(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025141796
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】軟質ポリウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
C08G 18/00 20060101AFI20250919BHJP
【FI】
C08G18/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024228452
(22)【出願日】2024-12-25
(62)【分割の表示】P 2024039593の分割
【原出願日】2024-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003425
【氏名又は名称】株式会社東洋クオリティワン
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 和成
(72)【発明者】
【氏名】村上 果穂
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DF01
4J034DF12
4J034DF16
4J034DG03
4J034DG04
4J034DQ16
4J034DQ18
4J034EA11
4J034EA12
4J034HA01
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4J034HB05
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA42
4J034QA01
4J034QB01
4J034QB14
4J034QB15
4J034QC01
(57)【要約】
【課題】反発弾性と伸びを両立できる、植物由来ポリオールを含む組成物から得られる軟質ポリウレタンフォームを提供する。
【解決手段】軟質ポリウレタンフォームは、植物由来ポリオール及び石油由来ポリオールを含むポリオールとイソシアネートとを含む組成物から得られるものであって、JIS K6400-5:2012に準拠した伸びは180%以上であり、JIS K6400-3:2011に準拠した反発弾性は30%以上であり、JIS K6400-5:2012のB法に準拠した引裂強さは4.0N/cm以上である。植物由来ポリオールは1級水酸基を有する第1のポリオールを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物由来ポリオール及び石油由来ポリオールを含むポリオールとイソシアネートとを含む組成物から得られる軟質ポリウレタンフォームであって、
前記植物由来ポリオールは、1級水酸基を有する第1のポリオールを含み、
JIS K6400-5:2012に準拠した伸びは180%以上であり、
JIS K6400-3:2011に準拠した反発弾性は30%以上であり、
JIS K6400-5:2012のB法に準拠した引裂強さは4.0N/cm以上である軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
前記ポリオールは前記第1のポリオール及び前記石油由来ポリオールからなる請求項1記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【請求項3】
前記ポリオール100質量部のうち前記第1のポリオールを40-80質量部含み、前記石油由来ポリオールを20-60質量部含む請求項2記載の軟質ポリウレタンフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物由来ポリオールを含む組成物から得られる軟質ポリウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
軟質ポリウレタンフォームの環境負荷の低減のため、植物由来ポリオールを含む組成物を用いる先行技術は特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、植物由来ポリオールを含む組成物から得られた実施例1-19に係る軟質ポリウレタンフォームは、JIS K6400-3に準拠した反発弾性の平均は約32%であるが、JIS K6400-5に準拠した伸びの平均が約90%であるため改善の余地がある。
【0005】
本発明はこの問題点を解決するためになされたものであり、反発弾性と伸びを両立できる、植物由来ポリオールを含む組成物から得られる軟質ポリウレタンフォームの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明の第1の態様は、植物由来ポリオール及び石油由来ポリオールを含むポリオールとイソシアネートとを含む組成物から得られる軟質ポリウレタンフォームであって、植物由来ポリオールは、1級水酸基を有する第1のポリオールを含む。例えばポリオールは第1のポリオール及び石油由来ポリオールからなり、ポリオール100質量部のうち第1のポリオールを40-80質量部含み、石油由来ポリオールを20-60質量部含む。
【0007】
第2の態様は、第1の態様において、第1のポリオールの水酸基価は60mgKOH/g未満である。
【0008】
第3の態様は、第1又は第2の態様において、軟質ポリウレタンフォームのバイオマス度は25%以上である。
【0009】
第4の態様は、第1から第3の態様のいずれかにおいて、植物由来ポリオールは2級水酸基を有する第2のポリオールを含み、ポリオールの質量に占める植物由来ポリオールの質量の割合は40%以上である。
【0010】
第5の態様は、第1から第4の態様のいずれかにおいて、ポリオールは石油由来ポリオールを含み、ポリオールの質量に占める植物由来ポリオールの質量の割合は40%以上である。
【0011】
第6の態様は、第1又は第2の態様において、植物由来ポリオールは第1のポリオールからなり、軟質ポリウレタンフォームのバイオマス度は30%以上である。
【0012】
第7の態様は、第1から第6の態様のいずれかにおいて、軟質ポリウレタンフォームのJIS K6400-3:2011に準拠した反発弾性は20%以上である。
【0013】
第8の態様は、第1から第7の態様のいずれかにおいて、軟質ポリウレタンフォームのJIS K6400-5:2012に準拠した伸びは100%以上である。
【0014】
第9の態様は、第1から第8の態様のいずれかにおいて、軟質ポリウレタンフォームのJIS K6400-5:2012のB法に準拠した引裂強さは4.0N/cm以上である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば植物由来ポリオールである第1のポリオールは、ヒドロキシ基が結合している炭素原子に1個の炭素原子が結合しているヒドロキシ基(1級水酸基)を含む。1級水酸基にはヒドロキシ基が結合している炭素原子に結合している炭化水素基が1つしかなく、立体障害が小さいため、第1のポリオールはイソシアネートとの樹脂化反応性に富む。そのため軟質ポリウレタンフォームの反発弾性と伸びを両立できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。軟質ポリウレタンフォームは、植物由来ポリオールを含むポリオール及びイソシアネートを含む組成物から得られる。ポリオールは、1つの分子内に水酸基を2つ以上もつ化合物である。植物由来ポリオールは、植物由来の油脂を原料として作られたポリオールが例示される。植物由来の油脂は、ひまし油、ひまわり油、菜種油、亜麻仁油、綿実油、きり油、やし油、けし油、とうもろこし油、大豆油が例示される。
【0017】
植物由来ポリオールは、1級水酸基を有する第1のポリオールを含む。第1のポリオールはヒドロキシ基が結合している炭素原子に結合している炭化水素基が1つしかなく、立体障害が小さいため、ポリオールの反応性を向上できる。
【0018】
第1のポリオールは、官能基数が2.0以上3.5未満であり、水酸基価が60mgKOH/g未満であることが好ましい。適度な架橋密度と架橋点分岐数を有する架橋構造を形成することができ、第1のポリオールを含む組成物から得られる軟質ポリウレタンフォームの反発弾性などの機械的特性が向上するためである。
【0019】
第1のポリオールは、組成物におけるポリオールの質量に対して10wt%以上100wt%以下の範囲で含まれて良い。植物由来ポリオールの反応性を確保するためである。
【0020】
植物由来ポリオールは、第1のポリオールからなる(植物由来ポリオールの全てが第1のポリオールである)ことが望ましいが、第2のポリオールを含むものでも良い。第2のポリオールは、ヒドロキシ基が結合している炭素原子に2個の炭素原子が結合しているヒドロキシ基(2級水酸基)を含む。第2のポリオールは、ヒドロキシ基が結合している炭素原子に結合している炭化水素基が2つあり、立体障害が大きいため、ポリオールの反応性は低下するが、植物由来材料を補うことができる。炭素13核磁気共鳴スペクトルにより1級水酸基および2級水酸基の分析ができる。
【0021】
植物由来ポリオールが第2のポリオールを含む場合、組成物におけるポリオールの質量に占める植物由来ポリオールの質量の割合は40%以上であることが好ましい。軟質ポリウレタンフォームのバイオマス度を確保するためである。
【0022】
バイオマス度は以下の式(1)を用いて求めることができる。バイオマス度=植物由来ポリオールの質量×各ポリオールのバイオマス度/(組成物を構成する全ての原料の質量の合計-ガス化による質量減少)・・・式(1)
【0023】
式(1)の中の「ガス化による質量減少」は、原料に含まれる水の質量を水の分子量(18)で除した値に二酸化炭素の分子量(44)を乗じた値である。
【0024】
軟質ポリウレタンフォームのバイオマス度は25%以上であることが好ましい。軟質ポリウレタンフォームの環境負荷の低減のためである。
【0025】
植物由来ポリオールが第1のポリオールからなる場合、軟質ポリウレタンフォームのバイオマス度は30%以上であることが好ましい。軟質ポリウレタンフォームの環境負荷をさらに低減するためである。
【0026】
ポリオールは、植物由来ポリオールに加え、石油由来ポリオールを含んでも良い。石油由来ポリオールの反応性は、第1のポリオールの反応性と第2のポリオールの反応性の中間にあるため、触媒量の適当な範囲を広げる効果があり、成形性の向上に寄与するからである。ポリオールが石油由来ポリオールを含む場合、組成物におけるポリオールの質量に占める植物由来ポリオールの質量の割合は40%以上であることが好ましい。軟質ポリウレタンフォームのバイオマス度を確保するためである。
【0027】
石油由来ポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリマーポリオール、ポリエステルポリオール等が例示される。ポリエーテルポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコールにエチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオールが例示される。
【0028】
ポリエーテルポリオールは、重量平均分子量500-12500(好ましくは800-6000、より好ましくは1000-3000)、官能基数2-6(好ましくは、2又は3)のポリエーテルポリオールであることが好ましい。
【0029】
ポリマーポリオールは、ベースポリオールとしての官能基数2又は3のポリエーテルポリオール中でアクリロニトリル及びスチレン等のビニルモノマーをグラフト共重合させてなるポリマーポリオールが例示される。ベースポリオールは、AO単位(アルキレンオキサイド単位)としてPO単位(プロピレンオキサイド単位)とEO単位(エチレンオキサイド単位)を含むポリエーテルポリオールが例示される。ポリマーポリオールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した数平均分子量を採用できる。
【0030】
ポリエステルポリオールは、ポリカプロラクトン系ポリエステルポリオール、アジペート系ポリエステルポリオールが例示される。ポリカプロラクトン系ポリエステルポリオールは、ε-カプロラクトン等のラクトン類を開環付加重合させて得たポリエステルポリオールが例示される。アジペート系ポリエステルポリオールは、多官能カルボン酸と多官能ヒドロキシ化合物との重縮合によって得られるポリエステルポリオールが例示される。
【0031】
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の低分子量の多価アルコールが用いられる場合は、多価アルコールもポリオールに含まれる。
【0032】
イソシアネートは、イソシアネート基を複数有する化合物であり、トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)等の芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族イソシアネート、又はこれらとポリオールとの反応による遊離イソシアネートプレポリマー、カルボジイミド変性イソシアネート類等の変性イソシアネートが例示される。イソシアネートはこれらの1種以上が用いられる。
【0033】
インデックスは、イソシアネートと反応し得るポリオールの水酸基等の官能基に対するイソシアネートのイソシアネート基の当量比である。インデックスは、反応安定性の観点から91以上であり、93以上が好ましく、95以上がより好ましく、発泡時の発熱低減の観点から125以下であり、115以下が好ましく、110以下がより好ましい。
【0034】
組成物は、触媒、整泡剤、発泡剤を含んでいることが好ましい。触媒は主にポリオールとイソシアネートとの樹脂化反応を促進する。触媒は、トリエチレンジアミン、N,N-ジメチルアミノエタノール、6-ジメチルアミノ-1-ヘキサノール、N,N´,N´-トリメチルアミノエチルピペラジン等の第3級アミン、スタナスオクトエート、オクチル酸第一錫等の有機金属化合物、酢酸塩、アルカリ金属アルコラートが例示される。組成物に占める触媒の割合は特に制限がないが、ポリオール100質量部に対し0.1質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。樹脂化反応の促進とセル構造の不均一さの低減のためである。
【0035】
整泡剤は、オルガノポリシロキサン、オルガノポリシロキサン-ポリオキシアルキレン共重合体、ポリオキシアルキレン側鎖を有するポリアルケニルシロキサン、シリコーン-グリース共重合体等のシリコーン系化合物、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリエーテルシロキサン、フェノール系化合物が例示される。組成物に占める整泡剤の割合は特に制限がないが、ポリオール100質量部に対し0.03質量部以上5.0質量部以下が好ましい。
【0036】
発泡剤は、水、炭酸ガス、ハイドロハロオレフィンが例示される。発泡剤が水の場合、組成物に占める発泡剤の割合は、ポリオール100質量部に対し1質量部以上10質量部以下が好ましい。
【0037】
組成物は添加剤を含有してもよい。添加剤は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、増粘剤、可塑剤、難燃剤、抗菌剤、着色剤が例示される。酸化防止剤は、ジブチルヒドロキシトルエン、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が例示される。増粘剤は、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが例示される。
【0038】
軟質ポリウレタンフォームは、組成物を攪拌混合してポリオールとイソシアネートとを反応させる公知の発泡方法によって製造できる。発泡方法はスラブ発泡やモールド発泡がある。スラブ発泡は混合した組成物をベルトコンベア上に吐出し、大気圧下、常温で発泡させる方法である。モールド発泡は、混合した組成物をモールド(成形型)に充填してモールド内で発泡させる方法である。
【0039】
軟質ポリウレタンフォームの用途は、寝具、椅子のクッションや背もたれ、ソファ、緩衝材、吸音材、建材、洗浄用スポンジ、水耕栽培用培地が例示される。寝具はマットレス、掛け布団、敷き布団、枕が例示される。
【0040】
JIS K6400-3:2011に準拠した軟質ポリウレタンフォームの反発弾性は20%以上であること、特に30%以上であることが好ましい。反発弾性は通常90%以下である。
【0041】
JIS K6400-5:2012(試験片は2号形)に準拠した軟質ポリウレタンフォームの伸びは100%以上であること、特に130%以上であることが好ましい。伸びは通常500%以下である。
【0042】
JIS K6400-5:2012のB法に準拠した軟質ポリウレタンフォームの引裂強さは4.0N/cm以上であることが好ましい。引裂強さは通常10N/cm以下である。
【実施例0043】
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。表1に実施例1-16における軟質ポリウレタンフォームの原料の配合を示す。表2に実施例17-25及び比較例1-5における軟質ポリウレタンフォームの原料の配合を示す。表1,2に示す数値(インデックスを除く)は、ポリオール(第1のポリオール、第2のポリオール及び石油由来ポリオール)100重量部のときの単位質量である。
【0044】
【0045】
【0046】
表1,2に示す原料は以下のとおりである。
【0047】
第1のポリオール1:ひまし油由来、バイオマス度95.7%、水酸基価56mgKOH/g、平均分子量3000、官能基数3.0、ヒドロキシ基は全て1級水酸基
第1のポリオール2:とうもろこし由来、バイオマス度100%、水酸基価56mgKOH/g、平均分子量2000、官能基数2.0、ヒドロキシ基は全て1級水酸基
第1のポリオール3:とうもろこし由来、バイオマス度100%、水酸基価187mgKOH/g、平均分子量600、官能基数2.0、ヒドロキシ基は全て1級水酸基
第2のポリオール1:ひまし油由来、バイオマス度93%、水酸基価153mgKOH/g、平均分子量990、官能基数2.7、ヒドロキシ基は全て2級水酸基
第2のポリオール2:ひまし油由来、バイオマス度100%、水酸基価90mgKOH/g、平均分子量2182、官能基数3.5、ヒドロキシ基は全て2級水酸基
石油由来ポリオール1:水酸基価51mgKOH/g、平均分子量3300、官能基数3
石油由来ポリオール2:水酸基価56mgKOH/g、平均分子量3000、官能基数3
石油由来ポリオール3:水酸基価45mgKOH/g、平均分子量3740、官能基数3
石油由来ポリオール4:水酸基価112mgKOH/g、平均分子量1000、官能基数2
石油由来ポリオール5:水酸基価56mgKOH/g、平均分子量2000、官能基数2
イソシアネート:トルエンジイソシアネート(TDI)、2,4-トルエンジイソシアネート75-85%、2,6-トルエンジイソシアネート15-25%
触媒1:アミン系触媒、DABCO(登録商標)33LX
触媒2:アミン系触媒、TEDA(登録商標)L33
触媒3:アミン系触媒、DABCO(登録商標)BL-22
触媒4:アミン系触媒、DABCO(登録商標)NE300
触媒5:金属触媒、KOSMOS(登録商標)T9
触媒6:金属触媒、ネオスタン(登録商標)U-28
整泡剤1:VORASURF(登録商標)SF2904
整泡剤2:TEGOSTAB(登録商標)B8244
整泡剤3:TEGOSTAB(登録商標)B8228
連通化剤:アクトコール(登録商標)EP-505S
発泡剤:水
【0048】
第1のポリオール1-3、第2のポリオール1,2、石油由来ポリオール1-5の平均分子量は、KOHの分子量にポリオールの官能基数を乗じた値を1000倍し、その値をポリオールの水酸基価で除して得た商の小数点第1位を四捨五入した値である。
【0049】
アクトコール(登録商標)EP-505Sは、ポリエーテルポリオール(エチレンオキサイドを70-75wt%含むプロピレンオキサイド-エチレンオキサイドのランダム共重合体)であるため石油由来ポリオールの1種といえるが、連通化剤として用いたため、ポリオールに含めない。
【0050】
表1,2に示すように原料を配合した組成物を調製し、スラブ発泡により実施例1-25及び比較例1-5における軟質ポリウレタンフォームを製造した。軟質ポリウレタンフォームのバイオマス度は上記の式(1)を用いて算出した。密度はJIS K7222:2005に準拠した方法により求めた。40%硬さはJIS K6400-2:2012 A法に準拠した方法により求めた。通気度はJIS K6400-7:2012 B法に準拠した方法により求めた。反発弾性はJIS K6400-3:2011に準拠した方法により求めた。引張強さ及び伸びはJIS K6400-5:2012(試験片は2号形)に準拠した方法により求めた。引裂強さはJIS K6400-5:2012 B法に準拠した方法により求めた。75%圧縮残留ひずみはJIS K6400-4:2004 A法に準拠した方法により求めた。
【0051】
表1,2に示すとおり、実施例1-6はポリオール100質量部のうち、第1のポリオールを40質量部含み、石油系ポリオールを60質量部含む。バイオマス度は25%以上30%未満であり、反発弾性は20%以上(特に30%以上)であり、伸びは100%以上(特に170%以上)であり、引裂強さは4.0N/cm以上(特に5.0N/cm以上)であり、75%圧縮残留ひずみは5%未満(特に3.0%未満)であった。
【0052】
実施例7-9はポリオール100質量部のうち、第1のポリオールを10-30質量部含み、第2のポリオールを10-30質量部含み、石油系ポリオールを60質量部含む。バイオマス度は25%以上30%未満であり、反発弾性は20%以上(特に30%以上)であり、伸びは100%以上(特に150%以上)であり、引裂強さは4.0N/cm以上であり、75%圧縮残留ひずみは5%未満(特に3.5%未満)であった。
【0053】
実施例10-14はポリオール100質量部のうち、第1のポリオールを45-80質量部含み、石油系ポリオールを20-55質量部含む。バイオマス度は30%以上60%未満であり、反発弾性は20%以上(特に30%以上)であり、伸びは100%以上(特に180%以上)であり、引裂強さは4.0N/cm以上(特に6.0N/cm以上)であり、75%圧縮残留ひずみは5%未満(特に3.5%未満)であった。
【0054】
実施例15,16はポリオール100質量部のうち、第1のポリオールを100質量部含む。バイオマス度は60%以上70%未満であり、反発弾性は20%以上(特に30%以上)であり、伸びは100%以上(特に140%以上)であり、引裂強さは4.0N/cm以上(特に5.0N/cm以上)であり、75%圧縮残留ひずみは5%未満(特に4.0%以下)であった。
【0055】
実施例17,18はポリオール100質量部のうち、第1のポリオールを50-60質量部含み、第2のポリオールを20質量%含み、石油系ポリオールを20-30質量部含む。バイオマス度は40%以上60%未満であり、反発弾性は20%以上(特に30%以上)であり、伸びは100%以上(特に160%以上)であり、引裂強さは4.0N/cm以上(特に5.0N/cm以上)であり、75%圧縮残留ひずみは6%未満であった。
【0056】
実施例19,20はポリオール100質量部のうち、第1のポリオールを60-80質量部含み、第2のポリオールを20-40質量%含む。バイオマス度は60%以上70%未満であり、反発弾性は20%以上30%未満であり、伸びは100%以上であり、引裂強さは4.0N/cm以上5.0N/cm以下であり、75%圧縮残留ひずみは5%未満であった。
【0057】
実施例21-25はポリオール100質量部のうち、第1のポリオールを70-80質量部含み、第2のポリオールを10-30質量%含み、石油系ポリオールを0-10質量部含む。バイオマス度は60%以上75%未満であり、反発弾性は20%以上(特に25%以上)であり、伸びは125%以上であり、引裂強さは4.0N/cm以上であり、75%圧縮残留ひずみは5%未満であった。
【0058】
比較例1はポリオール100質量部のうち、石油系ポリオールを100質量部含む。バイオマス度は0%であり、反発弾性は46%であり、伸びは148%であり、引裂強さは4.7N/cmであり、75%圧縮残留ひずみは1.6%であった。比較例2-5はバイオマス度を上げるため、ポリオール100質量部のうち、第2のポリオールを30-100質量%含み、石油系ポリオールを0-70質量部含む。
【0059】
比較例2-5は、比較例の番号が大きくなるにつれて、ポリオールのうち第2のポリオールの割合を大きくし石油系ポリオールの割合を小さくした。第2のポリオールの割合が大きくなるにつれてバイオマス度は大きくなったが、反発弾性、伸び及び引裂強さは低下した。但し、第2のポリオールの割合が100%になると(比較例5)、伸びと引裂強さは石油系ポリオールの割合が100%の比較例1に匹敵した。しかし、反発弾性は第2のポリオールの割合が大きくなるにつれて減少し続け、比較例4の反発弾性は30%未満であり、比較例5の反発弾性は20%未満であった。
【0060】
これに対し実施例1-25は、バイオマス度は25%以上であり、反発弾性は20%以上であり、伸びは100%以上であり、引裂強さは4.0N/cm以上であった。実施例によれば、第1級水酸基を有する植物由来ポリオール(第1のポリオール)を含む組成物から、バイオマス度は25%以上であり、反発弾性は20%以上であり、伸びは100%以上であり、引裂強さは4.0N/cm以上である軟質ポリウレタンフォームが得られることが明らかになった。
【0061】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。