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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014068
(43)【公開日】2025-01-28
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/22 20060101AFI20250121BHJP
   E06B 7/23 20060101ALI20250121BHJP
【FI】
E06B7/22 F
E06B7/23 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024194453
(22)【出願日】2024-11-06
(62)【分割の表示】P 2020150573の分割
【原出願日】2020-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】田村 明日香
(72)【発明者】
【氏名】山下 富広
(57)【要約】
【課題】召合せ部の気密ラインを上下枠の気密材に対して分断されることなく連続的に繋げることで確実な気密性を確保することができる建具を提供する。
【解決手段】開口部に設けられ四方を枠組みした枠体に収められ、先開き框ドア2と後開き框ドア3を有する両開き框ドア100を設けた建具であって、後開き框ドア3の後開き召合せ框33には、上下方向Yに延在する召合せ気密材5が設けられ、召合せ気密材5は、枠体の上枠と下枠それぞれに設けられて水平方向に延びる水平気密材に液密に接触して設けられ、先開き框ドア2の先開き召合せ框23は、召合せ気密材5のヒレ部522を挟持させた状態で後開き框ドア3の後開き召合せ框33の後開き側戸当たり42に当接して閉止される構成とした。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部に設けられ四方を枠組みした枠体に収められ、先開き框ドアと後開き框ドアを有する両開き框ドアを設けた建具であって、
前記後開き框ドアの後開き召合せ框には、上下方向に延在する召合せ気密材が設けられ、
前記召合せ気密材は、前記枠体の上枠と下枠それぞれに設けられて水平方向に延びる水平気密材に液密に接触して設けられ、
前記先開き框ドアの先開き召合せ框は、前記召合せ気密材を挟持させた状態で前記後開き框ドアの前記後開き召合せ框に当接して閉止されることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記召合せ気密材の少なくとも前記先開き召合せ框と前記後開き召合せ框とに挟持される部分が帯状に形成されている、請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記後開き召合せ框には、前記召合せ気密材との間に屋内外方向に弾性的に変形可能な補助気密材が設けられている、請求項1又は2に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、先開き框ドアと後開き框ドアを有する両開き框ドアを設けた建具では、例えば特許文献1に示されるように、召合せ框に設けられる気密材が途中で切断され、その切断部から気密ピースを取り付ける構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-089586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のような両開き框ドアでは、召合せ框と端部キャップの接続部で隙間が発生しやすく、安定した気密性、水密性が確保できないという問題があった。
【0005】
本開示は、召合せ部の気密ラインを上下枠の気密材に対して分断されることなく連続的に繋げることで確実な気密性を確保することができる建具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の建具は、開口部に設けられ四方を枠組みした枠体に収められ、先開き框ドアと後開き框ドアを有する両開き框ドアを設けた建具であって、前記後開き框ドアの後開き召合せ框には、上下方向に延在する召合せ気密材が設けられ、前記召合せ気密材は、前記枠体の上枠と下枠それぞれに設けられて水平方向に延びる水平気密材に液密に接触して設けられ、前記先開き框ドアの先開き召合せ框は、前記召合せ気密材を挟持させた状態で前記後開き框ドアの前記後開き召合せ框に当接して閉止される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態による両開き框ドアを屋外側から見た斜視図である。
図2図1に示すA-A線断面図であって、両開き框ドアの縦断面図である。
図3図1に示すB-B線断面図であって、両開き框ドアの水平断面図である。
図4図1に示すC-C線断面図であって、召合せ框部分の縦断面図である。
図5図3に示す矢印D部分の要部拡大図である。
図6図5において、先開き框ドアが閉止する前の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の一実施形態による建具について、両開き框ドアを一例として図面に基づいて説明する。
【0009】
図1から図3に示すように、本実施形態による両開き框ドア100(建具)は、建築物の外壁の外壁開口部に設けられている。両開き框ドア100は、枠体1と、先開き框ドア2と、後開き框ドア3と、を備えている。先開き框ドア2には後述する先側戸当たり41が設けられているため、先開き框ドア2を屋外側に開けた後に、後開き框ドア3を屋外側に開けることが可能となる。先開き框ドア2及び後開き框ドア3は、それぞれ複層ガラス29、39が収納されている。
【0010】
以下の説明において、屋外側と屋内側とを結ぶ方向(建築物の前述した開口部を形成する外壁に直交する方向、図2では紙面の左右方向)を屋内外方向Zとし、屋内外方向Zから見た際の左側と右側を結ぶ水平方向を左右方向Xとし、屋内外方向Zから見た際の左右方向Xに直交する方向(図2では紙面の上下方向)を上下方向Yとする。また、両開き框ドア100を構成する各部材や部品などは、前記開口部に設けられている姿勢であるものとして、その姿勢における屋内外方向Z、左右方向X、及び上下方向Yを用いて説明する。
【0011】
枠体1は、四方枠状に形成されている。枠体1は、上枠11と、下枠12と、一対の縦枠13と、を有している。枠体1は、下枠12を有さずに、上枠11及び一対の縦枠13のみを有していて、三方枠状に形成されていてもよい。
【0012】
上枠11及び下枠12は、左右方向Xに延びている。図2及び図4に示すように、上枠11の屋内外方向Zで中間部に位置して屋外側を向く面11aには、上枠11の長さ方向(左右方向X)に沿って延びる上枠11用の水平気密材15が設けられている。上枠11用の水平気密材15は、先開き框ドア2及び後開き框ドア3を閉じた状態において先開き框ドア2の屋内側の面(後述する上框21)及び後開き框ドア3の屋内側の面(後述する上框21)に対して液密に接触する。下枠12の屋内外方向Zで中間部に位置して屋外側を向く面12aには、下枠12の長さ方向(左右方向X)に沿って延びる下枠用気密材15が設けられている。下枠12用の水平気密材16は、先開き框ドア2及び後開き框ドア3を閉じた状態において先開き框ドア2及び後開き框ドア3の屋内側の面に対して液密に接触する。
【0013】
縦枠13は、図3に示すように、上下方向Yに延びている。各縦枠13は、上枠11の端部と下枠12の端部とを連結している。本実施形態では、枠体1は、アルミニウム等の金属枠と樹脂枠とからなる複合枠により構成されている。一対の縦枠13のうち、屋内側から見て左側(先開き框ドア2が配置される側)の縦枠13を縦枠13Aと称し、右側(後開き框ドア3が配置される側)の縦枠13を縦枠13Bと称することがある。
【0014】
先開き框ドア2は、枠体1の内部に左右方向Xの一方側に配置されている。後開き框ドア3は、枠体1の内部に左右方向Xの他方側に配置されている。本実施形態では、屋内側から見て、左側に先開き框ドア2が配置され、右側に後開き框ドア3が配置されているが、屋内側から見て、右側に先開き框ドア2が配置され、左側に後開き框ドア3が配置されていてもよい。
【0015】
先開き框ドア2は、縦枠13Aに対して図3に示す丁番16を介して屋外側に開閉可能に取り付けられている(図1参照)。図1に示すように、先開き框ドア2は、先開き框体20と、先開き面材29と、を有している。先開き框体20は、四方枠状に形成されている。先開き面材29は、先開き框体20内に嵌め込まれている。
【0016】
図1に示すように、先開き框体20は、先開き上框21と、先開き下框22と、先開き召合せ框23と、先開き吊元框24と、を有している。本実施形態では、先開き框体20は、アルミニウム等の金属形材と樹脂形材とからなる複合材料により構成されている。
【0017】
先開き上框21及び先開き下框22は、左右方向Xに延びている。先開き召合せ框23及び先開き吊元框24は、上下方向Yに延びている。先開き召合せ框23は召合せ側に配置され、先開き吊元框24は吊元側に配置されている。先開き召合せ框23及び先開き吊元框24は、先開き上框21の端部と先開き下框22の端部とを連結している。先開き上框21と上枠11との間には、不図示のドアクローザが設けられている。ドアクローザは、開いた先開き框ドア2と自動的に閉じる機能を有している。
【0018】
先開き召合せ框23には、ハンドル27が設けられている。ハンドル27によって、先開き框ドア2の開閉操作が可能とされている。ハンドル27として、いわゆるプッシュプルハンドルのハンドルや、にぎり玉のドアノブ等を採用することもできる。
【0019】
先開き召合せ框23の後述する先開き戸先板部233(図3参照)の上下方向Yの中間には、ラッチ(図示省略)が後開き框ドア3側に出没可能に設けられている。ラッチが突出して、後述する後開き框ドア3のラッチ受け(図示省略)に係止されることで、先開き框ドア2と後開き框ドア3との仮保持が可能とされている。先開き召合せ框23には、デッドボルト等の施錠装置28が設けられている。施錠装置28によって、先開き框ドア2と後開き框ドア3との施錠及び解錠が可能とされている。
【0020】
後開き框ドア3は、縦枠13Bに対して図3に示す丁番17を介して屋外側に開閉可能に取り付けられている。後開き框ドア3は、後開き框体30と、後開き面材39と、を有している。後開き框体30は、四方枠状に形成されている。後開き面材39は、後開き框体30内に嵌め込まれている。
【0021】
図1に示すように、後開き框体30は、後開き上框31と、後開き下框32と、後開き召合せ框33と、後開き吊元框34と、を有している。本実施形態では、後開き框体30は、アルミニウム等の金属形材と樹脂形材とからなる複合材料により構成されている。
【0022】
後開き上框31及び後開き下框32は、左右方向Xに延びている。後開き召合せ框33及び後開き吊元框34は、上下方向Yに延びている。後開き召合せ框33は召合せ側に配置され、後開き吊元框34は吊元側に配置されている。後開き召合せ框33及び後開き吊元框34は、後開き上框31の端部と後開き下框32の端部とを連結している。
【0023】
後開き召合せ框33の後開き戸先板部333(図3参照)には、内方に凹むようにラッチ受け(図示省略)が設けられている。先開き召合せ框23のラッチは、ラッチ受けに係止可能とされている。
図3に示すように、先開き框ドア2の先開き召合せ框23と後開き框ドア3の後開き召合せ框33との間は、ドアの閉止状態において左右方向Xに隙間Sを有して配置されている。
【0024】
以下、先開き框ドア2の後開き框ドア3の後開き召合せ框33に設けられた召合せ気密材5と補助気密材6について説明する。
【0025】
まず、先開き召合せ框23の構成について説明する。図3及び図5に示すように、先開き召合せ框23は、先開き屋外側板部231と、先開き屋内側板部232と、先開き戸先板部233と、先開き中間板部234と、を有している。
【0026】
先開き屋外側板部231は、板状に形成されている。先開き屋外側板部231の板面は、屋内外方向Zを向いている。先開き屋内側板部232は、板状に形成されている。先開き屋内側板部232の板面は、屋内外方向Zを向いている。先開き戸先板部233は、板状に形成されている。先開き戸先板部233の板面は、左右方向Xを向いている。先開き戸先板部233は、先開き屋外側板部231の戸先側の端部と先開き屋内側板部232の戸先側の端部とを連結している。
【0027】
図3に示すように、先開き中間板部234は、板状に形成されている。先開き中間板部234の板面は、左右方向Xを向いている。先開き中間板部234は、先開き屋外側板部231の戸先側と反対側の端部と先開き屋内側板部232の戸先側と反対側の端部とを連結している。先開き屋外側板部231、先開き屋内側板部232、先開き戸先板部233及び先開き中間板部234によって囲まれる内部は、水平断面視矩形状をなし、上下方向Yに延びる中空とされている。
【0028】
先開き屋外側板部231と先開き戸先板部233との角部には、先開き側戸当たり41が設けられている(図1参照)。先開き側戸当たり41は、先開き召合せ框23の上下方向Yの略全長にわたって設けられている。先開き側戸当たり41は、第1面部411と、第2面部412と、を有している。第1面部411は、先開き屋外側板部231と先開き戸先板部233との角部から屋外側に延びている。第1面部411は、板状に形成され、その板面が左右方向Xを向いている。第2面部412は、第1面部411の屋外側の端部から幅方向に沿って後開き框ドア3側に延びている。第2面部412は、板状に形成され、その板面が屋内外方向Zを向いている。
【0029】
次に、後開き召合せ框33の構成について説明する。図3に示すように、後開き召合せ框33は、後開き屋外側板部331と、後開き屋内側板部332と、後開き戸先板部333と、後開き中間板部334と、を有している。
【0030】
後開き屋外側板部331は、板状に形成されている。後開き屋外側板部331の板面は、屋内外方向Zを向いている。後開き屋内側板部332は、板状に形成されている。後開き屋内側板部332の板面は、屋内外方向Zを向いている。後開き戸先板部333は、板状に形成されている。後開き戸先板部333の板面は、左右方向Xを向いている。後開き戸先板部333は、後開き屋外側板部331の戸先側の端部と後開き屋内側板部332の戸先側の端部とを連結している。
【0031】
後開き中間板部334は、板状に形成されている。後開き中間板部334の板面は、左右方向Xを向いている。後開き中間板部334は、後開き屋外側板部331の戸先側と反対側の端部と後開き屋内側板部332の戸先側と反対側の端部とを連結している。後開き屋外側板部331、後開き屋内側板部332、後開き戸先板部333及び後開き中間板部334によって囲まれる内部は、水平断面視矩形状をなし、上下方向Yに延びる中空とされている。
【0032】
図5に示すように、後開き屋内側板部332の戸先側の端部332eの屋内側端部には、後開き戸先板部333よりも左右方向Xに沿って先開き框ドア2側に突出する後開き側戸当たり42が設けられている。後開き屋内側板部332の端部332eには、屋外側に向かって折曲された係止片部332fが設けられている。後開き戸先板部333の屋内側の端部よりも僅かに屋外側には、先開き框ドア2側に向かって突出するとともに屋内側に向かって折曲された係止片部333eが設けられている。係止片部332f,333eの間には、召合せ気密材5の基部51が係止されている。
【0033】
後開き側戸当たり42の先開き框ドア2側の端部には、屋外側に突出する一対の係止片部421、422が設けられている。第1係止片部421は、屋外側に突出するとともに左右方向Xで紙面右側に向かって折り曲げられている。第2係止片部422は、第1係止片部421の右側に間隔をあけて配置され、屋外側に突出するとともに左右方向Xで紙面左側に向かって折り曲げられている。一対の係止片部421、422の間には、補助気密材6の基部61が係止されている。後開き側戸当たり42の左右方向Xの両側には、後述するカバー部材43が装着するための嵌合凹部423が設けられている。
【0034】
召合せ気密材5は、図5及び図6に示すように、後開き戸先板部333に係止される基部51と、基部51から隙間Sに介在するように先開き召合せ框23側に向かって延ばされた気密部52と、を有している。召合せ気密材5の気密部52は、水平断面視略三角形状をなすとともに、内部が中空に形成されている。気密部52は、三角形状部521の屋内側で先開き框ドア2側の第1頂部521aよりさらに先開き框ドア2側に向けて突出する帯状のヒレ部522を有している。
【0035】
ヒレ部522は、閉止状態で先開き召合せ框23の先開き屋内側板部232に対して屋内外方向Zに重なる位置まで延びている。ヒレ部522は、少なくとも先開き召合せ框23の先開き屋内側板部232と後開き召合せ框33の後開き側戸当たり42とに挟持される。
【0036】
気密部52には、三角形状部521の屋外側で先開き框ドア2側の第2頂部521bに傾斜面部523が設けられている。傾斜面部523は、第2頂部521bから先開き召合せ框23に向かうに従い漸次、屋外側に延びる傾斜面を形成している。傾斜面部523を設けることで、屋外側からの雨水が屋外側の面によって下方に流下し、傾斜面部523よりも屋内側(ヒレ部522側)に雨水が流れ込むことが防止される。
【0037】
図4に示すように、召合せ気密材5は、上下方向Yに延在している。召合せ気密材5の上端5aは、枠体1の上枠11に設けられて左右方向Xに延びる水平気密材15に液密に接触して設けられている。召合せ気密材5の下端5bは、枠体1の下枠12に設けられて左右方向Xに延びる水平気密材16に液密に接触して設けられている。
【0038】
補助気密材6は、図5及び図6に示すように、後開き側戸当たり42の一対の係止片部421、422の間に係止される基部61と、基部61から屋外側(先開き召合せ框23の先開き屋内側板部232側)に向かって膨出するように湾曲している気密部62と、を有している。
【0039】
補助気密材6の屋外側先端の気密部62は、屋外側に凸曲面となる水平断面視略半円状に湾曲されたヒレ形状に形成されている。補助気密材6は、上下方向Yに延在している。
気密部62は、一端62aが基部61に一体に連設され、他端62bは自由端となっていて、召合せ気密材5の接触に伴って基部61に対して弾性変形により屋内外方向Zに近接離反する。つまり、気密部62は、後開き側戸当たり42と召合せ気密材5のヒレ部522との間で屋内外方向Zに弾性的に変形可能に設けられている。気密部62は、図6に示すように先開き框ドア2が閉止する前から、図5に示す閉止状態になったときに、先開き召合せ框23の先開き屋内側板部232との間でヒレ部522を挟持することで屋内外方向Zに弾性変形し押し潰される。
【0040】
先開き框ドア2及び後開き框ドア3が閉じた状態で、召合せ気密材5のヒレ部522は、先開き召合せ框23の先開き屋内側板部232と後開き召合せ框33の後開き側戸当たり42(本実施形態では補助気密材6)とによって挟持される。これによって、先開き框ドア2の先開き屋内側板部232と後開き側戸当たり42との間を通過して屋内側に風雨が吹き込むことが防止されている。
【0041】
図5及び図6に示すように、後開き側戸当たり42には、この屋内側を覆う水平断面視略コ字形のカバー部材43が着脱可能に設けられている。カバー部材43は、樹脂材料により形成され、開口部を屋外側に向けて配置され、上下方向Yに延在している。カバー部材43は、屋内側を向く屋内カバー板431と、屋内カバー板431の左右両端から屋外側に向けて延びる側面カバー板432と、を有している。一対の側面カバー板432の屋外側端部には、後開き側戸当たり42の嵌合凹部423に嵌合するカバー係止部433が設けられている。カバー部材43の一対のカバー係止部433をそれぞれに対応する後開き側戸当たり42の嵌合凹部423に嵌合させることで、カバー部材43を後開き側戸当たり42の屋内側に装着することができ、後開き側戸当たり42がカバー部材43によって屋内側から覆われる。金属製の後開き側戸当たり42と樹脂製のカバー部材43は、いわゆる煙返しを構成している。この煙返しの部分は、金属製の後開き側戸当たり42に対して樹脂製のカバー部材43を取り付ける構成であることから、断熱性と防露性に優れた構造となる。
【0042】
次に、本実施形態による両開き框ドア100の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。図3及び図4に示すように、本実施形態による両開き框ドア100では、後開き框ドア3の先開き召合せ框23に設けられ、上下方向Yに延在する召合せ気密材5が上枠11と下枠12それぞれに設けられる水平気密材15、16に液密に接触している。先開き框ドア2の先開き召合せ框23は、召合せ気密材5を挟持させた状態で後開き框ドア3の後開き召合せ框33の後開き側戸当たり42に当接して閉止させることができる。このように本実施形態では、先開き框ドア2と後開き框ドア3の気密ラインを上枠11の水平気密材15と下枠12の水平気密材16に対して分断されることなく連続的に繋げることで、確実な気密性を確保することができる。
【0043】
本実施形態では、召合せ気密材5の少なくとも先開き召合せ框23と後開き召合せ框33とに挟持される部分にヒレ部522が形成されている。ヒレ部522が帯状に形成されているので、先開き召合せ框23と後開き召合せ框33との間で屋内外方向Zに挟持しやすく、先開き框ドア2を閉止した際に双方の召合せ框23、33の部分においてより確実な気密性を確保することができる。
【0044】
本実施形態では、召合せ気密材5との間に屋内外方向Zに弾性的に変形可能な補助気密材6が後開き召合せ框33の後開き側戸当たり42に設けられている。先開き框ドア2を閉じたときに、召合せ気密材5のヒレ部522が先開き召合せ框23と補助気密材6の気密部62との間に挟持される。このとき、補助気密部材6は、ヒレ部522に押圧されて弾性的に変形する。このように本実施形態の両開き框ドア100では、先開き框ドア2や後開き框ドア3に生じ得る若干の部材の反り等で隙間が発生しやすい召合せ框の上下方向Yの中間部であっても補助気密材6が弾性変形することで安定した気密が確保される。
【0045】
本実施形態では、先開き框ドア2の先開き召合せ框23が召合せ気密材5を挟持させた状態で後開き框ドア3の後開き召合せ框33(ここでは後開き側戸当たり42)に当接する構成である。そのため、開閉時に後開き框ドア3における召合せ部の気密材の屋外側に設けられるヒレ部材が不要となり、この屋外側に設けられるヒレ部材に先開き框ドア2の召合せ框が接触してドアの開閉操作が重くなるといった不具合をなくすことができる利点がある。
【0046】
以上、本開示による建具の実施形態について説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0047】
例えば、上記実施形態において、召合せ気密材5のうち先開き召合せ框23と後開き召合せ框33とに挟持されるヒレ部522が帯状に形成された構成としているが、このような帯状であることに限定されることはなく、他の形状であってもよい。例えば、上述した補助気密材6と同様に湾曲して屋内外方向Zに膨出するような形状であってもかまわない。要は、先開き框ドア2の先開き召合せ框23が、召合せ気密材5を挟持させた状態で後開き框ドア3の後開き召合せ框33に当接して閉止される構成であればよいのである。
【0048】
本実施形態では、後開き召合せ框33において、召合せ気密材5との間に屋内外方向Zに弾性的に変形可能な補助気密材6を設けた構成としているが、この補助気密材6を省略することも可能である。
【0049】
その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0050】
100…両開き框ドア(建具)、1…枠体、2…先開き框ドア、3…後開き框ドア、5
…召合せ気密材、6…補助気密材、11…上枠、12…下枠、13、13A,13B…縦
枠、15、16…水平気密材、23…先開き召合せ框、33…後開き召合せ框、42…後
開き側戸当たり、51…基部、52…気密部、61…基部、62…気密部、522…ヒレ
部、X…左右方向、Y…上下方向、Z…屋内外方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6