(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025141314
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】蓄電デバイスおよび蓄電デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/184 20210101AFI20250919BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20250919BHJP
H01M 50/176 20210101ALI20250919BHJP
H01M 50/188 20210101ALI20250919BHJP
H01M 50/193 20210101ALI20250919BHJP
H01M 50/557 20210101ALI20250919BHJP
H01G 11/74 20130101ALI20250919BHJP
H01G 11/80 20130101ALI20250919BHJP
【FI】
H01M50/184 A
H01M50/103
H01M50/176
H01M50/188
H01M50/193
H01M50/557
H01G11/74
H01G11/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041193
(22)【出願日】2024-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】冨田 祐司
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA12
5E078AB01
5E078HA27
5E078KA01
5E078KA04
5E078KA06
5H011AA01
5H011AA09
5H011BB04
5H011DD02
5H011EE02
5H011EE04
5H011FF03
5H011GG01
5H011HH02
5H011JJ02
5H043AA01
5H043AA11
5H043AA13
5H043AA19
5H043BA15
5H043BA16
5H043BA19
5H043CA04
5H043DA09
5H043HA31D
5H043JA13D
5H043KA22D
5H043LA21D
(57)【要約】
【課題】電極端子の上昇によるシール材の破損や電極端子の脱落を防止する。
【解決手段】ここに開示される蓄電デバイス100のケース10は、封口板14と、電極端子20と、シール材30とを含む。電極端子20は、軸部22と、板部24とを有している。板部24は、ケースの外部に露出する接続面24aと、接続面24aと反対側の裏面24bと、接続面24aおよび裏面24bに連続する側面24cとを備えている。そして、シール材30は、板部24の裏面24bと封口板14を覆うベース部32と、ベース部32と連続しており、板部24の側面24cを覆う側面保護部36と、側面保護部36の上端と連続しており、接続面24aの周縁部24a1を覆う係止部39とを備えている。かかる構成の蓄電デバイス100では、シール材30の係止部39によって、電極端子20の上昇を規制できるため、シール材30の破損や電極端子20の脱落を防止できる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体と、
前記電極体を収容するケースと
を備え、
前記ケースは、
貫通孔を有するケース部品と、
前記貫通孔に挿入された電極端子と、
前記貫通孔を封止し、前記ケース部品および前記電極端子と一体化された樹脂部材であるシール材と
を含み、
前記電極端子は、
前記貫通孔に挿入された軸部と、
前記ケース部品に沿うように配置された板部と、
を有し、
前記板部は、
前記ケースの外部に露出する接続面と、
前記接続面と反対側の裏面と、
前記接続面および前記裏面に連続する側面と
を備え、
前記シール材は、
前記板部の前記裏面と前記ケース部品を覆うベース部と、
前記ベース部と連続しており、前記板部の前記側面を覆う側面保護部と、
前記側面保護部の上端と連続しており、前記接続面の周縁部の少なくとも一部を覆う係止部と
を備えている、蓄電デバイス。
【請求項2】
前記係止部は、前記接続面の周縁部を全周に亘って連続的に覆っている、請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項3】
前記板部は、平面形状が矩形の板状部分であり、
前記係止部は、平面矩形の前記板部の前記接続面の四隅の上面を覆っている、請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項4】
前記接続面の中央部と周縁部との間に、前記接続面から窪んだ凹部が形成されている、請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項5】
前記係止部の高さ位置は、前記接続面の中央部の高さ位置以下である、請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項6】
貫通孔を有するケース部品を準備する工程と、
前記貫通孔に電極端子を挿入する工程と、
前記ケース部品および前記電極端子を金型の内部空洞に配置する工程と、
前記金型の前記内部空洞に樹脂を注入し、前記ケース部品と、前記貫通孔を封止するシール材とを一体成型する工程と
を含み、
前記電極端子は、
前記貫通孔に挿入される軸部と、
当該軸部が前記貫通孔に挿入された際に、前記ケース部品に沿うように配置される板部と
を有し、
前記板部は、
前記ケース部品の外部に露出する接続面と、
前記接続面と反対側の裏面と、
前記接続面および前記裏面に連続する側面と、
を備え、
前記金型は、
前記板部の前記接続面の中央部と面接触するキャビティ面である第1面と、
前記板部の前記側面と間隔を空けて対向するキャビティ面である第3面と、
を備えており、
前記配置する工程において、前記板部の前記側面と前記金型の前記第3面との間に樹脂流路を形成し、かつ、前記板部の前記接続面の周縁部の少なくとも一部と前記金型の前記第1面との間に前記樹脂流路と連通する隙間を形成し、
前記一体成型する工程において、前記樹脂流路を介して前記隙間に樹脂を充填する、蓄電デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電デバイスおよび蓄電デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池等の蓄電デバイスは、様々な電気製品の電源に使用されている。この蓄電デバイスは、電極体と、当該電極体を収容するケースとを備えている。このケースは、例えば、開口部を有する箱状体であるケース本体と、当該ケース本体の開口部を塞ぐ封口板とを備えている。また、ケースには、外部導電部品(バスバーなど)と接続される電極端子や、当該電極端子とケースとを絶縁するシール材などが取り付けられる。
【0003】
この蓄電デバイスの一例が特開2016-058215号公報に開示されている。この文献に記載の蓋本体(封口板)には、貫通穴が形成されている。そして、端子部(電極端子)は、蓋本体の貫通穴を貫通して配置される。そして、樹脂部材(シール材)は、端子部と蓋本体との間隙を封止し、端子部を蓋本体に対して固定する。また、端子部は、蓋本体の外側に配置される外側配置部を備えている。そして、上記特許文献に記載の樹脂部材は、外側配置部の周囲を覆っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、蓄電デバイスのようなポータブル電源は、携帯端末や車両などの移動体に搭載されることが多い。この移動体が移動する際の振動によって、蓄電デバイスの電極端子に応力が加わることがある。このとき、電極端子を持ち上げる方向に強い応力が加わると、シール材の破損や電極端子の脱離が生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題に対して、以下の構成の蓄電デバイスの製造方法(以下、単に「製造方法」ともいう。)が提供される。
【0007】
ここに開示される蓄電デバイスは、電極体と、電極体を収容するケースとを備えている。このケースは、通孔を有するケース部品と、貫通孔に挿入された電極端子と、貫通孔を封止し、ケース部品および電極端子と一体化された樹脂部材であるシール材とを含む。また、電極端子は、貫通孔に挿入された軸部と、ケース部品に沿うように配置された板部とを有する。また、電極端子の板部は、ケースの外部に露出する接続面と、接続面と反対側の裏面と、接続面および裏面に連続する側面とを備えている。そして、シール材は、板部の裏面を覆うベース部と、ベース部と連続しており、板部の側面を覆う側面保護部と、側面保護部の上端と連続しており、接続面の周縁部の上面の少なくとも一部を覆う係止部とを備えている。
【0008】
ここに開示される蓄電デバイスのシール材は、ケース部品と一体化されたベース部を備えている。シール材は、側面保護部を介してベース部と連続的に成形された係止部を備えている。そして、この係止部は、電極端子の板部の接続面を覆っている。すなわち、ここに開示される蓄電デバイスのシール材は、ケース部品と一体化されると共に、電極端子の接続面(上面)を覆っている。これによって、電極端子の上昇を規制できるため、シール材の破損や電極端子の脱離を防止することができる。
【0009】
また、ここに開示される蓄電デバイスの係止部は、電極端子の板部の接続面の周縁部の少なくとも一部を覆っている。これによって、電極端子の接続面の中央部が外部に露出するため、電極端子と外部導電部品(バスバー等)とを適切に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る蓄電デバイスを模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る蓄電デバイスの電極端子近傍の構造を模式的に示す拡大断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す蓄電デバイスの電極端子近傍の構造を模式的に示す拡大平面図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る蓄電デバイスの封口板を模式的に示す斜視図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る蓄電デバイスの電極端子を模式的に示す斜視図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る製造方法を説明するフローチャートである。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る製造方法の挿入工程を模式的に示す斜視図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る製造方法の収容工程を模式的に示す断面図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態に係る製造方法の注入工程を模式的に示す断面図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態に係る製造方法の注入工程を模式的に示す拡大断面図である。
【
図11】
図11は、他の実施形態に係る蓄電デバイスの電極端子近傍の構造を模式的に示す拡大平面図である。
【
図12】
図12は、他の実施形態に係る蓄電デバイスの電極端子近傍の構造を模式的に示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、ここで開示される技術の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、ここで開示される技術の実施に必要な事柄(例えば、電極体や電解液の詳細な材料など)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。ここで開示される技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、本明細書において範囲を示す「A~B」の表記は、A以上B以下の意と共に、「Aより大きい」および「Bより小さい」の意を包含するものとする。
【0012】
なお、本明細書における「蓄電デバイス」とは、一対の電極(正極および負極)の間で電荷担体が移動することによって充放電反応が生じる装置を包含する概念である。すなわち、ここに開示される技術における蓄電デバイスは、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等の二次電池の他に、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ等のキャパシタなども包含する。
【0013】
<第1の実施形態>
A.蓄電デバイス
以下、図面を参照しながら、ここに開示される蓄電デバイスの製造方法の一実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る蓄電デバイスを模式的に示す斜視図である。
図2は、
図1に示す蓄電デバイスの電極端子近傍の構造を模式的に示す拡大断面図である。
図3は、
図1に示す蓄電デバイスの電極端子近傍の構造を模式的に示す拡大平面図である。
図4は、第1の実施形態に係る蓄電デバイスの封口板を模式的に示す斜視図である。
図5は、第1の実施形態に係る蓄電デバイスの電極端子を模式的に示す斜視図である。
【0014】
なお、本明細書で参照する図面中の符号L、R、F、Rr、U、Dは、それぞれ、左、右、前、後、上、下を表すものとする。また、図面中の符号X、Y、Zは、それぞれ、蓄電デバイスの幅方向、奥行方向、高さ方向を表すものとする。ただし、これらは、説明の便宜のために定めた方向に過ぎず、ここに開示される技術における各部材の設置態様を限定するものではない。
【0015】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る蓄電デバイス100は、電極体40と、電極体40を収容するケース10とを備えている。
【0016】
1.電極体
電極体40は、蓄電デバイス100の発電要素である。電極体40は、従来公知の蓄電デバイスにおいて使用され得るものを特に制限なく使用できるため、詳細な説明を省略する。また、図示は省略するが、ケース10の内部には電解液も収容されている。この電解液の組成も、特に限定されないため、詳細な説明を省略する。
【0017】
2.ケース
ケース10は、電極体40を収容する容器である。本実施形態におけるケース10は、ケース本体12と封口板14を備えている。ケース本体12は、上面開口を有する箱状体である。具体的には、ケース本体12は、長尺な矩形の板状部材である底部12bと、底部12bの長辺(幅方向Xに沿った辺)から上方Uに延びた一対の第1側壁12cと、底部12bの短辺(奥行方向Yに沿った辺)から上方Uに延びた一対の第2側壁12dとを備えている。そして、ケース本体12の上面には、第1側壁12cと第2側壁12dの各々の上端に囲まれた上面開口が形成される。一方、封口板14は、ケース本体12の上面開口を塞ぐ矩形の板状部材である。具体的には、封口板14は、幅方向Xに延びる長尺な板状部材である。この封口板14は、ケース本体12の上端部に嵌め込まれている。そして、ケース本体12と封口板14との境界は、レーザ溶接などによって接合される。なお、ケース10(ケース本体12及び封口板14)は、一定以上の強度を有する金属製の部材であることが好ましい。ケース10の素材の一例として、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属材料が挙げられる。
【0018】
さらに、本実施形態におけるケース10は、ケース部材と、電極端子20と、シール材30とを備えている。以下、各構成について説明する。
【0019】
(1)ケース部品
本明細書における「ケース部品」とは、蓄電デバイスのケースを構成する複数の部品のうち、電極端子やシール材が取り付けられる部品のことをいう。例えば、
図1に示す蓄電デバイス100では、封口板14に電極端子20とシール材30とが取り付けられている。かかる構成においては、封口板14がケース部品となる。但し、ケース部品は、封口板に限定されるものではない。例えば、ケース本体に電極端子やシール材を取り付ける場合には、ケース本体がケース部品になる。
【0020】
図4に示すように、蓄電デバイス100のケース部品(封口板14)は、貫通孔14aを有している。この貫通孔14aは、幅方向Xにおける封口板14の両端部の各々に形成されている。
図4中の貫通孔14aは、平面視において矩形の開口部である。但し、貫通孔14aの平面形状は、後述する電極端子20を挿入することができれば、特に限定されない。貫通孔14aの平面形状の他の例として、円形、楕円形などが挙げられる。また、封口板14の外側面14bには、貫通孔14aを囲む外部溝14dが形成されている。同様に、封口板14の内側面14cにも、貫通孔14aを囲む内部溝14eが形成されている(
図2参照)。
図2に示すように、外部溝14dと内部溝14eには、シール材30の一部が流入している。これによって、封口板14とシール材30との接着性を向上できる。
【0021】
(2)電極端子
電極端子20は、貫通孔14aに挿入される導電部材である。
図5に示すように、本実施形態における電極端子20は、高さ方向Zに延びる長尺な部材である。この電極端子20は、軸部22と板部24とを有している。
【0022】
軸部22は、貫通孔14aに挿入される部分である。
図2及び
図5に示すように、本実施形態における軸部22は、高さ方向Zに延びる長尺な板状部材である。そして、軸部22は、ケース10の内部に収容される。そして、軸部22の下端部は、電極体40と接続される(図示省略)。なお、軸部22の形状は、板状に限定されず、柱状(円柱状、角柱状)などであってもよい。
【0023】
板部24は、ケース部品(封口板14)に沿うように配置される部分である。
図5に示すように、本実施形態における板部24は、軸部22の上端部22aから連続して幅方向Xに延びている。かかる板部24は、長尺な板状の導電部材の先端を折り曲げることによって形成される。なお、板部24は、略矩形の貫通孔14aと対応するように、平面略矩形になるように成形されている。このように、板部の平面形状は、貫通孔の平面形状に対応した形状であることが好ましい。これによって、後述の注入工程S40における樹脂の充填が容易になる。但し、板部の平面形状は、略矩形に限定されない。例えば、貫通孔の平面形状が円形の場合には、板部の平面形状も円形にするとよい。また、電極端子は、軸部と板部とが連続した一体的な部品でなくてもよい。例えば、軸部と板部を別々に作成し、これらを組み合わせることによって電極端子を構築してもよい。
【0024】
また、板部24は、接続面24aと、裏面24bと、側面24cとを備えている。
図2に示すように、板部24の接続面24aは、ケース10の外部に露出している。これによって、バスバーなどの外部導電部品を電極端子20の板部24に接続できる。また、板部24の裏面24bは、接続面24aと反対側の面である。この裏面24bは、後述するシール材30のベース部32によって覆われている。また、側面24cは、接続面24aと裏面24bとに連続する面である。この側面24cは、シール材30の側面保護部36によって覆われている。なお、電極端子20の挿入高さは、板部24の裏面24bが封口板14の外側面14bよりも上方Uに配置するように調節することが好ましい。これによって、シール材30のベース部32と外部絶縁部38とが適切に形成されるため、各部材をより安定的に固定できる。
【0025】
(3)シール材
シール材30は、ケース部品(封口板14)の貫通孔14aを封止する樹脂部材である。このシール材30は、封口板14および電極端子20と一体化されている。なお、本明細書における「一体化」とは、金属部材(封口板、電極端子など)と樹脂部材(シール材など)が固着していることをいう。本実施形態におけるシール材30は、ベース部32と、側面保護部36と、係止部39を備えている。また、
図2に示すシール材30は、内部絶縁部34と、外部絶縁部38とをさらに備えている。以下、各構成について説明する。
【0026】
(a)ベース部
ベース部32は、板部24の裏面24bとケース部品(封口板14)を覆う樹脂部材である。具体的には、ベース部32は、封口板14の貫通孔14aに充填された樹脂部材である。このベース部32は、板部24の裏面24bと、貫通孔14aの外側面と、軸部22の上端部22a(
図5参照)と一体化されている。これによって、ベース部32は、電極端子20と封口板14に固定される。
【0027】
(b)内部絶縁部
次に、内部絶縁部34は、封口板14の内側面14cに沿って延びる樹脂部材である。この内部絶縁部34は、ベース部32から連続して径方向の外側(例えば、
図2中の奥行方向Y)に向かって延びている。この内部絶縁部34は、ケース10内の電極体40が振動等によって上下動した際に、封口板14と電極体40との接触を防止するという機能を有している。さらに、内部絶縁部34の一部は、封口板14の内部溝14eに流入している。これによって、平面方向(幅方向Xおよび奥行方向Y)におけるシール材30の移動を抑制できる。
【0028】
(c)外部絶縁部
また、外部絶縁部38は、封口板14の外側面14bに沿って延びる樹脂部材である。上記内部絶縁部34と同様に、外部絶縁部38も、ベース部32から連続して径方向の外側(例えば、
図2中の奥行方向Y)に向かって延びている。この外部絶縁部38は、電極端子20の板部24とケース10(封口板14)との導通を抑制するという機能を有している。具体的には、板部24の周囲において封口板14の外側面14bが露出していると、板部24に導電性の異物(金属粉、液体など)が付着した際に電極端子20とケース10とが導通するおそれがある。このため、板部24の周囲に外部絶縁部38を形成することが好ましい。また、外部絶縁部38の一部は、封口板14の外部溝14dに流入している。これによって、平面方向(幅方向Xおよび奥行方向Y)におけるシール材30の移動をより好適に抑制できる。さらに、本実施形態に係る蓄電デバイス100では、内部絶縁部34と外部絶縁部38との間にケース部材(封口板14)が挟み込まれている。これによって、封口板14に対してシール材30が上下動することをより好適に防止できる。
【0029】
(d)側面保護部
側面保護部36は、ベース部32と連続しており、板部24の側面24cを覆う樹脂部材である。具体的には、側面保護部36は、板部24の側面24cに沿うように、ベース部32から上方Uに向かって延びている。そして、側面保護部36は、板部24の側面24cと一体化している。この側面保護部36は、上記外部絶縁部38と同様に、導電性の異物を介した電極端子20と封口板14との導通を抑制するという機能を有している。また、側面保護部36は、平面方向(幅方向Xおよび奥行方向Y)における電極端子20の移動を規制することもできる。これによって、電極端子20の振動によるシール材30の破損の抑制にも貢献できる。
【0030】
(e)係止部
係止部39は、側面保護部36の上端と連続しており、接続面24aの周縁部24a1の少なくとも一部を覆う樹脂部材である。具体的には、本実施形態における側面保護部36は、板部24の接続面24aの周縁部24a1よりも上方Uに立設している。そして、係止部39は、この側面保護部36の上端から接続面24aの周縁部24a1を覆うように水平方向(幅方向X及び/又は奥行方向Y)に延びている。そして、この係止部39は、接続面24aの周縁部24a1と一体化している。かかる構成の係止部39によると、電極端子20の上昇を規制できるため、シール材30の破損や電極端子20の脱離を防止できる。以下、具体的に説明する。
【0031】
まず、上述の通り、シール材30のベース部32は、封口板14と一体化されている。一方、係止部39は、電極端子20の板部24の接続面24aを覆っている。そして、ベース部32と係止部39は、側面保護部36を介して連続的に成形されている。すなわち、本実施形態におけるシール材30は、ベース部32において封口板14と固着すると共に、電極端子20の接続面24a(上面)を覆う係止部39を有している。これによって、シール材30を介して封口板14に電極端子20が固定されるため、蓄電デバイス100が振動したとしても、電極端子20の上昇が規制される。この結果、シール材30の破損や電極端子20の脱離を防止することができる。
【0032】
また、本実施形態における係止部39は、電極端子20の板部24の接続面24aの周縁部の少なくとも一部を覆っている。これによって、絶縁体であるシール材30が接続面24aの中央部24a2を覆うことを防止し、当該接続面24aの中央部24a2を外部に露出させることができる。この結果、電極端子20と外部導電部品(バスバー等)との接続面積を十分に確保することができる。
【0033】
なお、
図3に示すように、本実施形態における係止部39は、板部24の接続面24aの周縁部24a1を全周に亘って連続的に覆っている。かかる構成によると、接続面24aの周縁部24a1の全周が係止部39によって係止されるため、電極端子20の上昇をより確実に規制できる。なお、平面視における係止部39の幅w1(
図3参照)は、電極端子20の上昇の規制と接続面24aの中央部24a2の面積の確保とを考慮して設定することが好ましい。例えば、係止部39の幅w1は、2mm~5mm(好適には3mm~4mm)に設定される。
【0034】
また、
図3に示すように、本実施形態における電極端子20では、接続面24aの中央部24a2と係止部39との間に、接続面24aから窪んだ凹部24eが形成されている。詳しくは後述するが、かかる構成によると、シール材30を成形する際に、接続面24aの中央部24a2が樹脂で覆われることを防止できる。これによって、接続面24aの中央部24a2に付着した樹脂を除去する処理が不要になるため、蓄電デバイス100の製造効率を向上できる。
【0035】
また、
図2に示すように、本実施形態に係る蓄電デバイス100では、シール材30の係止部39の高さ位置は、接続面24aの中央部24a2の高さ位置以下である。かかる構成によると、電極端子20と外部導電部品とをより容易に接続できる。具体的には、電極端子20と外部導電部品との接続では、電極端子20の接続面24aの中央部24a2と板状の外部導電部品とを面接触させることがある。このとき、接続面24aの中央部24a2よりも上方Uに係止部39が配置されていると係止部39が干渉するため、電極端子20と外部導電部品との面接触が難しくなる。これに対して、接続面24aの中央部24a2よりも下方Dに係止部39を配置すれば、電極端子20と外部導電部品とを容易に面接触できる。なお、
図2では、係止部39が接続面24aの中央部24a2よりも下方Dに配置されている。しかし、係止部39の高さ位置は、接続面24aの中央部24a2の高さ位置と同じでもよい。この場合でも、電極端子20と外部導電部品とを容易に面接触できる。
【0036】
なお、本実施形態では、接続面24aの周縁部24a1に切り欠き部24fが形成されている。これによって、接続面24aの周縁部24a1は、接続面24aの他の領域(中央部24a2)よりも下方Dに配置される。そして、この切り欠き部24fを覆うように係止部39を形成すれば、シール材30の係止部39の高さ位置を、接続面24aの中央部24a2の高さ位置以下にすることができる。
【0037】
2.蓄電デバイスの製造方法
【0038】
次に、上記構成の蓄電デバイス100を製造する方法について説明する。
図6は、第1の実施形態に係る製造方法を説明するフローチャートである。
図6に示すように、本実施形態に係る製造方法は、準備工程S10と、挿入工程S20と、収容工程S30と、注入工程S40とを備えている。以下、各工程を説明する。
【0039】
(1)準備工程S10
本工程では、貫通孔14aを有するケース部品を準備する。上述した通り、本実施形態におけるケース部品は、封口板14(
図4参照)である。この封口板14の詳細な構造は、既に説明したため、重複する説明を省略する。
【0040】
(2)挿入工程S20
図7は、第1の実施形態に係る製造方法の挿入工程を模式的に示す斜視図である。
図7に示すように、挿入工程S20では、貫通孔14aに電極端子20を挿入する。具体的には、電極端子20の軸部22を、封口板14の貫通孔14aに挿入する。このとき、電極端子20の板部24が封口板14の上側面14bよりも上方Uに配置されるように電極端子20の高さ方向Zにおける挿入位置を調節する。また、略矩形の板部24が略矩形の貫通孔14aの上方Uを覆うように、平面方向(幅方向X及び奥行方向Y)における電極端子20の挿入位置を調節する。
【0041】
また、
図5及び
図7に示すように、本実施形態における電極端子20は、凹部24eを備えている。凹部24eは、接続面24aから窪んだ溝であり、接続面24aの中央部24a2と周縁部24a1との間に形成されている。また、本実施形態における凹部24eは、接続面24aの周縁部24a1に沿うように形成された環状の凹部である。かかる構成の凹部24eによると、後述の注入工程S40において、凹部24eの内側の領域(接続面24aの中央部24a2)に樹脂Rが侵入することを抑制できる。
【0042】
また、本実施形態における電極端子20は、切り欠き部24fを備えている。切り欠き部24fは、接続面24aの周縁部24a1を切削することによって形成される。これによって、接続面24aの周縁部24a1は、中央部24a2よりも下方Dに配置される。この切り欠き部24fを覆うように係止部39を形成すれば、接続面24aの中央部24a2よりも下方Dに係止部39を容易に配置することができる。
【0043】
(3)収容工程S30
図8は、第1の実施形態に係る製造方法の収容工程を模式的に示す断面図である。
図8に示すように、収容工程S30では、ケース部品(封口板14)および電極端子20を金型Mの内部空洞Mcに配置する。具体的には、金型Mの内部空洞Mcには、封口板14の貫通孔14aの周囲と、板部24の全体と、軸部22の上端部22aとが収容される。一方、図示は省略するが、軸部22の下端部22b(
図5参照)や封口板14の幅方向Xの中央部14f(
図6参照)は、内部空洞Mcには収容されずに、金型Mの外部に露出する。また、本実施形態における収容工程S30では、電極端子20と封口板14の上下位置を逆転させる。これによって、板部24の裏面24bや封口板14の内側面14cが上方Uに配置される。この場合、後述の注入工程S40の初期における電極端子20や金型Mの温度が低い状況で、樹脂流路Mc3に樹脂Rが流れ込みやすくなる。この結果、樹脂遮断部Mc0への樹脂Rの侵入をより好適に防止できる。
【0044】
なお、本工程で使用される金型Mは、ステンレス系、ダイス鋼系、マルエージング鋼系などの高強度の金属材料によって構成されている。これによって、注入工程S40中の金型Mの変形・破損を抑制できる。また、金型Mの内部には、成形対象であるシール材30の形状に応じたキャビティ面Mcsが形成されている。本明細書における「金型Mの内部空洞Mc」とは、金型Mのキャビティ面Mcsに囲まれた空間のことをいう。そして、本実施形態におけるキャビティ面Mcsは、下記の第1面M1~第4面M4を備えている。
【0045】
(a)第1面M1
図8に示すように、本実施形態における金型Mのキャビティ面Mcsは、板部24の接続面24aと面接触している。この接続面24aと面接触するキャビティ面Mcsを「第1面M1」と称する。この第1面M1を接続面24aに面接触させることによって、接続面24aに樹脂が付着することを防止できる。また、本明細書では、接続面24aと第1面M1とが面接触する領域のことを「樹脂遮断部Mc0」と称する。但し、本実施形態では、接続面24aの周縁部24a1に切り欠き部24fが形成されている。このため、接続面24aの周縁部24a1と第1面M1との間には隙間Sが形成される。この隙間Sは、後述の樹脂流路Mc3と連通する。
【0046】
また、本実施形態では、第1面M1から上方Uに突出する凸部M1aが設けられている。この凸部M1aは、電極端子20の接続面24aの凹部24eに挿入される位置に形成されている。この凸部M1aは、断面形状が三角形の楔状の凸部である。収容工程S30では、この楔状の凸部M1aの斜面と、凹部24eの斜面とが面接触するように、電極端子20の収容位置が調節される。
【0047】
なお、
図8に示すように、第1面M1の奥行方向Yの寸法L1は、板部24の奥行方向Yの寸法LTよりも長くすることが好ましい。これによって、第1面M1に板部24の接続面24aを面接触させることが容易になる。具体的には、板部24の寸法LTと第1面M1の寸法L1が略同等である場合、金型Mの第3面M3に板部24が乗り上げるおそれがある。この場合、樹脂遮断部Mc0に隙間が生じるため、接続面24aに樹脂が付着する可能性が高くなる。これに対して、第1面M1を板部24よりも広くすれば、第1面M1と接続面24aとの面接触が容易になるため、接続面24aへの樹脂の付着をより好適に防止できる。例えば、第1面M1の寸法L1と板部24の寸法LTとの差(L1-LT)は、0.001mm以上が好ましく、0.005mm以上がより好ましく、0.01mm以上が特に好ましい。一方、第1面M1の寸法L1と板部24の寸法LTとの差(L1-LT)が大きくなりすぎると、後述する樹脂流路Mc3の先端Mc3aまで樹脂が到達しやすくなる。かかる観点から、第1面M1の寸法L1と板部24の寸法LTとの差(L1-LT)は、0.2mm以下が好ましく、0.15mm以下がより好ましく、0.1mm以下が特に好ましい。
【0048】
(b)第2面M2
第2面M2は、板部24の裏面24bと間隔を空けて対向するキャビティ面Mcsである。この第2面M2と裏面24bとの間には、注入工程S40において樹脂が充填される空間が形成される。以下の説明では、この空間のことを「第1充填空間Mc1」と称する。この第1充填空間Mc1に充填された樹脂は、シール材30のベース部32となる(
図2参照)。
【0049】
また、第2面M2の奥行方向Yの寸法L2は、板部24の奥行方向Yの寸法LTよりも長い。そして、奥行方向Yにおける第2面M2の両端部は、板部24を超えて封口板14の内側面14cと対向する。以下、第2面M2の両端部と封口板14の内側面14cとが対向する空間を「第2充填空間Mc2」と称する。この第2充填空間Mc2に充填された樹脂は、シール材30の内部絶縁部34となる(
図2参照)。なお、金型Mの第2面M2は、封口板14の内部溝14eよりも外側(前方Fおよび後方Rr)まで延びている。この結果、内部溝14eを覆うように内部絶縁部34が形成される。これによって、シール材30と封口板14との接着性を向上できる。また、第2充填空間Mc2に供給された樹脂は、内部溝14eに入り込んだ後に、封口板14の内側面14cと金型Mとの接触面Maに到達する。これによって、接触面Maに多量の樹脂が急激に供給されることを防止できるため、金型Mの外部への樹脂漏れを抑制できる。
【0050】
(c)第3面M3
第3面M3は、板部24の側面24cと間隔を空けて対向するキャビティ面Mcsである。収容工程S30では、板部24の側面24cと金型Mの第3面M3との間に樹脂流路Mc3を形成する。この樹脂流路Mc3には、第1充填空間Mc1を介して樹脂が流入する。この樹脂流路Mc3に充填された樹脂は、板部24の側面24cを覆う側面保護部36となる(
図2参照)。また、樹脂流路Mc3の先端Mc3aは、接続面24aの周縁部24a1と第1面M1との間の隙間Sと連通している。なお、本実施形態において、樹脂流路Mc3を形成するキャビティ面Mcs(すなわち、第3面M3)は、板部24の側面24cの周方向に沿って連続している。この結果、製造後の蓄電デバイス100では、板部24の側面24cを連続して覆う側面保護部36が形成される。
【0051】
(d)第4面M4
次に、第4面M4は、封口板14の外側面14bと間隔を空けて対向するキャビティ面Mcsである。この金型Mの第4面M4と封口板14の外側面14bとが対向する空間を「第4充填空間Mc4」という。この第4充填空間Mc4に充填された樹脂は、シール材30の外部絶縁部38となる(
図2参照)。なお、金型Mの第4面M4は、封口板14の外側面14bの外部溝14dよりも外側まで延びている。この結果、外部溝14dを覆う内部絶縁部34が形成される。これによって、シール材30と封口板14との接着性を向上できる。また、上記内部溝14eと同様に、外部溝14dは、封口板14の外側面14bと金型Mとの接触面Mbからの樹脂漏れを抑制する機能も有している。
【0052】
(4)注入工程S40
図9は、第1の実施形態に係る製造方法の注入工程を模式的に示す断面図である。
図9に示すように、本工程では、金型Mの内部空洞Mcに樹脂Rを注入する。これによって、ケース部品(封口板14)と、貫通孔14aを封止するシール材30(
図2参照)とを一体成型することができる。また、シール材30は、貫通孔14aに挿入された電極端子20(具体的には、板部24と軸部22の上端部22a)とも一体化される。なお、本工程で充填される樹脂Rは、ポリエチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂を内部空洞Mcに注入し、冷却することによってシール材30を容易に形成することができる。
【0053】
以下、本工程における樹脂Rの注入について説明する。本実施形態における金型Mは、金型Mを貫通する射出孔Msを備えている。この射出孔Msは、板部24の裏面24bと対向するように第2面M2に形成されている。また、射出孔Msは、移送管Pを介して樹脂供給源(図示省略)と接続されている。樹脂供給源から供給された樹脂Rは、移送管Pと射出孔Msを介して、金型Mの内部空洞Mcに注入される。そして、注入された樹脂Rは、最初に、最も体積が大きい空間である第1充填空間Mc1に充填される。そして、樹脂Rは、この第1充填空間Mc1を介して、第2充填空間Mc2、樹脂流路Mc3、第4充填空間Mc4などに供給される。これによって、比較的に狭い空間に多量の樹脂Rが急激に供給されることを防止できるため、樹脂漏れや成形不良を抑制することができる。特に、第1充填空間Mc1を介して樹脂流路Mc3に樹脂Rを供給することによって、樹脂流路Mc3の先端Mc3aに向かう樹脂Rの供給速度が低下する。これによって、樹脂遮断部Mc0への樹脂Rの侵入をより好適に抑制できる。
【0054】
ここで、本実施形態では、板部24の側面24cと金型Mの第3面M3との間に樹脂流路Mc3が形成されている。そして、この樹脂流路Mc3は、接続面24aの周縁部24a1と金型Mの第1面M1との間の隙間Sと連通している。このため、注入工程S40で供給された樹脂Rは、樹脂流路Mc3を介して隙間Sに充填される。具体的には、
図10に示すように、樹脂流路Mc3に流入した樹脂Rは、当該樹脂流路Mc3の先端Mc3aを介して隙間Sに流入する。これによって、接続面24aの周縁部24a1が樹脂Rで覆われる。そして、この樹脂Rが硬化することによって、接続面24aの周縁部24a1を覆う係止部39が形成される。
【0055】
また、上述の通り、本実施形態に係る製造方法では、楔状の凸部M1aの斜面と凹部24eの斜面とが面接触するように、電極端子20の収容位置が調節されている。これによって、凸部M1aよりも内方に樹脂Rが侵入することを防止できる。この結果、接続面24aの中央部24a2に樹脂Rが付着することを防止できる。なお、かかる製造方法によると、
図2に示すように、電極端子20の凹部24eの一部が係止部39に覆われる。
【0056】
また、封口板14や電極端子20の樹脂Rと接触する面には、粗面加工部Rsが形成されていることが好ましい。これによって、硬化後のシール材30との接着性を向上させることができる。例えば、
図4~
図5および
図7に示すように、粗面加工部Rsは、貫通孔14aの周囲における封口板14の外側面14b、板部24の側面24c、軸部22の上端部22aなどに形成されている。また、図示は省略するが、粗面加工部は、貫通孔14aの周囲における封口板14の内側面14c、板部24の裏面24bなどにも形成される。なお、粗面加工部Rsは、従来公知の粗面加工処理(サンドブラスト、化学処理など)によって形成できる。なお、粗面加工部Rsは、接続面24aの周縁部24a1(典型的には切り欠き部24f)に形成されていることが特に好ましい。これによって、係止部39と電極端子20との接続強度をさらに向上させることができる。
【0057】
[他の実施形態]
以上、ここに開示される技術の一実施形態について説明した。しかし、ここに開示される技術は、上述した実施形態に限定されるものではない。以下、ここに開示される技術の他の実施形態について説明する。
【0058】
図3に示すように、第1の実施形態における係止部39は、接続面24aの周縁部24a1を全周に亘って連続的に覆っている。しかし、係止部39は、接続面24aの周縁部24a1の少なくとも一部を覆っていればよく、
図3に示す形状に限定されない。例えば、
図11に示す係止部39は、係止部39は、平面矩形の板部24の接続面24aの四隅のみを覆っている。また、
図12に示す係止部39は、接続面24aの四隅を除く周縁部24a1を覆っている。
図11及び
図12に示す係止部39は、何れも、電極端子20の上昇を規制し、シール材30の破損や電極端子20の脱落を抑制できる。
【0059】
また、
図3や
図11に示す構成では、接続面24aの中央部24a2と周縁部24a1との間に凹部24eが形成されている。しかしながら、ここに開示される技術では、電極端子の接続面に凹部が形成されていなくてもよい。例えば、
図12に示す蓄電デバイス100では、電極端子20の接続面24aに凹部が形成されていない。しかし、この
図12に示す構成でも、接続面24aの周縁部24a1に係止部39が形成されているため、電極端子20の上昇を規制できる。なお、
図12に示す構成では、凹部が形成されていないため、シール材30の成形後に、接続面24aの中央部24a2に樹脂が付着する可能性がある。しかし、接続面24aの中央部24a2に付着した樹脂を除去する処理(研磨処理、エッチング処理など)を実施すれば、外部導電部品と接続可能な電極端子20を得ることができる。但し、製造中の工程数を減らして生産効率を向上させるという観点では、
図3や
図11に示すように、電極端子20の接続面24aに凹部24eを形成し、接続面24aの中央部24a2への樹脂の付着を抑制した方が好ましい。
【0060】
また、
図2に示すように、第1の実施形態では、接続面24aの周縁部24a1に切り欠き部24fを形成し、接続面24aの中央部24a2よりも下方Dに係止部39を形成している。しかし、かかる構成も、ここに開示される技術を限定する要素ではない。例えば、接続面の中央部よりも上方に係止部が形成されていたとしても、接続面の中央部が外部に露出していれば、外部導電部品と接続することができる。例えば、外部導電部品(バスバー等)に下方に突出する突起を形成すれば、接続面の中央部よりも上方に係止部が配置されていたとしても、外部導電部品と接続面の中央部とを接続できる。
【0061】
以上、ここに開示される技術を詳細に説明した。しかし、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。すなわち、ここに開示される技術は、以下の項目1~項目6に記載の形態を包含する。
【0062】
[項目1]
電極体と、
前記電極体を収容するケースと
を備え、
前記ケースは、
貫通孔を有するケース部品と、
前記貫通孔に挿入された電極端子と、
前記貫通孔を封止し、前記ケース部品および前記電極端子と一体化された樹脂部材であるシール材と
を含み、
前記電極端子は、
前記貫通孔に挿入された軸部と、
前記ケース部品に沿うように配置された板部と、
を有し、
前記板部は、
前記ケースの外部に露出する接続面と、
前記接続面と反対側の裏面と、
前記接続面および前記裏面に連続する側面と
を備え、
前記シール材は、
前記板部の前記裏面と前記ケース部品を覆うベース部と、
前記ベース部と連続しており、前記板部の前記側面を覆う側面保護部と、
前記側面保護部の上端と連続しており、前記接続面の周縁部の少なくとも一部を覆う係止部と
を備えている、蓄電デバイス。
【0063】
[項目2]
前記係止部は、前記接続面の周縁部を全周に亘って連続的に覆っている、項目1に記載の蓄電デバイス。
【0064】
[項目3]
前記板部は、平面形状が矩形の板状部分であり、
前記係止部は、平面矩形の前記板部の前記接続面の四隅の上面を覆っている、項目1に記載の蓄電デバイス。
【0065】
[項目4]
前記接続面の中央部と周縁部との間に、前記接続面から窪んだ凹部が形成されている、項目1~3のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【0066】
[項目5]
前記係止部の高さ位置は、前記接続面の中央部の高さ位置以下である、項目1~4のいずれか一項に記載の蓄電デバイス。
【0067】
[項目6]
貫通孔を有するケース部品を準備する工程と、
前記貫通孔に電極端子を挿入する工程と、
前記ケース部品および前記電極端子を金型の内部空洞に配置する工程と、
前記金型の前記内部空洞に樹脂を注入し、前記ケース部品と、前記貫通孔を封止するシール材とを一体成型する工程と
を含み、
前記電極端子は、
前記貫通孔に挿入される軸部と、
当該軸部が前記貫通孔に挿入された際に、前記ケース部品に沿うように配置される板部と
を有し、
前記板部は、
前記ケース部品の外部に露出する接続面と、
前記接続面と反対側の裏面と、
前記接続面および前記裏面に連続する側面と、
を備え、
前記金型は、
前記板部の前記接続面の中央部と面接触するキャビティ面である第1面と、
前記板部の前記側面と間隔を空けて対向するキャビティ面である第3面と、
を備えており、
前記配置する工程において、前記板部の前記側面と前記金型の前記第3面との間に樹脂流路を形成し、かつ、前記板部の前記接続面の周縁部の少なくとも一部と前記金型の前記第1面との間に前記樹脂流路と連通する隙間を形成し、
前記一体成型する工程において、前記樹脂流路を介して前記隙間に樹脂を充填する、蓄電デバイスの製造方法。
【符号の説明】
【0068】
10 :ケース
12 :ケース本体
14 :封口板
20 :電極端子
22 :軸部
24 :板部
30 :シール材
32 :ベース部
34 :内部絶縁部
36 :側面保護部
38 :外部絶縁部
39 :係止部
40 :電極体
100 :蓄電デバイス
M :金型
Mc :内部空洞
Mc0 :樹脂遮断部
Mc1 :第1充填空間
Mc2 :第2充填空間
Mc3 :樹脂流路
Mc4 :第4充填空間
Mcs :キャビティ面