IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友電装株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-コネクタ 図1
  • 特開-コネクタ 図2
  • 特開-コネクタ 図3
  • 特開-コネクタ 図4
  • 特開-コネクタ 図5
  • 特開-コネクタ 図6
  • 特開-コネクタ 図7
  • 特開-コネクタ 図8
  • 特開-コネクタ 図9
  • 特開-コネクタ 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025140477
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20250919BHJP
   H01R 13/533 20060101ALI20250919BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20250919BHJP
   H01R 13/56 20060101ALI20250919BHJP
【FI】
H01R13/42 E
H01R13/533 D
H01R13/52 Z
H01R13/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024039906
(22)【出願日】2024-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】貞方 志文
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB07
5E021FC02
5E021GA10
5E087EE02
5E087EE11
5E087FF08
5E087FF13
5E087GG15
5E087GG26
5E087GG31
5E087GG32
5E087LL04
5E087LL17
5E087MM05
5E087RR13
5E087RR15
(57)【要約】
【課題】電線の配索方向の自由度を確保でき、キャビティの内部への異物の侵入および電線の振動を抑制することが可能なコネクタを提供する。
【解決手段】リテーナ60は、ハウジングに対して仮係止位置と本係止位置との間を移動可能に配置され、仮係止位置から本係止位置へと前後方向と交差する第1方向に移動する。そして、リテーナ60は、本係止位置で端子金具40に対して後方から係止可能に対向する係止部68と、本係止位置で電線200が第1方向とは反対の第2方向から接触可能に対向するが、第1方向への電線200の動きを拘束しない隙間詰め部69と、を有している。隙間詰め部69は、第1方向を向き、且つ前後方向に直線状に延びる電線沿わせ面71を有している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに収容される端子金具と、
前記ハウジングに対して仮係止位置と本係止位置との間を移動可能に配置されるリテーナと、を備え、
前記ハウジングは、前後方向に延びるキャビティを有し、
前記端子金具は、電線の端末部に接続され、且つ前記キャビティに配置され、
前記リテーナは、
前記仮係止位置から前記本係止位置へと前記前後方向と交差する第1方向に移動するものであって、
前記本係止位置で前記端子金具に対して後方から係止可能に対向する係止部と、
前記本係止位置で前記電線が前記第1方向とは反対の第2方向から接触可能に対向するが、前記第1方向への前記電線の動きを拘束しない隙間詰め部と、を有し、
前記隙間詰め部は、前記第1方向を向き、且つ前記前後方向に直線状に延びる電線沿わせ面を有している、コネクタ。
【請求項2】
前記電線沿わせ面は、前記電線の外周面に対して周方向に沿って対向する円弧形状の面である、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記第2方向を向く底面に開口するリテーナ装着孔を有し、
前記リテーナ装着孔は、前記ハウジングの前記底面と後面とにわたって開口し、
前記リテーナは、前記リテーナ装着孔に配置され、
前記隙間詰め部は、前記ハウジングの前記後面に露出して配置される、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記キャビティは、前記ハウジングにおいて、前記前後方向および前記第1方向と交差する幅方向に複数並んで配置され、
前記ハウジングは、前記幅方向で隣接する前記キャビティの間に配置される隔壁を有し、
前記リテーナは、前記隔壁に対して前記第1方向に沿って接触し、且つ前記幅方向で前記隔壁と並んで配置される並設壁を有し、
前記隔壁と前記並設壁とで構成される二重壁は、前記幅方向で隣接する前記キャビティの間を仕切るように配置される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記二重壁は、前記ハウジングおよび前記リテーナにおいて、前記前後方向に間隔をあけて配置され、
前記ハウジングと前記リテーナのうち、一方は、前後各々の前記二重壁の間に、前記二重壁の前記幅方向の厚みと対応する厚みをもった凸部を有し、他方は、前後各々の前記二重壁の間に、前記凸部が嵌合する凹部を有している、請求項4に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたコネクタは、コネクタハウジング(以下、「ハウジング」と称する)、カバー部材、リテーナおよび端子金具を備えている。ハウジングは、前後方向に延びるキャビティを有している。端子金具は、電線の端末部に接続され、ハウジングのキャビティに後方から挿入される。リテーナは、ハウジングのリテーナ装着部に挿入されて装着される。端子金具は、リテーナに係止されて、キャビティから後方への抜け出しが防止される。カバー部材は、ハウジングに後方から取り付けられる。カバー部材は、電線挿通部を有している。端子金具に接続された電線は、電線挿通部に挿通され、カバー部材から上方に引き出される(図12を参照)。特許文献2-5は、ハウジングの後端部に電線を屈曲状態または圧入状態に保持する部材を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-147103号公報
【特許文献2】特開2017-142901号公報
【特許文献3】特開2011-222157号公報
【特許文献4】特開2002-352892号公報
【特許文献5】特開2000-231961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ハウジングのキャビティの後端部には、端子金具の通過後、電線が挿入される。ここで、端子金具の最大外径は、通常、電線径よりも大きくなっている。このため、電線は、キャビティの後端部において、キャビティの内周面との間に隙間を形成する。しかし、このような隙間があると、隙間を通してキャビティの内部に異物が侵入したり、隙間の範囲内で電線が振動する懸念がある。よって、上記のような隙間を、可能な限り、無くす構造が求められている。その点、特許文献1-5に開示された技術は、電線を屈曲等して保持する部材が電線に強固に接触しているため、当該部材と電線との間の隙間が詰められ、キャビティの内部への異物の侵入や電線の振動を抑制することが可能である。しかし、電線が当該部材とハウジングとの間に屈曲状態または圧入状態に保持されるので、電線の動きが拘束されるという事情がある。このため、ハウジングの後方から引き出された電線の配索方向が多少なりとも制限されるという問題がある。
【0005】
そこで、本開示は、電線の配索方向の自由度を確保でき、キャビティの内部への異物の侵入および電線の振動を抑制することが可能なコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、ハウジングと、前記ハウジングに収容される端子金具と、前記ハウジングに対して仮係止位置と本係止位置との間を移動可能に配置されるリテーナと、を備え、前記ハウジングは、前後方向に延びるキャビティを有し、前記端子金具は、電線の端末部に接続され、且つ前記キャビティに配置され、前記リテーナは、前記仮係止位置から前記本係止位置へと前記前後方向と交差する第1方向に移動するものであって、前記本係止位置で前記端子金具に対して後方から係止可能に対向する係止部と、前記本係止位置で前記電線が前記第1方向とは反対の第2方向から接触可能に対向するが、前記第1方向への前記電線の動きを拘束しない隙間詰め部と、を有し、前記隙間詰め部は、前記第1方向を向き、且つ前記前後方向に直線状に延びる電線沿わせ面を有している、コネクタである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電線の配索方向の自由度を確保でき、キャビティの内部への異物の侵入および電線の振動を抑制することが可能なコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1のコネクタが相手コネクタに嵌合した状態を示す側断面図である。
図2図2は、実施形態1のコネクタにおいて、端子金具がキャビティに挿入される前、リテーナがハウジングに対して仮係止位置に留め置かれた状態を示す側断面図である。
図3図3は、実施形態1のコネクタを斜め下後方から見た斜視図である。
図4図4は、実施形態1のコネクタを電線の横断面を含んで示す背面図である。
図5図5は、実施形態1のコネクタにおいて、端子金具のワイヤバレルと対応する位置で切断した拡大横断面図である。
図6図6は、実施形態1のコネクタにおけるハウジングを斜め下後方から見た斜視図である。
図7図7は、実施形態1のコネクタにおけるハウジングの底面図である。
図8図8は、実施形態1のコネクタにおける端子金具を斜め下後方から見た斜視図である。
図9図9は、実施形態1のコネクタにおけるリテーナを斜め上右側方から見た斜視図である。
図10図10は、実施形態1のコネクタにおけるリテーナを斜め上左側方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)ハウジングと、前記ハウジングに収容される端子金具と、前記ハウジングに対して仮係止位置と本係止位置との間を移動可能に配置されるリテーナと、を備え、前記ハウジングは、前後方向に延びるキャビティを有し、前記端子金具は、電線の端末部に接続され、且つ前記キャビティに配置され、前記リテーナは、前記仮係止位置から前記本係止位置へと前記前後方向と交差する第1方向に移動するものであって、前記本係止位置で前記端子金具に対して後方から係止可能に対向する係止部と、前記本係止位置で前記電線が前記第1方向とは反対の第2方向から接触可能に対向するが、前記第1方向への前記電線の動きを拘束しない隙間詰め部と、を有し、前記隙間詰め部は、前記第1方向を向き、且つ前記前後方向に直線状に延びる電線沿わせ面を有している。
【0010】
リテーナがハウジングに対して本係止位置に配置された状態では、隙間詰め部が電線に対して第1方向とは反対の第2方向の側から接触可能に対向するので、電線と隙間詰め部との間の隙間が詰められ、隙間を通してキャビティの内部に異物が侵入したり、隙間の範囲内で電線が振動する事態を防止することができる。特に、上記(1)の構成によれば、第1方向への電線の動きが隙間詰め部によって拘束されず、電線が電線沿わせ面によって強制的に屈曲されないので、電線の配索方向の自由度を確保することができる。
【0011】
(2)上記(1)に記載のコネクタにおいて、前記電線沿わせ面は、前記電線の外周面に対して周方向に沿って対向する円弧形状の面であることが好ましい。
【0012】
電線沿わせ面が電線の外周面に周方向に沿って接触することにより、電線沿わせ面と電線との間に形成され得る隙間を最小にできるので、キャビティの内部への異物の侵入や電線の振動をより効果的に抑制することができる。
【0013】
(3)上記(1)または(2)に記載のコネクタにおいて、前記ハウジングは、前記第2方向を向く底面に開口するリテーナ装着孔を有し、前記リテーナ装着孔は、前記ハウジングの前記底面と後面とにわたって開口し、前記リテーナは、前記リテーナ装着孔に配置され、前記隙間詰め部は、前記ハウジングの前記後面に露出して配置されることが好ましい。
【0014】
リテーナ装着孔がハウジングの底面と後面とにわたって開口し、このリテーナ装着孔にリテーナが配置されるので、電線が電線沿わせ面に沿って延びる範囲を前後方向に長く確保することができる。その結果、電線と隙間詰め部との間を通してキャビティの内部へ異物が移動するのを効果的に抑制でき、且つ電線の振動を効果的に抑制できる。また、隙間詰め部がハウジングの後面に露出して配置されることにより、電線と隙間詰め部との隙間が適正に詰められているのかどうかを後方から目視によって確認することができる。
【0015】
(4)上記(1)から(3)のいずれかに記載のコネクタにおいて、前記キャビティは、前記ハウジングにおいて、前記前後方向および前記第1方向と交差する幅方向に複数並んで配置され、前記ハウジングは、前記幅方向で隣接する前記キャビティの間に配置される隔壁を有し、前記リテーナは、前記隔壁に対して前記第1方向に沿って接触し、且つ前記幅方向で前記隔壁と並んで配置される並設壁を有し、前記隔壁と前記並設壁とで構成される二重壁は、前記幅方向で隣接する前記キャビティの間を仕切るように配置されることが好ましい。
【0016】
幅方向で隣接するキャビティの間がハウジングの隔壁とリテーナの並設壁との二重壁によって仕切られるので、隣接するキャビティの間の、二重壁の隔壁と並設壁とに沿った、沿面距離を長くとることができる。よって、仮に、異物がキャビティの内部に入り込んだとしても、当該キャビティと当該キャビティに隣接するキャビティとの間に異物がまたがって配置される事態を回避でき、隣接する各キャビティに配置された端子金具同士が短絡することを防止できる。
【0017】
(5)上記(4)に記載のコネクタにおいて、前記二重壁は、前記ハウジングおよび前記リテーナにおいて、前記前後方向に間隔をあけて配置され、前記ハウジングと前記リテーナのうち、一方は、前後各々の前記二重壁の間に、前記二重壁の前記幅方向の厚みと対応する厚みをもった凸部を有し、他方は、前後各々の前記二重壁の間に、前記凸部が嵌合する凹部を有していることが好ましい。
【0018】
上記(5)の構成によれば、前後各々の二重壁の間において、凸部が凹部に嵌合する状態になるので、ハウジングから後方に引き出された電線に後方へ引っ張り力や振動力が加わったときに。リテーナがハウジングから脱落するのを、凹部と凸部との凹凸嵌合によって、防止することができる。特に、凸部と凹部が二重壁の幅方向の厚み範囲で形成されるので、凸部と凹部とが形成されることに起因し、コネクタが幅方向に大型化することを回避できる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0020】
<実施形態1>
実施形態1のコネクタ10は、図1に示すように、ハウジング20と、ハウジング20に収容される複数の端子金具40(図1では1つのみ図示)と、ハウジング20に対して仮係止位置(図2を参照)と本係止位置との間を移動可能に配置されるリテーナ60と、を備えている。ハウジング20は、相手コネクタ100に嵌合可能とされている。なお、以下の説明において、前後方向については、コネクタ10と相手コネクタ100とが互いに嵌合する方向を前方とする。上下方向は、図1図3の上下方向を基準とする。上方は、リテーナ60がハウジング20に対して仮係止位置から本係止位置へと移動する方向であり、以下、「第1方向」と称することもある。下方は、第1方向とは反対方向であって、以下、「第2方向」と称することもある。上下方向は、高さ方向と同義である。左右方向は、前後方向および上下方向の各方向と直交する方向である。左右方向は、幅方向と同義である。図3において、矢印Xは前後方向に沿う方向を表し、矢印Yは左右方向(幅方向)に沿う方向を表し、矢印Zは上下方向に沿う方向を表している。これらの方向の基準は、コネクタ10が図示しない車両等に搭載された状態における方向の基準とは必ずしも一致しない。
【0021】
(相手コネクタ100)
図1に示しように、相手コネクタ100は、相手ハウジング110と、相手ハウジング110に装着される複数の相手端子金具120(図1では1つのみ図示)と、を備えている。相手ハウジング110は合成樹脂製であって、前方に開放された角筒状のフード部111を有している。フード部111の上壁には、ロック孔112が上下方向に貫通して形成されている。ロック孔112には、コネクタ10および相手コネクタ100の嵌合時、後述するロックアーム22のロック突起23が嵌合する。相手端子金具120は導電金属製であって、フード部111の内部に突出するタブ121を有している。タブ121は、端子金具40に電気的に接続される。
【0022】
(ハウジング20)
ハウジング20は、図6に示すように、角ブロック状のハウジング本体21と、ハウジング本体21の上面から突出して後方に延びるロックアーム22と、を有している。図1に示すように、ロックアーム22には、ロック突起23が上方に突出して形成されている。ハウジング20がフード部111の内部に嵌合すると、ロックアーム22の弾性変位を伴って、ロック突起23がロック孔112に下方から嵌り込み、ハウジング20が相手コネクタ100に嵌合状態に保持される。
【0023】
ハウジング本体21は、リテーナ60を挿入可能なリテーナ装着孔24を有している。図6および図7に示すように、リテーナ装着孔24は、ハウジング本体21の後部における底面(第2方向を向く面)、後面及び左右の側面の各面にわたって開口している。また、ハウジング本体21は、前後方向に延びる複数のキャビティ25を有している。本実施形態1の場合、各キャビティ25は、ハウジング本体21において、幅方向に横一列に並んで配置される。図1に示すように、キャビティ25には、後方から端子金具40が挿入されて収容される。
【0024】
キャビティ25の前部25F(図1および図2を参照)は、図示しないが矩形の横断面形状をなし、ハウジング本体21の前部の内壁によって上下左右の各面が区画される。各キャビティ25の前部25Fの下面(下側に位置して上方を向く面)には、弾性変形可能なランス26が形成されている。図7に示すように、ランス26の下面は、ハウジング本体21の下面の一部を構成している。ランス26は、端子金具40を係止し、キャビティ25から後方への端子金具40の抜け出しを一次的に防止する。
【0025】
図1および図2に示すように、キャビティ25の後部25Rは、リテーナ装着孔24に連通し、リテーナ60の後述する端子挿通路67と重なる部分を有している。図6および図7に示すように、各キャビティ25の後部25Rは、ハウジング本体21の左右方向の端部を除く位置に配置される複数の隔壁27と、ハウジング本体21の左右方向の端部に位置する一対の側壁28と、によって区画され、下方および後方に開放されている。各側壁28は、前後方向に長い側面視矩形の板状をなし、左右方向に板厚を有する壁である。各側壁28は、左右方向の端部に形成されたキャビティ25の左右外側を仕切るように配置される。
【0026】
各隔壁27は、ハウジング本体21において、各キャビティ25の後部25Rを間に挟みつつ左右両側に並んで配置される。各隔壁27は、各側壁28と同様、前後方向に長い側面視矩形の板状をなし、左右方向に板厚を有する壁である。図4に示すように、各隔壁27の下端は、各側壁28の下端よりも下方に位置している。
【0027】
図4図7に示すように、各隔壁27の左右方向の一側面(左側面)には、上嵌合凹部29が凹設されている。図7に示すように、上嵌合凹部29は、キャビティ25の後部25Rにおける前後方向の全長にわたって形成されている。図4および図6に示すように、上嵌合凹部29は、背面視で断面L字形状に区画され、一側方(左側方)、下方および後方に開放されている。図4および図5に示すように、上嵌合凹部29には、下方からリテーナ60の後述する並設壁66が嵌合する。また、図6および図7に示すように、各隔壁27の前後方向の中間部には、凹部31が形成されている。凹部31は、各隔壁27の前後方向の中間部を厚み方向(幅方向)に貫通し、左右方向および下方に開放されている。凹部31は、側面視矩形の開口形状をなしている。凹部31の上面(上側に位置して下方を向く面)は、上嵌合凹部29の上面と同一高さで段差なく連続している(図7を参照)。図1および図2に示すように、凹部31には、下方からリテーナ60の後述する凸部73が嵌合する。
【0028】
図6に示すように、ハウジング本体21の各側面(左右外側の端面)には、装着凹部32(図6では右側面のみ図示)が凹設されている。装着凹部32は、リテーナ装着孔24の側面開口の周辺部に配置される。図3に示すように、装着凹部32には、リテーナ60の後述する側板部62が嵌合して装着される。図6に示すように、装着凹部32の奥面は、ハウジング本体21の前端部の側面から一段落ちて配置される。この装着凹部32の奥面には、下突条部33および上突条部34が突設されている。上突条部34は、前後方向に延びるリブ状をなし、下突条部33よりも上方に配置される。上突条部34および下突条部33は、リテーナ60が仮係止位置および本係止位置に配置されたときに、リテーナ60の後述する止め部65に係止される。
【0029】
(端子金具40)
端子金具40は導電性の金属板を曲げ加工等して形成されている。図8に示すように、端子金具40は、前後方向に長く延びる形状になっている。端子金具40の前部には、箱部41が形成されている。箱部41は、角筒状をなし、前後方向に貫通している。図1に示すように、コネクタ10および相手コネクタ100の嵌合時、箱部41の内部には、相手端子金具120のタブ121が挿入される。タブ121は、箱部41の内部に配置された図示しない弾性接触部に接触する。これにより、端子金具40と相手端子金具120とが電気的に接続される。
【0030】
箱部41の下壁には、係止凹部42が凹設されている。図1に示すように、係止凹部42には、ランス26の突出部分が嵌り込む。箱部41の下壁における係止凹部42を挟んだ前後両側のうち、前側には第1突起43が形成され、後側には第2突起44が形成されている。第1突起43は、ランス26の突出部分に前方から係止可能に配置される。第2突起44は、本係止位置に配置されたリテーナ60の後述する係止部68に前方から係止可能に配置される。
【0031】
また、端子金具40は、図8に示すように、箱部41よりも後方に位置するワイヤバレル部45と、ワイヤバレル部45よりも後方に位置するインシュレーションバレル部46と、を有している。箱部41とワイヤバレル部45との間、およびワイヤバレル部45とインシュレーションバレル部46との間は、端子金具40の上端部を構成する連結部47によって連結されている。ワイヤバレル部45は、電線200の端末部(前端部)で被覆210の除去により露出する芯線220(導体)に圧着して電気的に接続される。インシュレーションバレル部46は、電線200の端末部における被覆210(絶縁樹脂)に圧着して機械的に接続される。
【0032】
(リテーナ60)
リテーナ60は合成樹脂製であって、図9および図10に示すように、板状のリテーナ本体61と、リテーナ本体61の左右方向の端部から上方に突出する一対の板状の側板部62と、を有している。図3に示すように、リテーナ本体61は、底面視視矩形状をなし、上下方向に板厚を有している。リテーナ本体61は、本係止位置でハウジング本体21の底面におけるリテーナ装着孔24の下面開口を閉塞する(図1を参照)。各側板部62は、側面視矩形状をなし、左右方向に板厚を有している。
【0033】
図9および図10に示すように、各側板部62は、リテーナ本体61よりも前方に突出する突出部63を有している。各側板部62の突出部63の内面には、凹所64が凹設されている。凹所64は、側面視矩形の開口形状をなし、突出部63の下方に開放されている。また、各側板部62の突出部63の内面における上端部には、前後方向に延びるリブ状の止め部65が形成されている。止め部65は、凹所64の上端を区画している。止め部65が下突条部33と上突条部34との間に嵌り込むことにより、リテーナ60がハウジング20に対して仮係止位置で上下方向への移動を停止された状態に保持される。止め部65が上突条部34の上面に支持されることで、リテーナ60がハウジング20に対して本係止位置から下方(仮係止位置の方向)への移動を停止された状態に保持される。また、図3に示すように、側板部62が装着凹部32に嵌合して装着凹部32の上端面(装着凹部32の上側に位置して下方を向く段差面)に下方から突き当たることで、本係止位置に配置されたリテーナ60の上方(第1方向)への移動が停止される。
【0034】
図9および図10に示すように、リテーナ本体61の上面には、複数の並設壁66が突出して形成されている。各並設壁66は、リテーナ本体61の上面に左右方向に並んで配置される。各並設壁66は、前後方向に延びる板状をなしている。各並設壁66のうちの幅方向で隣接する並設壁66の間と、左右方向の端部の並設壁66とこの並設壁66に対向する側板部62との間には、複数の端子挿通路67が区画されている。各端子挿通路67には、後方から端子金具40が挿通される(図1を参照)。
【0035】
図9および図10に示すように、リテーナ本体61の上面の前端部には、複数の係止部68が突出して形成されている。各係止部68は、上面が平坦な扁平ブロック状をなし、各端子挿通路67と対応する位置に配置される。各係止部68の左右方向の他端(右端)は、対向する並設壁66に連結されている。図1に示すように、係止部68は、本係止位置で各端子金具40の箱部41および第2突起44に後方から係止可能に対向する。
【0036】
図9および図10に示すように、リテーナ本体61の上面の後端部には、複数の隙間詰め部69が突出して形成されている。各隙間詰め部69は、上面(後述する電線沿わせ面71)が湾曲したブロック状をなし、各端子挿通路67と対応する位置に配置される。各隙間詰め部69の左右方向の他端は、対向する並設壁66に連結されている。各隙間詰め部69は、本係止位置で電線200との間の隙間を詰めて電線200を下方から支持可能となっている。各隙間詰め部69の後面は、リテーナ60全体の後面を構成している。
【0037】
隙間詰め部69の上面は、第1方向を向く面であって、電線200の外周面に沿って湾曲する電線沿わせ面71になっている。電線沿わせ面71の上方は開放されており、隙間詰め部69は電線200の第1方向への動きを拘束する構造を有していない。電線沿わせ面71は、横断面形状(隙間詰め部69の上面を前後方向と直交する方向に沿って切断した形状)が円弧形状をなし(図4を参照)、側断面形状(隙間詰め部69の上面を前後方向に沿って切断した形状)が前後方向に直線状に延びる形状をなしている(図1および図2を参照)。電線200は、電線沿わせ面71に沿わせられ、前後方向に直線状に配置される。図1および図2に示すように、電線沿わせ面71の最下端は、係止部68の上面よりも低い高さに位置している。
【0038】
図4図9および図10に示すように、隙間詰め部69の左右方向の一端(左端)と、この一端に対向する並設壁66との間には、上方から隔壁27の後部が嵌合する下嵌合凹部72が区画されている。また、図5に示すように、係止部68の左右方向の一端(左端)と、この一端に対向する並設壁66との間にも、隔壁27の前部が嵌合する下嵌合凹部72が区画されている。
【0039】
図9および図10に示すように、リテーナ本体61の上面の前後方向の中間部における前後各々の隔壁27の間には、左右方向の他側に突出する部分を有する凸部73が形成されている。凸部73は、側面視矩形のブロック状をなし、前後各々の隔壁27と段付き状に連なり、隔壁27の左右方向の厚みを他側方(右側方)に増加させた形状になっている。前側の下嵌合凹部72は、後方を凸部73の前面によって閉塞される。後側の下嵌合凹部72は、前方を凸部73の後面によって閉塞される。図1および図2に示すように、凸部73は凹部31に位置決め状態に嵌合可能となっている。
【0040】
(コネクタ10の作用)
図2に示すように、リテーナ60がハウジング20に対して仮係止位置に配置された状態では、リテーナ本体61がハウジング本体21の底面の前部よりも下方に突出する部分を有し、キャビティ25への端子金具40の挿入が可能となるように、係止部68が下方に退避して配置される。この状態で、電線200の端末部に接続された端子金具40がキャビティ25に後方から挿入される。端子金具40の箱部41がキャビティ25の前壁35に突き当たることで、端子金具40の挿入動作が停止される。そして、ランス26が係止凹部42および第1突起43に後方から係止可能に対向することにより、キャビティ25から後方への端子金具40の抜け出しが一次的に防止される。
【0041】
リテーナ60がハウジング20に対して仮係止位置に配置された状態では、並設壁66が上嵌合凹部29に下方から浅く嵌合するとともに、隔壁27が下嵌合凹部72に上方から浅く嵌合し、且つ、並設壁66と隔壁27とが左右方向に重なるように並んだ二重壁80を構成する(図4および図5を参照)。さらに、図2に示すように、凸部73が凹部31に下方から浅く嵌合する。二重壁80は、凸部73と凹部31との嵌合部分を挟んだ前後両側に形成される。また、二重壁80の左右方向の厚みは、凸部73の左右方向の厚みと同一である。凸部73は、二重壁80と前後方向に段差なく連続して配置される。
【0042】
すべての端子金具40がキャビティ25に収容された後、リテーナ60がハウジング20に対して仮係止位置から本係止位置へと第1方向に移動させられる。リテーナ60に対して第1方向への押し上げ力または引き上げ力を付与することにより、止め部65が上突条部34を乗り越え、リテーナ60が本係止位置に至ることができる。リテーナ60が本係止位置に至ると、図1に示すように、係止部68が箱部41および第2突起44に後方から係止可能に対向し、キャビティ25から後方への端子金具40の抜け出しが二次的に防止される。
【0043】
図1に示すように、リテーナ60が本係止位置に至ると、係止部68の上面がワイヤバレル部45に近接するように対向して配置される。また、リテーナ60が本係止位置に至ると、図4に示すように、隙間詰め部69の電線沿わせ面71が電線200の外周面の下端部に対し周方向に沿って接触可能に対向して配置される。図1に示すように、電線200は、ハウジング20の内部に配置される部分(インシュレーションバレル部46からハウジング本体21の後面に至るまで、キャビティ25の後部25Rに配置される部分)を電線沿わせ面71に沿って直線状に配置させる。インシュレーションバレル部46の下端部は、リテーナ本体61の上面における係止部68と隙間詰め部69との間で相対的に凹んだ部分となる段差凹部74に進入して逃がされる。
【0044】
さらに、リテーナ60がハウジング20に対して本係止位置に配置された状態では、電線200の外周面の下端部と隙間詰め部69の電線沿わせ面71との間の隙間が詰められ、電線沿わせ面71に電線200が支持可能に配置される。このため、隙間詰め部69と電線200との間の隙間を通して異物が侵入することを回避でき、且つ隙間の範囲内で電線200が振動する事態を防止することができる。これに対し、電線200の第1方向への動きは拘束されないので、ハウジング本体21の後面から引き出された電線200をそのまま後方に引き出したり、あるいは、上向きに屈曲させることも可能となる。
【0045】
さらに、リテーナ60がハウジング20に対して本係止位置に配置された状態では、図4および図5に示すように、並設壁66が上嵌合凹部29に深く嵌合して上嵌合凹部29の内面全体に接触可能に配置されるとともに、隔壁27が下嵌合凹部72に深く嵌合して下嵌合凹部72の内面全体に接触可能に配置される。こうして凹凸状に噛み合う並設壁66と隔壁27とによって、二重壁80の一体性が高められる。特に、図5に示すように、ワイヤバレル部45の左右両側に二重壁80が配置されるので、並設壁66と隔壁27との間に形成されたラビリンス構造によって、隣接するキャビティ25間の沿面距離を長くとることができ、隣接する端子金具40同士が短絡する事態を回避できる。また、図1に示すように、凸部73が凹部31に深く嵌合し、凸部73の前端面および後端面がそれぞれ凹部31の前端面(前側に位置して後方を向く端面)および後端面(後側に位置して前方を向く端面)に上下方向に沿って接触可能に配置される。
【0046】
ここで、電線200がハウジング20よりも後方の位置で引っ張られたり振動したりすると、その引張力や振動力が電線沿わせ面71を介して隙間詰め部69に伝わることになる。しかし、本実施形態1の場合、上記のとおり凸部73が凹部31に嵌合した状態になっているので、本係止位置における止め部65と上突条部34との係止が外れる事態を回避することができる。また、図1に示すように、コネクタ10と相手コネクタ100とが嵌合状態にあるときには、リテーナ60の前部がフード部111の内部に入り込み、リテーナ60の動きがフード部111の下壁によって抑制されるので、ハウジング20からのリテーナ60の脱落が確実に防止される。
【0047】
以上説明したように、本実施形態1のコネクタ10は、ハウジング20と、ハウジング20に収容される端子金具40と、ハウジング20に対して仮係止位置と本係止位置との間を移動可能に配置されるリテーナ60と、を備えている。ハウジング20は、前後方向に延びるキャビティ25を有している。端子金具40は、電線200の端末部に接続され、且つキャビティ25に配置される。リテーナ60は、仮係止位置から本係止位置へと前後方向と交差する第1方向に移動する。リテーナ60は、本係止位置で端子金具40に対して後方から係止可能に対向する係止部68と、本係止位置で電線200に対して第1方向とは反対の第2方向の側から接触可能に対向するが、第1方向への電線200の動きを拘束しない隙間詰め部69と、を有している。つまり、隙間詰め部69には、本係止位置で電線200が第1方向とは反対の第2方向の側から接触可能に対向する。隙間詰め部69は、第1方向を向き、且つ前後方向に直線状に延びる電線沿わせ面71を有している。
【0048】
リテーナ60がハウジング20に対して本係止位置に配置された状態では、隙間詰め部69が電線200に対して第1方向とは反対の第2方向の側から接触可能に対向するので、電線200と隙間詰め部69との間の隙間が詰められ、隙間を通してキャビティ25の内部に異物が侵入したり、隙間の範囲内で電線200が振動する事態を防止することができる。特に、上記によれば、第1方向への電線200の動きが隙間詰め部69によって拘束されず、電線200が電線沿わせ面71によって強制的に屈曲されないので、電線200の配索方向の自由度を確保することができる。
【0049】
ここで、電線沿わせ面71が電線200の外周面に対して周方向に沿って対向する円弧形状の面であるため、電線沿わせ面71と電線200との間に形成され得る隙間を最小にでき、キャビティ25の内部への異物の侵入や電線200の振動をより効果的に抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態1の場合、ハウジング20は、第2方向を向く底面に開口するリテーナ装着孔24を有している。リテーナ装着孔24は、ハウジング20の底面と後面とにわたって開口している。リテーナ60は、仮係止位置および本係止位置でリテーナ装着孔24に配置される。隙間詰め部69は、ハウジング20の後面に露出して配置される。
【0051】
リテーナ装着孔24がハウジング20の底面と後面とにわたって開口し、このリテーナ装着孔24にリテーナ60が配置されるので、電線200が電線沿わせ面71に沿って延びる範囲を前後方向に比較的長く確保することができる。その結果、電線200と隙間詰め部69との間を通してキャビティ25の内部へ異物が移動するのを効果的に抑制でき、且つ電線200の振動を効果的に抑制できる。また、隙間詰め部69がハウジング20の後面に露出して配置されることにより、電線200と隙間詰め部69との隙間が適正に詰められているのかどうかを後方から目視によって確認することができる。
【0052】
また、本実施形態1の場合、キャビティ25は、ハウジング20において、前後方向および第1方向と交差する幅方向(左右方向)に複数並んで配置される。ハウジング20は、幅方向で隣接するキャビティ25の間に配置される隔壁27を有している。リテーナ60は、隔壁27に対して第1方向に沿って接触し、且つ幅方向で隔壁27と並んで配置される並設壁66を有している。隔壁27と並設壁66とで構成される二重壁80は、幅方向で隣接するキャビティ25の間を仕切るように配置される。幅方向で隣接するキャビティ25の間がハウジング20の隔壁27とリテーナ60の並設壁66との二重壁80によって仕切られるので、隣接するキャビティ25の間の、二重壁80の隔壁27と並設壁66とに沿った、沿面距離を長くとることができる。よって、仮に、異物がキャビティ25の内部に入り込んだとしても、当該キャビティ25と当該キャビティ25に隣接するキャビティ25との間に異物がまたがって配置される事態を回避でき、隣接する各キャビティ25に配置された端子金具40同士が互いのワイヤバレル部45間等で短絡することを防止できる。
【0053】
さらに、二重壁80は、ハウジング20およびリテーナ60において、前後方向に間隔をあけて配置され、リテーナ60は、前後各々の二重壁80の間に、二重壁80の幅方向の厚みと対応する厚みをもった凸部73を有し、ハウジング20は、前後各々の二重壁80の間に、凸部73が嵌合する凹部31を有している。この構成によれば、前後各々の二重壁80の間において、凸部73が凹部31に嵌合する状態になるので、リテーナ60がハウジング20から脱落することを防止できる。特に、凸部73と凹部31が二重壁80の幅方向の厚み範囲で形成されるので、凸部73と凹部31とが形成されることに起因し、コネクタ10が幅方向に大型化することを回避できる。
【0054】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された上記実施形態1はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
上記実施形態1の場合、リテーナがハウジングに対して仮係止位置から本係止位置へと移動する方向である第1方向は、上方に設定されていた。これに対し、他の実施形態によれば、第1方向は、下方に設定されていても良く、あるいは左右方向のいずれかの方向に設定されていても良い。さらに、第1方向は、上下方向および左右方向の各々の方向と交差した斜め方向に設定されていても良い。
上記実施形態1の場合、隙間詰め部の電線沿わせ面は、前後方向に沿った軸線上に形成されていた(図1の符号71を参照)。これに対し、他の実施形態によれば、隙間詰め部の電線沿わせ面は、前後方向に沿った軸線に対し、本開示の発明の主旨を損なわない範囲で、傾斜して形成されていても良い。
上記実施形態1の場合、隙間詰め部の電線沿わせ面は、電線の外周面に沿って湾曲する円弧形状の面であった。これに対し、他の実施形態によれば、隙間詰め部の電線沿わせ面は、電線の外周面の形状と対応していなくても良く、例えば、左右方向に沿って平坦に形成された面であっても良い。
上記実施形態1の場合、隙間詰め部の電線沿わせ面は、電線の外周面に接触するように設定されていた。これに対し、他の実施形態によれば、隙間詰め部の電線沿わせ面は、電線の外周面に近接して対向するように設定されていても良い。
上記実施形態1の場合、前後各々の二重壁の間に、リテーナが凸部を有し、ハウジングが凹部を有している構成であった。これに対し、他の実施形態によれば、前後各々の二重壁の間に、リテーナが凹部を有し、ハウジングが凸部を有している構成であっても良い。
上記実施形態1の場合、リテーナ装着孔は、ハウジング(ハウジング本体)の底面に加えて後面にも開放され、隙間詰め部がハウジングの後面に露出して配置されていた。これに対し、他の実施形態によれば、リテーナ装着孔は、ハウジングの後面に開放されず、隙間詰め部がハウジングの後面に露出しない構造であっても良い。
【符号の説明】
【0055】
10…コネクタ
20…ハウジング
21…ハウジング本体
22…ロックアーム
23…ロック突起
24…リテーナ装着孔
25…キャビティ
25F…キャビティの前部
25R…キャビティの後部
26…ランス
27…隔壁
28…側壁
29…上嵌合凹部
31…凹部
32…装着凹部
33…下突条部
34…上突条部
35…キャビティの前壁
40…端子金具
41…箱部
42…係止凹部
43…第1突起
44…第2突起
45…ワイヤバレル部
46…インシュレーションバレル部
47…連結部
60…リテーナ
61…リテーナ本体
62…側板部
63…突出部
64…凹所
65…止め部
66…並設壁
67…端子挿通路
68…係止部
69…隙間詰め部
71…電線沿わせ面
72…下嵌合凹部
73…凸部
74…段差凹部
80…二重壁
100…相手コネクタ
110…相手ハウジング
111…フード部
112…ロック孔
120…相手端子金具
121…タブ
200…電線
210…被覆
220…芯線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10