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特開2025-141156情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025141156
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20250919BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20250919BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20250919BHJP
   G06F 21/64 20130101ALI20250919BHJP
【FI】
B41J29/38 401
H04N1/00 838
H04N1/00 127Z
H04N1/00 E
B41J29/00 E
G06F21/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024040953
(22)【出願日】2024-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】前田 昌雄
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061BB10
2C061CG02
2C061CG15
2C061HK11
2C061HN08
2C061HN15
(57)【要約】
【課題】一連の設定のリセットがなされた場合に、リセット前と同様の環境で装置が使用される状況か否かを、より好適な態様で判別可能とする。
【解決手段】CPU311は、無線ネットワークを介した通信の設定を含む一連の設定のリセット前に、当該無線ネットワークへの接続に係る認証情報から、不可逆符号化処理に基づき第1の符号化情報を生成して所定の記憶領域に保持させる。CPU311は、一連の設定のリセット後の再設定がなされた後に、上記記憶領域に保持された第1の符号化情報に基づき、接続される無線ネットワークの環境が一連の設定のリセット前から変化したか否かを判定する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワークを介した通信の設定を含む一連の設定のリセット前に、当該無線ネットワークへの接続に係る認証情報から、不可逆符号化処理に基づき第1の符号化情報を生成して所定の記憶領域に保持させる生成手段と、
前記一連の設定のリセット後の再設定がなされた後に、前記記憶領域に保持された前記第1の符号化情報に基づき、接続される無線ネットワークの環境が前記一連の設定のリセット前から変化したか否かを判定する判定手段と、
を有することを特徴とする、情報処理装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記一連の設定のリセット後の再設定がなされた後に、前記無線ネットワークへの接続に係る認証情報から、前記不可逆符号化処理に基づき第2の符号化情報を生成し、
前記判定手段は、前記第1の符号化情報と前記第2の符号化情報とが一致する場合に、接続される無線ネットワークの環境が前記一連の設定のリセット前から変化していないと判定する
ことを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記一連の設定のリセット後の再設定がなされた後に、前記判定手段により接続される無線ネットワークの環境が前記一連の設定のリセット前から変化していないと判定された場合に、前記一連の設定のリセット前と同じネットワークに接続されたことを通知する第1の通知手段を有することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記一連の設定のリセット前に、前記無線ネットワークを介した通信の設定以外の他の設定を暗号化することで暗号化情報を生成して所定の記憶領域に保持させる暗号化手段と、
前記一連の設定のリセット後の再設定がなされた後に、前記判定手段により接続される無線ネットワークの環境が前記一連の設定のリセット前から変化していないと判定された場合に、前記記憶領域に保持された前記暗号化情報に基づき、前記他の設定を復号して再設定する復号手段と、
を有することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記暗号化手段は、前記認証情報に対して前記不可逆符号化処理とは異なる処理を適用することで生成された鍵情報に基づき、前記他の設定を暗号化することで前記暗号化情報を生成することを特徴とする、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記生成手段は、前記暗号化手段により前記認証情報に基づき生成された前記鍵情報に対して前記不可逆符号化処理を適用することで前記第1の符号化情報を生成することを特徴とする、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記一連の設定のリセット後の再設定がなされた後に、前記判定手段により接続される無線ネットワークの環境が前記一連の設定のリセット前から変化していると判定された場合に、前記一連の設定のリセット前とは異なる環境に装置が移動された可能性があることを通知する第2の通知手段を有することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記一連の設定のリセット後の再設定がなされた後に、前記判定手段により接続される無線ネットワークの環境が前記一連の設定のリセット前から変化していると判定された場合に、装置の移動がなされた場合に実行対象として設定された装置移動後処理を実行する実行手段を有することを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記情報処理装置は印刷装置であって、
前記装置移動後処理には、印刷装置記録ヘッドの位置調整処理が含まれる
ことを特徴とする、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記情報処理装置は印刷装置であって、
前記装置移動後処理には、印刷装置記録ヘッドの状態を良好に保つためのメンテナンス処理が含まれる
ことを特徴とする、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記装置移動後処理には、ユーザに対する当該ユーザに関する情報の問い合わせ処理が含まれることを特徴とする、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記不可逆符号化処理は、対象となる情報に対してハッシュ化を施す処理であり、
前記第1の符号化情報は、ハッシュ値である
ことを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
情報処理装置の制御方法であって、
無線ネットワークを介した通信の設定を含む一連の設定のリセット前に、当該無線ネットワークへの接続に係る認証情報に対して不可逆符号化処理を施すことで第1の符号化情報を生成して所定の記憶領域に保持させる生成ステップと、
前記一連の設定のリセット後の再設定がなされた後に、前記記憶領域に保持された前記第1の符号化情報に基づき、接続される無線ネットワークの環境が前記一連の設定のリセット前から変化したか否かを判定する判定ステップと、
を含むことを特徴とする、情報処理装置の制御方法。
【請求項14】
コンピュータを、
無線ネットワークを介した通信の設定を含む一連の設定のリセット前に、当該無線ネットワークへの接続に係る認証情報に対して不可逆符号化処理を施すことで第1の符号化情報を生成して所定の記憶領域に保持させる生成手段と、
前記一連の設定のリセット後の再設定がなされた後に、前記記憶領域に保持された前記第1の符号化情報に基づき、接続される無線ネットワークの環境が前記一連の設定のリセット前から変化したか否かを判定する判定手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークに接続するために無線LANを利用する装置では、例えば、無線LANアクセスポイントの識別子であるSSIDやパスフレーズが装置に設定されることによって、所望する無線LANアクセスポイントと装置との間の接続を確立させる。また、無線LANに接続するための設定項目以外にも、装置を動作させるための種々の設定項目があり、装置の操作パネル等を利用して設定された値が、装置内の記憶領域(例えば、不揮発メモリ等)に保存されて制御に用いられている。このように、対象となる装置(例えば、印刷装置等)を利用するための設定項目は多岐にわたり、このような設定項目の中には、クラウドサービスにログインするためのユーザ名及びパスワードや個人情報等のように、機密性の高い情報も含まれ得る。このように機密性の高い情報が保持された状態で装置が廃棄されたり、他人に譲渡されたり、修理に出されたりすることで、当該情報が流出する恐れがあり、このような事態の発生を防止する技術が各種検討されている。特許文献1には、ユーザの機密情報を装置内から消去できるように、所定の操作により画像形成装置を工場出荷時の状態に初期化する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-118232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、一連の設定がリセットされた後の装置については、リセット前と同じ環境にあわせて再設定がなされて使用される場合と、リセット前と異なる環境に移して使用される場合とが想定され、いずれの場合かに応じてリセット後に要求される対応も異なる。これに対して、従来の技術では、一連の設定のリセットが、リセット後の装置の用途に関わらず一律に実行されるため、リセット後の対応が最適化できているとは言い難い場合がある。
【0005】
本発明は上記の問題を鑑み、一連の設定のリセットがなされた場合に、リセット前と同様の環境で装置が使用される状況か否かを、より好適な態様で判別可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る情報処理装置は、無線ネットワークを介した通信の設定を含む一連の設定のリセット前に、当該無線ネットワークへの接続に係る認証情報から、不可逆符号化処理に基づき第1の符号化情報を生成して所定の記憶領域に保持させる生成手段と、前記一連の設定のリセット後の再設定がなされた後に、前記記憶領域に保持された前記第1の符号化情報に基づき、接続される無線ネットワークの環境が前記一連の設定のリセット前から変化したか否かを判定する判定手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、一連の設定のリセットがなされた場合に、リセット前と同様の環境で装置が使用される状況か否かを、より好適な態様で判別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】システムのシステム構成の一例を示した図である。
図2】プリンタのハードウェア構成の一例を示した図である。
図3】操作パネルに表示される画面の一例を示した図である。
図4】操作パネルを介して提示されるメニュー構成の一例を示した図である。
図5】プリンタに保持されるデータのデータ構造の一例を示した図である。
図6】プリンタの処理の一例を示したフローチャートである。
図7】プリンタの処理の一例を示したフローチャートである。
図8】プリンタの処理の一例を示したフローチャートである。
図9】設定復元時確認画面の一例を示した図である。
図10】プリンタに保持されるデータのデータ構造の一例を示した図である。
図11】プリンタの処理の一例を示したフローチャートである。
図12】装置移動後処理実行確認画面の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0010】
<第1の実施形態>
本開示の第1の実施形態について以下に説明する。まず、図1を参照して本実施形態に係るシステム100のシステム構成の一例について説明する。本実施形態に係るシステム100は、ローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)102を介して接続されたプリンタ300及びスマートフォン500を含む。プリンタ300及びスマートフォン500のそれぞれは、無線LANアクセスポイント101と無線通信を介して接続されることで、ローカルエリアネットワーク102に接続される。また、この場合には、プリンタ300及びスマートフォン500のそれぞれは、無線LANアクセスポイント101との間においては無線LANインフラモード接続103を利用する。
【0011】
プリンタ300は、自身が無線LANアクセスポイントとして動作するモードを備えている。プリンタ300がアクセスポイントとして動作している場合には、スマートフォン500がプリンタ300のアクセスポイントに直接接続することも可能である。このプリンタ300のアクセスポイントに直接接続する接続形式をダイレクト接続104とも称する。
【0012】
ローカルエリアネットワーク102には、その他の端末、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)端末400等が接続されてもよい。また、ローカルエリアネットワーク102は、ルータ105を介してインターネット106に接続されている。このような構成により、プリンタ300、スマートフォン500、及びその他の装置等は、ルータ105を介してインターネット106上のクラウドサーバ200に接続することが可能となる。
【0013】
スマートフォン500は、携帯電話回線網107に接続可能に構成されており、当該携帯電話回線網107を介してインターネット106上のクラウドサーバ200に接続することも可能である。
【0014】
なお、図1に示す構成はあくまで一例であり、本実施形態に係るシステム100のシステム構成を限定するものではない。例えば、図1に示す例では、無線LANアクセスポイント101とルータ105とが異なる装置として実現されているが、これらの構成要素に替えてアクセスポイント機能を備えたルータが適用されてもよい。
【0015】
図2を参照して、プリンタ300のハードウェア構成の一例について、特にプリンタ300の制御系の構成に着目して説明する。なお、本実施形態では、本開示に係る技術をプリンタ300に適用する場合に一例について説明するが、当該技術の適用対象を限定するものではない。また、プリンタ300としては、印刷機構301と読取機構302とを同一の筐体に組込んでコピー機能等の複合機能に対応した、いわゆるマルチファンクションプリンタが適用される場合の一例について説明する。
【0016】
プリンタ300は、装置全体の制御を行うメインボード310と、装置外面に備えられた操作パネル303や無線LANユニット304等の各種ユニットとからなる。メインボード310に配置されるマイクロプロセッサ形態のCPU311は、内部バス312を介して接続されているROM形態のプログラムメモリ313に格納されている制御プログラムと、RAM形態のデータメモリ314の内容とに従って動作する。この他に、プリンタ300には、電源が供給されなくなっても内容を保持可能な不揮発メモリ315が備えられている。CPU311は、各種設定値やデータ等を不揮発メモリ315に書きこむことにより、一旦電源がオフされた後に再度電源供給を受けて動作する際に、同じ設定値やデータに基づいて動作を継続することが可能となる。
【0017】
CPU311は、読取機構制御回路317を介して読取機構302を制御し、原稿を読み取り、データメモリ314中に画像データ情報として格納することが可能である。また、CPU311は、印刷機構制御回路316を介して印刷機構301を制御して、データメモリ314中の画像データを記録媒体に印刷することが可能である。
【0018】
CPU311は、無線LAN通信制御部319を介して無線LANユニット304を制御することで、他の装置と無線LAN通信を行う。
CPU311は、操作部制御回路318を制御することによって操作パネル303にプリンタ300の状態の表示や機能選択メニューの表示を行ったり、利用者からの操作を受け付けたりすることが可能である。
【0019】
図3を参照して、プリンタ300の操作パネル303に表示される画面の一例について説明する。
図3(a)は、ホーム画面5000の一例を示している。ホーム画面5000は、プリンタ300が待機状態の場合に表示される画面であり、利用者からの機能実行指示を受け付けることが可能である。ホーム画面5000には、プリンタ300に実行させる機能の選択を利用者から受け付けるためのボタン5001、5002、5003、及び5004が設けられている。
ボタン5001にはコピー機能が割り当てられており、ボタン5001が押下されると、コピー機能をプリンタ300に実行させるための画面に遷移する。ボタン5002にはスキャン機能が割り当てられており、ボタン5002が押下されると、スキャン機能をプリンタ300に実行させるための画面に遷移する。ボタン5003にはメンテナンス機能が割り当てられており、ボタン5003が押下されると、装置の各種調整や、印刷機構のクリーニング等のメンテナンス機能をプリンタ300に実行させるための画面に遷移する。ボタン5004は、各種設定変更に係る指示を利用者から受け付けるためのボタンである。ボタン5004が押下されると、後述する設定メニュー画面5100に遷移する。
【0020】
図3(b)は、設定メニュー画面5010の一例を示している。設定メニュー画面5010は、ホーム画面5000においてボタン5004が押下された場合に表示される。設定メニュー画面5010には、設定対象の項目の選択を利用者から受け付けるためのボタン5011、5012、及び5013と、設定リセットボタン5014とが設けられている。
ボタン5011には印刷に係る設定が割り当てられており、ボタン5011が押下されると、プリンタ300が印刷に使用するパラメータの設定を行うための画面に遷移する。プリンタ300が印刷に使用するパラメータとしては、例えば、印刷部数、用紙種類、用紙サイズ両面印刷設定、及び印刷品位等が挙げられる。ボタン5012にはネットワークに係る設定が割り当てられており、ボタン5012が押下されると、プリンタ300をネットワークに接続させる設定を行うための、後述のネットワーク設定画面5020に遷移する。ボタン5013にはクラウドサービスに係る設定が割り当てられており、ボタン5013が押下されると、プリンタ300がインターネット106上のクラウドサーバ200と連携して機能を実行する際に使用するパラメータの設定を行うための画面に遷移する。プリンタ300がクラウドサーバ200と連携して機能を実行する際に使用するパラメータとしては、例えば、使用するクラウドサービスの選択、クラウドサービスのアカウント名やパスワード等が挙げられる。設定リセットボタン5104が押されると、後述する設定リセット処理が実行される。
【0021】
図3(c)は、ネットワーク設定画面5020の一例を示している。ネットワーク設定画面5020には、テキスト入力枠5021、5022、及び5023と、ボタン5024及び5025とが設けられている。
テキスト入力枠5021は、接続するネットワーク名の入力を受け付けるためのテキスト入力枠である。ネットワーク名としては、例えば、無線LANアクセスポイント101を識別するためのSSID(Service Set ID)が指定される。テキスト入力枠5022は、無線LANアクセスポイント101との間で使用するセキュリティ設定の指定を受け付けるテキスト入力枠である。テキスト入力枠5023は、無線LANアクセスポイント101への接続に際して認証に使用されるパスワードの入力を受け付けるためのテキスト入力枠である。図3(c)に示す例では、他者による操作中の操作パネル303の覗き込みへの対策として、入力されたパスワードが黒丸のマーカ等を利用した伏せ字として表示されている。
ボタン5024は、テキスト入力枠5021、5022、及び5023それぞれに入力された情報によるネットワーク設定の更新に係る指示を利用者から受け付けるためのボタンである。キャンセルボタン5025は、ネットワーク設定の変更を行わずにネットワーク設定画面5020を終了させる指示を利用者から受け付けるためのボタンである。
【0022】
図4を参照して、プリンタ300の操作パネル303を介して提示されるメニュー構成と、各メニューに対応する設定項目との一例について説明する。図4では、本実施形態に係るプリンタ300のメニュー構成を、ホーム画面5000を起点として、選択ボタンが押されることで遷移する画面と、末端の画面で設定される項目とをツリー構造により示している。
例えば、図3(a)に示すホーム画面5000は、メニュー構成のホーム5501に相当し、コピー5502、スキャン5503、メンテナンス5504、及び設定5505のメニュー項目に対応付けられたボタンが配置されている。
また、図3(b)に示す設定メニュー画面5010は、メニュー構成の設定5505に相当し、印刷設定5512、ネットワーク設定5513、クラウドサービス設定5514、及び設定リセット5515のメニュー項目に対応付けられたボタンが配置されている。
また、図3(c)に示すネットワーク設定画面5020は、メニュー構成のネットワーク設定5513に相当し、ネットワーク名6031、セキュリティ6032、及びパスワード6033それぞれの設定項目に対応付けられた入力枠が配置されている。
【0023】
図5を参照して、不揮発メモリ315に保持されるデータのデータ構造とデータの流れとの一例について説明する。不揮発メモリ315に保持されるデータは、コピー設定6000、スキャン設定6010、調整値6020、ネットワーク設定6030、クラウドサービス設定6040、及び設定復元用データ6050の各領域に分けて保持されている。この他にも、制御用パラメータ及び装置状態変数等の各種のデータが不揮発メモリ315に保持されるが、図5に示す例では設定値に関わるものの一部が抜粋して示されている。
【0024】
ネットワーク設定6030の領域内に保持されたデータが、ひとまとめにして鍵導出関数に入力されることで、クラウド設定暗号鍵6101が生成される。なお、鍵導出関数は、任意の入力データから一意の出力値を生成する関数として実現される。鍵導出関数は、入力データが同じであれば必ず同じ出力値が生成され、入力データが互いに異なる場合には実用上問題ない確率で必ず異なる出力値が生成される関数として実現される。また、鍵導出関数は、入力データに対して不可逆変換を施すことで出力値を生成する関数として実現されるとよい。このような構成により、鍵導出関数により生成された出力値から入力データを復元することが極めて困難となる。生成されたクラウド設定暗号鍵6101は、クラウドサービス設定6040の領域に保持されたデータを暗号化して保存するために用いられる。クラウドサービス設定6040の領域には、使用されるクラウドサービスの選択6041、クラウドサービスのアカウント名6042やパスワード6043等として設定された情報がデータとして保持されている。暗号化されたクラウドサービス設定6040の領域内のデータは、不揮発メモリ315上の設定復元用データ6050の領域内に、暗号化クラウド設定6051として保存される。
ここで、クラウド設定暗号鍵6101については、不揮発メモリ315には保存されず、一時的にデータメモリ314に保存され、使用後はデータメモリ314上から破棄される。このような制御が適用されることで、クラウド設定暗号鍵6101が外部へと漏えいする事態の発生を防止することが可能となる。
【0025】
また、クラウド設定暗号鍵6101がハッシュ関数(入力データに対してハッシュ化を施す関数)に入力されることで、ネットワークハッシュ値6102が生成される。図5に示す例にて適用されるハッシュ関数は、鍵導出関数と同様に、任意の入力データから一意の出力値を生成する関数である。すなわち、ハッシュ関数は、入力データが同じであれば必ず同じ出力値が生成され、入力データが異なる互いに異なる場合には実用上問題ない確率で必ず異なる出力値が生成される関数に相当する。また、ハッシュ関数は、入力データに対して不可逆変換を施すことで出力値を生成する特性を有する。このような構成により、ハッシュ関数により生成された出力値から入力データを復元することが極めて困難となる。
なお、本実施形態ではクラウド設定暗号鍵6101に対してハッシュ関数を適用することでネットワークハッシュ値6102を生成するものとするが、あくまで一例であり、上述したような特性を有する関数であればハッシュ関数に替えて適用することが可能である。すなわち、クラウド設定暗号鍵6101からネットワークハッシュ値6102に相当する情報の生成に際して適用される関数は、入力データに対して不可逆符号化処理を施すことが可能であれば特に限定されない。
生成されたネットワークハッシュ値6102は、不揮発メモリ315上の設定復元用データ6050の領域内に、ネットワークハッシュ値6052として保存される。
【0026】
図6を参照して、プリンタ300の処理の一例について、設定更新時の処理に着目して説明する。図6に示す一連の処理は、操作パネル303を介してユーザから、ネットワーク設定以外の設定項目のいずれかを変更する操作が受け付けられた場合に、プリンタ300のCPU311により実行される。なお、ネットワーク設定の設定項目のいずれかについて設定を変更する操作が受け付けられた場合の処理については、図8を参照して別途後述する。
【0027】
S2001において、CPU311は、操作パネル303を介して受け付けた設定項目の変更操作に応じて、不揮発メモリ315上の設定データを更新する。
S2002において、CPU311は、ネットワーク設定6030の領域のデータを鍵導出関数に入力することで、クラウド設定暗号鍵6101を生成する。
【0028】
S2003において、CPU311は、クラウドサービス設定6040領域内のいずれかの設定が変更されたか否かを判定する。
CPU311は、S2003においてクラウドサービス設定6040領域内のいずれかの設定が変更されたと判定した場合には、処理をS2004に進める。
一方で、CPU311は、S2003においてクラウドサービス設定6040領域内のいずれの設定も変更されていないと判定した場合には、図6に示す一連の処理を終了する。
【0029】
S2004において、CPU311は、クラウドサービス設定6040の領域内のデータ全体に対して、S2002にて生成したクラウド設定暗号鍵6101により暗号化を施すことで暗号化データを生成する。
S2005において、CPU311は、S2004にて生成された暗号化データを、不揮発メモリ315上の設定復元用データ6050の領域内に、暗号化クラウド設定6051として保存する。
【0030】
図7を参照して、プリンタ300の処理の一例について、一連の設定のリセットに係る処理に着目して説明する。図7に示す一連の処理は、操作パネル303を介してユーザから、設定メニュー画面5010の設定リセットボタン5014の操作が受け付けられた場合に、プリンタ300のCPU311により実行される。
【0031】
S2101において、CPU311は、不揮発メモリ315上の、コピー設定6000、スキャン設定6010、ネットワーク設定6030、及びクラウドサービス設定6040のそれぞれの領域に保持されたデータを消去する。これにより、操作パネル303を介してユーザから受け付けられた操作により設定された情報については、全て製品出荷時の初期状態に書き換えられる。
なお、不揮発メモリ315上の調整値6020の領域には、CPU311がプリンタ300の動作上において取得した調整値が記憶されているが、これらはユーザにより設定された情報ではないため、初期状態への復帰の対象から除外される。調整値6020としては、例えば、ヘッド位置調整値6021等の情報が設定され得る。
また、設定復元用データ6050の領域に保持されたデータは消去されないが、ネットワークハッシュ値6052からクラウド設定暗号鍵6101やネットワーク設定6030の領域に保持されていた情報を復元することは実質的に困難である。また、クラウド設定暗号鍵6101が復元されない限り、暗号化クラウド設定6051からクラウドサービス設定6040の領域の情報を復元することは実質的に困難である。このような特性から、設定復元用データ6050の領域が設定リセットの対象から除外されていたとしても、ユーザ情報の漏えいに関わるリスクは実質的にはないといえる。
【0032】
図8を参照して、プリンタ300の処理の一例について、ネットワーク設定を対象とした処理に着目して説明する。図8に示す一連の処理は、操作パネル303を介してユーザから、ネットワーク設定画面5020による設定操作が受け付けられ、ボタン5024の操作が受け付けられた場合に、プリンタ300のCPU311により実行される。
【0033】
S2201において、CPU311は、ネットワーク設定項目を対象とした変更操作に応じて不揮発メモリ315上のネットワーク設定6030の領域に保持された設定データを更新する。
S2202において、CPU311は、ネットワーク設定6030の領域のデータを鍵導出関数に入力することで、クラウド設定暗号鍵6101を生成する。
S2203において、CPU311は、クラウド設定暗号鍵6101のデータをハッシュ関数に入力することで、ネットワークハッシュ値6102を生成する。
【0034】
S2204において、CPU311は、S2203にて生成したネットワークハッシュ値6102と、不揮発メモリ315に保持されているネットワークハッシュ値6052とが一致するか否かを判定する。
CPU311は、S2204にてネットワークハッシュ値6102とネットワークハッシュ値6052とが一致すると判定した場合には、処理をS2205に進める。
一方で、CPU311は、S2204にてネットワークハッシュ値6102とネットワークハッシュ値6052とが一致しないと判定した場合には、処理をS2209に進める。
なお、この場合には、不揮発メモリ315に保持されているネットワークハッシュ値6052が第1の符号化情報の一例に相当し、S2203にて生成されたネットワークハッシュ値6102が第2の符号化情報の一例に相当する。
【0035】
S2205において、CPU311は、後述する設定復元時確認画面5030を表示させ、ユーザの操作を待ち受ける。
S2206において、CPU311は、設定復元時確認画面5030に対するユーザの操作を確認し、クラウドサービス設定の復元の指示に係る復元するボタン5032が押下されたか否かを判定する。
CPU311は、S2206において復元するボタン5032が押下されたと判定した場合には、処理をS2207に進める。
一方で、CPU311は、S2206において復元するボタン5032が押下されていないと判定した場合には、図8に示す一連の処理を終了する。
【0036】
S2207において、CPU311は、クラウド設定暗号鍵6101を用いて設定復元用データ6050の領域内に保存された暗号化クラウド設定6051に対して復号処理を施す。これにより、暗号化クラウド設定6051から、クラウドサービス設定が復号される。
S2208において、CPU311は、S2207にて復号されたクラウドサービス設定を不揮発メモリ315上のクラウドサービス設定6040の領域に上書き保存する。
【0037】
S2209において、CPU311は、クラウドサービス設定の復元は行わず、新たなネットワークハッシュ値を、不揮発メモリ315上の設定復元用データ6050の領域に、ネットワークハッシュ値6052として保存する。
【0038】
図9を参照して、設定復元時確認画面5030の一例について説明する。設定復元時確認画面5030は、通知メッセージが表示される表示領域5031と、復元するボタン5032と、復元しないボタン5033とが設けられている。表示領域5031に表示される通知メッセージには、設定リセット前と同じネットワーク設定が行われたことを検出したことと、クラウドサービス設定を復元するか否かを選択する画面であることとが示されている。復元するボタンする5032が押下された場合には、暗号化クラウド設定6051の領域に保持されたデータから、クラウドサービス設定6040の領域の情報が復元される。一方で、復元しないボタン5033が押下された場合には、クラウドサービス設定6040の領域の情報の復元は行われない。
【0039】
以上のような制御が適用されることで、プリンタ300は、ネットワーク設定値のハッシュ値により、設定リセット前と同一のネットワーク環境に接続されたか否かを判定することが可能となる。そのうえで、プリンタ300は、設定リセット前と同一のネットワーク環境に接続された場合には、暗号化クラウド設定6051の領域に保持されたデータから、クラウドサービス設定6040の領域の情報を復元することが可能となる。また、一連の設定のリセット後に装置(プリンタ300)が廃棄されたり譲渡されたりしたとしても、当該装置にはネットワークハッシュ値6502及び暗号化クラウド設定6051しか保持されていないため、情報が漏洩するリスクが実質的にないこととなる。
【0040】
なお、本実施形態では、ネットワーク設定6030の領域のデータから鍵導出関数によりクラウド設定暗号鍵6101が生成され、さらにクラウド設定暗号鍵6101からハッシュ関数によりネットワークハッシュ値6102が生成される場合の一例について説明した。一方で、ネットワークハッシュ値6102を、クラウド設定暗号鍵6101からではなく、ネットワーク設定6030の領域のデータから直接、鍵導出関数とは異なるアルゴリズムにより生成されるような構成が適用されてもよい。この際に適用されるアルゴリズムについては、ネットワークハッシュ値6102からクラウド設定暗号鍵6101の復元が実質的に困難となるアルゴリズムが適用されるとよい。
また、本実施形態では、プリンタ300が一連の設定のリセット前と同一のネットワーク環境に接続された場合に復元される設定を、クラウドサービス設定に限定して説明したが、他の設定が復元の対象に含まれてもよい。具体的な一例として、無線LANの設定に関連して使用される設定値、例えば、IPアドレスやデフォルトゲートウェイの設定、DNSやプロキシサーバに関する設定等が復元対象に含まれてもよい。
また、他の一例として、ネットワーク設定とは直接的には関係がない設定、例えば、コピー設定6000やスキャン設定6010の一部または全部が復元対象に含まれてもよい。コピー設定6000としては、例えば、図5に例示するように、印刷部数6001、用紙種類6002、用紙サイズ6003、両面印刷6004、印刷品位6005、倍率6006、割付面数6007、及び割付準順序6008等の情報が設定され得る。また、スキャン設定6010としては、例えば、原稿サイズ6011、スキャン解像度6012、及び下地除去6013等の情報が設定され得る。
【0041】
<第2の実施形態>
本開示の第2の実施形態として、ネットワーク設定値のハッシュ値により、異なるネットワーク環境に装置が移動されたか否かの判定がなされ、装置移動後の処理の制御が変更される場合の一例について説明する。なお、本実施形態では、前述した第1の実施形態と異なる部分に着目して説明を行い、第1の実施形態と実質的に同様の部分については詳細な説明を省略するものとする。
【0042】
図10を参照して、本実施形態における、不揮発メモリ315に保持されるデータのデータ構造とデータの流れとの一例について説明する。不揮発メモリ315に保持されるデータは、コピー設定6000、スキャン設定6010、調整値6020、ネットワーク設定6030、クラウドサービス設定6040、及び設定復元用データ6050の各領域に分けて保持されている。ネットワーク設定6030の領域内に保持されたデータが、ひとまとめにして鍵導出関数に入力されることで、ネットワークハッシュ値6102が生成される。生成されたネットワークハッシュ値6102は、不揮発メモリ315上の設定検証用データ6060の領域内に、ネットワークハッシュ値6052として保存される。
【0043】
図11を参照して、プリンタ300の処理の一例について、ネットワーク設定を対象とした処理に着目して説明する。図11に示す一連の処理は、操作パネル303を介してユーザから、ネットワーク設定画面5020による設定操作が受け付けられ、ボタン5024の操作が受け付けられた場合に、プリンタ300のCPU311により実行される。
【0044】
S2401において、CPU311は、ネットワーク設定項目を対象とした変更操作に応じて不揮発メモリ315上のネットワーク設定6030の領域に保持された設定データを更新する。
S2402において、CPU311は、ネットワーク設定6030の領域のデータをハッシュ関数に入力することで、ネットワークハッシュ値6102を生成する。
【0045】
S2403において、CPU311は、S2402にて生成したネットワークハッシュ値6102と、不揮発メモリ315に保持されているネットワークハッシュ値6052とが一致するか否かを判定する。
CPU311は、S2403にてネットワークハッシュ値6102とネットワークハッシュ値6052とが一致すると判定した場合には、図11に示す一連の処理を終了する。
一方で、CPU311は、S2403にてネットワークハッシュ値6102とネットワークハッシュ値6052とが一致しないと判定した場合には、処理をS2404に進める。
【0046】
S2404において、CPU311は、新たなネットワークハッシュ値を、不揮発メモリ315上の設定復元用データ6050の領域に、ネットワークハッシュ値6052として保存する。
S2405において、CPU311は、後述する装置移動後処理実行確認画面5040を表示させ、ユーザの操作を待ち受ける。
S2406において、CPU311は、装置移動後処理実行確認画面5040に対するユーザの操作を確認し、装置の移動がなされた場合に実行対象として設定された装置移動後処理の実行の指示に係る実行するボタン5042が押下されたか否かを判定する。装置移動後処理としては、例えば、印刷記録ヘッドの位置調整制御や、印刷記録ヘッドの状態を良好に保つためのメンテナンス制御等が設定され得る。また、他の一例として、設定リセット前とは異なるネットワーク環境に装置が移動された場合に、他のユーザに装置が譲渡されたものと想定して、ユーザ登録への誘導やアンケート回答依頼への誘導等を行うか否かが変更されるような構成が適用されてもよい。
【0047】
図12を参照して、装置移動後処理実行確認画面5040の一例について説明する。装置移動後処理実行確認画面5040は、通知メッセージが表示される表示領域5041と、実行するボタン5042と、実行しないボタン5043とが設けられている。表示領域5031に表示される通知メッセージには、設定リセット前と異なるネットワーク設定が適用されておりプリンタ300が別の場所へ移動された可能性があることや、装置移動後処理を実行するか否かを選択すべき画面であることが示されている。実行するボタンする5042が押下された場合には装置移動後処理が実行され、実行しないボタン5043が押下された場合には装置移動後処理は実行されない。
【0048】
以上のような制御が適用されることで、設定のリセット前とは異なるネットワーク環境に装置が移動されたか否かの判定がなされ、当該判定の結果に応じて装置移動後処理の制御を変更することが可能となる。
【0049】
<その他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0050】
また、上述した実施形態はあくまで一例であり、各実施形態にて説明した技術思想を逸脱しない範囲で種々の変更が適用されてもよい。例えば、上記実施形態においては、暗号化クラウド設定6051及びネットワークハッシュ値6052のそれぞれが1つだけ不揮発メモリ315に保存される場合の一例について説明したが、これらの情報が複数保存されるような構成が適用されてもよい。この場合には、例えば、ネットワークハッシュ値が変わるごとに、暗号化クラウド設定6051とネットワークハッシュ値6052とを組で保存しておいてもよい。そのうえで、ネットワークハッシュ値ごとに保存された一連の組の中から、新たに設定されたネットワーク設定から算出されたネットワークハッシュ値が一致するものが検索されて使用されるような制御が適用されてもよい。このような制御が適用されることで、複数のネットワークの中からいずれかがその都度選択されて使用されるような状況下において、使用されるネットワークごとに異なる設定値を復元して適用することも可能となる。
また、上述した各実施形態では、本開示に係る技術が所謂印刷装置に適用される場合に着目して種々の説明を行ったが、無線LAN等のネットワークに接続して使用される情報処理装置であれば、本開示に係る技術の適用対象となる装置は特に限定はされない。
【0051】
また、本実施形態の開示は、以下の構成、方法、及びプログラムを含む。
(構成1)無線ネットワークを介した通信の設定を含む一連の設定のリセット前に、当該無線ネットワークへの接続に係る認証情報から、不可逆符号化処理に基づき第1の符号化情報を生成して所定の記憶領域に保持させる生成手段と、前記一連の設定のリセット後の再設定がなされた後に、前記記憶領域に保持された前記第1の符号化情報に基づき、接続される無線ネットワークの環境が前記一連の設定のリセット前から変化したか否かを判定する判定手段と、を有することを特徴とする、情報処理装置。
(構成2)前記生成手段は、前記一連の設定のリセット後の再設定がなされた後に、前記無線ネットワークへの接続に係る認証情報から、前記不可逆符号化処理に基づき第2の符号化情報を生成し、前記判定手段は、前記第1の符号化情報と前記第2の符号化情報とが一致する場合に、接続される無線ネットワークの環境が前記一連の設定のリセット前から変化していないと判定することを特徴とする、構成1に記載の情報処理装置。
(構成3)前記一連の設定のリセット後の再設定がなされた後に、前記判定手段により接続される無線ネットワークの環境が前記一連の設定のリセット前から変化していないと判定された場合に、前記一連の設定のリセット前と同じネットワークに接続されたことを通知する第1の通知手段を有することを特徴とする、構成1または2に記載の情報処理装置。
(構成4)前記一連の設定のリセット前に、前記無線ネットワークを介した通信の設定以外の他の設定を暗号化することで暗号化情報を生成して所定の記憶領域に保持させる暗号化手段と、前記一連の設定のリセット後の再設定がなされた後に、前記判定手段により接続される無線ネットワークの環境が前記一連の設定のリセット前から変化していないと判定された場合に、前記記憶領域に保持された前記暗号化情報に基づき、前記他の設定を復号して再設定する復号手段と、を有することを特徴とする、構成1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(構成5)前記暗号化手段は、前記認証情報に対して前記不可逆符号化処理とは異なる処理を適用することで生成された鍵情報に基づき、前記他の設定を暗号化することで前記暗号化情報を生成することを特徴とする、構成4に記載の情報処理装置。
(構成6)前記生成手段は、前記暗号化手段により前記認証情報に基づき生成された前記鍵情報に対して前記不可逆符号化処理を適用することで前記第1の符号化情報を生成することを特徴とする、構成5に記載の情報処理装置。
(構成7)前記一連の設定のリセット後の再設定がなされた後に、前記判定手段により接続される無線ネットワークの環境が前記一連の設定のリセット前から変化していると判定された場合に、前記一連の設定のリセット前とは異なる環境に装置が移動された可能性があることを通知する第2の通知手段を有することを特徴とする、構成1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(構成8)前記一連の設定のリセット後の再設定がなされた後に、前記判定手段により接続される無線ネットワークの環境が前記一連の設定のリセット前から変化していると判定された場合に、装置の移動がなされた場合に実行対象として設定された装置移動後処理を実行する実行手段を有することを特徴とする、構成1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(構成9)前記情報処理装置は印刷装置であって、前記装置移動後処理には、印刷装置記録ヘッドの位置調整処理が含まれることを特徴とする、構成8に記載の情報処理装置。
(構成10)前記情報処理装置は印刷装置であって、前記装置移動後処理には、印刷装置記録ヘッドの状態を良好に保つためのメンテナンス処理が含まれることを特徴とする、構成8に記載の情報処理装置。
(構成11)前記装置移動後処理には、ユーザに対する当該ユーザに関する情報の問い合わせ処理が含まれることを特徴とする、構成8に記載の情報処理装置。
(構成12)前記不可逆符号化処理は、対象となる情報に対してハッシュ化を施す処理であり、前記第1の符号化情報は、ハッシュ値であることを特徴とする、構成1乃至11のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(方法1)情報処理装置の制御方法であって、無線ネットワークを介した通信の設定を含む一連の設定のリセット前に、当該無線ネットワークへの接続に係る認証情報に対して不可逆符号化処理を施すことで第1の符号化情報を生成して所定の記憶領域に保持させる生成ステップと、前記一連の設定のリセット後の再設定がなされた後に、前記記憶領域に保持された前記第1の符号化情報に基づき、接続される無線ネットワークの環境が前記一連の設定のリセット前から変化したか否かを判定する判定ステップと、を含むことを特徴とする、情報処理装置の制御方法。
(プログラム1)コンピュータを、無線ネットワークを介した通信の設定を含む一連の設定のリセット前に、当該無線ネットワークへの接続に係る認証情報に対して不可逆符号化処理を施すことで第1の符号化情報を生成して所定の記憶領域に保持させる生成手段と、前記一連の設定のリセット後の再設定がなされた後に、前記記憶領域に保持された前記第1の符号化情報に基づき、接続される無線ネットワークの環境が前記一連の設定のリセット前から変化したか否かを判定する判定手段と、を有することを特徴とする情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0052】
300 プリンタ
311 CPU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12