(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025141337
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】車載機器の支持装置および被ガイド体
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20250919BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20250919BHJP
【FI】
B60R16/02 610J
B60R11/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041223
(22)【出願日】2024-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大弥
(72)【発明者】
【氏名】曽根 康介
(72)【発明者】
【氏名】志田 友香
(72)【発明者】
【氏名】大野 真実
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020BA01
3D020BB01
3D020BC04
3D020BD02
3D020BD11
(57)【要約】
【課題】車載機器の後付けが可能であり、かつ、車載機器の取付位置の自由度を向上させる。
【解決手段】車載機器50の支持装置20は、車載機器50を含む被ガイド体40を支持する。車載機器50の支持装置20は、被ガイド体40を第1方向(X方向)に案内する第1ガイドレール21と、被ガイド体40を第1方向(X方向)と異なる第2方向(Y方向)に案内する第2ガイドレール22と、を備える。第1ガイドレール21から第2ガイドレール22に対して被ガイド体40がスライド移動可能なように、第1ガイドレール21が第2ガイドレール22に接続される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載機器を含む被ガイド体を支持する車載機器の支持装置であって、
前記被ガイド体を第1方向に案内する第1ガイドレールと、
前記被ガイド体を前記第1方向と異なる第2方向に案内する第2ガイドレールと、を備え、
前記第1ガイドレールから前記第2ガイドレールに対して前記被ガイド体がスライド移動可能なように、前記第1ガイドレールが前記第2ガイドレールに接続される、車載機器の支持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載機器の支持装置であって、
前記第1ガイドレールは前記被ガイド体の一部がスライド可能な第1ガイド面を有し、
前記第2ガイドレールが前記被ガイド体の一部がスライド可能な第2ガイド面を有し、
前記第2ガイドレールが、前記第1ガイドレールに対して、前記第1ガイド面の延長上に前記第2ガイド面が位置するように接続される、車載機器の支持装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車載機器の支持装置であって、
前記被ガイド体は、板状体と、前記第1ガイドレールの前記第1ガイド面および前記第2ガイドレールの前記第2ガイド面をスライドするスライド部と、前記板状体と前記スライド部とを接続する接続部と、を有し、
前記第1ガイドレールは、前記第1ガイド面に隣接する第1スリットを有し、
前記第2ガイドレールは、前記第2ガイド面に隣接し、前記第1スリットと連通する第2スリットを有し、
前記スライド部が前記第1ガイド面をスライドする状態で、前記接続部が前記第1スリットを上下方向に通過して前記板状体を支持し、
前記スライド部が前記第2ガイド面をスライドする状態で、前記接続部が前記第2スリットを上下方向に通過して前記板状体を支持する、車載機器の支持装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車載機器の支持装置であって、
前記第2ガイドレールは、前記第1ガイドレールの前記第1方向の端部外側に配置され、
前記第2ガイドレールは、前記被ガイド体を外側から前記第1ガイドレールへ誘導する誘導路を有し、
前記誘導路は、外側から前記第2スリットに繋がる第3スリットを含む、車載機器の支持装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車載機器の支持装置であって、
互いに平行な少なくとも2本の前記第1ガイドレールを備える、車載機器の支持装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車載機器の支持装置あって、
互いに平行な少なくとも2本の前記第2ガイドレールを備える、車載機器の支持装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車載機器の支持装置であって、
前記第1方向は車両の幅方向であり、
前記第2方向は前記車両の前後方向であり、
前記第1ガイドレールは、前記車両の前後方向においてドア開口部の範囲内に位置する、車載機器の支持装置。
【請求項8】
請求項7に記載の車載機器の支持装置であって、
前記第2ガイドレールは、前記車両の前後方向において前記ドア開口部の範囲内に位置するドア開口領域内部分と、前記車両の前後方向において前記ドア開口部の範囲外に位置するドア開口領域外部分とを含む、車載機器の支持装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車載機器の支持装置であって、
前記第2ガイドレールは、前記被ガイド体が固定されるための複数の固定部を有する、車載機器の支持装置。
【請求項10】
第1方向に延びる第1ガイドレールと、前記第1ガイドレールと異なる第2方向に延びる第2ガイドレールとに案内される被ガイド体であって、
板状体と、
前記第1ガイドレールの第1ガイド面および前記第2ガイドレールの第2ガイド面をスライドするスライド部と、
前記板状体と前記スライド部とを接続する接続部と、を有し、
前記接続部は、前記スライド部が前記第1ガイド面をスライドする状態で、前記第1ガイド面の縁の外側を上下方向に通過して前記板状体を支持し、前記スライド部が前記第2ガイド面をスライドする状態で、前記第2ガイド面の縁の外側を上下方向に通過して前記板状体を支持する、被ガイド体。
【請求項11】
請求項10に記載の被ガイド体であって、
前記スライド部は、前記第1ガイド面をスライドする第1スライド部と、前記第2ガイド面をスライドする第2スライド部とを有し、
前記第1スライド部と前記第2スライド部とは、平面視において異なる方向に延出する、被ガイド体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載機器を含む被ガイド体を支持する車載機器の支持装置、および、被ガイド体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両の天井とルーフライナとの間に配置されるワイヤハーネス組付体を開示している。特許文献1のワイヤハーネス組付体は、防音材と、保護材と、複数のワイヤハーネスとを備えている。複数のワイヤハーネスは、防音材と保護剤との間に配置される。ワイヤハーネス組付体には、取付用窓部が形成されている。各種の電装機器が、取付用窓部内に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の機能を追加したいという要望に応えるため、車載機器が後付け可能であることが望まれている。このように後付けされる車載機器の取付位置の自由度を向上させることが望まれている。
【0005】
そこで、本開示は、車載機器の後付けが可能であり、かつ、車載機器の取付位置の自由度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車載機器の支持装置は、車載機器を含む被ガイド体を支持する車載機器の支持装置であって、前記被ガイド体を第1方向に案内する第1ガイドレールと、前記被ガイド体を前記第1方向と異なる第2方向に案内する第2ガイドレールと、を備え、前記第1ガイドレールから前記第2ガイドレールに対して前記被ガイド体がスライド移動可能なように、前記第1ガイドレールが前記第2ガイドレールに接続される。
【0007】
また、本開示の被ガイド体は、第1方向に延びる第1ガイドレールと、前記第1ガイドレールと異なる第2方向に延びる第2ガイドレールとに案内される被ガイド体であって、板状体と、前記第1ガイドレールの第1ガイド面および前記第2ガイドレールの第2ガイド面をスライドするスライド部と、前記板状体と前記スライド部とを接続する接続部と、を有し、前記接続部は、前記スライド部が前記第1ガイド面をスライドする状態で、前記第1ガイド面の縁の外側を上下方向に通過して前記板状体を支持し、前記スライド部が前記第2ガイド面をスライドする状態で、前記第2ガイド面の縁の外側を上下方向に通過して前記板状体を支持する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、車載機器の後付けが可能であり、かつ、車載機器の取付位置の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は車載機器の支持装置が取り付けられる車両の一例を示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は車両において車載機器の支持装置が取り付けられる位置を車両の側方から示す概略図である。
【
図3】
図3は本開示の車載機器の支持装置を上方から示す概略斜視図である。
【
図4】
図4は本開示の車載機器の支持装置を下方から示す概略斜視図である。
【
図5】
図5は第1ガイドレールと第2ガイドレールとの接続部分を拡大して示す概略斜視図である。
【
図6】
図6はスライド部と第1ガイドレールとの寸法の関係を示す説明図である。
【
図7】
図7はスライド部と第2ガイドレールとの寸法の関係を示す説明図である。
【
図8】
図8は被ガイド体を上方から示す斜視図である。
【
図9】
図9は被ガイド体を下方から示す斜視図である。
【
図10】
図10は被ガイド体のスライド部を拡大して示す拡大斜視図である。
【
図11】
図11は車両に固定される車載機器の支持装置に対して被ガイド体が取り付けられる様子を示す概略斜視図である。
【
図13】
図13はスライド部が車載機器の支持装置で移送される様子を下方から示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
【0011】
本開示の車載機器の支持装置は、次の通りである。
【0012】
(1)車載機器を含む被ガイド体を支持する車載機器の支持装置であって、前記被ガイド体を第1方向に案内する第1ガイドレールと、前記被ガイド体を前記第1方向と異なる第2方向に案内する第2ガイドレールと、を備え、前記第1ガイドレールから前記第2ガイドレールに対して前記被ガイド体がスライド移動可能なように、前記第1ガイドレールが前記第2ガイドレールに接続される。これにより、車載機器の後付けが可能であり、かつ、車載機器の取付位置の自由度が向上する。
【0013】
(2)(1)の車載機器の支持装置であって、前記第1ガイドレールは前記被ガイド体の一部がスライド可能な第1ガイド面を有し、前記第2ガイドレールが前記被ガイド体の一部がスライド可能な第2ガイド面を有し、前記第2ガイドレールが、前記第1ガイドレールに対して、前記第1ガイド面の延長上に前記第2ガイド面が位置するように接続される。これにより、被ガイド体が第1ガイドレールと第2ガイドレールとの間でスムーズに移送可能となる。
【0014】
(3)(2)の車載機器の支持装置であって、前記被ガイド体は、板状体と、前記第1ガイドレールの前記第1ガイド面および前記第2ガイドレールの前記第2ガイド面をスライドするスライド部と、前記板状体と前記スライド部とを接続する接続部と、を有し、前記第1ガイドレールは、前記第1ガイド面に隣接する第1スリットを有し、前記第2ガイドレールは、前記第2ガイド面に隣接し、前記第1スリットと連通する第2スリットを有し、前記スライド部が前記第1ガイド面をスライドする状態で、前記接続部が前記第1スリットを上下方向に通過して前記板状体を支持し、前記スライド部が前記第2ガイド面をスライドする状態で、前記接続部が前記第2スリットを上下方向に通過して前記板状体を支持する。これにより、被ガイド体が第1スリットと第2スリットとの間で移送可能となる。
【0015】
(4)(3)の車載機器の支持装置であって、前記第2ガイドレールは、前記第1ガイドレールの前記第1方向の端部外側に配置され、前記第2ガイドレールは、前記被ガイド体を外側から前記第1ガイドレールへ誘導する誘導路を有し、前記誘導路は、外側から前記第2スリットに繋がる第3スリットを含む。これにより、被ガイド体が外側から第1ガイドレールへ誘導される。
【0016】
(5)(1)から(4)のいずれか1つの車載機器の支持装置であって、互いに平行な少なくとも2本の前記第1ガイドレールを備える。これにより、被ガイド体が安定した姿勢で案内される。
【0017】
(6)(1)から(5)のいずれか1つの車載機器の支持装置であって、互いに平行な少なくとも2本の前記第2ガイドレールを備える。これにより、被ガイド体が安定した姿勢で案内される。
【0018】
(7)(1)から(6)のいずれか1つの車載機器の支持装置であって、前記第1方向は車両の幅方向であり、前記第2方向は前記車両の前後方向であり、前記第1ガイドレールは、前記車両の前後方向においてドア開口部の範囲内に位置する。これにより、被ガイド体のドア開口部からの取り付けや取り外しが行い易い。
【0019】
(8)(7)の車載機器の支持装置であって、前記第2ガイドレールは、前記車両の前後方向において前記ドア開口部の範囲内に位置するドア開口領域内部分と、前記車両の前後方向において前記ドア開口部の範囲外に位置するドア開口領域外部分とを含む。これにより、ドア開口領域外部分にまで被ガイド体の取り付けの範囲が拡大する。
【0020】
(9)(1)から(8)のいずれか1つの車載機器の支持装置であって、前記第2ガイドレールは、前記被ガイド体が固定されるための複数の固定部を有する。これにより、被ガイド体の固定位置が選択可能である。
【0021】
(10)第1方向に延びる第1ガイドレールと、前記第1ガイドレールと異なる第2方向に延びる第2ガイドレールとに案内される被ガイド体であって、板状体と、前記第1ガイドレールの第1ガイド面および前記第2ガイドレールの第2ガイド面をスライドするスライド部と、前記板状体と前記スライド部とを接続する接続部と、を有し、前記接続部は、前記スライド部が前記第1ガイド面をスライドする状態で、前記第1ガイド面の縁の外側を上下方向に通過して前記板状体を支持し、前記スライド部が前記第2ガイド面をスライドする状態で、前記第2ガイド面の縁の外側を上下方向に通過して前記板状体を支持する。これにより、被ガイド体が第1ガイドレールと第2ガイドレールとの間で移送可能となる。
【0022】
(11)(10)の被ガイド体であって、前記スライド部は、前記第1ガイド面をスライドする第1スライド部と、前記第2ガイド面をスライドする第2スライド部とを有し、前記第1スライド部と前記第2スライド部とは、平面視において異なる方向に延出する。これにより、第1ガイドレール21と第2ガイドレール22との間で被ガイド体が移送されるときに、被ガイド体の向きの変化量が低減される。
【0023】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の車載機器を含む被ガイド体を支持する車載機器の支持装置、および、被ガイド体の具体例を、以下の図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0024】
以下、本開示にかかる車載機器の支持装置、および、被ガイド体について説明する。
【0025】
<車載機器の支持装置が取り付けられる車両全体の説明>
図1は、車載機器50(
図7参照)の支持装置20が取り付けられる車両10の一例を示す概略斜視図である。
図2は、車両10において車載機器50の支持装置20が取り付けられる位置を車両10の側方から示す概略図である。
図2において、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向が示されている。本開示において、X方向が車両10の幅方向とされ、Y方向が車両10の前後方向とされ、Z方向が鉛直方向とされるものとする。
【0026】
車両10は、ボディ12を備える。ボディ12は、車両10の外形をなす部分である。ボディ12はモノコックボディであってもよいし、ラダーフレーム上に搭載されるボディであってもよい。ここでは、ボディ12は、車室を囲む側方パネル、ルーフパネル13、さらには、乗員が乗り降りするための乗降用ドアパネル14、荷物を出し入れするためのリアドアパネル等を含む。乗降用ドアパネル14が開けられたとき、ボディ12においてドア開口部17が開放状態となる。ボディ12のうち車室の上方を覆う板状の部分がルーフパネル13である。つまり、ルーフパネル13は、車両10の屋根部分11を形成する。ルーフパネル13および乗降用ドアパネル14は、ボディ12の外観形状を形作るべく一部又は全体的に湾曲していてもよい。ルーフパネル13および乗降用ドアパネル14は、金属で形成されていても、樹脂で形成されていても、金属と樹脂との組み合わせによって構成されていてもよい。ルーフパネル13は、車両前後方向(Y方向)に間隔をあけて配置される複数のリインフォース15で補強されている。このリインフォース15は、車両幅方向(X方向)に延在する。
【0027】
車載機器50の支持装置20は、車両10において外観をなすボディ12と、車室内を向く内装部材16との間の配置空間に配置される。本実施形態の車載機器50の支持装置20は、車載機器50を含む被ガイド体40(
図6および
図7参照)を支持する。本実施形態においては、車載機器50の支持装置20が、リインフォース15に固定される例が説明される。
図2に示すように、車載機器50の支持装置20に形成される固定部22eがリインフォース15に対して粘着テープ60により貼着されることにより、車載機器50の支持装置20がリインフォース15に固定される。なお、車載機器50の支持装置20のリインフォース15への固定は、粘着テープ60による貼着に限られず、ネジによる固定、結束バンドによる固定など種々の固定構造が採用されても良い。例えば、粘着テープ60又は結束バンドによる固定であれば、リインフォース15に支持装置20を固定するための形状を予め形成しておかなくても、支持装置20をリインフォース15に固定できる。
【0028】
内装部材16は、樹脂等で形成された板状部材である。内装部材16は、車室内に露出する部分である。内装部材16は、一部又は全体的に湾曲していてもよい。屋根部分11における内装部材16は、ルーフパネル13に対して鉛直方向下側に取り付けられる。屋根部分11における内装部材16は、車室内の天井形状を形作る部分である。屋根部分11における内装部材16は、ルーフライナ(rооf liner)16と呼ばれることもある。車載機器50の支持装置20に支持される後付けの車載機器50において、車室内に露出することが望まれる機器以外の部分は、内装部材16によって、車室内から隠されている。
【0029】
図1および
図2に示すように、ドア開口領域内部分R1は、車両10の前後方向(Y方向)においてドア開口部17の範囲内に位置する。また、ドア開口領域外部分R2は、車両10の前後方向(Y方向)においてドア開口部17の範囲外に位置する。ドア開口部17は、例えば、スライドドアによって開閉される開口である。スライドドアによって開閉されるドア開口部17の外側空間は、ヒンジを中心として開閉する開口の外側空間と比べて、ドアに邪魔されることなく大きく開く。このため、車載機器50を車室内に持込むための開口として適している。車載機器50の支持装置20の第2ガイドレール22(後に詳細に説明する。)は、ドア開口領域内部分R1と、ドア開口領域外部分R2とを含んで配置される。本実施形態においては、第2ガイドレール22は、ドア開口領域内部分R1全域と、ドア開口領域内部分R1の前方に隣接するドア開口領域外部分R2と、ドア開口領域内部分R1の後方に隣接するドア開口領域外部分R2とを含む。このように、第2ガイドレール22がドア開口領域内部分R1と、ドア開口領域外部分R2とを含むことから、車載機器50の支持領域がドア開口領域内部分R1だけでなく、ドア開口領域外部分R2にも拡張可能である。つまり、このような構成により、被ガイド体40の取り付けの範囲が拡大する。
【0030】
車載機器50の支持装置20において、後に詳細に説明する被ガイド体40のスライド部42の入り口としての開口22hは、例えばドア開口領域内部分R1に形成される。このような構成であれば、被ガイド体40がドア開口部17から取り付け(または取り外し)されやすい(
図9参照)。本実施形態においては、後述するとおり、2本の第2ガイドレール22により第1ガイドレール21の長手方向を挟んでいる。このため、
図9におけるドア開口部17と反対側のドア開口部(図示省略)からも被ガイド体40が取り付け可能である。つまり、対向する両方のドア開口部から被ガイド体40が取り付け可能なので、被ガイド体40の取付け作業性が高まる。なお、2本の第2ガイドレール22のうちの一方にのみ、開口22hが形成されていてもよい。
【0031】
<車載機器の支持装置の構成>
図3は、本開示の車載機器50の支持装置20を上方から示す概略斜視図である。
図4は、本開示の車載機器50の支持装置20を下方から示す概略斜視図である。
図5は、第1ガイドレール21と第2ガイドレール22との接続部分を拡大して示す概略斜視図である。なお、
図3および
図4において、車載機器50の支持装置20はリインフォース15とともに図示される。
【0032】
車載機器50の支持装置20は、第1ガイドレール21と、第2ガイドレール22とを備える。支持装置20は、互いに平行な3本の第1ガイドレール21を備える。また、支持装置20は、互いに平行な2本の第2ガイドレール22を備える。第1ガイドレール21および第2ガイドレール22の数は上記に限定されないが、少なくとも2本である方が、被ガイド体40が安定した姿勢で案内される。
【0033】
第1ガイドレール21は、被ガイド体40を第1方向に案内する。なお、本実施形態において、第1方向は車両10の幅方向(X方向)である。第1ガイドレール21は、車両10の前後方向(Y方向)においてドア開口部17の範囲内に位置する(
図2参照)。これにより、被ガイド体40のドア開口部17からの取り付けや取り外しが行い易い。
【0034】
また、本実施形態では、3本の第1ガイドレール21が備えられる。3本の第1ガイドレール21が備えられることにより、被ガイド体40のスライド部42が案内される第1ガイドレール21が3本のうちから選択可能である。例えば、最終的に被ガイド体40を配置したい位置の近くにある第1ガイドレール21が選択可能である。また、3本のうち車両10の前方にある第1ガイドレール21と後方にある第1ガイドレール21とを利用することにより、サイズの大きい被ガイド体40にも対応可能である。なお、このような事情から、3本よりも多くの第1ガイドレール21が備えられ、第1ガイドレール21の選択可能性が高められても良い。
【0035】
第1ガイドレール21は、第1ガイド面21aと、第1スリット21bとを有する。第1ガイド面21aは第1方向に沿って長い上向きの面である。そして、被ガイド体40の一部が第1ガイド面21a上をスライド可能となっている。第1スリット21bは、第1ガイド面21aに隣接する。本実施形態においては、第1ガイドレール21は、一対の第1ガイド面21aを有しており、第1スリット21bは、一対の第1ガイド面21aの間に第1ガイド面21aの案内方向(第1方向)に沿って形成される。
【0036】
本実施形態では、第1ガイドレール21は、上方が開口する四角筒状部材である。第1ガイドレール21の第1方向は四角筒状部材の長手方向である。第1ガイドレール21において、内部底面が第1ガイド面21aである。また、当該内部底面には、第1スリット21bが第1方向(長手方向)の全域に形成されている。この第1スリット21bは、内部底面から外部にかけて貫通している。つまり、第1スリット21bにより、四角筒状部材は二つに分割されている。本実施形態においては、第1方向は車両10の幅方向(X方向)である。
【0037】
第1スリット21bには、被ガイド体40の一部が上下方向に通過するように、被ガイド体40が配置される。被ガイド体40の一部は、第1ガイド面21aの縁の外側を上下方向に通過するように配置される。第1スリット21bを上下方向に通過する被ガイド体40の一部(第1ガイド面21aの縁の外側を上下方向に通過する被ガイド体40の一部)は接続部43である。第1スリット21bは、スライド部42の一対の第1スライド部42a(一対の第1ガイド面21aに案内される部分)が第1スリット21bに落ちないように、第1スライド部42aの位置が規制される構造になっている。
【0038】
図6は、スライド部42と第1ガイドレール21との寸法の関係を示す説明図である。
図6に示すように、第1スリット21bのY方向の寸法LBは、接続部43のY方向の寸法LY1よりも大きく設定されている。具体的には、第1スリット21bと接続部43のY方向の寸法LY1とは、一方の第1スライド部42aが第1スリット21bに落ちる前に接続部43が第1スリット21bの端部(第1ガイド面21aの端面)に当接する程度の寸法で、設定されている。このような寸法の設定により、第1スライド部42aの第1ガイド面21a上での配置が維持される。
【0039】
また、第1スライド部42aの位置が規制される構造として、上述の接続部43と第1スリット21bとの関係が採用されてもよい。例えば、第1スライド部42aの位置の規制は、第1ガイド側面21dにより行われる。第1ガイド側面21dは、第1ガイドレール21の側壁の内面である。この第1ガイドレール21の側壁の内面が、一対の第1ガイド側面21dとなる。第1ガイド側面21dは、第1ガイド面21aの幅方向端部から鉛直方向(Z方向)上方に向かって延びる。
図6に示すように、一対の第1ガイド側面21dの間の距離LAは、一対の第1スライド部42aの両端部の間の距離LX1よりも大きく設定されている。具体的には、一対の第1ガイド側面21dの間の距離LAと第1スライド部42aの両端部の間の距離LX1とは、一方の第1スライド部42aが第1スリット21bに落ちる前に他方の第1スライド部42aが第1ガイド側面21dに当接する程度の寸法で、設定されている。このような寸法の設定により、第1スライド部42aの第1ガイド面21a上での配置が維持される。
【0040】
次に、第2ガイドレール22について説明する。第2ガイドレール22は、被ガイド体40を第1方向と異なる第2方向に案内する。なお、本実施形態において、第2方向は車両10の前後方向(Y方向)である。第2ガイドレール22は、ドア開口領域内部分R1全域と、ドア開口領域内部分R1の前方に隣接するドア開口領域外部分R2と、ドア開口領域内部分R1の後方に隣接するドア開口領域外部分R2とを含む(
図1および
図2参照)。このように、第2ガイドレール22がドア開口領域内部分R1と、ドア開口領域外部分R2とを含むことから、被ガイド体40がドア開口領域内部分R1だけでなく、ドア開口領域外部分R2にも案内される。つまり、このような構成により、被ガイド体40の取り付け可能な範囲が拡大する。
【0041】
また、本実施形態では、2本の第2ガイドレール22が備えられる。この2本の第2ガイドレール22により被ガイド体40が支持されて案内される。このため、1本の第1ガイドレール21の場合よりも、被ガイド体40が安定した姿勢で案内される。なお、第1ガイドレール21と同様に、3本以上の第2ガイドレール22が備えられても良い。
【0042】
第2ガイドレール22は、第2ガイド面22aと、第2スリット22bとを有する。第2ガイド面22aは第2方向に沿って長い上向きの面である。そして、被ガイド体40の一部が第2ガイド面22a上をスライド可能となっている。第2スリット22bは、第2ガイド面22aに隣接する。本実施形態においては、第2ガイドレール22は、一対の第2ガイド面22aを有しており、第2スリット22bは、一対の第2ガイド面22aの間に第2ガイド面22aの案内方向(第2方向)に沿って形成される。
【0043】
第2ガイドレール22は、上方の一部が開口する四角筒状部材である。第2ガイドレール22の第2方向は四角筒状部材の長手方向とする。第2ガイドレール22において、内部底面が被ガイド体40の第2ガイド面22aとなっている。また、内部底面には、第2方向(長手方向)の全域に第2スリット22bが形成されている。この第2スリット22bは、内部底面から外部にかけて貫通している。つまり、第2スリット22bにより、内部底面(第2ガイド面22a)は二つに分割されている。なお、本実施形態の第2ガイドレール22の上方の開口の一部に複数の板状部材が接合される。この複数の板状部材が、
図2に示す固定部22eとなる。
【0044】
本実施形態においては、第2方向は車両10の前後方向(Y方向)である。つまり、第1ガイドレール21と第2ガイドレール22とは互いに直交する方向に配置される。なお、第1ガイドレール21と第2ガイドレール22とが互いに直交する方向に配置される構成に限定されない。被ガイド体40を第1ガイドレール21の案内方向(第1方向)と異なる第2方向に案内する第2ガイドレール22が採用されれば良い。
【0045】
第2スリット22bには、被ガイド体40の一部が上下方向に通過するように、被ガイド体40が配置される。被ガイド体40の一部は、第2ガイド面22aの縁の外側を上下方向に通過するように配置される。第2スリット22bを上下方向に通過する被ガイド体40の一部(第2ガイド面22aの縁の外側を上下方向に通過する被ガイド体40の一部)は接続部43である。第2スリット22bは、スライド部42の一対の第2スライド部42b(一対の第2ガイド面22aに案内される部分)が第2スリット22bに落ちないように、第2スライド部42bの位置が規制される構造になっている。
【0046】
図7は、スライド部42と第2ガイドレール22との寸法の関係を示す説明図である。
図7に示すように、第2スリット22bのX方向の寸法LDは、接続部43のX方向の寸法LY2よりも大きく設定されている。具体的には、第2スリット22bと接続部43のX方向の寸法LY2とは、一方の第2スライド部42bが第2スリット22bに落ちる前に接続部43が第2スリット22bの端部(第2ガイド面22aの縁)に当接する程度の寸法で、設定されている。このような寸法の設定により、第2スライド部42bの第2ガイド面22a上での配置が維持される。
【0047】
また、第2スライド部42bの位置が規制される構造として、上述の接続部43と第2スリット22bとの関係が採用されてもよい。例えば、第2スライド部42bの位置の規制は、第2ガイド側面22jにより行われる。第2ガイド側面22jは、第2ガイドレール22の側壁の内面である。この第2ガイドレール22の側壁の内面が、一対の第2ガイド側面22jとなる。第2ガイド側面22jは、底面となる第2ガイド面22aの幅方向端部から鉛直方向(Z方向)上方に向かって延びる。
図7に示すように、一対の第2ガイド側面22jの間の距離LCは、一対の第2スライド部42bの両端部の間の距離LX2よりも大きく設定されている。具体的には、一対の第2ガイド側面22jの間の距離LCと第2スライド部42bの両端部の間の距離LX2とは、一方の第2スライド部42bが第2スリット22bに落ちる前に他方の第2スライド部42bが第2ガイド側面22jに当接する程度の寸法で、設定されている。このような寸法の設定により、第2スライド部42bの第2ガイド面22a上での配置が維持される。
【0048】
次に、第1ガイドレール21と第2ガイドレール22との接合について説明する。3本の第1ガイドレール21の長手方向の各端面にそれぞれ第2ガイドレール22の側壁が接合される。3本の第1ガイドレール21は、2本の第2ガイドレール22に挟まれて配置される。
【0049】
より具体的には、第2ガイドレール22は、第1ガイドレール21の第1方向(X方向)の端部の両外側に配置される。
図3ないし
図5に示すように、第1ガイドレール21は、後述する第1ガイド側面21dの長手方向端部から第2ガイドレール22の長手方向に沿って延びる延設部21cを有する。この延設部21cが、第2ガイドレール22の第2ガイド側面22jに溶接されている。これにより、第1ガイドレール21と第2ガイドレール22とが接合される。なお、第1ガイドレール21と第2ガイドレール22とは、上述の溶接に限らず、例えばネジによる固定やシール部材による固定など、種々の接合手段によって接合されてもよい。このように、第1ガイドレール21と第2ガイドレール22とが接合されることによって、第1スリット21bにより二つに分割される第1ガイドレール21が四角筒状の形状を維持している。すなわち、第1ガイドレール21が、一対の第1ガイド面21aと、一対の第1ガイド面21aに挟まれる第1スリット21bとを有するように配置される。
【0050】
また、第2ガイドレール22は、第1スリット21bと第2スリット22bとを連通する連通路22cをさらに有する。この連通路22cは、第1スリット21bと第2スリット22bとを繋ぐスリットである。連通路22cは、第2ガイドレール22の底板のうち第2スリット22bから第1ガイドレール21側に延びる。連通路22cの一方側の開口は、第1スリット21bの一方側開口と対向する。連通路22cの他方側の開口は、第2スリット22bの長手方向の途中に合流するように連なる。これにより、第1スリット21bと第2スリット22bとの間で被ガイド体40(接続部43)の行き来が可能となる。なお、連通路22cは第1スリット21bの延長上に形成される。
【0051】
第2ガイドレール22は、被ガイド体40を外側から第1ガイドレール21へ誘導する誘導路22fを有する。ここで、外側とは支持装置20の外側のことである。誘導路22fは開口22hと連通している。開口22hから挿入された被ガイド体40は誘導路22fに誘導されて第1ガイドレール21へ移動する。誘導路22fは、外側から第2スリット22bに繋がる第3スリット22gを含む。本実施形態においては、誘導路22fは、連通路22cと第3スリット22gとで構成される。連通路22cおよび第3スリット22gとは、第1スリット21bの延長上に形成される。このような誘導路22fを有することにより、被ガイド体40が外側から第1ガイドレール21へ誘導される。また、第3スリット22gを有することにより、被ガイド体40が外側から第2ガイドレール22へも誘導される。
【0052】
さらに、一対の第2ガイド側面22jのうち外側に配置される第2ガイド側面22jには、第2ガイドレール22の外側の側面には、第3スリット22gに連通する開口22hが形成される。この開口22hから被ガイド体40の一部(スライド部42)が導入される(
図10参照)。また、一対の第2ガイド側面22jのうち第1ガイドレール21側の第2ガイド側面22jには、被ガイド体40が第1ガイドレール21に移動可能なように、開口22kが形成される。この開口22kは、例えば開口22hと対向する位置に形成される。開口22hは第3スリット22gと連通しており、開口22kは連通路22cと連通している。そして、開口22h、第3スリット22g、連通路22c、開口22k、および、第1スリット21bが例えば、第2スリット22bを横切るようにして直線上に形成される。これにより、外側から開口22hを介して支持装置20へと導かれた被ガイド体40が直線上に導かれて第1ガイドレール21へとスムーズに移動可能である。なお、開口22h、第3スリット22g、連通路22c、開口22k、第1スリット21bが直線上に形成される構成に限定されない。開口22h、第3スリット22g、連通路22c、開口22k、および、第1スリット21bがそれぞれ相互に連通していれば良い。
【0053】
なお、
図1、
図3及び
図4において示すように、2本の第2ガイドレール22のうち、車両10の前方を向いて右側のものが第2ガイドレール22Aであり、左側のものが第2ガイドレール22Bである。第2ガイドレール22Aの開口22hがドア開口部17、第2ガイドレール22Bの開口22hはドア開口部17の反対側のドア開口部(図示しない)を向くように、2本の第2ガイドレール22が配置される。
【0054】
また、上述のように開口22h、第3スリット22g、連通路22c、開口22k、第1スリット21bが第2スリット22bを横切るようにして直線上に形成されると、第3スリット22gと第2スリット22bが連通される。また、連通路22cと第2スリット22bも連通される。このため、被ガイド体40は、外側から第1ガイドレール21に案内されることも外側から第2ガイドレール22に案内されることも可能な構成である。また被ガイド体40は、第1ガイドレール21から第2ガイドレール22に案内されることも可能な構成となる。
【0055】
また、第2ガイドレール22の第2ガイド面22aには、被ガイド体40が固定されるための固定部22iが形成される(
図13参照)。固定部22iは、ネジの貫通穴であり、被ガイド体40とともにネジで固定される。本実施形態においては、固定部22iが複数形成される。複数の固定部22iは、第2ガイドレール22の案内方向(Y方向)に沿って、等間隔に形成される。これにより、被ガイド体40の第2ガイドレール22上での固定位置が選択可能である。つまり、第2ガイドレール22上の複数の固定部22iの中から、被ガイド体40が固定される固定部22iが選択される。これにより、被ガイド体40の取付位置の自由度が向上する。本実施形態においては、1つの固定部22iは、例えばネジの貫通穴である。1つの固定部22iに対して、1つの貫通穴が形成される。なお、固定部22iは、ネジによる固定に限られず、粘着テープによる貼着、結束バンドによる固定など種々の固定構造により固定されても良い。
【0056】
次に、第1ガイドレール21と第2ガイドレール22との配置関係について説明する。第1ガイドレール21から第2ガイドレール22に対して被ガイド体40がスライド移動可能なように、第1ガイドレール21が第2ガイドレール22に接続される。本実施形態では、第2ガイドレール22は、第1ガイドレール21に対して、第1ガイド面21aの延長上に第2ガイド面22aが位置するように接続される。ここで、仮に、第2ガイドレール22が第1ガイドレール21に対して、第1ガイド面21aの延長上に第2ガイド面22aが位置しない場合、つまり、第1ガイド面21aと第2ガイド面22aとの間に段差が生じる場合、被ガイド体40がこの段差に引っ掛かって、第1ガイド面21aと第2ガイド面22aとの間でスムーズに移動されない。本実施形態においては、第2ガイドレール22は、第1ガイドレール21に対して、第1ガイド面21aの延長上に第2ガイド面22aが位置するように接続される構成が採用されることにより、被ガイド体40が第1ガイドレール21と第2ガイドレール22との間でスムーズに移動されることができる。
【0057】
特に、第1ガイドレール21と左右の第2ガイドレール22との間に段差がないため、左右のいずれから被ガイド体40をスライド移動させても、被ガイド体40が第1ガイドレール21と左右の第2ガイドレール22との各境界で引っ掛り難い。
【0058】
<被ガイド体40の構成>
図8は、被ガイド体40を上方から示す斜視図である。
図9は、被ガイド体40を下方から示す斜視図である。また、
図10は、被ガイド体40のスライド部42を拡大して示す拡大斜視図である。なお、
図8においては被ガイド体40に固定される車載機器50を固定するためのネジとナットが共に図示され、
図9においては被ガイド体40に固定される車載機器50が共に図示されている。
【0059】
被ガイド体40は、板状体41と、スライド部42と、板状体41とスライド部42とを接続する接続部43とを有する。板状体41は矩形状に形成される。板状体41の平面には、厚み方向に貫通する複数のネジ穴41aが形成される。ネジ穴41aは、板状体41の平面の縦方向(X方向)と横方向(Y方向)とに等間隔に形成される。ネジ穴41aと車載機器50(本実施形態において、より詳細には、車載機器50を取り付けている固定板51)の固定部とがネジ71により固定される。このように複数のネジ穴41aが形成されることにより、車載機器50の配置が選択可能である。また、様々な大きさの車載機器50にも対応可能となる。
【0060】
スライド部42は、矩形状の板状体41の4隅にそれぞれ配置される。スライド部42は、第1ガイドレール21の第1ガイド面21aおよび第2ガイドレール22の第2ガイド面22aをスライドする。本実施形態においては、スライド部42は、一対の第1ガイド面21aをスライドする一対の第1スライド部42aと、一対の第2ガイド面22aをスライドする一対の第2スライド部42bとを有する。一対の第1スライド部42aは、接続部43の両側に延設される。一対の第1スライド部42aは、第1スリット21bを挟んで対向する一対の第1ガイド面21aをスライドする。一対の第2スライド部42bは、接続部43の両側に延設される。一対の第2スライド部42bは、第2スリット22bを挟んで対向する一対の第2ガイド面22aをスライドする。本実施形態においては、第1スライド部42aと第2スライド部42bとは、平面視において異なる方向に延出する(
図13参照)。
【0061】
より詳細には、一対の第1スライド部42aと一対の第2スライド部42bとは、平面視において直交する。第1スライド部42aは、第1ガイドレール21の長手方向に垂直な方向に延出する。第2スライド部42bは、第2ガイドレール22の長手方向に垂直な方向に延出する。被ガイド体40が第1ガイドレール21に案内されるときには第1スライド部42aが利用され、被ガイド体40が第2ガイドレール22に案内されるときには第2スライド部42bが利用される。このような構成において、第1ガイドレール21と第2ガイドレール22(第2ガイドレール22は、第1ガイドレール21の案内方向(長手方向)と直交方向に案内方向(長手方向)を有する)との間で、被ガイド体40が移送されるときに、被ガイド体40を、向きを変化させることなくスムーズに移動させることができる。
【0062】
なお、本実施形態においては、第1スライド部42aと第2スライド部42bとの延出する方向が直交方向である構成が採用されるが、直交方向に限られない。第1スライド部42aと第2スライド部42bとの延出する方向が直交方向でない構成であっても、第1スライド部42aと第2スライド部42bとの延出する方向が同一方向である構成と比較して、第1ガイドレール21と第2ガイドレール22との間で被ガイド体40が移動されるときに、被ガイド体40の向きの変化量が低減される。
【0063】
また、スライド部42には、第2ガイドレール22に固定されるためのネジの固定部42cが形成されている。固定部42cは、上述の固定部22iに対応する形状に形成される。具体的には、固定部42cは、例えばネジの貫通穴である。このネジの貫通穴は、固定部22iの貫通穴に貫通されるネジと同一のネジが貫通可能になっている。これにより、固定部22iの貫通穴と固定部42cの貫通穴とがネジにより固定される。これにより、被ガイド体40が第2ガイドレール22に対して固定される。
【0064】
なお、上述のとおり第2ガイドレール22には固定部22iが複数形成されており、この複数の固定部22iのうちから固定部42cの固定される固定部22iが選択可能である。選択された固定部22iと固定部42cとがネジで締結されることで、被ガイド体40が第2ガイドレール22の使用者の好みの位置で固定される。つまり、第2ガイドレール22に複数の固定部22iが形成されることで、被ガイド体40の第2ガイドレール22上での配置の選択の自由度が高まる。
【0065】
接続部43は、例えばスライド部42と一体で形成される。接続部43およびスライド部42は、例えばブラケット部材44の一部である。ブラケット部材44は、例えば、各部(スライド部42、接続部43、および固定部45)に対応した形状に打ち抜かれた一枚の板金が折り曲げ加工されることにより、一体で形成される。ブラケット部材44は、スライド部42の接続部43を挟んだ反対側(下側)に、板状体41に固定される固定部45を備える。固定部45は、板状体41に対して、例えばネジ止めされることにより固定される。接続部43のY方向の幅は、第1スリット21bの幅よりも小さい。このため、接続部43は第1スリット21bの間に配置可能である。接続部43は、スライド部42の第1スライド部42aが第1ガイド面21aをスライドする状態で、第1ガイド面21aに隣接する第1スリット21bを上下方向に通過して板状体41を支持する(接続部は、第1スライド部42aが第1ガイド面21aをスライドする状態で、第1ガイド面21aの縁の外側を上下方向に通過して板状体41を支持する。)(
図11参照)。
【0066】
また、接続部43のX方向の幅は、第2スリット22bの幅よりも小さい。このため、接続部43は第2スリット22bの間に配置可能である。接続部43は、スライド部42の第2スライド部42bが第2ガイド面22aをスライドする状態で、第2ガイド面22aに隣接し第1スリット21bに連通する第2スリット22bを上下方向に通過して板状体41を支持する(接続部43は、第2スライド部42bが第2ガイド面22aをスライドする状態で、第2ガイド面22aの縁の外側を上下方向に通過して板状体41を支持する)(
図12参照)。
【0067】
<被ガイド体40の車載機器50の支持装置20への取付>
次に、被ガイド体40が車載機器50の支持装置20へ取り付けられる工程について説明する。
図11は、車両10に固定される車載機器50の支持装置20に対して被ガイド体40が取り付けられる様子を示す概略斜視図である。
図12は、
図11における被ガイド体40のスライド部42を拡大して示す斜視図である。
図13は、スライド部42が車載機器50の支持装置20で移送される様子を下方から示す説明図である。
【0068】
被ガイド体40が車載機器50の支持装置20へ取り付けられるときには、まず
図11に示すように、まず乗降用ドアパネル14が開けられる。そして、ドア開口部17が開放状態となる。このドア開口部17から被ガイド体40が矢印A方向へ挿入される。本実施形態においては、車載機器50の支持装置20のドア開口領域内部分R1に開口22hが形成されるので、ドア開口領域外部分R2に開口22hが形成される場合と比べて、開口22hに対して被ガイド体40のブラケット部材44が容易に取り付け可能である。
図12に示すように、ブラケット部材44が開口22hから車載機器50の支持装置20の第2ガイドレール22(22A(
図3および
図4参照))に挿入される。より詳細には、矩形状の板状体41に固定される4つのブラケット部材44のうち、X方向前方の並列する2つのブラケット部材44が、第2ガイドレール22の側壁で隣接して並ぶ2つの開口22hから矢印A方向へ挿入される。本実施形態においては、開口22hは3本の第1ガイドレール21の延長上にそれぞれ形成される。3本の第1ガイドレール21のうち隣接する2本の第1ガイドレール21に対応する開口22hが選択されて、2つのブラケット部材44が挿入される。
【0069】
上述の挿入方向前方のブラケット部材44が第2ガイドレール22の開口22hから導入された後、一直線上に形成される開口22h、第3スリット22g、連通路22c、および、開口22kを通過する。開口22kを通過したブラケット部材44は、
図13のBで示すように、そのまま第1ガイドレール21に移送される。そして、第1ガイドレール21に移送されたブラケット部材44は、第1ガイドレール21に案内される。より詳細には、第1スライド部42aが第1ガイド面21a上をスライドすることにより、ブラケット部材44が第1ガイドレール21に案内される。
【0070】
その後、4つのブラケット部材44のうち挿入方向後方の並列する2つのブラケット部材44が、挿入方向前方の並列するブラケット部材44が挿入された同じ開口22hから車載機器50の支持装置20に挿入される。挿入方向後方のブラケット部材44も挿入方向前方のブラケット部材44と同様に開口22h、第3スリット22gを通過する。その間に、挿入方向前方のブラケット部材44が他方の第2ガイドレール22Bにおいて開口22k、連通路22cを通過する。そして、その後、後方のブラケット部材44の接続部43は第2ガイドレール22(22A)の第2スリット22bに配置される(
図13のCを参照)。それとともに、X方向前方のブラケット部材44の接続部43もまた第2ガイドレール22(22B)の第2スリット22bに配置される。
【0071】
このように挿入方向前方のブラケット部材44と挿入方向後方のブラケット部材44とがそれぞれ第2スリット22bのところに位置すると、挿入方向前方のブラケット部材44は第2ガイドレール22Bに案内され、挿入方向後方のブラケット部材44は第2ガイドレール22Aに案内される。そして、挿入方向前方および挿入方向後方のブラケット部材44は、
図13のDに示すような第2ガイドレール22に形成される固定部22iとブラケット部材44に形成される固定部42cとが平面視において重なる位置まで案内される。固定部22iと固定部42cとが重なる位置まで案内されると、固定部22iと固定部42cとがネジにより固定される。このようにして、ブラケット部材44(被ガイド体40)が第2ガイドレール22(車載機器50の支持装置20)に対して固定される。
【0072】
なお、固定部22iは第2ガイドレール22上に複数形成されるため、ブラケット部材44の固定には複数の固定部22iの中から好ましい固定部22iが選択される。例えば、
図4において示すように一つの第2ガイドレール22に形成される5つの固定部22iのうち、使用者の好む位置の固定部22iが選ばれる。そして、ブラケット部材44が第2ガイドレール22に固定される。また、複数の固定部22iが形成されるので、例えば被ガイド体40の固定でいずれかの固定部22iが使用されている場合であっても、残りの固定部22iによって他の被ガイド体40が固定されることも可能である。
【0073】
また、本実施形態においては、板状体41のX方向の寸法が第1ガイドレール21の長手方向の寸法と略同一であり、被ガイド体40のX方向の配置の調整ができない構成であるが、これに限定されない。板状体41のX方向の寸法が第1ガイドレール21の長手方向の寸法よりも小さく、被ガイド体40の配置がX方向に調整可能な構成であってもよい。この場合には、第1ガイドレール21にも第2ガイドレール22の固定部22iと同様の複数の固定部が形成されてもよい。
【0074】
<効果等>
以上のように構成された車載機器50の支持装置20によると、被ガイド体40を第1方向(X方向)に案内する第1ガイドレール21と、被ガイド体40を第1方向(X方向)と異なる第2方向(Y方向)に案内する第2ガイドレール22とを備えるので、被ガイド体40が第1ガイドレール21上だけでなく、第2ガイドレール上にも案内される。第1ガイドレール21に案内された被ガイド体40が次は第2ガイドレール22に案内されることにより、第2ガイドレール22上の好ましい位置に被ガイド体40の配置が可能である。例えば、被ガイド体40が第1ガイドレール21から第2ガイドレール22に移動する位置に近い領域(例えば、ドア開口領域内部分R1)に、車載機器50を取付けることができる。また、第2ガイドレール22に移動した被ガイド体40を、第2ガイドレール22に沿って車両前後方向に移動させることで、第1ガイドレール21から離れた領域(例えば、ドア開口領域外部分R2)に、車載機器50を取付けることができる。これにより、車載機器の取付位置の自由度が向上する。
【0075】
また、第2ガイドレール22が、第1ガイドレール21に対して、第1ガイド面21aの延長上に第2ガイド面22aが位置するように接続されるので、被ガイド体40が第1ガイドレール21と第2ガイドレール22との間で、段差等の引っ掛かりなく、スムーズに移動可能である。
【0076】
また、第1ガイドレール21は、第1ガイド面21aに隣接する第1スリット21bを有し、第2ガイドレール22は、第2ガイド面22aに隣接し、第1スリット21bと連通する第2スリット22bを有するので、被ガイド体40が第1ガイドレール21と第2ガイドレール22との間で簡易に行き来可能である。
【0077】
また、第2ガイドレール22は、被ガイド体40を支持装置20の外側から第1ガイドレール21へ誘導する誘導路22fを有するので、被ガイド体40が支持装置20の外側から第2ガイドレール22を横切って第1ガイドレール21まで誘導される。これにより、被ガイド体40が外側から第1ガイドレール21にも第2ガイドレール22にも案内される。
【0078】
また、互いに平行な少なくとも2本の第1ガイドレール21を備えるので、被ガイド体40に備えられる少なくとも2つのブラケット部材44によって支持されながら被ガイド体40が第1ガイドレール21に案内される。このため、被ガイド体40が安定した姿勢で第1ガイドレール21に案内される。
【0079】
また、互いに平行な少なくとも2本の第2ガイドレール22を備えるので、被ガイド体40に備えられる少なくとも2つのブラケット部材44によって支持されながら被ガイド体40が第2ガイドレール22に案内される。このため、被ガイド体40が安定した姿勢で第2ガイドレール22に案内される。
【0080】
また、第1ガイドレール21は、車両10の前後方向においてドア開口部17の範囲内に位置するので、被ガイド体40がドア開口部17から取り付け(または取り外し)されやすい。また、開口22hもドア開口領域内部分R1に形成されるので、さらに被ガイド体40がドア開口部17から取り付け(または取り外し)されやすい。
【0081】
また、第2ガイドレール22は、被ガイド体40が固定されるための複数の固定部22iを有するので、被ガイド体40の第2ガイドレール22上での固定位置が選択可能である。つまり、第2ガイドレール22上の複数の固定部22iの中から、被ガイド体40が固定される固定部22iが選択される。これにより、被ガイド体40の第2ガイドレール22上での取付位置の自由度が向上する。
【0082】
また、以上のように構成された被ガイド体40によると、接続部は、第1スライド部42aが第1ガイド面21aをスライドする状態で、第1ガイド面21aの縁の外側を上下方向に通過して板状体41を支持し、第2スライド部42bが第2ガイド面22aをスライドする状態で、第2ガイド面22aの縁の外側を上下方向に通過して板状体41を支持するので、被ガイド体40が第1ガイド面21aだけでなく、第2ガイド面22aにも案内される。第1ガイド面21aに案内された被ガイド体40が次は第2ガイド面22aに案内されることにより、第2ガイド面22aの好ましい位置に被ガイド体40の配置が可能である。また、接続部が第1ガイド面21aおよび第2ガイド面22aの縁の外側を上下方向に通過して板状体41を支持するので、吊り下げタイプの被ガイド体40にも適している。つまり、支持装置20が車両10の天井部分に取り付けられる場合にも適している。
【0083】
<変形例>
上述した実施形態において、4つのスライド部42が備えられる被ガイド体40が採用されるが、これに限定されない。1つ以上のスライド部42が備えられる構成であれば良い。ただし、2つ以上のスライド部42が備えられる方が、被ガイド体が安定した姿勢で移送される。
【0084】
また、上述した実施形態において、第1スリット21bに被ガイド体40の一部が上下方向に通過する構成、および、第2スリット22bに被ガイド体40の一部が上下方向に通過する構成が採用されるが、これに限定されない。第1スリット21bまたは第2スリット22bの形成されないガイドレールに案内される被ガイド体が採用されても良い。
【0085】
また、上述した実施形態において、車載機器50の支持装置20がルーフパネル13を補強するリインフォース15に固定される構成が採用されるが、これに限定されない。また、車載機器50の支持装置20の配置についても天井部分に限定されない。車載機器50の支持装置20は、例えば乗降用ドアパネル14や床部分に固定される構成が採用されても良い。
【0086】
また、上述した実施形態において、全ての第1ガイドレール21は、ドア開口領域内部分R1に配置される構成が採用されるが、これに限定されない。一部または全ての第1ガイドレール21がドア開口領域外部分R2に配置されても良い。
【0087】
また、上述した実施形態において、第1ガイドレール21は一対の第1ガイド面21aを有する構成が採用されるが、これに限定されない。第1ガイドレール21が、例えば単一の第1ガイド面21aを有する構成が採用されても良い。この構成においては、第1ガイドレール21は、一対の第1ガイド面21aの間に形成される第1スリット21bも有しない。この場合、被ガイド体40の接続部43は、第1スリット21bを上下方向に通過するのではなく、第1ガイド面21aの縁の外側を上下方向に通過する。同様に、第2ガイドレール22は一対の第2ガイド面22aを有する構成が採用されるが、これに限定されない。第2ガイドレール22が、例えば単一の第2ガイド面22aを有する構成が採用されても良い。この構成においては、第2ガイドレール22は、一対の第2ガイド面22aの間に形成される第2スリット22bも有しない。この場合、被ガイド体40の接続部43は、第2スリット22bを上下方向に通過するのではなく、第2ガイド面22aの縁の外側を上下方向に通過する。
【0088】
また、上述した実施形態において、第2ガイドレール22が、ドア開口領域内部分R1と、ドア開口領域外部分R2とを含む構成が採用されるが、これに限定されない。第2ガイドレール22がドア開口領域内部分R1のみを含んでも良く、ドア開口領域外部分R2のみを含んでも良い。
【0089】
なお、上記実施形態および変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜変更されることができる。
【符号の説明】
【0090】
10 車両
11 屋根部分
12 ボディ
13 ルーフパネル
14 乗降用ドアパネル
15 リインフォース
16 内装部材
17 ドア開口部
20 支持装置
21 第1ガイドレール
21a 第1ガイド面
21b 第1スリット
21c 延設部
21d 第1ガイド側面
22,22A,22B 第2ガイドレール
22a 第2ガイド面
22b 第2スリット
22c 連通路
22e 固定部
22f 誘導路
22g 第3スリット
22h 開口
22i 固定部
22j 第2ガイド側面
22k 開口
40 被ガイド体
41 板状体
41a ネジ穴
42 スライド部
42a 第1スライド部
42b 第2スライド部
42c 固定部
43 接続部
44 ブラケット部材
45 固定部
50 車載機器
51 固定板
60 粘着テープ
71 ネジ
R1 ドア開口領域内部分
R2 ドア開口領域外部分