(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025141966
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】ガス発生器
(51)【国際特許分類】
B60R 21/264 20060101AFI20250919BHJP
B01J 7/00 20060101ALI20250919BHJP
【FI】
B60R21/264
B01J7/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025098125
(22)【出願日】2025-06-11
(62)【分割の表示】P 2021196550の分割
【原出願日】2021-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127203
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】清水 友也
(57)【要約】
【課題】従来よりも軽量化及び部品の簡易化によるコスト削減がなされたガス発生器を得る。
【解決手段】ガス発生器100は、長尺略円柱状の外形を有しており、ハウジング10と、ハウジング10の一方の開口端に取付けられているホルダ20と、ホルダ20に保持され、ガス発生剤31を点火する点火器50と、カップ部材32と、フィルタ41と、を含んでいる。カップ部材32にフィルタ41の一端部を嵌挿した状態でハウジング10内に設置した後、カップ部材32の筒状部32a周面の一部に対応する部分のハウジング10の周壁10bを径方向内側に縮径させて、環状溝部32a1および環状溝部41bを形成することにより、ハウジング10およびフィルタ41に対するカップ部材32のかしめ固定が行なわれている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼することによってガスを発生させるガス発生剤が装填され、前記ガスが通過するフィルタを内部に含み、前記フィルタに対応する位置に前記ガスを噴出するガス噴出口が形成されている長尺筒状のハウジングと、
前記ガス発生剤を着火燃焼させることが可能な点火器と、
前記点火器の一部が保持され、前記ハウジングの軸方向の一端部に固定されているホルダと、
前記ハウジングの軸方向の他端部に固定されている閉塞部材と、
前記ハウジング内において、前記フィルタと接触し、前記フィルタの位置を決めることに用いることが可能な位置決め部材と、
を備え、
前記位置決め部材は、少なくとも前記ハウジングの内壁形状に倣った形状の筒状部を有しており、
前記位置決め部材に接触している前記フィルタが前記ガス噴出口に対応する位置に位置決め可能となるように、前記筒状部は、前記ハウジングの外側から行われる縮径加工によって前記ハウジングとともに変形させることにより、前記ハウジングの内壁の所定箇所に固定されているものであることを特徴とするガス発生器。
【請求項2】
燃焼することによってガスを発生させるガス発生剤が装填され、前記ガスが通過する筒状のフィルタを内部に含み、前記フィルタに対応する位置に前記ガスを噴出するガス噴出口が形成されている長尺筒状のハウジングと、
前記ガス発生剤を着火燃焼させることが可能な点火器と、
前記点火器の一部が保持され、前記ハウジングの軸方向の一端部に固定されているホルダと、
前記ハウジングの軸方向の他端部に固定されている閉塞部材と、
前記ハウジングの内部に設けられ、前記フィルタの軸方向の前記点火器側の端部と接触し、前記フィルタの位置を決めることに用いることが可能な位置決め部材と、
を備え、
前記位置決め部材は、少なくとも前記ハウジングの内壁形状に倣った形状の筒状部を有しており、
前記位置決め部材に接触している前記フィルタが前記ガス噴出口に対応する位置に位置決め可能となるように、前記筒状部は、前記ハウジングの外側から行われる溶接加工によって前記ハウジングの内壁の所定箇所に固定されているものであり、
前記閉塞部材は、
板状または断面が凸形状の部材であって、前記ハウジングの軸方向の他端部を閉塞するようにかつ前記ハウジングの軸方向と直交する方向の幅が前記ハウジングの内径以下となるように形成されたものであり、
一端部側が前記ハウジング内において前記フィルタの他端部に接触するように配設され位置決めされており、前記閉塞部材を前記フィルタ側に押し込むことになるように他端部側において前記ハウジングを縮径加工することによって、前記ハウジングと前記フィルタとの間に固定される部材である
ことを特徴とするガス発生器。
【請求項3】
前記位置決め部材は、筒部が前記フィルタと反対側に設けられ、底部が前記フィルタと接触している短尺の有底筒状のカップ部材であり、
前記溶接加工によって前記筒部を前記ハウジングの内壁に接着することによって、前記カップ部材を前記ハウジングに固定させたものであることを特徴とする請求項2に記載のガス発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等に搭載される乗員保護装置としてのエアバッグ装置に組み込まれるガス発生器に関し、より特定的には、長尺円筒状の形状を有するいわゆるシリンダ型のガス発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
シリンダ型のガス発生器における長尺円筒状のハウジングは、閉塞部材で一端が閉塞され、他端が点火部を有したホルダで閉塞される構成となることが一般的である(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献に代表されるガス発生器については、さらなる軽量化及び部品の簡易化によるコスト削減が望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、従来よりも軽量化及び部品の簡易化によるコスト削減がなされたガス発生器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明のガス発生器は、燃焼することによってガスを発生させるガス発生剤が装填され、前記ガスが通過するフィルタを内部に含み、前記フィルタに対応する位置に前記ガスを噴出するガス噴出口が形成されている長尺筒状のハウジングと、前記ガス発生剤を着火燃焼させることが可能な点火器と、前記点火器の一部が保持され、前記ハウジングの軸方向の一端部に固定されているホルダと、前記ハウジングの軸方向の他端部に固定されている閉塞部材と、前記ハウジング内において、前記フィルタと接触し、前記フィルタの位置を決めることに用いることが可能な位置決め部材と、を備え、前記位置決め部材は、少なくとも前記ハウジングの内壁形状に倣った形状の筒状部を有しており、前記位置決め部材に接触している前記フィルタが前記ガス噴出口に対応する位置に位置決め可能となるように、前記筒状部は、前記ハウジングの外側から行われる溶接加工または縮径加工によって前記ハウジングの内壁の所定箇所に固定されているものであることを特徴とする。
【0007】
(2) 上記(1)のガス発生器において、前記位置決め部材は、前記フィルタの一端部側を覆う短尺の有底筒状のカップ部材であり、前記カップ部材および前記フィルタの各側面部を前記ハウジングとともに外部側から縮径加工することによって、前記カップ部材および前記フィルタを前記ハウジングとともに変形させて、前記カップ部材を介して前記ハウジングに前記フィルタを固定させたものであることが好ましい。
【0008】
(3) 上記(1)のガス発生器において、前記位置決め部材は、前記フィルタの軸方向長さよりも短く、かつ、前記ハウジング内において前記ガス噴出口を閉塞する管状部材であり、前記管状部材および前記フィルタの各側面部のうち前記ガス噴出口が形成されている領域よりも前記点火器側の位置、および、前記管状部材および前記フィルタの各側面部のうち前記ガス噴出口が形成されている領域よりも前記閉塞部材側の位置、のそれぞれにおいて、前記ハウジングとともに外部側から縮径加工することによって、前記管状部材および前記フィルタを前記ハウジングとともに変形させて、前記管状部材を介して前記ハウジングに前記フィルタを固定させたものであってもよい。
【0009】
(4) 上記(1)のガス発生器において、前記位置決め部材は、筒部が前記フィルタと反対側に設けられ、底部が前記フィルタと接触している短尺の有底筒状のカップ部材であり、前記溶接加工によって前記筒部を前記ハウジングの内壁に接着することによって、前記カップ部材を前記ハウジングに固定させたものであってもよい。
【0010】
(5) 上記(2)~(4)のガス発生器において、前記閉塞部材は、一端部側が前記ハウジング内において前記フィルタの他端部に接触するように配設され位置決めされており、前記閉塞部材を前記フィルタ側に押し込むことになるように他端部側において前記ハウジングを縮径加工することによって、前記ハウジングと前記フィルタとの間に固定される部材であることが好ましい。
【0011】
(6) 上記(1)のガス発生器において、前記位置決め部材は、前記ハウジング内において前記ガス噴出口を閉塞する筒状の側部と、前記フィルタの他端部側を閉塞する底面部と、を有した長尺の有底筒状部材であり、前記有底筒状部材および前記フィルタの各側部のうち前記ガス噴出口が形成されている領域よりも前記点火器側の位置において前記ハウジングとともに外部側から縮径加工することによって、前記有底筒状部材および前記フィルタを前記ハウジングとともに変形させて、前記有底筒状部材を介して前記ハウジングに前記フィルタを固定させたものであることが好ましい。
【0012】
(7) 上記(6)のガス発生器において、前記閉塞部材は、一端部側が前記ハウジング内において前記有底筒状部材の底面部に接触するように配設され位置決めされており、前記閉塞部材を前記フィルタ側に押し込むことになるように他端部側において前記ハウジングを縮径加工することによって、前記ハウジングと前記フィルタとの間に固定される部材であることが好ましい。
【0013】
(8) 上記(2)の前記カップ部材、上記(3)の前記管状部材、または、上記(6)の前記有底筒状部材は、樹脂部材または樹脂を含む複合強化部材からなるものであることが好ましい。
【0014】
(9) 上記(3)または(6)の前記フィルタが中心部に空間を有している筒状に形成されたものであり、前記空間にも前記ガス発生剤が装填されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、従来よりも軽量化及び部品の簡易化によるコスト削減がなされたガス発生器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一部を断面で表した本発明の第1実施形態に係るガス発生器の内部構造を示す模式図(一部省略)である。
【
図2】
図1のガス発生器の一部を拡大化して示した図である。
【
図3】一部を断面で表した本発明の第2実施形態に係るガス発生器の内部構造を示す模式図(一部省略)である。
【
図4】
図3のガス発生器の一部を拡大化して示した図である。
【
図5】一部を断面で表した本発明の第3実施形態に係るガス発生器の内部構造を示す模式図(一部省略)である。
【
図6】
図5のガス発生器の一部を拡大化して示した図である。
【
図7】一部を断面で表した本発明の第4実施形態に係るガス発生器の内部構造を示す一部拡大模式図(一部省略)である。
【
図8】一部を断面で表した本発明の第5実施形態に係るガス発生器の内部構造を示す一部拡大模式図(一部省略)である。
【
図9】一部を断面で表した本発明の第6実施形態に係るガス発生器の内部構造を示す一部拡大模式図(一部省略)である。
【
図10】一部を断面で表した本発明の第7実施形態に係るガス発生器の内部構造を示す一部拡大模式図(一部省略)である。
【
図11】一部を断面で表した本発明の第8実施形態に係るガス発生器の内部構造を示す模式図(一部省略)である。
【
図12】
図11のガス発生器の一部を拡大化して示した図である。
【
図13】一部を断面で表した本発明の第9実施形態に係るガス発生器の内部構造を示す模式図(一部省略)である。
【
図14】
図13のガス発生器の一部を拡大化して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
以下、
図1および
図2を参照して、本発明の実施の形態に係るシリンダ型のガス発生器の内部構造について説明する。
【0018】
(ガス発生器100の構成)
ガス発生器100は、長尺略円柱状の外形を有しており、ハウジング10と、ハウジング10の一方の開口端に取付けられているホルダ20と、ハウジング10の他方の開口端を閉塞するようにハウジング10の他端部に取付けられている閉塞部材12と、を含んでいる。
【0019】
ハウジング10は、周壁10a、10b、10eを有し、軸方向の両端に開口を有する長尺の円筒状の部材からなる。閉塞部材12は、所定の厚みを有する円盤状の部材からなり、その周面に後述するかしめ(縮径加工方法の一例)固定のための環状溝部13を有している。このかしめ固定のための環状溝部13は、閉塞部材12の周面に周方向に向かって延びるように形成されている。また、ハウジング10の閉塞部材12が取付けられた側の端部近傍の周壁には、ガス噴出口11が設けられている。このガス噴出口11は、ガス発生器100の内部において発生したガスを外部に噴出するための孔であり、ハウジング10の周方向及び軸方向に沿って複数個設けられている。
【0020】
また、閉塞部材12は、ステンレス鋼、鉄鋼、アルミニウム合金、又はステンレス合金等の金属製のものである。そして、
図1および
図2に示したように、ハウジング10の一方の開口端に閉塞部材12の一部が内挿された状態で、閉塞部材12の周面の一部に対応する部分のハウジング10の周壁10aを径方向内側に縮径させて(かしめて)当該環状溝部13を形成することにより、ハウジング10に対する閉塞部材12のかしめ固定が行なわれている。
【0021】
ホルダ20は、ステンレス鋼、鉄鋼、アルミニウム合金、又はステンレス合金等の金属製であって、点火器50が嵌合するテーパー形状の嵌合部23と、外周面に周方向に向かって延びるように形成されたかしめ固定のための環状溝部22と、点火器50の保持位置と反対側において、点火器50に通電するための雌型コネクタ(不図示)が嵌合可能な嵌合部21と、を有している。なお、ホルダ20の外周面に設けられた環状溝部22に対応する部分のハウジング10の周壁10eを径方向内側に縮径させて(かしめて)当該環状溝部22に係合させることにより、ハウジング10に対するホルダ20のかしめ固定が行なわれている。
【0022】
なお、上述した通り、ホルダ20の嵌合部21には、雌型コネクタが形成される。この雌型コネクタは、ガス発生器100とは別途設けられる衝突検知手段からの信号を伝達するハーネスの雄型コネクタが接続される部位である。雌型コネクタには、リテーナ60が取付けられる。このリテーナ60は、ガス発生器100の搬送時等において静電放電等によってシリンダ型のガス発生器100が誤動作することを防止するために取付けられるものであり、エアバッグ装置への組付け段階においてハーネスの雄型コネクタが雌型コネクタに挿し込まれることによってその端子ピン52への接触が解除されるものである。
【0023】
図1に示すように、ハウジング10の軸方向の一端部(すなわち、ホルダ20寄りの部分)には、ガス発生剤31の点火手段としての点火器50が配置されている。なお、点火器50及び点火器50を固定するホルダ20は、後述する粒状のガス発生剤31を燃焼させるための火炎を発生させる点火手段としての機能を有している。
【0024】
図1に示すように、点火器50は、ホルダ20の嵌合部23に内挿された状態で、後述する略筒状部材53とともに保持されている。点火器50は、より具体的には、一対の端子ピン52を挿通かつ保持する基枠と、基枠上に取付けられたスクイブカップ51(カップ状部材)とを備えており、スクイブカップ51内に挿入された端子ピン52の先端を連結するように抵抗体(ブリッジワイヤ)が取付けられ、この抵抗体を取り囲むように又はこの抵抗体に接するようにスクイブカップ51内に点火薬が充填されている。抵抗体としては一般にニクロム線等が利用され、点火薬としては一般にZPP(ジルコニウム・過塩素酸カリウム)、ZWPP(ジルコニウム・タングステン・過塩素酸カリウム)、鉛トリシネート等が利用される。なお、スクイブカップ51内には、点火薬だけでなくさらに伝火薬を充填してもよいが、点火薬と同時に配置され得る伝火薬としては、ホウ素/硝酸カリウム等に代表される金属/酸化剤からなる組成物、水素化チタン/過塩素酸カリウムからなる組成物、又は、ホウ素/5-アミノテトラゾール/硝酸カリウム/三酸化モリブデンからなる組成物等が用いられる。
【0025】
衝突を検知した際には、端子ピン52を介して抵抗体に所定量の電流が流れる。抵抗体に所定量の電流が流れることにより、抵抗体においてジュール熱が発生し、この熱を受けて点火薬が燃焼を開始する。燃焼により生じた高温の火炎は、点火薬を収納しているスクイブカップ51を破裂させる。抵抗体に電流が流れてから点火器50が作動するまでの時間は、抵抗体にニクロム線を利用した場合には2ミリ秒以下である。
【0026】
また、スクイブカップ51は、一般に金属製又は樹脂製である。なお、スクイブカップ51の周壁部のうち先端部付近以外を覆う略筒状部材53が、点火器50とともに、かしめ部24によってホルダ20にかしめ固定されている。ここで、略筒状部材53は、作動時に点火器50において発生する火炎の方向をカップ部材32(位置決め部材)側に向ける指向性部材である。
【0027】
図1に示すように、ハウジング10の内部空間には、ガス発生剤31などが密封された空間10Aと、フィルタ41とが、ハウジング10の軸方向に並列して設けられている。
【0028】
ガス発生剤31は、点火器50によって点火されることによって生じた火炎によって着火され、燃焼することによってガスを発生させる組成物である。また、ガス発生剤31は、一般に燃料と酸化剤と添加剤とを含む成型体として形成される。燃料としては、たとえばトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体、アゾジカルボンアミド誘導体、ヒドラジン誘導体等又はこれらの組み合わせが利用される。具体的には、たとえばニトログアニジン、硝酸グアニジン、シアノグアニジン、5-アミノテトラゾール等が好適に利用される。また、酸化剤としては、たとえば、塩基性硝酸銅や塩基性炭酸銅等の塩基性金属硝酸塩、過塩素酸アンモニウム又は過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アンモニアから選ばれたカチオンを含む硝酸塩等が利用される。硝酸塩としては、たとえば硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等が好適に利用される。また、添加剤としては、バインダ、スラグ形成剤、又は燃焼調整剤等が挙げられる。バインダとしては、たとえばヒドロキシプロピレンメチルセルロース等のセルロース誘導体、カルボキシメチルセルロースの金属塩、ステアリン酸塩等の有機バインダ、合成ヒドロキシタルサイト、酸性白土等の無機バインダが好適に利用可能である。スラグ形成剤としては窒化珪素、シリカ、酸性白土等が好適に利用可能である。また、燃焼調整剤としては、金属酸化物、フェロシリコン、活性炭、グラファイト等が好適に利用可能である。
【0029】
巻きバネ35は、
図1に示したように、外観全体として円錐台形状に相似するように、らせん状に巻き回して形成されている。また、巻きバネ35は、一端部がスクイブカップ51に当接しているとともに、渦巻状に形成されている他端部がガス発生剤31に当接して、ガス発生剤31に弾性力を付勢するように設けられている。この付勢により、ガス発生剤31は、ハウジング10内において、巻きバネ35と、カップ部材32とに挟まれるようにして固定される。また、巻きバネ35は、全体として点火器50側からガス発生剤31側にかけて拡径する円錐台形状となっていることで、点火器50から放出された火炎の方向をガス発生剤31側に向けやすくすることができる。
【0030】
カップ部材32(位置決め部材)は、フィルタ41の一端部側を覆う短尺の有底筒状部材であって、環状溝部32a1を有した筒状部32aと、筒状部32aの一端部側を閉塞する底面部32bと、を備えている。また、カップ部材32は、フィルタ41の配置位置が所定位置(たとえば、
図1および
図2のように、ガス噴出口11に対向する位置)に位置決め可能となるように、ハウジング10の外側から行われる後述の縮径加工によってハウジング10の内壁に固定されている。筒状部32aは、ガス噴出口11を閉塞しない程度に短尺に構成されたものとなっている。底面部32bは、作動時に発生したガスによって溶融または破損するものである。なお、カップ部材32は、樹脂部材または樹脂を含む複合強化部材からなる。この樹脂部材または樹脂を含む複合強化部材の例としては、たとえば、ガラス繊維配合のPA6(ポリアミド6)、POM(ポリアセタール、ポリオキシメチレン)、などが挙げられる。なお、カップ部材32は、一変形例として、たとえば、ステンレス鋼、鉄鋼等の金属、アルミニウム合金、ステンレス合金等の合金からなるものであってもよい。
【0031】
なお、
図1および
図2に示したように、カップ部材32にフィルタ41の一端部を嵌挿した状態でハウジング10内に設置した後、カップ部材32の筒状部32a周面の一部に対応する部分のハウジング10の周壁10bを径方向内側に縮径させて(かしめて)、環状溝部32a1および後述の環状溝部41bを形成することにより、ハウジング10およびフィルタ41に対するカップ部材32のかしめ固定が行なわれている。これにより、発生したガスがハウジング10の内壁とフィルタ41の外周部との間からバイパスして、ガス噴出口11に漏れ出ないようにすることができるとともに、シール性を確保している。すなわち、カップ部材32は、ハウジング10内の点火器50側で発生したガスを、底面部32bの溶融または破損によって開裂などした部分(中空部41aの一端部に対応する部分)を介してフィルタ41側へ流入させることができる。なお、上述のかしめ固定の位置は、カップ部材32の筒状部32a周面に対応した位置であれば、どの位置でもよい。
【0032】
フィルタ41は、中心に柱状(たとえば略円柱状、略角筒状など)の中空部41aを有した円筒状の部材からなるものであって、上述したとおり、ハウジング10内にカップ部材32とともに設置した後に前記縮径する加工によって環状溝部41bが形成されている。なお、円筒状の部材からなるフィルタ41を利用することで、作動時において流動する作動ガスの流動抵抗が低く抑えられ、効率的なガスの流動が可能である。フィルタ41は、たとえばステンレス鋼或いは鉄鋼等の金属からなる線材、又は、網材を巻き回したもの或いはプレス加工することによって押し固めたもの等が利用される。具体的には、メリヤス編みの金網、平織りの金網、又はクリンプ織りの金属線材の集合体等が利用される。フィルタ41は、ハウジング10内にて発生したガスがこのフィルタ41中を通過する際に、ガスが有する高温の熱を奪い取ることによってガスを冷却する冷却手段として機能するとともに、ガス中に含まれるスラグ等を除去する除去手段としても機能する。ここで、フィルタ41の一変形例として、金属からなる略円筒状又はすり鉢状の部品を組み合わせて形成した迷路状流路を有したフィルタを使用してもよい。これにより、作動ガスの進路を様々な方向に変更させることができるので、ガスの冷却及びスラグの除去を行うことが可能である。
【0033】
また、上述した本発明の実施の形態においては、フィルタとして、いわゆるメリヤス編みの金網で製作されたものを利用した場合を例示したが、これに代えてパンチングメタルを巻き回すことで製作されたものを利用することや、エキスパンドメタルを巻き回すことで製作されものを利用することも可能である。ここで、パンチングメタルとは、板状金属部材に開口部のみを設けた(すなわち開口部の周縁に突起部を設けない)金属板のことであり、エキスパンドメタルとは、板状金属部材にたとえば千鳥状に切れ目を入れるとともにこれを押し広げることにより、当該板状金属部材に開口部を設けて網目状にした金属板のことである。このようなパンチングメタルやエキスパンドメタルを上述したメリヤス編みの金網に代えて使用した場合にも、上述した本発明の実施の形態において説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0034】
また、上述したパンチングメタルやエキスパンドメタルにおいては、単一の金属製の板状部材を巻き回すことで積層体からなるフィルタが構成されているが、フィルタの構成は、当該構成に限定されるものではない。すなわち、それぞれの層が別々の金属製の板状部材にて構成されてこれを組み合わせることで積層体からなるフィルタが構成されていてもよいし、複数の層の一部が単一の金属製の板状部材巻き回すことで形成されるとともに、残る層が別の単一の金属製の板状部材巻き回すことで形成され、これらが組み合わされることで積層体からなるフィルタが構成されていてもよい。
【0035】
次に、以上において説明したガス発生器100の作動時における動作について説明する。本実施の形態におけるガス発生器100が組み込まれたエアバッグ装置が搭載された車両が衝突した場合には、車両に別途設けられた衝突検知手段によって衝突が検知され、これに基づいて点火器50が作動する。点火器50が作動すると、点火薬の燃焼によって点火器50内の圧力が上昇し、これによって点火器50のスクイブカップ51先端が破裂し、火炎が点火器50のスクイブカップ51先端からハウジング10内部のカップ部材32側へと流出する。
【0036】
このようにして流れ込んだ火炎により、ハウジング10内におけるガス発生剤31を着火して燃焼させ、多量のガスを発生させる。このガス発生剤31の燃焼により、ハウジング10における空間10A内の圧力が上昇し、発生したガスは、カップ部材32の底面部32bにおける中空部41aに対応する部分を溶融または破損させることによって開裂させ、中空部41aに流入する。その後、発生したガスは、フィルタ41を経由してガス噴出口11からガス発生器100の外部へと噴出されることになるが、フィルタ41を経由するので、発生したガスは所定の温度にまで冷却される。そして、ガス噴出口11から噴出されたガスは、エアバッグの内部に導かれてエアバッグを膨張・展開させる。
【0037】
(ガス発生器100の主な特徴)
本実施形態によれば、従来よりも部品点数を減らして軽量化することができるとともに、部品の簡易化によってコスト削減がなされたガス発生器100を提供することができる。特に、カップ部材32が樹脂製である場合に、より軽量化することができるとともに、コスト削減することができる。
【0038】
また、本実施形態においては、カップ部材32、フィルタ41、およびハウジング10を環状溝部32a1、環状溝部41b、周壁10b、の位置において、ともにかしめるので、カップ部材32をハウジング10およびフィルタ41に対してかしめ固定できるだけでなく、発生したガスがハウジング10の内壁とフィルタ41の外周部との間からバイパスして、ガス噴出口11に漏れ出ないようにすることができるとともに、ハウジング10のシール性を確保できる。
【0039】
また、カップ部材32の底面部32bを仕切り板として利用することで、作動時の破断圧を下げることができるので、燃焼時のハウジング10(空間10A)の内圧を減圧することができる。
【0040】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について、
図3および
図4を用いて説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と下2桁まで同じ符号の部位は、第1実施形態の部位と同様であるので、説明を省略することがある。また、本実施形態において、特に説明しない部位についても、第1実施形態と同様であるので、説明及び図示を省略することがある。
【0041】
本実施形態に係るガス発生器200は、
図3および
図4に示したように、第1実施形態におけるカップ部材32の代わりに、ハウジング110内においてガス噴出口111を閉塞する筒状の側面部133aと、フィルタ141の他端部側(閉塞部材112側)を閉塞する底面部133bと、を有した長尺の有底筒状部材133(位置決め部材)が用いられている点で、第1実施形態と異なっている。なお、有底筒状部材133は、フィルタ141の配置位置が所定位置(たとえば、
図3および
図4のように、ガス噴出口111に対向する位置)に位置決め可能となるように、ハウジング110の外側から行われる後述の縮径加工によってハウジング110の内壁に固定されている。また、有底筒状部材133は、樹脂部材または樹脂を含む複合強化部材からなる。この樹脂部材または樹脂を含む複合強化部材の例としては、たとえば、ガラス繊維30%配合のPA6(ポリアミド6)、POM(ポリアセタール、ポリオキシメチレン)、PA6などが挙げられる。なお、有底筒状部材133は、一変形例として、たとえば、ステンレス鋼、鉄鋼等の金属、アルミニウム合金、ステンレス合金等の合金からなるものであってもよい。
【0042】
また、ガス発生器200は、
図3および
図4に示したように、有底筒状部材133にフィルタ141を嵌挿した状態でハウジング110内に設置した後、有底筒状部材133の側面部133a周面の一部に対応する部分のハウジング110の周壁110bを径方向内側に縮径させて(かしめて)、環状溝部133a1および環状溝部141bを形成することにより、ハウジング110およびフィルタ141に対する有底筒状部材133のかしめ固定が行なわれている点でも、第1実施形態と異なっている。なお、上述のかしめ固定の位置は、ガス噴出口111よりも点火器150側の位置であれば、どの位置でもよい。
【0043】
また、ガス発生器200は、中空部141a内にもガス発生剤131が装填されている点でも、第1実施形態と異なっている。
【0044】
次に、以上において説明したガス発生器200の作動時における動作について説明する。本実施の形態におけるガス発生器200が組み込まれたエアバッグ装置が搭載された車両が衝突した場合には、車両に別途設けられた衝突検知手段によって衝突が検知され、これに基づいて点火器150が作動する。点火器150が作動すると、点火薬の燃焼によって点火器150内の圧力が上昇し、これによって点火器150のスクイブカップ151先端が破裂し、火炎が点火器150のスクイブカップ151先端からハウジング110内部のフィルタ141側へと流出する。
【0045】
このようにして流れ込んだ火炎により、ハウジング110内におけるガス発生剤131を着火して燃焼させ、多量のガスを発生させる。このガス発生剤131の燃焼により、ハウジング110における空間110A内の圧力が上昇し、発生したガスは、フィルタ141の中空部141aに流入する。続いて、発生したガスは、フィルタ141を経由して、有底筒状部材133のうちガス噴出口111に対応する部分をガス圧によって破断させる。その後、ガス噴出口111からガス発生器200の外部へと噴出されることになるが、フィルタ141を経由するので、発生したガスは所定の温度にまで冷却される。そして、ガス噴出口111から噴出されたガスは、エアバッグの内部に導かれてエアバッグを膨張・展開させる。
【0046】
本実施形態によれば、従来よりも部品点数を減らして軽量化することができるとともに、部品の簡易化によってコスト削減がなされたガス発生器200を提供することができる。特に、有底筒状部材133が樹脂製である場合に、より軽量化することができるとともに、コスト削減することができる。
【0047】
また、本実施形態においては、有底筒状部材133、フィルタ141、およびハウジング110を環状溝部133a1、環状溝部141b、周壁110b、の位置において、ともにかしめるので、有底筒状部材133をハウジング110およびフィルタ141に対してかしめ固定できるだけでなく、発生したガスがハウジング110の内壁とフィルタ141の外周部との間からバイパスして、ガス噴出口111に漏れ出ないようにすることができるとともに、ハウジング110のシール性を確保できる。
【0048】
また、本実施形態によれば、中空部141a内にもガス発生剤131が装填されているので、ハウジングが同じ径の場合、軸方向の全体長さを第1実施形態よりも短いものとすることができる。
【0049】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について、
図5および
図6を用いて説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と下2桁まで同じ符号の部位は、第1実施形態の部位と同様であるので、説明を省略することがある。また、本実施形態において、特に説明しない部位についても、第1実施形態と同様であるので、説明及び図示を省略することがある。
【0050】
本実施形態に係るガス発生器300は、
図5および
図6に示したように、第2実施形態における有底筒状部材133の代わりに、ハウジング210内においてガス噴出口211を閉塞する管状部材234(位置決め部材)が用いられている点で、第2実施形態と異なっている。なお、管状部材234は、フィルタ241の配置位置が所定位置(たとえば、
図5および
図6のように、ガス噴出口211に対向する位置)に位置決め可能となるように、ハウジング210の外側から行われる後述の縮径加工によってハウジング210の内壁に固定されている。また、管状部材234は、樹脂部材または樹脂を含む複合強化部材からなる。この樹脂部材または樹脂を含む複合強化部材の例としては、たとえば、ガラス繊維30%配合のPA6(ポリアミド6)、POM(ポリアセタール、ポリオキシメチレン)、PA6などが挙げられる。なお、管状部材234は、一変形例として、たとえば、ステンレス鋼、鉄鋼等の金属、アルミニウム合金、ステンレス合金等の合金からなるものであってもよい。
【0051】
また、ガス発生器200は、
図5および
図6に示したように、管状部材234にフィルタ241を嵌挿した状態でハウジング210内に設置した後、管状部材234周面の2箇所に対応する部分のハウジング210の周壁210b、210cを径方向内側に縮径させて(かしめて)、環状溝部234a1および環状溝部241b、環状溝部234a2および環状溝部241cを形成することにより、ハウジング210およびフィルタ241に対する管状部材234のかしめ固定が行なわれている点でも、第2実施形態と異なっている。なお、上述の2箇所のかしめ固定の位置は、ガス噴出口211が形成されている領域以外、すなわち、最も点火器150側に形成されているガス噴出口211よりも点火器150側の位置、および、最も閉塞部材212側に形成されているガス噴出口211よりも閉塞部材212側の位置であれば、どの位置でもよい。
【0052】
本実施形態によれば、第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0053】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について、
図7を用いて説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と下2桁まで同じ符号の部位は、第1実施形態の部位と同様であるので、説明を省略することがある。また、本実施形態において、特に説明しない部位についても、第1実施形態と同様であるので、説明及び図示を省略することがある。
【0054】
本実施形態に係るガス発生器は、
図7に示したように、第1実施形態における閉塞部材12の代わりに、円盤状の閉塞部材312が用いられている点で、主に第1実施形態と異なっている。
【0055】
閉塞部材312は、一端部(フィルタ341)側がハウジング310内においてフィルタ341の他端部に接触するように配設され位置決めされている。また、閉塞部材312のハウジング310への固定方法としては、以下の通りである。閉塞部材312をフィルタ341側に押し込むことになるように、閉塞部材312の他端部側においてハウジング310を縮径加工(ここではかしめ加工)し、環状溝部310aを形成する。これにより、一工程のみによって、閉塞部材312は、ハウジング310とフィルタ341との間に固定される。
【0056】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、閉塞部材312が、フィルタ341の他端部に押し当てられるようにして、ハウジング310とフィルタ341との間に固定されるので、取り付け時の閉塞部材312の移動を防止できる。その結果として、ハウジング310のかしめ部分の内部側が閉塞部材312に食い込みやすくなり、かしめ固定の強度を第1実施形態の場合よりも向上させることができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、閉塞部材312の形状を簡易化できるため、切削加工などのコストを削減できる。また、本実施形態のガス発生器が第1実施形態のガス発生器のハウジングの径と同じである場合、閉塞部材312の厚みを薄くすることが可能であるため、第1実施形態と比較して、ガス発生器全体の軸方向長さを短くすることができるとともに、重量を軽量化することができる。なお、閉塞部材312の厚みを第1実施形態の閉塞部材12と比較して薄くすることができる理由としては、以下の通りである。第1実施形態は、閉塞部材12に環状溝部13を設けてハウジング10の外部からかしめ固定することで、閉塞部材12のハウジング10に対する位置を固定している。一方、本実施形態では、フィルタ341がカップ部材332(位置決め部材)により固定されているため、閉塞部材312の位置は必然的に定まる。そのため、閉塞部材312のハウジング310軸方向外側のみのかしめ固定を可能とし、第1実施形態の閉塞部材12と比較して閉塞部材312を薄くすることができる。
【0058】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について、
図8を用いて説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と下2桁まで同じ符号の部位は、第1実施形態の部位と同様であるので、説明を省略することがある。また、本実施形態において、特に説明しない部位についても、第1実施形態と同様であるので、説明及び図示を省略することがある。
【0059】
本実施形態に係るガス発生器は、
図8に示したように、第1実施形態における閉塞部材12の代わりに、階段形状を有した円盤状の閉塞部材412が用いられている点で、主に第1実施形態と異なっている。
【0060】
閉塞部材412は、一段目部分412aと、一段目部分412aとともに階段形状を形成するように設けられた二段目部分412bとを有し、一端部(フィルタ441)側がハウジング410内においてフィルタ441の他端部に接触するように配設され位置決めされている。また、閉塞部材412のハウジング410への固定方法としては、以下の通りである。閉塞部材412をフィルタ441側に押し込むことになるように、閉塞部材412の一段目部分412aの他端部側においてハウジング410を縮径加工(ここではかしめ加工)し、環状溝部410aを形成する。これにより、一工程のみによって、閉塞部材412は、ハウジング410とフィルタ441との間に固定される。
【0061】
本実施形態によれば、第4実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、閉塞部材412を階段形状を有した円盤状の部材としているので、第4実施形態の閉塞部材312よりもハウジング410の軸方向に厚みを持たせることができ、閉塞部材312よりも強度の高い閉塞部材412とすることができる。
【0062】
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態について、
図9を用いて説明する。なお、本実施形態において、第2実施形態と下2桁まで同じ符号の部位は、第2実施形態の部位と同様であるので、説明を省略することがある。また、本実施形態において、特に説明しない部位についても、第2実施形態と同様であるので、説明及び図示を省略することがある。
【0063】
本実施形態に係るガス発生器は、
図9に示したように、第2実施形態における閉塞部材112の代わりに、円盤状の閉塞部材512が用いられている点で、主に第2実施形態と異なっている。
【0064】
閉塞部材512は、一端部(フィルタ541)側がハウジング510内においてフィルタ541の他端部に接触するように配設され位置決めされている。また、閉塞部材512のハウジング510への固定方法としては、以下の通りである。閉塞部材512をフィルタ541側に押し込むことになるように、閉塞部材512の他端部側においてハウジング510を縮径加工(ここではかしめ加工)し、環状溝部510aを形成する。これにより、一工程のみによって、閉塞部材512は、ハウジング510とフィルタ541との間に固定される。
【0065】
本実施形態によれば、第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、閉塞部材512が、有底筒状部材533の底面部533bに押し当てられるようにして、ハウジング510とフィルタ541との間に固定されるので、取り付け時の閉塞部材512の移動を防止できる。その結果として、ハウジング510のかしめ部分の内部側が閉塞部材512に食い込みやすくなり、かしめ固定の強度を第2実施形態の場合よりも向上させることができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、閉塞部材512の形状を簡易化できるため、切削加工などのコストを削減できる。また、本実施形態のガス発生器が第2実施形態のガス発生器のハウジングの径と同じである場合、閉塞部材512の厚みを薄くすることが可能であるため、第2実施形態と比較して、ガス発生器全体の軸方向長さを短くすることができるとともに、重量を軽量化することができる。
【0067】
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態について、
図10を用いて説明する。なお、本実施形態において、第3実施形態と下2桁まで同じ符号の部位は、第3実施形態の部位と同様であるので、説明を省略することがある。また、本実施形態において、特に説明しない部位についても、第3実施形態と同様であるので、説明及び図示を省略することがある。
【0068】
本実施形態に係るガス発生器は、
図10に示したように、第3実施形態における閉塞部材212の代わりに、円盤状の閉塞部材612が用いられている点で、主に第3実施形態と異なっている。
【0069】
閉塞部材612は、一端部(フィルタ641)側がハウジング610内においてフィルタ641の他端部に接触するように配設され位置決めされている。また、閉塞部材612のハウジング610への固定方法としては、以下の通りである。閉塞部材612をフィルタ641側に押し込むことになるように、閉塞部材612の他端部側においてハウジング610を縮径加工(ここではかしめ加工)し、環状溝部610aを形成する。これにより、一工程のみによって、閉塞部材612は、ハウジング610とフィルタ641との間に固定される。
【0070】
本実施形態によれば、第3実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、閉塞部材612が、フィルタ641の他端部に押し当てられるようにして、ハウジング610とフィルタ641との間に固定されるので、取り付け時の閉塞部材612の移動を防止できる。その結果として、ハウジング610のかしめ部分の内部側が閉塞部材612に食い込みやすくなり、かしめ固定の強度を第3実施形態の場合よりも向上させることができる。
【0071】
また、本実施形態によれば、閉塞部材612の形状を簡易化できるため、切削加工などのコストを削減できる。また、本実施形態のガス発生器が第3実施形態のガス発生器のハウジングの径と同じである場合、閉塞部材612の厚みを薄くすることが可能であるため、第3実施形態と比較して、ガス発生器全体の軸方向長さを短くすることができるとともに、重量を軽量化することができる。
【0072】
<第8実施形態>
次に、本発明の第8実施形態について、
図11および
図12を用いて説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と下2桁まで同じ符号の部位は、第1実施形態の部位と同様であるので、説明を省略することがある。また、本実施形態において、特に説明しない部位についても、第1実施形態と同様であるので、説明及び図示を省略することがある。
【0073】
本実施形態に係るガス発生器は、
図11および
図12に示したように、(1)第1実施形態における閉塞部材12の代わりに、円盤状の閉塞部材712が用いられている点、(2)第1実施形態におけるカップ部材32の代わりに、カップ部材732を用いている点、(3)AI剤740が、カップ部材732の底面部732bにおけるガス発生剤731側の略中央部に設けられている点、などで、主に第1実施形態と異なっている。
【0074】
閉塞部材712は、一端部(フィルタ741)側がハウジング710内においてフィルタ741の他端部に接触するように配設され位置決めされている。また、閉塞部材712のハウジング710への固定方法としては、以下の通りである。閉塞部材712をフィルタ741側に押し込むことになるように、閉塞部材712の他端部側においてハウジング710を縮径加工(ここではかしめ加工)し、環状溝部710aを形成する。これにより、一工程のみによって、閉塞部材712は、ハウジング710とフィルタ741との間に固定される。
【0075】
カップ部材732は、金属製または合金製など溶接接着に用いることが可能な材料からなる部材であって、筒状部732aと、筒状部732aの他端側に設けられた底面部732bとを備えている。筒状部732aは、ハウジング710の周壁710d(溶接箇所)の位置において外部からの溶接加工によって、ハウジング710に固定されている。これにより、フィルタ741の位置決めとともに、引いては、縮径加工前の閉塞部材712の位置決めも可能となる。また、カップ部材732は、ハウジング10を軸方向に仕切る有底筒状のバイパス防止部材であって、発生したガスがハウジング10の内壁とフィルタ41の外周部との間からバイパスして、ガス噴出口11に漏れ出ないようにすることができる。
【0076】
AI剤740は、点火器750の作動によらずに自動発火するオートイグニッション(AI)機能を有しているものである。より詳細に説明すると、AI剤740は、ガス発生剤731よりも低い温度で自動発火するので、ガス発生器800が組み込まれたエアバッグ装置などが装備された車両等において万が一火災等が発生した場合、外部から加熱されることによるガス発生器800の異常動作の誘発を防ぐことができるものである。
【0077】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、閉塞部材712が、フィルタ741の他端部に押し当てられるようにして、ハウジング710とフィルタ741との間に固定されるので、取り付け時の閉塞部材712の移動を防止できる。その結果として、ハウジング710のかしめ部分の内部側が閉塞部材712に食い込みやすくなり、かしめ固定の強度を第1実施形態の場合よりも向上させることができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、閉塞部材712の形状を簡易化できるため、切削加工などのコストを削減できる。また、本実施形態のガス発生器が第1実施形態のガス発生器のハウジングの径と同じである場合、閉塞部材712の厚みを薄くすることが可能であるため、第1実施形態と比較して、ガス発生器全体の軸方向長さを短くすることができるとともに、重量を軽量化することができる。
【0079】
<第9実施形態>
次に、本発明の第9実施形態について、
図13および
図14を用いて説明する。なお、本実施形態において、第8実施形態と下2桁まで同じ符号の部位は、第8実施形態の部位と同様であるので、説明を省略することがある。また、本実施形態において、特に説明しない部位についても、第8実施形態と同様であるので、説明及び図示を省略することがある。
【0080】
本実施形態に係るガス発生器は、
図13および
図14に示したように、第8実施形態における閉塞部材712の代わりに、階段形状を有した円盤状の閉塞部材812が用いられている点で、第8実施形態と異なっている。
【0081】
閉塞部材812は、一段目部分812aと、一段目部分812aとともに階段形状を形成するように設けられた二段目部分812bとを有し、一端部(フィルタ841)側がハウジング810内においてフィルタ841の他端部に接触するように配設され位置決めされている。また、閉塞部材812のハウジング810への固定方法としては、以下の通りである。閉塞部材812をフィルタ841側に押し込むことになるように、閉塞部材812の一段目部分812aの他端部側においてハウジング810を縮径加工(ここではかしめ加工)し、環状溝部810aを形成する。これにより、一工程のみによって、閉塞部材812は、ハウジング810とフィルタ841との間に固定される。
【0082】
本実施形態によれば、第8実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、閉塞部材812を階段形状を有した円盤状の部材としているので、第8実施形態の閉塞部材712よりもハウジング810の軸方向に厚みを持たせることができ、閉塞部材712よりも強度の高い閉塞部材812とすることができる。
【0083】
以上、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限定されるものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0084】
たとえば、第2実施形態及び第3実施形態において、ガス発生剤は、フィルタの中空部に充填されていなくてもよい。
【0085】
また、第1~第3実施形態において、ハウジングの縮径加工方法については、かしめ加工を例に説明したが、ハウジングを縮径できる加工方法ならどのようなものであってもよい。
【0086】
また、本発明は、第1~第9実施形態に示した各構成を適宜組み合わせてなるガス発生器としてもよい。
【符号の説明】
【0087】
10、110、210、310、410、510、610、710、810 ハウジング
10A、110A、210A、710A、810A 空間
10a、10b、10e、110a、110b、110e、210b、210c、310a、310b、410a、410b、510a、510b、610a、610b、610c、710a、710d、710e、810a、810e 周壁
11、111、211、311、411、511、611、711、811 ガス噴出口
12、112、212、312、412、512、612、712、812 閉塞部材
13、22、32a1、41b、113、133a1、141b、213、122、222、234a1、234a2、241b、241c、332a1、341b、432a1、441b、533a1、541b、634a1、634a2、641b、641c、722、822 環状溝部
20、120、220、720、820 ホルダ
21、23、121、123、221、223、721、723、821、823 嵌合部
24、124、224、724、824 かしめ部
31、131、231、331、431、531、631、731、831 ガス発生剤
32、132、232、332、432、732、832 カップ部材
32a、332a、432a、732a、832a 筒状部
32b、133b、332b、432b、533b、732b、832b 底面部
35、135、235、735、835 巻きバネ
41、141、241、341、441、541、641、741、841 フィルタ
41a、141a、241a、341a、441a、541a、641a、741a、841a 中空部
50、150、250、750、850 点火器
51、151、251、751、851 スクイブカップ
52、152、252、752、852 端子ピン
53、153、253、753、853 筒状部材
60、160、260、360、460 リテーナ
100、200、300、700、800 ガス発生器
133、533 有底筒状部材
133a、533a 側面部
234、634 管状部材
740 AI剤