(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014179
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】タイヤ空気圧管理システムおよびタイヤ空気圧管理方法
(51)【国際特許分類】
B60C 23/04 20060101AFI20250123BHJP
G06Q 10/20 20230101ALI20250123BHJP
【FI】
B60C23/04 220B
G06Q10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116490
(22)【出願日】2023-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】土本 壮至
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】アラート情報を適切なタイミングで通知することでタイヤ空気圧の管理の利便性を向上することができるタイヤ空気圧管理システムおよびタイヤ空気圧管理方法を提供する。
【解決手段】タイヤ空気圧管理システム100は、情報取得部32、アラート生成部33およびアラート通知部34を備える。情報取得部32は、タイヤ1に配設されたセンサ10によって計測されたタイヤ空気圧の情報を取得する。アラート生成部33は、情報取得部32により取得したタイヤ空気圧が、タイヤ空気圧の適正値よりも小さい第1閾値未満である場合に、アラート情報を生成する。アラート通知部34は、アラート生成部33により所定期間中にアラート情報が生成されたことを、所定期間の経過後に外部へ通知する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤに配設されたセンサによって計測されたタイヤ空気圧の情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得したタイヤ空気圧が、タイヤ空気圧の適正値よりも小さい第1閾値未満である場合に、アラート情報を生成するアラート生成部と、
前記アラート生成部により所定期間中にアラート情報が生成されたことを、前記所定期間の経過後に外部へ通知するアラート通知部と、
を備えることを特徴とするタイヤ空気圧管理システム。
【請求項2】
前記アラート生成部は、前記情報取得部により取得したタイヤ空気圧が、前記第1閾値よりも小さい第2閾値未満である場合に、優先アラート情報を生成し、
前記アラート通知部は、前記優先アラート情報が生成された場合に、前記所定期間の経過前に前記優先アラート情報を外部へ通知することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ空気圧管理システム。
【請求項3】
前記アラート生成部は、前記情報取得部により取得したタイヤ空気圧が、前記第2閾値以上である場合に、前記所定期間内でのタイヤ空気圧の低下率が所定値以上であれば優先アラート情報を生成することを特徴とする請求項2に記載のタイヤ空気圧管理システム。
【請求項4】
前記第1閾値は、車両の燃費の低下率に基づいて設定されていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ空気圧管理システム。
【請求項5】
前記情報取得部により取得したタイヤ空気圧の情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶したタイヤ空気圧の情報を表示する表示部と、
を更に備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のタイヤ空気圧管理システム。
【請求項6】
タイヤに配設されたセンサによって計測されたタイヤ空気圧の情報を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップにより取得したタイヤ空気圧が、タイヤ空気圧の適正値よりも小さい第1閾値未満である場合に、アラート情報を生成するアラート生成ステップと、
前記アラート生成ステップにより所定期間中にアラート情報が生成されたことを、前記所定期間の経過後に外部へ通知するアラート通知ステップと、
を備えることを特徴とするタイヤ空気圧管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に装着されるタイヤについて管理するためのタイヤ空気圧管理システムおよびタイヤ空気圧管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に装着されたタイヤは、適正な空気圧に設定されており、空気圧が低下した場合には、再び適正な空気圧となるようにメンテナンスによって空気が充填される。
【0003】
特許文献1には従来のタイヤ管理方法が記載されている。このタイヤ管理方法で使用されるタイヤ管理サーバは、車両端末、車両管理端末、ディーラ端末と通信網を介して接続されている。タイヤ管理サーバは、車両端末またはディーラ端末からタイヤの状態を示すデータを受信し、このデータに基づいて、タイヤの状態について判定をし、緊急にタイヤの対処をする必要があると判定した場合は、該当の車両端末及びその状態に対処可能なディーラのディーラ端末にタイヤの状態を連絡する。タイヤに何らかの対処をする必要があるが緊急性はないと判定した場合は、該当の車輌の車両管理端末及び所定のディーラのディーラ端末に対してスケジューリング処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のタイヤ管理方法では、車両端末に車軸配列とメンテナンスに関わる情報(空気圧等)を表示し、車両端末からディーラへの通知に基づき保守計画を立てる。ところで、車両の走行や気温などによってタイヤの空気圧が変動しアラート情報が多発すると、ユーザへの通知が頻繁に生じて煩わしいという問題があった。本発明者は、運送事業者等のユーザが運行管理する車両のタイヤ空気圧を管理する上で、生成されたアラート情報を適切なタイミングで通知することによって、タイヤ空気圧の管理の利便性を改善できる余地があると考えた。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、アラート情報を適切なタイミングで通知することでタイヤ空気圧の管理の利便性を向上することができるタイヤ空気圧管理システムおよびタイヤ空気圧管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様のタイヤ空気圧管理システムは、タイヤに配設されたセンサによって計測されたタイヤ空気圧の情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部により取得したタイヤ空気圧が、タイヤ空気圧の適正値よりも小さい第1閾値未満である場合に、アラート情報を生成するアラート生成部と、前記アラート生成部により所定期間中にアラート情報が生成されたことを、前記所定期間の経過後に外部へ通知するアラート通知部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の別の態様はタイヤ空気圧管理方法である。タイヤ空気圧管理方法は、タイヤに配設されたセンサによって計測されたタイヤ空気圧の情報を取得する情報取得ステップと、前記情報取得ステップにより取得したタイヤ空気圧が、タイヤ空気圧の適正値よりも小さい第1閾値未満である場合に、アラート情報を生成するアラート生成ステップと、前記アラート生成ステップにより所定期間中にアラート情報が生成されたことを、前記所定期間の経過後に外部へ通知するアラート通知ステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、アラート情報を適切なタイミングで通知することでタイヤ空気圧の管理の利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係るタイヤ空気圧管理システムの全体構成を示す模式図である。
【
図2】タイヤ空気圧管理装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】タイヤ空気圧管理システムによるアラート生成処理の手順を示すフローチャートである。
【
図4】表示部によるタイヤ空気圧およびタイヤ温度の画面表示の一例を示す模式図である。
【
図5】1つの車両におけるタイヤ空気圧およびタイヤ温度の画面表示の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに
図1から
図5を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
(実施形態)
図1は、実施形態に係るタイヤ空気圧管理システム100の全体構成を示す模式図である。タイヤ空気圧管理システム100は、センサ10、車両計測装置20、タイヤ空気圧管理装置30およびユーザ端末装置40等を備える。タイヤ空気圧管理システム100は、車両7に装着された各タイヤ1に配設されたセンサ10によって計測されたタイヤ1の空気圧および温度の情報を収集し管理する。車両7は、例えば運送事業者などで運行管理されている輸送用のトラック等である。車両7には、複数のタイヤ1が装着されている。
【0013】
タイヤ空気圧管理システム100のタイヤ空気圧管理装置30は、タイヤ空気圧の適正値および設定した閾値に対して、実際に計測されたタイヤ1の空気圧を比較し、アラート情報を生成する。タイヤ空気圧管理装置30は、生成したアラート情報を状況に応じて外部へ通知する。
【0014】
タイヤ空気圧管理装置30は、装置自体が有する表示装置にアラート情報を表示することによって外部へアラート情報を通知する。ユーザは、表示装置に表示されたアラート情報を視認しアラート情報を知得する。またタイヤ空気圧管理装置30は、アラート情報を含むユーザ宛ての電子メール等を送信することによって、外部へアラート情報を通知する。ユーザは、ユーザ端末装置40によって電子メール等を受信しアラート情報を知得する。
【0015】
ユーザは、タイヤ空気圧管理装置30が外部へ報知したアラート情報を知得し、車両7に装着されたタイヤ1に対するメンテナンスを計画する。タイヤ1に対するメンテナンスは、例えば、タイヤ1の空気圧を増すために行う空気の充填や、タイヤ1の交換などである。タイヤ空気圧管理システム100は、タイヤ空気圧管理装置30からアラート情報を適切なタイミングで通知することによって、タイヤ空気圧の管理の利便性を向上させる。
【0016】
図2は、タイヤ空気圧管理装置30の機能構成を示すブロック図である。センサ10は、タイヤ1に配設された圧力センサ11および温度センサ12を含んでいる。圧力センサ11はタイヤ空気圧を計測する。温度センサ12はタイヤ温度を計測する。圧力センサ11および温度センサ12は、例えばタイヤ1のエアバルブに配設されている。温度センサ12は、タイヤ1の温度を正確に計測するために、タイヤ1に直接、配設されていてもよい。
【0017】
車両計測装置20は、センサ10によって計測されたタイヤ空気圧およびタイヤ温度を蓄積し、通信ネットワーク8を経由してタイヤ空気圧管理装置30へ送信する。センサ10は、車両7のエンジン始動とともにタイヤ空気圧およびタイヤ温度の計測を開始する。
【0018】
車両計測装置20は、車両7のエンジン始動後、車両7が走行し、エンジンが停止するまでの期間において、センサ10が計測するタイヤ空気圧およびタイヤ温度を記憶し、タイヤ空気圧管理装置30へ送信する。車両計測装置20は、例えば、数分から数十分ごとに記憶したタイヤ空気圧およびタイヤ温度をタイヤ空気圧管理装置30へ送信する。車両計測装置20がタイヤ空気圧およびタイヤ温度をタイヤ空気圧管理装置30へ送信する時間の間隔は、数分から数十分に限られない。車両計測装置20からタイヤ空気圧管理装置30へ送信されるタイヤ空気圧およびタイヤ温度の情報には、車両の車軸配列上における当該情報が計測された各タイヤの装着位置の情報も含まれている。
【0019】
タイヤ空気圧管理装置30は、通信部31、情報取得部32、アラート生成部33、アラート通知部34、表示部35および記憶部36を有する。タイヤ空気圧管理装置30における各部は、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする電子素子からなる電子処理回路や機械部品などで実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラムなどによって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろな形態で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0020】
通信部31は、無線または有線通信によって通信ネットワーク8に通信接続し、車両計測装置20との間で通信する。情報取得部32は、通信部31を介して、車両計測装置20が送信したタイヤ空気圧およびタイヤ温度の情報を取得する。情報取得部32が取得するタイヤ空気圧およびタイヤ温度の情報は、車両の識別情報との対応付けられているものとする。情報取得部32は、取得したタイヤ空気圧およびタイヤ温度の情報を記憶部36へ記憶させる。また情報取得部32は、取得したタイヤ空気圧の情報をアラート生成部33へ出力する。
【0021】
記憶部36は、例えばSSD(Solid State Drive)、ハードディスク、CD-ROM、DVD等によって構成される記憶装置である。記憶部36は、車両管理情報36a、センサ計測情報36bおよびアラート関連情報36cを記憶している。
【0022】
車両管理情報36aは、例えば運送事業者などによって運行管理されている複数の車両に関する情報であり、車両の名称、車両ごとに付された車両の識別情報、車軸配列情報などを含む。車軸配列情報には、車軸配列上のタイヤの装着位置の情報が含まれる。センサ計測情報36bは、車両管理情報36aに含まれる各車両に対応して、情報取得部32によって取得したタイヤ空気圧およびタイヤ温度の情報である。センサ計測情報36bには、タイヤ空気圧およびタイヤ温度が計測された日時の情報が含まれている。アラート関連情報36cは、アラート生成部33によって生成され、記憶部36に記憶したものである。
【0023】
アラート生成部33は、情報取得部32において取得したタイヤ空気圧が、タイヤ空気圧の適正値よりも小さい第1閾値未満である場合に、アラート情報を生成する。またアラート生成部33は、情報取得部により取得したタイヤ空気圧が、前記第1閾値よりも小さい第2閾値未満である場合に、優先アラート情報を生成する。
【0024】
タイヤ空気圧の適正値は、タイヤの仕様、車両7の重量などを考慮して、タイヤ性能を発揮することができる値に設定されている。タイヤ空気圧が適正値を中央とする所定範囲に入るように、タイヤ1に空気が充填される。第1閾値は、タイヤ空気圧の適正値よりも小さい値に設定する。
【0025】
第1閾値は、タイヤ1に空気を充填する際に考慮する適正値を中央とする所定範囲の下限値以下の値に設定する。第1閾値は、タイヤ空気圧の低下が適正範囲を超えて低下していることを示す値に設定する。また第1閾値は、車両の燃費の低下率に基づいて設定してもよい。タイヤ空気圧が適正値である場合の車両の燃費に対し、例えば8割の燃費に低下するタイヤ空気圧を算出し、第1閾値とする。タイヤ空気圧による燃費の低下は、例えばタイヤ空気圧の低下に起因する路面摩擦の増加に基づいて算出される。
【0026】
第2閾値は、第1閾値よりも更に小さい値に設定する。第2閾値は、タイヤ空気圧の低下が著しく、タイヤ1による車両走行に支障が生じる状態であることを示す値に設定する。タイヤ1のゴム材料の損傷や空気バルブの封止性能の低下、タイヤとホイールの密着性の低下などによって空気が抜けていると、タイヤ1による車両走行に支障が生じる。またタイヤ1から自然に空気が抜けている場合にも、タイヤ1による車両走行に支障が生じる。
【0027】
またタイヤ空気圧が適正値である場合の車両の燃費に対し、例えば7割の燃費に低下するタイヤ空気圧を算出し、第2閾値としてもよい。第1閾値および第2閾値に対応する燃費の低下率は、上記の例に限られず、運送事業者における過去の空気圧メンテナンスの実績などの個別事情を踏まえて設定してもよい。
【0028】
例えば、タイヤ空気圧の適正値(中央値)が900KPaである場合に、第1閾値を800KPa、第2閾値を750KPaなどに設定する。タイヤ空気圧の適正値、第1閾値および第2閾値は、この例に限られるものではない。燃費を良くするために、タイヤ空気圧の低下が小さい段階でアラート情報を生成する場合には、第1閾値を850KPaなどの高めの値に設定してもよい。
【0029】
アラート情報は、上述のように、タイヤ空気圧が第1閾値よりも低下したときに生成される。タイヤ空気圧が第2閾値よりも低下したときには、優先アラート情報が生成されるので、アラート情報は、タイヤ空気圧が第1閾値未満であり第2閾値以上である場合に生成される。アラート情報は、タイヤの点検や空気充填などのメンテナンスを即時に行う必要性が少なく、ユーザに注意を促すものである。アラート情報には「注意状態」であることを示す情報を含ませるとよい。優先アラート情報は、タイヤの点検や空気充填などのメンテナンスを即時に行う必要があり、ユーザに警告するものである。優先アラート情報には「危険状態」や「警告状態」であることを示す情報を含ませるとよい。
【0030】
アラート生成部33は、生成したアラート情報および優先アラート情報を記憶部36へ出力する。アラート情報および優先アラート情報は、タイヤ空気圧が計測された日時、各情報が生成された日時、車両の識別情報などの対応する情報を含む。また、アラート情報および優先アラート情報は、タイヤ空気圧が低下しているタイヤの車軸配列上の装着位置の情報を含む。アラート情報には「注意状態」であることを示す情報、優先アラート情報には「危険状態」や「警告状態」であることを示す情報が含まれる。記憶部36は、アラート生成部33から入力されたアラート情報および優先アラート情報を車両ごとにアラート関連情報36cとして記憶する。
【0031】
またアラート生成部33は、優先アラート情報を生成した場合には、優先アラート情報をアラート通知部34へ出力する。
【0032】
アラート通知部34は、アラート生成部33により所定期間中に生成されたアラート情報を、所定期間の経過後に、対応する車両の運転者、車両の運行管理を行う作業者などを含むユーザに対して通知する。所定期間は、例えば1日であり、ある日の午前8時から翌日の午前8時とする。この場合、所定期間の経過後とは、翌日の午前8時を経過した時点である。また、所定の期間経過は、第1閾値まで低下してから第2閾値まで低下しないような任意の期間で設定される。
【0033】
アラート通知部34は、所定期間中に生成されたアラート情報を含む1つの電子メールを生成し、ユーザが保有するメールアドレスに対して送信する。ユーザは、タイヤ空気圧管理装置30およびユーザ端末装置40における電子メールの送受信用のアプリケーション等によって、アラート通知部34が送信した電子メールを受信する。
【0034】
ユーザは、電子メールに含まれるアラート情報を知得することができる。ユーザ端末装置40は、通信ネットワーク8を介してアラート通知部34が送信した電子メールを受信する。ユーザ端末装置は、例えばスマートフォンやパーソナルコンピュータ等の情報処理装置である。
【0035】
アラート通知部34は、アラート生成部33から優先アラート情報が入力されると、対応する車両の運転者、車両の運行管理を行う作業者などを含むユーザに対して、所定期間の経過前に、優先アラート情報を通知する。アラート通知部34は、アラート生成部33から優先アラート情報が入力されると、即時に、優先アラート情報を含む電子メールを自動生成して送信してもよい。ユーザは、電子メールを受信することによって優先アラート情報を知得することができる。
【0036】
アラート生成部33は、タイヤ空気圧が第1閾値未満であり第2閾値以上である場合であっても、所定期間(例えば1日)内において、タイヤ空気圧の低下率が所定値以上であるときには、アラート情報ではなく優先アラート情報を生成する。これは、タイヤ空気圧の低下が大きい場合には、優先アラート情報として即時にユーザへ通知するためである。
【0037】
アラート通知部34は、タイヤ空気圧管理装置30が有する表示部35へ優先アラート情報およびアラート情報を出力し、表示部35によって表示し、ユーザへ通知してもよい。表示部35は、液晶ディスプレイ等の表示装置を含み、アラート通知部34から入力された優先アラート情報およびアラート情報を表示装置に表示する。
【0038】
表示部35は、記憶部36のセンサ計測情報36bからタイヤ空気圧の情報を読み出し、表示装置に表示する。表示部35は、例えば所定期間(1日)におけるタイヤ空気圧の変遷を表示装置に表示することによって、タイヤ空気圧の変化をユーザに知得させる。
【0039】
次にタイヤ空気圧管理システム100の動作について説明する。
図3は、タイヤ空気圧管理システム100によるアラート生成処理の手順を示すフローチャートである。タイヤ空気圧管理装置30の情報取得部32は、車両計測装置20からタイヤ空気圧およびタイヤ温度の情報を取得する(S1)。情報取得部32は、取得したタイヤ空気圧およびタイヤ温度の情報を記憶部36へ出力して記憶させ、タイヤ空気圧の情報をアラート生成部33へ出力する。
【0040】
アラート生成部33は、タイヤ空気圧が第1閾値以上であるか否かを判定する(S2)。ステップS2において、タイヤ空気圧が第1閾値以上である場合(S2:YES)、処理を終了する。ステップS2において、タイヤ空気圧が第1閾値未満である場合(S2:NO)、アラート生成部33は、タイヤ空気圧が第2閾値以上であるか否かを判定する(S3)。
【0041】
ステップS3において、タイヤ空気圧が第2閾値未満である場合(S3:NO)、アラート生成部33は、優先アラート情報を生成し(S4)、処理を終了する。アラート生成部33によって生成された優先アラート情報はアラート通知部34へ出力され、アラート通知部34は、優先アラート情報を即時にユーザへ通知する。
【0042】
ステップS3において、タイヤ空気圧が第2閾値以上である場合(S3:YES)、アラート生成部33は、タイヤ空気圧の低下率が所定値以上か否かを判定する(S5)。ステップS5において、タイヤ空気圧の低下率が所定値以上である場合(S5:YES)、アラート生成部33は、ステップS4へ移行して優先アラート情報を生成し、処理を終了する。
【0043】
ステップS5において、タイヤ空気圧の低下率が所定値未満である場合(S5:NO)、アラート生成部33は、アラート情報を生成し(S6)、処理を終了する。アラート生成部33は、ステップS6において生成したアラート情報を記憶部36へ、アラート関連情報36cとして記憶させる。アラート通知部34は、アラート生成部33により所定期間中に生成されたアラート情報を記憶部36に記憶したアラート関連情報36cから読み出し、所定期間の経過後に、ユーザへ通知する。所定期間は、例えば1日である。
【0044】
タイヤ空気圧管理システム100は、アラート生成部33によって所定期間中に生成されたアラート情報を記憶部36に記憶し、所定期間の経過後に、所定期間中に生成されたアラート情報を1つの電子メールに纏めてユーザへ通知する。タイヤ空気圧管理システム100は、アラート情報が生成される度に頻繁にユーザへ通知される煩わしさを防止し、所定期間経過後の適切なタイミングで通知することでタイヤ空気圧の管理の利便性を向上することができる。ユーザは、アラート情報を知得することによって、タイヤ空気圧が低下してきており、注意が必要であることを認識することができる。
【0045】
タイヤ空気圧管理システム100は、タイヤ空気圧が第2閾値未満である場合には、優先アラート情報を生成し、所定期間の経過前に優先アラート情報をユーザへ通知する。タイヤ空気圧管理システム100は、タイヤ空気圧が第2閾値未満である場合には、優先アラート情報を生成し、即時に優先アラート情報をユーザへ通知してもよい。タイヤ空気圧管理システム100は、タイヤ空気圧が第2閾値よりも低下した場合には、所定期間の経過前または即時に、タイヤ空気圧の低下が著しいことをユーザへ知得させることができる。
【0046】
タイヤ空気圧管理システム100は、タイヤ空気圧が、第1閾値未満であり第2閾値以上である場合にも、所定期間内でのタイヤ空気圧の低下率が所定値以上であれば優先アラート情報を生成する。タイヤ空気圧管理システム100は、タイヤ空気圧の低下率が大きく、急激にタイヤ空気圧が低下していることをユーザへ知得させることができる。
【0047】
タイヤ空気圧管理システム100は、第1閾値および第2閾値を車両の燃費の低下率に基づいて設定するようにしてもよい。これにより、タイヤ空気圧管理システム100は、車両走行における燃費の改善に向けて、タイヤ1の空気充填等のメンテナンスをユーザに促すことができる。
【0048】
タイヤ空気圧管理システム100は、タイヤ空気圧管理装置30の記憶部36にタイヤ空気圧およびタイヤ温度の情報をセンサ計測情報36bとして記憶する。表示部35は、記憶部36に記憶されたタイヤ空気圧の情報を読み出して表示することで、運行管理している複数の車両に関するタイヤ空気圧の情報をユーザに分かり易く提供することができる。
【0049】
図4は、表示部35によるタイヤ空気圧およびタイヤ温度の画面表示の一例を示す模式図である。表示部35は、複数の車両に対して、タイヤ空気圧およびタイヤ温度の状態を画面に表示している。タイヤ空気圧は、第1閾値以上であれば「適正」、第1閾値未満であり第2閾値以上であれば「注意」、第2閾値未満であれば「危険」と表現している。センサ10からのタイヤ空気圧等の情報が受信できない状態となっている場合には、「信号不通」などの表現を表示に加えてもよい。またタイヤ温度については、適正温度以上である所定閾値より高い場合に、「高温」などと表示される。
【0050】
図5は、1つの車両におけるタイヤ空気圧およびタイヤ温度の画面表示の一例を示す模式図である。表示部35は、車両における車軸配列情報、および選択中のタイヤのタイヤ空気圧およびタイヤ温度のグラフを表示する。車軸配列情報は、車両の前後方向における3つの車軸A1、A2およびA3、並びに各車軸におけるタイヤ装着位置B11、B12等を表している。
【0051】
各タイヤ装着位置B11等には、タイヤを模式的に示すタイヤ図形を配置し、タイヤ空気圧およびタイヤ温度を記述した情報用の図形を配置している。タイヤ空気圧を記述した情報用の図形は、タイヤ空気圧が第1閾値未満であり第2閾値以上である場合には「注意」を示すために例えば黄色などで塗りつぶし、第2閾値未満である場合には「危険」を示すために例えば赤色などで塗りつぶす。尚、
図5に示す例では、タイヤ空気圧の適正値(中央値)が950KPaであり、第1閾値を850KPa、第2閾値を800KPaに設定されている。
【0052】
タイヤ空気圧管理システム100は、表示部35によって
図4および
図5に示す画面表示をすることで、ユーザに対して分かり易くタイヤ空気圧およびタイヤ温度の情報を提供することができる。
【0053】
(変形例)
上述の実施形態では、アラート通知部34は、電子メールによって、アラート情報および優先アラート情報をユーザへ通知する例を示した。タイヤ空気圧管理装置30が提供するアプリケーションをユーザ端末装置40にインストールし、タイヤ空気圧管理装置30からユーザ端末装置40へアラート情報および優先アラート情報をアプリケーション上で通知するようにしてもよい。
【0054】
またタイヤ空気圧管理装置30のアラート生成部33は、センサ10から所定時間(例えば120分以上)に亘ってタイヤ空気圧およびタイヤ温度の情報が取得できない場合に、センサ信号不通を示すアラート情報を生成してもよい。
【0055】
運送事業者は、輸送用のトラックを運行管理する事業者に限られず、例えば、タクシー事業者なども含む。また車両は、トラック車両やタクシー車両などに限られず、レンタル事業者のレンタル用の車両、車両シェアの事業者が提供するシェア用の車両なども含まれる。
【0056】
次に実施形態に係るタイヤ空気圧管理システム100およびタイヤ空気圧管理方法の特徴について説明する。
タイヤ空気圧管理システム100は、情報取得部32、アラート生成部33およびアラート通知部34を備える。情報取得部32は、タイヤ1に配設されたセンサ10によって計測されたタイヤ空気圧の情報を取得する。アラート生成部33は、情報取得部32により取得したタイヤ空気圧が、タイヤ空気圧の適正値よりも小さい第1閾値未満である場合に、アラート情報を生成する。アラート通知部34は、アラート生成部33により所定期間中にアラート情報が生成されたことを、所定期間の経過後に外部へ通知する。これにより、タイヤ空気圧管理システム100は、所定期間経過後の適切なタイミングで通知することでタイヤ空気圧の管理の利便性を向上することができる。
【0057】
またアラート生成部33は、情報取得部32により取得したタイヤ空気圧が、第1閾値よりも小さい第2閾値未満である場合に、優先アラート情報を生成する。アラート通知部34は、優先アラート情報が生成された場合に、所定期間の経過前に優先アラート情報を外部へ通知する。これにより、タイヤ空気圧管理システム100は、所定期間の経過前に、タイヤ空気圧の低下が著しいことをユーザへ知得させることができる。
【0058】
またアラート生成部33は、情報取得部32により取得したタイヤ空気圧が、第2閾値以上である場合に、所定期間内でのタイヤ空気圧の低下率が所定値以上であれば優先アラート情報を生成する。これにより、タイヤ空気圧管理システム100は、タイヤ空気圧の低下率が大きく、急激にタイヤ空気圧が低下していることをユーザへ知得させることができる。
【0059】
また第1閾値は、車両の燃費の低下率に基づいて設定されている。これにより、タイヤ空気圧管理システム100は、車両走行における燃費の改善に向けて、タイヤ1の空気充填等のメンテナンスをユーザに促すことができる。
【0060】
またタイヤ空気圧管理システム100は、情報取得部32により取得したタイヤ空気圧の情報を記憶する記憶部36と、記憶部36に記憶したタイヤ空気圧の情報を表示する表示部35と、を更に備える。これにより、タイヤ空気圧管理システム100は、タイヤ空気圧の情報をユーザに分かり易く提供することができる。
【0061】
タイヤ空気圧管理方法は、情報取得ステップ、アラート生成ステップおよびアラート通知ステップを備える。情報取得ステップは、タイヤ1に配設されたセンサ10によって計測されたタイヤ空気圧の情報を取得する。アラート生成ステップは、情報取得ステップにより取得したタイヤ空気圧が、タイヤ空気圧の適正値よりも小さい第1閾値未満である場合に、アラート情報を生成する。アラート通知ステップは、アラート生成ステップにより所定期間中にアラート情報が生成されたことを、所定期間の経過後に外部へ通知する。このタイヤ空気圧管理方法によれば、所定期間経過後の適切なタイミングで通知することでタイヤ空気圧の管理の利便性を向上することができる。
【0062】
以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【符号の説明】
【0063】
1 タイヤ、 10 センサ、 32 情報取得部、 33 アラート生成部、
34 アラート通知部、 35 表示部、 36 記憶部、
100 タイヤ空気圧管理システム。