(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025141576
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】光電変換装置、制御装置および光電変換システム
(51)【国際特許分類】
H04N 25/773 20230101AFI20250919BHJP
H04N 25/705 20230101ALI20250919BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20250919BHJP
H04N 23/54 20230101ALI20250919BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20250919BHJP
【FI】
H04N25/773
H04N25/705
H04N23/56
H04N23/54
H04N23/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041584
(22)【出願日】2024-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 司
【テーマコード(参考)】
5C024
5C122
【Fターム(参考)】
5C024AX01
5C024AX07
5C024CY17
5C024EX52
5C024GY45
5C024HX32
5C122DA13
5C122DA16
5C122EA22
5C122FA04
5C122FA18
5C122FC06
5C122FC07
5C122FH11
5C122GG04
5C122HB01
5C122HB02
5C122HB05
(57)【要約】
【課題】互いに異なる波長域の画像を撮像する装置において取得される画像の品質を向上させるために有利な技術を提供する。
【解決手段】光電変換装置は、入射した光子の数に応じたデジタルデータを出力する複数の画素を有する撮像素子と、投影部を制御する制御部と、を備える。前記複数の画素は、第1波長域の光に感度を有する第1画素と、前記第1波長域とは異なる第2波長域の光に感度を有する第2画素とを含み、前記投影部は、前記第2波長域を含む投影光を発生し、前記制御部は、前記投影光の強度が所定強度より大きい実効発光期間と、前記投影光の強度が前記所定強度より小さい非実効発光期間とが規定されるように前記投影部を制御し、前記第1画素が撮像を行う第1撮像期間は、前記非実効発光期間の少なくとも一部を含み、前記実効発光期間を含まず、前記第2画素が撮像を行う第2撮像期間は、前記実効発光期間の少なくとも一部と前記非実効発光期間の少なくとも一部とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光子の数に応じたデジタルデータを出力する複数の画素を有する撮像素子と、投影部を制御する制御部と、を備える光電変換装置であって、
前記複数の画素は、第1波長域の光に感度を有する第1画素と、前記第1波長域とは異なる第2波長域の光に感度を有する第2画素とを含み、
前記投影部は、前記第2波長域を含む投影光を発生し、
前記制御部は、前記投影光の強度が所定強度より大きい実効発光期間と、前記投影光の強度が前記所定強度より小さい非実効発光期間とが規定されるように前記投影部を制御し、
前記第1画素が撮像を行う第1撮像期間は、前記非実効発光期間の少なくとも一部を含み、前記実効発光期間を含まず、
前記第2画素が撮像を行う第2撮像期間は、前記実効発光期間の少なくとも一部と前記非実効発光期間の少なくとも一部とを含む、
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記第1波長域は、可視光の波長域を含み、
前記第2波長域は、赤外光の波長域を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記制御部は、1つの撮像周期が前記実効発光期間および前記非実効発光期間を含むように前記実効発光期間および前記非実効発光期間を規定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記制御部は、1つの撮像周期が、前記非実効発光期間と、前記非実効発光期間に続く前記実効発光期間とを含むように前記実効発光期間および前記非実効発光期間を規定し、
前記第1撮像期間は、前記非実効発光期間の開始から終了までの期間であり、
前記第2撮像期間は、前記非実効発光期間の開始から前記実効発光期間の終了までの期間である、
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記複数の画素の各々は、入射した光子の数に応じたデジタルデータを生成するカウンタと、前記カウンタの出力をラッチするラッチ動作を行うラッチ回路とを含み、
前記複数の画素の各々の前記ラッチ回路は、前記第1撮像期間の終了時に前記ラッチ動作を行い、前記第2撮像期間の終了時に再び前記ラッチ動作を行う、
ことを特徴とする請求項4に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記複数の画素の各々の前記カウンタは、前記第1撮像期間および前記第2撮像期間の開始時にリセットが解除され、前記第2撮像期間にわたってカウント動作がイネーブルされる、
ことを特徴とする請求項5に記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記第1撮像期間の終了後に前記第1画素の前記ラッチ回路からデジタルデータを読み出し、前記第2撮像期間の終了後に前記第2画素の前記ラッチ回路からデジタルデータを読み出す読出部を更に備える、
ことを特徴とする請求項6に記載の光電変換装置。
【請求項8】
前記制御部は、1つの撮像周期が、前記実効発光期間と、前記実効発光期間に続く前記非実効発光期間とを含むように前記実効発光期間および前記非実効発光期間を規定し、
前記第1撮像期間は、前記非実効発光期間の開始時に開始し、前記非実効発光期間において終了し、
前記第2撮像期間は、前記実効発光期間の開始時に開始し、前記非実効発光期間において終了する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項9】
前記複数の画素の各々は、入射した光子の数に応じたデジタルデータを生成するカウンタを含み、
前記複数の画素の各々の前記カウンタは、前記第2撮像期間の開始時にカウント動作がイネーブルされ、前記第2撮像期間の終了時に前記カウント動作がディスエーブルされ、
前記第1画素の前記カウンタは、前記第1撮像期間の開始時にリセットが解除され、
前記第2画素の前記カウンタは、前記第2撮像期間の開始時にリセットが解除される、
ことを特徴とする請求項8に記載の光電変換装置。
【請求項10】
前記第1撮像期間および前記第2撮像期間の終了後に前記第1画素および前記第2画素の前記カウンタからデジタルデータを読み出す読出部を更に備える、
ことを特徴とする請求項9に記載の光電変換装置。
【請求項11】
前記制御部は、1つの撮像周期が、前記非実効発光期間と、前記非実効発光期間に続く前記実効発光期間を含むように前記実効発光期間および前記非実効発光期間を規定し、
前記第1撮像期間は、前記非実効発光期間の開始から終了までの期間であり、
前記第2撮像期間は、前記非実効発光期間の開始時に開始し、前記実効発光期間の終了時に終了する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項12】
前記複数の画素の各々は、入射した光子の数に応じたデジタルデータを生成するカウンタを含み、
前記複数の画素の各々の前記カウンタは、前記第2撮像期間の開始時にリセットが解除され、
前記第1画素の前記カウンタは、前記第1撮像期間の開始時にカウント動作がイネーブルされ、前記第1撮像期間の終了時にカウント動作がディスエーブルされ、
前記第2画素の前記カウンタは、前記第2撮像期間の開始時にカウント動作がイネーブルされ、前記第2撮像期間の終了時にカウント動作がディスエーブルされる、
ことを特徴とする請求項11に記載の光電変換装置。
【請求項13】
前記第1撮像期間の終了後に前記第1画素の前記カウンタからデジタルデータを読み出し、前記第2撮像期間の終了後に前記第2画素の前記カウンタからデジタルデータを読み出す読出部を更に備える、
ことを特徴とする請求項12に記載の光電変換装置。
【請求項14】
前記制御部は、1つの撮像周期が、前記非実効発光期間と、前記非実効発光期間に続く前記実効発光期間を含むように前記実効発光期間および前記非実効発光期間を規定し、
前記複数の画素の各々は、入射した光子の数に応じたデジタルデータを生成するカウンタを含み、
前記第1撮像期間は、前記第1画素の前記カウンタがイネーブルされてから前記第1画素の前記カウンタからのデジタルデータの読出が開始されるまでの期間であり、
前記第2撮像期間は、前記第2画素の前記カウンタがイネーブルされてから前記第2画素の前記カウンタからのデジタルデータの読出が開始されるまでの期間であり、
前記実効発光期間は、複数の前記第1画素の前記カウンタからのデジタルデータの読出後に開始し、複数の前記第2画素の前記カウンタからのデジタルデータの読出前に終了する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項15】
複数の行および複数の列を構成するように配置された複数の画素を有する撮像素子を制御する制御装置であって、前記複数の画素は、同一行に属する第1画素および第2画素を含み、前記第1画素は、第1波長域の光に感度を有し、前記第2画素は、前記第1波長域とは異なる第2波長域の光に感度を有し、
前記制御装置は、前記第1画素および前記第2画素の信号を読み出す期間において、前記第1画素の撮像期間を規定する第1信号、前記第2画素の撮像期間を規定する第2信号を発生する、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項16】
前記第1信号は、前記第1画素の撮像期間の終了を規定し、前記第2信号は、前記第2画素の撮像期間の終了を規定する、
ことを特徴とする請求項15に記載の制御装置。
【請求項17】
2以上の撮像装置と、前記2以上の撮像装置の出力に基づいて視差を算出する視差算出部とを備える光電変換システムであって、
前記2以上の撮像装置の各々は、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の光電変換装置である、
ことを特徴とする光電変換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置、制御装置および光電変換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現実空間に仮想空間の情報をリアルタイムに重畳し利用者に表示する複合現実感において、現実空間に存在する物体等の三次元形状を推定する必要がある。特に仮想空間と重ね合わせる現実空間の特定の被写体の三次元形状を高精度かつ高速に推定することでより高い複合現実感を得ることができる。そのために、現実空間の撮像と三次元形状の推定を同時に行う手法がある。特許文献1では、可視光および赤外光の撮像が可能な固体撮像装置により、1フレーム走査期間ごとに可視光および赤外光の撮像を行いながら、撮影対象空間へのIRパルスの照射を1フレーム走査期間おきに行う距離画像センサが記載されている。この距離画像センサでは、IRパルスの照射時の撮像によって得られたIR画素信号(からIRパルスの非照射時の撮像によって得られたIR画素信号を減算することによって、外光中の赤外成分による影響を排除した距離画像を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可視光域および赤外域のような互いに異なる波長域の画像を撮像する装置において、互いに異なる波長域を撮像するための2種類の画素による撮像期間を排他的に定めると、2種類の画素のそれぞれの目的に応じた品質を有する画像を得ることが難しい場合がある。
【0005】
本発明は、互いに異なる波長域の画像を撮像する装置において取得される画像の品質を向上させるために有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの側面は、入射した光子の数に応じたデジタルデータを出力する複数の画素を有する撮像素子と、投影部を制御する制御部と、を備える光電変換装置に係り、前記光電変換装置において、前記複数の画素は、第1波長域の光に感度を有する第1画素と、前記第1波長域とは異なる第2波長域の光に感度を有する第2画素とを含み、前記投影部は、前記第2波長域を含む投影光を発生し、前記制御部は、前記投影光の強度が所定強度より大きい実効発光期間と、前記投影光の強度が前記所定強度より小さい非実効発光期間とが規定されるように前記投影部を制御し、前記第1画素が撮像を行う第1撮像期間は、前記非実効発光期間の少なくとも一部を含み、前記実効発光期間を含まず、前記第2画素が撮像を行う第2撮像期間は、前記実効発光期間の少なくとも一部と前記非実効発光期間の少なくとも一部とを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、互いに異なる波長域の画像を撮像する装置において取得される画像の品質を向上させるために有利な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態の撮像システムの構成を示す図。
【
図2】第1実施形態の撮像素子における複数の画素の配列を例示する図。
【
図3】第1実施形態の撮像素子の構成、および撮像素子が備える各画素の詳細な構成例を示す図。
【
図4】第1実施形態の撮像システムの動作を例示する図。
【
図5】第1実施形態の撮像システムによって撮像される第1画像および第2画像を模式的に示す図。
【
図6】第2実施形態の撮像システムの動作を例示する図。
【
図7】第2実施形態の撮像システムの動作を例示する図。
【
図8】第3実施形態の撮像システムの動作を例示する図。
【
図9】第4実施形態の撮像システムの動作を例示する図。
【
図10】第5実施形態の撮像システムの構成を示す図。
【
図11】第5実施形態の撮像素子の構成、および撮像素子が備える各画素の詳細な構成例を示す図。
【
図12】第5実施形態の撮像システムの動作を例示する図。
【
図13】第6実施形態の撮像システムの構成を示す図。
【
図14】第6実施形態の撮像素子の構成、および撮像素子が備える各画素の詳細な構成例を示す図。
【
図15】第5実施形態の撮像システムの動作を例示する図。
【
図16】第7実施形態の撮像システムの構成を示す図。
【
図17】第7実施形態の撮像素子の構成、および撮像素子が備える各画素の詳細な構成例を示す図。
【
図18】第7実施形態の撮像システムの動作を例示する図。
【
図19】第8実施形態の撮像システムの動作を例示する図。
【
図20】第8実施形態の撮像素子の構成、および撮像素子が備える各画素の詳細な構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
以下で説明する撮像システムは、本発明の光電変換装置あるいは光電変換システムの適用例である。
【0011】
(第1実施形態)
図1、
図2、
図3、
図4、
図5、
図6を参照しながら第1実施形態の撮像システム100について説明する。
図1には、第1実施形態の撮像システム100の構成が示されている。撮像システム100は、撮像装置101と、投影部103と、制御部104とを備えうる。撮像装置101は、撮像素子102を含む。撮像素子102は、入射した光子の数に応じたデジタルデータ(画素値)を出力する複数の画素を含みうる。これらの画素は、一例において、アバランシェフォトダイオード(APD:Avalanche Photo Diode)を含みうる。該複数の画素は、第1波長域の光に感度を有する第1画素と、該第1波長域とは異なる第2波長域の光に感度を有する第2画素とを含みうる。ここでは、第1波長域が可視光の波長域であり、第2波長域が赤外光(赤外線)の波長域である例を説明するが、これは例示に過ぎず、例えば、双方が可視光の波長域における互いに異なる波長域であってもよい。
【0012】
撮像装置101は、撮像素子102の撮像面に撮像対象の光学像を形成する光学系を含みうる。投影部103は、撮像装置101の画角をカバーする領域に対して第2波長域(この例では、赤外光の波長域)の投影光を投影する。投影光は、例えば、パターン化された光(パターン光)でありうる。パターン光におけるパターンは、投影される領域内に類似箇所が現れないランダムパターンであることが望ましいが、これに限定されず、例えば、ドットパターン、グリッドパターンなどでもよい。投影光は、一様な光でもよい。制御部104は、投影部103を制御するように構成されうる。制御部104は、その他、撮像装置101を制御するように構成されてもよい。あるいは、制御部104は、撮像装置101に組み込まれてもよい。撮像システム100は、複数の第1画素を使って第1画像(ここでは、可視光の画像)を撮像する他、複数の第2画素を使って第2画像(ここでは、可視光および赤外光の画像)を撮像するように構成されうる。
【0013】
図2には、撮像素子102における複数の画素の配列が例示されている。撮像素子102の複数の画素は、例えば、可視光に感度を有する画素として3種類の画素、具体的には、R画素201、G画素202、B画素203を含み、赤外光に感度を有する画素として1種類のIR画素204を含む。しかしながら、可視光のモノクロ画像を得る場合には、可視光に感度を有する画素は1種類のみでもよい。R画素201、G画素202、B画素203は、第1波長域の光に感度を有する第1画素の例であり、IR画素204は、該第1波長域とは異なる第2波長域の光に感度を有する第2画素の例である。複数の画素の配列は、
図2に示される例に限定されない。例えば、第一の行にR画素とB画素を交互に配置し、第二の行にG画素とIR画素を交互に配置し、第一の行と第二の行を交互に繰り返す配置でもよい。
【0014】
図3は、撮像素子102の構成、および撮像素子102が備える各画素の詳細な構成例が示されている。可視光に感度を有する画素であるR画素201、G画素202、B画素203および赤外光に感度を有する画素であるIR画素204は、互いに同一の回路構成を有しうる。撮像素子102は、例えば、撮像制御部301、読出部302および垂直走査回路311を含みうる。
図3では、複数の画素としてR画素201、G画素202、B画素203およびIR画素204の4画素のみが示されている。撮像制御部301は、垂直走査回路311を介して各画素を制御する。各画素で得られた画素値(デジタルデータ)は、読出部302によって読み出される。撮像制御部301は、撮像および読出を制御する種々の信号を垂直走査回路311に送る。また、撮像制御部301は、読出を制御する信号を読出部302に送る。
【0015】
垂直走査回路311は、各画素の撮像および読出を制御する信号として、ENABLE信号、RESET信号、READn信号、LATCH信号を有する。ENABLE信号は、アサート(活性化)されることによって各画素のカウンタ306のカウント動作をイネーブルする信号である。RESET信号は、アサートされることによって各画素のカウンタ306のカウント値(画素値)をリセットする信号である。LATCH信号は、信号遷移(ここでは、立ち上がり)により画素内のカウンタ306のカウント値をラッチする信号である。READn信号は、行ごとに設けられる信号であり、アサートされることにより対応する行の各画素から画素値(デジタルデータ)を読出部302へ出力させる信号である。読出部302は、各画素から読み出される画素値(デジタルデータ)を撮像素子102の外部へ順次に出力する。
【0016】
続いて、各画素の詳細について説明する。各画素は、例えば、APD303、クエンチ素子304、波形整形部305、カウンタ306、ラッチ回路309、および、選択トランジスタ310を含みうる。APD303は光電変換部であり、APD303に光子が入射すると、光電変換により入射光に応じた電荷対が生成される。APD303のアノードには、第一電圧が供給され、APD303のカソードには第一電圧よりも高い第二電圧が供給されうる。光電変換により生成された電荷対は、アバランシェ増倍を引き起こし、アバランシェ電流が発生する。クエンチ素子304は、第二電圧を供給する電源とAPD303とを接続し、APD303で生じたアバランシェ電流の変化を電圧信号に変換する。また、クエンチ素子304は、アバランシェ増倍による信号増倍時に負荷回路として機能し、APD303に供給される電圧を抑制することによってアバランシェ増倍を停止せる。
【0017】
波形整形部305は、APD303に光子が入射した際のAPD303のカソードの電位の変化を整形することによってパルス信号を発生する。カウンタ306は、垂直走査回路311から供給されるENABLE信号(イネーブル信号)、RESET信号(リセット信号)に加えて、波形整形部305から供給されるパルス信号を受けて動作しうる。カウンタ306は、イネーブル回路としてのAND回路308と、カウンタ回路307とを含みうる。ENABLE信号がアサートされ、RESET信号がデアサートされている場合において、波形整形部305からパルスが供給されると、カウンタ回路307によるカウント値がインクリメントされる。RESET信号がアサートされると、カウンタ回路307によるカウント値が所定の値にリセットされる。
【0018】
ラッチ回路309は、LATCH信号(ラッチ信号)の立ち上がりに応じてカウンタ306(カウンタ回路307)のカウント値をラッチする回路である。ラッチ回路309がラッチした値は、後段の選択トランジスタ310へ伝達される。選択トランジスタ310は、READ信号(リード信号)がアサートされると、読出線を介して読出部302にカウント値を画素値(デジタルデータ)として出力する。各画素は、画素値(デジタルデータ)が読出部302によって読み出されてもその画素値を維持する。
【0019】
図4には、撮像システム100の動作が例示されている。制御部104は、撮像開始信号、読出開始信号、投影信号を出力し、垂直走査回路311は、ENABLE信号、RESET信号、LATCH信号、READ信号を出力する。制御部104は、投影信号によって、投影光の強度が所定強度より大きい実効発光期間と、投影光の強度が該所定強度より小さい非実効発光期間とが規定されるように投影部103を制御しうる。この例では、投影信号がアサートされている期間が実効発光期間である。所定強度は、例えば、目標最低強度である。投影部103が有する発光素子に対する電流供給を遮断した直後においても該発光素子は若干の光を放射しうるが、その光が所定強度より小さい期間は、非実効発光期間である。
【0020】
制御部104、又は、制御部104によって制御される垂直走査回路311は、第1画素としてのR画素201、G画素202、B画素203が撮像を行う第1撮像期間を規定する。また、制御部104、又は、制御部104によって制御される垂直走査回路311は、第2画素としてのIR画素204が撮像を行う第2撮像期間を規定する。画素が撮像を行う撮像期間は、画素が入射した光子の数を出力値としてのデジタルデータに反映可能な期間として理解することができる。第1画素がR画素201、G画素202、B画素203が撮像を行う第1撮像期間は、非実効発光期間の少なくとも一部を含み、実効発光期間を含まない期間である。第2画素としてのIR画素が撮像を行う第2撮像期間は、実効発光期間の少なくとも一部と非実効発光期間の少なくとも一部とを含む期間である。
【0021】
図4に示された例では、制御部104は、1つの撮像周期が、非実効発光期間と、非実効発光期間に続く実効発光期間とを含むように実効発光期間および非実効発光期間を規定する。
図4に示された例では、第1撮像期間は、非実効発光期間の開始から終了までの期間であり、第2撮像期間は、非実効発光期間の開始から実効発光期間の終了までの期間である。
【0022】
複数の画素(第1画素、第2画素)の各々のラッチ回路309は、第1撮像期間の終了時にラッチ動作を行い、第2撮像期間の終了時に再びラッチ動作を行いうる。複数の画素の各々のカウンタ306は、第1撮像期間および第2撮像期間の開始時にリセットが解除され、第2撮像期間にわたってカウント動作がイネーブルされうる。読出部302は、第1撮像期間の終了後に第1画素としてのR画素201、G画素202、B画素203のラッチ回路309からデジタルデータを読み出し、第2撮像期間の終了後に第2画素としてのIR画素204のラッチ回路309からデジタルデータを読み出す。
【0023】
以下、撮像システム100のより具体的な動作例を説明する。時刻t401において、制御部104は、撮像開始信号を立ち上げる。この立ち上がりが撮像周期の終了ならびに開始を示している。したがって、時刻t401で開始した撮像周期は、時刻t404での撮像開始信号の立ち上がりによって終了する。また、時刻t401は、撮像周期内の第1撮像期間、第2撮像期間、非発光期間の開始時刻でもある。撮像開始信号の立ち上がりに応答して、撮像制御部301は、垂直走査回路311へ撮像開始信号を伝達する。これにより、垂直走査回路311は、各画素での撮像を開始するため、ENABLE信号をアサートする。
【0024】
時刻t402において、制御部104は、読出開始信号を立ち上げる。ここで、制御部104は、撮像開始信号の立ち上げ後、第1所定時間の経過に応じて、第1撮像期間を終了させるように、読出開始信号を立ち上げる。この立ち上がりにより、撮像制御部301は、垂直走査回路311および読出部302へ読出開始信号を伝達する。これにより、垂直走査回路311は、LATCH信号を立ち上げ、また、複数の行のREADn信号を順次にアサートする動作を開始する。LATCH信号の立ち上がりにより、各画素のラッチ回路309にカウンタ306のカウント値である画素値(デジタルデータ)がラッチされ、READn信号のアサートにより対応する行の画素から画素値が読み出される。この際に、ラッチ回路309によってラッチされた画素値は維持される。この状態で、各画素において、波形整形部305がパルス信号を発生すると、それを受けたカウンタ306は、カウント値をインクリメントする。垂直走査回路311は、複数の行のREADn信号を所定の順番で順次にアサートすることで、複数の行の画素値が順次に読出部302によって読み出される。また、制御部104は、読出開始信号の立ち上げ後に応答して投影信号をアサートし、これに応答して投影部103が投影光の投影を開始する。時刻t402は、実効発光期間の開始時刻として理解されてよい。
【0025】
時刻t403において、制御部104は、再び読出開始信号を立ち上げる。ここで、制御部104は、時刻t402での読出開始信号の立ち上げ後、第2所定時間の経過に応じて第2撮像期間を終了させるように、読出開始信号を立ち上げる。この立ち上がりによって、投影信号をデアサートし、投影部103は、時刻t403において投影光の投影を終了する。また、撮像制御部301は、垂直走査回路311および読出部302へ読出開始信号を伝達する。これにより、垂直走査回路311は、LATCH信号を立ち上げ、また、複数の行のREADn信号を所定の順番で順次にアサートする動作を開始する。LATCH信号の立ち上がりにより、各画素のラッチ回路309にカウンタ306のカウント値である画素値(デジタルデータ)がラッチされ、READn信号のアサートにより画素値が読み出される。なお、LATCH信号の立ち上げと、それに続くREADn信号のアサートによる画素値の読み出しは、次の読出が開始する時刻t405までに完了すればよいため、時刻t403から時刻t405までの期間に実行してもよい。
【0026】
時刻t404において、制御部104は、撮像開始信号を再び立ち上げる。ここで、制御部104は、時刻t403での読出開始信号の立ち上げから第3所定時間の経過に応じて、時刻t401において開始された1つの撮像周期が終了するように、撮像開始信号を立ち上げる。前述のように、この立ち上がりにより1つの撮像周期が終了すると同時に次の撮像周期が開始する。
【0027】
以降の時刻t404から時刻t407までの動作は、時刻t401から時刻t404までの動作の繰り返しである。
【0028】
時刻t401から時刻t402までの期間、時刻t402から時刻t403までの期間、時刻t403から時刻t404まで期間は、時刻t401から時刻t404までの撮像周期の設定に基づいて決定されうる。例えば、時刻t401から時刻t404までの撮像周期を16.666msとし、時刻t401から時刻t402までの期間を15ms、時刻t402から時刻t403までの期間を1ms、時刻t403から時刻t404までの期間を0.666msとしてもよい。
【0029】
また、撮影環境および/または撮像システムの実装形態に応じて、撮像周期ごとに上記の各期間を調整してもよい。例えば、可視光画像への影響がない範囲で、可視光画像を読み出す前に投影光の投影を行ってもよいし、赤外光画像に求められるS/N比を維持できる範囲で、実効発光期間の経過後もIR画素204による撮像を継続してもよい。
【0030】
撮像制御部301は、制御装置として理解されてもよい。制御部1904は、複数の行および複数の列を構成するように配置された複数の画素を有する撮像素子を制御するように構成されうる。ここで、複数の画素は、同一行に属する第1画素(例えば、B画素203)および第2画素(例えば、IR画素204)を含み、第1画素は、第1波長域の光に感度を有し、第2画素は、該第1波長域とは異なる第2波長域の光に感度を有しうる。撮像制御部301は、第1画素および第2画素の信号を読み出す期間において、第1画素の撮像期間を規定する第1信号、第2画素の撮像期間を規定する第2信号を発生するように構成されうる。
図4に示された例では、第1信号は、時刻t402で遷移する読出開始信号であり、第2信号は、時刻t403で遷移する読出開始信号である。第1信号は、第1画素の撮像期間の終了を規定し、第2信号は、第2画素の撮像期間の終了を規定しうる。
【0031】
図5には、ある環境で撮像された可視光画像(第1画像)と赤外光画像(第2画像)とが例示されている。
図5(A)には、赤外光(投影光)を投影せずに第1画素(R画素201、G画素202、B画素203)で撮像された可視光画像(第1画像)が模式的に示されている。
図5(B)には、赤外光(投影光)を投影して撮像された赤外光画像(第2画像)が模式的に示されている。環境中に十分な明るさがあっても赤外光が少ない場合、
図5(B)の画像のように、可視光画素と比べて赤外光画像が暗くなるが、赤外光を投影することで、赤外光画像としての明るさや特徴量を増加させることができる。なお、
図5(B)では、投影光がドットパターンを含む例を模式的に示したものであり、画角(視野)内に存在する物体の形状等は考慮されていない。実際には、ドットパターンは、物体の形状等に応じて画像内に配置される。
【0032】
第1実施形態によれば、撮像システム100は、投影光を投影せずに第1画素によって撮像を行って第1画像(例えば、可視光の画像)を取得する。また、撮像システム100は、投影光を投影しない状態および投影光を投影した状態で第2画素によって撮像を行って第2画像(例えば、可視光および赤外光の画像)を取得する。よって、第1画像では、投影光の影響が抑制され、第2画像では、投影光の投影による輝度の上昇によりS/N比を改善することができる。
【0033】
(第2実施形態)
以下、
図6および
図7を参照しながら第2実施形態について説明するが、第2実施形態として言及しない事項は、第1実施形態に従いうる。第2実施形態の撮像システム600は、
図2~
図5を参照して説明された構成および動作については、第1実施形態の撮像システム100と同様である。
【0034】
第2実施形態の撮像システム600は、撮像された画像に基づいてブロックマッチングによって視差を算出する。一般的にブロックマッチングでは、特徴量が少ない画像に比べて特徴量が多い画像は、より高い精度で視差を算出するために有利である。そのため、第2実施形態では、投影光の投影によって特徴量を増加させた第2画像(例えば、可視光および赤外光の画像)に基づいて視差を算出する。
【0035】
図6には、第2実施形態の撮像システム600の構成が示されている。第2実施形態の撮像システム600は、制御部104および投影部103の他、ステレオカメラを構成する撮像装置601と、撮像装置601で撮像されたステレオ画像の視差を算出する視差算出部605とを備えている。
【0036】
撮像装置601は、所定の距離を隔てて2以上の撮像部が配置されたステレオカメラであり、各撮像部には、撮像素子102と、撮像素子102の撮像面に撮像対象の光学像を形成する光学系(不図示)とを含む。撮像素子102は、第1実施形態において説明された撮像素子102と同様の構成を有しうる。2以上の撮像素子102は、基本的に同期して同じ動作をするが、必ずしも常に同じ動作をする必要はない。
【0037】
視差算出部605は、2以上の撮像素子102から出力された画像に基づいて視差を算出する。算出された視差は、対応する画素位置に視差値を持つ視差画像として、撮像システム600の外部に出力されうる。算出方法としては、例えば、SAD(Sum of Absolute Difference)、SSD(Sum of Squared Difference)、又は、セミグローバルマッチングなどを採用しうる。
【0038】
図7は、第3実施形態の撮像システム600において視差算出部605が視差を算出する一連の流れを例示するフローチャートである。S700において、視差算出部605は、第2撮像期間の終了を待つ。S701において、視差算出部605は、制御部104によって各撮像素子102の複数の第1画素および複数の第2画素からそれぞれ読み出された第1画像および第2画像を読み込む。S702において、視差算出部605は、S701において読み込んだ第1画像および第2画像に対してデモザイク処理とモノクロ化処理を行う。撮像素子102は、第1画素としてのR画素201、G画素202、B画素203に加え、第2画素としてのIR画素204を有するので、各波長域の感度を考慮した係数で、デモザイク処理およびモノクロ化することが望ましい。S703において、視差算出部605は、S702においてモノクロ化された画素値に対して視差を算出する。S704において、視差算出部605は、S703において算出された視差を撮像システム600の外部へ出力する。視差算出部605は、2以上の撮像素子102のうち任意の1つの撮像素子102を基準にした視差画像を生成してもよいし、2以上の撮像素子102のそれぞれを基準にした視差画像を生成してもよい。
【0039】
第2実施形態によれば、第1実施形態の撮像システムをステレオカメラに適用することによって、投影光の影響が抑制された第1画像とS/N比が改善された第2画像とを用いて視差を算出することができる。したがって、第2実施形態は、高い精度で距離を測定するために有利である。撮像システム600は、像面位相差を取得できる単体の撮像素子で構成されてもよい。
【0040】
(第3実施形態)
第3実施形態は、第2実施形態の変形例である。第3実施形態として言及しない事項は、第2実施形態に従う。
図6に示された撮像システム600は、第3実施形態において援用される。第3実施形態の撮像システム600は、第2画像のみに基づいて視差を算出する。
【0041】
図8は、第3実施形態の撮像システム600において視差算出部605が視差を算出する一連の流れを例示するフローチャートである。S800において、視差算出部605は、第2撮像期間の終了を待つ。S801において、視差算出部605は、制御部104によって各撮像素子102の第2画素から読み出された第2画像を読み込む。S802において、視差算出部605は、S801において読み込んだ第2画像に基づいて視差を算出する。S803において、視差算出部605は、S802において算出された視差を撮像システム600の外部へ出力する。
【0042】
第3実施形態によれば、複数の第2画素から読み出された第2画像のみに基づいて視差を算出することで、第1波長域では特徴量が少ない被写体に対しても第2波長域により特徴量を増加させて視差を適切に算出することができる。また、撮像した第1画像の特徴量に基づいて第2実施形態の視差算出方法と第3実施形態の視差算出方法のいずれを使用するかを決定してもよい。例えば、第1画像の特徴量が所定量よりも多い場合には、第2実施形態の視差算出方法を使用し、第1画像の特徴量が所定量よりも少ない場合には、第3実施形態の視差算出方法を使用してもよい。
【0043】
(第4実施形態)
第4実施形態は、第2実施形態の変形例である。第4実施形態として言及しない事項は、第2実施形態に従う。
図6に示された撮像システム600は、第4実施形態において援用される。第3実施形態の撮像システム600は、第1画像および第2画像のそれぞれに基づいて視差を算出する。
【0044】
図9は、第4実施形態の撮像システム600において視差算出部605が視差を算出する一連の流れを例示するフローチャートである。S900において、視差算出部605は、第2撮像期間の終了を待つ。S901において、視差算出部605は、制御部104によって各撮像素子102の複数の第1画素および複数の第2画素からそれぞれ読み出された第1画像および第2画像を読み込む。S902において、視差算出部605は、S901において読み出された第1画像に対してデモザイク処理およびモノクロ化処理を行う。S903において、視差算出部605は、S902においてモノクロ化された第2画像に基づいて撮像素子間の視差を算出する。S904において、視差算出部605は、S901において読み出された第2画像に対してデモザイク処理を行う。S905において、視差算出部605は、S904においてデモザイク処理された第2画像に基づいて撮像素子間の視差を算出する。S906において、視差算出部605は、S903およびS905において算出された視差値を出力する。S902およびS903で構成される処理とS904およびS905で構成される処理は、いずれが先に実行されてもよいし、並行して実効されてもよい。
【0045】
第4実施形態では、第1画像に基づいて視差を算出するとともに、第2画像に基づいて視差を算出する。これにより、第2実施形態および第3実施形態と同様に、第1画像への第2波長域の光の影響を抑制しながら、特徴が少ない被写体に対しても第2波長域の光により特徴を持たせて視差を高精度で算出することができる。また、視差算出部706から出力された第1画像に基づく視差画像と第2画像に基づく視差画像から、第1撮像素子基準の視差画像と第2撮像素子基準の視差画像を比較し、より視差の差が小さい視差画像の値を選択して1つの視差画像を生成してもよい。これにより、第2実施形態および第3実施形態で算出された視差画像よりも精度が高い視差画像を得ることができる。
【0046】
(第5実施形態)
以下、
図10、
図11、
図12を参照しながら第5実施形態について説明するが、第5実施形態として言及しない事項は、第1乃至第4実施形態に従いうる。第5実施形態の撮像システム1000における撮像素子1002は、第1画素および第2画素を個別にリセットすることができる。
【0047】
図10には、第5実施形態の撮像システム1000の構成が示されている。第5実施形態の撮像システム1000は、制御部104および投影部103の他、ステレオカメラを構成する撮像装置1001と、撮像装置1001で撮像されたステレオ画像の視差を算出する視差算出部605とを備えている。撮像装置1001は、所定の距離を隔てて2以上の撮像部が配置されたステレオカメラであり、各撮像部には、撮像素子1002と、撮像素子1002の撮像面に撮像対象の光学像を形成する光学系(不図示)とを含む。ただし、視差を検出しない用途に適用される場合、撮像素子1002は、単一の撮像部で構成され、視差算出部605は、取り除かれうる。
【0048】
図11には、撮像素子1002の構成、および撮像素子1002が備える各画素の詳細な構成例が示されている。撮像素子1002の複数の画素は、例えば、可視光に感度を有する画素として3種類の画素、具体的には、R画素1101、G画素1102、B画素1103を含み、赤外光に感度を有する画素として1種類のIR画素1104を含む。しかしながら、可視光のモノクロ画像を得る場合には、可視光に感度を有する画素は1種類のみでもよい。R画素1101、G画素1102、B画素1103は、第1波長域の光に感度を有する第1画素の例であり、IR画素1104は、該第1波長域とは異なる第2波長域の光に感度を有する第2画素の例である。
【0049】
可視光に感度を有する画素であるR画素1101、G画素1102、B画素1103および赤外光に感度を有する画素であるIR画素1104は、互いに同一の回路構成を有しうる。撮像素子1002は、例えば、撮像制御部1110、読出部302および垂直走査回路1111を含みうる。
図11では、複数の画素としてR画素1101、G画素1102、B画素1103およびIR画素1104の4画素のみが示されている。撮像制御部1110は、垂直走査回路1111を介して各画素を制御する。各画素で得られた画素値(デジタルデータ)は、読出部302によって読み出される。撮像制御部1110は、撮像および読出を制御する種々の信号を垂直走査回路1111に送る。また、撮像制御部1110は、読出を制御する信号を読出部302に送る。
【0050】
垂直走査回路1111は、各画素の撮像および読出を制御する信号として、ENABLE信号、RESET_RGB信号、RESET_IR信号、READn信号を有する。ENABLE信号は、アサート(活性化)されることによって各画素のカウンタ1105のカウント動作をイネーブルする信号である。RESET_RGB信号は、アサートされることによって第1画素としてのR画素1101、G画素1102、B画素1103のカウンタ1105のカウント値をリセットする信号である。RESET_IR信号は、アサートされることによって第2画素としてのIR画素1104のカウンタ1105のカウント値をリセットする信号である。なお、第1画素としてのR画素1101、G画素1102、B画素1103のカウンタ1105を個別にリセットできるように、R画素1101、G画素1102、B画素1103にそれぞれ対応するRESET信号が設けられてもよい。READn信号は、行ごとに設けられる信号であり、アサートされることにより対応する行の各画素から画素値(デジタルデータ)を読出部302へ出力させる信号である。読出部302は、各画素から読み出される画素値(デジタルデータ)を撮像素子102の外部へ順次に出力する。
【0051】
続いて、各画素の詳細について説明する。各画素は、例えば、APD303、クエンチ素子304、波形整形部305、カウンタ1105、および、選択トランジスタ310を含みうる。カウンタ1105は、イネーブル回路としてAND回路308と、カウンタ回路307とを含みうる。第1画素としてのR画素1101、G画素1102、B画素1103のカウンタ回路307には、RESET_RGB信号が供給され、第2画素としてのIR画素1104のカウンタ回路307には、RESET_IR信号が供給される。
【0052】
R画素1101、G画素1102、B画素1103のカウンタ回路307では、ENABLE信号がアサートされ、RESET_RGB信号がデアサートされている場合において、波形整形部305からパルスが供給されると、カウント値がインクリメントされる。RESET_RGB信号がアサートされると、カウンタ回路307によるカウント値が所定の値にリセットされる。IR画素1104のカウンタ回路307では、ENABLE信号がアサートされ、RESET_IR信号がデアサートされている場合において、波形整形部305からパルスが供給されると、カウンタ回路307によるカウント値がインクリメントされる。RESET_IR信号がアサートされると、カウンタ回路307によるカウント値が所定の値にリセットされる。
【0053】
図12には、撮像システム1000の動作が例示されている。制御部104は、撮像開始信号、読出開始信号、投影信号を出力し、垂直走査回路311は、ENABLE信号、RESET_RGB信号、RESET_IR信号、READn信号を出力する。
【0054】
制御部104、又は、制御部104によって制御される垂直走査回路1111は、第1画素としてのR画素1101、G画素1102、B画素1103が撮像を行う第1撮像期間を規定する。また、制御部104、又は、制御部104によって制御される垂直走査回路1111は、第2画素としてのIR画素1104が撮像を行う第2撮像期間を規定する。画素が撮像を行う撮像期間は、画素が光子の数に応じたデジタルデータを生成可能な期間として理解することができる。第1画素としてのR画素1101、G画素1102、B画素1103が撮像を行う第1撮像期間は、非実効発光期間の少なくとも一部を含み、実効発光期間を含まない期間である。第2画素としてのIR画素が撮像を行う第2撮像期間は、実効発光期間の少なくとも一部と非実効発光期間の少なくとも一部とを含む期間である。
【0055】
図12に示された例では、制御部104は、1つの撮像周期が、実効発光期間と、実効発光期間に続く非実効発光期間を含むように実効発光期間および非実効発光期間を規定する。
図12に示された例では、第1撮像期間は、非実効発光期間の開始時に開始し、非実効発光期間において終了し、第2撮像期間は、実効発光期間の開始時に開始し、非実効発光期間において終了する。
【0056】
複数の画素(第1画素および第2画素)の各々のカウンタ1105は、第2撮像期間の開始時にカウント動作がイネーブルされ、第2撮像期間の終了時にカウント動作がディスエーブルされうる。第1画素(R画素1101、G画素1102、B画素1103)のカウンタ1105は、第1撮像期間の開始時にリセットが解除されうる。第1画素(R画素1101、G画素1102、B画素1103)のカウンタ1105は、全ての第1画素からのカウント値の読み出しが終了した後にリセットされうる。第2画素(IR画素1104)のカウンタ1105は、第2撮像期間の開始時にリセットが解除されうる。第2画素(IR画素1104)のカウンタ1105は、全ての第2画素からのカウント値の読み出しが終了した後にリセットされうる。読出部302は、第1撮像期間および第2撮像期間の終了後に第1画素および第2画素のカウンタ1105から画素値であるカウント値(デジタルデータ)を読み出す。
【0057】
以下、撮像システム1000のより具体的な動作例を説明する。時刻t1201において、制御部104は、撮像開始信号を立ち上げる。この立ち上がりが撮像周期の終了ならびに開始を示している。したがって、時刻t1201で開始した撮像周期は、時刻t1204での撮像開始信号の立ち上がりによって終了する。また、時刻t1201は、撮像周期内の第2撮像期間の開始時刻でもある。そのため、撮像開始信号の立ち上がりと同期して、制御部104は、投影信号をアサートし、投影部103は、これに応答して投影部103が投影光の投影を開始する。時刻t1201は、実効発光期間の開始時刻として理解されてよい。撮像装置1001は、実効発光期間においては、第2画素としてのIR画素1104による撮像を行うが、第1画素としてのR画素1101、G画素1102、B画素1103による撮像を行わない。そのため、垂直走査回路1111は、時刻t1201においてRESET_IR信号をデアサートするが、リセット信号RESET_RGBをアサートする。
【0058】
時刻t1202において、制御部104は、投影信号をデアサートする。ここで、制御部104は、時刻t1201において撮像開始信号を立ち上げた後、第1所定時間の経過に応じて投影信号をデアサートする。これに応じて、投影部103は投影光の投影を終了する。また、投影光の投影の終了に応じて第1画素による撮像を開始するために、垂直走査回路1111は、第1画素としてR画素1101、G画素1102、B画素1103のカウンタ1105のリセットRESET_RGB信号をデアサートする。
【0059】
時刻t1203において、制御部104は、読出開始信号を立ち上げる。ここで、制御部104は、時刻t1302での投影信号のデアサート後、第2所定時間の経過に応じて第1撮像期間および第2撮像期間を終了させるように、読出開始信号を立ち上げる。この立ち上がりによって、垂直走査回路1111は、撮像を終了するためにENABLE信号をデアサートし、複数の行のREADn信号を順次にアサートする動作を開始する。READn信号のアサートにより対応する行の画素から画素値が読み出される。また、垂直走査回路1111は、時刻t1203から時刻t1204までの期間に、少なくとも1度、RESET_IR信号をアサートする。
【0060】
時刻t1204において、制御部104は、再び読出開始信号を立ち上げる。ここで、制御部104は、時刻t1203での読出開始信号の立ち上げ後、第3所定時間の経過に応じて撮像周期を終了させるように、撮像開始信号を立ち上げる。
【0061】
以降の時刻t1204から時刻t1207までの期間は、時刻t1201から時刻t1204までの動作の繰り返しである。
【0062】
第5実施形態では、第1画素のリセットおよび第2画素のリセットを個別に解除する。より、具体的には、第2画素のリセットを解除し投影光を投影しながら第2画素による撮像を行い、その後、投影光の投影を終了し、第1画素のリセットを解除することによって第1画素による撮像を開始する。よって、第1画素による撮像によって得られる第1画像では、投影光の影響が抑制され、第2画素による撮像によって得られる第2画像では、投影光の投影による輝度の上昇によりS/N比を改善することができる。また、第1画素および第2画素から並行して画素値を読み出すことができるので、高速化および低消費電力化が可能である。
【0063】
(第6実施形態)
以下、
図13、
図14、
図15を参照しながら第6実施形態について説明するが、第6実施形態として言及しない事項は、第1乃至第5実施形態に従いうる。第6実施形態の撮像システム1300における撮像素子1302は、第1画素および第2画素を個別にイネーブルすることができる。
【0064】
図13には、第6実施形態の撮像システム1300の構成が示されている。第6実施形態の撮像システム1300は、制御部104および投影部103の他、ステレオカメラを構成する撮像装置1301と、撮像装置1301で撮像されたステレオ画像の視差を算出する視差算出部605とを備えている。撮像装置1301は、所定の距離を隔てて2以上の撮像部が配置されたステレオカメラであり、各撮像部には、撮像素子1302と、撮像素子1302の撮像面に撮像対象の光学像を形成する光学系(不図示)とを含む。ただし、視差を検出しない用途に適用される場合、撮像素子1302は、単一の撮像部で構成され、視差算出部605は、取り除かれうる。
【0065】
図14には、撮像素子1302の構成、および撮像素子1302が備える各画素の詳細な構成例が示されている。撮像素子1302の複数の画素は、例えば、可視光に感度を有する画素として3種類の画素、具体的には、R画素1101、G画素1102、B画素1103を含み、赤外光に感度を有する画素として1種類のIR画素1104を含む。しかしながら、可視光のモノクロ画像を得る場合には、可視光に感度を有する画素は1種類のみでもよい。R画素1101、G画素1102、B画素1103は、第1波長域の光に感度を有する第1画素の例であり、IR画素1104は、該第1波長域とは異なる第2波長域の光に感度を有する第2画素の例である。
【0066】
可視光に感度を有する画素であるR画素1101、G画素1102、B画素1103および赤外光に感度を有する画素であるIR画素1104は、互いに同一の回路構成を有しうる。撮像素子1302は、例えば、撮像制御部1401、読出部1402および垂直走査回路1411を含みうる。
図14では、複数の画素としてR画素1101、G画素1102、B画素1103およびIR画素1104の4画素のみが示されている。撮像制御部1410は、垂直走査回路1411を介して各画素を制御する。各画素で得られた画素値(デジタルデータ)は、読出部1402によって読み出される。撮像制御部1401は、撮像および読出を制御する種々の信号を垂直走査回路1411に送る。また、撮像制御部1401は、読出を制御する信号を読出部1402に送る。
【0067】
垂直走査回路1411は、各画素の撮像および読出を制御する信号として、ENABLE_RGB信号、ENABLE_IR信号、RESET信号、READn信号を有する。ENABLE_RGB信号は、アサート(活性化)されることによって第1画素としてのR画素1101、G画素1102、B画素1103のカウンタ1105のカウント動作をイネーブルする信号である。ENABLE_IR信号は、アサート(活性化)されることによって第2画素としてのIR画素1104のカウンタ1105のカウント動作をイネーブルする信号である。RESET信号は、アサートされることによって各画素のカウンタ1105のカウント値をリセットする信号である。なお、第1画素としてのR画素1101、G画素1102、B画素1103のカウンタ1105のカウンタ動作を個別にイネーブルできるように、R画素1101、G画素1102、B画素1103にそれぞれ対応するENABLEが設けられてもよい。READn信号は、行ごとに設けられる信号であり、アサートされることにより対応する行の各画素から画素値(デジタルデータ)を読出部302へ出力させる信号である。読出部302は、各画素から読み出される画素値(デジタルデータ)を撮像素子102の外部へ順次に出力する。
【0068】
垂直走査回路1411は、撮像制御部1401からの読出時の信号により、特定の画素を含む行のREAD信号のみアサートしてもよい。読出部1402は、撮像制御部1401からの読出時の信号により、特定の画素を含む列の画素値のみ出力してもよい。
【0069】
図15には、撮像システム1300の動作が例示されている。制御部104は、撮像開始信号、読出開始信号、投影信号を出力し、垂直走査回路311は、ENABLE_RGB信号、ENABLE_IR信号、RESET信号、READn信号を出力する。
【0070】
制御部104、又は、制御部104によって制御される垂直走査回路1411は、第1画素としてのR画素1101、G画素1102、B画素1103が撮像を行う第1撮像期間を規定する。また、制御部104、又は、制御部104によって制御される垂直走査回路1411は、第2画素としてのIR画素1104が撮像を行う第2撮像期間を規定する。画素が撮像を行う撮像期間は、画素が光子の数に応じたデジタルデータを生成可能な期間として理解することができる。第1画素としてのR画素1101、G画素1102、B画素1103が撮像を行う第1撮像期間は、非実効発光期間の少なくとも一部を含み、実効発光期間を含まない期間である。第2画素としてのIR画素1104が撮像を行う第2撮像期間は、実効発光期間の少なくとも一部と非実効発光期間の少なくとも一部とを含む期間である。
【0071】
図15に示された例では、制御部104は、1つの撮像周期が、非実効発光期間と、非実効発光期間に続く実効発光期間を含むように実効発光期間および非実効発光期間を規定する。また、
図15に示された例では、第1撮像期間は、非実効発光期間の開始から終了までの期間であり、第2撮像期間は、効発光期間の開始時に開始し、実効発光期間の終了時に終了する。
【0072】
複数の画素(第1画素および第2画素)の各々のカウンタ1105は、第2撮像期間の開始時にリセットが解除されうる。第1画素(R画素1101、G画素1102、B画素1103)のカウンタ1105は、第1撮像期間の開始時にカウント動作がイネーブルされ、第1撮像期間の終了時にカウント動作がディスエーブルされる。第2画素(IR画素1104)のカウンタ1105は、第2撮像期間の開始時にカウント動作がイネーブルされ、第2撮像期間の終了時にカウント動作がディスエーブルされうる。読出部1402は、第1撮像期間の終了後に第1画素のカウンタ1105から画素値であるカウント値を読み出し、デジタルデータを読み出し、第2撮像期間の終了後に第2画素のカウンタ1105から画素値であるカウント値を読み出す。
【0073】
以下、撮像システム1300のより具体的な動作例を説明する。時刻t1501において、制御部104は、撮像開始信号を立ち上げる。この立ち上がりが撮像周期の終了ならびに開始を示している。したがって、時刻t1501で開始した撮像周期は、時刻t1504での撮像開始信号の立ち上がりによって終了する。また、時刻t1501は、撮像周期内の第1撮像期間および第2撮像期間の開始時刻でもある。撮像開始信号の立ち上がりに応じて、撮像制御部1401は、垂直走査回路1411へ撮像開始信号を伝達する。これにより、垂直走査回路1411は、第1画素および第2画素での撮像を開始するため、ENABLE_RGB信号およびENABLE_IR信号をアサートする。
【0074】
時刻t1502において、制御部104は、読み出し信号を立ち上げる。制御部104は、撮像開始信号の立ち上げ後、第1所定時間の経過に応じて第1撮像期間を終了させるように読出開始信号を立ち上げる。この立ち上がりに応じて、撮像制御部1401は、垂直走査回路1411および読出部1402へ読出開始信号を伝達する。これにより、垂直走査回路1411は、ENABLE_RGB信号をデアサートとし、複数の行のREADn信号を順次にアサートする動作を開始する。複数の行のREADn信号を順次にアサートする動作を開始する。READn信号のアサートにより対応する行の画素から画素値が読み出されるが、第1画素であるR画素1101、G画素1102、B画素1103のカウンタ1106のカウント値は維持される。一方、ENABLE_IR信号はアサートが継続しているため、第2画素であるIR画素1104による撮像は継続される。垂直走査回路1411は、各行のREAD信号を所定の順番でアサートすることで、各行の画素値の読み出しを行う。このとき、垂直走査回路1411は、撮像制御部1401からの信号により、特定の画素を含む行のみを読み出してもよい。また、読出部1402は、撮像制御部1401からの信号により、特定の画素を含む列のみを読み出してもよい。
【0075】
また、時刻t1502において、制御部104は、読出開始信号の立ち上げ後、投影信号をアサートし、これに応じて投影部103が投影光の投影を開始する。時刻t1503において、制御部104は、再び読出開始信号を立ち上げる。ここで、制御部104は、時刻t1502での読出開始信号の立ち上げ後、第2所定時間の経過に応じて第2撮像期間が終了するように読出開始信号を立ち上げる。この立ち上がりによって、垂直走査回路1411は、第2画素による撮像を終了するためにENABLE_IR信号をデアサートし、複数の行のREADn信号を順次にアサートする動作を開始する。READn信号のアサートにより対応する行の画素から画素値が読み出される。垂直走査回路1411は、各行のREAD信号を所定の順番でアサートすることで、各行の画素値の読み出しを行う。このとき、垂直走査回路1411は、撮像制御部1401からの信号により、特定の画素を含む行のみを読み出してもよい。また、読出部1402は、撮像制御部1401からの信号により、特定の画素を含む列のみを読み出してもよい。また、時刻t1503では、制御部104は、投影信号をデアサートし、これに応じて投影部103が投影光の投影を停止する。
【0076】
時刻t1504において、制御部104は、撮像開始信号を再び立ち上げる。制御部104は、時刻t1503での読出開始信号の立ち上げから第3所定時間の経過に応じて時刻t1501において開始された1つの撮像周期を終了させるように撮像開始信号を立ち上げる。前述のようにこの立ち上がりにより1つの撮像周期が終了すると同時に次の撮像周期が開始する。
【0077】
以降の時刻t1504から時刻t1507までの動作は、時刻t1501から時刻t1504までの動作の繰り返しである。
【0078】
第6実施形態によれば、第1画素のカウント動作および第2画素のカウント動作を個別にイネーブルすることで、ラッチ回路を不要としつつ、第1画像および第2画像を得ることができる。また、第1画像を得るために垂直走査回路1411および読出部1402によって第1画素からのみ画素値を読み出し、および/または、第2画像を得るために垂直走査回路1411および読出部1402によって第2画素からのみ画素値を読み出すことができる。これにより高速化および低消費電力化が可能である。
【0079】
(第7実施形態)
以下、
図16、
図17、
図18を参照しながら第7実施形態について説明するが、第7実施形態として言及しない事項は、第1乃至第6実施形態に従いうる。第7実施形態の撮像システム1600では、第1、第5、第6実施形態の撮像システムにおける撮像素子の代わりに行ごとに画素を制御する撮像素子が採用される。
【0080】
図16には、第7実施形態の撮像システム1600の構成が示されている。第7実施形態の撮像システム1600は、制御部104および投影部103の他、ステレオカメラを構成する撮像装置1601と、撮像装置1601で撮像されたステレオ画像の視差を算出する視差算出部605とを備えている。撮像装置1601は、所定の距離を隔てて2以上の撮像部が配置されたステレオカメラであり、各撮像部には、撮像素子1602と、撮像素子1602の撮像面に撮像対象の光学像を形成する光学系(不図示)とを含む。ただし、視差を検出しない用途に適用される場合、撮像素子1602は、単一の撮像部で構成され、視差算出部605は、取り除かれうる。
【0081】
図17には、撮像素子1602の構成、および撮像素子1602が備える各画素の詳細な構成例が示されている。撮像素子1602の複数の画素は、例えば、可視光に感度を有する画素として3種類の画素、具体的には、R画素1101、G画素1102、B画素1103を含み、赤外光に感度を有する画素として1種類のIR画素1104を含む。しかしながら、可視光のモノクロ画像を得る場合には、可視光に感度を有する画素は1種類のみでもよい。R画素1101、G画素1102、B画素1103は、第1波長域の光に感度を有する第1画素の例であり、IR画素1104は、該第1波長域とは異なる第2波長域の光に感度を有する第2画素の例である。
【0082】
可視光に感度を有する画素であるR画素1101、G画素1102、B画素1103および赤外光に感度を有する画素であるIR画素1104は、互いに同一の回路構成を有しうる。撮像素子1602は、例えば、撮像制御部1701、読出部1402および垂直走査回路1711を含みうる。
図17では、複数の画素としてR画素1101、G画素1102、B画素1103およびIR画素110の4画素のみが示されている。撮像制御部1701は、垂直走査回路1711を介して各画素を制御する。各画素で得られた画素値(デジタルデータ)は、読出部1402によって読み出される。撮像制御部1701は、撮像および読出を制御する種々の信号を垂直走査回路1711に送る。また、撮像制御部1701は、読出を制御する信号を読出部1402に送る。
【0083】
垂直走査回路1711は、各画素の撮像および読出を制御する信号として、ENABLEn信号、RESETn信号、READn信号を有する。ENABLEn信号は、アサート(活性化)されることによって、それが供給される第n行の各画素のカウンタ1105のカウント動作をイネーブルする信号である。RESETn信号は、アサートされることによって、それが供給される第n行の各画素のカウンタ1105のカウント値をリセットする信号である。READn信号は、アサートされることによって、それが供給される第n行の各画素から画素値(デジタルデータ)を読出部1402へ出力させる信号である。読出部1402は、各画素から読み出される画素値(デジタルデータ)を撮像素子1602の外部へ順次に出力する。
【0084】
図18には、撮像システム1600の動作が例示されている。制御部104は、撮像開始信号、読出開始信号、投影信号を出力し、垂直走査回路311は、ENABLEn信号、RESETn信号、READn信号を出力する。
【0085】
制御部104、又は、制御部104によって制御される垂直走査回路1711は、第1画素としてのR画素1101、G画素1102、B画素1103が撮像を行う第1撮像期間を規定する。また、制御部104、又は、制御部104によって制御される垂直走査回路1711は、第2画素としてのIR画素1104が撮像を行う第2撮像期間を規定する。画素が撮像を行う撮像期間は、画素が光子の数に応じたデジタルデータを生成可能な期間として理解することができる。
【0086】
図18に示された例では、制御部104は、1つの撮像周期が、非実効発光期間と、非実効発光期間に続く実効発光期間を含むように実効発光期間および非実効発光期間を規定する。第1画素(R画素1101、G画素1102、B画素1103)が撮像を行う第1撮像期間は、第1画素のカウンタ1105がイネーブルされてから第1画素のカウンタ1105からの画素値(デジタルデータ)の読出が開始されるまでの期間である。第2画素(IR画素1104)が撮像を行う第2撮像期間は、第2画素のカウンタ1105がイネーブルされてから第2画素のカウンタ1105からの画素値(デジタルデータ)の読出が開始されるまでの期間である。実効発光期間は、複数の第1画素(読出がなされる全ての第1画素)のカウンタ1105からの画素値の読出後に開始し、複数の第2画素のカウンタ1105からの画素値の読出前に終了する。
【0087】
以下、撮像システム1600のより具体的な動作例を説明する。時刻t1801において、制御部104は、撮像開始信号を立ち上げる。この立ち上がりが撮像周期の終了ならびに開始を示している。したがって、時刻t1801で開始した撮像周期は、時刻t1804での撮像開始信号の立ち上がりによって終了する。また、時刻t1801は、撮像周期内の第1撮像期間および第2撮像期間の開始時刻でもある。撮像開始信号の立ち上がりに応じて、撮像制御部1701は、垂直走査回路1711へ撮像開始信号を伝達する。これにより、垂直走査回路1411は、各画素での撮像を開始するため、複数の行のENABLEn信号を所定の順番で順次にアサートする動作を開始する。複数の行のENABLEn信号のアサートは、必ずしも等間隔で実行されなくてもよいが、等間隔で実行されることが望ましい。
【0088】
時刻t1802において、制御部104は、読出開始信号を立ち上げる。ここで、制御部104は、撮像開始信号の立ち上げ後、第1所定時間の経過に応じて、第1撮像期間を終了させるように、読出開始信号を立ち上げる。この立ち上がりにより、撮像制御部1701は、垂直走査回路1711および読出部1402へ読出開始信号を伝達する。これにより、垂直走査回路1711は、複数の行のREADn信号を所定の順番で順次にアサートする動作を開始する。READn信号のアサートにより画素値が読み出されるが、カウンタ1106の値は維持される。この状態で、各画素において、波形整形部305がパルス信号を発生すると、それを受けたカウンタ1105は、カウント値をインクリメントする。垂直走査回路1711は、複数の行のREADn信号を所定の順番で順次にアサートすることで、複数の行の画素値が順次に読出部1402によって読み出される。
【0089】
時刻t1801から開始している複数の行の撮像の開始を規定するENABLEn信号のアサートと同じ順番で、複数の行のREADn信号のアサートを行うことが望ましいが、必ずしもそうでなくてもよい。時刻t1802の読出開始信号の立ち上がり応じた複数の行の画素の読出の完了後、制御部104は、投影信号をアサートし、投影部103が投影光を投影する。
【0090】
時刻t1803において、制御部104は、再び読出開始信号を立ち上げる。ここで、制御部104は、時刻t802での読出開始信号の立ち上げ後、第2所定時間の経過に応じて、第2撮像期間を終了させるように、読出開始信号を立ち上げる。この立ち上がりにより、撮像制御部1701は、垂直走査回路1711および読出部1402へ読出開始信号を伝達する。これにより、垂直走査回路1711は、複数の行のREADn信号を所定の順番で順次にアサートする動作を開始する。また、読出開始信号を伝達に応じて、垂直走査回路1711は、複数の行のENABLEn信号を順次にデアサートする動作、および、複数の行のRESETn信号のアサートおよびデアサート(つまり、リセット)を行う。
【0091】
垂直走査回路1711は、撮像制御部1701からの信号により、特定の画素を含む行のみを読み出してもよい。また、読出部1402は、撮像制御部1401からの信号により、特定の画素を含む列のみの画素値を読み出してもよい。また、各行のRESET信号のデアサートは、時刻t1804以降の各行のENABLE信号がアサートされるまでに完了すればよく、時刻t1804以降にRESET信号のデアサートが行われてもよい。
【0092】
時刻t1804において、制御部104は、再び撮像開始信号を立ち上げる。制御部104は、時刻t1803での読出開始信号の立ち上げから第3所定時間の経過に応じて、時刻t1801において開始された1つの撮像周期を終了させるように、撮像開始信号を立ち上げる。前述のように、この立ち上がりにより1つの撮像周期が終了すると同時に次の撮像周期が開始する。
【0093】
以降の時刻t1804から時刻t1807までの動作は、時刻t1801から時刻t1804までの動作の繰り返しである。
【0094】
第7実施形態によれば、撮像素子の複数の画素を行ごとに制御する方式において、第1、第5、第6実施形態の撮像システムと同様の効果を得ることができる。また、第1画像を得るために垂直走査回路1711および読出部1702によって第1画素からのみ画素値を読み出し、および/または、第2画像を得るために垂直走査回路1711および読出部1702によって第2画素からのみ画素値を読み出すことができる。これにより高速化および低消費電力化が可能である。
【0095】
(第8実施形態)
以下、
図19および
図20を参照しながら第8実施形態について説明するが、第8実施形態として言及しない事項は、第1乃至第7実施形態に従いうる。第8実施形態の撮像システム1900では、第1、第5、第6、第7実施形態の撮像システムにおける撮像素子における撮像制御部が撮像素子の外部に設けられている。
【0096】
図19には、第8実施形態の撮像システム1900の構成が示されている。第8実施形態の撮像システム1900は、制御部1904および投影部103の他、ステレオカメラを構成する撮像装置1901と、撮像装置1901で撮像されたステレオ画像の視差を算出する視差算出部605とを備えている。撮像装置1901は、所定の距離を隔てて2以上の撮像部が配置されたステレオカメラであり、各撮像部には、撮像素子1902と、撮像素子1902の撮像面に撮像対象の光学像を形成する光学系(不図示)とを含む。ただし、視差を検出しない用途に適用される場合、撮像装置1901は、単一の撮像部で構成され、視差算出部605は、取り除かれうる。
【0097】
図20には、撮像素子1902の構成、および撮像素子1902が備える各画素の詳細な構成例が示されている。撮像素子1902の複数の画素は、例えば、可視光に感度を有する画素として3種類の画素、具体的には、R画素201、G画素202、B画素203を含み、赤外光に感度を有する画素として1種類のIR画素204を含む。しかしながら、可視光のモノクロ画像を得る場合には、可視光に感度を有する画素は1種類のみでもよい。R画素201、G画素202、B画素203は、第1波長域の光に感度を有する第1画素の例であり、IR画素204は、該第1波長域とは異なる第2波長域の光に感度を有する第2画素の例である。
【0098】
可視光に感度を有する画素であるR画素201、G画素202、B画素203および赤外光に感度を有する画素であるIR画素204は、互いに同一の回路構成を有しうる。撮像素子1902は、例えば、読出部2002および垂直走査回路2011を含みうる。
図20では、複数の画素としてR画素201、G画素202、B画素203およびIR画素204の4画素のみが示されている。
【0099】
撮像素子1902の外部に配置された制御部1904は、前述の制御部104の機能他、垂直走査回路1911および読出部2002を制御する機能を有しうる。垂直走査回路2011は、各画素の撮像および読出を制御する信号として、例えば、ENABLEn信号、RESETn信号、READn信号、LATCHn信号を有する。
図20では、第1実施形態の画素201~204と同様の構成を有する例が示されているが、他の実施形態の画素の構成が採用されてもよい。
【0100】
制御部1904は、制御装置として理解されてもよい。制御部1904は、複数の行および複数の列を構成するように配置された複数の画素を有する撮像素子を制御するように構成されうる。ここで、複数の画素は、同一行に属する第1画素(例えば、B画素203)および第2画素(例えば、IR画素204)を含み、第1画素は、第1波長域の光に感度を有し、第2画素は、該第1波長域とは異なる第2波長域の光に感度を有しうる。制御部1904は、第1画素および第2画素の信号を読み出す期間において、第1画素の撮像期間を規定する第1信号、第2画素の撮像期間を規定する第2信号を発生するように構成されうる。
図4に示された例では、第1信号は、時刻t402で遷移する読出開始信号であり、第2信号は、時刻t403で遷移する読出開始信号である。第1信号は、第1画素の撮像期間の終了を規定し、第2信号は、第2画素の撮像期間の終了を規定しうる。
【0101】
(他の実施形態)
本発明は、上記の実施形態に限定されず、他の種々の形態で実施されうる。例えば、第1乃至第8実施形態では、第1波長域または第2波長域は、紫外光の波長域を含んでもよいし、第1波長域および第2波長域の双方が可視光の波長域内の波長域であってもよいし、第1波長域および第2波長域は、他の波長域であってもよい。
【0102】
また、第2乃至第8実施形態の撮像システムにおける撮像装置は、ステレオカメラではなく、測距用の像面位相差画素を有する撮像素子によって構成されてもよい。
【0103】
また、第1乃至第8実施形態における制御部、および第2乃至第8実施形態における視差算出部は、各種フローを実行するハードウェア回路で構成されてもよいし、フローを実行するプログラムとそのプログラムを実行するプロセッサで構成されてもよい。
【0104】
また、本発明は、第2乃至第8実施形態のようにステレオカメラを用いて測距を行う撮像システムではなく、撮像された2種類の画像に基づいて自己位置推定または空間把握を行う撮像システムとして構成してもよい。例えば、自己位置推定では、画像を用いる手法として、Visual SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)がある。Visual SLAMでは、複数の画像から特徴点を抽出し、周囲の3次元情報とカメラの位置と姿勢の推定を行う。このため、可視光のみでは推定に求められる特徴量を得られない環境においても、本発明を適用することで特徴量の多い画像を取得し、より高精度の推定を行うことができる。
【0105】
(その他)
本明細書及び添付図面は、以下の開示を含む。
(項目1)
入射した光子の数に応じたデジタルデータを出力する複数の画素を有する撮像素子と、投影部を制御する制御部と、を備える光電変換装置であって、
前記複数の画素は、第1波長域の光に感度を有する第1画素と、前記第1波長域とは異なる第2波長域の光に感度を有する第2画素とを含み、
前記投影部は、前記第2波長域を含む投影光を発生し、
前記制御部は、前記投影光の強度が所定強度より大きい実効発光期間と、前記投影光の強度が前記所定強度より小さい非実効発光期間とが規定されるように前記投影部を制御し、
前記第1画素が撮像を行う第1撮像期間は、前記非実効発光期間の少なくとも一部を含み、前記実効発光期間を含まず、
前記第2画素が撮像を行う第2撮像期間は、前記実効発光期間の少なくとも一部と前記非実効発光期間の少なくとも一部とを含む、
ことを特徴とする光電変換装置。
(項目2)
前記第1波長域は、可視光の波長域を含み、
前記第2波長域は、赤外光の波長域を含む、
ことを特徴とする項目1に記載の光電変換装置。
(項目3)
前記制御部は、1つの撮像周期が前記実効発光期間および前記非実効発光期間を含むように前記実効発光期間および前記非実効発光期間を規定する、
ことを特徴とする項目1又は2に記載の光電変換装置。
(項目4)
前記制御部は、1つの撮像周期が、前記非実効発光期間と、前記非実効発光期間に続く前記実効発光期間とを含むように前記実効発光期間および前記非実効発光期間を規定し、
前記第1撮像期間は、前記非実効発光期間の開始から終了までの期間であり、
前記第2撮像期間は、前記非実効発光期間の開始から前記実効発光期間の終了までの期間である、
ことを特徴とする項目1又は2に記載の光電変換装置。
(項目5)
前記複数の画素の各々は、入射した光子の数に応じたデジタルデータを生成するカウンタと、前記カウンタの出力をラッチするラッチ動作を行うラッチ回路とを含み、
前記複数の画素の各々の前記ラッチ回路は、前記第1撮像期間の終了時に前記ラッチ動作を行い、前記第2撮像期間の終了時に再び前記ラッチ動作を行う、
ことを特徴とする項目4に記載の光電変換装置。
(項目6)
前記複数の画素の各々の前記カウンタは、前記第1撮像期間および前記第2撮像期間の開始時にリセットが解除され、前記第2撮像期間にわたってカウント動作がイネーブルされる、
ことを特徴とする項目5に記載の光電変換装置。
(項目7)
前記第1撮像期間の終了後に前記第1画素の前記ラッチ回路からデジタルデータを読み出し、前記第2撮像期間の終了後に前記第2画素の前記ラッチ回路からデジタルデータを読み出す読出部を更に備える、
ことを特徴とする項目6に記載の光電変換装置。
(項目8)
前記制御部は、1つの撮像周期が、前記実効発光期間と、前記実効発光期間に続く前記非実効発光期間とを含むように前記実効発光期間および前記非実効発光期間を規定し、
前記第1撮像期間は、前記非実効発光期間の開始時に開始し、前記非実効発光期間において終了し、
前記第2撮像期間は、前記実効発光期間の開始時に開始し、前記非実効発光期間において終了する、
ことを特徴とする項目1又は2に記載の光電変換装置。
(項目9)
前記複数の画素の各々は、入射した光子の数に応じたデジタルデータを生成するカウンタを含み、
前記複数の画素の各々の前記カウンタは、前記第2撮像期間の開始時にカウント動作がイネーブルされ、前記第2撮像期間の終了時に前記カウント動作がディスエーブルされ、
前記第1画素の前記カウンタは、前記第1撮像期間の開始時にリセットが解除され、
前記第2画素の前記カウンタは、前記第2撮像期間の開始時にリセットが解除される、
ことを特徴とする項目8に記載の光電変換装置。
(項目10)
前記第1撮像期間および前記第2撮像期間の終了後に前記第1画素および前記第2画素の前記カウンタからデジタルデータを読み出す読出部を更に備える、
ことを特徴とする項目9に記載の光電変換装置。
(項目11)
前記制御部は、1つの撮像周期が、前記非実効発光期間と、前記非実効発光期間に続く前記実効発光期間を含むように前記実効発光期間および前記非実効発光期間を規定し、
前記第1撮像期間は、前記非実効発光期間の開始から終了までの期間であり、
前記第2撮像期間は、前記非実効発光期間の開始時に開始し、前記実効発光期間の終了時に終了する、
ことを特徴とする項目1又は2に記載の光電変換装置。
(項目12)
前記複数の画素の各々は、入射した光子の数に応じたデジタルデータを生成するカウンタを含み、
前記複数の画素の各々の前記カウンタは、前記第2撮像期間の開始時にリセットが解除され、
前記第1画素の前記カウンタは、前記第1撮像期間の開始時にカウント動作がイネーブルされ、前記第1撮像期間の終了時にカウント動作がディスエーブルされ、
前記第2画素の前記カウンタは、前記第2撮像期間の開始時にカウント動作がイネーブルされ、前記第2撮像期間の終了時にカウント動作がディスエーブルされる、
ことを特徴とする項目11に記載の光電変換装置。
(項目13)
前記第1撮像期間の終了後に前記第1画素の前記カウンタからデジタルデータを読み出し、前記第2撮像期間の終了後に前記第2画素の前記カウンタからデジタルデータを読み出す読出部を更に備える、
ことを特徴とする項目12に記載の光電変換装置。
(項目14)
前記制御部は、1つの撮像周期が、前記非実効発光期間と、前記非実効発光期間に続く前記実効発光期間を含むように前記実効発光期間および前記非実効発光期間を規定し、
前記複数の画素の各々は、入射した光子の数に応じたデジタルデータを生成するカウンタを含み、
前記第1撮像期間は、前記第1画素の前記カウンタがイネーブルされてから前記第1画素の前記カウンタからのデジタルデータの読出が開始されるまでの期間であり、
前記第2撮像期間は、前記第2画素の前記カウンタがイネーブルされてから前記第2画素の前記カウンタからのデジタルデータの読出が開始されるまでの期間であり、
前記実効発光期間は、複数の前記第1画素の前記カウンタからのデジタルデータの読出後に開始し、複数の前記第2画素の前記カウンタからのデジタルデータの読出前に終了する、
ことを特徴とする項目1又は2に記載の光電変換装置。
(項目15)
複数の行および複数の列を構成するように配置された複数の画素を有する撮像素子を制御する制御装置であって、前記複数の画素は、同一行に属する第1画素および第2画素を含み、前記第1画素は、第1波長域の光に感度を有し、前記第2画素は、前記第1波長域とは異なる第2波長域の光に感度を有し、
前記制御装置は、前記第1画素および前記第2画素の信号を読み出す期間において、前記第1画素の撮像期間を規定する第1信号、前記第2画素の撮像期間を規定する第2信号を発生する、
ことを特徴とする制御装置。
(項目16)
前記第1信号は、前記第1画素の撮像期間の終了を規定し、前記第2信号は、前記第2画素の撮像期間の終了を規定する、
ことを特徴とする項目15に記載の制御装置。
(項目17)
2以上の撮像装置と、前記2以上の撮像装置の出力に基づいて視差を算出する視差算出部とを備える光電変換システムであって、
前記2以上の撮像装置の各々は、項目1乃至14のいずれか1項に記載の光電変換装置である、
ことを特徴とする光電変換システム。
【0106】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0107】
100:撮像システム(光電変換装置)、101:撮像装置、102:撮像素子、103:投影部、104:制御部