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特開2025-140658表示デバイス、表示装置、光電変換装置、電子機器およびウェアラブルデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025140658
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】表示デバイス、表示装置、光電変換装置、電子機器およびウェアラブルデバイス
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3225 20160101AFI20250919BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20250919BHJP
【FI】
G09G3/3225
G09G3/20 641E
G09G3/20 641A
G09G3/20 641K
G09G3/20 691G
G09G3/20 611E
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024040190
(22)【出願日】2024-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 陽太
【テーマコード(参考)】
5C080
5C380
【Fターム(参考)】
5C080AA06
5C080AA07
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD02
5C080DD06
5C080EE29
5C080FF03
5C080FF11
5C080JJ02
5C080JJ04
5C080JJ06
5C080KK02
5C080KK07
5C080KK43
5C080KK47
5C380AA01
5C380AA03
5C380AB06
5C380AB21
5C380AB22
5C380AB24
5C380AB28
5C380AB34
5C380AB41
5C380AC07
5C380AC08
5C380AC10
5C380AC11
5C380AC12
5C380BA43
5C380BB09
5C380BE05
5C380CA04
5C380CA12
5C380CA32
5C380CB18
5C380CC26
5C380CC33
5C380CC37
5C380CE02
5C380CF48
5C380DA07
5C380DA09
5C380FA05
(57)【要約】
【課題】1フレーム期間を複数のサブフレーム期間に分割する方式において、フリッカの抑制とブラーの抑制を両立するために有利な技術を提供する。
【解決手段】表示デバイスは、画素アレイと、前記画素アレイを駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部とを備える。前記制御部は、各単位フレーム期間が複数のサブフレーム期間で構成され、かつ、各サブフレーム期間におけるデューティ比が制御されるように前記駆動部を制御し、前記制御部は、各単位フレームにおいて、最後のサブフレーム期間のデューティ比が最初のサブフレーム期間のデューティ比よりも小さいように前記駆動部を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素アレイと、前記画素アレイを駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部とを備える表示デバイスであって、
前記制御部は、各単位フレーム期間が複数のサブフレーム期間で構成され、かつ、各サブフレーム期間におけるデューティ比が制御されるように前記駆動部を制御し、
前記制御部は、各単位フレームにおいて、最後のサブフレーム期間のデューティ比が最初のサブフレーム期間のデューティ比よりも小さくなるように前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする表示デバイス。
【請求項2】
前記制御部は、各サブフレーム期間が発光期間と非発光期間で構成され、各サブフレーム期間の開始時に前記発光期間が開始し、前記発光期間の終了時に前記非発光期間が開始するように前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示デバイス。
【請求項3】
前記制御部は、各単位フレームにおいて、前記複数のサブフレーム期間のうち前記最後のサブフレーム期間以外のサブフレーム期間のデューティ比よりも前記最後のサブフレーム期間のデューティ比が小さいように前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載の表示デバイス。
【請求項4】
前記制御部は、各フレーム期間における前記最後のサブフレーム期間の前記非発光期間が3msec以上であるように前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載の表示デバイス。
【請求項5】
画素アレイと、前記画素アレイを駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部とを備える表示デバイスであって、
前記制御部は、各単位フレーム期間が複数のサブフレーム期間で構成され、かつ、各サブフレーム期間におけるデューティ比が制御されるように前記駆動部を制御し、
前記制御部は、各サブフレーム期間が発光期間と非発光期間で構成され、各サブフレーム期間の開始時に前記非発光期間が開始し、前記非発光期間の終了時に前記発光期間が開始するように前記駆動部を制御し、
前記制御部は、各単位フレームにおいて、少なくとも最後のサブフレーム期間のデューティ比よりも最初のサブフレーム期間のデューティ比が小さいように前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする表示デバイス。
【請求項6】
前記制御部は、各単位フレームにおいて、前記複数のサブフレーム期間のうち前記最初のサブフレーム期間以外のサブフレーム期間のデューティ比よりも前記最初のサブフレーム期間のデューティ比が小さいように前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする請求項5に記載の表示デバイス。
【請求項7】
前記制御部は、各フレーム期間における前記最初のサブフレーム期間の前記非発光期間が3msec以上であるように前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする請求項5に記載の表示デバイス。
【請求項8】
画素アレイと、前記画素アレイを駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部とを備える表示デバイスであって、
前記制御部は、各単位フレーム期間が複数のサブフレーム期間で構成され、かつ、各サブフレーム期間におけるデューティ比が制御されるように前記駆動部を制御し、
前記制御部は、各サブフレーム期間が第1非発光期間、発光期間および第2非発光期間で構成され、各サブフレームの開始時に前記第1非発光期間が開始し、前記第1非発光期間の終了時に前記発光期間が開始し、前記発光期間の終了時に前記第2非発光期間が開始するように前記駆動部を制御し、
前記制御部は、k番目(kは1~n)のサブフレームにおける前記第1非発光期間、前記発光期間および前記第2非発光期間の長さをそれぞれの長さをtDk,1、tLk、tDk,2と定義したときに、
D1,2+tD2,1<tDn,2+tD1,1
を満たすように前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする表示デバイス。
【請求項9】
前記制御部は、k=1~n-1におけるtDk,1が等しく、k=1~n-1におけるtLkが等しく、k=1~n-1におけるtDk,2が等しいように、前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする請求項8に記載の表示デバイス。
【請求項10】
前記制御部は、tD1,2+tD2,1が3msec以上であるように前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする請求項9に記載の表示デバイス。
【請求項11】
前記駆動部は、前記画素アレイを構成する複数の画素に対して輝度信号に応じた信号を供給する、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示デバイス。
【請求項12】
前記信号は、前記輝度信号に応じた電圧を有する信号である、
ことを特徴とする請求項11に記載の表示デバイス。
【請求項13】
前記駆動部は、前記複数の画素の各々に対して、各単位フレーム期間において1回の割合で前記信号を供給する、
ことを特徴とする請求項11に記載の表示デバイス。
【請求項14】
前記画素アレイの周辺の輝度を測定する測定部を更に備え、
前記制御部は、前記測定部の出力に応じて各サブフレーム期間のデューティ比を決定する、
ことを特徴とする請求項13に記載の表示デバイス。
【請求項15】
前記制御部は、前記測定部の出力に応じてデューティを決定した後、単位フレームにおける最初のサブフレーム期間の終了時以降に、残りのサブフレームのデューティ比を、決定されたデューティ比に変更する、
ことを特徴とする請求項14に記載の表示デバイス。
【請求項16】
情報を処理する情報処理部と、
前記情報処理部によって生成された情報を表示するように構成された請求項1乃至15のいずれか1項に記載の表示デバイスと、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項17】
複数のレンズを有する光学部と、前記光学部を通過した光を受光する撮像素子と、画像を表示する表示部と、を有し、
前記表示部は、前記撮像素子が撮像した画像を表示するように構成された請求項1乃至15のいずれか1項に記載の表示デバイスを含む、
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項18】
表示部が設けられた筐体と、前記筐体に設けられ、外部と通信する通信部と、を有し、
前記表示部は、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の表示デバイスを含む、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項19】
画像を表示するための表示装置を有するウェアラブルデバイスであって、
前記表示装置は、請求項1乃至15のいずれか1項に記載された表示デバイスを含む、
ことを特徴とするウェアラブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示デバイス、表示装置、光電変換装置、電子機器およびウェアラブルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示デバイスは様々な用途に使用されており、携帯用機器に搭載される小型ディスプレイの分野における開発も盛んである。携帯用機器は、取扱いが容易であることから、屋外・屋内を問わず様々な環境で使用される。表示デバイスとしては、月明かりのない夜間の屋外や照明が点灯していない室内といった暗い環境から、晴天の太陽下の野外といった明るい環境まで様々な周囲輝度の使用環境においても最適な表示画像を提供する必要がある。
【0003】
表示デバイスでは、1sec間に数十回から数百回にわたって映像を書き換えるリフレッシュ動作が行われる。映像を出力する表示デバイス側の指標として、このリフレッシュ動作の周波数はリフレッシュ・レートと呼ばれる。表示デバイス上の表示は、リフレッシュ・レートが高い映像である方がより自然に近く好ましいが、リフレッシュ・レートの増加は、表示デバイスの回路規模を増大化させ、駆動時の消費電力も大きくなってしまうため、ほとんどの場合において好ましくない。特に、携帯用機器に搭載される小型ディスプレイの場合においては、消費電力の増大は、機器のバッテリーを大きくしてしまい、製品重量が重くなったり、製品サイズが大きくなったりするので好ましくない。一方で、リフレッシュ・レートが低い場合にはフリッカと呼ばれる映像のちらつきが視認できてしまうという問題がある。それため、通常は60Hz程度のフリッカが視認しにくい周波数で使用される。
【0004】
有機EL(OLED)やマイクロLEDなどの表示デバイスは、画素毎に自発光型の発光素子を用いており、各発光素子に所望の電流を印加することで発光させる。発光させる期間は電流の印加期間に対応するため、1フレームにおける発光期間を調整することが可能である。1フレームの期間に対する発光期間の割合は、デューティ比と呼ばれる。デューティ比が100%である場合(常時発光させている場合)、60Hz駆動においてフリッカは発生しない。しかし、動きが速い映像では、連続する2つのフレームの映像の差異が大きいために、人間の視覚の残像効果によって映像が平均化され、映像がぼやけて認識されてしまうという問題がある。この視覚の残像効果は、ブラーあるいはモーション・ブラーと呼ばれる。特許文献1には、1フレームを複数のサブフレームに分割し、各サブフレームをデューティ比に応じた発光期間だけ発光素子を発光させてフリッカを抑制する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-030516公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者が検討を行った結果、特許文献1に記載された技術では、フレーム内のサブフレーム間でデューティ比が変わらないため、動きが速い映像においてはデューティ駆動をしていてもブラーの抑制効果が十分でない場合があることがわかった。
【0007】
本発明は、1フレーム期間を複数のサブフレーム期間に分割する方式において、フリッカの抑制とブラーの抑制を両立するために有利な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの側面は、画素アレイと、前記画素アレイを駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部とを備える表示デバイスに係り、前記制御部は、各単位フレーム期間が複数のサブフレーム期間で構成され、かつ、各サブフレーム期間におけるデューティ比が制御されるように前記駆動部を制御し、前記制御部は、各単位フレームにおいて、最後のサブフレーム期間のデューティ比が最初のサブフレーム期間のデューティ比よりも小さいように前記駆動部を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フリッカの抑制とブラーの抑制を両立するために有利な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の表示デバイスの動作を示すタイミングチャート。
図2】第1実施形態の一実施例の表示デバイスの構成を模式的に示す図。
図3】第1実施形態の一実施例の表示デバイスの制御部の構成を示す図。
図4】実施例1-1の表示デバイスの動作を示すタイミングチャート。
図5】実施例1-1を説明するためのタイミングチャート。
図6】実施例1-1を説明するためのタイミングチャート。
図7】実施例1-2の表示デバイスの動作を示すタイミングチャート。
図8】実施例1-3の表示デバイスの動作を示すタイミングチャート。
図9】実施例1-4の表示デバイスの動作を示すタイミングチャート。
図10】実施例1-5の表示デバイスの動作を示すタイミングチャート。
図11】実施例1-6の表示デバイスの動作を示すタイミングチャート。
図12】第2実施形態の表示デバイスの動作を示すタイミングチャート。
図13】実施例2-1の表示デバイスの動作を示すタイミングチャート。
図14】実施例2-2の表示デバイスの動作を示すタイミングチャート。
図15】実施例3-1の表示デバイスの動作を示すタイミングチャート。
図16】実施例3-2の表示デバイスの制御部の構成を示す図。
図17】実施例3-2の表示デバイスの動作を示すタイミングチャート。
図18】一実施形態の表示装置の構成を例示する図。
図19】一実施形態の表示装置の構成を例示する図。
図20】一実施形態の撮像装置および電子機器を例示する図。
図21】一実施形態の表示装置を例示する図。
図22】一実施形態のスマートグラスを例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態の表示デバイスは、画素アレイと、該画素アレイを駆動する駆動部と、該駆動部を制御する制御部とを備えうる。該制御部は、各単位フレーム期間が複数のサブフレーム期間で構成され、かつ、各サブフレーム期間におけるデューティ比が制御されるように該駆動部を制御しうる。該制御部は、各単位フレームにおいて、最初のサブフレーム期間のデューティ比と最後のサブフレーム期間のデューティ比とが異なるように該駆動部を制御しうる。該制御部は、各サブフレーム期間が発光期間と非発光期間で構成され、各サブフレーム期間の開始時に発光期間が開始し、発光期間の終了時に非発光期間が開始するように該駆動部を制御しうる。該制御部は、各単位フレームにおいて、少なくとも最初のサブフレーム期間のデューティ比よりも最後のサブフレーム期間のデューティ比が小さいように該駆動部を制御しうる。該記制御部は、各単位フレームにおいて、複数のサブフレーム期間のうち最後のサブフレーム期間以外のサブフレーム期間のデューティ比よりも最後のサブフレーム期間のデューティ比が小さいように該駆動部を制御しうる。該制御部は、各フレーム期間における最後のサブフレーム期間の非発光期間が3msec以上であるように該駆動部を制御しうる。
【0012】
図1には、第1実施形態の表示デバイスにおける1フレーム期間tの動作が例示されている。1フレーム期間tは、1垂直走査期間、又は単位フレーム期間とも呼ばれる。画素アレイの各画素には、1フレーム期間に1回の割合で輝度信号が供給され該輝度信号に応じた信号が書き込まれうる。各フレーム期間を構成する複数のサブフレーム期間のうち少なくとも最初のサブフレーム期間のデューティ比に対する最後のサブフレーム期間のデューティ比が小さいため、tLn<tL1(および、tD1<tDn)を満たす。ここで、tL1は最初のサブフレーム期間における発光期間であり、tD1は最初のサブフレーム期間における非発光期間である。tLnは最後のサブフレーム期間における発光期間であり、tDnは最後のサブフレーム期間における非発光期間である。
【0013】
表示デバイスは、例えば、OLED(Organic Light Emitting Diode(有機ELとも呼ばれる))又はマイクロLEDなどの自発光型表示デバイスでありうる。の自発光型表示デバイスは、LCD(Liquid Crystal Display(液晶ディスプレイ))のような自発光型ではない表示デバイスと比べてリフレッシュ・レートが高い点で優れている。
【0014】
表示デバイスは、電源部、映像制御部、動作制御部などとともに表示装置を構成しうる。表示装置は、例えば、スマートフォン、モニターディスプレイ、XRデバイス、EVF(Electro View Finder、電子ビューファインダ)、単眼鏡、双眼鏡、暗視ゴーグルなどとして構成されてよく、携帯型、非携帯型を問わない。また、表示装置は、表示デバイスのサイズの大小を問わない。表示デバイスと眼との間にレンズなどの光学系が配置されてもよい。
【0015】
以下、いくつかの実施例を通して第1実施形態の表示デバイスを例示的に説明する。
(実施例1-1)
図2には、実施例1-1の表示デバイスの構成が模式的に示されている。表示デバイス10は、画素アレイ12と、垂直走査回路13、信号出力回路14、制御部20とを備えうる。垂直走査回路13および信号出力回路14は、画素アレイ12を駆動する駆動部50を構成しうる。画素アレイ12には、複数の行及び列を構成するように配置された複数の画素11を有する。制御部20は、垂直走査回路13及び信号出力回路14を制御する複数の制御信号を発生することができる。制御部20は、例えば、垂直走査回路13に対して垂直走査のための走査制御信号24、および、デューティ比(他の観点において発光期間)を制御する発光制御信号21を供給しうる。制御部20はまた、信号出力回路14に対して信号出力制御信号22および表示画像データ23を供給しうる。
【0016】
垂直走査回路13は、行方向に延びる複数の走査線群15を駆動するように構成されうる。各走査線群15は、書き込み制御線、および、駆動信号線を含みうる。各画素11は、発光素子と、発光素子を輝度信号に従って駆動する駆動トランジスタと、発光素子の発光・非発光を制御するスイッチトランジスタと、駆動トランジスタのゲートに輝度信号に応じた信号を書き込みトランジスタとを含みうる。輝度信号は、信号出力回路14から信号線16を介して書き込みトランジスタに供給されうる。書き込み制御線は、書き込みトランジスタのゲートに接続され、駆動信号線は、スイッチトランジスタのゲートに接続されうる。駆動信号線に供給される駆動信号が活性化されている期間が発光期間であり、駆動信号線に供給される駆動信号が非活性化されている期間が非発光期間である。垂直走査回路13は、垂直走査制御信号24に従って各行の書き込み制御線の電圧、つまり書込み制御信号を制御する。
【0017】
信号出力回路14は、制御部20から順次送られてくる表示画像データ23をD/A変換することによって、表示画像データ23の値に応じた電圧を有する電圧信号を輝度信号として生成し、各信号線16に出力する。走査線群15と信号線16との各交点には画素11が配置され、走査線群15と信号線16は対応する画素11に接続されている。
【0018】
画素11の発光素子は、例えばOLEDであり、駆動トランジスタ、スイッチトランジスタ、書き込みトランジスタ等のトランジスタは、例えばFET(Field Effect Transistor、電界効果トランジスタ)でありうる。OLEDは、例えば、少なくとも一方が透明である陽極と陰極との間に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などを順次積層させて構成されうる。FETは、例えば、シリコンTFT(Thin Film Transistor、薄膜トランジスタ)でありうる。
【0019】
図3には、制御部20の構成例が示されている。図3は、発光制御信号21の生成に注目したものであり、信号出力制御信号22、表示画像データ23および走査制御信号24の生成については、公知の技術に従いうる。制御部20は、タイミングジェネレータ(TG)30および受信部40を含みうる。受信部40は、輝度設定信号を受信しTG30に供給しうる。TG30は、表示デバイス10の外部から供給される画像データおよび不図示の同期信号を受信し、信号出力制御信号22、表示画像データ23および走査制御信号24を生成しうる。TG30は、受信部40から供給される輝度設定信号に従って発光制御信号21(発光パルス)を生成する発光制御部31を含みうる。発光制御部31は、例えば、輝度レベル設定部32と、発光パルス生成部33とを含みうる。
【0020】
表示デバイス10を含む表示装置は、表示デバイス10の輝度を設定するためのインターフェース(例えば、物理ボタン、GUI当)を有しうる。そのようなインターフェースをユーザーが操作することによって輝度が変更された場合に輝度設定信号が表示デバイス10の制御部20(受信部40)に供給されうる。受信部40が輝度設定信号を受信しそれをTG30に供給すると、TG30の輝度レベル設定部32は、各フレーム期間における輝度とデューティ比を設定する。発光パルス生成部33は、輝度レベル設定部32によって設定されたデューティ比に従って発光期間および非発光期間を規定する発光制御信号21(パルス信号)を生成しうる。なお、TG30は、輝度レベル設定部32によって設定された輝度および画像データに従って表示画像データ23を生成しうる。
【0021】
制御部20(他の観点では、TG30又は発光パルス生成部33)は、画像データの1フレーム(単位フレーム)期間を複数(換言するとn個)のサブフレーム期間に時間的に均等に分割するように発光制御信号21を発生しうる。最初のサブフレーム期間であるサブフレーム期間1の発光期間をtL1、非発光期間をtD1と表す。同様にして、k番目(kは1以上かつn以下の整数)のサブフレーム期間kの発光期間をtLk、非発光期間をtDkと表す。1フレーム期間を時間的に均等に複数のサブフレーム期間に分割しているため、tL1+tD1=tL2+tD2=・・・=tLn+tDnである。また、第1実施形態では、少なくともtLn<tL1(tD1<tDnとしても同じ)である。制御部20による制御を簡便にするためには、好ましくはtLn<tL1=・・・=tLn-1である。但し、表示デバイス10によって表示される画像データのタイミング設定と1フレーム期間の分割数(サブフレーム期間の総数)nとの関係によっては、完全に均等に分割する(tL1+tD1=tL2+tD2=・・・=tLn+tDnとする)できない場合がある。完全に均等に分割することが好ましいが、tLn<tL1の関係式を逸脱しない範囲において誤差が生じていてもよい。
【0022】
実施例1-1では、表示デバイス10のリフレッシュ・レートが60Hzに設定される。また、実施例1-1では、図4に示されるように、60fps(frames per second)の画像データの1フレーム期間が2個のサブフレーム期間に分割される。また、各サブフレーム期間が発光期間と非発光期間で構成され、各サブフレーム期間の開始時に発光期間が開始し、発光期間の終了時に非発光期間が開始するように制御部20(発光制御部31)によって駆動部50(垂直走査回路13)が制御される。
【0023】
1フレーム期間をtすると、実施例1-1においては、tL1=(1/2)t*0.17=0.085t、tL2=(1/2)t*0.10=0.050tであるため、tLn<tL1となっている。
【0024】
このように、発光制御部31は、各フレーム期間において、少なくとも最初のサブフレーム期間のデューティ比よりも最後のサブフレーム期間のデューティ比が小さいように垂直走査回路13を制御する。リフレッシュ・レート=60Hzにおいて各フレーム期間を2個のサブフレーム期間に分割しているため、見掛けのリフレッシュ・レートは120Hzとなる。120Hzの駆動ではフリッカはほとんど認識されないため、実施例1-1ではフリッカが抑制されていると言える。また、全てのサブフレーム期間においてデューティ比=17%で駆動している場合と比較すると、表示画像データが切り替わる直前のサブフレーム期間(実施例1-1の場合はサブフレーム期間2)はデューティ比が10%であるので非発光期間が90%と長い。表示画像データが切り替わる直前の非発光期間が長いことで、人間の視覚の残像効果によって映像が平均化されるブラーをより抑えることができる。
【0025】
また、本発明者が検討を行った結果、サブフレーム期間において発光期間の後に非発光期間を設ける場合、ブラー抑制のためには、連続する2つのフレーム期間の間で表示画像データが変更される期間が3msec以上であるとより抑制効果が高まることがわかった。連続する2つのフレーム期間の間で表示画像データが変更される期間は、最後のサブフレーム期間の発光期間の終了時から次のフレーム期間の最初のサブフレーム期間の発光開始時までの期間である。より具体的には、連続する2つのフレーム期間の間の垂直同期信号が無効化されている期間をtvsoffとした場合、tDn+tvsoff≧3msecであることが好ましい。tDnは、最後のサブフレーム期間のデューティ比をRdnとしたとき、tDn=t/(n*Rdn)と表せる。但し、表示デバイスにおいて、通常はtvsoffが0.01msecオーダーである(tvsoff<<3msec)ため、tDn≧3msecを満たすように制御することが好ましい。実施例1-1においては、tD2=7.5msecである。
【0026】
実施例1-1においてユーザーが輝度設定を変更しようとした場合、輝度設定情報を受信部40が受信し、輝度レベル設定部32に信号を送る。ユーザーが輝度を高くしようとした場合、図5に示される駆動例に従って輝度レベル設定部32による設定がなされうる。図4示された駆動と同じ駆動を(a)初期状態とする。それに対して、(b-1)では、発光パルスの強度を上げて輝度を高くしている。(b-2)では、最後のサブフレーム期間の発光期間tLn(実施例1-1の場合はサブフレーム期間2のtL2)を長くすることで輝度を高くしている。(b-3)では、最後のサブフレーム期間以外のサブフレーム期間の発光期間(実施例1-1の場合はサブフレーム期間1の発光期間tL1)を長くすることで輝度を高くしている。
【0027】
デューティ比を制御する駆動方法(デューティ駆動)において、(b-1)のように発光パルスの強度を上げて輝度を高くする方法は好ましくない場合がある。例えば、電圧を上げても表示素子の発光効率が上がらない場合、あるいは、発光素子に供給可能な最大電圧による制限を受ける場合である。(b-2)では、第1実施形態の効果を発揮するにはtL2<tL1という条件を満たす必要があるので、この条件によって制限されうる。よって、(b-3)の例のように設定することが好ましい。ただし、(b-1)、(b-2)、(b-3)を組み合わせて輝度を設定してもよい。
【0028】
同様にして、ユーザーが輝度を暗くしようとした場合、図6に示すような駆動例に従って輝度レベル設定部32による設定がなされうる。(c-1)では、発光パルスの強度を下げて輝度を低くしている。(c-2)では、最後のサブフレーム期間の発光期間tLn(実施例1-1の場合はサブフレーム期間2のtL2)を短くすることで輝度を低くしている。(c-3)では、最後のサブフレーム期間以外のサブフレーム期間の発光期間(実施例1-1の場合はサブフレーム期間1の発光期間tL1)を短くすることで輝度を低くしている。(c-2)では、tL2を0未満にはできないため、輝度の設定に下限がある。(c―3)では、第1実施形態の効果を発揮するにはtL2<tL1という条件を満たす必要があるので、この条件によって制限されうる。よって、(c-1)の例のように設定することが好ましい。ただし、(c-1)、(c-2)、(c-3)を組み合わせて輝度を設定してもよい。
(実施例1-2)
実施例1-2では、表示デバイス10のリフレッシュ・レートが60Hzに設定される。また、実施例1-2では、図7に示されるように、60fpsの画像データの1フレーム期間が4個のサブフレーム期間に分割される。また、各サブフレーム期間が発光期間と非発光期間で構成され、各サブフレーム期間の開始時に発光期間が開始し、発光期間の終了時に非発光期間が開始するように制御部20(発光制御部31)によって駆動部50(垂直走査回路13)が制御される。
【0029】
リフレッシュ・レート=60Hzにおいて各フレーム期間を4個のサブフレーム期間に分割しているため、見掛けのリフレッシュ・レートは240Hzとなる。240Hzの駆動ではフリッカはほとんど認識されないため、実施例1-2ではフリッカが抑制されていると言える。また、全てのサブフレーム期間においてデューティ比=25%で駆動している場合と比較すると、表示画像データが切り替わる最後のサブフレーム期間(実施例1-2の場合はサブフレーム期間4)はデューティ比が15%であるので非発光期間が85%と長い。表示画像データが切り替わる直前の非発光期間が長いことで、人間の視覚の残像効果によって映像が平均化されるブラーをより抑えることができる。また、tD4=3.5msecであるため、tDn≧3msecを満たしている。
【0030】
実施例1-2においても、ユーザーが輝度設定を変更しようとした場合は、実施例1-1で説明したものと同様な方法で設定が可能である。
(実施例1-3)
実施例1-3では、表示デバイス10のリフレッシュ・レートが60Hzに設定される。実施例1-3では、図8に示されるように、60fpsの画像データの1フレーム期間が5個のサブフレーム期間に分割される。また、各サブフレーム期間が発光期間と非発光期間で構成され、各サブフレーム期間の開始時に発光期間が開始し、発光期間の終了時に非発光期間が開始するように制御部20(発光制御部31)によって駆動部50(垂直走査回路13)が制御される。
【0031】
リフレッシュ・レート=60Hzにおいて各フレーム期間を5個のサブフレーム期間に分割しているため、見掛けのリフレッシュ・レートは300Hzとなる。300Hzの駆動ではフリッカはほとんど認識されないため、実施例1-3ではフリッカが抑制されていると言える。また、全てのサブフレーム期間においてデューティ比=50%で駆動している場合と比較すると、表示画像データが切り替わる最後のサブフレーム期間(実施例1-3の場合はサブフレーム期間5)はデューティ比が10%であるので非発光期間が90%と長い。表示画像データが切り替わる直前の非発光期間が長いことで、人間の視覚の残像効果によって映像が平均化されるブラーをより抑えることができる。また、tD5=3.0msecであるため、tDn≧3msecを満たしている。
【0032】
実施例1-3においても、ユーザーが輝度設定を変更しようとした場合は、実施例1-1で説明したものと同様な方法で設定が可能である。
(実施例1-4)
実施例1-4では、表示デバイス10のリフレッシュ・レートが72Hzに設定される。実施例1-4では、図9に示されるように、72fpsの画像データの1フレーム期間が3個のサブフレーム期間に分割される。また、各サブフレーム期間が発光期間と非発光期間で構成され、各サブフレーム期間の開始時に発光期間が開始し、発光期間の終了時に非発光期間が開始するように制御部20(発光制御部31)によって駆動部50(垂直走査回路13)が制御される。
【0033】
リフレッシュ・レート=72Hzにおいて各フレーム期間を3個のサブフレーム期間に分割しているため、見掛けのリフレッシュ・レートは216Hzとなる。216Hzの駆動ではフリッカはほとんど認識されないため、実施例1-4ではフリッカが抑制されていると言える。また、全てのサブフレーム期間においてデューティ=比40%で駆動している場合と比較すると、表示画像データが切り替わる最後のサブフレーム期間(実施例1-4の場合はサブフレーム期間3)はデューティ比が30%であるので非発光期間が70%と長い。表示画像データが切り替わる直前の非発光期間が長いことで、人間の視覚の残像効果によって映像が平均化されるブラーをより抑えることができる。また、tD3=3.2msecであるため、tDn≧3msecを満たしている。
【0034】
実施例1-4においてユーザーが輝度設定を変更しようとした場合は、実施例1で説明したものと同様な方法で設定が可能である。
(実施例1-5)
実施例1-5では、表示デバイス10のリフレッシュ・レートが90Hzに設定される。実施例1-5では、図10に示されるように、90fpsの画像データの1フレーム期間が3個のサブフレーム期間に分割される。また、各サブフレーム期間が発光期間と非発光期間で構成され、各サブフレーム期間の開始時に発光期間が開始し、発光期間の終了時に非発光期間が開始するように制御部20(発光制御部31)によって駆動部50(垂直走査回路13)が制御される。
【0035】
リフレッシュ・レート=90Hzにおいて各フレーム期間を3個のサブフレーム期間に分割しているため、見掛けのリフレッシュ・レートは270Hzとなる。270Hzの駆動ではフリッカはほとんど認識されないため、実施例1-5ではフリッカは抑制されていると言える。また、全てのサブフレーム期間においてデューティ比30%で駆動している場合と比較すると、表示画像データが切り替わる最後のサブフレーム期間(実施例1-5の場合はサブフレーム期間3)はデューティ比が15%であるので非発光期間が85%と長い。表示画像データが切り替わる直前の非発光期間が長いことで、人間の視覚の残像効果によって映像が平均化されるブラーをより抑えることができる。また、tD3=3.1msecであるため、tDn≧3msecを満たしている。
【0036】
実施例1-5においても、ユーザーが輝度設定を変更しようとした場合は、実施例1-1で説明したものと同様な方法で設定が可能である。
(実施例1-6)
実施例1-6では、表示デバイス10のリフレッシュ・レートが120Hzに設定される。実施例1-6では、図11に示されるように、120fpsの画像データの1フレーム期間が2個のサブフレーム期間に分割される。また、各サブフレーム期間が発光期間と非発光期間で構成され、各サブフレーム期間の開始時に発光期間が開始し、発光期間の終了時に非発光期間が開始するように制御部20(発光制御部31)によって駆動部50(垂直走査回路13)が制御される。
【0037】
リフレッシュ・レート=120Hzにおいて各フレーム期間を2個のサブフレーム期間に分割しているため、見掛けのリフレッシュ・レートは240Hzとなる。240Hzの駆動ではフリッカはほとんど認識されないため、実施例1-5ではフリッカは抑制されていると言える。また、全てのサブフレーム期間においてデューティ比33%で駆動している場合と比較すると、表示画像データが切り替わる最後のサブフレーム期間(実施例1-6の場合はサブフレーム期間2)はデューティ比が25%であるので非発光期間が75%と長い。表示画像データが切り替わる直前の非発光期間が長いことで、人間の視覚の残像効果によって映像が平均化されるブラーをより抑えることができる。また、tD2=3.1msecであるため、tDn≧3msecを満たしている。
【0038】
実施例1-6においも、ユーザーが輝度設定を変更しようとした場合は、実施例1-1で説明したものと同様な方法で設定が可能である。
(第2の実施形態)
以下、第2実施形態を説明するが、第2実施形態として言及しない事項は、第1実施形態に従いうる。第2実施形態では、制御部20は、各サブフレーム期間が発光期間と非発光期間で構成され、各サブフレーム期間の開始時に非発光期間が開始し、非発光期間の終了時に発光期間が開始するように駆動部50を制御しうる。制御部20は、各単位フレームにおいて、少なくとも最後のサブフレーム期間のデューティ比よりも最初のサブフレーム期間のデューティ比が小さいように駆動部50を制御しうる。制御部20は、各単位フレームにおいて、複数のサブフレーム期間のうち最初のサブフレーム期間以外のサブフレーム期間のデューティ比よりも最初のサブフレーム期間のデューティ比が小さいように駆動部50を制御しうる。制御部20は、各フレーム期間における最初のサブフレーム期間の非発光期間が3msec以上であるように駆動部50を制御しうる。
【0039】
図12には、第2実施形態の表示デバイス10における1フレーム期間tの動作が例示されている。各フレーム期間を構成する複数のサブフレーム期間のうち少なくとも最後のサブフレーム期間のデューティ比に対する最初のサブフレーム期間のデューティ比が小さいため、tL1<tLn(および、tDn<tD1)を満たす。
(実施例2-1)
制御部20(他の観点では、TG30又は発光パルス生成部33)は、画像データの1フレーム(単位フレーム)期間を複数(換言するとn個)のサブフレーム期間に時間的に均等に分割するように発光制御信号21を発生しうる。最初のサブフレームであるサブフレーム期間1の非発光期間をtD1、発光期間をtL1と表す。同様にして、k番目(kは1以上かつn以下の整数)のサブフレーム期間kの非発光期間をtDk、発光期間をtLkと表す。1フレーム期間を時間的に均等に複数のサブフレーム期間に分割しているため、tD1+tL1=tD2+tL2=・・・=tDn+tLnである。また、第2実施形態では、少なくともtL1<tLn(tDn<tD1としても同じ)である。制御部20による制御を簡便にするためには、好ましくはtL1<tL2=・・・=tLnである。但し、表示デバイス10によって表示される画像データのタイミング設定と1フレームの分割数(サブフレーム期間の総数)nとの関係によっては、完全に均等に分割(tD1+tL1=tD2+tL2=・・・=tDn+tLnとすること)できない場合がある。完全に均等に分割することが好ましいが、tL1<tLnの関係式を逸脱しない範囲において誤差が生じていてもよい。
【0040】
実施例2-1では、表示デバイス10のリフレッシュ・レートが60Hzに設定される。また、実施例2-1では、図13に示されるように、60fpsの画像データの1フレーム期間が2個のサブフレーム期間に分割される。また、各サブフレーム期間が発光期間と非発光期間で構成され、各サブフレーム期間の開始時に非発光期間が開始し、非発光期間の終了時に発光期間が開始するように制御部20(発光制御部31)によって駆動部50(垂直走査回路13)が制御される。
【0041】
1フレーム期間をtすると、実施例2-1においては、tL1=(1/2)t*0.10=0.050t、tL2=(1/2)t*0.17=0.085tであるため、tL1<tLnとなっている。
【0042】
このように、発光制御部31は、各フレーム期間において、少なくとも最後のサブフレーム期間のデューティ比よりも最初のサブフレーム期間のデューティ比を小さいように垂直走査回路13を制御する。リフレッシュ・レート=60Hzにおいて各フレーム期間を2個のサブフレーム期間に分割しているため、見掛けのリフレッシュ・レートは120Hzとなる。120Hzの駆動ではフリッカはほとんど認識されないため、実施例2-1ではフリッカが抑制されていると言える。また、全てのサブフレーム期間においてデューティ比が17%で駆動している場合と比較すると、表示画像データが切り替わる直前のサブフレーム期間(実施例2-1の場合はサブフレーム期間1)はデューティ比が10%であるので非発光期間が90%と長い。表示画像データが切り替わる直前の非発光期間が長いことで、人間の視覚の残像効果によって映像が平均化されるブラーをより抑えることができる。
【0043】
また、本発明者が検討を行った結果、サブフレーム期間において非発光期間の後に発光期間を設ける場合、ブラー抑制のためには、連続する2つのフレーム期間の間で表示画像データが変更される期間が3msec以上であるとより抑制効果が高まることがわかった。連続する2つのフレーム期間の間で表示画像データが変更される期間は、最後のサブフレーム期間の発光期間の終了時から次のフレーム期間の最初のサブフレーム期間の発光開始時までの期間である。より具体的には、連続する2つのフレーム期間の間の垂直同期信号が無効化されている期間をtvsoffとした場合、tD1+tvsoff≧3msecである。tD1は、最初のサブフレーム期間のデューティ比をRd1としたとき、tD1=t/(n*Rd1)と表せる。但し、表示デバイスにおいて、通常はtvsoffが0.01msecオーダーである(tvsoff<<3msec)ため、tD1≧3msecを満たすように制御することが好ましい。実施例2-1においては、tD1=7.5msecである。
【0044】
実施例2-1においてユーザーが輝度設定を変更しようとした場合は、実施例1-1で説明したものと同様の方法で設定が可能である。輝度を高くする場合には、発光パルスの強度を上げる、最初のサブフレーム期間(実施例2-1の場合はサブフレーム期間1)の発光期間tL1を長くする、最初のサブフレーム期間以外のサブフレーム期間の発光期間(実施例2-1の場合はサブフレーム期間2のtL2)を長くする方法などが考えられる。これらを組み合わせて設定してもよい。輝度を低くする場合には、発光パルスの強度を下げる、最初のサブフレーム期間(実施例2-1の場合はサブフレーム期間1)の発光期間tL1を短くする、最初のサブフレーム期間以外のサブフレーム期間の発光期間(実施例2-1の場合はサブフレーム期間2のtL2)を短くする方法などが考えられる。これらを組み合わせて設定してもよい。いずれの場合においても、第2実施形態の効果を発揮するにはtL1<tLnを満たす必要がある。
(第3の実施形態)
以下、第3実施形態を説明するが、第3実施形態として言及しない事項は、第1又は第2実施形態に従いうる。第3実施形態では、制御部20は、各サブフレーム期間が第1非発光期間、発光期間および第2非発光期間で構成される駆動部50を制御しうる。また、制御部20は、各サブフレームの開始時に第1非発光期間が開始し、第1非発光期間の終了時に発光期間が開始し、発光期間の終了時に第2非発光期間が終了するように駆動部50を制御しうる。また、制御部20は、各単位フレームにおいて、最初のサブフレーム期間のデューティ比と最後のサブフレーム期間のデューティ比とが異なるように駆動部50を制御しうる。
【0045】
図14には、第3実施形態の表示デバイス10における1フレーム期間tVの動作が例示されている。制御部20は、k番目(kは1~n)のサブフレームにおける第1非発光期間、発光期間および第2非発光期間の長さをそれぞれの長さをtDk,1、tLk、tDk,2と定義したときに、
D1,2+tD2,1<tDn,2+tD1,1
を満たすように駆動部50を制御しうる。
(実施例3-1)
制御部20(他の観点では、TG30又は発光パルス生成部33)は、画像データの1フレーム(単位フレーム)期間を複数(換言するとn個)のサブフレーム期間に時間的に均等に分割するように発光制御信号21を発生しうる。最初のサブフレームであるサブフレーム期間1の第1非発光期間、発光期間、第2非発光期間をそれぞれtD1,1、tL1、tD1,2と表す。同様にして、k番目(kは1以上かつn以下の整数)のサブフレーム期間kの第1非発光期間、発光期間、第2非発光期間をそれぞれtDk,1、tLk、tDk,2と表す。1フレームを時間的に均等に複数のサブフレーム期間に分割しているため、tD1,1+tL1+tD1,2=tD2,1+tL2+tD2,2=・・・=tDn,1+tLn+tDn,2である。また、第2実施形態では、tD1,2+tD2,1<tDn,2+tD1,1である。制御部20による制御を簡便にするためには、好ましくはtD1,2+tD2,1=・・・=tD(n-1),2+tDn,1<tDn,2+tD1,1である。但し、表示デバイス10によって表示される画像データのタイミング設定と1フレームの分割数(サブフレーム期間の総数)nの関係によっては、完全に均等に分割(tD1,1+tL1+tD1,2=tD2,1+tL2+tD2,2=・・・=tDn,1+tLn+tDn,2とすること)できない場合がある。完全に均等に分割することが好ましいが、tD1,2+tD2,1<tDn,2+tD1,1の関係式を逸脱しない範囲において誤差が生じていてもよい。
【0046】
実施例3-1では、図15に示されるように、表示デバイス10のリフレッシュ・レートが60Hzに設定される。60fpsの画像データの1フレーム期間が2個のサブフレーム期間に分割される。また、各サブフレーム期間が第1非発光期間、発光期間および第2非発光期間で構成される制御部20(発光制御部31)によって駆動部50(垂直走査回路13)が制御される。また、各サブフレームの開始時に第1非発光期間が開始し、第1非発光期間の終了時に発光期間が開始し、発光期間の終了時に第2非発光期間が開始するように制御部20(発光制御部31)によって駆動部50(垂直走査回路13)が制御される。
【0047】
1フレーム期間をtすると、実施例3-1では、tD1,2+tD2,1=(1/2)t*0.20+(1/2)t*0.70=0.450t、tDn,2+tD1,1=(1/2)t*0.20+(1/2)t*0.63=0.415tである。よって、tD1,2+tD2,1<tDn,2+tD1,1となっている。
【0048】
このように、発光制御部31は、1つのフレーム期間の最後のサブフレームの発光期間の終了時から次のフレームの最初のサブフレームの発光期間の開始時までの時間(つまり、連続するフレーム期間の間の非発光期間。)が、1つのフレームの1つのサブフレームの発光期間の終了時から次のサブフレームの発光期間の開始時までの時間(つまり、フレーム期間内における連続する発光期間の間の非発光期間。)よりも長いように駆動部50を制御しうる。リフレッシュ・レート=60Hzにおいて各フレーム期間を2個のサブフレーム期間に分割しているため、見掛けのリフレッシュ・レートは120Hzとなる。120Hzの駆動ではフリッカはほとんど認識されないため、実施例3-1ではフリッカが抑制されていると言える。また、連続するフレーム期間の間の非発光期間がフレーム期間内における連続する発光期間の間の非発光期間より長いことにより、人間の視覚の残像効果によって映像が平均化されるブラーをより抑えることができる。
【0049】
また、本発明者が検討を行った結果、サブフレーム期間を第1非発光期間、発光期間、第2非発光期間で構成する場合、連続する2つのフレーム期間の間で表示画像データが変更される期間が3msec以上であるとより抑制効果が高まることがわかった。連続する2つのフレーム期間の間で表示画像データが変更される期間は、最後のサブフレーム期間の発光期間の終了時から次のフレーム期間の最初のサブフレーム期間の発光開始時までの期間である。より具体的には、連続する2つのフレーム期間の間の垂直同期信号が無効化されている期間をtvsoffとした場合、tDn,2+tD1,1+tvsoff≧3msecである。但し、表示デバイスにおいて、通常はtvsoffが0.01msecオーダーである(tvsoff<<3msec)ため、tDn,2+tD1,1≧3msecを満たすように制御することが好ましい。実施例7においては、tD1=7.5msecである。
【0050】
実施例3-1においてユーザーが輝度設定を変更しようとした場合は、実施例1-1で説明したものと同様な方法で設定が可能である。輝度を高くする場合には、発光パルスの強度を上げる、最初のサブフレーム期間(実施例3-1の場合はサブフレーム期間1)の発光期間tL1を長くする、最初のサブフレーム期間以外のサブフレーム期間の発光期間(実施例3-1の場合はサブフレーム期間2のtL2)を長くする方法などが考えられる。これらを組み合わせて設定してもよい。輝度を低くする場合には、発光パルスの強度を下げる、最初のサブフレーム期間(実施例3-1の場合はサブフレーム期間1)の発光期間tL1を短くする、最初のサブフレーム期間以外のサブフレーム期間の発光期間(実施例3-1の場合はサブフレーム期間2のtL2)を短くする方法などが考えられる。これらを組み合わせて設定してもよい。いずれの場合においても、第3実施形態の効果を発揮するにはtD1,2+tD2,1<tDn,2+tD1,1を満たす必要がある。
【0051】
第1乃至第3実施形態の表示デバイスは、1フレームを複数のサブフレームに分割し、該複数のサブフレームのデューティ比を調整することができるので、実効的な輝度の調整の自由度が向上する。
【0052】
輝度レベル設定部32は、画像データに基づいて輝度レベルを設定してもよい。より具体的には、輝度レベル設定部32は、画像データ全体の輝度を計算し、画像データ全体の輝度に基づいて輝度レベルを設定(即ち、輝度レベルを発光パルス生成部33に供給)してもよい。
【0053】
表示デバイス10を搭載した表示装置、または表示デバイス10は、表示デバイス10の周辺の輝度を測定する測定部を備えてもよい。制御部20は、測定部の出力(測定部によって測定された輝度)に応じて各サブフレーム期間のデューティ比を決定してもよい。このような構成によれば、輝度調整の即時性を高めることができる。周辺輝度を示す情報が得られてから輝度を調整するまでの時間が長い場合、周辺輝度の急激な変化(例えば、車がトンネルに出入りする場合、屋内で照明をon/offした場合など)への追従性が低い。そのため、輝度調整の即時性は高いことが求められる。測定部より得られた周辺輝度に応じたデューティ比を制御部によって決定し、フレーム期間の最初のサブフレーム期間の終了時以降に、サブフレーム期間のデューティ比をその決定に応じて調整することが有利である。
(実施例3-2)
図16には、表示デバイス10の周辺輝度を測定する測定部を有する表示装置において、周辺輝度情報を制御部20が受信する構成が示されている。制御部20は、周辺輝度情報を受信する受信部41を有し、測定部によって測定された周辺輝度の情報である周辺輝度情報を受信し、それを発光制御部31に信号を送る。発光制御部31では、受信した輝度情報に応じて、輝度設定情報を受信する受信部40かた提供される輝度設定情報とは別個に、輝度レベルを設定する。受信部40からの輝度設定情報の提供と受信部41からの周辺輝度情報の提供の双方があった場合には、輝度レベル設定部32は、それらの双方に応じて輝度レベルを設定しうる。
【0054】
図17には、実施例3-2の動作が例示的に示されている。図17の例では、受信した周辺輝度情報に応じて発光制御部31(輝度レベル設定部32)が輝度レベルを低下させる(表示画像を暗くする)と判断する。この例では、輝度レベル設定部32は、受信した周辺輝度情報を処理し、輝度レベルを低下させるように輝度レベル期間2の終了までに行いうる。発光パルス生成部33は、輝度レベルの設定に応じて、サブフレーム期間3、4のデューティ比を変更している。変更後においてもtLn<tL1を満たすようにデューティ比が設定され、また、tD4=3.3msecであるため、tDn≧3msecも満たしている。これによって、輝度調整を行った場合においても、フリッカとブラーの抑制を両立させている。
【0055】
以下、上記の表示デバイスの構成例および応用例を例示的に説明する。
【0056】
図18は、表示デバイスの例を示す断面模式図である。図18(a)は、表示デバイス10の構成要素である画素の一例である。画素は、副画素10を有している。副画素はその発光により、10R、10G、10Bに分けられている。発光色は、発光層から発光される波長で区別されても、副画素から出社する光がカラーフィルタ等により、選択的透過または色変換が行われてもよい。それぞれの副画素は、層間絶縁層1の上に第一電極である反射電極2、反射電極2の端を覆う絶縁層3、第一電極と絶縁層とを覆う有機化合物層4、透明電極5、保護層6、カラーフィルタ7を有している。
【0057】
層間絶縁層1は、その下層または内部にトランジスタ、容量素子を配されていてよい。トランジスタと第一電極は不図示のコンタクトホール等を介して電気的に接続されていてよい。
【0058】
絶縁層3は、バンク、画素分離膜とも呼ばれる。第一電極の端を覆っており、第一電極を囲って配されている。絶縁層の配されていない部分が、有機化合物層4と接し、発光領域となる。
【0059】
有機化合物層4は、正孔注入層41、正孔輸送層42、第一発光層43、第二発光層44、電子輸送層45を有する。
【0060】
第二電極5は、透明電極であっても、反射電極であっても、半透過電極であってもよい。
【0061】
保護層6は、有機化合物層に水分が浸透することを低減する。保護層は、一層のように図示されているが、複数層であってよい。層ごとに無機化合物層、有機化合物層があってよい。
【0062】
カラーフィルタ7は、その色により7R、7G、7Bに分けられる。カラーフィルタは、不図示の平坦化膜上に形成されてよい。また、カラーフィルタ上に不図示の樹脂保護層を有してよい。また、カラーフィルタは、保護層6上に形成されてよい。またはガラス基板等の対向基板上に設けられた後に、貼り合わせられよい。
【0063】
図18(b)の表示デバイス100は、表示デバイス10で構成されうる。表示デバイス100は、有機発光素子26とトランジスタの一例としてTFT18が記載されている。ガラス、シリコン等の基板11とその上部に絶縁層12が設けられている。絶縁層の上には、TFT等の能動素子18が配されており、能動素子のゲート電極13、ゲート絶縁膜14、半導体層15が配置されている。TFT18は、他にも半導体層15とドレイン電極16とソース電極17とで構成されている。TFT18の上部には絶縁膜19が設けられている。絶縁膜に設けられたコンタクトホール20を介して有機発光素子26を構成する陽極21とソース電極17とが接続されている。
【0064】
なお、有機発光素子26に含まれる電極(陽極、陰極)とTFTに含まれる電極(ソース電極、ドレイン電極)との電気接続の方式は、図18(b)に示される態様に限られるものではない。つまり陽極又は陰極のうちいずれか一方とTFTソース電極またはドレイン電極のいずれか一方とが電気接続されていればよい。TFTは、薄膜トランジスタを指す。
【0065】
図18(b)の表示デバイス100では有機化合物層を1つの層の如く図示をしているが、有機化合物層22は、複数層であってもよい。陰極23の上には有機発光素子の劣化を低減するための第一の保護層24や第二の保護層25が設けられている。
【0066】
図18(b)の表示デバイス100ではスイッチング素子としてトランジスタを使用しているが、これに代えて他のスイッチング素子として用いてもよい。
【0067】
図18(b)の表示デバイス100に使用されるトランジスタは、単結晶シリコンウエハを用いたトランジスタに限らず、基板の絶縁性表面上に活性層を有する薄膜トランジスタでもよい。活性層として、単結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコンなどの非単結晶シリコン、インジウム亜鉛酸化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物等の非単結晶酸化物半導体が挙げられる。なお、薄膜トランジスタはTFT素子とも呼ばれる。
【0068】
図18(b)の表示デバイス100に含まれるトランジスタは、Si基板等の基板内に形成されていてもよい。ここで基板内に形成されるとは、Si基板等の基板自体を加工してトランジスタを作製することを意味する。つまり、基板内にトランジスタを有することは、基板とトランジスタとが一体に形成されていると見ることもできる。
【0069】
本実施形態に係る有機発光素子はスイッチング素子の一例であるTFTにより発光輝度が制御され、有機発光素子を複数面内に設けることでそれぞれの発光輝度により画像を表示することができる。なお、本実施形態に係るスイッチング素子は、TFTに限られず、低温ポリシリコンで形成されているトランジスタ、Si基板等の基板上に形成されたアクティブマトリクスドライバーであってもよい。基板上とは、その基板内ということもできる。基板内にトランジスタを設けるか、TFTを用いるかは、表示部の大きさによって選択され、例えば0.5インチ程度の大きさであれば、Si基板上に有機発光素子を設けることが好ましい。
【0070】
図19は、本実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。表示装置1000は、上部カバー1001と、下部カバー1009と、の間に、タッチパネル1003、表示パネル1005、フレーム1006、回路基板1007、バッテリー1008、を有してよい。タッチパネル1003および表示パネル1005は、フレキシブルプリント回路FPC1002、1004が接続されている。回路基板1007には、トランジスタがプリントされている。バッテリー1008は、表示装置が携帯機器でなければ、設けなくてもよいし、携帯機器であっても、別の位置に設けてもよい。表示パネル1005は、表示デバイス10で構成されうる。
【0071】
本実施形態に係る表示装置は、赤色、緑色、青色を有するカラーフィルタを有してよい。カラーフィルタは、当該赤色、緑色、青色がデルタ配列で配置されてよい。
【0072】
本実施形態に係る表示装置は、携帯端末の表示部に用いられてもよい。その際には、表示機能と操作機能との双方を有してもよい。携帯端末としては、スマートフォン等の携帯電話、タブレット、ヘッドマウントディスプレイ等が挙げられる。表示装置は、情報を処理する処理部と、該情報処理部によって生成された情報を表示するように構成された表示デバイス10とを備えうる。
【0073】
本実施形態に係る表示装置は、複数のレンズを有する光学部と、当該光学部を通過した光を受光する撮像素子とを有する撮像装置の表示部に用いられてよい。撮像装置は、撮像素子が取得した情報を表示する表示部を有してよい。また、表示部は、撮像装置の外部に露出した表示部であっても、ファインダ内に配置された表示部であってもよい。撮像装置は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラであってよい。
【0074】
図20(a)は、本実施形態に係る撮像装置の一例を表す模式図である。撮像装置1100は、ビューファインダ1101、背面ディスプレイ1102、操作部1103、筐体1104を有してよい。ビューファインダ1101は、表示デバイス10を含みうる。その場合、表示デバイスは、撮像する画像のみならず、環境情報、撮像指示等を表示してよい。環境情報には、外光の強度、外光の向き、被写体の動く速度、被写体が遮蔽物に遮蔽される可能性等であってよい。
【0075】
撮像装置1100は、不図示の光学部を有する。光学部は複数のレンズを有し、筐体1104内に収容されている撮像素子に結像する。複数のレンズは、その相対位置を調整することで、焦点を調整することができる。この操作を自動で行うこともできる。撮像装置は光電変換装置と呼ばれてもよい。光電変換装置は逐次撮像するのではなく、前画像からの差分を検出する方法、常に記録されている画像から切り出す方法等を撮像の方法として含むことができる。
【0076】
図20(b)は、本実施形態に係る電子機器の一例を表す模式図である。電子機器1200は、表示部1201と、操作部1202と、筐体1203を有する。筐体1203には、回路、当該回路を有するプリント基板、バッテリー、通信部、を有してよい。操作部1202は、ボタンであってもよいし、タッチパネル方式の反応部であってもよい。操作部は、指紋を認識してロックの解除等を行う、生体認識部であってもよい。通信部を有する電子機器は通信機器ということもできる。電子機器は、レンズと、撮像素子とを備えることでカメラ機能をさらに有してよい。カメラ機能により撮像された画像が表示部に映される。電子機器としては、スマートフォン、ノートパソコン等があげられる。表示部1201は、表示デバイス10で構成されうる。
【0077】
図21は、本実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。図16(a)は、テレビモニタやPCモニタ等の表示装置である。表示装置1300は、額縁1301を有し表示部1302を有する。表示部1302には、表示デバイス10で構成されうる。
【0078】
額縁1301と、表示部1302を支える土台1303を有している。土台1303は、図21(a)の形態に限られない。額縁1301の下辺が土台を兼ねてもよい。
【0079】
また、額縁1301および表示部1302は、曲がっていてもよい。その曲率半径は、5000mm以上6000mm以下であってよい。
【0080】
図21(b)は本実施形態に係る表示装置の他の例を表す模式図である。図16(b)の表示装置1310は、折り曲げ可能に構成されており、いわゆるフォルダブルな表示装置である。表示装置1310は、第一表示部1311、第二表示部1312、筐体1313、屈曲点1314を有する。第一表示部1311と第二表示部1312とは、表示デバイス10で構成されうる。第一表示部1311と第二表示部1312とは、つなぎ目のない1枚の表示装置であってよい。第一表示部1311と第二表示部1312とは、屈曲点で分けることができる。第一表示部1311、第二表示部1312は、それぞれ異なる画像を表示してもよいし、第一および第二表示部とで一つの画像を表示してもよい。
【0081】
図22を参照して、上述の各実施形態の表示デバイスの適用例について説明する。表示デバイスは、例えばスマートグラス、HMD、スマートコンタクトのようなウェアラブルデバイスとして装着可能なシステムに適用できる。このような適用例に使用される撮像表示装置は、可視光を光電変換可能な撮像装置と、可視光を発光可能な表示装置とを有する。
【0082】
図22(a)は、1つの適用例に係る眼鏡1600(スマートグラス)を説明する。眼鏡1600のレンズ1601の表面側に、CMOSセンサやSPADのような撮像装置1602が設けられている。また、レンズ1601の裏面側には、表示デバイス10が配置されうる。
【0083】
眼鏡1600は、制御装置1603をさらに備える。制御装置1603は、撮像装置1602と各実施形態に係る表示装置に電力を供給する電源として機能する。また、制御装置1603は、撮像装置1602と表示装置の動作を制御する。レンズ1601には、撮像装置1602に光を集光するための光学系が形成されている。
【0084】
図22(b)は、1つの適用例に係る眼鏡1610(スマートグラス)を説明する。眼鏡1610は、制御装置1612を有している。当該制御装置1612に、撮像装置1602に相当する撮像装置と、表示デバイス10が搭載される。レンズ1611には、制御装置1612内の表示装置が発する発光を投影するための光学系が形成されており、レンズ1611には画像が投影される。制御装置1612は、撮像装置および表示デバイス10に電力を供給する電源として機能するとともに、撮像装置および表示装置の動作を制御する。制御装置は、装着者の視線を検知する視線検知部を有してもよい。視線の検知は赤外線を用いてよい。赤外発光部は、表示画像を注視しているユーザーの眼球に対して、赤外光を発する。発せられた赤外光の眼球からの反射光を、受光素子を有する撮像部が検出することで眼球の撮像画像が得られる。平面視における赤外発光部から表示部への光を低減する低減手段を有することで、画像品位の低下を低減する。
【0085】
赤外光の撮像により得られた眼球の撮像画像から表示画像に対するユーザーの視線を検出する。眼球の撮像画像を用いた視線検出には任意の公知の手法が適用できる。一例として、角膜での照射光の反射によるプルキニエ像に基づく視線検出方法を用いることができる。
【0086】
より具体的には、瞳孔角膜反射法に基づく視線検出処理が行われる。瞳孔角膜反射法を用いて、眼球の撮像画像に含まれる瞳孔の像とプルキニエ像とに基づいて、眼球の向き(回転角度)を表す視線ベクトルが算出されることにより、ユーザーの視線が検出される。
【0087】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、受光素子を有する撮像装置を有し、撮像装置からのユーザーの視線情報に基づいて表示装置の表示画像を制御してよい。
【0088】
具体的には、表示装置は、視線情報に基づいて、ユーザーが注視する第一の表示領域と、第一の表示領域以外の第二の表示領域とを決定される。第一の表示領域、第二の表示領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。表示装置の表示領域において、第一の表示領域の表示解像度を第二の表示領域の表示解像度よりも高く制御してよい。つまり、第二の表示領域の解像度を第一の視界領域よりも低くしてよい。
【0089】
また、表示領域は、第一の表示領域、第一の表示領域とは異なる第二の表示領域とを有し、視線情報に基づいて、第一の表示領域および第二の表示領域から優先度が高い領域を決定される。第一の視界領域、第二の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。優先度の高い領域の解像度を、優先度が高い領域以外の領域の解像度よりも高く制御してよい。つまり優先度が相対的に低い領域の解像度を低くしてよい。
【0090】
なお、第一の表示領域や優先度が高い領域の決定には、AIを用いてもよい。AIは、眼球の画像と当該画像の眼球が実際に視ていた方向とを教師データとして、眼球の画像から視線の角度、視線の先の目的物までの距離を推定するよう構成されたモデルであってよい。AIプログラムは、表示装置が有しても、撮像装置が有しても、外部装置が有してもよい。外部装置が有する場合は、通信を介して、表示装置に伝えられる。
【0091】
視認検知に基づいて表示制御する場合、外部を撮像する撮像装置を更に有するスマートグラスに好ましく適用できる。スマートグラスは、撮像した外部情報をリアルタイムで表示することができる。
【0092】
本明細書及び図面は、以下の開示を含む。
(書類名) 特許請求の範囲
(項目1)
画素アレイと、前記画素アレイを駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部とを備える表示デバイスであって、
前記制御部は、各単位フレーム期間が複数のサブフレーム期間で構成され、かつ、各サブフレーム期間におけるデューティ比が制御されるように前記駆動部を制御し、
前記制御部は、各単位フレームにおいて、最後のサブフレーム期間のデューティ比が最初のサブフレーム期間のデューティ比よりも小さいように前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする表示デバイス。
(項目2)
前記制御部は、各サブフレーム期間が発光期間と非発光期間で構成され、各サブフレーム期間の開始時に前記発光期間が開始し、前記発光期間の終了時に前記非発光期間が開始するように前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする項目1に記載の表示デバイス。
(項目3)
前記制御部は、各単位フレームにおいて、前記複数のサブフレーム期間のうち前記最後のサブフレーム期間以外のサブフレーム期間のデューティ比よりも前記最後のサブフレーム期間のデューティ比が小さいように前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする項目2に記載の表示デバイス。
(項目4)
前記制御部は、各フレーム期間における前記最後のサブフレーム期間の前記非発光期間が3msec以上であるように前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする項目2又は3に記載の表示デバイス。
(項目5)
画素アレイと、前記画素アレイを駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部とを備える表示デバイスであって、
前記制御部は、各単位フレーム期間が複数のサブフレーム期間で構成され、かつ、各サブフレーム期間におけるデューティ比が制御されるように前記駆動部を制御し、
前記制御部は、各サブフレーム期間が発光期間と非発光期間で構成され、各サブフレーム期間の開始時に前記非発光期間が開始し、前記非発光期間の終了時に前記発光期間が開始するように前記駆動部を制御し、
前記制御部は、各単位フレームにおいて、少なくとも最後のサブフレーム期間のデューティ比よりも最初のサブフレーム期間のデューティ比が小さいように前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする表示デバイス。
(項目6)
前記制御部は、各単位フレームにおいて、前記複数のサブフレーム期間のうち前記最初のサブフレーム期間以外のサブフレーム期間のデューティ比よりも前記最初のサブフレーム期間のデューティ比が小さいように前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする項目5に記載の表示デバイス。
(項目7)
前記制御部は、各フレーム期間における前記最初のサブフレーム期間の前記非発光期間が3msec以上であるように前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする項目5又は6に記載の表示デバイス。
(項目8)
画素アレイと、前記画素アレイを駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部とを備える表示デバイスであって、
前記制御部は、各単位フレーム期間が複数のサブフレーム期間で構成され、かつ、各サブフレーム期間におけるデューティ比が制御されるように前記駆動部を制御し、
前記制御部は、各サブフレーム期間が第1非発光期間、発光期間および第2非発光期間で構成され、各サブフレームの開始時に前記第1非発光期間が開始し、前記第1非発光期間の終了時に前記発光期間が開始し、前記発光期間の終了時に前記第2非発光期間が開始するように前記駆動部を制御し、
前記制御部は、k番目(kは1~n)のサブフレームにおける前記第1非発光期間、前記発光期間および前記第2非発光期間の長さをそれぞれの長さをtDk,1、tLk、tDk,2と定義したときに、
tD1,2+tD2,1<tDn,2+tD1,1
を満たすように前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする表示デバイス。
(項目9)
前記制御部は、k=1~n-1におけるtDk,1が等しく、k=1~n-1におけるtLkが等しく、k=1~n-1におけるtDk,2が等しいように、前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする項目8に記載の表示デバイス。
(項目10)
前記制御部は、tD1,2+tD2,1が3msec以上であるように前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする項目9に記載の表示デバイス。
(項目11)
前記駆動部は、前記画素アレイを構成する複数の画素に対して輝度信号に応じた信号を供給する、
ことを特徴とする項目1乃至10のいずれか1項に記載の表示デバイス。
(項目12)
前記信号は、前記輝度信号に応じた電圧を有する信号である、
ことを特徴とする項目11に記載の表示デバイス。
(項目13)
前記駆動部は、前記複数の画素の各々に対して、各単位フレーム期間において1回の割合で前記信号を供給する、
ことを特徴とする項目11又は12に記載の表示デバイス。
(項目14)
前記画素アレイの周辺の輝度を測定する測定部を更に備え、
前記制御部は、前記測定部の出力に応じて各サブフレーム期間のデューティ比を決定する、
ことを特徴とする項目13に記載の表示デバイス。
(項目15)
前記制御部は、前記測定部の出力に応じてデューティを決定した後、単位フレームにおける最初のサブフレーム期間の終了時以降に、残りのサブフレームのデューティ比を、決定されたデューティ比に変更する、
ことを特徴とする項目14に記載の表示デバイス。
(項目16)
情報を処理する情報処理部と、
前記情報処理部によって生成された情報を表示するように構成された項目1乃至15のいずれか1項に記載の表示デバイスと、
を備えることを特徴とする表示装置。
(項目17)
複数のレンズを有する光学部と、前記光学部を通過した光を受光する撮像素子と、画像を表示する表示部と、を有し、
前記表示部は、前記撮像素子が撮像した画像を表示するように構成された項目1乃至15のいずれか1項に記載の表示デバイスを含む、
ことを特徴とする光電変換装置。
(項目18)
表示部が設けられた筐体と、前記筐体に設けられ、外部と通信する通信部と、を有し、
前記表示部は、項目1乃至15のいずれか1項に記載の表示デバイスを含む、
ことを特徴とする電子機器。
(項目19)
画像を表示するための表示装置を有するウェアラブルデバイスであって、
前記表示装置は、項目1乃至15のいずれか1項に記載された表示デバイスを含む、
ことを特徴とするウェアラブルデバイス。
【0093】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0094】
10:表示デバイス、11:画素、12:画素アレイ、13:垂直走査回路、14:信号出力回路、15」走査線群、16:信号線、20:制御部、50:駆動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22