(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014147
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】脱水装置
(51)【国際特許分類】
C02F 11/121 20190101AFI20250123BHJP
B01D 29/00 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
C02F11/121 ZAB
B01D23/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116422
(22)【出願日】2023-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】000140694
【氏名又は名称】株式会社加藤建設
(71)【出願人】
【識別番号】596074029
【氏名又は名称】東京機材工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100205682
【弁理士】
【氏名又は名称】高嶋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 茂
(72)【発明者】
【氏名】濱田 良幸
(72)【発明者】
【氏名】内山 敬二
(72)【発明者】
【氏名】小宮 優太
(72)【発明者】
【氏名】水越 武正
【テーマコード(参考)】
4D059
4D116
【Fターム(参考)】
4D059AA09
4D059BE02
4D059BE13
4D059BE47
4D059CB12
4D059CB13
4D059CB27
4D059EB20
4D116AA01
4D116BB01
4D116BC03
4D116BC05
4D116BC74
4D116DD04
4D116EE02
4D116EE11
4D116FF12B
4D116GG02
4D116GG21
4D116KK02
4D116QA04C
4D116QA04E
4D116QA05C
4D116QA05E
4D116QA33A
4D116QA33C
4D116QA33D
4D116QA33F
4D116QA55C
4D116QA55F
4D116QC34A
4D116UU01
4D116VV15
(57)【要約】
【課題】目詰まりを抑制することができる脱水装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る脱水装置は、脱水スクリーン2と近接して対向する位置に、土砂収容部1の天端16から底壁10側へ延びて土砂収容部1内における土砂ESの脱水スクリーン2側への流動を規制する規制板4が設けられている。このため、土砂収容部1に収容された土砂ESは、土砂の重さ(土圧)によって水平方向へと広がる際、規制板4が配置される高さ領域では土砂が規制板4によってせき止められ、規制板4と底壁10との隙間Sを介して、脱水スクリーン2側へと流動する。これにより、土砂収容部1の土砂ESの土圧の大半は規制板4に作用し、脱水スクリーン2に直接作用するおそれがないため、脱水スクリーン2の目詰まりを抑制することができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
概ね矩形状の底壁と、前記底壁の側辺部からそれぞれ立ち上がる第1側壁、第2側壁、第3側壁及び第4側壁と、を有し、上部が開放された土砂収容部と、
前記第1側壁に設けられ、前記土砂収容部に収容された土砂の流出を抑制しつつ、前記土砂収容部に収容された土砂に含まれる泥水を排出可能な脱水スクリーンと、
前記脱水スクリーンを介して排水された泥水を貯留する貯水槽と、
前記土砂収容部の内部に前記脱水スクリーンと近接して対向するように配置され、前記土砂収容部の天端から前記底壁に向かって延びて前記底壁との間に所定の隙間を形成し、前記土砂収容部に収容された土砂のうち前記隙間よりも上方に位置する土砂の前記脱水スクリーン側への流動を規制する規制板と、
を備えた、
ことを特徴とする脱水装置。
【請求項2】
請求項1に記載の脱水装置であって、
前記脱水スクリーンは、
前記第1側壁の内側に臨み、前記土砂収容部に収容された土砂の流出を抑制しつつ前記泥水を排出可能なメッシュ金網と、
前記第1側壁の厚さ方向において、前記メッシュ金網よりも外側に配置され、前記メッシュ金網を補強するエキスパンドメタルと、
を重ね合わせて形成される、
ことを特徴とする脱水装置。
【請求項3】
請求項2に記載の脱水装置であって、
前記メッシュ金網は、10~30メッシュで構成される、
ことを特徴とする脱水装置。
【請求項4】
請求項3に記載の脱水装置であって、
前記メッシュ金網は、幅方向において2分割に構成され、一方側と他方側とで異なるメッシュサイズで構成される、
ことを特徴とする脱水装置。
【請求項5】
請求項1に記載の脱水装置であって、
前記規制板は、前記第1側壁に対して平行、又は前記土砂収容部の天端から前記底壁に向かって前記第1側壁に近づくように傾斜して配置される、
ことを特徴とする脱水装置。
【請求項6】
請求項5に記載の脱水装置であって、
前記規制板は、前記土砂収容部の天端から前記第1側壁の3分の2程度の深さ位置まで延出し、
前記隙間は、前記底壁から前記第1側壁の3分の1程度の高さ位置に設定される、
ことを特徴とする脱水装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の脱水装置であって、
前記貯水槽は、前記第1側壁の外側に隣接して配置され、
前記貯水槽に排水された前記泥水は、ポンプによって外部に排出される、
ことを特徴とする脱水装置。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の脱水装置であって、
前記土砂収容部に収容された土砂は、前記土砂収容部の上部から前記規制板のうち前記脱水スクリーンとは反対の側面に沿って進入するショベルにより、前記第1側壁と対向する前記第2側壁側にかき上げられる、
ことを特徴とする脱水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば立坑の沈下掘削に伴い揚土された泥土(産業廃棄物)の脱水に用いる脱水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の脱水装置としては、例えば以下の特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
すなわち、従来では、揚土に供するバケットに濾過部材を設けることにより、揚土時において、前記濾過部材を介して脱水を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の脱水装置では、前記濾過部材にかかる土圧により、濾過部材の隙間に泥土が入り込むことで、濾過部材の目詰まりが生じてしまう問題があった。また、この目詰まりした濾過部材については、高圧洗浄ないし交換を行う必要があり、作業負担及び経済負担を招来してしまっていた。このように、バケットに濾過部材を設けてなる前記従来の脱水装置では、濾過部材の目詰まりを招来してしまう点で改善の余地を残していた。
【0006】
本発明は、かかる技術的課題に着目して案出されたものであり、目詰まりを抑制することができる脱水装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る脱水装置は、その一態様として、概ね矩形状の底壁と、前記底壁の側辺部からそれぞれ立ち上がる第1側壁、第2側壁、第3側壁及び第4側壁と、を有し、上部が開放された土砂収容部と、前記第1側壁に設けられ、前記土砂収容部に収容された土砂の流出を抑制しつつ、前記土砂収容部に収容された土砂に含まれる泥水を排出可能な脱水スクリーンと、前記脱水スクリーンを介して排水された泥水を貯留する貯水槽と、前記土砂収容部の内部に前記脱水スクリーンと近接して対向するように配置され、前記土砂収容部の天端から前記底壁に向かって延びて前記底壁との間に所定の隙間を形成し、前記土砂収容部に収容された土砂のうち前記隙間よりも上方に位置する土砂の前記脱水スクリーン側への流動を規制する規制板と、を備えている。
【0008】
このように、本発明によれば、脱水スクリーンと近接して対向する位置に、土砂収容部の天端から底壁側へ延びるように設けられ、土砂収容部の土砂の脱水スクリーン側への流動を規制する規制板が設けられている。このため、土砂収容部に収容された土砂は、土砂の重さ(土圧)によって水平方向へと広がる際、規制板が配置される高さ領域では土砂が規制板によりせき止められ、規制板と底壁との隙間を介して、脱水スクリーン側へと流動する。すなわち、土砂収容部の土砂の土圧の大半は規制板に作用し、脱水スクリーンに直接作用するおそれがないため、脱水スクリーンの目詰まりを抑制することができる。
【0009】
また、規制板と底壁との隙間を介して脱水スクリーン側へ流動した土砂は、脱水スクリーンのうち隙間と対向する脱水スクリーンの下端部領域のみに作用する。その結果、土砂に含まれる泥水については、隙間を介して規制板の下側を回り込み、隙間と対向する脱水スクリーンの下端部領域は勿論のこと、脱水スクリーンに面する土砂の上側、すなわち脱水スクリーンのうち規制板と対向する上端側領域から排水させることが可能となる。これにより、泥水を、脱水スクリーンにおいて土砂が及ばない領域からも排出させることができるため、泥水の排水性を向上させることができる。換言すれば、たとえ土砂により脱水スクリーンの一部(下端部領域)に目詰まりが生じたとしても、土砂が作用しない脱水スクリーンの上端側領域を介して、泥水の良好な排水を確保することができる。
【0010】
さらに、脱水スクリーンに近接対向して規制板が設けられていることにより、ショベルで土砂収容部内の土砂をかき上げて排土する際、ショベルの爪が脱水スクリーンに直接接触するおそれがない。このため、ショベルの爪により脱水スクリーンを損傷してしまうおそれがなく、排土時における脱水スクリーンの保護を図り、脱水スクリーンの寿命を延ばすことができる。
【0011】
また、前記脱水装置の別の態様として、前記脱水スクリーンは、前記第1側壁の内側に臨み、前記土砂収容部に収容された土砂の流出を抑制しつつ前記泥水を排出可能なメッシュ金網と、前記第1側壁の厚さ方向において、前記メッシュ金網よりも外側に配置され、前記メッシュ金網を補強するエキスパンドメタルと、を重ね合わせて形成されることが望ましい。
【0012】
このように、脱水スクリーンが、メッシュ金網と、メッシュ金網よりも外側に重ねて配置されるエキスパンドメタルと、で構成されていることで、比較的線径が細く小さいメッシュからなり土圧に対して脆弱なメッシュ金網が、比較的線径が太く大きなメッシュからなり土圧に対して強固なエキスパンドメタルによって補強される。これにより、脱水スクリーンの強度(剛性)が向上し、脱水スクリーンの変形や破損を防ぐことができる。
【0013】
また、前記脱水装置のさらに別の態様として、前記メッシュ金網は、10~30メッシュで構成されることが望ましい。
【0014】
このように、メッシュ金網が、10~30メッシュで構成されていることで、メッシュ金網の目詰まりを抑制しつつ土粒子細粒分の透過を効果的に抑制し、かつ水分を比較的多く排出させることができる。これにより、脱水スクリーンの脱水性能を効果的に向上させることができる。
【0015】
また、前記脱水装置のさらに別の態様として、前記メッシュ金網は、幅方向において2分割に構成され、一方側と他方側とで異なるメッシュサイズで構成されることが望ましい。
【0016】
このように、メッシュ金網が、当該メッシュ金網の幅方向一方側と他方側とで異なるメッシュサイズで構成されていることにより、土粒子細粒分の透過の抑制と、排水性の向上とを効果的に両立することができる。
【0017】
また、前記脱水装置のさらに別の態様として、前記規制板は、前記第1側壁に対して平行、又は前記土砂収容部の天端から前記底壁に向かって前記第1側壁に近づくように傾斜して配置されることが望ましい。
【0018】
このように、規制板が、第1側壁に対して平行、又は土砂収容部の天端から底壁に向かって第1側壁に近づくように傾斜している。こうして、規制板の角度を調整することで、隙間を通じた土砂の脱水スクリーン側への流動量を調整することが可能となる。これにより、土砂の良好な流動性を確保しつつ、脱水スクリーンに作用する土圧を調整することができ、脱水スクリーンの保護と脱水性能とを効果的に両立することができる。
【0019】
また、前記脱水装置のさらに別の態様として、前記規制板は、前記土砂収容部の天端から前記第1側壁の3分の2程度の深さ位置まで延出し、前記隙間は、前記底壁から前記第1側壁の3分の1程度の高さ位置に設定されることが望ましい。
【0020】
このように、規制板が土砂収容部の天端から第1側壁の3分の2程度の深さ位置まで延出すると共に、隙間が底壁から第1側壁の3分の1程度の高さ位置に設定されている。こうして、規制板の延出量と隙間の高さ寸法を調整することにより、隙間を通じた土砂の脱水スクリーン側への流動量を調整することが可能となる。これにより、土砂の良好な流動性を確保しつつ、脱水スクリーンに作用する土圧を調整することができ、脱水スクリーンの保護と脱水性能とを効果的に両立することができる。
【0021】
また、前記脱水装置のさらに別の態様として、前記貯水槽は、前記第1側壁の外側に隣接して配置され、前記貯水槽に排水された前記泥水は、ポンプによって外部に排出されることが望ましい。
【0022】
このように、貯水槽に排水された泥水をポンプにより外部に排出する構成となっていることで、貯水槽に排水された泥水を外部に効率よく排出することができる。
【0023】
また、前記脱水装置のさらに別の態様として、前記土砂収容部に収容された土砂は、前記土砂収容部の上部から前記規制板のうち前記脱水スクリーンとは反対の側面に沿って進入するショベルにより、前記第1側壁と対向する前記第2側壁側にかき上げられることが望ましい。
【0024】
このように、ショベルを規制板の内面に沿って進入させて第2側壁側へかき上げることで、ショベルのかき上げによって隙間から第1側壁に面する土砂の高さが低くなり、土砂に混じった泥水の隙間から第1側壁側への水みちが確保される。この水みちにより、泥水を脱水スクリーン側へ導水可能となり、泥水を効率よく排水することができる。また、この場合、ショベルは規制板に沿って進入するため、ショベルと脱水スクリーンとの衝突についても抑制することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、土砂収容部に収容された土砂が土砂の重さ(土圧)により水平方向へと広がる際、土圧の大半は規制板に作用することとなり、脱水スクリーンに直接作用するおそれがない。これにより、脱水スクリーンの目詰まりを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】
図1に示す脱水スクリーンの分解斜視図である。
【
図3】
図2に示す脱水スクリーンの厚さ方向の部分断面図である。
【
図4】本発明に係る脱水装置の概略断面図であって、(a)は土砂収容部の土砂が少ない状態、(b)は土砂収容部の土砂が概ね満杯の状態を示す図である。
【
図5】本発明に係る脱水装置の概略斜視図であって、(a)は土砂収容部の土砂が少ない状態、(b)は土砂収容部の土砂が概ね満杯の状態を示す図である。
【
図6】本発明に係る脱水装置の概略斜視図であって、土砂収容部の土砂を排出する態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る脱水装置の実施形態を、図面に基づいて詳述する。なお、下記の実施形態では、本発明を立坑の沈下掘削に適用したものを例示する。
【0028】
(脱水装置の構成)
図1は、本発明に係る脱水装置の概略図であって、当該脱水装置を長手方向に沿って切断した断面図を示している。
【0029】
図1に示すように、本実施形態に係る脱水装置は、例えばクラムバケットCB(
図5参照)により揚土された土砂ES(
図5参照)を収容する土砂収容部1と、土砂収容部1の一の側壁(本実施形態では第1側壁11)に設けられた脱水スクリーン2と、脱水スクリーン2により濾過された泥水MW(
図5参照)を貯留する貯水槽3と、土砂収容部1内に第1側壁11と対向して配置され、土砂ESの脱水スクリーン2側への流動を規制する規制板4と、を備える。
【0030】
土砂収容部1は、概ね矩形状の底壁10と、底壁10の側辺部からそれぞれ垂直に立ち上がる第1側壁11、第2側壁12、第3側壁13及び第4側壁14(
図5参照)と、を有する有底の角筒状に形成され、上部が開放されている。底壁10は、矩形状であればよく、正方形、長方形を問わないが、望ましくは、
図1に示す本実施形態のように、後述する油圧ショベルPS(
図6参照)の移動方向に沿って相対的に長く延びる長方形状に形成されていることが望ましい。なお、本実施形態では、底壁10の短辺に第1側壁11及び第2側壁12が配置され、長辺に第3側壁13及び第4側壁14が配置されたものを例示する。
【0031】
また、土砂収容部1の底壁10は、鉛直方向において、後述する貯水槽3の底壁30に対して相対的に高い位置に配置されていて、例えば
図1に示すように、所定の高さを有する支持台15の上に載置されている。なお、支持台15の高さは、例えば貯水槽3の深さ等によって、任意の高さに設定される。また、支持台15は一体に設けられていてもよく、また、
図1に示すように複数に分割して構成されていてもよい。
【0032】
脱水スクリーン2は、土砂収容部1の各側壁11,12,13,14のうち、貯水槽3と隣接する側壁、本実施形態においては第1側壁11に配置される。脱水スクリーン2は、土砂収容部1に収容された土砂ESの流出を抑制しつつ、土砂収容部1に収容された土砂ESに含まれる泥水MWの排出を可能とする。脱水スクリーン2の具体的構成については、
図2に基づき、後に詳述する。
【0033】
貯水槽3は、例えば周知のベッセルによって構成される。具体的には、貯水槽3は、鉛直方向において土砂収容部1の底壁10よりも相対的に低い位置に配置された概ね矩形状の底壁30と、底壁30のうち脱水スクリーン2と隣接して対向するスクリーン対向辺30aから第1側壁11に向かって上り傾斜状に延びる傾斜壁31と、底壁30のうちスクリーン対向辺30aを除いた他の3辺から概ね垂直に立ち上がる垂直壁32と、を有する。貯水槽3には、脱水スクリーン2を通過した泥水が、傾斜壁31を伝って導かれる。また、貯水槽3には、排水用のポンプDPが設けられていて、当該ポンプDPを介して貯水槽3に導かれた泥水MWを外部に排水可能となっている。
【0034】
規制板4は、第1側壁11と同等の幅を有し、鉛直方向の一端部である第1端部41が土砂収容部1の天端16に固定され、他端部である第2端部42が底壁10と所定の隙間Sを隔てて対向するように配置される。なお、規制板4は、第1側壁11(脱水スクリーン2)に対して平行に設けられてもよいが、かかる平行配置のほか、例えば
図1に示す本実施形態のように、第2端部42が第1側壁11(脱水スクリーン2)に徐々に近づくような傾斜状に設けられていることが望ましい。
【0035】
また、規制板4の第2端部42は、鉛直方向において、土砂収容部1の天端16(第3側壁13及び第4側壁14の上端部)から第1側壁11の3分の2程度の深さ位置まで延びている。換言すれば、規制板4の第2端部42の延出量は、鉛直方向において、隙間Sが底壁10から第1側壁11の3分の1程度の高さとなるように設定されている。また、規制板4は、第2端部42が第1側壁11に対して1メートル程度離間するように配置されている。
【0036】
(脱水スクリーンの構成)
図2は、
図1に示す脱水スクリーン2の分解斜視図を示している。また、
図3は、
図2に示す脱水スクリーン2の上端部を厚さ方向に切断した部分断面図を示している。なお、
図2では、便宜上、メッシュ金網21及びエキスパンドメタル22の断面全体にハッチングを施して表示している。
【0037】
図2、
図3に示すように、脱水スクリーン2は、主として、メッシュ金網21と、エキスパンドメタル22と、スペーサ23と、一対の額縁241,242と、で構成される。具体的には、脱水スクリーン2は、メッシュ金網21が内側に、エキスパンドメタル22が外側となるように重ね合わされ、この重ね合わせたメッシュ金網21とエキスパンドメタル22の外周側にスペーサ23が配置され、このスペーサ23と共にメッシュ金網21とエキスパンドメタル22とが一対の額縁241,242によって挟持されている。
【0038】
メッシュ金網21は、第1側壁11の内側に臨み、土砂収容部1に収容された土砂ESの流出を抑制しつつ泥水MWを排出する機能を有する。また、メッシュ金網21は、脱水対象となる土砂ESの土質(土粒子)に適したメッシュサイズが選択されるものの、概ね10~30メッシュに設定されていることが望ましい。ここで、メッシュ金網21は、全体が一体に形成されていてもよいが、例えば
図2に示すように、幅方向に2分割に構成されてもよい。この場合、メッシュ金網21は、
図2に示すように、例えば幅方向一方側の第1メッシュ金網211と、他方側の第2メッシュ金網212とで、異なるメッシュサイズ(10~30メッシュ)を選択することが可能となる。なお、本実施形態では、一方の第1メッシュ金網211のメッシュサイズが10メッシュに設定され、他方の第2メッシュ金網212のメッシュサイズが20メッシュに設定されている。
【0039】
エキスパンドメタル22は、第1側壁11の厚さ方向においてメッシュ金網21よりも外側に重ねて配置されていて、
図3に示すようにメッシュ金網21の線径(例えば1mm)に対して十分に大きな線径(例えば19mm)を有し、メッシュ金網21を補強する機能を有する。また、エキスパンドメタル22は、メッシュ金網21を補強する一方で、メッシュ金網21を通過した泥水MWの通過を妨げないよう、メッシュ金網21に対して十分に大きなメッシュサイズに設定されている(
図2参照)。
【0040】
スペーサ23は、メッシュ金網21とエキスパンドメタル22を内側に収容可能な矩形枠状を呈し、メッシュ金網21とエキスパンドメタル22とを重ね合わせた厚さ幅と同等の厚さ幅(例えば19mm)に設定されている。また、スペーサ23には、一対の額縁241,242を締結する所定の締結手段、本実施形態ではボルト25の軸部25aが貫通可能な複数の貫通孔230が設けられていて、一対の額縁241,242を締結するボルト25の軸力を受ける機能を有する。
【0041】
一対の額縁241,242は、例えばアルミニウムやステンレスなど比較的錆びにくい金属材料により所定の厚さ(例えば6mm)形成されていて、外側がスペーサ23の外形と一致すると共に、内側がメッシュ金網21及びエキスパンドメタル22外周縁部と厚さ方向に重なる概ね矩形枠状に形成されている。さらに、一対の額縁241,242には、スペーサ23の貫通孔230と対応する位置に、それぞれボルト25の軸部25aが貫通可能な複数の貫通孔240が設けられている。すなわち、一対の額縁241,242は、スペーサ23と共にメッシュ金網21とエキスパンドメタル22を挟み込むことによって、締結手段であるボルト25及びナット26の締結力によりメッシュ金網21とエキスパンドメタル22とを挟持する機能を有する。また、本実施形態では、一対の額縁241,242は、幅方向の中央部に上下方向に沿って延びる中間サッシュ241a,242aを有する。すなわち、一対の額縁241,242は、中間サッシュ241a,242aを介して幅方向に2つの窓部である第1窓部W1及び第2窓部W2(
図2参照)を有し、第1窓部W1に第1メッシュ金網211が配置され、第2窓部W2に第2メッシュ金網212が配置されている。
【0042】
(土砂の脱水工程)
図4は、本実施形態に係る脱水装置の概略断面図であって、脱水装置による脱水工程を示し、(a)は土砂収容部1内の土砂ESが比較的少ない状態、(b)は土砂収容部1内の土砂ESが概ね満杯の状態を示している。
図5は、本実施形態に係る脱水装置の概略斜視図であって、脱水装置による脱水工程を示し、(a)は土砂収容部1内の土砂ESが比較的少ない状態、(b)は土砂収容部1内の土砂ESが概ね満杯の状態を示している。
図6は、本実施形態に係る脱水装置の概略斜視図であって、油圧ショベルPSによる土砂収容部1内の土砂ESの排出工程を示している。なお、
図4、
図5、
図6では、便宜上、第1側壁11及び第4側壁14を透明化して、内部の土砂ESや泥水MWを透視可能に図示している。
【0043】
クラムバケットCBにより揚土された土砂ESが土砂収容部1に収容される。この際、クラムバケットCBによって揚土された土砂ESは、
図4(a)、
図5(a)に示すように、土砂収容部1の長手方向において規制板4から離間した位置、すなわち土砂収容部1の第2側壁12に近い位置に排土される。
【0044】
ここで、
図4(a)、
図5(a)に示すように、土砂収容部1内の土砂ESが比較的少ない状態、すなわち土砂ESが規制板4に接触しない状態では、土砂ESは、重さによって水平方向へと広がり徐々に第1側壁11側へ移動するも、
図4(a)に示すように、脱水スクリーン2の下端部に僅かに接触する状態となる。この状態では、土砂ESの大半は脱水スクリーン2に接触しない状態であるから、脱水スクリーン2では土砂ESによる目詰まりも発生するおそれがなく、土砂ESに含まれる泥水MWは、脱水スクリーン2によって円滑に濾過され、貯水槽3へと流入する。
【0045】
やがて、
図4(b)、
図5(b)に示すように、土砂収容部1内の土砂ESが増加してくると、土砂ESの重さによって土砂ESが水平方向に広がる際に、規制板4が配置される高さ領域では、土砂ESが規制板4と接触して規制板4によってせき止められる。これにより、土砂収容部1内の土砂ESは、規制板4により第1側壁11側への移動が規制され、規制板4と底壁10との隙間Sを通過する分のみが第1側壁11側へ移動する。その結果、
図4(b)に示すように、脱水スクリーン2の下端部に僅かに接触する状態となる。すなわち、この状態では、土砂ESの大半は脱水スクリーン2に接触しない状態となり、脱水スクリーン2では土砂ESによる目詰まりも発生し難く、土砂ESに含まれる泥水MWは、脱水スクリーン2によって比較的円滑に濾過され、貯水槽3へと流入する。
【0046】
また、土砂収容部1内の土砂ESが増加すると、例えば
図6に示すように、油圧ショベルPSにより、土砂収容部1内の土砂ESが、規制板4と底壁10との隙間Sの近傍位置から第2側壁12側へとかき上げられる。そして、このかき上げられた土砂ESは、図示外の運搬車へと運ばれ、当該運搬車によって所定の排土場所まで運搬される。ここで、油圧ショベルPSによって隙間Sの近傍に位置する土砂ESが排除されることにより、隙間Sから第1側壁11にかけて土砂ESに混じった泥水MWの水みちが確保される。これにより、当該水みちによって、土砂収容部1内の泥水MWが隙間Sを通じて第1側壁11側へ円滑に導水可能となる。また、油圧ショベルPSは、前記かき上げに際し、規制板4の内側面(第1側壁11との反対向面)に沿って土砂収容部1内に進入するため、油圧ショベルPSの脱水スクリーン2との接触が抑制され、当該油圧ショベルPSによる脱水スクリーン2の損傷を防止することができる。
【0047】
(本実施形態の作用効果)
以下、本実施形態に係る脱水装置により奏される特徴的な作用効果について、具体的に説明する。
【0048】
前記従来の脱水装置では、濾過部材に作用する土圧により、濾過部材の隙間に泥土が入り込むことで、濾過部材の目詰まりが生じてしまう問題があった。また、この目詰まりした濾過部材については、高圧洗浄又は交換を行う必要があり、作業負担及び経済負担を招来してしまっていた。このように、前記従来の脱水装置では、濾過部材の目詰まりを招来してしまう点で改善の余地を残していた。
【0049】
これに対し、本実施形態に係る脱水装置は、脱水スクリーン2と近接して対向する位置に、土砂収容部1の天端16から底壁10側へ延びて土砂収容部1内における土砂ESの脱水スクリーン2側への流動を規制する規制板4が設けられている。このため、土砂収容部1に収容された土砂ESは、土砂の重さ(土圧)によって水平方向へと広がる際、規制板4が配置される高さ領域では土砂が規制板4によってせき止められ、規制板4と底壁10との隙間Sを介して、脱水スクリーン2側へと流動する。これにより、土砂収容部1の土砂ESの土圧の大半は規制板4に作用し、脱水スクリーン2に直接作用するおそれがないため、脱水スクリーン2の目詰まりを抑制することができる。
【0050】
また、規制板4と底壁10の隙間Sを介して脱水スクリーン2側へ流動した土砂ESは、脱水スクリーン2のうち隙間Sと対向する脱水スクリーン2の下端部領域のみに作用する。その結果、土砂ESに含まれる泥水MWについては、隙間Sを介して規制板4の下側を回り込み、隙間Sと対向する脱水スクリーン2の下端部領域は勿論、脱水スクリーン2に面する土砂ESの上側、すなわち脱水スクリーン2のうち規制板4と対向する上端側領域からも排水させることが可能となる。これにより、泥水MWを、脱水スクリーン2において土砂ESが及ばない領域からも排出させることができるため、泥水MWの排水性を向上させることができる。換言すれば、たとえ土砂ESにより脱水スクリーン2の一部(下端部領域)に目詰まりが生じたとしても、土砂ESが作用しない脱水スクリーン2の上端側領域を介して、泥水MWの良好な排水を確保することができる。
【0051】
さらに、脱水スクリーン2に近接対向して規制板4が設けられていることにより、油圧ショベルPSで土砂収容部1内の土砂ESをかき上げて排土する際、油圧ショベルPSの爪が脱水スクリーン2に直接接触するおそれがない。このため、油圧ショベルPSの爪により脱水スクリーン2を損傷してしまうおそれがなく、排土時における脱水スクリーン2の保護を図り、脱水スクリーン2の寿命を延ばすことができる。
【0052】
また、本実施形態では、脱水スクリーン2が、メッシュ金網21と、メッシュ金網21よりも外側に重ねて配置されるエキスパンドメタル22と、で構成されている。このため、比較的線径が細く小さいメッシュからなり土圧に対して脆弱なメッシュ金網21が、比較的線径が太く大きなメッシュからなり土圧に対して強固なエキスパンドメタル22によって補強される。これにより、脱水スクリーン2の強度(剛性)が向上し、脱水スクリーン2の変形や破損を防ぐことができる。
【0053】
また、本実施形態では、メッシュ金網21が、10~30メッシュで構成されている。このため、メッシュ金網21の目詰まりを抑制しつつ土粒子細粒分の透過を効果的に抑制し、かつ水分(泥水MW)を比較的多く排出させることができる。これにより、脱水スクリーン2の脱水性能を効果的に向上させることができる。
【0054】
また、本実施形態では、メッシュ金網21が、メッシュ金網21の幅方向の一方側と他方側が異なるメッシュサイズで構成されている。このため、土粒子細粒分の透過の抑制と、排水性の向上とを効果的に両立することができる。
【0055】
また、本実施形態では、規制板4が、第1側壁11に対して平行、又は土砂収容部1の天端16から底壁10に向かって第1側壁11に近づくように傾斜している。こうして、規制板4の角度を調整することにより、隙間Sを通じた土砂ESの脱水スクリーン2側への流動量を調整することが可能となる。これにより、土砂ESの良好な流動性を確保しつつ、脱水スクリーン2に作用する土圧を調整することができ、脱水スクリーン2の保護と脱水性能とを効果的に両立することができる。
【0056】
また、本実施形態では、規制板4が、土砂収容部1の天端16から第1側壁11の3分の2程度の深さ位置まで延出すると共に、隙間Sが、底壁10から第1側壁11の3分の1程度の高さ位置に設定されている。こうして、規制板4の延出量と隙間Sの高さ寸法を調整することにより、隙間Sを通じた土砂ESの脱水スクリーン2側への流動量を調整することが可能となる。これにより、土砂ESの良好な流動性を確保しつつ、脱水スクリーン2に作用する土圧を調整することができ、脱水スクリーン2の保護と脱水性能とを効果的に両立することができる。
【0057】
また、本実施形態では、貯水槽3に排水された泥水をポンプDPにより外部に排出する構成となっている。これにより、貯水槽3に排水された泥水MWを外部に効率よく排出することができる。
【0058】
また、本実施形態では、油圧ショベルPSを規制板4の内側面に沿って進入させて第2側壁12側へかき上げることにより、油圧ショベルPSのかき上げによって隙間Sから第1側壁11に面する土砂ESの高さが低くなり、土砂ESに混じった泥水MWの、隙間Sから第1側壁11側への水みちが確保される。この水みちによって、泥水MWを脱水スクリーン2側へ導水可能となり、泥水MWを効率よく排水することができる。また、この場合、油圧ショベルPSは規制板4に沿って進入するため、油圧ショベルPSと脱水スクリーン2との衝突についても抑制することができる。
【0059】
本発明は、前記実施形態において例示した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適用対象の仕様等に応じて自由に変更することができる。
【符号の説明】
【0060】
1…土砂収容部
10…底壁
11…第1側壁
12…第2側壁
13…第3側壁
14…第4側壁
16…天端
2…脱水スクリーン
21…メッシュ金網
22…エキスパンドメタル
3…貯水槽
4…規制板
41…第1端部
42…第2端部
ES…土砂
MW…泥水
S…隙間
DP…ポンプ
PS…油圧ショベル(ショベル)