(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025141514
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/393 20060101AFI20250919BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20250919BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20250919BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20250919BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20250919BHJP
【FI】
B41J29/393 105
B41J29/42 F
B41J29/38 301
G06F3/12 356
G06F3/12 308
G06F3/12 359
H04N1/00 002A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041488
(22)【出願日】2024-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】高津 潤弥
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061CQ04
2C061CQ23
2C061CQ34
2C061CQ41
2C061HJ07
2C061HK03
2C061HK15
2C061HN15
2C061KK28
2C061KK35
(57)【要約】
【課題】検査結果が異常となった原因をユーザに対して適切に提示することを可能とする。
【解決手段】画像形成システムは、画像データに基づいて用紙に画像を形成するプリンタと、用紙に形成された画像を読み取る読取部を有し、読取部により読み取られた画像を検査するための検査条件を設定可能である操作部と、検査装置と、検査結果を表示するディスプレイとを有する。検査装置は、設定された検査条件に従って前記読取手段による前記画像の読取結果の検査を実行する。検査手段による1枚目の用紙に対する検査結果が異常である場合、検査設定の確認を促すメッセージがディスプレイに表示される。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて用紙に画像を形成する画像形成手段と、
前記用紙に形成された前記画像を読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取られた前記画像を検査するための検査条件を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された前記検査条件に従って前記読取手段による前記画像の読取結果の検査を実行する検査手段と、
前記検査手段の検査結果を表示する表示手段と、
前記検査手段による1枚目の前記用紙に対する前記検査結果が異常であることを示す場合に、前記表示手段に検査設定の確認を促すメッセージを表示させる制御手段と、を有することを特徴とする、
画像形成システム。
【請求項2】
前記設定手段は、前記用紙上に形成される前記画像に前記用紙毎に変更される領域を前記検査手段に検査させるバリアブル検査を設定可能であり、
前記制御手段は、前記検査手段による1枚目の前記用紙に対する前記検査結果が前記バリアブル検査に係る異常を示す場合に、前記表示手段に検査設定の確認を促すメッセージを表示させることを特徴とする、
請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記設定手段は、前記用紙上に形成される前記画像に前記用紙毎に変更される領域を前記検査手段に検査させるバリアブル検査を設定可能であり、
前記制御手段は、前記検査手段による1枚目の前記用紙に対する前記検査結果が異常を示し且つ前記設定手段により前記バリアブル検査が設定されている場合に、前記表示手段に検査設定の確認を促すメッセージを表示させることを特徴とする、
請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項4】
試し刷りの指示を受け付ける受付手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記指示に応じて実行される試し刷りで1枚目の前記用紙に対する前記検査結果が異常を示す場合に、前記表示手段に検査設定の確認を促すメッセージを表示させることを特徴とする、
請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記検査手段による1枚目の前記用紙に対する前記検査結果が異常を示す場合に、前記画像形成手段による画像形成が停止される、
請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記試し刷りを実行する場合に、2枚目以降の前記用紙で前記検査結果が異常であると判定された場合に、前記表示手段に装置異常の確認を促すメッセージを表示させることを特徴とする、
請求項4に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記検査条件には、それぞれ前記検査結果が異常であるか否かの判定に影響を与える複数の設定項目が含まれることを特徴とする、
請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記試し刷りでは、印刷対象となるページのうちの一部が印刷されることを特徴とする、
請求項4に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記制御手段は、前記表示手段に、前記試し刷りによる印刷と、前記試し刷りではない印刷とのどちらが実行されているかを提示させることを特徴とする、
請求項4に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙に印刷した画像の品質検査を行う印刷検査機能を有する画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、印刷する画像を表す画像データに基づいて、用紙に画像を印刷して印刷物を生成する。特に、商業印刷の現場で使用される画像形成装置では、一度に多くの部数またはページ数を印刷することがある。特許文献1には、本印刷の前に特定のページのみを印刷する試し刷りを実行する技術が開示されている。
【0003】
印刷検査装置は、画像形成装置で用紙に印刷された画像が画像データで指示された通りに形成されているか否かを検査する。この検査では、画像データを基準データとし、用紙に印刷された画像をスキャナ等のセンサで読み取ったスキャンデータを検査画像データとして両データの比較を行う。印刷検査装置は、基準データと検査画像データとの一致度合いにより、印刷物の印刷品質を判定する。
【0004】
印刷検査装置では、あらかじめユーザにより設定された検査領域や検査強度などの検査設定に従って印刷検査が実行される。しかし、ユーザによる検査設定の内容が間違っている(ユーザが本来意図したものとは異なっている)ことにより検査結果が異常(検査NG)と判断されることもある。その場合、リカバリ印刷で再印刷しても再度検査NGとなるため、用紙を無駄に消費してしまうという課題がある。特許文献2では、ユーザが設定する検査設定領域に対して、印刷時に読み取るデータがブランクかどうかを判別する。なお、データがブランクであるとは、検査領域に画像が形成されていないことをいう。データがブランクの場合には、検査設定の間違いがユーザに通知される。また、読み取ったデータがブランクでなく、かつ、検査領域にバーコード画像が形成されていても読み取ったバーコードがデコードできない場合には、印刷不良の可能性が高いとしてリカバリ印刷を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-184155
【特許文献2】特開2021-053819
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この場合にはリカバリ印刷しても再度検査NGとなり得る。従って、ユーザは検査設定に間違いがあったのか、または印刷不良があったのかと原因を切り分ける必要があり、ユーザ作業の工数増大を招く。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑み、検査結果が異常となった原因をユーザに対して適切に提示することを可能とすることを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、画像データに基づいて用紙に画像を形成する画像形成手段と、前記用紙に形成された前記画像を読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られた前記画像を検査するための検査条件を設定する設定手段と、前記設定手段により設定された前記検査条件に従って前記読取手段による前記画像の読取結果の検査を実行する検査手段と、前記検査手段の検査結果を表示する表示手段と、前記検査手段による1枚目の用紙に対する検査結果が異常であることを示す場合に、前記表示手段に検査設定の確認を促すメッセージを表示させる制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検査結果が異常となった原因をユーザに対して適切に提示することを可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図6】(a)~(c)はそれぞれ検査設定間違い例の説明図。
【
図7】(a)、(b)はそれぞれ検査実行時の操作画面の説明図。
【
図10】第2実施形態における検査実行時の操作画面の説明図。
【
図11】第2実施形態における試し刷り検査処理のフロー図。
【
図12】第3実施形態における試し刷り検査処理のフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、別途記載していない限り、以下の各実施形態は任意に組み合わせることが可能である。また、これらの実施形態及び変形例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0012】
<第1実施形態>
(印刷システムの構成)
図1は、第1実施形態の印刷検査装置を含む画像形成システムの構成図である。画像形成システム1は、操作部200、画像形成部としてのプリンタ300、コントローラ400、画像検査部としての検査装置500、スタッカ600、及び後処理部としてのフィニッシャ700を備える。操作部200は、入力インタフェースと出力インタフェースを備えるユーザインタフェースである。入力インタフェースは、例えば入力キー、タッチパネル等である。出力インタフェースは、例えばディスプレイ、スピーカ等である。従って、操作部200は、視覚や聴覚を通じた情報提示手段としての機能を有する。操作部200は、入力インタフェースから入力された指示やデータをコントローラ400へ送信する。また、操作部200は、コントローラ400からの指示により、出力インタフェースから情報を出力する。
【0013】
コントローラ400は、操作部200から入力される指示やデータ、或いはネットワークを介して外部装置から取得した指示やデータに基づいて、プリンタ300、検査装置500、スタッカ600、及びフィニッシャ700の動作を制御する。例えばコントローラ400は、画像形成を行う際に、プリンタ300へ画像形成の指示を送信する。コントローラ400の詳細は後述する。
【0014】
(プリンタ)
第1実施形態のプリンタ300は、カラー画像を用紙に印刷するカラー画像形成装置であり、印刷手段として機能する。プリンタ300は、画像形成部Y、M、C、K、中間転写体306、転写部307、定着器308、給紙カセット311、312、及び用紙の給送機構を備える。画像形成部Yは、イエロー(Y)の画像を形成する。画像形成部Mは、マゼンタ(M)の画像を形成する。画像形成部Cは、シアン(C)の画像を形成する。画像形成部Kは、ブラック(K)の画像を形成する。中間転写体306は、画像形成部Y、M、C、Kで形成された各色の画像が重畳して転写される。転写部307は、中間転写体306に担持された画像を用紙に転写する。定着器308は、用紙に転写された画像を、該用紙に定着する。各画像形成部Y、M、C、Kは、同じ構成であり、同様の動作により画像を形成する。ここでは画像形成部Yの構成について説明し、画像形成部M、C、Kの構成の説明は省略する。
【0015】
画像形成部Yは、感光ドラム301Y、帯電器302Y、露光器303Y、及び現像器304Yを備える。感光ドラム301Yは、表面に感光層を有するドラム形状の感光体である。感光ドラム301Yは、動作時に、ドラム軸を中心にして矢印R方向に回転する。帯電器302Yは、回転する感光ドラム301Yの表面を一様に帯電させる。露光器303Yは、コントローラ400からイエローの画像を表す画像データを取得し、画像データに応じてレーザ光を点灯出力する。露光器303Yから出力されたレーザ光は、帯電された感光ドラム301Yの表面をドラム軸方向に走査する。
【0016】
回転する感光ドラム301Yの表面をレーザ光が走査することで、感光ドラム301Yの表面にイエローの画像データに応じた静電潜像が形成される。現像器304Yは、イエローの現像剤(例えばトナー)を収容しており、感光ドラム301Yに形成された静電潜像を現像剤により現像する。これにより感光ドラム301Yの表面にイエローの画像が形成される。なお、現像器304Yは、不図示のトナーカートリッジから常時現像剤が補給可能な構成となっている。
【0017】
同様に、画像形成部Mの感光ドラム301Mにはマゼンタの画像が形成される。画像形成部Cの感光ドラム301Cにはシアンの画像が形成される。画像形成部Kの感光ドラム301Kにはブラックの画像が形成される。中間転写体306は、無端状のベルト部材であり、図中時計回り方向に回転する。中間転写体306は、各感光ドラム301Y、301M、301C、301Kに接触している。中間転写体306の回転に応じて、各感光ドラム301Y、301M、301C、301Kから順次、重畳するように各色の画像が転写される。これにより中間転写体306にフルカラーの画像が形成される。中間転写体306は、回転することで、担持するフルカラーの画像を転写部307へ搬送する。
【0018】
用紙は、給紙カセット311、312に収納されており、給送機構により給紙カセット311、312から転写部307へ搬送される。用紙の搬送は、中間転写体306に担持される画像が転写部307へ搬送されるタイミングに応じて行われる。転写部307は、中間転写体306から用紙へ画像を転写する。中間転写体306の回転方向で転写部307の下流側には、クリーナ309が配置されている。クリーナ309は、転写後に中間転写体306に残留する現像剤を除去する。
【0019】
画像が転写された用紙は、転写部307から定着器308へ搬送される。定着器308は、ヒータと加圧ローラを備える。定着器308は、ヒータによる熱と加圧ローラによる圧力とにより、用紙に画像を溶解定着させる。
【0020】
用紙の搬送方向で定着器308の下流側には、搬送パス313、314、315、両面搬送パス316、及び排出ローラ317が設けられる。定着器308を通過した用紙は、搬送パス313から搬送パス314へ一旦搬送される。用紙は、後端が搬送パス313を通過した後に搬送方向が逆転されて搬送パス315から排出ローラ317へ搬送される。このような搬送により、用紙は、画像が形成された面を下向きの状態(フェイスダウン)で排出ローラ317によりプリンタ300から排出される。排出ローラ317によりプリンタ300から排出された画像形成後の用紙である印刷物は、検査装置500へ受け渡される。
【0021】
なお、用紙に両面印刷を行う場合、搬送パス314に搬送された用紙は、後端が搬送パス313を通過した後に、両面搬送パス316へ搬送される。用紙は、両面搬送パス316を介して、再度、転写部307へ搬送される。両面搬送パス316を通過することで、用紙の画像が形成された面が反転される。用紙は、反転した面に対して、転写部307による画像の転写処理及び定着器308による定着処理が行われることで、当該面に画像が形成される。両面に画像が形成された用紙は、印刷物として排出ローラ317によりプリンタ300から排出され、検査装置500へ受け渡される。
【0022】
(印刷検査装置)
検査装置500は、搬送パス501、検査制御部510、第1読取部5051a、第2読取部5051b、流し読みガラス5053a、5053b、搬送手段としての搬送ローラ502、503、及び用紙検出センサ504を備える。検査制御部510は、コントローラ400の制御により、検査装置500の動作を制御する。検査制御部510の詳細は後述する。第1読取部5051aと第2読取部5051bとは、搬送パス501を介して対向する位置に配置される。搬送ローラ502、503は、印刷物を搬送する。
【0023】
検査装置500は、用紙検出センサ504により搬送パス501上を搬送される印刷物を検出し、第1読取部5051a及び第2読取部5051bは、印刷された画像を読み取る。第1読取部5051a及び第2読取部5051bは、印刷物の読取結果を検査制御部510へ送信する。検査制御部510は、印刷物の読取結果に基づいて、印刷物に印刷された画像の品質検査を行う。第1読取部5051aと第2読取部5051bとが搬送パス501を介して対向して配置されるために、印刷物の両面に印刷された画像が、印刷物の一度の搬送で読み取られる。画像が読み取られた印刷物は、検査装置500からスタッカ600へ搬送される。
【0024】
(スタッカ、フィニッシャ)
スタッカ600は、大容量トレイ610及びパージトレイ620を備える。スタッカ600は、コントローラ400からの指示及び検査制御部510による品質検査の結果に基づいて、印刷物を大容量トレイ610、フィニッシャ700、及びパージトレイ620のいずれかへ排出する。
【0025】
フィニッシャ700は、複数の搬送ローラと搬送パスを含む印刷物搬送部710、上段の排紙トレイ701、中段の排紙トレイ702、及び下段の排紙トレイ703を備える。印刷物搬送部710は、印刷物の排出先を切り替えるために切替機構711、712を備える。フィニッシャ700は、スタッカ600から印刷物を順に取り込み、コントローラ400の指示に応じて上段の排紙トレイ701、中段の排紙トレイ702、及び下段の排紙トレイ703のいずれかに印刷物を排出する。なお、フィニッシャ700は、印刷物を複数枚束ねて綴じるステイプル処理、束ねた印刷物の製本処理、束ねた印刷物の断裁処理等の後処理を行う構成を備えていてもよい。
【0026】
(コントローラ)
図2は、コントローラ400の構成説明図である。コントローラ400は、プリンタ300、検査装置500、及び操作部200の他に、ストレージ4100及び電源制御部4500が接続される。ストレージ4100は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置である。コントローラ400は、これらの接続される各部とのインタフェースとして、ストレージI/F4318、操作部I/F4306、電源制御I/F4308、検査部I/F4317、プリンタ通信I/F4307、及びプリンタI/F4316を備える。また、コントローラ400は、ネットワークを介して外部装置と通信するために、通信I/F4305を備える。ストレージI/F4318、操作部I/F4306、電源制御I/F4308、検査部I/F4317、プリンタ通信I/F4307、及び通信I/F4305は、システムバス4319に接続される。
【0027】
コントローラ400は、CPU(Central Processing Unit)4301、ROM(Read Only Memory)4302、及びRAM(Random Access Memory)4303を備える。CPU4301は、ROM4302に格納されるコンピュータプログラムを実行することで、画像形成システム1の動作を制御する。RAM4303は、CPU4301が処理を実行する際の作業領域を提供する。また、RAM4303は、画像データ等を一時記憶する画像メモリとしても用いられる。CPU4301、ROM4302、及びRAM4303もシステムバス4319に接続される。システムバス4319には、NVRAM(Non-Volatile RAM)4304及びタイマー4309も接続される。NVRAM4304は、各種制御用パラメータを記憶する。タイマー4309は、現在時刻を保持や、設定された時間の経過の監視を行う。
【0028】
操作部I/F4306は、操作部200との間の通信制御を行う。操作部I/F4306は、操作部200からコントローラ400への印刷ジョブ、コマンド、及び印刷設定等の入力を受け付けて、CPU4301へ送信する。操作部I/F4306は、CPU4301の制御により、操作部200のディスプレイに対して各種の画面や画像形成システム1の状態を表示させる。プリンタ通信I/F4307は、CPU4301の制御により、プリンタ300との通信制御を行う。電源制御I/F4308は、CPU4301からの命令により、電源制御部4500に対し、各種電力の供給/停止を指示する。電源制御部4500は、プリンタ300へ電力を供給する。検査部I/F4317は、CPU4301の制御により、検査装置500との通信制御を行う。ストレージI/F4318は、CPU4301の制御により、ストレージ4100と通信制御を行う。
【0029】
通信I/F4305はLAN(Local Area Network)等のネットワークに接続され、電子メールの送受信や外部装置からのPDLデータの入出力等の通信制御を行う。また、通信I/F4305はNVRAM(不図示)を有しており、MACアドレス等の通信制御に関する各種パラメータを保持している。
【0030】
システムバス4319は、画像バスI/F4310を介して画像バス4311に接続される。画像バスI/F4310は、システムバス4319と、プリンタ300へ画像データを転送するための画像バス4311と、を接続するブリッジである。画像バス4311には、プリンタI/F4316、画像圧縮部4312、画像回転部4313、及びRIP(Raster Image Processor)4314が接続される。
【0031】
画像圧縮部4312は、JPEG、JBIG、MMR、MH等の圧縮伸張処理を行う。画像回転部4313は、画像の回転処理を行う。RIP4314は、PDLコードをビットマップのラスターイメージに展開する。プリンタI/F4316は、プリンタ300に画像データを送信する。この画像データは、コントローラ400により、プリント出力用の画像データに対してプリンタ300の補正、解像度変換等のプリンタ300用の画像処理を行うことで生成される。
【0032】
(検査制御部)
図3は、検査装置500に設けられる検査制御部510の構成説明図である。検査制御部510は、第1読取部5051a及び第2読取部5051bの動作を制御する。検査制御部510は、第1読取部5051a及び第2読取部5051bの読取結果の解析、検査装置500の動作制御、及びコントローラ400との通信等の処理を行う。また、検査制御部510は、位置ずれ補正プロファイル等を格納するための格納手段であるストレージ5011及びコントローラ400に接続されている。
【0033】
検査制御部510は、CPU5001、ROM5002、RAM5003、ストレージI/F5004、モータ制御部5009、読取画像処理部5008、画像処理部5006、RTC5012、ホストI/F5007、及びセンサ制御部5010を備える。各部は、システムバス5005に接続されている。読取画像処理部5008は、第1読取I/F5052aを介して第1読取部5051aに接続され、第2読取I/F5052bを介して第2読取部5051bに接続される。RTC5012は、リアルタイムクロックであり、高精度で現在時刻を保持する。
【0034】
ホストI/F5007は、コントローラ400の検査部I/F4317との間の通信制御を行う。検査制御部510とコントローラ400とが通信を行う場合には、ホストI/F5007と検査部I/F4317との間でデータの送受信が行われる。例えばホストI/F5007は、コントローラ400から、プリンタ300の画像形成動作に使用された画像データを取得する。ストレージ5011は、HDD、SSD等の大容量記憶装置でありる。前記画像データは任意の場所に保存可能であるが、第1実施形態ではストレージ5011に保存される。
【0035】
CPU5001は、ROM5002に格納されるコンピュータプログラムを実行することで、検査装置500の動作を制御する。RAM5003は、CPU5001が処理を実行する際の作業領域を提供する。ストレージI/F5004は、検査制御部510に接続されるストレージ5011との通信制御を行う。
【0036】
読取画像処理部5008は、CPU5001の制御により、第1読取I/F5052aを介して第1読取部5051aから印刷物の画像の読取結果を取得する。また、読取画像処理部5008は、CPU5001の制御により、第2読取I/F5052bを介して第2読取部5051bから印刷物の画像の読取結果を取得する。読取画像処理部5008は、CPU5001の制御により、第1読取部5051a及び第2読取部5051bから取得する印刷物の画像の読取結果(読取データ)に対して変倍処理、ガンマ補正処理等を行って読取画像データを生成し、RAM5003に保存する。第1読取部5051a及び第2読取部5051bは、センサアレイを有して構成されており、搬送パス501を搬送される印刷物の全領域を読取可能となっている。第1読取部5051aは印刷物の第1面の画像を読み取り、第2読取部5051bは印刷物の第2面の画像を読み取る。
【0037】
第1読取部5051a及び第2読取部5051bは、発光部と受光部により構成される。発光部は、例えば白色LED(Light Emitting Diode)により構成され、受光部は、例えばRGBのカラーフィルタの付いたCMOSセンサにより構成される。発光部は、CPU5001の制御により、搬送パス501を搬送される印刷物に光を照射する。受光部は、印刷物による反射光をカラーフィルタによりRGBの3色の色成分に分解して受光し、受光結果(読取結果)として読取データを出力する。読取データは、読取画像処理部5008へ送信される。
【0038】
モータ制御部5009は、CPU5001の制御により、検査装置500内に設けられる各種モータの動作を制御する。センサ制御部5010は、CPU5001の制御により、検査装置500内に設けられる各種センサの動作を制御し、センサの検知結果をCPU5001に通知する。画像処理部5006は、CPU5001の制御により、ストレージ5011に保存された画像データ(以下、「基準画像データ」という。)と、RAM5003に保存された読取画像データを比較して、印刷物の品質検査を行う。基準画像データは、プリンタ300の画像形成に使用する画像データであり、ストレージ5011に保存される。或いは基準画像データは、品質検査を行う前に、予め基準画像を読み取った画像であっても良い。画像処理部5006は、比較の際に、基準画像データに対して、後述するキャリブレーションによるパラメータを用いた補正処理を行う。
【0039】
(印刷設定)
図4は、プリンタ300に印刷を指示する際に、操作部200のディスプレイに表示される操作画面の説明図である。操作画面は、印刷設定等の情報を提示するための情報提示画面として機能する。この操作画面はまた、印刷開始などのユーザからの操作を受け付ける受付手段としても機能する。ユーザは、ディスプレイに表示されるこれらの操作画面により、プリンタ300により印刷を実行する。
図4には、カラー/白黒の選択が自動選択となっており、カセットとしてカセット1、用紙サイズとしてA4、紙の種類として厚紙2が選択され、印刷部数として10部が選択された状態が示されている。ボタンB101~ボタンB104は、それぞれ印刷設定を行うためのボタンであり、ボタンB101は、印刷のカラー選択(カラー/白黒)を行うためのボタン、ボタンB102は、印刷面(片面印刷/両面印刷)の選択を行うためのボタンである。ボタンB103は、用紙の種類の選択を行うための用紙選択ボタン、ボタンB104は、印刷物の排出先等の設定を行うための排紙選択ボタンである。また、不図示のテンキーにより印刷部数の設定が可能となっている。ボタンB105は、第1受付手段として機能する印刷開始ボタンであり、このボタンB105が押下された場合、ボタンB101~ボタンB104で設定された印刷設定およびテンキーで設定された部数での印刷、つまり、本印刷が開始される。ボタンB106は、第2受付手段としての機能する試し刷り開始ボタンであり、このボタンB106が押下された場合、ボタンB101~ボタンB104で設定された印刷設定で先頭ページが1部だけ印刷される。ボタンB107はキャンセルボタンであり、このボタンが押下された場合、ユーザによって入力済みの設定がキャンセルされ、操作部200のディスプレイには初期画面(不図示)が表示される。
【0040】
第1~第2実施形態では、操作画面を通じて指示された印刷対象となるページ数をそのまま印刷するのではなく、一部のページ(例えば1ページのみ)を印刷することを試し刷りと記載し、指定されたページ数を印刷することを本印刷と記載する。しかし、全ページを印刷する場合であっても、例えば印刷結果の確認のために、指示された複数の印刷部数よりも少ない部数(例えば複数部数が必要な場合に1部のみを印刷する)を印刷する場合を「試し刷り」に含めてもよい。また、印刷結果の確認等の何らかの目的で行われる、指定されたページ数あるいは指定された部数とは異なるページ数や部数で行われる印刷を「試し刷り」に含めてもよい。
【0041】
検査装置500の画像処理部5006は、予め設定された検査設定に従い、印刷物の検査を実行する。コントローラ400のCPU(Central Processing Unit)4301は、制御手段として機能する。CPU4301は、ボタンB105、B106のどちらが押下された場合でも、プリンタ300を制御して用紙に画像を印刷すると共に、検査装置500を制御して予め設定された検査設定に従って印刷物の検査を実行する。ボタンB107が押下された場合、上述のように入力済みの設定がキャンセルされる。
【0042】
なお、
図4に示す印刷設定画面は、例えば、検査を実行するか否かを選択するためのチェックボックスを選択可能に表示してもよい。ユーザ(オペレータ)は例えば操作画面上のチェックボックスをタッチすることでチェックボックスにチェックを入れたり、チェックボックスからチェックを外すことができる。前述のチェックボックスにチェックが入っている状態でボタンB105(又はB106)が押下された場合に、CPU4301はプリンタ300を制御して用紙に画像を印刷すると共に、検査装置500を制御して印刷物(用紙に印刷された画像)の検査を実行する。一方、前述のチェックボックスにチェックが入っていない状態でボタンB105(又はB106)が押下された場合に、検査装置500による検査を実行することなく、CPU4301はプリンタ300を制御して用紙に画像を印刷する。
【0043】
(検査設定)
図5は、検査装置500の検査設定を行う検査設定画面の説明図である。検査設定には、検査条件が含まれる。
図5では、検査設定には、それぞれ、検査結果が異常であるか否かの判定に影響を与える複数の設定項目が含まれる。具体的には、以下に説明する重点検査エリア、標準検査エリア、文字・バーコード検査エリア、QRコード(登録商標)検査エリア、検査除外エリアが含まれる。この検査設定画面は、検査装置500による品質検査等の検査が実行される検査エリアを設定するためのユーザからの指示を受け付ける受付手段としての機能を有する。図中において、エリアB401は、印刷画像および検査設定エリア表示部であり、マウスやタッチパネル等により、検査エリアを任意に設定することができる。この例では、エリアB401には、印刷ジョブにおける原稿画像が表示され、検査エリアとしてエリアB411~エリアB416が示されている。なお、エリアB401、エリアB411~エリアB416はそれぞれ四角形領域としたが、検査するエリアの形状にあわせて三角形、多角形、円形等の任意の形状を指定可能としてもよい。
【0044】
ボタンB402~ボタンB406は、検査エリア種別を設定するためのボタンである。ユーザがボタンB402~ボタンB406のいずれかを選択した状態で、エリアB401内における領域を設定することで、検査エリアの設定が設定可能である。
図5においては、検査エリア種別を設定するために4種類のボタンが示されている。ボタンB402は、高精度な検査を行うエリアを設定するための重点検査エリア設定ボタン、ボタンB403は、全体的な検査レベルを設定する標準検査エリア設定ボタンである。また、ボタンB404は、バリアブル検査を行うエリアであるバリアブル検査エリアに関する詳細設定を行う詳細設定ボタンである。なお、バリアブル検査エリアは、印刷画像全体のうち、ページ毎あるいは部毎あるいは用紙毎に変更されるデータ、あるいは可変であるデータが埋め込まれるエリアであり、例えば用紙毎に異なる数字やバーコードなどが形成される。バリアブル検査エリアの読取結果が表す情報が所定の規則、例えば数字の昇順あるいは降順等に従う整合性を有しているか否かに基づいて、画像の異常の有無を判別することができる。
図5の例では、バリアブル検査エリアとして文字・バーコード検査エリアが選択された状態が示されている。従って、この例では、ボタンB404は、文字・バーコード検査エリア設定ボタンとなっている。ボタンB405はQRコード検査エリア設定ボタンである。ボタンB406は、検査を行わないエリアを指定する検査除外エリア設定ボタンである。
【0045】
図5の例では、検査エリア毎に、例えばレベル1~5のように検査レベルの検査精度を段階的に設定するための検査レベル設定ボタンを設けてもよい。具体的には、図中では、重点検査エリアであるボタンB402に対して、検査レベル設定ボタンとしてボタンB402aが設けられており、標準検査エリアであるボタンB403に対して、検査レベル設定ボタンとしてボタンB403bが設けられている。従って、ユーザは、ボタンB402の重点検査エリア、ボタンB403の標準検査エリアのそれぞれについて検査レベルを設定可能である。
図5の例では、検査精度がもっとも低いのは検査レベル1であり、検査レベルの数字が大きくなるにつれて検査精度が高くなる。図中では、重点検査エリアの検査レベルとして検査レベル3が設定され、標準検査エリアの検査レベルとして検査レベル2が設定されている。なお、図中ではボタンB402、B403について検査レベルを設定可能としたが、ボタンB404~B406についても同様に検査レベルを設定可能としてもよい。
【0046】
ボタンB407は、設定完了ボタンであり、ユーザがこのボタンを選択して押下すると検査設定が完了する。ボタンB408は、元の画面に戻るためのボタンであり、ユーザがこのボタンを選択すると検査設定処理はキャンセルされ初期画面(不図示)に戻る。また、ボタンB402の左側には点線の四角形が示されており、重点検査エリアが点線の四角形で表されることが視覚的に示される。同様に、ボタンB403の左側には実線の四角形が示されており、標準検査エリアが実線の四角形で表されることが示される。ボタンB404の左側には一点鎖線の四角形が示されており、文字・バーコード検査エリアが一点鎖線の四角形で表されることが示される。QRコード検査エリアの設定ボタンであるボタンB405の左側には二重線の四角形が示されており、QRコード検査エリアが二重線の四角形で表されることが示される。検査除外エリアを設定するためのボタンB406の左側には二点鎖線の四角形が示されており、エリアB401の内部において、検査除外エリアが二点鎖線の四角形で表されることが示される。
【0047】
例えば、ユーザは、ボタンB402を選択して、エリアB401の内部において重点検査を行う必要があるエリアをマウス等によって選択することで、重点検査を行うエリアを任意に選択することができる。
図5の例では、人の顔を含むエリアであるエリアB412、B413は、いずれも点線の四角形で表され、これらのエリアはボタンB402により設定された重点検査エリアであることが示される。エリアB414は、実線の四角形で表され、ボタンB403により設定された標準検査エリアであることが示される。エリアB415は一点鎖線の四角形で表され、ボタンB404により設定された文字・バーコード検査エリアであることが示される。エリアB416は二重線の四角形で示され、ボタンB405で設定されたQRコード検査エリアであることが示される。なお、背景領域であり高精度な検査を行う必要がないエリアB411は、二点鎖線の四角形で表され、ボタンB406により設定された検査除外エリアであることが示される。
【0048】
画像全体を検査する場合に比較して、必要なエリアだけを選択して検査することができるので、検査に必要となるリソース、例えば検査装置500のRAM5003の使用量やCPU5001での処理に対する負荷や処理能力等を抑えることができる。また、例えばレベル1~レベル5のように検査レベルを段階的に設定することで、常に高レベルの検査精度で検査を行う場合に比較して、検査に必要となる画像形成装置のリソースを抑えることができる。さらに、複数のエリアを設定して個々に検査レベルを設定することで、必要とされる検査精度の高さに応じてリソースを最適に配分することが可能となる。
【0049】
(試し刷りにおける印刷検査)
試し刷りは印刷画像やプリンタ300の印刷設定、検査装置500の検査設定が正しいかを確かめるために行われる。例えば、印刷画像に文字列があり、検査装置500において印刷された文字列が正しいかを検査したいことがある。この場合、検査装置500がOCR(Optical Character Recognition)処理して文字列を特定する領域(以下、検査領域)を設定する必要がある。
【0050】
しかしながら、検査領域を間違えていた場合は、文字列が特定できず、検査結果が異常(検査NG)となる。本印刷において検査NGとなった場合、通常は、リカバリ印刷を実行するが、設定間違いがある場合は繰り返し検査NGが発生することになる。これは、無駄な紙の消費と装置のダウンタイム増大につながる。本実施形態では、試し刷り実行時は、検査NGがあった場合、リカバリ印刷を実行せず、ユーザに検査設定の確認を促す画面が操作部200に表示される。
【0051】
図6(a)から(c)はそれぞれ、検査設定の説明図である。
図6(a)は、検査設定が正しい例を示す。同図において、印刷画像および検査設定エリア表示部であるエリアB401には、QRコード(登録商標)B501が設けられている。また、エリアB502は、その内部領域にQRコードB501が位置するように設けられており、QRコード検査領域として機能する。図示されるように、エリアB502は二重線の四角形で表されており、QRコード検査エリアとして設定されている。
図6(a)の例では、エリアB502は、その内部領域にQRコードB501の全体が含まれるように配置されており、かつ、QRコード(登録商標)の読取が可能であるQRコード検査エリアとして設定されている。従って、この例では、QRコードの読取に適した正しい検査が可能となる。
【0052】
図6(b)は、検査設定領域ずれの検査設定間違いを示した例である。この例では、QRコードB501に対して、エリアB502はQRコード検査領域として設定されているものの、その位置がずれており、QRコードB501の一部がエリアB502の外部にはみ出している。このため、検査実行時には、QRコードの一部が読み取れず、検査NGとなる。
【0053】
図6(c)は、検査設定種類における検査設定間違いを示した例である。この例ではエリアB503はその内部領域にQRコードB501の全体が含まれるように配置されている。しかし、エリアB503は一点鎖線の四角形となっており、ボタンB404の左側には一点鎖線の四角形が示されており、文字・バーコード検査エリアがバーコード検査領域として設定されている。そして、QRコードB501に対してエリアB416(バーコード検査領域)が設定されているため、検査実行時に検査NGとなる。
【0054】
試し刷り1枚目で検査NGが発生した場合、
図6(b)のように検査対象の範囲に対して検査設定領域がずれている場合や、
図6(c)のように検査設定種類の設定間違いがある場合が想定される。そして、このように検査設定が不適切である可能性が高いため、検査設定の確認を促す画面が操作部200に表示される。
【0055】
(検査実行時の操作部の操作画面の説明)
図7(a)、(b)はそれぞれ、検査実行時における操作画面の表示内容を示した説明図である。この場合、操作画面は検査画面として機能する。図中において、エリアB601は、読み取った画像を表示するエリアである。エリアB602は、検査完了数、検査NG数、検査NG率、NGの種類などの検査状況を表示するエリアである。エリアB603は、待機中や検査中、検査完了などのステータスが表示されるエリアである。プリンタ300が印刷実行していない場合は、
図7(a)に示すように、エリアB603には、検査を一時停止していることを示す「停止中」とのメッセージが表示される。一方、上述したように、試し刷り1枚目で検査NGが発生した場合は、検査設定が不適切である可能性が高い。このため、
図7(b)に示すように、エリアB603には、検査設定の確認を促すために「検査設定をご確認ください」とのメッセージが表示される。
【0056】
以上のように、ユーザは検査実行時の検査画面のエリアB603のステータス表示領域に記載された内容を確認することで、試し刷りの際に検品設定が間違っているか、装置異常の可能性が高いかどうかを容易に確認ができる。
【0057】
(印刷検査処理フロー)
図8は、本印刷のフロー図である。尚、このフロー図は、コントローラ400のCPU4301が実行する処理と、検査装置500のCPU5001が実行する処理とをまとめて図示したものである。
図4においてユーザが印刷開始ボタン(ボタンB105)を押下することで、CPU4301に対して本印刷の実行が指示され、その指示に応じて本印刷検査処理が実行される。
【0058】
操作部200を通じてボタンB105が選択されると、コントローラ400のCPU4301は、印刷で使用する用紙情報、検査設定、排出先などを含んだジョブ情報を検査装置500に送信する(S901)。検査装置500のCPU5001は、コントローラ400よりジョブ情報を受信する(S902)。検査装置500のCPU5001は、コントローラ400からのジョブ情報を受信した後に、コントローラ400に対して検査判定用の基準画像送信要求を送信する(S904)。
【0059】
コントローラ400のCPU4301は、検査装置500からの基準画像送信要求に基づいて、印刷ジョブの原稿画像データを基準画像データとして検査装置に送信する(S905)。検査装置500のCPU5001は、コントローラ400より基準画像を受信し、ストレージ5011に保存するとともに、印刷ジョブの準備完了をコントローラ400に通知する(S906)。
【0060】
コントローラ400のCPU4301は、検査装置500の準備完了通知を受信すると(S907)、プリンタ300を制御して印刷を開始する(S908)。その後、CPU4301は、操作部200を制御してディスプレイに検査画面を表示させ、検査画面上に本印刷の印刷物を検査するというメッセージを表示する(S909)。例えば検査画面のエリアB603に当該メッセージが表示される。なお、この例に限らず、例えば、CPU4301は、検査装置500の準備完了通知を受信したときには検査画面上に本印刷の検査を開始するというメッセージを表示し、所定時間経過後に本印刷の検査を実行中であるというメッセージを表示してもよい。この場合、上述した所定時間が経過するまでは、本印刷の検査を開始するという表示と共に検査のキャンセルボタンを画面に表示し、ユーザがこのキャンセルボタンを押下することで本印刷の検査をキャンセルしてもよい。
【0061】
検査装置500のCPU5001は、S906を実行した後に、検査装置500の搬送パス501の用紙検出センサ504に用紙が到達したかどうかを判定する(S910)。検査装置500のCPU5001は、用紙が到達していない場合(S910:No)、用紙の到達を待機する。用紙が到達した場合(S910:Yes)、検査装置500のCPU5001は、送られてくる用紙を第1読取部5051a、第2読取部5051bで読み取り、S906で受信した基準画像データとの比較処理を画像処理部5006に指示する。これにより、画像処理部5006が比較処理を行って画像検査が行われる(S911)。
【0062】
検査装置500のCPU5001は、画像処理部5006での比較による画像検査での検査結果をコントローラ400へ送信し(S912)、すべての検査が完了したかを判定する(S913)。検査が完了していない場合(S913:No)、検査装置500のCPU5001は、処理を終了する。再度S910の処理に戻る。検査が完了している場合(S913:Yes)、検査装置500のCPU5001は処理を終了する。一方、コントローラ400のCPU4301は、検査結果を受信したかどうかを判定する(S914)。受信していない場合は(S914:No)検査結果の受信を待機し、受信した場合は(S914:Yes)操作部200を制御して検査結果に応じて検査画面を更新する(S915)。
【0063】
その後、コントローラ400は、次ページがあるか否かを判定する(S916)。次ページがある場合には(S916:Yes)、コントローラ400および検査装置500は、再度S908~S916の処理を繰り返す。次ページがない場合(S916:No)、コントローラ400のCPU4301は、ジョブの最終ページが処理されて全ページの印刷および検査が完了しかを判定し(S917)。検査が完了していない場合(S917:No)、再度S914を実行する。検査が完了している場合(S917:Yes)、コントローラ400のCPU4301は、操作部200を制御して検査画面に検査が完了したことを表示して処理を終了する。以上により本印刷検査処理を終了する。
【0064】
(試し刷り検査処理フロー)
図9は、試し刷り検査処理のフロー図である。尚、この制御はコントローラ400のCPU4301が実行する処理と、検査装置500のCPU5001が実行する処理とをまとめて図示したものである。
図4でユーザが試し刷り開始ボタン(ボタンB106)を押下することで、CPU4301に対して試し刷りの実行が指示され、その指示に応じて試し刷り検査印刷が実行される。第1実施形態及び後述する第2実施形態のいずれにおいても試し刷りの検査を行う場合には先頭ページのみに画像が印刷されるが、印刷部数が複数部である場合には、1部だけ印刷するように複数枚の用紙に画像が印刷され、該複数枚の用紙上の画像が検査される。また、第1及び第2実施形態のいずれにおいても、試し刷りを複数枚の用紙に対して実行する場合、検査での検査結果が異常であると判定された用紙が試し刷りでの何枚目であるかに応じて検査結果の原因を含む情報を表示する。特に、第1実施形態では、試し刷りの1枚目で検査結果が異常であると判定された(検査NG)例を示す。
【0065】
コントローラ400のCPU4301は、操作部200を通じてユーザがボタンB106を選択して押下すると、印刷で使用する用紙情報、検査設定、排出先などを含んだジョブ情報を検査装置500に送信する(S1001)。検査装置500のCPU5001は、コントローラ400からジョブ情報を受信する(S1002)。検査装置500のCPU5001は、コントローラ400からジョブ情報を受信した後に、コントローラ400に対して検査判定用の基準画像送信要求を送信する(S1004)。
【0066】
コントローラ400のCPU4301は、検査装置500からの基準画像送信要求に基づいて、印刷ジョブの原稿画像データを基準画像データとして検査装置に送信する(S1005)。検査装置500のCPU5001は、コントローラ400から基準画像を受信し、ストレージ5011に保存するとともに、印刷ジョブの準備完了をコントローラ400に通知する(S1006)。
【0067】
コントローラ400のCPU4301は、検査装置500の準備完了通知を受信すると(S1007)、プリンタ300を制御して先頭ページのみの印刷を開始(S1008)する。その後、CPU4301は、操作部200を制御して検査画面を表示し、検査画面に試し刷り検査であることを表示する(S1009)。例えば検査画面のエリアB603に当該表示がされる。なお、この例に限らず、例えば、CPU4301は、検査装置500の準備完了通知を受信したときには検査画面上に試し刷り検査を開始するという表示を行い、所定時間経過後に試し刷り検査を実行中であるという表示を行ってもよい。この場合、上述した所定時間が経過するまでは、試し刷り検査を開始するという表示とともに本印刷検査のキャンセルボタンを画面に表示し、ユーザがこのキャンセルボタンを押下することで本印刷検査のキャンセルを可能としてもよい。
【0068】
検査装置500のCPU5001は、S1006を実行した後に、検査装置500の搬送パス501の用紙検出センサ504の用紙検出位置に用紙が到達したか否かを判定する(S1010)。検査装置500のCPU5001は、用紙が到達していない場合(S1010:No)は、用紙の到達を待機する。用紙が到達した場合(S1010:Yes)、検査装置500のCPU5001は、送られてくる用紙を順次、第1読取部5051a、第2読取部5051bで読み取り、S1006で受信した基準画像データとの比較処理を画像処理部5006に指示する。これにより、画像処理部5006が比較処理を行って画像検査が行われる(S1011)。
【0069】
検査装置500のCPU5001は、画像処理部5006での比較による画像検査での検査結果をコントローラ400へ送信する(S1012)。コントローラ400のCPU4301は、検査結果を受信したかを判定し(S1014)、受信していない場合は(S1014:No)検査結果の受信を待機する。受信している場合(S1014:Yes)、CPU4301は、S1015に進み、1枚目で検査NGであるか否かを判定する(S1015)。
【0070】
1枚目で検査NGだった場合(S1015:Yes)、CPU4301は、検査NGがバリアブル検査に係る異常を示しているか否かを判定する(S1016)。検査NGがバリアブル検査に係る異常を示している場合(S1016:Yes)、CPU4301は、操作部200を制御して検査画面に検査設定の確認を促す内容を表示する(S1017)と共に画像形成を停止させ、処理を終了させる。検査NGではない場合は(S1015:No)、CPU4301は、操作部200を制御して検査結果に応じて検査画面を更新する(S1018)。その後、CPU4301はすべての検査が完了したかを判定し(S1019)、完了していない場合(S1019:No)にはS1014の処理に戻る。これにより、CPU4301は、試し刷りにおいて設定された全ての画像が用紙に形成されるまでステップS1014からステップS1017までの処理を繰り返す。すべての検査が完了している場合(S1019:Yes)、コントローラ400のCPU4301は、操作部200を制御して検査画面に検査が完了したことを表示して処理を終了する。
【0071】
また、ステップS1016において、検査NGがバリアブル検査以外の異常を示している場合(S1016:No)、CPU4301は、処理をステップS1018へ移行させる。ステップS1018以降の処理は前述のフローに従って行われる。以上により試し刷り検査処理を終了する。
検査NGとなる原因としては、機械の故障が原因である場合よりもヒューマンエラーが原因となる場合が多い傾向がある。従って、第1実施形態では、1枚目で検査NGである場合、検査結果が異常となる原因(検査設定)を含む情報として、ユーザにより設定される検査設定について、その確認を促す内容を操作部200のディスプレイに表示する。
なお、1枚目で検査設定がNGだった場合(S1015:Yes)、CPU4301は検査設定がバリアブル検査を含んでいるか否かを判定し、バリアブル検査を含んでいる場合に検査設定の確認を促すメッセージを検査画面に表示する構成としてもよい。
【0072】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態について図面を用いて説明する。第2実施形態においては、装置構成はすべて第1実施形態と同じであり、試し刷り検査における検査結果に応じた操作部画面の表示と対応する処理フローのみ異なる。従って、以下の第2実施形態では、第1実施形態との差分のみを記載する。
【0073】
(試し刷りにおける印刷検査)
試し刷り2枚目以降で検査NGが発生した場合、1枚目は検査OKであることから、検査設定が異常である可能性は低い。このため、装置が不適切であるかの確認を促す内容を操作部200で通知する。
【0074】
(操作部200の検査実行画面の説明)
図10は第2実施形態における検査実行後の操作部画面を示した図である。上述したように、試し刷り2枚目以降で検査NGが発生した場合は、検査設定が不適切である可能性は低いため、
図10に示すように装置異常の確認を促す内容である「装置異常をご確認ください」の表示が操作部200で通知される。
【0075】
(試し刷り検査処理フロー)
図11は、試し刷りの検査印刷処理のフロー図である。尚、このフロー図は、コントローラ400のCPU4301が実行する処理と、検査装置500のCPU5001が実行する処理をまとめて図示したものである。
図4においてユーザが試し刷り開始ボタンであるボタンB106を選択して押下することで、CPU4301に対して試し刷りの実行が指示され、その指示に応じて試し刷り検査印刷が実行される。
図11において、S1101からS1114までの各処理は、第1実施形態S1001からS1014までのそれぞれの処理の内容と同じであるため説明を省略する。
【0076】
コントローラ400のCPU4301は、S1114を実行した後、1枚目で検査NGであるかを判定する(S1115)。1枚目で検査NGだった場合(S1115:Yes)、コントローラ400のCPU4301は、第1実施形態と同様に、操作部200を制御して検査画面に検査設定の確認を促す内容を表示し(S1116)、後述するS1119の処理を実行する。そうでない場合(S1115:No)、コントローラ400のCPU4301は、2枚目以降で検査NGであるかを判定する(S1119)。
【0077】
なお、前述のように、複数枚数が検査される場合、検査設定、例えば検査レベルの設定や領域の配置等は、印刷されるどの用紙においても共通のものとなる。検査結果がNGではない場合(S1119:No)、コントローラ400のCPU4301は、後述するS1117の処理を実行する。検査結果がNGの場合(S1119:Yes)、コントローラ400のCPU4301は、操作部200を制御して、検査画面に装置異常の確認を促す内容を表示し(S1120)、操作部200を制御して検査結果に応じて検査画面を更新する(S1117)。その後、コントローラ400のCPU4301は、操作部200を制御して検査画面に検査が完了したことを表示する(S1118)。以上により試し刷り検査処理を終了する。
【0078】
上述のように、検査NGとなる原因としては、ヒューマンエラーにより、ユーザによる検査設定が間違っている場合が高い傾向がある。しかし、
図5で説明したように、検査設定はどの原稿においても共通であるので、2枚目以降で検査NGとなったということは、検査NGとなる原稿の前に検査に合格した原稿が存在することを意味する。このことから、S1119において2枚目以降で検査NGとなった場合、
図6(b)に示される検査設定領域ずれ、
図6(c)に示される検査種類における検査設定間違いが発生している可能性は低いと推測される。従って、第2実施形態では、検査結果が異常となる原因(装置異常)を含む情報として、装置異常の確認を促す内容を操作部200のディスプレイに表示する。これにより、検査NGの原因として、より適切な原因を案内することができる。
【0079】
<第3実施形態>
第1実施形態の画像形成装置においては試し刷りにおいて1枚目の検査結果が検査NGを示す場合に検査設定の確認を促す内容を検査画面に表示させたが、試し刷りを行わずに本印刷が実行された場合に以下のように制御されてもよい。
図12のフロー図は、そのS1001~S1007、S1010~S1014、及びS1018~S1019の処理は
図9のフロー図における処理と同様であり、これらについては説明を省略する。また、
図9におけるS1018及びS1009の処理は、
図12のフロー図では実行されない。
【0080】
従って、第3実施形態では、
図12に示すように、S1014で検査結果を受信している場合(S1014:Yes)、試し刷りを行わずに本印刷が実行される。1枚目で検査NGだった場合(S3000:Yes)、CPU4301は、検査NGがバリアブル検査に係る異常を示しているか否かを判定する(S3001)。検査NGがバリアブル検査に係る異常を示している場合(S3001:Yes)、CPU4301は、操作部200を制御して検査画面に検査設定の確認を促す内容を表示する(S3002)と共に画像形成を停止させ、処理を終了させる。検査NGではない場合(S3001:No)、CPU4301は、S1018以降の処理を実行する。
【0081】
このように、本発明によれば、本印刷の前に実行する試し刷りで検査設定に間違いが無いかを確認することができる。このため、本印刷における検査設定間違いによって印刷検査がNGとなりNG紙の発生を防ぐことができる。また、本印刷後に検査設定を見直すという手戻りを防ぐことができる。
【0082】
また、画像形成装置のタイプ等により、検査NGとなる原因のうち1枚目の検査で発生する可能性が高いその他の原因があることも考えられる。その場合には、
図9のS1016で、検査NGとなる原因のうち1枚目の検査で発生する可能性が高いその他の原因を表示してもよい。検査設定の確認や装置異常の確認は、その内容を視覚的に表示されている。しかし、これに代えて、検査設定の確認あるいは装置異常に対応した音声(聴覚)や振動パターン(触覚)等により、その内容を提示することも可能である。