(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025140840
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】中空体搬送装置、中空体検査装置、中空体搬送方法
(51)【国際特許分類】
B65G 47/84 20060101AFI20250919BHJP
【FI】
B65G47/84 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024040441
(22)【出願日】2024-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000110642
【氏名又は名称】シリウスビジョン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000156824
【氏名又は名称】関西チューブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127764
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 泰州
(72)【発明者】
【氏名】川上 孝司
(72)【発明者】
【氏名】梨和 淳
【テーマコード(参考)】
3F072
【Fターム(参考)】
3F072AA27
3F072KA17
3F072KC02
3F072KC17
3F072KE01
(57)【要約】
【課題】本発明は、単位時間当たりのワークの搬送本数を向上することができる新規な中空体搬送装置、及び前記中空体搬送装置を備えた中空体検査装置、並びに中空体搬送方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 開口部を有する中空のワーク(W)を搬送するための中空体搬送装置1における回転体2に設けられたマンドレル21にワーク(W)を外装させるにあたり、挿入地点において第一挿入装置41にてワーク(W)をマンドレル21に向かって予定の挿入深度に満たない深さまで押し込むと共に、前記挿入地点より前記回転体の回転方向下流側において第二挿入装置42にてワーク(W)を予定の挿入深度に至る深さに達するまで押し込む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する中空のワークを搬送するための中空体搬送装置であって、
回転軸を中心とする同心円上に複数本のマンドレルが配された回転体と、
開口部がマンドレルの先端に対向する所定の挿入地点までワークを順次輸送するワーク供給装置と、
ワークをマンドレルに向かって押し込む挿入装置と、
を具備してなり、
前記挿入装置が、
前記挿入地点においてワークをマンドレルに向かって予定の挿入深度に満たない深さまで押し込む第一挿入装置と、
前記挿入地点より前記回転体の回転方向下流側においてワークを予定の挿入深度に至る深さに達するまで押し込む一ないし複数の第二挿入装置と、
を具備してなることを特徴とする中空体搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の中空体搬送装置において、
前記第一挿入装置の押し込み動作の駆動力と、前記第二挿入装置の押し込み動作の駆動力とが共通の駆動源によって発生するようになされた中空体搬送装置。
【請求項3】
請求項1に記載の中空体搬送装置において、
前記第一挿入装置の押し込み動作の駆動力と、前記第二挿入装置の押し込み動作の駆動力とが個別の駆動源によって発生するようになされた中空体搬送装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の中空体搬送装置を備えたことを特徴とする中空体検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の中空体検査装置において、
更に、検査後のワークを所定の抜取地点においてマンドレルから抜き取る抜取装置を具備してなる中空体検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載の中空体検査装置において、
更に、前記抜取地点より前記回転体の回転方向上流側においてワークをマンドレルから完全に抜き取らない程度に抜き出す一ないし複数の抜出装置を具備してなる中空体検査装置。
【請求項7】
開口部を有する中空のワークを搬送するための中空体搬送方法であって、
所定の挿入地点までワークを順次輸送するワーク供給工程と、
ワークをマンドレルに外装させる挿入工程と、
ワークをマンドレルに外装させた状態で搬送する搬送工程と、
を実行し、
前記挿入工程では、
前記挿入地点においてワークをマンドレルに向かって予定の挿入深度に満たない深さまで押し込む第一挿入工程と、
前記挿入地点より搬送方向下流側においてワークを予定の挿入深度に至る深さに達するまで押し込む第二挿入工程と、
を実行することを特徴とする中空体搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一端に開口部を有する中空のワークを搬送するための中空体搬送装置及び前記中空体搬送装置を備えた中空体検査装置、並びに中空体搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品や練り歯磨き等の半固形状の材質を収容する容器としては、ラミネートチューブが広く用いられている。
図9に示すように、この種のラミネートチューブは中空円筒状のチューブ本体(W1)と前記チューブ本体(W1)の端部に設けられた口部(W2)を塞ぐための蓋部(W3)とを具備してなり、他端部に存する開口部(W4)を通じて内容物が充填された後、前記開口部(W4)が封止されることによって製品(P)となる。
【0003】
この種のラミネートチューブを製造するにあたっては、前記チューブ本体(W1)に内容物を充填する前に、前記チューブ本体(W1)に前記蓋部(W2)を取り付けた中空体(若しくは前記チューブ本体(W1)のみ)をワーク(W)とする品質検査が行われる。
【0004】
現在では、この品質検査を自動化するための検査装置が開発されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に開示された検査装置は、ワーク(W)におけるピンホールの有無を自動的に検査するための装置である。
図10に示すようにこの検査装置100は、供給装置3にてワーク(W)を所定の挿入地点まで順次輸送し、回転体2に設けられたマンドレル21にワーク(W)を外装させた後、前記回転体2の回転に応じてワーク(W)を搬送し、搬送方向の下流側においてマンドレル21を回転させながら検査手段5にて検査を行う。なお、マンドレル21の先端には図示しないエア吹き出し口が設けられており、検査済みのワーク(W)は前記エア吹き出し口から噴射される空圧を受けてマンドレル21から抜き取られる。
【0007】
そして前記検査装置100ではマンドレル21にワーク(W)を外装させるにあたり、前記挿入地点においてワーク(W)をマンドレル21に向かって押し込む挿入装置4が用いられる。
【0008】
前記挿入装置4は、前記挿入地点においてワーク(W)をマンドレル21に押し込むための前進と、もとの位置に戻るための後退の進退運動を繰り返す仕組みとなされている。前記挿入装置4が進退運動を行っている間、前記供給装置3によるワーク(W)の輸送、及び前記回転体2の回転は停止する。
【0009】
即ち、前記検査装置100における単位時間当たりのワーク(W)の搬送本数(検査本数)は、前記挿入装置4の進退運動に要する時間に大きく依存する。従って、ワーク(W)が長尺になれば前記挿入装置4の進退運動に要する時間が相対的に増加し、その結果、単位時間当たりのワーク(W)の搬送本数は減少する。
【0010】
本発明は前記技術的課題に鑑みて完成されたものであり、単位時間当たりのワークの搬送本数を向上することができる新規な中空体搬送装置、及び前記中空体搬送装置を備えた中空体検査装置、並びに中空体搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記技術的課題を解決する本発明の中空体搬送装置は、開口部を有する中空のワークを搬送するための中空体搬送装置であって、回転軸を中心とする同心円上に複数本のマンドレルが配された回転体と、開口部がマンドレルの先端に対向する所定の挿入地点までワークを順次輸送するワーク供給装置と、ワークをマンドレルに向かって押し込む挿入装置と、を具備してなり、前記挿入装置が、前記挿入地点においてワークをマンドレルに向かって予定の挿入深度に満たない深さまで押し込む第一挿入装置と、前記挿入地点より前記回転体の回転方向下流側においてワークを予定の挿入深度に至る深さに達するまで押し込む一ないし複数の第二挿入装置と、を具備してなることを特徴とする(以下、「本発明搬送装置」と称する。)。
【0012】
前記本発明搬送装置においては、前記第一挿入装置の押し込み動作の駆動力と、前記第二挿入装置の押し込み動作の駆動力とが共通の駆動源によって発生するようになされたものが好ましい態様となる。
【0013】
前記本発明搬送装置においては、前記第一挿入装置の押し込み動作の駆動力と、前記第二挿入装置の押し込み動作の駆動力とが個別の駆動源によって発生するようになされたものが好ましい態様となる。
【0014】
前記技術的課題を解決する本発明の中空体検査装置は、前記本発明搬送装置を備えたことを特徴とする(以下、「本発明検査装置」と称する。)。
【0015】
前記本発明検査装置においては、更に、検査後のワークを所定の抜取地点においてマンドレルから抜き取る抜取装置を具備してなるものが好ましい態様となる。
【0016】
前記本発明検査装置においては、更に、前記抜取地点より前記回転体の回転方向上流側においてワークをマンドレルから完全に抜き取らない程度に抜き出す一ないし複数の抜出装置を具備してなるものが好ましい態様となる。
【0017】
前記技術的課題を解決する本発明の中空体搬送方法は、開口部を有する中空のワークを搬送するための中空体搬送方法であって、所定の挿入地点までワークを順次輸送するワーク供給工程と、ワークをマンドレルに外装させる挿入工程と、ワークをマンドレルに外装させた状態で搬送する搬送工程と、を実行し、前記挿入工程では、前記挿入地点においてワークをマンドレルに向かって予定の挿入深度に満たない深さまで押し込む第一挿入工程と、前記挿入地点より搬送方向下流側においてワークを予定の挿入深度に至る深さに達するまで押し込む第二挿入工程と、を実行することを特徴とする(以下、「本発明搬送方法」と称する。)。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、単位時間当たりのワークの搬送本数を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明搬送装置の一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、前記本発明搬送装置における供給装置と回転体の動作を示す正面図であり、
図2(b)は、前記本発明搬送装置における挿入装置の動作を示す側面図である。
【
図3】
図3(a)~(c)は、前記本発明搬送装置を用いた本発明搬送方法における第一挿入工程の実行を示す斜視図である。
【
図4】
図4(a)~(c)は、前記本発明搬送装置を用いた本発明搬送方法における第二挿入工程(並びに第一挿入工程)の実行を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明搬送装置の別の実施形態を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明搬送装置の更に別の実施形態を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明検査装置の一実施形態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明装置の別の実施形態を示す斜視図である。
【
図9】
図9(a)~(c)は、ワークの一例を示す斜視図であり、
図9(d)は、ワークを用いて製造された製品を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0021】
[実施形態1]
<本発明搬送装置1>
図1及び
図2に本発明搬送装置1の一実施形態を示す。前記本発明搬送装置1は、開口部を有する中空のワーク(W)を搬送するための装置であって、「回転体(2)」と、「供給装置(3)」と、「挿入装置(4)」と、を具備する。
【0022】
-回転体2-
前記回転体2は、回転軸(O)を中心とする同心円上に複数本のマンドレル21が配された構造を有する。
図2(a)に示すように、本実施形態においては円盤状の回転体本体20の一面に対して垂直に立てられた複数本(ここでは八本)のマンドレル21を所定の位相差(θ:ここでは45度)をもって等間隔で配することによって前記回転体2を構築した。前記回転体2は図示しないモータ等の駆動源からの回転力を受けて回転運動し、隣接するマンドレル21の位相差(θ)分回転運動した後に所定時間停止することを繰り返すように制御されている。
【0023】
-供給装置3-
前記供給装置3は、ワーク(W)の開口部がマンドレル21の先端に対向する所定の挿入地点までワーク(W)を順次輸送する役割を担う。本実施形態においては、前記供給装置3として、図示しないモータ等の駆動源からの回転を受けてプーリー31を回転させるベルトコンベアを用いた。又、前記プーリー31に巻き回されたベルト32は表面にV字溝33が輸送方向に沿って等間隔で形成される仕組みとなされており、前記V字溝33にワーク(W)を保持させながら輸送すれば、ワーク(W)が等間隔で前記挿入地点に向かって輸送される。
図2(a)に示すように、前記供給装置3は挿入地点において一のワーク(W)の開口部を一のマンドレル21の先端に対向させた後所定時間停止し、次いで隣接するV字溝33の間隔(X)分ワーク(W)を移動させることによって、他のワーク(W)の開口部を他のマンドレル21の先端に対向させることを繰り返すように制御されている。
【0024】
‐挿入装置4‐
前記挿入装置4は、ワーク(W)をマンドレル21に向かって押し込む役割を担う。本発明においては前記挿入装置4が、第一挿入装置41と、第二挿入装置42と、を具備する。本実施形態においては、前記回転体2の回転軸(O)に沿う方向に前後動するエアシリンダー(図示せず)のロッド40の先端に前記第一挿入装置41を設けると共に、前記ロッド40の先端から根元側に向かって所定距離あけた位置に前記第二挿入装置42を設けることによって前記挿入装置4を構築した。なお、前記第一挿入装置41の先端に設けられた第一押込板410は前記挿入地点においてマンドレル21の先端に対向し、前記第二挿入装置42の先端に設けられた第二押込板420は前記挿入地点より前記回転体2の回転方向下流側においてマンドレル21の先端に対向する。従って、
図2(b)に示すように、前記挿入装置4を稼働させれば、前記ロッド40が一定距離(Y)分前後動し、挿入地点において開口部をマンドレル21の先端に対向させているワーク(W)は前記第一挿入装置41の第一押込板410によってマンドレル21に向かって押し込まれる。この状態のワーク(W)が前記回転体2の回転方向下流側に搬送された後、前記第二挿入装置42の第二押込板420によってマンドレル21に向かって更に押し込まれる。即ち、マンドレル21に対するワーク(W)の外装は、前記挿入地点においてワーク(W)をマンドレル21に向かって予定の挿入深度に満たない深さまで押し込む前記第一挿入装置41と、前記挿入地点より前記回転体2の回転方向下流側においてワーク(W)を予定の挿入深度に至る深さに達するまで押し込む前記第二挿入装置42によって段階的(ここでは二段階)に行われる。なお、本発明において「予定の挿入深度」とは予め決定されたワーク(W)に対するマンドレル21の挿入深さを意味する。
【0025】
<本発明搬送方法>
前記構成を有する前記本発明搬送装置1は、開口部を有する中空のワーク(W)を搬送するための本発明搬送方法を実行するための装置である。前記本発明搬送方法は、「ワーク供給工程」と、「挿入工程」と、「搬送工程」と、を実行する。以下、
図3及び
図4を参照しながら前記本発明搬送装置1による前記本発明搬送方法の実行を説明する。
【0026】
‐ワーク供給工程‐
前記ワーク供給工程では、所定の挿入地点までワーク(W)を順次輸送する。前記本発明搬送装置1においては前記供給装置3を稼働させ、前記V字溝33にワーク(W)を保持させながらコンベア輸送することによって、ワーク(W)を等間隔で前記挿入地点に向かって順次輸送する(
図3(a)参照)。なお、先頭のワーク(W)が前記挿入地点においてマンドレル21と対向すると前記供給装置3のベルトコンベアの稼働(並びに前記回転体2の回転運動)が停止する。
【0027】
‐挿入工程‐
前記挿入工程では、ワーク(W)をマンドレル21に外装させる。本発明搬送方法においては前記挿入工程につき、第一挿入工程と、第二挿入工程と、を実行する。
【0028】
・第一挿入工程
前記第一挿入工程では、前記挿入地点においてワーク(W)をマンドレル21に向かって予定の挿入深度に満たない深さまで押し込む。前記本発明搬送装置1においては前記挿入装置4を稼働させ、前記第一挿入装置41の第一押込板410にて前記挿入地点に存するワーク(W)をマンドレル21に向かって押し込む(
図3(b)参照)。前記ワーク(W)を予定の挿入深度に満たない深さまで押し込んだ後、前記第一挿入装置41の第一押込板410は元の位置に戻る(
図3(c)参照)。
【0029】
・第二挿入工程
前記第二挿入工程では、前記挿入地点より搬送方向下流側においてワーク(W)を予定の挿入深度に至る深さに達するまで押し込む。前記本発明搬送装置1においては前記第一挿入工程の実行後に前記供給工程が再開され、前記挿入地点に新たなワーク(W)が供給されると共に前記第一挿入工程実行後のワーク(W)が挿入地点より前記回転体2の回転方向下流側(ここでは位相差θ分下流側)の位置に搬送される(
図4(a)参照)。この状態で、前記供給装置3のベルトコンベアの稼働(並びに前記回転体2の回転運動)を再度停止させると共に前記挿入装置4を稼働させ、前記第二挿入装置42の第二押込板420にてワーク(W)をマンドレル21に向かって押し込む(
図4(b)参照)。前記ワーク(W)を予定の挿入深度に至る深さまで押し込んだ後、前記第二挿入装置42の第二押込板420は元の位置に戻る(
図4(c)参照)。なお、前記第二挿入工程の実行時に前記第一挿入工程も同時に実行される。
【0030】
‐搬送工程‐
前記搬送工程では、ワーク(W)マンドレル21に外装させた状態で搬送する。前記本発明搬送装置1では、前記挿入工程の実行によってマンドレル21に対して挿入深度に至る深さまで押し込まれたワーク(W)を前記回転体2の回転運動下流側に向かって搬送する。
【0031】
前記各工程を実行する本発明搬送方法によれば、前記第一挿入工程と前記第二挿入工程の同時実行による段階的なワーク(W)の挿入を実現することができ、前記第一挿入装置41の進退距離が短くなることから前記ワーク供給工程を停止する時間が短くなり、その結果単位時間当たりのワークの搬送本数を向上することができる。
【0032】
ところで本実施形態においては、一の第一挿入装置41と一の第二挿入装置42を用いて二段階の挿入工程を実行したが、
図5に示すように複数の第二挿入装置42を用いてより多段階の挿入工程を実行しても良い。複数の第二挿入装置42による多段階の挿入工程を実行すれば、前記第一挿入装置41の進退距離をより短くすることができ、その結果単位時間当たりのワーク(W)の搬送本数を更に向上することができる。
【0033】
又、本実施形態においては、前記第一挿入装置41の押し込み動作の駆動力と、前記第二挿入装置42の押し込み動作の駆動力とが共通の駆動源によって発生するように前記本発明搬送装置1を設計しているが、前記本発明搬送装置1につき、
図6に示すように、前記第一挿入装置41の押し込み動作の駆動力と、前記第二挿入装置42の押し込み動作の駆動力とが個別の駆動源によって発生するように設計しても良い。前記第一挿入装置41の押し込み動作の駆動力と、前記第二挿入装置42の押し込み動作の駆動力とが個別の駆動源によって発生するようにすれば、前記第一挿入装置41の進退距離を前記第二挿入装置42の進退距離より短く設定することができ、その結果単位時間当たりのワーク(W)の搬送本数を更に向上することができる。
【0034】
[実施形態2]
<本発明検査装置10>
図7に本発明検査装置10の一実施形態を示す。前記本発明検査装置10は前記本発明搬送装置1を備えたことを特徴とする。本実施形態においては前記本発明検査装置10として、前記回転体2の回転方向下流側の所定の検査位置においてワーク(W)の表面に施された印刷状態を観察する検査手段5を備えた装置を構築した。なお、前記検査位置において前記マンドレル21は図示しない電磁クラッチと接続されて回転する仕組みとなされており、マンドレル21に外装されているワーク(W)は前記検査位置において回転しながら検査に供される。
【0035】
又、前記本発明検査装置10における前記回転体2に設けられた各マンドレル21の先端には図示しないエア吹き出し口が設けられており、検査済みのワーク(W)は所定の抜取地点において前記エア吹き出し口から噴射される空圧を受けてマンドレル21から抜き取られ、抜取装置6の当接板60に接触した後落下し、下方の所定箇所において回収される。
【0036】
前記構成を有する前記本発明検査装置10は、単位時間当たりのワーク(W)の搬送本数が向上された前記本発明搬送装置1によってワーク(W)を搬送しながら検査を行う仕組みとなされているから、単位時間当たりのワーク(W)の検査本数を向上することができる。
【0037】
ところで本実施形態においては、前記抜取装置6として前記抜取地点一箇所においてワーク(W)を抜き取る仕組みのものを用いたが、
図8に示すように、前記抜取地点より前記回転体2の回転方向上流側においてワーク(W)をマンドレル21から完全に抜き取らない程度に抜き出す抜出装置7を備えれば、ワーク(W)の抜き取りにつき、抜出動作と抜取動作の二段階の動作の同時実行にて行うことができることから、ワーク(W)の抜き取りに要する時間を少なくすることができる。
【0038】
又、本実施形態においては前記ワーク(W)として
図9に示すような形状のチューブを用いているが、前記ワーク(W)としては少なくとも一端に開口部を有する中空体であれば特に限定されない。
【0039】
更に、本実施形態においては前記検査手段5としてワーク(W)の表面に施された印刷状態を観察するものを用いているが、前記検査手段5による検査目的は特に限定されない。前記検査手段5の他の例としては、ワーク(W)のピンホールの有無を識別するための手段などを挙げることができる。
【0040】
加えて、本実施形態においてはワーク(W)の抜き取りにつき前記エア吹き出し口から噴射される空圧を利用しているが、ワーク(W)の抜き取りのための手段は特に限定されない。ワーク(W)の抜き取りの手段としては、例えば、爪やチャックによってワーク(W)を保持しながら抜き取る手段などを挙げることができる。
【0041】
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、単位時間当たりのワークの搬送本数を向上するための手段として好適に用いられる。
【符号の説明】
【0043】
1 本発明搬送装置(中空体搬送装置)
2 回転体
20 回転体本体
21 マンドレル
3 供給装置
31 プーリー
32 ベルト
33 V字溝
4 挿入装置
40 ロッド
41 第一挿入装置
42 第二挿入装置
5 検査手段
6 抜取装置
7 抜出装置
10 本発明検査装置(中空体検査装置)
W ワーク