の上昇動作が開始される。これにより、移動ユニット140が収納位置から支持位置に上昇し、定着装置80は第1位置から第2位置に上昇する。
【0055】
次に、ユーザは、図8に示すように、ロック部材112L,112Rを取外し規制位置から取外し許容位置に回動させる。これにより、ロック部材112L,112Rの爪部115L,115Rが定着装置80の凹部116L,116R(図2参照)から離間し、定着装置80が支持部90から取り外しできるようになる。
【0056】
この状態で、ユーザは、定着装置80の上面に設けられた把持部117L,117Rを持ち上げることで、定着装置80を支持部90から取り外すことができる。定着装置80は、支持部90の金属フレーム91及び軸部材92に載置されているだけなので、定着装置80を持ち上げるだけで、容易に支持部90から定着装置80を取り外すことができる。
【0057】
なお、移動ユニット140が支持位置まで上昇した状態では、把持部117L,117Rは、装置本体1Aの上面1gよりも上方に位置している。このため、ユーザは、定着装置80を容易に持ち上げることができ、操作性を向上できる。
【0058】
支持部90から定着装置80を取り外した状態では、図2に示すように、支持部90は、目視可能となっている。また、支持部90の金属フレーム91及び軸部材92は、定着装置80の略全長に亘って長手方向LDに延びており、ユーザは、定着装置80を載置する位置を直感的に認識することができる。更に、定着装置80を支持部90から取り外した状態では、移動ユニット140は支持位置に保持されているため、支持部90が開口部9の近くに位置しており、支持部90の視認性を向上できる。
【0059】
例えば定着装置80の消耗部が寿命を迎えた際には、定着装置80が交換される。新品の定着装置80を支持部90に取り付ける際には、ユーザは、把持部117L,117Rに指をかけて、上方から支持部90に向けて定着装置80を移動させる。この時、ロック部材112L,112Rが取外し規制位置に位置した状態だと、定着装置80の下面が、ロック部材112L,112Rに接触する。
【0060】
本実施の形態では、ロック部材112L,112Rには、図9に示すように、それぞれテーパ面115aが設けられており、該テーパ面115aを定着装置80が押圧することで、ロック部材112L,112Rが取外し許容位置に移動される。このため、ロック部材112L,112Rが取り外し規制位置に位置した状態であっても定着装置80を支持部90に装着することができる。
【0061】
なお、本実施の形態では、係合爪112La,112Raが突起111La,111Raに係合することで、ロック部材112L,112Rは取り外し規制位置に位置し続けることができる。
【0062】
その後、ユーザは、定着装置80又は移動ユニット140を下方に押し込むことで、定着装置80が被ロック部によって移動規制されるまで定着装置80を下方に移動させる。定着装置80に設けられた定着ロック部材が装置本体1Aの被ロック部に係合した状態で、定着装置80は第1位置に位置する。このため、ユーザは、定着装置80をどの位置まで押し下げるか直感的に判断できる。そして、ユーザがドア20を閉じることで、定着装置80の交換が完了する。
【0063】
なお、図9に示すように、ドア20の定着装置80と対向する面には、押圧リブ21が設けられている。該押圧リブ21は、左右のロック部材112L,112Rに対応する位置にそれぞれ設けられている。例えば、係合爪112La,112Raと突起111La,111Raとの係合が解除され、ロック部材112L,112Rが取外し規制位置に位置したまま、ユーザがドア20を閉じた場合を考える。
【0064】
この時、ドア20が閉位置に到達する直前に、左右の押圧リブ21がロック部材112L,112Rを押圧する。そして、ドア20が閉位置に到達すると、ロック部材112L,112Rが押圧リブ21に押圧されることで取外し規制位置まで回動し、ロック部材112L,112Rによる定着装置80のロックが行われる。このため、定着装置80の支持部90に対するロックが確実に行われ、ドア20が閉じた状態で定着装置80を第1位置に確実に保持することができる。
【0065】
また、図10に示すように、移動ユニット140が支持位置に位置し、かつ定着装置80が移動ユニット140の支持部90から取り外された状態で、ドア20が開位置から閉位置に閉じられる場合を考える。規制部材111L,111Rは、軸部材92を中心に回動可能に支持されているため、ドア20が開位置から閉位置へと移動している途中で、ドア20によって排出トレイ1f側に押圧される。これにより、規制部材111L,111Rは、軸部材92を中心に回動する。これにより、規制部材111L,111Rの破損を防止することができる。また、ドア20は、定着装置80が移動ユニット140の支持部90に載置されていない状態でも、閉位置に移動することができる。
【0066】
[定着装置のジャム処理]
次に、図11を用いて、定着装置80でジャムしたシートSのジャム処理方法について説明する。図11は、定着装置80に挟持された状態のシートSをジャム処理する様子を示す斜視図である。
【0067】
図11に示すように、定着装置80の定着ニップで挟持されたシートSを取り除く場合、上述した定着装置80の取外しと同じ手順で、定着装置80を第2位置まで上昇させる。そして、定着ニップに挟持されたシートSは、下方に引き抜くか、上方かつ手前側に引き抜くか、選択できる。シートSを下方に引き抜く場合には、定着装置80を支持部90に載置したまま、ユーザはシートSを下方に引き抜く。
【0068】
一方で、シートSを上方かつ手前側に引き抜く際には、まずユーザは、定着装置80に設けられた開閉可能なカバー118を開く。これにより、ユーザは、定着装置80の定着ニップの近くまでアクセスすることができる。ユーザがシートSを上方かつ手前側に引っぱると、シートSを介して、定着装置80に鉛直方向VDにおける上方側かつ交差方向IDにおける手前側の力が作用する。
【0069】
しかし、定着装置80は、交差方向IDにおいて、規制部材111L,111Rによって位置決めされており、かつ鉛直方向VDにおいて、支持部90及びロック部材112L,112Rの爪部115L,115Rによって位置決めされている。これにより、定着装置80に挟持されたシートSをジャム処理する場合でも、規制部材111L,111R及びロック部材112L,112Rによって、定着装置80が支持部90から、開位置に位置するドア20に向けて脱落するのが規制される。
【0070】
なお、図9で説明したように、ドア20が閉じられることで、定着装置80は規制部材111L,111Rによってロックされる。このため、定着装置80に挟持されたシートSのジャム処理の際に、規制部材111L,111Rが定着装置80から離間した状態となることを抑制できる。また、上記ジャム処理は、定着装置80が第2位置に位置する場合に限らず、第1位置に位置する場合においても行うことができる。この場合でも、規制部材111L,111R及びロック部材112L,112Rによって、定着装置80が支持部90から、開位置に位置するドア20に向けて脱落するのが規制される。
【0071】
また、本実施の形態では、定着装置80は、移動ユニット140によって上方に移動することで開口部9から上方に露出する。定着装置80の上昇動作は、略鉛直方向上方に向かって行われるので、例えば定着装置80を回動させて上方に移動させる場合よりも、移動距離が短い。このため、定着装置80の交換やジャム処理に必要な時間を低減でき、定着装置80の着脱性やジャム処理性を向上することができる。
【0072】
また、規制部材111L,111Rは、長手方向LDにおいて、定着装置80のカバー118よりも外側に配置されている。このため、シートSの搬送経路の制約を考慮することなく、規制部材111L,111Rを設計することができ、設計自由度を向上することができる。例えば、規制部材111L,111Rを、定着装置80に近接させることができるため、定着装置80の位置ずれを規制することができる。また、定着装置80を支持部90に載置した状態で、カバー118の開き角度を増やすことができ、定着ニップでジャムしたシートSを取り除く際の作業性を向上できる。
【0073】
更に、第2規制部材としての規制部材111Rは、第1規制部材としての規制部材111Lとは長手方向LDにおいて異なる位置に配置されている。より詳しくは、規制部材111Lと規制部材111Rとの間の距離D1は、画像形成装置1に使用可能な最大サイズのシートの幅よりも長い。言い換えれば、規制部材111L,111Rは、シートが通過可能な領域よりも長手方向LDにおける外側に配置されている。このため、規制部材111L,111Rがユーザによって引っ張れるシートSに干渉することがなく、ジャム処理性を向上できる。
【0074】
以上、説明したように、第2位置に位置する定着装置80は、規制部材111L,111R及びロック部材112,112Rによって、支持部90からの脱落を抑制できる。これにより、定着装置80の破損を低減できる。また、定着装置80に挟持された状態でジャムしたシートSを引っ張っても、定着装置80が支持部90から脱落することが抑制されるので、ジャム処理性を向上できる。
【0075】
<その他の実施形態>
なお、上述の実施の形態では、移動ユニット140に1対の規制部材111L,111Rが設けられていたが、これに限定されない。例えば、移動ユニット140は、1つの規制部材又は3つ以上の規制部材が設けられてもよい。
【0076】
また、上述の実施の形態では、移動ユニット140に1対のロック部材112L,112Rが設けられていたが、これに限定されない。例えば、移動ユニット140は、1つのロック部材又は3つ以上のロック部材が設けられてもよい。
【0077】
また、上述の実施の形態では、規制部材111L,111R及びロック部材112L,112Rによって定着装置80の支持部90からの脱落が抑制されていたが、これに限定されない。例えば、ロック部材112L,112Rを省略し、規制部材111L,111Rによって定着装置80の支持部90からの脱落を抑制してもよい。また、規制部材111L,111Rを省略し、ロック部材112L,112Rによって定着装置80の支持部90からの脱落を抑制してもよい。
【0078】
また、上述の実施の形態では、規制部材111L,111R及びロック部材112L,112Rは、同一の軸部材92に回動可能に支持されていたが、これに限定されない。例えば、ロック部材112L,112Rは、それぞれ規制部材111L,111Rに回動可能に支持されてもよい。
【0079】
また、上述の実施の形態では、定着装置80の第2位置は、第1位置よりも上方の位置であったが、これに限定されない。例えば、定着装置80は、第1位置から第2位置に向けて水平方向に移動されてもよく、また、斜め下方に移動されてもよい。
【0080】
また、上述の実施の形態では、昇降部100は、複数のアームから構成されるリンク機構を有していたが、これに限定されない。例えば、昇降部100は、ラック部を有し、支持部90,190に設けられたピニオンギヤとラック部が噛合することによって、支持部90,190を昇降させるように構成してもよい。また、支持部90,190にピニオンギヤを設け、昇降部100にラック部材を設けてもよい。このように、昇降部100の構成は限定されない。
【0081】
また、上述の実施の形態では、定着装置80は、加熱ローラ83と、加圧ローラ84と、を有していたが、これに限定されない。例えば、加熱ローラ83に代えて、セラミックヒータ等のヒータ及びヒータによって加熱される定着フィルムを含む加熱ユニットを適用してもよい。また、加熱ローラ83に代えて、誘導加熱によって発熱する発熱層を有する定着ベルトを適用してもよい。
【0082】
また、上述の実施の形態では、感光ドラム61、帯電ローラ62及び現像ローラ71は、プロセスカートリッジ(PY~PK)に設けられていたが、これに限定されない。すなわち、感光ドラム61、帯電ローラ62及び現像ローラ71は、プロセスカートリッジ及びトレイ51のいずれかに設けられればよい。
【0083】
また、上述の実施の形態では、ドア20は、回動軸20bを中心に回動可能に設けられているが、これに限定されない。例えば、ドア20の代わりに、装置本体1Aに対してスライド移動可能又は取外し可能なカバーを設けてもよい。
【0084】
また、本実施の形態の開示は、以下の構成例及び方法例を含む。
(構成1)
シートにトナー像を形成する画像形成装置において、
開口部を有する装置本体と、
前記開口部を覆う閉位置と、前記開口部を開放する開位置と、の間で前記装置本体に対して開閉可能に支持される開閉部材と、
前記開口部を介して前記装置本体に対して着脱可能に支持され、シートに熱及び圧力を付与することでトナー像をシートに定着させる定着装置と、
前記装置本体に設けられ、前記定着装置を第1位置から前記第1位置とは異なる第2位置に向けて移動可能な移動ユニットと、を備え、
前記定着装置は、前記開閉部材が前記閉位置に位置する状態で、前記第1位置から前記第2位置への移動が規制され、前記開閉部材が前記開位置に位置する状態で、前記移動ユニットによる前記第1位置から前記第2位置への移動が許容され、
前記移動ユニットは、前記第2位置に位置する前記定着装置を着脱可能に支持する支持部と、前記支持部に支持された前記定着装置が前記支持部から脱落するのを規制する規制部と、を有する、
ことを特徴とする画像形成装置。
(構成2)
前記支持部は、前記定着装置の長手方向に延び、前記定着装置を下方から支持する、
ことを特徴とする構成1に記載の画像形成装置。
(構成3)
前記第1位置に位置する前記定着装置は、前記定着装置の長手方向に見て、前記閉位置に位置する前記開閉部材に重ならず、
前記第2位置に位置する前記定着装置は、前記定着装置の長手方向に見て、前記閉位置に位置する前記開閉部材に少なくとも一部が重なる、
ことを特徴とする構成1又は2に記載の画像形成装置。
(構成4)
前記第2位置は、前記第1位置よりも上方の位置である、
ことを特徴とする構成1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(構成5)
前記規制部は、前記定着装置が前記支持部から、前記開位置に位置する前記開閉部材に向けて脱落するのを規制する、
ことを特徴とする構成1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(構成6)
前記規制部は、前記定着装置の長手方向及び鉛直方向の両方に交差する交差方向において前記定着装置と対向する第1規制部材と、前記長手方向において前記第1規制部材とは異なる位置に配置され、前記交差方向において前記定着装置と対向する第2規制部材と、を有する、
ことを特徴とする構成1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(構成7)
前記長手方向において、前記第1規制部材と前記第2規制部材との間の距離は、前記画像形成装置に使用可能な最大サイズのシートの幅よりも長い、
ことを特徴とする構成6に記載の画像形成装置。
(構成8)
前記定着装置は、開閉可能なカバーを有し、
前記規制部は、前記定着装置の長手方向において、前記カバーよりも外側に配置されている、
ことを特徴とする構成1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(構成9)
前記規制部は、前記支持部に回動可能に支持されている、
ことを特徴とする構成1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(構成10)
前記移動ユニットは、前記開閉部材が前記閉位置に位置する際に位置する収納位置と、前記第2位置に位置する前記定着装置を支持可能な支持位置と、の間で移動可能であり、
前記移動ユニットが前記支持位置に位置し、かつ前記定着装置が前記移動ユニットの前記支持部から取り外された状態で、前記開閉部材が前記開位置から前記閉位置に移動されると、前記規制部は、前記開閉部材に押圧されることで回動する、
ことを特徴とする構成9に記載の画像形成装置。
(構成11)
前記第2位置に位置する前記定着装置に対向する位置であって、前記支持部に支持された前記定着装置が前記支持部から脱落するのを規制する位置に向けて前記規制部を付勢する付勢部材を更に備える、
ことを特徴とする構成9又は10に記載の画像形成装置。
(構成12)
前記移動ユニットは、前記開閉部材が前記閉位置に位置する際に位置する収納位置と、前記第2位置に位置する前記定着装置を支持可能な支持位置と、の間で移動可能であり、
前記規制部の少なくとも一部は、前記移動ユニットが前記支持位置に位置する際に、前記装置本体の上面よりも上方に位置している、
ことを特徴とする構成1乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(構成13)
前記移動ユニットは、前記開閉部材が前記閉位置に位置する際に位置する収納位置と、前記第2位置に位置する前記定着装置を支持可能な支持位置と、の間で移動可能であり、
前記定着装置は、シート上のトナー像を加熱可能な加熱ユニットと、前記加熱ユニットと共にシートを挟持する加圧ローラと、を有し、
前記規制部の少なくとも一部は、前記移動ユニットが前記支持位置に位置する際に、前記加圧ローラの上端よりも上方に位置している、
ことを特徴とする構成1乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(構成14)
前記移動ユニットは、前記支持部に支持された前記定着装置に係合することで、前記定着装置が前記支持部から取り外されることを規制する取外し規制部を有する、
ことを特徴とする構成1乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(構成15)
前記取外し規制部は、前記定着装置に係合して前記定着装置が前記支持部から取り外されることを規制する取外し規制位置と、前記定着装置から離間して前記定着装置が前記支持部から取り外されることを許容する取外し許容位置と、の間で移動可能である、
ことを特徴とする構成14に記載の画像形成装置。
(構成16)
前記取外し規制部は、前記開閉部材が前記開位置から前記閉位置に向けて移動する際に、前記開閉部材に押圧されることで前記取外し規制位置に移動する、
ことを特徴とする構成15に記載の画像形成装置。
(構成17)
前記取外し規制部は、前記支持部に回動可能に支持される、
ことを特徴とする構成14乃至16のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(構成18)
前記規制部及び前記取外し規制部は、同一の軸部材を中心に回動可能に支持される、
ことを特徴とする構成14乃至17のいずれか1項に記載の画像形成装置。
(構成19)
シートにトナー像を形成するための画像形成部を更に備え、
前記画像形成部は、前記移動ユニットによって前記定着装置が前記第2位置に移動した状態で、前記開口部を介して前記装置本体に対して着脱可能に構成される、
ことを特徴とする構成1乃至18のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【符号の説明】
【0085】
1:画像形成装置/1A:装置本体/1g:上面/9:開口部/20:開閉部材(ドア)/40,50:画像形成部(転写ユニット、トレイユニット)/80:定着装置/83:加熱ユニット(加熱ローラ)/84:加圧ローラ/84a:上端/90:支持部/92:軸部材/111L:規制部、第1規制部材(規制部材)/111R:規制部、第2規制部材(規制部材)/112L,112R:取外し規制部(ロック部材)/114:付勢部材(規制バネ)/118:カバー/140:移動ユニット/D1:距離/ID:交差方向/LD:長手方向/VD:鉛直方向
図1
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