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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025141313
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】蓄電デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/14 20060101AFI20250919BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20250919BHJP
   H01M 50/172 20210101ALI20250919BHJP
   H01M 50/188 20210101ALI20250919BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20250919BHJP
【FI】
B29C45/14
B29C45/26
H01M50/172
H01M50/188
H01M50/55 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041192
(22)【出願日】2024-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】冨田 祐司
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
4F202AD03
4F202AD05
4F202AD24
4F202AD35
4F202AH33
4F202AM32
4F202AR03
4F202CA11
4F202CB01
4F202CB12
4F202CB20
4F202CK42
4F202CQ01
4F206AD03
4F206AD05
4F206AD24
4F206AD35
4F206AH33
4F206AM32
4F206AR03
4F206JA07
4F206JB12
4F206JB20
4F206JL02
4F206JM04
4F206JN11
4F206JQ57
4F206JQ81
5H011AA09
5H011FF04
5H043AA19
5H043CA04
5H043HA31
5H043KA22
5H043LA21
5H043LA22
5H043LA33
(57)【要約】
【課題】電極端子の接続面に樹脂が付着することを抑制する。
【解決手段】ここに開示される製造方法は、貫通孔を有するケース部品を準備する工程と、貫通孔に電極端子を挿入する工程と、ケース部品および電極端子20を金型Mの内部空洞に配置する工程と、金型Mの内部空洞に樹脂Rを注入する工程とを含む。そして、電極端子20は、軸部22と板部24とを有している。また、板部24は、接続面24aと、裏面24bと、側面24cとを備えている。そして、金型Mは、板部24の接続面24aと面接触する第1面M1と、板部24の裏面24bと間隔を空けて対向する第2面M2と、板部24の裏面24bと対向するように第2面M2に形成されている射出孔Msとを備えている。そして、射出孔Msから射出された樹脂Rで接続面24aが第1面M1に押し付けられるように樹脂Rの射出量を制御する。これによって、接続面24aに樹脂Rが付着することを抑制できる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有するケース部品を準備する工程と、
前記貫通孔に電極端子を挿入する工程と、
前記ケース部品および前記電極端子を金型の内部空洞に配置する工程と、
前記金型の前記内部空洞に樹脂を注入し、前記ケース部品と、前記貫通孔を封止するシール材とを一体成型する工程と
を含み、
前記電極端子は、
前記貫通孔に挿入される軸部と、
当該軸部が前記貫通孔に挿入された際に、前記ケース部品に沿うように配置される板部と
を有し、
前記板部は、
前記ケース部品の外部に露出する接続面と、
前記接続面と反対側の裏面と、
前記接続面および前記裏面に連続する側面と
を備え、
前記金型は、
前記板部の前記接続面の少なくとも周縁部と面接触するキャビティ面である第1面と、
前記板部の前記裏面と間隔を空けて対向するキャビティ面である第2面と、
前記板部の前記側面と間隔を空けて対向するキャビティ面である第3面と、
前記金型を貫通する開口部であり、前記板部の前記裏面と対向するように前記第2面に形成されている射出孔と
を備えており、
前記一体成型する工程において、前記射出孔から射出された樹脂で前記板部の前記接続面が前記第1面に押し付けられるように前記内部空洞への前記樹脂の射出量を制御する、蓄電デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記一体成型する工程において、前記板部の厚み方向に沿うように前記板部の前記裏面に向かって前記樹脂を射出する、請求項1に記載の蓄電デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記第2面は、前記板部の前記裏面に向かって山状に隆起しており、当該隆起した前記第2面の頂点に前記射出孔が形成されている、請求項1に記載の蓄電デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記射出孔の先端は、厚み方向における前記ケース部品の外側面と内側面との間に配置される、請求項3に記載の蓄電デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記射出孔は、前記板部の前記裏面の中央部近傍と対向している、請求項1に記載の蓄電デバイスの製造方法。
【請求項6】
前記一体成型する工程における前記樹脂の射出圧が500kgf/cm以上1000kgf/cm以下である、請求項1に記載の蓄電デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記金型の前記第1面は、前記板部の前記接続面の全面と面接触する平坦面である、請求項1に記載の蓄電デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池等の蓄電デバイスは、様々な電気製品の電源に使用されている。この蓄電デバイスは、電極体と、当該電極体を収容するケースとを備えている。このケースは、例えば、開口部を有する箱状体であるケース本体と、当該ケース本体の開口部を塞ぐ封口板とを備えている。また、ケースには、外部導電部品(バスバーなど)と接続される電極端子や、当該電極端子とケースとを絶縁するシール材などが取り付けられる。
【0003】
この蓄電デバイス用ケースの一例が特開2022-103899号公報に開示されている。この文献に記載の蓋体(封口板)は、端子部材(電極端子)と、端子部材を取り付けるための取付穴を有する封口板と、樹脂製のシール材とを備えている。そして、端子部材は、シール材と接合された状態で封口板の取付穴に取り付けられる。このシール材は、射出成形によって形成される。具体的には、まず、シール材に応じた形状の内部空洞を有する金型を準備する。次に、この金型の内部空洞に封口板と端子部材を配置する。そして、金型の内部空洞に樹脂を充填する。これによって、封口板や端子部材と一体化したシール材を容易に形成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-103899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、バスバー等の外部導電部品との接続のために、電極端子は、ケースに取り付けられた際に外部に露出する接続面を有している必要がある。しかしながら、シール材の射出成形において各部材(金型、封口板、電極端子など)の部品公差が大きくなると、電極端子の接続面に樹脂が付着することがある。この場合、接続面に付着した樹脂を除去するための処理が必要になるため、蓄電デバイスの製造効率が低下する原因になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題に対して、以下の構成の蓄電デバイスの製造方法(以下、単に「製造方法」ともいう。)が提供される。
【0007】
ここに開示される蓄電デバイスの製造方法は、貫通孔を有するケース部品を準備する工程と、貫通孔に電極端子を挿入する工程と、ケース部品および電極端子を金型の内部空洞に配置する工程と、金型の内部空洞に樹脂を注入し、ケース部品と、貫通孔を封止するシール材とを一体成型する工程とを含む。かかる製造方法において、電極端子は、貫通孔に挿入される軸部と、当該軸部が貫通孔に挿入された際に、ケース部品に沿うように配置される板部とを有する。また、板部は、ケース部品の外部に露出する接続面と、接続面と反対側の裏面と、接続面および裏面に連続する側面とを備えている。一方、金型は、板部の接続面の少なくとも周縁部と面接触するキャビティ面である第1面と、板部の裏面と間隔を空けて対向するキャビティ面である第2面と、板部の側面と間隔を空けて対向するキャビティ面である第3面と、金型を貫通する開口部であり、板部の裏面と対向するように第2面に形成されている射出孔とを備えている。そして、ここに開示される製造方法では、一体成型する工程において、射出孔から板部の裏面に向かって樹脂を射出する。
【0008】
一般に、電極端子の板部の側面と金型のキャビティ面(第2面)との間には、空間(樹脂流路)が形成される。この樹脂流路に供給された樹脂は、電極端子の板部とケースとの導通を防止する側面保護部となる。しかし、電極端子の板部の側面は、接続面と連続している。このため、金型のキャビティ面(第1面)と電極端子の接続面との間に隙間が生じると、樹脂流路を介して第1面と接続面との隙間に樹脂が侵入するおそれがある。これに対して、ここに開示される製造方法では、板部の裏面と対向するように樹脂の射出孔が設けられている。かかる構成によると、射出孔から射出された樹脂の圧力によって電極端子の板部が金型の第1面に押し付けられる。これによって、第1面と接続面との隙間を解消できるため、接続面に樹脂が付着することを防止できる。この結果、接続面に付着した樹脂の除去処理を行う頻度が少なくなるため、蓄電デバイスの製造効率の向上に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係る製造方法を説明するフローチャートである。
図2図2は、第1の実施形態に係る製造方法で使用される封口板を模式的に示す斜視図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る製造方法で使用される電極端子を模式的に示す斜視図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る製造方法の挿入工程を模式的に示す斜視図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る製造方法の収容工程を模式的に示す断面図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る製造方法の注入工程を模式的に示す断面図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る蓄電デバイスを模式的に示す斜視図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る蓄電デバイスの電極端子近傍の構造を模式的に示す拡大断面図である。
図9図9は、ここに開示される技術を採用していない製造方法の注入工程を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、ここで開示される技術の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、ここで開示される技術の実施に必要な事柄(例えば、電極体や電解液の詳細な材料など)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。ここで開示される技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、本明細書において範囲を示す「A~B」の表記は、A以上B以下の意と共に、「Aより大きい」および「Bより小さい」の意を包含するものとする。
【0011】
なお、本明細書における「蓄電デバイス」とは、一対の電極(正極および負極)の間で電荷担体が移動することによって充放電反応が生じる装置を包含する概念である。すなわち、ここに開示される技術における蓄電デバイスは、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等の二次電池の他に、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ等のキャパシタなども包含する。
【0012】
<第1の実施形態>
1.蓄電デバイスの製造方法
以下、図面を参照しながら、ここに開示される蓄電デバイスの製造方法の一実施形態について説明する。なお、本明細書で参照する図面中の符号L、R、F、Rr、U、Dは、それぞれ、左、右、前、後、上、下を表すものとする。また、図面中の符号X、Y、Zは、それぞれ、蓄電デバイスの幅方向、奥行方向、高さ方向を表すものとする。ただし、これらは、説明の便宜のために定めた方向に過ぎず、ここに開示される技術における各部材の設置態様を限定するものではない。
【0013】
図1は、第1の実施形態に係る製造方法を説明するフローチャートである。図1に示すように、本実施形態に係る製造方法は、準備工程S10と、挿入工程S20と、収容工程S30と、注入工程S40とを備えている。以下、各工程を説明する。
【0014】
(1)準備工程S10
本工程では、貫通孔を有するケース部品を準備する。本明細書における「ケース部品」とは、蓄電デバイスのケースを構成する複数の部品のうち、電極端子やシール材が取り付けられる部品のことをいう。例えば、後述する図7に示す蓄電デバイス100では、ケース本体12と封口板14とを備えたケース10が用いられている。そして、この蓄電デバイス100では、封口板14に電極端子20とシール材30とが取り付けられている。かかる構成においては、封口板14がケース部品となる。但し、ケース部品は、封口板に限定されるものではない。例えば、ケース本体に電極端子やシール材を取り付ける場合には、ケース本体がケース部品になる。
【0015】
図2は、第1の実施形態に係る製造方法で使用される封口板を模式的に示す斜視図である。図2に示すように、本実施形態におけるケース部品(封口板14)は、幅方向Xに延びる長尺な板状部材である。そして、幅方向Xにおける封口板14の両端部の各々には、貫通孔14aが設けられている。図2中の貫通孔14aは、平面視において矩形の開口部である。但し、貫通孔14aの平面形状は、後述する電極端子20を挿入することができれば、特に限定されない。貫通孔14aの平面形状の他の例として、円形、楕円形などが挙げられる。また、封口板14の外側面14bには、貫通孔14aを囲む外部溝14dが形成されている。同様に、封口板14の内側面14cにも、貫通孔14aを囲む内部溝14eが形成されている(図5参照)。詳しくは後述するが、外部溝14dと内部溝14eは、射出成形後の封口板14とシール材30との接着性の向上などに貢献できる。
【0016】
(2)挿入工程S20
図3は、第1の実施形態に係る製造方法で使用される電極端子を模式的に示す斜視図である。また、図4は、第1の実施形態に係る製造方法の挿入工程を模式的に示す斜視図である。図4に示すように、挿入工程S20では、貫通孔14aに電極端子20を挿入する。図3に示すように、本実施形態における電極端子20は、高さ方向Zに延びる長尺な部材である。この電極端子20は、軸部22と板部24とを有している。
【0017】
軸部22は、貫通孔14aに挿入される部分である。この軸部22は、製造後の蓄電デバイス100において、ケース10の内部に収容される。図3及び図8に示すように、本実施形態における軸部22は、高さ方向Zに延びる長尺な板状部材である。詳しくは後述するが、製造後の蓄電デバイス100において、軸部22の下端部22bは電極体40と接続される(図8参照)。なお、軸部22の形状は、板状に限定されず、柱状(円柱状、角柱状)などであってもよい。
【0018】
板部24は、軸部22が貫通孔14aに挿入された際に、ケース部品(封口板14)に沿うように配置される部材である。図3に示すように、本実施形態における板部24は、軸部22の上端から連続して幅方向Xに延びている。かかる板部24は、長尺な板状の導電部材の先端を折り曲げることによって形成される。なお、板部24の平面形状は、略矩形である。図4に示すように、平面視における電極端子20の挿入位置は、略矩形の板部24が略矩形の貫通孔14aの上方Uを覆うように調節される。このように板部の平面形状は、貫通孔の平面形状に対応した形状であることが好ましい。例えば、貫通孔の平面形状が円形の場合には、板部の平面形状も円形にするとよい。これによって、後述の注入工程S40における樹脂の充填が容易になる。なお、電極端子は、軸部と板部とが連続した一体的な部品でなくてもよい。例えば、軸部と板部を別々に作成し、これらを組み合わせることによって電極端子を構築してもよい。
【0019】
本実施形態における板部24は、ケース部品(封口板14)の外部に露出する接続面24aと、接続面24aと反対側の裏面24bと、接続面24aと裏面24bとに連続する側面24cとを備えている。後述の図8に示すように、蓄電デバイス100を構築した場合、板部24の接続面24aは、ケース10外部に配置される。これによって、バスバーなどの外部導電部品を電極端子20の板部24に接続できる。また、板部24の裏面24bや側面24cはシール材30に覆われる。なお、電極端子20の挿入高さは、板部24の裏面24bが封口板14の外側面14bよりも上方Uに配置するように調節することが好ましい。これによって、後述する第1充填空間Mc1と第4充填空間Mc4との間の流路を充分に確保できるようになる。この結果、図8中のシール材30のベース部32と外部絶縁部38とが適切に形成されるため、各部材をより安定的に固定できる。
【0020】
(3)収容工程S30
図5は、第1の実施形態に係る製造方法の収容工程を模式的に示す断面図である。図5に示すように、収容工程S30では、ケース部品(封口板14)および電極端子20を金型Mの内部空洞Mcに配置する。具体的には、金型Mの内部空洞Mcには、封口板14の貫通孔14aの周囲と、板部24の全体と、軸部22の上端部22aとが収容される。一方、図示は省略するが、軸部22の下端部22b(図3参照)や封口板14の幅方向Xの中央部14f(図2参照)は、内部空洞Mcには収容されずに、金型Mの外部に露出する。また、本実施形態における収容工程S30では、電極端子20と封口板14の上下位置を逆転させる。これによって、板部24の裏面24bや封口板14の内側面14cが上方Uに配置される。この場合、後述の注入工程S40の初期における電極端子20や金型Mの温度が低い状況で、樹脂流路Mc3に樹脂Rが流れ込みやすくなる。この結果、樹脂遮断部Mc0への樹脂Rの侵入をより好適に防止できる。
【0021】
なお、本工程で使用される金型Mは、ステンレス系、ダイス鋼系、マルエージング鋼系などの高強度の金属材料によって構成されている。これによって、注入工程S40中の金型Mの変形・破損を抑制できる。また、金型Mの内部には、成形対象であるシール材30の形状に応じたキャビティ面Mcsが形成されている。本明細書における「金型Mの内部空洞Mc」とは、金型Mのキャビティ面Mcsに囲まれた空間のことをいう。そして、本実施形態におけるキャビティ面Mcsは、下記の第1面M1~第4面M4を備えている。
【0022】
(a)第1面M1
図5に示すように、第1面M1は、板部24の接続面24aの少なくとも周縁部24a1と面接触するキャビティ面Mcsである。このように、接続面24aの周縁部24a1と第1面M1とを面接触させると、接続面24aと第1面M1との間に樹脂が侵入することを防止できる。なお、本実施形態における第1面M1は、板部24の接続面24aの全面と面接触する平坦面である。換言すると、本実施形態における第1面M1は、接続面24aの周縁部24a1だけでなく、接続面24aの中央部24a2とも面接触している。これによって、接続面24aに樹脂が付着することをより好適に防止できる。本明細書では、接続面24aと第1面M1とが面接触する領域のことを「樹脂遮断部Mc0」と称する。
【0023】
なお、図5に示すように、第1面M1の奥行方向Yの寸法L1は、板部24の奥行方向Yの寸法LTよりも長くすることが好ましい。これによって、第1面M1に板部24の接続面24aを面接触させることが容易になる。具体的には、板部24の寸法LTと第1面M1の寸法L1が略同等である場合、金型Mの第3面M3に板部24が乗り上げるおそれがある。この場合、樹脂遮断部Mc0に隙間が生じるため、接続面24aに樹脂が付着する可能性が高くなる。これに対して、第1面M1を板部24よりも広くすれば、第1面M1と接続面24aとの面接触が容易になるため、接続面24aへの樹脂の付着をより好適に防止できる。例えば、第1面M1の寸法L1と板部24の寸法LTとの差(L1-LT)は、0.001mm以上が好ましく、0.005mm以上がより好ましく、0.01mm以上が特に好ましい。一方、第1面M1の寸法L1と板部24の寸法LTとの差(L1-LT)が大きくなりすぎると、後述する樹脂流路Mc3の先端Mc3aまで樹脂が到達しやすくなる。かかる観点から、第1面M1の寸法L1と板部24の寸法LTとの差(L1-LT)は、0.2mm以下が好ましく、0.15mm以下がより好ましく、0.1mm以下が特に好ましい。
【0024】
(b)第2面M2
第2面M2は、板部24の裏面24bと間隔を空けて対向するキャビティ面Mcsである。また、本実施形態に係る製造方法では、金型Mの第2面M2に、樹脂を射出する射出孔Msが形成されている。このため、第2面M2と裏面24bとの間は、注入工程S40において樹脂が最初に注入される空間となる。以下の説明では、この空間のことを「第1充填空間Mc1」と称する。この第1充填空間Mc1に充填された樹脂は、シール材30のベース部32となる(図8参照)。
【0025】
また、第2面M2の奥行方向Yの寸法L2は、板部24の奥行方向Yの寸法LTよりも長い。そして、奥行方向Yにおける第2面M2の両端部は、板部24を超えて封口板14の内側面14cと対向する。以下、第2面M2の両端部と封口板14の内側面14cとが対向する空間を「第2充填空間Mc2」と称する。この第2充填空間Mc2に充填された樹脂は、シール材30の内部絶縁部34となる(図8参照)。なお、金型Mの第2面M2は、封口板14の内部溝14eよりも外側(前方Fおよび後方Rr)まで延びている。この結果、内部溝14eを覆うように内部絶縁部34が形成される。これによって、シール材30と封口板14との接着性を向上できる。また、第2充填空間Mc2に供給された樹脂は、内部溝14eに入り込んだ後に、封口板14の内側面14cと金型Mとの接触面Maに到達する。これによって、接触面Maに多量の樹脂が急激に供給されることを防止できるため、金型Mの外部への樹脂漏れを抑制できる。
【0026】
また、射出孔Msは、金型Mを貫通する開口部である。本実施形態における射出孔Msは、板部24の裏面24bと対向するように第2面M2に形成されている。具体的には、射出孔Msの一方の端部は金型Mの内部(第1充填空間Mc1)に開放されており、他方の端部は金型Mの外部に開放されている。そして、射出孔Msの他方の端部は、移送管Pを介して樹脂供給源(図示省略)と接続されている。樹脂供給源から供給された樹脂Rは、移送管Pと射出孔Msを介して金型Mの内部空洞Mc(第1充填空間Mc1)に射出される。このとき、射出孔Msは、板部24の裏面24bと対向している。このため、射出孔Msから射出された樹脂Rは、板部24の裏面24bを押圧する。これによって、板部24の接続面24aが金型Mの第1面M1に押し付けられる。本実施形態に係る製造方法では、かかる構成によって接続面24aに樹脂が付着することを防止する。かかる構成の詳細は後述する。
【0027】
(c)第3面M3
第3面M3は、板部24の側面24cと間隔を空けて対向するキャビティ面Mcsである。この第3面M3と側面24cとの間には、樹脂が流入する樹脂流路Mc3が形成される。この樹脂流路Mc3に充填された樹脂は、板部24の側面24cを覆う側面保護部36となる(図8参照)。詳しくは後述するが、側面保護部36は、板部24とケース10(封口板14)との導通を防止する絶縁部材となる。また、図5に示すように、樹脂流路Mc3の先端Mc3aは、樹脂遮断部Mc0と隣接している。
【0028】
なお、本実施形態において、樹脂流路Mc3を形成するキャビティ面Mcs(すなわち、第3面M3)は、板部24の側面24cの周方向に沿って連続している。この結果、製造後の蓄電デバイス100では、板部24の側面24cを連続して覆う側面保護部36が形成される。これによって、板部24とケース10(封口板14)との導通をより好適に抑制できる。また、ここに開示される技術によると、樹脂流路Mc3の先端Mc3aを介して樹脂遮断部Mc0に樹脂Rが侵入することを抑制できる。このため、周方向に連続した樹脂流路Mc3を形成した場合でも、板部24の接続面24aへの樹脂の付着を抑制できる。
【0029】
(d)第4面M4
次に、第4面M4は、封口板14の外側面14bと間隔を空けて対向するキャビティ面Mcsである。この金型Mの第4面M4と封口板14の外側面14bとが対向する空間を「第4充填空間Mc4」という。この第4充填空間Mc4に充填された樹脂は、シール材30の外部絶縁部38となる(図8参照)。なお、金型Mの第4面M4は、封口板14の外側面14bの外部溝14dよりも外側まで延びている。この結果、外部溝14dを覆う内部絶縁部34が形成される。これによって、シール材30と封口板14との接着性を向上できる。また、上記内部溝14eと同様に、外部溝14dは、封口板14の外側面14bと金型Mとの接触面Mbからの樹脂漏れを抑制する機能も有している。
【0030】
(4)注入工程S40
図6は、第1の実施形態に係る製造方法の注入工程を模式的に示す断面図である。図6に示すように、本工程では、金型Mの内部空洞Mcに樹脂Rを注入する。これによって、ケース部品(封口板14)と、貫通孔14aを封止するシール材30(図8参照)とを一体成型することができる。また、シール材30は、貫通孔14aに挿入された電極端子20(具体的には、板部24と軸部22の上端部22a)とも一体化される。なお、本工程で充填される樹脂Rは、ポリエチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂を内部空洞Mcに注入し、冷却することによってシール材30を容易に形成することができる。
【0031】
以下、本工程における樹脂Rの注入について説明する。上述の通り、樹脂Rは、射出孔Msから内部空洞Mcに射出される。そして、樹脂Rは、最初に、最も体積が大きい空間である第1充填空間Mc1に充填される。そして、樹脂Rは、この第1充填空間Mc1を介して、第2充填空間Mc2、樹脂流路Mc3、第4充填空間Mc4などに供給される。これによって、比較的に狭い空間に多量の樹脂Rが急激に供給されることを防止できるため、樹脂漏れや成形不良を抑制することができる。特に、第1充填空間Mc1を介して樹脂流路Mc3に樹脂Rを供給することによって、樹脂流路Mc3の先端Mc3aに向かう樹脂Rの供給速度が低下する。これによって、樹脂遮断部Mc0への樹脂Rの侵入をより好適に抑制できる。
【0032】
ここで、上記の通り、本実施形態では、板部24の裏面24bと対向する射出孔Msから板部24の裏面24bに向かって樹脂Rを射出する。これによって、板部24の接続面24aに樹脂Rが付着することを抑制できる。この点について、ここに開示される技術を採用していない形態と比較しながら説明する。図9は、ここに開示される技術を採用していない製造方法の注入工程を模式的に示す断面図である。
【0033】
図9に示す金型Nは、板部124の接続面124aと面接触する第1面N1と、板部124の側面124cと間隔を空けて対向する第3面N3とを備えている。この場合、側面124cと第3面N3との間に樹脂流路Nc3が形成される。この樹脂流路Nc3の先端Nc3aは、接続面124aと第1面N1とが面接触する部分と隣接している。このため、部品公差などによって接続面124aと第1面N1との間に隙間Sが生じると、樹脂流路Nc3の先端Nc3aを介して樹脂遮断部Nc0に樹脂Rが侵入する。これによって、板部124の接続面124aに樹脂が付着するため、樹脂を除去する処理が必要になる。
【0034】
一方、図6に示すように、本実施形態では、板部24の裏面24bと対向するように射出孔Msが設けられている。かかる構成によると、射出孔Msから射出された樹脂Rの圧力によって電極端子20の板部24が金型Mの第1面M1に押し付けられる。これによって、収容工程S30を行った際に板部24の接続面24aと金型Mの第1面M1との間に隙間が生じたとしても、注入工程S40の初期に当該隙間を解消できる。そして、樹脂流路Mc3の先端Mc3aに樹脂Rが到達したときには、樹脂遮断部Mc0が適切に遮断されている。この結果、樹脂遮断部Mc0に樹脂Rが侵入することを防止できるため、板部24の接続面24aに樹脂Rが付着することを抑制できる。以上の通り、本実施形態によると、注入工程S40後に樹脂除去処理を行う頻度を少なくできるため、蓄電デバイス100の製造効率の向上に貢献できる。
【0035】
なお、板部24の裏面24bと対向するように射出孔Msを設けた場合でも、射出孔Msからの樹脂Rの射出量が少ないと、板部24を第1面M1に押し付ける圧力が不足する。この場合は、樹脂流路Mc3の先端Mc3aに樹脂Rが到達するまでに、接続面24aと第1面M1との隙間が解消されない可能性がある。このため、本実施形態における注入工程S40では、射出孔Msから射出された樹脂Rで板部24の接続面24aが第1面M1に押し付けられるように内部空洞Mcへの樹脂Rの射出量を制御する。これによって、板部24の接続面24aに樹脂Rが付着することを適切に抑制できる。なお、樹脂Rの射出量は、樹脂Rの粘度、射出孔Msから板部24までの距離などに応じて変化するため、特定の範囲に限定されるものではない。例えば、各部品の寸法と樹脂の種類を決定した上で、接続面24aへの樹脂Rの付着量と射出量との関係を調べる予備試験を実施するとよい。この予備試験の結果に基づいて樹脂Rの適切な射出量を決定できる。
【0036】
また、本実施形態における注入工程S40では、板部24の厚み方向(図6中の高さ方向Z)に沿うように板部24の裏面24bに向かって樹脂Rを射出している。これによって、樹脂Rの射出圧が板部24に伝わりやすくなるため、板部24の接続面24aを第1面M1に押し付ける力が強くなる。この結果、板部24の接続面24aと金型Mの第1面M1との隙間をより適切に解消できる。但し、かかる構成は、ここに開示される技術における必須事項ではない。例えば、板部24に対して斜めに樹脂Rが射出されたとしても、当該樹脂Rの射出量を制御すれば、接続面24aと第1面M1との隙間を十分に解消できる。
【0037】
また、本実施形態における金型Mの第2面M2は、板部24の裏面24bに向かって山状に隆起している。そして、射出孔Msは、隆起した第2面M2の頂点に形成されている。これによって、金型Mの射出孔Msを板部24の裏面24bに近づけることができる。この結果、樹脂Rの射出圧が板部24にさらに伝わりやすくなるため、第1面M1と接続面24aとの隙間をより好適に解消できる。なお、射出孔Msを板部24に近づけすぎると、射出孔Msよりも上方Uの内部空洞Mc(第2充填空間Mc2など)に樹脂Rが供給されにくくなる。この場合、シール材30(図8参照)の成形不良が生じる可能性がある。このため、射出孔Msの先端は、厚み方向(高さ方向Z)におけるケース部品(封口板14)の外側面14bと内側面14cとの間に配置することが好ましい。これによって、シール材30の成形不良を抑制した上で、第1面M1と接続面24aとの隙間を適切に解消できる。なお、かかる構成も、ここに開示される技術における必須事項ではない。例えば、金型の第2面が平坦であったとしても、射出孔Msからの樹脂Rの射出量を制御すれば、接続面24aと第1面M1との隙間を十分に解消できる。
【0038】
また、本実施形態における射出孔Msは、板部24の裏面24bの中央部24b1近傍と対向している。これによって、板部24の接続面24aの周縁部24a1に加わる圧力にばらつきが生じることを防止できる。これによって、接続面24aの周縁部24a1の周上に、樹脂が侵入しやすい領域が生じることを防止できる。なお、本明細書における「板部の中央部」とは、板部24の奥行方向Yの寸法LTの半分の位置(1/2LTの位置)のことをいう。また、「板部の中央部近傍」とは、上記寸法LTの半分の位置を含む所定の領域のことをいう。例えば、板部の中央部近傍は、1/3LT~2/3LT(好適には2/5LT~4/5LT、より好適には3/7LT~4/7LT)の領域のことをいう。
【0039】
また、注入工程S40における樹脂Rの射出圧は、500kgf/cm以上が好ましく、550kgf/cm以上がより好ましく、600kgf/cm以上がさらに好ましく、650kgf/cm以上が特に好ましい。これによって、第1面M1と接続面24aとの隙間をより好適に解消できる。一方、樹脂Rの射出圧が強くなるにつれて、樹脂流路Mc3の先端Mc3aを介して樹脂遮断部Mc0に侵入しようとする樹脂Rの圧力が強くなる。かかる観点から、樹脂Rの射出圧は、1000kgf/cm以下が好ましく、950kgf/cm以下がより好ましく、900kgf/cm以下がさらに好ましく、850kgf/cm以下が特に好ましい。
【0040】
また、封口板14や電極端子20の樹脂Rと接触する面には、粗面加工部Rsが形成されていることが好ましい。これによって、硬化後のシール材30との接着性を向上させることができる。例えば、図2図4に示すように、粗面加工部Rsは、貫通孔14aの周囲における封口板14の外側面14b、板部24の側面24c、軸部22の上端部22aなどに形成されている。また、図示は省略するが、粗面加工部は、貫通孔14aの周囲における封口板14の内側面14c、板部24の裏面24bなどにも形成される。なお、粗面加工部Rsは、従来公知の粗面加工処理(サンドブラスト、化学処理など)によって形成できる。これらの中でも、板部24の側面24cに粗面加工部Rsが形成されていると、樹脂流路Mc3における樹脂Rの流通速度が低下する。これによって、樹脂流路Mc3の先端Mc3aに樹脂Rがより到達しにくくなる。このため、板部24の接続面24aに樹脂Rが付着することを抑制するという観点から、粗面加工部Rsは、板部24の側面24cに形成されていることが特に好ましい。
【0041】
なお、射出された樹脂Rが直接衝突する面(すなわち、板部24の裏面24b)に粗面加工部Rsが形成されている場合、樹脂Rの射出圧によって粗面加工部Rsが破損するおそれがある。このため、板部24の裏面24bに粗面加工部Rsが形成されている場合には、上記樹脂Rの射出圧を1000kgf/cm以下に制御することが特に好ましい。
【0042】
2.蓄電デバイス
次に、上述の製造方法によって製造された蓄電デバイスについて説明する。図7は、第1の実施形態に係る蓄電デバイスを模式的に示す斜視図である。図8は、図7に示す蓄電デバイスの電極端子近傍の構造を模式的に示す拡大断面図である。
【0043】
図7及び図8に示すように、本実施形態に係る蓄電デバイス100は、電極体40と、電極体40を収容するケース10とを備えている。また、図示は省略するが、ケース10の内部には電解液も収容されている。電極体40と電解液は、蓄電デバイス100の発電要素である。これらの発電要素は、従来公知の蓄電デバイスにおいて使用され得るものを特に制限なく使用できるため、詳細な説明を省略する。
【0044】
ケース10は、内部空間を有する扁平な箱状の容器である。本実施形態におけるケース10は、ケース本体12と封口板14を備えている。ケース本体12は、上面開口12aを有する箱状体である。具体的には、ケース本体12は、長尺な矩形の板状部材である底部12bと、底部12bの長辺(幅方向Xに沿った辺)から上方Uに延びた一対の第1側壁12cと、底部12bの短辺(奥行方向Yに沿った辺)から上方Uに延びた一対の第2側壁12dとを備えている。そして、ケース本体12の上面には、第1側壁12cと第2側壁12dの各々の上端に囲まれた上面開口12aが形成される。一方、封口板14は、ケース本体12の上面開口12aを塞ぐ矩形の板状部材である。具体的には、図2に示すように、封口板14は、ケース本体12の上端部に嵌め込まれている。そして、ケース本体12と封口板14との境界は、レーザ溶接などによって接合される。なお、ケース10(ケース本体12及び封口板14)は、一定以上の強度を有する金属製の部材であることが好ましい。ケース10の素材の一例として、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属材料が挙げられる。
【0045】
上述した通り、本実施形態に係る蓄電デバイス100では、電極端子20とシール材30を取り付けるためのケース部品が封口板14である。すなわち、本実施形態におけるケース10は、貫通孔14aを有するケース部品(封口板14)と、貫通孔14aに挿入された電極端子20と、貫通孔14aを封止し、ケース部品(封口板14)と一体化された樹脂部材であるシール材30とを備えている。なお、本明細書における「一体化」とは、金属部材(封口板、電極端子など)と樹脂部材(シール材など)とが固着していることをいう。
【0046】
そして、電極端子20は、封口板14の貫通孔14aに挿入された軸部22と、ケース部品(封口板14)に沿うように配置された板部24とを有している。そして、板部24は、ケース10の外部に露出に露出する接続面24aと、接続面24aと反対側の裏面24bと、接続面24aおよび裏面24bに連続する側面24cとを備えている。かかる構成の電極端子20を有する蓄電デバイス100では、ケース10の内部で軸部22と電極体40とが接続される。一方、板部24の接続面24aには、バスバーなどの外部導電部品(図示省略)が接続される。これによって、電極体40から外部導電部品に至る導通経路を容易に形成できる。
【0047】
一方、シール材30は、板部24の側面24cを覆う側面保護部36を備えている。この側面保護部36によると、板部24とケース10(封口板14)との導通を抑制できる。具体的には、板部24の側面24cが露出していると、当該側面24cに導電性の異物(金属粉、液体など)が付着した際に電極端子20とケース10とが導通するおそれがある。側面保護部36は、このような導電性の異物を介した板部24とケース10との導通を防止できる。
【0048】
また、本実施形態におけるシール材30は、上述した側面保護部36の他に、ベース部32と、内部絶縁部34と、外部絶縁部38とを備えている。ベース部32は、封口板14の貫通孔14aに充填された部分である。このベース部32は、板部24の裏面24bと、貫通孔14aの外側面と、軸部22の上端部22a(図4参照)と接する樹脂部材である。このベース部32は、電極端子20と封口板14を絶縁状態で固定する基材となる。また、内部絶縁部34は、封口板14の内側面14cに沿って延びる樹脂部材である。この内部絶縁部34は、軸部22と封口板14とを絶縁する。また、内部絶縁部34は、振動等によって電極体40が上下動した際に、封口板14と電極体40との接触を防止するという機能も有している。また、外部絶縁部38は、封口板14の外側面14bに沿って延びる樹脂部材である。この外部絶縁部38を設けることによって、板部24の側面24cだけでなく、封口板14の外側面14bも絶縁部材で覆うことができる。これによって、導電性の異物を介した電極端子20と封口板14との導通をより好適に防止できる。
【0049】
また、上述した通り、本実施形態に係る製造方法では、板部24の裏面24bに向かって第2面M2が山状に隆起した金型Mを使用している(図6参照)この結果、製造後のベース部32の下面32aには、上方Uに向かってすり鉢状に窪む凹部39が形成される。この上方Uに窪んだ凹部39は、別部材(電極端子の軸部、電極体など)の位置決めや固定に利用できるという利点を有している。
【0050】
<他の実施形態>
以上、ここに開示される技術の一実施形態について説明した。しかし、ここに開示される技術は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、図6に示すように、第1及び第2の実施形態における金型Mは、接続面24aの全面と面接触する第1面M1を備えている。しかし、金型の第1面は、接続面の周縁部のみに接触していてもよい。上記の通り、ここに開示される技術によると、樹脂の射出圧によって、電極端子を金型の第1面に押し付けることができる。これによって、接続面の周縁部と金型の第1面とを隙間なく面接触させることができる。この結果、接続面の中央部と第1面とが面接触していなくても接続面の中央部への樹脂の侵入を防止できる。但し、接続面の中央部への樹脂の付着をより確実に抑制するという観点では、上述の実施形態のように接続面の全面と金型の第1面とを面接触させた方が好ましい。
【0051】
以上、ここに開示される技術を詳細に説明した。しかし、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。すなわち、ここに開示される技術は、以下の項目1~項目7に記載の形態を包含する。
【0052】
[項目1]
貫通孔を有するケース部品を準備する工程と、
前記貫通孔に電極端子を挿入する工程と、
前記ケース部品および前記電極端子を金型の内部空洞に配置する工程と、
前記金型の前記内部空洞に樹脂を注入し、前記ケース部品と、前記貫通孔を封止するシール材とを一体成型する工程と
を含み、
前記電極端子は、
前記貫通孔に挿入される軸部と、
当該軸部が前記貫通孔に挿入された際に、前記ケース部品に沿うように配置される板部と
を有し、
前記板部は、
前記ケース部品の外部に露出する接続面と、
前記接続面と反対側の裏面と、
前記接続面および前記裏面に連続する側面と
を備え、
前記金型は、
前記板部の前記接続面の少なくとも周縁部と面接触するキャビティ面である第1面と、
前記板部の前記裏面と間隔を空けて対向するキャビティ面である第2面と、
前記板部の前記側面と間隔を空けて対向するキャビティ面である第3面と、
前記金型を貫通する開口部であり、前記板部の前記裏面と対向するように前記第2面に形成されている射出孔と
を備えており、
前記一体成型する工程において、前記射出孔から射出された樹脂で前記板部の前記接続面が前記第1面に押し付けられるように前記内部空洞への前記樹脂の射出量を制御する、蓄電デバイスの製造方法。
【0053】
[項目2]
前記一体成型する工程において、前記板部の厚み方向に沿うように前記板部の前記裏面に向かって前記樹脂を射出する、項目1に記載の蓄電デバイスの製造方法。
【0054】
[項目3]
前記第2面は、前記板部の前記裏面に向かって山状に隆起しており、当該隆起した前記第2面の頂点に前記射出孔が形成されている、項目1または2に記載の蓄電デバイスの製造方法。
【0055】
[項目4]
前記射出孔の先端は、厚み方向における前記ケース部品の外側面と内側面との間に配置される、項目3に記載の蓄電デバイスの製造方法。
【0056】
[項目5]
前記射出孔は、前記板部の前記裏面の中央部近傍と対向している、項目1~4のいずれか一項に記載の蓄電デバイスの製造方法。
【0057】
[項目6]
前記一体成型する工程における前記樹脂の射出圧が500kgf/cm以上1000kgf/cm以下である、項目1~5のいずれか一項に記載の蓄電デバイスの製造方法。
【0058】
[項目7]
前記金型の前記第1面は、前記板部の前記接続面の全面と面接触する平坦面である、項目1~6のいずれか一項に記載の蓄電デバイスの製造方法。
【符号の説明】
【0059】
10 :ケース
12 :ケース本体
14 :封口板
20 :電極端子
22 :軸部
24 :板部
30 :シール材
32 :ベース部
34 :内部絶縁部
36 :側面保護部
38 :外部絶縁部
40 :電極体
100 :蓄電デバイス
M :金型
M1 :第1面
M2 :第2面
M3 :第3面
Ms :射出孔
Mc :内部空洞
Mc0 :樹脂遮断部
Mc1 :第1充填空間
Mc2 :第2充填空間
Mc3 :樹脂流路
Mc4 :第4充填空間
Mcs :キャビティ面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9