(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025141625
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】シート給送装置およびシート給送装置を有する画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/48 20060101AFI20250919BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20250919BHJP
B65H 7/12 20060101ALI20250919BHJP
【FI】
B65H3/48 320Z
B65H3/48 310Z
G03G15/00 405
B65H7/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041643
(22)【出願日】2024-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】藤村 達夫
【テーマコード(参考)】
2H072
3F048
3F343
【Fターム(参考)】
2H072AA04
2H072AA12
2H072AA29
2H072BA04
2H072BA13
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA13
3F048BB02
3F048DC12
3F048DC20
3F048EB11
3F343FA02
3F343FB01
3F343FC01
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343JD03
3F343JD28
3F343JD34
3F343KB03
3F343MA22
3F343MA44
3F343MB02
3F343MB09
(57)【要約】
【課題】 シートにエア吹き付けして給送するシート給送装置において、シートの捌き不足によるシート給送不良の発生する虞がある。
【解決手段】 シート支持部と、シートを給送する給送ローラと、シートの側端部に向けて送風する送風部と、シートの給送異常を検知する検知手段と、シートの給送枚数をカウントするカウント手段と、シートの枚数を設定する設定手段と、エア給送動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記検知手段によりシートの給送異常が検知された場合、前記カウント手段によるカウント値に基づいて、前記設定手段によって設定された給送枚数を減算し、前記減算された給送枚数で前記エア給送動作を実行する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを支持するシート支持部と、
前記シート支持部に支持されたシートに当接し、シートを給送する給送ローラと、
前記シート支持部に支持されたシートの側端部に向けて送風する送風部と、
前記給送ローラのシート給送方向の下流に設けられ、シートの給送異常を検知する検知手段と、
前記給送ローラによって給送されるシートの給送枚数をカウントするカウント手段と、
前記給送ローラによって給送されるシートの枚数を設定する設定手段と、
前記送風部によりシートの側端部に向けて送風させた後に、前記送風部による送風を停止した状態で前記設定手段に設定された給送枚数のシートを前記給送ローラにより給送させ、前記給送枚数のシートを前記給送ローラに給送させた後に、前記送風部によりシートの側端部に向けて送風させるエア給送動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記検知手段によりシートの給送異常が検知された場合、前記カウント手段によるカウント値に基づいて、前記設定手段によって設定された給送枚数を減算し、前記減算された給送枚数で前記エア給送動作を実行する、
ことを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記検知手段は、前記シート給送部から給送されたシートの重送を検知する重送検知手段であって、
前記制御部は、前記重送検知手段によりシートの重送を検知された場合、前記減算された給送枚数で前記エア給送動作を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記検知手段は、前記シート給送部から給送されたシートの端部を検知するシート検知手段であって、
前記制御部は、前記シート検知手段によりシートの遅延および滞留が検知された場合、前記減算された給送枚数で前記エア給送動作を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載のシート給送装置と、
前記シート給送装置によって給送されるシートに画像を形成する画像形成部と、を備える画像形成装置。
【請求項5】
前記シート支持部に載置されるシートの有無を検知するシート有無検知手段と、
前記画像形成装置に電源を供給するためのスイッチ手段と、
前記減算された給送枚数および前記カウント手段によるカウント値を所定値にリセットするリセット手段と、を備え、
前記制御部は、前記スイッチ手段によりOFF状態からON状態に切り換えた場合、または、前記シート有無検知手段によってシートを検知した場合に、前記リセット手段によって前記減算された給送枚数および前記カウント値を前記所定値にリセットする、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート給送装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置には、画像を形成する画像形成部に供給するシートの束をセットするシート給送装置が備えられている。シート給送装置は、画像形成装置本体の下部に設けられた給送カセット部や、画像形成装置本体の側面に設けられた手差し給送部等を有する。
【0003】
近年、多様な種類のシートに画像を形成する要望が増え、例えばコート紙等の平滑な表面性を有するシートが記録材として用いられることがある。このような表面が平滑なシートの束がシート給送装置にセットされた場合、シート同士の密着力が高く、シート束から1枚のシートを分離して給送することが困難になることも生じる。そのため、特許文献1には、シート同士の間にエアを吹き付け、シートを浮上させることでシートを捌くものが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、シート束にエアを吹き付け、シートを浮揚させた状態のまま給送を行った場合、シートが斜行し易くなる問題があるため、所定時間エア吹き付けを行った後にエア吹き付けを止めてからシートを給送するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4-23747号公報
【特許文献2】特開2023-102814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、シートの種類に関して様々な物性値の異なるシートが多く存在するため、あるシートにおいてシート同士の密着力が想定以上に強くなる場合がある。特許文献2に開示されるように、給送動作を停止させた状態で所定時間(10秒間)シート束にエア吹き付けを行った後で所定枚数(例えば、10枚)給送する。その後、繰り返し、上記のエア吹き付けと給送動作を行った場合、シート束から所定枚数(10枚)のシートが浮揚せず捌き不足となり得る虞がある。この捌き不足が発生した場合、シート給送時にシート束から最上位のシートが分離せず所定の時間内にシートが画像形成装置内の搬送路の所定位置までに到達しない給送ジャムが発生する虞がある。また、最上位のシートとその下に在るシートが複数枚重なった状態で給送されてしまう重送ジャムも発生する虞がある。
【0007】
そこで本発明の目的は、シートにエア吹き付けして給送するシート給送装置において、シートの捌き不足によるシート給送不良の発生を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、シートを支持するシート支持部と、前記シート支持部に支持されたシートに当接し、シートを給送する給送ローラと、前記シート支持部に支持されたシートの側端部に向けて送風する送風部と、前記給送ローラのシート給送方向の下流に設けられ、シートの給送異常を検知する検知手段と、前記給送ローラによって給送されるシートの給送枚数をカウントするカウント手段と、前記給送ローラによって給送されるシートの枚数を設定する設定手段と、前記送風部によりシートの側端部に向けて送風させた後に、前記送風部による送風を停止した状態で前記設定手段に設定された給送枚数のシートを前記給送ローラにより給送させ、前記給送枚数のシートを前記給送ローラに給送させた後に、前記送風部によりシートの側端部に向けて送風させるエア給送動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記検知手段によりシートの給送異常が検知された場合、前記カウント手段によるカウント値に基づいて、前記設定手段によって設定された給送枚数を減算し、前記減算された給送枚数で前記エア給送動作を実行する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、エア吹き付けによるシートの捌き不足を解消し、シートの給送不良の発生を低減可能なシート給送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の断面図。
【
図2】本発明の実施形態に係るシート給送装置の制御ブロック図。
【
図3】本発明の実施形態に係る手差し給送部の構成を示す模式図。
【
図4】本発明の実施形態に係る手差し給送部において、エア吹き付け動作を実行した状態を示す模式図。
【
図5】本発明の実施形態に係るシート情報の設定画面図。
【
図6】本発明の実施形態に係るシート種設定手順を示すフローチャート。
【
図7】本発明の実施形態に係るシート給送制御を示すフローチャート。
【
図8】本発明の実施形態に係る画像形成制御を示すフローチャート。
【
図9】本発明の実施形態に係るエア吹き付け所定枚数設定制御を示すフローチャート。
【
図10】本発明の実施形態に係るRAMに記憶されるエア吹き付け給送枚数カウンタ、エア吹き付け所定枚数、ジャム発生要因記憶領域の初期化制御を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
以下、図面を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成システムの断面図である。
図1に示すように、画像形成システム600は、画像形成装置201と、画像形成装置201に接続された給送デッキ500とを備えている。給送デッキ500は、画像形成装置201の
図1中の右側面に接続され、画像形成装置にシートSを給送可能に構成されている。
【0012】
<画像形成装置>
図1において、201は画像形成装置、201Aは画像形成装置本体、201Bはシートに画像を形成する画像形成部である。202は画像形成装置本体201Aの上方に水平に設置された画像読取装置であり、画像形成装置本体201Aには、画像形成部201Bを備える。また、画像読取装置202と画像形成装置本体201Aとの間に、シート排出用の排出空間Vが形成されている。なお、画像形成装置本体201Aの上方には、画面を表示可能なタッチパネル等で構成された操作部730が配置されている。
【0013】
画像形成手段である画像形成部201Bは、画像形成装置本体201Aの上下方向において中央部に設けられており、主にレーザスキャナ210と、プロセスカートリッジ211と、トナーカートリッジ215と、を備える。さらに、プロセスカートリッジ211は、4ドラムフルカラー方式のものであって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色プロセスカートリッジ(211Y、211M、211Cおよび211K)を備えている。各プロセスカートリッジ211は、それぞれ感光体ドラム212、帯電手段である帯電器213、現像手段である現像器214を備えている。
【0014】
また、中間転写ユニット201Cが、プロセスカートリッジ211の上方に配置されている。中間転写ユニット201Cは、駆動ローラ216a及びテンションローラ216bに巻き掛けられた中間転写ベルト216を備えている。なお、中間転写ベルト216の内側には感光体ドラム212に対向した位置で中間転写ベルト216に当接する1次転写ローラ219が設けられている。ここで、中間転写ベルト216は、不図示の駆動部により駆動される駆動ローラ216aにより矢印方向に回転する。そして、1次転写ローラ219によって感光体ドラム上の負極性を持つ各色トナー像が、YMCKの順で中間転写ベルト216に多重転写される。中間転写ユニット201Cの駆動ローラ216aと対向する位置には、中間転写ベルト上に形成されたカラー画像をシートSに転写する二次転写ローラ217が設けられている。これら中間転写ベルト216と二次転写ローラ217との間により、二次転写部201Dを構成している。なお、トナーカートリッジ215は、中間転写ユニット201Cの上方に配置されている。
【0015】
さらに、この二次転写ローラ217の上部に加圧ローラ220aと加熱ローラ220bとを有する定着部201Eが配置されている。
【0016】
また、この定着部201Eの左上部には第1排出ローラ対225a、第2排出ローラ対225b及び両面反転部201Fが配置されている。この両面反転部201Fは、正逆転可能な反転ローラ対222及び一面に画像が形成されたシートを再度、画像形成部201Bに搬送する再搬送通路R等が設けられている。
【0017】
画像形成装置本体201Aの下部にはセットされたシートSを画像形成部201Bへと送り出すシート給送ユニット230が設けられている。シート給送ユニット230は、シートを収納する給送カセット1と、給送カセット1に収納されたシートSを給送するシート給送部506とを備えている。シート給送部506は、ピックアップローラ2と、ピックアップローラ2から送り出されて重送されたシートSを分離する分離手段としてのフィードローラ3及びリタードローラとを備えている。
【0018】
また、画像形成装置本体201Aの
図1の右側の側面にはセットされたシートSを画像形成部201Bへと送り出す手差し給送部235が設けられている。手差し給送部235は、シートSを支持する手差しトレイ6を備えており、シート給送ユニット230と同様にシート給送手段及び分離手段を備えている。さらに、画像形成装置本体201Aの
図1の右側の側面にあって、手差し給送部235の下方には、セットされたシートSを画像形成部201Bへと送り出す給送デッキ500が設けられている。手差し給送部235の詳細については後述する。
【0019】
次に、画像形成装置201の画像形成動作について説明する。まず、原稿の画像情報を画像読取装置202によって読み取ると、この画像情報は画像処理された後、電気信号に変換されて画像形成部201Bのレーザスキャナ210に伝送される。画像形成部201Bでは、レーザ光により、帯電器213によって表面が所定の極性・電位に一様に帯電されている感光体ドラム212の表面が順次露光される。これにより、各プロセスカートリッジ211の感光体ドラム上に、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの静電潜像が順次形成される。
【0020】
この後、この静電潜像を各色トナーにより現像して可視化すると共に、1次転写ローラ219に印加した1次転写バイアスにより、各感光体ドラム上の各色トナー像を中間転写ベルト216に順次重ね合わせて転写する。これにより、中間転写ベルト216上にトナー画像が形成される。
【0021】
一方、シート給送ユニット230のフィードローラ3により給送されたシートSは、駆動ローラ及び従動ローラからなるレジストレーションローラ対(以下、レジストローラ対という)240に搬送される。この際、レジストローラ対240は駆動が停止されており、レジストローラ対240にシートSの先端が突き当てられる。これにより、シートSの先端がレジストローラ対240のニップに倣わせられる。その後、フィードローラ3によりシートSの搬送が続けられることで、シートSに撓み(ループ)が形成され、所定のループ量となったところで、レジストローラ対240が駆動される。これにより、レジストローラ対240によりシートSの斜行が補正され、斜行が補正されたシートSが、レジストローラ対240により二次転写部201Dまで搬送される。続けて、二次転写部201Dにおいて、二次転写ローラ217に印加した二次転写バイアスにより、トナー像がシートS上に一括して転写される。そして、トナー像が転写されたシートSは、定着部201Eに搬送され、定着部201Eにおいて熱及び圧力を受けて各色のトナーが溶融混色し、シートSにカラーの画像として定着される。
【0022】
この後、画像が定着されたシートSは、定着部201Eの下流に設けられた第1排出ローラ対225a及び第2排出ローラ対225bによって排出空間Vに排出され、排出空間Vの底面に形成された積載部223に積載される。なお、シートSの両面に画像を形成する際は、画像が定着された後、シートSは反転ローラ対222により再搬送通路Rに搬送され、再度、画像形成部201Bに搬送される。
【0023】
以上、画像を形成する画像形成プロセスと、シートに画像を形成するために搬送するシート搬送プロセスと、が相互に連動してシートに画像が形成される。
【0024】
<手差し給送部>
次に、
図1及び
図3を用いて、シート給送装置としての手差し給送部235の詳細について説明する。
【0025】
まず、手差し給送部のシート給送における制御構成について、
図2の制御ブロック図を用いて説明する。本実施の形態に係る制御部100は、例えば画像形成装置201に備えられており、CPU101,ROM102,RAM103を備えている。制御部100は、画像形成装置201と給送デッキ500と手差し給送部235とを統括して制御する制御手段である。制御部100は、ホスト装置900や操作部730に接続されて、それらとの情報のやり取りを行いつつ、各種プロセス機器への信号処理、シーケンス制御等を行う。なお、ホスト装置900とは、パーソナルコンピュータやイメージスキャナー、ファクシミリなどの外部機器である。
【0026】
また、制御部100は、ファン制御部402、ピックアップローラ501を駆動するモータとしての給送モータ520、給送モータ520のモータトルクを測定するトルク測定部520a、給送センサ505、等に接続されている。なお、トルク測定部520aとは、給送モータ520のモータトルクを測定するものであるが、例えば給送モータ520に流れる電流値を検出する電流センサでも、ピックアップローラ501に生じるトルクを検出するトルクセンサでも構わない。つまりトルク測定部520aの具体的な構成は、給送モータ520のモータトルクを測定できるものであれば何でも構わない。また、ファン制御部402は、ファン511aとファン511bの回転制御を行いつつ、同時に故障検知を行う。故障しているか否かの判断は、ファンの回転数をカウントし、意図した回転数に到達しているか否かによって判断が可能である。
【0027】
図3は、本実施形態に係る手差し給送部235の構成を示す模式図である。手差し給送部235は、シート収納部としての手差しトレイ6と、シートを給送しかつシート束を分離するシート給送部506とを備えている。シート給送部506は、シート束の最上位のシートに当接し、最上位のシートを給送する給送ローラとしてのピックアップローラ501を備えている。さらに、シート給送部506は、ピックアップローラ501から給送されたシートSを分離する分離部としてのフィードローラ502及びリタードローラ503を備えている。また、手差し給送部235において、このフィードローラ502のシート給送方向の下流には、フィードローラ502からシートSを引き抜いて画像形成装置201に給送する引抜ローラ504が配置されている。さらに、シート給送方向にあってフィードローラ502と引抜ローラ504との間、つまりシート給送部506よりも給送方向の下流側には、シート検知手段としての給送センサ505が配置されている。この給送センサ505は、シートSの有無により信号を出力することでシートSの通過を検出する。
【0028】
また、
図3に示すように、手差しトレイ6には、手差しトレイ台515と複数枚のシートSからなるシート束を積載して支持するシート支持部としてのリフタ板514が備えられている。また、リフタ板514にはシート有無検知センサ401が備えされておりリフタ板514にシート束が積載されたかを判断することができる。このリフタ板514は、図示を省略した昇降機構によりシートSの積載量に応じて高さ方向の位置が制御される。また、手差しトレイ6には、側端規制板511,512が備えられており、側端規制板511512は、リフタ板514にセットされたシートSの幅方向の端部(シートの側端)の位置を規制する。
【0029】
また、側端規制板511,512には、それぞれ送風部としてのエア吹き付け部511A,512Aが設けられている。側端規制板511のエア吹き付け部511Aは、ファンモータ511M(
図2参照)により駆動されるファン511bと、ファン511bから送風されるエアを案内してシート束の側方から吹き付けノズル511aと、を有している。同様に、側端規制板512のエア吹き付け部512Aは、ファンモータ512M(
図2参照)により駆動されるファン512bと、ファン512bから送風されるエアを案内してシート束の側方から吹き付けノズル512aと、を有している。また、側端規制板511,512には、吹き付けノズル511a,512aの近傍に、エアを吹き付けられたシートSが浮上して、側端規制板511,512を乗り越えてしまうことを防止するための浮上抑え板511c,512cが設けられている。
【0030】
次に、エア吹き付け部511A,512Aによりシート束の側端部からエアを吹き付けた場合のシートSの状態について、
図4を用いて説明する。
図4は、本実施形態に係る手差し給送部235でファンによるエアの吹き付け動作(以下、「エア吹き付け動作」という。)を行った状態を示す模式図である。
【0031】
図4に示すように、エア吹き付け部511A,512Aのファン511b,512bからエアを矢印A1,矢印A2のようにシート束の側面に向かって吹き付ける。その結果、積載されたシート束の上方にある数枚~数十枚のシートSが浮上する。なお、浮上した最上位のシートが、浮上抑え板511c,512cに当接することによりシートSの浮上が規制される。このエア吹き付け動作により、シート同士の間における密着力が低減される。そして、例えばコート紙等の平滑な表面性を有するシートSであっても、フィードローラ502及びリタードローラ503によって1枚ずつ分離され給送することが可能となる。
【0032】
<シートの種類の設定>
手差しトレイ6にセットされたシートのサイズ・種類などのシート情報の設定に関して、
図5と
図6を参照しながら説明する。
【0033】
シートの各種設定は、操作部730から設定する。
図5(a)は、
図1の画像形成装置における操作部730を示す図である。操作部730には、画像形成動作を開始するためのスタートキー702、画像形成動作を中断するためのストップキー703、置数設定等を行うテンキー704~712および714、IDキー713、クリアキー715、リセットキー716などが配置されている。また、上部にタッチパネルが形成された表示部720が配置されており、画面上にソフトキーを作成可能となっている。
【0034】
ユーザが、
図5(a)に示す表示部720の「用紙選択」ボタンを押下すると、CPU101により
図5(b)に示す給紙段選択画面に遷移する(S201)。そして、ユーザが、どの給紙段からのシートの給送を行うのかを選択する(S202)。ここでは、手差しトレイを選択して、「次へ」ボタンを押下する(S203)。ボタンが押下されると、CPU101により、
図5(c)に示すシートサイズ設定画面に遷移する。ここでは手差しトレイにセットしたA3を選択して(S204)、「次へ」ボタンを押下する(S205)と、CPU101により
図5(d)に示すシート種類の設定画面に遷移する。ここではシート収容部へセットしたシートの種類を選択し(S206)、「OK」ボタンを押下する(S207)。ボタンが押下されると、セットしたシート情報はRAM103に保存され(S208)、
図5(a)の初期画面に遷移し、シートの登録作業が終了する(S209)。
【0035】
シート情報を設定した後、操作表示装置700のスタートキー702を押下するとジョブが開始され、選択したシート収容部からシートが給紙される。なお、シート情報は、ジョブ開始前に毎回設定する必要はない。例えば、手差しトレイに普通紙A3をセットしジョブを実行した後、再度手差しトレイから普通紙A3を給紙するジョブを実行したい場合は、スタートキー702を押下するだけで構わない。
【0036】
<シート給送制御と画像形成制御>
次に、本実施形態に係るシート給送制御および画像形成制御について、
図7と
図8を用いて説明する。
【0037】
図7は、本実施形態に係るシート給送制御を示すフローチャートである。制御部100は、画像形成装置201で印刷の開始に伴い、シート給送制御の開始を実行する(S1)。最初に、シートSの給送枚数が印刷ジョブの指令に基づく画像形成部に給送する必要枚数に到達しているか否かを比較するためのジョブ給送枚数カウンタを0クリアする(S2)。次に、所定給送枚数毎にエア吹き付け動作を行うための給送枚数を設定するエア吹き付け所定枚数設定が行われる(S3)。エア吹き付け所定枚数は、シートSが1枚給送される毎にカウント値としてカウントアップされるエア吹き付け給送枚数カウンタと比較される。尚、エア吹き付け所定枚数とエア吹き付け給送枚数カウンタ、およびジョブ給送枚数カウンタは、制御部100内のRAM103に記憶される。エア吹き付け所定枚数の設定制御に関しては、後述の
図9で説明する。
【0038】
次に、現在のエア吹き付け給送枚数カウンタがS3で設定されたエア吹き付け所定枚数に到達していた場合(S4がYes)、エア吹き付け給送枚数カウンタを0クリアする(S5)。続けて、シート束へのエア吹き付け動作を開始し(S6)、所定時間(本実施形態では10秒)経過を待つ(S7がNo)。シート束へのエア吹き付けが所定時間経過した場合(S7がYes)、シート束へのエア吹き付け動作を停止する(S8)。その後、給送部506のピックアップローラ501により、最上位シートSをシート束から分離、給送する(S9)。このとき、シートSはエアの吹き付けを停止した状態で、複数枚の所定数のシートで連続給紙する。本実施形態において、送風部によりエアを吹き付けて、シートを捌くエア捌きを実行した後に、送付部によるエアの送風を停止した状態で前記給送ローラにより複数枚のシートを給送する動作をエア給送動作とする。
【0039】
S9でシートSを給送した結果、制御部100は、給送異常としての給送関連ジャム発生有無の確認を行う(S10)。本実施形態において、給送関連ジャムは、制御部100が給送センサ505、及び重送検知センサ507を使用して検出する。重送検知センサ507としては、超音波センサにより重なったシートS間の空間を検知する方法や、シートSを透過する光量を検知する方法が一般的に知られている。
【0040】
給送関連ジャム発生と判断した場合(S10がYes)、給送関連ジャム発生をRAM103のジャム要因記憶領域にジャムコードで記憶する(S11)。ジャムコードは、
図11で示す様に、「ジャム発生エリア+エア吹き付け有無+ジャム検知種別+センサ番号」で構成される。例えば、給送センサ505を使用して検出するジャムコードは、給送センサ遅延ジャムFF105となる。また、重送検知センサ507を使って検出するジャムコードは、エア吹き付けを行う手差し給送部235からのシート給送時は、重送ジャムFF307となる。エア吹き付けを行わないシート給送ユニット230からのシート給送時は、重送ジャムFN307となる。シート給送ユニット230は、手差し給紙部235のようなエア吹き付け部511A,511Bが無いため、エア吹き付けを行わずシート給送を行う。シート給送ユニット230は、
図1の説明で示した通り、ピックアップローラ2でシート給送を行い、フィードローラ3、及びリタードローラによりシートを分離する。シート給送ユニット230から給送されたシートは、カセット1給送センサ10を使ってジャム検出される。カセット1給送センサ10を使って検出したジャムコードはFN110となる。(給送カセット1より下段の給送カセット2~4から給送されたシートも、それぞれの給送センサを使ってジャム検知される)。その後、制御部100は、ジャム発生による印刷ジョブの停止要求を受取るまで待機し(S12がNo)、ジャム発生による印刷ジョブの停止要求を受取った場合(S12がYes)、当該ジョブのシート給送制御を終了する(S16)。
【0041】
給送関連ジャム発生が無かった場合(S10がNo)、エア吹き付け給送枚数カウンタのカウントアップ(S13)と、ジョブ給送枚数カウンタのカウントアップ(S14)を行う。ジョブ給送枚数カウンタが印刷ジョブの指令に基づく画像形成部201Bに給送する必要枚数に到達した場合(S15がYes)、当該ジョブのシート給送制御を終了する(S16)。ジョブ給送枚数カウンタが印刷ジョブの指令に基づく画像形成部に給送する必要枚数に到達していない場合(S15がNo)、S4に戻る。以降、ジョブ給送枚数カウンタが画像形成部に給送する必要枚数に到達するまで、S4から処理が繰り返される。
【0042】
以上のシート給送制御により、本実施形態において、制御部100は1枚給送するごとに給送関連ジャムが発生したことを確認する。そして、その情報に基づいて、ジャムが発生した場合にはジャム発生場所を記憶し装置を停止するのに対し、ジャムが発生しない場合には給送枚数カウンタをカウントアップさせている。
【0043】
次に、
図8を用いて、本実施形態に係る画像形成制御を示すフローチャートを説明する。制御部100は、画像形成装置201で印刷の開始に伴い、画像形成制御を開始する(S21)。最初に、シートSの画像形成枚数が印刷ジョブの指令に基づく画像形成の必要枚数に到達しているか否かを比較するための排紙枚数カウンタを0クリアする(S22)。次に、
図7で説明したシート給送制御によりシートSの給送が完了し画像形成部201BにシートSが給送されるまで待つ(S23がNo)。シートSの給送完了待ち中に給送関連ジャムが発生し、ジャム発生による印刷ジョブの停止要求を受取った場合(S29がYes)、画像形成制御を終了する(S32)。印刷ジョブの停止要求を受取っていない場合(S29がNo)、S23に戻る。シートSの給送が完了した場合(S23がYes)、画像形成部201Bによる画像形成を開始(S24)。画像形成開始で、シートSは画像形成部201B、定着部201Eを通過し、第1排出ローラ対225a、または第2排出ローラ対225bによって排出空間Vに排出される。制御部100は、シートSが排出されるまで(S26がNo)、画像形成中のジャム発生を監視する(S25)。制御部100は、定着出口センサ301、第1排出センサ302、第2排出センサ303を使用して画像形成中のジャムを検出する。
【0044】
画像形成中のジャムが発生した場合(S25がYes)、RAM103のジャム発生要因記憶域に画像形成中のジャム発生要因をジャムの種類に応じたジャムコードで記憶する(S30)。
図11で示す様に、定着出口センサ301を使用して検出するジャムコードは、定着出口センサ遅延ジャムIN101、定着出口センサ滞留ジャムIN201となる。第1排出センサ302を使用して検出するジャムコードは、第1排出センサ遅延ジャムIN102、第1排出センサ滞留ジャムIN202となる。第2排出センサ303を使用して検出するジャムコードは、第2排出センサ遅延ジャムIN103、第2排出センサ滞留ジャムIN203となる。その後、ジャム発生による印刷ジョブ停止要求を受取るまで待つ(S31のNo)。ジャム発生による印刷ジョブ停止要求を受取った場合(S31がYes)、画像形成制御を終了する(S32)。
【0045】
画像形成中のジャム発生が無かった場合(S25がNo)、シートSが排出空間Vに排出される排紙完了を待つ(S26がNo)。シートSが排出空間Vに排出される排紙完了となった場合(S26がYes)、排紙枚数カウンタをカウントアップする(S27)。排紙枚数カウンタが印刷ジョブの指令に基づく画像形成部201Bにより画像形成する必要枚数に到達した場合(S28がYes)、当該ジョブの画像形成制御を終了する(S32)。排紙枚数カウンタが印刷ジョブの指令に基づく画像形成部201Bにより画像形成する必要枚数に到達しなかった場合(S28がNo)、S23のシートSの給送完了待ちに戻り、排紙枚数カウンタが必要枚数に到達するまで画像形成制御を繰り返す。
【0046】
以上の画像形成制御により、本実施形態において、制御部100は1枚排出するごとに画像形成中のジャムが発生したことを確認する。そして、その情報に基づいて、ジャムが発生した場合にはジャム発生場所を記憶し装置を停止するのに対し、ジャムが発生しない場合には排紙枚数カウンタをカウントアップさせている。
【0047】
<エア吹き付け所定枚数の設定とシート給送制御>
次に、本実施形態に係るエア吹き付け所定枚数の設定について、
図9および
図10を用いて説明する。
図9は、
図7で説明したシート給送制御のエア吹き付け所定枚数決定(S3)の制御を示すフローチャートである。
【0048】
制御部100が、エア吹き付け所定枚数決定処理を開始(S41)すると、最初にRAM103のジャム発生要因記憶域にジャム発生要因を示すジャムコードが記憶されているか否か確認する(S42)。RAM103のジャム発生要因記憶領域の値が0でジャムコードが記憶されていなかった場合(S42がNo)、エア吹き付け所定枚数決定制御を終了する(S48)。この場合、エア吹き付け所定枚数は現在の値のままRAM103に保持される。
【0049】
RAM103のジャム発生要因記憶領域にジャム発生を示す0以外のジャムコードが記憶されていた場合(S42がYes)、ジャムコードによりジャム発生要因が給送関連ジャムか否か確認する(S43)。給送関連ジャムか否かは、
図11で示したジャムコード構成の内、ジャム発生エリアとエア吹き付け有無を示す上位2文字で判断できる。上位2文字がFFの、給送センサ遅延ジャムFF105と重送ジャムFF307が給送関連ジャムと判断される。
【0050】
給送関連ジャムと判断された場合(S43がYes)、シート同士の密着力が想定外に強く、シート束上方に積んである所定枚数分の浮揚が小さく、捌きが不十分となった可能性がある。そのため、エア吹き付け給送枚数カウンタが所定枚数に到達する前に給送関連ジャムが発生したと推定される。その捌き不足を解消するため、以下の様にエア吹き付けの所定枚数を給送関連ジャムが発生する枚数より少なく設定する。
【0051】
まず、RAM103に記憶されている現在のエア吹き付け給送枚数カウンタが1より大であることを確認する(S44がYes)。エア吹き付け所定枚数の値を給送関連ジャムが発生した時のエア吹き付け給送枚数カウンタから1差し引いた(減算した)値となるよう更新し、RAM103に記憶する(S45)。現在のエア吹き付け給送枚数カウンタが1以下の場合(S44がNo)、エア吹き付け所定枚数を最小値の1に設定する(S46)。その後、RAM103のジャム発生要因記憶領域を0クリア(S47)し、エア吹き付け所定枚数決定制御を終了する(S48)。
【0052】
ジャム発生要因が給送関連ジャムでなかった場合(S43がNo)、エア吹き付けによるシート束の捌きに問題は無い、と判断できる。そのため、エア吹き付け所定枚数の更新は行わず、RAM103のジャム発生要因記憶領域の0クリア(S47)のみ行い、エア吹き付け所定枚数決定制御を終了する(S48)。
【0053】
以上により、制御部100は、エア吹き付け所定枚数の設定に関して、給送関連のジャム(重送検知センサあるいは遅延検知センサの検知結果に基づく)が発生したかによってカウントダウンさせる。これにより、カウントダウンした場合は、エア捌き動作をする給送枚数の間隔を小さくするため、載置されるシートの捌き状態をより良い状態とすることができるため、エア吹き付けの捌き不足によるジャム要因を解消することが可能となる。
【0054】
次に、
図10を用いて、
図7、
図8、
図9で示した制御フローで記述したRAM103に記憶されるエア吹き付け給送枚数カウンタ、エア吹き付け所定枚数、ジャム発生要因記憶領域の初期化制御を示すフローチャートを説明する。
【0055】
図10の初期化制御は、シート束の密着力の状態が変化している可能性のある場合に実施される。それは、画像形成装置201に設けられる電源スイッチを電源OFF状態から電源ON状態に変更された場合、及び手差しトレイ6にシート束がない状態からシート束を載置された場合であり、制御部100により開始される(S61)。本実施形態では、エア吹き付け所定枚数を所定値である10枚に初期化(S62)し、エア吹き付け給送枚数カウンタも10枚に初期化(S63)する。また、ジャム発生要因記憶領域を0クリア(S65)してRAM103に記憶し、初期化制御を終了する(S65)。これにより、
図7のシート給送制御のフローで示した通り、電源ON後、または手差しトレイ6にシート束が載置された後の印刷ジョブにおいて、エア吹き付け給送枚数カウンタがエア吹き付け所定枚数に到達と判断される(S4がYes)。即ち、最初にエア吹き付け動作が開始される(S5)。
【0056】
以上、説明したように本実施形態に係るシート給送制御および画像形成制御によれば、エア吹き付けの捌き不足の可能性のある給送関連ジャムが発生した場合、エア吹き付け所定枚数の条件を給送不良が発生する手前のシートの枚数に条件を切り替える。これにより、エア捌き動作をする給送枚数の間隔を小さくするため、載置されるシートの捌き状態をより良い状態とすることができる。つまり、エア吹き付けの捌き不足によるジャム要因を解消することが可能となる。その結果、エア吹き付けの捌き不足を解消し、給送関連ジャム発生を低減することが可能なシート給送装置、及び画像形成システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0057】
100 制御部
201B 画像形成部
235 手差し給送部(シート給送装置)
514 リフタ板(シート支持部)
501 ピックアップローラ(給送ローラ)
511A,512A エア吹き付け部(送風部)
505 給送センサ(シート検知手段)
506 シート給送部
507 重送検知センサ(重送検知手段)
S シート