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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025141388
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】ワイヤハーネスの配索構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20250919BHJP
   B60K 37/20 20240101ALI20250919BHJP
   B60K 37/00 20240101ALI20250919BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20250919BHJP
【FI】
B60R16/02 620B
B60K37/20
B60K37/00 Z
H02G3/04 037
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041292
(22)【出願日】2024-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】山本 祐平
(72)【発明者】
【氏名】野村 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】志田 友香
(72)【発明者】
【氏名】曽根 康介
(72)【発明者】
【氏名】大野 真実
【テーマコード(参考)】
3D344
5G357
【Fターム(参考)】
3D344AA12
3D344AA14
3D344AB01
3D344AC07
3D344AC13
3D344AC21
3D344AD13
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DD06
5G357DE08
5G357DG04
(57)【要約】
【課題】車両に対してワイヤハーネスを容易に追加できるようにすると共に、追加されるワイヤハーネスの車室への露出をなるべく抑制することを目的とする。
【解決手段】ワイヤハーネスの配索構造30は、インストルメントパネル11と、前記インストルメントパネル11の内部に配置されたリインフォースメント20と、前記インストルメントパネル11と前記リインフォースメント20との間に設けられた中間ベース40と、前記中間ベース40に沿って配索されたワイヤハーネス50と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インストルメントパネルと、
前記インストルメントパネルの内部に配置されたリインフォースメントと、
前記インストルメントパネルと前記リインフォースメントとの間に設けられた中間ベースと、
前記中間ベースに沿って配索されたワイヤハーネスと、
を備える、ワイヤハーネスの配索構造。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤハーネスの配索構造であって、
前記中間ベースは、前記リインフォースメントよりも前記インストルメントパネルに近い位置に設けられている、ワイヤハーネスの配索構造。
【請求項3】
請求項2に記載のワイヤハーネスの配索構造であって、
前記中間ベースは板状に形成されて、前記インストルメントパネルの一部の裏側に前記インストルメントパネルに対向して設けられている、ワイヤハーネスの配索構造。
【請求項4】
請求項3に記載のワイヤハーネスの配索構造であって、
前記インストルメントパネルのうち前記中間ベースを覆う一部は、他の一部に対して着脱可能に設けられている、ワイヤハーネスの配索構造。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のワイヤハーネスの配索構造であって、
前記中間ベースは、車両の左右方向に沿って延びる第1延在部分と、前記第1延在部分の一部から車両の前後方向に延びる第2延在部分とを有する、ワイヤハーネスの配索構造。
【請求項6】
請求項5に記載のワイヤハーネスの配索構造であって、
前記第1延在部分は、運転席の前方領域から助手席の前方領域まで延びる、ワイヤハーネスの配索構造。
【請求項7】
請求項6に記載のワイヤハーネスの配索構造であって、
前記第2延在部分は、前記助手席の前記前方領域に部分的に設けられる、ワイヤハーネスの配索構造。
【請求項8】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のワイヤハーネスの配索構造であって、
前記中間ベースには複数の孔が形成されており、
前記ワイヤハーネスは前記複数の孔のうちの一部の孔を選択的に用いて固定されている、ワイヤハーネスの配索構造。
【請求項9】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のワイヤハーネスの配索構造であって、
前記中間ベースには溝が形成されており、
前記ワイヤハーネスは前記溝に収まっている、ワイヤハーネスの配索構造。
【請求項10】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のワイヤハーネスの配索構造であって、
前記中間ベースは、前記インストルメントパネルに固定されている、ワイヤハーネスの配索構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤハーネスの配索構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電装部品に対するワイヤハーネスを、後部ガラスを保持するウェザストリップに埋設し、各電装部品に接続するコネクタ等やメインハーネスに接続するためのコネクタを外部に露出させた状態でウェザストリップに固定的に設ける技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-24782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両における電気部品の追加実装等に応じて、ワイヤハーネスを容易に追加できるようにすることが望まれている。また、追加されるワイヤハーネスの車室への露出がなるべく抑制されることが望まれている。
【0005】
そこで、本開示は、車両に対してワイヤハーネスを容易に追加できるようにすると共に、追加されるワイヤハーネスの車室への露出をなるべく抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のワイヤハーネスの配索構造は、インストルメントパネルと、前記インストルメントパネルの内部に配置されたリインフォースメントと、前記インストルメントパネルと前記リインフォースメントとの間に設けられた中間ベースと、前記中間ベースに沿って配索されたワイヤハーネスと、を備える、ワイヤハーネスの配索構造である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、車両に対してワイヤハーネスを容易に追加できるようにすると共に、追加されるワイヤハーネスの車室への露出をなるべく抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態1にかかるワイヤハーネスの配索構造を示す平面図である。
図2図2図1のII-II線に沿った断面図である。
図3図3はワイヤハーネスの配索構造を示す分解斜視図である。
図4図4はインストルメントパネルの一部を外した状態を示す平面図である。
図5図5は中間ベースの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示のワイヤハーネスの配索構造は、次の通りである。
【0011】
(1)インストルメントパネルと、前記インストルメントパネルの内部に配置されたリインフォースメントと、前記インストルメントパネルと前記リインフォースメントとの間に設けられた中間ベースと、前記中間ベースに沿って配索されたワイヤハーネスと、を備える、ワイヤハーネスの配索構造である。
【0012】
(1)のワイヤハーネスの配索構造によると、ワイヤハーネスをリインフォースメントに沿わせる場合よりも、インストルメントパネルとリインフォースメントとの間にある中間ベースに沿わせる方が、車室側からのワイヤハーネスの配索作業が容易となる。また、ワイヤハーネスのうち中間ベースに沿って配索された部分は、インストルメントパネルによって、車室から隠すことができる。これらより、車両に対してワイヤハーネスを容易に追加できると共に、追加されるワイヤハーネスの車室への露出をなるべく抑制できる。
【0013】
(2)(1)のワイヤハーネスの配索構造において、前記中間ベースは、前記リインフォースメントよりも前記インストルメントパネルに近い位置に設けられていてもよい。これにより、室内側から中間ベースへのアクセスがより容易となる。
【0014】
(3)(2)のワイヤハーネスの配索構造において、前記中間ベースは板状に形成されて、前記インストルメントパネルの一部の裏側に前記インストルメントパネルに対向して設けられていてもよい。これにより、ワイヤハーネスを中間ベースに沿って配索すると、ワイヤハーネスがインストルメントパネルにも沿うように配索される。
【0015】
(4)(3)のワイヤハーネスの配索構造において、前記インストルメントパネルのうち前記中間ベースを覆う一部は、他の一部に対して着脱可能に設けられていてもよい。これにより、インストルメントパネルを外して中間ベースにワイヤハーネスを容易に配索できる。
【0016】
(5)(1)から(4)のいずれか1つのワイヤハーネスの配索構造において、前記中間ベースは、車両の左右方向に沿って延びる第1延在部分と、前記第1延在部分の一部から車両の前後方向に延びる第2延在部分とを有してもよい。これにより、ワイヤハーネスを車両の左右方向及び前後方向に沿って配索しやすい。
【0017】
(6)(5)のワイヤハーネスの配索構造において、前記第1延在部分は、運転席の前方領域から助手席の前方領域まで延びてもよい。これにより、車両の左右方向全体にわたるワイヤハーネスを配索しやすい。
【0018】
(7)(5)又は(6)のワイヤハーネスの配索構造において、前記第2延在部分は、前記助手席の前記前方領域に部分的に設けられてもよい。これにより、助手席側で、ワイヤハーネスの端部の接続等を行いやすい。
【0019】
(8)(1)から(7)のいずれか1つのワイヤハーネスの配索構造において、前記中間ベースには複数の孔が形成されており、前記ワイヤハーネスは前記複数の孔のうちの一部の孔を選択的に用いて固定されていてもよい。これにより、ワイヤハーネスの任意の位置を中間ベースに固定しやすい。
【0020】
(9)(1)から(8)のいずれか1つのワイヤハーネスの配索構造において、前記中間ベースには溝が形成されており、前記ワイヤハーネスは前記溝に収まっていてもよい。これにより、ワイヤハーネスを中間ベースに配索しやすい。
【0021】
(10)(1)から(9)のいずれか1つのワイヤハーネスの配索構造において、前記中間ベースは、前記インストルメントパネルに固定されていてもよい。これにより、中間ベースをインストルメントパネルに設けることができる。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のワイヤハーネスの配索構造の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0023】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかるワイヤハーネスの配索構造について説明する。図1は実施形態1にかかるワイヤハーネスの配索構造30を示す平面図である。図2図1のII-II線に沿った断面図である。図3はワイヤハーネスの配索構造30を示す分解斜視図である。図4はインストルメントパネル11の一部を外した状態を示す平面図である。
【0024】
ワイヤハーネスの配索構造30は、車両10におけるインストルメントパネル11とリインフォースメント20との間にワイヤハーネス50を配索するものである。車両10は、例えば、自動車である。車両10においてワイヤハーネス50が配索される部分の構造について先に説明する。
【0025】
インストルメントパネル11は、運転席17及び助手席18の前方に位置する。インストルメントパネル11は、車室に露出する面を有する内装部材である。インストルメントパネル11に速度計等の計器15が組込まれる。インストルメントパネル11から車両10の前進方向に対して後方に向くようにしてステアリングホイール16が設けられる。ステアリングホイール16はステアリングコラムを介してリインフォースメント20に支持される。インストルメントパネル11の後部下方にフロア19が広がる。フロア19上に運転席17及び助手席18が設けられる。
【0026】
インストルメントパネル11は、樹脂等によって形成されている。インストルメントパネル11は、アッパパネル12とロアパネル13とを含む。アッパパネル12は、インストルメントパネル11のうち前方の領域に上方を向く姿勢で設けられる。アッパパネル12の後縁部にロアパネル13が連なっている。ロアパネル13は、インストルメントパネル11のうち後方の領域に後方を向く姿勢で設けられる。ロアパネル13は、アッパパネル12よりも重力方向に近い姿勢である。アッパパネル12とロアパネル13とは、角又は曲線をなして連なっている。
【0027】
リインフォースメント20は、インストルメントパネル11の内部(インストルメントパネル11よりも車室外側)に配置されている。リインフォースメント20は、金属等によって形成された長尺部材である。リインフォースメント20は、例えば、円筒状などの棒状に形成される。リインフォースメント20は、車両10の左右方向に延びる。リインフォースメント20の長尺方向一端部は、車体の左側壁に連結され、他端部は右側壁に連結される。
【0028】
ワイヤハーネスの配索構造30は、上記インストルメントパネル11及びリインフォースメント20に加えて、中間ベース40とワイヤハーネス50とを備える。中間ベース40はインストルメントパネル11とリインフォースメント20との間に設けられている。ワイヤハーネス50は中間ベース40に沿って配索されている。
【0029】
中間ベース40は、リインフォースメント20よりもインストルメントパネル11に近い位置に設けられている。中間ベース40はインストルメントパネル11に沿って広がる板状に形成されている。ここでは中間ベース40は、インストルメントパネル11の一部の裏側にインストルメントパネル11に対向して設けられている。
【0030】
インストルメントパネル11のうち中間ベース40を覆う一部は、他の一部に対して着脱可能に設けられている。中間ベース40は一部のアッパパネル12Aの裏側に、アッパパネル12Aと対向している。アッパパネル12Aは、他のアッパパネル12B及びロアパネル13とは別に着脱可能である。
【0031】
ここでは中間ベース40は、第1延在部分41と第2延在部分42とを有する。第1延在部分41は車両10の左右方向に沿って延びる。第1延在部分41は、運転席17の前方領域から助手席18の前方領域まで延びる。第2延在部分42は第1延在部分41の一部から車両10の前後方向(ここでは後方)に延びる。第2延在部分42は、助手席18の前方領域に部分的に設けられる。
【0032】
もっとも、中間ベース40の形状は任意であり、例えば、第1延在部分41と第2延在部分42とのいずれかは省略されてもよい。また例えば、第2延在部分が、運転席の前方領域に設けられてもよいし、計器類部分に設けられてもよい。また例えば、中間ベースは、平面視で方形状に設けられていてもよい。例えば、中間ベースは、車両前後方向及び車両左右方向に同じ長さの正方形状であってもよいし、車両前後方向及び車両左右方向のうちの一方の長さが他方の長さよりも長い長方形状であってもよい。また中間ベースが設けられる範囲は特に限定されるものではなく、車両前後方向及び車両左右方向のそれぞれの方向に沿って、適宜設定可能である。中間ベースは、車両前後方向又は車両左右方向に沿って、アッパパネル12の全体にわたって設けられてもよいし、アッパパネル12の一部に設けられてもよい。
【0033】
ここでは中間ベース40は複数(ここでは5つ)の板状部材43を含む。5つの板状部材43のうち3つの板状部材43A、43B、43Cが第1延在部分41をなし、残りの2つの板状部材43D、43Eが第2延在部分42をなしている。各板状部材43は、インストルメントパネル11に沿った板状を保つことが可能な剛性を有してもよい。第1延在部分41が1つの板状部材によって構成されていてもよい。第2延在部分42が1つの板状部材によって構成されていてもよい。第1延在部分41及び第2延在部分42を含む中間ベース40が1つの板状部材によって構成されていてもよい。
【0034】
中間ベース40には、複数の孔44が形成されている。ここでは各板状部材43に複数の孔44が形成されている。ワイヤハーネス50は複数の孔44のうちの一部の孔44を選択的に用いて固定されている。ここでは複数の孔44は、互いに形状の異なる第1孔44A及び第2孔44Bを有する。第1孔44Aは円形状の孔であり、第2孔44Bは矩形状の孔である。第2孔44Bは、第1孔44Aよりも大きい。第1孔44A及び第2孔44Bは、車両10の左右方向及び前後方向に並んでいる。第1孔44Aは、第2孔44Bの四隅に対応する位置に形成されている。1つの第2孔44Bが4つの第1孔44Aに囲まれている。一部の第1孔44Aは4つの第2孔44Bに囲まれている。
【0035】
中間ベース40は、インストルメントパネル11に固定されている。ここではインストルメントパネル11は、アッパパネル12B及びロアパネル13を支持する支持フレーム14を有する。支持フレーム14に中間ベース40が固定されている。中間ベース40を覆うアッパパネル12Aは、中間ベース40に支持されている。アッパパネル12Aは中間ベース40を介さずに支持フレーム14に支持されていてもよい。
【0036】
ここでは、支持フレーム14に対するアッパパネル12B及びロアパネル13の取付態様と、支持フレーム14に対する中間ベース40の取付態様と、中間ベース40に対するアッパパネル12Aの取付態様とが互いに同じである。かかる取付態様は、特に限定されるものではなく適宜設定可能である。ここでは、かかる取付態様として凹部CCへの凸部CVのはめ込み構造が用いられている。従って、中間ベース40には、支持フレーム14との固定に用いられる凸部CV又は凹部CC(ここでは凸部CV)と、アッパパネル12Aとの固定に用いられる凸部CV又は凹部CC(ここでは凹部CC)とが設けられる。もっとも、支持フレーム14に対するアッパパネル12B及びロアパネル13の取付態様と、支持フレーム14に対する中間ベース40の取付態様と、中間ベース40に対するアッパパネル12Aの取付態様とが互いに異なるものであってもよい。
【0037】
中間ベース40は、リインフォースメント20又は車体のうちリインフォースメント20を支持する部分など、インストルメントパネル11の周りの部材に取付けられていてもよい。中間ベース40は、クリップや係止構造などの引っ掛け構造等によってインストルメントパネル11又はその周りの部材に取付けられてもよい。
【0038】
ワイヤハーネス50は、車両10に搭載される電気部品同士を接続する配線部材である。ワイヤハーネス50は、例えば、少なくとも1本の電線51を含む。電線51は、導体芯線と、当該導体芯線の周囲の絶縁被覆層とを有する被覆電線であってもよい。電線51は、絶縁被覆層の外周にシールド層及びシースを有するシールド電線であってもよいし、絶縁被覆層の外周にシールド層を有しないノンシールド電線であってもよい。ワイヤハーネス50は、信号線と電力線との少なくとも一方を含んでもよい。ワイヤハーネス50は、複数の被覆電線が撚られたツイスト線を含んでもよい。ワイヤハーネス50は、導体芯線の周囲を絶縁被覆層で覆った被覆電線に加えて又は代えて他の配線部材、例えば、樹脂フィルムに金属箔による回路が形成されたFPC(Flexible Printed Circuits)を含んでいてもよい。
【0039】
ワイヤハーネス50は複数の電気部品21、24を接続している。ワイヤハーネス50と接続される複数の電気部品21、24の数は、特に限定されるものではなく適宜設定可能である。ここでは、ワイヤハーネス50は2つの電気部品21、24を接続している。ワイヤハーネス50は、途中で分岐する複数の電線を含み、3つ以上の電気部品を接続していてもよい。
【0040】
ワイヤハーネス50に接続される電気部品21、24の位置は、特に限定されるものでは適宜設定可能である。ここでは電気部品21が、インストルメントパネル11内に配置される。電気部品24が、インストルメントパネル11外に配置される。2つの電気部品が共にインストルメントパネル11内に配置されてもよいし、共にインストルメントパネル11外に配置されてもよい。
【0041】
ワイヤハーネス50は、接続される複数の電気部品21、24を結ぶように、車両10に配索される。ワイヤハーネス50の少なくとも一部の経路が中間ベース40に沿う経路とされる。ここでワイヤハーネス50の経路のうち中間ベース40に沿う経路を第1経路R1とする。また、ワイヤハーネス50の経路のうち中間ベース40に沿わない経路であって室外に配置される経路を第2経路R2とし、室内に配置される経路を第3経路R3とする。ここではワイヤハーネス50は、第1経路R1と第2経路R2と第3経路R3とを有している。ここではワイヤハーネス50の延在方向に沿った中間部の経路が第1経路R1とされ、一端部の経路が第2経路R2とされ、他端部の経路が第3経路R3とされる。ワイヤハーネス50は第2経路R2及び第3経路R3のいずれか又は両方を有していなくてもよい。
【0042】
第1経路R1は、中間ベース40に沿う経路であれば、適宜設定可能である。ここでは、第1経路R1は、左右方向に延びる経路と、左右方向に延びる経路の両端からそれぞれ曲りつつ後方に延びる経路とを含む。
【0043】
第1経路R1におけるワイヤハーネス50は中間ベース40に固定されていてもよい。ワイヤハーネス50と中間ベース40との固定態様は特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。ワイヤハーネス50は固定部材54を介して中間ベース40に固定されていてもよい。固定部材54は、粘着テープ、クリップ又は接着剤などであってもよい。例えば、ワイヤハーネス50と第2孔44Bの周縁部との周囲に粘着テープが巻かれてもよい。また例えば、ワイヤハーネス50に設けられたクリップが第1孔44Aに挿入係止されていてもよい。また例えば、ワイヤハーネス50と中間ベース40とが接着剤を介して接着されていてもよい。ワイヤハーネス50は固定部材54を介さずに中間ベース40に固定されていてもよい。例えば、中間ベース40にワイヤハーネス50を引っ掛けて保持可能な突起が設けられていてもよい。また例えば、ワイヤハーネス50が中間ベース40に直接的に融着されていてもよい。
【0044】
第2経路R2及び第3経路R3は、接続される電気部品21、24の位置などに応じて適宜設定される。ここではワイヤハーネス50の一端部が接続される電気部品21がインストルメントパネル11内にあり、第2経路R2は、第1経路R1の一端部からインストルメントパネル11内を中間ベース40から離れる向きに延びる。またここではワイヤハーネス50の他端部が接続される電気部品24がインストルメントパネル11上にあり、第3経路R3は、第1経路R1の他端部からインストルメントパネル11における室内側の面上を延びる。
【0045】
ここではワイヤハーネス50の一端部及び他端部には、コネクタC1、C2が設けられる。各コネクタC1、C2は、複数の端子とコネクタハウジングとを含む。各電線51の導体芯線の端部が端子に接続される。コネクタハウジングは、複数の端子を所定の配列に保持する。ワイヤハーネス50の一端部のコネクタC1が、電気部品21のコネクタ部22に接続される。ワイヤハーネス50の他端部のコネクタC2が、電気部品24のコネクタ部25に接続される。
【0046】
ここでは第1経路R1におけるワイヤハーネス50は、板状部材43に対して室内側に配索される。また第2経路R2におけるワイヤハーネス50は板状部材43よりも室外側に位置する。従って、ワイヤハーネス50は、第1経路R1と第2経路R2との連結部分において、板状部材43よりも室内側から室外側に移っている。ここでは、ワイヤハーネス50のうちの第1経路R1と第2経路R2との連結部分は、板状部材43を貫通している。
【0047】
ワイヤハーネス50が貫通する板状部材43には、コネクタC1又はコネクタC2が通過可能な孔44があいており、ワイヤハーネス50が当該孔44を貫通している。ここでは上記第2孔44Bの大きさが、コネクタC1又はコネクタC2が通過可能な大きさに形成されている。ワイヤハーネス50が複数の第2孔44Bのうち一部の第2孔44Bを貫通して、板状部材43よりも室内側から室外側に移る。この際、コネクタC1又はコネクタC2が第2孔44Bを通過可能であることによって、ワイヤハーネス50を、コネクタC1又はコネクタC2から孔44に貫通させることができる。
【0048】
またここでは第1経路R1におけるワイヤハーネス50はインストルメントパネル11よりも室外側を延びる。第3経路R3におけるワイヤハーネス50はインストルメントパネル11よりも室内側を延びる。従って、ワイヤハーネス50は、第1経路R1と第3経路R3との連結部分において、インストルメントパネル11よりも室外側から室内側に移っている。ここでは、ワイヤハーネス50のうちの第1経路R1と第3経路R3との連結部分は、アッパパネル12Aを貫通している。
【0049】
図3に示すように、アッパパネル12Aのうちワイヤハーネス50が貫通する部分には、外縁(ここでは側壁)にワイヤハーネス50が通過可能なスリットSがあいており、ワイヤハーネス50が当該スリットSを通じてインストルメントパネル11の内外に延びている。
【0050】
インストルメントパネル11よりも室内側に配置される電気部品24は、インストルメントパネル11上以外の箇所に配置されていてもよい。例えば、かかる電気部品は、ルーフに配置されてもよい。この場合、ワイヤハーネス50は、ピラーを通ってルーフに案内される第3経路を有してもよい。電気部品は、フロア19に配置されてもよい。この場合、ワイヤハーネス50は、インストルメントパネル11の下側開口に向けて案内される第2経路と、当該開口を通じてインストルメントパネル11よりも室外側に引出された第3経路とを有してもよい。
【0051】
ここでは、車両10には、リインフォースメント20に沿うように、ベースワイヤハーネス60が配置されている。ベースワイヤハーネス60は、各種電気部品に接続される複数の電線を含む。複数の電線は、リインフォースメント20に沿う幹線61と、幹線61から分岐する複数の枝線62とが生じるように束ねられる。幹線61はリインフォースメント20に支持される。各枝線62が、端部に設けられたコネクタを介して各種電気部品に接続される。
【0052】
ベースワイヤハーネス60の接続先となる電気部品は、例えば、インストルメントパネル11の内側に配置されるかインストルメントパネル11に組付けられる電気部品である。例えば、ベースワイヤハーネス60は、インストルメントパネル11内に電気部品として配置されるECU(電子制御ユニット)に接続される。また、例えば、ベースワイヤハーネス60は、インストルメントパネル11に電気部品として組付けられる計器15、操作スイッチ、オーディオ機器等に接続されてもよい。
【0053】
ここではベースワイヤハーネス60は、ワイヤハーネス50が接続される電気部品21と同じ電気部品21に接続される電線を含んでいる。電気部品21はワイヤハーネス50に接続されるコネクタ部22とは別のコネクタ部23を有している。ベースワイヤハーネス60における枝線62の端部のコネクタC3が、当該コネクタ部23に接続されている。ベースワイヤハーネス60のコネクタC3と、ワイヤハーネス50のコネクタC1とが、直接的に接続(いわゆるワイヤトゥワイヤ接続)されてもよい。この場合、ワイヤハーネス50の接続先の電気部品を、ベースワイヤハーネス60を介して接続される電気部品ととらえることもできるし、ベースワイヤハーネス60のコネクタC3ととらえることもできる。
【0054】
例えば、ベースワイヤハーネス60が車両10の製造段階で車両10に組込まれ、ワイヤハーネス50が車両10の製造後に追加的に車両10に組込まれてもよい。ワイヤハーネス50がベースワイヤハーネス60と共に車両10の製造段階で車両10に組込まれてもよい。ベースワイヤハーネス60の回路数はワイヤハーネス50の回路数よりも多くてもよい。ベースワイヤハーネス60は車両10の走行に必須な回路を含み、ワイヤハーネス50は車両10の走行に必須な回路を含んでいなくてもよい。ワイヤハーネス50が接続する電気部品21、24のいずれか(例えば、ベースワイヤハーネス60が接続されない電気部品24)が例えば乗員が使用する端末機器であり、当該端末機器がなくとも車両10の通常走行が可能であってもよい。当該端末機器は、例えば、乗員の快適性、利便性又は娯楽性などを高める機器であってもよい。
【0055】
<効果等>
以上のように構成されたワイヤハーネスの配索構造30によると、ワイヤハーネス50をリインフォースメント20に沿わせる場合よりも、インストルメントパネル11とリインフォースメント20との間にある中間ベース40に沿わせる方が、車室側からのワイヤハーネス50の配索作業が容易となる。また、ワイヤハーネス50のうち中間ベース40に沿って配索された部分は、インストルメントパネル11によって、車室から隠すことができる。これらより、車両10に対してワイヤハーネス50を容易に追加できると共に、追加されるワイヤハーネス50の車室への露出をなるべく抑制できる。
【0056】
また、中間ベース40は、リインフォースメント20よりもインストルメントパネル11に近い位置に設けられている。これにより、室内側から中間ベース40へのアクセスがより容易となる。作業者がインストルメントパネル11を外して、室内側から中間ベース40にワイヤハーネス50を配索しやすい。
【0057】
また、中間ベース40は板状に形成されて、インストルメントパネル11の一部の裏側にインストルメントパネル11に対向して設けられている。これにより、ワイヤハーネス50を中間ベース40に沿って配索すると、ワイヤハーネス50がインストルメントパネル11にも沿うように配索される。
【0058】
また、インストルメントパネル11のうち中間ベース40を覆う一部は、他の一部に対して着脱可能に設けられている。これにより、インストルメントパネル11を外して中間ベース40にワイヤハーネス50を容易に配索できる。
【0059】
また、中間ベース40は、車両10の左右方向に沿って延びる第1延在部分41と、第1延在部分41の一部から車両10の前後方向に延びる第2延在部分42とを有している。これにより、ワイヤハーネス50を車両10の左右方向及び前後方向に沿って配索しやすい。
【0060】
また、第1延在部分41は、運転席17の前方領域から助手席18の前方領域まで延びている。これにより、車両10の左右方向全体にわたるワイヤハーネス50を配索しやすい。
【0061】
また、第2延在部分42は、助手席18の前方領域に部分的に設けられている。これにより、助手席18側で、ワイヤハーネス50の端部の接続等を行いやすい。具体的には、助手席18にはステアリングホイール16及び計器15などがなく、運転席17の前方領域と比べて、比較的スペースに余裕がある。このため、助手席18側では運転席17側と比べて追加するワイヤハーネス50の端部の接続作業等を行いやすい。
【0062】
また、中間ベース40には複数の孔44が形成されており、ワイヤハーネス50は複数の孔44のうちの一部の孔44を選択的に用いて固定されている。これにより、ワイヤハーネス50の任意の位置を中間ベース40に固定しやすい。
【0063】
また、中間ベース40は、インストルメントパネル11に固定されている。これにより、中間ベース40をインストルメントパネル11に設けることができる。
【0064】
[付記]
図5は中間ベース40の変形例を示す断面図である。
【0065】
変形例に係る中間ベース140には溝45が形成されている。ワイヤハーネス50は溝45に収まっている。このようにワイヤハーネス50が中間ベース140の溝45に沿って配索されることにより、ワイヤハーネス50を中間ベース140に配索しやすい。
【0066】
ここでは溝45は中間ベース140のうちアッパパネル12を向く面に形成されている。溝45に収めるワイヤハーネス50の上方がアッパパネル12によって塞がれている。これにより、溝45からのワイヤハーネス50の抜けが抑制される。
【0067】
このほか、これまで中間ベース40がリインフォースメント20よりもインストルメントパネル11に近い位置に設けられているものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。中間ベース40がインストルメントパネル11よりもリインフォースメント20に近い位置に設けられていてもよい。
【0068】
またこれまで、中間ベース40は板状に形成されて、インストルメントパネル11の一部の裏側にインストルメントパネル11に対向して設けられているものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、中間ベース40は棒状又は筒状などに形成されていてもよい。
【0069】
またこれまで、インストルメントパネル11のうち中間ベース40を覆う一部は、他の一部に対して着脱可能に設けられているものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、アッパパネル12において、中間ベース40を覆う一部と、他の一部とが一体的に設けられていてもよい。
【0070】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0071】
10 車両
11 インストルメントパネル
12、12A、12B アッパパネル
13 ロアパネル
14 支持フレーム
15 計器
16 ステアリングホイール
17 運転席
18 助手席
19 フロア
20 リインフォースメント
21、24 電気部品
22、23、25 コネクタ部
30 配索構造
40、140 中間ベース
41 第1延在部分
42 第2延在部分
43、43A、43B、43C、43D、43E 板状部材
44 孔
44A 第1孔
44B 第2孔
45 溝
50 ワイヤハーネス
51 電線
54 固定部材
60 ベースワイヤハーネス
61 幹線
62 枝線
C1、C2、C3 コネクタ
CC 凹部
CV 凸部
R1 第1経路
R2 第2経路
R3 第3経路
図1
図2
図3
図4
図5