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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014198
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】流通管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/087 20230101AFI20250123BHJP
   G06Q 10/083 20240101ALI20250123BHJP
   G06Q 50/02 20240101ALI20250123BHJP
【FI】
G06Q10/087
G06Q10/083 320
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116530
(22)【出願日】2023-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(71)【出願人】
【識別番号】505448501
【氏名又は名称】伊藤忠ファッションシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】平澤 真治
(72)【発明者】
【氏名】小太刀 賢輔
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
5L049CC01
5L050CC01
(57)【要約】
【課題】購入希望の生産物の在庫状況を確認可能なシステムを容易に構築し得る構成を提供する。
【解決手段】生産者により出荷される生産物20ごとに、当該生産物20の種別特定に用いる生産物特定情報をそれぞれ読み取り可能に記録した情報コード22及び無線タグ23がラベル21を利用して付される。店舗サーバ34により、生産物20の入荷時及び生産物20の販売時に無線タグ23から読み取った生産物特定情報が店舗情報とともにサーバ10に送信される。サーバ10では、店舗サーバ34から受信した入荷時での生産物特定情報及び店舗情報と販売時での生産物特定情報及び店舗情報とから店舗での生産物20の在庫数が求められて、当該在庫数がトレーサビリティ情報の一部として生産物特定情報及び店舗情報に関連付けられてデータベースに記録される。データベースに記録されるトレーサビリティ情報のうち少なくとも店舗ごとの生産物20の在庫数が公開サイトにて公開される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産者によって生産された生産物を所定の店舗にて販売する流通過程において前記生産物に関するトレーサビリティ情報を管理する流通管理システムであって、
前記生産者により出荷される前記生産物ごとに、当該生産物の種別特定に用いる生産物特定情報をそれぞれ読み取り可能に記録した情報コード及び無線タグが付され、
前記生産物特定情報を利用して前記トレーサビリティ情報を管理するサーバと、
前記店舗ごとに配置されて、前記生産物の入荷時及び前記生産物の販売時に前記無線タグから読み取った前記生産物特定情報を前記店舗の特定に用いる店舗情報とともに前記サーバに送信する店舗側送信装置と、
を備え、
前記サーバは、
前記店舗側送信装置から受信した入荷時での前記生産物特定情報及び前記店舗情報と販売時での前記生産物特定情報及び前記店舗情報とから前記店舗での前記生産物の在庫数が求められて、当該在庫数が前記トレーサビリティ情報の一部として前記生産物特定情報及び前記店舗情報に関連付けられて記録されるデータベースと、
前記データベースに記録される前記トレーサビリティ情報のうち少なくとも前記店舗ごとの前記生産物の前記在庫数を所定のウェブサイトにて公開する公開部と、
を備えることを特徴とする流通管理システム。
【請求項2】
前記生産物特定情報には、生産者を特定する情報が含まれることを特徴とする請求項1に記載の流通管理システム。
【請求項3】
前記生産者から出荷される前記生産物の前記生産物特定情報を出荷日時情報とともに前記サーバに送信する生産者側送信装置を備え、
前記サーバでは、前記生産者側送信装置から受信された前記出荷日時情報が、前記生産物特定情報に関連付けられて前記データベースに記録されて、前記公開部により前記所定のウェブサイトにて公開されることを特徴とする請求項1に記載の流通管理システム。
【請求項4】
前記店舗での前記生産物の販売価格を管理する販売価格管理装置を備え、
前記販売価格管理装置は、前記サーバから取得した前記生産物特定情報及び前記出荷日時情報から求められる消費期限までの残り期間が所定時間以下になる前記生産物の販売価格を、前記残り期間に応じて減額することを特徴とする請求項3に記載の流通管理システム。
【請求項5】
前記店舗側送信装置は、前記販売価格管理装置により減額対象となった前記生産物の減額情報を前記生産物特定情報及び前記店舗情報とともに前記サーバに送信し、
前記サーバでは、前記店舗側送信装置から受信された前記減額情報が、前記生産物特定情報及び前記店舗情報に関連付けられて前記データベースに記録されて、前記公開部により前記所定のウェブサイトにて公開されることを特徴とする請求項4に記載の流通管理システム。
【請求項6】
前記店舗での前記生産物の発注処理を行う発注装置を備え、
前記発注装置は、前記サーバから取得した前記生産物特定情報及び前記出荷日時情報から求められる消費期限までの残り期間に応じて、前記発注処理を行うことを特徴とする請求項3に記載の流通管理システム。
【請求項7】
前記データベースでは、前記所定のウェブサイトにて閲覧された前記生産物の閲覧回数が、前記生産物特定情報に関連付けられて記憶され、
前記公開部により、前記所定のウェブサイトにて前記生産物の閲覧回数が公開されることを特徴とする請求項1に記載の流通管理システム。
【請求項8】
前記店舗内にある前記無線タグの位置に関するタグ位置情報を取得するタグ位置情報取得装置を備え、
前記店舗側送信装置は、前記タグ位置情報取得装置によって取得された前記タグ位置情報を当該無線タグから読み取った前記生産物特定情報及び前記店舗情報とともに前記サーバに送信し、
前記サーバでは、前記店舗側送信装置から受信された前記タグ位置情報が、前記生産物特定情報及び前記店舗情報に関連付けられて前記データベースに記録されて、前記公開部により前記所定のウェブサイトにて、指定された店舗及び生産物について当該店舗内での前記生産物の販売位置を示す販売位置情報が前記データベースに記録される前記タグ位置情報を利用して生成されて公開されることを特徴とする請求項1に記載の流通管理システム。
【請求項9】
前記生産物特定情報には、同じ種別の生産物と区別可能に固有の番号が含まれることを特徴とする請求項1に記載の流通管理システム。
【請求項10】
前記店舗の出入口を通過する前記無線タグを読み取り可能に配置されて、前記生産物が販売されるごとに当該生産物の前記生産物特定情報を取得し、取得されていない前記生産物特定情報が前記無線タグから読み取られると所定の報知を行い、以前に取得された前記生産物特定情報が前記無線タグから読み取られると前記所定の報知を行わない万引き防止装置を備えることを特徴とする請求項9に記載の流通管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産物に関するトレーサビリティ情報を管理する流通管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、トレーサビリティ情報を活用して工業製品等を製造から販売等までを管理するシステムだけでなく、生産者により生産される農作物等の生産物についてもトレーサビリティ情報を活用して生産から販売等までの管理するシステムが広く普及している。
【0003】
このような生産物に関するトレーサビリティ情報を管理する技術として、例えば、下記特許文献1に開示される農産物の個体情報の提供システムが知られている。この提供システムは、メロン等の個体情報を形成するためのシステムであって、例えば、メロンの選果場においてメロンをコンベヤにより移動させながら、メロンを選果するための品質情報の採取とメロンへのラベルの取付けとが実行され、このラベルに記載されたメロンのID番号が入力されると、この入力されたID番号とメロンを選果する際に採取した品質情報とが組合わされて、メロンの個体情報が形成される。このように構成されることで、メロン等の農産物の品質情報を生産者が個々に入力する必要がなくなるため、品質情報のデータベース化に関する労力を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4334287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、購入者(消費者)が来店した店舗で、その購入者が購入を希望している生産物が在庫切れしている場合がある。このような事態をなくすために、例えば、店舗側にて各商品の在庫をリアルタイムに管理して、その在庫状況を所定のウェブサイトにて閲覧可能に公開することもできる。
【0006】
しかしながら、全ての商品に関して在庫確認作業やその確認された情報をウェブサイトに反映させる作業等が必要になるため、作業負荷が大きくなりやすいという問題がある。特に、農作物等の生産物は、個別管理等に必要な作業がさらに煩雑になりやすく、上記問題がより顕著になってしまう。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、購入希望の生産物の在庫状況を確認可能なシステムを容易に構築し得る構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、
生産者によって生産された生産物(20)を所定の店舗にて販売する流通過程において前記生産物に関するトレーサビリティ情報を管理する流通管理システム(1)であって、
前記生産者により出荷される前記生産物ごとに、当該生産物の種別特定に用いる生産物特定情報をそれぞれ読み取り可能に記録した情報コード(22)及び無線タグ(23)が付され、
前記生産物特定情報を利用して前記トレーサビリティ情報を管理するサーバ(10)と、
前記店舗ごとに配置されて、前記生産物の入荷時及び前記生産物の販売時に前記無線タグから読み取った前記生産物特定情報を前記店舗の特定に用いる店舗情報とともに前記サーバに送信する店舗側送信装置(34,33)と、
を備え、
前記サーバは、
前記店舗側送信装置から受信した入荷時での前記生産物特定情報及び前記店舗情報と販売時での前記生産物特定情報及び前記店舗情報とから前記店舗での前記生産物の在庫数が求められて、当該在庫数が前記トレーサビリティ情報の一部として前記生産物特定情報及び前記店舗情報に関連付けられて記録されるデータベース(14)と、
前記データベースに記録される前記トレーサビリティ情報のうち少なくとも前記店舗ごとの前記生産物の前記在庫数を所定のウェブサイトにて公開する公開部(11)と、
を備えることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、生産者により出荷される生産物ごとに、当該生産物の種別特定に用いる生産物特定情報をそれぞれ読み取り可能に記録した情報コード及び無線タグが付される。店舗側送信装置により、生産物の入荷時及び生産物の販売時に無線タグから読み取った生産物特定情報が店舗情報とともにサーバに送信される。サーバでは、店舗側送信装置から受信した入荷時での生産物特定情報及び店舗情報と販売時での生産物特定情報及び店舗情報とから店舗での生産物の在庫数が求められて、当該在庫数がトレーサビリティ情報の一部として生産物特定情報及び店舗情報に関連付けられてデータベースに記録される。データベースに記録されるトレーサビリティ情報のうち少なくとも店舗ごとの生産物の在庫数が公開部により所定のウェブサイトにて公開される。
【0010】
これにより、購入者は、公開部により公開される所定のウェブサイトを閲覧することで、購入希望の生産物が来店予定の店舗にて販売されているか否かだけでなく、その在庫数をも確認することができる。特に、出荷される生産物に付された無線タグから一括して読み取り可能な生産物特定情報を利用してトレーサビリティ情報が生成されるので、購入希望の生産物の在庫状況を確認可能なシステムを容易に構築することができる。
【0011】
生産物特定情報には、生産者を特定する情報が含まれてもよい。これにより、生産者は、生産物特定情報をキーにして、所定のウェブサイトにて自分の生産物の販売状況などを確認することができる。
【0012】
生産者から出荷される生産物の生産物特定情報が出荷日時情報とともに生産者側送信装置によりサーバに送信され、サーバでは、生産者側送信装置から受信された出荷日時情報が、生産物特定情報に関連付けられてデータベースに記録されて、公開部により所定のウェブサイトにて公開されてもよい。
【0013】
これにより、各生産物の在庫管理等を管理する店員等は、所定のウェブサイトを閲覧することで、各生産物の出荷日時情報、すなわち、各生産物の鮮度や消費期限等を容易に確認することができる。このため、店員等は、消費期限に応じた在庫管理作業等を円滑に実施することができる。また、購入者は、所定のウェブサイトを閲覧することで、購入希望の生産物の鮮度等を容易に確認することができる。
【0014】
店舗での生産物の販売価格を管理する販売価格管理装置は、サーバから取得した生産物特定情報及び出荷日時情報から求められる消費期限までの残り期間が所定時間以下になる生産物の販売価格を、残り期間に応じて減額してもよい。
【0015】
これにより、店員等は、生産物を手に取って消費期限を確認してからその消費期限に応じた値引きシールを生産物に貼り付ける等の値引き作業等を実施する必要もないので、値引き作業等に関して店員等による作業負荷を軽減することができる。
【0016】
販売価格管理装置により減額対象となった生産物の減額情報が生産物特定情報及び店舗情報とともに店舗側送信装置によりサーバに送信され、サーバでは、店舗側送信装置から受信された減額情報が、生産物特定情報及び店舗情報に関連付けられてデータベースに記録されて、公開部により所定のウェブサイトにて公開されてもよい。
【0017】
これにより、購入者は、所定のウェブサイトを閲覧することで、購入予定の店舗にて減額されている生産物の有無だけでなく、その減額情報も容易に確認することができる。
【0018】
店舗での生産物の発注処理を行う発注装置は、サーバから取得した生産物特定情報及び出荷日時情報から求められる消費期限までの残り期間に応じて、発注処理を行ってもよい。
【0019】
これにより、消費期限までの残り期間が短い生産物について、自動的に発注作業を実施することができる。このため、店員等は、各生産物を手に取って消費期限をそれぞれ確認してから消費期限までの残り期間が短い生産物の数に応じて発注数を決めて発注する等の発注作業を実施する必要もないので、発注作業に関して店員等による作業負荷を軽減することができる。
【0020】
データベースでは、所定のウェブサイトにて閲覧された生産物の閲覧回数が、生産物特定情報に関連付けられて記憶され、公開部により、所定のウェブサイトにて生産物の閲覧回数が公開されてもよい。
【0021】
所定のウェブサイトでの生産物の閲覧回数は、その生産物に興味を持った購入者の数が多くなるほど増加する。このため、生産者は、所定のウェブサイトを閲覧して自分の生産物の閲覧回数を確認することで、その生産物の人気や他の生産物との人気の差などを容易に確認することができるだけでなく、今後の生産方針の指標の1つに活用することができる。
【0022】
タグ位置情報取得装置により取得された店舗内にある無線タグの位置に関するタグ位置情報が、当該無線タグから読み取った生産物特定情報及び店舗情報とともに店舗側送信装置によりサーバに送信され、サーバでは、店舗側送信装置から受信されたタグ位置情報が、生産物特定情報及び店舗情報に関連付けられてデータベースに記録されて、公開部により所定のウェブサイトにて、指定された店舗及び生産物について当該店舗内での生産物の販売位置を示す販売位置情報がデータベースに記録されるタグ位置情報を利用して生成されて公開されてもよい。
【0023】
これにより、購入者は、所定のウェブサイトを閲覧することで、来店した店舗内での購入希望の生産物の販売位置を容易に確認することができる。
【0024】
生産物特定情報には、同じ種別の生産物と区別可能に固有の番号が含まれてもよい。
【0025】
店舗の出入口を通過する無線タグを読み取り可能に配置される万引き防止装置によって、生産物が販売されるごとに当該生産物の生産物特定情報が取得され、取得されていない生産物特定情報が無線タグから読み取られると所定の報知が行われ、以前に取得された生産物特定情報が無線タグから読み取られると上記所定の報知が行われないようにしてもよい。
【0026】
これにより、販売されていない生産物を不正に持ち出そうとした場合、万引き防止装置では、その生産物に付された無線タグから読み取られた生産物特定情報が販売済として取得されていないため、万引きの可能性有として所定の報知が行われる。一方、販売済の生産物を持ち帰る場合、万引き防止装置では、その生産物に付された無線タグから読み取られた生産物特定情報が販売済として既に取得されているため、万引きの可能性無として上記所定の報知が行われることはない。このように、生産物に付された無線タグの生産物特定情報を万引き防止の報知の要否判定に流用できるので、万引き防止のためのシステムを安価に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態に係る流通管理システムを概略的に示す説明図である。
図2図1のサーバの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
図3】生産物特定情報等が記録されるデータベースを説明する説明図であり、図3(A)は、入荷時の状態を例示し、図3(B)は、販売時の状態を例示する。
図4】第1実施形態において購入者の携帯端末に表示される生産物ごとの在庫状況等の表示例を説明する説明図である。
図5】第2実施形態において購入者の携帯端末に表示される生産物ごとの出荷日時等の表示例を説明する説明図である。
図6】第3実施形態において購入者の携帯端末に表示される生産物ごとの減額情報等の表示例を説明する説明図である。
図7】第6実施形態に係る流通管理システムを概略的に示す説明図である。
図8】第6実施形態において購入者の携帯端末に表示される売り場マップ等の表示例を説明する説明図である。
図9】第7実施形態において個別に設定される生産物特定情報の生成例を説明する説明図である。
図10】第7実施形態に係る流通管理システムの一例を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る生産物の流通管理システムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る流通管理システム1は、生産者により生産される農作物等の生産物を生産から販売等までトレーサビリティ情報を活用して管理するシステムである。流通管理システム1は、本発明に係る生産物のトレーサビリティに関するサービスを提供するサービス業者等によって運用される。流通管理システム1は、生産者を特定する生産者IDなどの情報(以下、生産者情報ともいう)と生産物の種別を特定する情報(以下、種別情報ともいう)とを含めた生産物特定情報を利用して、トレーサビリティ情報等を所定のウェブサイト(以下、公開サイトともいう)にて公開可能に管理するためのサーバ10を備えている。
【0029】
図1では、管理対象の生産物20として大根が採用されて、生産者である大根農家等から出荷されて、所定の配送業者によって配送されて、所定の店舗にて入荷・販売される大根の流通過程等について図示されている。
【0030】
出荷する生産物20には、生産者によって個々にラベル21が貼り付けられる。ラベル21は、出荷場等に配置される専用のラベルプリンタ31によって、QRコード(登録商標)等の情報コード22が表面に印字されてRFタグなどの無線タグ23が内層等に組み込まれたシール部材として生成される。なお、ラベル21の表面には、情報コード22とともに、生産者名や生産物20の種別等を印刷してもよい。
【0031】
情報コード22及び無線タグ23には、上述した生産者情報及び種別情報とラベル発行日を含めるように生成される生産物特定情報が読み取り可能に記録される。本実施形態では、同じラベル21の情報コード22及び無線タグ23に、同じ情報(生産物特定情報)が読み取り可能に記録されることになる。無線タグ23には、さらに、他の無線タグ23と区別するためのタグIDが読み取り可能に記録される。
【0032】
ラベルプリンタ31には、予め、生産者情報及び種別情報が登録されており、出荷数の入力などの所定のラベル発行操作が行われた操作タイミングに応じて上記ラベル発行日が設定される。出荷の際に生産者によって上記ラベル発行操作がラベルプリンタ31に対してなされることで、上述した生産情報及び種別情報とラベル発行日とが生産物特定情報として情報コード22及び無線タグ23のそれぞれに読み取り可能に記録されるようにして、ラベル21が出荷数分発行される。
【0033】
生産者は、発行されたラベル21を、出荷する生産物20に対して個々に貼り付けることで、出荷準備を行う。例えば、100個の大根を出荷する場合には、同じ生産物特定情報を記録したラベル21が100枚発行され、生産者は、ラベル21を100個の大根に対して1つずつ貼り付けることで、出荷準備を行う。
【0034】
配送業者は、上述のように出荷準備された生産物20を、サーバ10によって指示された出荷日時にて回収し、回収した生産物20の少なくとも一部を、サーバ10によって指示された店舗に指定入荷日時で入荷する。配送業者は、上記回収時に、配送用端末32にて各生産物20に付された無線タグ23の生産物特定情報を一括して読み取る作業を行う。この読み取り作業により、読み取り結果が回収日時や配送業者を特定する情報(以下、配送情報ともいう)等とともに配送用端末32からサーバ10へ送信される。
【0035】
配送先の店舗の店員等は、上述のように配送された生産物20を入荷する入荷作業時に、携帯端末33にて各生産物20に付された無線タグ23の生産物特定情報を一括して読み取る作業を行う。そして、店員等は、携帯端末33に対して生産物20の販売価格を入力操作等することで、その生産物20に関する生産物特定情報及び入荷数等が販売価格とともに店舗サーバ34に送信される。
【0036】
店舗サーバ34では、携帯端末33にて読み取られた生産物特定情報及び入荷数等が、入荷日時や店舗の特定に用いる情報(以下、店舗情報ともいう)等とともに入荷時情報としてサーバ10へ送信される。なお、携帯端末33にて読み取られた生産物特定情報及び入荷数等は、店舗サーバ34を介すことなく、携帯端末33からサーバ10へ直接送信されてもよい。また、店舗サーバ34及び携帯端末33は、「店舗側送信装置」の一例に相当し得る。
【0037】
また、店舗サーバ34では、入荷時に読み取られた生産物特定情報と入力操作等された販売価格とが関連付けられてデータベース化される。店舗サーバ34は、店舗での生産物20の販売価格を管理する「販売価格管理装置」として機能する。なお、販売価格の入力操作は、入荷作業時に行ってもよいし、入荷作業後の所定のタイミングで行ってもよい。また、販売価格の入力操作は、携帯端末33によって行われることに限らず、他の端末を用いて行われてもよい。この場合、携帯端末33は、入荷時に読み取られた生産物特定情報及び入荷数等を別途店舗サーバ34に送信する。
【0038】
購入者による生産物20の購入時、店員等は、その生産物20に付されるラベル21の情報コード22をPOS端末35にて光学的に読み取る作業を行う。POS端末35では、情報コード22から読み取られた生産物特定情報について店舗サーバ34から販売価格等を取得することで、決済処理が行われる。決済完了時には、POS端末35から決済完了情報を受けた店舗サーバ34によって、販売された生産物20の生産物特定情報及び販売数が店舗情報等とともに販売時情報としてサーバ10に送信される。
【0039】
サーバ10は、例えばコンピュータとして構成され、上記サービス業者等によって管理されている。このサーバ10は、図2に示すように、CPU等からなる制御部11、液晶モニタ等として構成される表示部12、マウスやキーボード等として構成される操作部13、ROM、RAM、HDD等からなる記憶部14、通信部15などを備えている。通信部15は、インターネットN等を介して店舗サーバ34等の外部機器と通信可能な通信インタフェースとして構成されている。
【0040】
記憶部14には、配送用端末32及び店舗サーバ34等から受信された情報を利用してトレーサビリティ情報等を管理するためのデータベースが構築されている。制御部11は、店舗サーバ34から入荷時情報が受信されることで、その生産物特定情報等をデータベースに新規登録する登録処理を行い、店舗サーバ34から販売時情報が受信されるごとに、その販売数に応じてデータベースの在庫数等を更新する更新処理を行う。
【0041】
データベースでは、店舗サーバ34から受信した入荷時情報及び販売時情報から、その店舗での生産物20の在庫数が求められる。このように求められた生産物20の在庫数は、トレーサビリティ情報の一部として生産物特定情報及び店舗情報に関連付けられて上記公開サイトにて公開可能にデータベースに記録される。
【0042】
制御部11は、記憶部14のデータベースに記録される情報のうち在庫数などのトレーサビリティ情報として公開すべき情報を、上記公開サイトにて閲覧可能に公開するための処理(以下、公開処理ともいう)を行う。なお、生産物20の在庫数を公開サイト(所定のウェブサイト)にて公開するための公開処理を行う制御部11は、「公開部」の一例に相当し得る。
【0043】
例えば、店舗情報「5432」から特定されるE店舗にて、A農家の大根が20個、B農家の長ネギが15個、C農家のレンコンが30個、D農家のナスが25個にて入荷されている場合には、データベースには、図3(A)に例示するような情報が記録される。その後、E店舗の店舗サーバ34からA農家の大根について10個分の販売時情報が受信されると、図3(B)に例示するようにデータベースが更新される。同様に、E店舗の店舗サーバ34からB農家の長ネギについて13個分の販売時情報とC農家のレンコンについて22個分の販売時情報とD農家のナスについて13個分の販売時情報とが受信されると、図3(B)に例示するようにデータベースが更新される。
【0044】
なお、図3では、A農家を特定する生産者情報を「123」、大根を特定する種別情報を「021」、ラベル発行日を「06」とすることで、生産物特定情報を「12302106」として例示している。また、B農家を特定する生産者情報を「124」、長ネギを特定する種別情報を「022」、ラベル発行日を「06」とすることで、生産物特定情報を「12402206」として例示している。また、C農家を特定する生産者情報を「125」、レンコンを特定する種別情報を「023」、ラベル発行日を「06」とすることで、生産物特定情報を「12502306」として例示している。また、D農家を特定する生産者情報を「126」、ナスを特定する種別情報を「024」、ラベル発行日を「06」とすることで、生産物特定情報を「12602406」として例示している。また、図3では、便宜上、配送情報及び回収日時の図示を省略している。
【0045】
購入者は、E店舗に来店する前であって図3(B)に例示する在庫状況時に、携帯端末36にて上記公開サイトを閲覧してE店舗の在庫状況を選択操作することで、その携帯端末36の表示画面36aに、図4に例示するような在庫状況が表示される。この表示画面36aを見た購入者は、購入希望の生産物20の在庫数を確認でき、品切れのおそれもなく安心してE店舗に来店することができる。なお、生産物特定情報には生産者情報が含まれるため、在庫状況の表示時に、生産物の種別名とともに生産者名を表示するようにしてもよい。
【0046】
以上説明したように、本実施形態に係る流通管理システム1では、生産者により出荷される生産物20ごとに、当該生産物20の種別特定に用いる生産物特定情報をそれぞれ読み取り可能に記録した情報コード22及び無線タグ23がラベル21を利用して付される。店舗サーバ34により、生産物20の入荷時及び生産物20の販売時に無線タグ23から読み取った生産物特定情報が店舗情報とともにサーバ10に送信される。サーバ10では、店舗サーバ34から受信した入荷時での生産物特定情報及び店舗情報と販売時での生産物特定情報及び店舗情報とから店舗での生産物20の在庫数が求められて、当該在庫数がトレーサビリティ情報の一部として生産物特定情報及び店舗情報に関連付けられてデータベースに記録される。データベースに記録されるトレーサビリティ情報のうち少なくとも店舗ごとの生産物20の在庫数が公開サイトにて公開される。
【0047】
これにより、購入者は、上述のように公開される公開サイトを閲覧することで、購入希望の生産物20が来店予定の店舗にて販売されているか否かだけでなく、その在庫数をも確認することができる。特に、出荷される生産物20に付された無線タグ23から一括して読み取り可能な生産物特定情報を利用してトレーサビリティ情報が生成されるので、購入希望の生産物20の在庫状況を確認可能なシステムを容易に構築することができる。
【0048】
特に、本実施形態では、生産物特定情報には、生産者を特定する生産者情報が含まれている。これにより、生産者は、生産物特定情報をキーにして、公開サイトにて自分の生産物20の販売状況などを確認することができる。例えば、図3(B)の例では、A農家の生産者は、公開サイトを閲覧して自分の生産者名(生産者情報「123」が含まれる生産物特定情報)をキーに検索することで、自分の生産物20である大根が5個販売済であることを確認することができる。
【0049】
なお、本実施形態の変形例として、生産物特定情報は、上述したように生産者情報、種別情報及びラベル発行日が含まれるように生成されることに限らず、ラベル発行日が含まれないように生成されてもよいし、生産者情報及びラベル発行日の双方が含まれないように生成されてもよい。
【0050】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る流通管理システムについて、図面を参照して説明する。
本第2実施形態では、生産者から出荷される生産物の出荷日時情報が公開可能にデータベースに記録される点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0051】
本実施形態では、ラベルプリンタ31は、インターネットN等を介してサーバ10とデータ通信可能に構成されている。ラベルプリンタ31は、出荷数分のラベル21を発行する際に、情報コード22及び無線タグ23に記録される生産物特定情報を出荷日時情報とともにサーバ10に送信するための送信処理を行う。なお、生産物特定情報を出荷日時情報とともにサーバ10に送信するラベルプリンタ31は、「生産者側送信装置」の一例に相当し得る。
【0052】
サーバ10では、ラベルプリンタ31から受信された出荷日時情報が、生産物特定情報に関連付けられて公開サイトにて公開可能に記憶部14のデータベースに新規登録される。この場合、その後に店舗サーバ34から受信された入荷時情報は、対応する生産物特定情報に関連付けられるように追加登録される。そして、制御部11は、データベースに記録される情報のうち出荷日時情報及び在庫数などのトレーサビリティ情報として公開すべき情報を、上記公開サイトにて閲覧可能に公開するための公開処理を行う。
【0053】
このように、上記公開サイトにて出荷日時情報及び在庫数等が閲覧可能に公開されるため、各生産物20の在庫管理等を管理する店員等は、店舗のタブレット端末等にて上記公開サイトを閲覧することで、各生産物20の出荷日時情報、すなわち、各生産物20の鮮度や消費期限等を容易に確認することができる。このため、店員等は、消費期限に応じた在庫管理作業等を円滑に実施することができる。
【0054】
また、例えば、購入者が携帯端末36にて上記公開サイトを閲覧してE店舗を選択操作することで、その携帯端末36の表示画面36aに、図5に例示するような各種の情報が表示される。この表示画面36aを見た購入者は、購入希望の生産物20の在庫数だけでなく、その生産物20の鮮度等を容易に確認することができる。
【0055】
なお、生産物特定情報及び出荷日時情報は、ラベルプリンタ31によってサーバ10に送信されることに限らず、ラベルプリンタ31から生産物特定情報及び出荷日時情報を取得したタブレット端末等の他の生産者側送信装置によってサーバ10に送信されてもよい。
【0056】
また、ラベル発行日が生産物特定情報に含まれないことを前提に、生産者による出荷作業では、ラベルプリンタ31等によって事前に発行されたラベル21が各生産物20に対して個々に貼り付けされてもよい。このような出荷作業では、生産物特定情報は、生産者がタグ読取端末等を用いて各生産物20に付された無線タグ23から一括して読み取られた後に、出荷日時情報とともに他の生産者側送信装置によってサーバ10に送信される。
【0057】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る流通管理システムについて、図面を参照して説明する。
本第3実施形態では、生産物の販売価格が出荷日時情報から求められる消費期限までの残り期間に応じて減額される点が、上記第2実施形態と主に異なる。したがって、第2実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0058】
本実施形態に係る店舗サーバ34は、店舗での生産物20の販売価格を管理する販売価格管理装置として機能し、サーバ10から取得した生産物特定情報及び出荷日時情報から求められる消費期限までの残り期間が所定時間以下になる生産物20の販売価格を、残り期間に応じて減額するための減額処理を行う。なお、店舗サーバ34は、所定の要求を行うことでサーバ10から生産物20の出荷日時情報等を受信して取得してもよいし、要求を行うことなく自動でサーバ10から生産物20の出荷日時情報等を受信して取得してもよい。
【0059】
例えば、販売している大根の消費期限までの残り期間が所定時間(例えば、24時間)以下になると、その大根の販売価格を20%割引きした価格に減額するための減額処理が店舗サーバ34によって行われる。この減額処理の際、その減額対象の生産物20に貼り付けるための割引シールが発行されるとともに、減額対象の生産物20に対する割引シールの貼り付け指示が店員等に対してなされる。なお、上記減額処理では、残り期間が短くなるほど減額が段階的に大きくなるように設定されてもよい。
【0060】
これにより、店員等は、生産物20を手に取って消費期限を確認してからその消費期限に応じた値引きシールを生産物20に貼り付ける等の値引き作業等を実施する必要もないので、値引き作業等に関して店員等による作業負荷を軽減することができる。
【0061】
さらに、本実施形態では、上述のように減額対象となった生産物20の減額情報が生産物特定情報及び店舗情報とともに店舗サーバ34によりサーバ10に送信される。サーバ10では、店舗サーバ34から受信された減額情報が、生産物特定情報及び店舗情報に関連付けられて記憶部14のデータベースに公開可能に記録されて、制御部11による公開処理に応じて上記公開サイトにて公開される。
【0062】
例えば、購入者が携帯端末36にて上記公開サイトを閲覧してE店舗を選択操作することで、その携帯端末36の表示画面36aに、図6に例示するような各種の情報が表示される。このように、購入者は、上記公開サイトを閲覧することで、購入予定の店舗外にいてもその店舗にて減額(特売)されている生産物20の有無だけでなく、その減額情報(特売情報)も容易に確認することができる。
【0063】
なお、上記減額処理では、その店舗等で利用可能なポイント等の付与やクーポン等を発行する処理を行うことで、実質的な減額処理を行うようにしてもよい。
【0064】
また、専用のアプリをインストールした携帯端末36によって減額有無を確認したい生産物20に付される情報コード22が読み取られることで、上記公開サイトを利用してその生産物20の減額の有無など情報が携帯端末36の表示画面に表示されてもよい。
【0065】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る流通管理システムについて、図面を参照して説明する。
本第4実施形態では、店舗サーバ34がサーバ10から取得した情報を利用して自動発注処理を行う点が、上記第3実施形態と主に異なる。したがって、第3実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0066】
本実施形態に係る店舗サーバ34は、店舗での生産物20の発注処理を行う発注装置として機能し、サーバ10から取得した生産物特定情報及び出荷日時情報から求められる消費期限までの残り期間に応じて、発注処理を自動で行う。自動発注処理の基準となる残り期間は、生産物20の種別に応じて予め設定されている。
【0067】
例えば、販売している大根の消費期限までの残り期間が所定時間(例えば、30時間)以下になると、その大根を発注するための発注処理が店舗サーバ34によって自動的に行われる。
【0068】
これにより、消費期限までの残り期間が短い生産物20について、自動的に発注作業を実施することができる。このため、店員等は、各生産物20を手に取って消費期限をそれぞれ確認してから消費期限までの残り期間が短い生産物20の数に応じて発注数を決めて発注する等の発注作業を実施する必要もないので、発注作業に関して店員等による作業負荷を軽減することができる。
【0069】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る流通管理システムについて、図面を参照して説明する。
本第5実施形態では、公開サイトにて閲覧された生産物の閲覧回数が公開される点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0070】
本実施形態では、情報コード22には、上述した生産物特定情報に加えて、当該情報コード22が付された生産物20に関する情報を閲覧可能な商品紹介サイトにアクセスするためのURL等が記録されている。購入者は、興味を持った生産物20に付された情報コードを読み取ることで閲覧可能になった上記商品紹介サイトで、その生産物20に関する情報を閲覧することができる。このため、上記公開サイトでの生産物20の閲覧回数は、その生産物20に興味を持った購入者の数が多くなるほど増加する。なお、POS端末35では、情報コード22から読み取られた生産物特定情報及びURLのうち生産物特定情報のみを利用して決済処理を行う。
【0071】
そこで、本実施形態に係るサーバ10では、記憶部14のデータベースにて、上記公開サイトにて閲覧された生産物20の閲覧回数が生産物特定情報に関連付けられて記憶される。そして、制御部11は、上記公開サイトにて生産物20ごとに閲覧回数が公開されるように公開処理を行う。
【0072】
これにより、生産者がタブレット端末等を利用して上記公開サイトを閲覧した際に自分の生産者名(生産者情報が含まれる生産物特定情報)をキーに検索することで、そのタブレット端末の表示画面に、自分の生産物20の閲覧回数がその生産物20に関連する情報等とともに表示される。
【0073】
このため、生産者は、上記公開サイトを閲覧して自分の生産物20の閲覧回数を確認することで、その生産物20の人気や他の生産物20との人気の差などを容易に確認することができるだけでなく、今後の生産方針の指標の1つに活用することができる。
【0074】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態に係る流通管理システムについて、図面を参照して説明する。
本第6実施形態では、店舗内での生産物の販売位置が公開サイトにて閲覧可能に公開される点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0075】
店舗に来店した購入者は、事前に上記公開サイトで購入希望の生産物20の在庫数を確認できたとしても、その生産物20が店舗内のどこで販売されているか把握していない場合がある。特に、販売場所が変更されやすいフリーロケーションの店舗や無人店舗などでは、上述のような問題が顕著になる。
【0076】
このため、図7に示すように、本実施形態では、各店舗に、生産物特定情報が読み取られた無線タグ23の位置を取得可能なタグ位置情報取得装置40が配置されている。タグ位置情報取得装置40は、店舗内の天井等に配置される複数のアンテナ41を介して無線タグ23から受信される電波の電波強度(RSSI値)等を利用して、受信したアンテナ41から無線タグ23までの距離及び方向を個々に求めるための処理を定期的(例えば、10秒ごと)に行う。
【0077】
このように求められた各アンテナ41を基準とする無線タグ23までの距離及び方向に基づいて、その店舗内での各無線タグ23の位置に関する情報(以下、タグ位置情報ともいう)が取得される。本実施形態では、タグ位置情報は、その店舗内での予め決められた所定の位置を原点とする相対位置座標情報として取得され、その無線タグ23を付した生産物20の店舗内での販売位置を示す情報(以下、販売位置情報ともいう)として利用することができる。
【0078】
各無線タグ23のタグ位置情報は、タグ位置情報取得装置40によって取得されるごとに、その無線タグ23から読み取られる生産物特定情報とともに店舗情報に関連付けられて、店舗サーバ34を介してサーバ10に送信される。なお、タグ位置情報等は、店舗サーバ34を介すことなく、タグ位置情報取得装置40からサーバ10に直接送信されてもよい。
【0079】
サーバ10では、店舗サーバ34等から受信されたタグ位置情報が、生産物特定情報及び店舗情報に関連付けられて記憶部14のデータベースに記録される。なお、データベースには、各店舗の売り場マップに関する情報が予め記憶されている。
【0080】
そして、制御部11による公開処理に応じて、指定された店舗及び生産物20について当該店舗内での生産物20の販売位置を示す販売位置情報が、データベースに記録されるタグ位置情報を利用して生成されて上記公開サイトにて公開される。
【0081】
具体的には、上記公開処理では、指定された店舗の売り場マップが公開され、指定された生産物20のタグ位置情報から特定される売り場マップ上での位置に、販売位置を示すアイコンMが販売位置情報として表示される。
【0082】
これにより、例えば、E店舗に来店した購入者は、携帯端末36にて上記公開サイトを閲覧してE店舗及び大根を指定することで、図8に例示するように、その携帯端末36の表示画面36aに、大根の販売位置を示すアイコンMが表示されたE店舗の売り場マップが表示される。
【0083】
このように、購入者は、上述のように売り場マップ等が表示される公開サイトを閲覧することで、来店した店舗内での購入希望の生産物20の販売位置を容易に確認することができる。
【0084】
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態に係る流通管理システムについて、図面を参照して説明する。
本第7実施形態では、生産物特定情報に同じ種別の生産物と区別可能に固有の番号が含まれる点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0085】
本実施形態では、生産物特定情報は、生産者情報及び種別情報とラベル発行日に加えて、同じ種別であっても区別可能にシリアル番号(固有のユニーク番号)が含まれるように生成される。
【0086】
このため、例えば、A農家(生産者情報「123」)が大根(種別情報「021」)をラベル発行日「06」で100個出荷する場合には、図9からわかるように、それぞれ異なる生産物特定情報を記録したラベル21が100枚発行される。
【0087】
このように、生産物特定情報が個体を区別可能に生成されるため、読み取った生産物特定情報を利用することで、各生産物20のトレーサビリティ情報を個体別に管理することができる。例えば、生産物特定情報「123021060001」から特定される大根と生産物特定情報「123021060002」から特定される大根とを、販売時刻等を区別するようにして管理することができる。
【0088】
さらに、例えば、上述のように区別可能に生成される生産物特定情報を、所定の判定用途、例えば、万引き防止の報知の要否判定に活用することができる。具体的には、店舗の出入口を通過する無線タグ23を読み取り可能に配置される万引き防止装置50にて、販売済とされていない生産物特定情報が無線タグ23から読み取られた場合に万引き防止用の所定の報知を行うことができる。
【0089】
この場合、POS端末35は、生産物20が販売されるごとにその生産物20の生産物特定情報等を万引き防止装置50に対して送信するための処理を行う。このため、万引き防止装置50は、POS端末35から取得した生産物特定情報を、販売済の生産物20の無線タグ23に記録される情報と判定することができる。
【0090】
このように構成される万引き防止装置50は、取得されていない生産物特定情報が無線タグ23から読み取られると上記所定の報知を行い、以前に取得された生産物特定情報が無線タグ23から読み取られると上記所定の報知を行わない。
【0091】
これにより、販売されていない生産物20を不正に持ち出そうとした場合、万引き防止装置50では、その生産物20に付された無線タグ23から読み取られた生産物特定情報が販売済として取得されていないため、万引きの可能性有として上記所定の報知が行われる。一方、販売済の生産物20を持ち帰る場合、万引き防止装置50では、その生産物20に付された無線タグ23から読み取られた生産物特定情報が販売済として既に取得されているため、万引きの可能性無として上記所定の報知が行われることはない。このように、生産物20に付された無線タグ23の生産物特定情報を万引き防止の報知の要否判定に流用できるので、万引き防止のためのシステムを安価に構築することができる。
【0092】
なお、万引き防止装置50は、生産物20が販売されるごとにその生産物特定情報をPOS端末35等から取得することに限らず、無線タグ23から読み取った生産物特定情報が販売済であるか否かについて、POS端末35、店舗サーバ34やサーバ10にその都度問い合わせする処理を行ってもよい。
【0093】
なお、本発明は上記各実施形態等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明に係る生産物20として、大根、長ネギ、レンコン、ナスなどの野菜が採用されることに限らず、生産者から直接出荷される果物や肉類、魚介類などの他の種別の生産物が採用されてもよい。また、本発明に係る生産物20として、農産物と異なる生産物、例えば、アパレル製品が採用されてもよい。生産物20としてアパレル製品が採用される場合、情報コード22及び無線タグ23は、生産者側で生産物20に付されてもよいし、流通途中又は店舗内で生産物20に付されてもよい。また、生産物20の種別等によっては、情報コード22及び無線タグ23は、流通途中又は店舗内で生産物20に付されてもよい。
【0094】
(2)情報コード22及び無線タグ23は、ラベル21を利用して生産物20に付されることに限らず、例えば、ラベル21等を利用することなくそれぞれ個別に生産物20に付されてもよい。また、情報コード22及び無線タグ23は、生産物20に対して直接付されることに限らず、生産物20を個別に包装等する包装体に付されてもよい。
【0095】
(3)本発明に係る店舗は、有人店舗として構成されることに限らず、無人店舗として構成されてもよい。
【0096】
(4)生産者側からラベルプリンタ31等によって生産物特定情報等がサーバ10に送信される際に、生産者による出荷希望情報がサーバ10に送信されてもよい。この場合、サーバ10では、生産者側から受信した出荷希望情報に応じて、配送業者等に対して回収日時や回収予定数量等を指示することができる。
【0097】
1 流通管理システム
10 サーバ
11 制御部(公開部)
14 記憶部(データベース)
20 生産物
21 ラベル
22 情報コード
23 無線タグ
31 ラベルプリンタ(生産者側送信装置)
33 携帯端末(店舗側送信装置)
34 店舗サーバ(店舗側送信装置,販売価格管理装置,発注装置)
35 POS端末
36 携帯端末
40 タグ位置情報取得装置
50 万引き防止装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10