(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025141501
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】ブラシユニットおよび基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20250919BHJP
【FI】
H01L21/304 644G
H01L21/304 643B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041465
(22)【出願日】2024-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 克典
(72)【発明者】
【氏名】帆角 良平
(72)【発明者】
【氏名】淺野 光
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC01
5F157AC13
5F157BA03
5F157BA07
5F157BA13
5F157CF16
5F157DA43
5F157DB02
5F157DB37
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】スポンジ状部材の硬度のばらつきに起因する基板の損傷およびパーティクルの発生を抑制することが可能なブラシユニットおよびそれを備える基板処理装置を提供する。
【解決手段】ブラシユニット100は、ブラシ200と、ブラシ200を保持するブラシホルダ500とを備える。ブラシ200は、基板の洗浄時に基板に接触するスポンジ状の洗浄部210と、洗浄部210よりも高い硬度を有するとともに洗浄部210に接するように設けられ、洗浄部210を支持する洗浄支持部220とを含む。ブラシホルダ500は、洗浄支持部220を保持するとともに、洗浄支持部220を介して洗浄部210を基板に押し当てることが可能に構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシと、
前記ブラシを保持するブラシホルダとを備え、
前記ブラシは、
基板の洗浄時に前記基板に接触するスポンジ状の洗浄部と、
前記洗浄部よりも高い硬度を有するとともに前記洗浄部に接するように設けられ、前記洗浄部を支持する洗浄支持部とを含み、
前記ブラシホルダは、前記洗浄支持部を保持するとともに、前記洗浄支持部を介して前記洗浄部を前記基板に押し当てることが可能に構成された、ブラシユニット。
【請求項2】
前記ブラシホルダは、前記洗浄部および前記洗浄支持部よりも高い剛性を有する、請求項1記載のブラシユニット。
【請求項3】
前記ブラシは、互いに隣り合う第1の部分および第2の部分を含む単一のスポンジ状部材であり、
前記洗浄部は、前記第1の部分により構成され、
前記ブラシホルダは、前記第2の部分よりも小さくかつ一部分が開放された収容空間を有し、
前記洗浄支持部は、前記ブラシホルダの前記収容空間に圧縮して収容された前記第2の部分により構成され、
前記洗浄部は、前記収容空間から前記一部分を通して露出する、請求項1または2記載のブラシユニット。
【請求項4】
前記ブラシは、互いに隣り合う第1の部分および第2の部分を含む単一のスポンジ状部材であり、
前記洗浄部は、前記第1の部分により構成され、
前記ブラシホルダは、前記第2の部分を収容しかつ一部分が開放された収容空間を有し、
前記ブラシユニットは、前記収容空間に収容された前記第2の部分を、前記収容空間内で前記一部分およびその周辺部分に向けて付勢することにより、前記第2の部分を前記収容空間内で圧縮する付勢部材をさらに備え、
前記洗浄支持部は、前記ブラシホルダの前記収容空間内で圧縮された前記第2の部分により構成され、
前記洗浄部は、前記収容空間から前記一部分を通して露出する、請求項1または2記載のブラシユニット。
【請求項5】
前記ブラシホルダは、前記収容空間を形成するとともに、前記収容空間の前記一部分としての開口部を有する固定板を含み、
前記付勢部材は、前記第2の部分を前記固定板に向かって付勢する、請求項4記載のブラシユニット。
【請求項6】
前記洗浄支持部は、内部に気体が供給されることにより伸縮可能に構成された袋部材を含み、前記袋部材の内部への気体の供給により前記袋部材が大きくなるほど当該洗浄支持部の硬度が高くなるように構成され、
前記ブラシホルダは、前記袋部材を収容しかつ一部分が開放された収容空間を有し、
前記ブラシユニットは、前記収容空間に収容された前記袋部材に気体を供給すること、および前記収容空間に収容された前記袋部材から気体を排出することが可能な気体調整部をさらに備え、
前記洗浄部は、前記収容空間から前記一部分を通して露出する、請求項1または2記載のブラシユニット。
【請求項7】
基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部により保持された前記基板の一面を洗浄するように設けられた請求項1または2記載のブラシユニットとを備える、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の洗浄に用いられるブラシユニットおよび基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等の基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられている。基板を洗浄するために、基板洗浄装置が用いられる。
【0003】
基板洗浄装置においては、例えば基板の一面または他面がブラシを用いて洗浄される。特許文献1には、基板洗浄用ブラシの一例が記載されている。その基板洗浄用ブラシは、例えばスポンジ状の多孔質素材(以下、スポンジ状部材と呼ぶ。)によって形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の洗浄用ブラシは、ブラシホルダにブラシ本体が保持された構成を有する。ブラシ本体がブラシホルダに保持された状態で、ブラシ本体の下端面は、ブラシホルダの下端面よりも下方に位置する。洗浄用ブラシを用いた基板の洗浄時には、例えば、水平姿勢で回転する基板の一面上に、ブラシホルダにより保持されたブラシ本体の下端面が押し当てられる。また、回転する基板の一面上で、洗浄用ブラシが走査される。それにより、基板の一面が洗浄される。
【0006】
ブラシ本体を形成するスポンジ状部材は、製品間で硬度にばらつきが生じやすい。そのため、比較的硬度の低いスポンジ状部材(ブラシ本体)がブラシホルダにより直接基板に押し当てられると、スポンジ状部材に作用する押圧力によってはスポンジ状部材が過剰に変形する可能性がある。また、洗浄用ブラシに付加される押圧力が変更される場合、過度な押圧力が付加されると、スポンジ状部材が過剰に変形する可能性がある。これらの場合、基板の洗浄中にブラシホルダが基板に接触する可能性がある。または、基板の洗浄中にブラシホルダが基板を保持するチャックピン等の周辺部材に接触する可能性がある。ブラシホルダが基板に接触すると、基板が損傷する。ブラシホルダが基板の周辺部材に接触すると、パーティクルが発生する。
【0007】
本発明の目的は、スポンジ状部材の硬度のばらつき、洗浄用ブラシに付加される押圧力の違いに起因する基板の損傷およびパーティクルの発生を抑制することが可能なブラシユニットおよびそれを備える基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に従うブラシユニットは、ブラシと、前記ブラシを保持するブラシホルダとを備え、前記ブラシは、基板の洗浄時に前記基板に接触するスポンジ状の洗浄部と、前記洗浄部よりも高い硬度を有するとともに前記洗浄部に接するように設けられ、前記洗浄部を支持する洗浄支持部とを含み、前記ブラシホルダは、前記洗浄支持部を保持するとともに、前記洗浄支持部を介して前記洗浄部を前記基板に押し当てることが可能に構成されている。
【0009】
本発明の他の局面に従う基板処理装置は、基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部により保持された前記基板の一面を洗浄するように設けられた上記のブラシユニットとを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スポンジ状部材の硬度のばらつき、洗浄用ブラシに付加される押圧力の違いに起因する基板の損傷およびパーティクルの発生を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施の形態に係るブラシユニットの分解斜視図である。
【
図2】
図1のブラシユニットが組み立てられた状態を示す外観斜視図である。
【
図3】第1の実施の形態に係るブラシの側面図およびブラシユニットの縦断面図である。
【
図4】第2の実施の形態に係るブラシの側面図およびブラシユニットの縦断面図である。
【
図5】第3の実施の形態に係るブラシの側面図およびブラシユニットの縦断面図である。
【
図6】第4の実施の形態に係るブラシの側面図およびブラシユニットの縦断面図である。
【
図7】第5の実施の形態に係る基板処理装置の模式的平面図である。
【
図8】
図7の基板処理装置における基板の洗浄処理時の基本動作を説明するための図である。
【
図9】
図7の基板処理装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態に係るブラシユニットおよび基板処理装置について図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、基板とは、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。
【0013】
ブラシユニットは、保持装置により水平姿勢または略水平姿勢で保持された基板の一面(上面または下面)を洗浄するために用いられ、主としてブラシおよびブラシホルダから構成される。ブラシは、ブラシホルダにより保持される。また、ブラシは、基板の一面に上方または下方から押し付けられ、基板の一面に対して摺動されることにより当該基板の一面を洗浄する。
【0014】
1.第1の実施の形態
<1>ブラシユニットの構成
図1は、第1の実施の形態に係るブラシユニットの分解斜視図である。また、
図2は、
図1のブラシユニット100が組み立てられた状態を示す外観斜視図である。
図1に示すように、ブラシユニット100は、ブラシ200、下ホルダ部材300および上ホルダ部材400を含む。下ホルダ部材300および上ホルダ部材400は、組み立てられることにより、ブラシホルダ500を形成する(
図2)。
【0015】
本実施の形態に係るブラシ200は、PVA(ポリビニールアルコール)またはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の比較的軟質な樹脂材料により形成された単一のスポンジ状部材で形成される。また、ブラシ200は、
図1に示すように、洗浄部210および洗浄支持部220を含む。洗浄部210および洗浄支持部220は、互いに大きさの異なる扁平な円柱形状を有する。洗浄部210の外径は、洗浄支持部220の外径よりも小さい。洗浄部210および洗浄支持部220は、互いの中心軸が共通の直線上に位置するとともに、洗浄部210が洗浄支持部220の下方に位置するように、配置されている。洗浄部210は基板の洗浄時に基板の一面に接触する部分であり、洗浄支持部220は洗浄部210を支持する部分である。
【0016】
下ホルダ部材300は、ブラシ200よりも高い剛性を有する樹脂材料により形成され、筒部材310を有する。本実施の形態に係る筒部材310の内径は、洗浄部210の外径よりも大きく、洗浄支持部220の外径よりも小さい。下ホルダ部材300の内周面には、下端部からわずかに上方の位置に、当該内周面の全周から当該筒部材310の中心に向かって一定距離延びるように、円環状の環状固定板320が設けられている。環状固定板320の内側には円形の開口部321が形成されている。開口部321の内径は、ブラシ200の洗浄部210の外径よりもわずかに大きく、ブラシ200の洗浄支持部220の外径よりも小さい。
【0017】
筒部材310の内周面のうち上端部からわずかに下方の位置で、筒部材310の中心軸を挟んで互いに対向する2つの部分には、後述する上ホルダ部材400の一対の突起部429に対応する一対の凹部330が形成されている。
【0018】
上ホルダ部材400は、下ホルダ部材300の上端部に取り付けられることにより、ブラシホルダ500(
図2)内にブラシ200の一部(洗浄支持部220)を保持するための後述する収容空間を形成する。
【0019】
上ホルダ部材400は、ブラシ200よりも高い剛性を有する樹脂材料により形成され、蓋部410、挿入部420および被接続部430を有する。被接続部430、蓋部410および挿入部420は、それぞれ扁平な円柱形状を有し、互いの中心軸が共通の直線上に位置するとともに、この順で上から下に並ぶように、配置されている。
【0020】
蓋部410の外径は、挿入部420および被接続部430の外径よりも大きく、下ホルダ部材300の筒部材310の外径に等しい。挿入部420の外径は、下ホルダ部材300の筒部材310の内径よりもわずかに小さい。挿入部420の外周面のうち挿入部420の中心軸を挟んで位置する2つの部分には、下ホルダ部材300の一対の凹部330にそれぞれ対応する突起部429が形成されている。
【0021】
ブラシユニット100の組み立て時には、
図1に太い一点鎖線の矢印a1で示すように、ブラシ200が下ホルダ部材300の筒部材310内に押し込まれる。このとき、洗浄部210は、下ホルダ部材300の開口部321に重なるように位置合わせされる。それにより、ブラシ200の洗浄部210は、開口部321を通して筒部材310よりも下方の位置まで延びている。すなわち、洗浄部210の先端は、下ホルダ部材300の下方の位置で露出している。洗浄部210の先端は、基板に接触する洗浄面211(
図3)として機能する。一方、ブラシ200のうち、洗浄部210と洗浄支持部220との間の円環状の段差部分は、環状固定板320上に当接し、固定される。
【0022】
次に、
図1に太い一点鎖線の矢印a2で示すように、洗浄支持部220の上方から下ホルダ部材300の上端部に向かって上ホルダ部材400が押し込まれる。ここで、本実施の形態においては、ブラシ200の洗浄支持部220の外径は、筒部材310の内径よりも大きい。また、洗浄支持部220の上下方向の長さ(高さ)は、下ホルダ部材300の環状固定板320から上端部までの長さ(高さ)に比べて大きい。それにより、上ホルダ部材400の押し込み時には、洗浄支持部220が圧縮されつつ、上ホルダ部材400の挿入部420が筒部材310の上端部開口に挿入される。この状態で、下ホルダ部材300の一対の凹部330に、上ホルダ部材400の一対の突起部429が嵌め込まれる。それにより、上ホルダ部材400が下ホルダ部材300上に固定され、ブラシユニット100が完成する。
【0023】
上ホルダ部材400の被接続部430は、ブラシユニット100を後述する基板処理装置1(
図7)のブラシ保持部42(
図7)に取り付けるために設けられている。被接続部430の上端部中央には、ブラシ保持部42(
図7)が備える接続用の軸部材を挿入するための軸挿入孔431が形成されている。また、被接続部430の外周部には、ねじ切り加工が施されている。
【0024】
図3は、第1の実施の形態に係るブラシ200の側面図およびブラシユニット100の縦断面図である。
図3では、上段にブラシ200の側面図が示され、下段にブラシユニット100の縦断面図が示される。
図3の下段の縦断面図は、
図2のブラシユニット100を仮想面VSで切断した断面図に対応する。
【0025】
図3の下段に示すように、ブラシユニット100が組み立てられることにより、ブラシホルダ500内には、一部分(環状固定板320の開口部321)が開放されたブラシ200用の収容空間SSが形成される。具体的には、収容空間SSは、上ホルダ部材400の挿入部420の下端面、筒部材310の内周面および環状固定板320の上面により形成される空間である。
【0026】
ここで、上段のブラシ200と下段の収容空間SSとを比較してわかるように、ブラシ200の洗浄支持部220の大きさはブラシホルダ500内の収容空間SSの大きさに比べて大きい。そのため、ブラシ200の洗浄支持部220は、上ホルダ部材400の挿入部420の下端面、筒部材310の内周面および環状固定板320の上面により圧縮された状態で維持される。
【0027】
<2>効果
(a)上記のブラシユニット100を用いた基板の洗浄時には、ブラシホルダ500の上ホルダ部材400によりブラシ200の洗浄部210が洗浄支持部220を介して基板に押し当てられる。この場合、上ホルダ部材400と基板との間には、洗浄部210と洗浄支持部220とが重なるように配置される。
【0028】
ここで、洗浄支持部220は、ブラシホルダ500の収容空間SS内で圧縮されることにより、洗浄部210に比べて高い硬度を有する。それにより、ブラシ200の全体が予め圧縮されることなく上ホルダ部材400により直接基板に押し当てられる場合に比べて、ブラシ200の全体としての変形許容量が一定以下に制限される。具体的には、洗浄部210と洗浄支持部220とを含むブラシ200の全体としての変形許容量が上下方向で一定以下に制限される。
【0029】
その結果、ブラシ200を構成するスポンジ状部材の硬度のばらつきに起因する基板の損傷およびパーティクルの発生を抑制することが可能になる。
【0030】
(b)本実施の形態に係るブラシユニット100においては、ブラシホルダ500は、ブラシ200よりも高い剛性を有する。それにより、ブラシホルダ500は、ブラシ200よりも変形しにくい。したがって、基板の洗浄時に、洗浄部210に高い荷重を正確に加えることができる。
【0031】
(c)上記のブラシ200においては、洗浄部210と硬度のばらつきを低減するための洗浄支持部220とが単一のスポンジ状部材で構成されている。それにより、洗浄部210と洗浄支持部220とを個別に取り扱う必要がないので、ブラシ200の取り扱い性が向上する。ここで、取り扱い性とは、ブラシユニット100を組み立てる際の簡便さを示している。洗浄部210と洗浄支持部220とが単一のスポンジで構成されているため、ブラシユニット100の組み立ての際に必要な構成部品の数が少なくなる。また、簡便にブラシユニット100を組み立てることができる。
【0032】
(d)上記のブラシ200の洗浄面211は、例えば20mm程度の直径を有する。基板の洗浄時に、上ホルダ部材400からブラシ200に800mN~2500mNの荷重を加える場合を想定する。この場合、洗浄支持部220は、未圧縮の状態から圧縮後の状態にかけて、体積が60%程度小さくなるように圧縮されることが好ましく、体積が50%程度小さくなるように圧縮されることがより好ましい。上記の構成によれば、基板を好適に洗浄することが可能になる。
【0033】
2.第2の実施の形態
第2の実施の形態に係るブラシユニットについて、第1の実施の形態に係るブラシユニット100と異なる点を説明する。
図4は、第2の実施の形態に係るブラシ200の側面図およびブラシユニット100の縦断面図である。
図4では、上段にブラシ200の側面図が示され、下段にブラシユニット100の縦断面図が示される。
図4の下段の縦断面図は、
図3の下段の図と同様に、
図2のブラシユニット100を仮想面VSで切断した断面図に対応する。
【0034】
本実施の形態に係るブラシ200は、第1の実施の形態に係るブラシ200と同様に、比較的軟質な樹脂材料により形成された単一のスポンジ状部材で形成され、洗浄部210および洗浄支持部220を有する。ここで、本実施の形態に係るブラシ200は、第1の実施の形態に係るブラシ200に対して、洗浄支持部220の大きさが異なる。具体的には、
図4の上段および下段に示すように、本例の洗浄支持部220の大きさおよび形状はブラシホルダ500内の収容空間SSの大きさおよび形状と等しい。
【0035】
一方、本実施の形態に係るブラシユニット100においては、上ホルダ部材400の挿入部420の下端面に付勢部材280が設けられている。本例では、付勢部材280としてばねが用いられる。なお、付勢部材280としては、ばねに代えて、ゴム等の他の弾性体が用いられてもよい。さらに、収容空間SS内では、付勢部材280の先端部(下端部)に、上下方向に移動可能に構成された可動板290が設けられている。収容空間SS内に洗浄支持部220が収容されかつ下ホルダ部材300上に上ホルダ部材400が取り付けられた状態で、付勢部材280は、可動板290を下方に向かって付勢する。それにより、ブラシ200の洗浄支持部220は、可動板290、筒部材310の内周面および環状固定板320の上面により圧縮された状態で維持される。
【0036】
本実施の形態においても、洗浄支持部220は、ブラシホルダ500の収容空間SS内で圧縮されることにより、洗浄部210に比べて高い硬度を有する。それにより、ブラシ200の全体が予め圧縮されることなく上ホルダ部材400により直接基板に押し当てられる場合に比べて、ブラシ200の全体としての変形許容量が一定以下に制限される。具体的には、洗浄部210と洗浄支持部220とを含むブラシ200の全体としての変形許容量が上下方向で一定以下に制限される。
【0037】
その結果、ブラシ200を構成するスポンジ状部材の硬度のばらつきに起因する基板の損傷およびパーティクルの発生を抑制することが可能になる。
【0038】
3.第3の実施の形態
第3の実施の形態に係るブラシユニットについて、第1の実施の形態に係るブラシユニット100と異なる点を説明する。
図5は、第3の実施の形態に係るブラシ200の側面図およびブラシユニット100の縦断面図である。
図5では、上段にブラシ200の側面図が示され、下段にブラシユニット100の縦断面図が示される。
図5の下段の縦断面図は、
図3の下段の図と同様に、
図2のブラシユニット100を仮想面VSで切断した断面図に対応する。
【0039】
本実施の形態に係るブラシ200は、洗浄部210および袋部材230が接着剤等により貼り合わされた構造を有する。本例の洗浄部210は、第1の実施の形態と同様にスポンジ状部材で構成される。一方、袋部材230は、例えばゴムで形成され、内部に気体が供給されることにより伸縮可能となっている。袋部材230には当該袋部材230の内部に気体(窒素ガス等)を供給すること、および袋部材230内部から気体を排出することを可能にする気体配管231が設けられている。
【0040】
図5の下段に示すように、ブラシユニット100において、袋部材230は、収容空間SSに収容される。この状態で、袋部材230に設けられた気体配管231は、筒部材310の一部に形成された貫通孔を通して下ホルダ部材300の外部に引き出されている。
【0041】
図5の下段において太い実線の矢印で示すように、袋部材230に多量の気体が供給されると、収容空間SS内で膨らむ袋部材230の各部が、収容空間SSを形成するブラシホルダ500の各部から反力を受ける。それにより、洗浄部210に接する袋部材230の部分の硬度が上昇する。したがって、本実施の形態では、袋部材230内部の気体の量を調整することにより、袋部材230の硬度を調整することができる。
【0042】
そこで、袋部材230の硬度を適宜調整する。この場合、ブラシ200の全体がスポンジ状部材で構成されかつそのブラシ200が上ホルダ部材400により直接基板に押し当てられる場合に比べて、ブラシ200の全体としての変形許容量を一定以下に制限することができる。具体的には、洗浄部210と袋部材230とを含むブラシ200の全体としての変形許容量が上下方向で一定以下に制限される。
【0043】
その結果、ブラシ200を構成するスポンジ状部材の硬度のばらつきに起因する基板の損傷およびパーティクルの発生を抑制することが可能になる。
【0044】
4.第4の実施の形態
第4の実施の形態に係るブラシユニットについて、第1の実施の形態に係るブラシユニット100と異なる点を説明する。
図6は、第4の実施の形態に係るブラシ200の側面図およびブラシユニット100の縦断面図である。
図6では、上段にブラシ200の側面図が示され、下段にブラシユニット100の縦断面図が示される。
図6の下段の縦断面図は、
図3の下段の図と同様に、
図2のブラシユニット100を仮想面VSで切断した断面図に対応する。
【0045】
本実施の形態に係るブラシ200は、洗浄部210および高硬度部材240が接着剤等により貼り合わされた構造を有する。本例の洗浄部210は、第1の実施の形態と同様にスポンジ状部材で構成される。一方、高硬度部材240は、洗浄部210よりも高い硬度を有する材料(例えばゴムまたは樹脂)により構成される。本例の高硬度部材240の大きさおよび形状は、第2の実施の形態の洗浄支持部220と同様に、ブラシホルダ500の収容空間SSの大きさおよび形状と等しい。
【0046】
本実施の形態においては、洗浄部210に比べて高い硬度を有する高硬度部材240が洗浄部210上に設けられている。これにより、ブラシ200の全体がスポンジ状部材で構成されかつそのブラシ200が上ホルダ部材400により直接基板に押し当てられる場合に比べて、ブラシ200の全体としての変形許容量が一定以下に制限される。具体的には、洗浄部210と高硬度部材240とを含むブラシ200の全体としての変形許容量が上下方向で一定以下に制限される。
【0047】
その結果、ブラシ200を構成するスポンジ状部材の硬度のばらつきに起因する基板の損傷およびパーティクルの発生を抑制することが可能になる。
【0048】
5.第5の実施の形態
第5の実施の形態として、第1~第4のいずれかの実施の形態に係るブラシユニット100を含む基板処理装置について説明する。以下に説明する基板処理装置は、上記のブラシユニット100を用いて基板の上面を洗浄する基板洗浄装置である。
【0049】
<1>基板処理装置の構成
図7は、第5の実施の形態に係る基板処理装置の模式的平面図である。
図7および後述する
図8では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印を付している。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は上下方向(鉛直方向)に相当する。
【0050】
図7に示すように、基板処理装置1は、チャンバCH内に複数の部材が収容された構成を有し、基板保持装置10、カップ装置20、ノズル装置30、ブラシアーム装置40、ブラシユニット100、待機ポッド49および制御部900を含む。本実施の形態に係るブラシユニット100は、上記のように、第1~第4のうちいずれか1つの実施の形態に係るブラシユニット100と同じ構成を有する。
【0051】
チャンバCHは、4つの側面、天井面および床面(底面)CHBを有する。チャンバCHの1つの側面には、当該チャンバCHの内部とチャンバCHの外部との間で基板を搬送するための搬送用開口(図示せず)が形成されている。
【0052】
チャンバCHの床面CHBの略中央に基板保持装置10が設けられている。基板保持装置10は、スピンベース11、複数のチャックピン12、基板保持駆動部13(
図9)および基板回転駆動部14(
図9)を備える。基板回転駆動部14は、例えばモータを含み、そのモータの回転軸が上方を向くようにチャンバCHの床面CHBに固定されている。その回転軸の上端部に円板状のスピンベース11が取り付けられている。
【0053】
スピンベース11は、処理対象となる基板Wよりも大きい外径を有する。スピンベース11の上面周縁部に、複数のチャックピン12が設けられている。複数のチャックピン12の各々は、基板Wに当接する当接部を有する。各チャックピン12は、基板Wがスピンベース11上に配置された状態で、当接部が基板Wの外周端部に当接する保持状態と、当接部が基板Wから離間する解放状態とに移行可能に構成されている。基板保持駆動部13は、例えば磁石を含み、当該磁石の磁力を用いて各チャックピン12を保持状態と解放状態との間で切り替える。保持状態にある複数のチャックピン12の当接部が基板Wの外周端部の複数の部分に当接することにより、基板Wがスピンベース11上に保持される。
図7では、基板保持装置10に保持される基板Wの外形が一点鎖線で示される。
【0054】
カップ装置20は、カップ本体21およびカップ昇降駆動部22を含む。カップ本体21は、略円筒形状を有し、平面視でスピンベース11を取り囲みかつZ方向に延びるように設けられている。また、カップ本体21は、Z方向に移動可能に設けられている。
【0055】
カップ昇降駆動部22は、モータまたはエアシリンダ等のアクチュエータを含み、カップ本体21を予め定められたカップ上位置とカップ下位置との間で移動させる。カップ上位置は、カップ本体21の上端部が基板保持装置10により保持される基板Wよりも上方に位置するときのカップ本体21の高さ位置(上下方向の位置)である。カップ下位置は、カップ本体21の上端部が基板保持装置10により保持される基板Wよりも下方に位置するときのカップ本体21の高さ位置である。
【0056】
ノズル装置30は、流体ノズル31および流体供給系32を含む。流体ノズル31は、基板保持装置10およびカップ装置20よりも上方の所定の位置に設けられている。流体ノズル31は、その吐出口が、基板保持装置10におけるスピンベース11の回転中心SCを向くように固定されている。流体供給系32は、基板Wの洗浄処理時に、流体ノズル31に洗浄液を供給する。それにより、基板保持装置10により保持される基板Wの上面に洗浄液が供給される。洗浄液は、例えば純水(脱イオン水)である。なお、洗浄液は、純水に代えて、炭酸水、オゾン水、水素水、電解イオン水、SC1(アンモニアと過酸化水素水との混合溶液)またはTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)等を用いることもできる。また、ノズル装置30は、流体ノズル31から不活性ガス等の気体を噴射可能に構成されてもよい。さらに、ノズル装置30は、互いに異なる流体を吐出可能または噴射可能な複数の流体ノズル31を有してもよい。
【0057】
ブラシアーム装置40は、ブラシアーム41、ガイドレール43、アーム支持部44、アーム水平駆動部45、アーム昇降駆動部46、ブラシ回転駆動部47および押圧用アクチュエータ48を含む。チャンバCH内では、Y方向において基板保持装置10に隣り合うように、ガイドレール43が設けられている。ガイドレール43は、X方向に延びている。
【0058】
アーム支持部44は、ガイドレール43に沿ってX方向に移動可能に設けられている。本例のアーム水平駆動部45は、モータを含み、後述する制御部900の制御に基づいてアーム支持部44をX方向に移動させる。ブラシアーム41は、アーム支持部44によりZ方向に移動可能(昇降可能)に支持されている。本例のアーム昇降駆動部46は、モータを含み、後述する制御部900の制御に基づいてブラシアーム41をZ方向に移動させる。
【0059】
ブラシアーム41は、略直方体形状を有し、アーム支持部44から基板保持装置10に向かってY方向に延びている。ブラシアーム41の先端部は、ブラシ保持部42として基板Wの洗浄に用いるブラシユニット100を保持可能に構成されている。具体的には、ブラシ保持部42は、下方に向かって延びる接続用の軸部材を有する。その軸部材がブラシユニット100の軸挿入孔431(
図1)に挿入される。さらに、軸部材とブラシユニット100の被接続部430とが、図示しない締結部材により接続される。これにより、ブラシユニット100がブラシ保持部42に保持される。
【0060】
図7の基板処理装置1においては、ブラシ保持部42は、平面視でスピンベース11の回転中心SCを通りかつX方向に延びる仮想直線L1上に位置する。
【0061】
ブラシ回転駆動部47および押圧用アクチュエータ48は、ブラシアーム41に内蔵される。ブラシ回転駆動部47は、例えばモータを含み、ブラシ保持部42の軸部材を回転させる。それにより、当該軸部材に接続されたブラシユニット100が自転する。
【0062】
押圧用アクチュエータ48は、例えばエアシリンダを含み、基板Wの上面にブラシユニット100が接触する状態で、上記の軸部材を下方に押圧してブラシユニット100の洗浄部210を基板Wに押し付ける。
【0063】
基板Wの上面に対する洗浄力の程度は、洗浄部210から基板Wの上面に作用する押し付け力(押圧力)に応じて異なる。そこで、押圧用アクチュエータ48は、基板Wの上面の洗浄時に、予め定められた力(例えば、800mN~2500mN)で軸部材を下方に向けて押圧する。
【0064】
なお、押圧用アクチュエータ48がエアシリンダを含む場合には、例えば電空レギュレータを用いてエアシリンダに供給する気体の量を調整することにより、高い精度で上記の押圧力を調整することができる。
【0065】
平面視で、上記の仮想直線L1上には、待機ポッド49および基板保持装置10が並んでいる。待機ポッド49は、ブラシ保持部42に保持された状態にあるブラシユニット100を清浄な状態で収容可能かつ洗浄可能に構成されている。
図7に太い点線の枠で示すように、基板処理装置1においては、平面視で待機ポッド49に重なる位置に、待機位置SPが設定されている。制御部900は、基板処理装置1の各部の動作を制御する。制御部900の詳細は後述する。
【0066】
<2>基板処理装置における基本的な洗浄動作
図8は、
図7の基板処理装置1における基板Wの洗浄処理時の基本動作を説明するための図である。
図8では、上段に基板処理装置1の模式的平面図が示され、下段に基板処理装置1の模式的側面図が示される。
【0067】
基板Wの洗浄処理の初期状態では、ブラシユニット100を保持するブラシ保持部42が待機位置SPに位置する。そのブラシユニット100は、待機ポッド49内に収容されている。また、カップ本体21はカップ下位置にあり、流体ノズル31による洗浄液の吐出は停止されている。
【0068】
基板Wの洗浄処理が開始されると、基板処理装置1内に搬入される基板Wが基板保持装置10により保持され、所定の回転速度で回転される。また、カップ本体21がカップ上位置に保持される。さらに、回転する基板Wに向かって流体ノズル31から洗浄液が吐出される。
【0069】
この状態で、
図7のアーム水平駆動部45およびアーム昇降駆動部46が動作することにより、ブラシアーム41がZ方向およびX方向に移動される。それにより、ブラシ保持部42に保持されたブラシ装置50が、待機ポッド49から引き上げられ、回転する基板Wの上面に押し当てられる。このとき、
図7のブラシ回転駆動部47によりブラシユニット100が回転し、
図7の押圧用アクチュエータ48により基板Wに対するブラシユニット100の押圧力が調整される。
【0070】
この状態で、
図8に太い二点鎖線の矢印a11,a12で示すように、ブラシ装置50が、平面視で仮想直線L1に沿ってX方向に移動される。このようにして、基板Wの上面が洗浄される。このとき、ブラシ200の全体としての変形量が最大となるときに、下ホルダ部材300がチャックピン12に接触しないように、ブラシ200を構成してもよい。第1の実施の形態のブラシ200が基板処理装置1に接続されている場合においては、洗浄支持部220の硬度によって、予め定められた最大の変形量になるようにブラシ200が構成されてもよい。第2の実施の形態のブラシ200が基板処理装置1に接続されている場合においては、洗浄支持部220の硬度および付勢部材280の付勢力によって、予め定められた最大の変形量になるようにブラシ200が構成されてもよい。第3の実施の形態のブラシ200が基板処理装置1に接続されている場合においては、袋部材230の材質、袋部材230に供給される気体の量によって、予め定められた最大の変形量になるようにブラシ200が構成されてもよい。第4の実施の形態のブラシ200が基板処理装置1に接続されている場合においては、高硬度部材240によって、予め定められた最大の変形量となるようにブラシ200が構成されてもよい。上述のようにブラシ200を構成することで、押圧用アクチュエータ48による最大の押圧力においても、チャックピン12に下ホルダ部材300が接触することなく、基板Wの洗浄を行うことができる。
【0071】
基板Wの上面が洗浄されると、ブラシユニット100は初期状態の位置に戻される。また、ブラシユニット100の回転が停止され、ブラシユニット100の押圧力の調整が停止される。また、流体ノズル31による洗浄液の吐出が停止され、基板保持装置10による基板Wの回転が停止される。さらに、カップ本体21がカップ上位置からカップ下位置に移動する。これにより、基板Wの洗浄処理が終了する。
【0072】
なお、
図8の例では、ブラシユニット100は、基板Wの外周端部とスピンベース11の回転中心SCとの間を往復移動するが、仮想直線L1に沿って基板Wの一端部から他端部まで移動することにより基板Wを洗浄してもよい。あるいは、ブラシユニット100は、基板Wの外周端部とスピンベース11の回転中心SCとの間を一回のみ移動することにより基板Wを洗浄してもよい。
【0073】
<3>基板処理装置1の制御系
基板処理装置1の制御系について、
図7の制御部900の構成とともに説明する。
図9は、
図7の基板処理装置1の制御系統の構成を示すブロック図である。
図9に示すように、制御部900は、CPU(中央演算処理装置)901、RAM(ランダムアクセスメモリ)902、ROM(リードオンリメモリ)903および記憶装置904を含む。RAM902は、CPU901の作業領域として用いられる。ROM903には、システムプログラムが記憶される。記憶装置904は、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体を含み、基板Wの洗浄処理を行うための基板洗浄プログラムおよび基板Wの洗浄処理に付随して設定される洗浄条件を記憶する。洗浄条件は、ブラシユニット100を基板Wに押し当てる際の押圧力を示す圧力情報に加えて、基板Wの回転速度に関する回転速度情報、および基板Wの上面におけるブラシ装置50の洗浄処理時の移動経路および移動速度を示す経路情報等を含む。
【0074】
なお、基板洗浄プログラムは、CD-ROM909等の記録媒体に格納された状態で提供され、ROM903または記憶装置904にインストールされてもよい。あるいは、基板洗浄プログラムは、通信網を介して基板処理装置1の外部のサーバから配信され、ROM903または記憶装置904にインストールされてもよい。
【0075】
CPU901が基板洗浄プログラムを実行することにより、基板処理装置1の各部の動作が制御される。具体的には、制御部900は、基板保持駆動部13を制御する。それにより、制御部900は、複数のチャックピン12の状態を開放状態から保持状態に移行させることにより、基板処理装置1に搬入される基板Wを基板保持装置10に保持させる。また、制御部900は、基板処理装置1から基板Wを搬出させるために、複数のチャックピン12の状態を保持状態から解放状態に移行させる。さらに、制御部900は、記憶装置904に記憶された洗浄条件(回転速度情報)に基づいて基板回転駆動部14を制御する。それにより、基板Wの洗浄処理時に、基板保持装置10により保持される基板Wが予め設定された速度で回転する。
【0076】
また、制御部900は、カップ昇降駆動部22を制御する。それにより、基板Wの洗浄処理時に、
図1のカップ本体21が、カップ上位置とカップ下位置との間で移動する。また、制御部900は、流体供給系32を制御する。それにより、基板Wの洗浄処理時に、
図1の流体ノズル31から基板Wに洗浄液が吐出される。
【0077】
また、制御部900は、記憶装置904に記憶された洗浄条件(経路情報)に基づいてアーム水平駆動部45およびアーム昇降駆動部46を制御する。それにより、基板Wの洗浄処理時に、ブラシアーム41がチャンバCH内で移動する。
【0078】
また、制御部900は、ブラシ回転駆動部47を制御する。それにより、制御部900は、基板Wの洗浄処理時に、ブラシ回転駆動部47のモータを動作させることにより、所定の回転速度でブラシユニット100を自転させる。
【0079】
また、制御部900は、基板Wの洗浄処理時に、基板Wとブラシアーム41との位置関係および記憶装置904に記憶された洗浄条件(圧力情報)に基づいて、押圧用アクチュエータ48を制御する。それにより、ブラシユニット100の洗浄部210は、基板Wの上面の各部に対して、予め定められた押圧力で押し当てられる。
【0080】
図9に示すように、基板処理装置1は、操作部990をさらに含む。操作部990は、キーボードおよびポインティングデバイスを含み、使用者により操作可能に構成される。使用者は、操作部990を操作することにより、洗浄条件として、上記の圧力情報、回転速度情報および経路情報等の各種情報を入力することができる。各種情報の入力があると、制御部900は、入力された情報を洗浄条件として記憶装置904に記憶する。
【0081】
本実施の形態に係る基板処理装置1においては、第1~第4の実施の形態に係るブラシユニット100のいずれかが用いられる。上記のブラシユニットによれば、スポンジ状部材の硬度のばらつきに起因する基板の損傷およびパーティクルの発生を抑制することが可能になる。したがって、基板Wの洗浄処理の信頼性が向上する。
【0082】
ここで、本実施の形態に係る第1~第4の実施の形態に係るブラシユニット100のいずれかが用いられる基板処理装置1において、押圧用アクチュエータ48によって基板Wに与えられる押圧力が変更される場合を想定する。押圧力の変更のタイミングは、チャンバCH内で新たな基板Wの処理が開始されるときでもよいし、一の基板Wを処理している途中に変更されてもよい。上記のブラシユニット100の構成によれば、基板Wに与えられる押圧力が大きくなった場合においても、ブラシ200の全体としての変形許容量が一定以下に制限される。そのため、洗浄用ブラシに付加される押圧力の違いに起因する基板の損傷およびパーティクルの発生を抑制することが可能になる。また、比較的大きな押圧力が与えられた場合においても、好適に基板Wを処理できる。したがって、基板Wの洗浄処理の信頼性が向上する。
【0083】
6.他の実施の形態
(a)第1~第4の実施の形態に係るブラシユニット100においては、ブラシ200の洗浄部210は、平面視で円形状を有するが、本発明はこれに限定されない。洗浄部210は、平面視で楕円形状を有してもよいし、多角形状を有してもよい。すなわち、洗浄部210は、扁平な楕円柱形状を有してもよいし、扁平な多角柱形状を有してもよい。
【0084】
(b)第1の実施の形態に係るブラシユニット100においては、ブラシ200の洗浄支持部220の外径が筒部材310の内径よりも大きい。また、洗浄支持部220の上下方向の長さ(高さ)が下ホルダ部材300の環状固定板320から上端部までの長さ(高さ)に比べて大きい。しかしながら、本発明はこれに限定されない。洗浄支持部220は、ブラシホルダ500の収容空間SS内で少なくとも一部が圧縮されていればよい。
【0085】
したがって、洗浄支持部220の外径が筒部材310の内径よりも大きい場合には、洗浄支持部220の上下方向の長さ(高さ)と下ホルダ部材300の環状固定板320から上端部までの長さ(高さ)とは同程度であってもよい。また、洗浄支持部220の上下方向の長さ(高さ)が下ホルダ部材300の環状固定板320から上端部までの長さ(高さ)に比べて大きい場合には、ブラシ200の洗浄支持部220の外径と筒部材310の内径とは同程度であってもよい。
【0086】
(c)第2の実施の形態に係るブラシユニット100においては、収容空間SS内でブラシ200の洗浄支持部220が付勢部材280および可動板290により圧縮されるが、本発明はこれに限定されない。そのブラシユニット100においては、収容空間SS内で洗浄支持部220を圧縮するための手段として、付勢部材280および可動板290に代えて、収容空間SSにおける洗浄支持部220の占有スペースを制限するスペーサが設けられてもよい。この場合、スペーサは、例えば挿入部420の下端面から一定距離の空間を占有するように設けられる扁平な円柱状部材で構成されてもよい。
【0087】
(d)第3の実施の形態に係るブラシユニット100においては、ブラシ200は、洗浄部210と袋部材230との間に第1または第2の実施の形態に係る洗浄支持部220が設けられた構成を有してもよい。
【0088】
7.実施の形態の各部と請求項の各構成要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各構成要素との対応の例について説明する。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【0089】
上記の実施の形態においては、ブラシ200がブラシの例であり、ブラシホルダがブラシホルダの例であり、ブラシ200の洗浄部210が洗浄部の例であり、ブラシ200の洗浄支持部220、袋部材230および高硬度部材240が洗浄支持部の例であり、ブラシユニット100がブラシユニットの例である。
【0090】
また、
図3および
図4の洗浄部210がブラシの第1の部分の例であり、
図3および
図4の洗浄支持部220がブラシの第2の部分の例であり、
図3および
図4のブラシ200を構成する単一のスポンジ状部材が単一のスポンジ状部材の例であり、収容空間SSが収容空間の例であり、環状固定板320の開口部321が収容空間のうち開放されている一部分の例である。
【0091】
また、付勢部材280が付勢部材の例であり、環状固定板320が固定板の例であり、袋部材230が袋部材の例であり、袋部材230に設けられた気体配管231が気体調整部の例であり、基板保持装置10が基板保持部の例であり、基板処理装置1が基板処理装置の例である。
【0092】
8.実施の形態の総括
(第1項)第1項に係るブラシユニットは、
ブラシと、
前記ブラシを保持するブラシホルダとを備え、
前記ブラシは、
基板の洗浄時に前記基板に接触するスポンジ状の洗浄部と、
前記洗浄部よりも高い硬度を有するとともに前記洗浄部に接するように設けられ、前記洗浄部を支持する洗浄支持部とを含み、
前記ブラシホルダは、前記洗浄支持部を保持するとともに、前記洗浄支持部を介して前記洗浄部を前記基板に押し当てることが可能に構成されている。
【0093】
そのブラシユニットを用いた基板の洗浄時には、ブラシホルダにより洗浄部が洗浄支持部を介して基板に押し当てられる。この場合、ブラシホルダと基板との間には、洗浄部と洗浄支持部とが重なるように配置される。ここで、洗浄支持部は、洗浄部に比べて高い硬度を有する。それにより、ブラシがブラシホルダにより直接基板に押し当てられる場合に比べて、基板とブラシホルダとの間に設けられる構成、具体的には、洗浄部と洗浄支持部とを含む構成の全体としての変形量が変形許容量以下に制限される。
【0094】
その結果、スポンジ状部材の硬度のばらつきに起因する基板の損傷およびパーティクルの発生を抑制することが可能になる。
【0095】
(第2項)第1項に記載のブラシユニットにおいて、
前記ブラシホルダは、前記洗浄部および前記洗浄支持部よりも高い剛性を有してもよい。
【0096】
この場合、ブラシホルダは、洗浄部および洗浄支持部よりも変形しにくい。それにより、基板の洗浄時に、洗浄支持部を介して洗浄部に高い荷重を正確に加えることができる。
【0097】
(第3項)第1項または第2項に記載のブラシユニットにおいて、
前記ブラシは、互いに隣り合う第1の部分および第2の部分を含む単一のスポンジ状部材であり、
前記洗浄部は、前記第1の部分により構成され、
前記ブラシホルダは、前記第2の部分よりも小さくかつ一部分が開放された収容空間を有し、
前記洗浄支持部は、前記ブラシホルダの前記収容空間に圧縮して収容された前記第2の部分により構成され、
前記洗浄部は、前記収容空間から前記一部分を通して露出してもよい。
【0098】
この場合、洗浄部と洗浄支持部とが単一のスポンジ状部材で構成されるので、洗浄部および洗浄支持部の取り扱い性が向上する。また、洗浄支持部は、スポンジ状部材の第2の部分がブラシホルダの収容空間に圧縮して収容されることにより形成される。これにより、簡単な構成で、スポンジ状部材の形状および硬度のばらつきに起因する基板の損傷およびパーティクルの発生を抑制することが可能になる。
【0099】
(第4項)第1項または第2項に記載のブラシユニットにおいて、
前記ブラシは、互いに隣り合う第1の部分および第2の部分を含む単一のスポンジ状部材であり、
前記洗浄部は、前記第1の部分により構成され、
前記ブラシホルダは、前記第2の部分を収容しかつ一部分が開放された収容空間を有し、
前記ブラシユニットは、前記収容空間に収容された前記第2の部分を、前記収容空間内で前記一部分およびその周辺部分に向けて付勢することにより、前記第2の部分を前記収容空間内で圧縮する付勢部材をさらに備え、
前記洗浄支持部は、前記ブラシホルダの前記収容空間内で圧縮された前記第2の部分により構成され、
前記洗浄部は、前記収容空間から前記一部分を通して露出してもよい。
【0100】
この場合、洗浄部と洗浄支持部とが単一のスポンジ状部材で構成されるので、洗浄部および洗浄支持部の取り扱い性が向上する。また、洗浄支持部は、スポンジ状部材の第2の部分がブラシホルダの収容空間内で付勢部材により圧縮されることにより形成される。これにより、簡単な構成で、スポンジ状部材の形状および硬度のばらつきに起因する基板の損傷およびパーティクルの発生を抑制することが可能になる。
【0101】
(第5項)第4項に記載のブラシユニットにおいて、
前記ブラシホルダは、前記収容空間を形成するとともに、前記収容空間の前記一部分としての開口部を有する固定板を含み、
前記付勢部材は、前記第2の部分を前記固定板に向かって付勢してもよい。
【0102】
この場合、ブラシホルダの収容空間では、スポンジ状部材の第2の部分のうち、主として付勢部材と固定板との間に位置する部分が圧縮される。
【0103】
(第6項)第1項または第2項に記載のブラシユニットにおいて、
前記洗浄支持部は、内部に気体が供給されることにより伸縮可能に構成された袋部材を含み、前記袋部材の内部への気体の供給により前記袋部材が大きくなるほど当該洗浄支持部の硬度が高くなるように構成され、
前記ブラシホルダは、前記袋部材を収容しかつ一部分が開放された収容空間を有し、
前記ブラシユニットは、前記収容空間に収容された前記袋部材に気体を供給すること、および前記収容空間に収容された前記袋部材から気体を排出することが可能な気体調整部をさらに備え、
前記洗浄部は、前記収容空間から前記一部分を通して露出してもよい。
【0104】
この場合、袋部材に供給される気体の量を調整することにより、洗浄支持部の硬度を調整することができる。したがって、基板の洗浄時に、洗浄部から基板に与えられるべき圧力に応じて、洗浄支持部の硬度を調整することができる。
【0105】
(第7項)第7項に係る基板処理装置は、
基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部により保持された前記基板の一面を洗浄するように設けられた第1項~第6項のいずれか一項に記載のブラシユニットとを備える。
【0106】
上記のブラシユニットによれば、スポンジ状部材の硬度のばらつきに起因する基板の損傷およびパーティクルの発生を抑制することが可能になる。したがって、基板の洗浄処理の信頼性が向上する。
【符号の説明】
【0107】
1…基板処理装置,10…基板保持装置,11…スピンベース,12…チャックピン,13…基板保持駆動部,14…基板回転駆動部,20…カップ装置,21…カップ本体,22…カップ昇降駆動部,30…ノズル装置,31…流体ノズル,32…流体供給系,40…ブラシアーム装置,41…ブラシアーム,42…ブラシ保持部,43…ガイドレール,44…アーム支持部,45…アーム水平駆動部,46…アーム昇降駆動部,47…ブラシ回転駆動部,48…押圧用アクチュエータ,49…待機ポッド,50…ブラシ装置,100…ブラシユニット,200…ブラシ,210…洗浄部,211…洗浄面,220…洗浄支持部,230…袋部材,231…気体配管,240…高硬度部材,280…付勢部材,290…可動板,300…下ホルダ部材,310…筒部材,320…環状固定板,321…開口部,330…凹部,400…上ホルダ部材,410…蓋部,420…挿入部,429…突起部,430…被接続部,431…軸挿入孔,500…ブラシホルダ,900…制御部,901…CPU,902…RAM,903…ROM,904…記憶装置,909…CD-ROM,990…操作部,CH…チャンバ,CHB…床面,L1…仮想直線,SC…回転中心,SP…待機位置,SS…収容空間,VS…仮想面,W…基板