(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025140292
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/14 20060101AFI20250919BHJP
G03G 15/02 20060101ALI20250919BHJP
【FI】
G03G21/14
G03G15/02 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024039600
(22)【出願日】2024-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 幹彦
(72)【発明者】
【氏名】鉄野 修一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 利彦
【テーマコード(参考)】
2H200
2H270
【Fターム(参考)】
2H200HB12
2H200HB21
2H200JA29
2H200LB03
2H200LB39
2H200PA02
2H200PA18
2H270KA09
2H270KA26
2H270KA39
2H270MC16
2H270MC28
2H270MC32
2H270MC39
2H270MC48
2H270MC50
2H270ZC04
2H270ZC06
(57)【要約】
【課題】ドラムクリーナレス方式の画像形成装置において、帯電ローラに付着したトナーを好適に除去するための技術を提供する。
【解決手段】像担持体、帯電部材、現像部材、転写部材および制御部を有し、転写部において像担持体表面のトナー像が被転写体に転写された後、像担持体表面の残留トナーが現像部材により回収され、制御部は、画像形成動作、第1の清掃動作および第2の清掃動作を実施可能であり、第1の清掃動作においては帯電部材に付着したトナーが現像部材に回収され、第2の清掃動作においては帯電部材に付着したトナーが転写部を通過する被転写体に排出される画像形成装置を用いる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な像担持体と、
前記像担持体と接触して帯電部を形成し、前記帯電部において前記像担持体の表面を帯電する帯電部材と、
前記像担持体と接触して現像部を形成し、前記現像部において前記像担持体の表面に正規極性に帯電したトナーを供給することによって、前記像担持体の表面に画像情報に基づいて形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する、回転可能な現像部材と、
前記像担持体と対向し、前記像担持体との間で転写部を形成し、前記転写部において前記トナー像を前記像担持体から被転写体に転写する転写部材と、
前記帯電部材に帯電電圧を印加する帯電電圧印加手段と、
前記現像部材に現像電圧を印加する現像電圧印加手段と、
前記転写部材に転写電圧を印加する転写電圧印加手段と、
前記帯電電圧印加手段と前記現像電圧印加手段と前記転写電圧印加手段と、を制御する制御部と、
を有し、
前記転写部において前記像担持体の表面に形成された前記トナー像が前記被転写体に転写された後、前記像担持体の表面に残留したトナーが前記現像部材により回収されるものであり、
前記制御部は、前記被転写体に前記静電潜像から現像された前記トナー像を形成する画像形成動作と、前記帯電部材を清掃する清掃動作と、を実施することが可能であり、
前記清掃動作は、第1の清掃動作と第2の清掃動作を含み、前記画像形成動作とは異なる非画像形成動作を実行するタイミングで実行され、
前記第1の清掃動作においては、前記帯電部材に付着したトナーが前記現像部材に回収され、
前記第2の清掃動作においては、前記帯電部材に付着したトナーは、前記転写部を通過する前記被転写体に排出される
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1の清掃動作の際は、前記現像電圧が前記正規極性とは逆極性になり、前記帯電電圧が前記正規極性かつ放電開始電圧以下となるように、制御を行い、
前記第2の清掃動作の際は、前記現像電圧が前記正規極性とは逆極性になり、前記転写電圧が前記正規極性とは逆極性になり、前記帯電電圧が前記正規極性となるように、制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2の清掃動作において、前記転写電圧が放電開始電圧よりも低くなるように、制御を行う
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像担持体の回転方向において、前記転写部より下流側かつ前記帯電部よりも上流側に配置され、前記像担持体の表面を除電する除電部材をさらに有し、
前記制御部は、前記清掃動作において、前記除電部材により前記像担持体の表面を除電する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像部材が前記現像部に供給するためのトナーを収容するトナー収容部をさらに有し、
前記トナー収容部には、トナー補給容器からトナーが補給され、
前記制御部は、前記トナー補給容器から前記トナー収容部にトナーが補給されたとき、前記清掃動作を実行するように制御する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記被転写体は、画像が転写された後に前記画像形成装置から排出される転写材であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記被転写体は、中間転写体である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やレーザープリンターなど、感光ドラムを有し、電子写真プロセスにより画像を形成する画像形成装置が用いられている。このような画像形成装置のクリーニング方式の1つとして、感光ドラムに専用のトナークリーニング手段を設けない、ドラムクリーナレス方式がある。ドラムクリーナレス方式の画像形成装置では、現像手段が、転写後の感光ドラム上に残留した転写残トナーなどを回収するための回収手段を兼ねる。現像手段に回収された残留トナーは現像に再利用される。そのため、ドラムクリーナレス方式においては、専用のトナークリーニング手段や、回収した残留トナーを保管する容器が不要であり、画像形成装置の小型化や低コスト化が可能となる。
【0003】
ドラムクリーナレス方式の画像形成装置において、感光ドラム上に多量の残留トナーが発生すると、感光ドラムを帯電させる帯電ローラに多量のトナーが付着することがある。すると帯電不良が生じ、感光ドラムの表面電位と現像部材の電位との間の電位差を、適切な値に制御できなくなる。その結果、現像手段での残留トナーの回収不良や、現像手段からの意図しないトナー現像に伴う画像不良が発生することがある。
【0004】
特許文献1では、帯電ローラに付着したトナーを正規極性に帯電させ、帯電させたトナーを帯電ローラから感光ドラムに転移させ、さらに感光ドラムから現像部材へ回収することで、帯電ローラをクリーニングする技術を開示している。これにより感光ドラムの表面の帯電不良を抑制し、画像不良を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、製品寿命の末期でトナーが劣化している場合など、現像部材に正規極性に帯電したトナーが大量に付着する場合がある。このような場合、現像部材と、それに対向する感光ドラム表面との電位差を適切に制御できないため、現像部材から感光ドラムに大量にトナーが吐き出され続ける。このような場合、特許文献1の方法による帯電ローラのクリーニング効果が不十分となる場合があった。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ドラムクリーナレス方式の画像形成装置において、帯電ローラに付着したトナーを好適に除去するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
回転可能な像担持体と、
前記像担持体と接触して帯電部を形成し、前記帯電部において前記像担持体の表面を帯電する帯電部材と、
前記像担持体と接触して現像部を形成し、前記現像部において前記像担持体の表面に正規極性に帯電したトナーを供給することによって、前記像担持体の表面に画像情報に基づ
いて形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する、回転可能な現像部材と、
前記像担持体と対向し、前記像担持体との間で転写部を形成し、前記転写部において前記トナー像を前記像担持体から被転写体に転写する転写部材と、
前記帯電部材に帯電電圧を印加する帯電電圧印加手段と、
前記現像部材に現像電圧を印加する現像電圧印加手段と、
前記転写部材に転写電圧を印加する転写電圧印加手段と、
前記帯電電圧印加手段と前記現像電圧印加手段と前記転写電圧印加手段と、を制御する制御部と、
を有し、
前記転写部において前記像担持体の表面に形成された前記トナー像が前記被転写体に転写された後、前記像担持体の表面に残留したトナーが前記現像部材により回収されるものであり、
前記制御部は、前記被転写体に前記静電潜像から現像された前記トナー像を形成する画像形成動作と、前記帯電部材を清掃する清掃動作と、を実施することが可能であり、
前記清掃動作は、第1の清掃動作と第2の清掃動作を含み、前記画像形成動作とは異なる非画像形成動作を実行するタイミングで実行され、
前記第1の清掃動作においては、前記帯電部材に付着したトナーが前記現像部材に回収され、
前記第2の清掃動作においては、前記帯電部材に付着したトナーは、前記転写部を通過する前記被転写体に排出される
ことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ドラムクリーナレス方式の画像形成装置において、帯電ローラに付着したトナーを好適に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】実施例1における現像部での電位関係を説明する図
【
図5】実施例1における帯電ローラのトナー汚れに伴う帯電不良を説明する図
【
図6】実施例1における帯電ローラのトナー汚れに伴う帯電不良を説明する図
【
図7】実施例1における帯電ローラのクリーニング動作を説明する図
【
図8】実施例1における転写残トナーの量と転写電圧の関係を説明する図
【
図9】実施例1における帯電ローラのトナー汚れによる画像不良を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0012】
[実施例1]
<1.画像形成装置>
図1は、実施例1の画像形成装置100の一実施形態の概略構成を説明するための断面図である。本実施例の画像形成装置100は、クリーナーレス方式及び接触帯電方式を採用したモノクロレーザビームプリンタである。
【0013】
画像形成装置100には、感光ドラム1(像担持体)が設けられている。感光ドラム1の周囲には、帯電ローラ2(帯電手段、帯電部材)、現像装置3(現像手段)が設けられている。また、
図1において感光ドラム1の回転方向Rにおける帯電ローラ2と現像装置3との間には、露光装置4(露光手段、露光ユニット)が設けられている。また、感光ドラム1には転写ローラ5(転写手段、転写部材)が圧接されている。
【0014】
本実施例の感光ドラム1は、円筒型で負帯電性の有機感光体である。感光ドラム1は、アルミニウムのドラム状の基体上に感光層を有している。感光ドラム1は、
図3に示した駆動モータ110(駆動手段)によって回転方向Rに所定のプロセススピードで回転駆動される。本実施例のプロセススピードは、感光ドラム1の周速度(表面移動速度)に相当し、140mm/secである。また感光ドラム1の外径は24mmである。
【0015】
帯電ローラ2は、感光ドラム1に所定の圧接力で接触し、帯電部Gを形成する。帯電ローラ2は、帯電電源E1(帯電電圧印加手段)によって所望の帯電電圧Vc(帯電バイアス)を印加される。これにより帯電ローラ2は、感光ドラム1の表面を所定の電位に均一に帯電させる。本実施例では、帯電電源E1は帯電ローラ2に、帯電電圧Vcとして負極性の直流電圧を印加する。これにより帯電ローラ2は、感光ドラム1の表面を負極性に帯電させる。本実施例における帯電電圧Vcは、-1300Vとした。この帯電処理により、感光ドラム1の表面は一様に、-700Vの暗部電位Vdとなる。
【0016】
より詳細には、帯電ローラ2は、感光ドラム1の回転方向Rに関して感光ドラム1との接触部の上流側及び下流側に形成される感光ドラム1との間の微小な空隙の少なくとも一方で発生する放電によって、感光ドラム1の表面を帯電させる。ただし以下では、帯電ローラ2と感光ドラム1との接触部が、帯電部Gであると擬制して説明する。
【0017】
本実施例の露光装置4はレーザスキャナ装置である。露光装置4は、ホストコンピュータ等の外部装置から入力された画像情報に対応したレーザ光を感光ドラム1の表面に照射し、走査露光する。これにより感光ドラム1の表面に画像情報に応じた静電潜像が形成される。本実施例では、一様に帯電処理されて形成された感光ドラム1の表面の暗部電位Vd(-700V)のうち、露光装置4によって露光された部分において電位の絶対値が低下して、明部電位Vl(-100V)となる。
【0018】
以下、感光ドラム1の表面のうち、露光装置4によって露光される部分を露光部とする。露光部は、画像(静電潜像)が形成されている「画像形成部」である。一方、露光されなかった部分は、「非画像形成部」である。なお、露光装置4はレーザスキャナ装置に限定されず、例えば、感光ドラム1の長手方向に沿って複数のLEDが配列されたLEDアレイでも良い。
【0019】
本実施例では現像方式として接触現像方式を用いる。現像装置3(現像手段)は、現像ローラ31(現像剤担持体、現像部材)、供給ローラ32(現像剤供給手段)、トナー(現像剤)を収容するトナー収容室33、現像ブレード34を含む。
【0020】
供給ローラ32は、トナー収容室33から現像ローラ31にトナーを供給する。供給されたトナーは、現像ローラ31と現像ブレード34との接触部であるブレードニップNbを通過することで、所定の極性に帯電される。現像ローラ31上に担持されたトナーは、静電潜像に応じて、現像ローラ31から感光ドラム1に移動する。ここでは、現像ローラ31と感光ドラム1との接触部が、現像部Hであるものとする。
【0021】
本実施例の現像ローラ31は、回転方向Pに回転駆動される。これにより、感光ドラム
1と現像ローラ31との接触部で、感光ドラム1と現像ローラ31とが順方向に移動する。なお、現像ローラ31の駆動手段には、感光ドラム1の共通の駆動モータ110を用いてもよい。あるいは、別々の駆動モータが感光ドラム1と現像ローラ31を駆動してもよい。
【0022】
現像時に、現像ローラ31には、現像電源E2(現像電圧印加手段)により、所定の現像電圧Vf(現像バイアス)が印加される。本実施例では、現像電源E2は現像ローラ31に現像電圧Vfとして負極性の直流電圧を印加し、その値は、-380Vである。上述の通り、感光ドラム1上の画像形成部においては、露光によって電位の絶対値が低下している(-700Vからー100Vへ)。この画像形成部に、感光ドラム1の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーが付着する。この現像方式を反転現像方式という。本実施例では、現像時のトナーの帯電極性である正規極性は負極性である。
【0023】
なお、本実施例では、一成分非磁性接触現像法を採用したが、この態様に限定されるものではなく、二成分非磁性接触現像法、非接触現像法、磁性現像法などを採用してもよい。二成分非磁性接触現像法は、現像剤として非磁性トナーと磁性キャリアとを備えた二成分現像剤を用い、現像剤担持体上に担持した現像剤を感光ドラム1に接触させて現像を行う方法である。非接触現像法は、感光に対して非接触で対向配置された現像剤担持体上から感光体上にトナーを飛翔させて現像を行う方法である。また、磁性現像法は、感光体に対して接触又は非接触で対向配置された、磁界発生手段としてのマグネットを内蔵する現像剤担持体上に、磁力によって磁性トナーを担持して現像を行う方法である。なお、本実施例では中心平均粒径が6μm、正規の帯電極性が負極性のトナーを用いている。
【0024】
転写ローラ5としては、ポリウレタンゴムやEPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)、NBR(ニトリルブタジエンゴム)などからなる、スポンジゴムなどの弾性部材で構成されたものが好適である。転写ローラ5は感光ドラム1に向けて押圧され、感光ドラム1と転写ローラ5とが圧接する転写部Jを形成する。
【0025】
転写時に、転写ローラ5には、転写電源E3(転写電圧印加手段)により、所定の転写電圧Vt(転写バイアス)が印加される。本実施例では、転写電源E3ha、転写ローラ5に転写電圧Vtとして、トナーの正規極性とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧を印加し、その値は、+1000Vである。そして、転写ローラ5と感光ドラム1との間に形成される電界の作用により、感光ドラム1から転写材Sへとトナー像が静電的に転写される。
【0026】
感光ドラム1上に形成されたトナー像が転写部Jに到達するタイミングに合わせて、カ
セット6に格納された記録材としての転写材Sが給紙ユニット7により給紙され、レジストローラ対8を通り、転写部Jに搬送される。感光ドラム1上に形成されたトナー像は、
転写高圧電源によって所定の転写電圧Vtが印加された転写ローラ5により、転写材S上に転写される。
【0027】
トナー像を転写された後の転写材Sは、定着器9に搬送される。定着器9は、不図示の定着ヒータと定着ヒータの温度を測定する不図示のサーミスタを内蔵した定着フィルム91と、定着フィルム91に圧接するための加圧ローラ92を備えたフィルム加熱方式の定着器である。定着器9における加熱及び加圧により、転写材Sにトナー像が定着される。その後、排紙ローラ対10が、転写材Sを装置外へ排出する。
【0028】
ここで、転写材Sに転写されずに感光ドラム1に残留した転写残トナーなどの、画像形成に使用されないトナーは、以下の工程で除去される。
【0029】
感光ドラム1上に残留した転写残トナーには、正規極性とは逆の正極性に帯電しているトナーや、負極性に帯電しているものの充分な電荷を有していないトナーが混在する。それらのトナーは、帯電ローラ2と感光ドラム1の当接部である帯電部Gの直前で、帯電ロ
ーラ2と感光ドラム1の間に形成された電位差による放電によって、十分に負極性に帯電される。その結果、負極性の帯電電圧Vcが印加された帯電ローラ2との静電的な斥力を得ることで、帯電ローラ2にトナーが付着することなく、トナーは帯電部を通過する。
【0030】
なお、帯電部Gでの放電によって十分に負極性に帯電されなかった一部のトナーは、一
旦は帯電ローラ2上に付着する。しかしながら、帯電ローラ2に付着したトナーは、帯電ローラ2と感光ドラム1との間で生じる摺擦や、帯電電圧Vcの印加によって、再度、負極性に帯電される。そして、負極性の帯電電圧Vcが印加された帯電ローラ2との静電的な斥力により、付着トナーは帯電ローラ2から感光ドラム1上に転移する。
【0031】
帯電ローラ2において負極性に帯電された感光ドラム1上の残留トナーは、感光ドラム1の回転に伴い現像部Hに到達した後に、以下のように処理される。
【0032】
図4に、実施例1における現像部Hでの感光ドラム1に形成された表面電位(暗部電位
Vd、明部電位Vl)と、現像電圧Vfの関係を示す。横軸は感光ドラム1表面における位置を模式的に示し、縦軸は電位を示す。静電潜像が形成されない非画像形成部では、感光ドラム1の表面電位(暗部電位Vd)よりも、現像電圧Vfが相対的に正極性側の値となっている。このような電位の関係により、感光ドラム1上の負極性に帯電された残留トナーは、感光ドラム1上から現像ローラ31上へと転移し、その後、トナー収容室33中に回収される。なお、トナー収容室33に回収されたトナーは、再度、画像形成に使用される。
【0033】
ここで、
図4に示す非画像形成部での感光ドラム1の表面電位(暗部電位Vd)と現像電圧(Vf)との電位差の絶対値であるバックコントラスト(Vback)の値の、好ましい設定について説明する。感光ドラム1上の負極性に帯電したトナーを現像ローラ31に回収するために、現像部HでのVbackを十分に確保することが好ましい。そして、
現像ローラ31に担持されたトナーが感光ドラム1の表面に意図せず現像される現象(すなわち、後述する「かぶりトナー」の発生)を抑制できる値に設定することが好ましい。具体的には、Vbackは100Vから500V程度に設定することが好ましい。
【0034】
なお、Vbackが100V未満の場合は、感光ドラム1の表面に付着した負極性に帯電したトナーに対する回収性を、十分に確保できない可能性がある。さらに、現像ローラ31上の負極性に帯電したトナーが意図せずに感光ドラム1上に現像される現象(かぶりトナー)が発生しやすくなる。一方、Vbackが500Vよりも大きい場合は、現像ローラ31と感光ドラム1の間で発生する放電により、現像ローラ31上のトナーが正極性側に帯電する可能性がある。その結果、現像ローラ31上から感光ドラム1上へとトナーが転移し、かぶりトナーが発生しやすくなる。そこで実施例1においては、感光ドラム1の暗部電位Vdを-600V、現像電圧Vfを-300Vとし、Vbackを300Vとした。
【0035】
また、
図4に示すように、現像部Hにおいて静電潜像が形成されている画像形成部は、
明部電位Vlとなっている。明部電位Vlと現像電圧Vfの関係は、現像ローラ31上から感光ドラム1へと、負極性に帯電したトナーが現像のために供給されるようになっている。この電位関係は、現像コントラスト(Vcont)と呼ばれる。これにより、感光ドラム1上にある負極性に帯電されたトナーがそのままトナー像として使用されるとともに、現像ローラ31からトナーが供給されることによって、静電潜像がトナー像として現像される。そして形成されたトナー像は、転写部Jにおいて転写材Sに転写される。
【0036】
また
図1に示すように、感光ドラム1の回転方向Rにおいて転写部Jと帯電部Gの間に、
感光ドラム1の帯電電位を除電する前露光装置12(除電手段)が設けられている。前露光装置12を用いた除電により、転写によって発生した感光ドラム1の表面電位のムラを均すことができるので、帯電部Gでの放電が安定し、均一な帯電電位を得ることができる
。
【0037】
なお、感光ドラム1、帯電ローラ2などを筐体にまとめて、画像形成装置100の本体に着脱可能なカートリッジとしてもよい。また、現像装置3を画像形成装置100の本体に着脱可能なカートリッジとしてもよい。また、感光ドラム1、帯電ローラ2や現像装置3を含めて、画像形成装置100の本体に着脱可能なカートリッジとしてもよい。なお、画像形成装置100はモノクロ方式には限定されず、複数色(例えば4色)のトナーを用いたカラー印刷方式であってもよい。
【0038】
次に、本実施例における紙粉除去機構について説明する。
図1に示した通り、画像形成装置100は、ブラシ部材11(回収部材)を有する。ブラシ部材11は、紙粉除去機構であり、感光ドラム1との接触部材である。本実施例のブラシ部材11は、感光ドラム1の回転方向Rにおいて、転写部Jよりも下流側かつ帯電部Gよりも上流側に配置される。ブラシ部材11は、感光ドラム1の表面に接触してブラシ接触部を形成する。
【0039】
図2(A)は、単体の状態のブラシ部材11をその長手方向(感光ドラム1の回転軸線方向と略平行)に沿って見た模式図である。また、
図2(B)は、感光ドラム1に当接させた状態のブラシ部材11をその長手方向に沿って見た模式図である。ブラシ部材11は、その長手方向が感光ドラム1の回転軸線方向と略平行となるように配置される。
【0040】
ブラシ部材11は、固定配置される導電性の固定ブラシで構成されている。ブラシ部材11は、導電性を有するナイロン製のパイル糸11aと、パイル糸11aを支持する基布11bで構成される。パイル糸11aは、感光ドラム1の表面を摺擦する複数の毛材である。ブラシ部材11として例えば、導電剤としてカーボンを含有した合成繊維で形成された基布11bに、導電性物質を配合したナイロンの繊維で形成された導電性のパイル糸11a(導電糸)が織り込まれて構成されたものを用いてもよい。また、パイル糸11aの材料としては、ナイロンの他に、レーヨン、アクリル、ポリエステルなどを用いてもよい。
【0041】
図2(A)に示すように、ブラシ部材11が単体の状態、すなわち、パイル糸11aを屈曲させようとする力が外部から掛かっていない状態で、基布11bから露出しているパイル糸11aの先端までの距離をL1とする。本実施例では、L1は6.5mmである。ブラシ部材11の基布11bは、画像形成装置100の所定の位置に設置された支持部材(図示せず)に、両面テープなどの固定手段によって固定される。
【0042】
ブラシ部材11は、パイル糸11aの先端が感光ドラム1に対して侵入するように固定される。ここで「侵入」とは、
図2(B)に示すように、パイル糸11aの先端が感光ドラム1との当接によって屈曲し、自然長よりも短くなっている状態を指す。本実施例では、上記支持部材と感光ドラム1との間のクリアランスは固定されている。そして、上記支持部材に固定されたブラシ部材11の基布11bから感光ドラム1までの最短距離をL2とする。本実施例では、L2とL1との差分を、ブラシ部材11の感光ドラム1に対する侵入量と定義する。本実施例では、ブラシ部材11の感光ドラム1に対する侵入量は1mmである。
【0043】
また、本実施例では、
図2(A)の状態におけるブラシ部材11の感光ドラム1の周方
向(以下、「短手方向」という)の長さL3は5mmである。また、本実施例では、ブラシ部材11の長手方向の長さは216mmである。これにより、感光ドラム1の回転軸線方向に関して、感光ドラム1上の画像形成領域(トナー像が形成されうる領域)の全域にブラシ部材11が接触出来るようになっている。かかる構成により、感光ドラム1の回転に伴って、ブラシ部材11が感光ドラム1の表面を摺擦することができる。ブラシ部材11は、転写部において転写材Sから感光ドラム1上に転移した紙粉などの付着物を捕集(回収)し、感光ドラム1の移動方向においてブラシ部材11よりも下流側の帯電部G、お
よび、現像部Hへと移動する紙粉の量を低減する。
【0044】
なお、ブラシ部材11の感光ドラム1の短手方向の長さは上記の例に限定されず、画像形成装置100や感光ドラム1などの寿命に応じて適宜変更してもよい。ブラシ部材11の短手方向の長さが長いほど、より長期間紙粉を捕集できる。また、ブラシ部材11の長手方向の長さも上記の例に限定されず、画像形成装置の最大通紙幅に応じて適宜変更してもよい。
【0045】
ブラシ部材11には、ブラシ電圧印加手段としてのブラシ電源E4が接続されている。画像形成時に、ブラシ部材11には、ブラシ電源E4により所定のブラシ電圧(ブラシバイアス)が印加される。本実施例では、画像形成時に、ブラシ部材11には、ブラシ電圧として負極性の直流電圧が印加される。本実施例のブラシ電圧は、-350Vである。
【0046】
<2.制御態様>
図3は、本実施例の画像形成装置100の要部の制御態様を示す概略ブロック図である。制御部150は、CPU151(演算制御手段)、ROMやRAMなどのメモリ152(記憶手段、記憶素子)を有し、制御部150に接続された各々の構成要素から信号を受信するとともに、制御信号を送信する。メモリ152において、RAMには、センサの検知結果、演算結果などが格納され、ROMには制御プログラム、予め求められたデータテーブルなどが格納されている。制御部150は、画像形成装置100の動作を統括的に制御する制御手段である。制御部150は、各種の電気的情報信号の授受や、駆動のタイミングなどを制御して、所定の画像形成シーケンスを実行する。制御部150には、画像形成装置100の各部が接続されている。
【0047】
<3.画像出力動作>
画像出力動作(ジョブ)は、パーソナルコンピュータなどの外部機器やユーザからの指示に従い、画像形成装置100が転写材Sに画像を形成する一連の動作である。画像出力動作は、一般に、画像形成工程(印字工程)、前回転工程、複数の転写材Sに画像を形成する場合の紙間工程、及び後回転工程を有する。
【0048】
画像形成工程は、感光ドラム1への静電潜像の形成、静電潜像の現像(トナー像の形成)、トナー像の転写、トナー像の定着などを行う期間であり、「画像形成時」とは一般にこの工程をいう。前回転工程は、画像形成工程の前の準備動作を行う期間である。紙間工程は、複数の転写材Sに対して画像形成工程を連続して行う際(連続画像形成時)の転写材Sと転写材Sとの間に対応する期間である。後回転工程は、画像形成工程の後の整理動作(準備動作)を行う期間である。「非画像形成時」とは、画像形成時以外の期間であって、上記前回転工程、紙間工程、後回転工程、更には画像形成装置100の電源投入時又はスリープ状態からの復帰時の準備動作である前多回転工程などが含まれる。
【0049】
<4.帯電部材のクリーニング動作>
転写後、感光ドラム1上に多量の残留トナーがある場合、帯電部Gにおける感光ドラム
1上の残留トナーの負極性化処理が不十分になることがある。その場合、正極性に帯電されたトナーが帯電ローラ2に付着し、帯電ローラ2上にトナー汚れが蓄積してしまう。
【0050】
特に、高温高湿環境下でのプリント時や、タルクを填料として多量に含有した用紙(タルク紙)でのプリント時、ジャム発生時など、転写後の感光ドラム1上に多量の残留トナーが残る。これらの場合、帯電性が低下したトナーによるトナー汚れが多量に発生し、帯電ローラ2へのトナー汚れの蓄積が生じることがある。
【0051】
図5は、帯電ローラ2に多量のトナー汚れが蓄積した場合の、感光ドラム1の表面電位と現像電圧Vfの関係を示す。
図5に示すように、感光ドラム1において、帯電ローラ2のトナー汚れ部に対応する領域では帯電不良が発生して帯電不良部となる。この帯電不良部では、Vbackが小さくなる(Vback_d)。これは、帯電ローラ2の表面にトナーが付着することによって抵抗が高くなり、所望の放電を行うことができないためである。
【0052】
特に、Vbackが100Vよりも小さくなると、前述したように、非画像形成部で感光ドラム1上の負極性に帯電された残留トナーの現像ローラ31への回収不良が生じる。さらに、感光ドラム1上にかぶりトナーが発生する恐れがある。そして、回収されなかった感光ドラム1上の残留トナーや、かぶりトナーは、帯電ローラ2にトナー汚れとして付着し、帯電不良をさらに助長する。そして、帯電ローラ2上のトナー汚れに起因して帯電部Gでの放電量が減少すると、感光ドラム1の表面電位の絶対値が小さくなる。さらに、
放電量の減少が進むほどVbackが小さくなるために、かぶりトナー量が増加していく。
【0053】
図6は、上述のようにトナー汚れが進行し続けた場合の、感光ドラム1の表面電位を示す。トナー汚れが
図6の状態まで進行すると、帯電ローラ2のトナー汚れ部に対応する帯電不良部では、感光ドラム1を帯電することが、ほぼできなくなる。また、帯電ローラ2のトナー汚れによる感光ドラム1の帯電不良部へ現像されたトナーの一部は、転写材S上へ転写され、トナー汚れによる画像不良となる。
【0054】
このような画像不良は、背景技術に示すような帯電ローラ2のクリーニング動作(第1の清掃動作であり、以後、「クリーニング動作1」と称する)により解消される。クリーニング動作1は要約すると、帯電電圧Vcを負極性かつ放電開始電圧以下とし、現像電圧Vfを正極性(正規極性とは逆極性)として、感光ドラム1、帯電ローラ2、現像ローラ31を回転させる、というものである。上記の動作によって帯電ローラ2に付着した正極性のトナーは負極性化し、感光ドラム1に移動し、現像ローラ31を介してトナー収容室33に回収される。なお、第1のクリーニング動作(第1の清掃動作)や、後述する第2
のクリーニング動作(第2の清掃動作)は、画像形成動作とは異なるタイミングである非
画像形成動作のタイミングで実行される。
【0055】
ここで、製品寿命の末期でトナーが劣化している場合など、現像ローラ31に正規極性に帯電したトナーが大量に付着する、現像フィルミング(または単に「フィルミング」)という現象が発生する場合がある。
【0056】
現像フィルミングについて詳しく説明する。トナーが劣化していない場合、画像形成時もしくは非画像形成時、供給ローラ32と現像ローラ31の接触部分の下流部において現像ローラ31にトナーが供給された後、現像ローラ31上のトナーは現像ブレード34により規制される。これにより、現像ローラ31上から余分なトナーが除去される。そのため、現像ローラ31が感光ドラム1に接触するときには常に、一定量のトナーが保持されている。感光ドラム1との接触後の現像ローラ31上のトナーは、供給ローラ32と現像ローラ31の接触部分の上流部において現像ローラ31から除去される。
【0057】
一方、トナーが劣化している場合、供給ローラ32と現像ローラ31の接触部分の下流部において現像ローラ31に供給されるトナーの一部が、現像ローラ31に強力に固着する。この固着トナーは、現像ブレード34による規制によっても除去しきれない場合がある。さらに固着トナーは、感光ドラム1に接触した後、供給ローラ32と現像ローラ31の接触部分の上流部においても除去しきれない場合がある。さらにその上から付着した劣化したトナーは、段々と固着していく。このように、トナーの固着が繰り返されることで、現像ローラ31上に大量のトナーが固着する現象が、現像フィルミングである。
【0058】
現像フィルミングが発生し、現像ローラ31に正規極性(負極性)に帯電したトナーが大量に付着すると、現像ローラ31の最表面における電位が、現像ローラ31に印加される現像電圧Vfの電位よりも正規極性側に振れる。これは、正規極性のトナーが現像ローラ31表面に付着することにより、現像ローラ31の芯金部よりも現像ローラ31の表面が負極性側の電位となることによる。これにより、非画像形成部において、感光ドラム1と現像ローラ31のバックコントラストVbackを十分に確保できなくなる。その結果、非画像形成部であってもトナーが大量に感光ドラム1に付着してしまう。
【0059】
この状態で通紙を行うと、大量の付着トナーの一部が転写材Sに転写され、ベタ黒の画像の様な画像不良を生じさせる。また、非通紙時に転写部Jを素通りしたトナーや、通紙
時に紙に転写されなかったトナーの一部は、帯電ローラ2に付着して帯電不良の原因となる。そして、帯電ローラ2に付着しなかったトナーは再度、現像部Hに到達する。しかし
前述のとおり、Vbackを十分に確保できないため、このトナーは現像部Hで積極的に
回収されることはない。結果、現像フィルミング発生部分の感光ドラム1と現像ローラ31上には、トナーが大量に蓄積し続ける。
【0060】
このように現像フィルミングが発生したとき、クリーニング動作1を実施したとしても、以下の(1)~(3)の現象により、帯電ローラ2のクリーニング効果が不十分となり、帯電不良やそれに起因する画像不良を抑制できない場合がある。まず(1)として、現像ローラ31から感光ドラム1上に吐き出されたトナーが、帯電ローラ2に付着してしまう現象がある。次に(2)として、帯電ローラ2に対向する感光ドラム1上に現像ローラ31から感光ドラム1上に吐き出されたトナーが存在することで、帯電ローラ2と感光ドラム1の間の摩擦力が低下し、トナーの正規極性への帯電を阻害してしまい、帯電ローラ2から感光ドラム1にトナーが転移しづらくなる現象がある。さらに(3)として、帯電ローラ2から感光ドラム1に転移したトナーも、現像ローラ31と対向する感光ドラム1の電位差が好適に制御されていないことで、現像ローラ31に回収されずに感光ドラム1上に残ってしまう現象がある。
【0061】
そこで本実施例では、次に述べるような帯電ローラ2のクリーニング動作(第2の清掃動作であり、「クリーニング動作2」と称する)を行うことにより、現像ローラ31に正規極性に帯電したトナーが大量に付着しているときであっても、帯電ローラ2に付着したトナーを好適に除去して感光ドラム1表面の帯電不良を抑制し、画像不良を軽減する。
【0062】
図7は、実施例1において、現像フィルミングが発生しているときの帯電ローラ2のトナー汚れのクリーニング動作2を説明するタイミングチャートである。ここで、クリーニング動作2を実行するトリガは、ユーザによるモード選択でもよいし、上記現像フィルミングの発生が想定される使用状況において、その状況を検知した場合でもよい。検知タイミングとしては例えば、形成された画像を見たユーザによる指示を受けたタイミングや、センサにより検知されたタイミングなどがある。また、装置稼働時間や通紙枚数などが所定の数に達したときに行ってもよい。
【0063】
図7のタイミングT1において、帯電電源E1が帯電ローラ2に帯電電圧Vcを、現像
電源E2が現像ローラ31に現像電圧Vfを、転写電源E3が転写ローラ5に転写電圧Vtを印加する。また制御部150は前露光装置12をONにする。本実施例においては、帯電電圧Vcを-500V、現像電圧Vfを+200V、転写電圧Vtを+500Vとした。帯電電圧Vcは放電開始電圧以下の電圧としている。本実施例において、放電開始電圧は-550Vである。
【0064】
帯電電圧Vc、現像電圧Vf、転写電圧Vtが十分立ち上がった後、タイミングT2において、制御部150が感光ドラム1の駆動を開始する。その後t1からt2で示した期間(通紙期間)、転写部Jを紙が通過する。紙の通過後のタイミングT3において、まず
感光ドラム1の駆動をOFFする。その後、タイミングT4において、帯電電圧Vc、現像電圧Vf、転写電圧Vt、前露光装置12の露光をほぼ同時にOFFする。タイミングT1からT4に至る期間、感光ドラム1に対し現像ローラ31と帯電ローラ2は当接状態である。また、タイミングT3とT4は同時でもよい。
【0065】
なお、転写電圧Vtの制御の例として、通紙が始まるまでは負極性の電圧とし、通紙が開始してから上記のような正極性の電圧とすることも可能である。これは、通紙開始までは現像ローラ31から搬送されるトナーのうち、負帯電トナーは転写ローラ5に転移させず、正帯電トナーは転写ローラ5への転移を許容するためである。そして通紙開始後に正極性に制御することで、感光ドラム1上の負帯電トナーと転写ローラ5上の正帯電トナーを、共に転写材Sに転写させる。
【0066】
現像フィルミングが発生している場合、現像ローラ31の表面に正規極性である負極性に帯電したトナーが大量に付着しているため、現像電圧Vfを正極性としても、感光ドラム1と十分な電位差を設けることができない。その結果、感光ドラム1上に、大量の負極性に帯電したトナーが吐き出され続け、このトナーの一部は帯電ローラ2に付着する。この状況において、転写ローラ5に正極性の電圧を印加して通紙を行うと、感光ドラム1上の負極性のトナーを紙に回収することができる。そして、トナーが除去された感光ドラム1の表面が帯電部Gに到達することで、帯電ローラ2へのトナー付着を抑制できる。
【0067】
また、トナーが除去された感光ドラム1の表面と帯電ローラ2が摺擦することで、帯電ローラ2に付着している正極性のトナーや十分な負極性の電荷をもたないトナーを負極性へ帯電させることができる。そして、負極性トナーと帯電ローラ2との静電的な斥力により、トナーを帯電ローラ2から感光ドラム1上へと転移させることができる。
【0068】
さらに、帯電ローラ2上から感光ドラム1へと転移させた負極性に帯電したトナーを、紙を介して正極性側の転写電圧Vtを印加した転写部Jで、紙へと転移させ機外へ排出す
ることができる。このようにして、帯電ローラ2上に付着したトナーを除去することができる。
【0069】
なお、本実施例においては、一律に同じタイミングで帯電電圧Vc、現像電圧Vf、転写電圧Vtを立ち上げた。また、前露光装置12をONした。しかし、帯電電圧Vcと現像電圧Vfは駆動モータ110の駆動の前に立ち上げられる必要があるものの、転写電圧Vtについては紙が転写部に到達するまでにONされていればよい。また前露光装置12については、感光ドラム1の駆動が停止している状態で現像部Hを形成していた感光ドラ
ム1の表面が前露光装置12の対向面、すなわち、感光ドラム1の表面を露光する前露光部に到達するタイミングで露光し始めてもよい。また、帯電部Gを形成していた感光ドラ
ム1の表面が感光ドラム1の表面を露光する前露光部に到達するタイミングで露光し始めてもよい。なお、前露光装置12をONするのは、-500Vの帯電電圧を印加していることで、トナーを介した注入帯電により感光ドラム電位が0Vから負極側に帯電する可能性を考慮したものである。
【0070】
クリーニング動作2において転写部Jを通過する紙(転写材S)の搬送方向の長さにつ
いて検討する。まず少なくとも、感光ドラム1の表面にあるトナーを除去するために、感光ドラム1の1周分の紙の長さが必要である。さらに、その長さに加えて、帯電ローラ2から感光ドラム1へトナーを転移させることを考えると、帯電ローラ2が1周するときに対向する感光ドラム1の搬送方向における長さがあってもよい。
【0071】
現像フィルミングにより感光ドラム1上に吐き出されたトナーの転写材Sへの転移は、転写材Sが転写部Jを通過し始めたとき(=t1)から始まる。t1時点で転写部Jを形成する感光ドラム1の表面が帯電部Gに到達してから、帯電ローラ2の1周分、帯電ローラ
2とトナーが除去された感光ドラム1の表面とが摺擦され、この摺擦された感光ドラム1の表面が再び転写材Sと転写部を形成し終えるまで転写部Jに転写材Sが存在し続けるこ
とが好ましいためである。もちろん、これより転写材Sの搬送方向の長さを長くしてもよいし、複数枚の紙を連続して流してもよい。
【0072】
転写部Jを通過する転写材Sの長手方向の長さは、少なくとも現像フィルミングが発生
している長手位置に相当する部分をカバーする長さ以上であることが好ましい。一例として、現像ローラ31の長手方向においてトナーが供給される現像開口の長さが221.6mmである場合、転写材Sの長手方向の長さをそれ以上とすることが好ましい。さらに、クリーニング効果を最大化するためには、最大通紙幅の転写材Sを通紙させることがより好ましい。
【0073】
クリーニング動作2に用いる転写材Sの種類は、普通紙や光沢紙等の紙でもよい。あるいは、給紙部から排紙部の搬送に支障がなく、転写部において感光ドラム1上のトナーを好適に回収できるものであれば、紙でなくともよい。本実施例においてはレターサイズ(短手215.9mm×長手279.4mm)の普通紙である、Xerox Vitality Multipurpose Printer Paper(商品名、坪量75g/m2)を1枚通紙することとした。
【0074】
クリーニング動作2時の転写電圧Vtと通常通紙時の転写電圧Vtの関係を、
図8を用いて説明する。
図8の横軸は転写電圧Vtである。縦軸は、転写電圧Vtを変化させたときに感光ドラム1に残る転写残トナーの量を簡易的に示す。対向する感光ドラム1の表面電位は0Vの場合を想定している。正極性に帯電した転写残トナーの量を転写残(+)、負極性に帯電した転写残トナーを転写残(-)、これらを合わせた転写残トナーの総量を転写残(総量)としている。Vt_CLNはクリーニング動作2時の転写電圧、V0は放電開始電圧、Vt_normalは通紙時の転写電圧である。一例として、Vt_CLNを+500V、V0を+550V、Vt_normalを+1000Vとしてもよい。
【0075】
なお、クリーニング動作においてブラシ電源E4からブラシ部材11に印加されるブラシ電圧ブラシ電圧を制御することも好ましい。例えば制御部150は、ブラシ電圧はドラム電位(0V)に対し、放電電圧以下で、かつ正極性側に制御してもよい。このような電位関係であれば、ブラシ部材11の内部には正規極性のトナーが収集され、正極性のトナーは吐き出される。このように予め正極性のトナーを吐き出しておくことで、クリーニング動作の終了後に通紙動作を行う際に、ブラシ部材11よりも下流側にあり、通紙動作時には負極性の電圧を印加される帯電ローラ2が汚されることを防止できる。
【0076】
図8より、正極性に帯電した転写残トナーは、転写電圧Vtが放電開始電圧V0以上のとき転写部Jでの放電により増加することが分かる。一方、負極性に帯電した転写残トナ
ーは転写電圧Vtを上げることで減少する。
【0077】
クリーニング動作ではない通常の通紙時は、感光ドラム1上に現像された負極性の電荷をもつトナーを確実に転写材S上に転写する必要がある。そのために転写電圧Vt_normalはできるだけ高く設定したい。ただし転写電圧Vtを高めていくと、
図8に示すように正極性の転写残トナーが増えてくる。この正極性の転写残トナーは帯電ローラ2に蓄積して画像不良の原因となるが、定期的なクリーニング動作1の実施により除去できるため、ある程度は許容される。
【0078】
一方、クリーニング動作2の時の転写電圧Vt_CLNは、V0より低い値とすることが好ましい。Vt_CLNは、感光ドラム1と負極性に帯電したトナーとの静電的な斥力を確保するために、転写部Jでの感光ドラム1の表面電位よりも正極性側に大きくする必要がある。VCLNが高ければ高いほど負極性に帯電したトナーを感光ドラム1上から紙に転写することができるが、VCLNがV0よりも高ければ転写部Jでの放電により正極性に帯電した転写残トナーが発生する。正極性に帯電した転写残トナーが帯電ローラ2に到達すると電気的に帯電ローラ2に吸着されてしまう。現像フィルミングが発生しており、本クリーニング動作を実施しているとき、通紙している期間内にできるだけ帯電ローラ2に付着するトナーを清掃する必要がある。そのためには帯電ローラ2に付着しづらい負極性の転写残トナーを許容してでも帯電ローラ2に吸着される正極性の転写残トナー量を抑えることが重要であり、VCLNはトナーの正規極性とは逆極性である正極性の電圧であって、0より大きく絶対値でV0以下とすることが好ましい。
【0079】
本実施例は、被転写体として、転写材Sに代えて中間転写体を用いる場合でも適用できる。すなわち、中間転写体としてカラーレーザービームプリンタで採用される静電転写ベルト方式や中間転写ベルト方式においても、本実施例と同様のクリーニング動作を実施できる。その場合、上記の「転写材S」は、「静電転写ベルト」または「中間転写ベルト」に相当する。それにより、帯電ローラ2に対して本実施例と同様のクリーニング効果が得られる。ただし、静電転写ベルトまたは中間転写ベルトに転移したトナーは、機外に排出されることなく廃トナー容器等に格納される。廃トナー容器の収容可能な容量は上限があるため、特に長寿命機種において本実施例のような帯電部材クリーニング動作を行う場合には、この点を十分に考慮する必要がある。
【0080】
<5.クリーニング動作の効果確認>
クリーニング動作の効果を確認するため、以下の実験を行った。本実施例の画像形成装置100を用いて、温度32.5℃、湿度90%の高温高湿環境にて、2枚毎のプリントを繰り返し実施した。画像形成装置100は新品状態でトナー収容室33内にはトナーを50g充填し、画像は印字率5%の文字画像パターンを用いた。転写材Sにはタルク紙を採用し、CenturyStar紙(CENTURY PULP AND PAPER製、商品名)を用いた。10000枚通紙をおこない、画像不良の有無を確認した。画像不良の確認は何も印字しない画像(ベタ白画像)を一枚印刷し、意図しないトナーが紙上に現れるかを評価した。なお、タルク紙に含有されるタルクが現像装置3の内に混入してトナーと混ざると、トナーから電子を奪いタルク自身が負極性に帯電する。その結果、トナーが摩擦によって帯電しづらくなり、現像ローラ31に付着しやすくなるため、現像フィルミングが発生しやすくなる。
【0081】
結果、現像フィルミングの発生が確認され、現像フィルミング発生部分と現像フィルミング無し部分で異なる濃度のトナー汚れが確認された。
図9(A)に転写材Sにおける典型的な画像不良発生例を示す。符号108aは、現像フィルミングの発生がない部分(ベタ白画像に相当)である。この領域では帯電ローラ2にトナーが付着し、感光ドラム1に対して十分に帯電できず、現像部で十分なVbackを確保できない。そのため、トナーが現像ローラ31から感光ドラム1に転移し、転写部で転写材Sに転写されることで、濃いハーフトーン様のトナー汚れが発生している。
【0082】
また、符号108bは、現像フィルミング発生部分である。現像フィルミングにより、非画像形成部であってもトナーが大量に現像される。そして通紙時にはこのトナーの一部が転写材Sに転写され、ベタ黒様の画像不良が出力される。
【0083】
そこでクリーニング動作2を実施したところ、画像不良の改善が見られた。
図9(B)に、画像不良改善後の代表的な画像例を示す。符号108aに対応する部分においては、濃いハーフトーン様の画像不良が消失した。これは、現像フィルミングが発生していない部分において帯電ローラ2に付着した正極性のトナーが負極性化し、感光ドラム1に移動し、現像ローラ31に回収されることで帯電ローラ2のクリーニングが好適に行われた結果である。
【0084】
また、符号108bに対応する部分においては、ベタ黒様の画像不良が消失した。これは、現像フィルミング発生部分において、トナーが転写材Sに転写された清浄な感光ドラム1の表面が帯電部Gに到達し、クリーニング動作中に帯電ローラ2が汚れないこと、帯
電ローラ2に付着したトナーを再帯電させ感光ドラム1に転移させやすくなること、帯電ローラ2から感光ドラム1に転移したトナーを紙で回収できること、が原因である。このようにクリーニング動作2を実施することで帯電ローラ2のクリーニングが好適に行われ、後続のジョブにおいては良好な画像が得られる。なお、クリーニング動作2が行われると、現像ローラ31に固着せずに載っているトナーは、感光ドラム1を介して転写材Sに吐き出される。その結果、固着トナーの層が露出するので、現像ブレード34による規制や供給ローラ32との接触によって、固着トナーを少しずつ除去して現像フィルミングを解消する効果も得られる。
【0085】
以上のように、本実施例に係る帯電部材のクリーニング動作2を実施することで、現像フィルミングが発生しているときであっても、帯電ローラ2に付着したトナーを好適に除去することができる。結果、感光ドラム1表面の帯電不良を抑制し、帯電不良による画像不良を軽減できることが示された。なお、当該クリーニング動作は、現像フィルミングが発生していないときであっても効果を発揮する。
【0086】
なお、現像ローラ31に正規極性に帯電したトナーが大量に付着する現象である現像フィルミングは、耐久によるトナー劣化以外の要因でも起こりうる。例えば、もともと現像容器内に入っているトナーと異なる種類のトナーを誤って投入してしまった場合でも現像フィルミングが発生することがある。この場合にも、本実施例のクリーニング動作2は有効である。
【0087】
また、通常通紙やクリーニング動作1、クリーニング動作2、その他のクリーニング動作をはじめとする各種動作は本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜実施されるべきものであり、またこれらを自由に組み合わせて実施することもできる。
【0088】
例えばクリーニング動作1を実施し、その後通常通紙による画像判定をおこなうことでクリーニング動作2の要否を判定し、必要に応じてクリーニング動作2を実施するように制御すれば、クリーニング動作2が不要な場合に紙の消費を抑えることができる。
【0089】
[実施例2]
本発明の実施例2について説明する。本実施例の画像形成装置200の基本的な構成及び動作は、実施例1の場合と同じである。したがって、実施例1の画像形成装置100の有する構成や機能と同一又は対応する要素については、実施例1と同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0090】
本実施例における画像形成装置200は、トナー以外の交換部材を持たず、トナー残量に応じてユーザがトナーを補給する構成である。本実施例において、補給タイミング後にクリーニング動作2を実施すると、帯電ローラ2の清掃効果に加えて現像フィルミングを解消する効果が見込まれる。これにより帯電ローラ2のトナー汚れの発生を抑制できるので、画像不良の発生が抑制される。また、帯電ローラ2のクリーニング動作の頻度を抑えることができる。
【0091】
<1.画像形成装置>
図10に示すように、本実施例の画像形成装置200は、トナー収容室33へのトナー補給機構40を備える。ユーザは、トナー補給機構40を用いて任意のタイミングでトナー収容室33内に新たなトナーを補給できる。トナー補給機構40には、トナーパック41(トナー補給容器)が装着される。トナーパック41は、画像形成装置200に着脱可能な容器である。なお本実施例では、トナーパック41を画像形成装置200に装着したが、直接、トナー収容室33に装着してもよい。また、トナー補給容器はトナーパック41に限られず、トナーボトルのような形状でもよい。その他、トナーを補給可能であれば、トナー補給容器の形状、構成、接続場所は問わない。また、本実施例の構成においては、補給が完了した場合には、トナーパック41を外して画像形成を実施するが、トナーパック41が装着された状態で画像形成を行うことが出来る構成でもあってもよい。
【0092】
本実施形態では、ユーザが補給用のトナーが充填されたトナーパック41からトナーを補給する方式(直接補給方式)を採用している。このため、トナー収容室33のトナー残量が少なくなった場合に、現像容器たるトナー収容室33を交換する作業が不要になるので、ユーザビリティを向上することが出来る。なお、画像形成装置200及びトナーパック41は、画像形成システムを構成している。
【0093】
<2.帯電部材のクリーニング動作>
本実施例では、現像フィルミングが発生している状況で、トナー補給を行った後クリーニング動作2を実施する。これにより、帯電ローラ2が清掃されることに加え、現像フィルミングが解消するので、以下に説明する。
【0094】
クリーニング動作2では、通紙により転写部Jで感光ドラム1上のトナーが除去される
。トナーが除去された感光ドラム1の表面はその後帯電部Gに到達し、帯電ローラ2に付
着している正極性のトナーを負極性に帯電させ、これを感光ドラム1上に回収する。さらに現像部Hでは、現像ローラ31上に大量に付着して現像フィルミングを起こしているト
ナーが感光ドラム1に転移する。これにより現像ローラ31に固着しているトナーが露出する。すると、現像ブレード34による規制や、供給ローラ32と現像ローラ31の摺擦によって、固着トナーの除去が可能になる。これらの動作により現像フィルミングが解消する。このようにトナー補給後にクリーニング動作2を実施することで、現像フィルミングと帯電ローラ2のトナー汚れを解消できる。
【0095】
なお、現像フィルミングが発生している状況において、トナー補給前にクリーニング動作2を実施しても現像フィルミングは解消しない。ここで、トナー補給前にクリーニング動作2を実施した場合、現像部Hで現像ローラ31上に大量に付着して現像フィルミング
を起こしているトナーは感光ドラム1上に転移する。これにより現像ローラ31に固着しているトナーが露出し、現像ブレード34の規制や、供給ローラ32と現像ローラ31の摺擦によって固着トナーを除去する効果はある。しかしながら、トナー補給前の時点では、トナー収容室33内に、劣化しており現像ローラ31に固着しやすいトナーが大量に存在している。このため、クリーニング動作2により除去されるトナー量を上回る量のトナーが現像ローラ31に固着してしまい、現像フィルミングが解消できない。
【0096】
一方、トナー補給後はトナー収容室33内に新しいトナーが大量に供給され、劣化したトナーの割合が大幅に減る。よって、クリーニング動作2を実施した場合、現像ローラ31に固着したトナーを除去でき、また現像ローラ31への再度のトナー固着(=現像フィルミング)を抑制することができる。
【0097】
以上、各実施例に記載したように、ドラムクリーナレス方式の画像形成装置において、帯電ローラ2のクリーニング動作において転写部に紙などの転写材Sを通過させる。それにより、現像ローラ31に正規極性に帯電したトナーが大量に付着しているときであっても、帯電ローラ2に付着したトナーを好適に除去できる。その結果、感光ドラム1表面の帯電不良を抑制し、それに起因する画像不良を軽減することができる。
【0098】
[構成1]
回転可能な像担持体と、
前記像担持体と接触して帯電部を形成し、前記帯電部において前記像担持体の表面を帯電する帯電部材と、
前記像担持体と接触して現像部を形成し、前記現像部において前記像担持体の表面に正規極性に帯電したトナーを供給することによって、前記像担持体の表面に画像情報に基づいて形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する、回転可能な現像部材と、
前記像担持体と対向し、前記像担持体との間で転写部を形成し、前記転写部において前記トナー像を前記像担持体から被転写体に転写する転写部材と、
前記帯電部材に帯電電圧を印加する帯電電圧印加手段と、
前記現像部材に現像電圧を印加する現像電圧印加手段と、
前記転写部材に転写電圧を印加する転写電圧印加手段と、
前記帯電電圧印加手段と前記現像電圧印加手段と前記転写電圧印加手段と、を制御する制御部と、
を有し、
前記転写部において前記像担持体の表面に形成された前記トナー像が前記被転写体に転写された後、前記像担持体の表面に残留したトナーが前記現像部材により回収されるものであり、
前記制御部は、前記被転写体に前記静電潜像から現像された前記トナー像を形成する画像形成動作と、前記帯電部材を清掃する清掃動作と、を実施することが可能であり、
前記清掃動作は、第1の清掃動作と第2の清掃動作を含み、前記画像形成動作とは異なる非画像形成動作を実行するタイミングで実行され、
前記第1の清掃動作においては、前記帯電部材に付着したトナーが前記現像部材に回収され、
前記第2の清掃動作においては、前記帯電部材に付着したトナーは、前記転写部を通過する前記被転写体に排出される
ことを特徴とする画像形成装置。
[構成2]
前記制御部は、
前記第1の清掃動作の際は、前記現像電圧が前記正規極性とは逆極性になり、前記帯電電圧が前記正規極性かつ放電開始電圧以下となるように、制御を行い、
前記第2の清掃動作の際は、前記現像電圧が前記正規極性とは逆極性になり、前記転写電圧が前記正規極性とは逆極性になり、前記帯電電圧が前記正規極性となるように、制御を行う
ことを特徴とする構成1に記載の画像形成装置。
[構成3]
前記制御部は、前記第2の清掃動作において、前記転写電圧が放電開始電圧よりも低くなるように、制御を行う
ことを特徴とする構成1または2に記載の画像形成装置。
[構成4]
前記像担持体の回転方向において、前記転写部より下流側かつ前記帯電部よりも上流側に配置され、前記像担持体の表面を除電する除電部材をさらに有し、
前記制御部は、前記清掃動作において、前記除電部材により前記像担持体の表面を除電する
ことを特徴とする構成1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
[構成5]
前記現像部材が前記現像部に供給するためのトナーを収容するトナー収容部をさらに有し、
前記トナー収容部には、トナー補給容器からトナーが補給され、
前記制御部は、前記トナー補給容器から前記トナー収容部にトナーが補給されたとき、前記清掃動作を実行するように制御する
ことを特徴とする構成1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
[構成6]
前記被転写体は、画像が転写された後に前記画像形成装置から排出される転写材であることを特徴とする構成1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
[構成7]
前記被転写体は、中間転写体である
ことを特徴とする構成1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【符号の説明】
【0099】
1:感光ドラム、2:帯電ローラ、31:現像ローラ、5:転写ローラ、105:制御部