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特開2025-140316情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025140316
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20250919BHJP
   H04N 1/401 20060101ALI20250919BHJP
【FI】
B41J29/393 101
H04N1/401
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024039644
(22)【出願日】2024-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 裕美
【テーマコード(参考)】
2C061
5C077
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS06
2C061KK06
2C061KK31
5C077LL11
5C077MM27
5C077PP47
5C077PP58
5C077PQ08
5C077RR14
(57)【要約】
【課題】記録媒体上に形成されたマークを精度よく検出する。
【解決手段】画像形成装置100は、搬送されるロール紙111を読み取って得られた測定結果に基づいて、ロール紙111上に形成された色の異なる複数の検知用マークを検出する。そして、複数の検知用マークのそれぞれの測定値に基づいて、ロール紙111上に印刷される画像の位置を特定するために用いる検知用マークを選択する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される記録媒体を読み取って得られた測定結果に基づいて、記録媒体上に形成された色の異なる複数のマークを検出する検出手段と、
前記複数のマークのそれぞれの測定値に基づいて、記録媒体上に印刷される画像の位置を特定するために用いる前記マークを選択する選択手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記測定結果は、輝度の測定値であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記複数のマークのそれぞれの輝度と、記録媒体自体の輝度との差分を表す輝度差に基づいて、前記マークを選択することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記選択手段は、前記複数のマークの中で、前記輝度差の最も大きい前記マークを選択することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記複数のマークは、記録媒体上に前記画像が印刷される前に、色の異なる複数のインクで印刷されることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記複数のインクは、白インクを含むことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記選択手段は、前記測定結果から、前記複数のマークの各領域の搬送方向に対する距離を取得して、前記複数のマークのうち、前記距離が所定の閾値に満たない、又は前記距離が所定の閾値よりも大きい前記マークを、選択の対象から除外することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記選択手段は、前記測定結果から、前記複数のマークのそれぞれの輝度の最大値を取得して、前記複数のマークのうち、前記輝度の最大値が所定の閾値以上の前記マークを、選択の対象から除外することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記記録媒体の用紙種類に紐づく輝度範囲を取得する取得手段を更に有し、
前記選択手段は、前記複数のマークのそれぞれの輝度が、前記輝度範囲に含まれない前記マークを、選択の対象から除外することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記記録媒体は、連続用紙であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
記録媒体上に前記画像が印刷される前に、色の異なる複数のインクで前記複数のマークを前記画像とは重ならない位置に印刷する印刷手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
搬送される記録媒体を読み取って得られた測定結果に基づいて、記録媒体上に形成された色の異なる複数のマークを検出する検出ステップと、
前記複数のマークのそれぞれの測定値に基づいて、記録媒体上に印刷される画像の位置を特定するために用いる前記マークを選択する選択ステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項13】
情報処理装置のコンピュータを、
搬送される記録媒体を読み取って得られた測定結果に基づいて、記録媒体上に形成された色の異なる複数のマークを検出する検出手段と、
前記複数のマークのそれぞれの測定値に基づいて、記録媒体上に印刷される画像の位置を特定するために用いる前記マークを選択する選択手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体上の位置の特定に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷する画像の位置を特定する方法として専用マークを印刷し、印刷した検知マークを検出することで特定する技術がある。特許文献1には、手書き画像のエリアを検出するマークを具備する手書き原稿シートから、エリア検出マークを含む領域をスキャナで読み取って得た輝度情報と色差情報とから、エリア検出マークの位置を検出する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-41673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の方法では、用紙の下地色とエリア検出マークとの輝度差、色差が所定量以上なければマークを検出することができないという課題があった。
【0005】
そこで本発明は、記録媒体上に形成されたマークを精度よく検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、搬送される記録媒体を読み取って得られた測定結果に基づいて、記録媒体上に形成された色の異なる複数のマークを検出する検出手段と、前記複数のマークのそれぞれの測定値に基づいて、記録媒体上に印刷される画像の位置を特定するために用いる前記マークを選択する選択手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、記録媒体上に形成されたマークを精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像形成システムの全体構成例を示す図である。
図2】画像形成装置の構成例を示すブロック図である。
図3】マーク選択処理を示すフローチャートである。
図4】検知用マークの例を示す図である。
図5】検知用マークの検出を説明するための図である。
図6】マーク判定処理を示すフローチャートである。
図7】マーク判定処理を示すフローチャートである。
図8】マーク判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る画像形成システムの全体構成例を示す。画像形成システム200は、ロール紙111に印刷画像を形成するシステムである。ロール紙111は、連続用紙であり、記録媒体の例である。画像形成システム200は、システム全体を制御する画像形成装置100、給紙装置104、印刷画像を印刷する第1の印刷装置115、印刷画像の印刷前に位置検知用マークを印刷する第2の印刷装置116、及び排紙装置105を備える。画像形成装置100は、操作表示部206を含む。操作表示部206は、例えば、UI(ユーザインタフェース)を表示してユーザからの各種入力操作を受け付けるUI操作パネルである。第1の印刷装置115及び第2の印刷装置116の印刷方式は、電子写真方式によるものでもよく、インクジェット方式によるものであってもよい。
【0011】
給紙装置104は、ロール紙111を第2の印刷装置116及び第1の印刷装置115に供給する装置である。印刷開始前に、給紙装置104の紙管に巻かれているロール紙111を、排紙装置105まで通してセットする。セットする際に、ロール紙111の先端を斜光補正装置110の上に通す。給紙装置104は、回転軸117を中心にロール紙111の紙管を回転させてその紙管に巻かれているロール紙111を、複数ローラ(搬送ローラ、給紙ローラなど)を経由して、一定の速度で第2の印刷装置116に向けて搬送する。第2の印刷装置116に搬送されたロール紙111は、第1の印刷装置115に搬送される。
【0012】
排紙装置105は、第1の印刷装置115から搬送されてきたロール紙111を、紙管を中心としてロール状に巻き取る装置である。排紙装置105は、搬送されてきたロール紙111を、複数のローラー(搬送ローラ、排紙ローラなど)を経由して、一定の速度で回転軸118を中心に回転される紙管に成果物として巻き取る。
【0013】
第2の印刷装置116は、給紙装置104から搬送されてきたロール紙111に位置検知用マークを印刷する装置である。第2の印刷装置116は、基本色インク(例えば、CMYKインク)以外の特色インク(例えば、白インク)で印刷を行う第2の記録ユニット103を備える。本実施形態において、特色インクは、色の異なる複数のインクを含む。第2の印刷装置116は、第2の記録ユニット103を用いて、第1の印刷装置116で印刷する印刷画像の印刷位置、印刷開始位置、画像解析位置などの位置を検知するために用いる検知用マークを、ロール紙111上の印刷画像とは重ならない位置に形成する。ここでは、第2の記録ユニット103で使用される複数のインクに応じた複数の検知用マークが、ロール紙111上の所定の位置に形成される。第2の記録ユニット103で印刷が行われたロール紙111は、乾燥装置112、及び冷却装置113,114を経由して、第1の印刷装置115に搬送される。
【0014】
第1の印刷装置115は、第2の印刷装置116から搬送されてきたロール紙111に印刷画像を印刷する装置である。第1の印刷装置115は、基本色インクで印刷を行う第1の記録ユニット102を備える。第2の印刷装置116から搬送されてきたロール紙111は、まず、ロール紙111上の検知用マークを検出するためのセンサ120を通過する。その後、第2の印刷装置115は、第1の記録ユニット102を用いて、ロール紙111上に印刷画像を形成する。印刷画像の印刷位置は、センサ120で検出された検知用マークを用いて特定される。
【0015】
第1の記録ユニット102で印刷が行われたロール紙111は、乾燥装置106、及び冷却装置108,109を経由して、接続スキャナ装置107を通過する。接続スキャナ装置107を通過したロール紙111は、排紙装置105に搬送される。
【0016】
画像形成装置100は、画像形成ジョブ(以下、ジョブという)に対して、操作表示部206から印刷スタートの操作を受け付けると、画像形成システム200を構成する各装置を制御して、ジョブの処理を実行する。画像形成装置100は、情報処理装置の例である。
【0017】
また、画像形成装置100は、スキャナ装置(不図示)で印刷物の読み取りを行い、印刷物に不具合がないか検査を行ってもよい。例えば、インク吐出ノズルの吐出不良がなく印刷ができているか確認を行う。画像形成装置100は、吐出不良があった場合、ジョブの処理を停止する。検査方法には、検知用パターンを印刷してスキャナ装置で読み取る方法、印刷画像をカメラやスキャナ装置で読み取る方法、インク吐出ノズルの吐出状況を監視する方法などがある。上記のスキャナ装置の機能を、センサ120が兼ね備えてもよい。
【0018】
次に図2を用いて、画像形成装置100の構成例について説明する。
図2(a)は、画像形成装置100のハードウェア構成を示す。画像形成装置100は、用紙搬送部201、画像形成部202、通信部203、制御部204、記憶部205、操作表示部206、センサ接続I/F207、給紙制御部208、及び巻取制御部209を備える。
用紙搬送部201は、制御部204の制御下で、画像形成システム200の内部の搬送機構を制御する。用紙搬送部201は、例えば、複数のローラによって、給紙装置104から供給されたロール紙111を、第2の印刷装置116、第1の印刷装置115、及び排紙装置105へと設定された印刷速度で搬送する。
【0019】
画像形成部202は、制御部204の制御下で、ジョブに基づいて、給紙装置104から第2の印刷装置116を経由して搬送されてきたロール紙111上に、第1の印刷装置115を用いて印刷画像を形成する。ジョブのデータは、通信部203を介して外部装置から受信されてもよい。また、制御部204は、ロール紙111上の余白の部分に、ジョブの各ページの先頭位置に合わせて、色の異なる複数の検知用マークを挿入するよう制御する。画像形成部202は、制御部204の制御下で、給紙装置104から搬送されてきたロール紙111上に、第2の印刷装置116を用いて色の異なる複数の検知用マークを形成する。
【0020】
通信部203は、LAN(Local Area Network)カードなどの通信制御カードで構成される。制御部204は、通信部203を介して、LAN、WAN(Wide Area Network)などの通信ネットワークに接続された外部装置(例えば、パーソナルコンピュータ)との間で各種データの送受信を行う。外部装置は、ユーザの指示により、ジョブのデータを作成する。外部装置は、作成されたジョブのデータと、ジョブの印刷設定及び納品巻数設定などの設定情報とを、通信ネットワークを介して画像形成装置100に送信する。
【0021】
制御部204は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)などにより構成される。制御部204は、画像形成装置100の全体の動作を制御する。制御部204のCPUは、記憶部205に記憶されているシステムプログラムや処理プログラムなどの各種プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行する。制御部204は、ユーザの指示に従って、ジョブを実行することが可能である。
【0022】
記憶部205は、不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やHDD(Hard Disk Drive)などにより構成される。記憶部205には、制御部204で実行されるシステムプログラムや処理プログラムを始めとする各種プログラム、これらのプログラムの実行に必要な各種データが記憶されている。
【0023】
操作表示部206は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部206a及び操作部206bを備えている。表示部206aは、制御部204から入力される表示制御信号に従って、表示画面上に各種情報の表示を行う。操作部206bは、テンキー、スタートキーなどの各種操作キーを備え、ユーザからの各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部204に出力する。
【0024】
操作表示部206は、例えば、ジョブを実行する際に、ジョブの設定に使用される。制御部204は、使用する用紙の種類や、印刷速度、印刷枚数、印刷部数、印刷長さ、印刷重さ、印刷直径などの各項目を選択するためのUIを表示部206aに表示して、操作部206で受け付けた入力操作に応じて、上記の各項目の設定を行う。
【0025】
センサ接続I/F207は、センサ120に接続するためのインタフェースである。センサ120は、第1の印刷装置115で印刷画像を形成する前に、搬送方向に沿ってロール紙111上の輝度を連続して読み取り測定する。制御部204は、センサ接続I/F207を経由して、センサ120で測定された輝度の測定値を時系列で取得して、記憶部205に保持する。これにより、記憶部205には搬送距離に対するロール紙111上の輝度の測定結果が記憶される。なお、本実施形態では、センサ120を用いるが、スキャナ装置を用いてもよく、この限りでない。スキャナ装置を用いた場合には、記憶部205には読取画像データから得られた測定結果が記憶される。
【0026】
次に図2(b)は、画像形成装置100の機能構成を示す。制御部204のCPUは、記憶部205に記憶されているプログラムを読み出してRAMに展開して実行することにより、検出部210、判定部211、及び選択部212の機能が実現する。
【0027】
検出部210は、記憶部205から、搬送距離に対するロール紙111上の輝度の測定結果を読み出して、用紙下地の輝度からの変化が観測された位置により、検知用マークを検出する。本実施形態では、ロール紙111上に色の異なる複数の検知用マークが形成されているため、色の異なる複数の検知用マークが検出される。
判定部211は、検出部210で検出された複数の検知用マークについて、有効な検知用マークであるか、無効な検知用マークであるかを判定する。例えば、誤検出の条件を満たす検知用マークについては、無効な検知用マークであると判定される。
【0028】
選択部212は、検出部210で検出された複数の検知用マークの中から、判定部211で無効と判定されたものを除外して、印刷画像の印刷位置の特定に用いる検知用マークを選択する。本実施形態において、選択部212は、用紙下地の輝度と検知用マークの輝度との差分(輝度差)の最も大きい検知用マークを選択する。用紙下地の輝度は、記録媒体自体の輝度の例である。制御部204は、選択した検知用マークを印刷位置の特定に用いる検知用マークとして設定し、画像形成部202を制御する。
【0029】
図3は、搬送距離に対するロール紙111上の輝度の測定結果を用いて、検知用マークを選択するマーク選択処理を示す。制御部204は、選択した検知用マークを用いてページの先頭位置を特定するよう設定し、第1の印刷装置115による印刷画像の印刷位置を制御する。以下、各ステップ(工程)は符号の前にSをつけて表す。本フローチャートの処理は、制御部204のCPUが、記憶部205に記憶されている各種プログラムを読み出してRAMに展開して実行することにより、実現される。本実施形態では、記録媒体としてロール紙111を例に説明しているため、センサ120の位置に測定対象の媒体が予めセットされているが、ロール紙111に限らずカット紙の場合でも、1枚ずつ搬送、或いは手差し挿入などにより適用可能である。
【0030】
図4は、検知用マークの例を示す。本実施形態では、ページの先頭位置を特定するために検知用マークを挿入するが、検知用マークを挿入するユースケースは、これに限らず、記録媒体における印刷画像の印刷位置、印刷開始位置、画像解析位置などの位置を検知する各種ケースに適用可能である。
【0031】
図4(a)の領域400は、ロール紙111における、印刷画像を印刷する領域(画像領域)と、画像領域の両端に設けられた余白の1ページ分を表す。余白には、色の異なる3つの検知用マーク(白、黒、カラー単色)が、搬送方向に沿って白、黒、カラー単色の順番で印刷される。カラー単色は、例えばYMCの何れかの色である。各検知用マークについての、画像領域の先頭位置から検知用マークまでの距離は固定されているため、選択された検知用マークと搬送距離を用いて、ページの先頭位置を特定することが可能となる。
【0032】
図4(a)の例では、画像領域の先頭位置に合わせて、白色の検知用マーク401が印刷される。白色の検知用マーク401から搬送方向に所定の距離を隔てて、黒色の検知用マーク402が印刷される。黒色の検知用マーク402から搬送方向に所定の距離を隔てて、カラー単色の検知用マーク403が印刷される。検知用マークの色の組合せは、本実施形態に限定されるものではなく、用紙の特性等に応じて色を変えてもよく、色の数を増減してもよい。
【0033】
本実施形態では、検知用マーク401,402,403のサイズは、縦3mm、横3mmとするが、これよりも大きくても小さくても構わない。また、検知用マーク401,402,403は、1つのセンサ120で輝度が順番に測定されるが、検知用マーク401,402,403を搬送方向に交差する方向に並べて、センサ120でそれぞれの輝度を同時に測定する構成でもよい。
【0034】
図3のフローチャートについて説明する。
本フローチャートは、操作表示部206からの指示により、ジョブが実行された場合に開始される。ジョブが実行されると、予めセットされたロール紙111の搬送が開始し、ジョブの各ページの先頭位置に合わせて、ロール紙111上の余白の部分に色の異なる複数の検知用マークが印刷される。検知用マークが印刷されたロール紙111上の輝度がセンサ120により測定されることで、記憶部205には搬送距離に対するロール紙111上の輝度の測定結果が記憶される。
【0035】
まず、S301において、検出部210は、記憶部205から、センサ120による搬送距離に対するロール紙111上の輝度の測定結果を読み出して、用紙下地の輝度を取得する。
続いてS302において、検出部210は、S301で読み出した測定結果から、用紙下地の輝度からの変化が観測された位置により、複数の検知用マークを検出する。
【0036】
図5を用いて、検知用マークの検出について説明する。図5(a)のグラフは、横軸が搬送距離(搬送方向の位置)を示し、縦軸はセンサ120で測定された輝度を示す。輝度の範囲は、例えば0~255である。輝度が低い程、色が濃いことを表し、輝度が高い程、色が薄いことを表す。折れ線420は、搬送距離に対する輝度を表す。輝度421は、用紙下地の輝度を表す。検出部210は、折れ線420における、用紙下地の輝度421からの変化が観測された位置である先端エッジ425により、検知用マーク410を検出する。ロール紙111上には複数の検知用マーク(ここでは、白・黒・カラー単色の3つの検知用マーク401,402,403)が形成されているため、検出部210は、複数の検知用マークを検出する。
【0037】
S303において、検出部210は、S302で検出された検知用マークの数だけ、次に説明するS304の処理を繰り返し実行する。
S304において、検出部210は、1番目に検出された検知用マークを対象とし、対象の検知用マークの輝度と、S301で取得した用紙下地の輝度の輝度差を算出する。具体的には、検出部210は、検知用マーク410の輝度422と用紙下地の輝度421との差分を輝度差423として算出する。続いて検出部210は、2番目、3番目に検出された検知用マークを順次対象とし、S302で検出されたすべての検知用マークについて輝度差を算出すると、S305に進む。
【0038】
本実施形態では、白・黒・カラー単色の3つの検知用マーク401,402,403が印刷されるが、誤検出などにより、3つよりも多い数の検知用マークが検出されることも想定される。その場合には、S304で算出された輝度差と、検知用マーク401,402,403との対応関係に誤りが生じてしまうことがある。また、白・黒・カラー単色の3つの検知用マーク401,402,403についても、ロール紙111の素材や下地の色によっては、画像位置の特定に用いるには適切でないことがある。
【0039】
そこでS305において、判定部211は、S302で検出された複数の検知用マークについて、有効な検知用マークであるか、無効な検知用マークであるかを判定するマーク判定処理を行う。本ステップで実行される処理の詳細は、図6図8で後述する。判定部211は、S302で検出された複数の検知用マークから、S305で無効な検知用マークと判定されたものを除外することで、白・黒・カラー単色の3つの検知用マーク401,402,403を特定する。また、白・黒・カラー単色の3つの検知用マーク401,402,403のうちの一部が、S305で無効な検知用マークと判定された場合には、その一部を除いた検知用マークのみを、S306以降の処理の対象とする。
【0040】
S306において、選択部212は、白・黒・カラー単色の3つの検知用マーク401,402,403の輝度差を比較する。後段のS307~S311では、選択部212が、輝度差の最も大きい検知用マークを選択する処理を行う。例えば、用紙下地の輝度が100で、白の検知用マーク401の輝度が100とすると、輝度差は0となる。また例えば、用紙下地の輝度が100で、黒の検知用マーク402の輝度が70とすると、輝度差は30となる。また例えば、用紙下地の輝度が100で、カラー単色の検知用マーク403の輝度が90とすると、輝度差は10となる。
【0041】
S307において、選択部212は、白の検知用マーク401の輝度差が最も大きいと判定した場合は、S308に進み、そうではない場合は、S309に進む。
S308において、選択部212は、白の検知用マーク401をページの先頭位置の特定に用いる検知用マークとして設定する。
S309において、選択部212は、黒の検知用マーク402の輝度差が最も大きいと判定した場合は、S310に進み、そうではない場合は、カラー単色の検知用マーク403の輝度差が最も大きいとして、S311に進む。
【0042】
S310において、選択部212は、黒の検知用マーク402をページの先頭位置の特定に用いる検知用マークとして設定する。
S311において、選択部212は、カラー単色の検知用マーク403をページの先頭位置の特定に用いる検知用マークとして設定する。
ここでは、S304で算出された黒の検知用マーク402の輝度差が最も大きいため、ページの先頭位置を特定に用いる検知用マークとして、黒の検知用マーク402が設定される。
S312において、制御部204は、S308、S310、S311の何れかで設定された色の検知用マークを用いてページの先頭位置を特定するように画像形成部202を制御して、印刷画像の印刷を行う。その後一連のフローチャートの処理が終了する。
【0043】
続いて、図6図8のフローチャートを用いて、輝度差を比較する処理の前のS305にて実行される、検知用マークの有効か無効かを判定するマーク判定処理について説明する。なお、図6図8のフローチャートに示す処理のうち、画像形成システム200の利用環境などに応じて、何れかが選択的に実行されてもよく、すべてが実行されても構わない。
【0044】
図6に示すマーク判定処理は、検出された検知用マークの先端から後端までの距離である検出距離に基づき検知用マークの有効/無効を判定する処理である。図5(a)の例では、検知用マーク410の検出距離は、折れ線420における、用紙下地の輝度421からの変化が観測された位置である先端エッジ425から、再び用紙下地の輝度421が観測された位置である後端エッジ426までの距離である。
【0045】
図4(b)は、図4(a)のカラー単色の検知用マーク403の隣に、汚れ411が付着した状態を示す。汚れ411は、検知用マークの誤検出となる対象の例である。汚れ411は、混入したゴミやロール紙上の傷などが想定されるが、この限りではない。汚れ411は、検知用マークのサイズよりも小さいことが予想される。そこで図6に示すマーク判定処理では、検出部210で検出された複数の検知用マークのうち、汚れ411のような、検知用マークのサイズよりも小さいものを、選択部212で選択される検知用マークの対象から除外する。
【0046】
図5(b)は、誤検出となる対象の測定結果を示す。図5(b)のグラフは、横軸が搬送距離を示し、縦軸はセンサ120で測定された輝度を示す。輝度445は、用紙下地の輝度を表す。図5(a)では、用紙下地の輝度が検知用マークの輝度よりも高い場合を示すが、図5(b)では、用紙下地の輝度が検知用マークの輝度よりも低い場合を示す。折れ線440は、搬送距離に対する輝度を表す。ここで折れ線440において、汚れ432の位置で用紙下地の輝度445からの変化が観測されるため検出部210により検出されるが、検知用マーク430の検出距離よりも汚れ432の検出距離は短い。そこで図6に示すマーク判定処理では、汚れ432のような、検知用マーク430の検出距離よりも短いものを、無効な検知用マークと判定する。
【0047】
S601において、判定部211は、S302で検出された検知用マークの数だけ、S602~S605の処理を繰り返し実行する。図4(b)の例では、白・黒・カラー単色の3つの検知用マーク401,402,403と汚れ411がS602~S605の処理の対象となる。
S602において、判定部211は、1番目に検出された検知用マークを対象とし、対象の検知用マークの検出距離を算出する。
【0048】
S603において、判定部211は、S602で算出した検出距離が閾値(例えば、2mm)以上か否かを判定する。閾値以上であれば、処理はS604に進み、閾値未満であれば、処理はS605に進む。ここで検出距離の閾値は2mmとしたが、センサ120の測定精度や余白の大きさなどによって、適宜設定することが可能である。
S604において、判定部211は、対象の検知用マークを、有効なマークと判定する。
S605において、判定部211は、対象の検知用マークを、無効なマークと判定する。
【0049】
続いて判定部211は、2番目、3番目・・・に検出された検知用マークを順次対象とし、すべての検知用マークについて検出距離に基づき有効か無効かを判定する。その後本フローチャートの処理が終了する。例えば、白・黒・カラー単色の3つの検知用マーク401,402,403は搬送方向の幅が3mmのため、S604で有効と判定されるが、汚れ411の搬送方向の幅が1mmだとすると、S605で無効と判定される。
【0050】
本フローチャートによれば、S302で検出された複数の検知用マークのうち、図4(b)に示すような汚れ411を無効と判定することで、汚れ411を図3のS305以降の処理の対象から除外することができる。
【0051】
図7に示すマーク判定処理は、検出された検知用マークの輝度の最大値に基づき検知用マークの有効/無効を判定する処理である。
図4(c)は、図4(a)のカラー単色の検知用マーク403の隣に、外光412が映り込んだ状態を示す。外光412は、検知用マークの誤検出となる対象の例である。外光412は、画像形成システム200の外からの光や別の光源などが想定されるが、この限りではない。外光412の輝度は、極端に高くなることが予想される。図5(b)に示す通り、折れ線440において、外光431の位置で用紙下地の輝度445からの変化が観測されるため検出部210により検出されるが、外光431の輝度の最大値は、予め定められた上限値433よりも高い。そこで図7に示すマーク判定処理では、外光431のような、上限値433よりも高いものを、無効な検知用マークと判定する。
【0052】
S701において、判定部211は、S302で検出された検知用マークの数だけ、S702~S704の処理を繰り返し実行する。図4(c)の例では、白・黒・カラー単色の3つの検知用マーク401,402,403と外光412がS702~S704の処理の対象となる。
S702において、判定部211は、1番目に検出された検知用マークを対象とし、対象の検知用マークの輝度の最大値を取得する。そして判定部211は、取得した輝度の最大値が上限値(例えば、200)未満か否かを判定する。上限値未満であれば、処理はS703に進み、上限値以上であれば、処理はS704に進む。
【0053】
S703において、判定部211は、対象の検知用マークを、有効なマークと判定する。
S704において、判定部211は、対象の検知用マークを、無効なマークと判定する。
続いて判定部211は、2番目、3番目・・・に検出された検知用マークを順次対象とし、すべての検知用マークについて輝度の最大値に基づき有効か無効かを判定する。その後本フローチャートの処理が終了する。
【0054】
本フローチャートによれば、S302で検出された複数の検知用マークのうち、図4(c)に示すような外光412を無効と判定することで、図3のS305以降の処理の対象から除外することができる。なお、外光412は、検知用マークのサイズよりも大きいことが予想される。そこで、検知用マークのサイズよりも大きいものを、選択部212で選択される検知用マークの対象から除外してもよい。
【0055】
図8に示すマーク判定処理は、検出された検知用マークの輝度が所定の範囲内にあるかに基づき検知用マークの有効/無効を判定する処理である。ここで、ロール紙111として上質紙の他に、メタリック紙やホログラム紙のような特殊な素材が使用されることがあり、用紙の種類に応じて光の反射度合いは異なる。そのため、センサ120で測定される輝度に対し、正常にマークを検出可能な輝度範囲(上限値及び下限値)を用紙の種類に応じて変更した方が、マークを精度よく検出できるケースがある。本実施形態では、上質紙とメタリック紙の2種類に対してそれぞれ上限値及び下限値を登録する例について説明する。本実施形態では、上質紙の上限値を150、下限値を50、メタリック紙の上限値を200、下限値を100として予め登録しておく。なお、用紙の種類は上質紙とメタリック紙に限られるものではない。
【0056】
S801において、判定部211は、画像形成システム200にセットされている用紙の種類を取得し、取得した用紙の種類に紐づけて登録されている輝度の上限値と下限値を取得する。なお、用紙の種類は、用紙下地の輝度から識別して取得してもよく、操作表示部206に表示されるUIによるユーザの入力操作により取得してもよい。用紙の種類ごとの輝度の上限値と下限値の登録情報は、記憶部205などに記憶されている。
【0057】
次にS802において、判定部211は、S302で検出された検知用マークの数だけ、S803~S804の処理を繰り返し実行する。
S802において、判定部211は、1番目に検出された検知用マークを対象とし、対象の検知用マークの輝度を取得する。
S803において、判定部211は、S802で取得した輝度が、S801で取得した上限値と下限値の範囲に含まれるか否かを判定する。上限値と下限値の範囲内であれば、処理はS804に進み、上限値と下限値の範囲外であれば、処理はS805に進む。
【0058】
例えば、画像形成システム200にセットされている用紙が上質紙で、白の検知用マーク401の輝度が100とすると、S804で有効と判定される。その後セットされている用紙がメタリック紙に切り替えられた場合、白の検知用マーク401の輝度が100とすると、S804で有効と判定されるが、黒の検知用マーク402の輝度が70とすると、S805で無効と判定される。
【0059】
本フローチャートによれば、S302で検出された複数の検知用マークの中から、用紙の種類との関係で検知用マークとして使用するのが相応しくない色のマークを、図3のS305以降の処理の対象から除外することができる。
【0060】
以上の本実施形態によれば、記録媒体上に色の異なる複数のマークを予め印刷して、複数のマークのそれぞれの輝度に基づいて、複数のマークの中から位置検知に用いるマークを選択して設定することができる。これにより、用紙の下地色との差が小さく、マークが検出できないといった事態を回避して、マークを精度よく検出することが可能になる。
【0061】
上述の実施形態は、以下の処理を実行することによっても実現されてもよい。即ち、上述した実施形態の機能を実現するコンピュータ読取り可能なソフトウェア(コンピュータプログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給する。そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0062】
上述の各実施形態の開示は、以下の構成、方法及びプログラムを含む。
(構成1)
搬送される記録媒体を読み取って得られた測定結果に基づいて、記録媒体上に形成された色の異なる複数のマークを検出する検出手段と、
前記複数のマークのそれぞれの測定値に基づいて、記録媒体上に印刷される画像の位置を特定するために用いる前記マークを選択する選択手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
(構成2)
前記測定結果は、輝度の測定値であることを特徴とする構成1に記載の情報処理装置。
(構成3)
前記選択手段は、前記複数のマークのそれぞれの輝度と、記録媒体自体の輝度との差分を表す輝度差に基づいて、前記マークを選択することを特徴とする構成1又は2に記載の情報処理装置。
(構成4)
前記選択手段は、前記複数のマークの中で、前記輝度差の最も大きい前記マークを選択することを特徴とする構成3に記載の情報処理装置。
(構成5)
前記複数のマークは、記録媒体上に前記画像が印刷される前に、色の異なる複数のインクで印刷されることを特徴とする構成1~4の何れか1つに記載の情報処理装置。
(構成6)
前記複数のインクは、白インクを含むことを特徴とする構成5に記載の情報処理装置。
(構成7)
前記選択手段は、前記測定結果から、前記複数のマークの各領域の搬送方向に対する距離を取得して、前記複数のマークのうち、前記距離が所定の閾値に満たない、又は前記距離が所定の閾値よりも大きい前記マークを、選択の対象から除外することを特徴とする構成1~6の何れか1つに記載の情報処理装置。
(構成8)
前記選択手段は、前記測定結果から、前記複数のマークのそれぞれの輝度の最大値を取得して、前記複数のマークのうち、前記輝度の最大値が所定の閾値以上の前記マークを、選択の対象から除外することを特徴とする構成1~7の何れか1つに記載の情報処理装置。
(構成9)
前記記録媒体の用紙種類に紐づく輝度範囲を取得する取得手段を更に有し、
前記選択手段は、前記複数のマークのそれぞれの輝度が、前記輝度範囲に含まれない前記マークを、選択の対象から除外することを特徴とする構成1~8の何れか1つに記載の情報処理装置。
(構成10)
前記記録媒体は、連続用紙であることを特徴とする構成1~9の何れか1つに記載の情報処理装置。
(構成11)
記録媒体上に前記画像が印刷される前に、色の異なる複数のインクで前記複数のマークを前記画像とは重ならない位置に印刷する印刷手段を更に有することを特徴とする構成1~10の何れか1つに記載の情報処理装置。
(方法)
搬送される記録媒体を読み取って得られた測定結果に基づいて、記録媒体上に形成された色の異なる複数のマークを検出する検出ステップと、
前記複数のマークのそれぞれの測定値に基づいて、記録媒体上に印刷される画像の位置を特定するために用いる前記マークを選択する選択ステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
(プログラム)
情報処理装置のコンピュータを、
搬送される記録媒体を読み取って得られた測定結果に基づいて、記録媒体上に形成された色の異なる複数のマークを検出する検出手段と、
前記複数のマークのそれぞれの測定値に基づいて、記録媒体上に印刷される画像の位置を特定するために用いる前記マークを選択する選択手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0063】
100:画像形成装置、104:給紙装置、105:排紙装置、115:第1の印刷装置、116:第2の印刷装置、120:センサ、200:画像形成システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8