(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025141040
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】印刷装置およびインクメニスカス生成方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20250919BHJP
【FI】
B41J2/175 171
B41J2/175 121
B41J2/175 501
B41J2/175 503
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024040771
(22)【出願日】2024-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】八坂 一郎
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EE18
2C056FA13
2C056KB03
2C056KB08
2C056KB11
2C056KB16
2C056KB26
2C056KB33
2C056KB37
(57)【要約】
【課題】ノズルから吐出されるインクのメニスカス形状を調整するための真空ポンプを簡単なシーケンスで始動可能とする。
【解決手段】供給タンク911のうち気液界面L1より上側の空間911Gに接続されて当該空間911Gと連通する圧力タンク931を排気ポンプ932によって排気することで、気液界面L1に加わる圧力P1が調整される。この際、圧力タンク931と排気ポンプ932との接続に排気配管933が用いられる。この排気配管933は、圧力タンク931と排気ポンプ932とを電磁弁を介さずに接続して、排気ポンプ932と圧力タンク931とを連通させる。つまり、圧力タンク931と排気ポンプ932との間には電磁弁が介在しない。よって、排気ポンプ932を始動させる前に電磁弁を開くといったシーケンスが不要となる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを貯留するメインタンクと、
前記メインタンクから供給されるインクを貯留するリザーバタンクと、
前記リザーバタンクのうちインクの液面より下側の部分であるインク貯留部に接続されて前記インク貯留部と連通するインク貯留室を有し、前記インク貯留室に貯留されるインクをノズルから吐出する記録ヘッドと、
前記リザーバタンクのうちインクの液面より上側の空間に接続されて前記空間と連通するエアタンクと、
真空ポンプと、
前記真空ポンプと前記エアタンクとを電磁弁を介さずに接続して、前記真空ポンプと前記エアタンクとを連通させる接続部と
を備え、
前記真空ポンプは、前記接続部を介して前記エアタンクを排気することで前記リザーバタンクの液面に加わる圧力を調整する印刷装置。
【請求項2】
前記真空ポンプは、ダイヤフラムポンプである請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記接続部は、樹脂製の配管である請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記真空ポンプの排気口に接続されて前記排気口に連通する逆止弁をさらに備え、
前記逆止弁は、前記排気口から前記逆止弁に向かう方向への空気の通過を許容し、前記逆止弁から前記排気口に向かう方向への空気の通過を禁止する請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記エアタンクにその一端が接続され、他端が大気に開放された大気開放配管と、
前記大気開放配管の途中に介在する大気開放電磁弁と、
前記大気開放電磁弁と前記エアタンクとの間に介在するように、前記大気開放配管に設けられ、前記エアタンクと連通するエアフィルタと、
をさらに備え、
前記大気開放電磁弁が閉じると、前記エアタンクが大気と遮断され、
前記大気開放電磁弁が開くと、前記エアタンクが前記エアフィルタを介して大気に開放される請求項1ないし4のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項6】
インクを貯留するメインタンクから供給したインクをリザーバタンクに貯留させる工程と、
前記リザーバタンクのうちインクの液面より下側の部分であるインク貯留部に接続されて前記インク貯留部と連通するインク貯留室を有する記録ヘッドが、前記インク貯留室に貯留されるインクをノズルから吐出する工程と、
前記リザーバタンクのうちインクの液面より上側の空間に接続されて前記空間と連通するエアタンクと真空ポンプとを電磁弁を介さずに接続して、前記真空ポンプと前記エアタンクとを連通させる接続部を介して前記エアタンクを排気することで前記リザーバタンクの液面に加わる圧力を調整する工程と
を備えるインクメニスカス生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、インクジェット方式で吐出されるインクのメニスカス形状を調整する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インクジェット方式でノズルからインクを吐出することで印刷を行う印刷装置が記載されている。このような印刷装置では、ノズルにおけるインクのメニスカス形状がインクの適切な吐出にとって重要である。そこで、特許文献1では、インクを吐出するインクジェット部に接続された空気室を真空ポンプによって排気することで、空気室に所望の圧力を生成して、インクのメニスカス形状の適切化が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では、真空ポンプと空気室との間に電磁弁が設けられている。このような構成では、電磁弁が閉じた状態で真空ポンプを始動させると、真空ポンプが故障してしまうおそれがある。そこで、真空ポンプを始動させる前に電磁弁を開く必要があり、真空ポンプの始動に伴うシーケンスが複雑となっていた。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、ノズルから吐出されるインクのメニスカス形状を調整するための真空ポンプを簡単なシーケンスで始動可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る印刷装置は、インクを貯留するメインタンクと、メインタンクから供給されるインクを貯留するリザーバタンクと、リザーバタンクのうちインクの液面より下側の部分であるインク貯留部に接続されてインク貯留部と連通するインク貯留室を有し、インク貯留室に貯留されるインクをノズルから吐出する記録ヘッドと、リザーバタンクのうちインクの液面より上側の空間に接続されて空間と連通するエアタンクと、真空ポンプと、 真空ポンプとエアタンクとを電磁弁を介さずに接続して、真空ポンプとエアタンクとを連通させる接続部とを備え、真空ポンプは、接続部を介してエアタンクを排気することでリザーバタンクの液面に加わる圧力を調整する。
【0007】
本発明に係るインクメニスカス生成方法は、インクを貯留するメインタンクから供給したインクをリザーバタンクに貯留させる工程と、リザーバタンクのうちインクの液面より下側の部分であるインク貯留部に接続されてインク貯留部と連通するインク貯留室を有する記録ヘッドが、インク貯留室に貯留されるインクをノズルから吐出する工程と、リザーバタンクのうちインクの液面より上側の空間に接続されて空間と連通するエアタンクと真空ポンプとを電磁弁を介さずに接続して、真空ポンプとエアタンクとを連通させる接続部を介してエアタンクを排気することでリザーバタンクの液面に加わる圧力を調整する工程とを備える。
【0008】
このように構成された本発明(印刷装置およびインクメニスカス生成方法)では、メインタンクから供給されるインクがリザーバタンクに貯留される。また、記録ヘッドは、リザーバタンクのうちインクの液面(気液界面)より下側のインク貯留部に接続されて当該インク貯留部と連通するインク貯留室を有し、インク貯留室に貯留されるインクがノズルから吐出される。そして、ノズルにおけるインクのメニスカス形状を適切化するために、気液界面に加わる圧力が調整される。具体的には、リザーバタンクのうち気液界面より上側の空間に接続されて当該空間と連通するエアタンクを真空ポンプによって排気することで、気液界面に加わる圧力が調整される。この際、エアタンクと真空ポンプとの接続に接続部が用いられる。この接続部は、エアタンクと真空ポンプとを電磁弁を介さずに接続して、真空ポンプとエアタンクとを連通させる。つまり、エアタンクと真空ポンプとの間には電磁弁が介在しない。よって、真空ポンプを始動させる前に電磁弁を開くといったシーケンスが不要となる。その結果、ノズルから吐出されるインクのメニスカス形状を調整するための真空ポンプを簡単なシーケンスで始動することが可能となっている。
【0009】
また、真空ポンプは、ダイヤフラムポンプであるように、印刷装置を構成してもよい。ダイヤフラムポンプは逆止弁を内蔵する。そのため、ダイヤフラムポンプが停止した場合には、ダイヤフラムポンプを通過してエアタンクへ向かう方向への空気の流れが当該逆止弁によって阻止される。そのため、エアタンクに生成した負圧を維持することができる。
【0010】
また、接続部は、樹脂製の配管であるように、印刷装置を構成してもよい。かかる構成では、樹脂製の配管によって接続部を簡便に実現できる。
【0011】
また、真空ポンプの排気口に接続されて排気口に連通する逆止弁をさらに備え、逆止弁は、排気口から逆止弁に向かう方向への空気の通過を許容し、逆止弁から排気口に向かう方向への空気の通過を禁止するように、印刷装置を構成してもよい。かかる構成では、真空ポンプが停止した場合には、真空ポンプを通過してエアタンクへ向かう方向への空気の流れが当該逆止弁によって阻止される。そのため、エアタンクに生成した負圧を維持することができる。
【0012】
また、エアタンクにその一端が接続され、他端が大気に開放された大気開放配管と、大気開放配管の途中に介在する大気開放電磁弁と、大気開放電磁弁とエアタンクとの間に介在するように、大気開放配管に設けられ、エアタンクと連通するエアフィルタと、をさらに備え、大気開放電磁弁が閉じると、エアタンクが大気と遮断され、大気開放電磁弁が開くと、エアタンクがエアフィルタを介して大気に開放されるように、印刷装置を構成してもよい。かかる構成では、エアタンクを大気開放した際に、エアタンクに異物が流入するのをエアフィルタによって抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、ノズルから吐出されるインクのメニスカス形状を調整するための真空ポンプを簡単なシーケンスで始動することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る印刷装置を模式的に示す正面図。
【
図2】ヘッドユニットが備える吐出ヘッドの底面を模式的に示す図。
【
図3】吐出ヘッドと当該吐出ヘッドにインクを循環的に供給するインク循環機構を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明に係る印刷装置を模式的に示す正面図である。
図1では、水平方向Xおよび鉛直方向Zが示されている。また、互いに逆側を向く水平方向Xの一方側X1および他方側X2が示されている。印刷装置3は、筐体31と、筐体31内に配置されたカラー印刷部32と、筐体31内においてカラー印刷部32の上方に配置された白印刷部33と、筐体31内に配置された複数のローラによって印刷媒体Mを搬送する搬送部4とを備える。
【0016】
カラー印刷部32は、搬送部4によって搬送される印刷媒体Mの上方において、印刷媒体Mの進行方向(他方側X2から一方側X1へ向かう方向)に配列された複数(6個)のヘッドユニット321を有する。複数のヘッドユニット321は、それぞれの下方を通過する印刷媒体Mの表面M1に上方から対向するノズルを有し、互いに異なる色のカラーインクをインクジェット方式でノズルから吐出する。ここで、カラーインクとは、白色以外のインクを意味し、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラック等のインクを含む。こうして、カラー印刷部32の複数のヘッドユニット321は、それぞれの下方を通過する印刷媒体Mの表面M1に上方からカラーインクを吐出することで、印刷媒体Mの表面M1にカラー画像を印刷する。
【0017】
また、白印刷部33は、搬送部4によって搬送される印刷媒体Mの上方に配置された単一のヘッドユニット331を有する。ヘッドユニット331は、その下方を通過する印刷媒体Mの表面M1に上方から対向するノズルを有し、白インクをインクジェット方式でノズルから吐出する。こうして、白印刷部33のヘッドユニット331は、その下方を通過する印刷媒体Mの表面M1に上方から白インクを吐出することで、印刷媒体Mの表面M1に白画像を印刷する。
【0018】
筐体31の他方側X2の側壁には搬入口311が開口する一方、筐体31の一方側X1の側壁には搬出口312が開口している。そして、搬送部4は、上記のカラー印刷部32および白印刷部33を経由しつつ、搬入口311から搬出口312へ印刷媒体Mを搬送する。
【0019】
この搬送部4は、カラー印刷部32の下側に設けられた搬入部41と、カラー印刷部32の一方側X1に設けられた上昇搬送部42と、カラー印刷部32の上側に設けられた上方搬送部43と、カラー印刷部32の他方側X2に設けられた下降搬送部44とを有する。搬入部41は、搬入口311から搬入された印刷媒体Mをローラ411によって一方側X1に搬送し、上昇搬送部42は、搬入部41によって搬送されてきた印刷媒体Mをローラ421によって上側に搬送し、上方搬送部43は、上昇搬送部42によって搬送されてきた印刷媒体Mをローラ431によって他方側X2へ搬送し、下降搬送部44は、上方搬送部43によって搬送されてきた印刷媒体Mをローラ441によって下側に搬送する。
【0020】
さらに、搬送部4は、カラー印刷部32に対向する印刷媒体Mを下方から支持するカラー搬送部45を有し、下降搬送部44を通過した印刷媒体Mはカラー搬送部45に進入する。このカラー搬送部45は、他方側X2から一方側X1へ配列された複数のローラ451を有し、各ローラ451が印刷媒体Mの裏面M2に下方から接触する。こうして、カラー搬送部45によって支持される印刷媒体Mの表面M1は上方を向き、カラー印刷部32の各ヘッドユニット321は、この表面M1に上方から対向しつつカラーインクを吐出する。
【0021】
また、搬送部4は、印刷媒体Mの進行方向においてカラー搬送部45と下降搬送部44との間に配置されたローラ461、462、463を有する。ローラ461は、印刷媒体Mを駆動する駆動ローラである。ローラ462、463は印刷媒体Mに従動して回転する従動ローラである。
【0022】
さらに、搬送部4は、カラー搬送部45から一方側X1に搬送されてきた印刷媒体Mを二回上下反転させる反転搬送部47を有する。この反転搬送部47は、駆動ローラ471を含む複数のローラ471~477を有し、これらローラ471~477が印刷媒体Mの裏面M2に接触しつつ、印刷媒体Mを二回上下反転させる。つまり、反転搬送部47は、カラー搬送部45から搬送された印刷媒体Mを、ローラ471、472によって下方向に向けて搬送し、さらに印刷媒体Mの進行方向をローラ472によって他方側X2に変更して搬送することにより、印刷媒体Mの表面M1と裏面M2とを上下反転させる。続いて、反転搬送部47は、複数のローラ473によって印刷媒体Mを一方側X1から他方側X2に向けて搬送し、次いで、ローラ474~476によって印刷媒体Mを上方向に向けて搬送する。さらに、反転搬送部47は、ローラ476によって印刷媒体Mの進行方向を一方側X1に変更することによって、印刷媒体Mの表面M1と裏面M2とを再び上下反転させるとともに、ローラ477によって印刷媒体Mを他方側X2から一方側X1に向けて搬送する。
【0023】
また、搬送部4は、白印刷部33に対向する印刷媒体Mを下方から支持する白搬送部48を有し、反転搬送部47によって二回上下反転された印刷媒体Mは白搬送部48に進入する。この白搬送部48は、印刷媒体Mの裏面M2に下側から接触するローラ481を有する。こうして、白搬送部48によって支持される印刷媒体Mの表面M1は上方を向き、白印刷部33のヘッドユニット331は、この表面M1に上方から対向しつつ白インクを吐出する。
【0024】
また、搬送部4は、上方搬送部43より上方に設けられた搬出部49を有する。搬出部49は、水平方向Xの他方側X2から一方側X1へ配列された複数のローラ491を有する。この搬出部49は、白搬送部48により搬送されてきた印刷媒体Mを、複数のローラ491によって一方側X1へと搬送することで、筐体31の搬出口312から搬出する。
【0025】
上記のように、印刷装置3のカラー印刷部32および白印刷部33は、ヘッドユニット321、331を有する。続いては、ヘッドユニット321、331が有する吐出ヘッドHと当該吐出ヘッドHに対してインクを循環的に供給するインク循環機構9について説明する。なお、吐出ヘッドHやインク循環機構9の基本的構成は、白インクを吐出するヘッドユニット321およびカラーインクを吐出するヘッドユニット331のそれぞれについて共通する。そのため、ここでは、白インクを吐出するヘッドユニット331に関する構成について説明する。
【0026】
図2はヘッドユニット321、331が備える吐出ヘッドHの底面を模式的に示す図であり、
図3は吐出ヘッドHと当該吐出ヘッドHにインクを循環的に供給するインク循環機構を模式的に示す図である。
図2では、水平方向Xおよび鉛直方向Zの他に、水平方向Xに直交する水平方向Yが示されている。
【0027】
図2に示すように、ヘッドユニット331では、同一の色のインク(白インク)を吐出する複数の吐出ヘッドHが水平方向Yに一列に配列されており、各吐出ヘッドHは底面視において矩形を有する。なお、吐出ヘッドHの形状は
図2の例に限られず、平行四辺形でもよい。さらに、複数の吐出ヘッドHの配列態様も
図2の例に限られず、複数の吐出ヘッドHは千鳥状に配列されてもよい。
【0028】
図3に示すように、吐出ヘッドHはハウジングHaを有し、ハウジングHaの底面では、複数のノズルHnが水平方向Yに千鳥状に配列されて開口する。ハウジングHaの内部には、複数のノズルHnにそれぞれ連通する複数のキャビティHbと、複数のキャビティHbに連通するインク供給室Hcとが設けられており、インク供給室Hcから供給されたインクがキャビティHbに貯留される。また、各キャビティHbには圧電素子Dが設けられており、圧電素子Dが駆動信号(電気信号)に応じて変位することで、キャビティHb内のインクに圧力変動を与える。この圧力変動によって、キャビティHbからインクが押し出されて、当該キャビティHbに連通するノズルHnからインクが吐出される。また、吐出ヘッドHの上部では、インク流入口Hdと、インク流出口Heとがそれぞれ開口し、インクは、インク循環機構9からインク流入口Hdを介してインク供給室Hcに流入し、インク供給室Hcからインク流出口Heを介してインク循環機構9へ向けて流出する。近年、吐出ヘッドに対してより高い印字解像度が求められるようになっており、それに伴って吐出ヘッドのノズルの内径はより小さくなっている。
【0029】
インク循環機構9は、吐出ヘッドHのインク供給室Hcにインクを供給するインク供給機構9aと、吐出ヘッドHのインク供給室Hcからインクを回収するインク回収機構9bと、インク回収機構9bからインク供給機構9aへインクを戻すインクリターン機構9cとを含む。
【0030】
インク供給機構9aは、吐出ヘッドHのインク供給室Hcにインクを供給するインク供給部91と、このインク供給部91に対して付与する供給圧力を生成する圧力生成部93とを含む。インク供給部91は、吐出ヘッドHへ供給するインクを貯留する供給タンク911と、供給タンク911から供給されるインクを吐出ヘッドHのインク供給室Hcへ送液する供給配管912とを含む。供給タンク911は、吐出ヘッドHより上方に配置される。供給タンク911のうち、気液界面L1(すなわち、インクの液面)より下側のインク貯留部911Lにインクが貯留され、気液界面L1より上側の空間911Gには空気が存在する。
【0031】
インク回収機構9bは、吐出ヘッドHのインク供給室Hcからインクを回収するインク回収部92と、このインク回収部92に対して付与する圧力を生成する圧力生成部94とを含む。インク回収部92は、吐出ヘッドHから回収したインクを貯留する回収タンク921と、吐出ヘッドHのインク供給室Hcから回収したインクを回収タンク921へ送液する回収配管92bとを含む。回収タンク921は、吐出ヘッドHより上方に配置される。回収タンク921のうち、気液界面L2(すなわち、インクの液面)より下側のインク貯留部921Lにインクが貯留され、気液界面L2より上側の空間921Gには空気が存在する。
【0032】
インクリターン機構9cは、回収タンク921と供給タンク911とを接続するリターン配管951と、リターン配管951の途中に介在する循環ポンプ952とを有する。リターン配管951は、回収タンク921のインク貯留部921Lと、供給タンク911のインク貯留部911Lとを接続して連通させる。したがって、循環ポンプ952がリターン配管951内のインクを回収タンク921から供給タンク911へ向けて駆動すると、回収タンク921のインク貯留部921Lから供給タンク911のインク貯留部911Lへインクが送液される。つまり、インクリターン機構9cは、循環ポンプ952によって、回収タンク921から供給タンク911に到る第1経路Caに沿ってインクを送ることができる。
【0033】
上述の通り、インク供給機構9aは、供給タンク911に圧力P1(負圧)を与える圧力生成部93を有する。この圧力生成部93は、圧力タンク931と、圧力タンク931を排気して圧力タンク931に圧力P1を生成する排気ポンプ932とを有する。排気ポンプ932はダイヤフラムポンプであり吸気口Giから吸引した空気を排気口Goから排出する。これによって、吸気口Giから排気口Goに向かう排気方向Dgに空気を排気する。排気ポンプ932の排気口Goは大気に開放されている。一方、排気ポンプ932の吸気口Giは、圧力タンク931に接続されている。
【0034】
つまり、圧力生成部93は、圧力タンク931と排気ポンプ932の吸気口Giとを接続する樹脂製の排気配管933を有し、排気配管933によって圧力タンク931と吸気口Giとが連通される。したがって、排気ポンプ932が排気方向Dgに排気を行うと、圧力タンク931から排気配管933に空気が流出して、大気へと排気される。これによって、圧力タンク931に圧力P1が生成される。なお、排気ポンプ932はダイヤフラムポンプである。そのため、排気ポンプ932が停止すると、ダイヤフラムポンプに内蔵される逆止弁によって排気方向Dgと逆方向の空気の流れは遮断され、圧力タンク931内の圧力P1は維持される。
【0035】
また、圧力生成部93は、圧力タンク931と供給タンク911の空間911Gとを接続する圧力伝達配管934を有し、この圧力伝達配管934は、圧力タンク931と供給タンク911の空間911Gとを連通させる。したがって、圧力タンク931に生成された圧力P1が、圧力伝達配管934を介して、供給タンク911の空間911Gに付与される。その結果、圧力P1が気液界面L1に加わる。
【0036】
また、圧力生成部93は、圧力タンク931と大気とを接続する大気開放配管935と、大気開放配管935の途中に介在する大気開放電磁弁936と、大気開放電磁弁936と圧力タンク931との間に介在するように大気開放配管935に設けられたエアフィルタ937とを有する。大気開放配管935の一端は圧力タンク931に接続され、大気開放配管935の他端は大気に開放されている。大気開放電磁弁936が閉じた状態では、圧力タンク931は大気から遮断され、圧力タンク931の圧力P1が維持される。一方、大気開放電磁弁936が開くと、圧力タンク931が大気開放配管935によって大気に連通される。そのため、大気開放配管935を介して大気から圧力タンク931に空気が流入して、圧力タンク931内の圧力P1が上昇する。この際、圧力タンク931と大気開放電磁弁936との間のエアフィルタ937が、圧力タンク931に流入する前の空気から異物を除去する。なお、圧力タンク931とエアフィルタ937との間の大気開放配管935の部分にはバルブ等の可動部品は存在しない。また、圧力伝達配管934にもバルブ等の可動部品は存在しない。
【0037】
ここで、エアフィルタ937は大気開放電磁弁936よりも圧力タンク931側に位置している。このため、大気開放電磁弁936が動作した際に発塵したとしても、その塵はエアフィルタ937によって除去され圧力タンク931に流入することがない。圧力タンク931内の気体は供給タンク911内のインクと連通しているため、圧力タンク931内の気体が塵等で汚染されていると供給タンク911内のインクを汚染するおそれがある。当該塵はノズルHnを詰まらせる等、吐出ヘッドHの故障の原因になり得る。一方、本実施の形態によれば、エアフィルタ937が大気開放電磁弁936で発生するような微少な塵も除去することができるので、吐出ヘッドHの故障のリスクをより低減することが可能になる。
【0038】
上述の通り、インク回収機構9bは、回収タンク921に圧力P2(負圧)を与える圧力生成部94を有する。この圧力生成部94は、圧力タンク941と、圧力タンク941を排気して圧力タンク941に圧力P2を生成する排気ポンプ942とを有する。排気ポンプ942はダイヤフラムポンプであり吸気口Giから吸引した空気を排気口Goから排出する。これによって、吸気口Giから排気口Goに向かう排気方向Dgに空気を排気する。排気ポンプ942の排気口Goは大気に開放されている。一方、排気ポンプ942の吸気口Giは、圧力タンク941に接続されている。
【0039】
つまり、圧力生成部94は、圧力タンク941と排気ポンプ942の吸気口Giとを接続する樹脂製の排気配管943を有し、排気配管943によって圧力タンク941と吸気口Giとが連通される。したがって、排気ポンプ942が排気方向Dgに排気を行うと、圧力タンク941から排気配管943に空気が流出して、大気へと排気される。これによって、圧力タンク941に圧力P2が生成される。なお、排気ポンプ942はダイヤフラムポンプである。そのため、排気ポンプ942が停止すると、ダイヤフラムポンプに内蔵される逆止弁によって排気方向Dgと逆方向の空気の流れは遮断され、圧力タンク941内の圧力P2は維持される。
【0040】
また、圧力生成部94は、圧力タンク941と回収タンク921の空間921Gとを接続する圧力伝達配管944を有し、この圧力伝達配管944は、圧力タンク941と回収タンク921の空間921Gとを連通させる。したがって、圧力タンク941に生成された圧力P2が、圧力伝達配管944を介して、回収タンク921の空間921Gに付与される。その結果、圧力P2が気液界面L2に加わる。
【0041】
また、圧力生成部94は、圧力タンク941と大気とを接続する大気開放配管945と、大気開放配管945の途中に介在する大気開放電磁弁946と、大気開放電磁弁946と圧力タンク941との間に介在するように大気開放配管945に設けられたエアフィルタ947とを有する。大気開放配管945の一端は圧力タンク941に接続され、大気開放配管945の他端は大気に開放されている。大気開放電磁弁946が閉じた状態では、圧力タンク941は大気から遮断され、圧力タンク941の圧力P2が維持される。一方、大気開放電磁弁946が開くと、圧力タンク941が大気開放配管945によって大気に連通される。そのため、大気開放配管945を介して大気から圧力タンク941に空気が流入して、圧力タンク941内の圧力P2が上昇する。この際、圧力タンク941と大気開放電磁弁946との間のエアフィルタ947が、圧力タンク941に流入する前の空気から異物を除去する。
【0042】
なお、圧力タンク941とエアフィルタ947との間の大気開放配管945の部分には特段の可動部品は存在しない。また、圧力伝達配管944にもバルブ等の可動部品は存在しない。
【0043】
ここで、エアフィルタ947は大気開放電磁弁946よりも圧力タンク941側に位置している。このため、大気開放電磁弁946が動作した際に発塵したとしても、その塵はエアフィルタ947によって除去され圧力タンク941に流入することがない。圧力タンク931内の気体は回収タンク921内のインクと連通しているため、圧力タンク941内の気体が塵等で汚染されていると回収タンク921内のインクを汚染するおそれがある。当該塵はノズルHnを詰まらせる等、吐出ヘッドHの故障の原因になり得る。一方、本実施の形態によれば、エアフィルタ947が大気開放電磁弁946で発生するような微少な塵も除去することができるので、吐出ヘッドHの故障のリスクをより低減することが可能になる。
【0044】
このように、圧力生成部93によって供給タンク911の気液界面L1に圧力P1が付与され、圧力生成部94によって回収タンク921の気液界面L2に圧力P2が付与される。この際、回収タンク921に付与される圧力P2は、供給タンク911に付与する圧力P1より低い。この圧力P2と圧力P1との差によって、供給タンク911から吐出ヘッドHのインク供給室Hcを介して回収タンク921に到る第2経路Cbに沿ってインクが流れる。また、第2経路Cbに沿って回収タンク921に流入したインクは、第1経路Caに沿って循環ポンプ952により供給タンク911に戻される。こうして、供給タンク911から吐出ヘッドHを介して回収タンク921に到達した後に供給タンク911に戻る循環経路(第2経路Cb+第1経路Ca)でインクが循環する。
【0045】
また、インク循環機構9はメインタンク96を有する。このメインタンク96は、供給タンク911および回収タンク921より多量のインクを貯留することができる。インク循環機構9は、メインタンク96と供給タンク911とを接続する配管961と、メインタンク96と回収タンク921とを接続する配管962とを備える。つまり、メインタンク96は、配管961を介して供給タンク911と連通し、配管962を介して回収タンク921と連通する。
【0046】
さらに、インク循環機構9は、メインタンク96と供給タンク911との間で配管961に取り付けられた回収ポンプ963と、メインタンク96と回収タンク921との間で配管962に取り付けられた供給ポンプ964とを備える。したがって、回収ポンプ963によって、供給タンク911からメインタンク96へインクを回収し、供給ポンプ964によってメインタンク96から回収タンク921にインクを供給できる。
【0047】
このように構成されたインク循環機構9では、回収ポンプ963および供給ポンプ964を動作させることで、供給タンク911からメインタンク96を介して回収タンク921に到る第3経路Ccに沿ってインクが流れる。また、第3経路Ccに沿って回収タンク921に流入したインクは、第1経路Caに沿って循環ポンプ952により供給タンク911に戻される。こうして、供給タンク911からメインタンク96を介して回収タンク921に到達した後に供給タンク911に戻る循環経路(第3経路Cc+第1経路Ca)でインクが循環する。
【0048】
以上に説明する実施形態では、メインタンク96から供給されるインクが供給タンク911(リザーバタンク)に貯留される。また、吐出ヘッドH(記録ヘッド)は、供給タンク911のうち気液界面L1より下側のインク貯留部911Lに接続されて当該インク貯留部911Lと連通するインク供給室Hc(インク貯留室)を有し、インク供給室Hcに貯留されるインクがノズルHnから吐出される。そして、ノズルHnにおけるインクのメニスカス形状を適切化するために、気液界面L1に加わる圧力P1が調整される。具体的には、供給タンク911のうち気液界面L1より上側の空間911Gに接続されて当該空間911Gと連通する圧力タンク931(エアタンク)を排気ポンプ932(真空ポンプ)によって排気することで、気液界面L1に加わる圧力P1が調整される。この際、圧力タンク931と排気ポンプ932との接続に排気配管933(接続部)が用いられる。この排気配管933は、圧力タンク931と排気ポンプ932とを電磁弁を介さずに接続して、排気ポンプ932と圧力タンク931とを連通させる。つまり、圧力タンク931と排気ポンプ932との間には電磁弁が介在しない。よって、排気ポンプ932を始動させる前に電磁弁を開くといったシーケンスが不要となる。その結果、ノズルHnから吐出されるインクのメニスカス形状を調整するための排気ポンプ932を簡単なシーケンスで始動することが可能となっている。
【0049】
また、メインタンク96から供給されるインクが回収タンク921(リザーバタンク)に貯留される。また、吐出ヘッドHは、回収タンク921のうちインクの気液界面L2より下側のインク貯留部921Lに接続されて当該インク貯留部921Lと連通するインク供給室Hcを有し、インク供給室Hcに貯留されるインクがノズルHnから吐出される。そして、ノズルHnにおけるインクのメニスカス形状を適切化するために、気液界面L2に加わる圧力P2が調整される。具体的には、回収タンク921のうち気液界面L2より上側の空間921Gに接続されて当該空間921Gと連通する圧力タンク941(エアタンク)を排気ポンプ942(真空ポンプ)によって排気することで、気液界面L2に加わる圧力P2が調整される。この際、圧力タンク941と排気ポンプ942との接続に排気配管943(接続部)が用いられる。この排気配管943は、圧力タンク941と排気ポンプ942とを電磁弁を介さずに接続して、排気ポンプ942と圧力タンク941とを連通させる。つまり、圧力タンク941と排気ポンプ942との間には電磁弁が介在しない。よって、排気ポンプ942を始動させる前に電磁弁を開くといったシーケンスが不要となる。その結果、ノズルHnから吐出されるインクのメニスカス形状を調整するための排気ポンプ942を簡単なシーケンスで始動することが可能となっている。
【0050】
また、排気ポンプ932は、ダイヤフラムポンプである。ダイヤフラムポンプは逆止弁を内蔵する。そのため、ダイヤフラムポンプが停止した場合には、ダイヤフラムポンプを通過して供給タンク911へ向かう方向への空気の流れが当該逆止弁によって阻止される。そのため、供給タンク911に生成した圧力P1(負圧)を維持することができる。つまり、単に排気ポンプ932を停止するだけで、排気ポンプ932の排気口Goから排気配管933に向けて外気が流入することが防止できる。このように排気配管933に電磁弁等のバルブを配置しなくても、排気配管933から圧力タンク931に外気が流入することが防止できるため、部品点数が削減でき装置コストを低下させることができる。
【0051】
また、排気ポンプ942は、ダイヤフラムポンプである。ダイヤフラムポンプは逆止弁を内蔵する。そのため、ダイヤフラムポンプが停止した場合には、ダイヤフラムポンプを通過して圧力タンク941へ向かう方向への空気の流れが当該逆止弁によって阻止される。そのため、圧力タンク941に生成した圧力P2を維持することができる。つまり、単に排気ポンプ942を停止するだけで、排気ポンプ942の排気口Goから排気配管943に向けて外気が流入することが防止できる。このように排気配管943に電磁弁等のバルブを配置しなくても、排気配管943から圧力タンク941に外気が流入することが防止できるため、部品点数が削減でき装置コストを低下させることができる。
【0052】
また、圧力伝達配管934は、樹脂製の配管である。かかる構成では、電磁弁を介さない排気ポンプ932と圧力タンク931との接続を、樹脂製の配管によって簡便に実現できる。
【0053】
また、圧力伝達配管944は、樹脂製の配管である。かかる構成では、電磁弁を介さない排気ポンプ942と圧力タンク941との接続を、樹脂製の配管によって簡便に実現できる。
【0054】
また、圧力タンク931に接続されて圧力タンク931と連通するエアフィルタ937と、エアフィルタ937に接続されてエアフィルタ937と連通する大気開放電磁弁936とが具備されている。そして、大気開放電磁弁936が閉じると、圧力タンク931が大気と遮断され、大気開放電磁弁936が開くと、圧力タンク931がエアフィルタ937を介して大気に開放される。かかる構成では、圧力タンク931を大気開放した際に、圧力タンク931に異物が流入するのをエアフィルタ937によって抑制できる。
【0055】
また、圧力タンク941に接続されて圧力タンク941と連通するエアフィルタ947と、エアフィルタ947に接続されてエアフィルタ947と連通する大気開放電磁弁946とが具備されている。そして、大気開放電磁弁946が閉じると、圧力タンク941が大気と遮断され、大気開放電磁弁946が開くと、圧力タンク941がエアフィルタ947を介して大気に開放される。かかる構成では、圧力タンク941を大気開放した際に、圧力タンク941に異物が流入するのをエアフィルタ947によって抑制できる。
【0056】
以上に説明した実施形態では、メインタンク96が本発明の「メインタンク」の一例に相当し、供給タンク911および回収タンク921が本発明の「リザーバタンク」の一例に相当し、インク貯留部911Lおよびインク貯留部921Lが本発明の「インク貯留部」の一例に相当し、インク供給室Hcが本発明の「インク貯留室」の一例に相当し、ノズルHnが本発明の「ノズル」の一例に相当し、吐出ヘッドHが本発明の「記録ヘッド」の一例に相当し、空間911Gおよび空間921Gが本発明の「空間」の一例に相当し、圧力タンク931および圧力タンク941が本発明の「エアタンク」の一例に相当し、排気ポンプ932および排気ポンプ942が本発明の「真空ポンプ」の一例に相当し、排気配管933および排気配管943が本発明の「接続部」の一例に相当し、印刷装置3が本発明の「印刷装置」の一例に相当し、エアフィルタ937およびエアフィルタ947が本発明の「エアフィルタ」の一例に相当し、大気開放電磁弁936および大気開放電磁弁946が本発明の「大気開放電磁弁」の一例に相当する。
【0057】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
図4はインク循環機構の変形例を模式的に示す図である。
図3の例との違いは、逆止弁938および逆止弁948が設けられている点である。
【0058】
逆止弁938は、インク供給機構9aにおいて、排気ポンプ932の排気口Goと大気との間に介在するように排気配管933に設けられている。この逆止弁938は、排気ポンプ932の排気口Goから大気に向かう気流を許容する一方、大気から排気ポンプ932の排気口Goに向かう気流を遮断する。
【0059】
逆止弁948は、インク回収機構9bにおいて、排気ポンプ942の排気口Goと大気との間に介在するように排気配管943に設けられている。この逆止弁948は、排気ポンプ942の排気口Goから大気に向かう気流を許容する一方、大気から排気ポンプ942の排気口Goに向かう気流を遮断する。
【0060】
この変形例では、排気ポンプ932の排気口Goに接続されて排気口Goに連通する逆止弁938が具備される。逆止弁938は、排気口Goから逆止弁938に向かう方向への空気の通過を許容し、逆止弁938から排気口Goに向かう方向への空気の通過を禁止する。かかる構成では、排気ポンプ932が停止した場合には、排気ポンプ932を通過して圧力タンク931へ向かう方向への空気の流れが当該逆止弁938によって阻止される。そのため、圧力タンク931に生成した圧力P1(負圧)を維持することができる。
【0061】
また、排気ポンプ942の排気口Goに接続されて排気口Goに連通する逆止弁948が具備される。逆止弁948は、排気口Goから逆止弁948に向かう方向への空気の通過を許容し、逆止弁948から排気口Goに向かう方向への空気の通過を禁止する。かかる構成では、排気ポンプ942が停止した場合には、排気ポンプ942を通過して圧力タンク941へ向かう方向への空気の流れが当該逆止弁948によって阻止される。そのため、圧力タンク941に生成した圧力P2(負圧)を維持することができる。
【0062】
また、排気ポンプ932および排気ポンプ942の具体的な種類はダイヤフラムポンプに限られない。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、インクジェット方式で吐出されるインクのメニスカス形状を調整する技術の全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
3…印刷装置
911…供給タンク
911G…空間
911L…インク貯留部
921…回収タンク
921G…空間
921L…インク貯留部
931…圧力タンク
932…排気ポンプ
933…排気配管
936…大気開放電磁弁
937…エアフィルタ
941…圧力タンク
942…排気ポンプ
943…排気配管
946…大気開放電磁弁
947…エアフィルタ
96…メインタンク
H…吐出ヘッド
Hc…インク供給室
Hn…ノズル