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特開2025-141579保守支援システム及び保守支援方法、情報処理装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025141579
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】保守支援システム及び保守支援方法、情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20250919BHJP
   G06Q 10/20 20230101ALI20250919BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20250919BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20250919BHJP
【FI】
G06F3/12 329
G06Q10/20
B41J29/38 350
H04N1/00 002A
H04N1/00 350
G06F3/12 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041587
(22)【出願日】2024-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新元 啓祐
【テーマコード(参考)】
2C061
5L010
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061HJ08
5L010AA00
(57)【要約】
【課題】サービスツールが保守対象の画像形成装置とは異なるシステムにインストールされている場合の作業効率の低下を抑制する。
【解決手段】画像形成装置と連携する情報処理装置が提供される。情報処理装置は、表示部により表示されている文書情報に含まれた、画像形成装置が当該画像形成装置の表示部に表示する、画像形成装置の保守用画面に紐づけられた情報の選択に応じて、当該情報に紐づけられた保守用画面の画面情報の送信を前記画像形成装置に指示する。また、指示に応じて画像形成装置により送信された画面情報に基づいて保守用画面を表示部により表示する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置と連携する情報処理装置であって、
表示手段と、
前記表示手段により表示されているマニュアルに含まれた、前記画像形成装置が当該画像形成装置の表示部に表示する、前記画像形成装置の保守用画面に紐づけられた項目の選択に応じて、当該項目に紐づけられた前記保守用画面の画面情報の送信を前記画像形成装置に指示する指示手段と、
前記指示手段による指示に応じて前記画像形成装置により送信された前記画面情報に基づいて前記保守用画面を前記表示手段により表示する表示制御手段と、を有する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
作業中の作業員の役割を保持する手段をさらに有し、
前記指示手段は、前記項目の選択に応じて、選択を行った前記作業員の前記役割ごとに前記項目に紐づけられた前記保守用画面の送信を前記画像形成装置に指示する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記画像形成装置が有する遠隔操作サーバーに対する遠隔操作クライアントを更に有し、
前記遠隔操作クライアントにより、前記表示手段で表示された前記保守用画面での操作に応じて、前記画像形成装置に対する指示を送信する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記保守用画面と前記項目とは、前記画像形成装置が保持する前記保守用画面それぞれに対応するコマンドと、前記指示手段により前記画像形成装置に指示されるコマンドにより紐づけられる
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記保守用画面と前記項目とは、前記画像形成装置が保持する前記保守用画面それぞれに対応する仮想ボタンと、前記指示手段により前記画像形成装置に指示される、前記項目に紐づけられた前記仮想ボタンにより紐づけられる
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理装置であって、
前記仮想ボタンは、前記画像形成装置により表示されない
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記マニュアルと、前記マニュアルに含まれた前記項目と前記保守用画面との紐づけの情報とをサーバーから取得する取得手段をさらに有し、
前記指示手段は、前記表示手段により表示されている、前記取得手段により取得された前記マニュアルからの前記情報の選択に応じて当該情報に紐づけられた前記保守用画面の送信を前記画像形成装置に指示する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記表示制御手段は、前記保守用画面を閉じる操作に応じて、前記マニュアルを再表示する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記保守用画面はユーザが画像形成装置の保守点検を行うための画面である
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の情報処理装置と、
画像形成装置と、を含む
ことを特徴とする保守支援システム。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の情報処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項12】
画像形成装置と連携する、表示手段と指示手段と表示制御手段とを有する情報処理装置による保守支援方法であって、
前記指示手段が、前記表示手段により表示されているマニュアルに含まれた、前記画像形成装置が当該画像形成装置の表示部に表示する、前記画像形成装置の保守用画面に紐づけられた項目の選択に応じて、当該項目に紐づけられた前記保守用画面の画面情報の送信を前記画像形成装置に指示し、
前記表示制御手段が、前記指示手段による指示に応じて前記画像形成装置により送信された前記画面情報に基づいて前記保守用画面を前記表示手段により表示する
ことを特徴とする保守支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の保守支援を行うための保守支援システム及び保守支援方法、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商業印刷分野においては、画像形成装置のダウンタイムは損失に直結することから、高い稼働率が求められる。そのため、メンテナンスやエラーが発生した際の対応は、軽作業はオペレーターが対応を行うが、オペレーターで対応できない場合は、保守作業員が画像形成装置の設置場所に派遣され対応を行う。そして保守作業員は、ダウンタイムによる損失を抑えるため、より迅速な処置が求められる。
【0003】
保守作業員の作業の効率化を図るため、保守作業員が対処すべきエラーや保守項目をワークリストとして表示し、保守作業を支援する保守支援システムがある。保守作業員はこのワークリストから実施する作業を選択すると、作業に対する手順を記したサービスマニュアルを参照でき、より効率的な保守作業が行える。
【0004】
また、保守作業員を権限やスキルによってレベル分けを行い、軽微な作業はサービスセンターなどから派遣される従来のカスタマーエンジニアでなく、顧客先で教育を受けたメンテナンススペシャリストが対応を行うことがある。こうして、作業員の派遣コストを抑えて効率的に対処が行う保守運用が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-109722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マニュアルと実作業を効率的に行う提案として、例えば特許文献1では、画像形成装置の操作パネル上において、マニュアルと該当操作画面のリンクアイコンを配置する方法が提示されている。この提案ではWebサーバーから取得したマニュアルを表示するブラウザが、操作画面と同じ画像形成装置上に搭載されているため、マニュアルと該当操作画面の切り替えは容易に行える。
【0007】
しかしながら、保守支援システムにおいては、保守支援するためのサービスツールが画像形成装置とは別の外部装置にインストールされていることが多く、その場合特許文献1のような切り替えは行えない。そのため、サービスツールが外部装置にインストールされている場合、サービスマニュアルに従った作業を行うには、装置間の操作パネルを行き来し、画像形成装置のメニューから所望画面に入るところから操作を行う必要があった。このようなやり方では作業効率が低下することが課題である。
【0008】
また、画像形成装置の操作パネルは、一般的な外部装置に比べ、表示面積が小さく操作性に劣ることが多く、これも作業効率が低下する要因の1つとして存在する。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、サービスツールがインストールされた装置と画像形成装置が異なる場合においても、サービスツール上のサービスマニュアルから画像形成装置の操作を効率的に行える環境を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一態様によれば、画像形成装置と連携する情報処理装置であって、
表示手段と、
前記表示手段により表示されているマニュアルに含まれた、前記画像形成装置が当該画像形成装置の表示部に表示する、前記画像形成装置の保守用画面に紐づけられた項目の選択に応じて、当該項目に紐づけられた前記保守用画面の画面情報の送信を前記画像形成装置に指示する指示手段と、
前記指示手段による指示に応じて前記画像形成装置により送信された前記画面情報に基づいて前記保守用画面を前記表示手段により表示する表示制御手段と、を有する
ことを特徴とする情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、サービスツールがインストールされた装置と画像形成装置が異なる場合においても、サービスツール上のサービスマニュアルから画像形成装置の操作を効率的に行える環境を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態および第2実施形態における保守支援システム全体を示すブロック図
図2】第1実施形態および第2実施形態における情報処理装置および保守サービス用端末のハード構成図
図3】第1実施形態および第2実施形態における保守サービス用端末および情報処理装置の機能ブロック図
図4】第1実施形態および第2実施形態における画像形成装置の機能ブロック図
図5】第1実施形態および第2実施形態におけるサービスモードの画面構成例を示す図
図6】第1実施形態における遷移画面に対するコマンド定義を示す図
図7】第1実施形態および第2実施形態におけるサービスマニュアル例を示す図
図8】第1実施形態におけるサービスモードリンクに対する遷移先定義を示す図
図9】第1実施形態におけるサービスモードへの遷移に対する処理フローチャート
図10】第1実施形態および第2実施形態における保守サービス端末上の画面遷移例を示す図
図11】第2実施形態における遷移画面に対する仮想ボタンの定義を示す図
図12】第2実施形態におけるサービスモードリンクに対する遷移先定義を示す図
図13】第2実施形態におけるサービスモードへの遷移に対する処理フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0014】
(第1の実施形態)
●システム構成
図1は、本実施形態に係る保守支援システムを示すブロック図である。保守支援システムは、印刷業者システム104、保守サービス用端末105、サービスマニュアルコンテンツサーバー107を含み、それらはインターネット100によって相互に接続されている。印刷業者システム104は画像形成装置101と情報処理装置102とを含み、両者は接続103によって繋がっている。この接続103はローカルネットワークやUSB接続などのローカル接続でもよいし、インターネットを介した接続の構成でもよい。また、印刷業者システム104と保守サービス用端末105は、ローカルネットワークやUSB接続などのローカル接続106によって繋がっている。ローカル接続106は、例えば印刷業者システム104の画像形成装置101と情報処理装置102のそれぞれを保守サービス用端末105とを接続していてよい。或いは、ローカル接続106は、印刷業者システム104の画像形成装置101または情報処理装置102のいずれか一方を保守サービス用端末105と接続し、他方の装置は、接続103を介して保守サービス用端末105と接続されてよい。
【0015】
画像形成装置101は、情報処理装置102上で動作するプログラム群の配下で制御され、印刷設定に従って印刷データを処理し、成果物を生産する。成果物は印刷業者により生産される印刷物であり、断裁や製本などの注文に応じた後処理が施された印刷物を含んでよい。保守サービス用端末105は、印刷業者システム104と通信を行うことで、画像形成装置101の状態を監視し、保守作業に必要なデバイス情報を取得する。そしてそれらの情報を保守サービス用端末105にインストールされたサービスツールが利用することで、保守作業員に対する保守支援サービスを提供する。保守サービス用端末105は、保守作業員向けの文書、例えばサービスマニュアルを表示するにあたり、サービスマニュアルコンテンツサーバー107からサービスマニュアルを保守サービス用端末105にダウンロードすることができる。ダウンロードしたサービスマニュアルを保守サービス用端末105上で表示することで、保守作業員はサービスマニュアルを閲覧できる。
【0016】
図2は、情報処理装置102および保守サービス用端末105の構成を示すブロック図である。同図において、CPU201は、ROM203のプログラム用ROMに記憶された、あるいはHDD210からRAM202にロードされたOSや一般アプリケーションのプログラムを実行する。実行対象のプログラムには図9図13に記載したフローチャートの手順を実現するためのプログラムを含む。ROM203は、フォントROMやデータROMを有している。RAM202は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。キーボードコントローラー(KBC)205は、キーボード(KB)208やポインティングデバイス(不図示)からの入力を制御する。表示コントローラー(DC)206は、表示部209への表示を制御する。ディスクコントローラー(DKC)207は、ブートプログラム、種々のアプリケーション、フォントデータ等を記憶するHDD210等とのアクセスを制御する。ネットワークコントローラー(NIC)212は、ネットワークに接続されて、そのネットワークに接続された他の機器との通信制御処理を実行する。バス204は、CPU201とRAM202、ROM203および各種コントローラー等を接続して、データ信号や制御信号を搬送している。
【0017】
なお、キーボードコントローラー(KBC)205の代わりにタッチパネルコントローラー等を構成に含む場合がある。その場合タッチパネルは表示部209と一体に設けられてよい。また、HDD210の代わりとなる大容量記憶装置を備える場合もある。さらに、ネットワークコントローラー(NIC)212は、備える装置が有線LAN、または無線LANの場合、あるいは双方を備える場合とで、内部構成が異なる。ただし、これらの内部構成による差異は、ネットワークコントローラー(NIC)212内部に隠蔽され、同図に示す他のモジュールには等価なものとしてシステムを制御可能なように構成される。
【0018】
画像形成装置101は、その制御のためのハードウェアは図2に示したものと同様であってよいが、印刷機構であるプリンタ部と後処理のための後処理部、それらのコントローラーをさらに有する。画像形成装置101は、その構成によって例えばリモートデスクトップのサーバーを実行し、クライアント端末へとUI画面を提供していわゆるリモートUIを実現できる。この場合クライアント端末は保守サービス用端末105であってよい。
【0019】
●保守サービス用端末の機能ブロック
図3は、本実施形態に係る保守支援システムを構成する保守サービス用端末105の機能ブロック図である。各機能ブロックは保守サービス用端末105のCPU201がメモリに格納されたプログラムを実行することで実現されるソフトウェアモジュールである。保守サービス端末105にはサービスツール300がインストールされている。サービスツール300は、画像処理装置101の保守点検のためにサービスマニュアルを表示するなど、保守点検をサポートする機能を保守作業員に提供するアプリケーションである。なお、本実施形態では、保守サービス用端末105がサービスツール300を有しているが、情報処理装置102が有していてもよいし、画像形成装置101に内蔵された構成をとることも可能である。
【0020】
サービスツール300は、保守作業員が参照するサービスマニュアルの表示制御を行うサービスマニュアル表示制御部301、サービスマニュアルコンテンツサーバー107からサービスマニュアルを取得するサービスマニュアル取得部302を有する。サービスツール300はさらに、取得したサービスマニュアルを表示するサービスマニュアルビューアー303を有する。さらに画像形成装置に対してコマンドを発行するコマンド発行部304、VNC(Virtual Network Computing)を使ったリモート接続或いは遠隔操作を行うためのVNCクライアント305も有する。VNCクライアントを遠隔操作クライアントとも呼び、VNCクライアントと対になる後述のVNCサーバーを遠隔操作サーバーとも呼ぶ。
【0021】
サービスマニュアル表示制御部301は、サービスツール300がサービスマニュアルを表示する際、サービスマニュアル取得部302に対してサービスマニュアルのコンテンツ取得を要求する。サービスマニュアル取得部302はインターネット100を介して、サービスマニュアルコンテンツサーバー107よりサービスマニュアルの取得を行う。この際サービスマニュアルコンテンツサーバー107から取得する形式は一般的なHTMLなどのマークアップ形式でもよいし、それに限定せず独自の形式でもよい。サービスマニュアル取得部302が取得したサービスマニュアルを基に、サービスマニュアル表示制御部301はサービスマニュアルビューアー303にサービスマニュアルの表示を指示する。サービスマニュアルビューアー303は、表示を指示されたサービスマニュアルを、保守サービス用端末105の表示コントローラー206を使って、表示部209に表示する。なお、サービスマニュアルの一例は図7にて後述する。サービスマニュアル表示制御部301は、保守サービス用端末105のキーボードコントローラー(KBC)205に入力されたキーボード入力やポインティングデバイス入力に従って、表示部CRT209に表示するサービスマニュアルの表示を制御する。例えば保守作業員によって別のサービスマニュアルへのリンクやサービスモードへのリンクを選択された場合は、サービスマニュアル表示制御部301がリンク先への切り替え制御を行う。切り替え作業により、サービスマニュアル表示制御部301は、サービスマニュアルビューアー303に対して、リンク先のサービスマニュアルやサービスモードなどのコンテンツの表示を指示する。なおサービスモードとは、本実施形態では画像形成装置101の保守点検等のサービスに対応した動作モードであり、サービスモードのために画像形成装置101の表示パネルに表示される保守用画面がサービスモード画面である。
【0022】
コマンド発行部304は、画像形成装置101とのコマンド通信を行うモジュールであり、インターネット100を介し、定められたコマンド定義に従ったコマンドを画像形成装置101に対して発行する。コマンドの発行により実現される通信をコマンド通信と呼び、コマンド通信による装置間の連携、例えば保守サービス用端末103と画像形成装置101との間の連携をコマンド連携と呼ぶ。サービスマニュアル表示制御部301は、画像形成装置101とコマンド連携を行う際は、このコマンド発行部304を使って行う。VNCクライアント305は一般的なRFBプロトコルを利用したリモート接続を行うためのクライアント制御を行うモジュールである。RFBプロトコルでは、クライアントからサーバーへ、表示フレームの注目領域やキーボードやポインタ等の入力イベントのメッセージを送信し、サーバーからクライアントへ、入力イベントに応じた表示フレームの更新等のメッセージを送信する。VNCはそのようなRFBプロトコルを実施してリモートデスクトップを実現するソフトウェアである。本実施形態ではリモート接続としてVNCを使っているが、これに限定することはなくRDPなどでもよい。
【0023】
VNCクライアント305は後述の画像形成装置101にインストールされたVNCサーバー404と通信を行うことで、一般的なリモート接続機能を提供する。提供される機能は例えば、キーボード入力やポインティングデバイス入力の転送およびVNCサーバー404から送られてくる画面を保守サービス用端末105の表示部CRT209に表示するなどの機能を含む。サービスマニュアル表示制御部301は、画像形成装置101とリモート接続を行う際には、このVNC Client305を使って行う。
【0024】
●画像形成装置の機能ブロック
図4は、本実施形態に係る保守支援システムを構成する画像形成装置101の機能ブロック図である。表示パネル405を除く各機能ブロックは画像形成装置101のCPU201がメモリに格納されたプログラムを実行することで実現されるソフトウェアモジュールである。画像形成装置101は、サービスモード制御部401、表示制御部402、コマンド受信部403、VNCサーバー404、表示部である表示パネル405を有する。
【0025】
サービスモード制御部401は、保守作業を行うためのサービスモードの制御を行い、サービスモードの起動や各機能の制御を行っている。サービスモードを起動した際、サービスモード制御部401は表示制御部402にサービスモード画面(後述図5)の表示を要求する。表示制御部402は、画像形成装置101の表示パネル405に要求されたサービスモードの画面を表示する。
【0026】
コマンド受信部403は、保守サービス用端末105とのコマンド通信を行うモジュールであり、インターネット100を介し、定められたコマンド定義に従ったコマンドを保守サービス用端末105から受信する。保守サービス用端末105からサービスモードへの切り替えを要求するコマンドを受信した場合、コマンド受信部403はサービスモード制御部401に要求を伝達し、サービスモード制御部401はサービスモードの起動および画面表示の切り替えを行う。VNCサーバー404は一般的なRFBプロトコルを利用したリモート接続を行うためのサーバー制御を行うモジュールである。本実施形態ではリモート接続としてVNCを使っているが、これに限定することはなくRDPなどでもよい。VNCサーバー404はVNCクライアント305と通信を行うことで、画面の転送および送られてくるキーボード入力やポインティングデバイス入力を画像形成装置101への入力として制御するなど一般的なリモート接続機能を提供する。表示制御部402は、VNCサーバー404を介して入力されるキーボード入力やポインティングデバイス入力を受け取り、入力に応じた表示制御を行う。
【0027】
●サービスモード画面の構成例
図5は、サービスモード制御部401が制御を行うサービスモード画面の構成の一例である。サービスモード画面510は、サービスモード制御部401がサービスモードを起動した際に最初に表示されるトップメニュー画面である。サービスモード画面510に配置されたメニュー項目のボタン511を保守作業員が選択することで、その選択に沿ったサービスモード画面520に遷移する。図ではSituation(状況)ボタンが選択された場合の画面例を示している。サービスモード画面520には、詳細なメニュー項目のボタン521が配置されており、保守作業員は所望のメニューを選択すること、サービスモード画面530に遷移する。サービスモード画面530は、サービスモード画面520でParts Replacement(部品交換)を選択した際の画面例となっている。サービスモード画面530には交換パーツの一覧として画面上にボタン531が配置され、保守作業員は所望の交換パーツを選択することができる。サービスモード画面530で保守作業員が所望の交換パーツを選択すると、次の画面遷移では作業中の保守作業員の役割や権限によって遷移先が変わる。保守作業員の役割や権限は、物理的な認証キーを識別する方式のほか、画面上で認証キーを入力する方式でもよい。例えば保守作業員の識別情報に役割や権限を紐づけておけば、認証された保守作業員の役割あるいは権限を特定することができる。保守作業員の認証はサービスマニュアルの参照に先立って行われていてよい。より役割や権限が高いカスタマーエンジニア(以降CEと略す)の場合は、SensorA(センサA)の選択に応じてサービスモード画面540に遷移する。サービスモード画面540には、選択したパーツの交換シーケンスを開始するボタン541の他に、交換シーケンス前後で入力する調整値パラメータα、β、γそれぞれの入力エリア542が配置されている。
【0028】
一方、役割や権限が低いメンテナンススペシャリスト(以降MSと略す)の場合は、SensorA(センサA)の選択に応じてサービスモード画面550に遷移する。サービスモード画面550には、選択したパーツの交換シーケンスを開始するボタン551の他に、交換シーケンス前後で入力する調整値パラメータαの入力エリア552が配置されていることは、CE用のサービスモード画面540と同じである。しかし、調整値パラメータの入力エリア552で入力可能なパラメータは、MSの役割や権限に沿った項目αに限定されており、CE用の調整値パラメータβ、γの入力エリアはなく、入力エリア542より少ない構成となっている。
【0029】
なお、サービスモードを終了する際は各サービスモード画面に配置されたCLOSEボタン512を選択することで、サービスモード制御部401はサービスモードを終了し、通常モードに戻る。
【0030】
●コマンド定義例
図6では、コマンド発行部304およびにコマンド受信部403が使用するコマンド定義の一例を示す。コマンド定義600では、サービスモード画面540や550のようなサービスモードの遷移先画面に対してそれら画面に紐づけたコマンドパラメータを定義したものである。
【0031】
コマンド定義列601は、コマンド発行部304およびにコマンド受信部403の間で定義された定義値であり、その定義値に対して、各サービスモードの遷移先画面が、遷移先画面列602、画面ID列603として割り当てられている。遷移先画面列602には、遷移先画面の画面名、画面ID列603にはサービスモード画面の中でユニークに定められたIDがコマンド定義として紐づけられている。これらの定義を示すコマンド定義テーブルは、コマンド発行部304およびにコマンド受信部403が内部的に保持している。例えばCMD005というコマンドについては、遷移先画面列602として「センサーAドライバー基板交換(MS用)」という名称かつScreen1003bというIDすなわち識別情報が与えられた画面が紐づけられている。
【0032】
●サービスマニュアル
図7は、保守サービス用端末105のサービスマニュアルビューアー303に表示されるサービスマニュアルの一例である。サービスマニュアル700は、関連パーツ701、対処方法702によって構成される。関連パーツ701は、エラーまたは保守項目に関連するパーツのリストが記されている。つまり、エラーを引き起こしている可能性のあるパーツとみなすことができる。
【0033】
対処方法702は、エラーや保守項目に対処するための手順が記されており、エラーの原因や保守すべき作業が複数ある場合は、対処方法703、対処方法704、対処方法705のように対処方法が複数記載される。本実施形態では手順を文字のみで記載しているが、画像や動画を対処方法に載せて、手順を示してもよい。対処方法705は画像形成装置101のサービスモードでの操作が必要な手順となっており、そのサービスモード画面へ遷移するためのサービスモードリンク706が配置されている。図7ではリンクであることを明示するために「リンク」と表示されているが、文書情報(ここではサービスマニュアル)に記載された事項或いは項目の文字列やオブジェクトなどの情報にリンクを埋め込み、色などの表示態様でリンクがあることを示してもよい。このサービスモードリンク706を保守作業員が選択することで、サービスマニュアル表示制御部301によって、VNCクライアント305が起動され、保守サービス用端末105の表示部209上に操作が必要なサービスモード画面が表示される。
【0034】
図8は、サービスモードリンク706が選択された場合に、遷移するサービスモード画面を定義した遷移先定義テーブル800の一例を示す。この遷移先定義テーブル800はサービスマニュアルと共に、サービスマニュアル取得部302が、サービスマニュアルコンテンツサーバー107より取得する。リンク定義列801には、サービスマニュアルに配置された全てのサービスモードリンク706が挙げられている。そのリンク定義列801のそれぞれに対して、保守作業者の役割(役割列802)ごとに、図6で定義したコマンド定義601が割り当てられ、遷移先画面を定義している(遷移先列803)。これにより、サービスモードリンク706を選択された際に、遷移先画面のコマンド定義を得ることができる。サービスマニュアル表示制御部301は、この遷移先803を示すコマンド定義をコマンド発行部304に渡し、コマンド発行することで画像形成装置101に画面遷移を要求する。コマンドを受信した画像形成装置101では、例えば図6のコマンド定義600を参照して遷移先画面、例えばサービスモード画面を特定し、その画面情報をリモートUIとして保守サービス用端末105に送信する。保守サービス用端末105では受信した画面情報に基づいて遷移先画面、例えばサービスモード画面を表示する。これにより、図5で示したサービスモード画面の遷移フローをスキップして、直接所望のサービスモード画面に遷移することができる。
【0035】
例えば選択されたリンクがServiceManual¥001¥PageB¥link2(図8の3行目)であれば、認証された保守作業者の役割がCEであればCMD006が、MSであればCMD007が遷移先定義テーブル800から得られる。得られたコマンドを画像形成装置101に送信すると、画像形成装置101では、受信したコマンドがCMD006であればScreen1004a、CMD007であればScreen1004bの画面を保守サービス用端末105に送信する。保守サービス用端末105は受信した画面を表示部209に表示する。
【0036】
●保守作業の処理手順例
図9は、保守サービス端末105におけるサービスマニュアルからサービスモードへの画面遷移に関する処理の流れを示すフローチャートである。このフローの開始に先立って作業員は認証を受け、保守サービス用端末105に、あるいは端末を通して保守支援システムにログインしている。また図9の手順は、保守サービス用端末105、より詳細にはそのCPU201によりRAM202等のメモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。ただし以下の説明では、図3に示したソフトウェアモジュールを各ステップの実行主体として説明する。
【0037】
初めに、S901にて保守作業員の操作に応じて、サービスマニュアルを、保守サービス端末105のサービスマニュアルビューアー303が表示する。
保守作業員はサービスモードでの作業を行うために、表示されているサービスマニュアル上のサービスモードリンク706を選択することができる。S902では、サービスマニュアル表示制御部301がサービスモードリンク706の選択を受け付ける。S902におけるサービスモードリンク706の選択は、作業の必要に応じてなされるものであって、選択されないこともありえる。S903以下では、サービスモードリンク706が選択された場合の処理を説明する。
サービスモードリンク706の選択を受けて、S903にて、サービスマニュアル表示制御部301は、図8の遷移先定義テーブル800より、遷移先画面のコマンド定義値803を取得する。今回の例では、役割がCEである保守作業員が"ServiceManual¥001¥PageB"というサービスマニュアル上の"link2"を選択したこととし、その遷移先として"CMD006"のコマンド定義値を取得する。
【0038】
次にS904にて、サービスマニュアル表示制御部301は、サービスモード画面への画面遷移を行うにあたり、コマンド発行部304を介して、画像形成装置101に対してサービスモードの起動を要求する。また、それと同時にサービスマニュアル表示制御部301は、サービスマニュアルビューアー303に、処理中を意味する画面を表示するよう指示する。
【0039】
S905では、VNCクライアント305を起動し、VNCサーバー404とVNC接続を開始する。
S906では、サービスマニュアル表示制御部301は、S905のステップの後、画像形成装置101のサービスモード起動を待つため、スリープ処理を行う。スリープ処理により、たとえば指定された期間、処理を停止してサービスモード起動を待機する。
待機後、S907では、サービスマニュアル表示制御部301はコマンド発行部304を介して、画像形成装置101にサービスモード画面への遷移を要求する。この時、S903で取得した遷移先画面のコマンド定義値である"CMD006"をコマンドに付加することで、遷移先の画面を指定する。サービスモード画面への遷移を要求するコマンドを受けた画像形成装置101は、コマンド定義600に従って、"CMD006"が意味する遷移先の画面ID"Screen1004a"を取得する。そして、サービスモード制御部401がその"Screen1004a"のサービスモード画面に遷移するように制御を行う。この時、画像形成装置101はサービスモード画面を自装置の表示部に表示するものとするが、これに限らずサービスモード画面を自装置の表示部に表示せず、サービスモード画面の画面情報を保守サービス端末105に送信するようにしても良い。
S908では、サービスマニュアル表示制御部301は、S907のステップの後、画像形成装置101の画面遷移を待つため、スリープ処理を行う。
待機後、S909では、サービスマニュアル表示制御部301は、VNC接続による画面共有を開始する。画面共有では、保守サービス用端末105は、VNCクライアント305を介して、画像形成装置101のVNCサーバー404が提供する、画像形成装置101で表示しているサービスモード画面"Screen1004a"を受信する。そして、保守サービス用端末105の表示部CRT209上に、画像形成装置101で表示しているサービスモード画面"Screen1004a"を表示する。
【0040】
保守サービス用端末105に表示されたサービスモード画面では、作業員が画像形成装置101に表示されたサービスモード画面と同様に入力を行うことができる。入力イベントはVNCクライアント305およびVNCサーバー404を介して画像形成装置101に送信され、画像形成装置101は入力イベントに応じた処理を実行する。たとえば入力されたパラメータを設定することなどができる。このようにして保守作業が保守サービス用端末105にサービスモード画面を表示しつつ進行する。
【0041】
サービスモード画面でクローズボタン512がタッチ等により選択されると、S910で、サービスマニュアル表示制御部301は、VNCによる画面共有を終了し、S911で、S902で表示されていたサービスマニュアルを再表示する。
【0042】
図10は、保守サービス用端末105におけるサービスマニュアルからサービスモードへの表示切替を示した画面フローの一例であり、図9のステップに合わせて説明する。
【0043】
初めに、図10の画面700は、図7で説明したサービスマニュアルが表示されている画面であり、S901にて保守作業員がサービスマニュアルを保守サービス端末105上で開いたときに表示される。保守作業員は表示されているサービスマニュアルの対処方法702を参照しながら作業を進め、画像形成装置101のサービスモードでの作業を行う際には、サービスモードリンク706を選択する。
【0044】
次に、サービスモードリンク706が選択されると、処理中画面1001が表示される。S903においてサービスマニュアル表示制御部301が、サービスマニュアルビューアー303に、処理中を意味する画面を表示するよう指示したことを受けて、この処理中画面1001に遷移する。
【0045】
続いて、保守作業員の役割または権限に応じて、画面540または画面550が表示される。図10の画面540は図5で説明したCE用のサービスモード画面"Screen1004a"であり、パーツ交換シーケンスの開始や調整値パラメータを入力するなど、CEの作業が必要な画面である。S902でリンクを選択した保守作業員の役割がCEであったなら、S909にて、VNCサーバー404とのVNCによる画面共有が開始したことで、このサービスモード画面540に画面遷移する。また、S902にてリンクを選択した保守作業員の役割がMSだった場合は、S903で取得する遷移先画面のコマンド定義値は"CMD007"となり、このコマンド定義値をS907で画像処理装置101にコマンド発行を行うことになる。その結果、遷移先の画面IDは"Screen1004b"となり、画像形成装置101はその画面に遷移するよう制御する。こうすることで、サービスマニュアル画面700からMS用のサービスモード画面"Screen1004b"であるサービスモード画面550に画面遷移する。
【0046】
最後に保守作業員がサービスモード画面での作業を終え、CLOSEを選択したときは、VNC接続を終了する。こうすることで、保守サービス用端末105の表示部CRT209上でのVNC画面が閉じ、サービスモードリンク706を選択する前のサービスマニュアル画面700に表示が戻る。
【0047】
以上の構成及び手順により、サービスマニュアルに埋め込まれたリンクを、画像形成装置のサービスモードの画面と関連付けておく。そして関連付けられたサービスモードの画面を例えばリモートデスクトップ機能により、端末と共有して端末に表示する。こうすることで、保守支援のためのサービスツール、例えばサービスマニュアルのビューア-がインストールされた装置と画像形成装置とが異なる場合でも、サービスマニュアルから画像形成装置の操作画面へと切れ目なく移行させることができる。これによって、保守作業を効率的に行える環境を提供できる。
【0048】
さらに保守作業員に紐づけられた役割あるいは権限に応じて、サービスマニュアルで選択されたリンクに紐づけられる移行先の操作画面を設定できる。これにより、役割或いは権限に応じた保守作業へと保守作業員を誘導でき、保守作業を誤りなく効率的に行える。
【0049】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、サービスマニュアル表示制御部301が画像形成装置101に画面遷移の要求を行う際に、予め定められた、図6で示したコマンド定義値をコマンドとして送信することで、遷移先画面を指定した。このような事前に定義しておいたコマンド定義を使った方法以外に、仮想ボタンを配置しておき、マウスイベントによって仮想ボタンを指定する方法も考えられる。第2の実施形態ではこの仮想ボタンを利用した実施形態を説明する。
【0050】
図11は、VNC接続を使ったサービスマニュアル表示制御部301が画像形成装置101に画面遷移の要求を行うための定義を示した一例である。
図11(a)の仮想画面1100は、画像形成装置101のサービスモード制御部401に実装される仮想ボタンの画面例である。この画面は保守サービス用端末105からサービスモードの起動を要求された画像形成装置101が呼び出す、すなわち表示する画面である。しかし、この仮想画面1100は仮想の画面であり、実際に画像形成装置101の表示パネル405に描画することは行わず、保守作業員が見ることはない。この仮想画面1100には、仮想ボタン1101が複数配置されており、各仮想ボタンが押下された際の画面遷移先が図11(b)の仮想ボタンの遷移先定義1110で定義されている。この遷移先定義1110も画像形成装置101のサービスモード制御部401が保持している。遷移先定義1110において、Service Mode Link Button列1111には、仮想画面1100に配置されている仮想ボタン1101が並べられている。その各仮想ボタンに対して、各サービスモードの遷移先画面が、遷移先画面列1112、画面ID列1113として割り当てられている。遷移先画面列1112は、遷移先画面の画面名、画面ID列1113はサービスモード画面の中でユニークに定められたID(識別情報)である。このように遷移先定義1110は、仮想ボタンと遷移先の画面とを紐づけたテーブルであってよい。
【0051】
図12は、遷移先定義テーブル1200を示す。遷移先定義テーブル1200は、サービスモードリンク706が選択された場合に、保守作業員の役割に応じた仮想ボタンの座標情報を定義したテーブルである。この遷移先定義テーブル1200はサービスマニュアルと共に、サービスマニュアル取得部302が、サービスマニュアルコンテンツサーバー107より取得する。リンク定義列1201は、サービスマニュアルに配置された全てのサービスモードリンク706が挙げられている。そのリンク定義列1201に対して、保守作業者の役割(役割列1202)ごとに、図11で定義した仮想ボタン1101のいずれかが割り当てられ、その仮想ボタン1101の座標情報が埋め込まれている(座標情報列1203)。これにより、サービスモードリンク706を選択された際に、遷移先画面を指し示す仮想ボタン1101の座標情報1203を得ることができる。
【0052】
サービスマニュアル表示制御部301は、この座標情報1203をVNCクライアント305に渡し、その座標がクリックされたことを示すVNCのマウスイベントを発行する。VNCのマウスイベントを受信した画像形成装置101は、その座標情報に該当する仮想ボタン1101が押下されたとして、押下された仮想ボタン1101に割り当てられた画面遷移の処理を実行する。こうすることで、図5で示したサービスモード画面の遷移フローをスキップして、直接所望のサービスモード画面に遷移することができる。
【0053】
図13は、保守サービス端末105におけるサービスマニュアルからサービスモードへの画面遷移に関する処理の流れを示すフローチャートである。このフローの開始に先立って作業員は認証を受け、保守サービス用端末105に、あるいは端末を通して保守支援システムにログインしている。また図13の手順は、保守サービス用端末105、より詳細にはそのCPU201によりRAM202等のメモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。ただし以下の説明では、図3に示したソフトウェアモジュールを各ステップの実行主体として説明する。なお図13のS1301~S1302、S1304~S1306、S1308-S1311は図9のS901~S902、S904~S906、S908-S911とそれぞれ同じ処理となるので、それらの工程については説明を一部省略した。
【0054】
初めに、S1301にてサービスマニュアルビューアー303が、保守作業員の操作に応じてサービスマニュアルを保守サービス端末105上で表示する。
次に保守作業員による、サービスモードでの作業を行うための、表示されているサービスマニュアル上のサービスモードリンク706の選択を受け付ける。
サービスモードリンク706が選択されると、S1303にて、サービスマニュアル表示制御部301は、図12の遷移先定義テーブル1200より仮想ボタン1101の座標情報1203を取得する。今回の例では、役割がCEである保守作業員が"ServiceManual¥001¥PageB"というサービスマニュアル上の"link2"を選択したこととし、その座標情報として(100,200)を取得する。
次にS1304にて、サービスマニュアル表示制御部301は、サービスモードの画面遷移を行うにあたり、コマンド発行部304を介して、画像形成装置101に対してサービスモードの起動を要求する。また、それと同時にサービスマニュアル表示制御部301は、サービスマニュアルビューアー303に、処理中を意味する画面を表示するよう指示する。
S1305では、VNCクライアント305を起動し、VNCサーバー404とVNC接続を開始する。
S1306では、サービスマニュアル表示制御部301は、S1305のステップの後、画像形成装置101のサービスモード起動を待つため、スリープ処理を行う。
【0055】
S1307では、サービスマニュアル表示制御部301はVNCクライアント305を介して、画像形成装置101に仮想ボタンがクリックされたことを意味するマウスイベントを発行する。この時、S1303で取得した仮想ボタン1101の座標情報1203をクリックされた座標とすることで、遷移する画面を指定する。マウスイベントを受けとった画像形成装置101は、仮想画面1100従って、マウスイベントのクリック座標(100,200)に位置する仮想ボタン"Button06"が押下されたと認識する。そして、仮想ボタンに割り当てられた処理である遷移先定義1110で定義された"Scrreen1104a"への画面遷移を行うように制御する。
S1308では、サービスマニュアル表示制御部301は、S1307のステップの後、画像形成装置101の画面遷移を待つため、スリープ処理を行う。
S1309では、VNC 接続による画面共有を開始し、保守サービス用端末105の表示部CRT209上に、画像形成装置101で表示しているサービスモード画面"Screen1004a"を表示する。
S1310~S1311ha図9のS910~S911と同様である。
【0056】
続いて再び図10を用いて、実施形態2における画面フローを、図13のステップに合わせて説明する。
初めに、図10の画面700は、図7で説明したサービスマニュアルが表示されている画面であり、S1301にて保守作業員がサービスマニュアルを保守サービス端末105上で開いたときに表示される。保守作業員は表示されているサービスマニュアルの対処方法702を参照しながら作業を進め、画像形成装置101のサービスモードでの作業を行う際には、サービスモードリンク706を選択する。
次に、S1303においてサービスマニュアル表示制御部301が、サービスマニュアルビューアー303に、処理中を意味する画面を表示するよう指示したことを受けて、この処理中画面1001に遷移する。
【0057】
続いて、図10の画面540は図5で説明したCE用のサービスモード画面"Screen1004a"であり、パーツ交換シーケンスの開始や調整値パラメータを入力するなど、CEの作業が必要な画面である。S1309にて、VNCサーバー404とのVNCによる画面共有が開始したことで、このサービスモード画面540に画面遷移する。また、S1302にてリンクを選択した保守作業員の役割がMSだった場合は、S1303で取得する座標情報は(150,200)となり、この座標のマウスイベントをS1307で画像処理装置101に発行する。その結果、画像形成装置101は、仮想ボタン"Button07"に割り当てられた"Screen1004b"への画面遷移の処理を行う。こうすることで、サービスマニュアル画面700からMS用のサービスモード画面"Screen1004b"であるサービスモード画面550に画面遷移する。
【0058】
最後に保守作業員がサービスモード画面での作業を終え、CLOSEを選択したときは、VNC接続を終了する。こうすることで、保守サービス用端末105の表示部CRT209上でのVNC画面が閉じ、サービスモードリンク706を選択する前のサービスマニュアル画面700に表示が戻る。
【0059】
以上の構成及び手順により、サービスマニュアルに埋め込まれたリンクを、画像形成装置のサービスモードの画面と関連付けておく。そして関連付けられたサービスモードの画面を例えばリモートデスクトップ機能により、端末と共有して端末に表示する。こうすることで、保守支援のためのサービスツール、例えばサービスマニュアルのビューア-がインストールされた装置と画像形成装置とが異なる場合でも、サービスマニュアルから画像形成装置の操作画面へと切れ目なく移行させることができる。これによって、保守作業を効率的に行える環境を提供できる。
【0060】
さらに保守作業員に紐づけられた役割あるいは権限に応じて、サービスマニュアルで選択されたリンクに紐づけられる移行先の操作画面を設定できる。これにより、役割或いは権限に応じた保守作業へと保守作業員を誘導でき、保守作業を誤りなく効率的に行える。
【0061】
さらに本実施形態では、保守サービス用端末では、サービスマニュアルに埋め込まれたリンクを仮想ボタンの位置と関連付け、また画像形成装置では、仮想ボタンと遷移先の画面とを関連付けておく。リンクが選択されるとそれに関連付けられた仮想ボタンの位置を遷移先として指定して画像形成装置に画面共有させることで、端末は画像形成装置と仮想ボタンに紐づけられた多面を共有できる。これによって、1つのコマンドのパラメータ(すなわち座標)を指定することで共有する画面を選択でき、コマンド受信部403の構成を簡易にすることができる。
【0062】
[その他の実施例]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0063】
●実施形態のまとめ
上記実施形態をまとめると以下のような発明が含まれる。
(項目1)
画像形成装置と連携する情報処理装置であって、
表示手段と、
前記表示手段により表示されているマニュアルに含まれた、前記画像形成装置が当該画像形成装置の表示部に表示する、前記画像形成装置の保守用画面に紐づけられた項目の選択に応じて、当該項目に紐づけられた前記保守用画面の画面情報の送信を前記画像形成装置に指示する指示手段と、
前記指示手段による指示に応じて前記画像形成装置により送信された前記画面情報に基づいて前記保守用画面を前記表示手段により表示する表示制御手段と、を有する
ことを特徴とする情報処理装置。
(項目2)
項目1に記載の情報処理装置であって、
作業中の作業員の役割を保持する手段をさらに有し、
前記指示手段は、前記項目の選択に応じて、選択を行った前記作業員の前記役割ごとに前記項目に紐づけられた前記保守用画面の送信を前記画像形成装置に指示する
ことを特徴とする情報処理装置。
(項目3)
項目1または2に記載の情報処理装置であって、
前記画像形成装置が有する遠隔操作サーバーに対する遠隔操作クライアントを更に有し、
前記遠隔操作クライアントにより、前記表示手段で表示された前記保守用画面での操作に応じて、前記画像形成装置に対する指示を送信する
ことを特徴とする情報処理装置。
(項目4)
項目1乃至3のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記保守用画面と前記項目とは、前記画像形成装置が保持する前記保守用画面それぞれに対応するコマンドと、前記指示手段により前記画像形成装置に指示されるコマンドにより紐づけられる
ことを特徴とする情報処理装置。
(項目5)
項目1乃至3のいずれか一項1に記載の情報処理装置であって、
前記保守用画面と前記項目とは、前記画像形成装置が保持する前記保守用画面それぞれに対応する仮想ボタンと、前記指示手段により前記画像形成装置に指示される、前記項目に紐づけられた前記仮想ボタンにより紐づけられる
ことを特徴とする情報処理装置。
(項目6)
項目5に記載の情報処理装置であって、
前記仮想ボタンは、前記画像形成装置により表示されない
ことを特徴とする情報処理装置。
(項目7)
項目1乃至6のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記マニュアルと、前記マニュアルに含まれた前記項目と前記保守用画面との紐づけの情報とをサーバーから取得する取得手段をさらに有し、
前記指示手段は、前記表示手段により表示されている、前記取得手段により取得された前記マニュアルからの前記情報の選択に応じて当該情報に紐づけられた前記保守用画面の送信を前記画像形成装置に指示する
ことを特徴とする情報処理装置。
(項目8)
項目1乃至7のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記表示制御手段は、前記保守用画面を閉じる操作に応じて、前記マニュアルを再表示する
ことを特徴とする情報処理装置。
(項目9)
項目1乃至8のいずれか一項に記載の情報処理装置と、
前記保守用画面はユーザが画像形成装置の保守点検を行うための画面である
ことを特徴とする情報処理装置。
(項目10)
項目1乃至9のいずれか一項に記載の情報処理装置と、
画像形成装置と、を含む
ことを特徴とする保守支援システム。
(項目11)
項目1乃至9のいずれか一項に記載の情報処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
(項目12)
画像形成装置と連携する、表示手段と指示手段と表示制御手段とを有する情報処理装置による保守支援方法であって、
前記指示手段が、前記表示手段により表示されているマニュアルに含まれた、前記画像形成装置が当該画像形成装置の表示部に表示する、前記画像形成装置の保守用画面に紐づけられた項目の選択に応じて、当該項目に紐づけられた前記保守用画面の画面情報の送信を前記画像形成装置に指示し、
前記表示制御手段が、前記指示手段による指示に応じて前記画像形成装置により送信された前記画面情報に基づいて前記保守用画面を前記表示手段により表示する
ことを特徴とする保守支援方法。
【0064】
本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0065】
104 印刷業者システム、105 保守サービス用端末、107 サービスマニュアルコンテンツサーバー、301 サービスマニュアル表示制御部、303サービスマニュアルビューアー、304 コマンド発行部、305 VNCクライアント、401 サービスモード制御部、403 コマンド受信部、404 VNCサーバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13